説明

クローラ走行車

【課題】作業を中断させることなくスピンターンスイッチ操作によってスピンターンの禁止及び許可の切換を行い、走行クローラの走行性能を路面条件に適応させて維持させる。
【解決手段】左右走行クローラを同一方向に同一速度で駆動する変速部材と、左右走行クローラの旋回用操向部材を設けるクローラ走行車において、操向ハンドルにスピンターンスイッチを設け、操向ハンドルを握る手で操作可能な範囲にスピンターンスイッチを配置させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行変速レバーの操作によって左右走行クローラの駆動速度を無段階に変更して車速を変速させると共に、操向ハンドルの操作によって左右走行クローラの駆動速度の差を無段階に変更して走行進路を変更させる技術がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし乍ら、操向ハンドルの操作により、旋回内側走行クローラを逆転させるスピンターン動作を行わせると、旋回半径が小さい方向転換を容易に行えるが、泥土層が多い路面ではスピンターン動作によって走行クローラの走行力が低下し、希望する方向の旋回移動を容易に行い得ない等の問題がある。また、走行路面条件によって走行クローラのスピンターン動作を人為的に禁止する場合、本機姿勢を水平に保つ水平制御を自動的に行うことにより、スピンターン動作の禁止及び許可操作を自動水平制御動作に対応して行って走行機能を維持する必要がある。また、左右走行クローラを駆動する変速部材及び操向部材を設ける場合、変速部材及び操向部材を変速レバー及び操向ハンドルにリンク機構を介して連結させて制御することにより、前記リンク機構などの操作構造の簡略化並びに変速及び操向などの走行機能の変更などを容易に行い得ない等の問題がある。
【0004】
また、操向ハンドルの操作によって左右走行クローラの回転が連続的に変化することにより、旋回内側走行クローラ回転が低下するブレーキターンと旋回内側走行クローラが逆転するスピンターンを容易に判別し得ず、超湿田などで走行クローラをスピンターン動作させて走行機能を低下させる不具合がある。また、変速部材または操向部材を油圧ポンプ及び油圧モータを用いた油圧無段変速機構によって形成することにより、油圧ポンプ及びモータの伝動損失によって走行クローラの駆動力が必要以下に低下する不具合がある。このように、走行変速及び旋回機能の向上並びに運転操作性の向上などを容易に図り得ない等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
然るに、本発明は、左右走行クローラを同一方向に同一速度で駆動する変速部材と、左右走行クローラの旋回用操向部材を設けるクローラ走行車において、操向ハンドルにスピンターンスイッチを設け、操向ハンドルを握る手で操作可能な範囲にスピンターンスイッチを配置させ、スピンターンスイッチ操作によって走行クローラのスピンターンを容易に阻止し得、作業を中断させることなくスピンターンスイッチ操作によってスピンターンの禁止及び許可の切換を行い得、走行クローラの走行性能を路面条件に適応させて維持し得るものである。
【0006】
また、操向ハンドルにスピンターンスイッチを設け、操向ハンドルを握る手で操作可能な範囲にスピンターンスイッチを配置させたもので、作業中に操向ハンドルを握って運転し乍らスピンターンスイッチを操作し得、走行クローラが沈下し易い泥土の多い場所でのスピンターンの禁止を緊急に行い得、運転操作性の向上などを容易に図り得るものである。
【0007】
また、変速レバーにスピンターンスイッチを設け、変速レバーを握る手で操作可能な範囲にスピンターンスイッチを配置させたもので、作業中に変速レバーを握って運転し乍らスピンターンスイッチを操作し得、走行クローラが沈下し易い泥土の多い場所でのスピンターンの禁止を緊急に行い得、運転操作性の向上などを容易に図り得るものである。
【0008】
また、本機の左右傾斜を検出する傾斜センサと、本機の対地高さを検出する対地高さセンサと、本機の左右傾斜及び対地高さを変更させるローリング部材を設け、スピンターンスイッチの切換操作によって本機を低位置または高位置に支持させてローリング部材制御が行われるように構成したもので、本機傾斜を自動的に修正する水平制御動作と走行クローラの旋回制御動作を走行路面条件に最適な状態に容易に設定し得、運転操作の簡略化並びに運転操作性の向上などを容易に図り得るものである。
【0009】
また、操向部材を操作する操向ハンドルの操作力を段階的に変化させるように構成したもので、左右走行クローラを同一方向に駆動するブレーキターン並びに旋回内側走行クローラを逆転させるスピンターンなどの切換え位置を操向ハンドル操作力の変化によって作業者が容易に認識し得、例えば走行性能が低下し易い軟弱泥土路面(湿田)でのスピンターンなどを容易に防止し得、運転操作性の向上などを容易に図り得るものである。
【0010】
また、操向部材のスピンターン動作領域の操向ハンドル操作によってエンジン出力を自動的に大きくするように構成したもので、走行クローラの走行負荷が増大する旋回時に走行クローラを安定して駆動し得、出力不足によるエンジン回転低下などを容易に防止し得、運転操作性の向上並びにエンジン等の耐久性向上などを容易に図り得るものである。
【発明の効果】
【0011】
以上実施例から明らかなように本発明は、左右走行クローラ(2)を同一方向に同一速度で駆動する変速部材(25)と、左右走行クローラ(2)の旋回用操向部材(28)を設けるクローラ走行車において、走行クローラ(2)の走行路面条件によって走行クローラ(2)のスピンターンを許可または禁止操作するスピンターンスイッチ(129)を設けたもので、スピンターンスイッチ(129)操作によって湿田などでの走行クローラ(2)のスピンターンを容易に阻止でき、作業を中断させることなくスピンターンスイッチ(129)操作によってスピンターンの禁止及び許可の切換を行うことができ、走行クローラ(2)の走行性能を路面条件に適応させて維持できるものである。
【0012】
また、操向ハンドル(19)にスピンターンスイッチ(129)を設け、操向ハンドル(19)を握る手で操作可能な範囲にスピンターンスイッチ(129)を配置させたもので、作業中に操向ハンドル(19)を握って運転し乍らスピンターンスイッチ(129)を操作でき、走行クローラ(2)が沈下し易い泥土の多い場所でのスピンターンの禁止を緊急に行うことができ、運転操作性の向上などを容易に図ることができるものである。
また、主変速レバー(73)に副スピンターンスイッチ(129a)を設け、主変速レバー(73)を握る手で操作可能な範囲に副スピンターンスイッチ(129a)を配置させたもので、作業中に主変速レバー(73)を握って運転し乍ら副スピンターンスイッチ(129a)を操作でき、走行クローラ(2)が沈下し易い泥土の多い場所でのスピンターンの禁止を緊急に行うことができ、運転操作性の向上などを容易に図ることができるものである。
【0013】
また、本機の左右傾斜を検出する傾斜センサ(104)と、本機の対地高さを検出する対地高さセンサ(143)(144)と、本機の左右傾斜及び対地高さを変更させるローリング部材(103)を設け、スピンターンスイッチ(129)の切換操作によって本機を低位置または高位置に支持させてローリング部材(103)制御が行われるように構成したもので、本機傾斜を自動的に修正する水平制御動作と走行クローラ(2)の旋回制御動作を走行路面条件に最適な状態に容易に設定でき、運転操作の簡略化並びに運転操作性の向上などを容易に図ることができるものである。
【0014】
また、本機の左右傾斜を検出する傾斜センサ(104)と、本機の対地高さを検出する対地高さセンサ(143)(144)と、本機の左右傾斜及び対地高さを変更させるローリング部材(103)を設け、作業スイッチ(129)の湿田切換操作によって本機を高位置支持させてローリング部材(103)制御が行われるように構成したもので、本機傾斜を自動的に修正する水平制御動作と走行クローラ(2)の旋回制御動作を湿田に最適な状態に容易に設定でき、運転操作の簡略化並びに運転操作性の向上などを容易に図ることができるものである。
【0015】
また、操向部材(28)を操作する操向ハンドル(19)の操作力を段階的に変化させるように構成したもので、左右走行クローラ(2)を同一方向に駆動するブレーキターン並びに旋回内側走行クローラ(2)を逆転させるスピンターンなどの切換え位置を操向ハンドル(19)操作力の変化によって作業者が容易に認識でき、例えば走行性能が低下し易い軟弱泥土路面(湿田)でのスピンターンなどを容易に防止でき、運転操作性の向上などを容易に図ることができるものである。
【0016】
また、操向部材(28)のスピンターン動作領域の操向ハンドル(19)操作によってエンジン(21)出力を自動的に大きくするように構成したもので、走行クローラ(2)の走行負荷が増大する旋回時に走行クローラ(2)を安定して駆動でき、出力不足によるエンジン(21)回転低下などを容易に防止でき、運転操作性の向上並びにエンジン(21)等の耐久性向上などを容易に図ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はクローラ走行車の一例として、コンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中(1)は左右一対の走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧昇降シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は操向ハンドル(19)及び運転席(20)などを備える運転台、(21)は運転席(20)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0018】
さらに、図3に示す如く、前記走行クローラ(2)を駆動するミッションケース(22)は、1対の第1油圧ポンプ(23)及び第1油圧モータ(24)を備えて走行主変速用の油圧式無段変速機構を形成する変速部材(25)と、1対の第2油圧ポンプ(26)及び第2油圧モータ(27)を備えて旋回用の油圧式無段変速機構を形成する操向部材(28)とを備え、前記エンジン(21)の出力軸(21a)に第1及び第2油圧ポンプ(23)(26)の入力軸(29a)(29b)を伝達ベルト(30a)(30b)によって連結させ、前記各油圧ポンプ(23)(26)を駆動するように構成している。
【0019】
また、前記第1油圧モータ(24)の変速出力軸(31)に、副変速機構(32)及び差動機構(33)を介して左右走行クローラ(2)の各駆動輪(34)を連動連結させるもので、前記差動機構(33)は左右対称の1対の遊星ギヤ機構(35)(35)を有し、各遊星ギヤ機構(35)は1つのサンギヤ(36)と、該サンギヤ(36)の外周で噛合う3つのプラネタリギヤ(37)と、これらプラネタリギヤ(37)に噛合うリングギヤ(38)などで形成している。
【0020】
前記プラネタリギヤ(37)はサンギヤ軸(39)と同軸線上とのキャリヤ軸(40)のキャリヤ(41)にそれぞれ回転自在に軸支させ、左右のサンギヤ(36)(36)を挾んで左右のキャリヤ(41)を対向配置させると共に、前記リングギヤ(38)は各プラネタリギヤ(37)に噛み合う内歯(38a)を有してサンギヤ軸(39)とは同一軸芯上に配置させ、キャリヤ軸(40)に回転自在に軸支させ、キャリヤ軸(40)を延設して車軸を形成して走行クローラ(2)の駆動輪(34)を軸支させている。
【0021】
また、走行用の油圧式無段変速部材(25)は、第1油圧ポンプ(23)の回転斜板の角度変更調節により第1油圧モータ(24)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、第1油圧モータ(24)の回転出力を出力軸(31)の伝達ギヤ(42)より各ギヤ(43)(44)(45)及び副変速機構(32)を介して、サンギヤ軸(39)に固定したセンタギヤ(46)に伝達してサンギヤ(36)を回転するように構成している。前記副変速機構(32)は、前記ギヤ(44)を有する副変速軸(47)と、前記ギヤ(45)を介してセンタギヤ(46)に噛合うギヤ(48)を有する駐車ブレーキ軸(49)とを備え、副変速軸(47)とブレーキ軸(49)間に各1対の低速用ギヤ(50)(51)・中速用ギヤ(52)(53)・高速用ギヤ(54)(48)を設けて、低中速スライダ(55)及び高速スライダ(56)のスライド操作によって副変速の低速・中速・高速の切換を行うように構成している。なお低速・中速間及び中速・高速間には中立を有する。また前記ブレーキ軸(49)に駐車ブレーキ(57)を設けると共に、刈取部(8)に回転力を伝達する刈取PTO軸(58)にギヤ(59)(60)及び一方向クラッチ(61)を介して副変速軸(47)を連結させ、刈取部(8)を車速同調速度で駆動している。
【0022】
上記のように、前記センタギヤ(46)を介しサンギヤ軸(39)に伝達された第1油圧モータ(24)からの駆動力を、左右の遊星ギヤ機構(35)を介して左右キャリヤ軸(40)に伝達させると共に、左右キャリヤ軸(40)に伝達された回転を左右の駆動輪(34)にそれぞれ伝え、左右走行クローラ(2)を駆動するように構成している。
【0023】
さらに、旋回用の油圧式無段変速機構で形成する操向部材(28)は、第2油圧ポンプ(26)の回転斜板の角度変更調節により第2油圧モータ(27)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、操向出力ブレーキ(62)を有するブレーキ軸(63)と、操向出力クラッチ(64)を有するクラッチ軸(65)と、前記の左右リングギヤ(38)の外歯(38b)に常時噛合させる左右入力ギヤ(66)(67)を設け、第2油圧モータ(27)の操向出力軸(68)に前記ブレーキ軸(63)及び操向出力クラッチ(64)を介してクラッチ軸(65)を連結させ、クラッチ軸(65)に正転ギヤ(69)を介して右入力ギヤ(67)を連結させ、またクラッチ軸(65)に正転ギヤ(69)及び逆転ギヤ(70)を介して左入力ギヤ(66)を連結させている。そして、副変速スライダ(55)(56)の中立によって前記ブレーキ(62)を入にしかつクラッチ(64)を切にする一方、前記中立以外の副変速出力時にブレーキ(62)を切にしかつクラッチ(64)を入にし、右側のリングギヤ(38)の外歯(38b)に正転ギヤ(69)を介してモータ(27)回転力を伝え、また左側のリングギヤ(38)の外歯(38b)に正転ギヤ(69)及び逆転ギヤ(70)を介してモータ(27)回転を伝え、第2油圧モータ(27)を正転(逆転)時、左右同一回転数で、左リングギヤ(38)を逆転(正転)させ、かつ右リングギヤ(38)を正転(逆転)とさせるように構成している。
【0024】
而して、旋回用の第2油圧モータ(27)を停止させて左右リングギヤ(38)を静止固定させた状態で、走行用の第1油圧モータ(24)を駆動すると、第1油圧モータ(24)からの回転出力はセンタギヤ(46)から左右のサンギヤ(36)に同一回転数で伝達され、左右遊星ギヤ機構(35)のプラネタリギヤ(37)・キャリヤ(41)を介して左右の走行クローラ(2)が左右同一回転方向で同一回転数によって駆動され、機体の前後方向直進走行が行われる。一方、走行用の第1油圧モータ(24)を停止させて左右のサンギヤ(36)を静止固定させた状態で、旋回用の第2油圧モータ(27)を正逆回転駆動すると、左側の遊星ギヤ機構(35)が正或いは逆回転、また右側の遊星ギヤ機構(35)が逆或いは正回転し、左右走行クローラ(2)を逆方向に駆動し、機体を左或いは右に旋回させる。また、走行用の第1油圧モータ(24)を駆動させながら、旋回用の第2油圧モータ(27)を駆動することにより、機体が左右に旋回して進路が修正されるもので、機体の旋回半径は第2油圧モータ(27)の出力回転数によって決定される。
【0025】
さらに、図2、図4乃至図6に示す如く、前記運転台(18)の前部上面にステアリングコラム(71)を立設固定させ、ステアリングコラム(71)上面上方側に操向ハンドル(19)を縦軸回りに回転自在に取付けると共に、運転台(18)左側にサイドコラム(72)を設け、サイドコラム(72)下方にミッション(22)を配設させ、主変速レバー(73)、副変速レバー(74)、刈取クラッチレバー(75)、脱穀クラッチレバー(76)を前記サイドコラム(72)に取付ける。
【0026】
また、前記ステアリングコラム(71)上部に操向入力軸(78)上端部を回転自在に軸支させ、操向ハンドル(19)に連結させるハンドル軸(79)のギヤ(80)と操向入力軸(78)のセクタギヤ(81)を噛合させて各軸(78)(79)を連結させるもので、前記ギヤ(80)は、270度の外周範囲に複数の歯(82)を形成し、90度の外周範囲を円弧(83)に形成し、操向ハンドル(19)の全回転角度を270度とし、左操向回転または右操向回転の角度を135度に設定し、操向ハンドル(19)回転操作を片手で作業者が容易に行えるように形成する。また、前記セクタギヤ(81)は、130度の外周範囲に複数の歯(84)を形成し、230度の外周範囲を円弧カム(85)に形成し、前記ギヤ(80)の歯(82)とセクタギヤ(81)の歯(83)を噛合せ、各ギヤ(80)(81)の最大正逆転時、前記円弧(83)両端のストッパ(86)と前記円弧カム(85)両端のストッパ(87)を当接させ、操向ハンドル(19)の回転を規制する。
【0027】
また、前記セクタギヤ(81)の円弧カム(85)中央に直進ノッチ(88)を形成すると共に、前記ステアリングコラム(71)デテント軸(89)を介してデテントアーム(90)を回転自在に軸支させ、デテントアーム(90)にローラ軸(91)を介してデテントローラ(92)を回転自在に軸支させ、前記円弧カム(85)にデテントローラ(92)を当接させ、直進ノッチ(88)に係脱自在にデテントローラ(92)を係合させ、操向ハンドル(19)を直進位置に支持させる。また、前記デテント軸(89)に巻装させる中立バネ(93)の一端をデテントアーム(90)に係止させ、ステアリングコラム(71)の受板(94)に中立バネ(93)の他端を当接させ、円弧カム(85)及び直進ノッチ(88)にデテントローラ(92)を中立バネ(93)によって弾圧当接させている。
【0028】
さらに、前記セクタギヤ(81)に形成する円弧カム(85)をブレーキカム(95)とスピンカム(96)とに分けて設け、各カム(95)(96)を段差(97)で連結させ、操向ハンドル(19)の直進乃至約90度の操作角度のブレーキターン位置でデテントローラ(92)をブレーキカム(95)に当接させ、旋回内側走行クローラ(2)が逆転駆動される直前でデテントローラ(92)を段差(97)に当接させ、旋回内側走行クローラ(2)が逆転駆動されるスピンターン位置でデテントローラ(92)をスピンカム(96)に当接させるもので、中立バネ(93)力によって決定される操向ハンドル(19)の操作力を段階的に大きくしてブレーキターン動作からスピンターン動作に移行させ、ブレーキターンとスピンターンのデテント手段として前記段差(92)を形成し、操向ハンドル(19)の最大ブレーキターン操作角度で操作力を大きく変化させ、ブレーキターンとスピンターンの境界を作業者に認識させ、操向ハンドル(19)のスピンターン操作を防止し、スピンターンによる走行性能の低下を未然に阻止する。このように、操向部材(28)を操作する操向ハンドル(19)の操作力を段階的に変化させるように構成し、左右走行クローラ(2)を同一方向に駆動するブレーキターン並びに旋回内側走行クローラ(2)を逆転させるスピンターンなどの切換え位置を操向ハンドル(19)操作力の変化によって作業者が認識し、例えば走行性能が低下し易い軟弱泥土路面でのスピンターンなどを防止し、運転操作性の向上などを図る。
【0029】
また、前記操向入力軸(78)に操向出力アーム(98)の一端を固定させ、操向ハンドル(19)を直進位置に戻す左右一対の直進バネ(99)(99)と、前記バネ(99)に抗して操向ハンドル(19)の回転速度を遅くする戻り抵抗アブソーバ(100)を、前記出力アーム(98)に連結させ、操向ハンドル(19)を左右に回転させる手動操作を行ったとき、ハンドル(19)から作業者が手を離すことにより、ハンドル(19)を緩やかに直進位置に自動的に戻し、作業者によるハンドル(19)直進戻し操作を省くと共に、スライドポテンショメータ型操向角度センサ(101)を前記出力アーム(98)に連結させ、操向ハンドル(19)の操向操作量を操向角度センサ(101)によって検出させる。
【0030】
さらに、図7に示す如く、前記の左右トラックフレーム(1)を機台(3)に左右スイングアーム(102)を介して連結させ、機台(3)に左右スイングアーム(102)を油圧左側及び右側シリンダ(103)によって連結させ、左側及び右側シリンダ(103)制御によって機台(3)と左右トラックフレーム(1)の上下間隔を変更自在に構成すると共に、機台(3)の左右傾動を検出する傾斜センサ(104)を設け、傾斜センサ(104)の検出結果に基づき左側及び右側シリンダ(103)を自動的に作動させ、各シリンダ(103)によって左右スイングアーム(102)を揺動させて左右トラックフレーム(1)を昇降させ、走行クローラ(2)の接地側を昇降させて機台(3)を略水平に支持させる自動水平制御を行わせる。
【0031】
さらに、図3、図8に示す如く、主変速レバー(73)手動操作によって作動させる電動変速モータ(105)と、前記変速出力軸(31)を制動する変速ブレーキ(106)を操作する変速ブレーキシリンダ(107)を設ける。そして、前記主変速レバー(73)を操作して変速モータ(105)を作動させて第1油圧ポンプ(23)の斜板角度を変更させ、第1油圧モータ(24)の変速出力軸(31)の回転数を無段階に変化させる変速動作と、第1油圧モータ(24)の出力軸(31)を逆転させる前後進切換動作を行わせると共に、前記主変速レバー(73)の中立操作によって変速ブレーキシリンダ(107)を作動させ、変速ブレーキ(106)によって第1油圧モータ(24)の出力軸(31)を制動し、中立操作時の出力軸(31)の前後進回転を阻止するように構成している。
【0032】
さらに、前記操向ハンドル(19)手動操作によって作動させる電動操向モータ(108)と、操向ハンドル(19)の直進操作並びに副変速機構(32)中立切換によって作動させる操向ブレーキシリンダ(109)及びクラッチシリンダ(110)を設ける。そして、前記操向ハンドル(19)を操作して操向モータ(108)を作動させて第2油圧ポンプ(26)の斜板角度を変更させ、第2油圧モータ(27)の操向出力軸(68)の回転数を無段階に変化させたり、逆転させる左右操向動作を行わせ、走行方向を左右に変更して圃場枕地で方向転換したり進路を修正すると共に、前記操向ハンドル(19)の直進操作並びに副変速機構(32)の中立操作により、操向ブレーキシリンダ(109)を作動させ、操向出力ブレーキ(62)によって第2油圧モータ(27)の操向出力軸(68)を制動し、直進操作時の出力軸(68)の左右操向回転を阻止する一方、クラッチシリンダ(110)を作動させて操向出力クラッチ(64)を切動作させ、入力ギヤ(66)(67)に伝える操向駆動出力を中止させるように構成している。
【0033】
さらに、図8に示す如く、前記主変速レバー(73)の変速操作位置及び中立位置及び前後進切換動作を検出するポテンショメータ型主変速センサ(111)と、前記副変速機構(32)を切換える副変速レバー(74)の変速操作位置及び中立位置を検出するポテンショメータ型副変速センサ(112)と、操向ハンドル(19)の左右操向操作位置及び直進位置を検出するポテンショメータ型操向角度センサ(113)と、作業者が切換える撮形手元操作部材(114)の操作によって操向ハンドル(19)の切れ角(操向量)に対する車速の増減速量(第1油圧モータ(24)の変速出力比)を変更させるボリューム形減速感度設定器(115)と、作業者が切換える撮形手元操作部材(116)の操作によって主変速レバー(73)の変速量(第1油圧モータ(24)の変速出力)に対する第2油圧モータ(27)の操向出力(左右走行クローラ(2)の速度比)を変更させるボリューム形旋回感度設定器(117)と、前記左右キャリア軸(40)の回転数を検出する左右車速センサ(118)(119)を、マイクロコンピュータで形成する変速操向コントローラ(120)に入力接続させる。
【0034】
さらに、前記変速モータ(105)を正転または逆転させる増速及び減速回路(121)(122)を前記コントローラ(120)に接続させ、主変速レバー(73)操作量(操作角度)に対して変速モータ(105)による第1油圧ポンプ(23)の斜板角を略正比例させて変化させ、主変速レバー(73)の傾き操作に応じた車速を得ると共に、前記変速ブレーキシリンダ(107)を作動させる主変速回路(123)を前記コントローラ(120)に接続させ、主変速レバー(73)中立時に第1油圧モータ(24)の変速出力軸(31)を停止維持させ、主変速レバー(73)中立操作状態下での第1油圧モータ(24)による走行クローラ(2)の駆動を阻止している。
【0035】
さらに、前記操向モータ(108)を正転または逆転させる左右旋回回路(124)(125)を前記コントローラ(120)に接続させ、操向ハンドル(19)の操向操作量(左右回転角度)に対して操向モータ(108)による第2油圧ポンプ(26)の斜板を略正比例させて変化させ、また主変速レバー(73)の前進操作時と後進操作時とでは、操向ハンドル(19)の左右回転に対して左右旋回出力を逆にし、前進時と後進時とで逆ハンドルになるのを防ぎ、四輪自動車と同じ操向動作を行わせて前後進させる。また、主変速レバー(73)が中立のときは、第2油圧ポンプ(26)の斜板角を零に保ち、第2油圧モータ(27)の操向出力軸(68)を停止維持し、主変速中立状態下でのハンドル(19)操作による旋回動作を阻止すると共に、操向ハンドル(19)切れ角に応じて大きくなる第2油圧ポンプ(26)の斜板角の絶対値を主変速レバー(73)操作角度の絶対値と比例するように制御し、操向ハンドル(19)切れ角が一定のときに車速を変化させても旋回半径を一定に保ち、四輪自動車と同じ操向動作で旋回させる。また、操向ブレーキシリンダ(109)及びクラッチシリンダ(110)を作動させる直進回路(126)を前記コントローラ(120)に接続させ、副変速中立またはハンドル(19)直進によって出力軸(68)を自動的に停止させ、操向出力を中止させる。また、未刈り穀稈列に対する刈取部(8)の位置を検出させる操向センサ(127)と、前記センサ(127)の検出結果に基づき操向モータ(108)を自動制御する操向回路(128)を設け、操向ハンドル(19)の手動操作による操向角度センサ(113)入力を優先させ乍ら操向センサ(127)入力によって操向モータ(108)を作動させ、未刈り穀稈列に沿わせて進路を自動的に修正させ、収穫作業を行わせる。
【0036】
さらに、前記操向ハンドル(19)最大操作によって旋回内側走行クローラ(2)を逆転させるスピンターン許可動作と左右走行クローラ(2)を同一方向にだけ駆動させるスピンターン禁止動作とに切換えるスピンターンスイッチ(129)を設け、スピンターンによって走行性能が低下し易い超湿田作業時にスピンターンスイッチ(129)操作によって走行クローラ(2)のスピンターン動作を禁止する。また、前記脱穀クラッチレバー(76)または脱穀スイッチ(130)の操作によって脱穀部(4)に対するエンジン(21)動力伝達を入切する脱穀クラッチモータ(131)と、脱穀部(4)の駆動を検出する脱穀センサ(132)を設けると共に、前記刈取クラッチレバー(75)または刈取スイッチ(133)の操作によって刈取部(8)に対するエンジン(21)動力伝達を入切する刈取クラッチモータ(134)と、刈取部(8)の駆動を検出する刈取センサ(135)を設け、脱穀部(4)並びに刈取部(8)の駆動を前記コントローラ(120)によって検出させる。
【0037】
さらに、前記エンジン(21)の回転数を検出する回転センサ(136)と、エンジン(21)の回転数を増減制御する燃料ソレノイド(137)を、エンジン(21)の回転数をアクセル操作量に基づき自動制御してエンジン(21)回転を略一定に保つ電子ガバナ(138)に設け、図9に示す如く、前記操向ハンドル(19)のスピンターン領域操作時に電子ガバナ(138)制御が通常モードから旋回モードに切換わり、アクセル操作量よりもエンジン(21)回転を自動的に上げて出力を一時的に大きくするもので、操向部材(28)のスピンターン動作領域の操向ハンドル(19)操作によってエンジン(21)出力を自動的に大きくするように構成し、走行クローラ(2)の走行負荷が増大する旋回時に走行クローラ(2)を安定して駆動し、出力不足によるエンジン(21)回転低下などを防止し、運転操作性の向上並びにエンジン(21)等の耐久性向上などを図る。
【0038】
さらに、前記機台(3)の対地左右傾斜を検出する前記傾斜センサ(104)と、機台(3)の左右傾斜角を設定する傾斜設定器(139)を、機台(3)の左右傾斜を自動修正する水平制御コントローラ(140)に設けると共に、前記の左側及び右側シリンダ(103)(103)を作動させる電磁左側及び右側バルブ(141)(142)と、トラックフレーム(1)に対する機台(3)の左右昇降量を検出するポテンショメータ型左側及び右側センサ(143)(144)を、変速操向コントローラ(120)に接続させ、傾斜センサ(104)の検出結果に基づき左側及び右側シリンダ(103)(103)を自動制御して機台(3)を水平に保つ一方、スピンターンスイッチ(129)の切換によって前記シリンダ(103)の乾田または湿田制御を選択させ、かつ機台(3)高さによって走行クローラ(2)のスピンターン動作の許可と禁止を選択させる。
【0039】
上記のように、本機の左右傾斜を検出する傾斜センサ(104)と、本機の対地高さを検出する対地高さセンサである左側及び右側センサ(143)(144)と、本機の左右傾斜及び対地高さを変更させるローリング部材である左側及び右側シリンダ(103)を設け、作業スイッチであるスピンターンスイッチ(129)の乾田切換操作によって本機を低位置支持させて左側及び右側シリンダ(103)制御が行われるように構成し、本機傾斜を自動的に修正する水平制御動作と走行クローラ(2)の旋回制御動作を乾田に最適な状態に設定し、運転操作の簡略化並びに運転操作性の向上などを図る。
【0040】
また、本機の左右傾斜を検出する傾斜センサ(104)と、本機の対地高さを検出する左側及び右側センサ(143)(144)と、本機の左右傾斜及び対地高さを変更させる左側及び右側シリンダ(103)を設け、スピンターンスイッチ(129)の湿田切換操作によって本機を高位置支持させて左側及び右側シリンダ(103)制御が行われるように構成し、本機傾斜を自動的に修正する水平制御動作と走行クローラ(2)の旋回制御動作を湿田に最適な状態に設定し、運転操作の簡略化並びに運転操作性の向上などを図る。
【0041】
さらに、前記刈取部(8)の対地高さを検出するポテンショメータ型刈高センサ(145)と、刈取部(8)を非作業位置(枕地旋回高さ)または作業位置(刈高センサ(145)検出高さ)に上昇または下降させる昇降スイッチ(146)と、刈取部(8)を手動昇降させる手動スイッチ(147)を、刈取部(8)を自動昇降させるリフト制御コントローラ(148)に設けると共に、前記昇降シリンダ(11)を作動させる電磁昇降バルブ(149)と、刈取部(8)の対機台(3)高さを検出する刈取部高さセンサ(150)を、変速操向コントローラ(120)に接続させ、刈高センサ(145)の検出結果に基づき昇降シリンダ(11)を自動制御して穀稈の刈取り高さを略一定に保つ一方、昇降スイッチ(146)の作業位置下降操作によって走行クローラ(2)のスピンターン動作を禁止し、かつ昇降スイッチ(146)の非作業位置上昇操作によって走行クローラ(2)のスピンターン動作を許可し、刈取部(8)が低い位置に支持されている状態でのスピンターン旋回を阻止している。
【0042】
さらに、前記第1及び第2油圧モータ(24)(27)の出力回転数を検出する変速回転センサ(151)及び操向回転センサ(152)と、左右走行クローラ(2)の回転速度を表示する旋回インジケータ(153)を、変速操向コントローラ(120)に接続させ、前記各センサ(151)(152)の検出結果に基づき左右走行クローラ(2)の回転速度を演算してインジケータ(153)に表示させ、図10に示す如く、走行クローラ(2)の駆動状態を、停止、直進(前進及び後進)、緩旋回、ブレーキターン(左右旋回)、スピンターン(左右方向転換)に分けて作業者に知らせるもので、操向ハンドル(19)操作量を検出する操向角度センサ(113)と、主変速レバー(73)切換位置を検出する主変速センサ(111)と、変速部材(25)及び操向部材(28)の出力回転を検出するクローラ回転センサ(151)(152)を設け、前記各センサ(111)(113)(151)(152)の検出結果に基づき左右走行クローラ(2)速度を演算して左右走行クローラ(2)速度を自動制御し、クローラ回転センサ(151)(152)による変速部材(25)または操向部材(28)出力回転の直接検出によって回転センサ(151)(152)の損傷を防止し、かつ左右走行クローラ(2)速度の表示によって運転状況を確認できるものである。
【0043】
さらに、図11乃至図15に示す如く、主変速レバー(73)を前進(後進)方向に傾ける操作により、変速モータ(105)を作動させて変速部材(25)を出力制御し、前進(後進)変速が行われて前進(後進)移動するもので、主変速レバー(73)を操作している状態で、操向ハンドル(19)を左(右)側に回転させて左(右)旋回操作を行うことにより、変速モータ(105)を制御する変速入力操作量が二次曲線形に変化すると共に、前記変速入力操作量に対して90度の位相差で直進位置を起点に操向モータ(108)を制御する操向入力操作量が二次曲線形に変化し、立上りが緩傾斜の二次曲線となる変速入力操作量によって操向ハンドル(19)操向角度に比例して変速部材(25)が減速制御されると共に、立上りが急傾斜の二次曲線となる操向入力操作量によって操向ハンドル(19)操向角度に比例して操向部材(28)が増速制御される。
【0044】
また、図11は、主変速レバー(73)の前(後)進操作量が最大のとき並びに2分の1のとき並びに4分の1のときの操向ハンドル(19)の操作により、操向部材(28)が増速制御される操向モータ(108)の出力変位量を操向増速操作量として表わしたもので、操向ハンドル(19)の回転と操向操作出力との関係を示している。前記操向モータ(108)の出力変位量である操向増速操作量は、操向ハンドル(19)の角度変化に対し、略直線的な比例変化よりも大きく設定され、操向部材(28)の出力を大きくして油圧動力伝達損失を補い、操向部材(28)の実際の出力が設定適正範囲(効率100パーセント出力状態)になるように構成している。
【0045】
また、図12は、主変速レバー(73)の前(後)進操作量が最大のとき並びに2分の1のとき並びに4分の1のときの操向ハンドル(19)の回転と、操向部材(28)の油圧モータ(27)の旋回出力回転数との関係を示すもので、主変速レバー(73)の操作(車速の変更)に対して操向ハンドル(19)操作量が一定のときに操向部材(28)の旋回出力回転数を比例して変化させるから、図13のように、旋回内側走行クローラ(2)の速度(V1)と旋回外側走行クローラ(2)の速度(V2)との比が、操向ハンドル(19)回転角度が一定のとき、主変速レバー(73)操作によって車速が変更されても一定に保たれ、主変速レバー(73)の車速変更に対して旋回半径(R)が一定に保たれる。即ち、図3のように、変速部材(25)の回転出力を左右遊星ギヤ機構(35)を介して左右走行クローラ(2)に伝えて左右走行クローラ(2)を同一方向に同一速度で駆動すると共に、操向部材(28)の回転出力を入力操向ギヤ(66)(67)によって左右逆転させて左右遊星ギヤ機構(35)に伝え、左右走行クローラ(2)を反対方向に同一速度で駆動する(強制差動構造)場合、主変速レバー(73)操作によって変速部材(25)の回転出力を変化させて車速を変更したとき、仮りに操向部材(28)の回転出力が一定に保たれていると、車速の変更に対して左右走行クローラ(2)の速度差(V2−V1)が一定に保たれることになり、車速の増速(減速)によって旋回半径(R)が拡大(縮少)され、操向ハンドル(19)の回転角度を一定に保っていても、車速の変更によって旋回半径(R)が変化する。これに対し、図11及び図12から明らかなように、操向ハンドル(19)の回転角度を一定に保っているとき、変速部材(25)の回転出力を変化させて車速を変更する主変速レバー(73)の操作により、操向部材(28)の回転出力が比例して変化し、左右走行クローラ(2)の旋回半径(R)が一定に保たれるもので、四輪自動車のアクセルペダル及びハンドル操作と略同一操作感覚で主変速レバー(73)の変速と操向ハンドル(19)の操向の各操作を行える。
【0046】
上記のように、変速具である主変速レバー(73)操作によって変速部材(25)を作動させて左右走行クローラ(2)を駆動して増速または減速させると共に、操向具である操向ハンドル(19)操作によって左右走行クローラ(2)を旋回させるクローラ作業車において、旋回外側走行クローラ(2)の回転数と旋回内側走行クローラ(2)の回転数の比を略一定に保ち乍ら左右走行クローラ(2)を変速制御する。そして、操向ハンドル(19)操作によって左または右方向に旋回しているとき、主変速レバー(73)操作によって左右走行クローラ(2)を増速または減速させて車速を変更しても旋回半径が略一定に維持され、四輪自動車と略同様の運転感覚で操向及び変速の各操作を行え、走行変更操作に伴う進路の修正などを不要にし、例えば作物列に沿わせる走行または圃場枕地での次作業工程位置への方向転換などを容易に行える。
【0047】
さらに、図14は、主変速レバー(73)の前(後)進操作量が最大のとき並びに2分の1のとき並びに4分の1のときの操向ハンドル(19)の操作により、変速部材(25)が減速制御される変速モータ(105)の出力変位量を変速減速操作量として表わしたもので、操向ハンドル(19)の回転と変速操作出力との関係を示している。前記変速モータ(105)の出力変位量である変速減速操作量は、操向ハンドル(19)の角度変化に対し、略直線的な比例変化よりも小さく設定され、変速部材(28)の出力を大きくして油圧動力伝達損失を補い、変速部材(28)の実際の出力が設定適正範囲(効率100パーセント出力状態)になるように構成している。前記の図11及び図14から明らかなように、変速部材(25)または操向部材(28)の出力が、停止乃至最大出力の途中で、直線的な変化よりも大きくなるように構成し、変速部材(25)または操向部材(28)の動力伝達損失などによって走行クローラ(2)駆動力が不足する不具合をなくし、走行クローラ(2)の走行性能の維持並びに運転操作性の向上などを図り、特に損失割合が大きくなる微速走行時の走行性能を向上させる。
【0048】
また、図15は、主変速レバー(73)の前(後)進操作量が最大のとき並びに2分の1のとき並びに4分の1のときの操向ハンドル(19)の回転と、変速部材(25)の油圧モータ(24)の変速出力回転数との関係を示すもので、主変速レバー(73)の操作量が一定のとき、操向ハンドル(19)操向操作に対して変速部材(25)の変速出力回転数を比例して変化させるから、図16に示す如く、副変速レバー(74)が一定位置で副変速が同一速度に保たれているとき、直進位置の操向ハンドル(19)を左方向(右方向)に約15度回転させる刈取り進路修正範囲では、操向ハンドル(19)の回転に対して変速モータ(105)が減速方向に微少動作し、変速部材(25)が直進と略同一出力状態に維持されると共に、操向部材(28)の第2油圧ポンプ(26)によって第2油圧モータ(27)を正転(逆転)させる操向出力によって左方向(右方向)に旋回させ、未刈り穀稈(作物)列の湾曲に合せる進路修正を行う。このとき、旋回内側の走行クローラ(2)の減速量と、旋回外側の走行クローラ(2)の増速量が略等しくなり、機体中心速度が直進と略同一速度に保たれる。また、操向ハンドル(19)を直進位置から15度以上回転させると、操向ハンドル(19)の回転に比例して変速モータ(105)が減速方向に動作し、変速部材(25)が左旋回及び右旋回のいずれでも減速動作し、第1油圧ポンプ(23)及びモータ(24)の走行変速出力を減速させ、左右走行クローラ(2)を同一方向に回転駆動させて前進(または後進)させ、左右走行クローラ(2)の走行速度差により左方向(右方向)に旋回するブレーキターン動作を行わせ、未刈り穀稈(作物)列から外れたときに元の列に戻したり隣の列に移動させる進路修正を行う。さらに、操向ハンドル(19)を約116度回転させると、旋回部材(28)が最大出力になって旋回出力が最高出力維持され、135度の操作量範囲で機体中心速度が直進時の約4分の1に減速され、旋回内側の走行クローラ(2)が逆転駆動され、左右走行クローラ(2)の間の旋回中心回りに機体が旋回するスピンターン動作が行われ、左右走行クローラ(2)の左右幅だけ旋回方向にずらせて機体を180度方向転換させるもので、ハンドル操作量0度からハンドル操作量135度の範囲で操向ハンドル(19)を回転させて左または右方向の旋回操作を行い、直進位置を中心とした左右15度のハンドル(19)回転範囲で未刈り穀稈(作物)列に沿って移動する条合せ進路修正を、直進時の走行速度を維持し乍ら行うと共に、左右116度乃至135度のハンドル(19)回転により、旋回部材(28)を最高出力維持し乍ら、圃場枕地で機体を方向転換させて次作業工程に移動させるスピンターン動作を、直進時の約4分の1の走行速度(減速率25パーセント)に自動的に減速して行う。
【0049】
上記から明らかなように、左右走行クローラ(2)速度を検出する車速センサ(118)(119)と、操向ハンドル(19)操作量を検出する操向角度センサ(113)と、変速レバー(73)操作位置を検出する変速センサ(111)を設け、操向ハンドル(19)操作量によって決定される旋回半径になるように左右走行クローラ(2)速度を自動制御するように構成し、操向ハンドル(19)及び変速レバー(73)などの操作構造の簡略化並びに走行クローラ(2)の操向機能及び変速機能の向上または変更を行い、旋回性能の向上並びに運転操作性の向上などを図るもので、前記変速部材(25)の変速量の変更を検出する主変速センサ(111)または左右車速センサ(118)(119)の一方または両方の検出結果によって操向部材(28)の操向量を自動的に変化させ、車速の変更だけで旋回内側走行クローラ(2)と旋回外側走行クローラ(2)の速度差を変化させ、増速に伴う旋回半径の拡大量だけ左右走行クローラ(2)の速度差を大きくする一方、減速に伴う旋回半径の縮少量だけ左右走行クローラ(2)の速度差を小さくし、旋回半径を変化させることなく車速を変更し、四輪自動車の車速増減速と略同様の運転感覚で走行クローラ(2)の車速変更を行い、走行クローラ(2)の走行変速及び操向機能の向上などを図る。
【0050】
また、変速部材(25)の変速量である左右キャリア軸(40)の同一方向の増減速回転変化に比例させて主変速センサ(111)または左右車速センサ(118)(119)のいずれか一方または両方の検出結果に基づき操向部材(28)の操向量を前記コントローラ(120)の演算出力によって自動的に変化させ、操向操作が一定のとき、変速操作だけで、旋回半径を一定に保って、車速を増減速変化させ、車速の変更に対して旋回内側走行クローラ(2)の速度と旋回外側走行クローラ(2)の速度の比が一定に保たれ、走行クローラ(2)の走行変速及び操向機能の向上並びに走行変速及び操向制御の簡略化などを図る。また、変速部材(25)の変速量に対する操向部材(28)の操向量の変化率(左右走行クローラ(2)の車速比)を旋回感度設定器(117)により変更自在に構成し、走行路面条件または本機重量の左右バランスなどにより、車速の変更に対する旋回内側走行クローラ(2)と旋回外側走行クローラ(2)の速度比を変更し、走行クローラ(2)の横滑り低減並びに本機の左右不均一重量による蛇行防止などを行う。また、操向ハンドル(19)の操向操作量と、主変速レバー(73)の変速操作量とにより、左右走行クローラ(2)の駆動速度を決定させ、図16の出力線図のように操向操作量と変速操作量の関係を演算で求めて形成した制御基準値(制御マップ)に基づき、変速部材(25)の変速量に関係なく、操向ハンドル(19)の操作量と左右走行クローラ(2)の旋回半径を一致させるもので、操向角度センサ(113)及び変速センサ(111)の検出結果に基づき決定される左右走行クローラ(2)速度変化の制御基準値を予め記憶させ、前記制御基準値を旋回感度設定器(117)によって補正するように構成し、前記制御基準値(制御マップ)に基づく平均的な走行クローラ(2)の操向または変速制御と、走行路面条件または作業者の希望走行フィーリングに適応した操向または変速制御を得られ、運転操作性の向上などを図る。
【0051】
さらに、副変速高速切換によって路上走行モードで旋回制御を行い、副変速標準切換並びに副変速低速切換によって操向ハンドル(19)操作に基づき主変速減速制御及び操向制御を行わせるもので、図16のように、操向ハンドル(19)及び主変速レバー(73)の操作により、左右走行クローラ(2)の駆動速度を変更して条合せ進路修正並びに圃場枕地でのスピンターンによる方向転換を行い、連続的に穀稈を刈取って脱穀する収穫作業を行うと共に、図17に示す如く、副変速レバー(74)を操作して副変速機構(32)を高速または標準(刈取作業)または低速に切換えたとき、左右走行クローラ(2)の速度差が略一定に保たれて車速が変更され、車速の変更にともなって左右走行クローラ(2)の旋回半径(R)も変化する。
【0052】
また、図18に示す如く、前記手元操作部材(56)によって減速感度設定器(115)を操作することにより、操向ハンドル(19)の切れ角(操向量)に基づく変速部材(25)の減速量の変化率が変化するもので、走行抵抗が大きくスリップし易い湿田泥土路面走行(低速走行作業)のとき、操向ハンドル(19)の切れ角に対する減速変化率を小さくし、またはスピンターンが不要なときに減速変化率を零にすることにより、操向動作全域での車速の減速を少なくし、または図18の実線で示すように減速をなくして略一定車速とし、走行性能を確保する。一方、走行抵抗が小さい乾田走行(高速走行作業)のとき、操向ハンドル(19)の切れ角に対する減速変化率を大きくすることにより、図1818の仮想線で示すように、操向操作だけでスピンターンなどの方向転換を安定良く行え、操向(方向転換乃至直進)操作に伴う車速減速操作及び車速復帰操作を省ける。
【0053】
さらに、図16、図19に示す如く、乾田作業で走行クローラ(2)をスピンターン動作させ、かつ湿田作業で走行クローラ(2)のスピンターン動作を中止させる操作を作業スイッチであるスピンターンスイッチ(129)によって行わせるように構成し、作業を中断させることなくスピンターンスイッチ(129)操作によってスピンターンの禁止及び許可の切換を行い、走行クローラ(2)の走行性能を路面条件に適応させて維持するもので、走行クローラ(2)の走行路面条件によって操向部材(28)の制御動作を切換えるスピンターンスイッチ(129)を設け、スピンターンスイッチ(129)操作によって走行クローラ(2)の走行制御を図16または図19に変更し、超湿田での走行クローラ(2)の旋回機能の維持並びに運転操作性の向上などを図る。
【0054】
また、前記図19のようにスピンターンスイッチ(129)をスピンターン禁止操作したとき、旋回内側走行クローラ(2)が逆転するまでのブレーキターンの速度変化を、図16のスピンターンスイッチ(129)のスピンターン許可操作と同一速度変化にすると共に、スピンターンスイッチ(129)のスピンターン許可操作によって旋回内側走行クローラ(2)が逆転する操向ハンドル(19)のスピンターン操作領域(操作量100度〜135度)の範囲で、旋回内側走行クローラ(2)の速度を略零に保ち、スピンターンを禁止することができる一方、図20に示す如く、操向ハンドル(19)の操作量最大(135度)位置で旋回内側走行クローラ(2)を停止させるブレーキターンを行わせ、操向ハンドル(19)の操作範囲全域で旋回内側走行クローラ(2)の速度を二次曲線的に緩やかに減速させ、スピンターンを禁止することも行える。
【0055】
さらに、図21、図22に示す如く、前記操向ハンドル(19)の主スポーク(19a)にスピンターンスイッチ(129)を取付けると共に、前記スピンターンスイッチ(129)に並列接続させる副スピンターンスイッチ(129a)を主変速レバー(73)の握り部(73a)に取付け、操向ハンドル(19)または主変速レバー(73)を握る手でスピンターンスイッチ(129)または副スピンターンスイッチ(129a)を操作し、前記ハンドル(19)またはレバー(73)を握って運転操作し乍ら上記したスピンターンの許可または禁止の切換を行う。また、前記操向ハンドル(19)の右側スポーク(19b)に脱穀スイッチ(130)と刈取スイッチ(133)を取付けると共に、操向ハンドル(19)の中心寄りに脱穀スイッチ(130)を配置させ、脱穀スイッチ(130)に対して刈取スイッチ(133)を外側寄りに配置させ、脱穀スイッチ(130)または脱穀クラッチレバー(76)の脱穀クラッチ入操作によって脱穀部(4)を駆動しているときにだけ、刈取スイッチ(133)の刈取クラッチ入操作によって刈取部(8)が作動するように構成し、作業者が左手で主変速レバー(73)を握り、右手で各スイッチ(130)(133)を行え、また収穫作業中に入切頻度が高い刈取スイッチ(133)を操向ハンドル(19)側の右手親指の操作可能範囲に位置させ、かつ誤操作によって作業中に脱穀スイッチ(130)が操作される不具合をなくしている。
【0056】
上記のように、操向ハンドル(19)にスピンターンスイッチ(129)を設け、操向ハンドル(19)を握る手で操作可能な範囲にスピンターンスイッチ(129)を配置させ、作業中に操向ハンドル(19)を握って運転し乍らスピンターンスイッチ(129)を操作し、走行クローラ(2)が沈下し易い泥土の多い場所でのスピンターンの禁止を緊急に行い、運転操作性の向上などを容易に図る。
【0057】
また、主変速レバー(73)に副スピンターンスイッチ(129a)を設け、主変速レバー(73)を握る手で操作可能な範囲に副スピンターンスイッチ(129a)を配置させ、作業中に主変速レバー(73)を握って運転し乍ら副スピンターンスイッチ(129a)を操作し、走行クローラ(2)が沈下し易い泥土の多い場所でのスピンターンの禁止を緊急に行い、運転操作性の向上などを容易に図る。
【0058】
本実施例は上記の如く構成するもので、図23の旋回制御フローチャートに示す如く、減速感度設定器(115)の旋回時の減速フィーリング入力と、旋回感度設定器(117)の操向ハンドル(19)の旋回フィーリング入力と、スピンターンスイッチ(129)のスピンターン許可(乾田)または禁止(湿田)判断入力と、左側及び右側センサ(143)(144)の機台(3)高さに基づく乾田または湿田判断入力と、刈取部高さセンサ(150)の刈取部(8)の作業位置または非作業判断入力とにより、図16、図18、図19(または図20)の出力線図に基づく走行クローラ(2)の速度制御基準値(制御マップ)の出力を自動的に修正し、前記減速フィーリング及び旋回フィーリング並びに乾田と湿田の切換によって演算された制御マップを形成すると共に、主変速センサ(111)の主変速レバー(73)操作入力と、副変速センサ(112)の副変速レバー(74)切換入力と、操向角度センサ(113)の操向ハンドル(19)操作(操作量)入力と、左右車速センサ(118)(119)の左右キャリア軸(40)回転入力とにより、主及び副変速レバー(73)(74)の一方または両方が中立のときに操向ブレーキ(62)を入にして第2油圧モータ(27)を停止維持し、かつ操向クラッチ(40)を切動作させると共に、主変速レバー(73)が中立のとき、変速ブレーキ(106)を入にして第1油圧モータ(24)の出力軸(31)を停止させる。また、副変速が中速または低速で、主変速が中立以外で、操向ハンドル(19)が直進以外に操作されることにより、主変速センサ(53)入力と操向角度センサ(55)入力によって走行速度(車速)及び操向角度及び操向方向が修正後の制御マップによって決定され、主変速及び操向制御によって変速モータ(105)及び操向モータ(108)を作動させ、図16の乾田作業状態で左右走行クローラ(2)の駆動速度を変更して条合せ進路修正並びに圃場枕地でのスピンターンによる方向転換を行い、連続的に穀稈を刈取って脱穀する収穫作業を行う。また、スピンターンスイッチ(129)が禁止操作のとき、または機台(3)が湿田作業状態で高位置のとき、または刈取部(8)が作業状態で低位置のとき、図19(または図20)のスピンターンを禁止する湿田作業状態で左右走行クローラ(2)の駆動速度を制御して条合せ進路修正並びにブレーキターンによる方向転換を行う。
【0059】
さらに、図24は水平制御フローチャートであり、傾斜センサ(104)の機台(3)左右傾き向き入力と、傾斜設定器(139)の設定傾き入力と、左側及び右側センサ(143)(144)の機台(3)左右高さ入力と、刈取部高さセンサ(150)の刈取部(8)の作業位置または非作業位置判断入力と、スピンターンスイッチ(129)のスピンターン許可(乾田)または禁止(湿田)判断入力とにより、機台(3)の左側及び右側の昇降量を演算し、乾田作業の判断によって機台(3)を下げ動作させかつスピンターン動作を許可し、図16の出力線図に基づく旋回及び走行減速を行い乍ら、機台(3)の対地高さを低くして機台(3)の左傾または右傾を左側及び右側シリンダ(103)の上げ動作と下げ動作によって修正する一方、湿田作業の判断によって機台(3)を上げ動作させかつスピンターン動作を禁止し、図19(図20)の出力線図に基づく旋回及び走行減速を行い乍ら、機台(3)の対地高さを高くして機台(3)の左傾または右傾を左側及び右側シリンダ(103)の上げ動作と下げ動作によって修正する。また、左側及び右側センサ(143)(144)の検出結果に基づき、前記シリンダ(103)の自動水平制御によって機台(3)の対地高さが一定以下になったとき、旋回内側走行クローラ(2)を逆転させる図16のスピンターン動作を自動的に許可する一方、機台(3)の対地高さが一定以上になったとき、図19(図20)のスピンターン禁止動作で図21の旋回制御を行わせる。
【0060】
さらに、図25はエンジン制御フローチャートであり、回転センサ(136)のエンジン(21)回転数入力と、左右車速センサ(118)(119)の左右キャリア軸(40)回転数入力と、操向角度センサ(113)の操向ハンドル(19)操作量入力とにより、旋回内側走行クローラ(2)が逆転するピンターン動作であるか否かを判断し、スピンターン以外のときは図9の通常モードでエンジン(21)回転数を自動制御する一方、スピンターンのときは図9の旋回モードに切換え、通常モードよりも高出力になるようにエンジン(21)回転数を自動制御し、エンジン(21)を高出力状態に一定時間維持し、スピンターン動作を行わせる。
【0061】
さらに、図26は圃場の未刈り穀稈列に追従させる操向制御フローチャートであり、脱穀部(4)及び刈取部(8)がクラッチ入によって作動しているとき、主変速センサ(111)の主変速位置入力と、副変速センサ(112)の副変速位置入力と、操向角度センサ(113)の操向ハンドル(19)操作量入力と、刈取部高さセンサ(150)の刈取部(8)対地高さ入力とにより、走行変速及び操向の各手動操作がオフの状態で操向センサ(127)の未刈り穀稈列検出入力によって左または右旋回を判断し、前記操向センサ(127)の検出結果に基づき操向モータ(108)を自動制御し、左または右旋回動作を行わせ、圃場の未刈り穀稈列に沿わせて自動的に走行移動させて収穫作業を行わせる。
【0062】
さらに、図27は刈取部(8)を昇降させる昇降制御フローチャートであり、刈取部(8)を手動操作で昇降させる手動スイッチ(147)がオフのとき、刈高センサ(145)の刈取部(8)対地高さ入力と、昇降スイッチ(146)の自動昇降入力と、刈取部高さセンサ(150)の刈取部(8)対本機高さ入力と、スピンターンスイッチ(129)のスピンターン許可または禁止入力と、刈取スイッチ(133)の刈取部(8)作動入力とにより、刈取部(8)が刈取作業位置よりも上昇しているとき、昇降スイッチ(146)のオンによって昇降シリンダ(11)が自動的に下降動作し、刈取部(8)が刈高センサ(145)制御範囲まで下降し、かつ図16のスピンターン動作が禁止される。また、刈取部(8)が刈取作業位置に下降しているとき、スピンターン動作が禁止された状態で刈高センサ(145)の検出結果に基づき昇降シリンダ(11)の自動制御が行われ、刈取部(8)を略一定高さに支持して収穫作業が行われると共に、刈取作業位置に刈取部(8)が下降している状態で昇降スイッチ(146)のオンによって昇降シリンダ(11)が自動的に上昇動作し、スピンターン動作が許可されて図16の出力線図に基づき操向ハンドル(19)操作によってスピンターン動作し、圃場枕地で方向転換して次作業工程位置に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同平面図。
【図3】ミッションケースの説明図。
【図4】操向ハンドル取付部の平面説明図。
【図5】同部分平面図。
【図6】同作動説明図。
【図7】走行クローラ部の正面説明図。
【図8】操向及び変速制御回路図。
【図9】エンジンの出力線図。
【図10】旋回インジケータの表示説明図。
【図11】操向ハンドルと操向操作出力の関係を示す出力線図。
【図12】操向ハンドル回転角度と操向部材出力の関係を示す出力線図。
【図13】左右走行クローラの旋回説明図。
【図14】操向ハンドルと変速操作出力の関係を示す出力線図。
【図15】操向ハンドル回転角度と変速部材出力の関係を示す出力線図。
【図16】操向及び主変速切換と走行クローラ回転の関係を示す出力線図。
【図17】操向及び副変速切換と走行クローラ回転の関係を示す出力線図。
【図18】走行減速を省いた操向出力線図。
【図19】スピンターンを禁止した操向出力線図。
【図20】図19の変形例を示す操向出力線図。
【図21】操向ハンドル部の平面図。
【図22】同部の側面図。
【図23】旋回制御フローチャート。
【図24】水平制御フローチャート。
【図25】エンジン制御フローチャート。
【図26】操向制御フローチャート。
【図27】昇降制御フローチャート。
【符号の説明】
【0064】
(2) 走行クローラ
(19) 操向ハンドル
(21) エンジン
(25) 変速部材
(28) 操向部材
(73) 主変速レバー
(103) 左側・右側シリンダ(ローリング部材)
(104) 傾斜センサ
(111) 主変速センサ
(113) 操向角度センサ
(117) 旋回感度設定器
(118)(149) 左・右車速センサ
(129) スピンターンスイッチ
(143)(144) 左側・右側センサ
(151)(152) クローラ回転センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右走行クローラを同一方向に同一速度で駆動する変速部材と、左右走行クローラの旋回用操向部材を設けるクローラ走行車において、
操向ハンドルにスピンターンスイッチを設け、操向ハンドルを握る手で操作可能な範囲にスピンターンスイッチを配置させたことを特徴とするクローラ走行車。
【請求項2】
変速レバーに前記スピンターンスイッチを設け、前記変速レバーを握る手で操作可能な範囲に前記スピンターンスイッチを配置させたことを特徴とする請求項1に記載のクローラ走行車。
【請求項3】
本機の左右傾斜を検出する傾斜センサと、本機の対地高さを検出する対地高さセンサと、本機の左右傾斜及び対地高さを変更させるローリング部材を設け、スピンターンスイッチの切換操作によって本機を低位置または高位置に支持させてローリング部材制御が行われるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のクローラ走行車。
【請求項4】
操向部材を操作する操向ハンドルの操作力を段階的に変化させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のクローラ走行車。
【請求項5】
操向部材のスピンターン動作領域の操向ハンドル操作によってエンジン出力を自動的に大きくするように構成したことを特徴とする請求項1に記載のクローラ走行車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−151387(P2006−151387A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59985(P2006−59985)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【分割の表示】特願平11−345866の分割
【原出願日】平成11年12月6日(1999.12.6)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】