説明

ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ

【課題】力学物性が維持されている上、ヒステリシスロス及び弾性率を更に向上させて、タイヤのグリップ性能を更に向上させることが可能なゴム組成物、並びにそれを用いたタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分100質量部に対して、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブ1〜20質量部と、充填剤60〜150質量部と、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマー40〜150質量部とを配合してなるゴム組成物、並びにそれを用いたタイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関し、特には、タイヤのトレッドに適用することで、タイヤの力学特性を維持しつつ、グリップ性能を向上させることが可能なゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗用車用タイヤや各種タイヤの中でも高性能タイヤは、高いグリップ性を有することが求められる。この要求に対して、従来、充填剤及び可塑剤を多量に配合したり、ヒステリシスロスを向上させる配合剤や樹脂の添加したりして、ヒステリシスロスを向上させたゴム組成物を、高性能タイヤのトレッドに用いることで、高いグリップ性を確保する手法が採られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記のような従来の手法により、高いグリップ性を確保すると、耐摩耗性や破壊強力等の力学物性が損なわれる場合がある。
【0004】
一方、特開2006−124459号公報には、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンナノチューブを配合した、強力、電気伝導性、トラクション性に優れたゴム組成物が開示されているが、該ゴム組成物は、様々な高性能系タイヤ、特に際立って高いグリップ性を要求されるタイヤに用いられるトレッドゴム組成物としては充分ではなかった。
【特許文献1】特開2003−213040号公報
【特許文献2】特開2006−124459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、力学物性が維持されている上、ヒステリシスロス及び弾性率を更に向上させて、タイヤのグリップ性能を更に向上させることが可能なゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるゴム組成物を用いた、力学物性を維持しつつ、グリップ性を向上させたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ゴム成分に対して、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブと、充填剤と、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーとを特定量配合してなるゴム組成物をタイヤに用いることで、タイヤの力学特性を維持しつつ、グリップ性能が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、
・アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブ1〜20質量部と、
・充填剤60〜150質量部と、
・可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマー40〜150質量部と
を配合してなることを特徴とする。
【0008】
本発明のゴム組成物の好適例においては、前記充填剤がカーボンブラック及び/又はシリカであり、また、前記可塑剤がオイルである。
【0009】
また、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴム成分に対して、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブと、充填剤と、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーとを特定量配合してなり、タイヤの力学特性を維持しつつ、グリップ性能を向上させることが可能なゴム組成物を提供することができる。また、かかるゴム組成物を用いた、力学特性を維持しつつ、グリップ性を向上させたタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブ1〜20質量部と、充填剤60〜150質量部と、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマー40〜150質量部とを配合してなることを特徴とする。本発明のゴム組成物においては、ゴム成分に対し、充填剤と、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーとを配合した上で、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブを配合し、更に、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブと、充填剤と、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーとの配合量を上記特定の範囲に制御することで、耐摩耗性や破壊強力等の力学物性と、加工性とを十分に確保しつつ、ヒステリシスロス及び弾性率を向上させることができ、また、該ゴム組成物を用いたタイヤの力学特性を維持しつつ、グリップ性を向上させることができる。
【0012】
本発明のゴム組成物に用いられるゴム成分は、特に限定されず、天然ゴム及び合成ゴムのいずれでもよい。ここで、合成ゴムとしては、乳化重合スチレン-ブタジエンゴム、溶液重合スチレン-ブタジエンゴム、高シス-1,4-ポリブタジエンコム、低シス-1,4-ポリブタジエンゴム、高シス-1,4-ポリイソプレンゴム等の汎用合成ゴム;ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム等のジエン系特殊ゴム;エチレン-プロピレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン等のオレフィン系特殊ゴムの他;ヒドリンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム等の他の特殊ゴムを挙げることができる。これらゴム成分の中でも、コストと性能のバランスの観点から、天然ゴム及び汎用合成ゴムが好ましい。また、これらゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上のブレンドとしてもよい。
【0013】
本発明のゴム組成物に用いられるアモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブは、WO00/40509号に記載の方法に従い、例えば、金属粉及び/又は金属塩からなる触媒の存在下で、分解温度が200〜900℃、好ましくは400〜900℃の熱分解性樹脂を励起処理することにより製造することができる。
【0014】
上記熱分解性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド、ポリアクリロニトリル等が挙げられ、これらの中でも、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリトニトリルが好ましい。また、上記熱分解性樹脂の形状は、特に限定されず、フィルム状、シート状、粉末状、塊状等のいずれでもよい。
【0015】
上記触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル、クロム及びマグネシウム等の金属;並びに、これら金属のハロゲン化物及び錯体等の金属塩が挙げられ、これら触媒の中でも、鉄の塩化物が好ましい。また、該触媒の粒径は、特に限定されるものではないが、5 mm以下の範囲が好ましく、100μm以下の範囲が更に好ましい。これら触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、上記熱分解性樹脂1 gに対して0.02〜0.1 gの範囲が好ましい。
【0016】
上記励起処理は、加熱処理、光照射処理、プラズマ処理、電子線照射処理、イオンビーム照射処理等で行うことができる。ここで、励起処理は、Ar,He,N2等の不活性ガス雰囲気下、加圧下から減圧下、好ましくは2 atm以下、より好ましくは400 torr以下の減圧下で、上記触媒を上記熱分解性樹脂に接触させた状態で行う。
【0017】
上記加熱処理による励起は、上記熱分解性樹脂の熱分解温度以上で行うことを要し、通常、3000℃以下、好ましくは300〜2000℃程度、より好ましくは450〜1800℃程度の温度で行う。
【0018】
上記光照射処理による励起は、上記熱分解性樹脂の熱分解温度〜3000℃程度で、波長1200 nm以下程度、より好ましくは150〜1200 nm程度のレーザー光を使用して行うことが好ましい。使用するレーザー光の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、Nd:YAGレーザー、Ti:Saレーザー、Dyeレーザー、Dye+SHGレーザー、Ar+レーザー、Kr+レーザー等が挙げられる。
【0019】
上記プラズマ処理による励起は、上記熱分解性樹脂の熱分解温度〜3000℃程度で、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下、熱分解性樹脂を高エネルギー状態のプラズマ流体に接触させて行うことが好ましい。プラズマ流体を得るためには、電磁気的な励起源を使用し、また、プラズマ発生の条件は、使用する気体の種類、圧力、励起電圧、励起電流、励起電源周波数、電極形状等に応じて適宜選択することができる。プラズマ処理に使用する気体としては、Ar、He、Kr、N2等の不活性ガス、水素等の還元性ガス、及びこれらの混合ガス等を用いることができ、これらの中でも、Ar及びHeが好ましい。プラズマ処理における上記気体の圧力は、投入する励起電磁気量とプラズマ量とのバランスの観点から、10-2 torr〜760 torrの範囲が好ましい。また、プラズマを発生させるための電磁気は、直流及び交流のいずれでもよく、電極の材質、形状等も特に制限はない。ここで、交流としては、50〜60 Hz程度、1〜10 kHz程度の低周波、及び10〜数GHz程度の高周波等が通常使用され、工業的な高周波としては、13.56 MHz、40 MHz、915 MHz、2.46 GHz等が一般的に使用される。また、電極材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム及びその合金、普通鋼等が通常使用され、形状は、容量結合型、平行平板型、ホローカソードタイプ、コイル状等から選択される。
【0020】
上記電子線照射処理による励起は、上記熱分解性樹脂を室温〜3000℃程度で、通常10-2〜10-7 torr程度、より好ましくは10-3〜10-5 torr程度の減圧下において、加速電圧1〜2000 kV程度、より好ましくは50〜1000 kV程度で行う。
【0021】
上記イオンビーム照射処理による励起は、通常100〜10-7 torr程度、より好ましくは10-1〜10-5 torr程度に減圧されたチェンバー内に上記熱分解性樹脂を配置し、電離させたHeイオン又はArイオンを用い、加速電圧100 V〜10 kV程度、より好ましくは200 V〜1 kV程度、イオン電流0.01〜100 mA/cm2程度、より好ましくは0.1〜10 mA/cm2程度の条件下で行う。
【0022】
上記アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブは、反応性の−C≡C−及び/又は=C=を含む炭素材料を熱処理することにより製造することもできる。ここで、該熱処理は、Ar,He,N2等の不活性ガス雰囲気中、大気圧以下、好ましくは400 torr以下の減圧下、通常、3000℃以下、好ましくは300〜2000℃程度、より好ましくは450〜1800℃程度の温度で行う。ここで、−C≡C−及び/又は=C=を含む炭素材料とは、ポリイン及びキュムレンの少なくとも一方からなる材料、−C≡C−及び=C=の少なくとも一方からなる材料、ポリイン及びキュムレンの少なくとも一方を一部に含有する材料、−C≡C−及び=C=結合の少なくとも一方を一部に含む材料を包含し、更に、これら材料に金属粉及び/又は金属塩を分散含有する材料をも包含する。上記−C≡C−及び/又は=C=を含む炭素材料及びその合成方法は、いずれも公知であり、例えば、特開平3−44582号公報、特開昭63−199726号公報、M. Kijima et al, Synthetic Metals, 2279, 86 (1997);J. Kansther et al, Macromolecules, 28 (1975);L. Kavan et al, Carbon, 1533, 32 (1994)等に開示されている。
【0023】
上記アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブの直径は、0.1〜1000 nmの範囲が好ましく、1〜200 nmの範囲が更に好ましく、1〜100 nmの範囲がより一層好ましい。また、該チューブの長さ/直径(アスペクト比)は、2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることが更に好ましい。
【0024】
本発明において、アモルファス構造(非晶質構造)とは、規則的に配列した炭素原子の連続的な炭素層からなる黒鉛質構造ではなく、不規則な炭素網平面からなる炭素質構造をさす。代表的な分析手法である透過型電子顕微鏡による像からは、上記ナノスケールカーボンチューブは、炭素網平面の平面方向の広がりがカーボンナノチューブ直径の1倍より小さい。また、上記ナノスケールカーボンチューブは、アモルファス構造(非晶質炭素)部分が全体の95%を超えることが好ましく、全体の99%以上であることが更に好ましい。
【0025】
上記アモルファス構造の炭素(非晶質炭素)は、一般的にX線回折を示さず、ブロードな反射を示す。黒鉛質構造では、炭素網平面が規則的に積み重なっているため、炭素網平面間隔(d002)が狭くなり、ブロードな反射が高角側(2θ)に移行して、次第に2θバンドの半値幅が狭くなり、d002回折線として観測できるようになる。これに対し、アモルファス構造の炭素は、一般的にX線による回折を示さないものの、部分均に非常に弱い干渉性散乱を示す。ここで、上記ナノスケーカーボンチューブは、X線回折法(入射X線:CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される炭素網平面間隔(d002)が3.54Å以上であることが好ましく、3.7Å以上であることが更に好ましく、回折角度(2θ)が25.1度以下であることが好ましく、24.1度以下であることが更に好ましく、2θバンドの半値幅が3.2度以上であることが好ましく、7.0度以上であることが更に好ましい。
【0026】
上記ナノスケールカーボンチューブは、非晶質構造を有するナノスケールのカーボンチューブで、中空直線状であり、細孔が高度に制御されている。また、その形状は、主に円柱、四角柱等であり、先端の少なくとも一方が開口している(キャップを有してない)場合が多い。なお、先端が閉口している場合、該先端の形状はフラット状である場合が多い。また、直線状のナノスケールカーボンチューブとは、透過型電子顕微鏡による上記ナノスケールカーボンチューブ像の長さをLとし、該ナノスケールカーボンチューブを伸ばした時の長さをL0とした場合に、L/L0が0.9以上であるナノスケールカーボンチューブをさす。
【0027】
上記アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して1〜20質量部の範囲であり、1〜10質量部の範囲が好ましい。上記ナノスケールカーボンチューブの配合量がゴム成分100質量部に対して1質量部未満では、グリップ性能を向上させるのに不十分であり、一方、20質量部を超えると、加硫ゴムの応力−歪曲線に悪影響を及ぼし、切断時伸び(Eb)が不十分となり、力学物性が低下する。
【0028】
本発明のゴム組成物は、更に充填剤を上記ゴム成分100質量部に対して60〜150質量部含み、75〜135質量部含むことが好ましい。上記充填剤の配合量がゴム成分100質量部に対して60質量部未満では、十分な補強性が得られず、引張強さ(Tb)が不十分で、耐摩耗性も低下してしまい、一方、150質量部を超えると、切断時伸び(Eb)が低下してしまう。
【0029】
上記充填剤としては、補強性充填剤が好ましく、特にはカーボンブラック及びシリカが好ましい。また、カーボンブラックとしては、特に限定されるものではないが、FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのもの等が挙げられ、シリカとしては、特に限定されるものではないが、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられる。これら充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本発明のゴム組成物は、更に可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーを上記ゴム成分100質量部に対して40〜150質量部含み、50〜120質量部含むことが好ましい。上記可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーの総配合量がゴム成分100質量部に対して40質量部未満では、ゴム組成物の配合加工性が低下し、一方、150質量部を超えると、強力、耐摩耗性が低下する。
【0031】
上記可塑剤としては、オイルが好ましく、該オイルとしては、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル及びアロマティック系オイル等が挙げられる。これらオイルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
上記ジエン系液状ポリマーは、室温において液状であり、重量分子量が5,000〜100,000であることが好ましい。かかるジエン系液状ポリマーとしては、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン等が挙げられる。これらジエン系液状ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブ、充填剤、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーの他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、ワックス、亜鉛華、ステアリン酸等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、本発明のゴム組成物は、ゴム成分に、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブ、充填剤、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーと共に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
【0034】
また、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いたことを特徴とし、上述のゴム組成物がトレッドに用いられていることが好ましい。本発明のタイヤは、力学特性が維持されていることに加え、グリップ性能が大幅に向上しており、高性能タイヤとして好適である。なお、本発明のタイヤは、従来公知の構造で、特に限定はなく、通常の方法で製造できる。また、本発明のタイヤが空気入りタイヤの場合、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
(実施例1〜2及び比較例1〜2)
バンバリーミキサーにて混練りして表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、更に、該ゴム組成物をトレッドに用いて、サイズ:225/40R18の乗用車用タイヤを作製した。次に、得られたタイヤに対して、下記の方法でブレーキ時のグリップ性と駆動時のグリップ性を評価した。結果を表1に示す。
【0037】
<ブレーキ時のグリップ性と駆動時のグリップ性>
供試タイヤを最高速度300 km/hrで走行可能なサーキットで走行させ、計測1周目から計測12週目までのドライバーの駆動時及びブレーキ時のフィーリングを評価した。正の数字が大きい程、ドライグリップ性に優れることを意味する。
0:コントロール
1:プロのドライバーが差を認識
2:運転頻度の高いドライバーが差を認識
3:一般ドライバーが差を認識
【0038】
【表1】

【0039】
*1 JSR製, SBR0120(スチレン含有率35質量%, ビニル量16%, ゴム成分100質量部に対して35質量部のアロマオイルで油展)
*2 昭和電工社製, 気相成長炭素繊維VGCF−R
*3 大阪ガス製, アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブ
*4 Cx2x+2で表わされ、xは18〜54
*5 N-フェニル-N'-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン
*6 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド
*7 テトラベンジルチウラムジスルフィド
【0040】
表1から明らかなように、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブと、充填剤と、可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマーとを、本発明で規定する量で配合したゴム組成物をトレッドに用いることで、駆動時及びグレーキ時のグリップ性能が向上することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分100質量部に対して、
アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブ1〜20質量部と、
充填剤60〜150質量部と、
可塑剤及び/又はジエン系液状ポリマー40〜150質量部と
を配合してなるゴム組成物。
【請求項2】
前記充填剤がカーボンブラック及び/又はシリカであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記可塑剤がオイルであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ。

【公開番号】特開2010−65163(P2010−65163A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233769(P2008−233769)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】