インサート成形用金型
【課題】穿刺具に代表されるインサート成形品を簡単に検査させることができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】インサート部材20に、方向違いや異常変形があると張出し片81が形成される。投光素子78から発射された赤外線やレーザ光の大部分又はかなりの部分が張出し片81で遮られる。結果、受光素子79での受光強さが一定値を下回り、インサート成形品10は不良品であると、判定される。
【効果】目視又はオプチカルセンサで、貫通穴が塞がれていれば不良品、塞がれていなければ良品との判定をさせることができる。この検査には、X線検査装置は不要であり、放射線技師も必要ない。したがって、本発明によれば、インサート成形品を簡単に検査させることができる技術が提供される。
【解決手段】インサート部材20に、方向違いや異常変形があると張出し片81が形成される。投光素子78から発射された赤外線やレーザ光の大部分又はかなりの部分が張出し片81で遮られる。結果、受光素子79での受光強さが一定値を下回り、インサート成形品10は不良品であると、判定される。
【効果】目視又はオプチカルセンサで、貫通穴が塞がれていれば不良品、塞がれていなければ良品との判定をさせることができる。この検査には、X線検査装置は不要であり、放射線技師も必要ない。したがって、本発明によれば、インサート成形品を簡単に検査させることができる技術が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血用穿刺具の成形に好適なインサート成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
医学の進歩に伴って、一滴の血液から多数項目の医学的データを得ることができるようになってきた。一滴の血液を採取する際に、ランセットと呼ばれる穿刺具が用いられる。
穿刺具は、各種の形状のものが実用に供されている(例えば、特許文献1(図5)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図22は従来の穿刺具の基本構成を説明する図であり、穿刺具100は、先端が尖っている採血針101と、この採血針101の先端を除く部位を包むホルダ部102と、このホルダ部102にくびれ部103を介して一体成形され採血針101の針先104を包むキャップ部105からなる。採血針101の材料は金属であり、ホルダ部102、くびれ部103及びキャップ部105の材料は樹脂である。
【0004】
このような構造の穿刺具100はインサート成形により製造される。
すなわち、金型のキャビティ内に、採血針101をセットし、キャビティへ溶融樹脂を射出して、採血針101をホルダ部102、くびれ部103及びキャップ部105で包込む。
【0005】
使用前は採血針101の針先104がキャップ部105で覆われているため、流通段階での安全性が確保される。
使用に際しては、キャップ部105を捻って、くびれ部103を切断する。キャップ部105を外して、針先104を露出させる。
【0006】
ところで、キャップ部105を捻って外すまでは、採血針101は樹脂に埋没している。針先104が見えないため、針先104が正しくキャップ部105側に向いていることが、目視で確認できない。また、樹脂中に採血針101が在るか否かも、目視での確認が難しい。
【0007】
そこで、製造者は、完成品検査として、例えばX線による透視検査を実施している。X線による透視検査は広く実用化されている(例えば、特許文献2(図1)参照。)。
すなわち、特許文献2に示されるX線検査装置により透視検査を実施する。
【0008】
しかし、X線検査装置は高価であり、専門の放射線技師に作業を委ねる必要があり、検査コストが嵩む。
また、採血針101は0.3〜0.5mmと細く、針先104の方位を確認するには拡大機構など、別途、装置を増強する必要があり、検査コストがさらに嵩む。
そこで、X線により透視検査よりも、安価で検査が可能な技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−148694公報
【特許文献2】特開2005−31069公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、穿刺具に代表されるインサート成形品を簡単に検査させることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、製品キャビティ内に、一端部が先尖り形状であり他端部が軸に直交する面で切断されている形態の棒状又は針状のインサート部材を予めセットし、前記製品キャビティへ溶融樹脂を射出して、前記インサート部材が樹脂部で包まれている形態のインサート成形品を得るインサート成形用金型において、
この金型は、上型及び下型に、前記インサート部材の前記他端部に向かうようにして前記製品キャビティ内へ突出する柱部を一体的に又は着脱可能に各々備え、これらの柱部で前記インサート成形品に前記インサート部材の軸に直交する貫通穴を形成できるものであって、
前記一対の柱部に、前記インサート部材の前記他端部を収納する収納凹部と、前記他端部の端面が当たる前記収納凹部の奥壁から延び前記収納凹部の断面積より小さな断面積の樹脂通路と、この樹脂通路の出口に接続し前記貫通穴の軸に直交する方向に面が延びこの面の面積が前記樹脂通路の断面積より大きな張出し片を形成する張出し片形成キャビティとが設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明では、インサート部材は、採血針であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、金型の上型及び下型に、製品キャビティ内へ突出する柱部を各々備え、これらの柱でインサート成形品に貫通穴を形成する。
さらに、柱部に、インサート部材の他端部を収納する収納凹部と、収納凹部の奥壁から延びる樹脂通路と、この樹脂通路の出口から延びる張出し片形成キャビティとを設ける。
【0014】
インサート成形品が不良品である場合には、張出し片形成キャビティに樹脂が充填され、結果、貫通穴に張出し片が出現し、貫通穴が部分的に塞がれる。
インサート成形品が良品である場合には、張出し片形成キャビティに樹脂が充填されない。結果、貫通穴は塞がれない。
【0015】
目視又はオプチカルセンサで、貫通穴が塞がれていれば不良品、塞がれていなければ良品との判定をさせることができる。この検査には、X線検査装置は不要であり、放射線技師も必要ない。したがって、本発明によれば、インサート成形品を簡単に検査させることができる技術が提供される。
【0016】
請求項2に係る発明では、インサート部材は、採血針である。採血針は細く検査が難しいと言われてきたが、本発明によれば検査が可能であり、且つ検査コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】インサート成形品の平面図である。
【図2】インサート成形品の側面図である。
【図3】インサート成形品の断面図である。
【図4】インサート成形品の作用図である。
【図5】本発明に係るインサート成形用金型の断面図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】図5の7−7矢視図である。
【図8】図5の8−8矢視図である。
【図9】図5の9部拡大図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】インサート成形用金型の作用図である。
【図12】図10の作用図である。
【図13】良品を検査するときの作用図である。
【図14】図10の別の作用図である。
【図15】不良品の平面図である。
【図16】不良品を検査するときの作用図である。
【図17】別の不良品の形態を説明する図である。
【図18】外径が異なるインサート部材の作用図である。
【図19】図9の変更例を説明する図である。
【図20】図9の更なる変更例を説明する図である。
【図21】別の形態のインサート部材の平面図である。
【図22】従来の穿刺具の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0019】
先ず、本発明のインサート成型用金型で成形するインサート成形品を説明し、その後にインサート成型用金型を説明する。
図1及び図2に示すように、インサート成形品10は、一端部が先尖り形状であり他端部が軸に直交する面で切断されている形態の棒状又は針状のインサート部材20と、このインサート部材20を囲う樹脂部30とからなる。
【0020】
インサート成形品10が、採血用穿刺具である場合は、インサート部材20は、一端に針先21を有する採血針22である。
樹脂部30は、針先21を除く採血針22の大部分を包むホルダ部31と、このホルダ部31から、くびれ部32を介して延び針先21を包むキャップ部33とからなる。
【0021】
図3に示すように、キャップ部33には、入口側に大径穴34が設けられ、この大径穴34の奥に大径穴34より小径の小径穴35が設けられる。また、ホルダ部31には、採血針22の軸方向に離れて配置される2個のVブロック穴36、36と、Vブロック穴36、36に対応して配置される2個のピン穴37、37が残り、採血針22の他端部23近傍に軸(採血針22の軸に相当)に直角に貫通穴38が形成される。
【0022】
インサート成形品10を使用するときには、図4(a)に示すように、キャップ部33を回してくびれ部32を切断する。これで針先21が露出する。
そして、(b)に示すように、採血針打ち出し具40に、ホルダ部31をセットし、採血針打ち出し具40からホルダ部31を、指先41へ打ち出す。すると、針先21により指先41から血液滴を得ることができる。なお、採血箇所は、指先41の他、手の平、前腕、上肢、太もも、ふくらはぎ等が推奨される。
使用後は、(c)に示すように、ホルダ部31にキャップ部33を被せて、針先21をキャップ部33でカバーする。
【0023】
以上に説明したインサート成形品10を成形するためのインサート成形用金型を次に説明する。
図5に示すように、インサート成形用金型50は、上型51と下型61とからなり、上型51と下型61との間に、ランナー52と、ゲート53と、製品キャビティ54とを設ける。
【0024】
さらに、上型51に、インサート部材を抑えるピン55、55と上型側柱部56とを備え、下型61に、大径部形成突起62と小径部形成突起63と2個のVブロック部64、64と、下型側柱部65とを備える。上型側柱部56は、上型51に着脱自在に設けることが望ましいが、上型51に一体的に設けてもよい。着脱自在にした場合には、仕様変更等に応じて何時でも交換できる。同様に、下型側柱部65は、下型61に着脱自在に設けることが望ましいが、下型61に一体的に設けてもよい。
ピン55及びVブロック部64は3個以上であっても良い。
【0025】
図6に示すように、Vブロック部64のV溝64aに、想像線で示す円柱状のインサート部材20を載せ、このインサート部材20をピン55で抑えると、金型50に対するインサート部材20の図面左右及び上下の位置が決まる。
【0026】
図7に示すように、上型51に、インサート部材を抑えるピン55、55と上型側柱部56とが設けられる。上型側柱部56は角柱であり、先端面57に更に加工が施されているが詳細は後述する。
【0027】
図8に示すように、下型61に、2個のVブロック部64、64と、下型側柱部65とが設けられる。下型側柱部65は角柱であり、上型側柱部56の先端面57に当接する先端面66に更に加工が施されているが詳細は後述する。
【0028】
図9に示すように、上型側柱部56と下型側柱部65に渡って、インサート部材の他端部(図3、符号23)を収納する収納凹部71と、他端部の端面が当たる収納凹部71の奥壁72から延び収納凹部71の断面積より小さな断面積の樹脂通路73と、この樹脂通路73の出口に接続し貫通穴の軸、すなわち上型側柱部56の軸74に直交する方向に面75が延びこの面75の面積が樹脂通路73の断面積より大きな張出し片(図15、符号81)を形成する張出し片形成キャビティ76とが設けられている。
【0029】
図10に示すように、収納凹部71から樹脂通路73が延び、この樹脂通路73に張出し片形成キャビティ76が繋がっている。張出し片形成キャビティ76は上型側柱部56の中央付近に設けることが望まれる。
【0030】
以上に説明したインサート成形用金型の作用を次に述べる。
図11に示すように、下型61のVブロック部64、64に、インサート部材20を載せる。このような下型61に上型51を被せる。すると、インサート部材20はピン55、55で軽く抑えられる。
【0031】
溶融樹脂を、ランナー52及びゲート53を介して製品キャビティ54へ射出する。すると、インサート部材20が樹脂圧力で、図右(ゲート53から離れる方向)へ移動する。
結果、図12に示すように、収納凹部71に、インサート部材20の他端部23が進入し、他端部23の端面が奥壁72に当たる。他端部23の端面は、インサート部材20の軸に直交する面で切断された面であるため、奥壁72に密に接する。すると、樹脂通路73の入口が塞がれ、樹脂77が樹脂通路73へ進入することはない。
【0032】
これで、図1〜図3で説明したインサート成形品10が得られる。図3の要部拡大図に相当する図13に基づいて、完成品検査の手順を説明する。
図13に示すように、貫通穴38の上方に投光素子78を置き、下方に受光素子79を置く。天地を逆にして下方に投光素子78を置き、上方に受光素子79を置くことは差し支えない。又は、光軸が水平になるように左右に投光素子78と受光素子79を配置することもできる。
【0033】
そして、投光素子78から赤外線やレーザ光を受光素子79に向けて発射する。赤外線やレーザ光は貫通穴38を通過して受光素子79に受光される。受光素子79での受光強さ(受光レベル)が一定値以上であれば、インサート成形品10は良品であると、判定することができる。
【0034】
投光素子78と受光素子79は、オプチカルセンサの一種である。オプチカルセンサは光学式センサの総称であり、非接触式であるため、センシング速度を速めることができ、接触式センサに比較して、計測時間(検査時間)を短縮することができる。
【0035】
また、オプチカルセンサには、イメージセンサによる画像解析を含めることができる。この場合は、貫通穴38の開口面積を検出することができる。開口面積が変化した場合に、この面積変化に基づいて良否判定を行わせることができる。
したがって、検査に用いる手段は非接触式センサであれば、種類は問わない。
【0036】
次に、インサート部材20の方向違いや異常変形が原因で発生する不良品について説明する。
図14に示すように、インサート部材20の針先21が、収納凹部71側に向いている場合は、針先21が奥壁72に当たって止まるものの、樹脂通路73の入口は開放されたままとなる。すると、樹脂通路73に樹脂77が進入し、この樹脂77が張出し片形成キャビティ76を満たす。
【0037】
樹脂が凝固すると、図15に示すように、張出し片81が生成される。すなわち、図14に示す張出し片形成キャビティ76により張出し片81が生成され、上型側柱部56と下型側柱部65を分離すると、張出し片81が貫通穴38のほぼ中央に出現する。
【0038】
すると、図16に示すように、投光素子78から発射された赤外線やレーザ光の大部分又はかなりの部分が張出し片81で遮られる。結果、受光素子79での受光強さが一定値を下回り、インサート成形品10は不良品であると、判定される。
【0039】
投光素子78は赤外線発光ダイオードやレーザ光発光ダイオードでよく、これらは容易に入手可能である。取扱いに格別の制限はない。
投光素子78及び受光素子79による検査は、高速化が可能であり、検査能率を高めることができる。しかし、少量生産の場合は、目視で検査を行うことは差し支えない。
【0040】
このようにして、目視又はオプチカルセンサで、貫通穴が塞がれていれば不良品、塞がれていなければ良品との判定をさせることができる。この検査には、X線検査装置は不要であり、放射線技師も必要ない。したがって、インサート成形品を簡単に検査させることができる。
【0041】
図17(a)に示すように、インサート部材20が曲がっていて、他端部23が収納凹部71に収納されない時にも、樹脂通路73の入口は開放されたままとなり、樹脂通路73に樹脂77が進入し、この樹脂77が張出し片形成キャビティ76を満たす。
また、(b)に示すように、円錐突起を有するような種類違いのインサート部材20Bがセットされた場合にも、樹脂通路73の入口は開放されたままとなり、樹脂通路73に樹脂77が進入し、この樹脂77が張出し片形成キャビティ76を満たす。
【0042】
図示は省略するが、インサート部材20が欠落しているときには、図17(a)と同様に、樹脂通路73の入口は開放されたままとなり、樹脂通路73に樹脂77が進入し、この樹脂77が張出し片形成キャビティ76を満たす。
したがって、本発明の金型によれば、インサート部材20の方向間違い、異常変形、種類間違い、欠落の何れもが検出可能となる。
【0043】
次に、下型側柱部65に樹脂通路73を設けたことの利点を説明する。
図18(a)では、インサート部材20に、外径0.5mmの採血針を適用した。
また、(b)では、インサート部材20に、外径0.3mmの採血針を適用した。
Vブロック部64は、インサート部材20の外径が変化しても、インサート部材20の左右方向(図面表裏方向)の位置決めを行う機能を有する(図6参照)。
【0044】
外径が異なっても、下型側柱部65に樹脂通路73を設けておけば、インサート部材23の他端部23で、樹脂通路73の入口を塞ぐことができる。
外径の異なるインサート部材20に対して、下型を共用することができる。
【0045】
しかし、図19に示すように、下型側柱部65と上型側柱部56に、等分に収納凹部71、樹脂通路73及び張出し片形成キャビティ76を、設けることは差し支えない。この場合は、下型側柱部65と上型側柱部56の形状設計が容易になる。
【0046】
また、図20に示すように、下型側柱部65に樹脂通路73及び張出し片形成キャビティ76を、設けることは差し支えない。上型側柱部56の加工度が少なくなり、上側の加工工数を下げることができる。
【0047】
また、本発明は別の形態の穿刺具の射出成形にも適用できる。
図21に示すように、穿刺具85は、先端が尖っている採血針22と、この採血針22を先端を除く部位を包むホルダ部31と、このホルダ部31にくびれ部32を介して一体成形され採血針22の針先21を包むキャップ部33とからなる。
ホルダ部31は、ホルダ部31を前進させるときに指を掛ける指掛け部86と、前進の後(用済み時)にホルダ部31を後退させるばね片87、87と、この後退の後に再度前進することを禁止する再前進禁止片88、88を備える。
【0048】
そして、採血針22の他端部23近傍にてホルダ部31に貫通穴38を有する。
仮に、針先21が図とは反対側になるように採血針22が誤って置かれた場合には、張出し片81が形成される。すなわち、不良品の場合は、貫通穴38を通して張出し片81が認められる。
張出し片81の有無により、採血針22の方向間違い、異常変形、種類間違い等の異常を容易に検出することができる。
【0049】
尚、張出し片81は、実施例では平面視で円形としたが、平面視形状は楕円、三角形、矩形、多角形の何れでもよく、形状は任意である。
また、貫通穴の断面は、実施例で矩形としたが、円(楕円を含む。)、角(四辺形を除く。)の何れでもよく、断面形状は任意である。
【0050】
インサート成形品は、図1〜3に示す物や、図21に示す物が好適であるが、インサート部材の全て又は大部分が樹脂部で包まれているものであればよく、種類は問わない。
インサート部材は、採血針の他、針金、ロッドでもよく、種類は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、採血用穿刺具の成形に好適なインサート成形用金型に好適である。
【符号の説明】
【0052】
10…インサート成形品、20…インサート部材、21…針先、22…採血針、23…インサート部材の他端部、30…樹脂部、31…ホルダ部、32…くびれ部、33…キャップ部、38…貫通穴、50…インサート成型用金型、51…上型、54…製品キャビティ、56…上型側柱部、61…下型、65…下型側柱部、71…収納凹部、72…奥壁、73…樹脂通路、74…柱部の軸(貫通穴の軸)、75…軸に直交する面、76…張出し片形成キャビティ、81…張出し片。
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血用穿刺具の成形に好適なインサート成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
医学の進歩に伴って、一滴の血液から多数項目の医学的データを得ることができるようになってきた。一滴の血液を採取する際に、ランセットと呼ばれる穿刺具が用いられる。
穿刺具は、各種の形状のものが実用に供されている(例えば、特許文献1(図5)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図22は従来の穿刺具の基本構成を説明する図であり、穿刺具100は、先端が尖っている採血針101と、この採血針101の先端を除く部位を包むホルダ部102と、このホルダ部102にくびれ部103を介して一体成形され採血針101の針先104を包むキャップ部105からなる。採血針101の材料は金属であり、ホルダ部102、くびれ部103及びキャップ部105の材料は樹脂である。
【0004】
このような構造の穿刺具100はインサート成形により製造される。
すなわち、金型のキャビティ内に、採血針101をセットし、キャビティへ溶融樹脂を射出して、採血針101をホルダ部102、くびれ部103及びキャップ部105で包込む。
【0005】
使用前は採血針101の針先104がキャップ部105で覆われているため、流通段階での安全性が確保される。
使用に際しては、キャップ部105を捻って、くびれ部103を切断する。キャップ部105を外して、針先104を露出させる。
【0006】
ところで、キャップ部105を捻って外すまでは、採血針101は樹脂に埋没している。針先104が見えないため、針先104が正しくキャップ部105側に向いていることが、目視で確認できない。また、樹脂中に採血針101が在るか否かも、目視での確認が難しい。
【0007】
そこで、製造者は、完成品検査として、例えばX線による透視検査を実施している。X線による透視検査は広く実用化されている(例えば、特許文献2(図1)参照。)。
すなわち、特許文献2に示されるX線検査装置により透視検査を実施する。
【0008】
しかし、X線検査装置は高価であり、専門の放射線技師に作業を委ねる必要があり、検査コストが嵩む。
また、採血針101は0.3〜0.5mmと細く、針先104の方位を確認するには拡大機構など、別途、装置を増強する必要があり、検査コストがさらに嵩む。
そこで、X線により透視検査よりも、安価で検査が可能な技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−148694公報
【特許文献2】特開2005−31069公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、穿刺具に代表されるインサート成形品を簡単に検査させることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、製品キャビティ内に、一端部が先尖り形状であり他端部が軸に直交する面で切断されている形態の棒状又は針状のインサート部材を予めセットし、前記製品キャビティへ溶融樹脂を射出して、前記インサート部材が樹脂部で包まれている形態のインサート成形品を得るインサート成形用金型において、
この金型は、上型及び下型に、前記インサート部材の前記他端部に向かうようにして前記製品キャビティ内へ突出する柱部を一体的に又は着脱可能に各々備え、これらの柱部で前記インサート成形品に前記インサート部材の軸に直交する貫通穴を形成できるものであって、
前記一対の柱部に、前記インサート部材の前記他端部を収納する収納凹部と、前記他端部の端面が当たる前記収納凹部の奥壁から延び前記収納凹部の断面積より小さな断面積の樹脂通路と、この樹脂通路の出口に接続し前記貫通穴の軸に直交する方向に面が延びこの面の面積が前記樹脂通路の断面積より大きな張出し片を形成する張出し片形成キャビティとが設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明では、インサート部材は、採血針であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、金型の上型及び下型に、製品キャビティ内へ突出する柱部を各々備え、これらの柱でインサート成形品に貫通穴を形成する。
さらに、柱部に、インサート部材の他端部を収納する収納凹部と、収納凹部の奥壁から延びる樹脂通路と、この樹脂通路の出口から延びる張出し片形成キャビティとを設ける。
【0014】
インサート成形品が不良品である場合には、張出し片形成キャビティに樹脂が充填され、結果、貫通穴に張出し片が出現し、貫通穴が部分的に塞がれる。
インサート成形品が良品である場合には、張出し片形成キャビティに樹脂が充填されない。結果、貫通穴は塞がれない。
【0015】
目視又はオプチカルセンサで、貫通穴が塞がれていれば不良品、塞がれていなければ良品との判定をさせることができる。この検査には、X線検査装置は不要であり、放射線技師も必要ない。したがって、本発明によれば、インサート成形品を簡単に検査させることができる技術が提供される。
【0016】
請求項2に係る発明では、インサート部材は、採血針である。採血針は細く検査が難しいと言われてきたが、本発明によれば検査が可能であり、且つ検査コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】インサート成形品の平面図である。
【図2】インサート成形品の側面図である。
【図3】インサート成形品の断面図である。
【図4】インサート成形品の作用図である。
【図5】本発明に係るインサート成形用金型の断面図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】図5の7−7矢視図である。
【図8】図5の8−8矢視図である。
【図9】図5の9部拡大図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】インサート成形用金型の作用図である。
【図12】図10の作用図である。
【図13】良品を検査するときの作用図である。
【図14】図10の別の作用図である。
【図15】不良品の平面図である。
【図16】不良品を検査するときの作用図である。
【図17】別の不良品の形態を説明する図である。
【図18】外径が異なるインサート部材の作用図である。
【図19】図9の変更例を説明する図である。
【図20】図9の更なる変更例を説明する図である。
【図21】別の形態のインサート部材の平面図である。
【図22】従来の穿刺具の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0019】
先ず、本発明のインサート成型用金型で成形するインサート成形品を説明し、その後にインサート成型用金型を説明する。
図1及び図2に示すように、インサート成形品10は、一端部が先尖り形状であり他端部が軸に直交する面で切断されている形態の棒状又は針状のインサート部材20と、このインサート部材20を囲う樹脂部30とからなる。
【0020】
インサート成形品10が、採血用穿刺具である場合は、インサート部材20は、一端に針先21を有する採血針22である。
樹脂部30は、針先21を除く採血針22の大部分を包むホルダ部31と、このホルダ部31から、くびれ部32を介して延び針先21を包むキャップ部33とからなる。
【0021】
図3に示すように、キャップ部33には、入口側に大径穴34が設けられ、この大径穴34の奥に大径穴34より小径の小径穴35が設けられる。また、ホルダ部31には、採血針22の軸方向に離れて配置される2個のVブロック穴36、36と、Vブロック穴36、36に対応して配置される2個のピン穴37、37が残り、採血針22の他端部23近傍に軸(採血針22の軸に相当)に直角に貫通穴38が形成される。
【0022】
インサート成形品10を使用するときには、図4(a)に示すように、キャップ部33を回してくびれ部32を切断する。これで針先21が露出する。
そして、(b)に示すように、採血針打ち出し具40に、ホルダ部31をセットし、採血針打ち出し具40からホルダ部31を、指先41へ打ち出す。すると、針先21により指先41から血液滴を得ることができる。なお、採血箇所は、指先41の他、手の平、前腕、上肢、太もも、ふくらはぎ等が推奨される。
使用後は、(c)に示すように、ホルダ部31にキャップ部33を被せて、針先21をキャップ部33でカバーする。
【0023】
以上に説明したインサート成形品10を成形するためのインサート成形用金型を次に説明する。
図5に示すように、インサート成形用金型50は、上型51と下型61とからなり、上型51と下型61との間に、ランナー52と、ゲート53と、製品キャビティ54とを設ける。
【0024】
さらに、上型51に、インサート部材を抑えるピン55、55と上型側柱部56とを備え、下型61に、大径部形成突起62と小径部形成突起63と2個のVブロック部64、64と、下型側柱部65とを備える。上型側柱部56は、上型51に着脱自在に設けることが望ましいが、上型51に一体的に設けてもよい。着脱自在にした場合には、仕様変更等に応じて何時でも交換できる。同様に、下型側柱部65は、下型61に着脱自在に設けることが望ましいが、下型61に一体的に設けてもよい。
ピン55及びVブロック部64は3個以上であっても良い。
【0025】
図6に示すように、Vブロック部64のV溝64aに、想像線で示す円柱状のインサート部材20を載せ、このインサート部材20をピン55で抑えると、金型50に対するインサート部材20の図面左右及び上下の位置が決まる。
【0026】
図7に示すように、上型51に、インサート部材を抑えるピン55、55と上型側柱部56とが設けられる。上型側柱部56は角柱であり、先端面57に更に加工が施されているが詳細は後述する。
【0027】
図8に示すように、下型61に、2個のVブロック部64、64と、下型側柱部65とが設けられる。下型側柱部65は角柱であり、上型側柱部56の先端面57に当接する先端面66に更に加工が施されているが詳細は後述する。
【0028】
図9に示すように、上型側柱部56と下型側柱部65に渡って、インサート部材の他端部(図3、符号23)を収納する収納凹部71と、他端部の端面が当たる収納凹部71の奥壁72から延び収納凹部71の断面積より小さな断面積の樹脂通路73と、この樹脂通路73の出口に接続し貫通穴の軸、すなわち上型側柱部56の軸74に直交する方向に面75が延びこの面75の面積が樹脂通路73の断面積より大きな張出し片(図15、符号81)を形成する張出し片形成キャビティ76とが設けられている。
【0029】
図10に示すように、収納凹部71から樹脂通路73が延び、この樹脂通路73に張出し片形成キャビティ76が繋がっている。張出し片形成キャビティ76は上型側柱部56の中央付近に設けることが望まれる。
【0030】
以上に説明したインサート成形用金型の作用を次に述べる。
図11に示すように、下型61のVブロック部64、64に、インサート部材20を載せる。このような下型61に上型51を被せる。すると、インサート部材20はピン55、55で軽く抑えられる。
【0031】
溶融樹脂を、ランナー52及びゲート53を介して製品キャビティ54へ射出する。すると、インサート部材20が樹脂圧力で、図右(ゲート53から離れる方向)へ移動する。
結果、図12に示すように、収納凹部71に、インサート部材20の他端部23が進入し、他端部23の端面が奥壁72に当たる。他端部23の端面は、インサート部材20の軸に直交する面で切断された面であるため、奥壁72に密に接する。すると、樹脂通路73の入口が塞がれ、樹脂77が樹脂通路73へ進入することはない。
【0032】
これで、図1〜図3で説明したインサート成形品10が得られる。図3の要部拡大図に相当する図13に基づいて、完成品検査の手順を説明する。
図13に示すように、貫通穴38の上方に投光素子78を置き、下方に受光素子79を置く。天地を逆にして下方に投光素子78を置き、上方に受光素子79を置くことは差し支えない。又は、光軸が水平になるように左右に投光素子78と受光素子79を配置することもできる。
【0033】
そして、投光素子78から赤外線やレーザ光を受光素子79に向けて発射する。赤外線やレーザ光は貫通穴38を通過して受光素子79に受光される。受光素子79での受光強さ(受光レベル)が一定値以上であれば、インサート成形品10は良品であると、判定することができる。
【0034】
投光素子78と受光素子79は、オプチカルセンサの一種である。オプチカルセンサは光学式センサの総称であり、非接触式であるため、センシング速度を速めることができ、接触式センサに比較して、計測時間(検査時間)を短縮することができる。
【0035】
また、オプチカルセンサには、イメージセンサによる画像解析を含めることができる。この場合は、貫通穴38の開口面積を検出することができる。開口面積が変化した場合に、この面積変化に基づいて良否判定を行わせることができる。
したがって、検査に用いる手段は非接触式センサであれば、種類は問わない。
【0036】
次に、インサート部材20の方向違いや異常変形が原因で発生する不良品について説明する。
図14に示すように、インサート部材20の針先21が、収納凹部71側に向いている場合は、針先21が奥壁72に当たって止まるものの、樹脂通路73の入口は開放されたままとなる。すると、樹脂通路73に樹脂77が進入し、この樹脂77が張出し片形成キャビティ76を満たす。
【0037】
樹脂が凝固すると、図15に示すように、張出し片81が生成される。すなわち、図14に示す張出し片形成キャビティ76により張出し片81が生成され、上型側柱部56と下型側柱部65を分離すると、張出し片81が貫通穴38のほぼ中央に出現する。
【0038】
すると、図16に示すように、投光素子78から発射された赤外線やレーザ光の大部分又はかなりの部分が張出し片81で遮られる。結果、受光素子79での受光強さが一定値を下回り、インサート成形品10は不良品であると、判定される。
【0039】
投光素子78は赤外線発光ダイオードやレーザ光発光ダイオードでよく、これらは容易に入手可能である。取扱いに格別の制限はない。
投光素子78及び受光素子79による検査は、高速化が可能であり、検査能率を高めることができる。しかし、少量生産の場合は、目視で検査を行うことは差し支えない。
【0040】
このようにして、目視又はオプチカルセンサで、貫通穴が塞がれていれば不良品、塞がれていなければ良品との判定をさせることができる。この検査には、X線検査装置は不要であり、放射線技師も必要ない。したがって、インサート成形品を簡単に検査させることができる。
【0041】
図17(a)に示すように、インサート部材20が曲がっていて、他端部23が収納凹部71に収納されない時にも、樹脂通路73の入口は開放されたままとなり、樹脂通路73に樹脂77が進入し、この樹脂77が張出し片形成キャビティ76を満たす。
また、(b)に示すように、円錐突起を有するような種類違いのインサート部材20Bがセットされた場合にも、樹脂通路73の入口は開放されたままとなり、樹脂通路73に樹脂77が進入し、この樹脂77が張出し片形成キャビティ76を満たす。
【0042】
図示は省略するが、インサート部材20が欠落しているときには、図17(a)と同様に、樹脂通路73の入口は開放されたままとなり、樹脂通路73に樹脂77が進入し、この樹脂77が張出し片形成キャビティ76を満たす。
したがって、本発明の金型によれば、インサート部材20の方向間違い、異常変形、種類間違い、欠落の何れもが検出可能となる。
【0043】
次に、下型側柱部65に樹脂通路73を設けたことの利点を説明する。
図18(a)では、インサート部材20に、外径0.5mmの採血針を適用した。
また、(b)では、インサート部材20に、外径0.3mmの採血針を適用した。
Vブロック部64は、インサート部材20の外径が変化しても、インサート部材20の左右方向(図面表裏方向)の位置決めを行う機能を有する(図6参照)。
【0044】
外径が異なっても、下型側柱部65に樹脂通路73を設けておけば、インサート部材23の他端部23で、樹脂通路73の入口を塞ぐことができる。
外径の異なるインサート部材20に対して、下型を共用することができる。
【0045】
しかし、図19に示すように、下型側柱部65と上型側柱部56に、等分に収納凹部71、樹脂通路73及び張出し片形成キャビティ76を、設けることは差し支えない。この場合は、下型側柱部65と上型側柱部56の形状設計が容易になる。
【0046】
また、図20に示すように、下型側柱部65に樹脂通路73及び張出し片形成キャビティ76を、設けることは差し支えない。上型側柱部56の加工度が少なくなり、上側の加工工数を下げることができる。
【0047】
また、本発明は別の形態の穿刺具の射出成形にも適用できる。
図21に示すように、穿刺具85は、先端が尖っている採血針22と、この採血針22を先端を除く部位を包むホルダ部31と、このホルダ部31にくびれ部32を介して一体成形され採血針22の針先21を包むキャップ部33とからなる。
ホルダ部31は、ホルダ部31を前進させるときに指を掛ける指掛け部86と、前進の後(用済み時)にホルダ部31を後退させるばね片87、87と、この後退の後に再度前進することを禁止する再前進禁止片88、88を備える。
【0048】
そして、採血針22の他端部23近傍にてホルダ部31に貫通穴38を有する。
仮に、針先21が図とは反対側になるように採血針22が誤って置かれた場合には、張出し片81が形成される。すなわち、不良品の場合は、貫通穴38を通して張出し片81が認められる。
張出し片81の有無により、採血針22の方向間違い、異常変形、種類間違い等の異常を容易に検出することができる。
【0049】
尚、張出し片81は、実施例では平面視で円形としたが、平面視形状は楕円、三角形、矩形、多角形の何れでもよく、形状は任意である。
また、貫通穴の断面は、実施例で矩形としたが、円(楕円を含む。)、角(四辺形を除く。)の何れでもよく、断面形状は任意である。
【0050】
インサート成形品は、図1〜3に示す物や、図21に示す物が好適であるが、インサート部材の全て又は大部分が樹脂部で包まれているものであればよく、種類は問わない。
インサート部材は、採血針の他、針金、ロッドでもよく、種類は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、採血用穿刺具の成形に好適なインサート成形用金型に好適である。
【符号の説明】
【0052】
10…インサート成形品、20…インサート部材、21…針先、22…採血針、23…インサート部材の他端部、30…樹脂部、31…ホルダ部、32…くびれ部、33…キャップ部、38…貫通穴、50…インサート成型用金型、51…上型、54…製品キャビティ、56…上型側柱部、61…下型、65…下型側柱部、71…収納凹部、72…奥壁、73…樹脂通路、74…柱部の軸(貫通穴の軸)、75…軸に直交する面、76…張出し片形成キャビティ、81…張出し片。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品キャビティ内に、一端部が先尖り形状であり他端部が軸に直交する面で切断されている形態の棒状又は針状のインサート部材を予めセットし、前記製品キャビティへ溶融樹脂を射出して、前記インサート部材が樹脂部で包まれている形態のインサート成形品を得るインサート成形用金型において、
この金型は、上型及び下型に、前記インサート部材の前記他端部に向かうようにして前記製品キャビティ内へ突出する柱部を一体的に又は着脱可能に各々備え、これらの柱部で前記インサート成形品に前記インサート部材の軸に直交する貫通穴を形成できるものであって、
前記一対の柱部に、前記インサート部材の前記他端部を収納する収納凹部と、前記他端部の端面が当たる前記収納凹部の奥壁から延び前記収納凹部の断面積より小さな断面積の樹脂通路と、この樹脂通路の出口に接続し前記貫通穴の軸に直交する方向に面が延びこの面の面積が前記樹脂通路の断面積より大きな張出し片を形成する張出し片形成キャビティとが設けられていることを特徴とするインサート成形用金型。
【請求項2】
前記インサート部材は、採血針であることを特徴とする請求項1記載のインサート成形用金型。
【請求項1】
製品キャビティ内に、一端部が先尖り形状であり他端部が軸に直交する面で切断されている形態の棒状又は針状のインサート部材を予めセットし、前記製品キャビティへ溶融樹脂を射出して、前記インサート部材が樹脂部で包まれている形態のインサート成形品を得るインサート成形用金型において、
この金型は、上型及び下型に、前記インサート部材の前記他端部に向かうようにして前記製品キャビティ内へ突出する柱部を一体的に又は着脱可能に各々備え、これらの柱部で前記インサート成形品に前記インサート部材の軸に直交する貫通穴を形成できるものであって、
前記一対の柱部に、前記インサート部材の前記他端部を収納する収納凹部と、前記他端部の端面が当たる前記収納凹部の奥壁から延び前記収納凹部の断面積より小さな断面積の樹脂通路と、この樹脂通路の出口に接続し前記貫通穴の軸に直交する方向に面が延びこの面の面積が前記樹脂通路の断面積より大きな張出し片を形成する張出し片形成キャビティとが設けられていることを特徴とするインサート成形用金型。
【請求項2】
前記インサート部材は、採血針であることを特徴とする請求項1記載のインサート成形用金型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−210725(P2012−210725A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76666(P2011−76666)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000227054)日精樹脂工業株式会社 (293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000227054)日精樹脂工業株式会社 (293)
【Fターム(参考)】
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