説明

ウイングミラーユニット

【課題】ウインドノイズをなくしたウイングミラーユニットを提供する。
【解決手段】特にモータ車両用のウイングミラーユニット1であって、モータ車両の本体3に取り付けるミラーフット2と、ミラーフットに連結されるミラーハウジング4とを含み、ミラーハウジング4は、ミラーフット2に対して前記ミラーハウジングがモータ車両の本体3に沿って接触する折り畳み位置と、前記本体に対して前記ミラーハウジングがほぼ直交する方向に向いた開いた位置との間に調整可能であり、前記ウイングミラーユニット1は、さらに、互いに直交する前記ミラーハウジング4とミラーフット2が互いに隣接する表面を移動させるアクチュエータ6を備え、このアクチュエータが、前記ミラーハウジング4とミラーフット2との前記隣接する表面間にスリット8を形成する第1位置と、前記隣接する表面が互いに接触しかつミラーフット2とミラーハウジング4の外側形状9,10が連続してなだらかに接続する第2位置との間に移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイングミラーユニット、特に、モータ車両の本体に取り付けるためのミラーフット(mirror foot)と、ミラーフットに連結されるミラーハウジングとを含むウイングミラーユニットに関する。ミラーハウジングは、モータ車両の本体に沿って延在する折り畳み位置と、前記モータ車両の本体に対してほぼ直交する方向に向いて折り畳まずに開いた位置との間で、ミラーフットに対して調整可能である。
【背景技術】
【0002】
このようなウイングミラーユニットは、一般的に知られている。調整可能な機能は、ミラーハウジングが、本体に対して外側に離れて延在する開いた位置と、ミラーハウジングが本体に対して離れない折り畳み位置との間で調整されるようになっている。このように、ウイングミラーは、とりわけ、駐車時にウイングミラーに対する損傷の危険を減ずることができ、また、対象物に衝突するとき、僅かに座屈させることができる。このウイングミラーユニットは、電気アクチュエータを含み、このアクチュエータを用いてミラーハウジングは、折り畳み位置と開いた位置との間で調整可能である。
【0003】
公知のウイングミラーユニットにおいて、できるだけ小さくミラーハウジングを調整できるように電気アクチュエータの必要な電力を保持するため、ミラーハウジングとミラーフットとの間の接触は、できるだけ小さくなるように保持される。その結果、ミラーハウジングとミラーフットとの両方の隣接する表面間に隙間(スリット)が存在する。ミラーハウジングとミラーフットは、リング形状の接触表面、例えば、リング形状または円錐形状の接触表面を備えており、これらの接触表面は、ベース旋回軸の回りに同軸配置され、この旋回軸回りにアクチュエータの作動の下で、ミラーハウジングが、ミラーフットに対して旋回するように配置されている。ミラーハウジングとミラーフットとの間の接触表面の回りには、リング形状または円錐形状のスリットが伸びている。
【0004】
この構造の欠点は、上記スリットがあることから、ミラーフットとミラーハウジングとの外側形状が連続しないで連結することである。この不連続性のため、車両を運転中、ウインドにおける騒音がかなり発生し、ドライバーおよびモータ車両の乗客に不快感を与えることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、利点を有する一方で、上述した欠点を解消する、最初に述べた形式のウイングミラーユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明に従うウイングミラーユニットは、ウイングミラーに、ミラーハウジングとミラーフットとが互いに直交して隣接する表面を、ミラーハウジングとミラーフットとが隣接する表面間にスリットを形成する第1位置と、前記隣接する表面が互いに接触し、かつミラーフットとミラーハウジングの両方の外側形状が連続してなだらかに接続する第2位置との間で移動させるように配置されたアクチュエータを備えていることを特徴としている。
【0007】
ミラーハウジングとミラーフットを互いに直交させて両方の隣接表面を移動させるようにアクチュエータを配置することによって、スリットは閉じられ、そして、ミラーハウジングの旋回中に互いに沿って接触表面が接線方向に移動する結果として生じる高い摩擦力を受けることなく、再び開くことができる。その結果、ミラーフットとミラーハウジングの両方の外側形状が連結するときでさえ、比較的軽いモータをアクチュエータ用として使用することが可能となり、隣接する表面は、アクチュエータによって発生する回転の中心軸線から比較的離れて配置されている。
【0008】
好ましくは、アクチュエータは、第1位置と第2位置との間の開いた位置またはそれに近い位置で、ウイングミラーユニットを調整するように配置されている。それゆえ、開いた位置と閉じた位置との間の調整時、ウイングミラーユニットは、ほぼ第1位置にある。これは、調整中、スリットが存在し、かつミラーハウジングとミラーフットとの隣接する表面間の接触表面が最小化され、最も小さい摩擦力で、折り畳み位置と開いた位置に操作することが可能である。
【0009】
さらに、本発明の特徴を有する実施形態の構成は、実施態様項として定められている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、図面で示されている例示的な多数の実施形態に基づいている。
本発明の好ましい実施形態の図式的な代表例に関する図面だけが、限定されない例示的な実施形態として与えられている。図面において、同一及び同様の構成は、同一の参照符号で示される。
【0011】
図1は、ウイングミラーユニット1を示しており、このユニットは、モータ車両用の本体3に取り付けられるミラーフット2を含んでいる。ウイングミラーユニット1は、さらに、ミラーフット2に連結されるミラーハウジング4を含む。この例示的な実施形態では、ミラーフット2がベース旋回軸5を有し、この旋回軸回りにミラーハウジング4を設けられて連結が実現する。ミラーハウジング4は、ヒンジアクチュエータ6の操作により、ミラーフット2に対して旋回可能に配置されている。
【0012】
アクチュエータ6を用いて、ミラーハウジング4は、折り畳んだ位置と開いた位置との間で調整可能であり、折り畳んだ位置は、ミラーハウジング4がモータ車両用の本体3に沿って接触した位置にあり、開いた位置は、本体に対してミラーハウジングがほぼ直交する方向に向いた位置にある。
【0013】
アクチュエータ6は、ミラーハウジング4とミラーフット2のそれぞれに隣接する表面7A、7Bを、図1に示された第1位置と図2に示された第2位置との間で、互いに直交して、矢印Pで示す方向に移動するように設けられている。第1位置では、ミラーハウジング4とミラーフット2のそれぞれの隣接する表面7A、7Bがスリットを形成しており、第2位置では、隣接する表面7A、7Bが互いに接触している。
【0014】
また、図1に示した第1位置では、ミラーフット2とミラーハウジング4の各外側形状9,10が離れた状態で不連続に連結されている。図2に示した第2位置では、ミラーフット2とミラーハウジング4の各外側形状9,10は、ほぼ連続して連結されている。図2に示す位置では、スリット8が閉じられるので、モータ車両の運転中、ウインドノイズをかなり減じることができる。
【0015】
ヒンジアクチュエータ6は、ウイングミラーユニット1を、第1位置と第2位置との間で、ほぼ開いた方向に調整するように配置されている。ウイングミラーユニット1は、折り畳み位置と開いた位置との間の調整中、ほぼ第1位置にある。
【0016】
この例示的な実施形態において、ミラーハウジング4とミラーフット2のそれぞれの隣接する表面7A、7Bは、平坦でかつリング形状の接触表面として設計され、これらの表面は、ベース旋回軸5の回りに中心から第1距離D1だけ離れて同軸配置されている。一方、ミラーフット2とミラーハウジング4は、ベース旋回軸5の回りに第2距離D2だけ離れて湾曲して延在する3つのカム経路アセンブリ11を介して協働する。このカム経路アセンブリ11は、各々、フランジ12を備えて一体化されたミラーハウジング4上にカム11Aを有し、このカムは、ミラーフット2上に設けられたカム経路11Bと係合する。カム経路11Bは、平坦な経路部分11B1を含み、折り畳み位置と開いた位置との間、接触表面7A、7Bの間にスリット8を保つ。このスリットは、第1位置に対応するものであり、開いた位置内またはその近くに追い込み表面11B2を有して、接触表面7A,7Bの第1、第2位置間の調整を保証する。
【0017】
ミラーを開いた位置から折り畳むとき、カム11Aと追い込み表面11B2とが協働し、その結果、隣接する接触表面7A,7Bが、互いに直交する第2位置から、互いに接触する第1位置へ移動し、スリット8を閉じる。この例示的な実施形態において、互いに直交する接触表面7A、7Bの移動は、ベース旋回軸5に沿う軸方向の移動に対応している。スリットが完全に開くとすぐに、カム11Aは、カム経路の平らな部分11B1と協働する。スリット8が開き始める瞬間から、折り畳み位置に達するまで、アクチュエータは、カム11Aとカム経路11Bとの間の摩擦力によって生じた摩擦モーメントに打勝つことが必要となる。比較的小さい距離D2であるが、これに打勝つべき摩擦モーメントは、接触表面7A、7Bが、調整中に接触状態にあるとき、よりも小さくなっている。更に、接触表面は、より小さくなる。
【0018】
図3〜図5に関して、本発明に従うウイングミラーユニットがここに示されている。この実施形態では、ミラーフット2とミラーハウジング4は、リニアアクチュエータ13の操作の下で、互いに対して平行移動可能に配置されている。この実施形態では、ミラーハウジング4とミラーフット2の隣接する接触表面は、本体3に対して直交する方向に平行移動させて、スリットを形成する第1位置と、接触表面が互いに閉じた形で互いに接触する第2位置との間で、リニアアクチュエータ13によって調整可能である。このような構成において、基本的には、本体に対して直交する方向に調整がなされる。調整方向は、本体に対して直交する方向成分を含むことを意味していることが理解される。この調整方向は、他の方向に成分も含んでおり、例えば、本体にほぼ平行でかつ背面を向いている。別の実施形態では、調整方向は、例えば、対角線逆方向とすることもできる。
【0019】
ミラーハウジング4は、ベース旋回軸の回りに旋回可能に配置され、折り畳み位置において、ミラーハウジング4がモータ車両の本体に沿って接触することができ、折り畳み時に、好ましくは、開いた位置から折り畳み位置に旋回する前に、ミラーハウジング4は、リニアアクチュエータ13の動作により、本体に対して外側に移動する。その結果、スリット8が形成され、閉じた形状とはならない。開いた位置において、例えば、ミラーハウジング4が対象物に接触するようになると、ミラーハウジング4は、ミラーフットの閉じた形状の接触表面14Bの弾性変形により、ベース旋回軸の回りを旋回することができる。この方法では、図5に示す緊急の折り畳み位置に達することができる。ミラーハウジング4が、ベース旋回軸5の回りに手動的に後方旋回するとき、接触表面14Bの位置で弾性的に変形した材料が元に戻ることから、旋回軸の固定位置に影響を与える。このミラーハウジングをミラーフットに本質的に固定するこのような方法は、最初に述べた形式のウイングミラーユニットにおいて有利となることが明らかである。この場合、閉じた状態で永久的に互いに接触するように接触表面が協働し、すなわち、ミラーハウジングの調整中、閉じた形状で協働する接触表面間には、スリットが存在しない。
【0020】
本発明は、ここで記載した例示的な実施形態に限定されるものではないことが明らかである。そして、ウイングミラーユニットは、スリットを閉じたまま、第1位置と第2位置との間で本体に対して旋回することにより調整することができ、また、スリットの閉鎖とミラーハウジングの旋回動作によって、連続的に実行されるのみならず、少なくとも部分的に同時に、同一のアクチュエータの動作により選択的に実行できる。
【0021】
ウイングミラーユニットが単一のアクチュエータを備えているとき、このアクチュエータが、第1位置と第2位置との間の調整と、折り畳んだ位置と開いた位置との間で旋回することの両方の駆動を行うことができ、このアクチュエータは、ミラーフット内に包含させることもできる。
【0022】
このような変形例は、当業者であれば明らかとなり、また、添付の特許請求の範囲の請求項に定められた本発明の範囲内に添付の請求項に記載の本発明の範囲内に含まれることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、ほぼ開いた位置の第1における本発明に従うウイングミラーユニットの第1実施形態の図式的な断面図である。
【図2】図2は、開いた位置の第2位置における図1のウイングミラーユニットを示す図である。
【図3】図3は、第1位置における開いた方向に向いた本発明に従うウイングミラーユニット第2実施形態の図式的な上面図である。
【図4】図4は、第1位置における開いた方向に向いた図3のウイングミラーを示す図である。
【図5】図5は、第2位置における折り畳んだ位置の図3のウイングミラーを示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ウイングミラーユニット
2 ミラーフット
3 本体
4 ミラーハウジング
5 ベース旋回軸
6アクチュエータ
7A、7B 隣接する表面
9,10 外側形状
11 カム経路アセンブリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ車両の本体に取り付けられるミラーフットと、このミラーフットに連結されるミラーハウジングを含む、特に、モータ車両用のウイングミラーユニットであって、
前記ミラーハウジングは、ミラーフットに対して前記ミラーハウジングがモータ車両の本体に沿って延在する折り畳み位置と、前記本体に対して前記ミラーハウジングがほぼ直交する方向に向いた開いた位置との間に調整可能であり、
前記ウイングミラーユニットは、さらに、互いに直交する前記ミラーハウジングとミラーフットが互いに隣接する表面を移動させるアクチュエータを備え、このアクチュエータが、前記ミラーハウジングとミラーフットとの前記隣接する表面間にスリットを形成する第1位置と、前記隣接する表面が互いに接触しかつミラーフットとミラーハウジングの外側形状が連続してなだらかに接続する第2位置との間に移動可能であることを特徴とするウイングミラーユニット。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記第1位置と第2位置との間の開き位置またはそれに近い位置に、ウイングミラーユニットを調整するように配置され、ウイングミラーユニットの折り畳み位置と開いた位置との間に調整中、ほぼ第2位置にあることを特徴とする請求項1に記載のウイングミラーユニット。
【請求項3】
前記ミラーフットは、ベース旋回軸を含み、この旋回軸回りに前記ミラーハウジングが、前記アクチュエータの操作下で、前記ミラーフットに対して旋回可能に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウイングミラーユニット。
【請求項4】
前記前記ミラーハウジングとミラーフットの両方が隣接する表面は、第1の距離で、ベース旋回軸回りに配置される接触表面として設計され、さらに、前記ミラーフットとミラーハウジングが、第2のより短い距離で、前記ベース旋回軸回りに湾曲して延在する少なくとも1つのカム経路アセンブリを介して協働しており、
前記カム経路アセンブリは、協働する一方の部品に設けられたカムと、協働する他方の部品に設けられたカム経路とを含み、
前記カム経路は、平らな経路部分を備え、かつ折り畳んだ位置と開いた位置において、前記接触表面の間にスリットを形成し、このスリットは、前記第1位置に対応し、前記接触表面の第1位置と第2位置との間の調整を、開いた位置またはそれに近い位置で可能にすることを特徴とする請求項3に記載のウイングミラーユニット。
【請求項5】
前記ミラーフットとミラーハウジングは、リニアアクチュエータの操作下で、互いに対して転換可能に配置され、前記ミラーフットとミラーハウジングの隣接する表面は、前記第2位置において、フォルムを固定した状態で協働し、本体に対して直交する方向に転換して、第1位置及び第2位置との間で調整可能であることを特徴とする請求項1ないし3に記載のウイングミラーユニット。
【請求項6】
フォルムを固定した方法で協働する、少なくとも1つの接触表面が、弾性材料から作られ、その結果、少なくとも1つの前記フォルムを固定した接触表面の変形により、前記ミラーハウジングは、前記ミラーフットに対して旋回できることを特徴とする請求項1ないし5に記載のウイングミラーユニット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−523575(P2006−523575A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507869(P2006−507869)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000255
【国際公開番号】WO2004/091974
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(505079235)イートン オートモティブ ベスローテン フエンノートシャップ (13)
【Fターム(参考)】