ケースおよびパック電池
【課題】ケース部材への足部材の確実な取り付け状態を維持しながら、足部材の取り付け構造に起因する内部収納空間の無駄なスペースが少ないケースおよびこれを備えるパック電池を提供する。
【解決手段】パック電池1では、ケース部材11とケース部材12とで外装が構成されている。外装内には、複数の素電池を有するコアパック20が収納されている。ケース部材12の底壁12aの外面および側壁12cの外面の双方に当接する状態で足部材18が取り付けられている。ケース部材12は、底壁12aと側壁12cとが突き合わされる辺に透孔12fが穿たれている。足部材18には、ケース部材12に対して取り付けの際、ケース部材12の底壁12aおよび側壁12cの双方に斜め方向となる角度で突設された棒状部18dが形成されており、当該棒状部18dが、ケース部材12に穿たれた透孔12fに挿入されている。
【解決手段】パック電池1では、ケース部材11とケース部材12とで外装が構成されている。外装内には、複数の素電池を有するコアパック20が収納されている。ケース部材12の底壁12aの外面および側壁12cの外面の双方に当接する状態で足部材18が取り付けられている。ケース部材12は、底壁12aと側壁12cとが突き合わされる辺に透孔12fが穿たれている。足部材18には、ケース部材12に対して取り付けの際、ケース部材12の底壁12aおよび側壁12cの双方に斜め方向となる角度で突設された棒状部18dが形成されており、当該棒状部18dが、ケース部材12に穿たれた透孔12fに挿入されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースおよびパック電池に関し、特に、ケース部材に対する足部材の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パック電池をはじめとする種々の装置においては、ケースの底面などにゴム足に代表される足部材が取り付けられている(例えば、特許文献1を参照)。また、ケースにおける足部材は、底面だけでなく。これに続く側面にもわたり取り付けられているものもある(例えば、特許文献2を参照)。従来技術に係るケース部材に対する足部材の取り付け構造について、パック電池を一例として、図7を用い説明する。
【0003】
図7(a)および図7(b)に示すように、パック電池は、ケース部材911とケース部材912とが、互いの開口縁を突き合わせた状態となっており、これにより外装が構成されている。図7(a)に示すように、ケース部材911の一部からは、外部コネクタ913が露出し、また、他の部分からは、装着機器との係合に用いられるラッチ爪914,915が突出している。
【0004】
図7(b)に示すように、パック電池の裏面には、ケース部材912の凹部912bに、ラッチに連結されたノブ916が取り付けられている。また、ケース部材912の底壁外面におけるX軸方向の下辺部分には、互いに間隔をあけた状態でゴム足917,918が取り付けられている。
図7(c)に示すように、ゴム足918は、X軸方向に延びる壁918aとZ軸方向に延びる壁918bと、ケース部材912に設けられた透孔に挿入された棒状部918dとが一体形成されてなる。壁918aは、その内面がケース部材912の底壁912aの外面に当接し、両面粘着テープなどにより貼着されている。同様に、壁918bは、その内面がケース部材912の側壁912cの外面に当接し、両面粘着テープなどにより貼着されている。
【0005】
図7(a)から図7(c)に示す従来技術に係るパック電池では、ケース部材912の底壁912aに設けられた透孔にゴム足918の棒状部918dを挿入しているので、パック電池の使用時などにおいて、足部材918に対しケース部材912の底壁912aの外面に平行な外力などが加わった場合にも、ゴム足918とケース部材912との取り付け状態が確実に確保されている。
【0006】
なお、ケース部材911とケース部材912とで構成される内部空間には、複数の素電池を含むコアパック920が収納されている。そして、図7(c)に示すように、ゴム足918における壁918aの厚みとケース部材912の厚みを足し合わせた厚みがx5(例えば、1.9[mm])であり、ゴム足918の棒状部918dの高さがx6(例えば、0.5[mm])である。また、ゴム足918における棒状部918dの先端とコアパック920の素電池外面との間には、ダンパーエリアとしてx7(例えば、1.7[mm])があけられている。ここで、ダンパーエリアは、外部から加わった衝撃力によりケース部材912が、ゴム足918の壁918aの厚みに相当する分(1.2[mm])凹んだ場合においても、棒状部918dの先端が内部のコアパック920(素電池)に当接してしまうことを防止するための緩衝領域として設けられている。具体的には、ダンパーエリアは、ゴム足918の壁918aの厚み1.2[mm]に、余裕度を足して、合計1.7[mm]設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−304171号公報
【特許文献2】特開2007−241511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術に係る足部材の取り付け構造の場合には、ケース部材912における底壁912aに対して垂直方向(Z軸方向)に、ゴム足918の棒状部918dを挿入しているので、コアパック920との間にダンパーエリアとしてx7の隙間をあけておく必要があり、パック電池の全体の厚みx9を薄くすることに対する一つの阻害要因となっている。即ち、パック電池を始めとする種々の装置では、内部の無駄な空間をできるだけ無くし、容積効率の高いものとする要請もあるが、そのためにも、ゴム足918の壁918aの外側面から収納されている機能部(図7の従来技術では、コアパック920が相当)までの間隔x8を可能な限り狭くすることが必要となる。
【0009】
本発明は、上記問題の解決を図るべくなされたものであって、ケース部材への足部材の確実な取り付け状態を維持しながら、足部材の取り付け構造に起因する内部収納空間の無駄なスペースが少ないケースおよびこれを備えるパック電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、次の構成を採用する。
本発明に係るケースは、その外装の少なくとも一部を構成するケース部材と、その外表面に取り付けられた足部材とを備える。ケース部材は、互いに突き合わされた第1壁と第2壁を有するとともに、第1壁と第2壁との突き合わせ部分に、部材の内外を挿通する透孔が穿たれている。足部材は、ケース部材における第1壁および第2壁のそれぞれに対応し、且つ、互いに突き合わせられた第3壁および第4壁と、第3壁と第4壁との突き合わせ部分から両壁の双方に対して斜め方向であって、ケース部材の側に突出する棒状部とが、一体形成されてなる。
【0011】
本発明に係るケースでは、足部材における棒状部が、ケース部材の透孔に挿入され、且つ、第1壁に対して第3壁が当接され、第2壁に対して第4壁が当接されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係るパック電池は、上記構成を有する本発明に係るケースを備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、本発明に係るケースおよびこれを備えるパック電池では、足部材の棒状部が、ケース部材に設けられた透孔に挿入されているので、足部材に対してケース部材の第1壁または第2壁に沿うような外力(せん断力)が加わった場合においても、棒状部がアンカーとなってケース部材からの足部材の外れが抑制される。よって、本発明に係るケースおよびパック電池では、ケース部材への足部材の確実な取り付け状態が維持される。
【0013】
また、本発明に係るケースおよびパック電池では、ケース部材における第1壁および第2壁の双方に対して、ケース部材における内部空間に斜め方向に足部材の棒状部が挿入されているので、内部に収納される機能部と足部材の棒状部の先端との間に、ダンパーエリアをあけるために、スペースをわざわざ確保しておく必要がない。即ち、本発明に係るケースおよびパック電池では、その使用時において、足部材の第3壁または第4壁から外力(衝撃力など)が加わることでケース部材が凹んだ場合においても、ケース部材の透孔から挿入されている棒状部の軸方向に力が直接伝達されず、また、斜め方向に突出しているので力の分散が図られるので、上記従来技術に係るパック電池のように、機能部(コアパック)と棒状部の先端との間に、わざわざダンパーエリアを設けなくても、機能部にダメージを及ぼすことがない。
【0014】
従って、本発明に係るケースおよびパック電池では、ケース部材への足部材の確実な取り付け状態を維持しながら、足部材の取り付け構造に起因する内部収納空間の無駄なスペースを設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係るパック電池1の外観構成を示す外観斜視図である。
【図2】(a)は、パック電池1の裏面を示す平面図であり、(b)は、パック電池1の側面を示す側面図である。
【図3】パック電池1の内部構造を示す展開斜視図である。
【図4】(a)は、ゴム足18の構成を示す斜視図であり、(b)は、ゴム足18の部材構成を示す展開斜視図である。
【図5】ケース部材12へのゴム足18の取り付け方法を示す斜視図である。
【図6】パック電池1におけるゴム足18と他の構成要素との位置関係を示す断面図である。
【図7】(a)は、従来技術に係るパック電池のオモテ面を示す平面図であり、(b)は、従来技術に係るパック電池の裏面を示す平面図であり、(c)は、従来技術に係るパック電池でのゴム足918と他の構成要素との位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明を実施するための形態について、一例を示して説明する。なお、以下の説明で用いる実施の形態は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いる一例であって、 本発明は、その本質的部分以外に以下の形態に何ら限定を受けるものではない。
[実施の形態]
1.外観構成
実施の形態に係るパック電池1の外観構成について、図1および図2を用い説明する。
【0017】
図1に示すように、パック電池1における外装は、2つのケース部材11,12が、互いの開口縁同士を突き合わせた状態で接合され構成されている。パック電池1は、全体として、Z軸方向に扁平であって、Y軸方向に細長い外観形状を有する。
ケース部材11には、X軸方向左手前側に、開口部が設けられており、当該開口から外部コネクタ13の一部が露出している。また、ケース部材11におけるX軸方向右奥側からは、2つのラッチ爪14,15が露出している。ラッチ爪14,15は、装着機器との間でロック/アンロックに供される。
【0018】
また、ケース部材11は、樹脂材料を射出成型することで形成されており、ケース部材12は、金属材料(例えば、アルミニウム合金)をプレス加工することにより主要部が構成されている。
図2(a)には、パック電池1を図1のA方向から見た平面図を示す。
図2(a)に示すように、パック電池1におけるケース部材12の底壁12aには、Y軸方向の略中央部分に、長円形の凹部12bが形成されている。凹部12bには、これより少しサイズが小さい長円形をしたノブ16が嵌り込むように配置されている。ノブ16は、内部のラッチ機構に連結されており、ユーザがノブ16をスライド操作することにより、これに連動してラッチ爪14,15がノブ16のスライド方向と直交する方向に出入する。
【0019】
また、ケース部材12の底壁12aのオモテ面には、X軸方向下側であって、Y軸方向の両端部分に、足部材としてのゴム足17,18が取り付けられている。
図2(b)には、パック電池1を図1のB方向から見た側面図を示す。
図2(b)に示すように、パック電池1では、ゴム足18は、X軸方向およびZ軸方向の両側に延びる2つの壁が一体形成されてなる外観構成を有し、ケース部材12における底壁12aとY軸方向右側の側壁12cとの両壁オモテ面に当接している。
【0020】
2.内部構成
パック電池1の内部構成について、図3を用い説明する。図3は、パック電池1の内部構成を説明するために、その主要な部品を展開した状態で示す模式展開斜視図である。
図3に示すように、2つのケース部材11,12で構成される内部空間には、コアパック20が収納されている。コアパック20は、それぞれが扁平形状をした複数の素電池21〜32を備え、また、これら素電池21〜32と外部コネクタ13との間の電力流通路中に介挿された回路が形成されてなる回路基板を備える。
【0021】
なお、図3では、図示を省略しているが、回路基板33は、基板ホルダに保持されており、基板ホルダにはラッチ機構が取り付けられている。そして、ラッチ機構の一部としてラッチ爪14,15がX軸方向右奥側に突出している。
また、図3に示すように、ケース部材12には、4つの側壁12g,12h,12i,・・に沿って内側の壁部材121,122,123,・・が形成されている。ケース部材12では、並行する側壁12g,12h,12i,・・とその内側の壁部材121,122,123,・・との間に溝が形成され、当該溝にケース部材11の側壁縁が嵌入される。さらに、ケース部材12の内底面12dは、金属材料からなる主要部上に、熱溶着により樹脂製の底板が取り付けられており、その内面には、コアパック20の固定のための両面粘着テープが貼着されている。これについては、後述する。
【0022】
3.ゴム足17,18の構成と取り付け
ゴム足17,18の構成について、図4(a)および図4(b)を用い説明する。なお、ゴム足17とゴム足18とは、同一構造を有するので、図4(a)および図4(b)ではゴム足18を示す。
図4(a)に示すように、ゴム足18は、X軸方向に延びる壁18aとZ軸方向に延びる壁18bとが、辺18cで突き合わされた構成を有し、さらに、辺18cおよびその近傍部分から、X軸およびZ軸の両軸に斜めとなる方向に向けて突設された棒状部18dを有する。図4(a)に示すように、棒状部18dは、壁18aに対して角度θをなして突出形成されており、角度θは、例えば、45[°]である。
【0023】
図4(b)に示すように、ゴム足18は、2つの足部材181,182が、所謂、二色成形により一体形成されてなるものである。また、部材182の表面には、予め粘着テープ183,184が貼着されている。足部材181は、例えば、TPU(熱可塑性ポリウレタン)などのゴム材料から形成され、足部材182は、例えば、PC/ABS(ポリカーボネートの中に、少しのABS樹脂が混合されたもの)などの樹脂材料により形成されている。このように二色成形にゴム足18を形成するのは、壁18a,18bにおける衝撃吸収性を確保しながら、棒状部18dの硬度をある程度確保するためである。
【0024】
なお、足部材181については、上記の他に、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴムなどの材料を用い形成することもできる。
次に、図5に示すように、ケース部材12では、ゴム足17,18が装着される部分、即ち、底壁12aと側壁12cとが突き合わせとなる辺12eおよびその近傍の一部に透孔12fが穿たれている(図5では、ゴム足18に対応する透孔12fのみを図示)。透孔12fは、ケース部材12の厚み方向における内外を挿通する状態に穿たれている。
【0025】
ケース部材12に対してゴム足18を取り付ける際には、棒状部18dをケース部材12の透孔12fに挿入して行き、壁18aおよび壁18bのそれぞれの内面がケース部材12の底壁12aおよび側壁12cのそれぞれの外面に当接させることでなされる。ここで、ケース部材12の底壁12aおよび側壁12cのそれぞれと、ゴム足18の壁18aおよび壁18bとは、予め貼着された粘着テープ183,184により接合される。そして、ケース部材12の透孔12fに挿入されたゴム足17,18の棒状部18d,・・については、その先端部分が熱で溶融され、これにより大面積化が図られることでゴム足17,18のより確実な保持がなされる。
【0026】
なお、ケース部材12に対するゴム足17の取り付けについても、上記同様である。
また、ゴム足17,18とケース部材12との接着には、両面粘着テープを用いる代わりに、接着剤を用いることも勿論可能である。
4.優位性
本実施の形態に係るパック電池1の優位性について、図6を用い説明する。
【0027】
図6の二点鎖線で囲む部分に示すように、パック電池1では、ゴム足18が、ケース部材12における底壁12aと側壁12cとの突き合わせ部分に設けられた透孔12fに挿入されている。挿入の方向は、底壁12aおよび側壁12cの何れに対しても斜め方向となっている。
上述のように、パック電池1の断面において、ゴム足18の棒状部18dは、X軸およびZ軸の双方に対し、斜め方向であって、その先端がコアパック20に対し間隙をあけた状態になっている。コアパック20における各素電池21〜32(図3を参照。)は、扁平矩形の外観を有し、端面が曲率をもって構成されている。ここで、ケース部材12の内底面12d(図3を参照)とコアパック20との間には、樹脂製の底板124と、両面粘着テープ125,126が介挿されている。ケース部材12と底板124とは、熱溶着により取り付けられている。両面粘着テープ125,126は、底板124とコアパック20との固定のために介挿されている。
【0028】
パック電池1では、上記コアパック20における素電池21〜32の外観形状により、ケース部材11とケース部材12とで構成される内部空間に、コアパック20を収納した場合には、素電池の端面とケース部材12のコーナー部分(底壁12aと側壁12cとが突き合わせとなる内面部分)に、隙間を生じることになり、当該部分にゴム足18の棒状部18dが位置する。
【0029】
なお、ゴム足17についても、同様の配置となっている。
以上のような構成を有するパック電池1では、上記従来技術に係るパック電池のように、ダンパーエリアとしてのx7(例えば、1.7[mm])を設ける必要がなく、その分だけパック電池の厚みx4を薄くすることができる。即ち、本実施の形態に係るパック電池1では、上記従来技術に係るパック電池のように、ダンパーエリアを設けなくても、外部から加わった衝撃力によりケース部材12が、ゴム足17,18の壁18a,・・の厚みに相当する分凹んだ場合においても、棒状部18dの先端が内部のコアパック20(素電池)に衝突し、コアパック20にダメージを与えることがない。
【0030】
例えば、ケース部材12の底壁12aの厚みと、ゴム足18における壁18aの厚みとを合算した厚みx1が1.9[mm]であり、ケース部材12の底壁12a内面からコアパック20の下面までの間隔x2が1.4[mm]であるとした場合、その合計の厚みx3は3.3[mm]となる。当該数値を上記従来技術に係るパック電池における相当箇所の厚みx8=1.9[mm]+0.5[mm]+1.7[mm]に対し(図7を参照。)、x3=3.3[mm]となり、0.8[mm]の薄肉化を図ることができる。そして、パック電池1の総厚みx4についても、上記従来技術に係るパック電池の総厚みx9に対して、0.8[mm]の薄肉化を図ることができる。
【0031】
なお、図6では、パック電池1の断面を模式的に描いており、寸法比などのサイズ面については、現実と異なっている。
以上より、本実施の形態に係るパック電池1では、ケース部材12における底壁12aおよび側壁12cの双方に対して、斜め方向にゴム足17,18の棒状部18dが挿入されているので、内部に収納されるコアパック20とゴム足17,18の棒状部18dの先端との間に、ダンパーエリアをあけておかなくても、ケース部材12が凹んだ場合にも、外部からの衝撃力などが、ゴム足17,18の棒状部18d,・・を介してコアパック20に伝達されることはない。即ち、パック電池1では、その使用時において、ゴム足17,18の壁18aまたは壁18bから衝撃などによる外力が加わった場合においても、棒状部18dの軸方向に力が直接伝達されず、また、斜め方向に突出しているので力の分散が図られる。このため、パック電池1では、ゴム足17,18の棒状部18dの先端と、コアパック20との間にダンパーエリアを設けなくても、機能部としてのコアパック20に対するダメージを防ぐことができる。
【0032】
また、本実施の形態に係るパック電池1でも、ゴム足17,18の棒状部18dが、ケース部材12に設けられた透孔12fに挿入されているので、ゴム足17,18に対してケース部材12の底壁12aまたは側壁12cに沿うような外力(せん断力)が加わった場合においても、棒状部18dがアンカーとなってケース部材12からのゴム足17,18が外れるのが抑制される。よって、パック電池1では、ケース部材12へのゴム足17,18の確実な取り付け状態が維持される。
【0033】
[その他の事項]
上記実施の形態では、パック電池1を一例として説明をしたが、パック電池1以外にも、ケース部材12に対するゴム足17,18の取り付け構造を種々のケースに採用することができる。即ち、ケース部材における突き合わせ辺部分に透孔を設けておき、当該透孔に斜め方向に突設されたゴム足の棒状部を挿入するという構成を採用することで、上記同様の効果が奏される。適用する機器は、例えば、安定化電源装置や、ノートブック型パーソナルコンピュータ、あるいはオーディオ用のスピーカなどの各ケースに適用することができる。
【0034】
また、上記実施の形態に係るパック電池1では、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴムから構成されたゴム足17,18を足部材の一例として採用したが、足部材の材料は、これに限らず種々のものを用いることができる。例えば、樹脂材料などを用いることもできる。
また、上記実施の形態に係るパック電池1は、図1に示すように、扁平の直方体形状のケースを備える構成としたが、ケースの形状についてはこれに限定されるものではない。例えば、立方体形状や錐台形状などのケースについても、本発明に係る構成を採用すれば、上記同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ケース部材に対する足部材の取り付け状態を確実に維持できるとともに、内部の無駄なスペースを排除することができるケースおよびパック電池を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0036】
1.パック電池
11,12.ケース部材
13.外部コネクタ
14,15.ラッチ爪
16.ノブ
17,18.ゴム足
20.コアパック
21〜32.素電池
33.回路基板
121,122,123.壁部材
181,182.足部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースおよびパック電池に関し、特に、ケース部材に対する足部材の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パック電池をはじめとする種々の装置においては、ケースの底面などにゴム足に代表される足部材が取り付けられている(例えば、特許文献1を参照)。また、ケースにおける足部材は、底面だけでなく。これに続く側面にもわたり取り付けられているものもある(例えば、特許文献2を参照)。従来技術に係るケース部材に対する足部材の取り付け構造について、パック電池を一例として、図7を用い説明する。
【0003】
図7(a)および図7(b)に示すように、パック電池は、ケース部材911とケース部材912とが、互いの開口縁を突き合わせた状態となっており、これにより外装が構成されている。図7(a)に示すように、ケース部材911の一部からは、外部コネクタ913が露出し、また、他の部分からは、装着機器との係合に用いられるラッチ爪914,915が突出している。
【0004】
図7(b)に示すように、パック電池の裏面には、ケース部材912の凹部912bに、ラッチに連結されたノブ916が取り付けられている。また、ケース部材912の底壁外面におけるX軸方向の下辺部分には、互いに間隔をあけた状態でゴム足917,918が取り付けられている。
図7(c)に示すように、ゴム足918は、X軸方向に延びる壁918aとZ軸方向に延びる壁918bと、ケース部材912に設けられた透孔に挿入された棒状部918dとが一体形成されてなる。壁918aは、その内面がケース部材912の底壁912aの外面に当接し、両面粘着テープなどにより貼着されている。同様に、壁918bは、その内面がケース部材912の側壁912cの外面に当接し、両面粘着テープなどにより貼着されている。
【0005】
図7(a)から図7(c)に示す従来技術に係るパック電池では、ケース部材912の底壁912aに設けられた透孔にゴム足918の棒状部918dを挿入しているので、パック電池の使用時などにおいて、足部材918に対しケース部材912の底壁912aの外面に平行な外力などが加わった場合にも、ゴム足918とケース部材912との取り付け状態が確実に確保されている。
【0006】
なお、ケース部材911とケース部材912とで構成される内部空間には、複数の素電池を含むコアパック920が収納されている。そして、図7(c)に示すように、ゴム足918における壁918aの厚みとケース部材912の厚みを足し合わせた厚みがx5(例えば、1.9[mm])であり、ゴム足918の棒状部918dの高さがx6(例えば、0.5[mm])である。また、ゴム足918における棒状部918dの先端とコアパック920の素電池外面との間には、ダンパーエリアとしてx7(例えば、1.7[mm])があけられている。ここで、ダンパーエリアは、外部から加わった衝撃力によりケース部材912が、ゴム足918の壁918aの厚みに相当する分(1.2[mm])凹んだ場合においても、棒状部918dの先端が内部のコアパック920(素電池)に当接してしまうことを防止するための緩衝領域として設けられている。具体的には、ダンパーエリアは、ゴム足918の壁918aの厚み1.2[mm]に、余裕度を足して、合計1.7[mm]設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−304171号公報
【特許文献2】特開2007−241511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術に係る足部材の取り付け構造の場合には、ケース部材912における底壁912aに対して垂直方向(Z軸方向)に、ゴム足918の棒状部918dを挿入しているので、コアパック920との間にダンパーエリアとしてx7の隙間をあけておく必要があり、パック電池の全体の厚みx9を薄くすることに対する一つの阻害要因となっている。即ち、パック電池を始めとする種々の装置では、内部の無駄な空間をできるだけ無くし、容積効率の高いものとする要請もあるが、そのためにも、ゴム足918の壁918aの外側面から収納されている機能部(図7の従来技術では、コアパック920が相当)までの間隔x8を可能な限り狭くすることが必要となる。
【0009】
本発明は、上記問題の解決を図るべくなされたものであって、ケース部材への足部材の確実な取り付け状態を維持しながら、足部材の取り付け構造に起因する内部収納空間の無駄なスペースが少ないケースおよびこれを備えるパック電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、次の構成を採用する。
本発明に係るケースは、その外装の少なくとも一部を構成するケース部材と、その外表面に取り付けられた足部材とを備える。ケース部材は、互いに突き合わされた第1壁と第2壁を有するとともに、第1壁と第2壁との突き合わせ部分に、部材の内外を挿通する透孔が穿たれている。足部材は、ケース部材における第1壁および第2壁のそれぞれに対応し、且つ、互いに突き合わせられた第3壁および第4壁と、第3壁と第4壁との突き合わせ部分から両壁の双方に対して斜め方向であって、ケース部材の側に突出する棒状部とが、一体形成されてなる。
【0011】
本発明に係るケースでは、足部材における棒状部が、ケース部材の透孔に挿入され、且つ、第1壁に対して第3壁が当接され、第2壁に対して第4壁が当接されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係るパック電池は、上記構成を有する本発明に係るケースを備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、本発明に係るケースおよびこれを備えるパック電池では、足部材の棒状部が、ケース部材に設けられた透孔に挿入されているので、足部材に対してケース部材の第1壁または第2壁に沿うような外力(せん断力)が加わった場合においても、棒状部がアンカーとなってケース部材からの足部材の外れが抑制される。よって、本発明に係るケースおよびパック電池では、ケース部材への足部材の確実な取り付け状態が維持される。
【0013】
また、本発明に係るケースおよびパック電池では、ケース部材における第1壁および第2壁の双方に対して、ケース部材における内部空間に斜め方向に足部材の棒状部が挿入されているので、内部に収納される機能部と足部材の棒状部の先端との間に、ダンパーエリアをあけるために、スペースをわざわざ確保しておく必要がない。即ち、本発明に係るケースおよびパック電池では、その使用時において、足部材の第3壁または第4壁から外力(衝撃力など)が加わることでケース部材が凹んだ場合においても、ケース部材の透孔から挿入されている棒状部の軸方向に力が直接伝達されず、また、斜め方向に突出しているので力の分散が図られるので、上記従来技術に係るパック電池のように、機能部(コアパック)と棒状部の先端との間に、わざわざダンパーエリアを設けなくても、機能部にダメージを及ぼすことがない。
【0014】
従って、本発明に係るケースおよびパック電池では、ケース部材への足部材の確実な取り付け状態を維持しながら、足部材の取り付け構造に起因する内部収納空間の無駄なスペースを設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係るパック電池1の外観構成を示す外観斜視図である。
【図2】(a)は、パック電池1の裏面を示す平面図であり、(b)は、パック電池1の側面を示す側面図である。
【図3】パック電池1の内部構造を示す展開斜視図である。
【図4】(a)は、ゴム足18の構成を示す斜視図であり、(b)は、ゴム足18の部材構成を示す展開斜視図である。
【図5】ケース部材12へのゴム足18の取り付け方法を示す斜視図である。
【図6】パック電池1におけるゴム足18と他の構成要素との位置関係を示す断面図である。
【図7】(a)は、従来技術に係るパック電池のオモテ面を示す平面図であり、(b)は、従来技術に係るパック電池の裏面を示す平面図であり、(c)は、従来技術に係るパック電池でのゴム足918と他の構成要素との位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明を実施するための形態について、一例を示して説明する。なお、以下の説明で用いる実施の形態は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いる一例であって、 本発明は、その本質的部分以外に以下の形態に何ら限定を受けるものではない。
[実施の形態]
1.外観構成
実施の形態に係るパック電池1の外観構成について、図1および図2を用い説明する。
【0017】
図1に示すように、パック電池1における外装は、2つのケース部材11,12が、互いの開口縁同士を突き合わせた状態で接合され構成されている。パック電池1は、全体として、Z軸方向に扁平であって、Y軸方向に細長い外観形状を有する。
ケース部材11には、X軸方向左手前側に、開口部が設けられており、当該開口から外部コネクタ13の一部が露出している。また、ケース部材11におけるX軸方向右奥側からは、2つのラッチ爪14,15が露出している。ラッチ爪14,15は、装着機器との間でロック/アンロックに供される。
【0018】
また、ケース部材11は、樹脂材料を射出成型することで形成されており、ケース部材12は、金属材料(例えば、アルミニウム合金)をプレス加工することにより主要部が構成されている。
図2(a)には、パック電池1を図1のA方向から見た平面図を示す。
図2(a)に示すように、パック電池1におけるケース部材12の底壁12aには、Y軸方向の略中央部分に、長円形の凹部12bが形成されている。凹部12bには、これより少しサイズが小さい長円形をしたノブ16が嵌り込むように配置されている。ノブ16は、内部のラッチ機構に連結されており、ユーザがノブ16をスライド操作することにより、これに連動してラッチ爪14,15がノブ16のスライド方向と直交する方向に出入する。
【0019】
また、ケース部材12の底壁12aのオモテ面には、X軸方向下側であって、Y軸方向の両端部分に、足部材としてのゴム足17,18が取り付けられている。
図2(b)には、パック電池1を図1のB方向から見た側面図を示す。
図2(b)に示すように、パック電池1では、ゴム足18は、X軸方向およびZ軸方向の両側に延びる2つの壁が一体形成されてなる外観構成を有し、ケース部材12における底壁12aとY軸方向右側の側壁12cとの両壁オモテ面に当接している。
【0020】
2.内部構成
パック電池1の内部構成について、図3を用い説明する。図3は、パック電池1の内部構成を説明するために、その主要な部品を展開した状態で示す模式展開斜視図である。
図3に示すように、2つのケース部材11,12で構成される内部空間には、コアパック20が収納されている。コアパック20は、それぞれが扁平形状をした複数の素電池21〜32を備え、また、これら素電池21〜32と外部コネクタ13との間の電力流通路中に介挿された回路が形成されてなる回路基板を備える。
【0021】
なお、図3では、図示を省略しているが、回路基板33は、基板ホルダに保持されており、基板ホルダにはラッチ機構が取り付けられている。そして、ラッチ機構の一部としてラッチ爪14,15がX軸方向右奥側に突出している。
また、図3に示すように、ケース部材12には、4つの側壁12g,12h,12i,・・に沿って内側の壁部材121,122,123,・・が形成されている。ケース部材12では、並行する側壁12g,12h,12i,・・とその内側の壁部材121,122,123,・・との間に溝が形成され、当該溝にケース部材11の側壁縁が嵌入される。さらに、ケース部材12の内底面12dは、金属材料からなる主要部上に、熱溶着により樹脂製の底板が取り付けられており、その内面には、コアパック20の固定のための両面粘着テープが貼着されている。これについては、後述する。
【0022】
3.ゴム足17,18の構成と取り付け
ゴム足17,18の構成について、図4(a)および図4(b)を用い説明する。なお、ゴム足17とゴム足18とは、同一構造を有するので、図4(a)および図4(b)ではゴム足18を示す。
図4(a)に示すように、ゴム足18は、X軸方向に延びる壁18aとZ軸方向に延びる壁18bとが、辺18cで突き合わされた構成を有し、さらに、辺18cおよびその近傍部分から、X軸およびZ軸の両軸に斜めとなる方向に向けて突設された棒状部18dを有する。図4(a)に示すように、棒状部18dは、壁18aに対して角度θをなして突出形成されており、角度θは、例えば、45[°]である。
【0023】
図4(b)に示すように、ゴム足18は、2つの足部材181,182が、所謂、二色成形により一体形成されてなるものである。また、部材182の表面には、予め粘着テープ183,184が貼着されている。足部材181は、例えば、TPU(熱可塑性ポリウレタン)などのゴム材料から形成され、足部材182は、例えば、PC/ABS(ポリカーボネートの中に、少しのABS樹脂が混合されたもの)などの樹脂材料により形成されている。このように二色成形にゴム足18を形成するのは、壁18a,18bにおける衝撃吸収性を確保しながら、棒状部18dの硬度をある程度確保するためである。
【0024】
なお、足部材181については、上記の他に、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴムなどの材料を用い形成することもできる。
次に、図5に示すように、ケース部材12では、ゴム足17,18が装着される部分、即ち、底壁12aと側壁12cとが突き合わせとなる辺12eおよびその近傍の一部に透孔12fが穿たれている(図5では、ゴム足18に対応する透孔12fのみを図示)。透孔12fは、ケース部材12の厚み方向における内外を挿通する状態に穿たれている。
【0025】
ケース部材12に対してゴム足18を取り付ける際には、棒状部18dをケース部材12の透孔12fに挿入して行き、壁18aおよび壁18bのそれぞれの内面がケース部材12の底壁12aおよび側壁12cのそれぞれの外面に当接させることでなされる。ここで、ケース部材12の底壁12aおよび側壁12cのそれぞれと、ゴム足18の壁18aおよび壁18bとは、予め貼着された粘着テープ183,184により接合される。そして、ケース部材12の透孔12fに挿入されたゴム足17,18の棒状部18d,・・については、その先端部分が熱で溶融され、これにより大面積化が図られることでゴム足17,18のより確実な保持がなされる。
【0026】
なお、ケース部材12に対するゴム足17の取り付けについても、上記同様である。
また、ゴム足17,18とケース部材12との接着には、両面粘着テープを用いる代わりに、接着剤を用いることも勿論可能である。
4.優位性
本実施の形態に係るパック電池1の優位性について、図6を用い説明する。
【0027】
図6の二点鎖線で囲む部分に示すように、パック電池1では、ゴム足18が、ケース部材12における底壁12aと側壁12cとの突き合わせ部分に設けられた透孔12fに挿入されている。挿入の方向は、底壁12aおよび側壁12cの何れに対しても斜め方向となっている。
上述のように、パック電池1の断面において、ゴム足18の棒状部18dは、X軸およびZ軸の双方に対し、斜め方向であって、その先端がコアパック20に対し間隙をあけた状態になっている。コアパック20における各素電池21〜32(図3を参照。)は、扁平矩形の外観を有し、端面が曲率をもって構成されている。ここで、ケース部材12の内底面12d(図3を参照)とコアパック20との間には、樹脂製の底板124と、両面粘着テープ125,126が介挿されている。ケース部材12と底板124とは、熱溶着により取り付けられている。両面粘着テープ125,126は、底板124とコアパック20との固定のために介挿されている。
【0028】
パック電池1では、上記コアパック20における素電池21〜32の外観形状により、ケース部材11とケース部材12とで構成される内部空間に、コアパック20を収納した場合には、素電池の端面とケース部材12のコーナー部分(底壁12aと側壁12cとが突き合わせとなる内面部分)に、隙間を生じることになり、当該部分にゴム足18の棒状部18dが位置する。
【0029】
なお、ゴム足17についても、同様の配置となっている。
以上のような構成を有するパック電池1では、上記従来技術に係るパック電池のように、ダンパーエリアとしてのx7(例えば、1.7[mm])を設ける必要がなく、その分だけパック電池の厚みx4を薄くすることができる。即ち、本実施の形態に係るパック電池1では、上記従来技術に係るパック電池のように、ダンパーエリアを設けなくても、外部から加わった衝撃力によりケース部材12が、ゴム足17,18の壁18a,・・の厚みに相当する分凹んだ場合においても、棒状部18dの先端が内部のコアパック20(素電池)に衝突し、コアパック20にダメージを与えることがない。
【0030】
例えば、ケース部材12の底壁12aの厚みと、ゴム足18における壁18aの厚みとを合算した厚みx1が1.9[mm]であり、ケース部材12の底壁12a内面からコアパック20の下面までの間隔x2が1.4[mm]であるとした場合、その合計の厚みx3は3.3[mm]となる。当該数値を上記従来技術に係るパック電池における相当箇所の厚みx8=1.9[mm]+0.5[mm]+1.7[mm]に対し(図7を参照。)、x3=3.3[mm]となり、0.8[mm]の薄肉化を図ることができる。そして、パック電池1の総厚みx4についても、上記従来技術に係るパック電池の総厚みx9に対して、0.8[mm]の薄肉化を図ることができる。
【0031】
なお、図6では、パック電池1の断面を模式的に描いており、寸法比などのサイズ面については、現実と異なっている。
以上より、本実施の形態に係るパック電池1では、ケース部材12における底壁12aおよび側壁12cの双方に対して、斜め方向にゴム足17,18の棒状部18dが挿入されているので、内部に収納されるコアパック20とゴム足17,18の棒状部18dの先端との間に、ダンパーエリアをあけておかなくても、ケース部材12が凹んだ場合にも、外部からの衝撃力などが、ゴム足17,18の棒状部18d,・・を介してコアパック20に伝達されることはない。即ち、パック電池1では、その使用時において、ゴム足17,18の壁18aまたは壁18bから衝撃などによる外力が加わった場合においても、棒状部18dの軸方向に力が直接伝達されず、また、斜め方向に突出しているので力の分散が図られる。このため、パック電池1では、ゴム足17,18の棒状部18dの先端と、コアパック20との間にダンパーエリアを設けなくても、機能部としてのコアパック20に対するダメージを防ぐことができる。
【0032】
また、本実施の形態に係るパック電池1でも、ゴム足17,18の棒状部18dが、ケース部材12に設けられた透孔12fに挿入されているので、ゴム足17,18に対してケース部材12の底壁12aまたは側壁12cに沿うような外力(せん断力)が加わった場合においても、棒状部18dがアンカーとなってケース部材12からのゴム足17,18が外れるのが抑制される。よって、パック電池1では、ケース部材12へのゴム足17,18の確実な取り付け状態が維持される。
【0033】
[その他の事項]
上記実施の形態では、パック電池1を一例として説明をしたが、パック電池1以外にも、ケース部材12に対するゴム足17,18の取り付け構造を種々のケースに採用することができる。即ち、ケース部材における突き合わせ辺部分に透孔を設けておき、当該透孔に斜め方向に突設されたゴム足の棒状部を挿入するという構成を採用することで、上記同様の効果が奏される。適用する機器は、例えば、安定化電源装置や、ノートブック型パーソナルコンピュータ、あるいはオーディオ用のスピーカなどの各ケースに適用することができる。
【0034】
また、上記実施の形態に係るパック電池1では、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴムから構成されたゴム足17,18を足部材の一例として採用したが、足部材の材料は、これに限らず種々のものを用いることができる。例えば、樹脂材料などを用いることもできる。
また、上記実施の形態に係るパック電池1は、図1に示すように、扁平の直方体形状のケースを備える構成としたが、ケースの形状についてはこれに限定されるものではない。例えば、立方体形状や錐台形状などのケースについても、本発明に係る構成を採用すれば、上記同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ケース部材に対する足部材の取り付け状態を確実に維持できるとともに、内部の無駄なスペースを排除することができるケースおよびパック電池を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0036】
1.パック電池
11,12.ケース部材
13.外部コネクタ
14,15.ラッチ爪
16.ノブ
17,18.ゴム足
20.コアパック
21〜32.素電池
33.回路基板
121,122,123.壁部材
181,182.足部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装の少なくとも一部を構成するケース部材と、当該ケース部材の外表面に取り付けられた足部材とを備えるケースであって、
前記ケース部材は、互いに突き合わされた第1壁と第2壁を有するとともに、前記第1壁と前記第2壁との突き合わせ部分に、部材の内外を挿通する透孔が穿たれており、
前記足部材は、前記ケース部材における前記第1壁および前記第2壁のそれぞれに対応し、且つ、互いに突き合わせられた第3壁および第4壁と、前記第3壁と前記第4壁との突き合わせ部分から両壁の双方に対して斜め方向であって、前記ケース部材の側に突出する棒状部とが、一体形成されてなるものであり、
前記足部材は、前記ケース部材に対し、前記透孔に前記棒状部が挿入され、且つ、前記第1壁に対して前記第3壁が、前記第2壁に対して前記第4壁が、それぞれ当接されている
ことを特徴とするケース。
【請求項2】
前記足部材における前記棒状部は、円形の横断面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記足部材における前記第3壁および前記第4壁は、前記ケース部材における前記第1壁および前記第2壁のそれぞれに対し、接着剤または粘着テープにより接合されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケース。
【請求項4】
前記足部材は、シリコーンゴムまたはクロロプレンゴムまたはウレタンゴムを含み構成されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のケース。
【請求項5】
請求項1から4の何れかのケースと、当該ケース内に収納された1または複数の素電池とを有する
ことを特徴とするパック電池。
【請求項6】
前記1または複数の素電池は、その外装体における端面が曲率を有し構成されており、
前記端面と前記足部材における前記棒状部の先端との間には、隙間を有している
ことを特徴とする請求項5に記載のパック電池。
【請求項1】
外装の少なくとも一部を構成するケース部材と、当該ケース部材の外表面に取り付けられた足部材とを備えるケースであって、
前記ケース部材は、互いに突き合わされた第1壁と第2壁を有するとともに、前記第1壁と前記第2壁との突き合わせ部分に、部材の内外を挿通する透孔が穿たれており、
前記足部材は、前記ケース部材における前記第1壁および前記第2壁のそれぞれに対応し、且つ、互いに突き合わせられた第3壁および第4壁と、前記第3壁と前記第4壁との突き合わせ部分から両壁の双方に対して斜め方向であって、前記ケース部材の側に突出する棒状部とが、一体形成されてなるものであり、
前記足部材は、前記ケース部材に対し、前記透孔に前記棒状部が挿入され、且つ、前記第1壁に対して前記第3壁が、前記第2壁に対して前記第4壁が、それぞれ当接されている
ことを特徴とするケース。
【請求項2】
前記足部材における前記棒状部は、円形の横断面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記足部材における前記第3壁および前記第4壁は、前記ケース部材における前記第1壁および前記第2壁のそれぞれに対し、接着剤または粘着テープにより接合されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケース。
【請求項4】
前記足部材は、シリコーンゴムまたはクロロプレンゴムまたはウレタンゴムを含み構成されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のケース。
【請求項5】
請求項1から4の何れかのケースと、当該ケース内に収納された1または複数の素電池とを有する
ことを特徴とするパック電池。
【請求項6】
前記1または複数の素電池は、その外装体における端面が曲率を有し構成されており、
前記端面と前記足部材における前記棒状部の先端との間には、隙間を有している
ことを特徴とする請求項5に記載のパック電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−3629(P2011−3629A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143976(P2009−143976)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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