電磁ブレーキ装置
【課題】電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキを提供する。
【解決手段】制動ばね5で制動片3に制動腕4などを介して押圧力を与えて、ブレーキドラム1を押圧し制動力を付加し、電磁コイル9と継鉄10とからなる電磁石8で可動鉄片11を電磁吸引して制動片3を駆動し、制動力を解除するように構成され、可動体としての少なくとも可動鉄片11又は連動手段又は制動片のいずれかの作動位置を、位置検知器41gと被検知体41cとからなる位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキ装置において、前記位置検知器41gを1個のON及びOFFの2出力の切替スイッチ41aで構成し、前記被検知体を一つの凹部41e及び一つの凸部41fとで構成した。
【解決手段】制動ばね5で制動片3に制動腕4などを介して押圧力を与えて、ブレーキドラム1を押圧し制動力を付加し、電磁コイル9と継鉄10とからなる電磁石8で可動鉄片11を電磁吸引して制動片3を駆動し、制動力を解除するように構成され、可動体としての少なくとも可動鉄片11又は連動手段又は制動片のいずれかの作動位置を、位置検知器41gと被検知体41cとからなる位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキ装置において、前記位置検知器41gを1個のON及びOFFの2出力の切替スイッチ41aで構成し、前記被検知体を一つの凹部41e及び一つの凸部41fとで構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動ばねで制動片を押圧して制動付加し、電磁石で制動解除する電磁ブレーキ装置に関し、特に制動付加及び制動解除機構の可動体の作動位置の検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の位置を検知する方法として、位置を連続的に検出するもの(例えば、特許文献1参照)、ブレーキライニングの磨耗量を電磁石の可動鉄心の変位で検出するもの(例えば、特許文献2参照)、距離に見合った電圧を出力する連続検出の変位検出器を用いて、可動鉄心の変位を検出するもの(例えば、特許文献3参照)、可動鉄心の変位をレーザー変位検出器で連続検出する(例えば、特許文献4参照)、可動鉄心の変位を差動トランスで連続検出する(例えば、特許文献5参照)、ブレーキライニングの磨耗量を電磁石の可動鉄心の変位で検出するもの(例えば、特許文献6参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−222394号公報
【特許文献2】実開昭62−98675号公報
【特許文献3】特公平2−36518号公報
【特許文献4】特開平8−26619号公報
【特許文献5】特開平8−59147号公報
【特許文献6】特開2008−308337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に提案されたエレベーター装置における電磁ブレーキの位置センサによる方法は、位置を連続的に検出するものであり(特許文献1の段落42)、精密なセンサ及びこのセンサの検知信号を処理する処理装置が必要となって高価となる問題点がある。同様に、特許文献1で、安価な構成にするために、4個のON−OFFスイッチを用いる方法が提案されている(特許文献1の段落70乃至72)。これは制動付加時の可動体の位置を基準として、正逆方向にそれぞれ2個ずつON−OFFスイッチを配置して、制動付加時及び制動解除時に可動体の移動位置が許容範囲にあるか否かを検知するようになっているが、スイッチの数が多く、高価となる問題点がある。
【0005】
また同様に、特許文献1で、さらに簡単、安価な構成にするために、2個のON−OFFスイッチを用いる方法が提案されている(特許文献1の段落74乃至77)。これは制動付加時の可動体の位置を基準として、正逆方向にそれぞれ1個ずつON−OFFスイッチを配置して、制動付加時及び制動解除時に可動体が所定位置に移動したか否かを検知するようになっており、制動解除時は所定位置以上の検知で正常と判断するので、所定値を大きく超えている場合も正常となる。従って、可動体の変位量が所定位置を超えて調整する必要があるのに、変位量調整の指示を失する問題点がある。
【0006】
また、特許文献2では、ブレーキライニングの磨耗量を電磁石の可動鉄心の変位で検出するものであり、1個のマイクロスイッチを用いている(特許文献2図1)。この場合、制動付加時の可動鉄心の位置は検知できるが、制動解除時の位置は検知できない問題点がある。
【0007】
特許文献3では、距離に見合った電圧を出力する連続検出の変位検出器を用いて、可動鉄心の変位を検出する構成が開示されている(特許文献3図1)。連続検出の変位検出器であるため、高価となる問題点がある。
【0008】
特許文献4では、特許文献3と同様に、可動鉄心の変位をレーザー変位検出器で連続検出する構成が開示されており(特許文献4図1)、高価となる問題点がある。
【0009】
特許文献5では、特許文献3、特許文献4と同様に、可動鉄心の変位を差動トランスで連続検出する構成が開示されており(特許文献5図1)、高価となる問題点がある。また、機械式スイッチで可動鉄心の変位を検出する構成が開示されている(特許文献5図8)。特許文献2同様に、制動付加時の可動鉄心の位置は検知できるが、制動解除時の位置は検知できない問題点がある。
【0010】
特許文献6では、特許文献2同様、ブレーキライニングの磨耗量を電磁石の可動鉄心の変位で検出するものであり、限界スイッチ、マイクロスイッチ、近接スイッチ、光学スイッチなどで制動付加時のプランジャの位置を検出する構成が開示されている(特許文献6図1、2)。この場合、制動付加時の可動鉄心の位置は検知できるが、制動解除時の位置は検知できない問題点がある。また、制動解除時のブレーキレバーの位置をスイッチで監視する構成が開示されている(特許文献6図4)。この場合、特許文献1同様、制動解除時は所定位置以上の検知で正常と判断するので、所定値を大きく超えている場合も正常となる。従って、可動体の変位量が所定位置を超えて調整する必要があるのに、変位量調整の指示を失する問題点がある。
【0011】
本発明の目的は、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明では、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕などを介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で可動鉄片を電磁吸引して制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、可動体としての少なくとも可動鉄片又は連動手段又は制動片のいずれかの作動位置を、位置検知器と被検知体とからなる位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、前記位置検知器を1個のON及びOFFの2出力の切替スイッチにより構成し、一方、前記被検知体を一つの凹部及び一つの凸部とで構成したことを特徴とする。
【0013】
この構成により、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキが得られる。
【0014】
また、本発明では、前記位置検知手段は、可動体の作動前位置で切替スイッチが被検知体の凹部又は凸部と係合して、切替スイッチがOFF又はONとなり、可動体の作動後位置で切替スイッチが作動前位置とは逆に被検知体の凸部又は凹部と係合して、切替スイッチが作動前位置とは逆にON又はOFFとなるようにしたことを特徴とする。
【0015】
この構成により、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキが得られる。
【0016】
また、本発明では、被検知体の凹部と凸部の設置間隔は電磁石の可動鉄片の所定変位に設置したことを特徴とする。
【0017】
この構成により、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキ装置が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態になる電磁ブレーキ装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】2個のON−OFFスイッチで可動体としての可動鉄片の作動位置検知方法を示す図で、(a)は電磁石通電断で制動付加状態を、(b)は電磁石通電で制動解除状態を示している。
【図3】制動腕の作動位置検知を示す図2相当図で、(a)は電磁石通電断で制動付加状態を、(b)は電磁石通電で制動解除状態を示している。
【図4】制動解除付加指令と2個のスイッチの検知信号との関係を示す図である。
【図5】制動付加状態及び制動解除状態での正常、異常の判定を示す図である。
【図6】制動解除動作過渡期間及び制動付加動作過渡期間での正常、異常の判定を示す図で、(a)は制動解除動作過度期間での判定を、(b)は制動付加動作過度期間での判定を示している。
【図7】可動鉄片が異常位置にある場合の位置検出を示す図2相当図で、(a)は制動付加状態、可動鉄片の離れ過ぎ状態を、(b)は制動解除状態、可動鉄片の近づき過ぎ状態を示している。
【図8】平坦部と凸部とで構成する被検知体の別な実施例を示す図2相当図で、(a)は電磁石通電断で制動付加時を、(b)は電磁石通電で制動解除時を示している。
【図9】1個の切替スイッチで可動体としての可動鉄片11の作動位置検知方法を示す図で、(a)は電磁石通電断で制動付加状態を、(b)は電磁石通電で制動解除状態を、(c)はで制動付加から制動解除の途中の状態を示している。
【図10】制動解除付加指令と切替スイッチの検知出力信号との関係を示す図4相当図である。
【図11】制動付加状態及び制動解除状態での正常、異常の判定方法を示す図5相当図である。
【図12】制動解除動作過渡期間及び制動付加動作過渡期間での正常、異常の判定方法を示す図で、(a)は制動解除動作過度期間での判定を、(b)は制動付加動作過度期間での判定を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
図1において、1は被制動体としてのブレーキドラムで、このブレーキドラム1を制動するように電磁ブレーキ装置2が設けられ、それぞれがブレーキとして独立に機能する一対の電磁ブレーキ2a、2bで構成され、構造、構成は次の通りである。
【0022】
ブレーキドラム1の制動面1aには一対の制動片3が左右から当接するようになっている。4は連動手段としての一対の制動腕で、前記制動片3を中間部4cに備え一端部4aを可回転的に支持されている。5は一対の制動ばねで、前記制動片3が制動面1aに押圧力を与え、制動力を付加するように制動腕4の他端部4bに配置される。6は連動手段としてのL形レバーでピン7で回転支持され、L形レバー6の一方側が前記制動腕4の他端部4bに連接し、L形レバー6の他方側が後述する可動鉄片11の軸12に連接する。
【0023】
8は固定される一対の電磁石で、前記制動ばね5の押圧力を解除し、制動力を解除するように、可動鉄片11の軸12でL形レバー6の他方側を駆動するように設けられる。電磁石8はそれぞれ電磁コイル9と継鉄10とからなり、電磁石8の磁極面に対向して可動鉄片11が配置される。可動鉄片11は継鉄10の中央部で摺動支持される軸12の一端と結合し、軸12の他端はL形レバー6の他方側に連接して、L形レバー6を介して制動腕4を駆動し、制動片3まで一体的に駆動するようになっている。この実施例では前記可動鉄片11が上下方向に作動し、L形レバー6でおよそ直角方向に動き方向を変え、制動腕4の一端部4aを回転中心にして左右方向に作動させる。
【0024】
すなわち、この電磁ブレーキ2a、2bは、制動片3、制動腕4、制動ばね5、L形レバー6、電磁石8、可動鉄片11で構成され、ほぼ左右対称に設置される。なお、連動手段としての制動腕4及びL形レバー6がなく、制動片3を制動ばね5で直接に押圧し、可動鉄片11で直接に押圧解除する構造もあり、この場合にも本実施形態が適用できる。
【0025】
13はコイル励磁電源で一対の電磁石8の電磁コイル9に通電し、電流を制御する。14は一対の前記電磁石8の電磁コイル9に通電、遮断する電磁接触器の接点である。
【0026】
15は可動鉄片11の位置検知手段で、可動鉄片11の上下方向の作動位置を検知する。同様に、16は制動腕4の位置検知手段で、左右方向の作動位置を検知し、また17は制動片3の位置検知手段で、制動片3からの延在部材3aを介して左右方向の作動位置を検知する。位置検知手段15、16、17は少なくともいずれか一つが設けられる。なお、位置検知手段16は、図1では制動腕4の他端部4bに設置した例で示したが、制動腕4の一端部4a、中間部4cに設置しても良い。
【0027】
この実施形態の電磁ブレーキ2a、2bの動作を説明する。図1に示すのは電磁石8に通電断で制動付加状態にある。接点14を接続して電磁石8に通電すると可動鉄片11が電磁吸引され、矢印YM方向に変位し、L形レバー6が矢印YL方向に回転変位し、制動腕4の一端部4aが矢印YA方向に回転変位し、制動腕4の他端部4bが矢印YB方向に変位し、制動片3が矢印YS方向に変位して、制動片3がブレーキドラム1表面から離間して制動が解除される。電磁石8に通電を遮断すると、図1の制動付加状態に戻る。
【0028】
次に、図2に基づいて位置検知手段15、16、17の詳細を説明する。図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。図2(a)は電磁石8に通電断時で制動付加状態を示し、図2(b)は電磁石8に通電時で制動解除状態を示す。また、位置検知手段15、16、17は同様であるので、可動鉄片11での位置検知手段15で説明する。
【0029】
図2(a)、図2(b)において、15a及び15bは位置検知手段15の位置検出器15gとしてのON又はOFF信号の単出力のスイッチを2個備え、それぞれ可動鉄片11に設けられる被検知体15cに対向して設置されて、可動鉄片11の上下方向の作動位置を検知するようになっている。被検知体15cは平坦部15dと一つの凹部15eが形成される。凹部15eに前記スイッチ15aが係合して例えばOFF状態で、スイッチ15bがスイッチ15aと間隔をおいて平坦部15dに係合してON状態である。要するに、スイッチ15aとスイッチ15bのスイッチのON、OFF状態は逆になるように設置される。電磁石8に通電すると図2(b)のようになり、可動鉄片11が電磁石8側に電磁吸引されて、空隙保持部材18まで所定の変位SMする。前記スイッチ15aは平坦部15dに移りON状態となり、スイッチ15bは凹部15eに移りOFF状態となる。この際、スイッチ15a及びスイッチ15bの初期の設定間隔は、可動鉄片11の所定変位SMにほぼ等しく設置される。
【0030】
図3(a)、図3(b)において、図1の左側の電磁ブレーキ2aで説明する。図1の制動腕4の他端部4bは矢印YBの左右方向の位置検知となる。これは図2(a)、図2(b)の可動鉄片11の上下方向の位置検知を左右方向にすれば良く、位置検出手段16の位置検出器16a、16b及び被検知体16cを左右方向に置換え設置される。そして、図3(a)の電磁石8通電断時に対して、図3(b)の電磁石8通電時は制動腕4が所定変位SBとなるので、スイッチ16aとスイッチ16bとが間隔SBで設置される。
【0031】
図2(a)、図2(b)と同様に、図3(a)の電磁石8通電断時ではスイッチ16aが凹部16eに対応し例えばOFF状態で、スイッチ16bが平坦部16dに対応してON状態である。図3(b)の電磁石8通電時では、制動腕4が所定変位SBし、この時、前記スイッチ16aは平坦部に移りON状態となり、前記スイッチ16bは凹部16eに移りOFF状態となる。図2(a)、(b)と同様に、スイッチ16aとスイッチ16bのスイッチのON、OFF状態は逆になるように設置される。
【0032】
また、制動片3の位置検知する位置検知手段17は制動腕4の位置検知手段16と同じく左右方向となり、図3(a)、図3(b)と同様になるので説明を省略する。なお、スイッチ15a、15b、16a、16b、17a、17bは、ON又はOFFの単信号出力で、本実施形態の機械的接点の他に磁気式、光学式、空気式のものが適用される。
【0033】
図2(a)、図2(b)及び図4において、制動指令19と位置検知手段15のスイッチ15a、15bの関係を示す。すなわち、図2(a)の通電断で制動付加状態のt1時点で制動解除指令が発生し電磁石8に通電すると可動鉄片11が吸引されて、制動解除指令とほとんど同時のt2時点でスイッチ15aがOFFからONになり、可動鉄片11が変位SG後のt3時点でスイッチ15bがONからOFFになって図2(b)の制動解除状態になる。その後、t3時点から制動解除状態を保持し、t4時点で制動付加指令が発生して電磁石8の通電を遮断すると可動鉄片11が釈放されて、制動付加指令とほとんど同時のt5時点でスイッチ15bがOFFからONになり、可動鉄片11が変位SG後のt6時点でにスイッチ15aがONからOFFになって前記図2(a)の元の制動付加状態に戻る。ここで、t1時点からt3時点までの期間は制動付加から制動解除するまでの制動解除動作過渡期間であって、t1時点からt3時点までの時間T2又はt2時点からt3時点までの時間T3を制動解除時間として、また、t4時点からt6時点までの期間は制動解除から制動するまでの制動付加動作過渡期間であって、t4時点からt6時点までの時間T5又はt5時点からt6時点までの時間T6を制動付加時間としてブレーキの動作性能を評価する指標である。t1時点からt2時点までの時間はT1、t4時点からt5時点までの時間はT4であり、制動解除付加指令からの遅れ時間である。
【0034】
なお、位置検知手段16、17についても同様であり、スイッチ16a、17aがスイッチ15aに相当し、スイッチ16b、17bがスイッチ15bに相当するので説明を省略する。
【0035】
図5において、図4で説明したt1時点以前及びt6時点以後の制動付加状態及びt3時点〜t4時点間の制動解除状態での正常、異常の判定方法を説明する。20で制動指令が発生し、解除指令であれば次に進み、21aでスイッチ15aがONであれば次に進み、21bでスイッチ15bがOFFであれば正常と判定し、電磁ブレーキ2a、2bの動作を継続する。一方、21aでスイッチ15aがOFF及び21bでスイッチ15bがONであれば異常と判定し、電磁ブレーキ2a、2b2aの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行う。
【0036】
また、20で制動指令19が付加指令であれば、22aでスイッチ15aがOFFであれば次に進み、22bでスイッチ15bがONであれば正常と判定し、電磁ブレーキ2a、2bの動作を継続する。一方、22aでスイッチ15aがON及び22bでスイッチ15bがOFFであれば異常と判定し、電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行う。
【0037】
図6(a)、(b)で、制動解除動作の過渡期間、制動付加動作の過渡期間での正常、異常の判定方法を説明する。
【0038】
図6(a)において、20aで制動解除指令19aが発生すると、24で解除タイムカウンタTが開始し、27でスイッチ15aがONになるまで、25で解除タイムカウンタTを加算し、26で解除タイムカウンタT1=Tが所定値かどうかの判定を繰返す。26で解除タイムカウンタT1が所定値以上であれば異常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行い、T1が所定値未満であれば次に進む。
【0039】
27でスイッチ15aがONになると、30でスイッチ15bがOFFになるまで、28で解除タイムカウンタTを加算し、29で解除タイムカウンタT2=Tが所定値かどうかの判定を繰返す。29で解除タイムカウンタT2が所定値以上であれば異常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行い、T2が所定値未満であれば次に進む。
【0040】
そして、30でスイッチ15bがOFFになると、31でT3=T2-T1を演算して、正常として電磁ブレーキ2a、2b動作を継続する。なお、T3はスイッチ15aのON動作からスイッチ15bのOFF動作までの制動解除動作時間を算出し、電磁ブレーキ2a、2bの制動解除動作性能の指標とする。
【0041】
同様に、図6(b)において、20bで制動付加指令19bが発生すると、32で付加タイムカウンタTが開始し、35でスイッチ15bがONになるまで、33で付加タイムカウンタTを加算し、34で付加タイムカウンタT4=Tが所定値かどうかの判定を繰返す。34で付加タイムカウンタT4が所定値以上であれば異常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行い、T4が所定値未満であれば次に進む。
【0042】
34でスイッチ15bがONになると、38でスイッチ15aがOFFになるまで、36で付加タイムカウンタTを加算し、37で付加タイムカウンタT5=Tが所定値かどうかの判定を繰返す。37で付加タイムカウンタT5が所定値以上であれば異常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行い、T5が所定値未満であれば次に進む。
【0043】
そして、38でスイッチ15aがOFFになると、39でT6=T5-T4を演算して、正常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を継続する。なお、T6はスイッチ15bのON動作からスイッチ15aのOFF動作までの制動付加動作時間を算出し、電磁ブレーキ2a、2bの制動付加動作性能の指標とする。
【0044】
図7(a)、(b)において、可動鉄片11が所定位置にない場合を説明する。図7(a)、(b)は図2(a)、(b)相当図である。
【0045】
図7(a)は制動付加状態で可動鉄片11が電磁石8に対して所定位置より離れ過ぎの場合であり、スイッチ15aが平坦部15dと係合してON状態になっている。したがって、前記図5で制動指令19の制動付加の流れで異常と判定される。また、図7(b)は制動解除状態で図2(b)で示した空隙保持部材18の欠落などにより可動鉄片11が所定位置より電磁石8に近づき過ぎの場合であり、スイッチ15bが平坦部15dと係合してON状態になっている。したがって、前記図5で制動指令19の制動解除の流れで異常と判定される。
【0046】
次に、図8(a)、(b)に基づいて被検知体15cの別な実施例を説明する。この実施例が前記図2(a)、(b)と異なるのは、被検知体15cを平坦部15dと一つの凸部15fで構成したことである。すなわち、図8(a)の制動付加状態で位置検出器15gとしてのスイッチ15aが凸部15fに係合してON、スイッチ15bが平坦部15dに係合してOFFとなる。図8(b)の制動解除状態でスイッチ15aが平坦部15dに係合してOFF、スイッチ15bが凸部に係合してONとなるようになっている。要するに、前記図2の被検知体15cの場合とは逆に凹部15eを凸部にして、スイッチ15aとスイッチ15bのスイッチのON、OFF状態が逆になるように設置される。なお、この実施例では前記図4乃至図7で説明したスイッチ15a、15bのON−OFF信号も逆になるだけであり詳細説明を省略する。
【0047】
以上説明したように、この実施形態による効果は、電磁ブレーキの可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を、位置検出器として2個の単出力スイッチと、平坦部と一つの凹部又は凸部からなる被検知体とで構成したので簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキが得られる。
【0048】
次に、第2の実施形態を図9乃至図12に基づいて説明する。
【0049】
この実施形態が第1の実施形態と異なるのは、可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を、位置検出器としてON及びOFFの2信号を出力する一つの切替スイッチと、一つの凹部及び一つの凸部からなる被検知体とで構成したことである。第1の実施形態の図2、図4乃至図6と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
図9(a)、(b)、(c)において、41は位置検知手段で、位置検出器41gとしてのON及びOFFの2信号を出力する1個の切替スイッチ41aと被検知体41cとで構成される。切替スイッチ41aは可動鉄片11に設けられる被検知体41cに対向して設置されて、可動鉄片11の上下方向の作動位置を検知するようになっている。前記被検知体41cは一つの凹部41e及び一つの凸部41fで形成される。凹部41eに切替スイッチ41aの接触子42が係合して接点c−a間43がON状態、接点c−b間44がOFF状態にある。電磁石8に通電すると図9(b)のようになり、可動鉄片11が電磁石8側に電磁吸引されて、空隙保持部材18まで変位SMする。この時、切替スイッチ41の接触子は凸部に移り、接点c−a間43がOFF状態、接点c−b間44がON状態になる。
【0051】
また、図9(c)に示すように、前記図9(a)の制動付加状態と図9(b)制動解除状態に移る途中では、接点c−a間43及び接点c−b間44はともにOFF状態となる。なお、前記被検知体41cの凹部41eと凸部41fの間隔は、前記可動鉄片11の所定変位SMで設定される。また、凹部41eと凸部41fを逆に配置し、出力信号のON、OFFを逆にしても良い。
【0052】
図10において、制動指令19と位置検出手段41の切替スイッチ41aの接点出力43、44の関係を示す。すなわち、前記図9(a)の通電断で制動付加状態のt1時点で制動解除指令が発生し電磁石8に通電すると可動鉄片11が吸引されて、制動解除指令とほとんど同時に接点c−a間43がt2時点でONからOFFになり、可動鉄片11が変位SM後のt3時点で接点c−b間44がOFFからONになって前記図9(b)の制動解除状態になる。
【0053】
その後、t3時点から制動解除状態を保持し、t4時点で制動付加指令が発生して電磁石8の通電を遮断すると可動鉄片11が釈放されて、制動付加指令とほとんど同時に接点c−b間44がt5時点でONからOFFになり、可動鉄片11が変位SM後のt6時点でに接点c−a間43がOFFからONになって前記図9(a)の元の制動付加態に戻る。要するに、前記図4(a)、(b)で説明したスイッチ15aが接点c−a間43に、スイッチ15bが接点c−b間44に相当し、出力信号ON、OFFが逆に対応する。
【0054】
なお、t1時点からt3時点までの期間は制動付加から制動解除するまでの制動解除動作過渡期間、t1時点からt3時点までの時間T2又はt2時点からt3時点までの時間T3を制動解除時間、t4時点からt6時点までの期間は制動解除から制動するまでの制動付加動作過渡期間、t4時点からt6時点までの時間T5又はt5時点からt6時点までの時間T6を制動付加時間としてブレーキの動作性能を評価する指標であること、t1時点からt2時点までの時間はT1、t4時点からt5時点までの時間はT4であって指令からの遅れ時間であること、などは前記図4で説明したのと同様である。
【0055】
図11は、図10で説明したt1時点以前及びt6以後の制動付加状態及びt3〜t4間の制動解除状態での正常、異常の判定を説明する前記図5相当図である。すなわち、前記図4(a)、(b)で説明したスイッチ15aが接点c−a間に、スイッチ15bが接点c−b間に相当し、出力信号ON、OFFが逆に対応するとすれば良いので詳細説明を省略する。
【0056】
また、図12(a)、(b)は、制動解除動作の過渡期間、制動付加動作の過渡期間での正常、異常の判定を説明する前記図6(a)、(b)相当図である。同様に、前記図5で説明したスイッチ15aが接点c−a間に相当し、49及び52で判定し、スイッチ15bが接点c−b間に相当し、50及び51で判定して、出力信号ON、OFFが逆に対応するとすれば良いので詳細説明を省略する。
【0057】
この実施形態による効果は、前記一実施形態と同様の効果が得られるとともに、位置検出器としてON、OFFの2信号出力する一つの切替スイッチと、被検知体として一つの凹部及び凸部とで構成したので、さらに簡単、安価な構成で検知できる電磁ブレーキが得られる。
【符号の説明】
【0058】
1 ブレーキドラム
3 制動片
4 制動腕
5 制動ばね
8 電磁石
9 電磁コイル
10 継鉄
11 可動鉄片
15、16、17 位置検知手段
15a、15b スイッチ
15c、41c 被検知体
15d 平坦部
15e、41e 凹部
15f、41f 凸部
15g、16g、41g 位置検知器
SM 可動片の所定変位
41a 切替スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動ばねで制動片を押圧して制動付加し、電磁石で制動解除する電磁ブレーキ装置に関し、特に制動付加及び制動解除機構の可動体の作動位置の検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の位置を検知する方法として、位置を連続的に検出するもの(例えば、特許文献1参照)、ブレーキライニングの磨耗量を電磁石の可動鉄心の変位で検出するもの(例えば、特許文献2参照)、距離に見合った電圧を出力する連続検出の変位検出器を用いて、可動鉄心の変位を検出するもの(例えば、特許文献3参照)、可動鉄心の変位をレーザー変位検出器で連続検出する(例えば、特許文献4参照)、可動鉄心の変位を差動トランスで連続検出する(例えば、特許文献5参照)、ブレーキライニングの磨耗量を電磁石の可動鉄心の変位で検出するもの(例えば、特許文献6参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−222394号公報
【特許文献2】実開昭62−98675号公報
【特許文献3】特公平2−36518号公報
【特許文献4】特開平8−26619号公報
【特許文献5】特開平8−59147号公報
【特許文献6】特開2008−308337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に提案されたエレベーター装置における電磁ブレーキの位置センサによる方法は、位置を連続的に検出するものであり(特許文献1の段落42)、精密なセンサ及びこのセンサの検知信号を処理する処理装置が必要となって高価となる問題点がある。同様に、特許文献1で、安価な構成にするために、4個のON−OFFスイッチを用いる方法が提案されている(特許文献1の段落70乃至72)。これは制動付加時の可動体の位置を基準として、正逆方向にそれぞれ2個ずつON−OFFスイッチを配置して、制動付加時及び制動解除時に可動体の移動位置が許容範囲にあるか否かを検知するようになっているが、スイッチの数が多く、高価となる問題点がある。
【0005】
また同様に、特許文献1で、さらに簡単、安価な構成にするために、2個のON−OFFスイッチを用いる方法が提案されている(特許文献1の段落74乃至77)。これは制動付加時の可動体の位置を基準として、正逆方向にそれぞれ1個ずつON−OFFスイッチを配置して、制動付加時及び制動解除時に可動体が所定位置に移動したか否かを検知するようになっており、制動解除時は所定位置以上の検知で正常と判断するので、所定値を大きく超えている場合も正常となる。従って、可動体の変位量が所定位置を超えて調整する必要があるのに、変位量調整の指示を失する問題点がある。
【0006】
また、特許文献2では、ブレーキライニングの磨耗量を電磁石の可動鉄心の変位で検出するものであり、1個のマイクロスイッチを用いている(特許文献2図1)。この場合、制動付加時の可動鉄心の位置は検知できるが、制動解除時の位置は検知できない問題点がある。
【0007】
特許文献3では、距離に見合った電圧を出力する連続検出の変位検出器を用いて、可動鉄心の変位を検出する構成が開示されている(特許文献3図1)。連続検出の変位検出器であるため、高価となる問題点がある。
【0008】
特許文献4では、特許文献3と同様に、可動鉄心の変位をレーザー変位検出器で連続検出する構成が開示されており(特許文献4図1)、高価となる問題点がある。
【0009】
特許文献5では、特許文献3、特許文献4と同様に、可動鉄心の変位を差動トランスで連続検出する構成が開示されており(特許文献5図1)、高価となる問題点がある。また、機械式スイッチで可動鉄心の変位を検出する構成が開示されている(特許文献5図8)。特許文献2同様に、制動付加時の可動鉄心の位置は検知できるが、制動解除時の位置は検知できない問題点がある。
【0010】
特許文献6では、特許文献2同様、ブレーキライニングの磨耗量を電磁石の可動鉄心の変位で検出するものであり、限界スイッチ、マイクロスイッチ、近接スイッチ、光学スイッチなどで制動付加時のプランジャの位置を検出する構成が開示されている(特許文献6図1、2)。この場合、制動付加時の可動鉄心の位置は検知できるが、制動解除時の位置は検知できない問題点がある。また、制動解除時のブレーキレバーの位置をスイッチで監視する構成が開示されている(特許文献6図4)。この場合、特許文献1同様、制動解除時は所定位置以上の検知で正常と判断するので、所定値を大きく超えている場合も正常となる。従って、可動体の変位量が所定位置を超えて調整する必要があるのに、変位量調整の指示を失する問題点がある。
【0011】
本発明の目的は、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明では、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕などを介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で可動鉄片を電磁吸引して制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、可動体としての少なくとも可動鉄片又は連動手段又は制動片のいずれかの作動位置を、位置検知器と被検知体とからなる位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、前記位置検知器を1個のON及びOFFの2出力の切替スイッチにより構成し、一方、前記被検知体を一つの凹部及び一つの凸部とで構成したことを特徴とする。
【0013】
この構成により、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキが得られる。
【0014】
また、本発明では、前記位置検知手段は、可動体の作動前位置で切替スイッチが被検知体の凹部又は凸部と係合して、切替スイッチがOFF又はONとなり、可動体の作動後位置で切替スイッチが作動前位置とは逆に被検知体の凸部又は凹部と係合して、切替スイッチが作動前位置とは逆にON又はOFFとなるようにしたことを特徴とする。
【0015】
この構成により、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキが得られる。
【0016】
また、本発明では、被検知体の凹部と凸部の設置間隔は電磁石の可動鉄片の所定変位に設置したことを特徴とする。
【0017】
この構成により、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキ装置が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電磁ブレーキの制動付加機構及び制動解除機構の可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態になる電磁ブレーキ装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】2個のON−OFFスイッチで可動体としての可動鉄片の作動位置検知方法を示す図で、(a)は電磁石通電断で制動付加状態を、(b)は電磁石通電で制動解除状態を示している。
【図3】制動腕の作動位置検知を示す図2相当図で、(a)は電磁石通電断で制動付加状態を、(b)は電磁石通電で制動解除状態を示している。
【図4】制動解除付加指令と2個のスイッチの検知信号との関係を示す図である。
【図5】制動付加状態及び制動解除状態での正常、異常の判定を示す図である。
【図6】制動解除動作過渡期間及び制動付加動作過渡期間での正常、異常の判定を示す図で、(a)は制動解除動作過度期間での判定を、(b)は制動付加動作過度期間での判定を示している。
【図7】可動鉄片が異常位置にある場合の位置検出を示す図2相当図で、(a)は制動付加状態、可動鉄片の離れ過ぎ状態を、(b)は制動解除状態、可動鉄片の近づき過ぎ状態を示している。
【図8】平坦部と凸部とで構成する被検知体の別な実施例を示す図2相当図で、(a)は電磁石通電断で制動付加時を、(b)は電磁石通電で制動解除時を示している。
【図9】1個の切替スイッチで可動体としての可動鉄片11の作動位置検知方法を示す図で、(a)は電磁石通電断で制動付加状態を、(b)は電磁石通電で制動解除状態を、(c)はで制動付加から制動解除の途中の状態を示している。
【図10】制動解除付加指令と切替スイッチの検知出力信号との関係を示す図4相当図である。
【図11】制動付加状態及び制動解除状態での正常、異常の判定方法を示す図5相当図である。
【図12】制動解除動作過渡期間及び制動付加動作過渡期間での正常、異常の判定方法を示す図で、(a)は制動解除動作過度期間での判定を、(b)は制動付加動作過度期間での判定を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
図1において、1は被制動体としてのブレーキドラムで、このブレーキドラム1を制動するように電磁ブレーキ装置2が設けられ、それぞれがブレーキとして独立に機能する一対の電磁ブレーキ2a、2bで構成され、構造、構成は次の通りである。
【0022】
ブレーキドラム1の制動面1aには一対の制動片3が左右から当接するようになっている。4は連動手段としての一対の制動腕で、前記制動片3を中間部4cに備え一端部4aを可回転的に支持されている。5は一対の制動ばねで、前記制動片3が制動面1aに押圧力を与え、制動力を付加するように制動腕4の他端部4bに配置される。6は連動手段としてのL形レバーでピン7で回転支持され、L形レバー6の一方側が前記制動腕4の他端部4bに連接し、L形レバー6の他方側が後述する可動鉄片11の軸12に連接する。
【0023】
8は固定される一対の電磁石で、前記制動ばね5の押圧力を解除し、制動力を解除するように、可動鉄片11の軸12でL形レバー6の他方側を駆動するように設けられる。電磁石8はそれぞれ電磁コイル9と継鉄10とからなり、電磁石8の磁極面に対向して可動鉄片11が配置される。可動鉄片11は継鉄10の中央部で摺動支持される軸12の一端と結合し、軸12の他端はL形レバー6の他方側に連接して、L形レバー6を介して制動腕4を駆動し、制動片3まで一体的に駆動するようになっている。この実施例では前記可動鉄片11が上下方向に作動し、L形レバー6でおよそ直角方向に動き方向を変え、制動腕4の一端部4aを回転中心にして左右方向に作動させる。
【0024】
すなわち、この電磁ブレーキ2a、2bは、制動片3、制動腕4、制動ばね5、L形レバー6、電磁石8、可動鉄片11で構成され、ほぼ左右対称に設置される。なお、連動手段としての制動腕4及びL形レバー6がなく、制動片3を制動ばね5で直接に押圧し、可動鉄片11で直接に押圧解除する構造もあり、この場合にも本実施形態が適用できる。
【0025】
13はコイル励磁電源で一対の電磁石8の電磁コイル9に通電し、電流を制御する。14は一対の前記電磁石8の電磁コイル9に通電、遮断する電磁接触器の接点である。
【0026】
15は可動鉄片11の位置検知手段で、可動鉄片11の上下方向の作動位置を検知する。同様に、16は制動腕4の位置検知手段で、左右方向の作動位置を検知し、また17は制動片3の位置検知手段で、制動片3からの延在部材3aを介して左右方向の作動位置を検知する。位置検知手段15、16、17は少なくともいずれか一つが設けられる。なお、位置検知手段16は、図1では制動腕4の他端部4bに設置した例で示したが、制動腕4の一端部4a、中間部4cに設置しても良い。
【0027】
この実施形態の電磁ブレーキ2a、2bの動作を説明する。図1に示すのは電磁石8に通電断で制動付加状態にある。接点14を接続して電磁石8に通電すると可動鉄片11が電磁吸引され、矢印YM方向に変位し、L形レバー6が矢印YL方向に回転変位し、制動腕4の一端部4aが矢印YA方向に回転変位し、制動腕4の他端部4bが矢印YB方向に変位し、制動片3が矢印YS方向に変位して、制動片3がブレーキドラム1表面から離間して制動が解除される。電磁石8に通電を遮断すると、図1の制動付加状態に戻る。
【0028】
次に、図2に基づいて位置検知手段15、16、17の詳細を説明する。図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。図2(a)は電磁石8に通電断時で制動付加状態を示し、図2(b)は電磁石8に通電時で制動解除状態を示す。また、位置検知手段15、16、17は同様であるので、可動鉄片11での位置検知手段15で説明する。
【0029】
図2(a)、図2(b)において、15a及び15bは位置検知手段15の位置検出器15gとしてのON又はOFF信号の単出力のスイッチを2個備え、それぞれ可動鉄片11に設けられる被検知体15cに対向して設置されて、可動鉄片11の上下方向の作動位置を検知するようになっている。被検知体15cは平坦部15dと一つの凹部15eが形成される。凹部15eに前記スイッチ15aが係合して例えばOFF状態で、スイッチ15bがスイッチ15aと間隔をおいて平坦部15dに係合してON状態である。要するに、スイッチ15aとスイッチ15bのスイッチのON、OFF状態は逆になるように設置される。電磁石8に通電すると図2(b)のようになり、可動鉄片11が電磁石8側に電磁吸引されて、空隙保持部材18まで所定の変位SMする。前記スイッチ15aは平坦部15dに移りON状態となり、スイッチ15bは凹部15eに移りOFF状態となる。この際、スイッチ15a及びスイッチ15bの初期の設定間隔は、可動鉄片11の所定変位SMにほぼ等しく設置される。
【0030】
図3(a)、図3(b)において、図1の左側の電磁ブレーキ2aで説明する。図1の制動腕4の他端部4bは矢印YBの左右方向の位置検知となる。これは図2(a)、図2(b)の可動鉄片11の上下方向の位置検知を左右方向にすれば良く、位置検出手段16の位置検出器16a、16b及び被検知体16cを左右方向に置換え設置される。そして、図3(a)の電磁石8通電断時に対して、図3(b)の電磁石8通電時は制動腕4が所定変位SBとなるので、スイッチ16aとスイッチ16bとが間隔SBで設置される。
【0031】
図2(a)、図2(b)と同様に、図3(a)の電磁石8通電断時ではスイッチ16aが凹部16eに対応し例えばOFF状態で、スイッチ16bが平坦部16dに対応してON状態である。図3(b)の電磁石8通電時では、制動腕4が所定変位SBし、この時、前記スイッチ16aは平坦部に移りON状態となり、前記スイッチ16bは凹部16eに移りOFF状態となる。図2(a)、(b)と同様に、スイッチ16aとスイッチ16bのスイッチのON、OFF状態は逆になるように設置される。
【0032】
また、制動片3の位置検知する位置検知手段17は制動腕4の位置検知手段16と同じく左右方向となり、図3(a)、図3(b)と同様になるので説明を省略する。なお、スイッチ15a、15b、16a、16b、17a、17bは、ON又はOFFの単信号出力で、本実施形態の機械的接点の他に磁気式、光学式、空気式のものが適用される。
【0033】
図2(a)、図2(b)及び図4において、制動指令19と位置検知手段15のスイッチ15a、15bの関係を示す。すなわち、図2(a)の通電断で制動付加状態のt1時点で制動解除指令が発生し電磁石8に通電すると可動鉄片11が吸引されて、制動解除指令とほとんど同時のt2時点でスイッチ15aがOFFからONになり、可動鉄片11が変位SG後のt3時点でスイッチ15bがONからOFFになって図2(b)の制動解除状態になる。その後、t3時点から制動解除状態を保持し、t4時点で制動付加指令が発生して電磁石8の通電を遮断すると可動鉄片11が釈放されて、制動付加指令とほとんど同時のt5時点でスイッチ15bがOFFからONになり、可動鉄片11が変位SG後のt6時点でにスイッチ15aがONからOFFになって前記図2(a)の元の制動付加状態に戻る。ここで、t1時点からt3時点までの期間は制動付加から制動解除するまでの制動解除動作過渡期間であって、t1時点からt3時点までの時間T2又はt2時点からt3時点までの時間T3を制動解除時間として、また、t4時点からt6時点までの期間は制動解除から制動するまでの制動付加動作過渡期間であって、t4時点からt6時点までの時間T5又はt5時点からt6時点までの時間T6を制動付加時間としてブレーキの動作性能を評価する指標である。t1時点からt2時点までの時間はT1、t4時点からt5時点までの時間はT4であり、制動解除付加指令からの遅れ時間である。
【0034】
なお、位置検知手段16、17についても同様であり、スイッチ16a、17aがスイッチ15aに相当し、スイッチ16b、17bがスイッチ15bに相当するので説明を省略する。
【0035】
図5において、図4で説明したt1時点以前及びt6時点以後の制動付加状態及びt3時点〜t4時点間の制動解除状態での正常、異常の判定方法を説明する。20で制動指令が発生し、解除指令であれば次に進み、21aでスイッチ15aがONであれば次に進み、21bでスイッチ15bがOFFであれば正常と判定し、電磁ブレーキ2a、2bの動作を継続する。一方、21aでスイッチ15aがOFF及び21bでスイッチ15bがONであれば異常と判定し、電磁ブレーキ2a、2b2aの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行う。
【0036】
また、20で制動指令19が付加指令であれば、22aでスイッチ15aがOFFであれば次に進み、22bでスイッチ15bがONであれば正常と判定し、電磁ブレーキ2a、2bの動作を継続する。一方、22aでスイッチ15aがON及び22bでスイッチ15bがOFFであれば異常と判定し、電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行う。
【0037】
図6(a)、(b)で、制動解除動作の過渡期間、制動付加動作の過渡期間での正常、異常の判定方法を説明する。
【0038】
図6(a)において、20aで制動解除指令19aが発生すると、24で解除タイムカウンタTが開始し、27でスイッチ15aがONになるまで、25で解除タイムカウンタTを加算し、26で解除タイムカウンタT1=Tが所定値かどうかの判定を繰返す。26で解除タイムカウンタT1が所定値以上であれば異常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行い、T1が所定値未満であれば次に進む。
【0039】
27でスイッチ15aがONになると、30でスイッチ15bがOFFになるまで、28で解除タイムカウンタTを加算し、29で解除タイムカウンタT2=Tが所定値かどうかの判定を繰返す。29で解除タイムカウンタT2が所定値以上であれば異常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行い、T2が所定値未満であれば次に進む。
【0040】
そして、30でスイッチ15bがOFFになると、31でT3=T2-T1を演算して、正常として電磁ブレーキ2a、2b動作を継続する。なお、T3はスイッチ15aのON動作からスイッチ15bのOFF動作までの制動解除動作時間を算出し、電磁ブレーキ2a、2bの制動解除動作性能の指標とする。
【0041】
同様に、図6(b)において、20bで制動付加指令19bが発生すると、32で付加タイムカウンタTが開始し、35でスイッチ15bがONになるまで、33で付加タイムカウンタTを加算し、34で付加タイムカウンタT4=Tが所定値かどうかの判定を繰返す。34で付加タイムカウンタT4が所定値以上であれば異常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行い、T4が所定値未満であれば次に進む。
【0042】
34でスイッチ15bがONになると、38でスイッチ15aがOFFになるまで、36で付加タイムカウンタTを加算し、37で付加タイムカウンタT5=Tが所定値かどうかの判定を繰返す。37で付加タイムカウンタT5が所定値以上であれば異常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を停止するとともに異常を示す信号の発報、表示を行い、T5が所定値未満であれば次に進む。
【0043】
そして、38でスイッチ15aがOFFになると、39でT6=T5-T4を演算して、正常として電磁ブレーキ2a、2bの動作を継続する。なお、T6はスイッチ15bのON動作からスイッチ15aのOFF動作までの制動付加動作時間を算出し、電磁ブレーキ2a、2bの制動付加動作性能の指標とする。
【0044】
図7(a)、(b)において、可動鉄片11が所定位置にない場合を説明する。図7(a)、(b)は図2(a)、(b)相当図である。
【0045】
図7(a)は制動付加状態で可動鉄片11が電磁石8に対して所定位置より離れ過ぎの場合であり、スイッチ15aが平坦部15dと係合してON状態になっている。したがって、前記図5で制動指令19の制動付加の流れで異常と判定される。また、図7(b)は制動解除状態で図2(b)で示した空隙保持部材18の欠落などにより可動鉄片11が所定位置より電磁石8に近づき過ぎの場合であり、スイッチ15bが平坦部15dと係合してON状態になっている。したがって、前記図5で制動指令19の制動解除の流れで異常と判定される。
【0046】
次に、図8(a)、(b)に基づいて被検知体15cの別な実施例を説明する。この実施例が前記図2(a)、(b)と異なるのは、被検知体15cを平坦部15dと一つの凸部15fで構成したことである。すなわち、図8(a)の制動付加状態で位置検出器15gとしてのスイッチ15aが凸部15fに係合してON、スイッチ15bが平坦部15dに係合してOFFとなる。図8(b)の制動解除状態でスイッチ15aが平坦部15dに係合してOFF、スイッチ15bが凸部に係合してONとなるようになっている。要するに、前記図2の被検知体15cの場合とは逆に凹部15eを凸部にして、スイッチ15aとスイッチ15bのスイッチのON、OFF状態が逆になるように設置される。なお、この実施例では前記図4乃至図7で説明したスイッチ15a、15bのON−OFF信号も逆になるだけであり詳細説明を省略する。
【0047】
以上説明したように、この実施形態による効果は、電磁ブレーキの可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を、位置検出器として2個の単出力スイッチと、平坦部と一つの凹部又は凸部からなる被検知体とで構成したので簡単、安価な構成で精度良く検知できる電磁ブレーキが得られる。
【0048】
次に、第2の実施形態を図9乃至図12に基づいて説明する。
【0049】
この実施形態が第1の実施形態と異なるのは、可動体となる制動片、連動手段及び電磁石に電磁吸引される可動鉄片の作動前及び作動後の位置を、位置検出器としてON及びOFFの2信号を出力する一つの切替スイッチと、一つの凹部及び一つの凸部からなる被検知体とで構成したことである。第1の実施形態の図2、図4乃至図6と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
図9(a)、(b)、(c)において、41は位置検知手段で、位置検出器41gとしてのON及びOFFの2信号を出力する1個の切替スイッチ41aと被検知体41cとで構成される。切替スイッチ41aは可動鉄片11に設けられる被検知体41cに対向して設置されて、可動鉄片11の上下方向の作動位置を検知するようになっている。前記被検知体41cは一つの凹部41e及び一つの凸部41fで形成される。凹部41eに切替スイッチ41aの接触子42が係合して接点c−a間43がON状態、接点c−b間44がOFF状態にある。電磁石8に通電すると図9(b)のようになり、可動鉄片11が電磁石8側に電磁吸引されて、空隙保持部材18まで変位SMする。この時、切替スイッチ41の接触子は凸部に移り、接点c−a間43がOFF状態、接点c−b間44がON状態になる。
【0051】
また、図9(c)に示すように、前記図9(a)の制動付加状態と図9(b)制動解除状態に移る途中では、接点c−a間43及び接点c−b間44はともにOFF状態となる。なお、前記被検知体41cの凹部41eと凸部41fの間隔は、前記可動鉄片11の所定変位SMで設定される。また、凹部41eと凸部41fを逆に配置し、出力信号のON、OFFを逆にしても良い。
【0052】
図10において、制動指令19と位置検出手段41の切替スイッチ41aの接点出力43、44の関係を示す。すなわち、前記図9(a)の通電断で制動付加状態のt1時点で制動解除指令が発生し電磁石8に通電すると可動鉄片11が吸引されて、制動解除指令とほとんど同時に接点c−a間43がt2時点でONからOFFになり、可動鉄片11が変位SM後のt3時点で接点c−b間44がOFFからONになって前記図9(b)の制動解除状態になる。
【0053】
その後、t3時点から制動解除状態を保持し、t4時点で制動付加指令が発生して電磁石8の通電を遮断すると可動鉄片11が釈放されて、制動付加指令とほとんど同時に接点c−b間44がt5時点でONからOFFになり、可動鉄片11が変位SM後のt6時点でに接点c−a間43がOFFからONになって前記図9(a)の元の制動付加態に戻る。要するに、前記図4(a)、(b)で説明したスイッチ15aが接点c−a間43に、スイッチ15bが接点c−b間44に相当し、出力信号ON、OFFが逆に対応する。
【0054】
なお、t1時点からt3時点までの期間は制動付加から制動解除するまでの制動解除動作過渡期間、t1時点からt3時点までの時間T2又はt2時点からt3時点までの時間T3を制動解除時間、t4時点からt6時点までの期間は制動解除から制動するまでの制動付加動作過渡期間、t4時点からt6時点までの時間T5又はt5時点からt6時点までの時間T6を制動付加時間としてブレーキの動作性能を評価する指標であること、t1時点からt2時点までの時間はT1、t4時点からt5時点までの時間はT4であって指令からの遅れ時間であること、などは前記図4で説明したのと同様である。
【0055】
図11は、図10で説明したt1時点以前及びt6以後の制動付加状態及びt3〜t4間の制動解除状態での正常、異常の判定を説明する前記図5相当図である。すなわち、前記図4(a)、(b)で説明したスイッチ15aが接点c−a間に、スイッチ15bが接点c−b間に相当し、出力信号ON、OFFが逆に対応するとすれば良いので詳細説明を省略する。
【0056】
また、図12(a)、(b)は、制動解除動作の過渡期間、制動付加動作の過渡期間での正常、異常の判定を説明する前記図6(a)、(b)相当図である。同様に、前記図5で説明したスイッチ15aが接点c−a間に相当し、49及び52で判定し、スイッチ15bが接点c−b間に相当し、50及び51で判定して、出力信号ON、OFFが逆に対応するとすれば良いので詳細説明を省略する。
【0057】
この実施形態による効果は、前記一実施形態と同様の効果が得られるとともに、位置検出器としてON、OFFの2信号出力する一つの切替スイッチと、被検知体として一つの凹部及び凸部とで構成したので、さらに簡単、安価な構成で検知できる電磁ブレーキが得られる。
【符号の説明】
【0058】
1 ブレーキドラム
3 制動片
4 制動腕
5 制動ばね
8 電磁石
9 電磁コイル
10 継鉄
11 可動鉄片
15、16、17 位置検知手段
15a、15b スイッチ
15c、41c 被検知体
15d 平坦部
15e、41e 凹部
15f、41f 凸部
15g、16g、41g 位置検知器
SM 可動片の所定変位
41a 切替スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕などを介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で可動鉄片を電磁吸引して制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、可動体としての少なくとも可動鉄片又は連動手段又は制動片のいずれかの作動位置を、位置検知器と被検知体とからなる位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、
前記位置検知器を1個のON及びOFFの2出力の切替スイッチにより構成し、一方、前記被検知体を一つの凹部及び一つの凸部とで構成したことを特徴とする電磁ブレーキ装置。
【請求項2】
前記位置検知手段は、可動体の作動前位置で切替スイッチが被検知体の凹部又は凸部と係合して、切替スイッチがOFF又はONとなり、可動体の作動後位置で切替スイッチが作動前位置とは逆に被検知体の凸部又は凹部と係合して、切替スイッチが作動前位置とは逆にON又はOFFとなるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ装置。
【請求項3】
前記被検知体の凹部と凸部の設置間隔を、前記可動体の所定変位に設置したことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ装置。
【請求項1】
制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕などを介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で可動鉄片を電磁吸引して制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、可動体としての少なくとも可動鉄片又は連動手段又は制動片のいずれかの作動位置を、位置検知器と被検知体とからなる位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、
前記位置検知器を1個のON及びOFFの2出力の切替スイッチにより構成し、一方、前記被検知体を一つの凹部及び一つの凸部とで構成したことを特徴とする電磁ブレーキ装置。
【請求項2】
前記位置検知手段は、可動体の作動前位置で切替スイッチが被検知体の凹部又は凸部と係合して、切替スイッチがOFF又はONとなり、可動体の作動後位置で切替スイッチが作動前位置とは逆に被検知体の凸部又は凹部と係合して、切替スイッチが作動前位置とは逆にON又はOFFとなるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ装置。
【請求項3】
前記被検知体の凹部と凸部の設置間隔を、前記可動体の所定変位に設置したことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−76467(P2013−76467A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249929(P2012−249929)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2009−262851(P2009−262851)の分割
【原出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503180948)水戸エンジニアリングサービス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2009−262851(P2009−262851)の分割
【原出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503180948)水戸エンジニアリングサービス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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