説明

コンバイン

【課題】刈取り駆動構造を簡単に構成できるものでありながら、刈取り駆動機構の製造コストを簡単に低減できるコンバインを提供する。
【解決手段】エンジン14によって作動する走行部2を備えた走行機体と、刈刃装置222と、穀稈搬送装置224と、走行機体の移動速度を検出する車速センサとを備え、エンジンからの一定回転出力を車速同調速度に変更してから、刈刃装置又は穀稈搬送装置に伝達するコンバインにおいて、穀稈搬送装置等にエンジンからの一定回転出力を伝達する遊星ギヤ機構91と、穀稈搬送装置等に対する遊星ギヤ機構の出力を減速する刈取変速用アクチュエータとを備え、車速センサの検出結果に基づき、刈取変速用アクチュエータによって遊星ギヤ機構を減速作動する構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植立した穀稈を刈取って穀粒を収集するコンバイン、又は飼料用穀稈を刈取って飼料として収集する飼料コンバイン等のコンバインに係り、より詳しくは、刈刃装置によって株元が切断される穀稈又は飼料用穀稈を搬送するための穀稈搬送装置等をエンジンにて作動するようにしたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインは、圃場に植立した未刈り穀稈の株元を刈刃装置によって切断し、穀稈搬送手段によって脱穀装置にその穀稈を搬送し、脱穀装置によってその穀稈を脱穀して、穀粒を収集するように構成している。特許文献1に示されるように、テンションクラッチを有するベルト伝動機構を介して、エンジンからの駆動力によって刈刃装置又は穀稈搬送装置等の刈取装置が作動するように構成されている。
【特許文献1】特開2004−97038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術は、特許文献1に示されるように、エンジンからの走行駆動力の一部によって刈刃装置又は穀稈搬送手段を作動させた場合、走行機体の移動速度(車速)に同調した速度で、刈刃装置又は穀稈搬送手段等の刈取装置を作動できるが、刈取り変速機構や、刈取り一定回転機構等の機械式刈取り駆動機構を設けて、刈取装置の駆動性能を向上させる必要がある。エンジンの回転を刈取装置に伝達する刈取り駆動機構を簡単に構成できない等の問題がある。また、刈取り変速機構や、刈取り一定回転機構等に代えて、油圧ポンプ及び油圧モータを有する油圧無段変速機を設けて、その油圧無段変速機を介してエンジンの回転を刈取装置に伝達した場合、刈取り駆動機構を簡単に構成できるが、刈取装置を最高速で作動する高速作業のときに、前記機械式伝達機構よりも伝達効率が低下する等の問題がある。刈取装置の駆動性能を向上させるには、高速作業のときにも伝達効率が低下しない高価な油圧無段変速機を使用する必要がある。油圧無段変速機によって刈取り駆動機構を構成した場合、製造コストを簡単に低減できない等の問題がある。
【0004】
本発明の目的は、エンジンの回転を刈取装置に伝達する刈取り駆動構造を簡単に構成できるものでありながら、刈取り駆動機構の製造コストを簡単に低減できるようにしたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、エンジンによって作動する走行部を備えた走行機体と、圃場に植立した穀稈の株元を切断する刈刃装置と、前記刈刃装置によって株元が切断された前記穀稈を搬送する穀稈搬送装置と、前記走行機体の移動速度を検出する車速センサとを備え、前記エンジンからの一定回転出力を車速同調速度に変更してから、前記刈刃装置又は前記穀稈搬送装置等に伝達するように構成してなるコンバインにおいて、前記穀稈搬送装置等に前記エンジンからの一定回転出力を伝達する遊星ギヤ機構と、前記穀稈搬送装置等に対する前記遊星ギヤ機構の出力を減速する刈取変速用アクチュエータとを備え、前記車速センサの検出結果に基づき、前記刈取変速用アクチュエータによって前記遊星ギヤ機構を減速作動するように構成したものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記走行機体の移動速度が所定範囲内のときに、前記車速センサの検出結果に基づき、前記刈取変速用アクチュエータによって前記遊星ギヤ機構を減速作動するように構成する一方、前記走行機体の移動速度が所定範囲以上のときに前記刈取変速用アクチュエータの回転出力を高速一定回転数に維持し、且つ前記走行機体の移動速度が所定範囲以下のときに、前記刈取変速用アクチュエータの回転出力を低速一定回転数又は停止状態に維持するように構成したものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記穀稈搬送装置等の逆回転を許容する逆転作業スイッチを備え、前記逆転作業スイッチの逆回転許容操作に基づき、前記遊星ギヤ機構に対する前記刈取変速用アクチュエータの刈取変速用制御出力が最高回転付近の回転数のときに、前記穀稈搬送装置等に対する前記遊星ギヤ機構の出力が低速で逆転するように構成したものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記遊星ギヤ機構に対して前記刈取変速用アクチュエータの出力を伝達する刈取変速用入力クラッチと、前記エンジンの一定回転出力に対して前記遊星ギヤ機構の出力回転を略零に維持可能な逆回転入力機構と、前記逆回転入力機構から前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力を入り切りする逆転用入力クラッチとを備え、前記逆回転入力機構から前記逆転用入力クラッチを介して前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力によって、前記遊星ギヤ機構の出力回転を零回転に維持可能に構成したものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記刈取変速用アクチュエータを形成する刈取変速用電動モータと、前記エンジンの略一定回転入力に対して前記遊星ギヤ機構の出力を略零に維持可能な逆回転入力機構と、前記逆回転入力機構から前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力を入り切りする逆転用入力クラッチとを備え、前記逆回転入力機構から前記逆転用入力クラッチを介して前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力によって、前記遊星ギヤ機構の出力回転を略零に維持可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、エンジンによって作動する走行部を備えた走行機体と、圃場に植立した穀稈の株元を切断する刈刃装置と、前記刈刃装置によって株元が切断された前記穀稈を搬送する穀稈搬送装置と、前記走行機体の移動速度を検出する車速センサとを備え、前記エンジンからの一定回転出力を車速同調速度に変更してから、前記刈刃装置又は前記穀稈搬送装置等に伝達するように構成してなるコンバインにおいて、前記穀稈搬送装置等に前記エンジンからの一定回転出力を伝達する遊星ギヤ機構と、前記穀稈搬送装置等に対する前記遊星ギヤ機構の出力を減速する刈取変速用アクチュエータとを備え、前記車速センサの検出結果に基づき、前記刈取変速用アクチュエータによって前記遊星ギヤ機構を減速作動するように構成したものであるから、刈取り変速機構や、刈取り一定回転機構等の機械式刈取り駆動機構を設けた従来の構造に比べて、前記穀稈搬送装置等にエンジンの回転を伝達する刈取り駆動構造を簡単に構成でき、刈取り駆動機構の製造コストを簡単に低減できる。また、前記穀稈搬送装置等を高速で駆動するときに、前記エンジンからの回転出力が前記遊星ギヤ機構を介して前記穀稈搬送装置等に伝達されるから、油圧無段変速機によって刈取り駆動機構を構成する従来の構造に比べて、刈取り駆動機構を低コストに構成でき、且つ伝達効率を向上できる。特に刈取り速度が速いほど伝達効率が良くなるから、高速作業性を向上できる。さらに、前記走行機体の前進移動ばかりでなく、その後進移動のときにも、前進移動と同様に、前記穀稈搬送装置等の刈取装置を簡単に作動できるから、圃場の枕地での方向転換作業性を向上できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、前記走行機体の移動速度が所定範囲内のときに、前記車速センサの検出結果に基づき、前記刈取変速用アクチュエータによって前記遊星ギヤ機構を減速作動するように構成する一方、前記走行機体の移動速度が所定範囲以上のときに前記刈取変速用アクチュエータの回転出力を高速一定回転数に維持し、且つ前記走行機体の移動速度が所定範囲以下のときに、前記刈取変速用アクチュエータの回転出力を低速一定回転数又は停止状態に維持するように構成したものであるから、前記刈取変速用アクチュエータの制御によって、前記走行機体の移動速度と関連した車速同調速度にて、前記穀稈搬送装置等の刈取装置を簡単に作動できるものでありながら、刈取り変速や刈取り一定回転等の機能を保持して、刈取り作業性を向上できるものである。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、前記穀稈搬送装置等の逆回転を許容する逆転作業スイッチを備え、前記逆転作業スイッチの逆回転許容操作に基づき、前記遊星ギヤ機構に対する前記刈取変速用アクチュエータの刈取変速用制御出力が最高回転付近の回転数のときに、前記穀稈搬送装置等に対する前記遊星ギヤ機構の出力が低速で逆転するように構成したものであるから、例えば前記走行機体を一定場所に停止させた状態で、前記穀稈搬送装置等を低速で逆回転作動でき、前記穀稈搬送装置等のメンテナンス作業性、又は前記穀稈搬送装置等に詰った穀稈の除去作業性等を向上できる。また、前記穀稈搬送装置の長尺なチェンの一部を交換するときに、分離作業がしやすい場所に前記チェンの繋ぎ部等を簡単に移動できるから、前記穀稈搬送装置の分解組立等の保守作業性を向上できるものである。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、前記遊星ギヤ機構に対して前記刈取変速用アクチュエータの出力を伝達する刈取変速用入力クラッチと、前記エンジンの一定回転出力に対して前記遊星ギヤ機構の出力回転を略零に維持可能な逆回転入力機構と、前記逆回転入力機構から前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力を入り切りする逆転用入力クラッチとを備え、前記逆回転入力機構から前記逆転用入力クラッチを介して前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力によって、前記遊星ギヤ機構の出力を零回転に維持可能に構成したものであるから、前記刈取変速用入力クラッチの切り作動と前記逆転用入力クラッチの入り作動とによって、前記刈取変速用アクチュエータを停止でき、且つ前記遊星ギヤ機構の出力を零回転に維持できる。例えば圃場間の移動等において前記穀稈搬送装置等を長時間に亘って停止維持する場合、前記刈取変速用アクチュエータを長時間に亘って高速作動させる必要がないから、低コストの油圧モータ等によって前記刈取変速用アクチュエータを簡単に構成できるものである。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、前記刈取変速用アクチュエータを形成する刈取変速用電動モータと、前記エンジンの略一定回転入力に対して前記遊星ギヤ機構の出力を略零に維持可能な逆回転入力機構と、前記逆回転入力機構から前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力を入り切りする逆転用入力クラッチとを備え、前記逆回転入力機構から前記逆転用入力クラッチを介して前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力によって、前記遊星ギヤ機構の出力回転を略零に維持可能に構成したものであるから、前記逆転用入力クラッチの入り作動によって、前記遊星ギヤ機構の出力を零回転に維持できる。また、圃場間の移動等において前記穀稈搬送装置等を長時間に亘って停止維持する場合、前記刈取変速用電動モータを発電機として利用できるから、前記刈取変速用電動モータの発電エネルギーを2次電池等に蓄えることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図、図3は刈刃装置及び穀稈搬送装置の側面説明図、図4は刈刃装置及び穀稈搬送装置の平面説明図、図5はコンバインの駆動系統図、図6は刈刃装置及び穀稈搬送装置を含む刈取装置等の駆動系統図、図7は図6に示す駆動系統のブロック図、図8は刈取装置等の駆動制御回路の機能ブロック図である。図1及び図2を参照しながら、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0016】
本実施形態のコンバインは、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む6条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、該脱穀装置5から取出された穀粒を貯留する穀粒タンク7とが横並び状に搭載されている。本実施形態では、脱穀装置5が走行機体1の前進方向左側に、穀粒タンク7が走行機体1の前進方向右側に配置されている。走行機体1の後部に旋回可能な排出オーガ8が設けられ、穀粒タンク7の内部の穀粒が、排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀粒タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。
【0017】
運転キャビン10内には、操縦ハンドル11と、運転座席12と、主変速レバー42と、副変速レバー43と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り切り操作する作業クラッチレバー44とを配置している。なお、図示しないが、運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップと、操縦ハンドル11を設けたハンドルコラムと、前記各レバー42,43,44等を設けたレバーコラムとが配置されている。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン14が配置されている。
【0018】
図1乃至図4に示されるように、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン14の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2を着地させている。
【0019】
刈取装置3の刈取回動支点軸4aに刈取フレーム221を連結する。刈取フレーム221の下方にバリカン式の刈刃装置222が設けられている。圃場に植立した未刈り穀稈(穀稈)の株元を、刈刃装置222によって切断する。刈取フレーム221の前方に6条分の穀稈引起装置223が配置されている。圃場に植立した未刈り穀稈を、穀稈引起装置223によって引起す。穀稈引起装置223とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間に、穀稈搬送装置224が配置されている。刈刃装置222によって刈取られた刈取り穀稈を、穀稈搬送装置224によって搬送する。なお、穀稈引起装置223の下部前方に6条分の分草体225が突設されている。圃場に植立した未刈り穀稈を、分草体225によって分草する。エンジン14にて走行クローラ2を駆動して、圃場内を移動しながら、圃場に植立した未刈り穀稈を、刈取装置3によって連続的に刈取るように構成している。
【0020】
次に、図3及び図4を参照して刈取装置3の構造を説明する。図3及び図4に示すように、刈取フレーム221は、走行機体1の前端側の軸受台15に回動可能に支持した刈取入力ケース16と、刈取入力ケース16から前方に向けて延長する縦伝動ケース18と、縦伝動ケース18の前端側で左右方向に向けて延長する横伝動ケース19と、横伝動ケース19に連結する6条分の分草フレーム20とによって形成されている。分草フレーム20の前端側に分草体225を支持している。走行機体1の左右方向に刈取入力ケース16を水平に横架している。刈取装置3の各部に駆動力を伝達する刈取り入力軸17が、刈取入力ケース16内に組込まれている。エンジン14からの動力が刈取り入力軸17に伝達されるように構成している。
【0021】
穀稈引起装置223は、分草板225によって分草された未刈穀稈を起立させる6条分の引起ケース29を有する。引起ケース29には複数の引起タイン28が組込まれている。穀稈搬送装置224は、右側2条分の引起ケース29から導入される右側2条分の穀稈の株元側を掻込む左右の右スターホイル30R及び左右の右掻込ベルト31Rと、左側2つの引起ケース29から導入される左側2条分の穀稈の株元側を掻込む左右の左スターホイル30L及び左右の左掻込ベルト31Lと、中央2つの引起ケース29から導入される中央2条分の穀稈の株元側を掻込む左右の中央スターホイル30C及び左右の中央掻込ベルト31Cとを有する。
【0022】
刈刃装置222は、右スターホイル30R及び左右の右掻込ベルト31R、左スターホイル30L及び左右の左掻込ベルト31L、中央スターホイル30C及び左右の中央掻込ベルト31Cによって掻込まれた6条分の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン形の左右の刈刃32を有する。
【0023】
また、穀稈搬送装置224は、右側2条分のスターホイル30R及び掻込ベルト31Rによって掻込まれた右側2条分の刈取り穀稈の株元側を後方に搬送する右株元搬送チェン33Rと、左側2条分のスターホイル30L及び掻込ベルト31Lによって掻込まれた左側2条分の刈取り穀稈の株元側を右株元搬送チェン33Rの搬送終端部に合流させる左株元搬送チェン33Lと、中央2条分のスターホイル30C及び掻込ベルト31Cによって掻込まれた中央2条分の刈取り穀稈の株元側を後方に搬送して右株元搬送チェン33Rの搬送途中に合流させる中央株元搬送チェン33Cとを有する。左右及び中央の株元搬送チェン33R,33L,33Cによって、右株元搬送チェン33Rの搬送終端部に、6条分の刈取り穀稈の株元側を合流させるように構成している。
【0024】
穀稈搬送装置224は、右株元搬送チェン33Rから6条分の刈取り穀稈の株元側を受継ぐ縦搬送チェン34と、縦搬送チェン34の搬送終端部からフィードチェン6の搬送始端部に6条分の刈取り穀稈の株元側を搬送する補助株元搬送チェン35,36とを有する。縦搬送チェン34から、補助株元搬送チェン35,36を介して、フィードチェン6の搬送始端部に、6条分の刈取り穀稈の株元側を搬送するように構成している。
【0025】
穀稈搬送装置224は、右株元搬送チェン33Rにて搬送される右側2条分の刈取り穀稈の穂先側を搬送する右穂先搬送タイン37Rと、左株元搬送チェン33Lにて搬送される左側2条分の刈取り穀稈の穂先側を搬送する左穂先搬送タイン37Lと、中央株元搬送チェン33Cにて搬送される中央2条分の刈取り穀稈の穂先側を搬送する中央穂先搬送タイン37Cと、縦搬送チェン34にて搬送される6条分の刈取り穀稈の穂先側を搬送する後穂先搬送タイン38とを有する。脱穀装置5の扱胴226室内に、刈取装置3で刈取った6条分の刈取り穀稈の穂先側を搬送するように構成している。
【0026】
次に、図5を参照して引起し駆動構造を説明する。図5に示すように、刈取り入力軸17に、後述する縦伝動軸40及び横伝動軸41及び左搬送駆動軸69を介して、引起横伝動軸48を連結する。引起横伝動軸48は、6条分の各引起ケース29の引起タイン駆動軸45にそれぞれ連結している。分草体225の後方で、分草フレーム20の上方に、前記引起ケース29が立設されている。前記引起ケース29の上端側の背面から引起タイン駆動軸45を突出している。引起タイン駆動軸45及び引起横伝動軸48を介して、複数の引起タイン28を設けた引起タインチェン28aが駆動されるように構成している。
【0027】
図5に示すように、横伝動軸41に左右のクランク軸52a,52bを介して左右の刈刃32が連結されている。横伝動軸41を介して左右の刈刃32を同期させて駆動するように構成している。なお、刈刃装置222は、6条分の刈幅の中央部で分割して左右の刈刃32を形成し、左右の刈刃32を相反する方向に往復移動させ、往復移動によって発生する左右の刈刃32の振動(慣性力)を相殺するように構成している。
【0028】
図5に示すように、刈取り入力軸17に縦伝動ケース18内の縦伝動軸40の一端側が連結されている。縦伝動軸40の他端側に横伝動ケース19内の横伝動軸41の一端側を連結する。縦伝動軸40及び横伝動軸41を介して、穀稈搬送装置224の各駆動部に刈取り入力軸17の回転力を伝えるように構成している。
【0029】
即ち、縦伝動軸40に右搬送駆動軸62を連結している。縦伝動軸40及び右搬送駆動軸62を介して、右株元搬送チェン33R及び右穂先搬送タイン37Rと、右スターホイル30R及び右掻込ベルト31Rとを駆動するように構成している。また、縦伝動軸40に右搬送駆動軸62を介して縦搬送伝動軸63を連結している。右搬送駆動軸62及び縦搬送伝動軸63を介して、縦搬送チェン34を駆動するように構成している。また、縦伝動軸40に後搬送駆動軸54を連結している。縦伝動軸40及び後搬送駆動軸54を介して、補助株元搬送チェン35,36及び後穂先搬送タイン38を駆動するように構成している。
【0030】
また、横伝動軸41の左端側に左搬送駆動軸69を連結している。左搬送駆動軸69を介して、左株元搬送チェン33L及び左穂先搬送タイン37Lと、左スターホイル30L及び左掻込ベルト31Lとを駆動するように構成している。また、横伝動軸41に中央搬送駆動軸75を連結している。中央搬送駆動軸75を介して、中央株元搬送チェン33C及び中央穂先搬送タイン37Cと、中央スターホイル30C及び中央掻込ベルト31Cとを駆動するように構成している。
【0031】
次に、図1及び図2を参照して、脱穀装置5の構造を説明する。図1及び図2に示されるように、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴226と、扱胴226の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤227及び唐箕ファン228と、扱胴226の後部から取出される脱穀排出物を再処理する排塵処理胴229と、揺動選別盤227後部の排塵を排出する排塵ファン230とが備えられている。なお、扱胴226の回転軸芯線は、フィードチェン6による穀稈の搬送方向(換言すると走行機体1の進行方向)に沿って延びている。刈取装置3の穀稈搬送装置224によって搬送された刈取り穀稈の株元側は、フィードチェン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この刈取り穀稈の穂先側が脱穀装置5の扱室内に搬入されて、扱胴226にて脱穀されるように構成している。
【0032】
揺動選別盤227の下方側には、揺動選別盤227にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ231と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ232とが設けられている。前記各コンベヤ231,232は、走行機体1の前側から一番コンベヤ231、二番コンベヤ232の順で、側面視において走行クローラ2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。
【0033】
揺動選別盤227は、扱胴226の下方に張設された受網237から漏下した脱穀物が、フィードパン238及びチャフシーブ239によって搖動選別(比重選別)されるように構成している。揺動選別盤227から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン228からの選別風によって除去され、一番コンベヤ231に落下する。脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した一番コンベヤ231の終端部には、上下方向に延びる揚穀コンベヤ233が連通接続されている。一番コンベヤ231から取出された穀粒は、揚穀コンベヤ233を介して穀粒タンク7に搬入され、穀粒タンク7に収集されるように構成している。なお、穀粒タンク7の後面の傾斜に沿わせて、揚穀コンベヤ233の上端側が後方に傾斜する後傾姿勢で、穀粒タンク7の後方に揚穀コンベヤ233が立設されている。
【0034】
また、揺動選別盤227は、搖動選別(比重選別)によってチャフシーブ239から枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ232に落下させるように構成している。チャフシーブ239の下方に落下する二番物を風選する選別ファン241を備える。チャフシーブ239から落下した二番物は、その穀粒中の粉塵及び藁屑が選別ファン241からの選別風によって除去され、二番コンベヤ232に落下する。揚穀コンベヤ233と交差して前後方向に延びる還元コンベヤ236を備える。脱穀装置5における穀粒タンク7寄りの一側壁から外向きに突出した二番コンベヤ232の終端部は、還元コンベヤ236を介して、フィードパン238の上面側に連通接続されている。即ち、二番物をフィードパン238の上面側に戻して再選別するように構成している。
【0035】
一方、フィードチェン6の後端側(送り終端側)に排藁チェン234が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン234に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ235にて適宜長さに短く切断された後、走行機体1の後方下方に排出されるように構成している。
【0036】
次に、図5及び図6を参照しながら、刈取装置3、脱穀装置5、フィードチェン6、排藁チェン234、排藁カッタ235等の駆動構造について説明する。図5及び図6に示す如く、エンジン14の前側及び後側に、エンジン14の出力軸70を突出する。エンジン14前側の出力軸70に自在継手83を介してミッションケース71の走行入力軸84を連結している。エンジン14の回転駆動力が、前側の出力軸70からミッションケース71に伝達されて変速された後、左右の車軸72を介して左右の走行クローラ2に伝達される。即ち、エンジン14の回転力によって左右の走行クローラ2が駆動されるように構成している。
【0037】
図5、図6に示す如く、エンジン14の後側の出力軸70に排出オーガ駆動軸76を連結し、エンジン21からの回転駆動力によって排出オーガ駆動軸76を介して排出オーガ8が駆動され、穀粒タンク7内の穀粒がコンテナ等に排出されるように構成している。また、扱胴226及び処理胴230にエンジン14からの回転駆動力を伝える脱穀駆動軸77を備える。エンジン14の後側の出力軸70には、テンションローラ形の脱穀クラッチ78を備えた脱穀駆動ベルト79を介して、脱穀駆動軸77が連結されている。脱穀駆動軸77には、扱胴226を軸支した扱胴軸80と、処理胴230を軸支した処理胴軸81とが連結されている。エンジン14の略一定回転数の回転出力によって、扱胴226及び処理胴230が略一定回転数で回転するように構成している。
【0038】
図5、図6に示す如く、脱穀駆動軸77に選別入力軸82が連結されている。エンジン14の略一定回転数の回転出力によって、選別入力軸82を介して、揺動選別盤227、唐箕ファン228、一番コンベヤ231、二番コンベヤ232、選別ファン241、排塵ファン230が略一定回転数で回転するように構成している。また、ミッションケース71内に、1対の走行油圧ポンプ及び走行油圧モータを有する走行主変速用の油圧式無段変速機構96と、1対の旋回油圧ポンプ及び旋回油圧モータを有する旋回用の油圧式無段変速機構97とを設けている。走行主変速用の油圧式無段変速機構96と、旋回用の油圧式無段変速機構97とによって、ミッションケース71の走行入力軸84の回転が変速されて、車軸72に伝達される。即ち、走行主変速用の油圧式無段変速機構96によって左右の走行クローラ2が同一方向に駆動されて直進移動する。一方、旋回用の油圧式無段変速機構97によって左右の走行クローラ2が互いに逆方向に駆動されて旋回移動するように構成している。
【0039】
図6、図7に示す如く、エンジン14の左側方で、脱穀装置5の前側方の走行機体1上に、カウンタギヤケース90を設けている。カウンタギヤケース90には、上述した脱穀駆動軸77と、脱穀駆動軸77に正転ベベルギヤ86を介して連結する選別入力軸82と、エンジン14の略一定回転数の回転出力を刈取装置3に伝達する刈取り駆動無段変速用の遊星ギヤ機構91と、遊星ギヤ機構91から刈取装置3に伝達する刈取り回転出力を調速(減速調節)する調速回転軸92と、脱穀駆動軸77に逆転ベベルギヤ87を介して連結する逆回転軸100と、刈取装置3に遊星ギヤ機構91を介してエンジン14の回転出力を伝達する刈取伝動軸101とを配置している。
【0040】
前記遊星ギヤ機構91は、サンギヤ93と、プラネタリギヤ94と、リングギヤ95と、キャリヤギヤ98とを有する。キャリヤギヤ98にプラネタリギヤ94を遊転可能に支持している。選別入力軸82の一定回転ギヤ107をリングギヤ95の外側ギヤに噛合させる。リングギヤ95の内側ギヤとサンギヤ93とにプラネタリギヤ94を噛合させる。刈取伝動軸101の刈取回転ギヤ108をキャリヤギヤ98に噛合させる。サンギヤ93に電磁式刈取変速用入力クラッチ109を介して調速回転軸92を連結させる。電磁式刈取変速用入力クラッチ109は、電磁ソレノイド形コイルを励磁又は解除させて入り操作又は切り操作するように構成している。調速回転軸92からの回転は、電磁式刈取変速用入力クラッチ109を介してサンギヤ93に伝達される。即ち、後述する刈取変速用油圧モータ118によって調速回転軸92を高速回転(一定回転数)させた場合、リングギヤ95の一定回転数の回転に対して、キャリヤギヤ98の回転数が零になって、キャリヤギヤ98が停止する。その結果、リングギヤ95が一定回転数で回転しても、サンギヤ93を一定回転数で逆出力方向に回転させることによって、刈取り入力軸17の回転数が零になり、刈取装置3が停止維持されるように構成している。
【0041】
図6、図7に示す如く、サンギヤ93に電磁式逆転用入力クラッチ110を介して逆回転軸100を連結させる。電磁式逆転用入力クラッチ110は、電磁ソレノイド形コイルを励磁又は解除させて入り操作又は切り操作するように構成している。即ち、電磁式逆転用入力クラッチ110を入り操作して、逆回転軸100を介してサンギヤ93を回転させた場合、リングギヤ95の一定回転数に対して、キャリヤギヤ98の回転数が零になって、キャリヤギヤ98が停止するように構成している。その結果、リングギヤ95が一定回転数で回転していても、電磁式逆転用入力クラッチ110の入り操作によって、刈取り入力軸17の回転数が零に維持され、刈取装置3を停止できる。逆回転軸100を介してサンギヤ93が回転しても、電磁式刈取変速用入力クラッチ109の切り作動(空転)によって、サンギヤ93からの回転は、調速回転軸92に伝達されない。
【0042】
なお、電磁式刈取変速用入力クラッチ109に代えて、一方向クラッチを設けても良い。その一方向クラッチを介してサンギヤ93に調速回転軸92を連結させた場合、電磁式逆転用入力クラッチ110を介してサンギヤ93が回転しても、一方向クラッチが空転し、調速回転軸92は回転しない。また、調速回転軸92の強制回転によって、一方向クラッチを介してサンギヤ93が回転する。
【0043】
また、刈取り入力軸17に連結する刈取駆動軸102と、刈取伝動軸101に刈取駆動軸102を連結するトルクリミッタ104と、フィードチェン6を駆動するフィードチェン駆動軸103とを配置している。トルクリミッタ104によって設定されたトルク以下で刈取駆動軸102が回転するように構成している。なお、選別入力軸82にフィードチェン伝動機構111を介してフィードチェン駆動軸103を連結させている。
【0044】
図6、図7に示す如く、前記調速回転軸92を回動して遊星ギヤ機構91を減速作動するための刈取変速機構116を備える。刈取変速機構116は、エンジン14の一定回転出力によって定速回転駆動する刈取変速用アクチュエータとしての出力可変式の刈取変速用油圧ポンプ117と、刈取変速用油圧ポンプ117に閉ループ形油圧回路を介して接続する刈取変速用アクチュエータとしての刈取変速用油圧モータ118とを有する。また、刈取変速用油圧ポンプ117の斜板117aの角度を変更する刈取変速用油圧シリンダ119を設けている。刈取変速用油圧シリンダ119が作動して刈取変速用油圧ポンプ117の斜板117aの角度が変更されることによって、刈取変速用油圧モータ118の出力回転数が変化するように構成している。
【0045】
即ち、刈取変速用油圧シリンダ119によって刈取変速用油圧ポンプ117の斜板117aの角度が調節され、刈取変速用油圧モータ118を作動させた場合、刈取変速用油圧モータ118の出力回転によってサンギヤ93を介してプラネタリギヤ94が回転する。刈取変速用油圧モータ118によってプラネタリギヤ94が回転すると、リングギヤ95によって回転していたキャリヤギヤ98の回転数が、サンギヤ93の回転数に反比例して変化するように構成している。したがって、刈取変速用油圧ポンプ117の斜板117aの角度調節によって、刈取変速用油圧モータ118を作動して、サンギヤ93を回転させることによって、リングギヤ95の一定回転に対して、キャリヤギヤ98の回転が減速される。その結果、走行機体1の移動速度(車速)に比例して、刈取変速用油圧モータ118を増速又は減速制御し、キャリヤギヤ98の回転数を変化させることによって、刈取り入力軸17を介して刈取装置3を車速に同調した速度で駆動できる。
【0046】
また、刈取変速用油圧ポンプ117の斜板117aの傾斜角度を大きくする角度調節によって、刈取変速用油圧モータ118の回転数を増速して、サンギヤ93を高速回転させた場合、リングギヤ95の一定回転数の回転に対して、キャリヤギヤ98の回転数が零になって、キャリヤギヤ98が停止するように構成している。その結果、リングギヤ95が一定回転数で回転していても、刈取り入力軸17の回転数が零になって、刈取装置3が停止維持される。
【0047】
また、刈取変速用油圧ポンプ117の斜板117aの最大角度調節によって、刈取変速用油圧モータ118の出力を最大にして、サンギヤ93を最高速回転させることによって、リングギヤ95の一定回転数の回転に対して、リングギヤ95によるキャリヤギヤ98の回転方向と逆の方向に、キャリヤギヤ98が低速で回転するように構成している。その結果、刈取り入力軸17を低速で逆回転させて、刈取装置3の刈刃装置222又は穀稈搬送装置224等を、刈取り作業のときとは逆の方向に作動でき、穀稈搬送装置224の搬送チェンの交換作業、又は搬送途中に詰った刈取り穀稈の除去作業等を簡単に実行できる。
【0048】
次に、本実施形態の刈取り速度制御について説明する。図8は、刈取装置3の刈取り速度制御手段の機能ブロック図であり、制御プログラムを記憶したROMと各種データを記憶したRAMとを有するマイクロコンピュータ等の作業コントローラ282を備えている。図8に示されるように、マイクロコンピュータで構成する作業コントローラ282の入力側には、作業クラッチレバー44の脱穀クラッチ78入り操作(脱穀装置5の駆動等)を検出する脱穀スイッチ273と、作業クラッチレバー44の刈取クラッチ78入り操作を検出する刈取スイッチ274と、走行機体1の移動速度を検出する車速センサ285と、リングギヤ95の回転数を検出するエンジン側回転センサ286と、刈取変速用油圧モータ118の回転数を検出する刈取変速側回転センサ287と、刈取り入力軸17の回転数を検出する刈取り回転センサ288と、刈取変速用油圧モータ118の出力回転数(刈取装置3の作動速度)を無段階に調節する刈取り速度設定ダイヤル262と、刈取変速用油圧モータ118の最低出力回転数(刈取装置3の最低作動速度)を設定する最低回転数設定器としての低速回転設定器266と、刈取変速用油圧モータ118の最高出力回転数(刈取装置3の最高作動速度)を設定する最高回転数設定器としての高速回転設定器267と、オペレータが穀稈搬送装置224等の逆回転を許容操作する逆転作業スイッチ270とを接続している。
【0049】
図8に示す如く、作業コントローラ282の出力側には、電磁式逆転用入力クラッチ110と、電磁式刈取変速用入力クラッチ109と、刈取変速用油圧シリンダ119を作動する調速バルブ301とを接続している。その結果、車速センサ285の検出結果に基づき、刈取変速用油圧シリンダ119によって刈取変速用油圧ポンプ117の斜板117a角度を変更して、刈取変速用油圧モータ118を自動的に増速又は減速制御できるから、走行機体1の移動速度(車速)と同調した車速同調速度で刈取装置3を作動できる。また、速度変更ダイヤルとしての搬送速度設定ダイヤル262の設定値とに基づき、刈取変速用油圧シリンダ119によって刈取変速用油圧ポンプ117の斜板117a角度を変更して、刈取変速用油圧モータ118を自動的に増速又は減速制御できるから、圃場に植立した未刈り穀稈の刈取り作業状況に応じた速度で刈取装置3を作動できる。
【0050】
また、作業クラッチレバー44の操作によって脱穀クラッチ78が入りに操作した場合、脱穀スイッチ273のオンによって電磁式逆転用入力クラッチ110を入りにして、逆転ベベルギヤ87を介してサンギヤ93を回転させる。その結果、脱穀クラッチ78の入りによってリングギヤ95が回転しても、サンギヤ93によってプラネタリギヤ94を逆方向に回転させるから、キャリヤギヤ98の回転が零に保持されて、刈取伝動軸101が停止維持される。
【0051】
したがって、脱穀クラッチ78を入りにして脱穀装置5を作動させても、ステップ2の刈取停止維持制御によって、刈取装置3は停止維持される。即ち、脱穀装置5を作動させたままで、刈取装置3を停止させて行う作業、例えばオペレータがフィードチェン6に刈取穀稈を供給する手扱作業、又は穀粒タンク7内の穀粒を運搬用のトラックに積込む作業等を行うことができる。なお、逆転ベベルギヤ87によってサンギヤ93が回転しても、電磁式刈取変速用入力クラッチ109の切り作動(空転)によって調速回転軸92が停止維持される。
【0052】
次に、図9乃至図13を参照して、刈取装置3を作動する刈取作業を説明する。図9は刈取クラッチ制御のフローチャートである。刈取スイッチ274がオンでない場合(S1no)、駆動フラグがオンのときに(S2yes)、駆動フラグがリセットされ(S3)、刈取変速用油圧ポンプ117の停止制御が実行される状態になり(S4)、停止フラグがセットされる(S5)。一方、作業クラッチレバー44の刈取クラッチ入り操作によって、刈取スイッチ274がオンになった場合(S1yes)、停止フラグがオンのときに(S6yes)、停止フラグがリセットされ(S7)、刈取変速用油圧ポンプ117の駆動開始制御が実行される状態になり(S8)、駆動フラグがセットされる(S9)。ステップ6において、停止フラグがオンでないときで(S6no)、逆転作業スイッチ270がオンでないときに(S10no)、刈取装置3の変速制御が実行される状態になる(S11)。ステップ10において、逆転作業スイッチ270がオンのときに(S10yes)、刈取装置3の逆転作業制御が実行される状態になる(S12)。
【0053】
図10は、図9に示すフローチャートのステップ11における刈取装置3の変速制御のフローチャートである。車速センサ285の検出値と、刈取り回転センサ288の検出値と、刈取り速度設定ダイヤル262の設定値とが読み込まれる(S13)。車速センサ285の検出値と、刈取り回転センサ288の検出値と、刈取り速度設定ダイヤル262の設定値とから刈取装置3の目標刈取速度(車速同調速度)が計算される(S14)。刈取り回転センサ288によって検出された刈取装置3の刈取速度(実際の刈取速度)と、ステップ14で計算された目標刈取速度が等しいか否かを判定する(S15)。刈取装置3の刈取速度と目標刈取速度とが等しくないときに(S15no)、刈取装置3の刈取速度よりも目標刈取速度が大きいか否かを判定する(S16)。
【0054】
ステップ16の判定において、刈取装置3の刈取速度が目標刈取速度よりも小さいときに(S16yes)、刈取変速用油圧ポンプ117を減速させる刈取変速用油圧シリンダ119の制御によって(S17)、刈取変速用油圧モータ118が減速されてサンギヤ93の回転数を低減させ、刈取装置3の刈取速度を増速する。その結果、走行機体1の移動速度(車速)と同調した車速同調速度によって刈取装置3が作動して、刈取作業が実行される。また、ステップ17の増速制御によって、刈取装置3の刈取速度が増速された場合、高速回転設定器267の刈取装置3の最高作動速度設定値を読み込む(S18)。刈取装置3の刈取速度が高速回転設定器267の最高作動速度設定値と一致して、刈取装置3が高速作動していると判断されたときに(S19yes)、刈取装置3の高速一定回転制御が実行される(S20)。走行機体1の移動速度(車速)がさらに増速されても、刈取装置3の高速一定回転制御(S20)によって、高速回転設定器267の設定値に刈取装置3の刈取速度が維持される。即ち、高速回転設定器267によって設定された回転数以下の速度で刈取装置3を作動するように構成したものであるから、走行機体1の移動速度(車速)が極めて高速のときにも、刈取装置3の刈取り作動速度が速くなりすぎることがなく、刈取装置3が過負荷の状態で作動するのを防止でき、穀稈の搬送姿勢の乱れ又は刈取装置3の損傷等を低減できる。
【0055】
一方、ステップ16の判定において、刈取装置3の刈取速度が目標刈取速度よりも小さくないときに(S16no)、刈取変速用油圧ポンプ117を増速させる刈取変速用油圧シリンダ119の制御によって(S21)、刈取変速用油圧モータ118が増速されてサンギヤ93の回転数を増加させ、刈取装置3の刈取速度を減速する。その結果、走行機体1の移動速度(車速)と同調した車速同調速度によって刈取装置3が作動して、刈取作業が実行される。また、ステップ21の減速制御によって、刈取装置3の刈取速度が減速された場合、低速回転設定器266の刈取装置3の最低作動速度設定値を読み込む(S22)。刈取装置3が低速作動して、刈取装置3の刈取速度が低速回転設定器266の最低作動速度設定値と一致して、刈取装置3が低速作動していると判断されたときに(S23yes)、刈取装置3の低速一定回転制御(S24)が実行される。したがって、走行機体1の移動速度(車速)がさらに減速されても、刈取装置3の低速一定回転制御(S24)によって、低速回転設定器266の設定値に刈取装置3の刈取速度が維持される。即ち、最低回転数設定器266によって設定された回転数以上の速度で刈取装置3を作動できるから、走行機体1の移動速度(車速)等が極めて微速のときにも、刈取装置3の刈取速度が遅くなりすぎることがなく、搬送途中の穀稈が詰るのを防止でき、刈取装置3の穀稈搬送装置223等の搬送性能を維持できる。
【0056】
刈取装置3の刈取速度の増速制御(ステップ17)の実行、又は刈取装置3の刈取速度の減速制御(ステップ21)の実行によって、車速センサ285の検出結果に基づき、走行機体1の移動速度(車速)と同調して刈取装置3の刈取速度が変更され、圃場に植立した未刈り穀稈の刈取り作業が行われる。図15に示す如く、走行機体1の移動速度(車速)と、刈取装置3の刈取速度との関係は、一次直線で表されるパターンP1、P2、又は二次曲線で表されるパターンP3、P4等に、任意に初期設定できる。なお、前記パターンP1、P2、P3、P4の切換又は選択は、刈取り速度設定ダイヤル262の切換操作、又はパターン選択スイッチ(図示省略)の選択操作等によって行える。図15のように、刈取装置3の刈取速度は、走行機体1の移動速度(車速)に比例して変化する。図16に示す如く、刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速出力は、走行機体1の移動速度(車速)に反比例して変化する。
【0057】
図11は、図9に示すフローチャートのステップ8における刈取装置3の刈取駆動開始制御のフローチャートである。脱穀スイッチ273のオンによって電磁式逆転用入力クラッチ110が入りになっている場合、エンジン側回転センサ286値と刈取変速側回転センサ287値を読み込む(S25)。刈取変速側回転センサ287によって検出された刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数と、エンジン側回転センサ286によって検出されたエンジン回転数が等しいか否かを判定する(S26)。刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しくないときに(S26no)、刈取変速用油圧ポンプ117を増速制御する(S27)。一方、刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しいときに(S26yes)、図14のタイミングチャートに示す如く、刈取変速クラッチ109を入り制御し(S28)、次いで逆転用入力クラッチ110を切り制御する(S29)。その結果、上述したように、走行機体1の移動速度(車速)と同調して刈取装置3の刈取速度が変更され、走行機体1の移動速度(車速)と同調した車速同調速度によって刈取装置3を作動できる。また、圃場に植立した穀稈を刈取る刈取作業中、オペレータが搬送速度設定ダイヤル262を手動操作して、刈取変速用電動モータ291の回転数を任意に変更できる。例えば圃場に倒伏している穀稈の刈取り作業等の特別な条件下の刈取り作業であっても、それに適応した速度で刈取装置3を作動できる。
【0058】
図12は、図9に示すフローチャートのステップ4における刈取装置3の刈取停止制御のフローチャートである。エンジン側回転センサ286値と刈取変速側回転センサ287値を読み込む(S30)。刈取変速側回転センサ287によって検出された刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数と、エンジン側回転センサ286によって検出されたエンジン回転数が等しいか否かを判定する(S31)。刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しくないときに(S31no)、刈取変速用油圧ポンプ117を増速制御する(S32)。一方、刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しいときに(S31yes)、逆転用入力クラッチ110を入り制御し(S33)、次いで刈取変速クラッチ109を切り制御する(S34)。そして、刈取変速用油圧ポンプ117を減速制御して(S35)、刈取変速用油圧ポンプ117を停止させることによって(S36)、刈取装置3の停止制御が完了する。
【0059】
図13は、図9に示すフローチャートのステップ12における刈取装置3の刈取駆動逆回転制御のフローチャートである。オペレータによって逆転作業スイッチ270がオン操作されたときに(S37yes)、エンジン側回転センサ286値と刈取変速側回転センサ287値を読み込む(S38)。刈取変速側回転センサ287によって検出された刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数と、エンジン側回転センサ286によって検出されたエンジン回転数が等しいか否かを判定する(S39)。刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しくないときに(S39no)、刈取変速用油圧ポンプ117を増速制御する(S40)。一方、刈取変速用油圧モータ118からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しいときに(S39yes)、刈取変速クラッチ109を入り制御し(S41)、その後、逆転用入力クラッチ110を切り制御する(S42)。次いで、刈取り回転センサ288の検出値と、刈取り速度設定ダイヤル262の設定値とが読み込まれる(S43)。刈取り回転センサ288によって検出された刈取装置3の刈取回転数と、刈取り速度設定ダイヤル262によって設定された目標逆転回転数が等しいか否かを判定する(S44)。刈取装置3の刈取回転数と目標逆転回転数とが等しくないときに(S44no)、刈取装置3の刈取回転数と目標逆転回転数とが一致するまで(S44yes)、刈取変速用油圧ポンプ117が増速又は減速制御される(S45)。その結果、取り速度設定ダイヤル262によって設定された目標逆転回転数で、予め設定された時間だけ、刈取装置3が逆転作動する。
【0060】
次に、図17、図18、図19を参照して、第2実施形態の刈取変速機構116と刈取クラッチ制御について説明する。図17、図18に示す如く、前記調速回転軸92を回動して遊星ギヤ機構91を減速作動するための刈取変速機構116として、第1実施形態の刈取変速用油圧ポンプ117と刈取変速用油圧モータ118と刈取変速用油圧シリンダ119とに代えて、刈取変速用電動モータ291を設ける。刈取変速用電動モータ291の出力軸を調速回転軸92に連結している。第1実施形態の電磁式刈取変速用入力クラッチ109を省き、サンギヤ93に調速回転軸92を一体的に直結している。刈取変速用電動モータ291によって調速回転軸92を高速回転(一定回転数)させた場合、リングギヤ95の一定回転数の回転に対して、キャリヤギヤ98の回転数が零になって、キャリヤギヤ98が停止する。即ち、リングギヤ95が一定回転数で回転していても、サンギヤ93を一定回転数で逆出力方向に回転させることによって、刈取り入力軸17の回転数が零になり、刈取装置3が停止維持されるように構成している。
【0061】
次に、第2実施形態の刈取クラッチ制御について説明する。図19は、刈取装置3の刈取クラッチ制御手段の機能ブロック図であり、第1実施形態と同様に、マイクロコンピュータで構成する作業コントローラ282を備えている。図19に示されるように、作業コントローラ282の入力側には、作業クラッチレバー44の脱穀クラッチ78入り操作(脱穀装置5の駆動等)を検出する脱穀スイッチ273と、作業クラッチレバー44の刈取クラッチ78入り操作を検出する刈取スイッチ274と、走行機体1の移動速度を検出する車速センサ285と、リングギヤ95の回転数を検出するエンジン側回転センサ286と、刈取変速用電動モータ291の回転数を検出する刈取変速側回転センサ287と、刈取り入力軸17の回転数を検出する刈取り回転センサ288と、刈取変速用電動モータ291の出力回転数(刈取装置3の作動速度)を無段階に調節する刈取り速度設定ダイヤル262と、刈取変速用電動モータ291の最低出力回転数(刈取装置3の最低作動速度)を設定する最低回転数設定器としての低速回転設定器266と、刈取変速用電動モータ291の最高出力回転数(刈取装置3の最高作動速度)を設定する最高回転数設定器としての高速回転設定器267と、オペレータが穀稈搬送装置224等の逆回転を許容操作する逆転作業スイッチ270とを接続している。
【0062】
図19に示す如く、作業コントローラ282の出力側には、電磁式逆転用入力クラッチ110と、刈取変速用電動モータ291を作動する調速ドライバ302とを接続している。その結果、車速センサ285の検出結果に基づき、刈取変速用電動モータ291を自動的に増速又は減速制御できるから、走行機体1の移動速度(車速)と同調した車速同調速度で刈取装置3を作動できる。また、速度変更ダイヤルとしての搬送速度設定ダイヤル262の設定値とに基づき、刈取変速用電動モータ291を自動的に増速又は減速制御できるから、圃場に植立した未刈り穀稈の刈取り作業状況に応じた速度で刈取装置3を作動できる。
【0063】
また、作業クラッチレバー44の操作によって脱穀クラッチ78が入りに操作した場合、脱穀スイッチ273のオンによって電磁式逆転用入力クラッチ110を入りにして、逆転ベベルギヤ87を介してサンギヤ93を回転させる。その結果、脱穀クラッチ78の入りによってリングギヤ95が回転しても、サンギヤ93によってプラネタリギヤ94を逆方向に回転させるから、キャリヤギヤ98の回転が零に保持されて、刈取伝動軸101が停止維持される。
【0064】
したがって、脱穀クラッチ78を入りにして脱穀装置5を作動させても、ステップ2の刈取停止維持制御によって、刈取装置3は停止維持される。即ち、脱穀装置5を作動させたままで、刈取装置3を停止させて行う作業、例えばオペレータがフィードチェン6に刈取穀稈を供給する手扱作業、又は穀粒タンク7内の穀粒を運搬用のトラックに積込む作業等を行うことができる。なお、逆転ベベルギヤ87によってサンギヤ93が回転した場合、調速回転軸92を介して刈取変速用電動モータ291が逆転されるから、刈取変速用電動モータ291を発電機として利用して、エンジン14の始動又はその他の電気機器の電源としてのバッテリ(図示省略)に充電できる。前記バッテリの過放電等を防止できる。
【0065】
次に、図20乃至図24を参照して、刈取装置3を作動する刈取作業を説明する。図20は刈取クラッチ制御のフローチャートである。刈取スイッチ274がオンでない場合(S51no)、駆動フラグがオンのときに(S52yes)、駆動フラグがリセットされ(S53)、刈取停止制御(刈取変速用電動モータ291オフ制御)が実行される状態になり(S54)、停止フラグがセットされる(S55)。一方、作業クラッチレバー44の刈取クラッチ入り操作によって、刈取スイッチ274がオンになった場合(S51yes)、停止フラグがオンのときに(S56yes)、停止フラグがリセットされ(S57)、刈取駆動開始制御(刈取変速用電動モータ291オン制御)が実行される状態になり(S58)、駆動フラグがセットされる(S59)。ステップ56において、停止フラグがオンでないときで(S56no)、逆転作業スイッチがオンでないときに(S60no)、刈取装置3の変速制御が実行される状態になる(S61)。ステップ60において、逆転作業スイッチがオンのときに(S60yes)、刈取装置3の逆転作業制御が実行される状態になる(S62)。
【0066】
図21は、図20に示すフローチャートのステップ61における刈取装置3の変速制御のフローチャートである。車速センサ285の検出値と、刈取り回転センサ288の検出値と、刈取り速度設定ダイヤル262の設定値とが読み込まれる(S63)。車速センサ285の検出値と、刈取り回転センサ288の検出値と、刈取り速度設定ダイヤル262の設定値とから刈取装置3の目標刈取速度(車速同調速度)が計算される(S64)。刈取り回転センサ288によって検出された刈取装置3の刈取速度(実際の刈取速度)と、ステップ54で計算された目標刈取速度が等しいか否かを判定する(S65)。刈取装置3の刈取速度と目標刈取速度とが等しくないときに(S65no)、刈取装置3の刈取速度よりも目標刈取速度が大きいか否かを判定する(S66)。
【0067】
ステップ66の判定において、刈取装置3の刈取速度が目標刈取速度よりも小さいときに(S66yes)、刈取変速用電動モータ291が減速されてサンギヤ93の回転数を低減させ、刈取装置3の刈取速度を増速する。その結果、走行機体1の移動速度(車速)と同調した車速同調速度によって刈取装置3が作動して、刈取作業が実行される。また、ステップ67における刈取速度の増速制御によって、刈取装置3の刈取速度が増速された場合、高速回転設定器267の刈取装置3の最高作動速度設定値を読み込む(S68)。刈取装置3の刈取速度が高速回転設定器267の最高作動速度設定値と一致して、刈取装置3が高速作動していると判断されたときに(S69yes)、刈取装置3の高速一定回転制御が実行される(S70)。走行機体1の移動速度(車速)がさらに増速されても、刈取装置3の高速一定回転制御(S70)によって、高速回転設定器267の設定値に刈取装置3の刈取速度が維持される。即ち、高速回転設定器267によって設定された回転数以下の速度で刈取装置3を作動するように構成したものであるから、走行機体1の移動速度(車速)が極めて高速のときにも、刈取装置3の刈取り作動速度が速くなりすぎることがなく、刈取装置3が過負荷の状態で作動するのを防止でき、穀稈の搬送姿勢の乱れ又は刈取装置3の損傷等を低減できる。
【0068】
一方、ステップ66の判定において、刈取装置3の刈取速度が目標刈取速度よりも小さくないときに(S66no)、刈取変速用電動モータ291が増速されてサンギヤ93の回転数を増加させ、刈取装置3の刈取速度を減速する。その結果、走行機体1の移動速度(車速)と同調した車速同調速度によって刈取装置3が作動して、刈取作業が実行される。また、ステップ71における刈取速度の減速制御によって、刈取装置3の刈取速度が減速された場合、低速回転設定器266の刈取装置3の最低作動速度設定値を読み込む(S72)。刈取装置3が低速作動して、刈取装置3の刈取速度が低速回転設定器266の最低作動速度設定値と一致して、刈取装置3が低速作動していると判断されたときに(S73yes)、刈取装置3の低速一定回転制御(S74)が実行される。したがって、走行機体1の移動速度(車速)がさらに減速されても、刈取装置3の低速一定回転制御(S74)によって、低速回転設定器266の設定値に刈取装置3の刈取速度が維持される。即ち、最低回転数設定器266によって設定された回転数以上の速度で刈取装置3を作動できるから、走行機体1の移動速度(車速)等が極めて微速のときにも、刈取装置3の刈取速度が遅くなりすぎることがなく、搬送途中の穀稈が詰るのを防止でき、刈取装置3の穀稈搬送装置223等の搬送性能を維持できる。
【0069】
刈取装置3の刈取速度の増速制御(ステップ67)の実行、又は刈取装置3の刈取速度の減速制御(ステップ71)の実行によって、車速センサ285の検出結果に基づき、走行機体1の移動速度(車速)と同調して刈取装置3の刈取速度が変更され、圃場に植立した未刈り穀稈の刈取り作業が行われる。図15に示す如く、走行機体1の移動速度(車速)と、刈取装置3の刈取速度との関係は、一次直線で表されるパターンP1、P2、又は二次曲線で表されるパターンP3、P4等に、任意に初期設定できる。なお、前記パターンP1、P2、P3、P4の切換又は選択は、刈取り速度設定ダイヤル262の切換操作、又はパターン選択スイッチ(図示省略)の選択操作等によって行える。図15のように、刈取装置3の刈取速度は、走行機体1の移動速度(車速)に比例して変化する。図16に示す如く、刈取変速用電動モータ291からの刈取変速出力は、走行機体1の移動速度(車速)に反比例して変化する。
【0070】
図22は、図20に示すフローチャートのステップ58における刈取装置3の刈取駆動開始制御のフローチャートである。脱穀スイッチ273のオンによって電磁式逆転用入力クラッチ110が入りになっている場合、エンジン側回転センサ286値と刈取変速側回転センサ287値が読み込まれる(S75)。また、刈取変速用電動モータ291の作動態様を駆動モードに変更する(S76)。次いで、逆転用入力クラッチ110を切り制御する(S77)。その結果、図25のタイミングチャートに示す如く、逆転用入力クラッチ110による刈取装置3の停止維持が解除され、刈取変速用電動モータ291による刈取装置3の作動速度の変更(刈取変速)が可能になる。したがって、図21に示すように、車速センサ285の検出結果に基づき、走行機体1の移動速度(車速)と同調して刈取装置3の刈取速度制御を開始でき、走行機体1の移動速度(車速)と同調した車速同調速度に、刈取装置3の刈取速度を維持できる。また、圃場に植立した穀稈を刈取る刈取作業中、オペレータが搬送速度設定ダイヤル262を手動操作して、刈取変速用電動モータ291の回転数を任意に変更できる。例えば圃場に倒伏している穀稈の刈取り作業等の特別な条件下の刈取り作業であっても、それに適応した速度で刈取装置3を作動できる。
【0071】
図23は、図20に示すフローチャートのステップ54における刈取装置3の刈取停止制御のフローチャートである。エンジン側回転センサ286値と刈取変速側回転センサ287値を読み込む(S80)。刈取変速側回転センサ287によって検出された刈取変速用電動モータ291からの刈取変速回転数と、エンジン側回転センサ286によって検出されたエンジン回転数が等しいか否かを判定する(S81)。刈取変速用電動モータ291からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しくないときに(S81no)、刈取変速用電動モータ291を増速制御する(S82)。一方、刈取変速用電動モータ291からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しいときに(S81yes)、逆転用入力クラッチ110を入り制御し(S83)、次いで刈取変速用電動モータ291の作動態様を充電モードに変更する(S84)。その結果、刈取変速用電動モータ291を発電機として活用できる。エンジン14の出力によって発電機として刈取変速用電動モータ291が駆動され、刈取変速用電動モータ291からの電力を、エンジン14の始動用バッテリ等の2次電池に充電して蓄えることができる。前記バッテリの過放電を防止して耐久性を向上できる。例えば脱穀カバーの開閉や排出オーガ8の移動等に使用する電動モータ、又は他の電気機器等の電源として、前記バッテリ等の2次電池を多用途に活用できる。
【0072】
図24は、図20に示すフローチャートのステップ62における刈取装置3の刈取駆動逆回転制御のフローチャートである。オペレータによって逆転作業スイッチ270がオン操作されたときに(S87yes)、エンジン側回転センサ286値と刈取変速側回転センサ287値を読み込む(S88)。刈取変速側回転センサ287によって検出された刈取変速用電動モータ291からの刈取変速回転数と、エンジン側回転センサ286によって検出されたエンジン回転数が等しいか否かを判定する(S89)。刈取変速用電動モータ291からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しくないときに(S89no)、刈取変速用電動モータ291を増速制御する(S90)。一方、刈取変速用電動モータ291からの刈取変速回転数とエンジン回転数とが等しいときに(S89yes)、逆転用入力クラッチ110を切り制御する(S91)。次いで、刈取り回転センサ288の検出値と、刈取り速度設定ダイヤル262の設定値とが読み込まれる(S92)。刈取り回転センサ288によって検出された刈取装置3の刈取回転数と、刈取り速度設定ダイヤル262によって設定された目標逆転回転数が等しいか否かを判定する(S93)。刈取装置3の刈取回転数と目標逆転回転数とが等しくないときに(S93no)、刈取装置3の刈取回転数と目標逆転回転数とが一致するまで(S93yes)、刈取変速用電動モータ291が増速又は減速制御される(S94)。その結果、取り速度設定ダイヤル262によって設定された目標逆転回転数で、予め設定された時間だけ、刈取装置3が逆転作動する。
【0073】
即ち、逆転作業スイッチ270のオン操作によって、初期設定された所定の時間だけ低速で刈取装置3を逆転作動できる。刈取装置3のメンテナンス作業、又は詰った穀稈を除去する作業のときに、搬送速度設定ダイヤル262の手動操作によって、刈取変速用電動モータ291の回転を最高回転数にすることによって、刈取装置3を低速で逆回転させ、穀稈搬送装置223のチェンの交換や、穀稈搬送装置223等に詰った穀稈を除去することができる。逆転作業スイッチ270がオン操作されたときの刈取装置3の逆転作動時間を限定したから、逆転作業スイッチ270のオン操作時間に関係なく、刈取装置3が長時間に亘って逆転作動するのを防止でき、長時間の逆転によって刈取装置3等に不具合が発生するのを未然に阻止できる。
【0074】
なお、刈取伝動軸101ないし刈取り入力軸17間の動力伝達経路中に、刈取り動力を入り切り可能な刈取クラッチを設けることもできる。リングギヤ95からの回転と、刈取変速用電動モータ291からの回転とによって、プラネタリギヤ94が空転するまでは刈取クラッチを切りに維持し、プラネタリギヤ94が空転したときに、刈取クラッチを入りにして、刈取変速用電動モータ291の回転制御によって刈取り入力軸17の回転数を制御してもよい。
【0075】
上記実施形態では、図6又は図17に示すように、エンジン14にリングギヤ95を連結し、調速回転軸92にサンギヤ93を連結し、刈取り入力軸17にキャリヤギヤ98を連結したが、前記連結構造に限定されるもではない。エンジン14、調速回転軸92、刈取り入力軸17と、サンギヤ93、リングギヤ95、キャリヤギヤ98との連結は、複数通りの組み合わせが可能であることは云うまでもない。例えば、エンジン14にサンギヤ93を連結し、調速回転軸92にリングギヤ95を連結し、刈取り入力軸17にキャリヤギヤ98を連結してもよい。また、エンジン14にサンギヤ93を連結し、調速回転軸92にキャリヤギヤ98を連結し、刈取り入力軸17にリングギヤ95を連結してもよい。
【0076】
上記の記載及び図1、図6、図8から明らかなように、エンジン14によって作動する走行部2を備えた走行機体1と、圃場に植立した穀稈の株元を切断する刈刃装置222と、刈刃装置222によって株元が切断された前記穀稈を搬送する穀稈搬送装置224と、走行機体の移動速度を検出する車速センサ285とを備え、エンジン14からの一定回転出力を車速同調速度に変更してから、刈刃装置222又は穀稈搬送装置224等に伝達するように構成してなるコンバインにおいて、穀稈搬送装置224等にエンジン14からの一定回転出力を伝達する遊星ギヤ機構91と、穀稈搬送装置224等に対する遊星ギヤ機構91の出力を減速する刈取変速用アクチュエータとしての刈取変速用油圧モータ118とを備え、車速センサ285の検出結果に基づき、刈取変速用油圧モータ118によって遊星ギヤ機構91を減速作動するように構成したものであるから、刈取り変速機構や、刈取り一定回転機構等の機械式刈取り駆動機構を設けた従来の構造に比べて、穀稈搬送装置224等にエンジン14の回転を伝達する刈取り駆動構造を簡単に構成でき、刈取り駆動機構の製造コストを簡単に低減できる。また、穀稈搬送装置224等を高速で駆動するときに、エンジン14からの回転出力が遊星ギヤ機構91を介して穀稈搬送装置224等に伝達されるから、油圧無段変速機によって刈取り駆動機構を構成する従来の構造に比べて、刈取り駆動機構を低コストに構成でき、且つ伝達効率を向上できる。特に刈取り速度が速いほど伝達効率が良くなるから、高速作業性を向上できる。さらに、走行機体1の前進移動ばかりでなく、その後進移動のときにも、前進移動と同様に、穀稈搬送装置224等の刈取装置3を簡単に作動できるから、圃場の枕地での方向転換作業性を向上できる。
【0077】
上記の記載及び図8、図10から明らかなように、走行機体1の移動速度が所定範囲内のときに、車速センサ91の検出結果に基づき、刈取変速用油圧モータ118によって遊星ギヤ機構91を減速作動するように構成する一方、走行機体1の移動速度が所定範囲以上のときに刈取変速用油圧モータ118の回転出力を高速一定回転数に維持し、且つ前記走行機体1の移動速度が所定範囲以下のときに、刈取変速用油圧モータ118の回転出力を低速一定回転数又は停止状態に維持するように構成したものであるから、刈取変速用油圧モータ118の制御によって、走行機体1の移動速度と関連した車速同調速度にて、穀稈搬送装置224等の刈取装置3を簡単に作動できるものでありながら、刈取り変速や刈取り一定回転等の機能を保持して、刈取り作業性を向上できる。
【0078】
上記の記載及び図8、図13から明らかなように、穀稈搬送装置224等の逆回転を許容する逆転作業スイッチ270を備え、逆転作業スイッチ270の逆回転許容操作に基づき、遊星ギヤ機構91に対する刈取変速用油圧モータ118の刈取変速用制御出力が最高回転付近の回転数のときに、穀稈搬送装置224等に対する遊星ギヤ機構91の出力が低速で逆転するように構成したものであるから、例えば走行機体1を一定場所に停止させた状態で、穀稈搬送装置224等を低速で逆回転作動でき、穀稈搬送装置224等のメンテナンス作業性、又は穀稈搬送装置224等に詰った穀稈の除去作業性等を向上できる。また、穀稈搬送装置224の長尺なチェンの一部を交換するときに、分離作業がしやすい場所に前記チェンの繋ぎ部等を簡単に移動できるから、穀稈搬送装置224の分解組立等の保守作業性を向上できる。
【0079】
上記の記載及び図5、図6から明らかなように、遊星ギヤ機構91に対して刈取変速用油圧モータ118の出力を伝達する刈取変速用入力クラッチとしての電磁式刈取変速用入力クラッチ109と、エンジン14の一定回転出力に対して遊星ギヤ機構91の出力回転を略零に維持可能な逆回転入力機構としての逆転ベベルギヤ87と、逆転ベベルギヤ87から遊星ギヤ機構91に伝達する逆回転入力を入り切りする電磁式逆転用入力クラッチ110とを備え、逆転ベベルギヤ87から電磁式逆転用入力クラッチ110を介して遊星ギヤ機構91に伝達する逆回転入力によって、遊星ギヤ機構91の出力を零回転に維持可能に構成したものであるから、電磁式刈取変速用入力クラッチ109の切り作動と電磁式逆転用入力クラッチ110の入り作動とによって、刈取変速用油圧モータ118を停止でき、且つ遊星ギヤ機構91の出力を零回転に維持できる。図6の構造では、脱穀クラッチ78の入り作動等と連動して電磁式逆転用入力クラッチ110を入り作動させるだけで、刈取変速用油圧モータ118を停止できる。なお、脱穀クラッチ78の切り作動によって、伝達下流側の遊星ギヤ機構91を停止できる。例えば圃場間の移動等において穀稈搬送装置224等を長時間に亘って停止維持する場合、刈取変速用油圧モータ118を長時間に亘って高速作動させる必要がないから、低コストの油圧モータ等によって刈取変速用油圧モータ118を簡単に構成できる。
【0080】
上記の記載及び図17、図19から明らかなように、前記刈取変速用アクチュエータを形成する刈取変速用電動モータ291と、エンジン14の略一定回転入力に対して遊星ギヤ機構91の出力を略零に維持可能な逆回転入力機構としての逆転ベベルギヤ87と、逆転ベベルギヤ87から遊星ギヤ機構91に伝達する逆回転入力を入り切りする電磁式逆転用入力クラッチ110とを備え、逆転ベベルギヤ87から電磁式逆転用入力クラッチ110を介して遊星ギヤ機構91に伝達する逆回転入力によって、遊星ギヤ機構91の出力回転を略零に維持可能に構成したものであるから、電磁式逆転用入力クラッチ110の入り作動によって、遊星ギヤ機構91の出力を零回転に維持できる。また、圃場間の移動等において穀稈搬送装置224等を長時間に亘って停止維持する場合、刈取変速用電動モータ291を発電機として利用できるから、刈取変速用電動モータ291の発電エネルギーを2次電池等に蓄えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1実施形態の6条刈り用コンバインの側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】刈刃装置及び穀稈搬送装置の側面説明図である。
【図4】刈刃装置及び穀稈搬送装置の平面説明図である。
【図5】コンバインの駆動系統図である。
【図6】刈取変速用アクチュエータとして油圧無段変速機(油圧ポンプ及び油圧モータ)を設けた駆動系統図である。
【図7】図6に示す駆動系統のブロック図である。
【図8】刈刃装置及び穀稈搬送装置等を含む刈取装置の駆動制御回路の機能ブロック図である。
【図9】刈取クラッチ制御のフローチャートである。
【図10】刈取変速制御のフローチャートである。
【図11】刈取駆動開始制御のフローチャートである。
【図12】刈取停止制御のフローチャートである。
【図13】刈取駆動逆回転制御のフローチャートである。
【図14】刈取駆動制御と刈取クラッチ切換のタイミングチャートである。
【図15】車速と刈取速度との関係を示す出力線図である。
【図16】車速と刈取変速出力との関係を示す出力線図である。
【図17】刈取変速用アクチュエータとして刈取変速用電動モータを設けた本発明の第2実施形態を示す駆動系統図である。
【図18】図17に示す駆動系統のブロック図である。
【図19】本発明の第2実施形態を示す刈取装置の駆動制御回路の機能ブロック図である。
【図20】刈取クラッチ制御のフローチャートである。
【図21】刈取変速制御のフローチャートである。
【図22】刈取駆動開始制御のフローチャートである。
【図23】刈取停止制御のフローチャートである。
【図24】刈取駆動逆回転制御のフローチャートである。
【図25】刈取駆動制御と刈取クラッチ切換のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 走行機体
2 走行クローラ(走行部)
14 エンジン
87 逆転ベベルギヤ(逆回転入力機構)
91 遊星ギヤ機構
109 電磁式刈取変速用入力クラッチ
110 逆転用入力クラッチ
118 刈取変速用油圧モータ(刈取変速用アクチュエータ)
222 刈刃装置
224 穀稈搬送装置
270 逆転作業スイッチ
285 車速センサ
291 刈取変速用電動モータ(刈取変速用アクチュエータ)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンによって作動する走行部を備えた走行機体と、圃場に植立した穀稈の株元を切断する刈刃装置と、前記刈刃装置によって株元が切断された前記穀稈を搬送する穀稈搬送装置と、前記走行機体の移動速度を検出する車速センサとを備え、前記エンジンからの一定回転出力を車速同調速度に変更してから、前記刈刃装置又は前記穀稈搬送装置等に伝達するように構成してなるコンバインにおいて、
前記穀稈搬送装置等に前記エンジンからの一定回転出力を伝達する遊星ギヤ機構と、前記穀稈搬送装置等に対する前記遊星ギヤ機構の出力を減速する刈取変速用アクチュエータとを備え、前記車速センサの検出結果に基づき、前記刈取変速用アクチュエータによって前記遊星ギヤ機構を減速作動するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記走行機体の移動速度が所定範囲内のときに、前記車速センサの検出結果に基づき、前記刈取変速用アクチュエータによって前記遊星ギヤ機構を減速作動するように構成する一方、前記走行機体の移動速度が所定範囲以上のときに前記刈取変速用アクチュエータの回転出力を低速一定回転数又は停止状態に維持し、且つ前記走行機体の移動速度が停止以外で所定範囲以下のときに、前記刈取変速用アクチュエータの回転出力を高速一定回転数に維持するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記穀稈搬送装置等の逆回転を許容する逆転作業スイッチを備え、前記逆転作業スイッチの逆回転許容操作に基づき、前記遊星ギヤ機構に対する前記刈取変速用アクチュエータの刈取変速用制御出力が最高回転付近の回転数のときに、前記穀稈搬送装置等に対する前記遊星ギヤ機構の出力が低速で逆転するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記遊星ギヤ機構に対して前記刈取変速用アクチュエータの出力を伝達する刈取変速用入力クラッチと、前記エンジンの一定回転出力に対して前記遊星ギヤ機構の出力回転を略零に維持可能な逆回転入力機構と、前記逆回転入力機構から前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力を入り切りする逆転用入力クラッチとを備え、前記逆回転入力機構から前記逆転用入力クラッチを介して前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力によって、前記遊星ギヤ機構の出力回転を零回転に維持可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記刈取変速用アクチュエータを形成する刈取変速用電動モータと、前記エンジンの略一定回転入力に対して前記遊星ギヤ機構の出力を略零に維持可能な逆回転入力機構と、前記逆回転入力機構から前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力を入り切りする逆転用入力クラッチとを備え、前記逆回転入力機構から前記逆転用入力クラッチを介して前記遊星ギヤ機構に伝達する逆回転入力によって、前記遊星ギヤ機構の出力回転を略零に維持可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−219465(P2009−219465A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70002(P2008−70002)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】