説明

コンバイン

【課題】排藁処理部から外部へ案内、排出される藁屑等の流れがエンジンからの排風によって乱されることを防いで、均一な方向に案内して排出できるコンバインの提供である。
【解決手段】排ガスを機体2の後方外部へ案内する排ガス管30と、排ガス管30の後方に藁を処理する排藁処理部82と、排藁処理部82内の下部に、処理後の藁を右側下方に案内して外部へ排出する切藁案内板83を設ける。そして切藁案内板83のうち、背面視で最も左側に位置する切藁案内板83aを下方に延長した延長部分よりも左側に排ガス管30の排出口30aを設け、更に排出口30aと切藁案内板83の間に、背面視で排出口30aと重なるように遮蔽板32を設ける。排出口30aと遮蔽板32の間に空間部を設けると、該空間部に排ガスが拡散されてエンジン21からの排気による排圧が妨げられない。また、背面視で前記排出口30a全体が前記遮蔽板32と重なっていても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンバインのエンジン排気装置に関し、特に排ガス管の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、穀稈を刈取装置により刈り取って搬送し、フィードチェーンから脱穀装置に供給して、脱穀、選別し、脱穀選別された穀粒をグレンタンクに一時貯溜した後、グレンタンク内の穀粒をコンバインの外部に排出する構成である。そして、脱穀装置の後部には排藁処理室が設けられており、脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものが該排藁処理室に投入されて、内部にある排藁カッターにより切断され、圃場に放出される。そして、コンバインはエンジンからの駆動により脱穀装置などの各部へ伝動されることで作動し、エンジンからの排気は車体の中央部後方へ向けて排出される。
【0003】
脱穀装置や排藁処理室からは、藁屑や塵埃などがコンバインの外部に排出されるが、これら藁屑や塵埃などがエンジンの排出口に降りかかり、エンジンからの排風によって藁屑や塵埃などが四方八方に拡散してしまうという問題があった。
上記問題に鑑みて、エンジンの排気を案内する排ガス管を、車体のセンターフレーム下側に沿わせて脱穀装置の奥側の壁面よりも内側下方に配置させたエンジン排気装置が提案されている。
【特許文献1】特開平10−276533号公報
【特許文献2】特開2004−337070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、脱穀装置の奥側の壁面に沿って降下する藁屑や塵埃などが排ガス管の外側に案内されるので、脱穀装置から発生する藁屑等がセンターフレームや排ガス管上に降りかかることを防止できる。しかし、上記特許文献2に記載の構成によれば、脱穀装置の後部には脱穀装置の本体幅とほぼ同一幅の排藁処理室が設けられており、排藁処理室内に複数設けられた藁用カッターにより切断された藁屑や塵埃などが外部へ排出されるが、排藁処理室内から排出される排藁などが排ガス管の排出口に降りかかる場合の不具合については何ら開示されていない。
【0005】
そして、上記特許文献等の構成には記載されていないが、排藁処理室の下方には、排藁カッターにより切断後の穀粒を案内して外部へ排出するための切藁案内板が設けられている場合がある。しかし、排ガス管の排出口の位置によっては切藁案内板により案内された藁屑等の流れがエンジンからの排風によって乱されるという問題が未だにある。
【0006】
そして、排藁処理室内の切藁案内板が背面視で右下りに傾斜しており、切断後の穀粒を右側下方に案内して外部へ排出する場合に、切藁案内板のうち、背面視で最も左側に位置する切藁案内板を下方に延長した延長部分よりも左側に前記排ガス管の排出口を設けると、切藁案内板により右側下方に案内される藁屑は、延長部分の左側から排出される排ガスによって、左側や上方下方にも拡散されるため、このような場合は、せっかく切藁案内板を設けていても、その機能が十分に発揮されない。
【0007】
本発明の課題は、排藁処理部から排出される藁屑や塵埃等がエンジンからの排風によって拡散されることを防ぐコンバインの提供である。更に、切藁案内板によって案内される藁屑や塵埃等の流れがエンジンからの排風によって乱されることを防いで、切藁案内板の機能を発揮でき、藁屑や塵埃などを均一な方向に案内して排出できるコンバインの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は次の解決手段により解決できる。
請求項1記載の発明は、走行装置(3、3)上に設けた機体(2)と、該機体(2)の下方に位置し、該機体(2)内に設けられたエンジン(21)からの排ガスを機体(2)の前進方向に向かって後方外部へ案内する排ガス管(30)と、前記機体(2)内の後部であって、前記排ガス管(30)の後方に位置し、穀稈のうち脱穀された残りの藁を処理して機体(2)の外部へ排出する排藁処理部(82)と、該排藁処理部(82)内の下部に設けられ、背面視で右下りに傾斜している構成を有し、処理後の藁を機体(2)の前進方向に向かって右側下方に案内して外部へ排出する一以上の切藁案内板(83)とを設けたコンバインであって、前記切藁案内板(83)のうち、機体(2)の前進方向に向かって背面視で最も左側に位置する切藁案内板(83a)を下方に延長した延長部分よりも前記前進方向に向かって左側に前記排ガス管(30)の排出口(30a)を設け、更に該排ガス管(30)の排出口(30a)と前記切藁案内板(83)の間に背面視で排出口(30a)と重なるように遮蔽板(32)を設けたコンバインである。
請求項2記載の発明は、前記排出口(30a)と前記遮蔽板(32)の間には、排出口(30a)から排出される排ガスが拡散する空間部を有する請求項1記載のコンバインである。
【0009】
請求項3記載の発明は、機体(2)の前進方向に向かって背面視で前記排出口(30a)全体が前記遮蔽板(32)と重なっている請求項1又は2に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、背面視で排出口(30a)と重なるように遮蔽板(32)を設けることで、エンジン(21)からの排風は遮蔽板(32)に当たるため、排ガス管(30)の上方に位置する切藁案内板(83)に案内されて排出される藁屑や塵埃などには当たりにくくなる。したがって、これら藁屑等が四方八方に拡散することを防ぐことができる。そして、切藁案内板(83)の機能を発揮でき、藁屑や塵埃などを均一な方向に案内して排出できる。
【0011】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の上記効果に加えて、排出口(30a)と遮蔽板(32)の間には空間部を有するので、エンジン(21)からの排気が空間部に放出、拡散されてから遮蔽板(32)に当たるため、エンジン(21)からの排気による排圧が妨げられない。したがって、機体(2)内に排ガスが滞ることがなく、スムーズに機体(2)の外部に排出される。
【0012】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の上記効果に加えて、背面視で排出口(30a)全体が遮蔽板(32)と重なっていることから、排出口(30a)から排出されたエンジン(21)からの排風のほとんどは遮蔽板(32)に当たって排藁処理部(82)がある上方へは拡散されにくいため、より一層、切藁案内板(83)に案内され排出される藁屑や塵埃などが四方八方に拡散することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は本実施形態のコンバインの左側面図であり、図2は図1のコンバインの背面図である。なお、本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0014】
図1および図2に示すように、コンバインの機体2の下方に土壌面を走行する左右一対の走行装置(以下、走行クローラと称す。)3を有する走行装置本体4を配設し、機体2の前端側に分草杆8を備えた刈取装置9が設けられている。刈取装置9は機体2の上方の支点を中心にして上下動する刈取装置支持フレーム(図示せず)で支持されているので、コンバインに搭乗したオペレータが運転台25の操縦席20の操向レバー28を前後に傾倒操作することにより、刈取装置支持フレームと共に上下に昇降する構成である。
【0015】
機体2の内部には、刈取装置9から搬送されてくる穀稈をフィードチェーン14により引き継いで搬送して脱穀、選別する脱穀装置10と該脱穀装置10で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク13が載置され、グレンタンク13の後部に縦オーガ16、横オーガ17からなるオーガを連接して、グレンタンク13内の穀粒をグレンタンク13下部の螺旋(図示せず)により搬送して、横オーガ17の穀粒排出口17aからコンバインの外部に排出する構成としている。
【0016】
すなわち、コンバインはオペレータが操縦席20において各種レバー類を操作し、エンジン21(図4)の動力を図示しない走行トランスミッションケース内の主変速機を介して変速し、左右の走行クローラ3、3に伝動して任意の速度で走行する。
【0017】
また、コンバインは、オペレータが操縦席20において操向レバー28を左右に傾倒操作することにより各種旋回走行することができる。すなわち、操向レバー28をコンバインを旋回させようとする方向に傾倒操作することにより、左右の走行クローラ3、3に速度差が与えられて走行方向の変更が行われる構成としている。
【0018】
図3には図1のコンバインの脱穀装置10付近の一部切り欠き側面断面図を示し、図4には図1のコンバインの脱穀装置10付近の平面図を示す。
穀稈は供給搬送装置からフィードチェン14の始端部に受け継がれ、脱穀装置10に供給される。脱穀装置10は、上側に扱胴69を軸架した扱室66を配置し、扱室66の下側に選別部50を一体的に設け、供給された刈取穀稈を脱穀、選別する。
【0019】
脱穀装置10に供給された穀稈は、主脱穀部である扱室66に挿入される。扱室66に軸架された扱胴69は、その表面に多数の扱歯69aが設けられており、駆動機構Dによりエンジン21からの動力で矢印E方向に回転する。そして穀稈は、矢印A方向に移送されながら扱胴69の多数の扱歯69aと、フィードチェン14による移送と、扱網74との相互作用により脱穀され、被処理物(穀粒や藁くず)は脱穀装置10内の選別部50の揺動棚51で受け止められ、上下前後方向に揺動する揺動棚51上を移動しながら、唐箕ファン79aが回転することによる唐箕79からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒はシーブ53および選別網63を通過し、一番螺旋65aから、搬送螺旋(図示せず)を内蔵している一番揚穀筒65を経てグレンタンク13へ搬送され、グレンタンク13に一時貯留される。一番揚穀筒65の長手方向の軸芯上にグレンタンク13の籾排出口を設けている。
【0020】
脱穀装置10の扱室66の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、排藁チェーン80(図4)および排藁穂先チェーン(図示せず)に挟持されて搬送され、脱穀装置10の後部の排藁処理室82に投入されて圃場に放出される。排藁処理室82内には排藁カッター81が設けられており、排藁カッター81により切断された穀稈は、排藁カッター81の下方に設けられた一対の切藁案内板83a,83bにより案内されて圃場に放出される。図2に示すように、切藁案内板83は、カバー78で覆われ、支え棒84によって板の下面が支えられ、背面視で右下りに傾斜している構成を有し、排藁カッター81による切断後の穀粒を矢印B方向に示すように右側下方に案内して外部へ排出する。図2には切藁案内板83を右側の切藁案内板83bと左側の切藁案内板83aの合計2枚設置した例を示しているが、特に枚数は限定しない。
【0021】
機体2の下方には、エンジン21からの排ガスを機体2の外部へ案内する排ガス管30が設置されている。そして、排ガス管30の排出口30aは、これら切藁案内板83のうち、背面視で最も左側に位置する切藁案内板83a(切藁案内板は3つ以上設けても良い)を下方に延長した延長部分(一点鎖線C)よりも左側に位置している。通常は、左側の未刈り穀稈に当たらないようにするために切藁案内板83aを右下りに傾斜させており、切藁は右下方に案内される。また、排出口30aは、右側にグレンタンク13が、左側に脱穀装置10が配置されているため、グレンタンク13と脱穀装置10との空間部である機体2の中央部に位置していることで、排ガスの放熱が良くなる。
【0022】
このような排ガス管30の排出口30aと切藁案内板83の配置関係では、切藁案内板83により右側下方に案内される藁屑は、藁屑が案内される方向(一点鎖線Cで示す切藁案内板83の延長方向)の背面視左側から排出される排ガスによって左側や上方下方にも拡散されるため、せっかく切藁案内板83を設けていても、その機能が十分に発揮されない。すなわち従来は、排風によって、切藁案内板83により案内される藁屑の案内方向が乱されるため、藁屑等は均一な方向に排出されていなかった。
【0023】
しかし、図2に示すように、排ガス管30の排出口30aと切藁案内板83の間に、背面視で排出口30aと重なるように遮蔽板32を設けることで、エンジン21からの排風は遮蔽板32に当たるため、排ガス管30の上方に位置する切藁案内板83に案内されて排出される藁屑や塵埃などにはエンジン21からの排風が当たりにくくなる。したがって、これら藁屑や塵埃等がエンジン21からの排気によって四方八方に拡散することを防ぐことができる。また、遮蔽板32は、ボルト35を用いて数箇所を走行フレーム5の後端面に取りつけて固定すれば、簡易な構成となる。そして排藁処理を行っていない場合には取り外しても良い。また、ボルト35に限らずフックやその他の留め具を用いても良い。また、図3及び図4に示すように、走行フレーム5のプレートに対して、ボルト35で遮蔽板32と支え部材85を取り付けて、更に支え部材85の下部を前方に折り曲げ、前方先端部を排ガス管30の排出口30aの上面に取り付けて連結させると、強固な構造になる。
【0024】
したがって本構成を採用することにより、切藁案内板83の機能を発揮でき、藁屑や塵埃などを右側の均一な方向に案内して排出できる。なお、図3に示すように、側面視で排ガス管30の排出口30aの下方が斜めにカットされていると、排出口30aからの排風は下方に流れるため、排ガス管30の上方に位置する切藁案内板83に案内される藁屑や塵埃などに当たりにくくなる。
【0025】
そして、図3に示すように、排ガス管30の排出口30aと遮蔽板32の間に一定距離を設けることで、排出口30aと遮蔽板32の間に空間部が生じる。したがって、エンジン21からの排気が空間部に放出、拡散されてから遮蔽板32に当たるため、排出直後に遮蔽板32に当たる場合と比べて排圧が妨げられないため、機体2内に排ガスが滞ることがなく、スムーズに機体2の外部に排出される。
【0026】
図5には他の実施形態のコンバインの背面図を示し、図6には図5のコンバインの脱穀装置10付近の一部切り欠き側面断面図を示す。なお、以下の図面中、先に説明した他の図面と重複する部材の説明は省略している。また、符号の図示についても一部省略している。
図5に示すように、背面視で排出口30a全体が遮蔽板32と重なっている場合には、図6に示すように、排出口30aから排出されたエンジン21からの排風のほとんどは遮蔽板32に当たって上方に拡散されにくいため、より一層、切藁案内板83に案内され排出される藁屑や塵埃などが四方八方に拡散することを防ぐことができる。また、排出口30aと遮蔽板32の間には空間部があるため排気による排圧が妨げられない。
【0027】
一方、図2に示すように、背面視で排出口30aの一部のみ遮蔽板32と重なっている構成でも良い。図2に示す例では、排出口30aの下方は遮蔽板32と重なっておらず、一部を覗かせた状態である。
本構成を採用することにより、排出口30aの一部が遮蔽板32に重なっていないことで、エンジン21からの排風が、該重なっていない箇所から機体2の外部へスムーズに排出されるため、排気による排圧が遮蔽板32によって妨げられない。また、図3に示すように、排ガス管30の排出口30aと遮蔽板32の間に空間部があると、機体2内に排ガスが滞ることがなく、スムーズに排ガスが機体2の外部に排出される。
【0028】
更に、図7には他の実施形態のコンバインの脱穀装置10付近の一部切り欠き側面断面図を示し、図8には図7のコンバインの脱穀装置10付近の平面図を示す。
図7及び図8に示すように、遮蔽板32の下部を後方へ折り曲げた構成としても良い。すなわち排出口30aと遮蔽板32との間が広がるように遮蔽板32を後方に折り曲げて遮蔽板32の下方を開放している。
本構成を採用することにより、排ガス管30の排出口30aと遮蔽板32との間の空間部が広がって、エンジン21からの排気が拡散されやすくなるので、より一層、排気による排圧が遮蔽板32によって妨げられることなく、スムーズに排ガスが機体2の外部に排出される。
【0029】
更に、図9には他の実施形態のコンバインの脱穀装置10付近の一部切り欠き側面断面図を示し、図10には図9のコンバインの脱穀装置10付近の平面図を示し、図11には図9のコンバインの背面図を示す。
また、平面視で遮蔽板32を排出口30aの左側に取り付けて右側に折り曲げた構成としても良い。 すなわち図11に示すように、遮蔽板32を走行フレーム5の後端面にボルト35で取り付け、図10に示すように、平面視で排ガスが遮蔽板32に当たって右側後方に流れるように遮蔽板32を右側に折り曲げている。したがって、排出口30aからの排風は、矢印F方向(図10)へと流れる。また、図10の丸枠部分に示すように、遮蔽板32を折り曲げずにフレーム5に溶接して、単に遮蔽板32の配置を排出口30aに対して斜めに設置し、右側後方(矢印F方向)へ排ガスが流れるようにしても良い。
【0030】
従来は、切藁案内板83により右側下方に案内される藁屑は、排出口30aから排出される排ガスによって左側や上方下方にも拡散されるため、案内方向が乱されて均一な方向に排出されていなかった。
しかし、本構成を採用することにより、排ガス管30の排出口30aの後方で切藁案内板83の下方前方に設けた遮蔽板32を排出口30aの左側に取り付けて右側に折り曲げることで、排ガスが右側後方に流れ、すなわち切藁案内板83により案内される藁屑等と同じ方向に流れるため、藁屑等は均一な方向に排出される。また、図9に示すように、排ガス管30の排出口30aと遮蔽板32の間には空間部があり、該空間部から排風が遮蔽板32に沿って右側後方に案内されるので、排気による排圧が遮蔽板32によって妨げられることなく、スムーズに排ガスが機体2の外部に排出される。
また、遮蔽板32自身も切藁(藁屑)の案内軌跡にはないので、排藁カッター81で切断された藁が落ちてきても遮蔽板32には当たらない。
【0031】
図12には参考例によるコンバインの背面図を示し、図13には図12のコンバインの脱穀装置10付近の平面図を示す。
ところで、排ガス管30の排出口30aの位置を、背面視で最も左側に位置する切藁案内板83aを下方に延長した延長部分(一点鎖線C)よりも右側に配置した場合は、切藁案内板83aにより案内される切藁が、排出口30aから排出される排ガスによって吹き飛ばされてしまい、均一な方向に排出されないという問題がある。
【0032】
しかし、図13に示すように、平面視で排出口30aの右側を斜めにカットすることにより、排出口30aからの排風が矢印G方向へ流れ、すなわち切藁案内板83により案内される藁屑等と同じ方向に流れる。したがって、藁屑等は均一な方向に排出され、排ガスにより思いもよらない方向に飛ばされにくくなる。
【0033】
図14には参考例によるコンバインの背面図を示し、図15には図14のコンバインの脱穀装置10付近の平面図を示す。
また、排ガス管30の排出口30aの位置を、背面視で最も左側に位置する切藁案内板83aを下方に延長した延長部分(一点鎖線C)よりも右側に配置した場合に、排出口30aを右側下方に斜めに曲げた構成としても良い。そして、曲げる方向(角度)は背面視で左側に位置する切藁案内板83aと平行になるようにすると、排風が切藁案内板83の案内方向(矢印H方向)に流れるので藁屑等の流れが乱れにくく、均一な方向に排出される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明はコンバインの排気装置に限らず、その他の農業用、工業用作業車両の各種排気装置においても利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態のコンバインの左側面図である。
【図2】図1のコンバインの背面図である。
【図3】図1のコンバインの脱穀装置付近の一部切り欠き側面断面図である。
【図4】図1のコンバインの脱穀装置付近の平面図である。
【図5】他の実施形態のコンバインの背面図である。
【図6】図5のコンバインの脱穀装置付近の一部切り欠き側面断面図である。
【図7】他の実施形態のコンバインの脱穀装置付近の一部切り欠き側面断面図である。
【図8】図7のコンバインの脱穀装置付近の平面図である。
【図9】他の実施形態のコンバインの脱穀装置付近の一部切り欠き側面断面図である。
【図10】図9のコンバインの脱穀装置付近の平面図である。
【図11】図9のコンバインの背面図である。
【図12】参考例によるコンバインの背面図である。
【図13】図12のコンバインの脱穀装置付近の平面図である。
【図14】参考例によるコンバインの背面図である。
【図15】図14のコンバインの脱穀装置付近の平面図である。
【符号の説明】
【0036】
2 機体 3 走行装置(走行クローラ)
4 走行装置本体 5 走行フレーム
8 分草杆 9 刈取装置
10 脱穀装置 13 グレンタンク
14 フィードチェーン 16 縦オーガ
17 横オーガ 17a 穀粒排出口
20 操縦席 21 エンジン
25 運転台 28 操向レバー
30 排ガス管 30a 排出口
32 遮蔽板 35 ボルト
50 選別部 51 揺動棚
53 シーブ 63 選別網
65 一番揚穀筒 65a 一番螺旋
66 扱室 69 扱胴
69a 扱歯 74 扱網
78 カバー 79 唐箕
79a 唐箕ファン 80 排藁チェーン
81 排藁カッター 82 排藁処理室
83 切藁案内板 83a 左側の切藁案内板
83b 右側の切藁案内板 84 支え棒
85 支え部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(3、3)上に設けた機体(2)と、
該機体(2)の下方に位置し、該機体(2)内に設けられたエンジン(21)からの排ガスを機体(2)の前進方向に向かって後方外部へ案内する排ガス管(30)と、
前記機体(2)内の後部であって、前記排ガス管(30)の後方に位置し、穀稈のうち脱穀された残りの藁を処理して機体(2)の外部へ排出する排藁処理部(82)と、
該排藁処理部(82)内の下部に設けられ、背面視で右下りに傾斜している構成を有し、処理後の藁を機体(2)の前進方向に向かって右側下方に案内して外部へ排出する一以上の切藁案内板(83)とを設けたコンバインであって、
前記切藁案内板(83)のうち、機体(2)の前進方向に向かって背面視で最も左側に位置する切藁案内板(83a)を下方に延長した延長部分よりも前記前進方向に向かって左側に前記排ガス管(30)の排出口(30a)を設け、
更に該排ガス管(30)の排出口(30a)と前記切藁案内板(83)の間に背面視で排出口(30a)と重なるように遮蔽板(32)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記排出口(30a)と前記遮蔽板(32)の間には、排出口(30a)から排出される排ガスが拡散する空間部を有することを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
機体(2)の前進方向に向かって背面視で前記排出口(30a)全体が前記遮蔽板(32)と重なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−9(P2008−9A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170130(P2006−170130)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】