説明

2線式負荷制御装置

【課題】大電流が流れる負荷から、微少電流しか流れない負荷まで、様々な用途に対応しうる2線式負荷制御装置を提供する。
【解決手段】ラッチ式リレーなどの大電流負荷用の第1スイッチ素子12と、トライアックなどの小電流負荷用の第2スイッチ素子30と、負荷電流値検出部34を備え、最初第2スイッチ素子30を用いて負荷3をオンし、負荷電流値が所定の閾値以上になったときに、第1スイッチ素子12に切り替えて負荷3をオンさせ続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置などの負荷のオン及びオフを制御するための2線式負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置などのオン及びオフを制御するために、トライアックなどの半導体スイッチ素子を用いた負荷制御装置が知られている。このような半導体スイッチ素子を用いた負荷制御装置のうち、2線式の負荷制御装置は、交流電源と負荷の間に直列に接続されるため、配線工事が簡単である。その反面、負荷がオフされているときでも半導体スイッチ素子や制御回路(CPUなど)を駆動するための電源を確保する必要がある。そのため、半導体スイッチ素子に並列に整流回路を接続し、負荷をオフするときでも、実際には負荷がオン又は誤動作しない程度の微弱電流を負荷に流し、整流された電流をバッファコンデンサに充電し、負荷がオフしているときの電源(オフ電源部)を確保している。一方、負荷をオンさせている場合であっても、半導体スイッチ素子が交流電源のゼロクロス点において自己消弧してから、交流電源の電圧が半導体スイッチ素子のゲート駆動電圧に達するまでの間は、半導体スイッチ素子の開閉部は導通していない。そのため、その間、交流電源から負荷に流れる電流は、整流回路に流れている。従って、整流された直流電力を上記バッファコンデンサに充電することによって、負荷がオンしているときの電源(オン電源部)を確保している(特許文献1参照)。
【0003】
照明装置には、白熱電球を多数使用したシャンデリアタイプのもの、蛍光灯を用いたもの、LED電球を使用したものなど、様々な種類が存在する。トライアックなどの半導体スイッチ素子は、その導通及び非導通(スイッチング)を制御するために必要な電力は少なく、上記のようにバッファコンデンサに充電された電力によって半導体スイッチ素子を駆動することができる。その反面、半導体スイッチ素子は、その開閉部による電力損失が大きいため、大電流を必要とする負荷にはあまり適していない。一方、ラッチ式リレーなど、機械的に駆動される開閉接点を備えたスイッチ素子は、その開閉部による電力損失が小さく、大電流を必要とする負荷に適している。その反面、機械的な開閉接点を導通及び非導通させるには、例えば電磁石装置などを駆動する必要があり、高速でスイッチングすることができず、上記のようなスイッチ素子を一時的に非導通にさせてその間に電力を確保するようなオン電源部を利用することができない。そのため、電流変成器などを用いた電源が別途必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−97535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、大電流が流れる負荷から、微少電流しか流れない負荷まで、様々な負荷のオン及びオフを制御しうる2線式負荷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る2線式負荷制御装置は、
交流電源及び負荷にそれぞれ接続される2つの入力端子と、
前記2つの入力端子の間に接続された第1スイッチ素子と、
前記2つの入力端子の間に、前記第1スイッチ素子と並列に接続され、その許容しうる負荷電流が、前記第1スイッチ素子が許容しうる負荷電流よりも小さい第2スイッチ素子と、
前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を共に導通させないときに、前記交流電源から前記負荷を介して流れる交流電流を用いて直流電力を確保するオフ電源部と、
前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子のいずれか一方を導通させるときに、前記交流電源から前記負荷を介して流れる交流電流を用いて直流電力を確保するオン電源部と、
前記オフ電源部及び前記オン電源部から出力される直流電力によって駆動され、外部から入力される操作情報に基づいて、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子の導通及び非導通を制御すると共に、前記負荷をオンさせるときに、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子のいずれかを選択して導通させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前記制御部は、前記負荷がオンしているときに、前記交流電源から前記負荷に流れる負荷電流値を検出し、現在導通させているスイッチ素子が、検出した負荷電流値に対して適切か否かを判断し、現在導通させているスイッチ素子が、検出した負荷電流値に対して不適切と判断したときに、現在導通させているスイッチ素子を非導通とし、他方のスイッチ素子を導通させることが好ましい。
【0008】
または、前記制御部は、前記操作情報に基づいて、前記負荷をオンさせるときに、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子のいずれかを選択することが好ましい。
【0009】
また、前記第1スイッチ素子は、機械的に開閉される開閉接点を備えたリレー式スイッチ素子であり、
前記第2スイッチ素子は、機械的に開閉される開閉接点を備えていない半導体スイッチ素子であり、
前記第1スイッチ素子の開閉接点の一方と前記2つの入力端子の一方との間に電流変成器が接続され、
前記オン電源部は、
前記電流変成器の2次側に接続され、前記電流変成器の2次側に流れる交流電流を用いて直流電力を確保する第1オン電源部と、
前記第2スイッチ素子の開閉部に接続され、前記交流電源から前記負荷を介して流れる交流電流を用いて直流電力を確保する第2オン電源部を備えていることが好ましい。
【0010】
また、前記オフ電源部又は前記オン電源部と前記制御部の間に設けられ、前記制御部に直流電力を供給する第1補助電源部と、前記第1スイッチ素子が非導通状態から導通状態に切り替えられる際に、前記第1スイッチ素子を駆動するための直流電力を供給する第2補助電源部をさらに備えたことが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、駆動電圧の異なる複数の制御回路を備え、
前記オフ電源部及び前記オン電源部は、それぞれ前記複数の制御回路の駆動電圧に対応して、駆動電圧が異なる複数の電圧系統を有し、
前記第1補助電源部は、前記複数の電圧系統のうち、駆動電圧の高い電圧系統に設けられ、前記第2補助電源部は、前記複数の電圧系統のうち、駆動電圧の低い電圧系統に設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記第1補助電源部及び前記第2補助電源部は、前記オフ電源部又は前記オン電源部から出力される直流電力によって受電される蓄電素子を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記構成によれば、例えば負荷がシャンデリアタイプの照明装置などのように、負荷のオン時に大電流が流れる場合、負荷電流許容量の大きな第1スイッチ素子を導通させ、また、負荷が蛍光灯やLED電球などを用いた照明装置のように、負荷のオン時に流れる電流がさほど大きくない場合、負荷電流許容量の小さな第2スイッチ素子を導通させることができる。それによって、様々な種類の負荷に対して2線式負荷制御装置を適用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る2線式負荷制御装置の基本構成を示すブロック図。
【図2】上記2線式負荷制御装置の具体的構成を示す回路図。
【図3】上記2線式負荷制御装置で小電流負荷を制御する場合の各部の電圧などの波形図。
【図4】上記2線式負荷制御装置で大電流負荷を制御する場合の各部の電圧などの波形図。
【図5】上記2線式負荷制御装置で小電流負荷を制御する場合のオフ電源部、第1オン電源部及び第2オン電源部の役割分担を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る2線式負荷制御装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る2線式負荷制御装置1(以下、単に負荷制御装置1とする)の基本的なブロック構成を示し、図2は具体的な回路構成を示す。この負荷制御装置1は、交流電源2及び負荷3にそれぞれ接続される2つの入力端子11a,11bと、2つの入力端子11a,11bの間に接続された第1スイッチ素子12及び電流変成器13の直列回路、第1スイッチ素子12の開閉部にその開閉部が並列に接続された第2スイッチ素子30を備えている。本実施形態においては、第1スイッチ素子12は、ラッチ式リレーなどの機械的に駆動される開閉接点を備えたリレー式スイッチ素子であり、第2スイッチ素子30はトライアックなどの半導体スイッチ素子である。
【0016】
第2スイッチ素子30の開閉部の両端子30a,30bには、交流電源2から負荷3を介して流れる交流電流を用いて、第1スイッチ素子12及び第2スイッチ素子30が共に非導通状態のときに直流電力を出力するオフ電源部14が接続されている。より具体的には、第2スイッチ素子30の開閉部の両端子30a,30bには、ダイオードブリッジなどで構成され、交流電源2から負荷3を介して流れる交流電流を直流電流(脈流)に変換する第1整流回路15が並列に接続されている。第1整流回路15には、例えば、電流を制限する抵抗と、電圧をクランプするツェナーダイオード(定電圧ダイオード)と、トランジスタなどで構成された定電圧回路(ブートストラップ回路)16が接続されている。これら第1整流回路15と、定電圧回路16とでオフ電源部14を構成する。図2に示す回路構成では、オフ電源部14は、例えば駆動電圧が24Vの高電圧系統と、駆動電圧が12Vの低電圧系統の、2つの電圧系統を有している。
【0017】
第1スイッチ素子12及び第2スイッチ素子30が共に非導通であり、負荷3がオフ状態であっても、第2スイッチ素子30の開閉部の両端子30a,30bには、第1整流回路15が接続されているので、交流電源2、負荷3、第1整流回路15の直列回路には微弱な電流が流れる。このときの電流は、負荷3が誤動作しない程度の微小電流であり、オフ電源部14のインピーダンスが高くなるように設定されている。第1整流回路15から全波整流された脈流が入力されると、ツェナーダイオードのツェナー電圧により、オフ電源部14からの出力の電圧波形は略台形状となる。オフ電源部14から出力される電流の一部はレギュレータによって降圧され、第1制御部21に供給される。それと平行して、CPU動作用の補助電源部(第1補助電源部)23のバッファコンデンサを充電する。第1整流回路15により全波整流された脈流の電圧がツェナー電圧よりも低いときは、補助電源部23のバッファコンデンサが電源となって、レギュレータを介して第1制御部21に電力を供給する。そのため、負荷3がオフ状態のとき、補助電源部23のバッファコンデンサは充放電を繰り返す。同様に、オフ電源部14から出力される電流の一部は、第2制御部22に供給されると共に、それと平行して、接点開閉用の補助電源部(第2補助電源部)24のバッファコンデンサを充電する。
【0018】
電流変成器13の2次側には、電流変成器13の2次側に流れる交流電流を用いて、第1スイッチ素子12を用いて負荷3のオン/オフを制御する際に、直流電力を確保するための第1オン電源部17が接続されている。より具体的には、ダイオードブリッジなどで構成され、交流電源2から負荷3を介して流れる交流電流を直流電流(脈流)に変換する第2整流回路18が接続されている。第2整流回路18には、コンデンサ及びツェナーダイオードなどで構成された定電圧回路19が接続されている。第1オン電源部17も、例えば駆動電圧が24Vの高電圧系統と、駆動電圧が12Vの低電圧系統の、2つの電圧系統を有している。オフ電源部14の高電圧系統の出力端子とオン電源部17の高電圧系統の出力端子は、それぞれ逆流防止用のダイオードを介して接続されている。同様に、オフ電源部14の低電圧系統の出力端子とオン電源部17の低電圧系統の出力端子は、それぞれ逆流防止用のダイオードを介して接続されている。
【0019】
一方、第1整流回路15には、第3スイッチ素子32としてサイリスタが接続されている。また、第1整流回路15には、トランジスタなどのスイッチ素子35,36及びツェナーダイオード37などで構成された電源回路33が接続されている。第1整流回路15と電源回路33は、第2スイッチ素子30又は第3スイッチ素子32を導通させて負荷3をオンさせる際に直流電力を確保するための第2オン電源部31として機能する。図2において、サイリスタ32のアノードは第1整流回路15を構成するダイオードブリッジの一方の入力端子に接続され、サイリスタ32のカソードは接地されている。なお、図2に示す構成例では、第2オン電源部31は、低電圧系統の出力端子のみを有している。
【0020】
上記のように、この負荷制御装置1は、主スイッチ素子として、機械的に駆動される開閉接点を備えたリレー式スイッチ素子である第1スイッチ素子12と、トライアックなどの半導体スイッチ素子である第2スイッチ素子30を備えている。リレー式スイッチ素子の開閉接点は、例えば電磁石などによって開閉され、許容しうる負荷電流値は大きい。すなわち、第1スイッチ素子12が許容しうる負荷電流は大きく、大電流が流れる負荷のオン/オフを制御するのに適する。その反面、第1スイッチ素子12の開閉接点を開閉するために大きな電力を必要とし、また、衝撃などによって開閉接点が不用意に開閉してしまう可能性がある。一方、トライアックも、比較的大きな電流を流すことができるが、機械的な開閉接点に比べると、許容しうる負荷電流値は小さい。また、トライアックに仕様範囲を超える電流が長時間流れると、異常発熱を起こしたり、故障したりする原因となる。その反面、トライアックには可動部分が存在しないため、衝撃などによって開閉接点が不用意に開閉することはない。従って、この負荷制御装置1では、負荷3に流れる電流値を検出して、第1スイッチ素子12と第2スイッチ素子30のいずれかを選択して負荷3のオン/オフを制御する。
【0021】
第1オン電源部17の高電圧系統の出力端子には、抵抗及びコンデンサなどで構成された負荷電流値検出部34が接続されており、コンデンサの端子間電圧(閾値電圧よりもハイレベル又はローレベル)が第1制御部21に入力される。第1スイッチ素子12及び第2スイッチ素子30の開閉部が非導通のときでも、オフ電源部14の第1整流回路15から電流変成器13の1次側に電流が流れる。しかしながら、このときに流れる電流は負荷3を誤動作させない程度の微弱電流であり、電流変成器13の2次側に流れる電流量はさらに少なく、ほとんど無視しうる程度である。一方、第1スイッチ素子12又は第2スイッチ素子30の開閉部が導通すると、すなわち、負荷3がオンすると、負荷3を駆動するために十分な電流が電流変成器13の1次側に流れ、それに伴って電流変成器13の2次側に流れる電流量も増加する。電流変成器13の2次側に流れる電流は、第2整流回路18によって全波整流され、第1オン電源部17のコンデンサを充電する。第1制御部21は、第1オン電源部17のコンデンサの端子間電圧から、大まかな負荷電流値を検出する。そして、第1制御部21は、検出した負荷電流値に基づいて、第1スイッチ素子12と第2スイッチ素子30のいずれを導通させるべきかを判断し、判断結果に応じた駆動信号を出力する。
【0022】
制御部20は、例えば壁面に設けられた操作ハンドルやリモコン装置などの入力部25をユーザが操作したときに、その操作情報に応じて第1スイッチ素子12の導通及び非導通を制御する。制御部20は、例えばCPUなどで構成され、低電圧(例えば3V)で駆動される第1制御部(駆動電圧の低い制御回路)21と、高電圧(例えば24V)で駆動される第2制御部(駆動電圧の高い制御回路)22を備えている。第1制御部21は、レギュレータを介して、オフ電源部14及び第1オン電源部17の低電圧系統の出力端子に接続されている。レギュレータは、低電圧系統の駆動電圧12Vをさらに低電圧の例えば3V程度に降圧させるためのものである。第2制御部22は、第1スイッチ素子12を構成するラッチ式リレーの電磁石装置などを駆動するための大電力を出力する。
【0023】
さらに、レギュレータを介して、オフ電源部14及び第1オン電源部17の低電圧系統の出力端子と第1制御部21の間には、CPU動作用の補助電源部23が接続されている。また、オフ電源部14及び第1オン電源部17の高電圧系統の出力端子と第2制御部22の間には、第1スイッチ素子12の接点開閉用の補助電源部24が接続されている。CPU動作用の補助電源部23及び接点開閉用の補助電源部24は、いずれも、バッファコンデンサなどで構成されている。
【0024】
次に、本実施形態に係る負荷制御装置1の動作について説明する。入力部25から負荷3をオンさせる操作情報が入力されると、第1制御部21は、最初に第2スイッチ素子30を用いて負荷3をオンさせる。すなわち、第1制御部21はゲート駆動信号を出力し、それによって第2オン電源部31のスイッチ素子35が導通し、さらにスイッチ素子36が導通する。それによって、第1整流回路15から出力された電流はスイッチ素子36を介して流れ、補助電源部23のバッファコンデンサを充電する。第1整流回路15からの出力電圧がツェナーダイオード37のツェナー電圧よりも高くなると、サイリスタである第3スイッチ素子32が導通し、電流が負荷3に流れ始める。この電流はトライアックである第2スイッチ素子30のゲートにも流れるので、電圧がトライアックのトリガ電圧よりも高くなると、トライアック、すなわち第2スイッチ素子30が導通する。一旦、第2スイッチ素子30が導通すると電流を流し続けるが、交流電源の電圧がゼロクロス点に達したときにトライアック及びサイリスタは自己消弧し、第2スイッチ素子30及び第3スイッチ素子32が非導通になる。第2スイッチ素子30が非導通になると、第1整流回路15から電源回路33を経て補助電源部23に電流が流れ、この負荷制御装置1の自己回路電源を確保する動作を行う。すなわち、交流の1/2周期ごとに、負荷制御装置1の自己回路電源確保、第3スイッチ素子32の導通、第2スイッチ素子30の導通、第2スイッチ素子30及び第3スイッチ素子32の自己消弧が繰り返される。
【0025】
図3は、負荷電流値が所定の閾値よりも小さく、第2スイッチ素子30及び第3スイッチ素子32を用いて負荷3をオンさせるときの各部の電圧などの波形図を示す。この場合、負荷電流値検出部34により検出される負荷電流値は所定の閾値以下であり、第1スイッチ素子12は使用されないので、第1スイッチ素子12は非導通のままである。負荷3がオフの状態では、第2スイッチ素子30の開閉部の端子間には、交流電源の電圧がそのまま印加されている。第1制御部21から電源回路33のスイッチ素子35にゲート駆動信号が出力されると(図3中、負荷オンのタイミング)、第1整流回路15により全波整流された電流は、オフ電源部14の定電圧回路16から第2オン電源部31の電源回路33に転流する。そして、上記のように、若干遅れてサイリスタである第3スイッチ素子32が導通し、さらに少し遅れてトライアックである第2スイッチ素子30が導通する。サイリスタ及びトライアックは共に自己消弧型のスイッチ素子であるので、第2スイッチ素子30及び第3スイッチ素子32は交流電源のゼロクロス点で非導通となる。第2スイッチ素子30が導通して負荷3に負荷電流が流れると、電流変成器13の2次側に電流が流れ、負荷電流値検出部34は、この負荷電流値を検出する。負荷電流値検出部34により検出された負荷電流値が所定の閾値以上にならないかぎり、入力部25から負荷3をオフするための操作情報が入力されるまで、第2スイッチ素子30及び第3スイッチ素子32の導通と非導通を繰り返す。
【0026】
図4は、負荷電流値が所定の閾値よりも大きく、専ら第1スイッチ素子12を用いて負荷3をオンさせるときの各部の電圧などの波形図を示す。この場合も、最初は上記と同様に、サイリスタである第3スイッチ素子32及びトライアックである第2スイッチ素子30を先に導通させる。第2スイッチ素子30が導通して負荷3に負荷電流が流れると、負荷電流値検出部34は、この電流値を検出する。この場合、負荷電流値検出部34により検出された負荷電流値が所定の閾値以上であるので、第1制御部21は、第2制御部22に対して、第1スイッチ素子12を導通させるための制御信号を出力する。第2制御部22は、制御信号を受けて、第1スイッチ素子12の開閉接点を非導通状態から導通状態に切り替えるために、例えば電磁石装置に対して駆動電力を出力する。この駆動電力は、補助電源部24のバッファコンデンサを放電することによって賄われる。それによって、第1スイッチ素子12の開閉接点が導通される。第1スイッチ素子12の開閉接点が導通されると、その電気的抵抗は第2スイッチ素子30の電気的抵抗よりも非常に小さいので、電流は専ら第1スイッチ素子12を流れ、第2スイッチ素子30にはほとんど流れない。それに伴って、第2オン電源部31からは直流電力は出力されず、制御部20の電力は第1オン電源部17から供給される。
【0027】
なお、図4における第1/第2スイッチ素子端子間電流の波形のうち、第1波は第2スイッチ素子30によるものであり、第2波以降は第1スイッチ素子12によるものである。また、図4において、負荷電流値と閾値の比較を交流電源の1/2周期以内に行うように描かれているが、これは作図上の便宜のためである。実際には、負荷3をオンしてから負荷電流が安定するには一定の時間(例えば数秒〜数十秒)かかるので、負荷電流値の検出及び検出した負荷電流値と所定の閾値との比較は、負荷電流が安定してから行われる。従って、トライアックである第2スイッチ素子30及びサイリスタである第3スイッチ素子32は、負荷電流が安定するまで、一定の時間導通と非導通を繰り返す。
【0028】
図5は、上記図3の波形図に、オフ電源部14、第1オン電源部17及び第2オン電源部31の役割分担を描き加えたものである。負荷3がオンされるまで、制御部20の直流電力はオフ電源部14が担っている。負荷3をオンさせるために第1制御部21から電源回路33のスイッチ素子35にゲート駆動信号が出力されると、第2オン電源部31は、交流電源のゼロクロス点(電圧0V)からトライアックである第2スイッチ素子30が導通するまでの間だけ、直流電力を出力する。一方、第1オン電源部17は、最初にトライアックである第2スイッチ素子30が導通し、負荷3に負荷電流が流れ始めると、直流電力の出力を開始し、負荷3がオフされるまで直流電力を出力し続ける。
【0029】
このように、負荷制御装置1は、機械的に駆動される開閉接点を備えたリレー式スイッチ素子である第1スイッチ素子12と、トライアックなどの半導体スイッチ素子である第2スイッチ素子30を備えている。前述のように、トライアックなどの半導体スイッチ素子は、その開閉部による電力損失が大きいため、大電流を必要とする負荷にはあまり適していない。一方、ラッチ式リレーなど、機械的に駆動される開閉接点を備えたスイッチ素子は、その開閉部による電力損失が小さく、大電流を必要とする負荷に適している。そのため、負荷電流値に応じて、第1スイッチ素子12と第2スイッチ素子30のいずれかを選択して使用することにより、様々な負荷のオン/オフ制御に対応することができる。また、機械的な開閉接点をスイッチングさせるには、例えば電磁石装置などを駆動する必要があり、高速でスイッチングさせることができず、スイッチ素子を一時的に非導通にさせてその間に電力を確保するような第2オン電源部31を利用することができない。しかしながら、この負荷制御装置1は、電流変成器13の2次側に接続された第1オン電源部17を別に備えているので、第1スイッチ素子12を用いて負荷3をオンさせる場合であっても、制御部20の電源を確保することができる。さらに、負荷3に大電流が流れる場合、すなわち負荷電流値が大きい場合、電流変成器13の一次側に大電流が流れるため、電流変成器13の発熱やサイズなどの問題により、電流変成器13の1次側のインピーダンスを高くすることができない。そのため、負荷に流れる電流(負荷電流値)が小さい場合、電流変成器の2次側に流れる電流値が小さく、十分な電力を確保できない可能性がある。しかしながら、負荷電流値が小さい場合、第2スイッチ素子30を用いることにより、第2オン電源部31により、制御部20の電源を確保することができる。さらに、機械的に駆動される開閉接点を備えたスイッチ素子は、いわゆるゼロクロススイッチングができないため、開閉接点の開閉時のアークの発弧やそれに伴うノイズの発生などの問題を有している。しかしながら、第1スイッチ素子12を用いて負荷3をオン/オフさせる場合であっても、第1スイッチ素子12よりも先に第2スイッチ素子30を導通させ、第1スイッチ素子12よりも後に第2スイッチ素子30を非導通させることにより、ゼロクロススイッチングさせることが可能である。
【0030】
なお、上記実施形態の説明において、第1制御部21は、負荷電流値検出部34により検出された負荷電流値に基づいて、第1スイッチ素子12と第2スイッチ素子30のいずれかを選択するように構成した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。入力部25から入力される操作情報に応じて、第1スイッチ素子12と第2スイッチ素子30のいずれかを選択するように、第1制御部21を構成してもよい。例えば、入力部25からの操作情報が照明装置の明るさ情報である場合、高輝度で照明装置を点灯させるときは第1スイッチ素子12を選択し、低輝度で点灯させるときは第2スイッチ素子30を選択するように構成することができる。
【0031】
さらに、第2スイッチ素子30を使用する場合であっても、第1オン電源部17から直流電力が出力されるので、第2オン電源部31を省略することも可能である。その場合、第1制御部21からトライアックである第2スイッチ素子30及びサイリスタである第3スイッチ素子32にゲート駆動信号を直接出力する。また、第2スイッチ素子30としてトライアックを例示したが、これに限定されるものではなく、その他の半導体スイッチ素子、例えば2つサイリスタの逆並列接続などであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 2線式負荷制御装置
2 交流電源
3 負荷
11a,11b 入力端子
12 第1スイッチ素子(リレー式スイッチ素子)
13 電流変成器
14 オフ電源部
15 第1整流回路
16 定電圧回路
17 第1オン電源部
18 第2整流回路
19 定電圧回路
20 制御部
21 第1制御部
22 第2制御部
23 CPU動作用の補助電源部(第1補助電源部)
24 接点開閉用の補助電源部(第2補助電源部)
25 入力部
30 第2スイッチ素子(トライアック又は半導体スイッチ素子)
31 第2オン電源部
32 第3スイッチ素子(サイリスタ)
33 電源回路
34 負荷電流値検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源及び負荷にそれぞれ接続される2つの入力端子と、
前記2つの入力端子の間に接続された第1スイッチ素子と、
前記2つの入力端子の間に、前記第1スイッチ素子と並列に接続され、その許容しうる負荷電流が、前記第1スイッチ素子が許容しうる負荷電流よりも小さい第2スイッチ素子と、
前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を共に導通させないときに、前記交流電源から前記負荷を介して流れる交流電流を用いて直流電力を確保するオフ電源部と、
前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子のいずれか一方を導通させるときに、前記交流電源から前記負荷を介して流れる交流電流を用いて直流電力を確保するオン電源部と、
前記オフ電源部及び前記オン電源部から出力される直流電力によって駆動され、外部から入力される操作情報に基づいて、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子の導通及び非導通を制御すると共に、前記負荷をオンさせるときに、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子のいずれかを選択して導通させる制御部を備えたことを特徴とする2線式負荷制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記負荷がオンしているときに、前記交流電源から前記負荷に流れる負荷電流値を検出し、現在導通させているスイッチ素子が、検出した負荷電流値に対して適切か否かを判断し、現在導通させているスイッチ素子が、検出した負荷電流値に対して不適切と判断したときに、現在導通させているスイッチ素子を非導通とし、他方のスイッチ素子を導通させることを特徴とする請求項1に記載の2線式負荷制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作情報に基づいて、前記負荷をオンさせるときに、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子のいずれかを選択することを特徴とする請求項1に記載の2線式負荷制御装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ素子は、機械的に開閉される開閉接点を備えたリレー式スイッチ素子であり、
前記第2スイッチ素子は、機械的に開閉される開閉接点を備えていない半導体スイッチ素子であり、
前記第1スイッチ素子の開閉接点の一方と前記2つの入力端子の一方との間に電流変成器が接続され、
前記オン電源部は、
前記電流変成器の2次側に接続され、前記電流変成器の2次側に流れる交流電流を用いて直流電力を確保する第1オン電源部と、
前記第2スイッチ素子の開閉部に接続され、前記交流電源から前記負荷を介して流れる交流電流を用いて直流電力を確保する第2オン電源部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の2線式負荷制御装置。
【請求項5】
前記オフ電源部又は前記オン電源部と前記制御部の間に設けられ、前記制御部に直流電力を供給する第1補助電源部と、前記第1スイッチ素子が非導通状態から導通状態に切り替えられる際に、前記第1スイッチ素子を駆動するための直流電力を供給する第2補助電源部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の2線式負荷制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、駆動電圧の異なる複数の制御回路を備え、
前記オフ電源部及び前記オン電源部は、それぞれ前記複数の制御回路の駆動電圧に対応して、駆動電圧が異なる複数の電圧系統を有し、
前記第1補助電源部は、前記複数の電圧系統のうち、駆動電圧の高い電圧系統に設けられ、前記第2補助電源部は、前記複数の電圧系統のうち、駆動電圧の低い電圧系統に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の2線式負荷制御装置。
【請求項7】
前記第1補助電源部及び前記第2補助電源部は、前記オフ電源部又は前記オン電源部から出力される直流電力によって受電される蓄電素子を有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の2線式負荷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109641(P2013−109641A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255193(P2011−255193)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】