説明

駆動装置、光学装置及び駆動信号制御回路

【課題】簡易な制御で作動音の低減化を図ることができる駆動装置、光学装置及び駆動信号制御回路を提供する。
【解決手段】駆動信号により伸縮運動する圧電素子8aと、圧電素子8aに取り付けられ、圧電素子8aの伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸8bと、駆動軸8bに摩擦係合され、駆動軸8bの往復運動により移動する第1移動部材11と、圧電素子8aに対して駆動信号を印加する第1制御部30と、を備え、第1制御部30は、第1移動部材11を移動させる場合には駆動制御パルス信号を印加し、停止した第1移動部材11を移動させない場合には第1移動動部材11を振動停滞状態とする停止制御パルス信号を印加することで、停止中の第1移動部材11をスムーズに移動させたり、移動中の第1移動部材11をスムーズに停止させたりすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被駆動部材を駆動させる駆動装置及びその駆動装置を備える光学装置、並びに、その駆動装置に用いられる駆動信号制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動装置として、駆動信号により伸縮する圧電素子(電気機械変換素子)を有するアクチュエータを備え、当該アクチュエータに駆動信号を出力して被駆動部材の移動速度を制御する駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1記載の駆動装置は、駆動開始時には駆動パルス信号を圧電素子へ印加する時間を除々に増加させて、圧電素子に印加される電荷を制御して駆動速度が除々に増加するように制御するとともに、駆動停止時には駆動パルス信号を圧電素子へ印加する時間を除々に減少させて、圧電素子に印加される電荷を制御して駆動速度が除々に減少するように制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3358418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の駆動装置にあっては、駆動装置の作動音を低減させるために、駆動パルス信号のパルス幅又は印加電圧を除々に変化させる制御をする必要がある。このため、作動音を低減させるための制御が複雑となるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、簡易な制御で作動音の低減化を図ることができる駆動装置、光学装置及び駆動信号制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る駆動装置は、駆動信号により伸縮運動する電気機械変換素子と、電気機械変換素子に取り付けられ、電気機械変換素子の伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸と、駆動軸に摩擦係合され、駆動軸の往復運動により移動する被駆動部材と、電気機械変換素子に対して駆動信号を印加する駆動信号制御回路と、を備え、駆動信号制御回路は、被駆動部材を移動させる場合には第1駆動信号を印加し、被駆動部材を移動させない場合には被駆動部材を振動停滞状態とする第2駆動信号を印加することを特徴として構成される。
【0007】
本発明に係る駆動装置は、停止した被駆動部材を移動させない場合であっても、電気機械変換素子へ被駆動部材を振動停滞状態とする第2駆動信号を印加する。このように構成することで、駆動軸と移動していない被駆動部材との間の摩擦結合を弱めることができるので、停止中の被駆動部材をスムーズに移動させたり、移動中の被駆動部材をスムーズに停止させたりすることが可能となる。よって、駆動信号のパルス幅を制御することなく、被駆動部材を移動させない場合には第2駆動信号を印加するという簡単な制御で、作動音の低減化を図ることができる。
【0008】
ここで、第2駆動信号は、電気機械変換素子の正方向充電タイミングから逆方向充電タイミングまでの間隔と、当該逆方向充電タイミングから次の正方向充電タイミングまでの間隔とが同一となる信号であることが好適である。このように構成することで、被駆動部材を移動させない場合には、第2駆動信号を印加して被駆動部材をほとんど移動させずに駆動軸のみ振動させることができるので、被駆動部材の停止中に駆動軸と被駆動部材との間の摩擦結合を弱めることが可能となる。よって、簡単な制御で作動音の低減化を図ることができる。
【0009】
また、第1駆動信号は、第1パルス信号及び第2パルス信号からなる信号であり、第2駆動信号は、第1パルス信号、及び、第2パルス信号を第1パルス信号の周期の略半分の時間遅延させたパルス信号からなる信号であることが好適である。このように構成することで、第1駆動信号の第1パルス信号と第2パルス信号とのタイムラグのみ制御するだけで第2駆動信号を生成することができるので、一層簡単な制御で作動音の低減化を図ることができる。
【0010】
また、駆動信号制御回路は、被駆動部材を移動させる直前の所定期間、及び、被駆動部材の移動させた直後の所定期間に第2駆動信号を印加することが好適である。このように構成することで、作動音を効率良く除去することができる。
【0011】
また、駆動信号制御回路は、被駆動部材を移動させる直前の所定期間に印加する第2駆動信号のパルス数よりも、被駆動部材を移動させた直後の所定期間に印加する第2駆動信号のパルス数の方が多くなるように、第2駆動信号を印加することが好適である。このように構成することで、作動音を効果的に除去することができる。
【0012】
また、駆動信号制御回路は、被駆動部材を移動させた直後の所定期間のみ第2駆動信号を印加することが好適である。このように構成することで、効果的かつ効率的に作動音の低減化を図ることができる。
【0013】
本発明に係る光学装置は、上述した駆動装置を備え、光学素子を被駆動部材と連動させて、光学素子を光軸方向と直交する方向に移動させる防振制御を行うことを特徴として構成される。これらの光学装置によれば、上述した駆動装置を備えていることから、作動音の低減化を図ることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る駆動信号制御回路は、駆動信号により伸縮運動する電気機械変換素子に対して前記駆動信号を印加する駆動信号制御回路であって、前記被駆動部材を移動させる場合に印加される第1駆動信号、及び、前記被駆動部材を移動させない場合に印加される第2駆動信号を生成するパルス生成回路を備え、前記第2駆動信号は、前記電気機械変換素子の正方向充電タイミングから逆方向充電タイミングまでの間隔と、前記逆方向充電タイミングから次の前記正方向充電タイミングまでの間隔とが同一となる信号であること、を特徴として構成される。
【0015】
本発明に係る駆動信号制御回路は、パルス生成回路により被駆動部材を振動停滞状態とする第2駆動信号を生成し、停止した被駆動部材を移動させない場合であっても、電気機械変換素子へ被駆動部材を振動停滞状態とする第2駆動信号を印加する。このように構成することで、駆動軸と移動していない被駆動部材との間の摩擦結合を弱めることができるので、停止中の被駆動部材をスムーズに移動させたり、移動中の被駆動部材をスムーズに停止させたりすることが可能となる。よって、駆動信号のパルス幅を制御することなく、被駆動部材を移動させない場合には第2駆動信号を印加するという簡単な制御で、作動音の低減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な制御で作動音の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1〜第3実施形態に係る撮像装置における撮像部及び手振れ補正機構の分解斜視図である。
【図2】第1〜第3実施形態に係る撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す第1制御部が有する手振れ補正回路の概要図である。
【図4】第1制御部30の電気的構成の詳細を示す概要図である。
【図5】図4に示すドライバチップから出力される出力信号である。
【図6】図4に示すドライバチップから出力される出力信号である。
【図7】本発明の実施形態に係る撮像装置における駆動信号である。
【図8】第1実施形態に係る撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図1に示す圧電素子及び移動部材の挙動を説明する概要図である。
【図10】図1に示す圧電素子及び移動部材の挙動を説明する概要図である。
【図11】図1に示す移動部材の移動位置の時間依存性を説明する概要図である。
【図12】第2実施形態に係る撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態に係る撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】パルス幅及びパルス間隔を変更した駆動パルス信号である。
【図15】実施例1及び比較例1における作動音の測定結果である。
【図16】比較例2における作動音の測定結果の詳細である。
【図17】実施例2における作動音の測定結果の詳細である。
【図18】実施例3における作動音の測定結果の詳細である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置(光学装置)は、例えば撮像光学系と撮像素子を光軸方向と直交する方向に相対移動させて手振れ補正(防振)を行うものである。すなわち、手振れに応じて撮像光学系を移動させ、撮像素子との相対位置を変化させることで手振れを補正する。この撮像装置は、静止画を撮影するカメラ、動画を撮影するビデオカメラ、携帯電話に搭載される撮像部などに適用される。
【0020】
まず、本実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置の機械的な構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置における撮像部及び手振れ補正機構の分解斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置は、被写体の像を取得するための撮像光学系(光学素子)2と撮像素子14とを備えている。撮像光学系2は、撮像素子14に集光する光学系であり、撮影レンズを備えて構成されている。この撮像光学系2は、例えばホルダ2aにレンズ(図示なし)を収容して構成される。撮像光学系2は、単体のレンズで構成してもよいし、複数のレンズによるレンズ群で構成してもよい。
【0021】
撮像光学系2は、第2移動部材5に取り付けられており、撮像素子14に対し光軸Oの方向(光軸方向)と直交する方向に相対移動可能に設けられている。第2移動部材5は、撮像素子14を固定する撮像素子ホルダ13に収容され、球体4で支持されることにより、撮像素子ホルダ13及び撮像素子14に対し光軸方向と直交する方向に相対移動可能となっている。このため、撮像光学系2は、第2移動部材5と共に撮像光学系2が移動することによって、撮像素子14に対し光軸方向と直交する方向に相対移動することになる。
【0022】
その際、撮像光学系2を第2移動部材5に対し光軸方向へ移動可能に取り付けることが好ましい。例えば、第2移動部材5に光軸方向へ向けた支持軸3を取り付け、その支持軸3に沿って撮像光学系2を移動可能に取り付ける。撮像光学系2を光軸方向へ移動させるアクチュエータ10としては、圧電素子10aの伸縮により往復移動する駆動軸10bを備えたものが用いられる。このアクチュエータ10は、撮像光学系2を光軸方向へ移動させる第3アクチュエータとして機能するものである。圧電素子10aが第2移動部材5に取り付けられ、駆動軸10bが撮像光学系2に摩擦係合される。駆動軸10bの一端は、圧電素子10aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この駆動軸10bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
【0023】
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより駆動軸10bを撮像光学系2のホルダ2aに一定の押圧力で圧接した状態とし、駆動軸10bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように駆動軸10bが移動することにより、慣性により撮像光学系2の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ駆動軸10bが移動すると、撮像光学系2もその逆方向へ移動する。このような駆動軸10bの往復移動を繰り返すことにより、第2移動部材5に対し相対的に撮像光学系2を移動させることができる。圧電素子10aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が制御部(図示なし)から入力される。これにより、駆動軸10bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
【0024】
このように、撮像光学系2を第2移動部材5に対し光軸方向へ移動可能に取り付けることにより、第2移動部材5に対し撮像光学系2のみを光軸方向へ移動させてフォーカシングを行うことができる。
【0025】
撮像素子14は、撮像光学系2により結像された像を電気信号に変換する撮像手段であり、撮像素子ホルダ13に固定して取り付けられている。この撮像素子14としては、例えばCCDセンサが用いられる。
【0026】
また、本実施形態に係る撮像装置は、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6を備えている。第1アクチュエータ8は、光軸方向と直交するヨー方向Xに撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させるアクチュエータである。この第1アクチュエータ8は、例えば、圧電素子(電気機械変換素子)8aの伸縮により往復移動する駆動軸8bを備えたものが用いられる。駆動軸8bは、ヨー方向Xに向けて配置されている。圧電素子8aは、撮像素子14が固定される撮像素子ホルダ13に取り付けられている。駆動軸8bは、第1移動部材(被駆動部材)11に摩擦係合されている。駆動軸8bの一端は、圧電素子8aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この駆動軸8bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
【0027】
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより駆動軸8bを第1移動部材11に一定の押圧力で圧接された状態とし、駆動軸8bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように駆動軸8bが移動することにより、慣性により第1移動部材11の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ駆動軸8bが移動すると、第1移動部材11もその逆方向へ移動する。このような駆動軸8bの往復移動を繰り返すことにより、撮像素子14に対し第1移動部材11をヨー方向Xに沿って移動させることができ、撮像素子14に対し相対的に撮像光学系2をヨー方向Xに移動させることができる。圧電素子8aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が後述する制御部から入力される。これにより、駆動軸8bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
【0028】
なお、第1アクチュエータ8は、圧電素子8aを第1移動部材11側に取り付け、駆動軸8bを撮像素子ホルダ13に摩擦係合させて構成する場合もある。
【0029】
第2アクチュエータ6は、光軸方向と直交するピッチ方向Yに撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させるアクチュエータである。この第2アクチュエータ6と第1アクチュエータ8は、撮像光学系2と撮像素子14を相対移動させる駆動手段(駆動装置)として機能するものである。
【0030】
ピッチ方向Yは、光軸方向と直交しヨー方向Xと交差する方向に設定される。この第2アクチュエータ6は、例えば、圧電素子(電気機械変換素子)6aの伸縮により往復移動する駆動軸6bを備えたものが用いられる。駆動軸6bは、ピッチ方向Yに向けて配置されている。圧電素子6aは、第2移動部材5に取り付けられている。駆動軸6bは、第1移動部材11に摩擦係合されている。駆動軸6bの一端は、圧電素子6aに当接され、例えば接着剤を用いて接着されている。この駆動軸6bは、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。
【0031】
摩擦係合構造としては、例えば、板バネにより駆動軸6bを第1移動部材11に一定の押圧力で圧接された状態とし、駆動軸6bが移動する際に一定の摩擦力を生じさせる構造とする。この摩擦力を超えるように駆動軸6bが一方向に移動することにより、慣性により第2移動部材5の位置が維持される。一方、その摩擦力を超えないように逆方向へ駆動軸6bが移動しようとすると、駆動軸6bは摩擦力によって静止したまま、第2移動部材5が一方向へ移動する。このような駆動軸6bの往復移動を繰り返すことにより、撮像素子14に対し第2移動部材5をピッチ方向Yに沿って移動させることができ、撮像素子14に対し相対的に撮像光学系2をピッチ方向Yに移動させることができる。圧電素子6aには、その伸長速度と収縮速度を異ならせる電気信号が後述する制御部から入力される。これにより、駆動軸6bが異なる速度で往復移動し、撮像光学系2の移動制御を行うことができる。
【0032】
第1移動部材11には、上述した摩擦係合によって第2アクチュエータ6が取り付けられている。このため、第1アクチュエータ8の作動により第1移動部材11がヨー方向Xに移動することによって第2アクチュエータ6もヨー方向Xへ移動することとなる。
【0033】
なお、第2アクチュエータ6は、圧電素子6aを第1移動部材11側に取り付け、駆動軸6bを第2移動部材5に摩擦係合させて構成する場合もある。
【0034】
撮像装置には、位置検出用磁石9、ホール素子15a,15bが設けられている。位置検出用磁石9は、第2移動部材5に取り付けられた磁石であり、ホール素子15a,15bで検出できるだけの磁界を発生するものであれば足りる。ホール素子15a,15bは、位置検出用磁石9から発生する磁界の状態に基づいて撮像素子14と撮像光学系2の光軸方向と直交する方向に対する相対位置を検出する磁気センサであり、例えば、基板17に取り付けられる。このホール素子15a,15bは、光軸方向と直交する方向の相対位置を検出可能なものが用いられる。基板17は、撮像素子ホルダ13に取り付けられる配線基板であり、例えばL字形に屈曲されて用いられる。この基板17には、圧電素子6a、8a、10aのリード線がそれぞれ基板17に取り付けられている。
【0035】
撮像装置には、フォトインタラプタ16が設けられている。フォトインタラプタ16は、撮像光学系2の位置検出を行う位置検出センサである。フォトインタラプタ16は、基板17に取り付けられ、撮像光学系2の近傍位置に配置される。フォトインタラプタ16は、発光部と受光部を備え、発光部と受光部の間を通過する移動片2bの位置検出を通じて、撮像光学系2の光軸方向の位置を検出する。移動片2bは、撮像光学系2のホルダ2aに形成され、撮像光学系2と一体となって移動する部材である。
【0036】
撮像装置は、上カバー1を備えている。上カバー1は、撮像部及び手振れ補正機構を収容する撮像素子ホルダ13の開口部分を被うカバーであり、被写体像を入射するための開口部1aを形成している。
【0037】
第1移動部材11は、第1支持軸12によりヨー方向Xに沿って移動可能に支持されている。第1支持軸12は、ヨー方向Xに向けて配置される軸部材であって、撮像素子ホルダ13に取り付けられている。この第1支持軸12は、第1移動部材11の軸受け部11aを貫通して設けられている。これにより、第1移動部材11は、第1支持軸12によって撮像素子14に対しヨー方向Xのみに移動するように支持されている。
【0038】
第2移動部材5は、第2支持軸7によりピッチ方向Yに沿って移動可能に支持されている。第2支持軸7は、ピッチ方向Yに向けて配置される軸部材であって、第2移動部材5に取り付けられている。この第2支持軸7は、第1移動部材11の軸受け部11bを貫通して設けられている。これにより、第2移動部材5は、第2支持軸7によって第1移動部材11に対しピッチ方向Yのみに移動するように支持されている。
【0039】
次に、本実施形態に係る撮像装置の電気的構成を説明する。図2は、本実施形態に係る撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0040】
図2に示すように、本実施形態に係る撮像装置は、第1制御部(駆動信号制御回路)30を備えている。第1制御部30は、撮像光学系2と撮像素子14の光軸方向と直交する方向における相対移動を制御して手振れ補正を行う制御手段として機能するものである。この第1制御部30は、例えばCPU、ドライバチップを内蔵するLSI(Large Scale Integration)などにより構成されており、詳細は後述する。第1制御部30に接続されるジャイロセンサ50は、手振れ量を検出する手振れ検出センサとして機能するものである。このジャイロセンサ50は、防振ユニットの外部、すなわち撮像素子ホルダ13の外部に配置されている。
【0041】
第1制御部30は、ジャイロセンサ50の検出信号S1xとホール素子15aの検出信号S2xを入力し、第1アクチュエータ8に駆動信号Sxを出力する。ジャイロセンサ50の検出信号S1xは、ヨー方向X(X方向)の手振れ量に関する検出信号である。ホール素子15aの検出信号S2xは、ヨー方向Xにおける撮像素子14と撮像光学系2の相対位置に関する検出信号である。
【0042】
また、第1制御部30は、ジャイロセンサ50の検出信号S1yとホール素子15bの検出信号S2yを入力し、第2アクチュエータ6に駆動信号Syを出力する。ジャイロセンサ50の検出信号S1yは、ピッチ方向Y(Y方向)の手振れ量に関する検出信号である。ホール素子15bの検出信号S2yは、ピッチ方向Yにおける撮像素子14と撮像光学系2の相対位置に関する検出信号である。
【0043】
また、第3アクチュエータ10に接続される第2制御部40は、撮像光学系2の光軸方向へ移動を制御する制御手段として機能するものである。この第2制御部40は、例えばオートフォーカス用ICやマイコンなどにより構成される。第2制御部40は、図示しない測距装置により被写体までの距離情報を取得し、その距離情報とフォトインタラプタ16の検出信号に基づいてアクチュエータ10に駆動信号を出力し、撮像光学系2を移動制御する。
【0044】
次に、第1制御部30が有する手振れ補正信号の生成機能について説明する。図3は、本実施形態に係る撮像装置における手振れ補正回路の概要図である。第1制御部30は、後述する手振れ補正回路60とドライバ61,62を備える。
【0045】
手振れ補正回路60は、A/D変換器(ADC:Analog-to-DigitalConverter)31、ホールフィルタ33、ジャイロフィルタ32、パルス生成回路34、及びレジスタ35を含んで構成される。回路部4は、ロジック回路で構成され、例えば、ASIC(ApplicationSpecific Integrated Circuit)として構成される。ADC31は、ホール素子15a,15b、ジャイロセンサ50の出力信号をそれぞれ入力される。ADC31は、2つのホール素子15a,15bが出力する検出信号S2x,S2yと、2つのジャイロセンサ50が出力する検出信号S1x,S1yとを、時分割でデジタルデータDPX,DPY,DωX,DωYに変換する。
【0046】
ホール素子15a,15bの出力に基づいて生成された位置データDPX,DPYは、ホールフィルタ33に入力される。一方、ジャイロセンサ50の出力に基づいて生成された角速度データDωX,DωYは、ジャイロフィルタ32に入力される。
【0047】
ジャイロフィルタ32は、所定のサンプリング期間にわたり入力される角速度DωX,DωYを積分処理して、x軸、y軸それぞれの回りでのカメラの揺動角度に応じたデータを生成する。ジャイロフィルタ32は、生成した揺動角度に応じたデータに基づいて、x方向、y方向それぞれに対する手振れ量に応じた振動量データDSX,DSYを生成し出力する。
【0048】
ホールフィルタ33は、加算器33a及びサーボ回路33bを有する。加算器33aは、ADC31から入力される位置データDPX,DPYと、ジャイロフィルタ32からの振動量データDSX,DSYとを、x,y各方向別に加算する。サーボ回路33bは、加算器33aの出力データから、レンズ8の所要変位量であるサーボデータを算出する。
【0049】
パルス生成回路34は、ホールフィルタ33から出力されるサーボデータに基づいて、圧電素子8a,6aを駆動するパルスSxIN,SyINを生成する。生成されたパルスSxIN,SyINは、ドライバ61,62によって圧電素子8a,6aの駆動に十分な電圧に増幅され、圧電素子8a,6aに印加される。パルス生成回路34は、サーボデータの絶対値が減少する方向に撮像光学系2が駆動されるようにパルスSxIN,SyINを生成する。これにより、撮像期間にて、手振れに応じて撮像光学系2を移動させ、当該手振れによる撮像素子上での被写体像の変位を補償し、高画質な画像信号を得ることができる。
【0050】
次に、第1制御部30が有する駆動信号の出力機能について詳細を説明する。図4は、本実施形態に係る撮像装置における第1制御部30の電気的構成の詳細を示す概要図である。図4に示すように、第1制御部30は、例えば、手振れ補正回路60、ドライバチップ61,62を備えている。ドライバチップ61,62は、第1アクチュエータ8,第2アクチュエータ6と対応して設けられており、共通の電源回路63に接続されている。ドライバチップ61,62と電源回路63との間には、電源出力安定化のための電源コンデンサC1が設けられている。
【0051】
手振れ補正回路60はパルス生成回路34を有しており、駆動信号Sx,Syをドライバチップ61,62に出力させるための入力信号SxIN,SyINを生成する機能を有している。
【0052】
ドライバチップ61,62は、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6にそれぞれ接続されており、ドライブ回路として機能するものである。ドライバチップ61,62は、手振れ補正回路60から入力した入力信号SxIN,SyINを電圧増幅又は電流増幅して駆動信号Sx,Syを生成し、第1アクチュエータ8及び第2アクチュエータ6へそれぞれ出力する機能を有している。ドライバチップ61,62は、例えば入力段を論理回路により構成し、出力段に電界効果型のトランジスタ(FET)を2つ備えたものが用いられる。2つのトランジスタは、出力信号として、Hi出力(高電位出力)、Lo出力(低電位出力)及びOFF出力(オープン出力)を出力可能に構成されている。
【0053】
次に、ドライバチップ61,62が出力する信号について詳細を説明する。なお、ドライバチップ61,62が出力する信号は、出力タイミング及び出力先が異なるのみであるので、以下では説明理解の容易性を考慮して、ドライバチップ61が出力する出力信号について説明する。図5は、ドライバチップ61から出力される出力信号Sxであり、横軸が時間である。図5(A)、(B)の信号は、入力信号SxIN,SyINに基づいて出力される信号であって、第1移動部材11を移動させる信号(駆動制御パルス信号)である。図5(A)は、第1移動部材11を圧電素子8aに接近させる方向に移動させる際に出力される出力信号(第1パルス信号)AOUT、出力信号(第2パルス信号)BOUTである(正転時の信号)。一方、図5(B)は、第1移動部材11を圧電素子8aから離間させる方向に移動させる際に出力される出力信号AOUT、BOUTである(逆転時の信号)。
【0054】
図5(A)、(B)において、それぞれの二つのパルス信号AOUT,BOUTは、圧電素子8aの二つの端子(図1参照)に入力される信号であり、上述した駆動信号Sxを構成する信号である。この二つのパルス信号は、同一の周波数f(周期T)であって、互いの位相を異ならせることにより、互いの信号の電位差が一方向に段階的に変化し、逆方向に急激に変化する信号、又は、互いの信号の電位差が一方向に急激に変化し、逆方向に段階的に変化する信号となっている。そして、AOUTとBOUTとの電位差が圧電素子8aの入力電圧となる。これらのパルス信号の電位差により圧電素子8aが伸長又は収縮する。1パルスごとの信号が連続して第1アクチュエータ8に入力されることにより、連続駆動が行われることとなる。
【0055】
パルス信号AOUT,BOUTは、例えば一方の信号がHi出力となりLo出力に低下した後に他方の信号がHi出力となるように設定されている。それらの信号において、一方の信号がLo出力になった際に一定のタイムラグtOFFの経過後、他方の信号がHi出力となるように設定される。パルス信号AOUT,BOUTのHi出力、Lo出力の印加時間は、パルス生成回路34に備わるレジスタ(不図示)を用いて設定される。
【0056】
次に、第1移動部材11を移動させない場合に出力される出力信号について説明する。図6(A)は、図5を用いて説明した駆動制御パルス信号であり、図6(B)は、第1移動部材11を移動させない場合に出力する出力信号(停止制御パルス信号)である。図6(A)、(B)の横軸は時間である。図6(B)に示すように、第1移動部材11を移動させない場合には、図6(A)に示す駆動制御パルス信号とは別の出力信号であって、第1移動部材11を振動停滞状態とする出力信号が圧電素子8aに印加される。図6(B)に示す停止制御パルス信号AOUT,BOUTは、図6(A)に示す駆動制御パルス信号AOUT,BOUTと比較して、それぞれ同一のパルス幅t1,t2、同一の周期Tを有する信号であって、パルス信号AOUT,BOUTのタイムラグtOFFのみが異なる信号である。すなわち、図6(A)に示す駆動制御パルス信号AOUT,BOUTのタイムラグtOFFのみを変更することで、図6(B)に示す停止制御パルス信号AOUT,BOUTを容易に生成することができる。変更後のタイムラグtOFFは、例えば以下の式1で表される。
【0057】
OFF=T/2−t1 …(1)
【0058】
式1を用いることで、停止制御パルス信号は、駆動制御パルス信号AOUT、及び、駆動制御パルス信号BOUTを駆動制御パルス信号AOUTの周期Tの半分の時間遅延させて、停止制御パルス信号を生成できる。なお、式(1)は理論値であり、タイムラグtOFFは、駆動制御パルス信号AOUTの周期Tの略半分であれば、停止制御パルス信号とすることができる。周期Tの略半分の時間とは、周期Tの半分(50%)の時間のことのみならず、設計又は制御における誤差等を含んだ周期Tの半分の時間を示すものである。例えば、周期Tの半分の時間から10%程度の誤差を含む範囲を示すものである。
【0059】
停止制御パルス信号AOUT,BOUTは、互いの信号の電位差が一方向へ変化したときから逆方向に変化するまでの時間と、当該逆方向に変化したときから再度一方向へ変化するまでの時間とが同一の信号となっている。すなわち、圧電素子8aの正方向充電タイミングから逆方向充電タイミングまでの間隔と、当該逆方向充電タイミングから次の正方向充電タイミングまでの間隔とが同一となるように制御する駆動信号である。これらのパルス信号の電位差により、圧電素子8aは伸長と収縮とを一定間隔で交互に繰り返す。
【0060】
第1実施形態の撮像装置は、上述した駆動制御パルス信号と停止制御パルス信号とを組み合わせて、停止中の第1移動部材11を移動させ、移動中の第1移動部材11を停止させる。例えば、図7(A)に示すように、第1移動部材11を移動させる直前の停止制御期間では停止制御パルス信号(一点鎖線)を印加し、第1移動部材11を移動させる通常駆動期間では駆動制御パルス信号(点線)を印加し、所定の距離移動させた後の停止制御期間では、停止制御パルス信号(一点鎖線)を印加する。このように、第1移動部材11を移動させる場合には、第1移動部材11が停止している期間にもパルス信号(停止制御パルス信号)を印加する。
【0061】
次に、本実施形態に係る撮像装置における手振れ補正時の動作について説明する。図8は、本実施形態に係る撮像装置の防振動作を示すフローチャートである。図8に示す処理は、例えば、撮像装置が電源ONされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0062】
撮像装置の電源がONされると、撮像装置は信号出力処理から開始する(S10)。第1制御部30のドライバチップ61,62は、図6(B)に示す停止制御パルス信号を圧電素子8a,6aに印加して、印加状態を継続する。
【0063】
次に、第1制御部30は、手振れを打ち消すためのレンズ移動の目標位置を演算する(S12)。例えば、撮像装置を用いて撮影を行う際に手振れが生じている場合には、図2に示すように、ジャイロセンサ50が手振れ量を検出し、手振れの検出信号S1x、S1yを第1制御部30に出力する。第1制御部30は、ジャイロセンサ50の検出信号S1x、S1yとホール素子15a,15bの検出信号S2x、S2yとに基づいて、手振れ補正回路を用いて撮像素子14に撮像される画像がぶれないように、出力信号Sx,Syを演算する。そして、第1制御部30は、手振れ補正のために必要な移動距離(目標位置)を演算する。
【0064】
次に、第1制御部30は、制御時間タイマーをスタートさせる(S14)。制御時間は、第1移動部材11又は第2移動部材5(以下、移動部材11,5という。)をS12の処理で演算した目標位置に移動させる際に定められる時間である。
【0065】
タイマーをスタートさせた後、第1制御部30は、制御時間を経過したか否かを判定する(S16)。S16の処理において、第1制御部30が制御時間を経過したと判定した場合には、目標位置を演算する処理へ再度移行する。これにより、制御時間を経過すると、新たな目標位置が設定されることとなる(S12)。
【0066】
一方、S16の処理において、制御時間を経過していないと判定した場合には、第1制御部30は、移動部材11,5をS12の処理で演算した目標位置に到達させたか否かを判定する(S18)。
【0067】
S18の処理において、移動部材11,5を目標位置に到達させていないと判定した場合には、ドライバチップ61,62は、図6(B)に示す停止制御パルス信号に替えて、図6(A)に示す駆動制御パルス信号を印加する(S20)。ドライバチップ61,62は、停止制御パルス信号のタイムラグtOFFを変更することにより、図6(B)に示す停止制御パルス信号を、図6(A)に示す駆動制御パルス信号に切り替える。駆動制御パルス信号に切り替えて印加した後に、制御時間を経過したか否かを判定する処理に移行する(S16)。制御時間の経過前であり、目標位置に到達していないと判定した場合には、さらに駆動制御パルス信号を印加する(S18、S20)。このように、制御時間内において、目標位置に到達するまで駆動制御パルス信号を印加する処理を繰り返し実行する。
【0068】
一方、S18の処理において、移動部材11,5を目標位置に到達させたと判定した場合には、ドライバチップ61,62は、図6(A)に示す停止制御パルス信号に替えて、図6(B)に示す駆動制御パルス信号を印加する(S22)。ドライバチップ61,62は、停止制御パルス信号のタイムラグtOFFを変更することにより、図6(A)に示す駆動制御パルス信号を、図6(B)に示す停止制御パルス信号に切り替える。S22の処理が終了すると、図8に示す制御処理を終了する。
【0069】
以上、図8に示す制御処理を実行することにより、手振れ補正時の目標位置が算出され、移動部材11,5を目標位置に移動させる駆動信号が圧電素子8a,6aに印加される。例えば、図9(A)に示すように、移動部材11,5を移動させる前には、停止制御パルス信号(実線)が圧電素子8a,6aに印加され、移動部材11,5を目標位置に移動させる際には、駆動制御パルス信号(点線)が圧電素子8a,6aに印加され、移動部材11,5を移動させた後には、停止制御パルス信号が圧電素子8a,6aに印加される。
【0070】
次に、図9(A)の出力信号が印加された場合の駆動軸8b,6b、移動部材11,5の挙動を説明する。なお、以下では、説明理解の容易性を考慮して、圧電素子8aのみに出力信号が印加された場合を説明する。
【0071】
図9(B)は、図9(A)の出力信号に対する駆動軸8bの挙動であって、縦軸が変位量であり、横軸が時間である。変位量は、駆動しない状態を基準(変位0)として示している。また、図9(C)は、図9(A)の出力信号に対する第1移動部材11の挙動であって、縦軸が第1移動部材の移動量であり、横軸が時間である。移動開始前を基準(変位0)として示している。
【0072】
図9(A)に示すように、第1移動部材11の移動開始前に停止制御パルス信号が圧電素子8aに印加された場合には、図9(B)に示すように、駆動軸8bは、正に変位してから負に変位するまでの期間と、負に変位してから次に正に変位するまでの期間とが同一となるように駆動する。すなわち、駆動軸8bは、正方向又は負方向へ交互に等間隔に変位し、振動状態となる。この場合、図9(C)に示すように、第1移動部材11は、元の場所から移動することなく、その場にほとんど停止した状態となる(振動停滞状態)。停止制御パルス信号を印加した状態を、図10を用いて説明する。図10(A)は、停止制御パルス信号を印加しない場合の概要図であり、図10(B)は、第1移動部材11の停止中に停止制御パルス信号を印加した場合の概要図である。図10(B)に示すように、第1移動部材11の停止中に停止制御パルス信号を圧電素子8aに印加することで、駆動軸8bが等間隔で連続的に伸縮して振動し、図10(A)の場合と比較して、第1移動部材11は僅かに浮き上がった状態となり、振動停滞状態となる。このため、図10(A)の場合と比較して、第1移動部材11と駆動軸8bとの間に生じる摩擦力が低減された状態となる。よって、第1移動部材11は、移動開始をスムーズに行うことができる状態とされるとともに、摩擦に起因する移動開始時のノイズの低減化を図ることができる。
【0073】
一方、図9(A)に示すように、第1移動部材11を移動させる駆動制御パルス信号が印加された場合には、図9(B)に示すように、駆動軸8bが、正に変位してから急激に負に変位するように駆動する。このため、図9(C)に示すように、第1移動部材11は、徐々に正方向に移動する。
【0074】
一方、図9(A)に示すように、第1移動部材11の移動終了後に停止制御パルス信号が圧電素子8aに印加された場合には、図9(B)に示すように第1移動部材11の移動開始前と同様に、駆動軸8bが振動状態となる。このため、図9(C)に示すように第1移動部材11はその場にほとんど停止した状態となって、移動終了時のノイズの低減化を図ることができる。
【0075】
次に、図9(A)に示すパルス信号を印加した場合における第1移動部材11の移動速度について説明する。図11は、縦軸を位置、横軸を時間としたグラフであり、図9(A)に示すように停止制御パルス信号を用いて移動制御を行った場合を、実線M1で示している。また、図14に示すようにパルス幅及びパルス間隔を制御して消音対策をした移動制御を行った場合を、点線M2で示している。第1移動部材11を移動させない場合に停止制御パルス信号を印加することで、停止中の第1移動部材11は駆動軸8bと摩擦の少ない状態とされて即座に移動可能な状態となるため、図11のM1に示すように、加速期間や減速期間を必要としない。このため、第1移動部材11を等速で動作させることができる。この場合、図11のM2と比べて、目標位置に到達するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0076】
以上、第1実施形態に係る駆動装置及び撮像装置によれば、停止した移動部材11,5を移動させない場合であっても、圧電素子8a,6aへ停止制御パルス信号を印加する。このように構成することで、駆動軸8b,6bと移動していない移動部材11,5との間の摩擦結合を弱めることができるので、停止中の移動部材11,5をスムーズに移動させたり、移動中の移動部材11,5をスムーズに停止させたりすることが可能となる。よって、駆動信号のパルス幅を制御することなく、移動部材11,5を移動させない場合には停止制御パルス信号を印加するという簡単な制御で、作動音の低減化を図ることができる。また、移動部材11,5の移動速度を均一化し、移動時間を短縮することができる。
【0077】
また、第1実施形態に係る駆動装置及び撮像装置によれば、移動部材11,5を移動させない場合には、停止制御パルス信号を印加することで移動部材11,5をほとんど移動させずに駆動軸のみ振動させることができるので、停止中の移動部材11,5と駆動軸との間の摩擦結合を弱めることが可能となる。よって、簡単な制御で作動音の低減化を図ることができる。
【0078】
また、第1実施形態に係る駆動装置及び撮像装置によれば、駆動制御パルス信号の第1パルス信号AOUTと第2パルス信号BOUTとのタイムラグtOFFのみ制御するだけで停止制御パルス信号を生成することができるので、一層簡単な制御で作動音の低減化を図ることができる。
【0079】
さらに、第1実施形態に係る撮像装置によれば、撮像光学系2の移動の際に発生する作動音を低減しつつ、撮像光学系2の移動速度を一定とし、さらに撮像光学系2の移動時間を短縮することができる。手振れ補正の制御においては、手振れが発生するか否かによって処理実行が決定されるので、アクチュエータ8,6の駆動と停止を繰り返す処理になる(間欠駆動)。作動音は、急な駆動や停止に伴って発生するものであるので、間欠駆動を行う際に発生しやすい。このため、手振れ補正機構を有する撮像装置において、停止制御パルス信号を用いることで、間欠駆動が多い手振れ補正を高精度、高感度で行うことができるとともに、作動音の低減化を図ることができる。また、動画撮像時において作動音が記録されることを回避できる。
【0080】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置は、第1実施形態に係る撮像装置とほぼ同様に構成されるものであって、第1実施形態に係る撮像装置に比べ第1制御部30の動作のみが相違する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0081】
まず、第2実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置の構成について説明する。第2実施形態に係る駆動装置の第1制御部30は、停止制御パルス信号の印加時間を制御する機能を有している。その他の機能は、第1実施形態の第1制御部30と同一である。
【0082】
次に、第2実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置の防振動作について説明する。図12は、本実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置の防振動作を示すフローチャートである。図12に示す処理は、例えば、撮像装置が電源ONされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0083】
撮像装置の電源がONされると、第1制御部30は、手振れを打ち消すためのレンズ移動の目標位置を演算する(S30)。この処理は、図8のS12の処理と同一であり、手振れ補正のための出力信号及び移動距離(目標位置)を演算する処理である。
【0084】
目標位置を演算後、第1制御部30は、停止制御時間タイマーをスタートさせる(S32)。停止制御時間は、停止制御パルス信号の印加時間を制御するためのものである。次に、第1制御部30のドライバチップ61,62は、図6(B)に示す停止制御パルス信号を、圧電素子8a,6aに印加できる状態とする。ここで、ドライバチップ61,62は、S32の処理で設定した停止制御時間を経過した後に、停止制御パルス信号の印加を開始し、印加状態を継続する(S34、S36)。
【0085】
次に、第1制御部30は、制御時間タイマーをスタートさせる(S38)。この処理は図8のS14の処理と同様である。タイマーをスタートさせた後、第1制御部30は、制御時間を経過したか否かを判定する(S40)。S40の処理において、第1制御部30が制御時間を経過したと判定した場合には、目標位置を演算する処理へ再度移行する。これにより、制御時間を経過すると、新たな目標位置が設定されることとなる(S30)。
【0086】
一方、S40の処理において、制御時間を経過していないと判定した場合には、第1制御部30は、移動部材11,5をS30の処理で演算した目標位置に到達させたか否かを判定する(S42)。
【0087】
S42の処理において、移動部材11,5を目標位置に到達させていないと判定した場合には、ドライバチップ61,62は、図8のS20の処理と同様に、図6(B)に示す停止制御パルス信号に替えて、図6(A)に示す駆動制御パルス信号を印加する(S44)。そして、制御時間を経過したか否かを判定する処理に移行し、制御時間の経過前であり、目標位置に到達していないと判定した場合には、さらに駆動制御パルス信号を印加する(S40、S42、S44)。このように、制御時間内において、目標位置に到達するまで駆動制御パルス信号を印加する処理を繰り返し実行する。
【0088】
一方、S42の処理において、移動部材11,5を目標位置に到達させたと判定した場合には、第1制御部30は、停止制御時間タイマーをスタートさせる(S46)。この処理は、S32の処理と同様である。なお、S42の処理において設定する停止制御時間は、S32の処理で設定する停止制御時間と異なる値に設定することができる。例えば、S42の処理で設定する停止制御時間は、S32の処理で設定する停止制御時間に比べて長く設定される。そして、ドライバチップ61,62は、図6(A)に示す停止制御パルス信号に替えて、図6(B)に示す駆動制御パルス信号を印加する(S48)。ドライバチップ61,62は、停止制御パルス信号のタイムラグtOFFを変更することにより、図6(A)に示す駆動制御パルス信号を、図6(B)に示す停止制御パルス信号に切り替える。そして、S46の処理で設定した停止制御時間の経過後に、停止制御パルス信号の印加を終了し、S40の処理で設定した制御時間の経過後に図12に示す制御処理を終了する(S50、S52、S54)。
【0089】
以上、図12に示す制御処理を実行することにより、手振れ補正時の目標位置が算出され、移動部材11,5を目標位置に移動させる駆動信号が圧電素子8a,6aに印加される。そして、図7(B)に示すように、移動部材11,5を移動させる直前の停止制御期間、及び、移動部材11,5を移動させた直後の停止制御期間に停止制御パルス信号(一点鎖線)を印加することができる。なお、図7(B)に示す停止期間は、パルスを全く印加しない制御を行う期間である。
【0090】
また、S42の処理において、S32の処理で設定する停止制御時間に比べて長い停止制御時間を設定した場合には、移動部材11,5を移動させた直後における停止制御パルスの印加期間を、移動部材11,5を移動させる直前における停止制御パルスの信号印加期間に比べて長く設定することができる。この場合、移動部材11,5を移動させた直後に発生するノイズを効果的に低減することができる。
【0091】
上述したように、第2実施形態に係る駆動装置及び撮像装置によれば、移動部材11,5の移動開始直前若しくは移動終了直後の停止制御期間において、圧電素子8a,6aへ停止制御パルス信号を印加する。このように構成することで、停止中の移動部材11,5をスムーズに移動させたり、移動中の移動部材11,5をスムーズに停止させたりすることが可能となる。よって、駆動信号のパルス幅を制御することなく、移動部材11,5を移動させない場合には停止制御パルス信号を印加するという簡単な制御で、作動音の低減化を図ることができる。また、移動部材11,5の移動速度を均一化し、移動時間を短縮することができる。
【0092】
また、第2実施形態に係る駆動装置及び撮像装置によれば、移動部材11,5を移動させる直前の停止制御期間、及び、移動させた直後の停止制御期間のみ停止制御パルス信号を印加することができるので、作動音を効率的に除去することができる。また、停止制御パルス信号の印加時間を削減することにより、電力消費を抑えることができる。
【0093】
さらに、第2実施形態に係る駆動装置及び撮像装置によれば、移動開始時に比べてノイズが発生しやすい移動終了後において、停止制御パルス信号を移動開始時に比べて多く印加することができるので、移動部材11,5を移動させた直後の作動音を適切に除去することができる。
【0094】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置は、第1実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置とほぼ同様に構成されるものであって、第1実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置に比べ第1制御部30の動作のみが相違する。なお、第3実施形態においては、第1実施形態又は第2実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0095】
まず、第3実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置の構成について説明する。第3実施形態に係る駆動装置の第1制御部30は、第2実施形態と同様に、停止制御パルス信号の印加時間を制御する機能を有している。その他の機能は、第1実施形態の第1制御部30と同一である。
【0096】
次に、第3実施形態に係る駆動装置を備える撮像装置の防振動作について説明する。図13は、本実施形態に係る撮像装置の防振動作を示すフローチャートである。図13に示す処理は、例えば、撮像装置が電源ONされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0097】
撮像装置の電源がONされると、第1制御部30は、手振れを打ち消すためのレンズ移動の目標位置を演算する(S60)。この処理は、図8のS12の処理と同一であり、手振れ補正のための出力信号及び移動距離(目標位置)を演算する処理である。
【0098】
目標位置を演算後、第1制御部30は、制御時間タイマーをスタートさせる(S62)。この処理は図8のS14の処理と同様である。タイマーをスタートさせた後、第1制御部30は、制御時間を経過したか否かを判定する(S64)。S64の処理において、第1制御部30が制御時間を経過したと判定した場合には、目標位置を演算する処理へ再度移行する。これにより、制御時間を経過すると、新たな目標位置が設定されることとなる(S60)。
【0099】
一方、S64の処理において、制御時間を経過していないと判定した場合には、第1制御部30は、移動部材11,5をS60の処理で演算した目標位置に到達させたか否かを判定する(S66)。
【0100】
S66の処理において、移動部材11,5を目標位置に到達させていないと判定した場合には、ドライバチップ61,62は、図6(A)に示す駆動制御パルス信号を印加する(S68)。そして、制御時間を経過したか否かを判定する処理に移行し、制御時間の経過前であり、目標位置に到達していないと判定した場合には、さらに駆動制御パルス信号を印加する(S64、S66、S68)。このように、制御時間内において、目標位置に到達するまで駆動制御パルス信号を印加する処理を繰り返し実行する。
【0101】
一方、S66の処理において、移動部材11,5を目標位置に到達させたと判定した場合には、第1制御部30は、停止制御時間タイマーをスタートさせる(S46)。この処理は、図12のS46の処理と同様である。そして、ドライバチップ61,62は、図6(A)に示す停止制御パルス信号に替えて、図6(B)に示す駆動制御パルス信号を印加する(S72)。ドライバチップ61,62は、停止制御パルス信号のタイムラグtOFFを変更することにより、図6(A)に示す駆動制御パルス信号を、図6(B)に示す停止制御パルス信号に切り替える。そして、S70の処理で設定した停止制御時間の経過後に、停止制御パルス信号の印加を終了し、S62の処理で設定した制御時間の経過後に図13に示す制御処理を終了する(S74、S76、S78)。
【0102】
以上、図13に示す制御処理を実行することにより、手振れ補正時の目標位置が算出され、移動部材11,5を目標位置に移動させる駆動信号が圧電素子8a,6aに印加される。そして、図7(C)に示すように、移動部材11,5を移動させた直後の停止制御期間にのみ停止制御パルス信号を印加することができる。
【0103】
上述したように、第3実施形態に係る駆動装置及び撮像装置によれば、移動部材11,5の移動終了直後の停止制御期間において、圧電素子8a,6aへ停止制御パルス信号を印加する。このように構成することで、駆動軸8b,6bと移動していない移動部材11,5との間の摩擦結合を弱めることができるので、移動中の移動部材11,5をスムーズに停止させることが可能となる。よって、駆動信号のパルス幅を制御することなく、移動部材11,5を移動させない場合には停止制御パルス信号を印加するという簡単な制御で、移動終了直後の作動音の低減化を図ることができる。
【0104】
さらに、第3実施形態に係る駆動装置及び撮像装置によれば、移動開始時に比べてノイズが発生しやすい移動終了後の停止制御期間のみ、停止制御パルス信号を印加することができるので、効率的に作動音の低減化を図ることができる。
【0105】
なお、上述した実施形態は本発明に係る駆動装置、光学装置及び駆動信号制御回路の一例を示すものである。本発明に係る駆動装置、光学装置及び駆動信号制御回路は、これらの実施形態に係る駆動装置、光学装置及び駆動信号制御回路に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る駆動装置、光学装置及び駆動信号制御回路を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0106】
例えば、上述した第1〜第3実施形態では、手振れ補正機構として手振れに応じて撮像素子14に対して撮像光学系2を移動させるものについて説明したが、撮像光学系2に対し撮像素子14を移動させるものであってもよい。この場合であっても、上述した実施形態に係る撮像装置と同様な作用効果が得られる。
【0107】
また、上述した実施形態では、光学素子として撮像光学系を移動させる例を説明したが、撮像素子等の光学素子を移動させる場合であってもよい。また、ステージ、プローブ等を駆動させる駆動装置等に適用してもよい。
【0108】
また、上述した実施形態では、光学装置として撮像装置において好適に採用される例を説明したが、インクジェット式のプリントヘッドの駆動やインク噴射、又は点火装置等に用いられる圧電素子の制御に採用してもよい。
【実施例1】
【0109】
以下、上記効果を説明すべく本発明者が実施した実施例及び比較例について述べる。
【0110】
(実施例1)
図1に示す駆動装置を用いた。また、図7(A)に示す駆動信号を繰り返しアクチュエータ8に入力して、第1移動部材11を10ms駆動させた後に10ms停止させる制御を繰り返し行った。
【0111】
(実施例2)
図7(A)に示す駆動信号を繰り返しアクチュエータ8に入力して、第1移動部材11を2ms駆動させた後に2ms停止させる制御を繰り返し行った。その他の構成は実施例1と同様である。
【0112】
(実施例3)
図7(B)に示す駆動信号を繰り返しアクチュエータ8に入力して、第1移動部材11を2ms駆動させた後に2ms停止させる制御を繰り返し行った。図7(B)に示す停止制御パルス信号の出力期間は、駆動制御パルス信号の入力開始前後0.5msとした。その他の構成は実施例1と同様である。
【0113】
(比較例1)
停止制御パルス信号は用いずに、駆動信号を繰り返しアクチュエータ8に入力して、第1移動部材11を10ms駆動させた後に10ms停止させる制御を繰り返し行った。その他の構成は実施例1と同様である。
【0114】
(比較例2)
停止制御パルス信号は用いずに、駆動信号を繰り返しアクチュエータ8に入力して、第1移動部材11を2ms駆動させた後に2ms停止させる制御を繰り返し行った。その他の構成は実施例1と同様である。
【0115】
上述した実施例1の駆動装置及び比較例1の駆動装置において、作動音を測定した。第1移動部材11が移動開始したタイミングで測定を開始し、60ms経過するまで測定した。結果を図15に示す。図15(A)は、比較例1の駆動装置の作動音測定結果、図15(B)は、実施例1の駆動装置の作動音測定結果である。測定結果の縦軸は作動音の大きさを示す測定値であり、横軸は測定時間である。
【0116】
図15(A)に示すように、比較例1の駆動装置では、移動開始時(0ms、20ms、40ms)及び移動終了時(10ms、30ms、50ms)において作動音が観測された。特に、移動終了時の作動音が移動開始時の作動音に比べて大きいことが測定された。これに対して、実施例1の駆動装置では、図15(B)に示すように、比較例1の駆動装置に比べて移動終了時の作動音が大きく低減した。これにより、停止制御パルス信号を用いることで作動音を低減する効果が確認された。
【0117】
また、上述した実施例2、3の駆動装置、及び比較例2の駆動装置において、作動音を測定した。第1移動部材11が移動開始する1ms前のタイミングで測定を開始し、5ms経過するまで測定した。比較例2の測定結果を図16(A)、実施例2の測定結果を図17(A)、実施例3の測定結果を図18(A)に示す。なお、図16(A)、図17(A)、図18(A)は、縦軸は作動音の大きさを示す測定値であり、横軸は測定時間である。さらに、図16(A)、図17(A)、図18(A)に対応する周波数解析結果をそれぞれ図16(B)、図17(B)、図18(C)に示す。
【0118】
図16(A)に示すように、比較例2の駆動装置では、移動開始時(1ms)及び移動終了時(3ms)において作動音が観測された。図16(B)に示すように、約7〜10kHzの音が多く観測された。
【0119】
これに対して、実施例2の駆動装置では、図17(A)に示すように、比較例2の駆動装置に比べて、移動開始時及び移動終了時の作動音が大きく低減されることが確認された。また、図17(A)に示すように、比較例2の駆動装置に比べて周波数のピーク強度が低減された。よって、停止制御パルス信号を用いることで作動音を低減する効果が確認された。
【0120】
また、実施例3の駆動装置では、図18(A)に示すように、比較例2の駆動装置に比べて、移動開始時及び移動終了時の作動音が大きく低減されることが確認された。また、実施例3の駆動装置では、図18(A)に示すように、比較例2の駆動装置に比べて周波数のピーク強度が低減された。よって、移動開始直前及び移動終了直後の所定期間のみ停止制御パルス信号を印加した場合でも、作動音を低減する効果が確認された。
【符号の説明】
【0121】
5…第2移動部材(被駆動部材)、6,8,10,20…アクチュエータ、6a,8a,10a,21…圧電素子(電気機械変換素子)、6b,8b,10b,21…駆動軸、11…第1移動部材(被駆動部材)、23…被駆動部材、30…第1制御部(駆動信号制御回路)、34…パルス生成回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号により伸縮運動する電気機械変換素子と、
前記電気機械変換素子に取り付けられ、前記電気機械変換素子の伸縮動作に応じて往復運動する駆動軸と、
前記駆動軸に摩擦係合され、前記駆動軸の往復運動により移動する被駆動部材と、
前記電気機械変換素子に対して前記駆動信号を印加する駆動信号制御回路と、
を備え、
前記駆動信号制御回路は、前記被駆動部材を移動させる場合には第1駆動信号を印加し、前記被駆動部材を移動させない場合には前記被駆動部材を振動停滞状態とする第2駆動信号を印加すること、
を特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第2駆動信号は、前記電気機械変換素子の正方向充電タイミングから逆方向充電タイミングまでの間隔と、前記逆方向充電タイミングから次の前記正方向充電タイミングまでの間隔とが同一となる信号である請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1駆動信号は、第1パルス信号及び第2パルス信号からなる信号であり、
前記第2駆動信号は、前記第1パルス信号、及び、前記第2パルス信号を前記第1パルス信号の周期の略半分の時間遅延させたパルス信号からなる信号である請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記駆動信号制御回路は、前記被駆動部材を移動させる直前の所定期間、及び、前記被駆動部材の移動させた直後の所定期間に前記第2駆動信号を印加する請求項1〜3の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記駆動信号制御回路は、前記被駆動部材を移動させる直前の所定期間に印加する第2駆動信号のパルス数よりも、前記被駆動部材を移動させた直後の所定期間に印加する第2駆動信号のパルス数の方が多くなるように、前記第2駆動信号を印加する請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記駆動信号制御回路は、前記被駆動部材を移動させた直後の所定期間のみ前記第2駆動信号を印加する請求項1〜3の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の駆動装置を備え、
光学素子を前記被駆動部材と連動させて、前記光学素子を光軸方向と直交する方向に移動させる防振制御を行うことを特徴とする光学装置。
【請求項8】
駆動信号により伸縮運動する電気機械変換素子に対して前記駆動信号を印加する駆動信号制御回路であって、
前記被駆動部材を移動させる場合に印加される第1駆動信号、及び、前記被駆動部材を移動させない場合に印加される第2駆動信号を生成するパルス生成回路を備え、
前記第2駆動信号は、前記電気機械変換素子の正方向充電タイミングから逆方向充電タイミングまでの間隔と、前記逆方向充電タイミングから次の前記正方向充電タイミングまでの間隔とが同一となる信号であること、
を特徴とする駆動信号制御回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−259223(P2010−259223A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106485(P2009−106485)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】