説明

カプセル型内視鏡システム

【課題】カプセル型内視鏡の消費電力を増大せずに、簡易に通信エラーを検出もしくは補正できること。
【解決手段】被検体の内部に導入されるカプセル型内視鏡によって撮像された画像データを含む無線信号を受信し、受信した該無線信号をもとに該画像データを取得する受信装置において、前記画像データを構成する各画素の画素値に基づき、前記画像データの画素欠陥を検出し、該検出した画素欠陥を補正する画素欠陥補正部322を備える。また、画素欠陥補正部322を備えた受信装置3を用いてカプセル型内視鏡システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検体の体内に導入されるカプセル型内視鏡によって撮像された画像データを所定の電波を介してこのカプセル型内視鏡から受信する受信装置を用いたカプセル型内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野においては、撮像機能と無線通信機能とが設けられた飲込み型の内視鏡であるカプセル型内視鏡が登場し、このカプセル型内視鏡によって撮像された被検体内の画像データを取得するカプセル型内視鏡システムが開発されている。このカプセル型内視鏡システムにおいて、カプセル型内視鏡は、観察(検査)のために被検体の口から飲込まれた後、この被検体から自然排出されるまでの間、この被検体内たとえば胃または小腸等の臓器の内部をその蠕動運動に従って移動するとともに、所定間隔たとえば0.5秒間隔でこの被検体内を撮像するように機能する。
【0003】
カプセル型内視鏡が被検体内を移動する間、このカプセル型内視鏡によって撮像された画像データは、順次無線通信によって外部に送信され、外部に設けられた受信アンテナを介して受信装置に受信される。この受信装置は、受信アンテナを介して順次受信した無線信号に基づいて画像データを生成し、これによって、カプセル型内視鏡による被検体内の画像データを取得できる。この受信装置は、取得した画像データをメモリに順次格納する。被検体は、この無線通信機能とメモリ機能とを有する受信装置を携帯することによって、カプセル型内視鏡を飲込んでから自然排出するまでの間に亘り、自由に行動できる。その後、医者または看護士は、受信装置のメモリに格納された画像データを表示装置に取り込ませ、得られた画像データに基づく被検体内の画像たとえば臓器画像を表示装置のディスプレイに表示させる。医者または看護士は、ディスプレイに表示された臓器画像等を用い、被検体の診断を行うことができる(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
このようなカプセル型内視鏡システムでは、カプセル型内視鏡は無線信号を受信装置に送信することによって画像データ等の各種データを受信装置に送信しているので、通信途上でのノイズ等に起因して通信エラーが発生する恐れがある。このような通信エラーを検出して訂正する方法としては、一般的に、データ送信側であるカプセル型内視鏡が、送信対象のデータに関するエラー訂正符号を算出し、このエラー訂正符号を本来送信すべきデータに付加して送信し、受信装置が、カプセル型内視鏡から送信されたデータを受信するとともに、この受信したデータに付加されたエラー訂正符号をもとに、この受信したデータのエラーを検出して訂正する。
【0005】
【特許文献1】特開2001−231186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したカプセル型内視鏡システムでは、送信装置であるカプセル型内視鏡が上述したエラー訂正符号を算出して送信対象のデータに付加する処理を行うようにすれば、カプセル型内視鏡の内部回路が増大し、カプセル型内視鏡の消費電力の増大を招くという問題点があった。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、カプセル型内視鏡本体の消費電力を増大させることなく、簡易に通信エラーを検出もしくは補正できるカプセル型内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるカプセル型内視鏡システムは、被検体の画像データを撮像し、未画素欠陥補正状態の該画像データを含む無線信号を送信するカプセル型内視鏡と、前記無線信号を受信し、受信した該無線信号をもとに前記画像データを取得するとともに、該画像データの画素欠陥を検出して補正する画素欠陥補正手段を有する受信装置と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡システムは、上記発明において、前記カプセル型内視鏡は、前記無線信号を非圧縮状態で送信することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるカプセル型内視鏡システムは、被検体の内部に導入され、該被検体の内部の画像データを撮像するとともに該画像データを含む無線信号を送信するカプセル型内視鏡と、該無線信号を受信し、受信した該無線信号をもとに前記画像データを取得する受信装置とを備えたカプセル型内視鏡システムにおいて、前記カプセル型内視鏡は、該カプセル型内視鏡の固有情報を格納するパラメータ記憶手段と、前記画像データを送信する際の送信単位となるラインのそれぞれに前記固有情報の少なくとも一部を含め、前記画像データとともに前記ライン毎に含まれる前記固有情報を前記無線信号として送信する送信手段とを備え、前記受信装置は、前記ライン毎に含まれる前記固有情報をもとに、前記画像データの有効または無効を判断する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、カプセル型内視鏡の消費電力を増大することなく、カプセル型内視鏡からの無線信号がその伝搬経路上で受けるノイズ干渉あるいは他の無線信号との混信に起因する通信エラーを検出でき、検出した通信エラーを容易に補正できる受信装置を用いたカプセル型内視鏡システムを実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明にかかる受信装置およびこれを用いたカプセル型内視鏡システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態であるカプセル型内視鏡システムの一構成例を模式的に例示する模式図である。図1に示すように、このカプセル型内視鏡システムは、被検体1内の通過経路に沿って移動するとともに被検体1内を撮像するカプセル型内視鏡2と、カプセル型内視鏡2によって撮像された画像データを受信する受信装置3と、カプセル型内視鏡2によって撮像された画像データをもとに被検体1内の画像を表示する表示装置4と、受信装置3と表示装置4との間の情報の受け渡しを行うための携帯型記録媒体5とを備える。受信装置3は、カプセル型内視鏡2によって送信された無線信号を受信する受信アンテナ3a〜3hが設けられる。
【0014】
表示装置4は、カプセル型内視鏡2によって撮像された被検体1内の画像等を表示するためのものであり、携帯型記録媒体5を媒介にして得られる画像データ等に基づいた画像たとえば被検体1内の臓器等の画像を表示するワークステーション等のような構成を有する。表示装置4は、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等によって画像を表示してもよいし、プリンタ等のように他の媒体に画像を出力してもよい。また、表示装置4は、医者または看護士がカプセル型内視鏡2による被検体内の臓器等の画像に基づいて診断を行うための処理機能を有する。
【0015】
携帯型記録媒体5は、コンパクトフラッシュ(登録商標)またはスマートメディア等の携帯可能な記録メディアである。携帯型記録媒体5は、受信装置3および表示装置4に対して着脱可能であって、両者に対する装着時に情報の出力および記録が可能な構造を有する。具体的には、携帯型記録媒体5は、受信装置3に装着された場合、受信装置3がカプセル型内視鏡2から受信した被検体1内の画像データ等を逐次記憶できる。また、携帯型記録媒体5は、カプセル型内視鏡2が被検体1から排出された後、受信装置3から取り出されて表示装置4に装着され、記憶した画像データ等が表示装置4によって読み出される。携帯型記録媒体5を用いて受信装置3と表示装置4とのデータの受け渡しを行うことによって、被検体1は、受信装置3と表示装置4とが有線接続された場合と異なり、カプセル型内視鏡2が被検体1の内部を移動中であっても、受信装置3を携帯した状態で自由に行動できる。
【0016】
カプセル型内視鏡2は、被検体1に飲込まれることによって被検体1内の食道を通過し、消化管腔の蠕動によって体腔内を進行する。これと同時に、カプセル型内視鏡2は、被検体1の体内の画像を逐次撮像し、得られた被検体1内の画像データ等を受信装置3側に逐次送信する。
【0017】
図2は、カプセル型内視鏡2の一構成例を模式的に例示するブロック図である。カプセル型内視鏡2は、被検体1の内部を撮像する際に撮像領域を照明する照明部20と、照明部20の駆動を制御する照明部駆動回路21と、照明部20によって照明された領域からの反射光像を撮像する撮像部22と、撮像部22の駆動を制御する撮像部駆動回路23とを備える。また、カプセル型内視鏡2は、撮像部22によって撮像された画像データとホワイトバランスデータ(WBデータ)等のパラメータとを重畳した画像信号を生成する画像処理部24と、このパラメータを予め記憶するパラメータ記憶部25と、画像処理部24によって生成された画像信号を変調して無線信号を生成する送信回路26と、送信回路26から出力された無線信号を外部に出力する送信アンテナ27と、照明部駆動回路21、撮像部駆動回路23、画像処理部24、および送信回路26の駆動を制御する制御部28と、各構成要素に対して駆動電力を供給する電力供給部29とを備える。
【0018】
照明部20は、LED等の発光素子を用いて実現され、撮像部22によって撮像される領域に対して照射光を出力して照明する。撮像部22は、CCDまたはCMOS等の撮像素子を用いて実現され、照明部20によって照明された領域からの反射光を受光することによって、この領域の画像を撮像する。撮像部22は、得られた画像データを画像処理部24に出力する。制御部28は、照明部20による撮像領域の照明タイミングと撮像部22による撮像領域の撮像タイミングとを同期するように、照明部駆動回路21および撮像部駆動回路23を制御する。
【0019】
画像処理部24は、撮像部22によって撮像された画像データを含む画像信号を生成する。この場合、画像処理部24は、画像データを圧縮せずに画像信号を生成する。パラメータ記憶部25は、EPROM等の不揮発性メモリICを用いて実現され、画像データに関するカプセル型内視鏡2に固有のパラメータたとえばWBデータおよびカプセルIDデータが予め記録される。画像処理部24は、パラメータ記憶部25に格納されたカプセルIDデータおよびWBデータを読み出し、読み出したカプセルIDデータおよびWBデータと圧縮されていない画像データとを重畳した画像信号を生成する。画像処理部24は、生成した画像信号を送信回路26に送信する。なお、このカプセルIDデータは、カプセル型内視鏡2に固有の情報であって、カプセル型内視鏡2を特定するための特定情報である。
【0020】
送信回路26は、画像処理部24によって生成された画像信号に対して所定の変調処理および電力増幅処理等を行い、この画像信号に対応する無線信号を生成する。この無線信号には、圧縮されていない画像データが含まれる。送信回路26は、生成した無線信号を送信アンテナ27に出力する。送信アンテナ27は、送信回路26から入力された無線信号を外部に出力する。この場合、カプセル型内視鏡2は、圧縮されていない画像データを含む状態(非圧縮状態)でこの無線信号を外部に出力することになる。
【0021】
つぎに、受信装置3について説明する。受信装置3は、上述したように、受信アンテナ3a〜3hが電気的に接続される。受信アンテナ3a〜3hは、たとえばループアンテナを用いて実現され、図1に示したように、被検体1の体表上の所定位置たとえばカプセル型内視鏡2の通過経路に対応する位置に配置される。受信アンテナ3a〜3hは、この配置状態において、カプセル型内視鏡2によって送信された無線信号を受信するためのものである。なお、受信装置3と電気的に接続される受信アンテナは、1以上望ましくは複数であればよく、特に4つに限定されない。
【0022】
受信装置3は、受信アンテナ3a〜3hのいずれかを介して受信された無線信号の受信処理を行うためのものである。受信装置3は、被検体1に複数の受信アンテナが配置されることによって、被検体1内でのカプセル型内視鏡2の位置に応じ、無線信号の受信に適した位置の受信アンテナを介してカプセル型内視鏡2による画像データを取得できる。
【0023】
図3は、この発明の実施の形態である受信装置3の一構成例を模式的に例示するブロック図である。図3に示すように、受信装置3は、複数の受信アンテナ3a〜3hの中から無線信号の受信に適した受信アンテナを選択するアンテナ選択部30と、アンテナ選択部30によって選択された受信アンテナ3a〜3hのいずれか一つを介して受信された無線信号に復調処理等を行う受信回路31と、受信回路31から入力された信号をもとに画像データに関する処理を行う画像処理部32とを有する。また、受信装置3は、受信装置3の各構成部の駆動を制御する制御部33と、画像データ等の抽出された情報を記憶する記憶部34と、受信装置3の各構成部の駆動電力を供給する電力供給部35とを有する。
【0024】
アンテナ選択部30は、複数の受信アンテナ3a〜3hのそれぞれと電気的に接続され、受信アンテナ3a〜3hのいずれかを選択し、選択した受信アンテナを介して受信された無線信号を受信回路31に出力する。この場合、アンテナ選択部30は、たとえば受信アンテナ3a〜3hのそれぞれを介して受信された無線信号の受信電界強度を検出し、検出した各受信電界強度を比較することによって、最も高い受信電界強度の無線信号を受信した受信アンテナを選択する。
【0025】
受信回路31は、アンテナ選択部30から入力された無線信号に対して復調処理等を行うためのものである。具体的には、受信回路31は、カプセル型内視鏡2によって送信された無線信号を受信した場合、この無線信号に含まれる画像信号を復元する。受信回路31は、得られた画像信号を画像処理部32に出力する。
【0026】
画像処理部32は、受信回路31から入力された画像信号に含まれる画像データの画素欠陥を検出して補正する処理を行い、補正した画像データをもとにフレーム単位の画像データを生成する処理を行うためのものである。画像処理部32は、図3に示すように、受信回路31から入力された画像信号を画像データとパラメータとに分離する信号分離部321と、信号分離部321によって分離抽出された画像データの画素欠陥を検出して補正する画素欠陥補正部322と、信号分離部321によって分離抽出されたパラメータをもとにWBデータとカプセルIDデータとを検出するパラメータ検出部323と、画素欠陥補正部322によって補正された画像データとパラメータ検出部323によって検出されたWBデータ等をもとにフレーム単位の画像データを生成する画像信号処理部324と、画像信号処理部324によって生成された画像データに対して所定の画像圧縮処理を行う画像圧縮部325とを有する。
【0027】
信号分離部321は、受信回路31から入力された画像信号を画像データとパラメータとに分離するためのものである。この画像信号は、カプセル型内視鏡2によって生成出力された画像信号である場合、上述したように、カプセル型内視鏡2によって撮像された画像データとパラメータたとえばカプセルIDデータおよびWBデータとが重畳されている。図4は、カプセル型内視鏡2が画像信号を送信するときに送信単位となる送信データのデータフォーマットを模式的に例示する模式図である。この送信単位は、撮像部22によって撮像された画像の1ラインに対応しており、単位構成内には、図4に示すように、1フレームの画像データに含まれる水平方向のラインの先頭を示す水平識別データD1と、水平識別データD1の直後に重畳されたカプセルIDデータD2と、カプセルIDデータD2の直後に重畳されたWBデータD3と、WBデータD3の直後に重畳された非圧縮状態の画像データD4とが含まれる。この場合、信号分離部321は、所定の水平同期信号を用いて水平識別データD1を検出することによって、この画像信号の水平方向の同期を取る。その後、信号分離部321は、カプセルIDデータD2とWBデータD3とをパラメータ信号として抽出分離し、このパラメータ信号をパラメータ検出部323に出力する。これと同時に、信号分離部321は、画像データD4を画像データ信号として抽出分離し、この画像データ信号を画素欠陥補正部322に出力する。なお、信号分離部321は、受信回路31から受信した全ての画像信号に対し、かかる信号分離処理を行う。
【0028】
画素欠陥補正部322は、信号分離部321によって分離抽出された画像データの画素欠陥を検出して補正するためのものである。ここで、画素欠陥とは、撮像部22に用いられるCCD等の固体撮像素子の半導体の局所的な結晶欠陥、静電破壊、または経年劣化等によって生じる。欠陥の発生した画素では、入射光量に応じた電気信号に一定のバイアスが重畳されて出力されるため、撮像される画像上では、画素欠陥が白点または黒点となって現れる、すなわち画素単位のエラーとして現れる。画素欠陥補正部332は、このような画素欠陥すなわち画素単位のエラーの生じた画素を検出して補正する処理を行う。画素欠陥補正部322は、信号分離部321によって分離抽出された画像データの画素欠陥を検出する画素欠陥検出部322aを有する。画素欠陥検出部322aは、信号分離部321から入力された画像データを構成する各画素の画素値をもとに画素欠陥を検出する。
【0029】
たとえば、画素欠陥検出部322aは、ライン単位の画像データに配列された水平方向の各画素の画素値を検出し、それぞれの画素の左右に隣接する同色画素との画素値を比較し、この比較結果が所定のしきい値以上であれば、当該画素を画素欠陥として検出する。ところで、カプセル型内視鏡2によって出力された無線信号が受信装置3に受信されるまでの間に受けるノイズ等に起因してこの無線信号の画像データ部分に通信エラーが生じた場合も、画像上に画素欠陥と同様な画素単位のエラーが生じる。このため、受信装置3が受信する画像データには、カプセル型内視鏡2の撮像部22に固有な画素欠陥と、通信エラーによって生じる画素単位のエラーである画素欠陥との両方が含まれることになる。したがって、画素欠陥検出部322aは、カプセル型内視鏡2の撮像部22に固有で固定の画素位置に存在する画素欠陥のみならず、カプセル型内視鏡2によって出力された無線信号が受信アンテナ3a〜3hのいずれかを介して受信されるまでの間に受けるノイズ干渉に起因して画像データのランダムな画素位置に発生する画素欠陥と同様の画素単位の通信エラーも、画素欠陥として検出できることになる。なお、画素欠陥検出部322aは、複数のラインの画像データに配列された垂直方向の各画素の画素値を検出し、それぞれの画素の上下に隣接する同色画素との画素値を比較し、この比較結果が所定のしきい値以上であれば、当該画素を画素欠陥として検出してもよい。
【0030】
画素欠陥補正部322は、画素欠陥検出部322aによって検出された画素欠陥を補正する処理を行う。この場合、画素欠陥補正部322は、たとえば画素欠陥が検出された画素の水平方向に隣接する同色画素の平均値を画素欠陥画素の画素値として置き換えることによって、この画素欠陥を補正する。なお、画素欠陥補正部322は、画素欠陥が検出された画素の垂直方向に隣接する同色画素の平均値を画素欠陥画素の画素値として置き換えることによって、この画素欠陥を補正してもよい。ここで、画素欠陥検出部322aは、撮像部22に固有な画素欠陥を検出しかつノイズ干渉に起因する通信エラーによって生じる画素単位のエラーである画素欠陥を検出するので、画素欠陥補正部322は、撮像部22に固有な画素欠陥を補正しかつノイズ干渉に起因する動的な画素欠陥すなわち画素単位の通信エラーを補正することができる。その後、画素欠陥補正部322は、画素欠陥を補正済みの画像データを画像信号処理部324に順次出力する。
【0031】
なお、画素欠陥検出部322aは、撮像部22に固有の画素欠陥を動的に検出しているが、この固有の画素欠陥が生じる画素欠陥位置を示すアドレス情報に基づいてこの固有の画素欠陥を検出する構成としてもよい。すなわち、この固有の画素欠陥が生じる画素欠陥位置をカプセル型内視鏡2の製造時に予め検出し、検出した画素欠陥位置を示す画素のアドレス情報をカプセル型内視鏡2のパラメータ記憶部25に格納しておく。カプセル型内視鏡2は、上述したWBデータまたはカプセルIDデータと同様にこのアドレス情報を画像信号に重畳して無線送信するようにし、受信装置3は、カプセル型内視鏡2から画像信号とともにこのアドレス情報を受信し、画素欠陥検出部322aが、この受信したアドレス情報に基づいてこの固有の画素欠陥を検出してもよい。
【0032】
また、画素欠陥検出部322aは、複数のフレーム単位の画像データについて上述したように画素欠陥を検出する処理を行い、これら複数のフレーム単位の画像データにおける同一画素位置に画素欠陥を検出した場合、この同一画素位置を撮像部22に固有な画素欠陥が発生した画素位置として記憶し、その後、この画素位置についての画素欠陥の検出処理を行わないようにしてもよい。この場合、画素欠陥検出部322aは、この記憶した画素位置を示す情報を画素欠陥補正部322に送信するようにし、画素欠陥補正部322は、画素欠陥検出部322が画素欠陥の検出処理を行わなくとも、この情報に基づく画素位置の画素欠陥を補正するようにしてもよい。また、画素欠陥検出部322aは、この記憶した画素位置をもとに、画素欠陥補正部322に対し、この画素位置の画素欠陥を補正する制御を行うようにしてもよい。
【0033】
パラメータ検出部323は、信号分離部321から入力されたパラメータ信号をもとにWBデータとカプセルIDデータとを検出するためのものである。パラメータ検出部323は、受信したパラメータ信号をもとに検出したWBデータを画像信号処理部324に出力する。また、パラメータ検出部323は、受信したパラメータ信号をもとに検出したカプセルIDデータを制御部33に出力する。
【0034】
画像信号処理部324は、画素欠陥補正部322によって補正された画像データとパラメータ検出部323によって検出されたWBデータ等をもとに所定の画像処理を行い、フレーム単位の画像データを生成するためのものである。具体的には、画像信号処理部324は、画素欠陥補正部322から順次入力された各画像データとパラメータ検出部323から入力されたWBデータをもとに、これら各画像データのホワイトバランスを補正するホワイトバランス補正処理を行う。また、画像信号処理部324は、画素欠陥補正部322から入力された各画像データに対するガンマ補正処理および輪郭強調処理等の画像処理をさらに行う。
【0035】
また、画像信号処理部324は、所定の画像処理を行った所定数の画像データを用いてフレーム単位の画像データ(受信画像データ)を生成する。画像信号処理部324は、カプセル型内視鏡2が所定のフレームライン数の画像データを送信した場合、この所定のフレームライン数と同数のライン単位の画像データを用いて受信画像データを生成する。なお、このフレームライン数は、1フレームに含まれる水平方向のライン数である。すなわち、1フレームの画像データは、フレームライン数と同数のライン単位の画像データによって構成される。
【0036】
画像信号処理部324によって生成された受信画像データは、画像圧縮部325に順次入力される。画像圧縮部325は、画像信号処理部324から順次入力された各受信画像データに対して所定の画像圧縮処理を行い、これらの各受信画像データを圧縮する。画像信号処理部324は、圧縮した受信画像データを制御部33に出力する。
【0037】
一方、記憶部34は、上述した携帯型記録媒体5を着脱可能に装着でき、制御部33の制御に基づく情報たとえば画像信号処理部324によって生成された受信画像データを携帯型記録媒体5に順次書き込む。なお、記憶部34は、RAMまたはフラッシュメモリ等のメモリICを有することによって記憶部34自体が情報を記憶するように構成されてもよい。
【0038】
電力供給部35は、受信装置3が図1に示したように被検体1に携帯された状態であっても、受信装置3の各構成部に駆動電力を供給する。なお、電力供給部35としては、乾電池、リチウムイオン二次電池、またはニッケル水素電池等を例示することができる。また、電力供給部35は、充電式であってもよい。
【0039】
制御部33は、各種処理プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、各種処理プログラム等が予め記録されたROMと、各処理の演算パラメータまたはカプセルIDデータ等を記憶するRAMとを用いて実現される。制御部33は、受信装置3の各構成部の駆動を制御する。制御部33は、たとえば画像圧縮部325から入力された受信画像データ等を記憶部34に記憶させる。この場合、制御部33は、パラメータ検出部323によって検出されたライン単位の画像データ毎のカプセルIDデータをもとに、画像データを送信したカプセル型内視鏡を特定するための画像IDを決定し、決定した画像IDと受信した受信画像データとを対応付けて記憶部34に記憶させる。図5は、決定した画像IDと受信した受信画像データとを対応付けて記憶部34に記憶させるまでの処理手順を例示するフローチャートである。
【0040】
制御部33は、フレームの画像受信を開始する毎に図5に示す処理手順を行い、画像の各ライン受信毎にパラメータ検出部323によって検出されるカプセルIDをもとに、受信した各フレームの画像IDを決定し、決定した画像IDと受信した画像データとを対応付けて記憶部34に記憶する制御を行う。すなわち、制御部33は、まず、カプセルIDを取得したライン数を示す取得回数iを初期化してこの取得回数iを「0」に設定する(ステップS101)。
【0041】
つぎに、制御部33は、パラメータ検出部323がライン受信毎に水平識別データD1に引き続き検出するカプセルIDデータD2に基づくカプセルIDを取得する(ステップS102)。この場合、制御部33は、保有するメモリエリア(図示せず)に取得したカプセルIDを記憶する。さらに、制御部33は、取得回数iをカウントアップする処理を行って、この取得回数iに「1」を加算する(ステップS103)。
【0042】
その後、制御部33は、取得回数iが予め設定された取得回数nに達するまで、上述したステップS102〜S104の処理手順を繰り返す。ここで、この取得回数nは、カプセル型内視鏡2によって送信される画像データの1フレームの垂直方向ライン数(以下、フレームライン数と記す)に相当する。すなわち、制御部33は、取得回数iがフレームライン数に達したか否かを判断し、取得回数iがフレームライン数すなわち取得回数nに達していないと判断した場合(ステップS104,No)、上述したステップS102以降の処理手順を繰り返す。
【0043】
一方、制御部33は、取得回数iがフレームライン数すなわち取得回数nに達したと判断した場合(ステップS104,Yes)、取得したカプセルIDの内、最も多く受信したカプセルIDすなわち最多取得頻度のカプセルIDを受信画像データの画像IDとして決定する(ステップS105)。
【0044】
その後、制御部33は、画像圧縮部325から入力された受信画像データとステップS107において決定した画像IDとを対応付けて記憶部34に転送し、この画像IDを対応付けた状態の受信画像データを記憶するように記憶部34を制御する(ステップS106)。
【0045】
ここで、制御部33は、パラメータ検出部323から取得回数nと同じ回数受信したカプセルIDデータのうち、上述したノイズ干渉に起因して文字化け等の通信エラーが発生したカプセルIDデータを受信した場合であっても、残りの正常な状態で受信したカプセルIDデータに基づくカプセルIDを上述した最多取得頻度のカプセルIDとして決定できる。すなわち、制御部33は、カプセルIDデータに関するフレーム単位の通信エラーを補正することができ、正常なカプセルIDに対応する画像IDを受信画像データと対応付けて記憶部34に格納できる。
【0046】
一方、制御部33は、パラメータ検出部323によって検出されたライン単位の画像データ毎のカプセルIDデータをもとに、画像信号処理部324によって生成された受信画像データが有効画像であるか無効画像であるかを判断することもできる。なお、この有効画像とは、被検体1を検査する上で有効な画像データすなわちカプセル型内視鏡2によって撮像された正常な画像データである。一方、この無効画像とは、被検体1を検査する上で有効ではない画像データたとえば上述したノイズ干渉に起因する通信エラーが発生した異常な画像データである。
【0047】
図6は、取得した受信画像データを有効画像または無効画像と判断し、有効画像と判断した受信画像データを記憶部34に記憶させるまでの処理手順を例示するフローチャートである。図6において、制御部33は、上述したステップS101〜S106と同様の処理手順を行って、取得回数n分のカプセルIDを取得し、これら全てのカプセルIDのうちの最多取得頻度のカプセルIDを画像IDとして決定する(ステップS201〜S205)。
【0048】
つぎに、制御部33は、ステップS207において決定した画像IDに対応するカプセルIDの最大取得頻度と判定基準情報として制御部33に予め記録された取得回数mとを比較し、この最多取得頻度が取得回数m以上である場合(ステップS206,Yes)、画像信号処理部324によって生成された受信画像データを有効画像と判断する(ステップS207)。その後、制御部33は、この有効画像と判断した有効な受信画像データと上述したステップS205において決定した画像IDとを対応付けて記憶部34に転送し、この画像IDを対応付けた状態の有効な受信画像データを記憶するように記憶部34を制御する(ステップS208)。
【0049】
一方、制御部33は、上述した最大取得頻度と取得回数mとを比較し、この最多取得頻度が取得回数m未満である場合(ステップS206,No)、画像信号処理部324によって生成された受信画像データを無効画像と判断する(ステップS209)。その後、制御部33は、この無効画像と判断した無効な受信画像データを消去し(ステップS210)、記憶部34に記憶させない。
【0050】
ここで、制御部33は、パラメータ検出部323から取得回数nと同じ回数分受信したカプセルIDデータに基づくカプセルIDのうち、最も取得頻度が多い正常な同一カプセルIDを上述した最多取得頻度のカプセルIDとして決定できる。このため、制御部33は、上述したノイズ干渉に起因して文字化け等の通信エラーが発生したカプセルIDデータを受信した場合であっても、この最多取得頻度のカプセルIDを受信画像データの画像IDとして決定することによって、この通信エラーを補正することができる。
【0051】
さらに、制御部33は、決定した画像IDに対応するカプセルIDの最多取得頻度と判定基準である取得回数mとを比較した結果をもとに、取得した受信画像データを有効画像または無効画像と判断する。このため、カプセル型内視鏡2からの無線信号が別のカプセル型内視鏡からの無線信号と混信した状態で受信装置3に受信される通信エラーが発生した場合であっても、制御部33は、最多取得頻度のカプセルIDに対応するライン単位の画像データが取得回数mと同数以上含まれる受信画像データすなわち受信した画像に所定ライン数m以上の同一カプセル型内視鏡からの画像データが含まれている画像データを有効画像と判断し、それ以外の受信画像データを無効画像と判断できる。これによって、制御部33は、このようなフレーム単位の通信エラーを補正することができ、有効画像と判断した有効な受信画像データを無効な受信画像データと区別して記憶部34に順次格納できる。
【0052】
なお、上述した取得回数mは、画像信号処理部324によって生成される受信画像データのフレームライン数nの過半数であることが望ましい。これによって、制御部33は、最多取得頻度のカプセルIDに対応するライン単位の画像データがフレームライン数nの過半数以上含まれる受信画像データを有効画像と判断でき、有効画像と無効画像との判断精度をさらに高めることができる。
【0053】
また、この発明の実施の形態では、カプセル型内視鏡2を特定する特定情報としてカプセルIDデータを用いていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、カプセル型内視鏡2に固有の情報たとえばWBデータをこの特定情報として用いてもよい。この場合、制御部33は、このカプセル型内視鏡2に固有の情報をもとに画像IDを決定すればよい。
【0054】
さらに、この発明の実施の形態では、カプセル型内視鏡2が画像信号を生成する場合、水平識別データの直後にカプセルIDデータを重畳し、このカプセルIDデータの直後にWBデータを重畳していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、カプセルIDおよびWBデータ等のパラメータは、水平識別データと画像データとの間の領域に重畳されればよく、その順序は一連の画像データにおいて一定であればよい。
【0055】
また、この発明の実施の形態では、無効画像と判断した受信画像データを記憶部34に格納せずに消去していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、無効画像と判断した受信画像データに対して無効画像である旨を示すIDコード等の無効画像特定情報を対応付け、この無効画像特定情報を対応付けた状態でこの受信画像データを記憶部34に格納してもよい。
【0056】
以上、説明したように、この発明の実施の形態では、受信装置がカプセル型内視鏡によって送信された画像データを受信する毎に、受信した各画像データを構成する各画素の画素値に基づいて画素欠陥を検出し、画素欠陥が検出された画素の水平方向に隣接する同色画素の画素値をもとに補間処理を行って、この画素欠陥を補正するように構成している。したがって、カプセル型内視鏡の消費電力を増大することなく、カプセル型内視鏡の撮像素子に固有な画素欠陥を検出でき、さらにカプセル型内視鏡からの無線信号がその伝搬経路上でノイズ干渉を受けることに起因する画素単位の通信エラーとしての動的な画素欠陥も検出でき、この固有な画素欠陥を補正するとともに、このノイズ干渉に起因する動的な画素欠陥として現れる画素単位の通信エラーを簡易に補正できる受信装置およびこれを用いたカプセル型内視鏡システムを実現することができる。
【0057】
さらに、カプセル型内視鏡によって撮像されたフレーム単位の画像データを構成するライン単位の画像データ毎にカプセル型内視鏡の特定情報を取得し、この特定情報を取得した回数をもとに、フレーム単位の画像データを特定する画像特定情報を決定しているので、上述したノイズ干渉に起因する文字化け等の通信エラーが一部のカプセル型内視鏡の特定情報に発生した場合であっても、このカプセル型内視鏡の特定情報に対応する画像特定情報をフレーム単位の画像データに容易に対応付けることができ、これによって、この文字化け等の通信エラーを補正することができる。
【0058】
また、この特定情報を取得した回数をもとに、取得したフレーム単位の画像データが有効画像であるか無効画像であるかを判断しているので、このカプセル型内視鏡によるフレーム単位の画像データとノイズである別のカプセル型内視鏡による画像データとの混信に起因する通信エラーが発生した場合であっても、取得すべき画像データを所定ライン数含んだフレーム単位の画像データを有効画像と判断でき、それ以外を無効画像と判断できる。これによって、取得したフレーム単位の画像データ毎に有効画像と無効画像とを区別して順次格納でき、この混信に起因するフレーム単位の通信エラーを容易に補正することができる。このことは、混信に起因する無効な画像が表示装置4での観察等に用いられることを防止することに繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の実施の形態であるカプセル型内視鏡システムの一構成例を模式的に例示する模式図である。
【図2】カプセル型内視鏡システムを構成するカプセル型内視鏡の一構成例を模式的に例示するブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態である受信装置の一構成例を模式的に例示するブロック図である。
【図4】画像信号の送信単位のデータフォーマットを模式的に例示する模式図である。
【図5】画像IDと受信画像データとを対応付けて記憶部に格納するまでの処理手順を例示するフローチャートである。
【図6】受信画像データを有効画像または無効画像と判断する処理手順を例示するフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 被検体
2 カプセル型内視鏡
3 受信装置
3a〜3h 受信アンテナ
4 表示装置
5 携帯型記録媒体
20 照明部
21 照明部駆動回路
22 撮像部
23 撮像部駆動回路
24,32 画像処理部
25 パラメータ記憶部
26 送信回路
27 送信アンテナ
28,33 制御部
29,35 電力供給部
30 アンテナ選択部
31 受信回路
34 記憶部
321 信号分離部
322 画素欠陥補正部
322a 画素欠陥検出部
323 パラメータ検出部
324 画像信号処理部
325 画像圧縮部
D1 水平識別データ
D2 カプセルIDデータ
D3 WBデータ
D4 画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の内部に導入され、該被検体の内部の画像データを撮像するとともに該画像データを含む無線信号を送信するカプセル型内視鏡と、該無線信号を受信し、受信した該無線信号をもとに前記画像データを取得する受信装置とを備えたカプセル型内視鏡システムにおいて、
前記カプセル型内視鏡は、該カプセル型内視鏡の固有情報を格納するパラメータ記憶手段と、前記画像データを送信する際の送信単位となるラインのそれぞれに前記固有情報の少なくとも一部を含め、前記画像データとともに前記ライン毎に含まれる前記固有情報を前記無線信号として送信する送信手段とを備え、
前記受信装置は、前記ライン毎に含まれる前記固有情報をもとに、前記画像データの有効または無効を判断する制御手段を備えたことを特徴とするカプセル型内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−41835(P2011−41835A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256106(P2010−256106)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【分割の表示】特願2004−269570(P2004−269570)の分割
【原出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】