コンバイン
【課題】走行機体1の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、穀物タン7ク内の穀粒の質量を高精度で計測でき、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できるようにしたコンバインを提供するものである。
【解決手段】刈取装置3及び脱穀装置5及び穀物タンク7を装設した走行機体1と、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータとしての車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177と、穀物タンク7の質量を計測する計量手段としての計量器399を備えるコンバインにおいて、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、走行機体1が水平姿勢に維持されているときに、計量器399によって穀物タンク7の質量が計測されるように構成したことを特徴とする。
【解決手段】刈取装置3及び脱穀装置5及び穀物タンク7を装設した走行機体1と、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータとしての車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177と、穀物タンク7の質量を計測する計量手段としての計量器399を備えるコンバインにおいて、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、走行機体1が水平姿勢に維持されているときに、計量器399によって穀物タンク7の質量が計測されるように構成したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植立した穀稈を刈取って穀粒を収集するコンバインに係り、より詳しくは、収集された穀粒を入れる穀物タンクと、穀物タンク内の穀粒の質量を計測する計量手段を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行機体に左右一対の走行クローラを装設し、左右一対の走行クローラを駆動制御して圃場等を移動しながら、圃場に植立した未刈り穀稈の株元を刈刃装置によって切断し、穀稈搬送装置によって脱穀装置に刈取り穀稈を搬送し、脱穀装置によって刈取り穀稈を脱穀して、穀物タンクに穀粒を収集する一方、穀物タンクの質量を計測する質量センサを備え、穀物タンク内の穀粒の質量を計測するように構成している。(特許文献1参照)
また、従来、走行機体の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータと、走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータを備え、走行クローラを装着するトラックフレームを備え、平行リンク状の前側アーム及び後側アームを介して走行機体にトラックフレームを連結させ、前後の左右傾動アームを介して前側アーム及び後側アームに連結ロッドを介してローリングアクチュエータを連結させ、ローリングアクチュエータの作動によって走行機体の左右方向の傾斜姿勢を変更させるように構成していた。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4004997号公報
【特許文献2】実公平6−28387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、質量センサを備え、穀物タンク内の穀粒の質量を計測する場合、走行機体の傾斜状況によって、穀物タンク内の穀粒の質量が不適正に計測されやすいから、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できない等の問題がある。穀物タンク内の穀粒の質量を正確に計測するには、走行機体の傾斜によって補正する必要があり、穀粒の質量を簡単に計測できない等の問題がある。また、耕作者が異なる複数の圃場の収穫作業を連続的に行う賃刈り作業等において、通常よりも小さい簡略畦によって隣接する圃場間が区切られている場合、前記簡略畦を簡単に乗越えて隣の圃場に移動することによって、収穫作業の能率を向上できるが、穀物タンク内の穀粒の質量を計測してから、隣の圃場に移動する必要がある等の取扱い上の問題もある。
【0005】
本発明の目的は、走行機体の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、穀物タンク内の穀粒の質量を高精度で計測でき、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できるようにしたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、刈取装置及び脱穀装置及び穀物タンクを装設した走行機体と、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータと、前記穀物タンクの質量を計測する計量手段を備えるコンバインにおいて、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、前記走行機体が水平姿勢に維持されているときに、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量が計測されるように構成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記走行機体の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータと、前記走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータを備える構造であって、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量を計測させる測定指令手段を備え、前記測定指令手段の指令出力に基づき、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢の修正によって、前記走行機体の水平姿勢状態が所定時間以上維持された後、前記穀物タンクの質量の計測が実行されるように構成したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記穀物タンクを一定姿勢に固定させる支持手段を備える構造であって、作物センサ等の刈取作業の開始と終了の検出結果と、前記ローリングアクチュエータ又は前記ピッチングアクチュエータの検出結果に基づき、前記支持手段による前記穀物タンクの固定操作又は解除操作と、前記計量手段の計量動作のセット又はリセットを可能に構成し、前記支持手段による前記穀物タンクの固定動作が解除された状態下で、前記穀物タンク内の穀粒の質量が計測されるように構成したものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記穀物タンク内の穀粒の満了を検出する満了センサと、前記穀物タンク内の穀粒の水分を計測する水分センサを備える構造であって、前記穀物タンク内の穀粒の排出作業が完了したときに、前記計量手段の計量動作がリセットされて、前記満了センサがオンのときの前記計量手段の計量結果と、前記満了センサがオンになる間に計測された水分センサの平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量が演算されるように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、刈取装置及び脱穀装置及び穀物タンクを装設した走行機体と、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータと、前記穀物タンクの質量を計測する計量手段を備えるコンバインにおいて、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、前記走行機体が水平姿勢に維持されているときに、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量が計測されるように構成したものであるから、前記走行機体が傾斜することによって、前記穀物タンク内の穀粒の質量が誤計測されるのを簡単に防止できる。前記走行機体の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、前記穀物タンク内の穀粒の質量を高精度に計測でき、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できる。前記計量手段の計量構造や計測制御機器等を簡単に構成できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、前記走行機体の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータと、前記走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータを備える構造であって、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量を計測させる測定指令手段を備え、前記測定指令手段の指令出力に基づき、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢の修正によって、前記走行機体の水平姿勢状態が所定時間以上維持された後、前記穀物タンクの質量の計測が実行されるように構成したものであるから、オペレータ等の意思によって、前記測定指令手段が操作されたときに、前記走行機体の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、前記穀物タンク内の穀粒の質量を高精度に計測できる。例えば、耕作者が異なる複数の圃場の収穫作業等において、耕作者別(圃場別)に収穫量(穀粒の質量)を正確に把握できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、前記穀物タンクを一定姿勢に固定させる支持手段を備える構造であって、作物センサ等の刈取作業の開始と終了の検出結果と、前記ローリングアクチュエータ又は前記ピッチングアクチュエータの検出結果に基づき、前記支持手段による前記穀物タンクの固定操作又は解除操作と、前記計量手段の計量動作のセット又はリセットを可能に構成し、前記支持手段による前記穀物タンクの固定動作が解除された状態下で、前記穀物タンク内の穀粒の質量が計測されるように構成したものであるから、前記穀物タンク内に穀粒が搬入される前、又は穀粒を搬入中、又は穀粒が搬入された後等の複数の作業状況等に区分して、各作業状況に応じて前記穀物タンク内の穀粒の質量を高精度で計測できる。圃場又は耕作者を特定して、その収穫総量を高精度に算出できる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、前記穀物タンク内の穀粒の満了を検出する満了センサと、前記穀物タンク内の穀粒の水分を計測する水分センサを備える構造であって、前記穀物タンク内の穀粒の排出作業が完了したときに、前記計量手段の計量動作がリセットされて、前記満了センサがオンのときの前記計量手段の計量結果と、前記満了センサがオンになる間に計測された水分センサの平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量が演算されるように構成したものであるから、前記穀物タンク内の穀粒が満了の状態(前記計量手段の計測誤差が最も小さくなる状態)のときに、前記穀物タンク内の穀粒の質量が高精度に計測される。また、穀粒の含水量によって、そのときに計測された穀粒の質量が補正される。その結果、圃場又は耕作者を特定して、その収穫総量を高精度に算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の6条刈り用コンバインの側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同コンバインの油圧回路図である。
【図4】走行機体及び走行クローラ部の側面図である。
【図5】同平面図である。
【図6】図4の上面視斜視図である。
【図7】走行機体を上動させた側面説明図である。
【図8】走行機体を上動させて前傾させた前下り側面説明図である。
【図9】走行機体の対地高さと走行機体の前後傾斜角度の関係を示す線図である。
【図10】姿勢制御手段の制御回路の機能ブロック図である。
【図11】姿勢制御のフローチャートである。
【図12】左右方向及び前後方向の傾斜制御のフローチャートである。
【図13】穀物タンクの側面説明図である。
【図14】同断面正面図である。
【図15】穀物タンクを固定する支持手段の説明図である。
【図16】収穫穀粒の質量計測制御回路の機能ブロック図である。
【図17】収穫穀粒の質量計測制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図である。図1及び図2を参照して、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。図1及び図2に示す如く、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む6条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着される。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、該脱穀装置5から取出された穀粒を貯留する穀物タンク7とが横並び状に搭載される。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向左側に、穀物タンク7が走行機体1の前進方向右側に配置される。走行機体1の後部に旋回可能な排出オーガ8が設けられ、穀物タンク7の内部の穀粒が、排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀物タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。
【0016】
運転キャビン10内には、操縦ハンドル11と、運転座席12と、主変速レバー43と、副変速スイッチ44と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り切りする作業クラッチレバー45とを配置している。なお、運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップ(図示省略)と、操縦ハンドル11を設けたハンドルコラム46と、前記各レバー43,45及びスイッチ44等を設けたレバーコラム47とが配置されている。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン14が配置されている。
【0017】
図1に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン14の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。
【0018】
図1、図2に示す如く、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム221の下方には、圃場に植立した未刈り穀稈(穀稈)の株元を切断するバリカン式の刈刃装置222が設けられている。刈取フレーム221の前方には、圃場に植立した未刈り穀稈を引起す6条分の穀稈引起装置223が配置されている。穀稈引起装置223とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置222によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置224が配置される。なお、穀稈引起装置223の下部前方には、未刈り穀稈を分草する6条分の分草体225が突設されている。圃場内を移動しながら、刈取装置3によって圃場に植立した未刈り穀稈を連続的に刈取る。
【0019】
次に、図1及び図2を参照して、脱穀装置5の構造を説明する。図1及び図2に示す如く、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴226と、扱胴226の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤227及び唐箕ファン228と、扱胴226の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴229と、揺動選別盤227の後部の排塵を排出する排塵ファン230を備えている。なお、刈取装置3から穀稈搬送装置224によって搬送された穀稈は、フィードチェン6に受継がれて、脱穀装置5に搬入されて扱胴226にて脱穀される。
【0020】
図1に示す如く、揺動選別盤227の下方側には、揺動選別盤227にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ231と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ232とが設けられている。揺動選別盤227は、扱胴226の下方に張設された受網237から漏下した脱穀物が、フィードパン238及びチャフシーブ239によって搖動選別(比重選別)されるように構成している。揺動選別盤227から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン228からの選別風によって除去され、一番コンベヤ231に落下する。一番コンベヤ231から取出された穀粒は、揚穀コンベヤ233を介して穀物タンク7に搬入され、穀物タンク7に収集される。
【0021】
また、図1に示す如く、揺動選別盤227は、搖動選別によってチャフシーブ239から枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ232に落下させるように構成している。チャフシーブ239の下方に落下する二番物を風選する選別ファン241を備える。チャフシーブ239から落下した二番物は、その穀粒中の粉塵及び藁屑が選別ファン241からの選別風によって除去され、二番コンベヤ232に落下する。二番コンベヤ232の終端部は、還元コンベヤ236を介して、フィードパン238の後部の上面側に連通接続され、二番物を揺動選別盤227の上面側に戻して再選別するように構成している。
【0022】
一方、図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン234と排藁カッタ235が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン234に受継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後部に設けられた排藁カッタ235にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
【0023】
次に、図3を参照して、コンバインの油圧回路構造について説明する。図3に示す如く、上述した昇降用油圧シリンダ4と、排出オーガ8の籾投げ口9側を昇降させるオーガ昇降油圧シリンダ254と、走行機体1の左右端部を昇降させて走行機体1を左右に傾動させる左右の車高調節油圧シリンダ38と、走行機体1の前後部を昇降させて走行機体1を前後に傾動させる左右の前後傾斜用油圧シリンダ177と、二連構造の各作業ポンプ91とを備える。一方の作業ポンプ91の吐出側に第1高圧油路257を接続する。他方の作業ポンプ91の吐出側に第2高圧油路258を接続している。
【0024】
第1高圧油路257には、昇降用油圧シリンダ4を作動する刈取昇降電磁弁260と、タンク油路用のアンロードリリーフ弁256を接続する。刈取装置3を比較的高速で昇降動させる刈取昇降電磁弁260と、刈取装置3を比較的低速で上昇させる刈取上昇電磁弁264と、刈取装置3が下降する側に昇降用油圧シリンダ4を比較的低速で作動する刈取下降電磁弁265が、昇降用油圧シリンダ4に接続されている。刈取昇降電磁弁260を切換える刈取装置3の昇降動とは別に、刈取上昇電磁弁264を切換えて刈取装置3を上昇させ、刈取装置3の上昇動を刈取上昇電磁弁264にて制限する一方、刈取下降電磁弁265を切換えて刈取装置3を下降させるように構成している。
【0025】
第2高圧油路258には、左側の車高調節油圧シリンダ38を作動する左傾電磁弁261と、右側の車高調節油圧シリンダ38を作動する右傾電磁弁262と、左側の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動する左側の前後傾動電磁弁266と、右側の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動する右側の前後傾動電磁弁267と、オーガ昇降油圧シリンダ254を作動する穀粒排出電磁弁263とが接続されている。また、左傾電磁弁261と、右傾電磁弁262と、左側の前後傾動電磁弁266と、右側の前後傾動電磁弁267と、穀粒排出電磁弁263を、姿勢制御用電磁弁268を介して第2高圧油路258に接続している。車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177又はオーガ昇降油圧シリンダ254の作動を、姿勢制御用電磁弁268にて制限するように構成している。なお、姿勢制御用電磁弁268にリリーフ弁269を並列に接続している。
【0026】
次に、図4乃至図8を参照しながら、走行機体1の左右方向の傾斜角の調節構造について説明する。図4乃至図8に示す如く、走行機体1の下面側に設ける左右一対のローリング支点フレーム26と、左右一対の前側軸受体27と、左右一対の後側軸受体28を備える。走行機体1の下面側に固着されたローリング支点フレーム26の前端側に、左右一対の前側軸受体27を配置している。左右一対のローリング支点フレーム26の後端側に左右一対の後側軸受体28を配置している。左右の前側軸受体27に左右一対の前部ローリング支点軸29をそれぞれ貫通させ、左右の後側軸受体28に左右一対の後部ローリング支点軸30をそれぞれ貫通させている。なお、走行機体1の下面側に走行シャーシ1aを介して駆動スプロケット22(ミッションケース88)が配置されている。走行機体1の前部にミッションケース88の背面側が締結されている。
【0027】
左右方向に延長させた左右一対の前部ローリング支点軸29の一端側には、上下方向に延長した左右一対の上側前部ローリングアーム31の基端側を一体的にそれぞれ固着している。左右一対の前部ローリング支点軸29の他端側には、前後方向に延長した左右一対の下側前部ローリングアーム33の基端側を一体的にそれぞれ固着している。即ち、左右一対の上側前部ローリングアーム31と、左右一対の下側前部ローリングアーム33とは、左右一対の前部ローリング支点軸29回りに一体的にそれぞれ回動する。また、下側前部ローリングアーム33の先端側に連結軸体40を介してトラックフレーム21の前部を連結している。
【0028】
また、左右方向に延長させた後部ローリング支点軸30の一端側には、左右一対の上側後部ローリングアーム32の基端側を回動可能に被嵌させている。図6に示す如く、伸縮調節可能なターンバックル付きの左右一対の前後連結ローリングフレーム36を備える。長尺なロッド状の前後連結ローリングフレーム36は、走行機体1の上面よりも低位置で、走行機体1と平行に、前後方向に延長している。左右一対の上側前部ローリングアーム31の先端側に、軸体35を介して前後連結ローリングフレーム36の前端側を連結している。上側後部ローリングアーム32の上端側に、軸体37を介して前後連結ローリングフレーム36の後端側を連結している。
【0029】
図4乃至図8に示す如く、走行機体1の左右方向の傾斜角度を変更させる左右一対の車高調節油圧シリンダ38を備える。走行機体1に左右一対のシリンダ支持ブラケット39を設ける。左右一対のシリンダ支持ブラケット39に基部軸体48を介して左右一対の車高調節油圧シリンダ38をそれぞれ連結させている。左右一対の上側後部ローリングアーム32の上端側に、先端側軸体42を介して左右一対の車高調節油圧シリンダ38のピストンロッド41をそれぞれ連結させている。
【0030】
左右一対の後部ローリング支点軸30の他端側には、左右一対の下側後部ローリングアーム34の基端側を一体的にそれぞれ固着している。即ち、左右一対の後部ローリング支点軸30と、左右一対の下側後部ローリングアーム34とは、左右一対の後部ローリング支点軸30の軸線回りに一体的にそれぞれ回動するように構成している。また、下側後部ローリングアーム34の先端側に連結軸体174を介して従動リンク体175の一端側を連結する。従動リンク体175の他端側に連結軸体179を介してトラックフレーム21の後部を連結している。
【0031】
図4乃至図8に示す如く、走行機体1の前後方向の傾斜角度を変更させる前後傾斜用油圧シリンダ177を備える。左右一対の後部ローリング支点軸30の一端側には、左右一対のピッチングアーム176の基端側が固着されている。左右一対のピッチングアーム176と、左右一対の下側後部ローリングアーム34とは、左右一対の後部ローリング支点軸30の軸線回りに一体的にそれぞれ回動するように構成している。また、左右一対の上側後部ローリングアーム32に連結軸体180を介して左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177をそれぞれ連結している。前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178に、連結軸体181を介してピッチングアーム176の先端側を連結している。
【0032】
図4、図5に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38と、前後傾斜用油圧シリンダ177は、側面視又は平面視で、前後に一列状に配置されている。左右一対の車高調節油圧シリンダ38の作動によって走行機体1の左右方向の傾斜角度を変更する左右一対の前側のローリングリンク機構R1は、上側前部ローリングアーム(左右傾動アーム)31、上側後部ローリングアーム(左右傾動アーム)32、下側前部ローリングアーム(前側アーム)33、下側後部ローリングアーム(後側アーム)34、前後連結ローリングフレーム36、従動リンク体(ピッチングリンク)175を有する。車高調節油圧シリンダ38が作動したときに、上側前部ローリングアーム31と下側前部ローリングアーム33が前部ローリング支点軸29回りに一体的に回動すると同時に、上側後部ローリングアーム32、下側後部ローリングアーム34、ピッチングアーム176、前後傾斜用油圧シリンダ177が後部ローリング支点軸30回りに一体的に回動する。
【0033】
即ち、図7に示す如く、車高調節油圧シリンダ38が作動したときに、トラックフレーム21に対して走行機体1の前後方向傾斜角度を維持しながら、走行機体1とトラックフレーム21の相対間隔を変化させる。左右の走行クローラ2の沈下量が変化して走行機体1が左右に傾動した場合、又はオペレータが走行機体1を左右に傾動させたい場合、車高調節油圧シリンダ38の自動制御又は手動制御によって走行機体1の左右方向傾斜角度を変化させ、走行機体1の左右方向の対地傾斜角度を設定角度(略水平姿勢)に保つことができる。
【0034】
左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177の作動によって走行機体1の前後方向の傾斜角度を変更する左右一対の後側のピッチングリンク機構P1は、下側後部ローリングアーム(後側アーム)34、従動リンク体(ピッチングリンク)175、ピッチングアーム(前後傾動アーム)176を有する。前後傾斜用油圧シリンダ177が作動したときに、下側後部ローリングアーム34及びピッチングアーム176が後部ローリング支点軸30回りに一体的に回動して、従動リンク体175を介して前部ローリング支点軸29回りにトラックフレーム21を回動させる。
【0035】
即ち、図8に示す如く、前後傾斜用油圧シリンダ177が作動したときに、走行機体1の左右方向の対地傾斜角度を維持しながら、トラックフレーム21に対して走行機体1の前後方向傾斜角度を変化させる。左右の走行クローラ2を移動させる走行路面が登り傾斜又は下り傾斜の斜面の場合、又は左右の走行クローラ2の前部(又は後部)の沈下量が変化して走行機体1が前後に傾動した場合、又はオペレータが走行機体1を前後に傾動させたい場合、前後傾斜用油圧シリンダ177の自動制御又は手動制御によって走行機体1の前後方向傾斜角度を変化させ、走行機体1の前後方向の対地傾斜角度を設定角度(略水平姿勢)に保つことができる。
【0036】
なお、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25は、走行機体1から横向きに突出させたローラ軸25aに回転自在に軸支している。即ち、駆動スプロケット22と中間ローラ25間の走行クローラ2の非接地側は、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177によって走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜角度が変更されたとしても、走行機体1の下面との間隔が常に略一定に維持される。
【0037】
上記の構成により、図7に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方を作動して、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方のピストンロッド41を進出させた場合、左右一対のトラックフレーム21いずれか一方又は両方が下動し、左右一対の走行クローラ2のいずれか一方又は両方の接地側を押し下げ、走行機体1の左側又は右側又は両方の車高を高くするように構成している。
【0038】
また、図4に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方を作動して、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方のピストンロッド41を退入させた場合、左右一対のトラックフレーム21いずれか一方又は両方が上動し、左右一対の走行クローラ2のいずれか一方又は両方の接地側を押し上げ、走行機体1の左側又は右側又は両方の車高を低くするように構成している。即ち、左右一対の車高調節油圧シリンダ38をそれぞれ作動させて、走行機体1に対して左右の走行クローラ2の接地面高さをそれぞれ変更することによって、走行機体1の左右方向の傾斜角が調節され、走行機体1が略水平(左右傾斜角0度)に支持されるように構成している。
【0039】
図8に示す如く、車高が高いピストンロッド41進出状態(又は車高が低いピストンロッド41退入状態)で、前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178をそれぞれ退入させた場合、左右一対のピッチングアーム176がそれぞれ作動して、左右一対の従動リンク体175が下方にそれぞれ押下げられ、左右一対のトラックフレーム21の両方の後端側が同時にそれぞれ下動する。
【0040】
その結果、下側前部ローリングアーム33に対して下側後部ローリングアーム34の平行姿勢が変更され、左右一対の走行クローラ2の後部の接地側が押下げられ、走行機体1の後端側の車高が高くなり、走行機体1が前下がりに傾斜するように構成している。即ち、前部ローリング支点軸29回りに走行機体1の後端側を上動させて、走行機体1の後端側が前端側よりも高くなる前方傾斜姿勢(前下がり傾斜姿勢)に傾動させるように構成している。その結果、前上がりに傾斜した走行路面を移動するときに、走行機体1の前後方向の傾きを略水平に維持できる。
【0041】
なお、左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178をそれぞれ退入させることによって、前記とは逆に、左右一対のトラックフレーム21の両方の後端側が同時にそれぞれ上動し、走行機体1の後端側の車高が低くなり、走行機体1が後下がりに傾斜することは云うまでもない。
【0042】
図9は、縦軸にコンバインの車高(走行機体1の対地高さ)を縦軸とし、コンバイン機体の前後方向の傾斜角度(走行機体1の前後傾斜角度)を横軸とし、走行機体1の対地高さ(左右方向の傾斜制御)と走行機体1の前後傾斜角度(前後方向の傾斜制御)の関係(姿勢制御動作範囲)を示す線図である。図9に太い実線で示した範囲(変形6角形状の枠)内で、前後傾斜センサ381の検出結果等に基づき、車高調節油圧シリンダ38と前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させ、車高調節油圧シリンダ38の左右方向の傾斜制御動作を所定範囲に維持して、前後傾斜用油圧シリンダ177の前後方向の傾斜制御が実行されるように構成している。
【0043】
例えば、車高調節油圧シリンダ38の左右方向の傾斜制御動作のうち、最高車高Dに対して約60パーセント(約3分の1)の車高Cと、最高車高Dに対して約10パーセント(約10分の1)の車高Aの間で、走行機体1の前後傾斜角度が0度から最大前傾角度F(例えば約5度)まで、前後傾斜用油圧シリンダ177の前方向の傾斜制御が実行され、走行機体1が前傾姿勢(前下り傾斜姿勢)にて支持されるように構成している。最高車高Dのときには、最大前傾角度Fに対して約60パーセント(約3分の1)の前傾角度F1以下の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の前方向の傾斜制御(前傾作動)が実行される。また、車高A以下のとき、又は車高C以上のときには、最大前傾角度F以下の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の前方向の傾斜制御が実行される。車高A以下の前傾作動規制エリアE1(斜線表示範囲)と、車高C以上の前傾作動規制エリアE3(斜線表示範囲)が形成される。車高C以下のとき、又は車高A以上のときには、走行機体1の前後傾斜角度が0度から最大前傾角度F(例えば約5度)の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の前方向の傾斜制御が実行される。
【0044】
即ち、最高車高Dのときには、最大前傾角度Fに対して約60パーセント(約3分の1)の前傾角度F1以下に走行機体1の前傾作動が規制される。車高C以上の車高が高い状態では、最大前傾角度F以下に走行機体1の前傾作動が規制され、刈取装置3の前端側が低く支持されるのを防止できる。その結果、昇降用油圧シリンダ4によって刈取装置3が非作業位置(高位置)に上昇されている場合であっても、走行機体1を適正に前傾作動できる。例えば、圃場への出入やトラック荷台への積み降ろし等の作業において、走行機体1が大きく前下り傾斜した姿勢で移動しても、田面や路面に刈取装置3の前端側が衝突するのを防止できる。
【0045】
一方、図9に示す如く、車高調節油圧シリンダ38の左右方向の傾斜制御動作のうち、車高が最高車高Dと、最高車高Dに対して約25パーセント(約4分の1)の車高Bとの間で、走行機体1の前後傾斜角度が0度から最大後傾角度R(例えば約3度)まで、前後傾斜用油圧シリンダ177の後方向の傾斜制御(後傾作動)が実行され、走行機体1が後傾姿勢(後下り傾斜姿勢)にて支持されるように構成している。また、車高B以下のときには、最大後傾角度R以下の範囲で前後傾斜用油圧シリンダ177の後方向の傾斜制御が実行される。車高B以下の後傾作動規制エリアE2(斜線表示範囲)が形成される。即ち、車高B(最高車高Dの約25パーセント)以上を維持しながら、最大後傾角度Rまで走行機体1を後傾できるから、昇降用油圧シリンダ4によって刈取装置3が非作業位置(高位置)に上昇されていても、走行機体1をスムーズに後傾作動させて、刈取装置3をさらに上昇でき、障害物に対して刈取装置3を上方に俊敏に回避させることができる。
【0046】
また、車高C以上の高い車高のとき、又は車高A又は車高B以下の低い車高のとき、前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させる前に車高調節油圧シリンダ38が作動して、車高調節油圧シリンダ38の車高上昇(左右方向の傾斜)制御動作を優先して、走行機体1の車高を所定車高以上に維持してから、前後傾斜用油圧シリンダ177の前後方向の傾斜制御が実行できる。その結果、圃場又は畦等の土中に刈取装置3の前部が突入するのを防止できる。なお、最高車高Dの約25パーセント(約4分の1)以下の低い車高(車高A又は車高B以下)のときには、走行機体1の前傾作動が規制される車高に比べ、走行機体1の後傾作動が規制される車高が高くなる(車高A<車高B)。最大後傾角度R(例えば約3度)と、最大前傾角度Fに対して約60パーセント(約3分の1)の前傾角度F1とを略等しく形成している。即ち、最大前傾角度Fに対して約60パーセントの傾斜角度の大きさに最大後傾角度Rを形成している。
【0047】
図9に示す如く、最大後傾角度Rに対して最大前傾角度Fを大きくすることによって、超湿田で走行クローラ2が大きく沈下し、走行機体1の車高を高くして刈取作業をしているときに、走行機体1の車高を下げて走行抵抗を増大させることなく、又は刈取装置3を下降させて刈刃装置222等を土中に突入させることなく、走行機体1を前傾させることによって、未刈り穀稈の株元を所定高さで刈刃装置222によって切断できる。
【0048】
図4に示す如く、走行シャーシ1aに前側最下げストッパ185を固着する。下側前部ローリングアーム33の上面側に前側最下げストッパ185の一端側を延長させる。走行機体1の前側車高が最も低い状態(図4又は図6の状態)、即ち、走行機体1の前側とトラックフレーム21が最も接近したときに、下側前部ローリングアーム33の上面に前側最下げストッパ185の下面が当接して、走行機体1の前側が最下げ位置に支持される。下側前部ローリングアーム33と前側最下げストッパ185の当接によって、走行機体1の前側下面に走行クローラ2の前側上面が干渉するのを防止している。
【0049】
また、後側軸受体28の下面に後側最下げストッパ186を固着する。トラックフレーム21に受止め体187を固着する。走行機体1の後側車高が最も低い状態(図4又は図6の状態)、即ち、走行機体1の後側とトラックフレーム21が最も接近したときに、受止め体187の上面に後側最下げストッパ186の下面が当接して、走行機体1の後側が最下げ位置に支持される。受止め体187と後側最下げストッパ186の当接によって、走行機体1の後側下面に走行クローラ2の後側上面が干渉するのを防止している。
【0050】
次に、図10を参照しながら、コンバイン(走行機体1)の左右方向の傾斜制御と、前後方向の傾斜制御と、刈取装置3の昇降制御について説明する。図12は、コンバイン(走行機体1)の左右方向の傾斜制御手段、及び前後方向の傾斜制御手段、及び刈取装置3の昇降制御手段の機能ブロック図であり、マイクロコンピュータ等によって形成した作業コントローラ371を備える。作業コントローラ371は、制御プログラムを記憶したROMと各種データを記憶したRAMとを有する。
【0051】
図10に示す如く、作業コントローラ371には、刈取装置3によって刈取った刈取穀稈を検出する作物センサ372と、刈取装置3の作動を検出する作業スイッチ373と、走行機体1の左右方向の傾斜角度を検出する振子式の左右傾斜センサ374と、走行機体1と左側のトラックフレーム21との相対間隔(車高)を検出するポテンショメータ形の左車高センサ375と、走行機体1と右側のトラックフレーム21との相対間隔(車高)を検出するポテンショメータ形の右車高センサ376と、走行機体1の左右方向の傾斜角度の基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の左右傾斜設定器377が接続されている。
【0052】
また、作業コントローラ371には、左傾電磁弁261と、右傾電磁弁262が接続されている。この構成により、左右傾斜センサ374の検出値と、左車高センサ375の検出値と、右車高センサ376の検出値とに基づき、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262を切換えて、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させ、走行機体1の左右方向の傾斜を修正して、走行機体1が左右向きに略水平になるように自動制御する。
【0053】
さらに、作業コントローラ371には、走行機体1の前後方向の傾斜角度を検出する振子式の前後傾斜センサ381と、走行機体1の後部とトラックフレーム21の後端側との相対間隔(トラックフレーム21の前後方向の対本機傾斜角度)を検出するポテンショメータ形の本機傾斜センサ382と、走行機体1の前後方向の傾斜角度の基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の前後傾斜設定器383と、前後傾動電磁弁266が接続されている。この構成により、前後傾斜センサ381の検出値と、本機傾斜センサ382の検出値と、前後傾斜設定器383の設定値とに基づき、前後傾動電磁弁266を切換えて、前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させ、走行機体1の前後方向の傾斜を修正して、走行機体1が前後向きに略水平になるように自動制御される。
【0054】
一方、図10に示す如く、作業コントローラ371には、走行クローラ2の回転速度(車速)を検出する車速センサ385と、刈取装置3の対地高さを検出するポテンショメータ形の刈取高さセンサ386と、刈取装置3の対地高さの基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の刈取高さ設定器387と、刈取昇降電磁弁260が接続されている。この構成により、車速センサ385の検出値と、刈取高さセンサ386の検出値と、刈取高さ設定器387の設定値とに基づき、刈取昇降電磁弁260を切換えて、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させ、刈取装置3の対地高さを修正して、刈取装置3の穀稈刈取高さが略一定になるように自動制御する。
【0055】
次に、図9に示す姿勢制御説明図、図10に示す機能ブロック図、図11、図12に示すフローチャートを参照しながら、刈取装置3の穀稈刈取高さ制御態様、及びコンバイン(走行機体1)の左右方向及び前後方向の傾斜制御態様を説明する。図11のフローチャートに示す如く、エンジン14が始動された場合、作物センサ372値、左右傾斜センサ374値、左車高センサ375値、右車高センサ376値、左右傾斜設定器377値、前後傾斜センサ381値、本機傾斜センサ382値、前後傾斜設定器383値、車速センサ385値、刈取高さセンサ386値、刈取高さ設定器387値が読込まれる。作業スイッチ373がオンの刈取作業中、刈取高さ制御が実行される。また、作業スイッチ373がオン又はオフのいずれであっても、図12のフローチャートに示す左右傾斜制御と前後傾斜制御がそれぞれ実行される。
【0056】
図11のフローチャートに示す如く、作業スイッチ373がオンの刈取作業中に、作物センサ372がオンになっていると、車速センサ385値と、刈取高さセンサ386値と、刈取高さ設定器387値に基づき、刈取装置3の穀稈刈取高さが低いと判断された場合、刈取昇降電磁弁260が切換り、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させて刈取装置3を上昇制御して、刈取装置3の対地高さを修正する。一方、刈取装置3の穀稈刈取高さが高いと判断された場合、刈取昇降電磁弁260が切換り、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させて刈取装置3を下降制御して、刈取装置3の対地高さを修正する。図11の刈取高さ制御によって、刈取高さ設定器387によって設定された刈取装置3の穀稈刈取高さを自動的に維持できる。
【0057】
図12のフローチャートに示す如く、左右傾斜センサ374値と、左車高センサ375値と、右車高センサ376値と、左右傾斜設定器377値に基づき、走行機体1が左側に傾斜していると判断された場合は、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262が切換り、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の左側を上昇させるか、又は走行機体1の右側を下降させる。一方、走行機体1が右側に傾斜していると判断された場合は、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262が切換り、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側を上昇させるか、又は走行機体1の左側を下降させる。図12のコンバイン(走行機体1)の左右方向の傾斜制御によって、走行機体1の左右方向の傾斜角度が自動的に修正される。左右傾斜設定器377値に基づき、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を維持できる。なお、左右傾斜設定器377がオペレータによって操作された場合、左右傾斜設定器377によって設定された左右傾斜角度姿勢(対地水平姿勢)に走行機体1が手動操作にて支持される。
【0058】
また、図12のフローチャートに示す如く、前後傾斜センサ381値と、本機傾斜センサ382値と、前後傾斜設定器383値に基づき、走行機体1が前側方に下り傾斜している前傾姿勢と判断された場合は、図9に太い実線の多角形枠にて示した車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内のときに、前後傾動電磁弁266が切換り、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、走行機体1の後端側を下降させる。一方、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内ではないとき、即ち、図9の車高範囲外(斜線にて表示した作動規制エリアE1、E2、E3)のときに、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側又は左側を昇降させて、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内に走行機体1の車高を変更した後、前後傾動電磁弁266が切換り、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、走行機体1の後端側を下降させる。その結果、図12のコンバイン(走行機体1)の後傾斜制御によって、走行機体1の後傾角度が自動的に修正される。前後傾斜設定器383値に基づき、走行機体1の後傾姿勢(対地水平姿勢)を維持できる。
【0059】
さらに、走行機体1が後側方に下り傾斜している後傾姿勢と判断された場合は、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内のときには、前後傾動電磁弁266が切換り、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、走行機体1の後端側を上昇させる。一方、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内ではないとき、即ち、図9の車高範囲外のときには、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側又は左側を上昇させて、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内に走行機体1の車高を変更した後、前後傾動電磁弁266が切換り、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、走行機体1の後端側を上昇させる。即ち、図12の走行機体1の前後方向の傾斜制御によって、走行機体1の前後方向の傾斜角度が自動的に修正される。前後傾斜設定器383値に基づき、走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を維持できる。なお、前後傾斜設定器383がオペレータによって操作された場合、前後傾斜設定器383によって設定された前後傾斜角度姿勢に走行機体1が手動操作にて支持される。
【0060】
次に、図13乃至図17を参照しながら、穀物タンクの質量を計測する計測構造と、穀物タンク内の穀粒の質量を計測する収穫制御について説明する。図13、図14に示す如く、穀物タンク7内の穀粒を排出する排出オーガ8は、穀物タンク7内の底部から穀粒を取出す穀粒横送りオーガ62と、横送りオーガ62からの穀粒を縦方向に搬送する縦排出オーガ63と、縦排出オーガ63からの穀粒を機外に取出す上部排出オーガ64を有する。穀粒横送りオーガ62にオーガ駆動ケース65を介して縦排出オーガ63が連結されている。オーガ駆動ケース25の下端側から下方に突出させたオーガ受軸66が、走行機体1に軸支されている。また、脱穀部4の側方の支柱67に、筒受部材68を介して、縦排出オーガ63を内挿した縦オーガ筒69の中間が回動可能に軸支されている。
【0061】
即ち、縦排出オーガ63の縦オーガ筒64を中心に穀物タンク7を横方向に回動可能に設けている。穀粒タンク7の前側を機体外側方に移動させて、脱穀部5の右側面部を開放可能に構成している。また、上部排出オーガ64を内挿した上部排出オーガ筒70の基端側が、中継コンベヤ71を介して、縦オーガ筒69の上端側に上下方向に回動可能に連結されている。オーガ昇降油圧シリンダ254のピストンロッド伸縮操作によって、上部排出オーガ筒70の先端側を上下に回動させ、投出口9を昇降させる。一方、縦排出オーガ筒69をオーガ軸心線回りに回動させる旋回用電動モータ72を備え、旋回用電動モータ72によって上部排出オーガ筒70を水平方向に旋回させ、穀粒排出位置または本機収納位置に投出口9(排出オーガ64)を移動させる。
【0062】
図13乃至図15に示す如く、走行機体1の上面に設けるロードセル型の質量センサ73と、走行機体1(脱穀機筐)に穀物タンク7を略一定姿勢に固定させるロック部材74を備え、ロック用電動モータ75の制御によってロック部材74のロック動作を解除して、質量センサ73によって穀物タンク7内の穀粒の質量を計測する。ロック部材74は、支軸76aによって開閉自在に連結する一対の挾アーム76と、挾アーム76を閉支持する挾バネ77を有する。穀物タンク7の外側面にロックアーム78を設け、挾アーム76に挟みバネ77力によってロックアーム78を挾持させ、走行機体1(脱穀機筐)に対して、穀物タンク7を略一定姿勢に支持させる。一方、ロック用電動モータ75の制御によって開動作ワイヤ79を引張り、挟みバネ77に抗して挾アーム76を開動作させ、挾アーム76の挟持からロックアーム78を離脱させ、質量センサ73によって穀物タンク7内の穀粒の質量を計測させる。
【0063】
図16は、収穫した穀粒の質量を計測する制御回路の機能ブロック図であり、マイクロコンピュータ等によって形成した収穫コントローラ390を備えている。収穫コントローラ390は、制御プログラムの記憶ROMと各種データの記憶RAMを有する。収穫コントローラ390の入力側には、ロック部材74のロック解除動作制御並びに質量センサ73の計測動作制御を手動制御又は自動制御にそれぞれ切換える計測スイッチ391と、記録紙に穀粒の質量を記録させる印刷スイッチ392と、排出オーガ8が走行機体1の収納位置に支持されていることを検出するオーガ収納センサ393と、穀物タンク7内の穀粒量を検出する低位センサ394及び中位センサ395及び高位センサ396及び満了センサ397と、走行機体1の移動速度を検出する車速センサ398と、質量センサ73の検出結果に基づき穀物タンク7内の穀粒の質量を演算する穀粒計量器399と、穀物タンク7内に収集した穀粒の水分量(水分の平均値)を検出する水分計測器400を接続させている。
【0064】
また、図16に示す如く、収穫コントローラ390の出力側には、穀物タンク7内に収集した穀粒の質量を表示する収量モニタ401と、記録紙402に穀粒の質量を印刷させるプリンタ403と、旋回用電動モータ72と、ロック用電動モータ75を接続させている。上述した作業コントローラ371が収穫コントローラ390にラン通信にて接続されている。収穫作業中、穀物タンク7内に収集した穀粒の質量が、ハンドルコラム46に設けた収量モニタ401に表示される。旋回用電動モータ72やロック用電動モータ75等の制御によって、穀粒計量器399の穀粒の質量や、水分計測器400の穀粒の水分量等が演算されてそれらのデータが記録される。プリンタ403によって記録紙402に穀粒の質量や水分等が印刷される。
【0065】
次に、図17に示すフローチャートを参照しながら、穀粒の収穫制御態様を説明する。作業コントローラ371の各油圧シリンダ38,177制御(コンバインの姿勢制御)が実行されている場合、計測スイッチ391がオン、オーガ収納センサ393がオンの状態下で、作物センサ372値が読込まれることによって、作物センサ372がオフで刈取り穀稈がない非作業中、ロック用電動モータ75がロック解除動作してロック部材74のロックを解除し、且つ作業コントローラ371の各油圧シリンダ38,177制御によって走行機体1の傾斜姿勢が左右方向及び前後方向に水平であると判断されたとき、一定時間(例えば10秒が)経過することによって、質量センサ73の検出質量が穀粒計量器399に入力されて、穀物タンク7内の穀粒の質量が算出される。また、水分計測器400の穀粒の水分量に基づき、穀粒計量器399の穀粒の質量が補正されて、穀物タンク7に収集された穀粒の収量(質量)が演算される。
【0066】
即ち、作物センサ372がオフで刈取り穀稈がない非作業中、例えば、圃場の枕地で方向転換するとき、又は穀物タンク7内に穀粒が充填されたときに、走行機体1が左右方向及び前後方向に水平に支持された状態下で、穀粒の水分量(計測された水分の平均値)によって補正された収穫穀粒の質量が算出される。予め入力された収穫作業場所が特定された状態で、穀粒の水分の平均値と質量が、収穫コントローラ390に記録(記憶)される。また、オペレータが印刷スイッチ392をオン操作することによってプリンタ403が作動し、穀粒の水分の平均値と質量が記録紙402に印刷される。
【0067】
穀物タンク7内の穀粒の水分の平均値と質量が計測及び演算されている場合、満了センサ397がオフで、穀物タンク7内に穀粒を収集している途中において、穀物タンク7内の穀粒の質量と水分の平均値が収量モニタ401に表示され、収穫コントローラ390のRAMに記録される。一方、穀物タンク7内に穀粒が充填されて、満了センサ397がオンになった場合、満了センサ397がオンのときの計量器399の計量結果と、満了センサ397がオンになる間に計測された穀粒水分計測器400の平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量を演算する。即ち、予め入力された特定の収穫作業場所で収穫された穀粒の総量(総質量)と水分の平均値が、前回の穀粒排出作業後のデータに加算されて、特定の収穫作業場所の収穫穀粒の総量(総質量と水分の平均値)が収穫コントローラ390に記録される。
【0068】
また、オーガ昇降油圧シリンダ254及び旋回用電動モータ72を作動させ、トラックの荷台又はコンテナ等の穀粒排出位置に排出オーガ8の投出口9を移動させて、穀物タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出作業を実行した後、排出オーガ8が走行機体1の収納位置に戻され、次行程の収穫作業が開始される。走行機体1の収納位置に排出オーガ8が戻された場合、その排出オーガ8が、オーガ収納センサ393にて検出されることによって、穀物タンク7内の穀粒の排出作業が完了したと判断されて、計量器399の計量動作がリセットされ、次行程の収穫作業によって穀物タンク7内に収集される穀粒が計量される。
【0069】
なお、オーガ収納センサ393によって排出オーガ8が検出されていない場合、又は車速センサ398によって検出される車速が所定以上の場合、ロック用電動モータ75のロック解除動作が行われても、質量センサ73によって穀物タンク7内の穀粒の質量が計測されない。即ち、穀粒排出作業中の穀粒の質量の誤計測を防止できる。また、高速移動に伴って穀物タンク7内で穀粒が移動して、穀粒の質量が誤計測されるのを防止できる。
【0070】
図10、図12、図16、図17に示す如く、刈取装置3及び脱穀装置5及び穀物タンク7を装設した走行機体1と、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータとしての車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177と、穀物タンク7の質量を計測する計量手段としての計量器399を備えている。また、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、走行機体1が水平姿勢に維持されているときに、計量器399によって穀物タンク7の質量が計測されるように構成している。したがって、走行機体1が傾斜することによって、穀物タンク7内の穀粒の質量が誤計測されるのを簡単に防止できる。走行機体1の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、穀物タンク7内の穀粒の質量を高精度に計測でき、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できる。計量器399の計量構造や計測制御機器等を簡単に構成できる。
【0071】
図10、図12、図16、図17に示す如く、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータとしての車高調節油圧シリンダ38と、走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータとしての前後傾斜用油圧シリンダ177を備えている。また、計量器399によって穀物タンク7の質量を計測させる測定指令手段としての計測スイッチ391を備え、計測スイッチ391の指令出力に基づき、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢の修正によって、走行機体1の水平姿勢状態が所定時間以上維持された後、穀物タンク7の質量の計測が実行されるように構成している。したがって、オペレータ等の意思によって、計測スイッチ391が操作されたときに、走行機体1の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、穀物タンク7内の穀粒の質量を高精度に計測できる。例えば、耕作者が異なる複数の圃場の収穫作業等において、耕作者別(圃場別)に収穫量(穀粒の質量)を正確に把握できる。
【0072】
図10、図12、図16、図17に示す如く、穀物タンク7を一定姿勢に固定させる支持手段としてのロック部材74を備えている。また、作物センサ372等の刈取作業の開始と終了の検出結果と、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177の検出結果に基づき、ロック部材74による穀物タンク7の固定操作又は解除操作と、計量器399の計量動作のセット又はリセットを可能に構成し、ロック部材74による穀物タンク7の固定動作が解除された状態下で、穀物タンク7内の穀粒の質量が計測されるように構成している。したがって、穀物タンク7内に穀粒が搬入される前、又は穀粒を搬入中、又は穀粒が搬入された後などの複数の作業状況等に区分して、各作業状況に応じて穀物タンク7内の穀粒の質量を高精度で計測できる。圃場又は耕作者を特定して、その収穫総量を高精度に算出できる。
【0073】
図16、図17に示す如く、穀物タンク7内の穀粒の満了を検出する満了センサ397と、穀物タンク7内の穀粒の水分を計測する水分センサとしての穀粒水分計測器400を備えている。また、穀物タンク7内の穀粒の排出作業が完了したときに、計量器399の計量動作がリセットされて、満了センサ397がオンのときの計量器399の計量結果と、満了センサ397がオンになる間に計測された穀粒水分計測器400の平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量が演算されるように構成している。したがって、穀物タンク7内の穀粒が満了の状態(計量器399の計測誤差が最も小さくなる状態)のときに、穀物タンク7内の穀粒の質量が高精度に計測される。また、穀粒の含水量によって、そのときに計測された穀粒の質量が補正される。その結果、圃場又は耕作者を特定して、その収穫総量を高精度(低誤差)に算出できる。
【符号の説明】
【0074】
1 走行機体
3 刈取装置
3 刈取装置
7 穀物タンク
38 車高調節油圧シリンダ傾斜姿勢アクチュエータ、ローリングアクチュエータ)
74 ロック部材(支持手段)
177 前後傾斜用油圧シリンダ(傾斜姿勢アクチュエータ、ピッチングアクチュエータ)
372 作物センサ
391 計測スイッチ(測定指令手段)
397 満了センサ
399 計量器(計量手段)
400 穀粒水分計測器(水分センサ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植立した穀稈を刈取って穀粒を収集するコンバインに係り、より詳しくは、収集された穀粒を入れる穀物タンクと、穀物タンク内の穀粒の質量を計測する計量手段を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行機体に左右一対の走行クローラを装設し、左右一対の走行クローラを駆動制御して圃場等を移動しながら、圃場に植立した未刈り穀稈の株元を刈刃装置によって切断し、穀稈搬送装置によって脱穀装置に刈取り穀稈を搬送し、脱穀装置によって刈取り穀稈を脱穀して、穀物タンクに穀粒を収集する一方、穀物タンクの質量を計測する質量センサを備え、穀物タンク内の穀粒の質量を計測するように構成している。(特許文献1参照)
また、従来、走行機体の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータと、走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータを備え、走行クローラを装着するトラックフレームを備え、平行リンク状の前側アーム及び後側アームを介して走行機体にトラックフレームを連結させ、前後の左右傾動アームを介して前側アーム及び後側アームに連結ロッドを介してローリングアクチュエータを連結させ、ローリングアクチュエータの作動によって走行機体の左右方向の傾斜姿勢を変更させるように構成していた。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4004997号公報
【特許文献2】実公平6−28387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、質量センサを備え、穀物タンク内の穀粒の質量を計測する場合、走行機体の傾斜状況によって、穀物タンク内の穀粒の質量が不適正に計測されやすいから、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できない等の問題がある。穀物タンク内の穀粒の質量を正確に計測するには、走行機体の傾斜によって補正する必要があり、穀粒の質量を簡単に計測できない等の問題がある。また、耕作者が異なる複数の圃場の収穫作業を連続的に行う賃刈り作業等において、通常よりも小さい簡略畦によって隣接する圃場間が区切られている場合、前記簡略畦を簡単に乗越えて隣の圃場に移動することによって、収穫作業の能率を向上できるが、穀物タンク内の穀粒の質量を計測してから、隣の圃場に移動する必要がある等の取扱い上の問題もある。
【0005】
本発明の目的は、走行機体の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、穀物タンク内の穀粒の質量を高精度で計測でき、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できるようにしたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、刈取装置及び脱穀装置及び穀物タンクを装設した走行機体と、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータと、前記穀物タンクの質量を計測する計量手段を備えるコンバインにおいて、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、前記走行機体が水平姿勢に維持されているときに、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量が計測されるように構成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記走行機体の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータと、前記走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータを備える構造であって、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量を計測させる測定指令手段を備え、前記測定指令手段の指令出力に基づき、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢の修正によって、前記走行機体の水平姿勢状態が所定時間以上維持された後、前記穀物タンクの質量の計測が実行されるように構成したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記穀物タンクを一定姿勢に固定させる支持手段を備える構造であって、作物センサ等の刈取作業の開始と終了の検出結果と、前記ローリングアクチュエータ又は前記ピッチングアクチュエータの検出結果に基づき、前記支持手段による前記穀物タンクの固定操作又は解除操作と、前記計量手段の計量動作のセット又はリセットを可能に構成し、前記支持手段による前記穀物タンクの固定動作が解除された状態下で、前記穀物タンク内の穀粒の質量が計測されるように構成したものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記穀物タンク内の穀粒の満了を検出する満了センサと、前記穀物タンク内の穀粒の水分を計測する水分センサを備える構造であって、前記穀物タンク内の穀粒の排出作業が完了したときに、前記計量手段の計量動作がリセットされて、前記満了センサがオンのときの前記計量手段の計量結果と、前記満了センサがオンになる間に計測された水分センサの平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量が演算されるように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、刈取装置及び脱穀装置及び穀物タンクを装設した走行機体と、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータと、前記穀物タンクの質量を計測する計量手段を備えるコンバインにおいて、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、前記走行機体が水平姿勢に維持されているときに、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量が計測されるように構成したものであるから、前記走行機体が傾斜することによって、前記穀物タンク内の穀粒の質量が誤計測されるのを簡単に防止できる。前記走行機体の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、前記穀物タンク内の穀粒の質量を高精度に計測でき、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できる。前記計量手段の計量構造や計測制御機器等を簡単に構成できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、前記走行機体の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータと、前記走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータを備える構造であって、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量を計測させる測定指令手段を備え、前記測定指令手段の指令出力に基づき、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢の修正によって、前記走行機体の水平姿勢状態が所定時間以上維持された後、前記穀物タンクの質量の計測が実行されるように構成したものであるから、オペレータ等の意思によって、前記測定指令手段が操作されたときに、前記走行機体の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、前記穀物タンク内の穀粒の質量を高精度に計測できる。例えば、耕作者が異なる複数の圃場の収穫作業等において、耕作者別(圃場別)に収穫量(穀粒の質量)を正確に把握できる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、前記穀物タンクを一定姿勢に固定させる支持手段を備える構造であって、作物センサ等の刈取作業の開始と終了の検出結果と、前記ローリングアクチュエータ又は前記ピッチングアクチュエータの検出結果に基づき、前記支持手段による前記穀物タンクの固定操作又は解除操作と、前記計量手段の計量動作のセット又はリセットを可能に構成し、前記支持手段による前記穀物タンクの固定動作が解除された状態下で、前記穀物タンク内の穀粒の質量が計測されるように構成したものであるから、前記穀物タンク内に穀粒が搬入される前、又は穀粒を搬入中、又は穀粒が搬入された後等の複数の作業状況等に区分して、各作業状況に応じて前記穀物タンク内の穀粒の質量を高精度で計測できる。圃場又は耕作者を特定して、その収穫総量を高精度に算出できる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、前記穀物タンク内の穀粒の満了を検出する満了センサと、前記穀物タンク内の穀粒の水分を計測する水分センサを備える構造であって、前記穀物タンク内の穀粒の排出作業が完了したときに、前記計量手段の計量動作がリセットされて、前記満了センサがオンのときの前記計量手段の計量結果と、前記満了センサがオンになる間に計測された水分センサの平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量が演算されるように構成したものであるから、前記穀物タンク内の穀粒が満了の状態(前記計量手段の計測誤差が最も小さくなる状態)のときに、前記穀物タンク内の穀粒の質量が高精度に計測される。また、穀粒の含水量によって、そのときに計測された穀粒の質量が補正される。その結果、圃場又は耕作者を特定して、その収穫総量を高精度に算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の6条刈り用コンバインの側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同コンバインの油圧回路図である。
【図4】走行機体及び走行クローラ部の側面図である。
【図5】同平面図である。
【図6】図4の上面視斜視図である。
【図7】走行機体を上動させた側面説明図である。
【図8】走行機体を上動させて前傾させた前下り側面説明図である。
【図9】走行機体の対地高さと走行機体の前後傾斜角度の関係を示す線図である。
【図10】姿勢制御手段の制御回路の機能ブロック図である。
【図11】姿勢制御のフローチャートである。
【図12】左右方向及び前後方向の傾斜制御のフローチャートである。
【図13】穀物タンクの側面説明図である。
【図14】同断面正面図である。
【図15】穀物タンクを固定する支持手段の説明図である。
【図16】収穫穀粒の質量計測制御回路の機能ブロック図である。
【図17】収穫穀粒の質量計測制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図である。図1及び図2を参照して、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。図1及び図2に示す如く、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む6条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着される。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、該脱穀装置5から取出された穀粒を貯留する穀物タンク7とが横並び状に搭載される。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向左側に、穀物タンク7が走行機体1の前進方向右側に配置される。走行機体1の後部に旋回可能な排出オーガ8が設けられ、穀物タンク7の内部の穀粒が、排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀物タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。
【0016】
運転キャビン10内には、操縦ハンドル11と、運転座席12と、主変速レバー43と、副変速スイッチ44と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り切りする作業クラッチレバー45とを配置している。なお、運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップ(図示省略)と、操縦ハンドル11を設けたハンドルコラム46と、前記各レバー43,45及びスイッチ44等を設けたレバーコラム47とが配置されている。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン14が配置されている。
【0017】
図1に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン14の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。
【0018】
図1、図2に示す如く、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム221の下方には、圃場に植立した未刈り穀稈(穀稈)の株元を切断するバリカン式の刈刃装置222が設けられている。刈取フレーム221の前方には、圃場に植立した未刈り穀稈を引起す6条分の穀稈引起装置223が配置されている。穀稈引起装置223とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置222によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置224が配置される。なお、穀稈引起装置223の下部前方には、未刈り穀稈を分草する6条分の分草体225が突設されている。圃場内を移動しながら、刈取装置3によって圃場に植立した未刈り穀稈を連続的に刈取る。
【0019】
次に、図1及び図2を参照して、脱穀装置5の構造を説明する。図1及び図2に示す如く、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴226と、扱胴226の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤227及び唐箕ファン228と、扱胴226の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴229と、揺動選別盤227の後部の排塵を排出する排塵ファン230を備えている。なお、刈取装置3から穀稈搬送装置224によって搬送された穀稈は、フィードチェン6に受継がれて、脱穀装置5に搬入されて扱胴226にて脱穀される。
【0020】
図1に示す如く、揺動選別盤227の下方側には、揺動選別盤227にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ231と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ232とが設けられている。揺動選別盤227は、扱胴226の下方に張設された受網237から漏下した脱穀物が、フィードパン238及びチャフシーブ239によって搖動選別(比重選別)されるように構成している。揺動選別盤227から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン228からの選別風によって除去され、一番コンベヤ231に落下する。一番コンベヤ231から取出された穀粒は、揚穀コンベヤ233を介して穀物タンク7に搬入され、穀物タンク7に収集される。
【0021】
また、図1に示す如く、揺動選別盤227は、搖動選別によってチャフシーブ239から枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ232に落下させるように構成している。チャフシーブ239の下方に落下する二番物を風選する選別ファン241を備える。チャフシーブ239から落下した二番物は、その穀粒中の粉塵及び藁屑が選別ファン241からの選別風によって除去され、二番コンベヤ232に落下する。二番コンベヤ232の終端部は、還元コンベヤ236を介して、フィードパン238の後部の上面側に連通接続され、二番物を揺動選別盤227の上面側に戻して再選別するように構成している。
【0022】
一方、図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン234と排藁カッタ235が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン234に受継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後部に設けられた排藁カッタ235にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
【0023】
次に、図3を参照して、コンバインの油圧回路構造について説明する。図3に示す如く、上述した昇降用油圧シリンダ4と、排出オーガ8の籾投げ口9側を昇降させるオーガ昇降油圧シリンダ254と、走行機体1の左右端部を昇降させて走行機体1を左右に傾動させる左右の車高調節油圧シリンダ38と、走行機体1の前後部を昇降させて走行機体1を前後に傾動させる左右の前後傾斜用油圧シリンダ177と、二連構造の各作業ポンプ91とを備える。一方の作業ポンプ91の吐出側に第1高圧油路257を接続する。他方の作業ポンプ91の吐出側に第2高圧油路258を接続している。
【0024】
第1高圧油路257には、昇降用油圧シリンダ4を作動する刈取昇降電磁弁260と、タンク油路用のアンロードリリーフ弁256を接続する。刈取装置3を比較的高速で昇降動させる刈取昇降電磁弁260と、刈取装置3を比較的低速で上昇させる刈取上昇電磁弁264と、刈取装置3が下降する側に昇降用油圧シリンダ4を比較的低速で作動する刈取下降電磁弁265が、昇降用油圧シリンダ4に接続されている。刈取昇降電磁弁260を切換える刈取装置3の昇降動とは別に、刈取上昇電磁弁264を切換えて刈取装置3を上昇させ、刈取装置3の上昇動を刈取上昇電磁弁264にて制限する一方、刈取下降電磁弁265を切換えて刈取装置3を下降させるように構成している。
【0025】
第2高圧油路258には、左側の車高調節油圧シリンダ38を作動する左傾電磁弁261と、右側の車高調節油圧シリンダ38を作動する右傾電磁弁262と、左側の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動する左側の前後傾動電磁弁266と、右側の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動する右側の前後傾動電磁弁267と、オーガ昇降油圧シリンダ254を作動する穀粒排出電磁弁263とが接続されている。また、左傾電磁弁261と、右傾電磁弁262と、左側の前後傾動電磁弁266と、右側の前後傾動電磁弁267と、穀粒排出電磁弁263を、姿勢制御用電磁弁268を介して第2高圧油路258に接続している。車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177又はオーガ昇降油圧シリンダ254の作動を、姿勢制御用電磁弁268にて制限するように構成している。なお、姿勢制御用電磁弁268にリリーフ弁269を並列に接続している。
【0026】
次に、図4乃至図8を参照しながら、走行機体1の左右方向の傾斜角の調節構造について説明する。図4乃至図8に示す如く、走行機体1の下面側に設ける左右一対のローリング支点フレーム26と、左右一対の前側軸受体27と、左右一対の後側軸受体28を備える。走行機体1の下面側に固着されたローリング支点フレーム26の前端側に、左右一対の前側軸受体27を配置している。左右一対のローリング支点フレーム26の後端側に左右一対の後側軸受体28を配置している。左右の前側軸受体27に左右一対の前部ローリング支点軸29をそれぞれ貫通させ、左右の後側軸受体28に左右一対の後部ローリング支点軸30をそれぞれ貫通させている。なお、走行機体1の下面側に走行シャーシ1aを介して駆動スプロケット22(ミッションケース88)が配置されている。走行機体1の前部にミッションケース88の背面側が締結されている。
【0027】
左右方向に延長させた左右一対の前部ローリング支点軸29の一端側には、上下方向に延長した左右一対の上側前部ローリングアーム31の基端側を一体的にそれぞれ固着している。左右一対の前部ローリング支点軸29の他端側には、前後方向に延長した左右一対の下側前部ローリングアーム33の基端側を一体的にそれぞれ固着している。即ち、左右一対の上側前部ローリングアーム31と、左右一対の下側前部ローリングアーム33とは、左右一対の前部ローリング支点軸29回りに一体的にそれぞれ回動する。また、下側前部ローリングアーム33の先端側に連結軸体40を介してトラックフレーム21の前部を連結している。
【0028】
また、左右方向に延長させた後部ローリング支点軸30の一端側には、左右一対の上側後部ローリングアーム32の基端側を回動可能に被嵌させている。図6に示す如く、伸縮調節可能なターンバックル付きの左右一対の前後連結ローリングフレーム36を備える。長尺なロッド状の前後連結ローリングフレーム36は、走行機体1の上面よりも低位置で、走行機体1と平行に、前後方向に延長している。左右一対の上側前部ローリングアーム31の先端側に、軸体35を介して前後連結ローリングフレーム36の前端側を連結している。上側後部ローリングアーム32の上端側に、軸体37を介して前後連結ローリングフレーム36の後端側を連結している。
【0029】
図4乃至図8に示す如く、走行機体1の左右方向の傾斜角度を変更させる左右一対の車高調節油圧シリンダ38を備える。走行機体1に左右一対のシリンダ支持ブラケット39を設ける。左右一対のシリンダ支持ブラケット39に基部軸体48を介して左右一対の車高調節油圧シリンダ38をそれぞれ連結させている。左右一対の上側後部ローリングアーム32の上端側に、先端側軸体42を介して左右一対の車高調節油圧シリンダ38のピストンロッド41をそれぞれ連結させている。
【0030】
左右一対の後部ローリング支点軸30の他端側には、左右一対の下側後部ローリングアーム34の基端側を一体的にそれぞれ固着している。即ち、左右一対の後部ローリング支点軸30と、左右一対の下側後部ローリングアーム34とは、左右一対の後部ローリング支点軸30の軸線回りに一体的にそれぞれ回動するように構成している。また、下側後部ローリングアーム34の先端側に連結軸体174を介して従動リンク体175の一端側を連結する。従動リンク体175の他端側に連結軸体179を介してトラックフレーム21の後部を連結している。
【0031】
図4乃至図8に示す如く、走行機体1の前後方向の傾斜角度を変更させる前後傾斜用油圧シリンダ177を備える。左右一対の後部ローリング支点軸30の一端側には、左右一対のピッチングアーム176の基端側が固着されている。左右一対のピッチングアーム176と、左右一対の下側後部ローリングアーム34とは、左右一対の後部ローリング支点軸30の軸線回りに一体的にそれぞれ回動するように構成している。また、左右一対の上側後部ローリングアーム32に連結軸体180を介して左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177をそれぞれ連結している。前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178に、連結軸体181を介してピッチングアーム176の先端側を連結している。
【0032】
図4、図5に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38と、前後傾斜用油圧シリンダ177は、側面視又は平面視で、前後に一列状に配置されている。左右一対の車高調節油圧シリンダ38の作動によって走行機体1の左右方向の傾斜角度を変更する左右一対の前側のローリングリンク機構R1は、上側前部ローリングアーム(左右傾動アーム)31、上側後部ローリングアーム(左右傾動アーム)32、下側前部ローリングアーム(前側アーム)33、下側後部ローリングアーム(後側アーム)34、前後連結ローリングフレーム36、従動リンク体(ピッチングリンク)175を有する。車高調節油圧シリンダ38が作動したときに、上側前部ローリングアーム31と下側前部ローリングアーム33が前部ローリング支点軸29回りに一体的に回動すると同時に、上側後部ローリングアーム32、下側後部ローリングアーム34、ピッチングアーム176、前後傾斜用油圧シリンダ177が後部ローリング支点軸30回りに一体的に回動する。
【0033】
即ち、図7に示す如く、車高調節油圧シリンダ38が作動したときに、トラックフレーム21に対して走行機体1の前後方向傾斜角度を維持しながら、走行機体1とトラックフレーム21の相対間隔を変化させる。左右の走行クローラ2の沈下量が変化して走行機体1が左右に傾動した場合、又はオペレータが走行機体1を左右に傾動させたい場合、車高調節油圧シリンダ38の自動制御又は手動制御によって走行機体1の左右方向傾斜角度を変化させ、走行機体1の左右方向の対地傾斜角度を設定角度(略水平姿勢)に保つことができる。
【0034】
左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177の作動によって走行機体1の前後方向の傾斜角度を変更する左右一対の後側のピッチングリンク機構P1は、下側後部ローリングアーム(後側アーム)34、従動リンク体(ピッチングリンク)175、ピッチングアーム(前後傾動アーム)176を有する。前後傾斜用油圧シリンダ177が作動したときに、下側後部ローリングアーム34及びピッチングアーム176が後部ローリング支点軸30回りに一体的に回動して、従動リンク体175を介して前部ローリング支点軸29回りにトラックフレーム21を回動させる。
【0035】
即ち、図8に示す如く、前後傾斜用油圧シリンダ177が作動したときに、走行機体1の左右方向の対地傾斜角度を維持しながら、トラックフレーム21に対して走行機体1の前後方向傾斜角度を変化させる。左右の走行クローラ2を移動させる走行路面が登り傾斜又は下り傾斜の斜面の場合、又は左右の走行クローラ2の前部(又は後部)の沈下量が変化して走行機体1が前後に傾動した場合、又はオペレータが走行機体1を前後に傾動させたい場合、前後傾斜用油圧シリンダ177の自動制御又は手動制御によって走行機体1の前後方向傾斜角度を変化させ、走行機体1の前後方向の対地傾斜角度を設定角度(略水平姿勢)に保つことができる。
【0036】
なお、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25は、走行機体1から横向きに突出させたローラ軸25aに回転自在に軸支している。即ち、駆動スプロケット22と中間ローラ25間の走行クローラ2の非接地側は、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177によって走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜角度が変更されたとしても、走行機体1の下面との間隔が常に略一定に維持される。
【0037】
上記の構成により、図7に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方を作動して、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方のピストンロッド41を進出させた場合、左右一対のトラックフレーム21いずれか一方又は両方が下動し、左右一対の走行クローラ2のいずれか一方又は両方の接地側を押し下げ、走行機体1の左側又は右側又は両方の車高を高くするように構成している。
【0038】
また、図4に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方を作動して、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方のピストンロッド41を退入させた場合、左右一対のトラックフレーム21いずれか一方又は両方が上動し、左右一対の走行クローラ2のいずれか一方又は両方の接地側を押し上げ、走行機体1の左側又は右側又は両方の車高を低くするように構成している。即ち、左右一対の車高調節油圧シリンダ38をそれぞれ作動させて、走行機体1に対して左右の走行クローラ2の接地面高さをそれぞれ変更することによって、走行機体1の左右方向の傾斜角が調節され、走行機体1が略水平(左右傾斜角0度)に支持されるように構成している。
【0039】
図8に示す如く、車高が高いピストンロッド41進出状態(又は車高が低いピストンロッド41退入状態)で、前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178をそれぞれ退入させた場合、左右一対のピッチングアーム176がそれぞれ作動して、左右一対の従動リンク体175が下方にそれぞれ押下げられ、左右一対のトラックフレーム21の両方の後端側が同時にそれぞれ下動する。
【0040】
その結果、下側前部ローリングアーム33に対して下側後部ローリングアーム34の平行姿勢が変更され、左右一対の走行クローラ2の後部の接地側が押下げられ、走行機体1の後端側の車高が高くなり、走行機体1が前下がりに傾斜するように構成している。即ち、前部ローリング支点軸29回りに走行機体1の後端側を上動させて、走行機体1の後端側が前端側よりも高くなる前方傾斜姿勢(前下がり傾斜姿勢)に傾動させるように構成している。その結果、前上がりに傾斜した走行路面を移動するときに、走行機体1の前後方向の傾きを略水平に維持できる。
【0041】
なお、左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178をそれぞれ退入させることによって、前記とは逆に、左右一対のトラックフレーム21の両方の後端側が同時にそれぞれ上動し、走行機体1の後端側の車高が低くなり、走行機体1が後下がりに傾斜することは云うまでもない。
【0042】
図9は、縦軸にコンバインの車高(走行機体1の対地高さ)を縦軸とし、コンバイン機体の前後方向の傾斜角度(走行機体1の前後傾斜角度)を横軸とし、走行機体1の対地高さ(左右方向の傾斜制御)と走行機体1の前後傾斜角度(前後方向の傾斜制御)の関係(姿勢制御動作範囲)を示す線図である。図9に太い実線で示した範囲(変形6角形状の枠)内で、前後傾斜センサ381の検出結果等に基づき、車高調節油圧シリンダ38と前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させ、車高調節油圧シリンダ38の左右方向の傾斜制御動作を所定範囲に維持して、前後傾斜用油圧シリンダ177の前後方向の傾斜制御が実行されるように構成している。
【0043】
例えば、車高調節油圧シリンダ38の左右方向の傾斜制御動作のうち、最高車高Dに対して約60パーセント(約3分の1)の車高Cと、最高車高Dに対して約10パーセント(約10分の1)の車高Aの間で、走行機体1の前後傾斜角度が0度から最大前傾角度F(例えば約5度)まで、前後傾斜用油圧シリンダ177の前方向の傾斜制御が実行され、走行機体1が前傾姿勢(前下り傾斜姿勢)にて支持されるように構成している。最高車高Dのときには、最大前傾角度Fに対して約60パーセント(約3分の1)の前傾角度F1以下の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の前方向の傾斜制御(前傾作動)が実行される。また、車高A以下のとき、又は車高C以上のときには、最大前傾角度F以下の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の前方向の傾斜制御が実行される。車高A以下の前傾作動規制エリアE1(斜線表示範囲)と、車高C以上の前傾作動規制エリアE3(斜線表示範囲)が形成される。車高C以下のとき、又は車高A以上のときには、走行機体1の前後傾斜角度が0度から最大前傾角度F(例えば約5度)の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の前方向の傾斜制御が実行される。
【0044】
即ち、最高車高Dのときには、最大前傾角度Fに対して約60パーセント(約3分の1)の前傾角度F1以下に走行機体1の前傾作動が規制される。車高C以上の車高が高い状態では、最大前傾角度F以下に走行機体1の前傾作動が規制され、刈取装置3の前端側が低く支持されるのを防止できる。その結果、昇降用油圧シリンダ4によって刈取装置3が非作業位置(高位置)に上昇されている場合であっても、走行機体1を適正に前傾作動できる。例えば、圃場への出入やトラック荷台への積み降ろし等の作業において、走行機体1が大きく前下り傾斜した姿勢で移動しても、田面や路面に刈取装置3の前端側が衝突するのを防止できる。
【0045】
一方、図9に示す如く、車高調節油圧シリンダ38の左右方向の傾斜制御動作のうち、車高が最高車高Dと、最高車高Dに対して約25パーセント(約4分の1)の車高Bとの間で、走行機体1の前後傾斜角度が0度から最大後傾角度R(例えば約3度)まで、前後傾斜用油圧シリンダ177の後方向の傾斜制御(後傾作動)が実行され、走行機体1が後傾姿勢(後下り傾斜姿勢)にて支持されるように構成している。また、車高B以下のときには、最大後傾角度R以下の範囲で前後傾斜用油圧シリンダ177の後方向の傾斜制御が実行される。車高B以下の後傾作動規制エリアE2(斜線表示範囲)が形成される。即ち、車高B(最高車高Dの約25パーセント)以上を維持しながら、最大後傾角度Rまで走行機体1を後傾できるから、昇降用油圧シリンダ4によって刈取装置3が非作業位置(高位置)に上昇されていても、走行機体1をスムーズに後傾作動させて、刈取装置3をさらに上昇でき、障害物に対して刈取装置3を上方に俊敏に回避させることができる。
【0046】
また、車高C以上の高い車高のとき、又は車高A又は車高B以下の低い車高のとき、前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させる前に車高調節油圧シリンダ38が作動して、車高調節油圧シリンダ38の車高上昇(左右方向の傾斜)制御動作を優先して、走行機体1の車高を所定車高以上に維持してから、前後傾斜用油圧シリンダ177の前後方向の傾斜制御が実行できる。その結果、圃場又は畦等の土中に刈取装置3の前部が突入するのを防止できる。なお、最高車高Dの約25パーセント(約4分の1)以下の低い車高(車高A又は車高B以下)のときには、走行機体1の前傾作動が規制される車高に比べ、走行機体1の後傾作動が規制される車高が高くなる(車高A<車高B)。最大後傾角度R(例えば約3度)と、最大前傾角度Fに対して約60パーセント(約3分の1)の前傾角度F1とを略等しく形成している。即ち、最大前傾角度Fに対して約60パーセントの傾斜角度の大きさに最大後傾角度Rを形成している。
【0047】
図9に示す如く、最大後傾角度Rに対して最大前傾角度Fを大きくすることによって、超湿田で走行クローラ2が大きく沈下し、走行機体1の車高を高くして刈取作業をしているときに、走行機体1の車高を下げて走行抵抗を増大させることなく、又は刈取装置3を下降させて刈刃装置222等を土中に突入させることなく、走行機体1を前傾させることによって、未刈り穀稈の株元を所定高さで刈刃装置222によって切断できる。
【0048】
図4に示す如く、走行シャーシ1aに前側最下げストッパ185を固着する。下側前部ローリングアーム33の上面側に前側最下げストッパ185の一端側を延長させる。走行機体1の前側車高が最も低い状態(図4又は図6の状態)、即ち、走行機体1の前側とトラックフレーム21が最も接近したときに、下側前部ローリングアーム33の上面に前側最下げストッパ185の下面が当接して、走行機体1の前側が最下げ位置に支持される。下側前部ローリングアーム33と前側最下げストッパ185の当接によって、走行機体1の前側下面に走行クローラ2の前側上面が干渉するのを防止している。
【0049】
また、後側軸受体28の下面に後側最下げストッパ186を固着する。トラックフレーム21に受止め体187を固着する。走行機体1の後側車高が最も低い状態(図4又は図6の状態)、即ち、走行機体1の後側とトラックフレーム21が最も接近したときに、受止め体187の上面に後側最下げストッパ186の下面が当接して、走行機体1の後側が最下げ位置に支持される。受止め体187と後側最下げストッパ186の当接によって、走行機体1の後側下面に走行クローラ2の後側上面が干渉するのを防止している。
【0050】
次に、図10を参照しながら、コンバイン(走行機体1)の左右方向の傾斜制御と、前後方向の傾斜制御と、刈取装置3の昇降制御について説明する。図12は、コンバイン(走行機体1)の左右方向の傾斜制御手段、及び前後方向の傾斜制御手段、及び刈取装置3の昇降制御手段の機能ブロック図であり、マイクロコンピュータ等によって形成した作業コントローラ371を備える。作業コントローラ371は、制御プログラムを記憶したROMと各種データを記憶したRAMとを有する。
【0051】
図10に示す如く、作業コントローラ371には、刈取装置3によって刈取った刈取穀稈を検出する作物センサ372と、刈取装置3の作動を検出する作業スイッチ373と、走行機体1の左右方向の傾斜角度を検出する振子式の左右傾斜センサ374と、走行機体1と左側のトラックフレーム21との相対間隔(車高)を検出するポテンショメータ形の左車高センサ375と、走行機体1と右側のトラックフレーム21との相対間隔(車高)を検出するポテンショメータ形の右車高センサ376と、走行機体1の左右方向の傾斜角度の基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の左右傾斜設定器377が接続されている。
【0052】
また、作業コントローラ371には、左傾電磁弁261と、右傾電磁弁262が接続されている。この構成により、左右傾斜センサ374の検出値と、左車高センサ375の検出値と、右車高センサ376の検出値とに基づき、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262を切換えて、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させ、走行機体1の左右方向の傾斜を修正して、走行機体1が左右向きに略水平になるように自動制御する。
【0053】
さらに、作業コントローラ371には、走行機体1の前後方向の傾斜角度を検出する振子式の前後傾斜センサ381と、走行機体1の後部とトラックフレーム21の後端側との相対間隔(トラックフレーム21の前後方向の対本機傾斜角度)を検出するポテンショメータ形の本機傾斜センサ382と、走行機体1の前後方向の傾斜角度の基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の前後傾斜設定器383と、前後傾動電磁弁266が接続されている。この構成により、前後傾斜センサ381の検出値と、本機傾斜センサ382の検出値と、前後傾斜設定器383の設定値とに基づき、前後傾動電磁弁266を切換えて、前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させ、走行機体1の前後方向の傾斜を修正して、走行機体1が前後向きに略水平になるように自動制御される。
【0054】
一方、図10に示す如く、作業コントローラ371には、走行クローラ2の回転速度(車速)を検出する車速センサ385と、刈取装置3の対地高さを検出するポテンショメータ形の刈取高さセンサ386と、刈取装置3の対地高さの基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の刈取高さ設定器387と、刈取昇降電磁弁260が接続されている。この構成により、車速センサ385の検出値と、刈取高さセンサ386の検出値と、刈取高さ設定器387の設定値とに基づき、刈取昇降電磁弁260を切換えて、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させ、刈取装置3の対地高さを修正して、刈取装置3の穀稈刈取高さが略一定になるように自動制御する。
【0055】
次に、図9に示す姿勢制御説明図、図10に示す機能ブロック図、図11、図12に示すフローチャートを参照しながら、刈取装置3の穀稈刈取高さ制御態様、及びコンバイン(走行機体1)の左右方向及び前後方向の傾斜制御態様を説明する。図11のフローチャートに示す如く、エンジン14が始動された場合、作物センサ372値、左右傾斜センサ374値、左車高センサ375値、右車高センサ376値、左右傾斜設定器377値、前後傾斜センサ381値、本機傾斜センサ382値、前後傾斜設定器383値、車速センサ385値、刈取高さセンサ386値、刈取高さ設定器387値が読込まれる。作業スイッチ373がオンの刈取作業中、刈取高さ制御が実行される。また、作業スイッチ373がオン又はオフのいずれであっても、図12のフローチャートに示す左右傾斜制御と前後傾斜制御がそれぞれ実行される。
【0056】
図11のフローチャートに示す如く、作業スイッチ373がオンの刈取作業中に、作物センサ372がオンになっていると、車速センサ385値と、刈取高さセンサ386値と、刈取高さ設定器387値に基づき、刈取装置3の穀稈刈取高さが低いと判断された場合、刈取昇降電磁弁260が切換り、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させて刈取装置3を上昇制御して、刈取装置3の対地高さを修正する。一方、刈取装置3の穀稈刈取高さが高いと判断された場合、刈取昇降電磁弁260が切換り、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させて刈取装置3を下降制御して、刈取装置3の対地高さを修正する。図11の刈取高さ制御によって、刈取高さ設定器387によって設定された刈取装置3の穀稈刈取高さを自動的に維持できる。
【0057】
図12のフローチャートに示す如く、左右傾斜センサ374値と、左車高センサ375値と、右車高センサ376値と、左右傾斜設定器377値に基づき、走行機体1が左側に傾斜していると判断された場合は、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262が切換り、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の左側を上昇させるか、又は走行機体1の右側を下降させる。一方、走行機体1が右側に傾斜していると判断された場合は、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262が切換り、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側を上昇させるか、又は走行機体1の左側を下降させる。図12のコンバイン(走行機体1)の左右方向の傾斜制御によって、走行機体1の左右方向の傾斜角度が自動的に修正される。左右傾斜設定器377値に基づき、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を維持できる。なお、左右傾斜設定器377がオペレータによって操作された場合、左右傾斜設定器377によって設定された左右傾斜角度姿勢(対地水平姿勢)に走行機体1が手動操作にて支持される。
【0058】
また、図12のフローチャートに示す如く、前後傾斜センサ381値と、本機傾斜センサ382値と、前後傾斜設定器383値に基づき、走行機体1が前側方に下り傾斜している前傾姿勢と判断された場合は、図9に太い実線の多角形枠にて示した車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内のときに、前後傾動電磁弁266が切換り、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、走行機体1の後端側を下降させる。一方、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内ではないとき、即ち、図9の車高範囲外(斜線にて表示した作動規制エリアE1、E2、E3)のときに、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側又は左側を昇降させて、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内に走行機体1の車高を変更した後、前後傾動電磁弁266が切換り、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、走行機体1の後端側を下降させる。その結果、図12のコンバイン(走行機体1)の後傾斜制御によって、走行機体1の後傾角度が自動的に修正される。前後傾斜設定器383値に基づき、走行機体1の後傾姿勢(対地水平姿勢)を維持できる。
【0059】
さらに、走行機体1が後側方に下り傾斜している後傾姿勢と判断された場合は、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内のときには、前後傾動電磁弁266が切換り、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、走行機体1の後端側を上昇させる。一方、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内ではないとき、即ち、図9の車高範囲外のときには、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側又は左側を上昇させて、図9の車高範囲(前後傾斜角度の修正が可能な車高範囲)内に走行機体1の車高を変更した後、前後傾動電磁弁266が切換り、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、走行機体1の後端側を上昇させる。即ち、図12の走行機体1の前後方向の傾斜制御によって、走行機体1の前後方向の傾斜角度が自動的に修正される。前後傾斜設定器383値に基づき、走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を維持できる。なお、前後傾斜設定器383がオペレータによって操作された場合、前後傾斜設定器383によって設定された前後傾斜角度姿勢に走行機体1が手動操作にて支持される。
【0060】
次に、図13乃至図17を参照しながら、穀物タンクの質量を計測する計測構造と、穀物タンク内の穀粒の質量を計測する収穫制御について説明する。図13、図14に示す如く、穀物タンク7内の穀粒を排出する排出オーガ8は、穀物タンク7内の底部から穀粒を取出す穀粒横送りオーガ62と、横送りオーガ62からの穀粒を縦方向に搬送する縦排出オーガ63と、縦排出オーガ63からの穀粒を機外に取出す上部排出オーガ64を有する。穀粒横送りオーガ62にオーガ駆動ケース65を介して縦排出オーガ63が連結されている。オーガ駆動ケース25の下端側から下方に突出させたオーガ受軸66が、走行機体1に軸支されている。また、脱穀部4の側方の支柱67に、筒受部材68を介して、縦排出オーガ63を内挿した縦オーガ筒69の中間が回動可能に軸支されている。
【0061】
即ち、縦排出オーガ63の縦オーガ筒64を中心に穀物タンク7を横方向に回動可能に設けている。穀粒タンク7の前側を機体外側方に移動させて、脱穀部5の右側面部を開放可能に構成している。また、上部排出オーガ64を内挿した上部排出オーガ筒70の基端側が、中継コンベヤ71を介して、縦オーガ筒69の上端側に上下方向に回動可能に連結されている。オーガ昇降油圧シリンダ254のピストンロッド伸縮操作によって、上部排出オーガ筒70の先端側を上下に回動させ、投出口9を昇降させる。一方、縦排出オーガ筒69をオーガ軸心線回りに回動させる旋回用電動モータ72を備え、旋回用電動モータ72によって上部排出オーガ筒70を水平方向に旋回させ、穀粒排出位置または本機収納位置に投出口9(排出オーガ64)を移動させる。
【0062】
図13乃至図15に示す如く、走行機体1の上面に設けるロードセル型の質量センサ73と、走行機体1(脱穀機筐)に穀物タンク7を略一定姿勢に固定させるロック部材74を備え、ロック用電動モータ75の制御によってロック部材74のロック動作を解除して、質量センサ73によって穀物タンク7内の穀粒の質量を計測する。ロック部材74は、支軸76aによって開閉自在に連結する一対の挾アーム76と、挾アーム76を閉支持する挾バネ77を有する。穀物タンク7の外側面にロックアーム78を設け、挾アーム76に挟みバネ77力によってロックアーム78を挾持させ、走行機体1(脱穀機筐)に対して、穀物タンク7を略一定姿勢に支持させる。一方、ロック用電動モータ75の制御によって開動作ワイヤ79を引張り、挟みバネ77に抗して挾アーム76を開動作させ、挾アーム76の挟持からロックアーム78を離脱させ、質量センサ73によって穀物タンク7内の穀粒の質量を計測させる。
【0063】
図16は、収穫した穀粒の質量を計測する制御回路の機能ブロック図であり、マイクロコンピュータ等によって形成した収穫コントローラ390を備えている。収穫コントローラ390は、制御プログラムの記憶ROMと各種データの記憶RAMを有する。収穫コントローラ390の入力側には、ロック部材74のロック解除動作制御並びに質量センサ73の計測動作制御を手動制御又は自動制御にそれぞれ切換える計測スイッチ391と、記録紙に穀粒の質量を記録させる印刷スイッチ392と、排出オーガ8が走行機体1の収納位置に支持されていることを検出するオーガ収納センサ393と、穀物タンク7内の穀粒量を検出する低位センサ394及び中位センサ395及び高位センサ396及び満了センサ397と、走行機体1の移動速度を検出する車速センサ398と、質量センサ73の検出結果に基づき穀物タンク7内の穀粒の質量を演算する穀粒計量器399と、穀物タンク7内に収集した穀粒の水分量(水分の平均値)を検出する水分計測器400を接続させている。
【0064】
また、図16に示す如く、収穫コントローラ390の出力側には、穀物タンク7内に収集した穀粒の質量を表示する収量モニタ401と、記録紙402に穀粒の質量を印刷させるプリンタ403と、旋回用電動モータ72と、ロック用電動モータ75を接続させている。上述した作業コントローラ371が収穫コントローラ390にラン通信にて接続されている。収穫作業中、穀物タンク7内に収集した穀粒の質量が、ハンドルコラム46に設けた収量モニタ401に表示される。旋回用電動モータ72やロック用電動モータ75等の制御によって、穀粒計量器399の穀粒の質量や、水分計測器400の穀粒の水分量等が演算されてそれらのデータが記録される。プリンタ403によって記録紙402に穀粒の質量や水分等が印刷される。
【0065】
次に、図17に示すフローチャートを参照しながら、穀粒の収穫制御態様を説明する。作業コントローラ371の各油圧シリンダ38,177制御(コンバインの姿勢制御)が実行されている場合、計測スイッチ391がオン、オーガ収納センサ393がオンの状態下で、作物センサ372値が読込まれることによって、作物センサ372がオフで刈取り穀稈がない非作業中、ロック用電動モータ75がロック解除動作してロック部材74のロックを解除し、且つ作業コントローラ371の各油圧シリンダ38,177制御によって走行機体1の傾斜姿勢が左右方向及び前後方向に水平であると判断されたとき、一定時間(例えば10秒が)経過することによって、質量センサ73の検出質量が穀粒計量器399に入力されて、穀物タンク7内の穀粒の質量が算出される。また、水分計測器400の穀粒の水分量に基づき、穀粒計量器399の穀粒の質量が補正されて、穀物タンク7に収集された穀粒の収量(質量)が演算される。
【0066】
即ち、作物センサ372がオフで刈取り穀稈がない非作業中、例えば、圃場の枕地で方向転換するとき、又は穀物タンク7内に穀粒が充填されたときに、走行機体1が左右方向及び前後方向に水平に支持された状態下で、穀粒の水分量(計測された水分の平均値)によって補正された収穫穀粒の質量が算出される。予め入力された収穫作業場所が特定された状態で、穀粒の水分の平均値と質量が、収穫コントローラ390に記録(記憶)される。また、オペレータが印刷スイッチ392をオン操作することによってプリンタ403が作動し、穀粒の水分の平均値と質量が記録紙402に印刷される。
【0067】
穀物タンク7内の穀粒の水分の平均値と質量が計測及び演算されている場合、満了センサ397がオフで、穀物タンク7内に穀粒を収集している途中において、穀物タンク7内の穀粒の質量と水分の平均値が収量モニタ401に表示され、収穫コントローラ390のRAMに記録される。一方、穀物タンク7内に穀粒が充填されて、満了センサ397がオンになった場合、満了センサ397がオンのときの計量器399の計量結果と、満了センサ397がオンになる間に計測された穀粒水分計測器400の平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量を演算する。即ち、予め入力された特定の収穫作業場所で収穫された穀粒の総量(総質量)と水分の平均値が、前回の穀粒排出作業後のデータに加算されて、特定の収穫作業場所の収穫穀粒の総量(総質量と水分の平均値)が収穫コントローラ390に記録される。
【0068】
また、オーガ昇降油圧シリンダ254及び旋回用電動モータ72を作動させ、トラックの荷台又はコンテナ等の穀粒排出位置に排出オーガ8の投出口9を移動させて、穀物タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出作業を実行した後、排出オーガ8が走行機体1の収納位置に戻され、次行程の収穫作業が開始される。走行機体1の収納位置に排出オーガ8が戻された場合、その排出オーガ8が、オーガ収納センサ393にて検出されることによって、穀物タンク7内の穀粒の排出作業が完了したと判断されて、計量器399の計量動作がリセットされ、次行程の収穫作業によって穀物タンク7内に収集される穀粒が計量される。
【0069】
なお、オーガ収納センサ393によって排出オーガ8が検出されていない場合、又は車速センサ398によって検出される車速が所定以上の場合、ロック用電動モータ75のロック解除動作が行われても、質量センサ73によって穀物タンク7内の穀粒の質量が計測されない。即ち、穀粒排出作業中の穀粒の質量の誤計測を防止できる。また、高速移動に伴って穀物タンク7内で穀粒が移動して、穀粒の質量が誤計測されるのを防止できる。
【0070】
図10、図12、図16、図17に示す如く、刈取装置3及び脱穀装置5及び穀物タンク7を装設した走行機体1と、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータとしての車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177と、穀物タンク7の質量を計測する計量手段としての計量器399を備えている。また、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、走行機体1が水平姿勢に維持されているときに、計量器399によって穀物タンク7の質量が計測されるように構成している。したがって、走行機体1が傾斜することによって、穀物タンク7内の穀粒の質量が誤計測されるのを簡単に防止できる。走行機体1の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、穀物タンク7内の穀粒の質量を高精度に計測でき、穀粒の質量の計測誤差を簡単に低減できる。計量器399の計量構造や計測制御機器等を簡単に構成できる。
【0071】
図10、図12、図16、図17に示す如く、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータとしての車高調節油圧シリンダ38と、走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータとしての前後傾斜用油圧シリンダ177を備えている。また、計量器399によって穀物タンク7の質量を計測させる測定指令手段としての計測スイッチ391を備え、計測スイッチ391の指令出力に基づき、走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢の修正によって、走行機体1の水平姿勢状態が所定時間以上維持された後、穀物タンク7の質量の計測が実行されるように構成している。したがって、オペレータ等の意思によって、計測スイッチ391が操作されたときに、走行機体1の傾斜姿勢が自動的に修正されることを利用して、穀物タンク7内の穀粒の質量を高精度に計測できる。例えば、耕作者が異なる複数の圃場の収穫作業等において、耕作者別(圃場別)に収穫量(穀粒の質量)を正確に把握できる。
【0072】
図10、図12、図16、図17に示す如く、穀物タンク7を一定姿勢に固定させる支持手段としてのロック部材74を備えている。また、作物センサ372等の刈取作業の開始と終了の検出結果と、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177の検出結果に基づき、ロック部材74による穀物タンク7の固定操作又は解除操作と、計量器399の計量動作のセット又はリセットを可能に構成し、ロック部材74による穀物タンク7の固定動作が解除された状態下で、穀物タンク7内の穀粒の質量が計測されるように構成している。したがって、穀物タンク7内に穀粒が搬入される前、又は穀粒を搬入中、又は穀粒が搬入された後などの複数の作業状況等に区分して、各作業状況に応じて穀物タンク7内の穀粒の質量を高精度で計測できる。圃場又は耕作者を特定して、その収穫総量を高精度に算出できる。
【0073】
図16、図17に示す如く、穀物タンク7内の穀粒の満了を検出する満了センサ397と、穀物タンク7内の穀粒の水分を計測する水分センサとしての穀粒水分計測器400を備えている。また、穀物タンク7内の穀粒の排出作業が完了したときに、計量器399の計量動作がリセットされて、満了センサ397がオンのときの計量器399の計量結果と、満了センサ397がオンになる間に計測された穀粒水分計測器400の平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量が演算されるように構成している。したがって、穀物タンク7内の穀粒が満了の状態(計量器399の計測誤差が最も小さくなる状態)のときに、穀物タンク7内の穀粒の質量が高精度に計測される。また、穀粒の含水量によって、そのときに計測された穀粒の質量が補正される。その結果、圃場又は耕作者を特定して、その収穫総量を高精度(低誤差)に算出できる。
【符号の説明】
【0074】
1 走行機体
3 刈取装置
3 刈取装置
7 穀物タンク
38 車高調節油圧シリンダ傾斜姿勢アクチュエータ、ローリングアクチュエータ)
74 ロック部材(支持手段)
177 前後傾斜用油圧シリンダ(傾斜姿勢アクチュエータ、ピッチングアクチュエータ)
372 作物センサ
391 計測スイッチ(測定指令手段)
397 満了センサ
399 計量器(計量手段)
400 穀粒水分計測器(水分センサ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置及び脱穀装置及び穀物タンクを装設した走行機体と、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータと、前記穀物タンクの質量を計測する計量手段を備えるコンバインにおいて、
前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、前記走行機体が水平姿勢に維持されているときに、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量が計測されるように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記走行機体の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータと、前記走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータを備える構造であって、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量を計測させる測定指令手段を備え、前記測定指令手段の指令出力に基づき、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢の修正によって、前記走行機体の水平姿勢状態が所定時間以上維持された後、前記穀物タンクの質量の計測が実行されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の走行車両。
【請求項3】
前記穀物タンクを一定姿勢に固定させる支持手段を備える構造であって、作物センサ等の刈取作業の開始と終了の検出結果と、前記ローリングアクチュエータ又は前記ピッチングアクチュエータの検出結果に基づき、前記支持手段による前記穀物タンクの固定操作又は解除操作と、前記計量手段の計量動作のセット又はリセットを可能に構成し、前記支持手段による前記穀物タンクの固定動作が解除された状態下で、前記穀物タンク内の穀粒の質量が計測されるように構成したことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記穀物タンク内の穀粒の満了を検出する満了センサと、前記穀物タンク内の穀粒の水分を計測する水分センサを備える構造であって、前記穀物タンク内の穀粒の排出作業が完了したときに、前記計量手段の計量動作がリセットされて、前記満了センサがオンのときの前記計量手段の計量結果と、前記満了センサがオンになる間に計測された水分センサの平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量が演算されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項1】
刈取装置及び脱穀装置及び穀物タンクを装設した走行機体と、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢を修正する傾斜姿勢アクチュエータと、前記穀物タンクの質量を計測する計量手段を備えるコンバインにおいて、
前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢が自動的に修正されることによって、前記走行機体が水平姿勢に維持されているときに、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量が計測されるように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記走行機体の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータと、前記走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータを備える構造であって、前記計量手段によって前記穀物タンクの質量を計測させる測定指令手段を備え、前記測定指令手段の指令出力に基づき、前記走行機体の左右方向又は前後方向の傾斜姿勢の修正によって、前記走行機体の水平姿勢状態が所定時間以上維持された後、前記穀物タンクの質量の計測が実行されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の走行車両。
【請求項3】
前記穀物タンクを一定姿勢に固定させる支持手段を備える構造であって、作物センサ等の刈取作業の開始と終了の検出結果と、前記ローリングアクチュエータ又は前記ピッチングアクチュエータの検出結果に基づき、前記支持手段による前記穀物タンクの固定操作又は解除操作と、前記計量手段の計量動作のセット又はリセットを可能に構成し、前記支持手段による前記穀物タンクの固定動作が解除された状態下で、前記穀物タンク内の穀粒の質量が計測されるように構成したことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記穀物タンク内の穀粒の満了を検出する満了センサと、前記穀物タンク内の穀粒の水分を計測する水分センサを備える構造であって、前記穀物タンク内の穀粒の排出作業が完了したときに、前記計量手段の計量動作がリセットされて、前記満了センサがオンのときの前記計量手段の計量結果と、前記満了センサがオンになる間に計測された水分センサの平均的な水分値とに基づき、収穫作業中の特定の圃場における穀粒の収穫総量が演算されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−36193(P2011−36193A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187275(P2009−187275)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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