コンバインの排藁結束装置
【課題】脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板を備えたコンバインにおいて、脱穀部に投入される前に既に折れ曲がった状態にある倒伏材の株元と根揃え板との当接により、稈姿勢の乱れを伴った結束ミスや詰まりが誘発されることを防止する。
【解決手段】根揃え板移動装置73による根揃え板71の排藁の稈身方向への移動制御を、株元検知手段97による検出結果に基づいて根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段97よる検出結果に拘らず、当該根揃え板71を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成するにあたり、前記通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えを、前処理部4の動作速度を増速する既存の操作手段35の増速操作に連動させて行えるように構成した。
【解決手段】根揃え板移動装置73による根揃え板71の排藁の稈身方向への移動制御を、株元検知手段97による検出結果に基づいて根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段97よる検出結果に拘らず、当該根揃え板71を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成するにあたり、前記通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えを、前処理部4の動作速度を増速する既存の操作手段35の増速操作に連動させて行えるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板と、前記排藁の株元を検出する株元検知手段と、該株元検知手段の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板を排藁の稈身方向に移動させて適正な根揃え位置に合わせることができる根揃え板移動装置を備えたコンバインの排藁結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの排藁結束装置(ノッタ)においては、脱穀部から排藁搬送装置を介して排藁結束装置に搬送される排藁は、脱穀処理される前に前処理部において扱深さ調節がなされるので、排藁結束装置へ排藁が送り込まれた時は、その穂先位置は略一定の位置となるが、他方の株元位置は稈長よって異なるものとなる。
【0003】
したがって、脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元(株端)を、この排藁の稈身方向に沿って設けた一対の位置センサによって検出すると共に、該位置センサの検出信号に基づいて根揃え板(株端押圧板)を排藁の稈身方向に移動させて適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置を設け、前記根揃え板を排藁の稈長に応じて自動的に移動させながら排藁の株元を揃えた状態で結束できるように構成した排藁結束装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−47130号公報(第3−4頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前処理部で刈取る穀稈が倒伏材の場合は、該倒伏材が脱穀部に投入される前にその株元が既に折れ曲がった状態になっており、この様に折れ曲がった状態にある排藁の適正な根揃え位置を上述の位置センサで検出することは困難であり、例えば根揃え板が過度に穂先側に移動しすぎると、折れ曲がった状態にある排藁の株元が根揃え板に引っ掛かり、稈姿勢に乱れが生じて結束ミスや詰まりを誘発するので改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、穀稈を刈取る前処理部と、該前処理部で刈取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板と、前記排藁の株元位置を検出する株元検知手段と、該株元検知手段の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板を排藁の稈身方向に移動させて根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置と、前記根揃え板により株元が揃えられた排藁を結束する結束部とを備えたコンバインの排藁結束装置において、前記根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段による検出結果に基づいて根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段よる検出結果に拘らず、当該根揃え板を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したことを第1の特徴としている。
そして、前記通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部の動作速度を増速する既存の倒伏材切換操作手段の操作に連動してなされることを第2の特徴としている。
また、穀稈を刈取る前処理部と、該前処理部で刈取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板と、前記排藁の株元位置を検出する株元検知手段と、該株元検知手段の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板を排藁の稈身方向に移動させて根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置と、前記根揃え板により株元が揃えられた排藁を結束する結束部とを備えたコンバインの排藁結束装置において、前記根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段による検出結果に基づいて根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段よる検出結果に基づいて根揃え板を排藁の株元から離間する方向にのみ移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したことを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、株元検知手段による検出結果に基づいて根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段よる検出結果に拘らず、当該根揃え板を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したので、前処理部で刈取る穀稈が倒伏材の場合は、根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記通常制御モードから倒伏材制御モードに切換えることによって、前記根揃え板は排藁の株元から離間する方向に強制的に移動するので、脱穀部に投入される前に既に折れ曲がった状態にある倒伏材の株元に根揃え板が当接しなくなり、それによって稈姿勢の乱れが起こり難くなるので排藁結束装置において結束ミスや詰まりが誘発されることはない。
そして、請求項2の発明によれば、前記通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部の動作速度を増速する既存の倒伏材切換操作手段の操作に連動してなされるので、当該切換え操作をコンバインの作業形態に対応させて容易に行うことができると共に、特別な切換え操作手段を設ける必要がなくコストの低減も図れる。
また、請求項3の発明によれば、根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段による検出結果に基づいて根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段よる検出結果に基づいて根揃え板を排藁の株元から離間する方向にのみ移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したので、例えば倒伏材において、根揃え板が過度に穂先側に移動することにより、折れ曲がった状態にある排藁の株元が根揃え板に引っ掛かり、稈姿勢に乱れが生じて結束ミスや詰まりが誘発されるといった従来の不具合が起こらない。そして、穀稈は、穂先側よりも株元側の稈径が大きく重量も重くなっており、コンバインの機体振動や旋回時の遠心力により集束中の倒伏材全体が株元側(左側)にずれ込んで稈姿勢の乱れが起こり易くなるが、根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記通常制御モードから倒伏材制御モードに切換えることによって、当該根揃え板は、排藁の株元から離間する方向にのみ移動するので、稈全体が株元側にずれ込もうとする倒伏材の株元を根揃え板で受け止めてストッパ的な作用を現出させることができ、それにより稈姿勢の乱れが起こり難くなるので排藁結束装置において詰まりや結束ミスが誘発されることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、コンバイン1の左側面図
であって、コンバイン1は、走行部である左右のクローラ走行装置2に支持した走行機体(機体フレーム)3の前部に穀稈を刈取る前処理部4を昇降自在に連結すると共に、その後方一側に選別室5を有する脱穀部6を配置している。
【0008】
前処理部4で刈取られた穀稈は、穀稈搬送部7を経て脱穀部6の図示しない扱室に沿って配設されている脱穀フィードチェン8に受け継がれ、この脱穀フィードチェン8と挟扼レール9により穀稈の株元を挟持して後方に搬送される過程で、扱室内において回転駆動する扱胴52(図2参照)によって脱穀処理される。更に、脱穀部6で脱穀された穀粒は、選別室(選別部)5内で選別処理された後、図示しない揚穀筒を介して前処理部4の後方他側に配設されている穀粒タンク10内に一時的に貯留される。そして、穀粒タンク10内に一時的に貯留した穀粒をトラックやトレーラ等の輸送手段に排出するために、起伏及び旋回自在な穀粒排出オーガ11を設けている。
【0009】
また、脱穀部6の後方には、この脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁を切断処理するカッタ装置13を設けると共に、該カッタ装置13の後方には、排藁を結束する排藁結束装置14を装着している。更に詳しく説明すると、カッタ装置13の上方には、図示しない排藁供給口に臨む開閉自在な切換板15が設けてあり、この切換板15を図示の如く上方に開動させた時は、前記排藁供給口からカッタ装置13内に排藁が送給される一方、切換板15を閉じた時は、該切換板15の上方を排藁が通過して排藁結束装置(ノッタ)14に送給されるようになっている。
【0010】
次に、図2に示す伝動図に基づいて、コンバイン1の伝動構造を説明する。エンジン21の動力は、その出力軸22に固設した出力プーリ23から、トランスミッション24の主変速機を構成する走行用HST25の入力プーリ26に走行クラッチ27を介してベルト伝動されると共に、トランスミッション24の副変速機構28及び歯車列29を介して変速された動力が左右のクローラ走行装置2の駆動スプロケット31に伝達される。
【0011】
尚、図3は、コンバイン1の操縦部を構成するキャビン32内部の左側を示す斜視図であって、キャビン32内に備える操縦席33の左側には、図4(a),(b)に示すように、モーメンタリスイッチからなる強制掻込みスイッチ34と標準/倒伏切換スイッチ35を把持部36aに備えた主変速レバー36を設けてあり、該主変速レバー36により走行用HST25の回転を無段階に変速操作することによってコンバイン1の走行速度を無段階に変速することができる。また、主変速レバー36より更に遠方の左側には副変速レバー37が設けてあり、この副変速レバー37を操作することによって路上走行速度と作業走行速度の切換えがなされる。
【0012】
そして、図中符号41は、副変速軸42の回転数をコンバイン1の走行速度として検出する走行速度検出センサである。また、エンジン21の出力軸22の先端側に固設した出力プーリ44からは、ギヤケース45の入力軸46に固設した入力プーリ47に脱穀クラッチ48を介してエンジン31の動力がベルト伝動されると共に、前記入力軸46の先端側に固設した脱穀部入力プーリ49からは、脱穀部6を構成する唐箕ファン51に動力がベルト伝動され、更に唐箕ファン51の回転軸51aを介して扱胴52及び選別部5にも動力がベルト伝動される。
【0013】
上述したギヤケース45は、入力軸46に入力されたエンジン21の動力を前処理用HST53で無段変速し、しかる後に前処理部4及び脱穀フィードチェン8に伝達できるように、当該ギヤケース45の前処理出力軸55の先端に固設した出力プーリ56から、前処理伝動クラッチ57を介して前処理入力プーリ58にベルト伝動される。即ち、前処理伝動クラッチ57の伝動上手側に前処理用HST53が設けてあり、それによって、前処理部4及び脱穀フィードチェン8の穀稈搬送速度を任意に変更することができる。
【0014】
尚、ギヤケース45の出力軸59には、脱穀フィードチェン8に向けて延出させた脱穀フィードチェン駆動軸61が連結してあり、この脱穀フィードチェン駆動軸61は、走行機体(機体フレーム)3の上方で脱穀部6の前方に横設されて機体の左端部に至り、その先端に設けた駆動スプロケット62を介して脱穀フィードチェン8を駆動させることができるようになっている。
【0015】
また、図中符号63は、ギヤケース45内の前処理出力軸55の回転数を検出する前処理回転センサ、符号64は、前処理用HST53の回転数を無段階に変速するためにトラニオン軸を作動させるHST変速モータ(電動モータ)であり、図10に示すマイクロコンピュータ125に入力される走行速度検出センサ41の検出値に基づいて、HST変速モータ64を作動させて前処理用HST53の斜板角度を変更し、走行速度検出センサ41で検出したトランスミッション24の副変速軸42の回転数に連係させて前処理用HST53の回転数を制御している。
【0016】
次に、排藁結束装置(ノッタ)14について説明する。図5〜図7は、カッタ装置13の後方に装着される排藁結束装置14の側面図、平面図、及び背面図であって、この排藁結束装置14は、排藁搬送装置12を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板71を備えた根揃え装置72と、該根揃え板71(根揃え装置72)を排藁の稈身方向に移動させる根揃え板移動装置73と、根揃え板71により株元が揃えられた排藁を結束する結束部74とを備えている。
【0017】
即ち、脱穀部6側から排藁結束装置14の排藁排出経路75内に送られる排藁の株元(株端)が根揃え板71によって揃えられながら、排藁排出経路75内の集束位置で所定量集束されると、結束部74の構成部品である排藁排出経路75の下方に設けられたニードル部76のニードル77によって結束紐が供給されると共に、同じく結束部74の構成部品である排藁排出経路75の上方に設けられた結節部78の結束装置79がニードル77と連動しながら動作し、上述の如く集束された排藁が結束紐によって結束される。そして、結束された排藁は、結節部74側に備えるスイーパ81等を介して機外に放出されるようになっている。
【0018】
次に、結束部74の構造について説明する。排藁結束装置14の外枠を形成するノッタフレーム82には、排藁排出経路75を挟んだ下方にニードル部76を備えたニードル部ケース83を、排藁排出経路75を挟んだ上方に結節部78を備えた結節部ケース84をそれぞれ設けてあり、ニードル部ケース83は、スライドフレーム85を介して下側の横フレーム82bに、また結節部ケース84は、スライドフレーム86を介して上側の横フレーム82a,82aにそれぞれ左右スライド自在に支持されている。そして、ニードル部76に駆動力を入力する第1入力軸87はニードル部ケース83に貫通すると共に、結節部78に駆動力を入力する第2入力軸88は結節部ケース84に貫通して、両入力軸87,88共、それぞれ対応するケース83,84をスライド自在に支持している。
【0019】
上述した両入力軸87,88は、多角形断面またはスプライン形状を有しており、両入力軸87,88にそれぞれ対応するケース83,84は、両入力軸87,88の軸方向、即ち排藁結束装置14の左右方向に自在にスライドする。また、ニードル部ケース83と結節部ケース84は、排藁の穂先側に向かって略U字形に湾曲した連結フレーム89によって一体的に固定されている。
【0020】
次に、根揃え装置72の構造について説明する。根揃え装置72は、ノッタフレーム82内に構成する結束部74(ニードル部ケース83及び結節部ケース84)の左側(株元側)に設けられている。根揃え装置72は、図5〜図9(a),(b)に示すように、上方にスライドフレーム91を固定したコ字状断面を有するフレーム92に各構成部品を組み付けて構成してあり、前記スライドフレーム91は、上側の横フレーム82a,82aに左右スライド自在に取り付けられている。即ち、根揃え装置72は、スライドフレーム91を介して上側の横フレーム82a,82aに左右スライド自在に支持されている。一方、フレーム92の前端には、脱穀装置6側(前方)に延出させた支持杆93を固定部材92aを介して固設すると共に、左側面における前後方向の略中央位置付近には、下方に延出した駆動機構フレーム95を固設している。
【0021】
そして、上述した支持杆93の先端には、取付プレート96を介して排藁の稈身方向(左右方向)に位置センサ97を設置してある。この位置センサ97は、穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rからなり、両穀稈センサL,Rは、リミットスイッチ式セン及び光センサ等で構成されており、その下方を排藁の株元が通過すると入りまたは切り状態となる。即ち、位置センサ97を構成する穀稈センサL,Rは、排藁の株元位置を検出する株元検知手段として作用し、両穀稈センサL,Rの検出した排藁の株元位置に基づいて、根揃え板71を排藁の稈身方向に移動させて適正な根揃え位置に合わせることができる根揃え板移動装置73を後述の如く設けている。
【0022】
また、上述したフレーム92の後端には、固定部材98を介して左右一対の支点軸99,99を下方に向けて突設してあり、両支点軸99,99を支点として平行リンク101を左右揺動自在に取り付けている。そして、平行リンク101の前端を構成する連結リンク102には、取付杆103を介して排藁排出経路75の前後方向に沿う根揃え板71を取り付けてあり、当該平行リンク101の左右揺動によって根揃え板71が左右方向に往復運動する。
【0023】
また、第2入力軸88は、結節部ケース84と駆動機構フレーム95を貫通すると共に、該駆動機構フレーム95を左右スライド自在に支持している。即ち、根揃え装置72は、上側の横フレーム82aと第2入力軸88を案内体として左右スライド自在に支持されている。一方、駆動機構フレーム95には、第2入力軸88から駆動力が伝達される駆動軸104を左側方に突出させてあり、この駆動軸104の先端にクランクアーム105を固設すると共に、該クランクアーム105の先端と平行リンク101のアーム部とをロッド106を介して連結することによって、駆動軸104の回転によりクランクアーム105、ロッド106、及び平行リンク101を介して根揃え板71が左右方向に往復運動する。
【0024】
この時、根揃え板71は、位置センサ97を構成する穀稈センサ(株元側センサ)Lの感知位置より株元側から、穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rの各感知位置の概ね中間位置までの範囲を往復運動し、その往復運動の幅W1が両穀稈センサL,R(両センサの感知位置)間の距離W2より小さくなるように設定してある。そして、根揃え板71の往復運動幅W1の左右略中間位置と穀稈センサ(株元側センサ)Lの感知位置とが左右方向において略一致している。
【0025】
次に、根揃え板移動装置73の構造について説明する。スライドフレーム91の上面側には、スペーサ108を介して固定した取付プレート109に根揃え板移動モータ111を取り付けている。また、取付プレート109には、下方に突出する軸112aを一体に備えた回転子112を回転自在に取り付けると共に、この回転子112の外周に形成したギヤ113と根揃え板移動モータ111の回転軸に設けたギヤ114を歯合させると共に、下方に突出する回転子112の軸112aの下端に取り付けたピニオン(ギヤ)115を、ノッタフレーム82に固定したラック116と歯合させている。即ち、根揃え板移動モータ111を駆動または停止させることによって、上述のギヤ113,114を介して回転子112の回転または停止がなされ、この時ピニオン(ギヤ)115とラック116の噛合により、根揃え板移動装置73の排藁の稈身方向(左右方向)へスライド移動または位置固定がなされる。
【0026】
次に、根揃え板移動装置73の動作について説明する。根揃え板移動装置73は、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁が、排藁搬送装置12の搬送方向下流側に備えるメインセンサ121によって検出されると作動を開始するようにしてある。そして、上述の位置センサ97位置を排藁の株元側が通過する時、穀稈センサ(株元側センサ)Lが切り(または入り)状態、穀稈センサ(穂先側センサ)Rが入り(または切り)状態となるように、根揃え板移動モータ111を駆動させて当該根揃え板移動装置73の位置を自動的に設定する。しかる後に、排藁結束装置14に備えるパッカ122により排藁が掻き込まれ、排藁排出経路75内の集束位置に排藁が集束されるが、この時根揃え板移動装置73(根揃え板71)が上述の位置に設定されているので、排藁の株元(株端)は根揃え板71の往復動作範囲内に位置する。
【0027】
つまり、図6に示すように、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して排藁結束装置14に搬送される排藁は、排藁結束装置14の左右中心に対して穂先側が脱穀部6側に向く傾斜姿勢で搬送されるので、パッカ122で掻き込まれた排藁は排藁結束装置14の左側(株元側)に移動する。また、排藁の稈は、株元から穂先に行くに従って細くなっている(穂先側よりも株元側の稈径が大きく重量も重くなっている)ため、コンバイン1の機体振動等の影響によっても排藁は排藁結束装置14の左側(株元側)に移動し易くなっている。
【0028】
これにより、排藁の株元が位置センサ97を構成する穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rの間を通過した後、排藁は排藁結束装置14の左側(株元側)に寄ってしまうが、根揃え板71の往復動作始端が穀稈センサ(株元側センサ)Lより株元寄りに位置しているので、排藁の株元が根揃え板71の往復動作範囲から外れることはない。したがって、根揃え板71の往復動作によって排藁の株元が確実に叩き揃えられて根揃えが行われると共に、排藁は株元が揃った状態で排藁排出経路75内の集束位置に集束され、しかる後に上述した結束部74で結束された後、スイーパ81等を介して機外に放出されるようになっている。
【0029】
ところが、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して排藁結束装置に14搬送される排藁は、脱穀処理される前に前処理部4において扱深さ調節がなされるので、排藁結束装置14へ排藁が送り込まれた時は、その穂先位置は略一定の位置となるが、他方の株元位置は稈長よって異なるものとなる。
【0030】
この時、前処理部4で刈取る穀稈が倒伏材の場合は、該倒伏材が脱穀部6に投入される前にその株元が既に折れ曲がった状態になっており、この様に折れ曲がった状態にある排藁の適正な根揃え位置を上述の位置センサ97(穀稈センサL,R)で検出することは困難であり、例えば根揃え板71が過度に穂先側に移動しすぎると、折れ曲がった状態にある排藁の株元が根揃え板721に引っ掛かり、稈姿勢に乱れが生じて結束ミスや詰まりを誘発するので改善の余地があった。
【0031】
本発明は、上述した課題を解決することを目的としたものであり、以下図10に示すブロック図、図11及び図12に示すフローチャートに基づいて説明する。コンバイン1は、図10に示すブロック図のように、マイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される制御装置125を備えており、この制御装置125の入力側には、トランスミッション24の副変速軸42の回転数をコンバイン1の走行速度として検出する走行速度検出センサ41、ギヤケース45内の前処理出力軸55の回転数を検出する前処理回転センサ63、主変速レバー36の把持部36aに備える強制掻込みスイッチ34と標準/倒伏切換スイッチ35、排藁搬送装置12の搬送方向下流側に備えるメインセンサ121、排藁の株元位置を検出する穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)R、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向(左右方向)へのスライド移動限を検出する左右のリミットスイッチLL,LRを所定の入力インターフェイス回路を介して接続する一方、制御装置125の出力側には、前処理用HST53の回転数を無段階に変速するためにトラニオン軸を作動させるHST変速モータ64、根揃え板71(根揃え板移動装置73)を排藁の稈身方向(左右方向)へスライド移動または位置固定させる根揃え板移動モータ111を所定の出力インターフェイス回路を介して接続している。
【0032】
そして、図11は、上述の制御装置125を介して実行する根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御の第一実施例を示すフローチャートであって、以下このフローチャートに基づいて説明する。
【0033】
先ずステップS1では、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁が、排藁搬送装置12の搬送方向下流側に備えるメインセンサ121によって検出されたか否かを判断し、メインセンサ121が入り状態で排藁が検出されたならばステップS2に進み、メインセンサ121が切り状態で排藁が検出されていなければステップS3に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。
【0034】
ステップS2では、主変速レバー36の把持部36aに備える標準/倒伏切換スイッチ35が入り状態または切り状態にあるか否かを判断する。更に詳しく説明すると、図12に示すように、倒伏材を刈り取る際は、倒伏する穀稈の穂側の引起しを促進するために標準/倒伏切換スイッチ35を入り操作して前処理動速度を標準材よりも増速させるが、このように標準/倒伏切換スイッチ35が入り状態の倒伏材制御モードにあればステップS5に進み、標準/倒伏切換スイッチ35が切り状態で前処理動速度が標準速度の通常制御モードであればステップS4に進む。即ち、ステップS2における通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部4の動作速度を変更可能な既存の操作手段である標準/倒伏切換スイッチ35の増速操作(倒伏側への操作)に連動してなされるので、当該切換え操作をコンバイン1の作業形態に対応させて容易に行うことができる。
【0035】
ステップS4では、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁の株元が、穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rにより検出されたか否かを判断し、両穀稈センサL,Rとも入り状態であればステップS5に進み、穀稈センサ(株元側センサ)Lが切り状態で、且つ穀稈センサ(穂先側センサ)Rが入り状態の適正制御位置にあればステップS6に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。また、両穀稈センサL,Rとも切り状態であればステップS7に進む。
【0036】
そして、ステップS5では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向株元側(左側)へのスライド移動限を検出する左側リミットスイッチLLが入り状態にあるか否かを判断し、左側リミットスイッチLLが入り状態のスライド移動限にあればステップS6に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。一方、左側リミットスイッチLLが切り状態にあればステップS8に進む。
【0037】
また、ステップS7では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向穂先側(右側)へのスライド移動限を検出する右側リミットスイッチLRが入り状態にあるか否かを判断し、右側リミットスイッチLRが入り状態のスライド移動限にあればステップS6に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。一方、右側リミットスイッチLRが切り状態にあればステップS9に進む。
【0038】
そして、ステップS8では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向株元側(左側)へスライド移動するように、根揃え板移動モータ111を逆転駆動させる制御を実行する。また、ステップS9では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向穂先側(右側)へスライド移動するように、根揃え板移動モータ111を正転駆動させるといった一連の制御を実行する。
【0039】
以上説明した根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御(第一実施例)によれば、根揃え板移動装置73による根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、排藁の株元を検出する株元検知手段としての位置センサ97を構成する穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rの検出結果に基づいて根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、両穀稈センサL,Rによる検出結果に拘らず、当該根揃え板71を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したので、前処理部4で刈取る穀稈が倒伏材の場合は、根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記通常制御モードから倒伏材制御モードに切換えることによって、根揃え板71は排藁の株元から離間する方向に強制的に移動するので、脱穀部6に投入される前に既に折れ曲がった状態にある倒伏材の株元に根揃え板71が当接しなくなり、それによって稈姿勢の乱れが起こり難くなるので排藁結束装置14において結束ミスや詰まりが誘発されることはない。
【0040】
そして、上述した通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部4の動作速度を増速する既存の倒伏材切換操作手段である標準/倒伏切換スイッチ35の増速操作(倒伏側への操作)に連動してなされるので、当該切換え操作をコンバイン1の作業形態に対応させて容易に行うことができると共に、特別な切換え操作手段を設ける必要がなくコストの低減も図れる。
【0041】
また、図13は、制御装置125を介して実行する根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御の第二実施例を示すフローチャートであって、以下このフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
先ずステップS1では、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁が、排藁搬送装置12の搬送方向下流側に備えるメインセンサ121によって検出されたか否かを判断し、メインセンサ121が切り状態で排藁が検出されていなければステップS2に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。また、メインセンサ121が入り状態で排藁が検出されたならばステップS3に進む。
【0043】
ステップS3では、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁の株元が、穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rにより検出されたか否かを判断し、両穀稈センサL,Rとも入り状態であればステップS4に進み、穀稈センサ(株元側センサ)Lが切り状態で、且つ穀稈センサ(穂先側センサ)Rが入り状態の適正制御位置にあればステップS5に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。また、両穀稈センサL,Rとも切り状態であればステップS6に進む。
【0044】
そして、ステップS4では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向株元側(左側)へのスライド移動限を検出する左側リミットスイッチLLが入り状態にあるか否かを判断し、左側リミットスイッチLLが入り状態のスライド移動限にあればステップS5に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。一方、左側リミットスイッチLLが切り状態にあればステップS7に進む。
【0045】
また、ステップS6では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向穂先側(右側)へのスライド移動限を検出する右側リミットスイッチLRが入り状態にあるか否かを判断し、右側リミットスイッチLRが入り状態のスライド移動限にあればステップS5に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。一方、右側リミットスイッチLRが切り状態にあればステップS8に進む。
【0046】
そして、ステップS7では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向株元側(左側)へスライド移動するように、根揃え板移動モータ111を逆転駆動させる制御を実行する。
【0047】
また、ステップS8では、主変速レバー36の把持部36aに備える標準/倒伏切換スイッチ35が入り状態または切り状態にあるか否かを判断し、標準/倒伏切換スイッチ35が入り状態ならばステップS5に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。即ち、ステップS8では、標準/倒伏切換スイッチ35を入り操作することによって、
根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向穂先側(右側)へスライド移動されないように強制的に規制している。一方、標準/倒伏切換スイッチ35が切り状態ならばステップS9に進んで、根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向穂先側(右側)へスライド移動するように、根揃え板移動モータ111を正転駆動させるといった一連の制御を実行する。
【0048】
以上説明した根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御(第二実施例)によれば、根揃え板移動装置73による根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、排藁の株元を検出する株元検知手段としての位置センサ97を構成する穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rの検出結果に基づいて根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、両穀稈センサL,Rの検出結果に基づいて根揃え板71を排藁の株元から離間する方向にのみ移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したので、例えば倒伏材において、根揃え板71が過度に穂先側に移動することにより、折れ曲がった状態にある排藁の株元が根揃え板71に引っ掛かり、稈姿勢に乱れが生じて結束ミスや詰まりが誘発されるといった従来の不具合が起こらない。そして、穀稈は、穂先側よりも株元側の稈径が大きく重量も重くなっており、コンバイン1の機体振動や旋回時の遠心力により集束中の倒伏材全体が株元側(左側)にずれ込んで稈姿勢の乱れが起こり易くなるが、根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記通常制御モードから倒伏材制御モードに切換えることによって、当該根揃え板71は、排藁の株元から離間する方向にのみ移動するので、稈全体が株元側にずれ込もうとする倒伏材の株元を根揃え板71で受け止めてストッパ的な作用を現出させることができ、それにより稈姿勢の乱れが起こり難くなるので排藁結束装置14において詰まりや結束ミスが誘発されることはない。
【0049】
尚、上述した根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御の第一実施例と第二実施例は、排藁結束装置14に備える根揃え板71を根揃え板移動装置73を介して排藁の稈身方向に独立して移動させるものであるが、当該排藁結束装置14全体を排藁の稈身方向に移動させて根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる構成のものであってもよい。また、倒伏材を刈り取る際は、倒伏する穀稈の穂側の引起しを促進するために標準/倒伏切換スイッチ35を入り操作して前処理動速度を標準材よりも増速させるが、前処理部4の図示しない引起し装置のみを増速させる装置構成のものにも本発明を適用することができる。
【0050】
ところで、図14及び図15は、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁を切断処理するカッタ装置13の穂先側を覆う穂先側カバー131の装着状態と、その形状を示す斜視図であって、カッタ装置13の下方に、該カッタ装置で切断処理した後の排藁(細断排藁)を拡散せしめる図示しない排藁拡散螺旋を備えたコンバイン1では、一般的にカッタ装置13の左右幅よりも広範囲に細断排藁が拡散する。したがって、小さく軽量な藁屑が多く発生するカッタ装置13の穂側を覆う穂先側カバー131内には、該穂先側カバー131とカッタ装置13の外枠フレームとの隙間から藁屑が侵入して穂先側カバー131内に堆積することがある。
【0051】
このように穂先側カバー131内に藁屑が堆積した場合、カッタ装置13を構成する図示しないカッタの回転軸の軸端を支承するベアリングのシール部を破損する虞があり、穂先側カバー131内に堆積した藁屑を定期的に取り除かなければならなかった。そこで、穂先側カバー131の下部に藁屑の堆積を防ぐ傾斜面Sを一体的に溶接して形成すると共に、この傾斜面Sに臨む藁屑排出口Hを穂先側カバー131に設けることによって、前記藁屑を常時機外に排出できるように構成している。尚、上述した穂先側カバー131の傾斜面Sの上部には、カッタ装置13の外枠フレームに固設したバー132に係脱自在なフック部F,Fを形成してあり、それによって当該穂先側カバー131を装着する際の位置決めの容易化と着脱性の向上を図っている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの伝動図。
【図3】操縦部を構成するキャビン内部の左側を示す斜視図。
【図4】(a),(b)主変速レバーの把持部を示す背面図と側面図。
【図5】排藁結束装置の側面図。
【図6】排藁結束装置の平面図。
【図7】排藁結束装置の背面図。
【図8】根揃え板の分解斜視図。
【図9】(a),(b)根揃え板移動装置駆動部を示す側面図と断面図(A−A)。
【図10】制御装置)のブロック図。
【図11】根揃え板移動制御の第一実施例を示すフローチャート。
【図12】刈取り材料による走行速度と前処理速度の関係を示すグラフ。
【図13】根揃え板移動制御の第二実施例を示すフローチャート。
【図14】カッタ装置の穂先側を覆う穂先側カバーの装着状態を示す斜視図。
【図15】穂先側カバーの構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0053】
4 前処理部
6 脱穀部
12 排藁搬送装置
35 操作手段
71 根揃え板
73 根揃え板移動装置
74 結束部
97 株元検知手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板と、前記排藁の株元を検出する株元検知手段と、該株元検知手段の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板を排藁の稈身方向に移動させて適正な根揃え位置に合わせることができる根揃え板移動装置を備えたコンバインの排藁結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの排藁結束装置(ノッタ)においては、脱穀部から排藁搬送装置を介して排藁結束装置に搬送される排藁は、脱穀処理される前に前処理部において扱深さ調節がなされるので、排藁結束装置へ排藁が送り込まれた時は、その穂先位置は略一定の位置となるが、他方の株元位置は稈長よって異なるものとなる。
【0003】
したがって、脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元(株端)を、この排藁の稈身方向に沿って設けた一対の位置センサによって検出すると共に、該位置センサの検出信号に基づいて根揃え板(株端押圧板)を排藁の稈身方向に移動させて適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置を設け、前記根揃え板を排藁の稈長に応じて自動的に移動させながら排藁の株元を揃えた状態で結束できるように構成した排藁結束装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−47130号公報(第3−4頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前処理部で刈取る穀稈が倒伏材の場合は、該倒伏材が脱穀部に投入される前にその株元が既に折れ曲がった状態になっており、この様に折れ曲がった状態にある排藁の適正な根揃え位置を上述の位置センサで検出することは困難であり、例えば根揃え板が過度に穂先側に移動しすぎると、折れ曲がった状態にある排藁の株元が根揃え板に引っ掛かり、稈姿勢に乱れが生じて結束ミスや詰まりを誘発するので改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、穀稈を刈取る前処理部と、該前処理部で刈取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板と、前記排藁の株元位置を検出する株元検知手段と、該株元検知手段の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板を排藁の稈身方向に移動させて根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置と、前記根揃え板により株元が揃えられた排藁を結束する結束部とを備えたコンバインの排藁結束装置において、前記根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段による検出結果に基づいて根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段よる検出結果に拘らず、当該根揃え板を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したことを第1の特徴としている。
そして、前記通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部の動作速度を増速する既存の倒伏材切換操作手段の操作に連動してなされることを第2の特徴としている。
また、穀稈を刈取る前処理部と、該前処理部で刈取った穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板と、前記排藁の株元位置を検出する株元検知手段と、該株元検知手段の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板を排藁の稈身方向に移動させて根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置と、前記根揃え板により株元が揃えられた排藁を結束する結束部とを備えたコンバインの排藁結束装置において、前記根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段による検出結果に基づいて根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段よる検出結果に基づいて根揃え板を排藁の株元から離間する方向にのみ移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したことを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、株元検知手段による検出結果に基づいて根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段よる検出結果に拘らず、当該根揃え板を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したので、前処理部で刈取る穀稈が倒伏材の場合は、根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記通常制御モードから倒伏材制御モードに切換えることによって、前記根揃え板は排藁の株元から離間する方向に強制的に移動するので、脱穀部に投入される前に既に折れ曲がった状態にある倒伏材の株元に根揃え板が当接しなくなり、それによって稈姿勢の乱れが起こり難くなるので排藁結束装置において結束ミスや詰まりが誘発されることはない。
そして、請求項2の発明によれば、前記通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部の動作速度を増速する既存の倒伏材切換操作手段の操作に連動してなされるので、当該切換え操作をコンバインの作業形態に対応させて容易に行うことができると共に、特別な切換え操作手段を設ける必要がなくコストの低減も図れる。
また、請求項3の発明によれば、根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段による検出結果に基づいて根揃え板を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段よる検出結果に基づいて根揃え板を排藁の株元から離間する方向にのみ移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したので、例えば倒伏材において、根揃え板が過度に穂先側に移動することにより、折れ曲がった状態にある排藁の株元が根揃え板に引っ掛かり、稈姿勢に乱れが生じて結束ミスや詰まりが誘発されるといった従来の不具合が起こらない。そして、穀稈は、穂先側よりも株元側の稈径が大きく重量も重くなっており、コンバインの機体振動や旋回時の遠心力により集束中の倒伏材全体が株元側(左側)にずれ込んで稈姿勢の乱れが起こり易くなるが、根揃え板を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記通常制御モードから倒伏材制御モードに切換えることによって、当該根揃え板は、排藁の株元から離間する方向にのみ移動するので、稈全体が株元側にずれ込もうとする倒伏材の株元を根揃え板で受け止めてストッパ的な作用を現出させることができ、それにより稈姿勢の乱れが起こり難くなるので排藁結束装置において詰まりや結束ミスが誘発されることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、コンバイン1の左側面図
であって、コンバイン1は、走行部である左右のクローラ走行装置2に支持した走行機体(機体フレーム)3の前部に穀稈を刈取る前処理部4を昇降自在に連結すると共に、その後方一側に選別室5を有する脱穀部6を配置している。
【0008】
前処理部4で刈取られた穀稈は、穀稈搬送部7を経て脱穀部6の図示しない扱室に沿って配設されている脱穀フィードチェン8に受け継がれ、この脱穀フィードチェン8と挟扼レール9により穀稈の株元を挟持して後方に搬送される過程で、扱室内において回転駆動する扱胴52(図2参照)によって脱穀処理される。更に、脱穀部6で脱穀された穀粒は、選別室(選別部)5内で選別処理された後、図示しない揚穀筒を介して前処理部4の後方他側に配設されている穀粒タンク10内に一時的に貯留される。そして、穀粒タンク10内に一時的に貯留した穀粒をトラックやトレーラ等の輸送手段に排出するために、起伏及び旋回自在な穀粒排出オーガ11を設けている。
【0009】
また、脱穀部6の後方には、この脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁を切断処理するカッタ装置13を設けると共に、該カッタ装置13の後方には、排藁を結束する排藁結束装置14を装着している。更に詳しく説明すると、カッタ装置13の上方には、図示しない排藁供給口に臨む開閉自在な切換板15が設けてあり、この切換板15を図示の如く上方に開動させた時は、前記排藁供給口からカッタ装置13内に排藁が送給される一方、切換板15を閉じた時は、該切換板15の上方を排藁が通過して排藁結束装置(ノッタ)14に送給されるようになっている。
【0010】
次に、図2に示す伝動図に基づいて、コンバイン1の伝動構造を説明する。エンジン21の動力は、その出力軸22に固設した出力プーリ23から、トランスミッション24の主変速機を構成する走行用HST25の入力プーリ26に走行クラッチ27を介してベルト伝動されると共に、トランスミッション24の副変速機構28及び歯車列29を介して変速された動力が左右のクローラ走行装置2の駆動スプロケット31に伝達される。
【0011】
尚、図3は、コンバイン1の操縦部を構成するキャビン32内部の左側を示す斜視図であって、キャビン32内に備える操縦席33の左側には、図4(a),(b)に示すように、モーメンタリスイッチからなる強制掻込みスイッチ34と標準/倒伏切換スイッチ35を把持部36aに備えた主変速レバー36を設けてあり、該主変速レバー36により走行用HST25の回転を無段階に変速操作することによってコンバイン1の走行速度を無段階に変速することができる。また、主変速レバー36より更に遠方の左側には副変速レバー37が設けてあり、この副変速レバー37を操作することによって路上走行速度と作業走行速度の切換えがなされる。
【0012】
そして、図中符号41は、副変速軸42の回転数をコンバイン1の走行速度として検出する走行速度検出センサである。また、エンジン21の出力軸22の先端側に固設した出力プーリ44からは、ギヤケース45の入力軸46に固設した入力プーリ47に脱穀クラッチ48を介してエンジン31の動力がベルト伝動されると共に、前記入力軸46の先端側に固設した脱穀部入力プーリ49からは、脱穀部6を構成する唐箕ファン51に動力がベルト伝動され、更に唐箕ファン51の回転軸51aを介して扱胴52及び選別部5にも動力がベルト伝動される。
【0013】
上述したギヤケース45は、入力軸46に入力されたエンジン21の動力を前処理用HST53で無段変速し、しかる後に前処理部4及び脱穀フィードチェン8に伝達できるように、当該ギヤケース45の前処理出力軸55の先端に固設した出力プーリ56から、前処理伝動クラッチ57を介して前処理入力プーリ58にベルト伝動される。即ち、前処理伝動クラッチ57の伝動上手側に前処理用HST53が設けてあり、それによって、前処理部4及び脱穀フィードチェン8の穀稈搬送速度を任意に変更することができる。
【0014】
尚、ギヤケース45の出力軸59には、脱穀フィードチェン8に向けて延出させた脱穀フィードチェン駆動軸61が連結してあり、この脱穀フィードチェン駆動軸61は、走行機体(機体フレーム)3の上方で脱穀部6の前方に横設されて機体の左端部に至り、その先端に設けた駆動スプロケット62を介して脱穀フィードチェン8を駆動させることができるようになっている。
【0015】
また、図中符号63は、ギヤケース45内の前処理出力軸55の回転数を検出する前処理回転センサ、符号64は、前処理用HST53の回転数を無段階に変速するためにトラニオン軸を作動させるHST変速モータ(電動モータ)であり、図10に示すマイクロコンピュータ125に入力される走行速度検出センサ41の検出値に基づいて、HST変速モータ64を作動させて前処理用HST53の斜板角度を変更し、走行速度検出センサ41で検出したトランスミッション24の副変速軸42の回転数に連係させて前処理用HST53の回転数を制御している。
【0016】
次に、排藁結束装置(ノッタ)14について説明する。図5〜図7は、カッタ装置13の後方に装着される排藁結束装置14の側面図、平面図、及び背面図であって、この排藁結束装置14は、排藁搬送装置12を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板71を備えた根揃え装置72と、該根揃え板71(根揃え装置72)を排藁の稈身方向に移動させる根揃え板移動装置73と、根揃え板71により株元が揃えられた排藁を結束する結束部74とを備えている。
【0017】
即ち、脱穀部6側から排藁結束装置14の排藁排出経路75内に送られる排藁の株元(株端)が根揃え板71によって揃えられながら、排藁排出経路75内の集束位置で所定量集束されると、結束部74の構成部品である排藁排出経路75の下方に設けられたニードル部76のニードル77によって結束紐が供給されると共に、同じく結束部74の構成部品である排藁排出経路75の上方に設けられた結節部78の結束装置79がニードル77と連動しながら動作し、上述の如く集束された排藁が結束紐によって結束される。そして、結束された排藁は、結節部74側に備えるスイーパ81等を介して機外に放出されるようになっている。
【0018】
次に、結束部74の構造について説明する。排藁結束装置14の外枠を形成するノッタフレーム82には、排藁排出経路75を挟んだ下方にニードル部76を備えたニードル部ケース83を、排藁排出経路75を挟んだ上方に結節部78を備えた結節部ケース84をそれぞれ設けてあり、ニードル部ケース83は、スライドフレーム85を介して下側の横フレーム82bに、また結節部ケース84は、スライドフレーム86を介して上側の横フレーム82a,82aにそれぞれ左右スライド自在に支持されている。そして、ニードル部76に駆動力を入力する第1入力軸87はニードル部ケース83に貫通すると共に、結節部78に駆動力を入力する第2入力軸88は結節部ケース84に貫通して、両入力軸87,88共、それぞれ対応するケース83,84をスライド自在に支持している。
【0019】
上述した両入力軸87,88は、多角形断面またはスプライン形状を有しており、両入力軸87,88にそれぞれ対応するケース83,84は、両入力軸87,88の軸方向、即ち排藁結束装置14の左右方向に自在にスライドする。また、ニードル部ケース83と結節部ケース84は、排藁の穂先側に向かって略U字形に湾曲した連結フレーム89によって一体的に固定されている。
【0020】
次に、根揃え装置72の構造について説明する。根揃え装置72は、ノッタフレーム82内に構成する結束部74(ニードル部ケース83及び結節部ケース84)の左側(株元側)に設けられている。根揃え装置72は、図5〜図9(a),(b)に示すように、上方にスライドフレーム91を固定したコ字状断面を有するフレーム92に各構成部品を組み付けて構成してあり、前記スライドフレーム91は、上側の横フレーム82a,82aに左右スライド自在に取り付けられている。即ち、根揃え装置72は、スライドフレーム91を介して上側の横フレーム82a,82aに左右スライド自在に支持されている。一方、フレーム92の前端には、脱穀装置6側(前方)に延出させた支持杆93を固定部材92aを介して固設すると共に、左側面における前後方向の略中央位置付近には、下方に延出した駆動機構フレーム95を固設している。
【0021】
そして、上述した支持杆93の先端には、取付プレート96を介して排藁の稈身方向(左右方向)に位置センサ97を設置してある。この位置センサ97は、穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rからなり、両穀稈センサL,Rは、リミットスイッチ式セン及び光センサ等で構成されており、その下方を排藁の株元が通過すると入りまたは切り状態となる。即ち、位置センサ97を構成する穀稈センサL,Rは、排藁の株元位置を検出する株元検知手段として作用し、両穀稈センサL,Rの検出した排藁の株元位置に基づいて、根揃え板71を排藁の稈身方向に移動させて適正な根揃え位置に合わせることができる根揃え板移動装置73を後述の如く設けている。
【0022】
また、上述したフレーム92の後端には、固定部材98を介して左右一対の支点軸99,99を下方に向けて突設してあり、両支点軸99,99を支点として平行リンク101を左右揺動自在に取り付けている。そして、平行リンク101の前端を構成する連結リンク102には、取付杆103を介して排藁排出経路75の前後方向に沿う根揃え板71を取り付けてあり、当該平行リンク101の左右揺動によって根揃え板71が左右方向に往復運動する。
【0023】
また、第2入力軸88は、結節部ケース84と駆動機構フレーム95を貫通すると共に、該駆動機構フレーム95を左右スライド自在に支持している。即ち、根揃え装置72は、上側の横フレーム82aと第2入力軸88を案内体として左右スライド自在に支持されている。一方、駆動機構フレーム95には、第2入力軸88から駆動力が伝達される駆動軸104を左側方に突出させてあり、この駆動軸104の先端にクランクアーム105を固設すると共に、該クランクアーム105の先端と平行リンク101のアーム部とをロッド106を介して連結することによって、駆動軸104の回転によりクランクアーム105、ロッド106、及び平行リンク101を介して根揃え板71が左右方向に往復運動する。
【0024】
この時、根揃え板71は、位置センサ97を構成する穀稈センサ(株元側センサ)Lの感知位置より株元側から、穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rの各感知位置の概ね中間位置までの範囲を往復運動し、その往復運動の幅W1が両穀稈センサL,R(両センサの感知位置)間の距離W2より小さくなるように設定してある。そして、根揃え板71の往復運動幅W1の左右略中間位置と穀稈センサ(株元側センサ)Lの感知位置とが左右方向において略一致している。
【0025】
次に、根揃え板移動装置73の構造について説明する。スライドフレーム91の上面側には、スペーサ108を介して固定した取付プレート109に根揃え板移動モータ111を取り付けている。また、取付プレート109には、下方に突出する軸112aを一体に備えた回転子112を回転自在に取り付けると共に、この回転子112の外周に形成したギヤ113と根揃え板移動モータ111の回転軸に設けたギヤ114を歯合させると共に、下方に突出する回転子112の軸112aの下端に取り付けたピニオン(ギヤ)115を、ノッタフレーム82に固定したラック116と歯合させている。即ち、根揃え板移動モータ111を駆動または停止させることによって、上述のギヤ113,114を介して回転子112の回転または停止がなされ、この時ピニオン(ギヤ)115とラック116の噛合により、根揃え板移動装置73の排藁の稈身方向(左右方向)へスライド移動または位置固定がなされる。
【0026】
次に、根揃え板移動装置73の動作について説明する。根揃え板移動装置73は、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁が、排藁搬送装置12の搬送方向下流側に備えるメインセンサ121によって検出されると作動を開始するようにしてある。そして、上述の位置センサ97位置を排藁の株元側が通過する時、穀稈センサ(株元側センサ)Lが切り(または入り)状態、穀稈センサ(穂先側センサ)Rが入り(または切り)状態となるように、根揃え板移動モータ111を駆動させて当該根揃え板移動装置73の位置を自動的に設定する。しかる後に、排藁結束装置14に備えるパッカ122により排藁が掻き込まれ、排藁排出経路75内の集束位置に排藁が集束されるが、この時根揃え板移動装置73(根揃え板71)が上述の位置に設定されているので、排藁の株元(株端)は根揃え板71の往復動作範囲内に位置する。
【0027】
つまり、図6に示すように、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して排藁結束装置14に搬送される排藁は、排藁結束装置14の左右中心に対して穂先側が脱穀部6側に向く傾斜姿勢で搬送されるので、パッカ122で掻き込まれた排藁は排藁結束装置14の左側(株元側)に移動する。また、排藁の稈は、株元から穂先に行くに従って細くなっている(穂先側よりも株元側の稈径が大きく重量も重くなっている)ため、コンバイン1の機体振動等の影響によっても排藁は排藁結束装置14の左側(株元側)に移動し易くなっている。
【0028】
これにより、排藁の株元が位置センサ97を構成する穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rの間を通過した後、排藁は排藁結束装置14の左側(株元側)に寄ってしまうが、根揃え板71の往復動作始端が穀稈センサ(株元側センサ)Lより株元寄りに位置しているので、排藁の株元が根揃え板71の往復動作範囲から外れることはない。したがって、根揃え板71の往復動作によって排藁の株元が確実に叩き揃えられて根揃えが行われると共に、排藁は株元が揃った状態で排藁排出経路75内の集束位置に集束され、しかる後に上述した結束部74で結束された後、スイーパ81等を介して機外に放出されるようになっている。
【0029】
ところが、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して排藁結束装置に14搬送される排藁は、脱穀処理される前に前処理部4において扱深さ調節がなされるので、排藁結束装置14へ排藁が送り込まれた時は、その穂先位置は略一定の位置となるが、他方の株元位置は稈長よって異なるものとなる。
【0030】
この時、前処理部4で刈取る穀稈が倒伏材の場合は、該倒伏材が脱穀部6に投入される前にその株元が既に折れ曲がった状態になっており、この様に折れ曲がった状態にある排藁の適正な根揃え位置を上述の位置センサ97(穀稈センサL,R)で検出することは困難であり、例えば根揃え板71が過度に穂先側に移動しすぎると、折れ曲がった状態にある排藁の株元が根揃え板721に引っ掛かり、稈姿勢に乱れが生じて結束ミスや詰まりを誘発するので改善の余地があった。
【0031】
本発明は、上述した課題を解決することを目的としたものであり、以下図10に示すブロック図、図11及び図12に示すフローチャートに基づいて説明する。コンバイン1は、図10に示すブロック図のように、マイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される制御装置125を備えており、この制御装置125の入力側には、トランスミッション24の副変速軸42の回転数をコンバイン1の走行速度として検出する走行速度検出センサ41、ギヤケース45内の前処理出力軸55の回転数を検出する前処理回転センサ63、主変速レバー36の把持部36aに備える強制掻込みスイッチ34と標準/倒伏切換スイッチ35、排藁搬送装置12の搬送方向下流側に備えるメインセンサ121、排藁の株元位置を検出する穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)R、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向(左右方向)へのスライド移動限を検出する左右のリミットスイッチLL,LRを所定の入力インターフェイス回路を介して接続する一方、制御装置125の出力側には、前処理用HST53の回転数を無段階に変速するためにトラニオン軸を作動させるHST変速モータ64、根揃え板71(根揃え板移動装置73)を排藁の稈身方向(左右方向)へスライド移動または位置固定させる根揃え板移動モータ111を所定の出力インターフェイス回路を介して接続している。
【0032】
そして、図11は、上述の制御装置125を介して実行する根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御の第一実施例を示すフローチャートであって、以下このフローチャートに基づいて説明する。
【0033】
先ずステップS1では、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁が、排藁搬送装置12の搬送方向下流側に備えるメインセンサ121によって検出されたか否かを判断し、メインセンサ121が入り状態で排藁が検出されたならばステップS2に進み、メインセンサ121が切り状態で排藁が検出されていなければステップS3に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。
【0034】
ステップS2では、主変速レバー36の把持部36aに備える標準/倒伏切換スイッチ35が入り状態または切り状態にあるか否かを判断する。更に詳しく説明すると、図12に示すように、倒伏材を刈り取る際は、倒伏する穀稈の穂側の引起しを促進するために標準/倒伏切換スイッチ35を入り操作して前処理動速度を標準材よりも増速させるが、このように標準/倒伏切換スイッチ35が入り状態の倒伏材制御モードにあればステップS5に進み、標準/倒伏切換スイッチ35が切り状態で前処理動速度が標準速度の通常制御モードであればステップS4に進む。即ち、ステップS2における通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部4の動作速度を変更可能な既存の操作手段である標準/倒伏切換スイッチ35の増速操作(倒伏側への操作)に連動してなされるので、当該切換え操作をコンバイン1の作業形態に対応させて容易に行うことができる。
【0035】
ステップS4では、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁の株元が、穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rにより検出されたか否かを判断し、両穀稈センサL,Rとも入り状態であればステップS5に進み、穀稈センサ(株元側センサ)Lが切り状態で、且つ穀稈センサ(穂先側センサ)Rが入り状態の適正制御位置にあればステップS6に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。また、両穀稈センサL,Rとも切り状態であればステップS7に進む。
【0036】
そして、ステップS5では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向株元側(左側)へのスライド移動限を検出する左側リミットスイッチLLが入り状態にあるか否かを判断し、左側リミットスイッチLLが入り状態のスライド移動限にあればステップS6に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。一方、左側リミットスイッチLLが切り状態にあればステップS8に進む。
【0037】
また、ステップS7では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向穂先側(右側)へのスライド移動限を検出する右側リミットスイッチLRが入り状態にあるか否かを判断し、右側リミットスイッチLRが入り状態のスライド移動限にあればステップS6に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。一方、右側リミットスイッチLRが切り状態にあればステップS9に進む。
【0038】
そして、ステップS8では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向株元側(左側)へスライド移動するように、根揃え板移動モータ111を逆転駆動させる制御を実行する。また、ステップS9では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向穂先側(右側)へスライド移動するように、根揃え板移動モータ111を正転駆動させるといった一連の制御を実行する。
【0039】
以上説明した根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御(第一実施例)によれば、根揃え板移動装置73による根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、排藁の株元を検出する株元検知手段としての位置センサ97を構成する穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rの検出結果に基づいて根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、両穀稈センサL,Rによる検出結果に拘らず、当該根揃え板71を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したので、前処理部4で刈取る穀稈が倒伏材の場合は、根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記通常制御モードから倒伏材制御モードに切換えることによって、根揃え板71は排藁の株元から離間する方向に強制的に移動するので、脱穀部6に投入される前に既に折れ曲がった状態にある倒伏材の株元に根揃え板71が当接しなくなり、それによって稈姿勢の乱れが起こり難くなるので排藁結束装置14において結束ミスや詰まりが誘発されることはない。
【0040】
そして、上述した通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部4の動作速度を増速する既存の倒伏材切換操作手段である標準/倒伏切換スイッチ35の増速操作(倒伏側への操作)に連動してなされるので、当該切換え操作をコンバイン1の作業形態に対応させて容易に行うことができると共に、特別な切換え操作手段を設ける必要がなくコストの低減も図れる。
【0041】
また、図13は、制御装置125を介して実行する根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御の第二実施例を示すフローチャートであって、以下このフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
先ずステップS1では、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁が、排藁搬送装置12の搬送方向下流側に備えるメインセンサ121によって検出されたか否かを判断し、メインセンサ121が切り状態で排藁が検出されていなければステップS2に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。また、メインセンサ121が入り状態で排藁が検出されたならばステップS3に進む。
【0043】
ステップS3では、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁の株元が、穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rにより検出されたか否かを判断し、両穀稈センサL,Rとも入り状態であればステップS4に進み、穀稈センサ(株元側センサ)Lが切り状態で、且つ穀稈センサ(穂先側センサ)Rが入り状態の適正制御位置にあればステップS5に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。また、両穀稈センサL,Rとも切り状態であればステップS6に進む。
【0044】
そして、ステップS4では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向株元側(左側)へのスライド移動限を検出する左側リミットスイッチLLが入り状態にあるか否かを判断し、左側リミットスイッチLLが入り状態のスライド移動限にあればステップS5に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。一方、左側リミットスイッチLLが切り状態にあればステップS7に進む。
【0045】
また、ステップS6では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)の排藁の稈身方向穂先側(右側)へのスライド移動限を検出する右側リミットスイッチLRが入り状態にあるか否かを判断し、右側リミットスイッチLRが入り状態のスライド移動限にあればステップS5に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。一方、右側リミットスイッチLRが切り状態にあればステップS8に進む。
【0046】
そして、ステップS7では、根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向株元側(左側)へスライド移動するように、根揃え板移動モータ111を逆転駆動させる制御を実行する。
【0047】
また、ステップS8では、主変速レバー36の把持部36aに備える標準/倒伏切換スイッチ35が入り状態または切り状態にあるか否かを判断し、標準/倒伏切換スイッチ35が入り状態ならばステップS5に進んで根揃え板移動モータ111の駆動を停止させる。即ち、ステップS8では、標準/倒伏切換スイッチ35を入り操作することによって、
根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向穂先側(右側)へスライド移動されないように強制的に規制している。一方、標準/倒伏切換スイッチ35が切り状態ならばステップS9に進んで、根揃え板71(根揃え板移動装置73)が排藁の稈身方向穂先側(右側)へスライド移動するように、根揃え板移動モータ111を正転駆動させるといった一連の制御を実行する。
【0048】
以上説明した根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御(第二実施例)によれば、根揃え板移動装置73による根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、排藁の株元を検出する株元検知手段としての位置センサ97を構成する穀稈センサ(株元側センサ)Lと穀稈センサ(穂先側センサ)Rの検出結果に基づいて根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、両穀稈センサL,Rの検出結果に基づいて根揃え板71を排藁の株元から離間する方向にのみ移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したので、例えば倒伏材において、根揃え板71が過度に穂先側に移動することにより、折れ曲がった状態にある排藁の株元が根揃え板71に引っ掛かり、稈姿勢に乱れが生じて結束ミスや詰まりが誘発されるといった従来の不具合が起こらない。そして、穀稈は、穂先側よりも株元側の稈径が大きく重量も重くなっており、コンバイン1の機体振動や旋回時の遠心力により集束中の倒伏材全体が株元側(左側)にずれ込んで稈姿勢の乱れが起こり易くなるが、根揃え板71を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記通常制御モードから倒伏材制御モードに切換えることによって、当該根揃え板71は、排藁の株元から離間する方向にのみ移動するので、稈全体が株元側にずれ込もうとする倒伏材の株元を根揃え板71で受け止めてストッパ的な作用を現出させることができ、それにより稈姿勢の乱れが起こり難くなるので排藁結束装置14において詰まりや結束ミスが誘発されることはない。
【0049】
尚、上述した根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御の第一実施例と第二実施例は、排藁結束装置14に備える根揃え板71を根揃え板移動装置73を介して排藁の稈身方向に独立して移動させるものであるが、当該排藁結束装置14全体を排藁の稈身方向に移動させて根揃え板71を適正な根揃え位置に合わせる構成のものであってもよい。また、倒伏材を刈り取る際は、倒伏する穀稈の穂側の引起しを促進するために標準/倒伏切換スイッチ35を入り操作して前処理動速度を標準材よりも増速させるが、前処理部4の図示しない引起し装置のみを増速させる装置構成のものにも本発明を適用することができる。
【0050】
ところで、図14及び図15は、脱穀部6から排藁搬送装置12を介して搬送される排藁を切断処理するカッタ装置13の穂先側を覆う穂先側カバー131の装着状態と、その形状を示す斜視図であって、カッタ装置13の下方に、該カッタ装置で切断処理した後の排藁(細断排藁)を拡散せしめる図示しない排藁拡散螺旋を備えたコンバイン1では、一般的にカッタ装置13の左右幅よりも広範囲に細断排藁が拡散する。したがって、小さく軽量な藁屑が多く発生するカッタ装置13の穂側を覆う穂先側カバー131内には、該穂先側カバー131とカッタ装置13の外枠フレームとの隙間から藁屑が侵入して穂先側カバー131内に堆積することがある。
【0051】
このように穂先側カバー131内に藁屑が堆積した場合、カッタ装置13を構成する図示しないカッタの回転軸の軸端を支承するベアリングのシール部を破損する虞があり、穂先側カバー131内に堆積した藁屑を定期的に取り除かなければならなかった。そこで、穂先側カバー131の下部に藁屑の堆積を防ぐ傾斜面Sを一体的に溶接して形成すると共に、この傾斜面Sに臨む藁屑排出口Hを穂先側カバー131に設けることによって、前記藁屑を常時機外に排出できるように構成している。尚、上述した穂先側カバー131の傾斜面Sの上部には、カッタ装置13の外枠フレームに固設したバー132に係脱自在なフック部F,Fを形成してあり、それによって当該穂先側カバー131を装着する際の位置決めの容易化と着脱性の向上を図っている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの伝動図。
【図3】操縦部を構成するキャビン内部の左側を示す斜視図。
【図4】(a),(b)主変速レバーの把持部を示す背面図と側面図。
【図5】排藁結束装置の側面図。
【図6】排藁結束装置の平面図。
【図7】排藁結束装置の背面図。
【図8】根揃え板の分解斜視図。
【図9】(a),(b)根揃え板移動装置駆動部を示す側面図と断面図(A−A)。
【図10】制御装置)のブロック図。
【図11】根揃え板移動制御の第一実施例を示すフローチャート。
【図12】刈取り材料による走行速度と前処理速度の関係を示すグラフ。
【図13】根揃え板移動制御の第二実施例を示すフローチャート。
【図14】カッタ装置の穂先側を覆う穂先側カバーの装着状態を示す斜視図。
【図15】穂先側カバーの構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0053】
4 前処理部
6 脱穀部
12 排藁搬送装置
35 操作手段
71 根揃え板
73 根揃え板移動装置
74 結束部
97 株元検知手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を刈取る前処理部(4)と、該前処理部(4)で刈取った穀稈を脱穀する脱穀部(6)と、該脱穀部(6)から排藁搬送装置(12)を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板(71)と、前記排藁の株元位置を検出する株元検知手段(97)と、該株元検知手段(97)の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板(71)を排藁の稈身方向に移動させて根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置(73)と、前記根揃え板(71)により株元が揃えられた排藁を結束する結束部(74)とを備えたコンバインの排藁結束装置(14)において、前記根揃え板(71)を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段(97)による検出結果に基づいて根揃え板(71)を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段(97)よる検出結果に拘らず、当該根揃え板(71)を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したことを特徴とするコンバインの排藁結束装置。
【請求項2】
前記通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部(4)の動作速度を増速する既存の倒伏材切換操作手段(35)の操作に連動してなされる請求項1に記載のコンバインの排藁結束装置。
【請求項3】
穀稈を刈取る前処理部(4)と、該前処理部(4)で刈取った穀稈を脱穀する脱穀部(6)と、該脱穀部(6)から排藁搬送装置(12)を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板(71)と、前記排藁の株元位置を検出する株元検知手段(97)と、該株元検知手段(97)の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板(71)を排藁の稈身方向に移動させて根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置(73)と、前記根揃え板(71)により株元が揃えられた排藁を結束する結束部(74)とを備えたコンバインの排藁結束装置(14)において、前記根揃え板(71)を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段(97)による検出結果に基づいて根揃え板(71)を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段(97)よる検出結果に基づいて根揃え板(71)を排藁の株元から離間する方向にのみ移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したことを特徴とするコンバインの排藁結束装置。
【請求項1】
穀稈を刈取る前処理部(4)と、該前処理部(4)で刈取った穀稈を脱穀する脱穀部(6)と、該脱穀部(6)から排藁搬送装置(12)を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板(71)と、前記排藁の株元位置を検出する株元検知手段(97)と、該株元検知手段(97)の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板(71)を排藁の稈身方向に移動させて根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置(73)と、前記根揃え板(71)により株元が揃えられた排藁を結束する結束部(74)とを備えたコンバインの排藁結束装置(14)において、前記根揃え板(71)を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段(97)による検出結果に基づいて根揃え板(71)を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段(97)よる検出結果に拘らず、当該根揃え板(71)を排藁の株元から離間する方向に強制的に移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したことを特徴とするコンバインの排藁結束装置。
【請求項2】
前記通常制御モードと倒伏材制御モードの切換えが、前処理部(4)の動作速度を増速する既存の倒伏材切換操作手段(35)の操作に連動してなされる請求項1に記載のコンバインの排藁結束装置。
【請求項3】
穀稈を刈取る前処理部(4)と、該前処理部(4)で刈取った穀稈を脱穀する脱穀部(6)と、該脱穀部(6)から排藁搬送装置(12)を介して搬送される排藁の株元を揃える根揃え板(71)と、前記排藁の株元位置を検出する株元検知手段(97)と、該株元検知手段(97)の検出した排藁の株元位置に基づいて、前記根揃え板(71)を排藁の稈身方向に移動させて根揃え位置に合わせる根揃え板移動装置(73)と、前記根揃え板(71)により株元が揃えられた排藁を結束する結束部(74)とを備えたコンバインの排藁結束装置(14)において、前記根揃え板(71)を根揃え位置に合わせる根揃え板移動制御を、前記株元検知手段(97)による検出結果に基づいて根揃え板(71)を適正な根揃え位置に合わせる通常制御モードと、前記株元検知手段(97)よる検出結果に基づいて根揃え板(71)を排藁の株元から離間する方向にのみ移動させる倒伏材制御モードとに切換え可能に構成したことを特徴とするコンバインの排藁結束装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−11794(P2010−11794A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175124(P2008−175124)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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