説明

サーマルヘッドプリンタ及びサーマルヘッドプリンタの印画方法

【課題】長寿命化を図るとともに、印画面の傷つき、印画濃度の低下、尾引きや濃度ムラの発生等を防止し、かつ、印画速度を大幅に向上させることができるようにする。
【解決手段】画像データ中のm行×n列の画素データにおけるa列目(1≦a≦n)に対応する発熱抵抗体により、b行目(1≦b≦m)の画素データを印画するために必要な発熱量を算出した後、a列目のb行目の発熱量の算出値S(a,b)と発熱抵抗体の発熱量の規定値Lとを比較し、規定値Lを超える算出値S(a,b)の個数を数えてa列目の超過数N(a)を求め、1列目からn列目の超過数N(1)〜N(n)に基づいて、最大超過数N(max)を算出し、最大超過数N(max)が基準数Mを超える場合は、発熱抵抗体の発熱量を制限して印画を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱素子に通電した際に発生する熱エネルギーを利用して印画を行うサーマルヘッドプリンタ及びサーマルヘッドプリンタの印画方法に係るものであり、詳しくは、印画速度の向上と長寿命化とを両立させることができるようにした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドプリンタには、印画方式として主に、昇華方式、溶融方式、感熱方式がが知られている。そして、このようなサーマルヘッドプリンタに使用されているライン型のサーマルヘッドは、複数の発熱素子(例えば、発熱抵抗体)と電極とがライン状に配列されたものであり、これらの発熱抵抗体に対して、画像データに応じた選択的な通電を行い、その際に発生する熱エネルギーにより、各種の被記録媒体(印画紙等)に印画を行うようになっている。
【0003】
このように、サーマルヘッドは、発熱抵抗体を発熱させて印画を行うものであるが、印画の際に発生した熱がサーマルヘッドに蓄熱されたままとなり、その後の冷却が不十分であると、印画が終了したにもかかわらず、印画紙の印画面に尾を引くような跡ができる尾引きと言われる現象や、印画された画像に濃度ムラ等が発生してしまう。
【0004】
また、サーマルヘッドプリンタは、プラテン上に搬送された印画紙に対し、サーマルヘッドをインクリボンの上から押圧して印画を行うものである。そのため、印画中におけるサーマルヘッドとインクリボンとの摩耗等からサーマルヘッドを保護すべく、発熱抵抗体や電極には、保護膜が形成されている。
【0005】
ここで、サーマルヘッドは、相応の熱容量を持っていることから、発熱抵抗体によって発生した熱は、遅れてインクリボンに伝達されることとなり、印画の際には、印画に直接必要な発熱量(温度)よりも、発熱抵抗体そのものの温度の方が高い状態となっている。そのため、印画の際に発生した熱がサーマルヘッドに蓄熱されたままとなり、その後の冷却が不十分であると、保護膜の膨張やその物性変化を引き起し、インクリボンとの摩耗によって保護膜が削られてしまう。そして、保護膜が大きく削られ、損傷すると、印画面を傷つけたり、発熱抵抗体の熱をインクリボンに十分に伝えられなくなり、印画濃度が低下してしまう。
【0006】
したがって、尾引きや濃度ムラの発生、保護膜の損傷等を防止するためには、発熱したサーマルヘッドを的確に冷却する必要がある。一方、高速印画を実現するためには、サーマルヘッドの単位面積あたりの瞬時発熱量を高める必要があるので、最近では、発熱抵抗体から発生させる熱エネルギーを増大させる方向にある。すると、サーマルヘッドの温度が益々高温になり、物性変化等によって保護膜を損傷させることとなるので、発熱抵抗体の発熱量自体が大きな問題となる。また、印画速度を向上させると、サーマルヘッド(保護膜)とインクリボンとの摩耗の問題も大きくなる。
【0007】
そこで、尾引きや濃度ムラの発生、保護膜の損傷等を防止しつつ、印画速度を向上させるため、発熱抵抗体のピーク温度を下げるようにした技術が知られている。すなわち、過去の印画履歴に基づいて発熱抵抗体に対する通電を制御することにより、サーマルヘッドの蓄熱を防止するようにしたサーマルヘッドプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭63−295278号公報
【0008】
上記の特許文献1に記載の技術によれば、過去の印画履歴に基づく通電パルス幅制御と電圧制御とを併用することにより、発熱抵抗体に対して高電圧を印加する時間を短時間としている。そのため、発熱抵抗体の耐久性が向上するとともに、比較的高速の印画が可能なサーマルヘッドプリンタとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記の特許文献1に記載の技術では、印画速度の向上に限度があり、近年のさらなる高速印画の要求に対応することができない。すなわち、上記の特許文献1に記載の技術は、過去の印画履歴に基づいて発熱抵抗体に対する通電を制御しているので、これから印画しようとする画像と過去に印画した画像との差異が大きい場合には、不必要に印画速度が遅くなったり、発熱抵抗体の保護膜の寿命が想定したよりも短くなったりすることがある。
【0010】
例えば、昼間の明るい画像は、比較的印画濃度が低く、夜間の暗い画像は、比較的印画濃度が高い傾向にある。そして、印画濃度を高くする場合には、発熱抵抗体の発熱量を大きくする必要がある。そのため、過去に夜間の画像の印画履歴が存在する場合には、これから印画する画像が昼間のものであったとしても、夜間の画像に合わせた遅い速度で印画が行われることとなる。
【0011】
また、過去に昼間の画像の印画履歴が存在する場合には、夜間の画像であっても昼間の画像と同じ速度で印画を行ってしまい、印画濃度が高い分だけ発熱抵抗体の発熱量が増えて、保護膜の寿命が短くなる。逆に、これから印画する画像が夜間のものである場合に備えて、保護膜の寿命を短くしないように予め発熱抵抗体の発熱量を小さくしておくと、常に印画速度が制限されることとなり、印画速度を向上させることができなくなる。
【0012】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、保護膜の損傷等を防止してサーマルヘッドを長寿命化するとともに、印画面の傷つき、印画濃度の低下、尾引きや濃度ムラの発生等を防止し、かつ、印画速度を大幅に向上させることができるようにしたサーマルヘッドプリンタ及びサーマルヘッドプリンタの印画方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、プラテンと、発熱素子を有するサーマルヘッドとを備え、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間に被記録媒体を搬送し、印画する画像データに基づいて、前記発熱素子を発熱させることによって印画を行うサーマルヘッドプリンタであって、画像データに対応する前記発熱素子の発熱量を算出する発熱量演算手段と、前記発熱量演算手段による発熱量の算出値Sと前記発熱素子の発熱量の規定値Lとを比較する発熱量比較手段と、前記発熱量比較手段に基づいて、前記発熱素子の発熱量の規定値Lを超える算出値Sの個数を数えて超過数Nを算出する超過数カウント手段と、前記超過数カウント手段によって算出された超過数Nが基準数Mを超える場合に、前記発熱素子の発熱量を制限して印画を行う発熱量制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
上記の発明においては、画像データに対応する発熱素子の発熱量が事前に算出される。そして、発熱量の算出値Sが予め定められた規定値Lと比較され、規定値Lを超える算出値Sの個数(超過数N)が基準数Mを超える場合に、発熱素子の発熱量が制限される。そのため、これから印画する画像データに応じて発熱素子の発熱量を的確に制御することができ、発熱素子の発熱量を最適な範囲内で維持することができる。
【0015】
ここで、発熱素子の発熱量の規定値Lは、例えば、発熱素子の保護膜を膨張等させない程度の発熱量を理論や実験で求めることによって適宜決定すれば良い。また、規定値Lを超える算出値Sの個数の基準数Mは、例えば、保護膜への影響の程度等を勘案して適宜決定すれば良い。
【0016】
なお、発熱量演算手段は、画像データ中の画素データ(画像全体の中の1画素に対応するデータ)のすべてについて発熱素子の発熱量をそれぞれ算出することもできるが、画像データをサンプリングし、サンプリングした画素データを印画するために必要な発熱素子の発熱量のみを算出しても良い。
【0017】
また、発熱素子の発熱量は、画像データ中の階調データ(画像の濃淡に関するデータ)や、被記録媒体の搬送速度と大きな相関がある。すなわち、濃い画像を印画したり、高速で印画したりする場合には、発熱素子の発熱量を増やす必要がある。そのため、発熱量演算手段は、画像データ中の階調データと被記録媒体の搬送速度とに基づいて、発熱素子の発熱量を算出するようにすることが好ましい。
【0018】
さらに、被記録媒体の搬送速度を高速に維持したまま発熱素子の発熱量を制限すると、印画された画像の濃度が低下する懸念が生ずる。そのため、発熱量制御手段は、被記録媒体の搬送速度を遅くすることによって発熱素子の発熱量を制限するようにすることが好ましい。
【0019】
次に、本発明の他の1つである請求項5に記載の発明は、プラテンと、複数の発熱素子をライン状に配列したサーマルヘッドとを備え、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間に被記録媒体を搬送し、印画する画像データに基づいて、前記発熱素子を発熱させることによって印画を行うライン型のサーマルヘッドプリンタであって、画像データ中のm行×n列の画素データにおけるa列目(1≦a≦n)に対応する前記発熱素子により、b行目(1≦b≦m)の画素データを印画するために必要な発熱量を算出する発熱量演算手段と、前記発熱量演算手段によるa列目のb行目の発熱量の算出値S(a,b)と前記発熱素子の発熱量の規定値Lとを比較する発熱量比較手段と、前記発熱量比較手段に基づいて、前記発熱素子の発熱量の規定値Lを超える算出値S(a,b)の個数を数えてa列目の超過数N(a)を算出する超過数カウント手段と、前記超過数カウント手段によって算出された1列目からn列目の超過数N(1)〜N(n)に基づいて、最大超過数N(max)を算出する最大超過数抽出手段と、前記最大超過数抽出手段によって算出された最大超過数N(max)が基準数Mを超える場合に、前記発熱素子の発熱量を制限して印画を行う発熱量制御手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
上記の請求項5の発明は、請求項1の発明をライン型のサーマルヘッドプリンタに適用したものである。そのため、請求項1の発明と同様に、ライン状に配列された発熱素子の発熱量を的確に制御することができ、発熱素子の発熱量を最適な範囲内で維持することができる。
【0021】
また、本発明の他の1つである請求項6に記載の発明は、プラテンとサーマルヘッドとの間に被記録媒体を搬送し、印画する画像データに基づいて、前記サーマルヘッドの発熱素子を発熱させることによって印画を行うサーマルヘッドプリンタの印画方法であって、画像データに対応する前記発熱素子の発熱量を算出した後、算出値Sと前記発熱素子の発熱量の規定値Lとを比較し、規定値Lを超える算出値Sの個数を数えて超過数Nを求め、超過数Nが基準数Mを超える場合は、前記発熱素子の発熱量を制限して印画を行うことを特徴とする。
【0022】
上記の請求項6の発明は、請求項1に記載のサーマルヘッドプリンタにおける印画方法に関するものである。そのため、請求項1の発明と同様に、サーマルヘッドの発熱素子の発熱量を的確に制御することができ、発熱素子の発熱量を最適な範囲内で維持することができる。
【0023】
ただし、請求項1の発明のように、必ずしもサーマルヘッドプリンタに発熱量演算手段や、発熱量比較手段、超過数カウント手段及び発熱量制御手段を備える必要はない。すなわち、発熱量の算出、算出値Sと規定値Lとの比較、規定値Lを超える算出値Sの個数を数えて超過数Nを求めることは、例えば、サーマルヘッドプリンタと接続されたコンピュータのソフトウェアで実行し、超過数Nが基準数Mを超える場合には、プリンタドライバで被記録媒体の搬送速度を遅くすることにより、発熱素子の発熱量を制限した印画を行うようにすることができる。
【0024】
さらに、本発明の他の1つである請求項8に記載の発明は、プラテンとサーマルヘッドとの間に被記録媒体を搬送し、印画する画像データに基づいて、前記サーマルヘッドにライン状に配列された複数の発熱素子を発熱させることによって印画を行うライン型のサーマルヘッドプリンタの印画方法であって、画像データ中のm行×n列の画素データにおけるa列目(1≦a≦n)に対応する前記発熱素子により、b行目(1≦b≦m)の画素データを印画するために必要な発熱量を算出した後、a列目のb行目の発熱量の算出値S(a,b)と前記発熱素子の発熱量の規定値Lとを比較し、規定値Lを超える算出値S(a,b)の個数を数えてa列目の超過数N(a)を求め、1列目からn列目の超過数N(1)〜N(n)に基づいて、最大超過数N(max)を算出し、最大超過数N(max)が基準数Mを超える場合は、前記発熱素子の発熱量を制限して印画を行うことを特徴とする。
【0025】
上記の請求項8の発明は、請求項5に記載のライン型のサーマルヘッドプリンタにおける印画方法に関するものである。そのため、請求項5の発明と同様に、ライン状に配列された発熱素子の発熱量を的確に制御することができ、発熱素子の発熱量を最適な範囲内で維持することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のサーマルヘッドプリンタ及びサーマルヘッドプリンタの印画方法によれば、画像データに対応する発熱素子の発熱量が事前に算出され、さらに、発熱量の算出値Sが規定値Lを超える個数(超過数N)が算出される。そして、超過数Nが基準数Mを超える場合に、発熱素子の発熱量が制限され、発熱量が最適な範囲内で維持される。そのため、発熱素子の発熱に基づく種々の問題(保護膜の損傷、印画面の傷つき、印画濃度の低下、尾引きや濃度ムラの発生等)を解消することができ、高い印画品質を維持しつつ、サーマルヘッドの長寿命化と印画速度の大幅な向上とを両立させることが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のサーマルヘッドプリンタ10の要部を示す側面図である。
また、図2は、本実施形態のサーマルヘッドプリンタ10の要部を示す斜視図である。なお、図2に示すサーマルヘッドプリンタ10においては、インクリボンの図示を省略している。
【0028】
図1及び図2に示すサーマルヘッドプリンタ10は、昇華式のサーマルヘッド11を備えるものであり、被記録媒体としてロール紙30を装着し、サーマルヘッド11にライン状に配列された複数の発熱抵抗体(本発明の発熱素子に相当するもの)に通電した際の熱エネルギーを利用して、図1に示すインクリボン18に塗布した固体インクをロール紙30上に転写させて印画を行うものである。なお、転写式のサーマルヘッドの場合も、発熱抵抗体の熱エネルギーにより、インクリボンに塗布されたインクをロール紙上に転写して印画を行う。
【0029】
ここで、図1及び図2に示すサーマルヘッドプリンタ10は、カラー対応のものとなっており、Y(イエロー)、M(マゼンタ)及びC(シアン)の3色の固体インクがそれぞれ塗られた3つのインクリボン18を装着することができる。また、この3色のインクリボン18に加え、K(ブラック)のインクリボンや、さらに、オーバーコート層を持つインクリボンを装着することもできる。
【0030】
図1に示すサーマルヘッドプリンタ10において、各色ごとに色分けされたインクリボン18は、印画する画像データに応じて、矢印のように反時計回りに回転するそれぞれの供給軸16から引き出される。そして、インクリボン18は、サーマルヘッド11とプラテン12との間を通り、巻取り軸17に巻き取られる。
【0031】
一方、ロール紙30は、図1及び図2に示すように、サーマルヘッドプリンタ10内のペーパーホルダ20に装着され、そこから一対の引出しローラ15によって引き出されるようになっている。そして、引き出されたロール紙30は、サーマルヘッド11とプラテン12との間にセットされる。また、ロール紙30は、キャプスタンローラ13とピンチローラ14との間に挟まれ、印画の際の紙送りは、キャプスタンローラ13の回転駆動によって行われる。
【0032】
次に、図1及び図2に示すサーマルヘッドプリンタ10の印画動作について説明する。
非印画時は、図1の点線で示すように、サーマルヘッド11が上昇しており、サーマルヘッド11は、プラテン12から少し離れて位置している。また、ペーパーホルダ20から引き出されたロール紙30は、プラテン12上にセットされており、インクリボン18も同様に、プラテン12及びロール紙30上にセットされている。
【0033】
そして、印画指令が入力されると、上昇していたサーマルヘッド11が下降してプラテン12を押圧し、図1(実線)及び図2に示すように、サーマルヘッド11の発熱抵抗体の配列部分とプラテン12との間にインクリボン18及びロール紙30を挟み込む。すなわち、サーマルヘッド11の発熱抵抗体は、プラテン12上で、インクリボン18を介してロール紙30と圧接する。
【0034】
この状態において画像データが入力されると、キャプスタンローラ13の反時計回りの回転駆動により、ロール紙30が左向きの矢印の方向に順次搬送される。また、巻取り軸17の反時計回りの回転駆動により、ロール紙30と同じ速さでインクリボン18が左向きの矢印の方向に順次巻き取られる。同時に、サーマルヘッド11に配列された発熱抵抗体が駆動制御信号によって選択的に通電駆動され、発熱抵抗体からインクリボン18に熱エネルギーが付与される。
【0035】
すると、サーマルヘッド11の発熱抵抗体の発熱量に応じて、インクリボン18上の固体インクがロール紙30上(印画面上)に転写されることによって印画が行われる。そして、印画後のロール紙30は、カッター19によって印画部分が切断され、排出口(図示せず)から排紙される。
【0036】
なお、カラー印画の場合には、各色ごとに印画が実行されるため、転写する色が変更されるたびにキャプスタンローラ13が逆回転し、ロール紙30が逆送りされて印画開始地点まで戻る。すなわち、1色目の印画が終了すると、サーマルヘッド11が上昇し(図1の点線で示す状態)、ロール紙30は、2色目の印画を重ねて行うために、その印画開始地点まで逆送りされる。その後、2色目のインクが塗布されたインクリボン18が供給軸16から搬送され、1色目と同様にして印画を行う。そして、各色の印画終了後にロール紙30がカッター19で切断され、排紙される。
【0037】
図1及び図2に示すサーマルヘッドプリンタ10は、このようにしてロール紙30に印画を行うので、印画速度は、ロール紙30の搬送速度に依存し、ロール紙30の搬送速度は、サーマルヘッド11の発熱抵抗体の発熱量に左右される。すなわち、印画速度は、発熱抵抗体の熱エネルギーにより、画像データにおける階調データ(画像の濃淡に関するデータ)中の最大濃度を印画することができるロール紙30の搬送速度となる。また、印画の際には、ロール紙30の搬送により、サーマルヘッド11の発熱抵抗体とインクリボン18とが繰り返し摺接することとなる。
【0038】
図3は、本実施形態のサーマルヘッドプリンタ10におけるサーマルヘッド11を示す斜視図である。
また、図4は、図3に示すサーマルヘッド11の発熱抵抗体11b側を部分的に示す斜視図である。
【0039】
図3に示すように、サーマルヘッド11の上面側には、ヒートシンク11aがネジ止めされている。また、サーマルヘッド11の下面側には、複数の発熱抵抗体11bが配列されている。ここで、ヒートシンク11aは、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で形成されており、各発熱抵抗体11bから発生した余分な熱を板状の多数のフィンによって放熱するようになっている。
【0040】
一方、各発熱抵抗体11bには、図4に示すように、それぞれ電極11cが接続されている。また、上記したように、印画の際は、各発熱抵抗体11bとインクリボン18(図1参照)とが繰り返し摺接するので、各発熱抵抗体11b及び各電極11cには、これらを覆い隠すように保護膜(図示せず)が形成されており、摩耗から各発熱抵抗体11b及び各電極11cを保護するようにしている。
【0041】
このようなサーマルヘッド11において印画を行うには、画像データに応じて、個々の電極11cに通電することにより、その電極11cと対応する発熱抵抗体11bを発熱させる。ここで、発熱抵抗体11bの発熱量は、画像データ中の階調データに応じて、電極11cに供給する電力を調整することで制御される。
【0042】
図5は、本実施形態のサーマルヘッドプリンタにおける制御の流れを示すブロック図である。
また、図6は、本実施形態のサーマルヘッドプリンタによる画像データのサンプリング例を示す模式図である。
【0043】
図5に示すように、コンピュータからの画像データの入力は、サーマルヘッドプリンタのI/F(インターフェース)を通じて行われ、入力された画像データは、CPU(中央処理装置)の指令によって画像メモリに格納される。そして、このCPUは、画像メモリに格納された画像データに基づいてサーマルヘッドの発熱抵抗体の発熱量を算出する発熱量演算手段となっており、電極に電力を供給して発熱抵抗体を駆動制御する。
【0044】
ここで、CPUは、画像データをサンプリングして発熱抵抗体の発熱量を算出する。例えば、図6に示すように、サンプリングした画素データ(画像全体の中の1画素に対応するデータ)がm行×n列あり、発熱抵抗体が画素データのn列と1対1で対応するようにn個あるとすると、CPUは、m行×n列の画素データにおけるa列目(1≦a≦n)に対応するa番目(1≦a≦n)の発熱抵抗体がb行目(1≦b≦m)の画素データを印画するために必要な発熱量を算出する。なお、発熱抵抗体の発熱量は、画像データ中の階調データとロール紙30(図1参照)の搬送速度とを考慮して算出する。
【0045】
さらに、CPUは、a列目のb行目の発熱量の算出値S(a,b)と、予め定められた発熱抵抗体の発熱量の規定値Lとを比較する発熱量比較手段、発熱抵抗体の発熱量の規定値Lを超える算出値S(a,b)の個数を数えてa列目の超過数N(a)を算出する超過数カウント手段、1列目からn列目の超過数N(1)〜N(n)に基づいて、最大超過数N(max)を算出する最大超過数抽出手段、発熱抵抗体の発熱量を制御する発熱量制御手段となっている。そして、最大超過数N(max)が予め定められた基準数Mを超える場合に、発熱抵抗体の発熱量(電極に対する電力の供給量)を所定の範囲内に制限して発熱抵抗体を駆動制御し、印画を行う。
【0046】
さらにまた、発熱抵抗体の発熱量は、図5に示すように、CPUとサーマルヘッドとの間に介在する補正部によって調整される。すなわち、補正部は、サーマルヘッドプリンタに装着されたロール紙30(図1参照)の紙質、インクリボン18(図1参照)の種類、サーマルヘッドの蓄熱状態、環境温度等に応じて、印画画像の濃度補正(γ補正)や蓄熱補正を実行するように、CPUから出力された発熱抵抗体の駆動制御信号を補正する。
【0047】
このように、サーマルヘッドの発熱抵抗体の発熱量は、CPU及び補正部によって最適化される。そして、CPUによるメカ駆動系の制御により、ロール紙30(図1参照)が発熱抵抗体の発熱量に合わせた最適な速度で搬送される。そのため、本実施形態のサーマルヘッドプリンタでは、発熱抵抗体の発熱に基づく種々の問題(保護膜の損傷、印画面の傷つき、印画濃度の低下、尾引きや濃度ムラの発生等)が解消され、高い印画品質が得られるだけでなく、サーマルヘッドの長寿命化と印画速度の高速化とが両立したものとなっている。
【0048】
図7は、本実施形態のサーマルヘッドプリンタにおける印画方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、印画指令が入力されるとスタートとなり、ステップS1において、図5に示すI/F(インターフェース)を通じてコンピュータから画像データが入力される。そして、入力された画像データは、画像メモリに格納される。
【0049】
次に、画像メモリに格納された画像データは、ステップS2において、色変換処理がなされ、光の3原色であるR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)によって構成された画像データは、印刷色であるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)によって構成された階調データに変換される。また、ステップS3において、この階調データから図6に示すm行×n列の画素データがサンプリングされ、画像メモリに格納される。
【0050】
続いて、n個ある発熱抵抗体中の1番目(a=1)の発熱抵抗体により、1列目(a=1)の1行目(b=1)の画素データを印画するために必要な発熱量を算出すべく、初期値として、ステップS4でa=1を入力し、ステップS5でb=1を入力する。そして、ステップS6において、1列目の1行目の発熱量の算出値S(a,b)=S(1,1)を求め、ステップS7において、算出値S(1,1)と規定値Lとを比較する。その結果、S(1,1)>Lの場合には、ステップS8に分岐し、初期値0の超過数N(a)に1を加え、発熱抵抗体の発熱量の規定値Lを超える算出値S(a,b)の1列目(a=1)の超過数N(a)=N(1)を1とした後、ステップS9に移行する。一方、S(1,1)≦Lの場合には、ステップS7から直接ステップS9に移行する。
【0051】
ここで、発熱抵抗体の発熱量の規定値Lは、発熱抵抗体の保護膜を膨張等させない程度の発熱量を理論や実験で求めたものである。そして、本実施形態では、6インチの長さの印画紙を想定した場合(印画が行われたロール紙を6インチの長さで切断して1枚とした場合)に、3000枚分の印画を行っても保護膜に損傷等が生ずることなく、印画面に傷をつけることも印画濃度が低下することもない発熱抵抗体の発熱量を規定値Lとして設定している。なお、この規定値Lの設定に際しては、発熱抵抗体自体の蓄熱や、隣接する発熱抵抗体の発熱の影響も考慮している。
【0052】
このように、ステップS7において、1列目(a=1)の1行目(b=1)の画素データを印画するために必要な発熱量の算出値S(a,b)=S(1,1)が発熱量の規定値Lを超えるか否かが判断されるが、1行目が終了すると、2行目以降についても同様のステップが繰り返される。すなわち、ステップS9において、最後のm行目まで終了したか否かが判断され、m行目(b=m)まで至っていない場合には、ステップS10に移行して、次の行の判断を行うべくbに1を加算した後、ステップS6からステップS9までを繰り返す。そして、1列目(a=1)のm行目(b=m)までの超過数N(a)=N(1)を算出した後、ステップS9からステップS11に移行する。
【0053】
ステップS11は、2列目(a=2)以降について、超過数N(a)を算出するための分岐である。すなわち、1列目(a=1)のm行目(b=m)までの超過数N(1)が算出されると、今度は、2番目(a=2)の発熱抵抗体によって2列目(a=2)の1行目(b=1)の画素データを印画するために必要な発熱量を算出し、2列目(a=2)のm行目(b=m)までの超過数N(a)=N(2)を求める。その後、同様にして、超過数N(a)=N(n)まで求める。
【0054】
そのため、ステップS11では、最後のn列目(a=n)まで終了したか否かが判断され、n列目に至っていない場合には、ステップS12に移行して、次の列の判断を行うべくaに1を加算した後、ステップS5からステップS11までを繰り返す。そして、n列目(a=n)のm行目(b=m)までの超過数N(a)=N(n)を算出した後、ステップS11からステップS13に移行する。
【0055】
したがって、超過数N(1)から超過数N(n)がそれぞれ算出されることとなり、その結果に基づいて、ステップS13で超過数N(1)から超過数N(n)までの最大超過数N(max)を算出する。そして、次のステップS14において、最大超過数N(max)が予め定められた基準数Mを超えるか否かを判断する。
【0056】
ここで、基準数Mは、超過数N(a)の数による保護膜への影響の程度等を勘案して適宜決定されるものである。そして、本実施形態では、図6に示すm行×n列の画素データの最後のm行目までの30%に相当する数値を基準数Mとして設定している。すなわち、M=0.3mとなっており、1列目(a=1)からn列目(a=n)までで、1列でもm行の30%を超える数の超過数N(a)があるか否かが判断されることとなる。
【0057】
このようにして、n列中の最大超過数N(max)が基準数M(=0.3m)を超えるか否かが判断されるが、基準数Mを超えている場合には、発熱抵抗体の発熱量を制限し、発熱に基づく種々の問題(保護膜の損傷、印画面の傷つき、印画濃度の低下、尾引きや濃度ムラの発生等)が生じないようにして、サーマルヘッドの長寿命化を図っている。すなわち、発熱量を下げても印画品質に悪影響を与えないように、ステップS14からステップS15に移行して、印画速度の遅い低速印画モードの設定とする。そして、ステップS16で低速用の濃度補正(γ補正)を施し、ステップS17で低速用の蓄熱補正を施してからステップS21に移行する。
【0058】
逆に、最大超過数N(max)が基準数M(=0.3m)を超えていない場合には、発熱抵抗体の発熱量を最大とし、高速印画を可能とする。そのため、ステップS14からステップS18に移行して、印画速度の速い高速印画モードの設定とする。そして、ステップS19で高速用の濃度補正(γ補正)を施し、ステップS20で高速用の蓄熱補正を施してからステップS21に移行する。
【0059】
したがって、本実施形態の印画方法によれば、入力された画像データに応じて、低速印画モードか高速印画モードかが選択される。そして、必要な蓄熱補正等が施された後、ステップS21でPWM変調を行い、ステップS22で電極に電力を供給して発熱抵抗体を駆動し、印画を実行して終了する。
【0060】
図8は、本実施形態のサーマルヘッドプリンタによって印画された画像の一例を示す図である。なお、説明の便宜のため、サンプリングされた10行×10列の画素データの部分を白抜きで示している。また、カラー画像を白黒2値画像に変換している。
【0061】
図8に示す画像の印画に際しては、図6に示すサンプリング例のように、各発熱抵抗体に対応する全ての画素データについて発熱量の算出値S(a,b)を求めるのではなく、数個おきの発熱抵抗体が対応するように、10行×10列の画素データについてのみ算出値S(a,b)を求めている。すなわち、図7において、n=10、m=10であり、ステップS6からステップS9までの繰り返し回数や、ステップS5からステップS11までの繰り返し回数が10回と少ないので、高速な処理が可能となっている。また、性能的に劣るCPUを使用している場合であっても対処することができる。そして、10列中の最大超過数N(max)が基準数M(=10行の30%=3)を超えるか否かを判断している。なお、実際の印画以外の処理は、プリンタ側ではなく、コンピュータ側のプリンタドライバで実行することもできる。
【0062】
このように、サンプリング数を減らした場合には、画像データの処理時間が短くなり、一層高速な印画が可能となるが、サンプリング地点の相違によって最大超過数N(max)が変化することが考えられ、基準数Mの設定に細かな配慮が必要となる。そこで、基準数Mの設定に際して多くのデジタルカメラの画像を解析したところ、サンプリングしたm行×n列の画素データにおいて、最大超過数N(max)がm行の30%を超える画像は多くないことが判明した。したがって、基準数Mを0.3mとすることは妥当な設定であり、10行×10列の画素データであっても、基準数Mを3とすれば、多くの画像データで印画速度を高速化することができる。
【0063】
ただし、図8に示す画像の場合は、夜景であることから濃度の高い部分が多く、最大超過数N(max)>基準数Mとなっている。そこで、図8に示す画像の印画に際しては、サーマルヘッドの長寿命化を図るため、最大超過数N(max)≦基準数Mの場合よりも印画速度を遅くし、1.0秒/Lineに低速化することによって印画時間を1.4倍遅くしている。なお、印画速度を低速にするのは、単位面積あたりの印画の濃さは、単位時間あたりの熱量と熱を与える時間とに強い相関があるので、単位面積あたりにかける時間を長くすれば、発熱量を小さくできるからである。
【0064】
このように、本実施形態のサーマルヘッドプリンタ及びサーマルヘッドプリンタの印画方法は、入力された画像データに基づいて、発熱抵抗体の発熱量を事前に算出することにより、発熱抵抗体の熱がどの程度保護膜を損傷等させるかを判断する。すなわち、発熱抵抗体の発熱量の最大超過数N(max)と基準数Mとを比較して、発熱量(印画速度)を制御するものとなっている。そのため、サーマルヘッドの損傷(保護膜の損傷)等を低減させることができ、高速印画における寿命を延ばすことができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、以下のような種々の変形等が可能である。すなわち、
(1)本実施形態のサーマルヘッドプリンタ10では、インクリボン18を用いてロール紙30に印画しているが、カット紙に印画する場合も同様の効果を得ることができる。また、インクシート18を使用せずに、感熱記録紙に印画する場合も同様の効果を得ることができる。
【0066】
(2)本実施形態のサーマルヘッドプリンタ10では、低速印画モードと高速印画モードとの2種類を使い分けているが、中速印画モード等の他の印画モードを追加し、より細かい制御を行っても良い。なお、この場合の基準数Mは、例えば、低速印画モードに移行する基準数M(1)、中速印画モードに移行する基準数M(2)というように、印画モードの数に応じて複数設定しておく。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のサーマルヘッドプリンタ及びサーマルヘッドプリンタの印画方法によれば、印画する画像データをサンプリングし、発熱抵抗体の発熱量を事前に算出して発熱量を制御するので、長寿命化と高速印画の両立が可能となっている。そのため、サーマルヘッドプリンタに幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態のサーマルヘッドプリンタの要部を示す側面図である。
【図2】本実施形態のサーマルヘッドプリンタの要部を示す斜視図である。
【図3】本実施形態のサーマルヘッドプリンタにおけるサーマルヘッドを示す斜視図である。
【図4】図3に示すサーマルヘッドの発熱抵抗体側を部分的に示す斜視図である。
【図5】本実施形態のサーマルヘッドプリンタにおける制御の流れを示すブロック図である。
【図6】本実施形態のサーマルヘッドプリンタによる画像データのサンプリング例を示す模式図である。
【図7】本実施形態のサーマルヘッドプリンタにおける印画方法を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態のサーマルヘッドプリンタによって印画された画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 サーマルヘッドプリンタ
11 サーマルヘッド
11b 発熱抵抗体(発熱素子)
12 プラテン
30 ロール紙(被記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンと、
発熱素子を有するサーマルヘッドと
を備え、
前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間に被記録媒体を搬送し、印画する画像データに基づいて、前記発熱素子を発熱させることによって印画を行うサーマルヘッドプリンタであって、
画像データに対応する前記発熱素子の発熱量を算出する発熱量演算手段と、
前記発熱量演算手段による発熱量の算出値Sと前記発熱素子の発熱量の規定値Lとを比較する発熱量比較手段と、
前記発熱量比較手段に基づいて、前記発熱素子の発熱量の規定値Lを超える算出値Sの個数を数えて超過数Nを算出する超過数カウント手段と、
前記超過数カウント手段によって算出された超過数Nが基準数Mを超える場合に、前記発熱素子の発熱量を制限して印画を行う発熱量制御手段と
を備えることを特徴とするサーマルヘッドプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のサーマルヘッドプリンタにおいて、
前記発熱量演算手段は、画像データをサンプリングし、サンプリングした画素データを印画するために必要な前記発熱素子の発熱量を算出する
ことを特徴とするサーマルヘッドプリンタ。
【請求項3】
請求項1に記載のサーマルヘッドプリンタにおいて、
前記発熱量演算手段は、画像データ中の階調データと被記録媒体の搬送速度とに基づいて、前記発熱素子の発熱量を算出する
ことを特徴とするサーマルヘッドプリンタ。
【請求項4】
請求項1に記載のサーマルヘッドプリンタにおいて、
前記発熱量制御手段は、被記録媒体の搬送速度を遅くすることによって前記発熱素子の発熱量を制限する
ことを特徴とするサーマルヘッドプリンタ。
【請求項5】
プラテンと、
複数の発熱素子をライン状に配列したサーマルヘッドと
を備え、
前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間に被記録媒体を搬送し、印画する画像データに基づいて、前記発熱素子を発熱させることによって印画を行うライン型のサーマルヘッドプリンタであって、
画像データ中のm行×n列の画素データにおけるa列目(1≦a≦n)に対応する前記発熱素子により、b行目(1≦b≦m)の画素データを印画するために必要な発熱量を算出する発熱量演算手段と、
前記発熱量演算手段によるa列目のb行目の発熱量の算出値S(a,b)と前記発熱素子の発熱量の規定値Lとを比較する発熱量比較手段と、
前記発熱量比較手段に基づいて、前記発熱素子の発熱量の規定値Lを超える算出値S(a,b)の個数を数えてa列目の超過数N(a)を算出する超過数カウント手段と、
前記超過数カウント手段によって算出された1列目からn列目の超過数N(1)〜N(n)に基づいて、最大超過数N(max)を算出する最大超過数抽出手段と、
前記最大超過数抽出手段によって算出された最大超過数N(max)が基準数Mを超える場合に、前記発熱素子の発熱量を制限して印画を行う発熱量制御手段と
を備えることを特徴とするサーマルヘッドプリンタ。
【請求項6】
プラテンとサーマルヘッドとの間に被記録媒体を搬送し、印画する画像データに基づいて、前記サーマルヘッドの発熱素子を発熱させることによって印画を行うサーマルヘッドプリンタの印画方法であって、
画像データに対応する前記発熱素子の発熱量を算出した後、
算出値Sと前記発熱素子の発熱量の規定値Lとを比較し、
規定値Lを超える算出値Sの個数を数えて超過数Nを求め、
超過数Nが基準数Mを超える場合は、前記発熱素子の発熱量を制限して印画を行う
ことを特徴とするサーマルヘッドプリンタの印画方法。
【請求項7】
請求項6に記載のサーマルヘッドプリンタの印画方法において、
超過数Nが基準数Mを超える場合は、被記録媒体の搬送速度を遅くする
ことを特徴とするサーマルヘッドプリンタの印画方法。
【請求項8】
プラテンとサーマルヘッドとの間に被記録媒体を搬送し、印画する画像データに基づいて、前記サーマルヘッドにライン状に配列された複数の発熱素子を発熱させることによって印画を行うライン型のサーマルヘッドプリンタの印画方法であって、
画像データ中のm行×n列の画素データにおけるa列目(1≦a≦n)に対応する前記発熱素子により、b行目(1≦b≦m)の画素データを印画するために必要な発熱量を算出した後、
a列目のb行目の発熱量の算出値S(a,b)と前記発熱素子の発熱量の規定値Lとを比較し、
規定値Lを超える算出値S(a,b)の個数を数えてa列目の超過数N(a)を求め、
1列目からn列目の超過数N(1)〜N(n)に基づいて、最大超過数N(max)を算出し、
最大超過数N(max)が基準数Mを超える場合は、前記発熱素子の発熱量を制限して印画を行う
ことを特徴とするサーマルヘッドプリンタの印画方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−256059(P2006−256059A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75733(P2005−75733)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】