説明

C反応性タンパク質のレベルを低減するための方法

C反応性タンパク質(CRP)またはその一部または単量体、五量体または多量体型であるCRP、好ましくはヒトCRPを結合する構造的実体物を少なくとも含み、および
a)細胞表面上の、または溶液、好ましくは血液または他の体液中の、または組織由来の、最も好ましくはin vivoで、1つ以上のCRP機能を遮断し、
b)および/または溶液、好ましくは血液または他の体液から、または組織から、最も好ましくはin vivoで、CRPを奪う
化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトにおいてC反応性タンパク質(CRP)のレベルを低下させるための、CRPを必要とする哺乳類にCRPまたはその医薬品の塩または溶媒和物を結合する分子を含む有効量の化合物を投与することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C反応性タンパク質(CRP)は、七十年以上にわたる有用性の記録がある急性期成分である。最近十年間には、このタンパク質は、アテローム性動脈硬化症の炎症性病原論が原因で、再び注目された。特に、破裂、血栓症に、およびしたがって閉塞性動脈疾患に繋がる、アテローム性プラークの脆弱性および不安定性におけるCRPの役割が研究されている。
【0003】
C反応性タンパク質(CRP)は急性期タンパク質の典型であり、刺激の開始後に最大1000倍に増加しうる。争点となっている、日常の臨床診療におけるCRPの感染および/または炎症のマーカーとしての役割以外に、このタンパク質は幅広い生物学的性質および機能を有する。オプソニン作用能およびヒト補体を活性化する能力のために、CRPは、細菌および真菌といった、さまざまな微生物に対する先天性宿主防御において重要な役割を果たす。同一のオプソニン食作用の性質は、核成分を含む宿主細胞物質の排除に繋がりうる。炎症は、アテローム性動脈硬化症の病因および病原論における基礎の一つであり、そのことがアテローム性動脈硬化症の経過における役割に世界的に注目を集めることに繋がった。この役割は二重の性質を有する可能性がある。第1に、CRPレベルはアテローム硬化性病変内の炎症の「負荷」を反映し、したがってプラークの脆弱性および不安定性を反映する。このため、タンパク質のレベルの上昇は、プラークの破裂への、および、したがって、閉塞性動脈疾患への前兆である可能性がある。次に、CRPはアテローム硬化過程において積極的役割を果たす可能性がある。CRPは、内皮細胞上のさまざまな接着分子の発現に関与し、および本タンパク質はプラーク内のヒト補体を活性化することができる。さらに、プラーク内でのCRPおよび補体タンパク質の局所産生の近年の発見は、炎症カスケードにおける本タンパク質の積極的役割を示唆する。アテローム硬化過程におけるCRPの役割が何であれ、CRPレベルの上昇は、約3mg/lのカットオフ値で、閉塞性動脈疾患、特に急性冠動脈症候群のリスク上昇と関連していることが証明されている。
【0004】
CRPの歴史:原理および臨床使用
歴史的展望
C反応性タンパク質(CRP)は、1930年にウィリアム・S・ティレット(William S.Tillet)およびトーマス・フランシス(Thomas Francis)によってロックフェラー医学研究所(Rockefeller Institute for Medical Research)にて発見された急性期タンパク質である、J Exp Med 1930; 52:561−571。
【0005】
CRPは、感染の急性期に見出された一群のタンパク質のうち最初のものである。これらのタンパク質の濃度は、1000倍(CRP)まで上昇した。急性期反応、すなわち急性期タンパク質の濃度における変化は、宿主の非特異的な先天性防御機構である。細菌感染の他に、急性期反応に繋がる、炎症、壊死、悪性腫瘍、火傷、手術、外傷、分娩、激しい運動、ストレス、および精神疾患を含む、多数の他の症状が存在する。
【0006】
CRPの構造および結合部位
CRPは、遠くカブトガニまで遡る顕著な種間配列ホモロジーを有する、高度に保存されたペントラキシンファミリーのタンパク質である。もう一つの顕著な特性は、種内多型が存在しないことである。CRPは、サブユニット間の非共有結合によって対称性の五量体型に凝集した5個の同一のサブユニット(プロトマー)から構成される。各サブユニットは、206個のアミノ酸を含み約23000Daの合計分子量を有する1本のポリペプチド鎖から成る。36位および78位の2個のシステイン残基が、ジスルフィド結合を実現する。リガンドのカルシウム依存性特異的結合が可能となるように、個々のサブユニットは、2個のカルシウムイオンを結合する能力を有する。最も強いリガンドは、細胞膜および血漿リポタンパク質のリン脂質の構成成分である、ホスホコリン(PCh)である。ホスホコリンは、大多数の真核生物に共通である。細菌細胞壁の画分Cはまた、上述の通り、ホスホコリンを含む。CRP巨大分子における立体構造変化のため、個々の連続するリガンドの結合親和性は非常に高められる。言い換えると、CRPはアロステリックタンパク質である。
【0007】
CRPのカルシウム依存性結合特性の他のリガンドは、核構成成分、すなわち、ヒストン、クロマチン、および核内低分子量リボ核タンパク質(snRNP)である。したがって、CRPは核抗原の排除および処理において重要な役割を果たし、そのようにして核物質に対する自己免疫反応を防ぐ可能性がある。CRPの略図を図1に示す。
【0008】
カルシウム非依存性結合が、陽イオン性ポリマー(リジンリッチおよびアルギニンリッチタンパク質)について存在する。大多数のポリカチオンは好中球によって分泌されるため、この結合特性の役割は、炎症過程に対して調節作用を有することである可能性がある。
【0009】
2.3.CRPの生合成および動力学
CRP合成の主要な場は肝細胞である。生理的環境下では、ヒトCRPは、0.8mg/lの血清濃度中央値を有するタンパク質である。ヒトCRP遺伝子は第1染色体の長腕上に位置する。血漿CRPは、IL−6によって誘導される転写レベルにて主に調節される。In vitroおよびin vivo CRP mRNA転写は、IL−6によって劇的にアップレギュレートされる。この反応は、IL−1bとの組み合わせで大幅に促進される。この相乗現象は、IL−1bによる転写レベルでのCRP合成の調節のために起こる。転写後に、CRP mRNAはプロトマーへ翻訳される。小胞体において、5個のプロトマーが組み立てられて1個の環状五量体となり、その五量体は分泌されるかまたは貯蔵される。
【0010】
循環内へ放出される際、本タンパク質は、炎症部位での顕著な組織隔離なしに、血管内腔に等しく分布する。このことは、「解毒」仮説、すなわち炎症の部位から循環へ逃げる有害物質を結合しおよびそれによって中和/解毒することによって説明することができる。CRPレベルにおける劇的な上昇は、急性現象後48時間以内に300mg/lを超える可能性がある。高いレベルは、刺激の存在中は持続しうる。刺激(たとえば組織損傷)の持続時間および強度と、CRPを合成する肝細胞の数との間には、強い正の相関が存在する。後者の現象は、血流の方向にある肝細胞の活性化のためである、すなわち、サイトカインがまず門脈三角付近の肝細胞に到達し、および肝細胞のさらなる活性化が中心静脈方向で起こる。これは、刺激の程度がより強くおよびより長い場合にはいつも、血清CRPについてより高いピークレベルおよびまた長期の増加を結果として生じる。CRPの大部分は、産生と同一の場所、すなわち肝細胞にて、取り込まれおよび分解される。(リガンドと結合した)小さな一部分が、好中球およびマクロファージによって取り込まれおよび処理される。
【0011】
血流からの本タンパク質のクリアランスは、生物学的半減期19時間を有し単指数的である。この半減期はCRPレベルには依存せず、および、したがって、生理的または病態生理的環境には依存しない。したがって、血漿CRPレベルの唯一の重要な決定因は合成速度であり、これは原理的に、炎症または他の疾患過程の活動性を監視するための血清CRPの臨床使用を正当化する。
【0012】
転写後機構もまたCRPレベルに関与する。刺激後、小胞体からのCRPの分析の顕著な加速があり、濃度の速やかな上昇を説明する。
以前の研究者らはまた、CRPの肝臓外、すなわち、アルツハイマー病患者の脳神経細胞、少数の末梢リンパ球、およびアテローム性プラーク内の産生を同定した。
【0013】
CRPの生物学的特性および機能
CRPの生物学的機能は多岐にわたり、およびその結合特性に由来しうる。これらは表1に要約される。
CRPのホスホコリンへのカルシウム依存性結合は、CRP−Ca2+−PCh複合体を結果として生じる。このリガンド複合体化CRPは、C1qによって認識され、およびC3転換酵素の生成に、およびしたがってヒト補体の古典経路の活性化に繋がる。古典経路の活性化は、最終膜攻撃複合体を介して、ホスホコリンを含む微生物のオプソニン化および食作用に繋がる(図2)。壊死宿主細胞物質の処理および排除は同一の経路によって行われる、すなわち、核物質または他の細胞物質のCRPへのカルシウム依存性結合が、補体の古典経路の活性化に、およびしたがって、オプソニン食作用に繋がる。しかし、アポトーシス宿主細胞物質については、最後の経路である最終膜攻撃複合体は活性化されない。このようにして、アポトーシス宿主細胞物質はさらなる炎症性損傷なしに的確に排除される。
【0014】
もう1つの重要な生物学的特性は、FcgRIおよびFcgRIIa受容体(IgG分子についてはFc受容体)と結合するリガンド複合体化CRPの能力である。この結合は食細胞の反応を導き出し、およびそれによって微生物または損傷した/死んだ宿主細胞物質の食作用を促進する(図3)。
【0015】
【表1】

表1(ゲビュルツ(Gewurz),H.;チャン(Zhang),X.H.;リント(Lint),T.F.;Curr Opin Immunol,1995; 7:54−64)
【0016】
五量体CRP分子の一部はタンパク質分解または変性の処理を受ける。前者の処理は、五量体CRPの単量体サブユニットまたはより小さなペプチドへの解離を結果として生じる。変性による分子の立体構造変化は、修飾CRP分子(mCRP)をもたらす。両方の処理の最終結果は、未変性分子では通常は「隠れた」、ネオエピトープと呼ばれる新しいエピトープの発現である。さまざまな機能が、未変性CRPとは異なるネオエピトープの結合特性に帰せられている。たとえば、mCRPの第3の結合機能は、好中球上の低親和性IgG受容体FcgRIIIbに対するものである。この結合は、L−セレクチンの脱落を、およびしたがって、e内皮細胞への好中球の接着の阻害を結果として生じる。mCRPのこの抗炎症性作用は、好中球はアテローム硬化性病変に存在しないという事実に関与する可能性がある。
【0017】
C反応性タンパク質の臨床使用
上述の通り、CRPの排除は単指数的であり、および血清濃度または病態生理的環境に依存しない。したがって、CRPの測定は疾患活動性の良好なマーカーである。しかし、医師の診断過程におけるCRPの使用は議論を呼んでいる。CRP測定の臨床使用の可能性は一部の人々によって認められおよび別の人々には認められていない。
細菌感染からウイルス感染を識別するためのCRPの使用は、最低限でも論争の的のままである。非常に高いレベルのCRPは侵襲的な細菌感染に随伴する傾向があるが、以前の報告はまた、100mg/l以上のCRPレベルを急性ウイルス感染でも示している。急性期反応はおそらく、侵襲ウイルスによって、またはそれを原因とする組織損傷を伴うそのウイルスに対する宿主免疫反応によって引き起こされた、宿主組織損傷の程度に依存する。さらに、細菌感染の急性期におけるCRPレベルは、感染の開始直後の24時間にはまだ正常である可能性がある。結論として、CRP測定は他の臨床および臨床検査情報と合わせてはじめて解釈が可能である。
【0018】
CRPは慢性関節リウマチ(RA)における疾患活動性の客観的指標であることが証明されており、およびこの疾患における薬物療法の効果を監視するために医師にとって有用である。さらに、CRPの持続的高レベルは、継続する関節変性についてのリスク因子である。疾患活動中に相対的に低いかまたは正常のCRPレベルを有するいくつかの疾患が存在し、それらは全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、原発性シェーグレン症候群、急性白血病、および潰瘍性大腸炎である。
一部の医師は、SLE増悪と介入性感染を識別するために血漿CRP濃度を用いる。しかし、漿膜炎を伴うSLE増悪では、CRPレベル中央値は感染中に測定されるCRPレベルに匹敵する。より低い程度にであるが、これはまた多発性関節炎を伴うSLEにも当てはまる。CRP反応の悪さの原因は不明である。血清学的研究は、疾患活動中に適当なIL−6/IL−1/TNF−(反応が存在することを示している。
【0019】
活動性のクローン病の患者において、潰瘍性大腸炎と比較して、循環CRPにより大きな増加を見出す傾向は、クローン病患者における単球およびマクロファージによるIL−1bおよびIl−6のより多量の産生に帰される。その差は、しかし、血漿CRP濃度を疾患活動性に、まして鑑別分析に用いるのに十分なほど有意ではない。
【0020】
CRPの復活:アテローム性動脈硬化症および炎症
アテローム性動脈硬化症およびプラーク形成
アテローム性動脈硬化症は、小児期初期に始まりおよび中年期以降に心臓発作、卒中、または末梢血管疾患によって顕在化するまで燻る緩徐な進行性疾患である。アテローム性動脈硬化症の最初の巨視的段階は、顕微鏡的には泡沫細胞(コレステロールエステルおよび遊離コレステロールを取り込んだマクロファージ)、平滑筋細胞、および少数のTリンパ球で満たされた、脈管内膜内のわずかに隆起した黄色の病変である脂肪線条である。より後期の段階では、脂肪線条は、アテローム性または線維性プラークへ発達しうる。より後期の典型的なプラークは:(i)平滑筋細胞と共に結合組織を含む、プラークの管腔側の境界を成す線維性被膜;(ii)マクロファージ、平滑筋細胞、およびTリンパ球から成る、線維性被膜の下の細胞部分;および(iii)細胞残渣、脂質、コレステロール結晶、およびカルシウム沈着物を含む、より深い壊死性の中心部によって特徴づけられる。
線維性組織、脂質、細胞、およびカルシウム沈着物の相対含量は変動しうる。プラークの内容物のように、プラーク自体もまたアテローム性、線維性から、石灰化プラークまでの範囲を、血栓症、潰瘍形成、または破裂といった、可能性のある合併症と共に変動しうる。
【0021】
アテローム性動脈硬化症およびプラーク形成の病因および病原論は詳細にわかっていない。アテローム性プラークの進行に高脂血症が重要な役割を果たすが、脂肪線条は生涯の非常に早期に出現するという事実は、他の病因的要素もまた決定的な役割を果たすことを示唆する。脂肪線条は早くも胎生期に、主に胸大動脈に、大動脈弁輪の領域の近傍に出現し、および二十歳代まで数および含まれる範囲が増加する。胎児における脂肪線条形成の過程は母胎の高コレステロール血症によって大幅に促進されるが、しかしそれらはまた、血中コレステロール正常の母親の胎児にも出現する。十歳代以降は、その他の主な動脈もまた含まれるようになる。脂肪線条の大多数は生存中に変化しないままであるかまたは消滅さえする。青年期になって初めて、アテローム性プラークの進行性発達が出現する。脂肪線条がプラークへさらに発達しうる動脈の優先的部位は、血流の動態における変化が現れる位置、すなわち分枝、分岐、および湾曲にあるように思われる。
【0022】
解明すべき核心となる問題は、アテローム性動脈硬化症の第一段階は何であるかということである。最新の損傷対反応仮説は、内皮機能障害がアテローム性動脈硬化症における第二段階であると述べている。しかし内皮機能障害に先行するのは何であろうか。損傷の性質は何であろうか。いくつかの病因要素、すなわち、上昇および修飾されたLDL、喫煙、高血圧、高ホモシステイン血症、糖尿病、感染症(クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、ヘルペスウイルス、CMV、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori))、および抗ベータ2糖タンパク質I抗体が提案されている。その過程は多因子的に決定される可能性があり、その場合には遺伝的要素もまた重要な役割を果たす。
【0023】
内皮機能障害は、内皮細胞上のさまざまな接着分子(ICAM−1、VCAM−1、P−セレクチンおよびE−セレクチン)の発現に繋がり、したがって単球およびTリンパ球の接着および「ローリング」を促進する。これらの分子の発現は、せん断力の低い乱流の部位で促進される。単球の遊出後、それらはマクロファージとなりおよびスカベンジャー受容体を介して脂質(酸化LDL)を取り込み、泡沫細胞を形成する。やがて泡沫細胞は死に、およびその細胞残渣および脂質が、線維性被膜の基礎となる壊死性中心部の構成成分を形成する。
【0024】
内皮の透過性の上昇および内皮細胞によるサイトカインの産生は、接着および遊走の過程を促進する。炎症細胞の管壁内への侵入後、炎症細胞はさまざまなサイトカインを産生し、その結果として内層からの平滑筋細胞(SMC)の遊走および増殖を生じる。SMCによる線維性組織(コラーゲンおよびエラスチン)産生は線維性被膜のセメントを生じ、一方、細胞は煉瓦と考えることができる。上記は図4に図示される。
【0025】
安定性および不安定性プラーク:脆弱性および不安定化の過程
組織病理研究は、大多数の急性冠動脈発作が、破裂した線維性被膜の下にある高度に血栓形成性の塊上でのその後の血栓形成を伴う、プラーク破裂によって引き起こされたことを明らかにしている。それらの研究はまた、破裂しやすい脆弱性プラークは多量の脂質プールを有し、薄い線維性被膜によって境界が形成され、および動脈管腔の中等度ないし軽度の狭窄だけを引き起こすことを見出している。大多数のプラーク破裂は、線維性被膜の段部で起こる。この領域では、3つの顕著な特性、すなわち、炎症細胞(単球/マクロファージおよびTリンパ球)の蓄積、マトリクスを分解するメタロプロテイナーゼ(MMP)の発現、およびプラーク構造および組成のためのより高い周辺の引張応力が存在する。これらの3つの特性の協調は、脂質中心部の進行性壊死および線維性被膜の弱化を結果として生じ、脆弱性および不安定性プラークとなる可能性がある。たとえば、段部におけるMMPの過剰発現は、これらの領域で起こる高い引張応力によって誘導される再構成過程の一部である可能性がある。炎症細胞の蓄積は、炎症仮説に繋がった。
【0026】
アテローム性動脈硬化症および炎症:C反応性タンパク質の役割
アテローム性動脈硬化症が炎症過程であって、単に動脈壁における脂質の沈着の過程ではないということの最も説得力のある証拠は、脂肪線条および進行したアテローム硬化性病変における単球由来マクロファージおよびTリンパ球の連続的な存在および蓄積である。また、活性化された補体およびCRPがアテローム硬化性病変中に存在するという証拠がある。CRPは初期のアテローム硬化性病変内の、酵素的に分解された、酸化されていないLDL(E−LDL)のホスホコリン基と結合することが見出されている。E−LDL−Ca−CRP複合体は、マクロファージによって吸収され、および補体を古典経路によって活性化しおよび炎症過程を促進する。
このように、アテローム性動脈硬化症は、Tリンパ球およびマクロファージによる、炎症促進性媒介物質、すなわちTNF−a、IL−1、およびIL−6の、連続的な軽度産生を伴う慢性軽度炎症性疾患と考えることができる。
【0027】
これらのサイトカインはプラークから循環へ漏れる。不安定性狭心症の患者における冠動脈プラークの細胞浸潤の増加は、慢性炎症過程のより高いプラトー、すなわち、炎症促進性サイトカインの産生増加を結果として生じる。これは、炎症性タンパク質CRP、血清アミロイドP成分、血清アミロイドA、およびフィブリノーゲンの肝臓における産生の増加を結果として生じる。
この炎症プロファイルは、アテローム硬化性疾患がより進行している場合にはより著しい。たとえば、冠動脈疾患および末梢動脈疾患の両方を有する患者は、それらの疾患状態のうち一方だけを示している患者よりも高い、急性期タンパク質の血漿レベルを有する。
【0028】
CRPは、急性期タンパク質の典型であって、炎症性刺激後の最も速やかな応答物質であり、およびプラーク形成の炎症性部分のマーカーの優れた候補である可能性がある。CRPの役割を研究するためには、アテローム性動脈硬化症の病原論において役割を果たすと仮定される濃度差の大きさはリットル当たりミリグラムの十分の一の桁にあるため、高感度測定法が必要である。
【0029】
CRPは炎症過程のマーカーである他に、CRPはまた炎症過程の誘導因子としての役割を果たす可能性がある。CRPおよび修飾CRPは、さまざまな接着分子の発現に対する作用によって、炎症の部位で調節の役割を果たす。たとえば、プラーク内に見出される炎症細胞の組は、CRP/mCRPの作用、すなわち、内皮への好中球接着の阻害ならびに単球およびTリンパ球接着の刺激を反映している可能性がある。
【0030】
CRPおよびmCRPの両方がヒト血管に見出され、およびしたがってアテローム発生においてCRP/mCRPに積極的役割を割り当てることは理に適う。CRPが炎症カスケードの原動力の1つであることを支持するいくつかの他の議論が存在する。第1に、前述の通り、初期のアテローム性プラーク内でのE−LDLの細胞外沈着は、CRPと結合する際に補体活性化(C1〜C9)を誘発する。膜攻撃複合体の活性化は、さらなる炎症を促進する。第2に、CRPのレベルの上昇は肥満およびインシュリン耐性を伴う。脂肪組織は健常者においてIL−6およびTNF−aの重要な起源であり、および全身のIL−6およびTNF−aの約30%を担う。したがって、循環CRPの大きな部分は、血管壁に対するその悪影響の可能性と共に、脂肪組織によって間接的に生じる。上記の炎症促進性サイトカインの産生は、肥満した対象者におけるインシュリン抵抗性症候群に関与する可能性がある。第3に、マクロファージおよびおそらくSMCによる動脈組織におけるCRPおよび補体タンパク質の局所産生を、一群の研究者が近年発見した。逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて、彼らはCRPおよび古典補体タンパク質(C1〜C9、したがって膜攻撃複合体を含む)のmRNAをアテローム硬化性病変内で見出し、局所産生を示した。これは、プラークの不安定性および破裂に繋がる、病変内での半永久的な炎症過程の証拠となりうる。第4に、CRPはさまざまな細胞を刺激して炎症促進因子を産生させる、すなわち、単球によるIL−1b、IL−6、およびTNF−aの放出、および内皮細胞によるICAM−1およびVCAM−1および単球走化性因子(MCP−1)の発現。
【0031】
アテローム硬化性リスク評価におけるCRPの有用性
アテローム性動脈硬化症は少なくとも部分的には炎症性疾患であるという合意は、炎症マーカーが関与する他のスクリーニング法が存在するかどうかという問題に繋がった。1994年以来、アテローム硬化性疾患におけるCRPの役割について多数の研究が出版されている。コレステロールスクリーニングは、急性血管発作を生じるリスクが増大している個人の半数しか特定しない。冠動脈発作、卒中、または末梢動脈疾患を示す個人の残りの半数は正常コレステロールレベルを有し、およびしたがって、第一次予防戦略のために特定することが困難である。
以前の研究は既に、不安定狭心症(UA)を有する患者におけるCRPレベルの上昇を報告している。1994年に、ルチオ(Luzio)らがUA患者におけるCRPの予後的価値を初めて証明した。この試験では、UAおよび3.0mg/lを上回るCRPレベルを有する患者は、心臓発作(心筋梗塞、冠動脈新生の必要性、または心臓死)を生じるリスクがより大きかった。その後の研究では、研究者らはまた、当初は健常な中年男性および閉経後女性における最初の心臓発作の将来のリスク評価について、CRP測定値の予後関連性を見出した。このように、CRP測定値は、将来の冠動脈発作に関して独立したリスク因子として重要な役割を果たす可能性がある。
【0032】
五分位手法は、将来の心臓血管発作に関するリスク評価のための有用な手段となりうる。被験者を、五分位1から五分位5の、5つの群に分類することができる。第1の五分位は、最低範囲のhsCRPを有し、最低リスクの被験者に相当し、一方で第5の五分位は、最高範囲のhsCRPを有し、最高リスクの被験者に相当する。2つの独立したリスク因子、すなわちCRPおよびアテローム発生指数(TC:HDL−Cの比)が組み合わされる場合に、さらに強力な予測力が得られる。上記は表2に例示される。四分位手法は同じ原理に基づく。このように、脂質測定値と組み合わせてhsCRPを測定することの相加効果は、第一次予防および第二次予防における強力なリスク評価を結果として生じうる。
【0033】
【表2】

(Clin.Chem.2001,47:403−11)
【0034】
アテローム硬化性疾患における新しい標的:CRPレベルの低下
アテローム硬化性疾患の炎症性病原論は、CRP測定値およびCRPレベルを低下させることの目標は医師の治療戦略における手段となる可能性があることを示すように思われる。下記で、我々は第一次および第二次予防に関してさまざまな可能性を考察する。
【0035】
スタチン
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン)は脂質低下薬としてアテローム性動脈硬化症の患者に広く用いられている。費用対効果の理由で、第一次予防のためのスタチン療法は、明白な高脂血症のある患者に制限されている。しかし、スタチンの臨床作用および病理作用は、循環LDLの低下だけに帰することはできない。他の作用(抗血栓、抗酸化)の中でも、スタチンはまた抗炎症性を有する可能性がある。いくつかの研究が、脂質プロファイルにおける変化に依存しない、スタチンのCRP低下能力を実証している。さらに、スタチンの作用は、最高の四分位または五分位にあるCRPレベルを低い脂質レベルと組み合わせて有する患者でより甚大である。
高リスク患者を低リスク患者から識別するために、CRP測定はスタチンの有効性を監視することの良好な標的である可能性がある。このことはまた、高脂血症を伴わない患者における第一次予防でのスタチンの使用を示唆しうる。
【0036】
アスピリン
アスピリンは主として血小板凝集阻害剤と考えることができるが、しかしアスピリンはまた抗炎症作用を有する。長年にわたってアスピリンは、心筋梗塞および虚血性脳卒中の第一次および第二次予防における利益を証明している。1997年に、リドカー(Ridker)ら(New Engl.J.Med.1997; 336:973−9)は、アスピリンを使用している患者における心筋梗塞のリスク低下は、CRPレベルの低下と直接的に相関したことを実証した。その後の研究はこの効果を確認した(ケノン(Kennon)S.ら;J Am Coll Cardiol 2001; 37:1266−70)。しかし、同一の研究において、研究者らはまた、UAを示している患者における冠動脈発作についてのリスク因子としてのCRPレベルの予測的価値は、アスピリンを用いた前処置後に失われたことを見出した。さらに、心筋梗塞後の組織損傷の程度もまた、アスピリンで前処置された患者において低下した。後者の作用はおそらく、本薬剤の抗炎症性によった。このように、急性動脈発作の第一次および第二次予防におけるアスピリンの保護作用は、部分的には本薬剤の抗炎症性による可能性がある。
【0037】
抗生物質
血清疫学的研究は、アテローム硬化性疾患患者におけるサイトメガロウイルス,1型単純ヘルペスウイルス、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、およびクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)の感染の発生率増加を示している。
アテローム硬化性疾患と病原体との間の最も強い関連はクラミジア・ニューモニエ(C.pneumoniae)について見出されている。さらに、クラミジア・ニューモニエはまた、DNA−PCR法によって同定された際、動脈管腔再建術標本のアテローム性プラークに被験者の最大30%において検出されている。病原体がアテローム性動脈硬化症の病因または病原論に関与するかどうか、または病原体が局外者であるかどうかは、今のところ不明である。しかし、アテローム性血栓症における病原体としての微生物の役割の可能性は、抗生物質が急性動脈発作の治療に役割を果たしうるという考えに繋がっている。
クラミジア・ニューモニエ(C.pneumoniae)は、内皮細胞、SMC、およびマクロファージを感染させ、慢性および再発性感染を引き起こし、およびマクロファージ内で複製し、生存し、および移動する細菌である。主に無症候性の気道感染後、本微生物は栄養血管を通じて動脈に侵入し、その後、SMCが感染する最初の細胞であると考えられている。病理学的および疫学的知見に加えて、これらの性質はクラミジア属(Chlamydia)をプラーク形成にごく一貫して共存する微生物にしており、クラミジア属を抗生物質標的化のための良好な候補としている。
【0038】
しかし、抗生物質の短期(1週間)および長期(最大3ヶ月)を用いたいくつかの遡及研究および前向き試験(コー(Kou),C.ら,J Infect Dis 2000,Suppl 3:5432−6)は、アテローム血栓性疾患における抗生物質の有効性に関して矛盾するデータを与える。クラミジア感染の可能性を有すると特定された患者はIgG血清陽性であったが、これらの患者が実際にクラミジア感染を有したかどうかは不明であることに注意する。さらに、抗生物質治療がプラーク内のクラミジア感染を根絶したかどうかは、ヒト被験者において調べる作業は困難あるいは不可能でさえあって、不明である。
【0039】
近年の研究において(ジョンストン(Johnston),C.S.ら,Stroke 2001; 32:2748−52)、研究者らはプラーク内の生きたクラミジア・ニューモニエ(C.pneumoniae)の同定(RNA−PCR陽性)と高いCRPレベルとの間の正の関連を見出した。これは、一部のアテローム性プラークが実際にその微生物に冒されており、およびプラークの脆弱性の増加を伴う活動性の感染を引き起こすという事実によって説明されうる。血漿CRPを測定することは、しかし、生きたChlamydiaを有する患者と血清検査陽性だけの患者とを識別することができない。これらの高リスクの可能性のある患者は、組織試験によってしか同定することができない。この群の患者に対する抗生物質治療の効果を調べるため、前向き試験を実施すべきである。今のところ、アテローム血栓性疾患の第一次および第二次予防における抗生物質の使用は正当化されていない。
【0040】
D.トンプソン(Thompson)らはSTRUCTURE,vol.7,no.2,27 January 1999 (1999−01−27),pages 169−169−177で、アテローム性動脈硬化症後の合併症としてのCRPの組織損傷促進作用を阻害することができ、アテローム性動脈硬化症が魅力的な治療標的であることを開示する。医薬としての使用のためのCPR結合の阻害剤の開発および改良の関連性が認められている。
【0041】
国際公開第90/12632号パンフレットは、CRPを除去するためにホスホリルコリンを含む吸収マトリクスを用いることによる、がん患者由来血漿の体外処理を開示する。
【0042】
特開昭62−036399号公報(Nippon Biotest Kenk)(昭和62年2月17日)は、抗ヒトCPRモノクローナル抗体CPB18を使用する吸着クロマトグラフィーを用いたヒトCRPの回収および精製を開示する。
【0043】
W.ヌノムラ(Nunomura)ら; Journal of Biochemical and Biophysical Methods,vol.21,no.1は、マウスモノクローナル抗体を用いた免疫アフィニティクロマトグラフィーによるヒトCRPの精製を開示する。
【0044】
H.チアン(Jiang)ら; The Journal of Immunology,vol.146,no.7,pp.2324−2330は、CRPと結合しおよび補体成分C1qへのCRPの結合を阻害しおよびCRP誘導性補体活性化を阻害するモノクローナル抗体8D8を開示する。
【0045】
R.クリストナー(Christner)ら; Archives of Biochemistry and Biophysics,vol.314,no.2,pp.337−343は、CRPと結合しおよびCRPのPCへの結合を阻害するモノクローナル抗体Ea4−1を開示する。モノクローナル抗体1C12はSAPと、および見かけ上CRPとも結合し、およびPCへのCRPの結合を阻害する。
【0046】
S.スワンソン(Swanson)ら; Journal of Cellular Biochemistry,vol.40,no.1,1989,pp.121−132は、CRPと結合するモノクローナル抗体によってCRP−ラミニン相互作用が阻害されうることを開示する。
【0047】
B.ハンセン(Hansen)ら; The Faseb Journal; vol.3,no.3,1989,page A820は、CRPに対する抗体による、正常および活性化NK細胞の分化抑制を開示する。
【0048】
C.ラバーレル(Labarrere)ら; The Lancet,vol.360,no.9344,2002,pp.1462−1467は、上昇した血清CRP濃度の低下は、移植冠動脈疾患および同種移植拒絶の発症および進行の速度に有益な作用を有しうることを開示する。
【0049】
図注
図1.可能な結合部位を有する五量体CRPの略図
図2.宿主細胞物質および侵入者の処理および排除。細菌または真菌細胞壁のまたは宿主細胞物質由来の(核成分を含む)リガンドがカルシウム依存的な方法で五量体CRPへ結合する。オプソニン化および食作用は2つの経路、すなわちヒト補体の古典経路の活性化およびIgG受容体への直接の結合を通じて行われる。
図3.細菌がCRP分子によって、細胞膜のホスホコリン基へのCRP分子のカルシウム依存性結合によってオプソニン化される。細菌は食細胞上のCRPのFcガンマ−受容体結合によって食細胞へ接着する。オプソニン化および接着の後に、細菌は取り込まれおよび貪食される。
図4.アテローム性動脈硬化症およびプラーク形成の過程に関する模式的なおよび一部が仮定的なモデル。
【0050】
技術分野
本発明は、治療用タンパク質、心臓血管生理学、および薬学の分野を扱う。具体的には、本発明は、たとえば心臓血管疾患および、内皮の関与のある、C反応性タンパク質(CRP)のレベル上昇を伴う他の関連疾患の、既知のリスク因子の、CRPを結合する分子を投与することによる低減に関する。
【0051】
心臓血管疾患は米国における主な死因であり、および数百万の人々にとって疾病率、医療コスト、および経済損失の主な原因である。心臓血管疾患の最も一般的および破壊的な2つの側面は、動脈硬化症の出現および血栓性発作である。
【0052】
近年、心臓血管疾患の治療において大幅な進歩が達成されている。この進歩は、疾患機構における治療的介入の進歩のためばかりでなく、心臓血管疾患を発症するリスクのある患者の早期特定を通じてもまた可能になっている。実際、患者リスク同定および早期治療は現代医療の重要な特性である。最近二十年間にわたって、現在の状態または心臓血管疾患を発症する将来の確率のどちらかと相関するさまざまな要因および臨床パラメーターが特定されている。そのようなリスク因子は、測定可能な生化学的または生理学的パラメーター、たとえば、血清コレステロール、HDL、LDL、フィブリノーゲンレベルなど、または、肥満、喫煙などといった生活習慣パターンの行動を含みうる(より詳しくは、『高齢者における心臓血管リスク因子』("Cardiovascular risk factors in the elderly'),カネル(Kannel)W.,Coronary Artery Diseases,8:565−575,1997およびその中の参考文献を参照)。本発明に最も密接に関係するリスク因子は、C反応性タンパク質のレベルである。
【0053】
測定可能なパラメーターまたはリスク因子と疾患状態との間の固有の関係は、必ずしも明らかとは限らない。言い換えると、リスク因子自体が疾患の原因となるかまたは寄与しているか、またはそうでなく疾患を示す付随的反映であるかは、必ずしも明らかとは限らない。したがって、リスク因子に作用する治療様式は、疾患の病理学的機構およびその将来的経過を直接的に修飾しうるか、または疾患に関係する何らかの寄与的過程に間接的に利益を与えうる。
加えて、心臓血管疾患と結びついた多数のリスク因子が、原因的または指標的役割のどちらかで、他の病理状態に関与している。したがって、心臓血管疾患における特定のリスク因子の低減または遮断は、そのリスク因子に関係する別の疾患において別の有益な作用を有する可能性がある。
【0054】
本発明の方法に関して特に興味深いのは、C反応性タンパク質の異常に高いレベルに関連する心臓血管リスク因子の低減である。
【0055】
C反応性タンパク質は、サイトカイン産生に応答して肝臓によって産生される。サイトカインは体内の炎症性反応の一部として産生される。したがって、C反応性タンパク質レベルは全身の炎症活動性のマーカーである。慢性炎症は、心臓血管疾患において基礎となるおよび持続する病原の1つと考えられている。
【0056】
閉経期に、エストロゲンの消失と共に、女性の心臓血管疾患の有病率が上昇する。また、心臓血管疾患のリスク因子、特に脂質(コレステロールおよび中性脂肪)、ホモシステイン、およびC反応性タンパク質レベルが上昇する。今日、閉経期女性において心臓血管疾患を防ぐ最も一般的な方法は、ホルモン補充療法(HRT)である。しかし、多数の女性は、鼓腸、月経の再開、胸部痛、子宮がんおよび乳がんの恐れ、などといった不快な副作用のため、この療法に適合しない。加えて、HRTがコレステロールおよびホモシステインレベルを事実低下させる一方で、HRTはC反応性タンパク質レベルを上昇させる。これらのリスク因子を低下させる新しい治療薬は有益となる。
【0057】
本発明は、ヒトにおいてC反応性タンパク質のレベルを低下させるための、CRPを必要とするヒトにC反応性タンパク質またはその医薬品の塩または溶媒和物を結合する分子を少なくとも含む有効量の化合物を投与することを含む、手段、分子および方法を提供する。
さらに、本発明は、過剰のC反応性タンパク質または活性CRPによって引き起こされる症状または有害な作用を阻害するための、それぞれ、それを必要とするヒトにC反応性タンパク質またはその医薬品の塩または溶媒和物を結合する分子を少なくとも含む有効量の化合物を投与することを含む方法に関する。
【0058】
本発明は、CRPを結合する化合物、すなわち、抗体、組み換え抗体(たとえば1本鎖抗体−scAbまたはscFv;二重特異性抗体、組み換え型二重特異性抗体)、モノクローナル抗体は、C反応性タンパク質のレベルを低下させるかまたはCRPを阻害するのに有用であるという知見に基づく。
ここでは、「有効量」の語は、C反応性タンパク質のレベルを低下させるかまたは阻害することが、および/または、過剰のC反応性タンパク質または活性CRPによってそれぞれ引き起こされる症状または有害な作用を阻害することができる、C反応性タンパク質を結合する化合物の量を意味する。
【0059】
「エストロゲン欠乏」の語は、女性が、たとえば、月経、骨量の恒常性、神経機能、心臓血管の状態などといった、エストロゲン依存性機能を維持するのに十分なエストロゲンホルモンを産生することができない、天然に存在するかまたは臨床的に誘導された症状をいう。そのようなエストロゲン欠乏状態は、閉経および、たとえばGnRH作用薬または拮抗薬を含む薬剤、ICI182780、などのような卵巣摘出の機能的同等物を含む外科的または化学的卵巣摘出から生じるがそれらに限定されない。
過剰のC反応性タンパク質によって引き起こされる症状または有害な作用を阻害するという文脈での「阻害する」の語は、その一般的に受け入れられている意味、すなわち、C反応性タンパク質の増加および病理的続発症、すなわちその現象の結果として生じる症状、の進行または重症度を、遮断、制止、抑制、緩和、改善、減速、停止、または逆転させることを含む。
【0060】
「医薬の」の語はここで形容詞として用いられる場合、レシピエントに対して実質的に無毒性および実質的に無害であることを意味する。
「医薬処方」または「薬剤」または「医薬組成物」とは、そのキャリヤー、溶媒、添加物および塩が、その処方(C反応性タンパク質を結合する、少なくとも1つの分子の化合物)の有効成分と適合しなければならないことをさらに意味する。
【0061】
「溶媒和物」の語は、たとえば水、緩衝液、生理的塩溶液などといった薬学的溶媒の1つ以上の分子と共に、溶質の1つ異常の分子を含む凝集塊を表す。
【0062】
本発明は、C反応性タンパク質(CRP)またはその一部または単量体、五量体または多量体型であるCRP、好ましくはヒトCRPを結合する構造的実体物を少なくとも含み、および
a)細胞表面上の、または溶液、好ましくは血液または他の体液中の、または組織由来の、最も好ましくはin vivoで、1つ以上のCRP機能を遮断し、
b)および/または溶液、好ましくは血液または他の体液から、または組織から、最も好ましくはin vivoで、CRPを奪う
化合物を請求する。
【0063】
「構造的実体物」の語は、当業者に容易に理解される。それは、CRPの少なくとも一部を特異的な方法で認識することができる部分である、化合物内の部分を意味する。典型的には、そのような実体物は、CRPに結合する抗体またはその断片中に見出すことができる。断片は特にFab、Fv、scFv断片である。核酸または多糖といった他の生物分子もまた、CRPおよび分子モデリング法によって設計することができる低分子物質と結合しうる。
【0064】
一実施形態では、本発明の化合物は、CRPへの結合部位を含むポリペプチド、好ましくはCRPへの抗原結合部位を含む抗体である。本発明の化合物は、特に、CRPへの抗原結合部位を含むポリクローナルまたはモノクローナル抗体である。
そのモノクローナル抗体は特にCRPへの抗原結合部位を含み、および、脊椎動物、好ましくはマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ブタ、ヤギ、ニワトリ、ウシ、ウマおよびウサギといった哺乳類を免疫後に得ることができる。CRPへの抗原結合部位を含むポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、好ましくは、当業者によく知られた技術に従ってヒト化される。本発明の化合物はまた、重要な免疫細胞(たとえばヒト起源の;たとえばSCID−huマウスについて)を再増殖させた免疫不全マウス(たとえばSCIDまたはヌードマウスについて)を免疫することによって作製できる。
【0065】
別の一実施形態では、本発明の抗体は、特にCRPと交差反応する抗体の抗原結合部位を含むことによって、CRPと結合する能力がある組み換え抗体(たとえば1本鎖抗体についてはscAbまたはscFv;二重特異性抗体、組み換え型二重特異性抗体など)である。本発明の抗体分子は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。本発明の化合物を産生する宿主細胞、好ましくは安定な宿主細胞もまた、本発明の対象である。
さらに、本発明の対象は、宿主細胞中で抗体分子を好ましくは分泌タンパク質として発現する能力がある調節配列と調節可能に結合した、本発明に記載の結合分子断片をコードするヌクレオチド配列を含む、少なくとも1つの組み換えベクターである。
【0066】
本発明の対象はまた、好ましくは安定に遺伝子導入された、本発明に記載のベクター、本発明の組み換え抗体を産生する原核または真核細胞株、および本発明の組み換え抗体を産生する真核生物、最も好ましくは動物、植物または真菌を含む、宿主である。
【0067】
本発明の対象はまた、宿主細胞を培養し、および培地および/または産生細胞から結合分子を単離することを含む、CRP抗原に結合する能力がある本発明の組み換え分子を作製するための方法である。
【0068】
別の一実施形態では、本発明は、本発明に記載のCRP結合分子を用いて、CRPレベルの上昇がある患者を治療することによって、免疫学的、炎症性および/または病態生理学的反応を阻害するための方法に関する。
【0069】
本発明のもう1つの対象は、治療的に有効な量の本発明に記載の結合分子、および医薬品として許容されるキャリヤーを含む、CRP濃度を低減するための医薬組成物である。
【0070】
本発明のさらに別の一実施形態は、CRP濃度を低下させることによって炎症性免疫および/または病態生理的反応を低減するための方法、CRP濃度を低下させることによって内皮損傷および/または破壊を低減するための方法、好ましくは卒中、心筋梗塞、突然の心臓死の回避について、火傷への提供(burnt offering)について、重度の手術または他の重度の創傷部分を伴う傷害について、糖尿病性ショックについて、急性肝不全について、膵炎について、神経変性疾患について、放射線治療後の白血病患者についての、急性内皮損傷および/または破壊の場合における急性期治療のための方法、好ましくは中等度のCRP量を有する、アテローム性動脈硬化症、不安定狭心症、I型またはII型糖尿病、過体重および/または肥満の患者について、アルコール依存症について、ホルモン補充療法(HRT)下の、高齢者について、喫煙者についての、長期内皮損傷および/または破壊の場合における継続的治療のための方法、同種移植片拒絶または異種移植片拒絶を防ぐための方法、同種移植片または異種移植片寛容またはT細胞活性化阻害の誘導のための方法、および自己免疫疾患の予防または治療のための方法であって、そのような治療を要する患者へ治療上有効な量の本発明の医薬組成物を投与することを含む方法である。
【0071】
本発明の化合物は、他の分子、好ましくは各疾患の治療薬または、たとえば抗IL−6−分子、抗IL−1β−分子および/または補体阻害剤のような他の抗炎症性分子と組み合わせることができる。
さらに別の本発明の一実施形態では、自己免疫疾患は、糖尿病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、尋常性乾癬、重症筋無力症(※前記と重複)、グレーブス病、グッドパスチャー病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、再生不良性貧血、炎症性胆汁病、特発性拡張型心筋症(IDM)および自己免疫性甲状腺炎から成る群から選択される。
【0072】
本発明によって提供される方法は、C反応性タンパク質のレベル上昇に伴う有害な続発症の治療および予防の両方に有用である。C反応性タンパク質血清濃度は、特に炎症過程中に産生されるサイトカインのレベルに関連しているため、本発明の方法は、炎症現象とその続発症を治療または予防するのに有用である。そのような炎症現象は、関節炎(変形性関節炎および慢性関節リウマチ)、動脈のおよび静脈の慢性炎症、たとえばSLEなどといった自己免疫疾患、などを含むがそれらに限定されない。
【0073】
本発明の方法は、アテローム硬化性または血栓性疾患の病的続発症を治療または予防するのに有用である。そのような症状は、卒中、循環器機能不全、虚血性発作、心筋梗塞、肺血栓性塞栓症、安定および不安定狭心症、冠動脈疾患、突然死症候群、などを含むがそれらに限定されない。
【0074】
本発明はさらに、本発明で体化される病理症状を治療するために投与される、他の現在知られている臨床的に意義のある物質の、C反応性タンパク質を結合する少なくとも1つの分子の化合物と組み合わせた使用を考慮する。
さらに、本発明は、C反応性タンパク質を結合する少なくとも1つの分子の化合物は治療または予防的様式のどちらかで用いられることを考慮する。
【0075】
本発明の好ましい一実施形態は、本発明の化合物を投与されるべきヒトが女性である場合であり、およびより好ましいのはそのヒト女性がエストロゲン欠乏である場合である。
【0076】
本明の別の好ましい一実施形態は、C反応性タンパク質の以上に高いレベルによって引き起こされる症状が、心臓血管疾患、特に動脈硬化症および血栓症または、卒中、心筋梗塞、突然の心臓死、火傷への提供(burnt offering)、重度の手術または他の重度の創傷部分を伴う傷害、糖尿病性ショック、急性肝不全、膵炎、放射線治療後の白血病患者のような他の急性内皮損傷および/または破壊の場合の急性期治療、または、動脈硬化症、I型またはII型糖尿病、過体重および/または肥満、アルコール依存症、ホルモン補充療法(HRT)、高齢者、喫煙者のような長期の内皮損傷および/または破壊である場合である。
【0077】
本発明の特に好ましい一実施形態は、全身性または局所性炎症の低減のためにエストロゲンまたはHRTを受けているエストロゲン欠乏女性における、C反応性タンパク質を結合する少なくとも1つの分子の化合物の使用である。
【0078】
医薬処方は本分野で既知の手順によって調製することができ、たとえば、C反応性タンパク質を結合する少なくとも1つの分子の化合物は、一般的な添加物、賦形剤、またはキャリヤーと共に処方することができ、および錠剤、カプセル剤、などを作ることができる。
【0079】
処方に適した添加物、賦形剤、およびキャリヤーの例は下記を含む:デンプン、糖、マンニトール、およびケイ素誘導体といった充填剤および増量剤;カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、アルギン酸、ゼラチン、およびポリビニルピロリドンといった結合剤;グリセロールといった湿潤剤;アガー、炭酸カルシウム、および重炭酸ナトリウムといった崩壊剤;パラフィンといった溶解を遅らせるための物質;第四級アンモニウム化合物といった吸収促進剤;セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリンといった界面活性剤;カオリンおよびベントナイトといった吸着性キャリヤー;およびタルク、カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムおよび固体ポリエチルグリコールといった滑沢剤。最終剤形は、使用した添加物の種類に応じて、丸剤、錠剤、粉剤、トローチ剤、シロップ剤、エアロゾル剤、サック(saches)、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、軟膏、坐剤、無菌注射液剤、または無菌包装粉剤でありうる。
加えて、C反応性タンパク質を結合する少なくとも1つの分子の化合物は、徐放剤形としての処方によく適する。その処方はまた、有効成分を腸管だけで、または好ましくはその特定の部分で、おそらくある時間にわたって、有効成分を放出するように構成することができる。そのような処方は、ポリマー性物質またはロウから作ることができる、コーティング、外被、または保護基材を含むことになる。
【0080】
本発明に記載のホモシステインおよび/またはC反応性タンパク質のレベルを低下させるのに必要な、C反応性タンパク質を結合する少なくとも1つの分子を含む化合物の具体的な用量は、治療すべき特定の症状の具体的な状況に依存する。用量、投与経路、および投与の頻度といった検討は、主治医によって決定されるのが最も良い。一般的に、C反応性タンパク質を結合する分子の化合物の、経口または非経口投与のための有効最小用量は、約1ないし20000mgである。典型的には、有効最小用量は約20000、6000、または3000mgである。そのような用量は、治療を必要とする患者に、効果的にC反応性タンパク質のレベルを低下させおよび/または過剰のC反応性タンパク質によって引き起こされる症状または有害な作用を阻害するために必要な回数で投与される。
【0081】
心筋梗塞における治療標的としてのCRP
CRP濃度は、見かけ上健常な人における将来の心臓血管発作の最も強力な予測指標の1つであり、およびまた、アテローム性プラークの破裂に対する脆弱性の指標となる。これらの顕著な観察は、心臓血管疾患管理における日常のCRP測定を著しく強調しており、および結果として、CRPがそのような精度でさまざまな血管侵襲の発生を予測する機構を問題にしてきた。
【0082】
CRPと心臓血管疾患の間のミッシング・リンクは、血管内皮による多因子血管活性ペプチド、一酸化窒素(NO)の産生に見出すことができる。CRPは、有害な血管作用を予測することが知られている濃度で、内皮細胞によるNOの産生をin vitroで大幅にダウンレギュレートする。そのような研究からの結果は、NO生物活性の低下が、今度は、慢性虚血において重要な補償機構である血管新生を阻害することを示す。さらに、NO合成を減少させることによって、CRPはさまざまな心臓血管疾患の発症を促進しうる。CRPを低下させるために設計されたリスク低減戦略は、NOバイオアベイラビリティを改善することによって有効となりうる。この測定法では、CRP遮断薬の使用によってCRP濃度を低下させることがNO産生を回復する。
【0083】
CRPは古典補体経路の強力な活性化因子であり、および臨床観察および実験的観察に基づいて、組織損傷の促進におけるCRPの可能な役割が幅広く考察されている。この概念は、補体活性化に繋がる、回復不能でなく損傷した細胞へのCRP結合の病理的重要性を強調し、そのCRP結合は標的細胞をオプソニン化しおよび/または直接的な細胞毒性を引き起こし、それによって細胞死の合計を増大し、および直接の虚血性壊死の部分において壊死の促進に加える。冠動脈結紮後のウサギまたはラット虚血心における実験は、ウサギまたはヒトCRPが梗塞の大きさを増すことを示すことができた。In vivo補体枯渇はこの作用を完全に失わせることができる。これらの研究は、ヒトCRPおよび補体活性化は虚血性心筋損傷の主要な媒介因子であることを実証し、およびそれらを冠動脈心疾患における治療標的として特定する。
【0084】
CRPが補体活性化によって媒介される炎症促進作用を通じて虚血性症候群の病原論に直接関与している可能性があることは、また、正常心筋にでなく梗塞心筋組織に、活性化補体成分と共に局在化したCRPを示す剖検標本の研究によって、最初に明らかにすることができた。虚血/再灌流傷害のウサギモデルで実施した試験は、血漿CRPの増加は心筋組織損傷の増加を伴うことを示すことができた。心筋損傷におけるこの増加は、補体阻害剤を用いた前処理によって改善でき、または補体成分C6が欠損しおよび細胞膜損傷複合体を形成することができないウサギでは阻害される、補体依存性機構によって結果として起こる。
【0085】
CRP遮断薬/結合薬の有益な作用は、このウサギモデルで示すことができた。CRPの濃度を上昇させることが梗塞の大きさを増大させる一方、CRP遮断薬を用いる治療はこの増大を用量依存的に阻害する。
【0086】
もう1つの実験を、ヒト細胞を用いて実施することができる。ヒト内皮細胞と免疫細胞との間の相互作用を、接着測定法で試験した。白血球の内皮細胞への接着は、CRPの濃度の漸増で変化する。この変化は、CRP遮断分子の添加によって逆転する。両方の実験は、CRP遮断薬の有益な作用を示す。
このように、CRPは虚血の二次的な損傷の媒介因子および増幅因子である。血漿CRP濃度の医薬による調節およびしたがって補体活性化の抑制は、不安定性急性冠動脈症候群の患者の管理のための適当な治療標的である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】可能な結合部位を有する五量体CRPの略図
【図2】宿主細胞物質および侵入者の処理および排除。
【図3】細菌がCRP分子によって、細胞膜のホスホコリン基へのCRP分子のカルシウム依存性結合によってオプソニン化される。
【図4】アテローム性動脈硬化症およびプラーク形成の過程に関する模式的なおよび一部が仮定的なモデル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C反応性タンパク質(CRP)またはその一部または単量体、五量体または多量体型であるCRP、好ましくはヒトCRPを結合する構造的実体物を少なくとも含み、および
a)細胞表面上の、または溶液、好ましくは血液または他の体液中の、または組織由来の、最も好ましくはin vivoで、1つ以上のCRP機能を遮断し、
b)および/または溶液、好ましくは血液または他の体液から、または組織から、最も好ましくはin vivoで、CRPを奪う
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を産生する宿主細胞。
【請求項3】
宿主細胞を培養することおよび培地または産生細胞から化合物を単離することを含む、CRP抗原と結合する能力がある請求項1に記載の化合物を産生する方法。
【請求項4】
CRPレベルの上昇がある患者の、免疫学的、炎症性および/または病態生理学的反応を阻害するための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物の医薬有効量および医薬品として許容されるキャリヤーを含む、CRP濃度を低減するための医薬組成物。
【請求項6】
内皮損傷および/または破壊を低減するための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項7】
好ましくは卒中、心筋梗塞、突然の心臓死の回避について、火傷への提供(burnt offering)について、重度の手術または他の重度の創傷部分を伴う傷害について、糖尿病性ショックについて、急性肝不全について、膵炎について、神経変性疾患について、放射線治療後の白血病患者についての、急性内皮損傷および/または破壊の場合における急性期治療のための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項8】
好ましくは中等度のCRP量を有する、アテローム性動脈硬化症、不安定狭心症、I型またはII型糖尿病、過体重および/または肥満の患者について、アルコール依存症について、ホルモン補充療法(HRT)下の、高齢者について、喫煙者についての、長期内皮損傷および/または破壊の場合における継続的治療のための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項9】
同種移植片拒絶または異種移植片拒絶を防ぐための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項10】
同種移植片または異種移植片寛容またはT細胞活性化阻害の誘導のための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項11】
自己免疫疾患の予防または治療のための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−523837(P2007−523837A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501957(P2006−501957)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001915
【国際公開番号】WO2004/076486
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(505323518)テラヴィジョン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】