説明

カメラ校正装置

【課題】周囲の景色によらずカメラの撮像方向を校正することができるカメラ校正装置を提供する。
【解決手段】イメージセンサ140を有するカメラ120と、イメージセンサ140と既知の位置関係にある加速度センサ150と、イメージセンサ140が静止しているときに加速度センサ150によって検知された傾きとイメージセンサ140が移動しているときに加速度センサ150によって検知された傾きとに基づいて、カメラ120の撮像方向を算出するカメラ校正部160とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ校正装置に関し、特に、カメラの撮像方向を校正するカメラ校正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載カメラ分野において、カメラによる監視や物体検出を行うため、カメラから見た撮像対象物の方向を求めることによってカメラの撮像方向を校正するカメラ校正装置が開発されている。
【0003】
例えば、カメラを車両に搭載して、車両走行のガイドラインを撮像画像上に描画するとき、路面とカメラとの位置関係を正確に求めるために、カメラの撮像方向を校正するカメラ校正が必要となる。
【0004】
このようなカメラ校正は、車両メーカの工場内でカメラを設置する場合には、工場内で行うことが可能であるが、ユーザが車両にカメラを設置する場合には、カメラ設置後に、ユーザが行う必要がある。
【0005】
このようなカメラ校正に対し、カメラの撮像方向を路面上の平行線から消失線を算出することによって、カメラ校正を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−329411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような従来の技術においては、平行線が撮像できないとカメラ校正を行うことができないため、周囲の景色によってはカメラの撮像方向を校正することができないといった課題があった。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、周囲の景色によらずカメラの撮像方向を校正することができるカメラ校正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカメラ校正装置は、イメージセンサを有するカメラと、前記イメージセンサと既知の位置関係にある加速度センサと、前記イメージセンサが静止しているときに前記加速度センサによって検知された傾きと前記イメージセンサが移動しているときに前記加速度センサによって検知された傾きとに基づいて、前記カメラの撮像方向を算出するカメラ校正部とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明のカメラ校正装置は、イメージセンサが静止しているときに加速度センサによって検知された傾きとイメージセンサが移動しているときに加速度センサによって検知された傾きとに基づいて、カメラの撮像方向を算出するため、周囲の景色によらずカメラの撮像方向を校正することができる。
【0011】
具体的には、前記カメラ校正部は、前記カメラの光学系中心点を原点とし、光軸をZ軸とし、走査方向をX軸とし、副走査方向をY軸としたカメラ座標系から、前記Z軸を鉛直方向に回転させた鉛直カメラ座標系に変換するための変換式のパラメータを算出することにより、前記カメラの撮像方向を算出する。
【0012】
また、前記カメラ校正部は、前記イメージセンサが静止しているときに、前記加速度センサを用いて前記鉛直方向を検出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、周囲の景色によらずカメラの撮像方向を校正することができるといった効果を有するカメラ校正装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカメラ校正装置を構成するカメラの構成図
【図2】本発明の一実施の形態に係るカメラ校正装置を構成するカメラの実装図
【図3】本発明の一実施の形態に係るカメラ校正装置と、カメラ校正装置を実装した車両と、世界座標系との関係を示す概念図
【図4】本発明の一実施の形態に係る鉛直カメラ座標系、直進時加速度ベクトルおよび静止時加速度ベクトルの関係を示す概念図
【図5】本発明の一実施の形態に係るカメラ座標系と鉛直カメラ座標系との関係を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施の形態としてのカメラ校正装置は、カメラ120によって構成されている。カメラ120は、レンズ130と、イメージセンサ140と、加速度センサ150と、カメラ校正部160とを備えている。
【0017】
図1において、加速度センサ150は、3次元の加速度を計測できる3次元加速度センサによって構成され、イメージセンサ140に対して3次元的に既知な位置関係でカメラ120に収納されている。
【0018】
カメラ校正部160は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を有するマイクロコンピュータによって構成されている。
【0019】
ROMには、当該マイクロコンピュータをカメラ校正部160として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該マイクロコンピュータは、カメラ校正部160として機能する。
【0020】
カメラ校正部160は、車両100が静止しているときに加速度センサ150によって検知された傾きと、車両100が直進しながら加減速しているときに加速度センサ150によって検知された傾きとに基づいて、カメラ120の撮像方向を算出するようになっている。
【0021】
ここで、カメラ校正部160は、カメラ120の外部、例えば、車両100本体に設けられた蛇角センサおよび車速センサに検知結果に基づいて、車両100が静止しているか否か、および、車両100が直進しながら加減速しているか否かを判断するようになっている。
【0022】
なお、カメラ校正部160は、車両100が移動しているときに、車両100の走行方向のなかで直進走行の割合が最も高いと仮定して、最も高い割合の方向を直進方向と判断するようにしてもよい。
【0023】
また、図1において、カメラ校正部160は、カメラ120の内部に設けられているように示されているが、カメラ120の外部に設けられていてもよい。
【0024】
図2に示すように、カメラ120は、車両100の後方を撮像するように車両100に設けられている。図3に示すように、カメラ120の直下の路面を世界座標系180の原点とする。世界座標系180は、車両100の長さ方向、すなわち、車両100の直進方向をY軸としてWyと表され、車両100の幅方向をX軸としてWxと表され、車両100の鉛直方向をZ軸としてWzと表されている。
【0025】
図4に示すように、カメラ座標系170は、カメラ120の光学系中心点としてのレンズ130の中心を原点とし、光軸方向をZ軸、走査方向をX軸、副走査方向をY軸とし、各X軸、Y軸、Z軸がCx、Cy、Czとして示されている。
【0026】
また、車両100が静止しているときに加速度センサ150によって検知される傾きを静止時加速度ベクトル270とし、車両100が直進しながら加減速しているときに加速度センサ150によって検知される傾きを直進時加速度ベクトル280とする。
【0027】
以下、カメラ校正部160について図4および図5を用いてその動作を説明する。
【0028】
図5に示すように、鉛直カメラ座標系230は、カメラ座標系170のZ軸Czを重力方向に一致させるように回転させた座標系である。鉛直カメラ座標系230は、各X軸、Y軸、Z軸がVx、Vy、Vzとして示されている。
【0029】
カメラ座標系170、静止時加速度ベクトル270および直進時加速度ベクトル280の関係は、図4に示した通りであり、車両100が静止しているときの加速度センサ150は、重力加速度を検知している。すなわち、カメラ校正部160は、車両100が静止しているときの加速度センサ150の検出結果によって重力の方向を検出することができる。
【0030】
ここで、車両100が静止しているときの加速度センサ150の3軸の値を単位ベクトルに正規化したベクトルを静止時加速度ベクトル270とし、鉛直カメラ座標系230に対するZ軸射影ベクトルを[数1]に示すベクトルで表す。
【0031】
【数1】

【0032】
また、Z軸射影ベクトルと直進時加速度ベクトル280との外積をとり、単位ベクトルとしたものを鉛直カメラ座標系230に対するX軸射影ベクトルとして[数2]に示すベクトルで表す。
【0033】
【数2】

【0034】
また、Z軸射影ベクトルとX軸射影ベクトルの外積をとったものを鉛直カメラ座標系230に対するY軸射影ベクトルとして[数3]に示すベクトルで表す。
【0035】
【数3】

【0036】
このような射影ベクトルをまとめると、カメラ座標系170から鉛直カメラ座標系230に変換する変換式は、[数4]に示すように表すことができる。
【0037】
【数4】

【0038】
このように、カメラ校正部160は、カメラ座標系170を鉛直カメラ座標系230に変換することができ、カメラ120の撮像方向を校正することができる。
【0039】
以上説明したように、本発明の一実施の形態としてのカメラ校正装置を構成するカメラ120は、イメージセンサ140が静止しているときに加速度センサ150によって検知された傾きとイメージセンサ140が移動しているときに加速度センサ150によって検知された傾きとに基づいて、カメラ120の撮像方向を算出するため、周囲の景色によらずカメラ120の撮像方向を校正することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかるカメラ校正装置は、周囲の景色によらずカメラの撮像方向を校正することができるという効果を有し、例えば、車載カメラの撮像方向を校正するカメラ校正装置等として有用である。
【符号の説明】
【0041】
100 車両
120 カメラ
130 レンズ
140 イメージセンサ
150 加速度センサ
160 カメラ校正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサを有するカメラと、
前記イメージセンサと既知の位置関係にある加速度センサと、
前記イメージセンサが静止しているときに前記加速度センサによって検知された傾きと前記イメージセンサが移動しているときに前記加速度センサによって検知された傾きとに基づいて、前記カメラの撮像方向を算出するカメラ校正部とを備えたカメラ校正装置。
【請求項2】
前記カメラ校正部は、前記カメラの光学系中心点を原点とし、光軸をZ軸とし、走査方向をX軸とし、副走査方向をY軸としたカメラ座標系から、前記Z軸を鉛直方向に回転させた鉛直カメラ座標系に変換するための変換式のパラメータを算出することにより、前記カメラの撮像方向を算出することを特徴とする請求項1に記載のカメラ校正装置。
【請求項3】
前記カメラ校正部は、前記イメージセンサが静止しているときに、前記加速度センサを用いて前記鉛直方向を検出することを特徴とする請求項2に記載のカメラ校正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−220850(P2011−220850A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90626(P2010−90626)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】