カメラシステム
【課題】複数の撮影モードを容易に且つ確実に切り替え、それぞれのモードに応じた画像や映像を取得することができるカメラシステムを提供する
【解決手段】カメラ1には、姿勢検出スイッチ121(122)が設置されており、支持軸3に形成されたスイッチ押圧突起332(331)により押圧されることでオン状態となる。カメラ1は保持部材2により着脱可能に設置され、保持部材2とカメラ1は、支持軸3に対して回動可能に設置される。カメラ1の複数の回動位置、保持部材2からの脱離状態のそれぞれで、姿勢検出スイッチ121(122)とスイッチ押圧突起332(331)との接触、すなわち姿勢検出スイッチ121(122)のオン/オフの組み合わせが異なるので、カメラ1はこの組み合わせを検出して、自装置の姿勢を判断し、姿勢に応じた撮影モードでの映像補正を行って出力する。
【解決手段】カメラ1には、姿勢検出スイッチ121(122)が設置されており、支持軸3に形成されたスイッチ押圧突起332(331)により押圧されることでオン状態となる。カメラ1は保持部材2により着脱可能に設置され、保持部材2とカメラ1は、支持軸3に対して回動可能に設置される。カメラ1の複数の回動位置、保持部材2からの脱離状態のそれぞれで、姿勢検出スイッチ121(122)とスイッチ押圧突起332(331)との接触、すなわち姿勢検出スイッチ121(122)のオン/オフの組み合わせが異なるので、カメラ1はこの組み合わせを検出して、自装置の姿勢を判断し、姿勢に応じた撮影モードでの映像補正を行って出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラシステム、特に複数の使用態様が可能なカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の使用態様が可能なカメラとして、書類を撮像する書画撮像機能と、人物を通常のスチールカメラのように撮像する人物撮像機能との二つの機能を有するカメラが各種考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、撮影対象である原稿が設置された鉛直下方向と水平方向との二方向に撮影方向を切り替え可能な書画カメラが開示されている。
【0004】
また、特許文献2は、書画/人物兼用のカメラを備え、着信を検出すると人物方向に撮影方向を切り替えるテレビ電話システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3は、通常のデジタルスチールカメラであって、書画モードとノーマルモードとを備え、書画モード時に書画撮影専用の映像処理を行うものである。
【特許文献1】特開2003−348385公報
【特許文献2】特開平8−265716号公報
【特許文献3】特開2005−311925公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のカメラシステムでは、書画モードと人物撮影モードとの二つの使用態様にしか対応することができない。また、特許文献1および特許文献2に示したカメラシステムでは、大がかりな装置にカメラが装着されており、自由に持ち歩いたりすることが容易ではなかった。一方で、特許文献3に示したカメラは、通常のデジタルスチールカメラであり、書画撮影モードは備えられているものの、書画用に固定して撮影する機構を備えておらず、カメラを書画撮影用に固定することは容易ではなかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、近接した書類等を撮影する書画撮影モードと、その他の汎用性の複数の撮影モードとを、容易に且つ確実に切り替え、それぞれのモードに応じた画像や映像を取得することができるカメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、映像を取得するカメラと、該カメラを着脱可能に保持するカメラ保持部材と、該カメラ保持部材に保持されたカメラが設置場所に対して予め設定された位置になる態様でカメラ保持部材を支持する支持軸部材と、を備えたカメラシステムに関するものである。
そして、この発明では、カメラ保持部材と支持軸部材とカメラとのそれぞれに、次に示す特徴を有する。
【0009】
カメラ保持部材は、支持軸部材に対して回動可能に設置される。この際、カメラのカメラ保持部材に対面する側の面が支持軸部材に対して離間する態様でカメラが保持される。
【0010】
支持軸部材は、カメラに略当接する形状からなる突起部が複数形成されている。これらの複数の突起部は、支持軸部材のカメラ保持部材に対面する側の面におけるカメラ保持部材の回動中心から所定半径の円周上に配列して形成されている。
【0011】
カメラは、カメラ保持部材に対面する側の面の円周に対応する位置に複数の姿勢検出スイッチを備える。これら複数の姿勢検出スイッチは、カメラの回動に応じて複数の突起部に対する接し方の組み合わせが異なる。
【0012】
さらに、カメラは、複数の姿勢検出スイッチの複数の突起部に対する接し方の組み合わせにより、回動による複数の姿勢またはカメラ保持部材からの脱離状態を検出する。そして、カメラは、各姿勢または脱離状態で異なる映像仕様の映像取得を行う。
【0013】
この構成では、カメラはカメラ保持部材に装着することで、一定位置での固定が可能である。例えば、原稿が置かれているテーブルから所定距離上方の位置に固定され、原稿を撮影することができる。さらに、カメラをカメラ保持部材に装着した場合は、カメラ保持部材によりカメラが回動するので、位置固定されたままで複数の姿勢を実現でき、固定位置から複数の方向を撮影することが可能である。例えば、テーブルに対して固定された位置で、テーブル上の原稿や、テーブル周辺の状況や、テーブルから上方を撮影することができる。また、カメラは、カメラ保持部材から脱離させることで、自由な持ち運びが可能である。例えば、ユーザがカメラを手で持って自由に移動して撮影することができる。
【0014】
このようなカメラの脱離状態を含む各姿勢は、支持軸部材に取り付けられた複数の突起部が、カメラに取り付けられた複数の姿勢検出スイッチに接触するか接触しないかの組み合わせにより検出される。例えば、カメラが脱離されている状態では、複数の姿勢検出スイッチの全てが突起部に接触しないので、全ての姿勢検出スイッチがオフとなる。また、回動位置によって、複数の姿勢検出スイッチが複数の突起部にそれぞれ当たる組み合わせが異なるので、それぞれの組み合わせにより、複数の姿勢検出スイッチのオン/オフの組み合わせが変化する。このような姿勢検出スイッチのオン/オフの組み合わせにより、脱離状態および姿勢が検出される。そして、カメラは、姿勢を検出して各姿勢に応じた使用態様を選択し、態様毎に適切な映像処理を行う。
【0015】
また、この発明のカメラシステムのカメラは、魚眼レンズを備える。そして、カメラは、魚眼レンズを介して映像を取得し、取得した映像に対して、姿勢または脱離状態に応じて異なる映像補正を行う。
【0016】
この構成では、魚眼レンズを用いて撮影され、撮影された映像が姿勢または脱離状態に応じて補正される。魚眼レンズを用いることで、例えば、カメラから前方側の領域の全周囲が撮影範囲となるように撮影範囲が広くなるが、通常のビデオカメラやスチールカメラに利用されるレンズを用いた場合よりも像が歪む。しかしながら、姿勢または脱離状態に応じた映像補正が行われることで歪みは解消されるので、撮影範囲が広いことで、より多種多様な映像の取り扱いが可能となる。したがって、姿勢や脱離状態のそれぞれで適した映像を取得しやすくなる。
【0017】
また、この発明のカメラシステムの支持軸部材は、カメラ保持部材に対面する側の面の円周上に、複数の姿勢に対応した複数の位置にそれぞれ凹部が形成されている。一方、カメラ保持部材は、支持軸部材側の円周に対応する位置に、複数の姿勢のそれぞれで凹部のいずれかに嵌合する突起部が形成されている。
【0018】
この構成では、カメラ保持部材の突起部が、支持軸部材の複数の凹部に嵌合することで位置決めが行われる。この際、各凹部は、カメラの取り得る姿勢毎に設けられているので、突起部がいずれかの凹部に嵌合することで、カメラは、嵌合した凹部に応じた姿勢で固定される。これにより、容易且つ確実に所望とする姿勢にカメラをセットすることができる。
【0019】
また、この発明のカメラシステムは、支持軸部材とカメラ保持部材とを離間可能な状態で且つ互いに密着させる方向に付勢する付勢手段が備えられている。
【0020】
この構成では、カメラ保持部材と支持軸部材とが常に付勢されているので、上述のようにカメラ保持部材の突起部が支持軸部材の凹部に嵌合していれば、簡単には突起部が凹部からはずれて、カメラが回動することがない。一方で、支持軸部材とカメラ保持部材とが外力により離間可能な程度で付勢されていることで、カメラの姿勢を換えたい場合には、ユーザがカメラ保持部材に固定されたカメラを支持軸部材から引き離すようにして回動させることで、カメラの回動が容易に可能となる。
【0021】
また、この発明のカメラシステムの支持軸部材は、カメラ保持部材が複数の姿勢による回動の範囲を超える場合に、カメラ保持部材に接触して回動を抑止する回動抑止用突起が備えられている。
【0022】
この構成では、ユーザがカメラを回動させようとして回しても、回動範囲の境界位置で回動抑止用突起によりカメラの回動が妨げられる、これにより、不必要な回動を防止でき、さらにはこの不必要な回動により破損・故障を予防することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、カメラが一定の位置に固定され、複数の方位をそれぞれに撮影することができる複数の態様や、カメラを自由に持ち運びできる態様を容易に実現し、これら複数の態様に応じて最適な映像を取得し得るカメラシステムを、簡素且つ容易な構成や使用方法で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施形態のカメラシステムについて図を参照して説明する。
図1〜図3は、本実施形態のカメラシステムにおけるカメラ1を保持部材2に固定した状態での各態様の構造を示す外観図であり、(A)が側面図、(B)が正面図である。
図4(A)は支持軸3の外観斜視図であり、(B)は正面図(保持部材2側から見た図)である。
図5(A)、(B)は保持部材2をそれぞれ正面側、背面側から見た外観斜視図、(C)は保持部材2の正面図(支持部材3側から見た図)である。
図6はカメラ1の外観斜視図である。
図7は支持軸3と保持部材2との嵌め合い状態を示す図であり、(A)が保持部材2側から見た外観斜視図であり、(B)が支持軸3側から見た組み立て透視図であり、(C)が嵌め合い方向に対して垂直な方向から見た組み立て断面概念図である。
図8は支持軸3、保持部材2、カメラ1の各嵌め合い状態を示す図であり、(A)が支持軸3側から見た組み立て透視図であり、(B)が嵌め合い方向に対して垂直な方向から見た組み立て断面概念図である。
【0025】
本実施形態のカメラシステムは、カメラ1、保持部材2、支持軸3、台4を備える。
台4は、会議テーブル等のカメラシステムを配置するテーブルの天面に設置されたベース部40と、支持軸3と接続する接続部41とからなる。接続部41は、支持軸3の主体30を回動可能に支持し、支持軸3の主体30の伸延する方向が、ベース部材40の天面設置面に対して所定角となるように支持する構造からなる。このような構造により、支持軸3はベース部材40に対して所定角に設置され、支持軸3の主体30の台4と対向する側の端部、すなわち、保持部材2に接続する側の端部は、テーブルの天面に対して所定の高さ位置となる。なお、支持軸3は接続部41を中心にベース部材40方向へ回動させることで、ベース部材40に当接する状態までたたむことができる。これにより、搬送時や収納時に省スペース化することができる。
【0026】
支持軸3、保持部材2、カメラ1の構造および構成の詳細は後述し、ここでは、これら支持軸3、保持部材2、カメラ1の接続関係および動作を概略的に説明する。
【0027】
支持軸3の主体30は、伸延方向に垂直な断面が略楕円形状からなる。主体30の台4と対向する側の端部には、保持部材2が支持軸3に対して回動可能に設置されている。保持部材2は、断面が略楕円形状の主体30に対して、伸延方向と鉛直方向とを含む平面を回動面とするように設置されている。保持部材2には、カメラ1が着脱可能に設置されており、カメラ1は装着された状態では保持部材2に対して位置が固定される。この際、カメラ1は、カメラ1の撮影方向が前述の回動面に平行な方向となるように設置される。これにより、カメラ1は支持軸3に対して回動可能に設置され、カメラ1の撮影方向もカメラ1の回動に伴って変化する。
【0028】
このような回動は、保持部材2に設置された位置決め用突起23が回動する角度に応じて、支持軸3に設置された複数のホルダ位置決め凹部321〜323のいずれかに嵌合することで、複数位置で固定される。例えば、図1〜図3に示すように、カメラ1の正面が鉛直下方向、水平方向、鉛直上方向になるように固定される。これにより、カメラ1は、それぞれの位置に応じた方向からの映像を取得することができる。この際、カメラ1には、姿勢検出スイッチ121,122が設置されており、これら姿勢検出スイッチ121,122と、支持軸3に形成されたスイッチ押圧突起331,332との接触状態により、撮影方向を検出する。カメラ1は、検出した撮影方向毎に撮影モードを設定しており、撮影モード毎に固有の映像補正を行って出力する。
【0029】
具体的には、図8に示すように姿勢検出スイッチ121とスイッチ押圧突起332とが接触し、姿勢検出スイッチ122とスイッチ押圧突起331とが接触し、姿勢検出スイッチ121、122がともにオン状態になる場合(図1の状態)には、カメラ1は水平方向撮影モード(人物撮影モード)と検出する。この状態からカメラ1を回転させ、姿勢検出スイッチ121とスイッチ押圧突起331とが接触し、姿勢検出スイッチ121のみがオン状態になる場合(図2の状態)には、カメラ1は、鉛直下方向撮影モード(書画撮影水平モード)と検出する。さらに、この状態からカメラ1を回転させ、姿勢検出スイッチ122とスイッチ押圧突起332とが接触し、姿勢検出スイッチ122のみがオン状態になる場合(図3の状態)には、カメラ1は鉛直上方向撮影モード(全周囲撮影モード)と検出する。また、カメラ1は、保持部材2すなわち支持軸3から取り外すことができるので、取り外れされると、二つの姿勢検出スイッチ121,122はともにオフ状態になる。この場合、カメラ1は、自由撮影モードを検出する。
【0030】
カメラ1は、各撮影モードを検出すると、モードに応じて、取得した映像の補正を行う。例えば、カメラ1は、書画撮影モードであれば、魚眼レンズ100を介して取得した原稿の映像の歪みを補正して出力し、人物撮影水平モードであれば、魚眼レンズ100を介して取得した各人物の映像の歪みを補正して出力する。さらに、カメラ1は、全周囲撮影モードであれば、魚眼レンズ100を介して取得した全周囲の映像を平面上に投射して出力し、自由撮影モードであれば、魚眼レンズ100を介して取得した映像を、通常のデジタルビデオカメラやスチールカメラで撮影したように補正して出力する。
【0031】
このような構成とすることで、本実施形態のカメラシステムでは、支持軸3に対して回動可能に設置された状態でのカメラ1の複数の姿勢や、支持軸3から取り外された状態を、簡素なスイッチ構造により検出することができる。さらに、検出した複数の姿勢や脱離状態毎に応じて適当な映像補正を行うことで、ユーザがカメラの姿勢や脱離状態を意識することなく、最適な映像を出力することができる。
【0032】
なお、本実施形態のカメラシステムは、上述のように簡素な構造で実現できるので、カメラ1の最長の外形部が100mm以下、支持軸3が250mm程度、台4の最長の外形部が200mm以下となる形状で形成することが可能である。従って、設置が簡単で、場所を取らず、さらには携帯性にも優れる。これにより、単に一箇所に設置したままでの利用ではなく、持ち運んで必要なところで利用することができる。すなわち、多様モードのそれぞれで最適な映像が取得できるカメラシステムを、幅広い用途で利用することができる。
【0033】
次に、各部の詳細な構成の説明を行う。
【0034】
(A)支持軸3(図4参照)
支持軸3の主体30の伸延方向の台4と対向する側の端部には、保持部材2の設置側から見て略円形の円板部39が形成されており、円板部39の保持部材2側から見た中心(説明の簡略化のため、「円板視側中心」と称する。)には、所定半径で内壁面の断面が円形からなる嵌合用凹部31が形成されている。
【0035】
円板部39における嵌合用凹部31の外周側には、前記円板視側中心を形成の中心点として略180度に扇形状で広がり、半径方向に所定幅を有するホルダ位置決め部32が形成されており、当該ホルダ位置決め部32は、円板部39の保持部材2側の面から隆起し、その表面が平坦になるように形成されている。
【0036】
ホルダ位置決め部32の円周方向の両端には、平坦化された表面から凹む形状でホルダ位置決め凹部321,323が設けられており、さらに、円周方向に沿った略中点にもホルダ位置決め凹部322が設けられている。すなわち、ホルダ位置決め部32の表面には、円板視側中心を基準にして、略90度間隔で三つのホルダ位置決め凹部321,322,323が設けられている。これらの凹部は、断面が円弧状となる形状で設けられている。
【0037】
円板部39のホルダ位置決め部32と略同じ円周上には、ホルダ位置決め部32の円周方向の両端の近傍に、円板部39から保持部材2側に突起するストッパ34がそれぞれ形成されている。これらのストッパ34は、後述する保持部材2が回動する際に、ホルダ位置決め凹部321〜323のいずれかに嵌合する位置決め用突起23が形成された扇形部202が所定の回動量まで達すると、当該扇形部202の円周方向端面に当接するように設置されており、この当接により不必要な回動が防止される。
【0038】
さらに、円板部39のホルダ位置決め部32およびストッパ34と略同じ円周上に、円板部39から保持部材2側に突起するスイッチ押圧突起331,332が形成されている。スイッチ押圧突起331,332は、各ストッパ34に近接し、各ストッパ34に対してホルダ位置決め部32と反対側に配置される。この際、スイッチ押圧突起331がホルダ位置決め凹部323側となり、スイッチ押圧突起332がホルダ位置決め凹部321側となるように形成されている。これらスイッチ押圧突起331,332は、円板視側中心を基準にして略90度間隔となるように形成されており、スイッチ押圧突起331とホルダ位置決め凹部323とが略45度間隔、スイッチ押圧突起332とホルダ位置決め凹部321とが略45度間隔となるように形成されている。スイッチ押圧突起331,332は、円周方向に沿って、中央に一定の高さからなる平坦な天面を有する中央部分と、該中央部分に向けて徐々に高さが高くなる両端部とが一体形成された形状からなる。スイッチ押圧突起331,332の中央部分の高さは、後述するカメラ1の姿勢検出スイッチ121,122が、中央部に達した際に、確実にオンとなる高さに設定されている。すなわち、姿勢検出スイッチ121,122が押し込まれてスイッチオン状態になるまでのストロークと、カメラ1の姿勢検出スイッチ121,122から支持軸3の円板部39の表面までの距離とにより設定される。さらに、スイッチ押圧突起331,332は、円周方向に沿って、徐々に高さが高くなり、一定し、徐々に低くなる構造であるので、後述するカメラ1の姿勢検出スイッチ121,122が円周方向に移動する場合に、スイッチ押圧突起331,332の天面を継続的に滑らかに移動する。これにより、カメラ1の姿勢検出スイッチ121,122が支持軸3のスイッチ押圧突起331,332に当たることによって生じるカメラ1の回動の不連続さを防止し、ユーザは速やかで簡単にカメラ1を回動させることができる。
【0039】
(B)保持部材(図5参照)
保持部材2は、所定厚みからなる円形筐体201と扇形筐体202とからなる筐体20
を有する。扇形筐体202は、円形筐体201の円周面から、当該円周面に垂直な方向へ突起した形状からなり、円形筐体201側が扇形の中心となる形状で形成されている。
【0040】
円形筐体201の一方の円形面(組み立て状態で支持軸3側となる面)には、円板視側から見た中心を、形成の中心として当該一方の円形面から突起した円柱状の嵌合用凸部22が形成されている。この嵌合用凸部22は、前述の支持軸3の嵌合用凹部31に嵌合する形状からなる。円形筐体201の他方の円形面(組み立て状態でカメラ1側となる面)には、前記形成の中心に基づいて凹状の嵌め合いフランジ部21が形成されている。この嵌め合いフランジ部21は、後述するカメラ1の嵌め合いフランジ11と嵌め合わさる形状で形成されている。
【0041】
扇形筐体202における円形筐体201の一方の円形面と同じ側の面((組み立て状態で支持軸3側となる面)には、半円柱状の位置決め用突起23が形成されている。位置決め用突起23は、半円形面が扇形筐体202の伸びる方向(扇形の中心から放射方向)にそれぞれ位置するように形成されている。この際、位置決め用突起23は、保持部材2と支持軸3とを組み付けた状態で、支持軸3のホルダ位置決め凹部321〜323に嵌合する位置に形成されている。具体的には、支持軸3の円板部39の円板視側中心に対するホルダ位置決め凹部321〜323の設置距離と、保持部材2の円形筐体201の円形面から見た中心に対する位置決め用突起23の設置距離とが一致するように形成されている。
【0042】
扇形筐体202における円形筐体201の他方の円形面と同じ面(組み立て状態でカメラ1側となる面)には、カメラ固定用凹部24が形成されている。
また、扇形筐体202は、広がった側の端部の厚みが、当該広がった側の端部から中心方向へ所定長さに亘り、薄く形成されている。
【0043】
(C)支持軸3と保持部材2との組み付け構造(図7参照)
保持部材2の嵌合用凸部22は、支持軸3の嵌合用凹部31に嵌合される。支持軸3の内部で、嵌合用凹部31の壁面の外周側には、スプリング27が設置されている。また、支持軸3の内部において、嵌合用凸部22の端面には、スプリング27も含んで覆うキャップ25が設置されており、キャップ25は、嵌合用凸部22の端面にネジ26により固定されている。この際、キャップ25は、支持軸3の円板部39の保持部材2側の内壁面とキャップ25とによりスプリング27を圧縮するように設置される。さらに、支持軸3の嵌合用凹部31における嵌合用凸部22が挿入される方向の内壁の高さは、嵌合用凸部22が完全に嵌合された状態で、内壁がキャップ25に達しない高さで形成されている。この構造により、保持部材2は、支持軸3に対して常時当接するようにスプリング27から付勢力が与えられるが、ユーザ等からの外力により、キャップ25と嵌合用凹部31の内壁との間隔分だけ嵌合方向に移動できる構造となる。
【0044】
これにより、保持部材2の位置決め用突起23が支持軸3のホルダ位置決め凹部321〜323のいずれかに嵌合した状態では、新たな外力が与えられない限り、嵌合状態が維持され、カメラ1の姿勢が保持される。一方で、ユーザにより保持部材2を支持軸3から離間するように力が与えられると、キャップ25と嵌合用凹部31の内壁との間隔分だけ、保持部材2が支持軸3から離間させて、保持部材2を支持軸3に対して回動させることができる。そして、ホルダ位置決め凹部321〜323が略90度間隔で設置されていることで、保持部材2の回動により、保持部材2を支持軸3に対してそれぞれ略90度ずつ異なる三つの姿勢で固定させることができる。さらに、保持部材2は、これらの姿勢を含む回動範囲の両端に達すると支持軸3に形成されたストッパ34に扇形筐体202の側面が当接するので、さらなる回動が抑止される。これにより、保持部材2の不要な回動を防止することができる。
【0045】
(D)カメラ1(図6、図8および図9参照)
図9はカメラ1の機能ブロック図である。
(D−1)カメラ1およびカメラ1の組み付け構造
カメラ1の筐体10は、平板部102と、当該平板部の対向する主面(面積の大きな面)の一方に突起して形成された略楕円球形状の光学系保持部101とが、一体形成されてなる。光学系保持部101には、魚眼レンズ100を含む光学系の機能部が内部に形成されている。魚眼レンズ100は、平板部102の主面に平行に光学系の軸が設定されるように設置されている。
【0046】
平板部102の他方の主面には、略円柱状に突起する嵌合用フランジ11が形成されている。嵌合用フランジ11は、保持部材2の嵌合用フランジ21に嵌め合わさる形状からなり、その中心には、汎用三脚に装着可能な形状からなるタップが形成されている。
【0047】
また、平板部102の他方の主面には、嵌合用フランジ11の中心を設置の中心として、姿勢検出スイッチ121,122が設置されている。姿勢検出スイッチ121,122は押圧スイッチであり、平板部102から突出した部分が、所定量押し込まれることでオン状態となるスイッチである。これら姿勢検出スイッチ121,122は、前記設置の中心から一定距離の円周上に、略90度の間隔で設置されており、前述の支持軸3のスイッチ押圧突起331,332との接触の組み合わせで、前述の三つの姿勢が検出できる位置に設置されている。
【0048】
また、平板部102の他方の主面には、固定用突起部131を有する固定用ボタン13が設置されている。固定用突起部131は、嵌合用フランジ11,21を嵌め合わせることにより保持部材2とカメラ1とを組み付けた状態で、保持部材2のカメラ固定用凹部24に嵌合する位置に形成されている。固定用ボタン13は、平板部102内に設置されたスプリング132により、平板部102の内部から他方の主面方向へ外部に向かう付勢力が与えられており、外方からユーザ等により押されると、平板部102の内側に押し込まれる構造からなる。
【0049】
このような構造のカメラ1と保持部材2とは、次の手順で装着される。
まず、ユーザは、カメラ1を持ち、カメラ1を保持部材2に近接させる。この際、カメラ1の嵌合用フランジ11の爪と保持部材2の嵌合用フランジ21の爪とが接触しないように近接させる。この際、カメラ1の固定用ボタン13と保持部材2の扇形筐体202とも接触していない。次に、ユーザは、カメラ1の固定用ボタン13をカメラ1の平板部102側に押し込んだ状態でカメラ1を回転させて、嵌合用フランジ11と嵌合用フランジ21とを嵌め合わせる。この状態で、固定用ボタン13の固定用突起部131と、保持部材2のカメラ固定用凹部24とが略対向する位置になる。ユーザは、固定用ボタン13の押圧を解除する。この解除により、固定用ボタン13が平板部102の内側から外方に突出し、固定用突起部131とカメラ固定用凹部24とが嵌合する。これにより、カメラ1と保持部材2とが固定され、カメラ1が支持軸3に対して回動可能に設置される。
【0050】
(D−2)カメラ1の機能
また、カメラ1は、機能部として光学系および電子回路により、受光素子111、映像取得部112、映像データ制御部113、入出力部114を備える。
受光素子111は、魚眼レンズ100を含む光学系を介して受光し、光電気信号を生成して映像取得部112へ出力する。映像取得部112は、取得した光電気信号に基づいて映像データを生成し、映像データ制御部113へ与える。映像データ制御部113は、姿勢検出スイッチ121,122のオン/オフの組み合わせを検出して、組み合わせに応じた撮影モードを選択する。撮影モードと映像補正とは、図示しない記憶部に予め記憶されており、映像データ制御部113は、撮影モードを検出すると、対応する映像補正処理を読み出して、実行する。映像データ制御部113は、補正した映像データを入出力部114へ出力する。
【0051】
補正の具体例として、次のようなものがある。
図10〜図12は各モードでの補正の概念を表した図であり、図10が書画撮影モードを示し、図11が人物撮影水平モード、図12が全周囲撮影モードを示す。
【0052】
書画撮影モードを検出すると、図10に示すように、映像データ制御部113は、魚眼レンズ100を介して取得した円形の映像680を方形の映像680’へ変換する補正を行う。これにより、円形に歪んでいた原稿の映像660が長方形状の原稿の映像660’に補正されて出力される。この結果、記載された文字が歪んでいない読みやすい原稿の映像が出力される。このような書画撮影モードでは、例えば、図2の二点鎖線に示すように、台4を覆う原稿台50を設置し、原稿台50の天面上に原稿500を設置するような場合に有用である。例えば、会議や講義等で資料を、より大きなスクリーン等に映し出す場合に有用である。
【0053】
人物撮影水平モードを検出すると、図11に示すように、映像データ制御部113は、魚眼レンズ100を介して取得した円形の映像610を方形の映像610’へ変換する補正を行う。この際、映像データ制御部113は、映像610の垂直方向の中心から垂直方向に所定幅で、円周方向に沿った部分を映像610’として歪み補正して出力する。これにより、映像610で歪んだ人物映像611〜615が、歪み補正された人物映像611’〜615’として出力される。この結果、各人物が歪んでいない映像が出力される。このような人物撮影水平モードは、例えば、会議中の会議者映像の取得等に有用である。さらには、上述のような寸法であることから、比較的小さく目立たないので、防犯カメラとして使用することもできる。また、さらには、カメラを別体化できるので、携帯性に優れるので、接続するPC(パーソナル・コンピュータ)等さえ用意できれば、どこでも使用可能な携帯性防犯カメラとして、利用することもできる。
【0054】
全周囲撮影モードを検出すると、図12に示すように、映像データ制御部113は、魚眼レンズ100を介して取得した円形の映像640を方形の映像640’へ変換する補正を行う。この際、映像データ制御部113は、映像640の中央部を除き、周辺部のみを切り取って映像640’として歪み補正して出力する。これにより、映像640で歪んだ人物映像641〜644が、歪み補正された人物映像641’〜644’として出力される。この結果、各人物が歪んでいない映像が出力される。
【0055】
さらに、自由撮影モードを検出すると、既知の方法で、魚眼レンズ100を介して歪んだ映像を、通常の広角レンズ等で撮影した映像に補正して出力する。
【0056】
入出力部114はUSBポート141、V−OUT142、および、MIC−IN143を備える。USBポート141を介してPC等の情報処理装置から出力制御を受け付けると、入出力部114は、USBポート141を介して、補正した映像データを出力する。一方、USBポート141に外部の情報処理装置が接続されていないか、V−OUT142からの出力が選択されていれば、入出力部114は、補正した映像データをNTSC形式やPAL形式に変換してなるアナログビデオ信号をV−OUT142を介して、出力する。また、MIC−IN143は、音声ケーブルが接続され、外部のマイク等から音声信号が供給されると、映像データ制御部113へ音声データを出力する。
【0057】
このような構成および処理により、カメラ1は検出した撮影モードに応じて最適な映像を出力することができる。この際、カメラ1の姿勢検出スイッチ121,122により、自動で撮影モードが検出されるので、ユーザがカメラ1の使用状態を気にすることなく、最適な映像を得ることができる。
【0058】
なお、前述の各撮影モードでの映像補正方法は一例であり、他の補正方法を各撮影モードに割り当てても良い。この場合、各撮影モードに対する補正方法は、USB接続されるPC等により、書き換えが可能であり、書き換えた内容に応じて映像補正を行う。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態のカメラシステムにおけるカメラ1を保持部材2に固定した状態での各態様(人物撮影水平モード)の構造を示す外観図である。
【図2】本実施形態のカメラシステムにおけるカメラ1を保持部材2に固定した状態での各態様(書画撮影モード)の構造を示す外観図である。
【図3】本実施形態のカメラシステムにおけるカメラ1を保持部材2に固定した状態での各態様(全周囲撮影モード)の構造を示す外観図である。
【図4】支持軸3の外観斜視図で、および、支持軸3の正面図(保持部材2側から見た図)である。
【図5】保持部材2をそれぞれ正面側、背面側見た外観斜視図、および、保持部材2の正面図(支持部材3側から見た図)である。
【図6】カメラ1の外観斜視図である。
【図7】支持軸3と保持部材2との嵌め合い状態を示す図である。
【図8】支持軸3、保持部材2、カメラ1の各嵌め合い状態を示す図である。
【図9】カメラ1の機能ブロック図である。
【図10】書画撮影モードでの補正の概念を表した図である。
【図11】人物撮影水平モードでの補正の概念を表した図である。
【図12】全周囲撮影モードでの補正の概念を表した図である。
【符号の説明】
【0060】
1−カメラ、10−カメラ1の筐体、11−嵌め合い用フランジ、13−固定用ボタン、131−固定用突起部、132−スプリング、100−魚眼レンズ、121,122−姿勢検出スイッチ、111−受光素子、112−映像取得部、113−映像データ制御部、114−入出力部、141−USBポート、142−V−OUT端子、143−MIC−IN端子、
2−保持部材、20−保持部材2の筐体、200−支持軸側面、201−円形筐体、202−扇形部、21−嵌め合い用フランジ部、22−嵌合用凸部、23−位置決め用突起、24−カメラ固定用凹部、25−キャップ、26−ネジ、27−スプリング、
3−支持軸、30−主体、31−嵌合用凹部、32−ホルダ位置決め部、321,322,323−ホルダ位置決め凹部、331,332−スイッチ押圧突起、34−ストッパ
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラシステム、特に複数の使用態様が可能なカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の使用態様が可能なカメラとして、書類を撮像する書画撮像機能と、人物を通常のスチールカメラのように撮像する人物撮像機能との二つの機能を有するカメラが各種考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、撮影対象である原稿が設置された鉛直下方向と水平方向との二方向に撮影方向を切り替え可能な書画カメラが開示されている。
【0004】
また、特許文献2は、書画/人物兼用のカメラを備え、着信を検出すると人物方向に撮影方向を切り替えるテレビ電話システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3は、通常のデジタルスチールカメラであって、書画モードとノーマルモードとを備え、書画モード時に書画撮影専用の映像処理を行うものである。
【特許文献1】特開2003−348385公報
【特許文献2】特開平8−265716号公報
【特許文献3】特開2005−311925公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のカメラシステムでは、書画モードと人物撮影モードとの二つの使用態様にしか対応することができない。また、特許文献1および特許文献2に示したカメラシステムでは、大がかりな装置にカメラが装着されており、自由に持ち歩いたりすることが容易ではなかった。一方で、特許文献3に示したカメラは、通常のデジタルスチールカメラであり、書画撮影モードは備えられているものの、書画用に固定して撮影する機構を備えておらず、カメラを書画撮影用に固定することは容易ではなかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、近接した書類等を撮影する書画撮影モードと、その他の汎用性の複数の撮影モードとを、容易に且つ確実に切り替え、それぞれのモードに応じた画像や映像を取得することができるカメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、映像を取得するカメラと、該カメラを着脱可能に保持するカメラ保持部材と、該カメラ保持部材に保持されたカメラが設置場所に対して予め設定された位置になる態様でカメラ保持部材を支持する支持軸部材と、を備えたカメラシステムに関するものである。
そして、この発明では、カメラ保持部材と支持軸部材とカメラとのそれぞれに、次に示す特徴を有する。
【0009】
カメラ保持部材は、支持軸部材に対して回動可能に設置される。この際、カメラのカメラ保持部材に対面する側の面が支持軸部材に対して離間する態様でカメラが保持される。
【0010】
支持軸部材は、カメラに略当接する形状からなる突起部が複数形成されている。これらの複数の突起部は、支持軸部材のカメラ保持部材に対面する側の面におけるカメラ保持部材の回動中心から所定半径の円周上に配列して形成されている。
【0011】
カメラは、カメラ保持部材に対面する側の面の円周に対応する位置に複数の姿勢検出スイッチを備える。これら複数の姿勢検出スイッチは、カメラの回動に応じて複数の突起部に対する接し方の組み合わせが異なる。
【0012】
さらに、カメラは、複数の姿勢検出スイッチの複数の突起部に対する接し方の組み合わせにより、回動による複数の姿勢またはカメラ保持部材からの脱離状態を検出する。そして、カメラは、各姿勢または脱離状態で異なる映像仕様の映像取得を行う。
【0013】
この構成では、カメラはカメラ保持部材に装着することで、一定位置での固定が可能である。例えば、原稿が置かれているテーブルから所定距離上方の位置に固定され、原稿を撮影することができる。さらに、カメラをカメラ保持部材に装着した場合は、カメラ保持部材によりカメラが回動するので、位置固定されたままで複数の姿勢を実現でき、固定位置から複数の方向を撮影することが可能である。例えば、テーブルに対して固定された位置で、テーブル上の原稿や、テーブル周辺の状況や、テーブルから上方を撮影することができる。また、カメラは、カメラ保持部材から脱離させることで、自由な持ち運びが可能である。例えば、ユーザがカメラを手で持って自由に移動して撮影することができる。
【0014】
このようなカメラの脱離状態を含む各姿勢は、支持軸部材に取り付けられた複数の突起部が、カメラに取り付けられた複数の姿勢検出スイッチに接触するか接触しないかの組み合わせにより検出される。例えば、カメラが脱離されている状態では、複数の姿勢検出スイッチの全てが突起部に接触しないので、全ての姿勢検出スイッチがオフとなる。また、回動位置によって、複数の姿勢検出スイッチが複数の突起部にそれぞれ当たる組み合わせが異なるので、それぞれの組み合わせにより、複数の姿勢検出スイッチのオン/オフの組み合わせが変化する。このような姿勢検出スイッチのオン/オフの組み合わせにより、脱離状態および姿勢が検出される。そして、カメラは、姿勢を検出して各姿勢に応じた使用態様を選択し、態様毎に適切な映像処理を行う。
【0015】
また、この発明のカメラシステムのカメラは、魚眼レンズを備える。そして、カメラは、魚眼レンズを介して映像を取得し、取得した映像に対して、姿勢または脱離状態に応じて異なる映像補正を行う。
【0016】
この構成では、魚眼レンズを用いて撮影され、撮影された映像が姿勢または脱離状態に応じて補正される。魚眼レンズを用いることで、例えば、カメラから前方側の領域の全周囲が撮影範囲となるように撮影範囲が広くなるが、通常のビデオカメラやスチールカメラに利用されるレンズを用いた場合よりも像が歪む。しかしながら、姿勢または脱離状態に応じた映像補正が行われることで歪みは解消されるので、撮影範囲が広いことで、より多種多様な映像の取り扱いが可能となる。したがって、姿勢や脱離状態のそれぞれで適した映像を取得しやすくなる。
【0017】
また、この発明のカメラシステムの支持軸部材は、カメラ保持部材に対面する側の面の円周上に、複数の姿勢に対応した複数の位置にそれぞれ凹部が形成されている。一方、カメラ保持部材は、支持軸部材側の円周に対応する位置に、複数の姿勢のそれぞれで凹部のいずれかに嵌合する突起部が形成されている。
【0018】
この構成では、カメラ保持部材の突起部が、支持軸部材の複数の凹部に嵌合することで位置決めが行われる。この際、各凹部は、カメラの取り得る姿勢毎に設けられているので、突起部がいずれかの凹部に嵌合することで、カメラは、嵌合した凹部に応じた姿勢で固定される。これにより、容易且つ確実に所望とする姿勢にカメラをセットすることができる。
【0019】
また、この発明のカメラシステムは、支持軸部材とカメラ保持部材とを離間可能な状態で且つ互いに密着させる方向に付勢する付勢手段が備えられている。
【0020】
この構成では、カメラ保持部材と支持軸部材とが常に付勢されているので、上述のようにカメラ保持部材の突起部が支持軸部材の凹部に嵌合していれば、簡単には突起部が凹部からはずれて、カメラが回動することがない。一方で、支持軸部材とカメラ保持部材とが外力により離間可能な程度で付勢されていることで、カメラの姿勢を換えたい場合には、ユーザがカメラ保持部材に固定されたカメラを支持軸部材から引き離すようにして回動させることで、カメラの回動が容易に可能となる。
【0021】
また、この発明のカメラシステムの支持軸部材は、カメラ保持部材が複数の姿勢による回動の範囲を超える場合に、カメラ保持部材に接触して回動を抑止する回動抑止用突起が備えられている。
【0022】
この構成では、ユーザがカメラを回動させようとして回しても、回動範囲の境界位置で回動抑止用突起によりカメラの回動が妨げられる、これにより、不必要な回動を防止でき、さらにはこの不必要な回動により破損・故障を予防することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、カメラが一定の位置に固定され、複数の方位をそれぞれに撮影することができる複数の態様や、カメラを自由に持ち運びできる態様を容易に実現し、これら複数の態様に応じて最適な映像を取得し得るカメラシステムを、簡素且つ容易な構成や使用方法で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施形態のカメラシステムについて図を参照して説明する。
図1〜図3は、本実施形態のカメラシステムにおけるカメラ1を保持部材2に固定した状態での各態様の構造を示す外観図であり、(A)が側面図、(B)が正面図である。
図4(A)は支持軸3の外観斜視図であり、(B)は正面図(保持部材2側から見た図)である。
図5(A)、(B)は保持部材2をそれぞれ正面側、背面側から見た外観斜視図、(C)は保持部材2の正面図(支持部材3側から見た図)である。
図6はカメラ1の外観斜視図である。
図7は支持軸3と保持部材2との嵌め合い状態を示す図であり、(A)が保持部材2側から見た外観斜視図であり、(B)が支持軸3側から見た組み立て透視図であり、(C)が嵌め合い方向に対して垂直な方向から見た組み立て断面概念図である。
図8は支持軸3、保持部材2、カメラ1の各嵌め合い状態を示す図であり、(A)が支持軸3側から見た組み立て透視図であり、(B)が嵌め合い方向に対して垂直な方向から見た組み立て断面概念図である。
【0025】
本実施形態のカメラシステムは、カメラ1、保持部材2、支持軸3、台4を備える。
台4は、会議テーブル等のカメラシステムを配置するテーブルの天面に設置されたベース部40と、支持軸3と接続する接続部41とからなる。接続部41は、支持軸3の主体30を回動可能に支持し、支持軸3の主体30の伸延する方向が、ベース部材40の天面設置面に対して所定角となるように支持する構造からなる。このような構造により、支持軸3はベース部材40に対して所定角に設置され、支持軸3の主体30の台4と対向する側の端部、すなわち、保持部材2に接続する側の端部は、テーブルの天面に対して所定の高さ位置となる。なお、支持軸3は接続部41を中心にベース部材40方向へ回動させることで、ベース部材40に当接する状態までたたむことができる。これにより、搬送時や収納時に省スペース化することができる。
【0026】
支持軸3、保持部材2、カメラ1の構造および構成の詳細は後述し、ここでは、これら支持軸3、保持部材2、カメラ1の接続関係および動作を概略的に説明する。
【0027】
支持軸3の主体30は、伸延方向に垂直な断面が略楕円形状からなる。主体30の台4と対向する側の端部には、保持部材2が支持軸3に対して回動可能に設置されている。保持部材2は、断面が略楕円形状の主体30に対して、伸延方向と鉛直方向とを含む平面を回動面とするように設置されている。保持部材2には、カメラ1が着脱可能に設置されており、カメラ1は装着された状態では保持部材2に対して位置が固定される。この際、カメラ1は、カメラ1の撮影方向が前述の回動面に平行な方向となるように設置される。これにより、カメラ1は支持軸3に対して回動可能に設置され、カメラ1の撮影方向もカメラ1の回動に伴って変化する。
【0028】
このような回動は、保持部材2に設置された位置決め用突起23が回動する角度に応じて、支持軸3に設置された複数のホルダ位置決め凹部321〜323のいずれかに嵌合することで、複数位置で固定される。例えば、図1〜図3に示すように、カメラ1の正面が鉛直下方向、水平方向、鉛直上方向になるように固定される。これにより、カメラ1は、それぞれの位置に応じた方向からの映像を取得することができる。この際、カメラ1には、姿勢検出スイッチ121,122が設置されており、これら姿勢検出スイッチ121,122と、支持軸3に形成されたスイッチ押圧突起331,332との接触状態により、撮影方向を検出する。カメラ1は、検出した撮影方向毎に撮影モードを設定しており、撮影モード毎に固有の映像補正を行って出力する。
【0029】
具体的には、図8に示すように姿勢検出スイッチ121とスイッチ押圧突起332とが接触し、姿勢検出スイッチ122とスイッチ押圧突起331とが接触し、姿勢検出スイッチ121、122がともにオン状態になる場合(図1の状態)には、カメラ1は水平方向撮影モード(人物撮影モード)と検出する。この状態からカメラ1を回転させ、姿勢検出スイッチ121とスイッチ押圧突起331とが接触し、姿勢検出スイッチ121のみがオン状態になる場合(図2の状態)には、カメラ1は、鉛直下方向撮影モード(書画撮影水平モード)と検出する。さらに、この状態からカメラ1を回転させ、姿勢検出スイッチ122とスイッチ押圧突起332とが接触し、姿勢検出スイッチ122のみがオン状態になる場合(図3の状態)には、カメラ1は鉛直上方向撮影モード(全周囲撮影モード)と検出する。また、カメラ1は、保持部材2すなわち支持軸3から取り外すことができるので、取り外れされると、二つの姿勢検出スイッチ121,122はともにオフ状態になる。この場合、カメラ1は、自由撮影モードを検出する。
【0030】
カメラ1は、各撮影モードを検出すると、モードに応じて、取得した映像の補正を行う。例えば、カメラ1は、書画撮影モードであれば、魚眼レンズ100を介して取得した原稿の映像の歪みを補正して出力し、人物撮影水平モードであれば、魚眼レンズ100を介して取得した各人物の映像の歪みを補正して出力する。さらに、カメラ1は、全周囲撮影モードであれば、魚眼レンズ100を介して取得した全周囲の映像を平面上に投射して出力し、自由撮影モードであれば、魚眼レンズ100を介して取得した映像を、通常のデジタルビデオカメラやスチールカメラで撮影したように補正して出力する。
【0031】
このような構成とすることで、本実施形態のカメラシステムでは、支持軸3に対して回動可能に設置された状態でのカメラ1の複数の姿勢や、支持軸3から取り外された状態を、簡素なスイッチ構造により検出することができる。さらに、検出した複数の姿勢や脱離状態毎に応じて適当な映像補正を行うことで、ユーザがカメラの姿勢や脱離状態を意識することなく、最適な映像を出力することができる。
【0032】
なお、本実施形態のカメラシステムは、上述のように簡素な構造で実現できるので、カメラ1の最長の外形部が100mm以下、支持軸3が250mm程度、台4の最長の外形部が200mm以下となる形状で形成することが可能である。従って、設置が簡単で、場所を取らず、さらには携帯性にも優れる。これにより、単に一箇所に設置したままでの利用ではなく、持ち運んで必要なところで利用することができる。すなわち、多様モードのそれぞれで最適な映像が取得できるカメラシステムを、幅広い用途で利用することができる。
【0033】
次に、各部の詳細な構成の説明を行う。
【0034】
(A)支持軸3(図4参照)
支持軸3の主体30の伸延方向の台4と対向する側の端部には、保持部材2の設置側から見て略円形の円板部39が形成されており、円板部39の保持部材2側から見た中心(説明の簡略化のため、「円板視側中心」と称する。)には、所定半径で内壁面の断面が円形からなる嵌合用凹部31が形成されている。
【0035】
円板部39における嵌合用凹部31の外周側には、前記円板視側中心を形成の中心点として略180度に扇形状で広がり、半径方向に所定幅を有するホルダ位置決め部32が形成されており、当該ホルダ位置決め部32は、円板部39の保持部材2側の面から隆起し、その表面が平坦になるように形成されている。
【0036】
ホルダ位置決め部32の円周方向の両端には、平坦化された表面から凹む形状でホルダ位置決め凹部321,323が設けられており、さらに、円周方向に沿った略中点にもホルダ位置決め凹部322が設けられている。すなわち、ホルダ位置決め部32の表面には、円板視側中心を基準にして、略90度間隔で三つのホルダ位置決め凹部321,322,323が設けられている。これらの凹部は、断面が円弧状となる形状で設けられている。
【0037】
円板部39のホルダ位置決め部32と略同じ円周上には、ホルダ位置決め部32の円周方向の両端の近傍に、円板部39から保持部材2側に突起するストッパ34がそれぞれ形成されている。これらのストッパ34は、後述する保持部材2が回動する際に、ホルダ位置決め凹部321〜323のいずれかに嵌合する位置決め用突起23が形成された扇形部202が所定の回動量まで達すると、当該扇形部202の円周方向端面に当接するように設置されており、この当接により不必要な回動が防止される。
【0038】
さらに、円板部39のホルダ位置決め部32およびストッパ34と略同じ円周上に、円板部39から保持部材2側に突起するスイッチ押圧突起331,332が形成されている。スイッチ押圧突起331,332は、各ストッパ34に近接し、各ストッパ34に対してホルダ位置決め部32と反対側に配置される。この際、スイッチ押圧突起331がホルダ位置決め凹部323側となり、スイッチ押圧突起332がホルダ位置決め凹部321側となるように形成されている。これらスイッチ押圧突起331,332は、円板視側中心を基準にして略90度間隔となるように形成されており、スイッチ押圧突起331とホルダ位置決め凹部323とが略45度間隔、スイッチ押圧突起332とホルダ位置決め凹部321とが略45度間隔となるように形成されている。スイッチ押圧突起331,332は、円周方向に沿って、中央に一定の高さからなる平坦な天面を有する中央部分と、該中央部分に向けて徐々に高さが高くなる両端部とが一体形成された形状からなる。スイッチ押圧突起331,332の中央部分の高さは、後述するカメラ1の姿勢検出スイッチ121,122が、中央部に達した際に、確実にオンとなる高さに設定されている。すなわち、姿勢検出スイッチ121,122が押し込まれてスイッチオン状態になるまでのストロークと、カメラ1の姿勢検出スイッチ121,122から支持軸3の円板部39の表面までの距離とにより設定される。さらに、スイッチ押圧突起331,332は、円周方向に沿って、徐々に高さが高くなり、一定し、徐々に低くなる構造であるので、後述するカメラ1の姿勢検出スイッチ121,122が円周方向に移動する場合に、スイッチ押圧突起331,332の天面を継続的に滑らかに移動する。これにより、カメラ1の姿勢検出スイッチ121,122が支持軸3のスイッチ押圧突起331,332に当たることによって生じるカメラ1の回動の不連続さを防止し、ユーザは速やかで簡単にカメラ1を回動させることができる。
【0039】
(B)保持部材(図5参照)
保持部材2は、所定厚みからなる円形筐体201と扇形筐体202とからなる筐体20
を有する。扇形筐体202は、円形筐体201の円周面から、当該円周面に垂直な方向へ突起した形状からなり、円形筐体201側が扇形の中心となる形状で形成されている。
【0040】
円形筐体201の一方の円形面(組み立て状態で支持軸3側となる面)には、円板視側から見た中心を、形成の中心として当該一方の円形面から突起した円柱状の嵌合用凸部22が形成されている。この嵌合用凸部22は、前述の支持軸3の嵌合用凹部31に嵌合する形状からなる。円形筐体201の他方の円形面(組み立て状態でカメラ1側となる面)には、前記形成の中心に基づいて凹状の嵌め合いフランジ部21が形成されている。この嵌め合いフランジ部21は、後述するカメラ1の嵌め合いフランジ11と嵌め合わさる形状で形成されている。
【0041】
扇形筐体202における円形筐体201の一方の円形面と同じ側の面((組み立て状態で支持軸3側となる面)には、半円柱状の位置決め用突起23が形成されている。位置決め用突起23は、半円形面が扇形筐体202の伸びる方向(扇形の中心から放射方向)にそれぞれ位置するように形成されている。この際、位置決め用突起23は、保持部材2と支持軸3とを組み付けた状態で、支持軸3のホルダ位置決め凹部321〜323に嵌合する位置に形成されている。具体的には、支持軸3の円板部39の円板視側中心に対するホルダ位置決め凹部321〜323の設置距離と、保持部材2の円形筐体201の円形面から見た中心に対する位置決め用突起23の設置距離とが一致するように形成されている。
【0042】
扇形筐体202における円形筐体201の他方の円形面と同じ面(組み立て状態でカメラ1側となる面)には、カメラ固定用凹部24が形成されている。
また、扇形筐体202は、広がった側の端部の厚みが、当該広がった側の端部から中心方向へ所定長さに亘り、薄く形成されている。
【0043】
(C)支持軸3と保持部材2との組み付け構造(図7参照)
保持部材2の嵌合用凸部22は、支持軸3の嵌合用凹部31に嵌合される。支持軸3の内部で、嵌合用凹部31の壁面の外周側には、スプリング27が設置されている。また、支持軸3の内部において、嵌合用凸部22の端面には、スプリング27も含んで覆うキャップ25が設置されており、キャップ25は、嵌合用凸部22の端面にネジ26により固定されている。この際、キャップ25は、支持軸3の円板部39の保持部材2側の内壁面とキャップ25とによりスプリング27を圧縮するように設置される。さらに、支持軸3の嵌合用凹部31における嵌合用凸部22が挿入される方向の内壁の高さは、嵌合用凸部22が完全に嵌合された状態で、内壁がキャップ25に達しない高さで形成されている。この構造により、保持部材2は、支持軸3に対して常時当接するようにスプリング27から付勢力が与えられるが、ユーザ等からの外力により、キャップ25と嵌合用凹部31の内壁との間隔分だけ嵌合方向に移動できる構造となる。
【0044】
これにより、保持部材2の位置決め用突起23が支持軸3のホルダ位置決め凹部321〜323のいずれかに嵌合した状態では、新たな外力が与えられない限り、嵌合状態が維持され、カメラ1の姿勢が保持される。一方で、ユーザにより保持部材2を支持軸3から離間するように力が与えられると、キャップ25と嵌合用凹部31の内壁との間隔分だけ、保持部材2が支持軸3から離間させて、保持部材2を支持軸3に対して回動させることができる。そして、ホルダ位置決め凹部321〜323が略90度間隔で設置されていることで、保持部材2の回動により、保持部材2を支持軸3に対してそれぞれ略90度ずつ異なる三つの姿勢で固定させることができる。さらに、保持部材2は、これらの姿勢を含む回動範囲の両端に達すると支持軸3に形成されたストッパ34に扇形筐体202の側面が当接するので、さらなる回動が抑止される。これにより、保持部材2の不要な回動を防止することができる。
【0045】
(D)カメラ1(図6、図8および図9参照)
図9はカメラ1の機能ブロック図である。
(D−1)カメラ1およびカメラ1の組み付け構造
カメラ1の筐体10は、平板部102と、当該平板部の対向する主面(面積の大きな面)の一方に突起して形成された略楕円球形状の光学系保持部101とが、一体形成されてなる。光学系保持部101には、魚眼レンズ100を含む光学系の機能部が内部に形成されている。魚眼レンズ100は、平板部102の主面に平行に光学系の軸が設定されるように設置されている。
【0046】
平板部102の他方の主面には、略円柱状に突起する嵌合用フランジ11が形成されている。嵌合用フランジ11は、保持部材2の嵌合用フランジ21に嵌め合わさる形状からなり、その中心には、汎用三脚に装着可能な形状からなるタップが形成されている。
【0047】
また、平板部102の他方の主面には、嵌合用フランジ11の中心を設置の中心として、姿勢検出スイッチ121,122が設置されている。姿勢検出スイッチ121,122は押圧スイッチであり、平板部102から突出した部分が、所定量押し込まれることでオン状態となるスイッチである。これら姿勢検出スイッチ121,122は、前記設置の中心から一定距離の円周上に、略90度の間隔で設置されており、前述の支持軸3のスイッチ押圧突起331,332との接触の組み合わせで、前述の三つの姿勢が検出できる位置に設置されている。
【0048】
また、平板部102の他方の主面には、固定用突起部131を有する固定用ボタン13が設置されている。固定用突起部131は、嵌合用フランジ11,21を嵌め合わせることにより保持部材2とカメラ1とを組み付けた状態で、保持部材2のカメラ固定用凹部24に嵌合する位置に形成されている。固定用ボタン13は、平板部102内に設置されたスプリング132により、平板部102の内部から他方の主面方向へ外部に向かう付勢力が与えられており、外方からユーザ等により押されると、平板部102の内側に押し込まれる構造からなる。
【0049】
このような構造のカメラ1と保持部材2とは、次の手順で装着される。
まず、ユーザは、カメラ1を持ち、カメラ1を保持部材2に近接させる。この際、カメラ1の嵌合用フランジ11の爪と保持部材2の嵌合用フランジ21の爪とが接触しないように近接させる。この際、カメラ1の固定用ボタン13と保持部材2の扇形筐体202とも接触していない。次に、ユーザは、カメラ1の固定用ボタン13をカメラ1の平板部102側に押し込んだ状態でカメラ1を回転させて、嵌合用フランジ11と嵌合用フランジ21とを嵌め合わせる。この状態で、固定用ボタン13の固定用突起部131と、保持部材2のカメラ固定用凹部24とが略対向する位置になる。ユーザは、固定用ボタン13の押圧を解除する。この解除により、固定用ボタン13が平板部102の内側から外方に突出し、固定用突起部131とカメラ固定用凹部24とが嵌合する。これにより、カメラ1と保持部材2とが固定され、カメラ1が支持軸3に対して回動可能に設置される。
【0050】
(D−2)カメラ1の機能
また、カメラ1は、機能部として光学系および電子回路により、受光素子111、映像取得部112、映像データ制御部113、入出力部114を備える。
受光素子111は、魚眼レンズ100を含む光学系を介して受光し、光電気信号を生成して映像取得部112へ出力する。映像取得部112は、取得した光電気信号に基づいて映像データを生成し、映像データ制御部113へ与える。映像データ制御部113は、姿勢検出スイッチ121,122のオン/オフの組み合わせを検出して、組み合わせに応じた撮影モードを選択する。撮影モードと映像補正とは、図示しない記憶部に予め記憶されており、映像データ制御部113は、撮影モードを検出すると、対応する映像補正処理を読み出して、実行する。映像データ制御部113は、補正した映像データを入出力部114へ出力する。
【0051】
補正の具体例として、次のようなものがある。
図10〜図12は各モードでの補正の概念を表した図であり、図10が書画撮影モードを示し、図11が人物撮影水平モード、図12が全周囲撮影モードを示す。
【0052】
書画撮影モードを検出すると、図10に示すように、映像データ制御部113は、魚眼レンズ100を介して取得した円形の映像680を方形の映像680’へ変換する補正を行う。これにより、円形に歪んでいた原稿の映像660が長方形状の原稿の映像660’に補正されて出力される。この結果、記載された文字が歪んでいない読みやすい原稿の映像が出力される。このような書画撮影モードでは、例えば、図2の二点鎖線に示すように、台4を覆う原稿台50を設置し、原稿台50の天面上に原稿500を設置するような場合に有用である。例えば、会議や講義等で資料を、より大きなスクリーン等に映し出す場合に有用である。
【0053】
人物撮影水平モードを検出すると、図11に示すように、映像データ制御部113は、魚眼レンズ100を介して取得した円形の映像610を方形の映像610’へ変換する補正を行う。この際、映像データ制御部113は、映像610の垂直方向の中心から垂直方向に所定幅で、円周方向に沿った部分を映像610’として歪み補正して出力する。これにより、映像610で歪んだ人物映像611〜615が、歪み補正された人物映像611’〜615’として出力される。この結果、各人物が歪んでいない映像が出力される。このような人物撮影水平モードは、例えば、会議中の会議者映像の取得等に有用である。さらには、上述のような寸法であることから、比較的小さく目立たないので、防犯カメラとして使用することもできる。また、さらには、カメラを別体化できるので、携帯性に優れるので、接続するPC(パーソナル・コンピュータ)等さえ用意できれば、どこでも使用可能な携帯性防犯カメラとして、利用することもできる。
【0054】
全周囲撮影モードを検出すると、図12に示すように、映像データ制御部113は、魚眼レンズ100を介して取得した円形の映像640を方形の映像640’へ変換する補正を行う。この際、映像データ制御部113は、映像640の中央部を除き、周辺部のみを切り取って映像640’として歪み補正して出力する。これにより、映像640で歪んだ人物映像641〜644が、歪み補正された人物映像641’〜644’として出力される。この結果、各人物が歪んでいない映像が出力される。
【0055】
さらに、自由撮影モードを検出すると、既知の方法で、魚眼レンズ100を介して歪んだ映像を、通常の広角レンズ等で撮影した映像に補正して出力する。
【0056】
入出力部114はUSBポート141、V−OUT142、および、MIC−IN143を備える。USBポート141を介してPC等の情報処理装置から出力制御を受け付けると、入出力部114は、USBポート141を介して、補正した映像データを出力する。一方、USBポート141に外部の情報処理装置が接続されていないか、V−OUT142からの出力が選択されていれば、入出力部114は、補正した映像データをNTSC形式やPAL形式に変換してなるアナログビデオ信号をV−OUT142を介して、出力する。また、MIC−IN143は、音声ケーブルが接続され、外部のマイク等から音声信号が供給されると、映像データ制御部113へ音声データを出力する。
【0057】
このような構成および処理により、カメラ1は検出した撮影モードに応じて最適な映像を出力することができる。この際、カメラ1の姿勢検出スイッチ121,122により、自動で撮影モードが検出されるので、ユーザがカメラ1の使用状態を気にすることなく、最適な映像を得ることができる。
【0058】
なお、前述の各撮影モードでの映像補正方法は一例であり、他の補正方法を各撮影モードに割り当てても良い。この場合、各撮影モードに対する補正方法は、USB接続されるPC等により、書き換えが可能であり、書き換えた内容に応じて映像補正を行う。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態のカメラシステムにおけるカメラ1を保持部材2に固定した状態での各態様(人物撮影水平モード)の構造を示す外観図である。
【図2】本実施形態のカメラシステムにおけるカメラ1を保持部材2に固定した状態での各態様(書画撮影モード)の構造を示す外観図である。
【図3】本実施形態のカメラシステムにおけるカメラ1を保持部材2に固定した状態での各態様(全周囲撮影モード)の構造を示す外観図である。
【図4】支持軸3の外観斜視図で、および、支持軸3の正面図(保持部材2側から見た図)である。
【図5】保持部材2をそれぞれ正面側、背面側見た外観斜視図、および、保持部材2の正面図(支持部材3側から見た図)である。
【図6】カメラ1の外観斜視図である。
【図7】支持軸3と保持部材2との嵌め合い状態を示す図である。
【図8】支持軸3、保持部材2、カメラ1の各嵌め合い状態を示す図である。
【図9】カメラ1の機能ブロック図である。
【図10】書画撮影モードでの補正の概念を表した図である。
【図11】人物撮影水平モードでの補正の概念を表した図である。
【図12】全周囲撮影モードでの補正の概念を表した図である。
【符号の説明】
【0060】
1−カメラ、10−カメラ1の筐体、11−嵌め合い用フランジ、13−固定用ボタン、131−固定用突起部、132−スプリング、100−魚眼レンズ、121,122−姿勢検出スイッチ、111−受光素子、112−映像取得部、113−映像データ制御部、114−入出力部、141−USBポート、142−V−OUT端子、143−MIC−IN端子、
2−保持部材、20−保持部材2の筐体、200−支持軸側面、201−円形筐体、202−扇形部、21−嵌め合い用フランジ部、22−嵌合用凸部、23−位置決め用突起、24−カメラ固定用凹部、25−キャップ、26−ネジ、27−スプリング、
3−支持軸、30−主体、31−嵌合用凹部、32−ホルダ位置決め部、321,322,323−ホルダ位置決め凹部、331,332−スイッチ押圧突起、34−ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を取得するカメラと、
該カメラを着脱可能に保持するカメラ保持部材と、
該カメラ保持部材に保持された前記カメラが設置場所に対して予め設定された位置になる態様で前記カメラ保持部材を支持する支持軸部材と、
を備えたカメラシステムであって、
前記カメラ保持部材は、前記支持軸部材に対して回動可能に設置されるとともに、前記カメラのカメラ保持部材側面が前記支持軸部材に対して離間する態様で前記カメラを保持し、
前記支持軸部材の前記カメラ保持部材の回動中心から所定半径の円周に、前記カメラに略当接する形状からなる突起部を複数形成し、
前記カメラのカメラ保持部材側面の前記円周に対応する位置に、前記カメラの回動に応じて前記複数の突起部に対する接し方が異なる組み合わせとなる複数の姿勢検出スイッチを備え、
前記カメラは、前記複数の姿勢検出スイッチの前記複数の突起部に対する接し方の組み合わせにより、回動による複数の姿勢またはカメラ保持部材からの脱離状態を検出し、各姿勢または脱離状態で異なる映像仕様の映像取得を行う、
カメラシステム。
【請求項2】
前記カメラは、魚眼レンズを備え、該魚眼レンズを介して映像を取得し、取得した映像を前記姿勢または前記脱離状態に応じて異なる映像補正を行う、
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記支持軸部材の前記カメラ保持部材側の前記円周上には、前記複数の姿勢に対応した複数の位置にそれぞれ凹部が形成され、
前記カメラ保持部材の前記支持軸部材側の前記円周に対応する位置には、前記複数の姿勢のそれぞれで前記凹部のいずれかに嵌合する突起部が形成されている、
請求項1または請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記支持軸部材と前記カメラ保持部材とが、離間可能な状態で且つ互いに密着させる方向に付勢する付勢手段を備えた、
請求項3に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記支持軸部材は、前記カメラ保持部材が前記複数の姿勢による回動の範囲を超える場合に、前記カメラ保持部材に接触して回動を抑止する回動抑止用突起を備えた、
請求項1〜4のいずれかに記載のカメラシステム。
【請求項1】
映像を取得するカメラと、
該カメラを着脱可能に保持するカメラ保持部材と、
該カメラ保持部材に保持された前記カメラが設置場所に対して予め設定された位置になる態様で前記カメラ保持部材を支持する支持軸部材と、
を備えたカメラシステムであって、
前記カメラ保持部材は、前記支持軸部材に対して回動可能に設置されるとともに、前記カメラのカメラ保持部材側面が前記支持軸部材に対して離間する態様で前記カメラを保持し、
前記支持軸部材の前記カメラ保持部材の回動中心から所定半径の円周に、前記カメラに略当接する形状からなる突起部を複数形成し、
前記カメラのカメラ保持部材側面の前記円周に対応する位置に、前記カメラの回動に応じて前記複数の突起部に対する接し方が異なる組み合わせとなる複数の姿勢検出スイッチを備え、
前記カメラは、前記複数の姿勢検出スイッチの前記複数の突起部に対する接し方の組み合わせにより、回動による複数の姿勢またはカメラ保持部材からの脱離状態を検出し、各姿勢または脱離状態で異なる映像仕様の映像取得を行う、
カメラシステム。
【請求項2】
前記カメラは、魚眼レンズを備え、該魚眼レンズを介して映像を取得し、取得した映像を前記姿勢または前記脱離状態に応じて異なる映像補正を行う、
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記支持軸部材の前記カメラ保持部材側の前記円周上には、前記複数の姿勢に対応した複数の位置にそれぞれ凹部が形成され、
前記カメラ保持部材の前記支持軸部材側の前記円周に対応する位置には、前記複数の姿勢のそれぞれで前記凹部のいずれかに嵌合する突起部が形成されている、
請求項1または請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記支持軸部材と前記カメラ保持部材とが、離間可能な状態で且つ互いに密着させる方向に付勢する付勢手段を備えた、
請求項3に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記支持軸部材は、前記カメラ保持部材が前記複数の姿勢による回動の範囲を超える場合に、前記カメラ保持部材に接触して回動を抑止する回動抑止用突起を備えた、
請求項1〜4のいずれかに記載のカメラシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−15313(P2009−15313A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144133(P2008−144133)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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