コンクリート土木構造物の地盤沈下空洞検測方法
【課題】土木構造物を築造する当初から検測機器の装填が可能にされたコンクリート土木構造物の地盤沈下検測方法を提供する。
【解決手段】樋門、暗渠10等を形成するコンクリート二次製品及び現場打コンクリート構造物1に、地盤沈下、空洞、地下水位を測定する検測機器が装填可能な検側用透孔2を、グラウト孔7とは別に複数ヶ所独立して設ける。検測用透孔2は、合成樹脂製パイプ又は鋼製パイプ又はセラミック製パイプを構造物1の所定位置に予め埋込んで形成する。
【解決手段】樋門、暗渠10等を形成するコンクリート二次製品及び現場打コンクリート構造物1に、地盤沈下、空洞、地下水位を測定する検測機器が装填可能な検側用透孔2を、グラウト孔7とは別に複数ヶ所独立して設ける。検測用透孔2は、合成樹脂製パイプ又は鋼製パイプ又はセラミック製パイプを構造物1の所定位置に予め埋込んで形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木建築分野における構造物、とくに、樋門、樋管、暗渠等のコンクリート構造物の底版下部の地盤沈下や空洞対策及びコンクリート構造物の背面空洞対策に関し、当該構造物に当初から沈下検査用の検測孔を形成するコンクリート土木構造物の地盤沈下空洞検測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からコンクリート構造物における底版下部の地盤沈下や空洞対策には苦慮し、構造物に変状や被災現象が発生してから、その都度多額の補修費を費やしていた。つまり、構造物にどの程度の沈下や空洞が発生し進行しているか事前に容易に検測することが万全でなく、その対応が後手になっていた。尚、従来沈下や空洞対策にいくつかの方法はあったが、実用性に乏しいのが実情である。これは土木、建築の歴史と共に、100余年にわたる悩みであったが、本発明により解決するものである。
【0003】
例えば、計測管内に地上から吊り下ろす沈下計ゾンデにより沈下素子の位置を検出し、その深さを測定テープで測定する地盤沈下量の測定方法および装置(特許文献1参照。)。地下構造物の外側方近傍に立杭を掘削し、金属管を縦方向から横方向に曲げ加工しながら構造物の下地盤内に推進到達させ、この金属管を通じて超小型のテレビカメラを挿入して、その映像を目視して下地盤内の空洞の有無を判別する調査方法(特許文献2参照。)。軟弱地盤の沈下に従って適宜屈曲する可撓性を備えた非磁性体からなる長尺部材を打設し、この長尺部材に通電することにより励起する磁気マーカーを所定の間隔で配置し、長尺部材に近接して非磁性体より成る測定管を平行に打設し、この測定管内に磁気検知器を吊り下げ、磁気マーカーの磁界を測定して地盤の沈下量を測定する方法(特許文献3。)。外筒とそれに内設する内筒との隙間に伸縮性筒状体を張設して外筒と内筒を連結することにより、内筒の移動が自由となり、地盤沈下の測定が容易に迅速に行うことができ、且つ、地盤沈下の状況を把握すると共にグラウト注入孔を兼用した装置(特許文献4参照。)なども提案されている。
【0004】
【特許文献1】特公昭62−54924号公報
【特許文献2】特許第3820652号公報
【特許文献3】特許第3820652号公報
【特許文献4】特開2001−295261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献4に開示された底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置は、外筒管の内面と内筒管の隙間にゴム製リング状パッキングを填め込んでいるため、密接の度合いが緩いので地下水が噴出してくる。また、パッキングの密接度を強くすると内筒管の動きが悪くなるか、動かなくなり、地盤沈下の観測ができなくなるという欠点があった。したがって、このような土木構造物のうち、とくに樋門、樋管、水門等における沈下対策が急務である。これらの構造物は、工場製作に依るものと、現場打ちコンクリートによるものとがある。工場製作によるプレキャストコンクリート製品には、当初から検測用装置としての検測機器を装着するための管を予め埋め込んでおくとよい。また、現場打ちコンクリートによる場合も型枠や鉄筋配筋に支障の無い部分に検測用装置パイプを設置してからコンクリートを打設することにより、プレキャストコンクリート製品と同等の機能を備えることができる。本発明の課題は、土木構造物を築造する当初から検測機器の装填が可能にされたコンクリート土木構造物の地盤沈下検測方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明では、樋門、樋管暗渠等を形成するコンクリート二次製品及び現場打コンクリート構造物に、地盤沈下、空洞、地下水位を測定する検測機器が装填可能な検測用透孔を、複数ヶ所グラウト孔とは別に独立して設けたことを第1の特徴とする。また、検測孔を、合成樹脂製パイプ又は鋼製パイプ又はセラミック製パイプを構造物の所定位置に予め埋込んで形成することを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の利点がある。
(1)必要に応じていつでも土木構造物の沈下状態を検測することができる。検測数値の読み取り観測は、構造物本体とは別室の検測室まで検測装置が配管されているため、従来の不便で非能率的な方法として比較し、安全で作業性がよい。すなわち、沈下、空洞、地下水位等の観測は、定期観測、任意観測等、必要に応じて被災進行が確認できる。
(2)風水害、地震等が発生した場合、速やかにその変動観測ができる。
(3)沈下、空洞対策工法の施工時期の判断に地下水位観測用のパイプ装置で地下水位の観測も同時に計測しているので、施工法や施工条件の判断にも大いに役立つ。
(4)沈下、空洞工法の充填工法として、現在、セメント系、アスファルト系、発泡モルタル系、樹脂系等の充填材を使い分けているが、充填率、充填状況等のチェックも検測装置パイプを利用して確認することができる。充填グラウト工法も各種あるが、いずれの工法にも左右されず充填進行状況が検測利用できる装置である。
(5)現場打ちコンクリート構造物では、従来、土木、建築を問わず検測装置は皆無であった。したがって、事前の被災対策の予測が不可能なため、甚大な被害が発生してからの後手対策であった。したがって、本発明の活用により相当数の構造物のメンテナンス費用が節減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明にかかるコンクリート土木構造物の地盤沈下検測方法の実施形態を説明するが、便宜上同様の構成要素には同一の参照符号を付して説明する。図1は本発明に係る地盤沈下検測方法を模式的に示す側面図、図2は本発明に係るコンクリート構造物の一実施例を示す(a)は斜視図、(b)は断面図、図3乃至図14は本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【実施例】
【0009】
図1に示すように、例えば、堤防6に河川Wの止水・排水により水量を調節するために設けられる開閉ゲート4には、コンクリート製の構造物である樋門又は樋管10が施工されている。通常、樋門又は樋管10の複数のゼグメント1は、予め工場で製造されたコンクリート二次製品を配置するか、または現場での型枠並びに生コンクリーの打設により製造される。本発明では、図2以降に示すように、これらのセグメント1に予め地盤沈下や空洞あるいは地下水位を測定する検測機器(図示せず)が装填可能な検測用透孔2が、複数ヶ所グラウト孔7とは別に独立して設けられている。そして、これらの検測用透孔2に沈下測定装置として、例えば錘式の沈下測定素子(図示せず)を検測用透孔2無内に挿入し、これらの端末線を検測リンク3として検測棟5に引き込み、一斉に観測することができるようにされている。
【0010】
図2乃至図4は、本発明に係るボックスカルバート1を示すものであるが、現場打ち又はプレキャスト二次製品として製作される。カルバート1の両側壁又は外側に張り出して柱状部8を設け、これらの部位に、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。ここで、検測用透孔2は、カルバート1の用途に応じて、合成樹脂製パイプ又は鋼製パイプ又はセラミック製パイプを構造物の所定位置に予め埋込んで形成する。とくに図4に示すカルバート1は横二連結式となっている。
【0011】
図5及び図6は、本発明に係る動式擁壁用ブロック1を示すものであるが、これも現場打ち又はプレキャスト二次製品として製作される。擁壁用ブロック1の内部又は外側に張り出して設けた柱状部8には、前述と同様の方法で上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0012】
図7及び図8は、本発明に係るL型擁壁用ブロック1を示すものであるが、これも現場打ち又はプレキャスト二次製品として製作される。擁壁用ブロック1の内部又は外側に張り出して設けた柱状部8には、前述と同様の方法で上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0013】
図9は、一般住宅(木造・鉄筋)や高層ビル等の建造物に本発明を適用した例を示す。すなわち、建造物の基礎部分に前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。因みに基礎形状には、ベタ基礎、イカダ工法、表層改良、コマ基礎、柱状改良、摩擦杭、小口径鋼管、浮き基礎等が含まれる。
【0014】
図10は、プールのような貯水槽、防火水槽、地下室、地下ピット、貯蔵庫等のように躯体内部に閉塞空間を有する槽10に本発明を適用した例を示す。すなわち、槽壁内部に、前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0015】
図11は、橋桁11を載置する橋脚又は橋台1に本発明を適用した例を示す。とくに軟弱地盤上の橋は沈下による補修に困惑している。そこで、橋脚又は橋台1の内部に前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0016】
図12は、トンネル壁やアーチカルバート10に本発明を適用した例を示す。トンネルの巻き立てコンクリートを覆工コンクリートと呼ぶが、背面空洞による補修費用が莫大となる。そこで、トンネル壁やアーチカルバート10の内部に前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0017】
図13及び図14は、管路や暗渠10に本発明を適用した例を示す。地中に埋設される台座1の部分に前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成し、さらにこの検測用透孔2に立ち上げパイプ12を連通させて検測孔を地上に露呈させる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
(1)公園や遊園地の諸構造物や施設にも当初からセッティングしておけば安心である。
(2)プール等の水溜用施設に利用できる。
(3)大型、小型の区別なく石油タンク基地のコンクリート基礎底版に利用できる。
(4)原子力発電所のコンクリート基礎底版に利用できる。
(5)軟弱地盤上の構造物及び埋め立て盛土上の各種構造物や施設に利用できる。
(6)地下鉄道構造物基礎底盤に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る地盤沈下検測方法を模式的に示す側面図である。
【図2】本発明に係るコンクリート構造物の一実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図3】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図4】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図5】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図6】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図7】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図8】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図9】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図10】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図11】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図12】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図13】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図14】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 コンクリートセグメント(コンクリート構造物)
2 検測孔
3 検測装置リンク
4 ゲート
5 管理棟
6 堤防
7 グラウト孔
8 張り出し柱状部
9 一般住宅・高層ビル
10 樋門・樋管又は暗渠
11 橋桁
12 立ち上げパイプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木建築分野における構造物、とくに、樋門、樋管、暗渠等のコンクリート構造物の底版下部の地盤沈下や空洞対策及びコンクリート構造物の背面空洞対策に関し、当該構造物に当初から沈下検査用の検測孔を形成するコンクリート土木構造物の地盤沈下空洞検測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からコンクリート構造物における底版下部の地盤沈下や空洞対策には苦慮し、構造物に変状や被災現象が発生してから、その都度多額の補修費を費やしていた。つまり、構造物にどの程度の沈下や空洞が発生し進行しているか事前に容易に検測することが万全でなく、その対応が後手になっていた。尚、従来沈下や空洞対策にいくつかの方法はあったが、実用性に乏しいのが実情である。これは土木、建築の歴史と共に、100余年にわたる悩みであったが、本発明により解決するものである。
【0003】
例えば、計測管内に地上から吊り下ろす沈下計ゾンデにより沈下素子の位置を検出し、その深さを測定テープで測定する地盤沈下量の測定方法および装置(特許文献1参照。)。地下構造物の外側方近傍に立杭を掘削し、金属管を縦方向から横方向に曲げ加工しながら構造物の下地盤内に推進到達させ、この金属管を通じて超小型のテレビカメラを挿入して、その映像を目視して下地盤内の空洞の有無を判別する調査方法(特許文献2参照。)。軟弱地盤の沈下に従って適宜屈曲する可撓性を備えた非磁性体からなる長尺部材を打設し、この長尺部材に通電することにより励起する磁気マーカーを所定の間隔で配置し、長尺部材に近接して非磁性体より成る測定管を平行に打設し、この測定管内に磁気検知器を吊り下げ、磁気マーカーの磁界を測定して地盤の沈下量を測定する方法(特許文献3。)。外筒とそれに内設する内筒との隙間に伸縮性筒状体を張設して外筒と内筒を連結することにより、内筒の移動が自由となり、地盤沈下の測定が容易に迅速に行うことができ、且つ、地盤沈下の状況を把握すると共にグラウト注入孔を兼用した装置(特許文献4参照。)なども提案されている。
【0004】
【特許文献1】特公昭62−54924号公報
【特許文献2】特許第3820652号公報
【特許文献3】特許第3820652号公報
【特許文献4】特開2001−295261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献4に開示された底版下の地盤沈下の測定兼グラウト注入装置は、外筒管の内面と内筒管の隙間にゴム製リング状パッキングを填め込んでいるため、密接の度合いが緩いので地下水が噴出してくる。また、パッキングの密接度を強くすると内筒管の動きが悪くなるか、動かなくなり、地盤沈下の観測ができなくなるという欠点があった。したがって、このような土木構造物のうち、とくに樋門、樋管、水門等における沈下対策が急務である。これらの構造物は、工場製作に依るものと、現場打ちコンクリートによるものとがある。工場製作によるプレキャストコンクリート製品には、当初から検測用装置としての検測機器を装着するための管を予め埋め込んでおくとよい。また、現場打ちコンクリートによる場合も型枠や鉄筋配筋に支障の無い部分に検測用装置パイプを設置してからコンクリートを打設することにより、プレキャストコンクリート製品と同等の機能を備えることができる。本発明の課題は、土木構造物を築造する当初から検測機器の装填が可能にされたコンクリート土木構造物の地盤沈下検測方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明では、樋門、樋管暗渠等を形成するコンクリート二次製品及び現場打コンクリート構造物に、地盤沈下、空洞、地下水位を測定する検測機器が装填可能な検測用透孔を、複数ヶ所グラウト孔とは別に独立して設けたことを第1の特徴とする。また、検測孔を、合成樹脂製パイプ又は鋼製パイプ又はセラミック製パイプを構造物の所定位置に予め埋込んで形成することを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の利点がある。
(1)必要に応じていつでも土木構造物の沈下状態を検測することができる。検測数値の読み取り観測は、構造物本体とは別室の検測室まで検測装置が配管されているため、従来の不便で非能率的な方法として比較し、安全で作業性がよい。すなわち、沈下、空洞、地下水位等の観測は、定期観測、任意観測等、必要に応じて被災進行が確認できる。
(2)風水害、地震等が発生した場合、速やかにその変動観測ができる。
(3)沈下、空洞対策工法の施工時期の判断に地下水位観測用のパイプ装置で地下水位の観測も同時に計測しているので、施工法や施工条件の判断にも大いに役立つ。
(4)沈下、空洞工法の充填工法として、現在、セメント系、アスファルト系、発泡モルタル系、樹脂系等の充填材を使い分けているが、充填率、充填状況等のチェックも検測装置パイプを利用して確認することができる。充填グラウト工法も各種あるが、いずれの工法にも左右されず充填進行状況が検測利用できる装置である。
(5)現場打ちコンクリート構造物では、従来、土木、建築を問わず検測装置は皆無であった。したがって、事前の被災対策の予測が不可能なため、甚大な被害が発生してからの後手対策であった。したがって、本発明の活用により相当数の構造物のメンテナンス費用が節減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明にかかるコンクリート土木構造物の地盤沈下検測方法の実施形態を説明するが、便宜上同様の構成要素には同一の参照符号を付して説明する。図1は本発明に係る地盤沈下検測方法を模式的に示す側面図、図2は本発明に係るコンクリート構造物の一実施例を示す(a)は斜視図、(b)は断面図、図3乃至図14は本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【実施例】
【0009】
図1に示すように、例えば、堤防6に河川Wの止水・排水により水量を調節するために設けられる開閉ゲート4には、コンクリート製の構造物である樋門又は樋管10が施工されている。通常、樋門又は樋管10の複数のゼグメント1は、予め工場で製造されたコンクリート二次製品を配置するか、または現場での型枠並びに生コンクリーの打設により製造される。本発明では、図2以降に示すように、これらのセグメント1に予め地盤沈下や空洞あるいは地下水位を測定する検測機器(図示せず)が装填可能な検測用透孔2が、複数ヶ所グラウト孔7とは別に独立して設けられている。そして、これらの検測用透孔2に沈下測定装置として、例えば錘式の沈下測定素子(図示せず)を検測用透孔2無内に挿入し、これらの端末線を検測リンク3として検測棟5に引き込み、一斉に観測することができるようにされている。
【0010】
図2乃至図4は、本発明に係るボックスカルバート1を示すものであるが、現場打ち又はプレキャスト二次製品として製作される。カルバート1の両側壁又は外側に張り出して柱状部8を設け、これらの部位に、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。ここで、検測用透孔2は、カルバート1の用途に応じて、合成樹脂製パイプ又は鋼製パイプ又はセラミック製パイプを構造物の所定位置に予め埋込んで形成する。とくに図4に示すカルバート1は横二連結式となっている。
【0011】
図5及び図6は、本発明に係る動式擁壁用ブロック1を示すものであるが、これも現場打ち又はプレキャスト二次製品として製作される。擁壁用ブロック1の内部又は外側に張り出して設けた柱状部8には、前述と同様の方法で上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0012】
図7及び図8は、本発明に係るL型擁壁用ブロック1を示すものであるが、これも現場打ち又はプレキャスト二次製品として製作される。擁壁用ブロック1の内部又は外側に張り出して設けた柱状部8には、前述と同様の方法で上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0013】
図9は、一般住宅(木造・鉄筋)や高層ビル等の建造物に本発明を適用した例を示す。すなわち、建造物の基礎部分に前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。因みに基礎形状には、ベタ基礎、イカダ工法、表層改良、コマ基礎、柱状改良、摩擦杭、小口径鋼管、浮き基礎等が含まれる。
【0014】
図10は、プールのような貯水槽、防火水槽、地下室、地下ピット、貯蔵庫等のように躯体内部に閉塞空間を有する槽10に本発明を適用した例を示す。すなわち、槽壁内部に、前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0015】
図11は、橋桁11を載置する橋脚又は橋台1に本発明を適用した例を示す。とくに軟弱地盤上の橋は沈下による補修に困惑している。そこで、橋脚又は橋台1の内部に前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0016】
図12は、トンネル壁やアーチカルバート10に本発明を適用した例を示す。トンネルの巻き立てコンクリートを覆工コンクリートと呼ぶが、背面空洞による補修費用が莫大となる。そこで、トンネル壁やアーチカルバート10の内部に前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成する。
【0017】
図13及び図14は、管路や暗渠10に本発明を適用した例を示す。地中に埋設される台座1の部分に前述と同様の方法で、上下に貫通する検測用透孔2を形成し、さらにこの検測用透孔2に立ち上げパイプ12を連通させて検測孔を地上に露呈させる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
(1)公園や遊園地の諸構造物や施設にも当初からセッティングしておけば安心である。
(2)プール等の水溜用施設に利用できる。
(3)大型、小型の区別なく石油タンク基地のコンクリート基礎底版に利用できる。
(4)原子力発電所のコンクリート基礎底版に利用できる。
(5)軟弱地盤上の構造物及び埋め立て盛土上の各種構造物や施設に利用できる。
(6)地下鉄道構造物基礎底盤に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る地盤沈下検測方法を模式的に示す側面図である。
【図2】本発明に係るコンクリート構造物の一実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図3】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図4】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図5】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図6】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図7】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図8】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図9】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図10】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図11】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図12】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図13】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図14】本発明に係るコンクリート構造物の他の実施例を示す(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 コンクリートセグメント(コンクリート構造物)
2 検測孔
3 検測装置リンク
4 ゲート
5 管理棟
6 堤防
7 グラウト孔
8 張り出し柱状部
9 一般住宅・高層ビル
10 樋門・樋管又は暗渠
11 橋桁
12 立ち上げパイプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樋門、樋管、暗渠等を形成するコンクリート二次製品及び現場打コンクリート構造物に、地盤沈下、空洞、地下水位を測定する検測機器が装填可能な検測用透孔を、複数ヶ所グラウト孔とは別に独立して設けたことを特徴とするコンクリート製土木構造物の地盤沈下空洞検測定方法。
【請求項2】
検測孔を、合成樹脂製パイプ又は鋼製パイプ又はセラミック製パイプを構造物の所定位置に予め埋込んで形成することを特徴とする請求項1記載のコンクリート土木構造物の地盤沈下測定方法。
【請求項1】
樋門、樋管、暗渠等を形成するコンクリート二次製品及び現場打コンクリート構造物に、地盤沈下、空洞、地下水位を測定する検測機器が装填可能な検測用透孔を、複数ヶ所グラウト孔とは別に独立して設けたことを特徴とするコンクリート製土木構造物の地盤沈下空洞検測定方法。
【請求項2】
検測孔を、合成樹脂製パイプ又は鋼製パイプ又はセラミック製パイプを構造物の所定位置に予め埋込んで形成することを特徴とする請求項1記載のコンクリート土木構造物の地盤沈下測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−90668(P2010−90668A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264235(P2008−264235)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(508305258)日新興業株式会社 (4)
【出願人】(392030450)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(508305258)日新興業株式会社 (4)
【出願人】(392030450)
【Fターム(参考)】
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