説明

NKG2Aに対するモノクローナル抗体

本発明は、免疫障害、特に、自己免疫または炎症性障害を処置する方法、ならびにそのような障害を処置するための治療ストラテジーにおける使用のための抗体および他の化合物を生成する方法に関する。一般的に、本方法は、障害の病因に寄与する樹状細胞の溶解をもたらすNK細胞上のNKG2A受容体の刺激を防止する抗体または他の化合物の使用に関与する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.NKG2Aに特異的に結合すること;
b.F受容体には特異的に結合しないこと;および
c.ヒトNK細胞上のNKG2Aに結合する場合、前記NK細胞をして、標的細胞表面上にHLA−EまたはQa1を有する標的ヒト細胞を溶解せしめることであって、その場合、前記標的細胞が前記NK細胞に接触すること、
を特徴とする、モノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項2】
NKG2CまたはNKG2Eには特異的に結合しないことをさらに特徴とする、請求項1に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項3】
NKG2Aへの結合について、Z199またはZ270と完全に競合することをさらに特徴とする、請求項2に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項4】
非ヒト霊長類NKG2Aに結合することをさらに特徴とする、請求項1、2、または3のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項5】
非ヒト霊長類NK細胞上のNKG2Aへの結合時に、前記抗体は、前記NK細胞をして、標的細胞表面上にHLA−Eを有する標的非ヒト霊長類細胞を溶解せしめ、その場合、前記標的細胞が前記NK細胞に接触する、請求項4に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項6】
配列番号2のアミノ酸配列を含んでなる、請求項3に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項7】
配列番号6のアミノ酸配列を含んでなる、請求項3に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項8】
前記抗体が、F受容体への結合を防止するように改変されているマウスまたはヒトIgG領域を含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項9】
前記抗体またはそのフラグメントがキメラもしくはヒト化である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項10】
前記抗体がヒトIgG定常領域を含んでなる、請求項9に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項11】
前記抗体またはそのフラグメントが、配列番号3を含んでなる核酸配列から産生される、請求項9に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項12】
前記抗体またはそのフラグメントが、配列番号7を含んでなる核酸配列から産生される、請求項9に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項13】
a.有効量の請求項1〜12のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント;および
b.薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤、
を含んでなる組成物。
【請求項14】
前記モノクローナル抗体またはそのフラグメントが、NKG2CまたはNKG2Eには特異的に結合しないことをさらに特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が医薬用途のために処方される、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
化学療法化合物、ホルモン、血管新生インヒビター、またはアポトーシス誘導剤を含む癌の処置において使用される治療用薬剤;抗ウイルス化合物を含む感染性疾患を処置するために使用される治療用薬剤;自己免疫疾患、炎症性障害、および移植拒絶の処置のような他の免疫療法において使用される治療用薬剤;サイトカイン;サイトカインインヒビター;免疫調節剤;補助化合物;造血成長因子;活性化NK細胞受容体のアゴニストまたは抑制性NK細胞受容体のアンタゴニストから選択される第2の治療用薬剤をさらに含んでなる、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
NK細胞および標的細胞を含んでなる集団における前記標的細胞のNK細胞媒介溶解を再構成する方法であって、前記NK細胞と請求項1〜12のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメントとを接触させる工程を含んでなり、前記NK細胞が、その表面上のNKG2Aによって特徴付けられ、そして前記標的細胞は、その表面上のHLA−EまたはQa1の存在によって特徴付けられる、方法。
【請求項18】
前記NK細胞がヒト細胞であり、前記標的細胞が、樹状細胞、癌細胞、ウイルス感染細胞から選択されるヒト細胞である、請求項21または22に記載の方法。
【請求項19】
患者における自己免疫または炎症性障害を処置する方法であって、請求項15に記載の組成物を前記患者に投与する工程を含んでなる方法。
【請求項20】
免疫抑制薬、副腎皮質ステロイド、TNFインヒビター、NCR刺激化合物、KIR抑制性受容体のインヒビター、TGF−β1のインヒビター、サイトカインインヒビター、造血成長因子、鎮痛剤、または抗炎症剤から選択される第2の治療用薬剤を前記患者に投与するさらなる工程を含んでなり、前記第2の治療用薬剤が、個別の剤形もしくは前記組成物の一部のいずれかとして投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記自己免疫または炎症性障害が、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、クローン病、原発性胆汁性肝硬変、強皮症、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、1型糖尿病、ぶどう膜炎、グレーブス病、甲状腺炎、1型糖尿病、心筋炎、リウマチ熱、強皮症、強直性脊椎炎、関節リウマチ、糸球体腎炎、サルコイドーシス、皮膚筋炎、重症筋無力症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、円形脱毛症、天疱瘡/類天疱瘡、乾癬、および白斑よりなる群から選択される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
患者において癌を処置する方法であって、請求項15に記載の組成物を前記患者に投与する工程を含んでなり、前記癌が、その細胞表面上においてHLA−EまたはQa1を発現する癌細胞の存在によって特徴付けられる、方法。
【請求項23】
抗癌剤または制吐剤から選択される第2の治療用薬剤を前記患者に投与するさらなる工程を含んでなり、前記第2の治療用薬剤が、個別の剤形または前記組成物の一部のいずれかとして投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
患者においてウイルス性疾患を処置する方法であって、請求項15に記載の組成物を前記患者に投与する工程を含んでなり、前記ウイルス性疾患が、その細胞表面上においてHLA−EまたはQa1を発現するウイルス感染細胞の存在によって特徴付けられる、方法。
【請求項25】
抗ウイルス剤を前記患者に投与するさらなる工程を含んでなり、前記抗ウイルス剤が、個別の剤形または前記組成物の一部のいずれかとして投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
患者において抗原に対する忍容性を誘導する方法であって、以下の工程:
a.請求項15に記載の組成物を前記患者に投与する工程;および
b.前記抗原を前記患者に投与する工程、
を含んでなる方法。
【請求項27】
自己免疫疾患またはアレルギーから選択される疾患を処置するために使用される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
患者における造血細胞の移植を改善する方法であって、請求項15に記載の組成物を前記患者に投与する工程を含んでなる方法。
【請求項29】
抗癌剤、または造血成長因子から選択される第2の治療用薬剤を前記患者に投与するさらなる工程を含んでなり、前記第2の治療用薬剤が、個別の剤形もしくは前記組成物の一部のいずれかとして投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が白血病を患っている、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
ヒトNKG2Aに対する抗体を評価する方法であって、以下の工程:
a.前記抗体と、その表面上のNKG2Aによって特徴付けられる非ヒト霊長類細胞、または非ヒト霊長類NKG2Aポリペプチドとを接触させる工程;および
b.前記細胞もしくはポリペプチドに結合するかまたはその活性に影響を及ぼす前記抗体の能力を評価する工程、
を含んでなる方法。
【請求項32】
a.前記抗体が、非ヒト霊長類NK細胞および標的細胞を含んでなる細胞集団と接触され、ここで、前記NK細胞は、その表面上のNKG2Aによって特徴付けられ、そして前記標的細胞は、その表面上のHLA−Eの存在によって特徴付けられる;および
b.前記評価工程が、前記標的細胞が溶解されるかどうかを決定する、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ヒトの疾患処置における使用に適切な抗体を産生させる方法であって:
a.ヒトNKG2Aを含んでなる組成物で非ヒト哺乳動物を免疫する工程;
b.NKG2Aに結合するが、NKG2CまたはNKG2Eに結合しないモノクローナル抗体を選択する工程;
c.前記抗体をヒトにおける使用に適切にする工程;
d.非ヒト霊長類に前記抗体を投与する工程;ならびに
e.前記霊長類においてインビボでNKG2Aに結合する前記抗体の能力および前記抗体に対する前記霊長類の忍容性を評価する工程;
を含んでなり、
前記抗体が結合し、前記非ヒト霊長類に忍容されるという決定は、前記抗体がヒトの疾患処置における使用に適切であることを示す、
方法。
【請求項34】
工程dの前に、前記抗体を改変するさらなる工程を含んでなり、前記改変は、前記抗体がFc受容体に結合することができないようにする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項33または34に記載の方法によって産生される抗体。
【請求項36】
ヒトNKG2Aに対して指向された治療用抗体に適切な投与規則を同定する方法であって:
a.前記抗体の用量または回数が変動される一連の投与規則を使用して、前記抗体を非ヒト霊長類に投与する工程;ならびに
b.前記非ヒト霊長類におけるNKG2A発現細胞の活性および前記投与規則のそれぞれについての前記霊長類の忍容性を決定する工程;
を含んでなり、
規則が前記霊長類に忍容され、NKG2A発現細胞の前記活性における検出可能なモジュレーションをもたらすという決定は、前記投与規則がヒトにおける使用に適切であることを示す、
方法。
【請求項37】
a.ヒトNKG2Aに特異的に結合すること;
b.Fc受容体に特異的に結合すること
c.ヒトNKG2CまたはヒトNKG2Eには結合しないこと;
d.Z270またはZ199と実質的に同じエピトープに結合すること;
e.NK細胞感受性標的細胞のNK細胞溶解を阻害することが可能であること、
を特徴とするモノクローナル抗体またはそのフラグメントであって、
前記モノクローナル抗体はZ199ではない、
モノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項38】
非ヒト霊長類NKG2Aに結合することをさらに特徴とする、請求項37に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項39】
配列番号2のアミノ酸配列を含んでなる、請求項37または38に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項40】
配列番号6のアミノ酸配列を含んでなる、請求項37または38に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項41】
キメラもしくはヒト化である、請求項37〜40のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項42】
配列番号3を含んでなる核酸配列から産生される、請求項41に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項43】
配列番号7を含んでなる核酸配列から産生される、請求項41に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項44】
a.それぞれ、ヒトIgG1鎖定常領域に融合された配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖;および
b.ヒトκ鎖定常領域に融合された配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖、
を含んでなる、請求項41に記載のモノクローナル抗体。
【請求項45】
Z270である、請求項40に記載のモノクローナル抗体。
【請求項46】
請求項1〜12のいずれか1項、または請求項37〜45のいずれか1項に記載の抗体;および細胞障害性薬剤を含んでなるコンジュゲート。
【請求項47】
a.請求項37〜45のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体もしくはフラグメントから選択される有効量のモノクローナル抗体またはフラグメント、Z199、あるいは請求項46に記載のコンジュゲート;および
b.薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤、
を含んでなる組成物。
【請求項48】
医薬用途のために処方される、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
化学療法化合物、ホルモン、血管新生インヒビター、またはアポトーシス誘導剤を含む癌の処置において使用される治療用薬剤;抗ウイルス化合物を含む感染性疾患を処置するために使用される治療用薬剤;自己免疫疾患、炎症性障害、および移植拒絶の処置のような他の免疫療法において使用される治療用薬剤;サイトカイン;サイトカインインヒビター;インスリン;免疫調節剤;補助化合物;活性化NK細胞受容体のアンタゴニストまたは抑制性NK細胞受容体のアゴニストから選択される第2の治療用薬剤をさらに含んでなる、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
NK細胞を死滅させる、NK細胞の活性を減少する、NK細胞の増殖を減少する、NK細胞溶解に対して感受性な細胞の溶解を防止する、または集団におけるNK細胞の数を減少する方法であって、NK細胞と、請求項37〜45のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメントあるいは請求項46に記載のコンジュゲートとを接触させる工程を含んでなる方法。
【請求項51】
NK細胞過剰反応またはNK細胞過剰増殖によって特徴付けられる疾患を患う患者を処置する方法であって、請求項48に記載の組成物を前記患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項52】
前記疾患がNK型LDGLである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
I型糖尿病を患う患者を処置する方法であって、請求項48に記載の組成物を前記患者に投与する工程を含んでなる方法。
【請求項54】
インスリンを前記患者に投与するさらなる工程を含んでなり、前記インスリンは、個別の剤形または前記組成物の一部のいずれかとして投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
請求項1〜12のいずれか1項、または請求項37〜45のいずれか1項に記載の抗体;および検出マーカーを含んでなるコンジュゲート。
【請求項56】
前記検出マーカーが、放射性同位元素、蛍光染料、NKG2Aに対する抗体以外での多くの抗原−抗体対、多くのレクチン−炭水化物対、アビジン、ビオチン、受容体−リガンド対のメンバー、または分子インプリントポリマー−プリント分子系のメンバーから選択される、請求項55に記載のコンジュゲート。
【請求項57】
a.請求項55に記載のコンジュゲート;および
b.NKG2A含有材料
を含んでなるキット。
【請求項58】
抗体のNKG2Aへの結合を検出する方法であって、以下の工程:
a.請求項55に記載のコンジュゲートと、NKG2A含有材料とを接触させる工程;
b.前記NKG2A含有材料に結合した検出マーカーの量を定量する工程;
c.請求項55に記載のコンジュゲートおよび前記抗体と、NKG2A含有材料とを接触させる工程;
d.前記抗体の存在下で前記NKG2A含有材料に結合した検出マーカーの量を定量する工程;
e.工程bにおいて定量される検出可能な材料の量と、工程dにおいて定量される量とを比較して、前記抗体が前記NKG2A含有材料に結合するかどうかを決定する工程
を含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−525520(P2008−525520A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548918(P2007−548918)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【国際出願番号】PCT/IB2005/004013
【国際公開番号】WO2006/070286
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(506000184)イナート・ファルマ (15)
【氏名又は名称原語表記】INNATE PHARMA
【出願人】(502174302)ウニヴェルシタ ディ ジェノヴァ (7)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA DI GENOVA
【Fターム(参考)】