面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法
【課題】 移動体としてのステージ自体に歪みが生じていてもステージの位置検出精度を向上させることができる面形状計測方法等を提供する。
【解決手段】 レーザ干渉計13を用いてウェハステージWSTに設けられた移動鏡12のZ軸に対する傾きを計測し、この計測結果に基づいてZ軸に対する移動鏡12の傾きが零となるようにウェハステージWSTの姿勢を制御し、多点フォーカス位置検出系21を用いてこのときのウェハステージWSTの姿勢を計測する。以上の処理を計測対象の移動鏡12の鏡面に沿ってウェハステージWSTを微小移動させながら繰り返す。
【解決手段】 レーザ干渉計13を用いてウェハステージWSTに設けられた移動鏡12のZ軸に対する傾きを計測し、この計測結果に基づいてZ軸に対する移動鏡12の傾きが零となるようにウェハステージWSTの姿勢を制御し、多点フォーカス位置検出系21を用いてこのときのウェハステージWSTの姿勢を計測する。以上の処理を計測対象の移動鏡12の鏡面に沿ってウェハステージWSTを微小移動させながら繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設けられた反射面の形状を計測する面形状計測方法、当該方法の計測結果を用いて移動体の基準平面に対する姿勢を計測する姿勢計測方法、及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体素子、液晶表示素子、その他のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、これらを総称する場合にはマスクという)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウェハ又はガラスプレート等の基板上に転写する露光装置が用いられている。露光装置としては、所謂ステッパ等の静止露光型の投影露光装置や、所謂スキャニング・ステッパ等の走査露光型の投影露光装置が主として用いられている。これらの投影露光装置では、マスクに形成されたパターンを基板上の複数のショット領域に順次転写する必要があるため、基板を保持して二次元移動可能な基板ステージが設けられている。また、上記の走査露光型の投影露光装置の場合には、マスクを保持するマスクステージも走査方向に移動可能となっている。
【0003】
かかる投影露光装置においては、極めて微細な構造を有する回路パターンを基板に転写するため、基板とマスクとの位置制御を高精度に行う必要がある。このため、基板ステージ及びマスクステージに設けられた反射鏡に対してレーザ干渉計からの測長ビームを照射し、その反射光と参照光との干渉光のフリンジパターン又は位相差に基づいて各々のステージの位置情報が高精度に検出され、この検出結果に基づいて各々のステージの高精度な位置制御が行われている。
【0004】
ところで、このような基板ステージ及びマスクステージの位置検出においては、各ステージに設けられた反射鏡の鏡面にうねり又はねじれがあると、レーザ干渉計による検出値に誤差が生じ、検出精度の低下を招く虞がある。このため、反射鏡の鏡面の面形状(二次元形状)を測定し、その測定結果に基づいて、レーザ干渉計の検出結果を補正することが行われる。反射鏡の鏡面の面形状の測定技術としては、例えば、本願出願人による以下の特許文献1に記載された技術が知られている。
【0005】
この技術では、反射鏡の短手方向(高さ方向)の2箇所(以下、上段、下段という場合がある)のそれぞれにおいて、反射鏡の長手方向に沿う一次元形状をそれぞれ適宜な基準に基づいて測定するとともに、上段の測定値と下段の測定値の相対関係(ここでは反射面に直交する方向のオフセット)を以下のようにして求めることにより、反射鏡の鏡面の面形状を特定するようにしている。
【0006】
即ち、所定の関係で配列された複数の基準マークが形成された計測用基板を、基準マークの配列方向と基板ステージの軸方向が厳密に一致するように基板ステージ上に載置して、前記上段1次元形状測定と下段1次元形状測定のそれぞれの前又は後に、計測用基板上の基準マークの位置をオフアクシス方式のアライメントセンサでそれぞれ測定し、このときの基準マークの位置ずれから上記のオフセットを求めるようにしている。
【特許文献1】国際公開第00/22376号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、気温の変化又は大気圧が変化すると、反射鏡が取り付けられているステージ自身に歪みが生ずることがある。ステージに設けられた反射鏡の鏡面にうねり又はねじれがあると、上述した通りレーザ干渉計による検出値に誤差が生ずるが、ステージ自体に歪みがある場合にも、反射鏡の鏡面にうねり等がある場合と同様に検出誤差が生ずる。例えば、反射鏡が取り付けられた端部で生じたステージの歪みにより反射鏡に倒れが生ずると、基板又はウェハが保持されるステージ中央部は水平であるにも拘わらず、ステージ自体が傾いているとレーザ干渉計で誤検出されてしまう。この結果、誤検出されたステージの傾きを補正すべくステージの姿勢が誤って制御されてしまう。
【0008】
上述した従来の技術では、反射鏡の長手方向に沿う面形状自体を測定することはできるが、ステージの歪みに基づくものであるのか否かを切り分けることができない。このため、前述した方法により反射鏡の面形状を計測してレーザ干渉計の検出結果を補正しようとした場合に、補正が過度であったり又は補正不足であるといった事態が生ずることがあった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、移動体としてのステージ自体に歪みが生じていてもステージの位置検出精度を向上させることができる面形状計測方法、当該方法の計測結果を用いてステージの基準平面に対する姿勢を高精度に計測することができる姿勢計測方法、及び当該方法の計測結果に基づいてステージを移動させつつ露光処理を行う露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による面形状計測方法は、第1軸(Z軸)と直交する基準平面(7)に沿って移動する移動体(WST)に設けられ、前記第1軸方向と直交する第2軸(X軸又はY軸)方向に沿って延びる反射面(12、12X、12Y)の形状を計測する面形状計測方法であって、前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測する第1ステップ(S13、S33)と、前記第1ステップの計測結果に基づいて前記第1軸に対する前記反射面の傾きが零となるように前記移動体の姿勢を制御する第2ステップ(S14、S34)と、前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を計測する第3ステップ(S15、S35〜S38)と、前記第2軸方向に沿って前記移動体を移動させつつ前記第1ステップから前記第3ステップを繰り返す第4ステップ(S16、S17、S39、S40)とを含むことを特徴としている。
この発明によると、まず第1軸に対する反射面の傾きを計測し、次にこの傾きを零にするように移動体の姿勢を制御し、次いでこのときの移動体の姿勢を計測する。以上の処理を反射面の長さ方向(第1軸方向と直交する第2軸方向)に沿って移動体を移動させつつ行う。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による面形状計測方法は、第1軸(Z軸)と直交する基準平面(7)に沿って移動する移動体(WST)に設けられ、前記第1軸方向と直交する第2軸方向(X軸又はY軸)に沿って延びる反射面(12、12X、12Y)の形状を計測する面形状計測方法であって、前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を計測する第1ステップ(S23)と、前記第1ステップの計測結果に基づいて前記移動体の姿勢を所定の姿勢に制御する第2ステップ(S24)と、前記移動体を前記所定の姿勢に制御した状態で前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測する第3ステップ(S25)と、前記第2軸方向に沿って前記移動体を移動させつつ前記第1ステップから前記第3ステップを繰り返す第4ステップ(S26、S27)とを含むことを特徴としている。
この発明によると、まず基準平面に対する移動体の姿勢を計測し、次にこの計測結果に基づいて移動体の姿勢を所定の姿勢に制御し、次いでこの状態で第1軸に対する反射面の傾きを計測する。以上の処理を反射面の長さ方向(第1軸方向と直交する第2軸方向)に沿って移動体を移動させつつ行う。
上記課題を解決するために、本発明の姿勢計測方法は、第1軸方向(Z軸)と直交する第2軸(X軸又はY軸)方向に沿って延びる反射面(12、12X、12Y)を有し、前記第1軸と直交する基準平面(7)に沿って移動する移動体(WST)の当該基準平面に対する姿勢を、前記反射面の前記第1軸方向に離間した2つの位置に同時に照射した計測ビーム(DL)により計測する姿勢計測方法であって、上記の何れかに記載の面形状計測方法により前記反射面の面形状を計測するステップと、前記反射面に対して前記計測ビームを同時に照射して前記反射面からの反射光の各々を受光し、当該受光結果から前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測するステップと、前記面形状の計測結果に基づいて、前記反射面の傾きの計測結果を補正し、前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を得るステップとを含むことを特徴としている。
この発明によると、まず反射面の面形状が計測され、この面形状計測結果に基づいて反射面に計測ビームを照射して計測される反射面の傾きが補正されて基準平面に対する移動体の姿勢が得られる。
更に、本発明の露光方法は、第1軸(Z軸)と直交する基準平面(7)に沿って移動可動な移動体(WST)に保持される感光物体(W)上にマスク(R)のパターンを転写する露光方法において、上記の姿勢計測方法の計測結果に基づいて、前記移動体の移動を制御することを特徴としている。
この発明によると、露光時に反射面の傾きが補正された計測結果に基づいて移動体の移動が制御される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動体としてのステージ自体に歪みが生じていてもステージの位置検出精度を向上させることができるという効果がある。
また、計測ビームが照射される反射面の傾きを反射面の面形状計測結果に基づいて補正して移動体の姿勢を求めているため、ステージの基準平面に対する姿勢を高精度に計測することができるという効果がある。
更に、本発明によれば、露光時に反射面の傾きが補正された計測結果に基づいて移動体の移動が制御されるため、露光精度(解像度、転写忠実度、重ね合わせ精度等)を高めることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法について詳細に説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法が用いられる露光装置の概略構成を示す図である。図1に示す露光装置EXは、半導体素子を製造するための露光装置であり、マスクとしてのレチクルRと感光物体としてのウェハWとを同期移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンを逐次ウェハW上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影型の露光装置である。
【0014】
尚、以下の説明においては、必要であれば図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系は、X軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、Y軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、露光時におけるレチクルR及びウェハWの同期移動方向(走査方向)はY方向に設定されているものとする。
【0015】
図1に示す露光装置EXは、レチクルR上のスリット状(矩形状又は円弧状)の照明領域を均一な照度を有する露光光ELで照明する不図示の照明光学系と、レチクルRを保持するレチクルステージRSTと、レチクルRのパターンの像をフォトレジストが塗布されたウェハW上に投影する投影光学系PLと、ウェハWを保持する移動体としてのウェハステージWSTと、これらの制御系とを含んで構成されている。
【0016】
上記の不図示の照明光学系は、光源ユニット、オプティカル・インテグレータを含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、集光レンズ系、レチクルブラインド、及び結像レンズ系等(何れも不図示)を含んで構成されている。この照明光学系の構成等については、例えば特開平9−320956に開示されている。ここで、上記の光源ユニットとしては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、若しくはF2レーザ光源(波長157nm)、Kr2レーザ光源(波長146nm)、Ar2レーザ光源(波長126nm)等の紫外レーザ光源、銅蒸気レーザ光源、YAGレーザの高調波発生光源、固体レーザ(半導体レーザ等)の高調波発生装置、又は水銀ランプ(i線等)等も使用することができる。
【0017】
レチクルステージRSTは、照明光学系の下方(−Z方向)に水平に配置されたレチクル支持台(定盤)1の上面上を走査方向(Y方向)に所定ストロークで移動可能なレチクル走査ステージ2と、このレチクル走査ステージ2上に載置され、レチクル走査ステージ2に対してX方向、Y方向、及びZ軸回りの回転方向(θZ方向)にそれぞれ微小駆動可能なレチクル微動ステージ3とを備えている。このレチクル微動ステージ3上にレチクルRが真空吸着又は静電吸着等により保持される。
【0018】
上記レチクル微小駆動ステージ3上の一端には移動鏡4が設けられており、レチクル支持台1上にはレーザ干渉計(以下、レチクル干渉計という)5が配置されている。レチクル干渉計5から射出されたレーザ光は移動鏡4の鏡面に照射され、その反射光と参照光との干渉光をレチクル干渉計5が受光することによって、レチクル微小駆動ステージ3のX方向、Y方向、及びZ軸回りの回転方向(θZ方向)の位置が検出される。実際のレチクル微動ステージ3上には、X軸用の反射鏡、2個のY軸用の反射鏡が固定され、これに対応してレチクル干渉計5も複数設けられているが、図1ではこれらを代表して反射鏡4、レチクル干渉計5として図示している。尚、レチクルステージRSTは、レチクルRを保持するレチクルテーブルの微動機構(ボイスコイルモータ等のアクチュエータ)が組み込まれた可動体を、例えばリニアモータで走査方向(Y方向)に一次元駆動する構成でもよい。また、レチクル微動ステージ3(又はレチクルテーブル)の端面を鏡面加工して上記の固定鏡4の鏡面の代わりに用いても良い。
【0019】
上述のレチクル干渉計5により検出されたレチクル微動ステージ3の位置情報(又は速度情報)は、装置全体の動作を統轄制御する主制御系20に供給される。主制御系20は、レチクル走査ステージ2駆動用のリニアモータ、レチクル微動ステージ3駆動用のボイスコイルモータ等を含むレチクル駆動装置6を介してレチクル走査ステージ2及びレチクル微動ステージ3の動作を制御する。
【0020】
上述した投影光学系PLは、複数の屈折光学素子(レンズ素子)を含んで構成され、物体面(レチクルR)側と像面(ウェハW)側の両方がテレセントリックで所定の縮小倍率β(βは例えば1/4,1/5等)を有する屈折光学系が使用されている。この投影光学系PLの光軸AXの方向は、XY平面に直交するZ方向とされている。尚、投影光学系PLが備える複数のレンズ素子の硝材は、露光光ELの波長に応じて、例えば石英又は蛍石が用いられる。また、本実施形態では、レチクルRに形成されたパターンの倒立像をウェハW上に投影する投影光学系PLを例に挙げて説明するが、勿論パターンの正立像を投影するものであっても良い。
【0021】
ウェハステージWSTは、投影光学系PLの下方(−Z方向)に配置されており、ウェハXY駆動ステージ8、支点9a〜9b、ウェハテーブル10、及びウェハホルダ11を含んで構成されている。ウェハXY駆動ステージ8は、ウェハ支持台(定盤)7の上面(基準平面)上をX方向及びY方向に移動可能に構成されており、このウェハXY駆動ステージ8上にZ方向に伸縮自在な3個の支点9a〜9cが設けられている。ウェハテーブル10は、支点9a〜9b上に載置されており、支点9a〜9bの伸縮量を制御することでZ方向の微動(X軸回りの回転及びY軸回りの回転を含む)が可能である。ウェハテーブル10上に設けられたウェハホルダ11上にウェハWが真空吸着又は静電吸着等により保持される。このウェハホルダ11の上面が物体載置面となる。
【0022】
ウェハテーブル10上の一端には移動鏡12が設けられており、ウェハステージWSTの外部にはレーザ光を移動鏡12の鏡面(反射面)に照射するレーザ干渉計(以下、ウェハ干渉計という)13が設けられている。このウェハ干渉計13は、移動鏡12の鏡面にレーザ光を照射して得られる反射光と参照光との干渉光を受光することによって、ウェハテーブル10のX方向及びY方向の位置、並びに姿勢(X軸,Y軸,Z軸周りの回転)が検出される。次に、ウェハステージWST及びウェハ干渉計13のより詳細な構成について説明する。
【0023】
図2は、ウェハステージWST及びウェハ干渉計13の構成を示す斜視図である。図2に示す通り、ウェハテーブル10を支持する3つの支点9a〜9cは、例えばウェハウェハテーブル10の中心に関して各々が互いに120°の角度をなすように配置されている。これらの支点9a〜9cの変位は、それぞれに付随したエンコーダEa〜Ecによって検出される。支点9a〜9cは、例えばロータリーモータ及びカムを使用する方式、積層型圧電素子(ピエゾ素子)、又はボイスコイルモータ(ここではボイスコイルモータとする)等を使用して構成される。エンコーダEa〜Ecは、支点9a〜9cの近傍にそれぞれ配置されており、エンコーダEa〜Ecとしては光学式又は静電容量式等のリニアエンコーダを用いることができる。尚、支点9a〜9cの変位(駆動量)を検出するセンサEa〜Ecはエンコーダに限られるものでなく任意で構わない。
【0024】
3個の支点9a〜9cは主制御系22により制御される。支点9a〜9cを均等に伸縮させることにより、ウェハテーブル10のZ方向の位置(焦点位置)を調整することができ、3個の支点9a〜9cの伸縮量を個別に調整することにより、ウェハテーブル10のX軸及びY軸の回りの傾斜角を調整することができる。3個のエンコーダEa〜Ecから得られたZ軸方向の検出値(変位量)は主制御系20に供給される。主制御系20は、各エンコーダEa〜Ecの検出値及び各エンコーダEa〜Ecの配置(XY平面内での位置関係)に基づき、ウェハWのZ軸方向の位置、X軸回りの傾斜角及びY軸回りの傾斜角を求める。
【0025】
図1において簡略化して図示した移動鏡12は、図2に示す通り、X軸に交差してY方向に沿って延びる鏡面を有するX軸用の移動鏡12Xと、Y軸に交差してX方向に沿って延びる鏡面を有するY軸用の移動鏡12Yとを含んで構成される。また、図1において簡略化して図示したウェハ干渉計13は、図2に示す通り、移動鏡12Xに対してレーザ光を照射するウェハ干渉計13X,13XPと、移動鏡12Yに対してレーザ光を照射するウェハ干渉計13Y,13YPとを含んで構成される。
【0026】
ウェハ干渉計13Xは、移動鏡12Xの鏡面に対してZ方向の位置は同じであるがY方向の位置が異なる二箇所にレーザ光を照射し、移動鏡12Xからの反射光を受光してウェハテーブル10のX方向の位置及びウェハテーブル10のZ軸周りの回転量(ヨーイング量)を検出する。また、ウェハ干渉計13XPは、移動鏡12Xの鏡面に対してY方向の位置は同じであるがZ方向の位置が異なる二箇所にレーザ光を照射し、移動鏡12Xからの反射光を受光してウェハテーブル10のY軸周りの回転量(ローリング量)を検出する。
【0027】
同様に、ウェハ干渉計13Yは、移動鏡12Yの鏡面に対してZ方向の位置は同じであるがX方向の位置が異なる二箇所にレーザ光を照射し、移動鏡12Yからの反射光を受光してウェハテーブル10のY方向の位置及びウェハテーブル10のZ軸周りの回転量(ヨーイング量)を検出する。また、ウェハ干渉計13YPは、移動鏡12Yの鏡面に対してX方向の位置は同じであるがZ方向の位置が異なる二箇所にレーザ光を照射し、移動鏡12Yからの反射光を受光してウェハテーブル10(ウェハステージWST)のX軸周りの回転量(ピッチング量)を検出する。ウェハ干渉計13X,13XP,13Y,13YPの検出結果は主制御系20に供給される。
【0028】
主制御系20は、ウェハ干渉計13X,13XP,13Y,13YPの検出結果に基づいて図1に示すウェハ駆動装置14を介してウェハテーブル10の位置及び姿勢を制御するとともに、装置全体の動作を制御する。また、ウェハ干渉計13の検出結果により得られる座標により規定されるウェハ座標系と、レチクルR側のレチクル干渉計5の検出結果により得られる座標により規定されるレチクル座標系との対応をとるために、図1に示す通り、ウェハテーブル10上であってウェハホルダ11の近傍には基準マーク板15が固定されている。この基準マーク板15上には各種基準マークが形成されている。これらの基準マークの中にはウェハテーブル10の内部に導かれた照明光により裏側から照明されている基準マーク、即ち発光性の基準マークも設けられている。
【0029】
本実施形態の露光装置EXは、レチクルRの上方に配置され、基準マーク板15上の基準マークとレチクルRに形成された位置合わせ用マーク(レチクルアライメントマーク)とを同時に観察するためのレチクルアライメントセンサ16a,16bを備えている。これらのレチクルアライメントセンサ16a,16bの観察結果(計測結果)は、主制御系20に供給される。レチクルアライメントセンサ16a,16bには、レチクルRからの検出光を各々に導くための偏向ミラー17a,17bがそれぞれ移動自在に配置されている。これらの偏向ミラー17a,17bは、露光シーケンスが開始されると、主制御系20からの指令のもとで、ミラー駆動装置18a,18bによりそれぞれ待避される。
【0030】
また、投影光学系PLのY方向の側面部には、ウェハW上に設定されたショット領域に付設されたアライメントマーク(ウェハアライメントマーク)を観察するための画像処理方式のオフ・アクシス・アライメントセンサ(以下、ウェハアライメントセンサという)19が配置されている。ウェハアライメントセンサ19の観察結果(計測結果)は、主制御系20に供給される。ウェハアライメントセンサ19の光学系の光軸は、投影光学系PLの光軸AXと平行とされている。かかるアライメントセンサ19の詳細な構成は、例えば特開平9−219354号公報及びこれに対応する米国特許第5,859,707号等に開示されている。
【0031】
更に、本実施形態の露光装置EXは、送光系21a及び受光系21bから構成され、投影光学系PLに関してレチクルR上の照明領域と共役なウェハW上の露光領域の内部及びその近傍に設定された複数の検出点でそれぞれウェハWの表面のZ方向(光軸AX方向)の位置を検出する多点フォーカス位置検出系21を投影光学系PLの側方に備える。多点フォーカス位置検出系21は、ウェハW表面のZ方向の位置及び姿勢(レベリング)を検出するものである。図3は、斜め入射式の多点フォーカス位置検出系21の構成を示す図である。図3に示した斜め入射式の多点フォーカス位置検出系21には、露光光ELの波長域とは異なりウェハW上のフォトレジストを感光させない波長域を有する照明光が、不図示の照明光源から光ファイバ束22を介して導かれている。
【0032】
光ファイバ束22から射出された照明光は、集光レンズ23を経てパターン形成板24を照明する。図4は、パターン形成板24の構成例を示す断面図である。図4に示す通り、パターン形成板24には、第1列目に9個のスリット状の開口パターン34−11〜34−19が形成され、第2列目〜第5列目にもそれぞれ9個の開口パターン34−21〜34−29,34−31〜34−39,34−41〜34−49,34−51〜34−59が形成されている。即ち、パターン形成板24には、合計で45個のスリット状の開口パターンが形成されており、これらのスリット状の開口パターンの像が図1のウェハWの表面上にX軸及びY軸に対して斜めに投影される。
【0033】
パターン形成板24を透過した照明光は、レンズ25、ミラー26、及び照射対物レンズ27を経てウェハWの表面に投影され、ウェハWの表面にはパターン形成板24上のパターンの像が投影光学系PLの光軸AXに対して斜めに投影結像される。図5は、ウェハW上の露光領域の内部及びその近傍に設定された複数の検出点に投影される開口パターンの投影像を示す図である。図5において、符号EFが付された矩形状の領域は前述した露光領域を示している。この露光領域EF内にレチクルRのパターンの像が投影される。
【0034】
図4に示した開口パターン34−11〜34−19,34−21〜34−29,34−31〜34−39,34−41〜34−49,34−51〜34−59の像はウェハWの表面に対してX軸及びY軸に対して45度で交差する方向から照射されるため、X軸及びY軸に対して45度の角度をなす方向に長手方向が伸びた像となる。これらの像が投影される検出点は、図5に示す通りX方向及びY方向に沿って配列されている。露光領域EFの+Y方向側において配列された検出点D11〜D19が第1列C1をなし、露光領域EFの内部において配列された検出点D21〜D29、検出点D31〜D39、及び検出点D41〜D49がそれぞれ、第2列C2、第3列C3、及び第4列C4をなし、露光領域EFの−Y方向側において配列された検出点D51〜D59が第5列C5をなしている。
【0035】
ウェハWで反射された照明光は、集光対物レンズ28、回転方向振動板29、及び結像レンズ30を経て受光器31の受光面に再投影され、受光器31の受光面にはパターン形成板24上のパターンの像が再結像される。受光器31の受光面には、パターン形成板24と相似形に開口部が配列された遮光板(図示省略)が設けられる。ここで、加振装置33は、振動子を一定周波数及び一定振幅で振動させ、該振動子の一部を鏡面加工して形成された回転方向振動板29に振動を与えているので、受光器31に投影される像の位置は遮光板に形成された開口部の長手方向に垂直な方向、つまり開口部の幅方向に振動する。受光器31の多数の受光素子からの検出信号は信号処理装置32に供給される。信号処理装置32は、供給されてくる各検出信号を加振装置33の駆動信号で同期検波して検出点D11〜D19,D21〜D29,D31〜D39,41〜D49,D51〜D59のフォーカス位置にそれぞれ対応する45個のフォーカス信号を得る。
【0036】
ここで、図5に示した通り、第2列C2の検出点D21〜D29及び第4列C4の検出点D41〜D49が露光領域EFの周辺部に配置され、第3列C3の検出点D31〜D39が露光領域EFの内部に配置されており、第1列C1の検出点D11〜D19及び第5列C5の検出点D51〜D59が露光領域EF外に配置されている。検出点D11〜D19,D51〜D59を露光領域EF外に配置するのは、ウェハWが+Y方向に走査されている場合に第5列C5の検出点D51〜D59における検出結果を用いて、これから露光される領域の表面形状を予め計測するためである。また、同様にウェハWが−Y方向に走査されている場合に第1列C1の検出点D11〜D19における検出結果を用いて、これから露光される領域の表面形状を予め計測するためである。そして、第1列C1の検出点D11〜D19における検出結果又は第5列5の検出点D51〜D59における検出結果を用いてこれから露光される部分に対してウェハWの姿勢制御を行うようにしている。
【0037】
次に、上記構成の露光装置EXにおいて用いられる面形状計測方法及び姿勢計測方法について説明する。図6は、本発明の第1実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。尚、ここでは、ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明する。本明細書中において、面形状とは移動鏡12Yの凹凸のみならず移動鏡12Yの鏡面の傾き(Z軸に対する傾き)を含むものである。尚、本実施形態では理解を容易にするために移動鏡12Yの鏡面の傾き(ピッチング量)を計測する場合を中心に説明する。
【0038】
まず、平坦度が保証されたウェハ(例えば、表面の平坦度が多点フォーカス位置検出系21の計測精度よりも高いウェハ)又は予め平坦度が分かっているウェハ(以下、テストウェハという)を露光装置EX内に搬入してウェハステージWSTに設けられたウェハホルダ11上に配置する(ステップS11)。このテストウェハの搬入は、露光装置EXに設けられた不図示のウェハ搬送装置を用いて通常のウェハWを露光装置EX内に搬入する場合と同様に行う。
【0039】
テストウェハの搬入を終えると、ウェハ干渉計13YPと多点フォーカス位置検出系21とを所定の条件に較正する(ステップS12)。ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21の較正が行われた状態においては、多点フォーカス位置検出系21の計測結果で示されるテストウェハ(ウェハステージWST)のレベリング量θAFが0[rad]となるようにウェハステージWSTをX軸周りの回転方向に駆動すると、ウェハ干渉計13YPの検出結果から移動鏡12Yの鏡面の傾き量(ピッチング量)θIFが得られる。
【0040】
図7は、テストウェハ(ウェハステージWST)のレベリング量θAFと移動鏡12Yの鏡面のピッチング量θIFとを説明するための図である。図7においては、ウェハ干渉計13YPから移動鏡12Yの鏡に面対してX方向の位置は同じであるがZ方向の位置が異なる二箇所に照射されるレーザ光LB1,LB2と、多点フォーカス位置検出系21からテストウェハ上に照射される照明光DLとを図示している。ウェハ干渉計13YPから移動鏡12Yの鏡面に対して照射されるレーザ光LB1,LB2の光路差によりウェハステージWSTのピッチング量が検出される。
【0041】
ここで、移動鏡12Yの鏡面を理想的な平面とみなすことができるとともに、ウェハテーブル10に対して移動鏡12Yが理想的に取り付けられているのであれば、図7(a)に示す通り、多点フォーカス位置検出系21で計測されるウェハステージWSTのレベリング量θAFが0[rad]のときにウェハ干渉計13YPで計測される移動鏡12Yの鏡面のピッチング量θIFも0[rad]となる。
【0042】
しかしながら、実際には移動鏡12Yの鏡面には多少の歪みが生じており、またウェハテーブル10に対して移動鏡12Yは傾いて取りつけられている。この場合、図7(b)に示す通り、多点フォーカス位置検出系21で計測されるウェハステージWSTのレベリング量θAFが0[rad]であってもウェハ干渉計13YPで計測される移動鏡12Yの鏡面のピッチング量θIFも0[rad]とはならない。つまり、θAF≠θIFとなる。このような事態は、ウェハテーブル10(ウェハステージWST)の歪みがある場合にも生ずる。このため、本実施形態では、ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測している。
【0043】
ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21の較正が行われた状態において、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTを所定の計測開始位置に移動させる。この計測開始位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の一方の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0044】
ウェハステージWSTの移動が完了すると、主制御系20はウェハ干渉計13YPの検出結果から計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを計測する(ステップS13)。次に、主制御系20は、計測された移動鏡12Yのピッチング量θIFに基づいて図2に示す3個の支点9a〜9cの伸縮量を調整して計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFが零となるようにウェハステージWSTのレベリング量(ウェハステージWSTの姿勢)を制御する(ステップS14)。
【0045】
次に、主制御系20は、多点フォーカス位置検出系21を用いてウェハステージWSTのレベリング量θAFを計測する(ステップS15)。これによって、計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを零としたときのウェハステージWSTのレベリング量θAFが求められる。このレベリング量が得られると、主制御系20は、得られたレベリング量θAFをウェハステージWSTのX方向の位置に対応付けて記憶する。
【0046】
次いで、主制御系20は、予め設定された計測範囲についての計測が終了したか否かを判断する(ステップS16)。この判断は、ウェハステージWSTが計測終了位置に達したか否かにより行う。この計測終了位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の他端の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0047】
予め設定された計測範囲についての計測が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTをX方向に予め設定された微小距離だけ移動させる(ステップS17)。そして、ウェハステージWSTを移動させた後は、ステップS13〜ステップS15の処理を行う。ステップS16の判断結果が「NO」である間は、ステップS13〜ステップS17の処理が繰り返され、判断結果が「YES」になると、露光装置EXからテストウェハが搬出されて一連の計測処理は終了する。以上説明した処理により、予め設定されたX方向の計測範囲内において、常に移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを零に設定したときのウェハステージWSTのレベリング量の分布が求められる。尚、この分布は、移動鏡12Yの鏡面を基準にした移動鏡12Yの鏡面の面形状を示すものである。
【0048】
以上の処理を行って移動鏡12Yの鏡面の面形状が計測されると、この面形状はウェハステージWSTのY方向における位置及びウェハステージWSTのレベリング量を計測するために用いられる。つまり、ウェハ干渉計13Y,13YPから移動鏡12Yの鏡面に対して照射されるレーザ光の各々を受光して得られるウェハステージWSTのY方向の位置及びレベリング量は、移動鏡12Yの面形状に影響されたものである。このため、主制御系20は、ウェハステージWSTのX方向の位置に応じて、その位置に対応付けて記憶されているレベリング量を読み出し、ウェハ干渉計13Y,13YPの検出結果から計測されたY方向の位置及びピッチング量をそれぞれ補正する。この処理によって移動鏡12Yの面形状による影響が排除されるため、主制御系20は、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTのY方向の位置及び姿勢を制御する。
【0049】
以上説明した通り、本実施形態の面形状計測方法によれば、移動鏡14Yの鏡面に歪みが生じ、又はウェハテーブル10自体に歪みが生じていても、Y方向の位置検出精度を向上させることができる。また、本実施形態の姿勢計測方法によれば、面形状計測方法と同様に、移動鏡14Yの鏡面に歪みが生じ、又はウェハテーブル10自体に歪みが生じていても、ウェハステージWSTのレベリング量を高精度に計測することができる。
【0050】
尚、以上の実施形態では、ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明したが、ウェハ干渉計13XP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Xの鏡面の面形状も同様に計測することができる。この場合には、計測時のウェハステージWSTの移動方向(図6中のステップS17における移動方向)はY方向になる。
【0051】
以上説明した露光装置EXを用いてウェハWを露光する場合には、不図示のウェハ搬送装置により露光処理が行われるウェハWが露光装置EX内に搬入されてウェハホルダ11上に保持されるとともに、所定のレチクルRがレチクルステージRST上に保持される。ウェハW及びレチクルRの搬入が完了すると、主制御系20はウェハステージWSTを駆動してウェハWをウェハアライメントセンサ19の下方(−Z方向)に配置し、ウェハアライメントセンサ19を用いて、ウェハW上の代表的なウェハアライメントマーク数個(3〜9個程度)の位置計測を行ってEGA演算が行われ、ウェハW上の全ショット領域の配列座標を求める。
【0052】
次に、主制御系20は、上記のEGA演算によって得られたウェハW上におけるショット領域の座標値をベースライン量(投影光学系PLを介した投影像の投影中心と、ウェハアライメントセンサ19の計測視野中心との距離)で補正した座標値を求める。この補正した座標値を用いてウェハステージWSTを駆動すればウェハW上の各ショット領域を投影光学系PLの露光領域に位置合わせすることができる。本実施形態の露光装置EXは、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、ショット領域を露光する場合には、レチクルステージRSTとウェハステージWSTとを走査開始位置に移動させた後で加速させ、各々が所定の速度に達して同期がとれてから、露光光ELを射出させてレチクルRを照明し、レチクルRのパターンの像を投影光学系PLを介してウェハW上に投影する。
【0053】
走査時には、露光領域にレチクルRの一部のパターン像が投影され、投影光学系PLに対して、レチクルRが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、ウェハWが+X方向(又は−X方向)に速度V/β(1/βは投影光学系PLの投影倍率)で移動することにより、逐次ショット領域にレチクルRのパターンが転写される。前述した面形状計測方法によって移動鏡12X,12Yの面形状は予め求められており、走査露光中は、ウェハ干渉計13X,13XP,13Y,13YPの計測結果の各々が補正され、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTの位置及び姿勢の制御が行われる。
【0054】
1つのショット領域に対する露光処理が終了すると、主制御系20はウェハステージWSTをステッピング移動させて次のショット領域を走査開始位置に移動させるとともにレチクルステージRSTを走査開始位置に移動させた後、これら両ステージの移動を開始させて各々が一定速度に達して同期が取れてからレチクルRに露光光ILを照射して露光を開始してそのショット領域を露光する。以下同様に他のショット領域の露光処理が行われる。以上説明したように、本実施形態によれば、露光時にウェハ干渉計13X,13XP,13Y,13YPの計測結果の各々が補正され、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTの位置及び姿勢の制御及びレチクルステージRSTとの相対位置制御が行われるため、露光精度(解像度、転写忠実度、重ね合わせ精度等)を高めることができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法は、図1に示す露光装置EXを用いて行われる。上述した本発明の第1実施形態は移動鏡12Yの鏡面を基準にしたレベリング量θAFから移動鏡12Yの鏡面の面形状を求めていたが、本実施形態はウェハステージWSTの姿勢(多点フォーカス位置検出系21の検出結果:レベリング量)を基準にして移動鏡12Yの鏡面の面形状を求めている。図8は、本発明の第2実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。尚、本実施形態においても、第1実施形態と同様にウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明するが、ウェハ干渉計13XP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Xの鏡面の面形状を計測する場合も以下に説明する方法と同様の方法で計測することができる。
【0056】
まず、第1実施形態と同様に、テストウェハを露光装置EX内に搬入してウェハステージWSTに設けられたウェハホルダ11上に配置し(ステップS21)、その後でウェハ干渉計13YPと多点フォーカス位置検出系21とを所定の条件に較正する(ステップS22)。ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21の較正が行われた状態において、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTを所定の計測開始位置に移動させる。この計測開始位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の一方の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0057】
ウェハステージWSTの移動が完了すると、主制御系20は、多点フォーカス位置検出系21を用いてウェハステージWSTの姿勢を示す量(レベリング量)θAFを計測する(ステップS23)。次に、主制御系20は、計測されたウェハステージWSTのレベリング量θAFに基づいてに基づいて図2に示す3個の支点9a〜9cの伸縮量を調整してウェハステージWSTを所定の姿勢に制御する(ステップS24)。ここで行われる制御は、例えばテストウェハWの表面を水平にし、又はウェハ支持台7の上面に対して平行にする制御である。
【0058】
次に、主制御系20は、ウェハ干渉計13YPの検出結果から計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対する傾き(ピッチング量)θIFを計測する(ステップS25)。これによって、計測開始位置におけるウェハステージWSTの姿勢を所定の姿勢にしたときの移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFが求められる。このピッチング量が得られると、主制御系20は、得られたピッチング量θIFをウェハステージWSTのX方向の位置に対応付けて記憶する。次いで、主制御系20は、予め設定された計測範囲についての計測が終了したか否かを判断する(ステップS26)。この判断は、ウェハステージWSTが計測終了位置に達したか否かにより行う。この計測終了位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の他端の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0059】
予め設定された計測範囲についての計測が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTをX方向に予め設定された微小距離だけ移動させる(ステップS27)。そして、ウェハステージWSTを移動させた後は、ステップS23〜ステップS25の処理を行う。ステップS26の判断結果が「NO」である間は、ステップS23〜ステップS27の処理が繰り返され、判断結果が「YES」になると、露光装置EXからテストウェハが搬出されて一連の計測処理は終了する。以上説明した処理により、予め設定されたX方向の計測範囲内において、常にウェハステージWSTを所定の姿勢に制御したときの移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFの分布が求められる。尚、この分布は、テストウェハの表面を基準にした移動鏡12Yの鏡面の面形状を示すものである。
【0060】
以上の処理を行って移動鏡12Yの鏡面の面形状が計測されると、この面形状は第1実施形態と同様に、ウェハ干渉計13Y,13YPの検出結果から計測されたY方向の位置及びピッチング量をそれぞれ補正してウェハステージWSTのY方向における位置及びウェハステージWSTのレベリング量を計測するために用いられる。そして、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTのY方向の位置及び姿勢が制御される。
【0061】
以上説明した通り、本実施形態においても移動鏡14Yの鏡面の平坦度が悪く、ウェハテーブル10に対する移動鏡14Yの取り付け誤差が大きく、又はウェハテーブル10自体に歪みが生じていても、Y方向の位置検出精度を向上させることができ、ウェハステージWSTのレベリング量を高精度に計測することができる。
【0062】
〔第3実施形態〕
以上説明した第1,第2実施形態はウェハWの表面のZ方向(光軸AX方向)の位置を複数の検出点で検出する多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡の鏡面の面形状を計測していたが、本発明の第3実施形態はウェハWの表面のZ方向の位置を1点の検出点で検出するフォーカス位置検出系を用いて移動鏡の鏡面の面形状を計測している。図9は、本発明の第3実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。尚、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明するが、移動鏡12Xの鏡面の面形状を計測する場合も以下に説明する方法と同様の方法で計測することができる。
【0063】
まず、第1実施形態と同様に、テストウェハを露光装置EX内に搬入してウェハステージWSTに設けられたウェハホルダ11上に配置し(ステップS31)、その後でウェハ干渉計13YPとフォーカス位置検出系とを所定の条件に較正する(ステップS32)。ウェハ干渉計13YP及びフォーカス位置検出系の較正が行われた状態において、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTを所定の計測開始位置に移動させる。この計測開始位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の一方の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0064】
ウェハステージWSTの移動が完了すると、主制御系20はウェハ干渉計13YPの検出結果から計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを計測する(ステップS33)。次に、主制御系20は、計測された移動鏡12Yのピッチング量θIFに基づいて図2に示す3個の支点9a〜9cの伸縮量を調整して計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFが零となるようにウェハステージWSTのレベリング量(ウェハステージWSTの姿勢)を制御する(ステップS34)。
【0065】
次に、主制御系20は、フォーカス位置検出系を用いてテストウェハの表面のZ方向の位置を1点の検出点で検出する(ステップS35)。ステップS35の検出が終了すると、主制御系20は、ウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTを移動鏡12Yの鏡面に交差する方向であるY方向に所定量(ΔY)だけ移動させ(ステップS36)、その後でフォーカス位置検出系を用いてテストウェハの表面のZ方向の位置を1点の検出点で検出する(ステップS37)。
【0066】
図10は、本発明の第3実施形態において、ウェハステージWSTの姿勢を計測する様子を示す図である。図9中のステップS35に示す処理において、例えばウェハステージWSTが図10中の実線で示す位置にあるとすると、このときのテストウェハの表面の1点のZ方向の位置が検出される。図10に示す例では、フォーカス位置検出系からの照明光DL1が、テストウェハ表面上の符号P1で指し示す箇所に照射され、この照射位置のZ方向の位置が検出される。
【0067】
次に、図9中のステップS36に示す処理において、ウェハステージWSTがY方向にΔXだけ移動させる。これにより、ウェハステージWSTは、図10中の破線で示す位置に配置されたとする。ウェハステージWSTの移動により、フォーカス位置検出系からの照明光DL1は符号P1で指し示す箇所以外の箇所(符号P2で指し示す箇所)に照射される。仮に、テストウェハの表面がXY平面に平行であれば、ウェハステージWSTを移動させても符号P1で指し示す箇所のZ方向の位置と、符号P2で指し示す箇所のZ方向の位置は変化しない。しかしながら、ウェハステージWSTが傾斜していると、これらのZ方向の位置がΔZだけ変化する。
【0068】
このため、主制御系20は、ステップS35の検出結果とステップS37の検出結果とからウェハステージWSTをΔYだけ移動させたときのテストウェハの表面位置の変化量ΔZを求める。そして、この変化量ΔZと移動量ΔYとを用いて以下の(1)式からウェハステージWSTのレベリング量θAFを算出する(ステップS38)。
ΔAF=ΔY/ΔZ …(1)
以上の処理によって、計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを零としたときのウェハステージWSTのレベリング量θAFが求められる。このレベリング量が得られると、主制御系20は、得られたレベリング量θAFをウェハステージWSTのX方向の位置に対応付けて記憶する。
【0069】
次いで、主制御系20は、予め設定された計測範囲についての計測が終了したか否かを判断する(ステップS39)。この判断は、ウェハステージWSTが計測終了位置に達したか否かにより行う。この計測終了位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の他端の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。予め設定された計測範囲についての計測が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTをX方向に予め設定された微小距離だけ移動させる(ステップS40)。そして、ウェハステージWSTを移動させた後は、ステップS33〜ステップS38の処理を行う。
【0070】
ステップS39の判断結果が「NO」である間は、ステップS33〜ステップS40の処理が繰り返され、判断結果が「YES」になると、露光装置EXからテストウェハが搬出されて一連の計測処理は終了する。以上説明した処理により、予め設定されたX方向の計測範囲内において、常に移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを零に設定したときのウェハステージWSTのレベリング量の分布が求められる。尚、この分布は、移動鏡12Yの鏡面を基準にした移動鏡12Yの鏡面の面形状を示すものである。
【0071】
以上の処理を行って移動鏡12Yの鏡面の面形状が計測されると、この面形状は第1実施形態と同様に、ウェハ干渉計13Y,13YPの検出結果から計測されたY方向の位置及びピッチング量をそれぞれ補正してウェハステージWSTのY方向における位置及びウェハステージWSTのレベリング量を計測するために用いられる。そして、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTのY方向の位置及び姿勢が制御される。以上説明した通り、本実施形態においても移動鏡14Yの鏡面の平坦度が悪く、ウェハテーブル10に対する移動鏡14Yの取り付け誤差が大きく、又はウェハテーブル10自体に歪みが生じていても、Y方向の位置検出精度を向上させることができ、ウェハステージWSTのレベリング量を高精度に計測することができる。
【0072】
以上、ウェハWの表面のZ方向の位置を1点の検出点で検出するフォーカス位置検出系を用いて移動鏡12Yの鏡面を基準にした移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合について説明したが、このフォーカス位置検出系を用いて図8に示すフローチャートとほぼ同様の手順で移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測することができる。かかる計測を行う場合には、図8において「多点フォーカス位置検出系」を「フォーカス位置検出系」と読み替えるとともに、図8中のステップS23を図9中のS35〜S38に置き換えればよい。
【0073】
尚、以上説明した第1〜第3実施形態では、テストウェハをウェハホルダ11上に配置した状態で移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明したが、上面が鏡面加工されて平坦度が保証されたウェハホルダ又は平坦度が分かっているウェハホルダを備えるウェハステージWSTの場合には、テストウェハを用いずに、多点フォーカス位置検出系21が備える送光系21aからの照明光をウェハホルダの上面に照射してウェハステージWSTの姿勢を計測しても良い。
【0074】
また、図11に示す通り、上面が鏡面加工されて平坦度が保証された反射板又は平坦度が分かっている反射板40X,40Yをウェハテーブル10上に設けておき、多点フォーカス位置検出系21からの照明光DL、又は不図示のフォーカス位置検出系からの照明光DL1を反射板40X,40Yに照射してウェハステージWSTの姿勢を計測しても良い。図11は、ウェハテーブル10上に反射板40X,40Yを備えるウェハステージWSTを示す斜視図である。
【0075】
図11に示す例では、高さ位置がウェハWの高さ位置とほぼ同じであって長手方向がY方向に設定された反射板40Xと、高さ位置がウェハWの高さ位置とほぼ同じであって長手方向がX方向に設定された反射板40Yとがウェハテーブル10上のウェハホルダ11の近傍に設けられている。反射板40X,40Yの長手方向の長さはウェハWの直径と同程度に設定されており、ウェハWの中心を通ってX軸に平行な直線上に反射板40Xの中央部が配置され、ウェハWの中心を通ってY軸に平行な直線上に反射板40Yの中央部が配置されている。
【0076】
移動鏡12Xの鏡面の面形状を計測する場合には、多点フォーカス位置検出系21からの照明光DL、又は不図示のフォーカス位置検出系からの照明光DL1を反射鏡40Xの上面に照射してウェハステージWSTの姿勢を計測する。また、移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測するときには、多点フォーカス位置検出系21からの照明光DL、又は不図示のフォーカス位置検出系からの照明光DL1を反射鏡40Yの上面に照射してウェハステージWSTの姿勢を計測する。
【0077】
更に、ウェハステージWSTの姿勢を多点フォーカス位置検出系21用いて計測する場合において、上記の実施形態では露光領域EFの±Y方向に検出点D11〜D19,D51〜D59がそれぞれ設定された多点フォーカス位置検出系21を例に挙げて説明した。しかしながら、多点フォーカス位置検出系21は、露光領域EFの内部及び外部の一方のみに検出点が設定されているもの、又は、露光領域EFの内部のみに検出点が設定されているものを用いることもできる。また、上記の多点フォーカス位置検出系21は、45箇所の検出点が設定されたものを例に挙げて説明したが、少なくともウェハW上の異なる2箇所に検出点が設定されていればよい。更には、検出点の配置は任意で良い。
【0078】
また、上記実施形態においては、主にウェハステージWSTに設けられた移動鏡12(12X,12Y)の面形状を計測する場合を説明したが、レチクルステージRSTに設けられた移動鏡4の鏡面の面形状を計測する場合にも本発明を適用することができる。更に、本発明は、露光装置EXが備えるレチクルステージRST及びウェハステージWSTに設けられる移動鏡の鏡面の面形状を計測する場合に限られる訳ではなく、物体を載置して移動可能に構成されたステージ装置に設けられた移動鏡の鏡面の面形状を計測する場合一般についても適用することができる。
【0079】
また、上記露光装置EXとしてステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影型の露光装置を例に挙げたが、スキャニング・ステッパ等の走査露光型の投影露光装置にも本発明を適用することができる。また、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。
【0080】
更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0081】
また、本発明は、国際公開第99/49504号公報に開示されているような液浸法を用いる露光装置にも適用することができる。ここで、本発明は、投影光学系PLとウェハWとの間を局所的に液体で満たす液浸露光装置、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する液浸露光装置の何れの露光装置にも適用可能である。
【0082】
図12は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造工程の一例を示すフローチャートである。半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図11に示す通り、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップS51、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップS52、デバイスの基材である基板(ウェハ)を製造するステップS53、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に転写する露光処理ステップS54、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)S55、検査ステップS56等を経て製造される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態による面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法が用いられる露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】ウェハステージWST及びウェハ干渉計13の構成を示す斜視図である。
【図3】斜め入射式の多点フォーカス位置検出系21の構成を示す図である。
【図4】パターン形成板24の構成例を示す断面図である。
【図5】ウェハW上の露光領域の内部及びその近傍に設定された複数の検出点に投影される開口パターンの投影像を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。
【図7】テストウェハ(ウェハステージWST)のレベリング量θAFと移動鏡12Yの鏡面のピッチング量θIFとを説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態において、ウェハステージWSTの姿勢を計測する様子を示す図である。
【図11】ウェハテーブル10上に反射板40X,40Yを備えるウェハステージWSTを示す斜視図である。
【図12】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
7 ウェハ支持台(基準平面)
12,12X,12Y 移動鏡(反射面)
DL 照明光(計測ビーム)
R レチクル(マスク)
W ウェハ(感光物体)
WST ウェハステージ(移動体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設けられた反射面の形状を計測する面形状計測方法、当該方法の計測結果を用いて移動体の基準平面に対する姿勢を計測する姿勢計測方法、及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体素子、液晶表示素子、その他のデバイスを製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、これらを総称する場合にはマスクという)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウェハ又はガラスプレート等の基板上に転写する露光装置が用いられている。露光装置としては、所謂ステッパ等の静止露光型の投影露光装置や、所謂スキャニング・ステッパ等の走査露光型の投影露光装置が主として用いられている。これらの投影露光装置では、マスクに形成されたパターンを基板上の複数のショット領域に順次転写する必要があるため、基板を保持して二次元移動可能な基板ステージが設けられている。また、上記の走査露光型の投影露光装置の場合には、マスクを保持するマスクステージも走査方向に移動可能となっている。
【0003】
かかる投影露光装置においては、極めて微細な構造を有する回路パターンを基板に転写するため、基板とマスクとの位置制御を高精度に行う必要がある。このため、基板ステージ及びマスクステージに設けられた反射鏡に対してレーザ干渉計からの測長ビームを照射し、その反射光と参照光との干渉光のフリンジパターン又は位相差に基づいて各々のステージの位置情報が高精度に検出され、この検出結果に基づいて各々のステージの高精度な位置制御が行われている。
【0004】
ところで、このような基板ステージ及びマスクステージの位置検出においては、各ステージに設けられた反射鏡の鏡面にうねり又はねじれがあると、レーザ干渉計による検出値に誤差が生じ、検出精度の低下を招く虞がある。このため、反射鏡の鏡面の面形状(二次元形状)を測定し、その測定結果に基づいて、レーザ干渉計の検出結果を補正することが行われる。反射鏡の鏡面の面形状の測定技術としては、例えば、本願出願人による以下の特許文献1に記載された技術が知られている。
【0005】
この技術では、反射鏡の短手方向(高さ方向)の2箇所(以下、上段、下段という場合がある)のそれぞれにおいて、反射鏡の長手方向に沿う一次元形状をそれぞれ適宜な基準に基づいて測定するとともに、上段の測定値と下段の測定値の相対関係(ここでは反射面に直交する方向のオフセット)を以下のようにして求めることにより、反射鏡の鏡面の面形状を特定するようにしている。
【0006】
即ち、所定の関係で配列された複数の基準マークが形成された計測用基板を、基準マークの配列方向と基板ステージの軸方向が厳密に一致するように基板ステージ上に載置して、前記上段1次元形状測定と下段1次元形状測定のそれぞれの前又は後に、計測用基板上の基準マークの位置をオフアクシス方式のアライメントセンサでそれぞれ測定し、このときの基準マークの位置ずれから上記のオフセットを求めるようにしている。
【特許文献1】国際公開第00/22376号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、気温の変化又は大気圧が変化すると、反射鏡が取り付けられているステージ自身に歪みが生ずることがある。ステージに設けられた反射鏡の鏡面にうねり又はねじれがあると、上述した通りレーザ干渉計による検出値に誤差が生ずるが、ステージ自体に歪みがある場合にも、反射鏡の鏡面にうねり等がある場合と同様に検出誤差が生ずる。例えば、反射鏡が取り付けられた端部で生じたステージの歪みにより反射鏡に倒れが生ずると、基板又はウェハが保持されるステージ中央部は水平であるにも拘わらず、ステージ自体が傾いているとレーザ干渉計で誤検出されてしまう。この結果、誤検出されたステージの傾きを補正すべくステージの姿勢が誤って制御されてしまう。
【0008】
上述した従来の技術では、反射鏡の長手方向に沿う面形状自体を測定することはできるが、ステージの歪みに基づくものであるのか否かを切り分けることができない。このため、前述した方法により反射鏡の面形状を計測してレーザ干渉計の検出結果を補正しようとした場合に、補正が過度であったり又は補正不足であるといった事態が生ずることがあった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、移動体としてのステージ自体に歪みが生じていてもステージの位置検出精度を向上させることができる面形状計測方法、当該方法の計測結果を用いてステージの基準平面に対する姿勢を高精度に計測することができる姿勢計測方法、及び当該方法の計測結果に基づいてステージを移動させつつ露光処理を行う露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による面形状計測方法は、第1軸(Z軸)と直交する基準平面(7)に沿って移動する移動体(WST)に設けられ、前記第1軸方向と直交する第2軸(X軸又はY軸)方向に沿って延びる反射面(12、12X、12Y)の形状を計測する面形状計測方法であって、前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測する第1ステップ(S13、S33)と、前記第1ステップの計測結果に基づいて前記第1軸に対する前記反射面の傾きが零となるように前記移動体の姿勢を制御する第2ステップ(S14、S34)と、前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を計測する第3ステップ(S15、S35〜S38)と、前記第2軸方向に沿って前記移動体を移動させつつ前記第1ステップから前記第3ステップを繰り返す第4ステップ(S16、S17、S39、S40)とを含むことを特徴としている。
この発明によると、まず第1軸に対する反射面の傾きを計測し、次にこの傾きを零にするように移動体の姿勢を制御し、次いでこのときの移動体の姿勢を計測する。以上の処理を反射面の長さ方向(第1軸方向と直交する第2軸方向)に沿って移動体を移動させつつ行う。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による面形状計測方法は、第1軸(Z軸)と直交する基準平面(7)に沿って移動する移動体(WST)に設けられ、前記第1軸方向と直交する第2軸方向(X軸又はY軸)に沿って延びる反射面(12、12X、12Y)の形状を計測する面形状計測方法であって、前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を計測する第1ステップ(S23)と、前記第1ステップの計測結果に基づいて前記移動体の姿勢を所定の姿勢に制御する第2ステップ(S24)と、前記移動体を前記所定の姿勢に制御した状態で前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測する第3ステップ(S25)と、前記第2軸方向に沿って前記移動体を移動させつつ前記第1ステップから前記第3ステップを繰り返す第4ステップ(S26、S27)とを含むことを特徴としている。
この発明によると、まず基準平面に対する移動体の姿勢を計測し、次にこの計測結果に基づいて移動体の姿勢を所定の姿勢に制御し、次いでこの状態で第1軸に対する反射面の傾きを計測する。以上の処理を反射面の長さ方向(第1軸方向と直交する第2軸方向)に沿って移動体を移動させつつ行う。
上記課題を解決するために、本発明の姿勢計測方法は、第1軸方向(Z軸)と直交する第2軸(X軸又はY軸)方向に沿って延びる反射面(12、12X、12Y)を有し、前記第1軸と直交する基準平面(7)に沿って移動する移動体(WST)の当該基準平面に対する姿勢を、前記反射面の前記第1軸方向に離間した2つの位置に同時に照射した計測ビーム(DL)により計測する姿勢計測方法であって、上記の何れかに記載の面形状計測方法により前記反射面の面形状を計測するステップと、前記反射面に対して前記計測ビームを同時に照射して前記反射面からの反射光の各々を受光し、当該受光結果から前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測するステップと、前記面形状の計測結果に基づいて、前記反射面の傾きの計測結果を補正し、前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を得るステップとを含むことを特徴としている。
この発明によると、まず反射面の面形状が計測され、この面形状計測結果に基づいて反射面に計測ビームを照射して計測される反射面の傾きが補正されて基準平面に対する移動体の姿勢が得られる。
更に、本発明の露光方法は、第1軸(Z軸)と直交する基準平面(7)に沿って移動可動な移動体(WST)に保持される感光物体(W)上にマスク(R)のパターンを転写する露光方法において、上記の姿勢計測方法の計測結果に基づいて、前記移動体の移動を制御することを特徴としている。
この発明によると、露光時に反射面の傾きが補正された計測結果に基づいて移動体の移動が制御される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動体としてのステージ自体に歪みが生じていてもステージの位置検出精度を向上させることができるという効果がある。
また、計測ビームが照射される反射面の傾きを反射面の面形状計測結果に基づいて補正して移動体の姿勢を求めているため、ステージの基準平面に対する姿勢を高精度に計測することができるという効果がある。
更に、本発明によれば、露光時に反射面の傾きが補正された計測結果に基づいて移動体の移動が制御されるため、露光精度(解像度、転写忠実度、重ね合わせ精度等)を高めることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法について詳細に説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法が用いられる露光装置の概略構成を示す図である。図1に示す露光装置EXは、半導体素子を製造するための露光装置であり、マスクとしてのレチクルRと感光物体としてのウェハWとを同期移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンを逐次ウェハW上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影型の露光装置である。
【0014】
尚、以下の説明においては、必要であれば図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系は、X軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、Y軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、露光時におけるレチクルR及びウェハWの同期移動方向(走査方向)はY方向に設定されているものとする。
【0015】
図1に示す露光装置EXは、レチクルR上のスリット状(矩形状又は円弧状)の照明領域を均一な照度を有する露光光ELで照明する不図示の照明光学系と、レチクルRを保持するレチクルステージRSTと、レチクルRのパターンの像をフォトレジストが塗布されたウェハW上に投影する投影光学系PLと、ウェハWを保持する移動体としてのウェハステージWSTと、これらの制御系とを含んで構成されている。
【0016】
上記の不図示の照明光学系は、光源ユニット、オプティカル・インテグレータを含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、集光レンズ系、レチクルブラインド、及び結像レンズ系等(何れも不図示)を含んで構成されている。この照明光学系の構成等については、例えば特開平9−320956に開示されている。ここで、上記の光源ユニットとしては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、若しくはF2レーザ光源(波長157nm)、Kr2レーザ光源(波長146nm)、Ar2レーザ光源(波長126nm)等の紫外レーザ光源、銅蒸気レーザ光源、YAGレーザの高調波発生光源、固体レーザ(半導体レーザ等)の高調波発生装置、又は水銀ランプ(i線等)等も使用することができる。
【0017】
レチクルステージRSTは、照明光学系の下方(−Z方向)に水平に配置されたレチクル支持台(定盤)1の上面上を走査方向(Y方向)に所定ストロークで移動可能なレチクル走査ステージ2と、このレチクル走査ステージ2上に載置され、レチクル走査ステージ2に対してX方向、Y方向、及びZ軸回りの回転方向(θZ方向)にそれぞれ微小駆動可能なレチクル微動ステージ3とを備えている。このレチクル微動ステージ3上にレチクルRが真空吸着又は静電吸着等により保持される。
【0018】
上記レチクル微小駆動ステージ3上の一端には移動鏡4が設けられており、レチクル支持台1上にはレーザ干渉計(以下、レチクル干渉計という)5が配置されている。レチクル干渉計5から射出されたレーザ光は移動鏡4の鏡面に照射され、その反射光と参照光との干渉光をレチクル干渉計5が受光することによって、レチクル微小駆動ステージ3のX方向、Y方向、及びZ軸回りの回転方向(θZ方向)の位置が検出される。実際のレチクル微動ステージ3上には、X軸用の反射鏡、2個のY軸用の反射鏡が固定され、これに対応してレチクル干渉計5も複数設けられているが、図1ではこれらを代表して反射鏡4、レチクル干渉計5として図示している。尚、レチクルステージRSTは、レチクルRを保持するレチクルテーブルの微動機構(ボイスコイルモータ等のアクチュエータ)が組み込まれた可動体を、例えばリニアモータで走査方向(Y方向)に一次元駆動する構成でもよい。また、レチクル微動ステージ3(又はレチクルテーブル)の端面を鏡面加工して上記の固定鏡4の鏡面の代わりに用いても良い。
【0019】
上述のレチクル干渉計5により検出されたレチクル微動ステージ3の位置情報(又は速度情報)は、装置全体の動作を統轄制御する主制御系20に供給される。主制御系20は、レチクル走査ステージ2駆動用のリニアモータ、レチクル微動ステージ3駆動用のボイスコイルモータ等を含むレチクル駆動装置6を介してレチクル走査ステージ2及びレチクル微動ステージ3の動作を制御する。
【0020】
上述した投影光学系PLは、複数の屈折光学素子(レンズ素子)を含んで構成され、物体面(レチクルR)側と像面(ウェハW)側の両方がテレセントリックで所定の縮小倍率β(βは例えば1/4,1/5等)を有する屈折光学系が使用されている。この投影光学系PLの光軸AXの方向は、XY平面に直交するZ方向とされている。尚、投影光学系PLが備える複数のレンズ素子の硝材は、露光光ELの波長に応じて、例えば石英又は蛍石が用いられる。また、本実施形態では、レチクルRに形成されたパターンの倒立像をウェハW上に投影する投影光学系PLを例に挙げて説明するが、勿論パターンの正立像を投影するものであっても良い。
【0021】
ウェハステージWSTは、投影光学系PLの下方(−Z方向)に配置されており、ウェハXY駆動ステージ8、支点9a〜9b、ウェハテーブル10、及びウェハホルダ11を含んで構成されている。ウェハXY駆動ステージ8は、ウェハ支持台(定盤)7の上面(基準平面)上をX方向及びY方向に移動可能に構成されており、このウェハXY駆動ステージ8上にZ方向に伸縮自在な3個の支点9a〜9cが設けられている。ウェハテーブル10は、支点9a〜9b上に載置されており、支点9a〜9bの伸縮量を制御することでZ方向の微動(X軸回りの回転及びY軸回りの回転を含む)が可能である。ウェハテーブル10上に設けられたウェハホルダ11上にウェハWが真空吸着又は静電吸着等により保持される。このウェハホルダ11の上面が物体載置面となる。
【0022】
ウェハテーブル10上の一端には移動鏡12が設けられており、ウェハステージWSTの外部にはレーザ光を移動鏡12の鏡面(反射面)に照射するレーザ干渉計(以下、ウェハ干渉計という)13が設けられている。このウェハ干渉計13は、移動鏡12の鏡面にレーザ光を照射して得られる反射光と参照光との干渉光を受光することによって、ウェハテーブル10のX方向及びY方向の位置、並びに姿勢(X軸,Y軸,Z軸周りの回転)が検出される。次に、ウェハステージWST及びウェハ干渉計13のより詳細な構成について説明する。
【0023】
図2は、ウェハステージWST及びウェハ干渉計13の構成を示す斜視図である。図2に示す通り、ウェハテーブル10を支持する3つの支点9a〜9cは、例えばウェハウェハテーブル10の中心に関して各々が互いに120°の角度をなすように配置されている。これらの支点9a〜9cの変位は、それぞれに付随したエンコーダEa〜Ecによって検出される。支点9a〜9cは、例えばロータリーモータ及びカムを使用する方式、積層型圧電素子(ピエゾ素子)、又はボイスコイルモータ(ここではボイスコイルモータとする)等を使用して構成される。エンコーダEa〜Ecは、支点9a〜9cの近傍にそれぞれ配置されており、エンコーダEa〜Ecとしては光学式又は静電容量式等のリニアエンコーダを用いることができる。尚、支点9a〜9cの変位(駆動量)を検出するセンサEa〜Ecはエンコーダに限られるものでなく任意で構わない。
【0024】
3個の支点9a〜9cは主制御系22により制御される。支点9a〜9cを均等に伸縮させることにより、ウェハテーブル10のZ方向の位置(焦点位置)を調整することができ、3個の支点9a〜9cの伸縮量を個別に調整することにより、ウェハテーブル10のX軸及びY軸の回りの傾斜角を調整することができる。3個のエンコーダEa〜Ecから得られたZ軸方向の検出値(変位量)は主制御系20に供給される。主制御系20は、各エンコーダEa〜Ecの検出値及び各エンコーダEa〜Ecの配置(XY平面内での位置関係)に基づき、ウェハWのZ軸方向の位置、X軸回りの傾斜角及びY軸回りの傾斜角を求める。
【0025】
図1において簡略化して図示した移動鏡12は、図2に示す通り、X軸に交差してY方向に沿って延びる鏡面を有するX軸用の移動鏡12Xと、Y軸に交差してX方向に沿って延びる鏡面を有するY軸用の移動鏡12Yとを含んで構成される。また、図1において簡略化して図示したウェハ干渉計13は、図2に示す通り、移動鏡12Xに対してレーザ光を照射するウェハ干渉計13X,13XPと、移動鏡12Yに対してレーザ光を照射するウェハ干渉計13Y,13YPとを含んで構成される。
【0026】
ウェハ干渉計13Xは、移動鏡12Xの鏡面に対してZ方向の位置は同じであるがY方向の位置が異なる二箇所にレーザ光を照射し、移動鏡12Xからの反射光を受光してウェハテーブル10のX方向の位置及びウェハテーブル10のZ軸周りの回転量(ヨーイング量)を検出する。また、ウェハ干渉計13XPは、移動鏡12Xの鏡面に対してY方向の位置は同じであるがZ方向の位置が異なる二箇所にレーザ光を照射し、移動鏡12Xからの反射光を受光してウェハテーブル10のY軸周りの回転量(ローリング量)を検出する。
【0027】
同様に、ウェハ干渉計13Yは、移動鏡12Yの鏡面に対してZ方向の位置は同じであるがX方向の位置が異なる二箇所にレーザ光を照射し、移動鏡12Yからの反射光を受光してウェハテーブル10のY方向の位置及びウェハテーブル10のZ軸周りの回転量(ヨーイング量)を検出する。また、ウェハ干渉計13YPは、移動鏡12Yの鏡面に対してX方向の位置は同じであるがZ方向の位置が異なる二箇所にレーザ光を照射し、移動鏡12Yからの反射光を受光してウェハテーブル10(ウェハステージWST)のX軸周りの回転量(ピッチング量)を検出する。ウェハ干渉計13X,13XP,13Y,13YPの検出結果は主制御系20に供給される。
【0028】
主制御系20は、ウェハ干渉計13X,13XP,13Y,13YPの検出結果に基づいて図1に示すウェハ駆動装置14を介してウェハテーブル10の位置及び姿勢を制御するとともに、装置全体の動作を制御する。また、ウェハ干渉計13の検出結果により得られる座標により規定されるウェハ座標系と、レチクルR側のレチクル干渉計5の検出結果により得られる座標により規定されるレチクル座標系との対応をとるために、図1に示す通り、ウェハテーブル10上であってウェハホルダ11の近傍には基準マーク板15が固定されている。この基準マーク板15上には各種基準マークが形成されている。これらの基準マークの中にはウェハテーブル10の内部に導かれた照明光により裏側から照明されている基準マーク、即ち発光性の基準マークも設けられている。
【0029】
本実施形態の露光装置EXは、レチクルRの上方に配置され、基準マーク板15上の基準マークとレチクルRに形成された位置合わせ用マーク(レチクルアライメントマーク)とを同時に観察するためのレチクルアライメントセンサ16a,16bを備えている。これらのレチクルアライメントセンサ16a,16bの観察結果(計測結果)は、主制御系20に供給される。レチクルアライメントセンサ16a,16bには、レチクルRからの検出光を各々に導くための偏向ミラー17a,17bがそれぞれ移動自在に配置されている。これらの偏向ミラー17a,17bは、露光シーケンスが開始されると、主制御系20からの指令のもとで、ミラー駆動装置18a,18bによりそれぞれ待避される。
【0030】
また、投影光学系PLのY方向の側面部には、ウェハW上に設定されたショット領域に付設されたアライメントマーク(ウェハアライメントマーク)を観察するための画像処理方式のオフ・アクシス・アライメントセンサ(以下、ウェハアライメントセンサという)19が配置されている。ウェハアライメントセンサ19の観察結果(計測結果)は、主制御系20に供給される。ウェハアライメントセンサ19の光学系の光軸は、投影光学系PLの光軸AXと平行とされている。かかるアライメントセンサ19の詳細な構成は、例えば特開平9−219354号公報及びこれに対応する米国特許第5,859,707号等に開示されている。
【0031】
更に、本実施形態の露光装置EXは、送光系21a及び受光系21bから構成され、投影光学系PLに関してレチクルR上の照明領域と共役なウェハW上の露光領域の内部及びその近傍に設定された複数の検出点でそれぞれウェハWの表面のZ方向(光軸AX方向)の位置を検出する多点フォーカス位置検出系21を投影光学系PLの側方に備える。多点フォーカス位置検出系21は、ウェハW表面のZ方向の位置及び姿勢(レベリング)を検出するものである。図3は、斜め入射式の多点フォーカス位置検出系21の構成を示す図である。図3に示した斜め入射式の多点フォーカス位置検出系21には、露光光ELの波長域とは異なりウェハW上のフォトレジストを感光させない波長域を有する照明光が、不図示の照明光源から光ファイバ束22を介して導かれている。
【0032】
光ファイバ束22から射出された照明光は、集光レンズ23を経てパターン形成板24を照明する。図4は、パターン形成板24の構成例を示す断面図である。図4に示す通り、パターン形成板24には、第1列目に9個のスリット状の開口パターン34−11〜34−19が形成され、第2列目〜第5列目にもそれぞれ9個の開口パターン34−21〜34−29,34−31〜34−39,34−41〜34−49,34−51〜34−59が形成されている。即ち、パターン形成板24には、合計で45個のスリット状の開口パターンが形成されており、これらのスリット状の開口パターンの像が図1のウェハWの表面上にX軸及びY軸に対して斜めに投影される。
【0033】
パターン形成板24を透過した照明光は、レンズ25、ミラー26、及び照射対物レンズ27を経てウェハWの表面に投影され、ウェハWの表面にはパターン形成板24上のパターンの像が投影光学系PLの光軸AXに対して斜めに投影結像される。図5は、ウェハW上の露光領域の内部及びその近傍に設定された複数の検出点に投影される開口パターンの投影像を示す図である。図5において、符号EFが付された矩形状の領域は前述した露光領域を示している。この露光領域EF内にレチクルRのパターンの像が投影される。
【0034】
図4に示した開口パターン34−11〜34−19,34−21〜34−29,34−31〜34−39,34−41〜34−49,34−51〜34−59の像はウェハWの表面に対してX軸及びY軸に対して45度で交差する方向から照射されるため、X軸及びY軸に対して45度の角度をなす方向に長手方向が伸びた像となる。これらの像が投影される検出点は、図5に示す通りX方向及びY方向に沿って配列されている。露光領域EFの+Y方向側において配列された検出点D11〜D19が第1列C1をなし、露光領域EFの内部において配列された検出点D21〜D29、検出点D31〜D39、及び検出点D41〜D49がそれぞれ、第2列C2、第3列C3、及び第4列C4をなし、露光領域EFの−Y方向側において配列された検出点D51〜D59が第5列C5をなしている。
【0035】
ウェハWで反射された照明光は、集光対物レンズ28、回転方向振動板29、及び結像レンズ30を経て受光器31の受光面に再投影され、受光器31の受光面にはパターン形成板24上のパターンの像が再結像される。受光器31の受光面には、パターン形成板24と相似形に開口部が配列された遮光板(図示省略)が設けられる。ここで、加振装置33は、振動子を一定周波数及び一定振幅で振動させ、該振動子の一部を鏡面加工して形成された回転方向振動板29に振動を与えているので、受光器31に投影される像の位置は遮光板に形成された開口部の長手方向に垂直な方向、つまり開口部の幅方向に振動する。受光器31の多数の受光素子からの検出信号は信号処理装置32に供給される。信号処理装置32は、供給されてくる各検出信号を加振装置33の駆動信号で同期検波して検出点D11〜D19,D21〜D29,D31〜D39,41〜D49,D51〜D59のフォーカス位置にそれぞれ対応する45個のフォーカス信号を得る。
【0036】
ここで、図5に示した通り、第2列C2の検出点D21〜D29及び第4列C4の検出点D41〜D49が露光領域EFの周辺部に配置され、第3列C3の検出点D31〜D39が露光領域EFの内部に配置されており、第1列C1の検出点D11〜D19及び第5列C5の検出点D51〜D59が露光領域EF外に配置されている。検出点D11〜D19,D51〜D59を露光領域EF外に配置するのは、ウェハWが+Y方向に走査されている場合に第5列C5の検出点D51〜D59における検出結果を用いて、これから露光される領域の表面形状を予め計測するためである。また、同様にウェハWが−Y方向に走査されている場合に第1列C1の検出点D11〜D19における検出結果を用いて、これから露光される領域の表面形状を予め計測するためである。そして、第1列C1の検出点D11〜D19における検出結果又は第5列5の検出点D51〜D59における検出結果を用いてこれから露光される部分に対してウェハWの姿勢制御を行うようにしている。
【0037】
次に、上記構成の露光装置EXにおいて用いられる面形状計測方法及び姿勢計測方法について説明する。図6は、本発明の第1実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。尚、ここでは、ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明する。本明細書中において、面形状とは移動鏡12Yの凹凸のみならず移動鏡12Yの鏡面の傾き(Z軸に対する傾き)を含むものである。尚、本実施形態では理解を容易にするために移動鏡12Yの鏡面の傾き(ピッチング量)を計測する場合を中心に説明する。
【0038】
まず、平坦度が保証されたウェハ(例えば、表面の平坦度が多点フォーカス位置検出系21の計測精度よりも高いウェハ)又は予め平坦度が分かっているウェハ(以下、テストウェハという)を露光装置EX内に搬入してウェハステージWSTに設けられたウェハホルダ11上に配置する(ステップS11)。このテストウェハの搬入は、露光装置EXに設けられた不図示のウェハ搬送装置を用いて通常のウェハWを露光装置EX内に搬入する場合と同様に行う。
【0039】
テストウェハの搬入を終えると、ウェハ干渉計13YPと多点フォーカス位置検出系21とを所定の条件に較正する(ステップS12)。ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21の較正が行われた状態においては、多点フォーカス位置検出系21の計測結果で示されるテストウェハ(ウェハステージWST)のレベリング量θAFが0[rad]となるようにウェハステージWSTをX軸周りの回転方向に駆動すると、ウェハ干渉計13YPの検出結果から移動鏡12Yの鏡面の傾き量(ピッチング量)θIFが得られる。
【0040】
図7は、テストウェハ(ウェハステージWST)のレベリング量θAFと移動鏡12Yの鏡面のピッチング量θIFとを説明するための図である。図7においては、ウェハ干渉計13YPから移動鏡12Yの鏡に面対してX方向の位置は同じであるがZ方向の位置が異なる二箇所に照射されるレーザ光LB1,LB2と、多点フォーカス位置検出系21からテストウェハ上に照射される照明光DLとを図示している。ウェハ干渉計13YPから移動鏡12Yの鏡面に対して照射されるレーザ光LB1,LB2の光路差によりウェハステージWSTのピッチング量が検出される。
【0041】
ここで、移動鏡12Yの鏡面を理想的な平面とみなすことができるとともに、ウェハテーブル10に対して移動鏡12Yが理想的に取り付けられているのであれば、図7(a)に示す通り、多点フォーカス位置検出系21で計測されるウェハステージWSTのレベリング量θAFが0[rad]のときにウェハ干渉計13YPで計測される移動鏡12Yの鏡面のピッチング量θIFも0[rad]となる。
【0042】
しかしながら、実際には移動鏡12Yの鏡面には多少の歪みが生じており、またウェハテーブル10に対して移動鏡12Yは傾いて取りつけられている。この場合、図7(b)に示す通り、多点フォーカス位置検出系21で計測されるウェハステージWSTのレベリング量θAFが0[rad]であってもウェハ干渉計13YPで計測される移動鏡12Yの鏡面のピッチング量θIFも0[rad]とはならない。つまり、θAF≠θIFとなる。このような事態は、ウェハテーブル10(ウェハステージWST)の歪みがある場合にも生ずる。このため、本実施形態では、ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測している。
【0043】
ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21の較正が行われた状態において、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTを所定の計測開始位置に移動させる。この計測開始位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の一方の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0044】
ウェハステージWSTの移動が完了すると、主制御系20はウェハ干渉計13YPの検出結果から計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを計測する(ステップS13)。次に、主制御系20は、計測された移動鏡12Yのピッチング量θIFに基づいて図2に示す3個の支点9a〜9cの伸縮量を調整して計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFが零となるようにウェハステージWSTのレベリング量(ウェハステージWSTの姿勢)を制御する(ステップS14)。
【0045】
次に、主制御系20は、多点フォーカス位置検出系21を用いてウェハステージWSTのレベリング量θAFを計測する(ステップS15)。これによって、計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを零としたときのウェハステージWSTのレベリング量θAFが求められる。このレベリング量が得られると、主制御系20は、得られたレベリング量θAFをウェハステージWSTのX方向の位置に対応付けて記憶する。
【0046】
次いで、主制御系20は、予め設定された計測範囲についての計測が終了したか否かを判断する(ステップS16)。この判断は、ウェハステージWSTが計測終了位置に達したか否かにより行う。この計測終了位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の他端の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0047】
予め設定された計測範囲についての計測が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTをX方向に予め設定された微小距離だけ移動させる(ステップS17)。そして、ウェハステージWSTを移動させた後は、ステップS13〜ステップS15の処理を行う。ステップS16の判断結果が「NO」である間は、ステップS13〜ステップS17の処理が繰り返され、判断結果が「YES」になると、露光装置EXからテストウェハが搬出されて一連の計測処理は終了する。以上説明した処理により、予め設定されたX方向の計測範囲内において、常に移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを零に設定したときのウェハステージWSTのレベリング量の分布が求められる。尚、この分布は、移動鏡12Yの鏡面を基準にした移動鏡12Yの鏡面の面形状を示すものである。
【0048】
以上の処理を行って移動鏡12Yの鏡面の面形状が計測されると、この面形状はウェハステージWSTのY方向における位置及びウェハステージWSTのレベリング量を計測するために用いられる。つまり、ウェハ干渉計13Y,13YPから移動鏡12Yの鏡面に対して照射されるレーザ光の各々を受光して得られるウェハステージWSTのY方向の位置及びレベリング量は、移動鏡12Yの面形状に影響されたものである。このため、主制御系20は、ウェハステージWSTのX方向の位置に応じて、その位置に対応付けて記憶されているレベリング量を読み出し、ウェハ干渉計13Y,13YPの検出結果から計測されたY方向の位置及びピッチング量をそれぞれ補正する。この処理によって移動鏡12Yの面形状による影響が排除されるため、主制御系20は、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTのY方向の位置及び姿勢を制御する。
【0049】
以上説明した通り、本実施形態の面形状計測方法によれば、移動鏡14Yの鏡面に歪みが生じ、又はウェハテーブル10自体に歪みが生じていても、Y方向の位置検出精度を向上させることができる。また、本実施形態の姿勢計測方法によれば、面形状計測方法と同様に、移動鏡14Yの鏡面に歪みが生じ、又はウェハテーブル10自体に歪みが生じていても、ウェハステージWSTのレベリング量を高精度に計測することができる。
【0050】
尚、以上の実施形態では、ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明したが、ウェハ干渉計13XP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Xの鏡面の面形状も同様に計測することができる。この場合には、計測時のウェハステージWSTの移動方向(図6中のステップS17における移動方向)はY方向になる。
【0051】
以上説明した露光装置EXを用いてウェハWを露光する場合には、不図示のウェハ搬送装置により露光処理が行われるウェハWが露光装置EX内に搬入されてウェハホルダ11上に保持されるとともに、所定のレチクルRがレチクルステージRST上に保持される。ウェハW及びレチクルRの搬入が完了すると、主制御系20はウェハステージWSTを駆動してウェハWをウェハアライメントセンサ19の下方(−Z方向)に配置し、ウェハアライメントセンサ19を用いて、ウェハW上の代表的なウェハアライメントマーク数個(3〜9個程度)の位置計測を行ってEGA演算が行われ、ウェハW上の全ショット領域の配列座標を求める。
【0052】
次に、主制御系20は、上記のEGA演算によって得られたウェハW上におけるショット領域の座標値をベースライン量(投影光学系PLを介した投影像の投影中心と、ウェハアライメントセンサ19の計測視野中心との距離)で補正した座標値を求める。この補正した座標値を用いてウェハステージWSTを駆動すればウェハW上の各ショット領域を投影光学系PLの露光領域に位置合わせすることができる。本実施形態の露光装置EXは、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、ショット領域を露光する場合には、レチクルステージRSTとウェハステージWSTとを走査開始位置に移動させた後で加速させ、各々が所定の速度に達して同期がとれてから、露光光ELを射出させてレチクルRを照明し、レチクルRのパターンの像を投影光学系PLを介してウェハW上に投影する。
【0053】
走査時には、露光領域にレチクルRの一部のパターン像が投影され、投影光学系PLに対して、レチクルRが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、ウェハWが+X方向(又は−X方向)に速度V/β(1/βは投影光学系PLの投影倍率)で移動することにより、逐次ショット領域にレチクルRのパターンが転写される。前述した面形状計測方法によって移動鏡12X,12Yの面形状は予め求められており、走査露光中は、ウェハ干渉計13X,13XP,13Y,13YPの計測結果の各々が補正され、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTの位置及び姿勢の制御が行われる。
【0054】
1つのショット領域に対する露光処理が終了すると、主制御系20はウェハステージWSTをステッピング移動させて次のショット領域を走査開始位置に移動させるとともにレチクルステージRSTを走査開始位置に移動させた後、これら両ステージの移動を開始させて各々が一定速度に達して同期が取れてからレチクルRに露光光ILを照射して露光を開始してそのショット領域を露光する。以下同様に他のショット領域の露光処理が行われる。以上説明したように、本実施形態によれば、露光時にウェハ干渉計13X,13XP,13Y,13YPの計測結果の各々が補正され、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTの位置及び姿勢の制御及びレチクルステージRSTとの相対位置制御が行われるため、露光精度(解像度、転写忠実度、重ね合わせ精度等)を高めることができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法は、図1に示す露光装置EXを用いて行われる。上述した本発明の第1実施形態は移動鏡12Yの鏡面を基準にしたレベリング量θAFから移動鏡12Yの鏡面の面形状を求めていたが、本実施形態はウェハステージWSTの姿勢(多点フォーカス位置検出系21の検出結果:レベリング量)を基準にして移動鏡12Yの鏡面の面形状を求めている。図8は、本発明の第2実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。尚、本実施形態においても、第1実施形態と同様にウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明するが、ウェハ干渉計13XP及び多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡12Xの鏡面の面形状を計測する場合も以下に説明する方法と同様の方法で計測することができる。
【0056】
まず、第1実施形態と同様に、テストウェハを露光装置EX内に搬入してウェハステージWSTに設けられたウェハホルダ11上に配置し(ステップS21)、その後でウェハ干渉計13YPと多点フォーカス位置検出系21とを所定の条件に較正する(ステップS22)。ウェハ干渉計13YP及び多点フォーカス位置検出系21の較正が行われた状態において、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTを所定の計測開始位置に移動させる。この計測開始位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の一方の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0057】
ウェハステージWSTの移動が完了すると、主制御系20は、多点フォーカス位置検出系21を用いてウェハステージWSTの姿勢を示す量(レベリング量)θAFを計測する(ステップS23)。次に、主制御系20は、計測されたウェハステージWSTのレベリング量θAFに基づいてに基づいて図2に示す3個の支点9a〜9cの伸縮量を調整してウェハステージWSTを所定の姿勢に制御する(ステップS24)。ここで行われる制御は、例えばテストウェハWの表面を水平にし、又はウェハ支持台7の上面に対して平行にする制御である。
【0058】
次に、主制御系20は、ウェハ干渉計13YPの検出結果から計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対する傾き(ピッチング量)θIFを計測する(ステップS25)。これによって、計測開始位置におけるウェハステージWSTの姿勢を所定の姿勢にしたときの移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFが求められる。このピッチング量が得られると、主制御系20は、得られたピッチング量θIFをウェハステージWSTのX方向の位置に対応付けて記憶する。次いで、主制御系20は、予め設定された計測範囲についての計測が終了したか否かを判断する(ステップS26)。この判断は、ウェハステージWSTが計測終了位置に達したか否かにより行う。この計測終了位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の他端の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0059】
予め設定された計測範囲についての計測が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTをX方向に予め設定された微小距離だけ移動させる(ステップS27)。そして、ウェハステージWSTを移動させた後は、ステップS23〜ステップS25の処理を行う。ステップS26の判断結果が「NO」である間は、ステップS23〜ステップS27の処理が繰り返され、判断結果が「YES」になると、露光装置EXからテストウェハが搬出されて一連の計測処理は終了する。以上説明した処理により、予め設定されたX方向の計測範囲内において、常にウェハステージWSTを所定の姿勢に制御したときの移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFの分布が求められる。尚、この分布は、テストウェハの表面を基準にした移動鏡12Yの鏡面の面形状を示すものである。
【0060】
以上の処理を行って移動鏡12Yの鏡面の面形状が計測されると、この面形状は第1実施形態と同様に、ウェハ干渉計13Y,13YPの検出結果から計測されたY方向の位置及びピッチング量をそれぞれ補正してウェハステージWSTのY方向における位置及びウェハステージWSTのレベリング量を計測するために用いられる。そして、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTのY方向の位置及び姿勢が制御される。
【0061】
以上説明した通り、本実施形態においても移動鏡14Yの鏡面の平坦度が悪く、ウェハテーブル10に対する移動鏡14Yの取り付け誤差が大きく、又はウェハテーブル10自体に歪みが生じていても、Y方向の位置検出精度を向上させることができ、ウェハステージWSTのレベリング量を高精度に計測することができる。
【0062】
〔第3実施形態〕
以上説明した第1,第2実施形態はウェハWの表面のZ方向(光軸AX方向)の位置を複数の検出点で検出する多点フォーカス位置検出系21を用いて移動鏡の鏡面の面形状を計測していたが、本発明の第3実施形態はウェハWの表面のZ方向の位置を1点の検出点で検出するフォーカス位置検出系を用いて移動鏡の鏡面の面形状を計測している。図9は、本発明の第3実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。尚、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明するが、移動鏡12Xの鏡面の面形状を計測する場合も以下に説明する方法と同様の方法で計測することができる。
【0063】
まず、第1実施形態と同様に、テストウェハを露光装置EX内に搬入してウェハステージWSTに設けられたウェハホルダ11上に配置し(ステップS31)、その後でウェハ干渉計13YPとフォーカス位置検出系とを所定の条件に較正する(ステップS32)。ウェハ干渉計13YP及びフォーカス位置検出系の較正が行われた状態において、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTを所定の計測開始位置に移動させる。この計測開始位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の一方の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。
【0064】
ウェハステージWSTの移動が完了すると、主制御系20はウェハ干渉計13YPの検出結果から計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを計測する(ステップS33)。次に、主制御系20は、計測された移動鏡12Yのピッチング量θIFに基づいて図2に示す3個の支点9a〜9cの伸縮量を調整して計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFが零となるようにウェハステージWSTのレベリング量(ウェハステージWSTの姿勢)を制御する(ステップS34)。
【0065】
次に、主制御系20は、フォーカス位置検出系を用いてテストウェハの表面のZ方向の位置を1点の検出点で検出する(ステップS35)。ステップS35の検出が終了すると、主制御系20は、ウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTを移動鏡12Yの鏡面に交差する方向であるY方向に所定量(ΔY)だけ移動させ(ステップS36)、その後でフォーカス位置検出系を用いてテストウェハの表面のZ方向の位置を1点の検出点で検出する(ステップS37)。
【0066】
図10は、本発明の第3実施形態において、ウェハステージWSTの姿勢を計測する様子を示す図である。図9中のステップS35に示す処理において、例えばウェハステージWSTが図10中の実線で示す位置にあるとすると、このときのテストウェハの表面の1点のZ方向の位置が検出される。図10に示す例では、フォーカス位置検出系からの照明光DL1が、テストウェハ表面上の符号P1で指し示す箇所に照射され、この照射位置のZ方向の位置が検出される。
【0067】
次に、図9中のステップS36に示す処理において、ウェハステージWSTがY方向にΔXだけ移動させる。これにより、ウェハステージWSTは、図10中の破線で示す位置に配置されたとする。ウェハステージWSTの移動により、フォーカス位置検出系からの照明光DL1は符号P1で指し示す箇所以外の箇所(符号P2で指し示す箇所)に照射される。仮に、テストウェハの表面がXY平面に平行であれば、ウェハステージWSTを移動させても符号P1で指し示す箇所のZ方向の位置と、符号P2で指し示す箇所のZ方向の位置は変化しない。しかしながら、ウェハステージWSTが傾斜していると、これらのZ方向の位置がΔZだけ変化する。
【0068】
このため、主制御系20は、ステップS35の検出結果とステップS37の検出結果とからウェハステージWSTをΔYだけ移動させたときのテストウェハの表面位置の変化量ΔZを求める。そして、この変化量ΔZと移動量ΔYとを用いて以下の(1)式からウェハステージWSTのレベリング量θAFを算出する(ステップS38)。
ΔAF=ΔY/ΔZ …(1)
以上の処理によって、計測開始位置における移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを零としたときのウェハステージWSTのレベリング量θAFが求められる。このレベリング量が得られると、主制御系20は、得られたレベリング量θAFをウェハステージWSTのX方向の位置に対応付けて記憶する。
【0069】
次いで、主制御系20は、予め設定された計測範囲についての計測が終了したか否かを判断する(ステップS39)。この判断は、ウェハステージWSTが計測終了位置に達したか否かにより行う。この計測終了位置は、例えばX方向に関してはウェハ干渉計13YPの光軸がテストウェハのX方向の他端の端部を通過する位置であり、Y方向に関しては任意の位置である。予め設定された計測範囲についての計測が終了していないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、主制御系20はウェハ駆動装置14を介してウェハステージWSTをX方向に予め設定された微小距離だけ移動させる(ステップS40)。そして、ウェハステージWSTを移動させた後は、ステップS33〜ステップS38の処理を行う。
【0070】
ステップS39の判断結果が「NO」である間は、ステップS33〜ステップS40の処理が繰り返され、判断結果が「YES」になると、露光装置EXからテストウェハが搬出されて一連の計測処理は終了する。以上説明した処理により、予め設定されたX方向の計測範囲内において、常に移動鏡12YのZ軸に対するピッチング量θIFを零に設定したときのウェハステージWSTのレベリング量の分布が求められる。尚、この分布は、移動鏡12Yの鏡面を基準にした移動鏡12Yの鏡面の面形状を示すものである。
【0071】
以上の処理を行って移動鏡12Yの鏡面の面形状が計測されると、この面形状は第1実施形態と同様に、ウェハ干渉計13Y,13YPの検出結果から計測されたY方向の位置及びピッチング量をそれぞれ補正してウェハステージWSTのY方向における位置及びウェハステージWSTのレベリング量を計測するために用いられる。そして、補正された計測結果に基づいてウェハステージWSTのY方向の位置及び姿勢が制御される。以上説明した通り、本実施形態においても移動鏡14Yの鏡面の平坦度が悪く、ウェハテーブル10に対する移動鏡14Yの取り付け誤差が大きく、又はウェハテーブル10自体に歪みが生じていても、Y方向の位置検出精度を向上させることができ、ウェハステージWSTのレベリング量を高精度に計測することができる。
【0072】
以上、ウェハWの表面のZ方向の位置を1点の検出点で検出するフォーカス位置検出系を用いて移動鏡12Yの鏡面を基準にした移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合について説明したが、このフォーカス位置検出系を用いて図8に示すフローチャートとほぼ同様の手順で移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測することができる。かかる計測を行う場合には、図8において「多点フォーカス位置検出系」を「フォーカス位置検出系」と読み替えるとともに、図8中のステップS23を図9中のS35〜S38に置き換えればよい。
【0073】
尚、以上説明した第1〜第3実施形態では、テストウェハをウェハホルダ11上に配置した状態で移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測する場合を例に挙げて説明したが、上面が鏡面加工されて平坦度が保証されたウェハホルダ又は平坦度が分かっているウェハホルダを備えるウェハステージWSTの場合には、テストウェハを用いずに、多点フォーカス位置検出系21が備える送光系21aからの照明光をウェハホルダの上面に照射してウェハステージWSTの姿勢を計測しても良い。
【0074】
また、図11に示す通り、上面が鏡面加工されて平坦度が保証された反射板又は平坦度が分かっている反射板40X,40Yをウェハテーブル10上に設けておき、多点フォーカス位置検出系21からの照明光DL、又は不図示のフォーカス位置検出系からの照明光DL1を反射板40X,40Yに照射してウェハステージWSTの姿勢を計測しても良い。図11は、ウェハテーブル10上に反射板40X,40Yを備えるウェハステージWSTを示す斜視図である。
【0075】
図11に示す例では、高さ位置がウェハWの高さ位置とほぼ同じであって長手方向がY方向に設定された反射板40Xと、高さ位置がウェハWの高さ位置とほぼ同じであって長手方向がX方向に設定された反射板40Yとがウェハテーブル10上のウェハホルダ11の近傍に設けられている。反射板40X,40Yの長手方向の長さはウェハWの直径と同程度に設定されており、ウェハWの中心を通ってX軸に平行な直線上に反射板40Xの中央部が配置され、ウェハWの中心を通ってY軸に平行な直線上に反射板40Yの中央部が配置されている。
【0076】
移動鏡12Xの鏡面の面形状を計測する場合には、多点フォーカス位置検出系21からの照明光DL、又は不図示のフォーカス位置検出系からの照明光DL1を反射鏡40Xの上面に照射してウェハステージWSTの姿勢を計測する。また、移動鏡12Yの鏡面の面形状を計測するときには、多点フォーカス位置検出系21からの照明光DL、又は不図示のフォーカス位置検出系からの照明光DL1を反射鏡40Yの上面に照射してウェハステージWSTの姿勢を計測する。
【0077】
更に、ウェハステージWSTの姿勢を多点フォーカス位置検出系21用いて計測する場合において、上記の実施形態では露光領域EFの±Y方向に検出点D11〜D19,D51〜D59がそれぞれ設定された多点フォーカス位置検出系21を例に挙げて説明した。しかしながら、多点フォーカス位置検出系21は、露光領域EFの内部及び外部の一方のみに検出点が設定されているもの、又は、露光領域EFの内部のみに検出点が設定されているものを用いることもできる。また、上記の多点フォーカス位置検出系21は、45箇所の検出点が設定されたものを例に挙げて説明したが、少なくともウェハW上の異なる2箇所に検出点が設定されていればよい。更には、検出点の配置は任意で良い。
【0078】
また、上記実施形態においては、主にウェハステージWSTに設けられた移動鏡12(12X,12Y)の面形状を計測する場合を説明したが、レチクルステージRSTに設けられた移動鏡4の鏡面の面形状を計測する場合にも本発明を適用することができる。更に、本発明は、露光装置EXが備えるレチクルステージRST及びウェハステージWSTに設けられる移動鏡の鏡面の面形状を計測する場合に限られる訳ではなく、物体を載置して移動可能に構成されたステージ装置に設けられた移動鏡の鏡面の面形状を計測する場合一般についても適用することができる。
【0079】
また、上記露光装置EXとしてステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影型の露光装置を例に挙げたが、スキャニング・ステッパ等の走査露光型の投影露光装置にも本発明を適用することができる。また、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。
【0080】
更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0081】
また、本発明は、国際公開第99/49504号公報に開示されているような液浸法を用いる露光装置にも適用することができる。ここで、本発明は、投影光学系PLとウェハWとの間を局所的に液体で満たす液浸露光装置、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する液浸露光装置の何れの露光装置にも適用可能である。
【0082】
図12は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造工程の一例を示すフローチャートである。半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図11に示す通り、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップS51、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップS52、デバイスの基材である基板(ウェハ)を製造するステップS53、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に転写する露光処理ステップS54、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)S55、検査ステップS56等を経て製造される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態による面形状計測方法、姿勢計測方法、及び露光方法が用いられる露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】ウェハステージWST及びウェハ干渉計13の構成を示す斜視図である。
【図3】斜め入射式の多点フォーカス位置検出系21の構成を示す図である。
【図4】パターン形成板24の構成例を示す断面図である。
【図5】ウェハW上の露光領域の内部及びその近傍に設定された複数の検出点に投影される開口パターンの投影像を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。
【図7】テストウェハ(ウェハステージWST)のレベリング量θAFと移動鏡12Yの鏡面のピッチング量θIFとを説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態による面形状計測方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態において、ウェハステージWSTの姿勢を計測する様子を示す図である。
【図11】ウェハテーブル10上に反射板40X,40Yを備えるウェハステージWSTを示す斜視図である。
【図12】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
7 ウェハ支持台(基準平面)
12,12X,12Y 移動鏡(反射面)
DL 照明光(計測ビーム)
R レチクル(マスク)
W ウェハ(感光物体)
WST ウェハステージ(移動体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸と直交する基準平面に沿って移動する移動体に設けられ、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に沿って延びる反射面の形状を計測する面形状計測方法であって、
前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測する第1ステップと、
前記第1ステップの計測結果に基づいて前記第1軸に対する前記反射面の傾きが零となるように前記移動体の姿勢を制御する第2ステップと、
前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を計測する第3ステップと、
前記第2軸方向に沿って前記移動体を移動させつつ前記第1ステップから前記第3ステップを繰り返す第4ステップと
を含むことを特徴とする面形状計測方法。
【請求項2】
第1軸と直交する基準平面に沿って移動する移動体に設けられ、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に沿って延びる反射面の形状を計測する面形状計測方法であって、
前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を計測する第1ステップと、
前記第1ステップの計測結果に基づいて前記移動体の姿勢を所定の姿勢に制御する第2ステップと、
前記移動体を前記所定の姿勢に制御した状態で前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測する第3ステップと、
前記第2軸方向に沿って前記移動体を移動させつつ前記第1ステップから前記第3ステップを繰り返す第4ステップと
を含むことを特徴とする面形状計測方法。
【請求項3】
前記移動体は、前記第1軸と交差する物体載置面を有し、
前記移動体の所定の姿勢は、前記物体載置面が前記基準平面と平行な姿勢であることを特徴とする請求項2記載の面形状計測方法。
【請求項4】
前記移動体は、前記第1軸と交差する物体載置面を有し、
前記移動体の姿勢は、前記物体載置面上の互いに異なる少なくとも2箇所における前記第1軸方向の位置を計測することによって求めることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の面形状計測方法。
【請求項5】
第1軸方向と直交する第2軸方向に沿って延びる反射面を有し、前記第1軸と直交する基準平面に沿って移動する移動体の当該基準平面に対する姿勢を、前記反射面の前記第1軸方向に離間した2つの位置に同時に照射した計測ビームにより計測する姿勢計測方法であって、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の面形状計測方法により前記反射面の面形状を計測するステップと、
前記反射面に対して前記計測ビームを同時に照射して前記反射面からの反射光の各々を受光し、当該受光結果から前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測するステップと、
前記面形状の計測結果に基づいて、前記反射面の傾きの計測結果を補正し、前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を得るステップと
を含むことを特徴とする姿勢計測方法。
【請求項6】
第1軸と直交する基準平面に沿って移動可動な移動体に保持される感光物体上にマスクのパターンを転写する露光方法において、
請求項5記載の姿勢計測方法の計測結果に基づいて、前記移動体の移動を制御することを特徴とする露光方法。
【請求項1】
第1軸と直交する基準平面に沿って移動する移動体に設けられ、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に沿って延びる反射面の形状を計測する面形状計測方法であって、
前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測する第1ステップと、
前記第1ステップの計測結果に基づいて前記第1軸に対する前記反射面の傾きが零となるように前記移動体の姿勢を制御する第2ステップと、
前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を計測する第3ステップと、
前記第2軸方向に沿って前記移動体を移動させつつ前記第1ステップから前記第3ステップを繰り返す第4ステップと
を含むことを特徴とする面形状計測方法。
【請求項2】
第1軸と直交する基準平面に沿って移動する移動体に設けられ、前記第1軸方向と直交する第2軸方向に沿って延びる反射面の形状を計測する面形状計測方法であって、
前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を計測する第1ステップと、
前記第1ステップの計測結果に基づいて前記移動体の姿勢を所定の姿勢に制御する第2ステップと、
前記移動体を前記所定の姿勢に制御した状態で前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測する第3ステップと、
前記第2軸方向に沿って前記移動体を移動させつつ前記第1ステップから前記第3ステップを繰り返す第4ステップと
を含むことを特徴とする面形状計測方法。
【請求項3】
前記移動体は、前記第1軸と交差する物体載置面を有し、
前記移動体の所定の姿勢は、前記物体載置面が前記基準平面と平行な姿勢であることを特徴とする請求項2記載の面形状計測方法。
【請求項4】
前記移動体は、前記第1軸と交差する物体載置面を有し、
前記移動体の姿勢は、前記物体載置面上の互いに異なる少なくとも2箇所における前記第1軸方向の位置を計測することによって求めることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の面形状計測方法。
【請求項5】
第1軸方向と直交する第2軸方向に沿って延びる反射面を有し、前記第1軸と直交する基準平面に沿って移動する移動体の当該基準平面に対する姿勢を、前記反射面の前記第1軸方向に離間した2つの位置に同時に照射した計測ビームにより計測する姿勢計測方法であって、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の面形状計測方法により前記反射面の面形状を計測するステップと、
前記反射面に対して前記計測ビームを同時に照射して前記反射面からの反射光の各々を受光し、当該受光結果から前記第1軸に対する前記反射面の傾きを計測するステップと、
前記面形状の計測結果に基づいて、前記反射面の傾きの計測結果を補正し、前記基準平面に対する前記移動体の姿勢を得るステップと
を含むことを特徴とする姿勢計測方法。
【請求項6】
第1軸と直交する基準平面に沿って移動可動な移動体に保持される感光物体上にマスクのパターンを転写する露光方法において、
請求項5記載の姿勢計測方法の計測結果に基づいて、前記移動体の移動を制御することを特徴とする露光方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−226719(P2006−226719A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37983(P2005−37983)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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