説明

電源装置

【課題】小型化及びノイズ低減がしやすい電源装置を提供すること。
【解決手段】一次コイル及び二次コイルを備えたトランス2と、トランス2の二次コイル側に接続された整流回路を構成する半導体素子3と、出力電圧を平滑化する平滑回路を構成する少なくとも一つの平滑部品(チョークコイル41)と、これらの部品を搭載するベースプレート5とを備えた電源装置1。トランス及び平滑部品の少なくとも一つの部品(チョークコイル41)は、半導体素子3に対してベースプレート5の搭載面51の法線方向に積層配置された積層配置部品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC−DCコンバータやこれを搭載した充電装置等の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータやこれを搭載した充電装置等の電源装置には、直流電力を昇圧又は降圧するためのトランスと、トランスの出力を整流する整流回路と、整流回路の出力電力を平滑化する平滑回路とが配線されている。そして、整流回路はダイオード等の半導体素子によって構成され、平滑回路はチョークコイルとコンデンサとによって構成されている。
これらの部品は、金属製のベースプレートに搭載されている。そして、これら複数の部品は、ベースプレートの搭載面に、その面に沿って二次元的に広がるように搭載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−14149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように、半導体素子、チョークコイル、コンデンサ、トランス等、電源装置の構成部品が、ベースプレートの搭載面に二次元的に広がるように配置されていると、ベースプレートの搭載面の面積を大きく確保する必要が生じる。その結果、電源装置の小型化が困難となるおそれがある。
また、上記構成部品が二次元的に広がるようにベースプレート上に配置されると、構成部品間の配線距離が長くなる。そのため、電源装置内において、配線インダクタンスが生じやすくなり、ノイズが発生しやすくなる。これを防ぐためにノイズ対策部品を搭載する必要が生じ、或いは大きなノイズ対策部品を搭載する必要が生じる。その結果、電源装置の小型化が困難となると共に、コスト低減も困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、小型化及びノイズ低減がしやすい電源装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、一次コイル及び二次コイルを備えたトランスと、
該トランスの上記二次コイル側に接続された整流回路を構成する半導体素子と、
出力電圧を平滑化する平滑回路を構成する少なくとも一つの平滑部品と、
これらの部品を搭載するベースプレートとを備えた電源装置であって、
上記トランス及び上記平滑部品の少なくとも一つの部品は、上記半導体素子に対して上記ベースプレートの搭載面の法線方向に積層配置された積層配置部品であることを特徴とする電源装置にある(請求項1)。
【0007】
第2の発明は、一次コイル及び二次コイルを備えたトランスと、
該トランスの上記二次コイル側に接続された整流回路を構成する半導体素子と、
出力電圧を平滑化する平滑回路を構成する平滑部品と、
これらの部品を搭載するベースプレートと、
出力電力のノイズを抑制するためのノイズフィルタとを備えた電源装置であって、
上記ノイズフィルタは、上記半導体素子に対して上記ベースプレートの搭載面の法線方向に積層配置された積層配置部品であることを特徴とする電源装置にある(請求項8)。
【発明の効果】
【0008】
上記第1の発明にかかる電源装置においては、上記トランス及び上記平滑部品の少なくとも一つの部品が、上記半導体素子に対して上記ベースプレートの搭載面の法線方向に積層配置されている。そのため、この積層配置部品と半導体素子とが搭載面の広がり方向に配置される場合に比べ、両部品の搭載面積を大幅に小さくすることができる。その結果、ベースプレートにおける搭載面の面積を小さくすることができ、電源装置を小型化しやすくなる。
【0009】
また、上記半導体素子と上記積層配置部品とを積層することにより、両部品間の距離を短くすることができ、両部品間の配線距離を短くすることができる。そのため、インダクタンスを低減することができ、電源装置におけるノイズの発生を低減することができる。これによって、ノイズ対策部品を削減したり、小型化したりすることが可能となり、電源装置の小型化、コスト低減を図ることができる。
【0010】
また、上記半導体素子は比較的その厚みを薄くしやすい部品であるため、半導体素子を薄型化して、その厚み方向に上記積層配置部品を積層した構成とすることも容易である。このようにすることにより、搭載面の法線方向にも電源装置が特に大型化することもなく、省スペース化を実現しやすい。
【0011】
第2の発明にかかる電源装置においては、上記ノイズフィルタが、上記半導体素子に対して上記ベースプレートの搭載面の法線方向に積層配置されている。そのため、この積層配置部品であるノイズフィルタと半導体素子とが搭載面の広がり方向に配置される場合に比べ、両部品の搭載面積を大幅に小さくすることができる。その結果、ベースプレートにおける搭載面の面積を小さくすることができ、電源装置を小型化しやすくなる。
【0012】
また、上記のように半導体素子に積層するようにノイズフィルタを配置することで、ノイズフィルタを搭載するためにベースプレートの搭載面の面積を広げる必要がない。それゆえ、電源装置の大型化を招くことなく、ノイズフィルタによってノイズ低減を図ることができる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、小型化及びノイズ低減がしやすい電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、電源装置の部分平面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】実施例1における、押圧板及びチョークコイルを取り付ける前の状態の電源装置の部分平面図。
【図4】実施例1における、チョークコイルを取り付ける前の状態の電源装置の部分平面図。
【図5】実施例1における、押圧板の斜視図。
【図6】実施例1における、電源装置の回路図。
【図7】実施例2における、押圧板及びチョークコイルを取り付ける前の状態の電源装置の部分平面図。
【図8】実施例3における、電源装置の部分平面図。
【図9】実施例4における、電源装置の部分平面図。
【図10】実施例5における、電源装置の断面図。
【図11】実施例6における、電源装置の断面図。
【図12】実施例7における、電源装置の断面図。
【図13】実施例8における、電源装置の断面図。
【図14】実施例9における、電源装置の回路図。
【図15】実施例9における、電源装置の部分平面図。
【図16】実施例10における、電源装置の部分平面図。
【図17】実施例10における、電源装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記電源装置としては、例えば、DC−DCコンバータ、充電装置、コンバータとインバータとが一体化された電力変換装置等がある。
上記積層配置部品は、必ずしも1個である必要はなく、2個以上であってもよい。また、上記半導体素子に対して、上記積層配置部品が2個並列的に積層されていてもよいし、直列的に積層されていてもよい。2個の積層配置部品が直列的に積層された場合には、半導体素子を含めて3個が積層された構成となる。具体的には、例えば、半導体素子におけるベースプレートと反対側の面に、トランスと平滑部品との双方が並んで搭載された状態とすることもでき、また、半導体素子におけるベースプレートと反対側の面に、トランスを搭載し、さらにトランスにおける半導体素子と反対側の面に平滑部品を搭載することもできる。
【0016】
また、上記ベースプレートは金属からなり、上記半導体素子は上記ベースプレートに接触配置され、上記半導体素子における上記ベースプレートと反対側の面に上記積層配置部品が搭載されていることが好ましい(請求項2、請求項9)。この場合には、発熱量が大きい半導体素子を効果的に放熱することができる。そして、これにより、上記積層配置部品への上記半導体素子の熱の影響を抑制することができる。
【0017】
また、上記半導体素子と上記積層配置部品との間には、上記半導体素子を上記ベースプレート側に押圧する金属製の押圧板が配設されており、該押圧板は、上記搭載面の広がり方向における上記半導体素子の外側において、上記ベースプレートに固定されていることが好ましい(請求項3、請求項10)。この場合には、半導体素子におけるベースプレートと反対側の面からも、上記押圧板を通じてベースプレートへ半導体素子の熱を放熱することができる。その結果、上記積層配置部品への上記半導体素子の熱の影響を、一層抑制することができる。また、上記押圧板によって、上記半導体素子をベースプレートに保持しやすくなる。さらには、上記押圧板における半導体素子側と反対側の面に上記積層配置部品を載置することも可能となり、その搭載性を向上させることができる。
【0018】
また、上記ベースプレートの上記搭載面には、該搭載面に平行な方向の上記半導体素子の位置決めを行うための位置決め部が形成されていることが好ましい(請求項4、請求項11)。この場合には、ベースプレートの搭載面における所定の位置に、半導体素子を正確に配置することができる。また、上記押圧板と上記位置決め部との組み合わせによって、搭載面と平行な方向にも、搭載面の法線方向にも、半導体素子を位置決め固定することができる。これにより、半導体素子の配置後においても、半導体素子がずれるなどの不具合を防止することができる。
【0019】
また、上記半導体素子は、上記ベースプレートに固定されていてもよい(請求項5、請求項12)。この場合には、上記半導体素子を上記ベースプレートに確実に保持することができる。また、上記押圧板による押圧を行わなくても、半導体素子をベースプレートに保持させることができるため、半導体素子と上記積層配置部品との間の隙間を小さくすることができる。その結果、上記電源装置の寸法が、上記ベースプレートの載置面の法線方向に大きくなることを抑制することができる。
【0020】
また、上記平滑部品の少なくとも一つはチョークコイルからなり、該チョークコイルは上記積層配置部品であることが好ましい(請求項6)。この場合には、半導体素子とチョークコイルとが積層配置されることとなり、両者間の配線距離を短くすることができる。その結果、インダクタンスを低減することができ、ノイズの発生を抑制することができる。また、これにより、ノイズ対策部品を削減したり小型化したりすることも可能となり、電源装置の小型化を容易にすることもできる。
なお、上記平滑部品としては、上記チョークコイルの他にも、例えば平滑コンデンサもあり、該平滑コンデンサを上記積層配置部品としてもよい。
【0021】
また、上記トランスが、上記積層配置部品であってもよい(請求項7)。この場合には、半導体素子とトランスとが積層配置されることとなり、両者間の配線距離を短くすることができる。その結果、インダクタンスを低減することができ、ノイズの発生を抑制することができる。また、これにより、ノイズ対策部品を削減したり小型化したりすることも可能となり、電源装置の小型化を容易にすることもできる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電源装置につき、図1〜図6を用いて説明する。
本例の電源装置1は、図1、図2に示すごとく、一次コイル及び二次コイルを備えたトランス2と、トランス2の二次コイル側に接続された整流回路を構成する半導体素子3と、出力電圧を平滑化する平滑回路を構成する平滑部品であるチョークコイル41及び平滑コンデンサ42と、これらの部品を搭載するベースプレート5とを備えている。
【0023】
そして、チョークコイル41が、半導体素子3に対してベースプレート5の搭載面51の法線方向に積層配置されている。本明細書においては、半導体素子3に対してベースプレート5の搭載面51の法線方向に積層配置されている部品を、「積層配置部品」といい、本例では、チョークコイル41が積層配置部品である。
【0024】
ベースプレート5は金属からなる。半導体素子3はベースプレート5に接触配置されている。半導体素子3におけるベースプレート5と反対側の面に積層配置部品であるチョークコイル41が搭載されている。
ベースプレート5は、基本形状として平板形状を有し、その一方の面に搭載面51を形成している。この搭載面51側を便宜的に上側とし、その反対側を下側として、電源装置1の構成の説明を行う。ただし、実際には、搭載面51が上方を向いた状態で用いられるとは限らず、搭載面51が下方を向いたり、水平方向を向いたりして用いられることもある。
【0025】
半導体素子3は、ベースプレート5の搭載面51において平坦面として形成された素子搭載部511に搭載されている。搭載面51には、図3に示すごとく、搭載面51に平行な方向の半導体素子3の位置決めを行うための位置決め部512が形成されている。つまり、半導体素子3は、上面から見た形状において、略長方形状を有するが、その長方形の一対の対向辺に、内側へ窪んだ窪み部31を有する。この窪み部31に嵌合する形状の位置決め部512が、素子搭載部511に隣接して一対形成されている。
【0026】
また、ベースプレート5は、素子搭載部511を挟んで対向する位置に、搭載面51から上方へ突出した支承凸部52を有する。位置決め部512は、一対の支承凸部52の対向面から内側へ向かって形成されている。位置決め部512は、搭載面51から上方へ隆起しているが、その高さは支承凸部52よりも低い。
支承凸部52は、その上面に平坦面を形成してなり、そこからその法線方向へ向かってネジ穴521を設けてなる。
【0027】
図2に示すごとく、半導体素子3とチョークコイル41との間には、半導体素子3をベースプレート5側に押圧する金属製の押圧板11が配設されている。押圧板11は、図2、図4に示すごとく、搭載面51の広がり方向における半導体素子3の外側において、ベースプレート5に固定されている。具体的には、押圧板11は、その両端部113を上記支承凸部52の上面に載置すると共に、両端部113に設けたビス孔114に挿通したビス115にて支承凸部52に固定されている。
【0028】
図5に示すごとく、押圧板11は、平板状の金属板の一部を切り曲げして形成してなる。これにより、上記両端部113を含む平板状の基板部111と、そこから下方へ屈曲した一対のバネ部112とを有する。バネ部112は、弾性変形可能に構成され、図2に示すごとく、押圧板11が支承凸部52に固定された状態において、半導体素子3の上面に当接し、該半導体素子3をベースプレート5側に押圧するように付勢されている。
また、図5に示すごとく、押圧板11の基板部111は、一対のビス孔114の並び方向に直交する方向の両端の辺部に、上方へ立設した一対のリブ116を、ビス孔114の並び方向に沿って設けてなる。
【0029】
図2に示すごとく、押圧板11の基板部111の上面には、チョークコイル41が搭載されている。チョークコイル41は、磁性体からなる一対のコア412が、コイル部411を上下から挟むように配設されてなる。コア412は、一対のリブ116の内側において押圧板11の基板部111に接触した状態で搭載されている。また、押圧板11の両端部113は、コア412から外方へ突出している。
【0030】
そして、上側のコア412の上面を一対の押さえ部材12によって下方へ押さえるようにして、チョークコイル41がベースプレート5に固定されている。押さえ部材12は、断面クランク形状の金属部材からなり、ビス121によってベースプレート5に締結されている。
【0031】
本例の電源装置1は、図6に示すごとく、一対の入力端子101に一次コイル側が接続されたトランス2と、トランス2の二次コイル側に接続された整流回路30と、該整流回路30と一対の出力端子102との間に配設された平滑回路40とを備える。
整流回路30は、トランス2の二次コイルの2つの端子にそれぞれアノードが接続されたダイオード(半導体素子3)からなる。この一対のダイオードが樹脂モールドされて一体化したものが、図3に示す半導体素子3となっている。また、平滑回路40は、整流回路30における一対のダイオード(半導体素子3)のカソードに一端が接続されたチョークコイル41と、一対の出力端子102の間に接続された平滑コンデンサ42とからなる。
【0032】
また、図1に示すごとく、出力端子102を構成する出力バスバー14には、出力電力のノイズを抑制するためのノイズフィルタ6が取り付けられている。
ノイズフィルタ6は、ベースプレート5の搭載面51に搭載されている。そして、ベースプレート5に締結された押さえ部材62がノイズフィルタ6の上面をベースプレート5側へ押さえることにより、ノイズフィルタ6がベースプレート5に固定されている。
また、トランス2も、ベースプレート5の搭載面51に搭載されている。そして、同じく、ベースプレート5に締結された押さえ部材22がトランス2の上面をベースプレート5側へ押さえるようにして、トランス2がベースプレート5に固定されている。
【0033】
ノイズフィルタ6及びトランス2は、半導体素子3及びチョークコイル41に対して、ベースプレート5の搭載面51の広がり方向に隣接して配置されている。
また、平滑コンデンサ42は、ベースプレート5に対して、プリント基板13を介して接続されている。すなわち、ベースプレート5における搭載面51側にプリント基板13が固定され、該プリント基板13の上面に平滑コンデンサ42が実装されている。この平滑コンデンサ42は、チョークコイル41に対して、ベースプレート5の搭載面51の広がり方向に隣接して配置されている。
【0034】
また、ノイズフィルタ6及びトランス2は、半導体素子3及びチョークコイル41を挟んで互いに反対側に配置されている。
ノイズフィルタ6は、磁性体からなり、出力バスバー14の周囲に配置されている。つまり、出力バスバー14がノイズフィルタ6を貫通するように配置されている。
トランス2は、磁性体からなる一対のコア23が、一次コイル及び二次コイルを上下から挟むように配設されてなる。
【0035】
次に、本例の作用効果につき説明する。
本例の電源装置1においては、チョークコイル41が、半導体素子3に対してベースプレート5の搭載面51の法線方向に積層配置されている。そのため、チョークコイル41と半導体素子3とが搭載面51の広がり方向に配置される場合に比べ、両部品の搭載面積を大幅に小さくすることができる。その結果、ベースプレート5における搭載面51の面積を小さくすることができ、電源装置1を小型化しやすくなる。
【0036】
また、半導体素子3とチョークコイル41とを積層することにより、両部品間の距離を短くすることができ、両部品間の配線距離を短くすることができる。そのため、インダクタンスを低減することができ、電源装置1におけるノイズの発生を低減することができる。これによって、ノイズ対策部品を削減したり、小型化したりすることが可能となり、電源装置1の小型化、コスト低減を図ることができる。
【0037】
また、半導体素子3は比較的その厚みを薄くしやすい部品であるため、半導体素子3を薄型化して、その厚み方向にチョークコイル41を積層した構成とすることも容易である。このようにすることにより、搭載面51の法線方向にも電源装置1が特に大型化することもなく、省スペース化を実現しやすい。
【0038】
また、半導体素子3は金属からなるベースプレート5に接触配置され、半導体素子3の上面にチョークコイル41が搭載されている。この配置により、発熱量が大きい半導体素子3を効果的に放熱することができる。そして、これにより、チョークコイル41への半導体素子3の熱の影響を抑制することができる。
【0039】
また、半導体素子3とチョークコイル41との間には金属製の押圧板11が配設され、押圧板11は、搭載面51の広がり方向における半導体素子3の外側において、ベースプレート5に固定されている。これにより、半導体素子3の上面からも、押圧板11を通じてベースプレート5へ半導体素子3の熱を放熱することができる。その結果、チョークコイル41への半導体素子3の熱の影響を、一層抑制することができる。また、押圧板11によって、半導体素子3をベースプレート5に保持しやすくなる。
さらには、押圧板11の上面にチョークコイル41を載置することができるため、その搭載性を向上させることができる。
【0040】
また、ベースプレート5の搭載面51には、位置決め部512が形成されている。そのため、搭載面51における所定の位置に、半導体素子3を正確に配置することができる。また、押圧板11と位置決め部512との組み合わせによって、搭載面51と平行な方向にも、搭載面51の法線方向にも、半導体素子3を位置決め固定することができる。これにより、半導体素子3の配置後においても、半導体素子3がずれるなどの不具合を防止することができる。
【0041】
以上のごとく、本例によれば、小型化及びノイズ低減がしやすい電源装置を提供することができる。
【0042】
(実施例2)
本例は、図7に示すごとく、ベースプレート5の搭載面51に設けた位置決め部512の形状を変更した例である。
本例においては、位置決め部512を、支承凸部52の両端から素子載置部511側へ向かうように形成してある。位置決め部512は、2つの支承凸部52から2個ずつ延びるように形成されている。
【0043】
これにより、位置決め部512は、素子載置部511に配置した半導体素子3をその4つ角において保持し、搭載面51の広がり方向に半導体素子3を位置決めしている。
また、本例においては、半導体素子3は、実施例1において示した窪み部31(図3参照)を有していない。
その他は、実施例1と同様である。
【0044】
本例の場合には、上記のごとく、平面視において長方形状の半導体素子3をその4つ角において保持することができるため、窪み部31を設ける必要がない。それゆえ、樹脂によってモジュール化した半導体素子3の部品のうち、素子部分として有効に利用できる体積割合を増やすことができる。その結果、半導体素子3の小型化を容易にすることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0045】
(実施例3)
本例は、図8に示すごとく、積層配置部品としてトランス2を半導体素子3に積層した電源装置1の例である。
すなわち、ベースプレート5の搭載面51に配置された半導体素子3の上面に、押圧板11を介して、トランス2が積層されている。
【0046】
チョークコイル41は、半導体素子3と積層されることなく、ベースプレート5の搭載面51に搭載されている。チョークコイル41は、半導体素子3及びトランス2に対して、ベースプレート5の搭載面51の広がり方向に隣接して配置されている。また、ノイズフィルタ6は、チョークコイル41を挟んで半導体素子3及びトランス2と反対側に配置されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0047】
本例の場合には、半導体素子3とトランス2との間の配線距離を短くすることができる。その結果、インダクタンスを低減することができ、ノイズの発生を抑制することができる。また、これにより、ノイズ対策部品を削減したり小型化したりすることも可能となり、電源装置1の小型化を容易にすることもできる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0048】
(実施例4)
本例は、図9に示すごとく、積層配置部品としてノイズフィルタ6を半導体素子3に積層した電源装置1の例である。
すなわち、ベースプレート5の搭載面51に配置された半導体素子3の上面に、押圧板11を介して、ノイズフィルタ6が積層されている。
【0049】
チョークコイル41は、半導体素子3と積層されることなく、ベースプレート5の搭載面51に搭載されている。チョークコイル41は、半導体素子3及びノイズフィルタ6に対して、ベースプレート5の搭載面51の広がり方向に隣接して配置されている。また、トランス2は、半導体素子3及びノイズフィルタ6を挟んでチョークコイル41と反対側に配置されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0050】
本例の電源装置1においては、ノイズフィルタ6が、半導体素子3に対してベースプレート5の搭載面51の法線方向に積層配置されている。そのため、両部品の搭載面積を大幅に小さくすることができ、ベースプレート5における搭載面51の面積を小さくすることができ、ひいては電源装置1を小型化しやすくなる。
【0051】
また、上記のように半導体素子3に積層するようにノイズフィルタ6を配置することで、ノイズフィルタ6を搭載するためにベースプレート5の搭載面51の面積を広げる必要がない。それゆえ、電源装置1の大型化を招くことなく、ノイズフィルタ6によってノイズ低減を図ることができる。
【0052】
それゆえ、本例によっても、小型化及びノイズ低減がしやすい電源装置を提供することができる。
【0053】
(実施例5)
本例は、図10に示すごとく、半導体素子3がベースプレート5に固定されている電源装置1の例である。
本例の電源装置1においては、半導体素子3を、接着剤161によって、ベースプレート5に接着してある。すなわち、ベースプレート5の搭載面51における素子搭載部511に対して、接着剤161を介して半導体素子3の下面を接着している。これにより、半導体素子3をベースプレート5に固定している。
【0054】
また、実施例1において示したようなバネ部112を備えた押圧板11(図2参照)は特に必要ない。すなわち、本例においては、チョークコイル41を搭載する搭載板15がベースプレート5に固定されているが、この搭載板15はバネ部を有しない。
搭載板15は、ベースプレート5の支承凸部52に、ビス115によって固定され、素子搭載部511に固定された半導体素子3の上方に配置されている。そして、この搭載板15の上面にチョークコイル41が搭載されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0055】
本例の場合には、半導体素子3をベースプレート5に確実に保持することができる。また、押圧板による押圧を行わなくても、半導体素子3をベースプレート5に保持させることができるため、半導体素子3と積層配置部品であるチョークコイル41との間の隙間を小さくすることができる。その結果、電源装置1の寸法が、ベースプレート5の載置面51の法線方向(上下方向)に大きくなることを抑制することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0056】
(実施例6)
本例は、図11に示すごとく、半導体素子3が、ネジ162によってベースプレート5に固定されている電源装置1の例である。
すなわち、半導体素子3における複数個所に、ネジ162を挿通する挿通孔を設けると共に、ネジ162を、この挿通穴に挿通すると共にベースプレート5に設けたネジ穴に螺合することにより、半導体素子3をベースプレート5に固定している。
【0057】
また、半導体素子3は、挿通孔の周囲に他の部位よりも上面の高さが低い段部32を設けてある。この段部32にネジ162の頭部が配置される。そして、この段部32の高さ(段差)はネジ162の頭部よりも高くなるように形成されている。これによって、ネジ162の頭部が半導体素子3の上面よりも高くなることを防ぎ、電源装置1の上下方向の寸法を小さくしやすくしている。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合には、実施例5において示した接着剤161は不要である。
その他、実施例5と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
(実施例7)
本例は、図12に示すごとく、チョークコイル41を直接ベースプレート5に搭載した電源装置1の例である。
すなわち、本例の電源装置1は、実施例1において示した押圧板11や、実施例5、6において示した搭載板15を有していない。
チョークコイル41は、ベースプレート5における一対の支承凸部52に下面を載置するように、ベースプレート5に搭載されている。
また、半導体素子3は、接着剤161によってベースプレート5に接着されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0059】
本例の場合には、実施例1において示した押圧板11や、実施例5、6において示した搭載板15を用いないため、部品点数を低減することができる。
その他、実施例5と同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
(実施例8)
本例は、図13に示すごとく、チョークコイル41を半導体素子3の上面に接触配置した電源装置1の例である。すなわち、チョークコイル41を、ベースプレート5における一対の支承凸部52の間に配置すると共に、その下面を半導体素子3の上面に直接載置してある。
なお、本例においても、半導体素子3は、接着剤161によってベースプレート5に接着されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0061】
本例の場合にも、実施例1において示した押圧板11や、実施例5、6において示した搭載板15を用いないため、部品点数を低減することができる。
また、半導体素子3とチョークコイル41との間の隙間をなくすことができるため、電源装置1の上下方向の寸法をより小さくすることができる。
その他、実施例5と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
(実施例9)
本例は、図14、図15に示すごとく、ノイズ除去用の2個のコンデンサ33と、温度検出用のサーミスタ34とを内蔵した半導体素子3を有する電源装置1の例である。
すなわち、本例において、半導体素子3は、2個のダイオード35に加え、上記2個のコンデンサ33と上記サーミスタ34とを、樹脂モールドして一体化したものである。
コンデンサ33は、一対のダイオード35におけるアノードとグランド(アース)との間に配線されている。また、サーミスタ34は、電気的には他の回路と独立している。
【0063】
半導体素子3は、複数の端子3a、3b、3c、3d、3e、3fを備えている。図14に示すごとく、端子3a、3bは、それぞれダイオード35のアノードから引き出された端子であり、トランス2の二次コイル側に接続されている。また、端子3cは、ダイオード35のカソードから引き出されており、チョークコイル41の一方の端子に接続されている。端子3dは、アース端子であり、図15に示すごとく、電源装置1のベースプレート5に接続されている。そして、端子3dは、トランス2の二次コイル側の一つの端子と、平滑コンデンサ42の一方の端子とに接続されている。端子3e、3fは、サーミスタ34の一対の端子であり、図15に示すごとく、プリント基板13に接続されている。
【0064】
また、平滑コンデンサ42における高電位側の端子と高電位側の出力端子102との間には、ノイズフィルタ6が接続されており、ノイズフィルタ6と高電位側の出力端子102との間の部分と、低電位側の出力端子102との間には、コンデンサ43が接続されている。
【0065】
図15に示すごとく、チョークコイル41のコイル部411の一端から引き出された出力バスバー14には、実施例1と同様にノイズフィルタ6が取り付けられている。この出力バスバー14は、コイル部411からノイズフィルタ6までの間の部分において、上記端子3dの上方に配されている。すなわち、出力バスバー14と端子3dとは、ベースプレート5の搭載面51の法線方向において、互いの間に空隙を設けた状態で、重なり合っている。
【0066】
出力バスバー14は、ノイズフィルタ6に対してチョークコイル41と反対側において分岐しており、その一方は出力端子102を構成している。そして、他方は、プリント配線板13上のコンデンサ43に接続されている。
また、半導体素子3の端子3e、3fは、プリント配線板13の一部に接続されている。端子3e、3fは、半導体素子3からノイズフィルタ6側へ向かって引き出されている。そこで、プリント配線板13は、その一部を、ベースプレート5の搭載面51の法線方向から見た状態において、チョークコイル41及び半導体素子3とノイズフィルタ6との間に向かって突出した半島部131を備えている。この半島部131において、半導体素子3の端子3e、3fがプリント配線板13に接続されている。
その他は、実施例5と同様である。
【0067】
本例の場合には、出力バスバー14と端子3dとが、ベースプレート5の搭載面51の法線方向において、互いの間に空隙を設けた状態で、重なり合っている。これにより、ベースプレート5の搭載面51の広がり方向に、各配線部材を配置するためのスペースが拡大することを防ぐことができる。特に、チョークコイル41及び半導体素子3とノイズフィルタ6との間の領域には、多くの配線部材が存在するため、この部分をいわゆる立体交差を利用して構成することにより、効果的に省スペース化を図ることができる。
その他、実施例5と同様の作用効果を有する。
【0068】
(実施例10)
本例は、図16、図17に示すごとく、半導体素子3の端子3e、3fの引き出し方向を、ベースプレート5の搭載面51の法線方向に直交する方向であって、チョークコイル41及び半導体素子3とノイズフィルタ6との並び方向に直交する方向としている。
これを実現するためには、ベースプレート5の一対の支承凸部52のうち、プリント基板13に近い側の支承凸部52を、一部切り欠く必要がある。つまり、図17に示すごとく、上記一方の支承凸部52は、その一部に、他の部位よりも上下方向の高さを低くした切欠部522を有する。
半導体素子3の端子3e、3fは、上記切欠部522を通過し、その先端部をプリント基板13に接続している。
その他は、実施例9と同様である。
【0069】
本例の場合には、実施例9のようにプリント基板13に半島部131(図15参照)を設ける必要がない。それゆえ、より生産性に優れた電源装置1を得ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0070】
1 電源装置
2 トランス
3 半導体素子
41 チョークコイル
42 平滑コンデンサ
5 ベースプレート
51 搭載面
6 ノイズフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次コイル及び二次コイルを備えたトランスと、
該トランスの上記二次コイル側に接続された整流回路を構成する半導体素子と、
出力電圧を平滑化する平滑回路を構成する少なくとも一つの平滑部品と、
これらの部品を搭載するベースプレートとを備えた電源装置であって、
上記トランス及び上記平滑部品の少なくとも一つの部品は、上記半導体素子に対して上記ベースプレートの搭載面の法線方向に積層配置された積層配置部品であることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、上記ベースプレートは金属からなり、上記半導体素子は上記ベースプレートに接触配置され、上記半導体素子における上記ベースプレートと反対側の面に上記積層配置部品が搭載されていることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置において、上記半導体素子と上記積層配置部品との間には、上記半導体素子を上記ベースプレート側に押圧する金属製の押圧板が配設されており、該押圧板は、上記搭載面の広がり方向における上記半導体素子の外側において、上記ベースプレートに固定されていることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置において、上記ベースプレートの上記搭載面には、該搭載面に平行な方向の上記半導体素子の位置決めを行うための位置決め部が形成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の電源装置において、上記半導体素子は、上記ベースプレートに固定されていることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電源装置において、上記平滑部品の少なくとも一つはチョークコイルからなり、該チョークコイルは上記積層配置部品であることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電源装置において、上記トランスは、上記積層配置部品であることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
一次コイル及び二次コイルを備えたトランスと、
該トランスの上記二次コイル側に接続された整流回路を構成する半導体素子と、
出力電圧を平滑化する平滑回路を構成する平滑部品と、
これらの部品を搭載するベースプレートと、
出力電力のノイズを抑制するためのノイズフィルタとを備えた電源装置であって、
上記ノイズフィルタは、上記半導体素子に対して上記ベースプレートの搭載面の法線方向に積層配置された積層配置部品であることを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電源装置において、上記ベースプレートは金属からなり、上記半導体素子は上記ベースプレートに接触配置され、上記半導体素子における上記ベースプレートと反対側の面に上記積層配置部品が搭載されていることを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電源装置において、上記半導体素子と上記積層配置部品との間には、上記半導体素子を上記ベースプレート側に押圧する金属製の押圧板が配設されており、該押圧板は、上記搭載面の広がり方向における上記半導体素子の外側において、上記ベースプレートに固定されていることを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電源装置において、上記ベースプレートの上記搭載面には、該搭載面に平行な方向の上記半導体素子の位置決めを行うための位置決め部が形成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項12】
請求項8又は9に記載の電源装置において、上記半導体素子は、上記ベースプレートに固定されていることを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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