説明

電源装置

【課題】出力電圧のばらつきを少なくすることができる電源装置を提供する。
【解決手段】電源部1から与えられる入力電圧を負荷に与える出力電圧に変換する電圧変換部2と、出力電圧の電圧値の設定値を与える出力電圧設定信号を発生する分圧回路4Aと、設定値切換用スイッチ4B1,4B2のオンオフにより分圧回路4Aの分圧比を異なる値に切り換えて設定値を切り換える設定値切換部4Bと、出力電圧の電圧値を規格範囲内に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置4Cと、電圧変換部2から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を記憶装置4Cに記憶された情報が示す通りの状態にするように設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部と、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を零にするように電圧変換部2を制御する出力電圧制御部5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力電圧を設定値に保つように制御する機能を備えた電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関により駆動される発電機のように、出力電圧が変動する電源部の出力で負荷を駆動する場合には、負荷に与える出力電圧を設定値に保つように制御する電圧制御機能を備えた電源装置が用いられている。この種の電源装置は、電源部から与えられる入力電圧を負荷に与える出力電圧に変換する電圧変換部と、出力電圧の電圧値の設定値を与える出力電圧設定信号を発生する出力電圧設定部と、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を零にするように電圧変換部を制御する出力電圧制御部とにより構成される。
【0003】
例えば、内燃機関により駆動される磁石発電機の出力電圧を直流電圧に変換して負荷に供給する電源装置として、図10に示したものが知られている。この電源装置は、特許文献1に示されているもので、図10において、1は内燃機関により駆動される磁石式交流発電機からなる電源部、2は電源部1から与えられる入力電圧を負荷3に与える出力電圧に変換する電圧変換部、4′は出力電圧設定部、5は負荷3に与える出力電圧を設定値に保つように電圧変換部2を制御する出力電圧制御部である。
【0004】
電圧変換部2は、2個の整流用ダイオードD1,D2と、2個のMOSFET F1,F2とをブリッジ接続した回路からなっていて、MOSFET F1,F2のオンオフ動作により、電源部1を構成する発電機の電機子コイル1Aを流れる電機子電流を断続させて電機子コイルの誘起電圧を昇圧させ、昇圧した誘起電圧をダイオードD1,D1とMOSFETF1,F2とにより構成された全波整流回路を通して整流して負荷3に与える。
【0005】
出力電圧設定部4′は、抵抗R1及びR2により構成された分圧回路4Aからなっていて、一定の直流電圧Vccを分圧することにより、出力電圧の設定値Vsを与える出力電圧設定信号vsを発生する。また出力電圧制御部5は、抵抗R3及びR4により構成された分圧回路からなっていて、電圧変換部2から得られる出力電圧V1を検出して電圧検出信号v1を発生する電圧検出部5Aと、MOSFET F1,F2を同時にオンオフさせるようにMOSFETF1,F2のゲートに矩形波状の駆動信号を与える駆動信号発生回路5Bと、電圧検出部5Aが出力する電圧検出信号v1により検出された出力電圧の電圧値V1と出力電圧設定信号vsにより与えられる設定値Vsとの偏差を零にするように、駆動信号発生回路5BからMOSFET F1,F2への駆動信号Vqの供給を制御する駆動信号供給制御部5Cとからなっている。
【0006】
図示の制御部5Cは、電圧検出信号v1と設定信号vsとを比較する比較器CMPを備えて、電圧検出信号v1と設定信号vsとの大小関係に応じて、駆動信号発生回路5Bを制御する回路からなっている。駆動信号発生回路5Bは、電圧検出信号v1が出力電圧設定信号vsよりも低く、比較器CMPの出力が高レベルであるときに所定のデューティを有する矩形波信号Vqを発生して、MOSFET F1,F2を同時にオンオフさせ、比較器CMPの出力が低レベルになったときに矩形波信号Vqのデューティを100%として(MOSFET F1,F2のゲートに一定レベルの駆動信号が与えられたままの状態として)MOSFET F1,F2を共にオン状態に保持する。
【0007】
MOSFET F1,F2が同時にオン状態にされたときには、電機子コイル1AがMOSFET F1,F2を通して短絡されるため、電機子のコイル1Aを通して電機子電流が流れる。MOSFET F1,F2が共にオフ状態にされると、それまで流れていた電機子電流が遮断されるため、電機子コイル1Aに昇圧された電圧が誘起する。従って、電圧検出信号v1が出力電圧設定信号vsよりも低く、MOSFET F1,F2がオンオフを繰り返しているときには、MOSFET F1,F2がオフ状態になる毎に電機子コイル1Aに昇圧された電圧が誘起し、この電圧が電圧変換部2のダイオードD1,D2とMOSFETF1,F2とからなる全波整流回路を通して負荷3に供給される。
【0008】
電圧変換部2から負荷3に与えられる出力電圧V1が設定値Vsを超え、電圧検出信号vsが出力電圧設定信号vsを超えると、比較器CMPがその出力を低レベルにする。このとき駆動信号発生回路5Bは、MOSFET F1,F2に与える駆動信号のデューティを100%とする。そのため、電機子コイル1AがMOSFET F1,F2を通して短絡された状態に保持され、出力電圧V1が低下する。これらの動作の繰り返しにより、負荷3に与えられる出力電圧V1の電圧値が設定値付近に保たれる。
【0009】
上記のように、MOSFET F1,F2のオンオフにより発電機の電機子電流を断続させて電機子コイルに昇圧された電圧を誘起させ、この昇圧された電圧を整流して負荷に与えるようにすると、電機子コイル1Aの巻数を少なくしても発電機の低速回転時に高い出力電圧を得ることができる。また電機子コイル1Aの巻数を少なくしてそのインピーダンスを小さくすることができるため、発電機の高速回転時に大きな負荷電流を流すことができる。
【特許文献1】特開平8−33228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような電源装置においては、抵抗R1ないしR4の抵抗値にばらつきがあると、電圧変換部2から負荷3に与えられる出力電圧V1の値がばらついてしまう。そのため、電源装置の出力電圧V1の電圧値を規格範囲に収めるためには、電源装置の製造過程の検査工程で行う検査で、出力電圧V1が規格範囲から外れていることが検出されたときに、抵抗器R1ないしR4の抵抗値を調整したり、抵抗器R1ないしR4のいずれかを交換したりすることが必要になり、出力電圧の調整のために余分な工数が必要になって、製造コストが高くなるという問題があった。
【0011】
なお抵抗器R1ないしR4として、抵抗値のばらつきが少ない高精度の抵抗器を用いることも考えられるが、高精度の抵抗器は非常に高価であるため、電源装置のコストの上昇を招く。
【0012】
また電源装置の出力電圧のばらつきの範囲をある広めに程度許容することも考えられるが、電源電圧により特性が変化する負荷が負荷3に含まれている場合には、負荷を制御する制御装置内で、出力電圧の値に応じて、負荷の制御項目を補正することが必要になり、面倒である。例えば、負荷がインジェクタ(エンジンに供給する燃料を噴射する燃料噴射弁)である場合には、電源電圧によってインジェクタの無効噴射時間(インジェクタ駆動回路に噴射指令信号を与えてから実際に燃料噴射が開始されるまでの遅れ時間)が変わってくる。あるインジェクタでは、駆動電圧が14.0[V]のときの無効噴射時間が1000μsecであるのに対し、駆動電圧が13.6[V]まで低下すると、無効噴射時間が1150μsecとなる。この場合、インジェクタに与える噴射指令信号の信号幅を同じにすると、電源電圧が低いときには無効噴射時間が長くなるため、実噴射時間が短くなり、エンジンに供給される燃料の量が不足してしまう。このようなことが起こらないようにするためには、インジェクタを制御する制御装置内で、電源電圧に応じて無効噴射時間を補正する処理を行う必要があり、面倒である。特に制御装置において、除算機能を持たない安価なCPUが用いられる場合には、補正処理を的確に行うことができないこともある。
【0013】
図10に示した例では、電機子電流のチョッパ制御を行って、電機子コイルに昇圧された電圧を誘起させることにより、発電機の電機子コイルの巻数を多くすることなく、負荷を駆動する電圧を得るようにした電源装置を例にとったが、抵抗器により出力電圧の設定値を定める他の形式の電源装置、例えば、レギュレータICに外付けの電圧設定用抵抗器を接続して、所定の設定値に調整された電圧を得るようにした電源装置等においても、外付けの抵抗器の抵抗値のばらつきにより出力電圧にばらつきが生じるので、上記と同様の問題が生じる。
【0014】
本発明の目的は、出力電圧の設定値を決定する抵抗器や、出力電圧の検出回路を構成する抵抗器の抵抗値の調整を行うことなく、出力電圧の電圧値を規格の範囲に収めることができるようにした電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、出力電圧の設定値を調整する際に抵抗値が調整される抵抗器を備えた出力電圧設定部と、出力電圧を設定値に保つように制御する制御部とを備えた電源装置に適用される。
【0016】
本発明においては、前記出力電圧設定部が、複数の設定値切換用スイッチを備えて、該設定値切換用スイッチのオンオフにより前記抵抗器の抵抗値を切り換えて出力電圧の設定値を切り換える設定値切換部と、出力電圧の電圧値を規格範囲に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置と、電圧変換部から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にするように設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部とを備えている。
【0017】
本発明はまた、電源部から与えられる入力電圧を負荷に与える出力電圧に変換する電圧変換部と、電圧変換部の出力電圧の電圧値の設定値を与える出力電圧設定信号を発生する出力電圧設定部と、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を零にするように電圧変換部を制御する出力電圧制御部とを備えた電源装置に適用される。
【0018】
本発明においては、出力電圧設定部に、複数の設定値切換用スイッチを備えて該設定値切換用スイッチのオンオフにより設定値を切り換える設定値切換部と、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を許容範囲内に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置と、電圧変換部から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にするように設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部とが設けられる。
【0019】
上記のように構成すると、電源装置の製造過程の検査工程においては、出力電圧の電圧値が規格範囲から外れているときに、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を許容範囲内に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を求めて、そのオンオフの状態を示す情報を記憶させる過程を行うだけでよいため、抵抗器の抵抗値の調整や、抵抗器の交換等を行う場合に比べて、調整の手間を少なくすることができ、製造コストの低減を図ることができる。出力電圧の電圧値と設定値との偏差を許容範囲内に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態は、出力電圧の実測値に応じて各設定値切換用スイッチをオンオフして、出力電圧の変化を見ることにより簡単に求めることができ、各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を求める過程は、容易に自動化することができる。
【0020】
電源装置を実際に使用する際には、設定値切換用スイッチ制御部が各設定値切換用スイッチを記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にして、出力電圧の電圧値を規格範囲に収めるように(出力電圧の電圧値と設定値との偏差を許容範囲内に収めるように)設定値を切り換えるので、出力電圧の変動範囲が規格範囲に収まった状態で負荷を駆動することができる。
【0021】
本発明の好ましい態様では、上記出力電圧設定部が、互いに直列に接続された上辺の抵抗と下辺の抵抗とを有して、定電圧電源回路から得られる一定の直流電圧を分圧して出力電圧の電圧値の設定値を与える出力電圧設定信号を発生する分圧回路と、互いに直列に接続された上辺の抵抗と下辺の抵抗とからなっていて定電圧電源回路から得られる一定の直流電圧を分圧して前記出力電圧設定信号を発生する分圧回路と、複数の設定値切換用スイッチを備えて該複数の設定値切換用スイッチのオンオフにより分圧回路の分圧比を異なる値に切り換えて設定値を切り換える設定値切換部と、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を許容範囲内に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置と、電圧変換部から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にするように設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部とにより構成される。
【0022】
本発明の好ましい態様では、上記設定値切換部に設けられる各設定値切換用スイッチが、抵抗分を有するインピーダンス素子を通して分圧回路の上辺の抵抗または下辺の抵抗に対して並列に接続される。
【0023】
本発明の他の好ましい態様では、上記設定値切換部に設けられる各設定値切換用スイッチが、分圧回路の上辺の抵抗の一部または下辺の抵抗の一部に対して並列に接続されていて、各設定値切換用スイッチのオンオフにより分圧回路の上辺の抵抗の抵抗値または下辺の抵抗の抵抗値が切り換えられる。
【0024】
上記電圧変換部は、n個(nは2以上の整数)の整流用ダイオードとn個のMOSFETとを備えて、該n個の整流用ダイオードと該n個のMOSFETとによりダイオードブリッジ全波整流回路を構成するように、n個のダイオード及びn個のMOSFETを、それぞれをブリッジの上辺及び下辺の一方及び他方に位置させてブリッジ接続した回路により構成することができる。
【0025】
この場合、出力電圧制御部は、電圧変換部から得られる出力電圧の電圧値と設定値との偏差を零にするように該偏差に応じてデューティが変化する矩形波状の駆動信号をMOSFETのゲートに同時に与えてn個のMOSFETを同時にオンオフさせるように構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、複数の設定値切換用スイッチを備えて該設定値切換用スイッチのオンオフにより設定値を切り換える設定値切換部と、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を許容範囲内に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置と、電圧変換部から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にするように設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部とを出力電圧設定部に設けたので、電源装置の製造過程の検査工程においては、出力電圧の電圧値が規格範囲から外れているときに、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を許容範囲内に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を求めて、そのオンオフの状態を示す情報を記憶装置に記憶させる過程を行うだけでよく、抵抗器の抵抗値の調整や、抵抗器の交換等を行う必要がないため、製造過程の検査工程において行う調整の手間を少なくして、製造コストの低減を図ることができる。
【0027】
また本発明によれば、電源装置を実際に使用する際には、設定値切換用スイッチ制御部が各設定値切換用スイッチを記憶された情報が示す通りの状態にして、出力電圧の電圧値を規格範囲に収めるように設定値を切り換えるので、出力電圧の変動範囲が規格範囲に収まった状態で負荷を駆動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は本発明に係わる電源装置の第1の実施形態を示したもので、同図において、1は内燃機関により駆動される磁石式交流発電機からなる電源部、2は電源部1から与えられる入力電圧を負荷3に与える出力電圧に変換する電圧変換部、4は出力電圧設定部、5は負荷3に与える出力電圧を設定値に保つように電圧変換部2を制御する出力電圧制御部、C1は電源装置の出力端に接続された平滑用コンデンサである。図1に示した電源装置の構成をブロック図で表すと図2に示すようになる。
【0029】
図10に示した従来例と同様に、電圧変換部2は、2個の整流用ダイオードD1,D2と、2個のMOSFET F1,F2とを備えて、整流用ダイオードD1,D2とMOSFETF1,F2とによりダイオードブリッジ全波整流回路を構成するように、ダイオードD1,D2及びMOSFET F1,F2をそれぞれブリッジの上辺及び下辺の一方及び他方に位置させてブリッジ接続した回路からなっている。なおDf1,Df2はそれぞれMOSFETF1,F2のドレイン・ソース間に形成された寄生ダイオードである。
【0030】
本発明においては、出力電圧設定部4が、分圧回路4Aと、設定値切換部4Bと、記憶装置4Cと、設定値切換用スイッチ制御部4Dとにより構成されている。更に詳細に説明すると、分圧回路4Aは、互いに直列に接続された上辺の抵抗R1と下辺の抵抗R2とにより構成され、その両端に、図示しない定電圧電源回路から得られる一定の直流電圧Vccが印加されている。分圧回路4Aは一定の直流電圧Vccを分圧して出力電圧の設定値を与える出力電圧設定信号vsを出力する。
【0031】
設定値切換部4Bは、複数の(図示の例では2個の)設定値切換用スイッチ4B1,4B2を備えて、該設定値切換用スイッチ4B1,4B2のオンオフにより設定値を切り換える部分で、各設定値切換用スイッチは、抵抗分を有するインピーダンス素子を通して分圧回路4Aの上辺の抵抗R1または下辺の抵抗R2に対して並列に接続される。図示の例では、設定値切換用スイッチ4B1が抵抗Raを通して分圧回路4Aの上辺の抵抗R1に対して並列に接続され、設定値切換用スイッチ4B2が、抵抗Rbを通して分圧回路の下辺の抵抗R2に対して並列接続されている。
【0032】
図示の例では、設定値切換用スイッチ4B1,4B2がMOSFETからなっていて、設定値切換スイッチ4B1を構成するMOSFETのドレインが図示しない定電圧電源回路の正極側出力端子に接続され、該MOSFETのソースは抵抗Raを通して分圧回路4Aの分圧点に接続されている。また設定値切換スイッチ4B2を構成するMOSFETのドレインが抵抗Rbを通して分圧回路4Aの分圧点に接続され、ソースは接地されている。
【0033】
設定値切換部4Bは次のように動作して出力電圧の設定値を切り換える。即ち、設定値切換用スイッチ4B1,4B2が共にオフ状態にあるときには、抵抗Ra及びRbが分圧回路4Aから切り離されているので、分圧回路4Aは上辺の抵抗R1及び下辺の抵抗R2により決まる分圧比で電圧Vccを分圧して出力電圧設定信号vsを出力する。
【0034】
これに対し、設定値切換用スイッチ4B1がオン状態にあり、設定値切換用スイッチ4B2がオフ状態にあるときには、抵抗Raが抵抗R1に対して並列に接続されるため、出力電圧設定信号vsは設定値切換用スイッチ4B1,4B2が共にオフ状態にあるときよりも大きい値に切り換えられる。また設定値切換用スイッチ4B2がオン状態にあり、設定値切換用スイッチ4B1がオフ状態にあるときには、抵抗Rbが抵抗R2に並列に接続されるため、出力電圧設定信号vsは、設定値切換用スイッチ4B1,4B2が共にオフ状態にあるときよりも小さい値に切り換えられる。
【0035】
本実施形態では、負荷3にバッテリが含まれていて、該バッテリを14.0[V]まで充電することを想定している。そのため、出力電圧V1の規格値を14.0[V]としている。この場合、設定値切換用スイッチ4B1及び4B2が共にオフ状態にあるときの出力電圧の設定値が14.0[V]となるように、抵抗R1及びR2の抵抗値を設定しておく。
【0036】
また本実施形態では、出力電圧の規格値に対して±0.1[V]の範囲を出力電圧V1の第1の規格範囲とし、出力電圧がこの第1の規格範囲内にあるときには製品が規格を満たしているとして合格の判定を行う。これに対し、出力電圧V1が第1の規格範囲から外れているが許容誤差範囲(規格値に対して±0.5Vの範囲)内にあるときには、設定値切換用スイッチ4B1または4B2のいずれかをオン状態にすることにより、出力電圧V1を0.3[V]シフトさせて出力電圧を第2の規格範囲(規格値14.0[V]を中心にして±0.2[V]の範囲)内に収め、出力電圧が許容誤差範囲を外れているときには不良品と判定することを意図している。
【0037】
即ち、設定値切換用スイッチ4B1をオン状態にし、設定値切換用スイッチ4B2をオフ状態にしたときに、これらのスイッチが共にオフ状態にある時に比べて出力電圧の設定値が0.3V大きくなり、設定値切換用スイッチ4B2をオン状態にし、設定値切換用スイッチ4B1をオフ状態にしたときに、これらのスイッチが共にオフ状態にある時に比べて出力電圧の設定値が0.3V小さくなるように、抵抗Ra及びRbの抵抗値が設定されている。
【0038】
記憶装置4Cはフラッシュメモリや、EEPROM等の書き換えが可能な不揮発性メモリからなっていて、電源装置の製造過程の最終工程で行われる製品検査の際に、出力電圧の電圧値V1を規格範囲に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する。
【0039】
設定値切換用スイッチ制御部4Dは、電源部1を運転して、実際に電圧変換部2から負荷3に電圧を供給する際に(電源装置を運転する際に)各設定値切換用スイッチ4B1,4B2の状態を、スイッチ状態記憶装置4Cに記憶された通りの状態にするように設定値切換用スイッチ4B1,4B2を制御する部分で、本実施形態では、この設定値切換用スイッチ制御部4Dが、マイクロプロセッサ4D1と、マイクロプロセッサ4D1から与えられる指令に応じて設定値切換用スイッチ4B1,4B2をそれぞれ構成するMOSFETのゲートに駆動信号(MOSFETをオン状態にするための信号)を与えるFET駆動回路4D2とからなっている。
【0040】
出力電圧制御部5は、電圧変換部2から得られる出力電圧V1が両端に印加された抵抗R3及びR4の直列回路からなる電圧検出部5Aと、MOSFET F1,F2を同時にオンオフさせるようにMOSFETF1,F2のゲートに同位相の矩形波状駆動信号Vqを与える駆動信号発生回路5Bと、電圧検出部5Aが出力する電圧検出信号v1により検出される出力電圧の電圧値V1と分圧回路4Aが出力する出力電圧設定信号vsにより与えられる設定値Vsとの偏差を零にするように該偏差に応じてMOSFET F1,F2への駆動信号Vqの供給を制御する駆動信号供給制御部5Cとからなっている。
【0041】
駆動信号供給制御部5Cは、電圧検出信号v1及び設定信号vsがそれぞれ反転入力端子及び非反転入力端子に入力された電圧比較器CMPと、比較器CMPの非反転入力端子と出力端子との間に接続されたダイオードD3及び抵抗R5とからなっている。比較器CMPは、電圧検出信号v1と設定信号vsとを比較して、電圧検出信号v1の大きさが設定信号vsの大きさを超えたときにその出力を低レベルの状態にし、電圧検出信号v1の大きさが設定信号vsの大きさ以下のときにその出力を高レベルの状態にする。
【0042】
駆動信号発生回路5Bは、比較器CMPの出力が高レベルであるときに所定のデューティ(例えば50%)を有する矩形波信号Vqを発生して、MOSFET F1,F2を同時にオンオフさせ、比較器CMPの出力が低レベルになったときに矩形波信号Vqのデューティを100%としてMOSFET F1,F2を共にオン状態に保持する。
【0043】
電圧変換部2において、MOSFET F1,F2が同時にオン状態にあるときには、電機子コイル1AがMOSFET F1,F2を通して短絡されるため、電機子コイル1Aを通して電機子電流が流れる。MOSFET F1,F2が共にオフ状態になると、それまで流れていた電機子電流が遮断されるため、電機子コイル1Aに昇圧された電圧が誘起する。従って、MOSFET F1,F2がオンオフを繰り返しているときには、これらのMOSFETがオフ状態になる毎に電機子コイル1Aにパルス状の昇圧された電圧が誘起し、この電圧がダイオードD1,D2とMOSFET F1,F2とからなる全波整流回路を通して直流電圧として負荷3に供給される。電圧変換部2から負荷3に与えられる出力電圧V1が設定値Vsを超えると、比較器CMPがその出力を低レベルにして、駆動信号発生回路5Bが発生する駆動信号のデューティを100%とするため、電機子コイル1Aは、MOSFET F1,F2を通して短絡された状態に保持され、出力電圧V1が低下する。これらの動作の繰り返しにより、負荷3に与えられる出力電圧V1の電圧値が設定値付近に保たれる。
【0044】
上記のように、MOSFET F1,F2のオンオフにより発電機の電機子電流を断続させて電機子コイルに昇圧された電圧を誘起させ、この昇圧された電圧を整流して負荷に与えるようにすると、電機子コイル1Aの巻数を少なくしても発電機の低速回転時に高い出力電圧を得ることができる。また電機子コイル1Aの巻数を少なくしてそのインピーダンスを小さくすることができるため、発電機の高速回転時に大きな負荷電流を流すことができる。
【0045】
本発明に係わる電源装置を製造する際には、その検査工程で、電源装置に検査装置6を接続して、出力電圧V1を規格範囲に収めるために設定値切換用スイッチ4B1,4B2がとるべき状態を求める過程を行い、その結果をマイクロプロセッサ4D1を通してスイッチ状態記憶装置4Cに記憶させる。
【0046】
検査装置6は電圧変換部2の出力電圧V1を検出する電圧検出部と、マイクロプロセッサ4D1との間で通信を行う手段とを備えていて、マイクロプロセッサ4D1からの指令により電圧変換部2の出力電圧V1を検出し、検出した出力電圧V1が第1の規格範囲(規格値を中心にして±0.1[V]の範囲)から外れているが、許容誤差範囲(規格値を中心にして±0.5[V]の範囲)内にあるときに、出力電圧が規格値よりも高いか低いかに応じて、設定値切換用スイッチ4B1,4B2のいずれかをオン状態にする。
【0047】
即ち、出力電圧V1が規格値よりも第1の規格範囲以上低いときには、設定値切換用スイッチ4B1をオン状態にし、出力電圧V1が規格値よりも規格範囲以上高いときには、設定値切換用スイッチ4B2をオン状態にしして、出力電圧が規格範囲に収まったか否かを確認する。その結果、出力電圧V1が規格範囲に収まったときには、そのときの各設定値切換用スイッチの状態(オン状態またはオフ状態)を記憶装置4Cに記憶させる。
【0048】
そして、電源装置を運転する際には、マイクロプロセッサ4D1が設定値切換用スイッチ4B1,4B2の状態を記憶装置4Cに記憶された通りの状態にするため、電源装置からは、規格範囲内の出力電圧V1が出力され、負荷に印加される電圧が過大になったり、不足したりするのを防ぐことができる。
【0049】
電源装置の製造過程で行われ検査工程でマイクロプロセッサ4D1が実行するプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートを図6に示した。このアルゴリズムによる場合には、先ずステップS101でHighフラグ[検出された出力電圧V1が規格値(14.0V)よりも不感帯(0.1V)以上高いことを示すフラグ]を0にクリアし、ステップS102で Lowフラグ[検出された出力電圧V1が規格値(14.0V)よりも不感帯(0.1V)以上低いことを示すフラグ]をクリアする。次いでステップS103で出力電圧V1を読み込み、ステップS104で出力電圧V1が規格値以内か(±0.1V以内か)否かを判定し、出力電圧が規格値以内の時には、ステップS105で合格の判定をして、この処理を終了する。
【0050】
ステップS104で出力電圧V1が規定電圧から外れていると判定されたときには、ステップS106に進んで、出力電圧V1が許容誤差電圧以内か(規格値に対して±0.5Vの範囲内か)否かを判定する。その結果、出力電圧が許容誤差電圧以内であると判定されたときにはステップS107に進んで、出力電圧V1の検出値が規定電圧に対して高い側にあるか否かを判定する。この判定により、出力電圧V1の検出値が規定電圧に対して高い側にあると判定されたときにはステップS108に進んでHighフラグを1にセットし、出力電圧V1の検出値が規定電圧に対して低い側にあると判定されたときにはステップS109に進んでLowフラグを1にセットする。ステップS108またはS109を実行した後、ステップS110で各フラグの状態を記憶装置4Cに書き込む。
【0051】
次いでステップS111で記憶装置4Cからフラグの状態を読み出し、ステップS112でHighフラグが1にセットされている否かを判定する。その結果、Highフラグが1にセットされている場合には、ステップS113で設定値切換スイッチ4B2(MOSFET Fb)をオン状態にして出力電圧V1を−0.3[V]シフトさせる。またステップS112でHighフラグが1にセットされていないと判定されたときには、ステップS114でLowフラグが1にセットされているか否かを判定する。その結果、Lowフラグが1にセットされている場合には、ステップS115で設定値切換スイッチ4B1(MOSFET Fa)をオン状態にして出力電圧V1を+0.3[V]シフトさせる。
【0052】
ステップS113またはS115で出力電圧を−0.3Vまたは+0.3Vシフトさせた後、ステップS116で出力電圧V1の検出値を読み込み、ステップS117で出力電圧V1が第2の規格範囲内(規格値に対して±0.2V以内)にあると判定されたときには、ステップS105に進んで合格の判定をしてこの処理を終了する。
【0053】
ステップS106で出力電圧が許容誤差範囲を超えていると判定されたとき、ステップS114でLowフラグが1にセットされていないと判定されたとき、及びステップS117で出力電圧が第2の規格範囲から外れていると判定されたときには、ステップS118に進んで、製品が不合格であるとの判定を下し、この処理を終了する。
【0054】
図7は、電源装置の運転を開始する際に、マイクロプロセッサ4D1が実行するプログラムのアルゴリズムを示したもので、このアルゴリズムによる場合には、ステップS201でHighフラグが1であるか否かを判定し、その結果Highフラグが1であると判定されたときには、ステップS202でMOSFET Fb(設定値切換用スイッチ4B2)をオン状態にしてこの処理を終了する。またステップS201でHighフラグが1でないと判定されたときには、ステップS203に移行してLowフラグが1であるか否かを判定する。その結果、Lowフラグが1であると判定されたときにはステップS204に進んでMOSFET Fa(設定値切換用スイッチ4B1)をオン状態にしてこの処理を終了する。ステップS203でLowフラグが1にセットされていないと判定されたとき(出力電圧が第1の規定範囲(規定値に対して±0.1V以内)にあるときには、何もしないでこの処理を終了する。
【0055】
上記の処理を行うことにより、出力電圧が規定値に対して±0.3〜0.5[V]の範囲にあれば、いずれかの設定値切換用スイッチ4B1,4B2のいずれかをオン状態にすることにより、出力電圧を規定値の±0.2[V]の範囲内に収めることができる。
【0056】
図8は、本発明を適用する前の電源装置の出力電圧の分布状況の一例を示したもので、同図においては、横軸に出力電圧をとり、縦軸に分布数量nをとっている。図8において符号ア,イ,…,コはそれぞれ出力電圧が13.5V,13.6V,…,14.4Vの場合を示している。図8から明らかなように、本発明を適用する前の状態では、電源装置の出力電圧が13.5Vないし14.4Vの広い範囲でばらついていた。
【0057】
これに対し、図8の分布状況を測定する試験に供したものと同じ電源装置に本発明を適用した後の出力電圧の分布は図9に示す通りであり、出力電圧V1は規定値14Vに対して、±0.2Vの範囲に収めることができた。
【0058】
上記の実施形態では、設定値切換部4Bに設けられた各設定値切換用スイッチが、固定抵抗器を通して分圧回路の上辺の抵抗または下辺の抵抗に並列接続されているが、各設定値切換用スイッチは、抵抗分を有するインピーダンス素子を通して分圧回路の上辺の抵抗または下辺の抵抗に対して並列に接続されればよく、上記の構成に限定されない。例えば図3に示すように、設定値切換用スイッチ4B1を、所定個数のダイオードDaを直列接続して構成した分圧比切換用のインピーダンス素子を通して分圧回路4Aの上辺の抵抗Raに対して並列に接続し、設定値切換用スイッチ4B2を、所定個数のダイオードDbを直列接続して構成した分圧比切換用のインピーダンス素子を通して、分圧回路4Aの下辺の抵抗Rbに対して並列に接続するようにしてもよい。図3に示した実施形態のその他の構成は図1に示した実施形態と同様である。
【0059】
また上記の実施形態では、出力電圧設定信号を発生する分圧回路の上辺の抵抗及び下辺の抵抗のそれぞれにインピーダンス素子を通して設定値切換用スイッチを並列接続するようにしたが、設定値切換部4Bは、設定値切換用スイッチのオンオフにより分圧回路の分圧比を切り換えることができるように構成されれば良く、その構成は上記の実施形態に示したものに限定されない。例えば、設定値切換部4Bに設けられる各設定値切換用スイッチが、分圧回路4Aの上辺の抵抗の一部または下辺の抵抗の一部に対して並列に接続されて、各設定値切換用スイッチのオンオフにより分圧回路の上辺の抵抗の抵抗値または下辺の抵抗の抵抗値が切り換えられるように構成されてもよい。例えば、図4に示すように、分圧回路4の下辺の抵抗を、互いに直列に接続された第1ないし第3の抵抗器R2aないしR2cにより構成して、第2の抵抗器R2bと第3の抵抗器R2cとの直列回路に対して並列に設定値切換用スイッチ4B1を接続し、第3の抵抗器R2cに対して並列に設定値切換用スイッチ4B2を並列に接続するようにしてもよい。このように構成した場合には、スイッチ4B2をオン状態にし、スイッチ4B1をオフ状態にしたときに、分圧回路から規格値に相当する設定値を与える出力電圧設定信号を出力することができ、スイッチ4B1をオン状態にしたときに設定値を例えば−0.3[V]シフトさせ、スイッチ4B1及び4B2の双方をオフ状態にしたときに設定値を例えば+0.3[V]シフトさせるようにすることができる。
【0060】
また分圧回路の上辺の抵抗及び(または)下辺の抵抗に対して、複数の設定値切換用スイッチをインピーダンス素子を通して並列に接続することにより、よりきめ細かく設定値を切り換えるようにすることもできる。例えば図5に示すように、分圧回路4Aの上辺の抵抗R1に対して並列に、設定値切換用スイッチ4B11を抵抗Ra1を通して接続すると共に、設定値切換用スイッチ4B12を抵抗Ra2を通して接続し、分圧回路4Aの下辺の抵抗R2に対して並列に、設定値切換用スイッチ4B21を抵抗Rb1を通して接続すると共に、設定値切換用スイッチ4B22を抵抗Rb2を通して接続するようにしてもよい。このように構成すると、設定値切換用スイッチ4B11,4B12,4B21及び4B22のオンオフの組合せにより、出力電圧の設定値をきめ細かく切り換えることができる。
【0061】
上記の各実施形態では、電源部から与えられる入力電圧を負荷に与える出力電圧に変換する電圧変換部と、出力電圧の電圧値の設定値を与える出力電圧設定信号を発生する出力電圧設定部と、出力電圧の電圧値と設定値との偏差を零にするように電圧変換部を制御する出力電圧制御部とを備えた電源装置に本発明を適用したが、本発明は、出力電圧の設定値を調整する際に抵抗値が調整される抵抗器を備えた出力電圧設定部と、出力電圧を設定値に保つように制御する制御部とを備えた電源装置に広く適用することができる。電源装置が如何なる構成を有している場合も、出力電圧設定部は、複数の設定値切換用スイッチを備えて、該設定値切換用スイッチのオンオフにより設定値調整用の抵抗器の抵抗値を切り換えて出力電圧の設定値を切り換える設定値切換部と、出力電圧の電圧値を規格範囲に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置と、電圧変換部から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にするように設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部とにより構成することができる。
【0062】
本発明を適用することができる他の電源装置としては、例えば3端子レギュレータに出力電圧調整用(ブースト用)の抵抗器を外付けして、レギュレータの規定電圧と異なる電圧を出力させるようにした電源装置や、スイッチングレギュレータを用いた電源装置、或いは、ダイオードとサイリスタとの混合ブリッジ回路を電圧変換部として用いてサイリスタを位相制御することにより出力電圧を設定値に保つようにした電源装置等がある。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示した回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の構成を示した回路図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の要部の構成を示した回路図である。
【図5】本発明の第4の実施形態の要部の構成を示した回路図である。
【図6】本発明の実施形態において、製品の検査工程でマイクロプロセッサが実行するプログラムのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態において、電源装置を運転する際にマイクロプロセッサが実行するプログラムのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【図8】本発明を適用する前の電源装置の出力電圧の分布を示したヒストグラムである。
【図9】本発明を適用した後の電源装置の出力電圧の分布を示したヒストグラムである。
【図10】従来の電源装置の構成例を示した回路図である。
【符号の説明】
【0064】
1 電源部
2 電圧変換部
3 負荷
4 出力電圧設定部
4A 分圧回路
4B 設定値切換部
4C 記憶装置
4D 設定値切換用スイッチ制御部
5 出力電圧制御部
6 検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧の設定値を調整する際に抵抗値が調整される抵抗器を備えた出力電圧設定部と、前記出力電圧を前記設定値に保つように制御する制御部とを備えた電源装置において、 前記出力電圧設定部は、
複数の設定値切換用スイッチを備えて、該設定値切換用スイッチのオンオフにより前記抵抗器の抵抗値を切り換えて前記出力電圧の設定値を切り換える設定値切換部と、
前記出力電圧の電圧値を規格範囲に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置と、
前記電圧変換部から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を前記記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にするように前記設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部と、
を具備してなる電源装置。
【請求項2】
電源部から与えられる入力電圧を負荷に与える出力電圧に変換する電圧変換部と、前記出力電圧の電圧値の設定値を与える出力電圧設定信号を発生する出力電圧設定部と、前記出力電圧の電圧値と前記設定値との偏差を零にするように前記電圧変換部を制御する出力電圧制御部とを備えた電源装置において、
前記出力電圧設定部は、
複数の設定値切換用スイッチを備えて、該設定値切換用スイッチのオンオフにより前記設定値を切り換える設定値切換部と、
前記出力電圧の電圧値を規格範囲に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置と、
前記電圧変換部から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を前記記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にするように前記設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部と、
を具備してなる電源装置。
【請求項3】
電源部から与えられる入力電圧を負荷に与える出力電圧に変換する電圧変換部と、互いに直列に接続された上辺の抵抗と下辺の抵抗とを有して、定電圧電源回路から得られる一定の直流電圧を分圧して前記出力電圧の電圧値の設定値を与える出力電圧設定信号を発生する分圧回路を有する出力電圧設定部と、前記出力電圧の電圧値と前記設定値との偏差を零にするように前記電圧変換部を制御する出力電圧制御部とを備えた電源装置において、
前記出力電圧設定部は、
複数の設定値切換用スイッチを備えて該複数の設定値切換用スイッチのオンオフにより前記分圧回路の分圧比を異なる値に切り換えて前記設定値を切り換える設定値切換部と、 前記出力電圧の電圧値を規格範囲内に収めるために各設定値切換用スイッチがとるべきオンオフの状態を示す情報を記憶する記憶装置と、
前記電圧変換部から負荷に電圧を供給する際に各設定値切換用スイッチの状態を前記記憶装置に記憶された情報が示す通りの状態にするように前記設定値切換用スイッチを制御する設定値切換用スイッチ制御部と、
を具備してなる電源装置。
【請求項4】
前記設定値切換部に設けられた各設定値切換用スイッチは、抵抗分を有するインピーダンス素子を通して前記分圧回路の上辺の抵抗または下辺の抵抗に対して並列に接続されている請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記設定値切換部に設けられた各設定値切換用スイッチは、前記分圧回路の上辺の抵抗の一部または下辺の抵抗の一部に対して並列に接続されていて、各設定値切換用スイッチのオンオフにより前記分圧回路の上辺の抵抗の抵抗値または下辺の抵抗の抵抗値が切り換えられるように構成されている請求項3に記載の電源装置。
【請求項6】
前記電圧変換部は、n個(nは2以上の整数)の整流用ダイオードとn個のMOSFETとを備えて、該n個の整流用ダイオードと該n個のMOSFETとにより全波整流回路を構成するように、前記n個のダイオード及びn個のMOSFETを、それぞれをブリッジの上辺及び下辺の一方及び他方に位置させてブリッジ接続した回路からなり、
前記出力電圧制御部は、前記電圧変換部から得られる出力電圧の電圧値と前記設定値との偏差を零にするように該偏差に応じてデューティが変化する矩形波状の駆動信号を前記MOSFETのゲートに同時に与えて前記n個のMOSFETを同時にオンオフさせるように構成されている請求項2,3,4または5に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−282404(P2007−282404A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106679(P2006−106679)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】