説明

シューズにおける、及びシューズに関する改良

本発明は、乾燥時と濡れている時の両方において、鍵となるシューズの領域(例えば先芯及び上部)の摩擦係数を改善することで、スポーツシューズ、特にサッカーブーツのパフォーマンスを向上させる方法に関するものである。望まれる既存のシューズ特性、例えば感覚及び反応性を維持するコーティングが記載され、これがグリップ性を向上させる。また、特定の微粒子材料を含有または塗布することで、これらコーティングのパフォーマンスをさらに改良することを検討する。パッチなどの変形、及び特定の布地またはコーティングの領域についても検討する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはスポーツシューズに対して適用され、乾燥時さらには全天候時の靴上部表面のグリップ性を向上させる方法について説明するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者はスポーツシューズ上部のグリップ性向上のために調査を行なった。これは、特に乾燥時のグリップ特性を含む調査であるが、濡れている場合または湿っている場合のグリップ特性についても考慮したものである。以下において論じるようにシューズのパフォーマンスにおいては、標準的な構成材料、例えば運動用皮革のグリップ性向上が重要である。プロフェッショナルであろうと初心者であろうと、多くのユーザにとって、グリップ性の向上により、サッカーなどの球技において、特にボールをキックする場合またはドリブルする場合に正確性と有効性を向上させることができる。
【0003】
すなわち、乾燥時だけでなく、特に湿っているシューズのパフォーマンスが非常に重要な課題となっている。標準的な運動用皮革のパフォーマンスにより、スポーツシューズのパフォーマンス特性が制限されているが、商業ベースで実行可能な解決手段は未だ発明または実用化されていない。シューズの外側材料のパフォーマンスに着目した従来技術では、使用する材料の表面を荒く加工するテクスチャ加工に焦点を当てていた。しかし、これではグリップパフォーマンスの改善には限界がある。また、他の方法として、凸部のついた部位を備え、物理的な凸部表面により、理論上グリップ性を向上させるとともに、排水性能を向上させるものが提案されている。例えば、ブルッティングによるゴム射出技術(米国特許第3191321号)、およびジョンソンによる化成技術(米国特許第5437112号)がある。しかしながら、これらによる加工はシューズの外側表面の状態に著しい影響を与え、(例えば)サッカープレイヤがシューズを使用する際の「感覚」および反応性を阻げる。このような特徴はプレイヤのパフォーマンスにとって重要であるので、グリップ性のための上記手段自体に問題点が生じてしまう。
【0004】
また、外来の材料、例えばシャークスキンを用いることが報告されている(WO0307745)が、これらの変更は周縁的なものにすぎず、濡れた状態でのグリップ性能の向上は不十分な上、製造を容易にするためのコストが著しく、経済性および柔軟性に関しても問題がある。このように、従来技術が着目している方向性では、プレイヤ及び製造者の要求を満たす、濡れた状態及び乾燥した状態でも使用可能なオールラウンドなスポーツシューズを提供するのに、特出したまたは顕著に品質改善したものを製造することには失敗している。
【0005】
前述のように、標準的な運動用皮革によるブーツは、一般的に濡れた状態ではパフォーマンス性が低下する。しかし、乾燥した状態では非常に良いパフォーマンスを得ることができる。表面の水層がボールに対してハイドロプレーン現象を生じたり、予期しない動作を引き起こし、多くの場合ブーツ表面に対して横滑りしりたりスピンする。この結果、精密性及び正確性に大きなダメージを受ける。
【0006】
プロフェッショナルプレイヤと同様、乾燥した状態だけではなく濡れた状態でも練習し、試合を学ぶ者にとっては、シューズのデザインにおける欠点をプレイヤの技術が補うことがあるとしても、シューズのパフォーマンスは非常に重要である。シューズに要求される品質は、厳密に測ることは困難であり、むしろ主観的なもので、例えば頑健性、感覚と感触に関する応答性、良好な形態と形状などが挙げられる。結局、プレイヤは、正確性と共に、異なる状況下でも一貫したパフォーマンスを求めているため、濡れていても乾燥していても一貫した属性を有するシューズに価値がある。
【0007】
製造者にとっては、シューズの外側を構成するため、運動用皮革のような材料の望ましい品質の多く、例えば耐久性及び頑健性と柔軟性との最良の組み合わせを合わせ持つ、改良された材料の要求がある。また、感覚や反応など、プレイヤが主観的に要求する特徴を維持または改善する代替品の要求がある。重要な点は、大きな変更を必要とせず、または既存の靴製造工程から離れることのない代替品が望まれている。そのような変更を施すことは不経済だからである。
【0008】
今日までに、本発明者の知る限り主にこれら要求と要望に着目した代替品または解決手段は存在していない。このため、本発明者はこれら問題と要求に着目した種々の発明的な選択案について研究を行なった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の目的の一つは、これらの事情に着目することにある。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、シューズの構成、シューズ、またはシューズを変更する際の手段に用いられる材料を提供することにあり、該材料により、標準的な運動用皮革と比較して乾燥時に(少なくともシューズ上面の一部に対して)改良されたグリップ特性を提供する。
【0011】
好ましくは、さらに他の目的は、濡れているときと乾燥時に比較的統一のとれたパフォーマンスを持つスポーツシューズを提供することにある。
【0012】
少なくとも、本発明は、利便性の高い代替選択を公共に提供することを目的とする。
【0013】
以下の説明を参照とすることにより、本発明の態様を例示としてのみ説明する。
【0014】
本発明の一態様によれば、少なくとも上部の一部がコーティング剤により得られたグリップエリアを有し、前記コーティング剤は、本明細書で定義された修正IUP51試験による標準的な運動用皮革の乾燥摩擦係数よりも大きい乾燥摩擦係数を供与する、シューズが提供される。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、シューズの上部の構成に使用するのに好適な材料が提供され、該材料の少なくとも一部が本明細書で定義された修正IUP51試験による標準的な運動用皮革の乾燥摩擦係数よりも大きい乾燥摩擦係数を与えるコーティング剤によりコーティングされる。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、シューズの上部に適用されるパッチが提供され、前記パッチにより、少なくとも部分的に本明細書で定義された修正IUP51試験による標準的な運動用皮革の乾燥摩擦係数よりも大きい乾燥摩擦係数を提供するコーティング剤によりコーティングされた少なくとも一表面が提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、前記コーティング剤が液体シリコンゴムコーティン剤グにより構成された、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0018】
本発明の他の態様によれば、前記コーティング剤は、高可塑化されたコーティング剤により構成された、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0019】
本発明の他の態様によれば、前記コーティングは、PCVホモポリマまたはPVC/PVAコポリマをベースとする、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0020】
本発明の他の態様によれば、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供され、以下より成るグループから選択される可塑剤が含まれる:ジアルキルアジペートエステル、ジアルキルアゼレート、グリコールジベンゾエートエステル、ブチルフタリルやブチルグリコール酸等のグリコール酸、トリアルキルトリメリテート等のメリテート、数個のフェノキシ化合物、トリアリールとトリアルキルとアルキルアリールとの組み合わせを含むリン酸エステル、ジアルキル及びアルキルベンジルo−フタラートに重点が置かれたオルトフタル酸誘導体、ポリエステル、グリコールを有する種々の二塩基酸(例えば種々の単官基化合物末端を持つグリコールを持つアジピン、アゼライン、フタル酸)、ペンタエリスリトール誘導体、および、スルホンアミド。
【0021】
本発明の他の態様によれば、実質的に上記に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供され、以下より成るグループから選択される第2の可塑剤が含まれる:芳香族及び混合芳香族脂肪族油、塩素化パラフィン、PVCとの相溶性が低いポリアルファメチルスチレン誘導体及び高分子量アルコールと有機酸のポリアルファメチルスチレンエステル、直鎖二塩基酸の単量体エステル、及び、エポキシ化大豆油とエポキシ化トール油と幾つかのエポキシ樹脂とを含む特定のエポキシ誘導体。
【0022】
本発明の他の態様によれば、ポリマまたはコポリマに対して65重量%以上の前記可塑剤が存在する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0023】
本発明の他の態様によれば、ポリマまたはコポリマに対して66±4重量%の前記可塑剤が存在する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0024】
本発明の他の態様によれば、エポキシ化大豆油中に分散した無機ステアラートを含む、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0025】
本発明の他の態様によれば、ポリイソブチレンを含む、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0026】
本発明の他の態様によれば、微粒子材料を含有する、あるいは少なくとも一部がコーティングされているかのいずれかまたは両方である、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0027】
本発明の他の態様によれば、請求項1から3のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチであって、微粒子材料を含有するか、微粒子材料が使用されているかのいずれかまたは両方であるコーティング剤によって少なくとも一部がコーティングされているものが提供される。
【0028】
本発明の他の態様によれば、前記コーティング剤が、脂肪族ポリウレタン分散水溶液と脂肪族アクリル分散水溶液のいずれかまたは両方を含有する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0029】
本発明の他の態様によれば、架橋剤を含有する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0030】
本発明の他の態様によれば、前記架橋剤がイソシアン酸塩である、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0031】
本発明の他の態様によれば、前記微粒子材料が無機物を含有する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0032】
本発明の他の態様によれば、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチであって、前記無機物は、以下より成るグループから選択される。酸化アルミニウム、炭化タングステン、炭化ケイ素、立方晶チッ化ホウ素、セラミック材料、ザクロ石、3M社のトライザクト(登録商標)研磨剤、及び、ダイアモンド微粒子。
【0033】
本発明の他の態様によれば、前記微粒子材料が微粒子状または顆粒状の合成プラスチック材料を含有する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0034】
本発明の他の態様によれば、含有されたプラスチック粒子の硬度が75ショアAの硬度以上である、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0035】
本発明の他の態様によれば、前記微粒子材料がクラムラバーを備える、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0036】
本発明の他の態様によれば、請求項12から21のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチであって、前記微粒子材料が、0.5ミクロン〜100ミクロンの算入寸法範囲の粒子を含有する。
【0037】
本発明の他の態様によれば、前記コーティング剤は皮革材料に対して塗布される、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0038】
本発明の他の態様によれば、前記皮革はヤギまたはカンガルーの皮である、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0039】
本発明の他の態様によれば、前記コーティング剤は、布地またはテキスタイルに塗布される、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0040】
本発明の他の態様によれば、前記布地またはテキスタイルは、ケブラーを含んでいるかケブラーである、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0041】
本発明の他の態様によれば、前記コーティング剤は、図柄の塗布に使用される、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0042】
本発明の他の態様によれば、前記図柄は、ロゴ、広告素材、絵、文字、英数字、繰返し模様または配置の一つ以上を備えている、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0043】
本発明の他の態様によれば、異なる前記コーティング剤を備えた領域を有する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0044】
本発明の他の態様によれば、フックパイル素材である3M社のグレップタイルG200の領域を有する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0045】
本発明の他の態様によれば、自己粘着性の層を有する、上記に実質的に記載されたシューズ、材料、またはパッチが提供される。
【0046】
本発明の他の態様によれば、つま先部上部の少なくとも一部がグリップ性強化剤のコーティング剤を有し、該グリップ性強化剤は、本明細書で定義された修正IUP51試験により測定した場合に標準的な運動用皮革と比較して乾燥摩擦係数を増加させ、また、該グリップ性強化剤は以下より成るグループから選択されるスポーツシューズが提供される:液体シリコンゴム、高可塑剤内容物を持つPVCポリマ、高可塑剤内容物を持つPVC/PVAコポリマ、高可塑剤内容物を持つウレタン樹脂、高可塑剤内容物を持つアクリル樹脂、高可塑剤内容物を持つウレタン/アクリル混合またはハイブリッド、上記に挙げた本グループの物質と組み合わせた微粒子材料、及び、アクリル及び/またはポリウレタンバインダと組み合わせた微粒子材料。
【0047】
本発明の他の態様によれば、つま先部上部の少なくとも一部がグリップ性強化剤のコーティング剤を有し、該グリップ性改良剤は、本明細書で定義された修正IUP51試験により測定した場合に標準的な運動用皮革と比較して乾燥摩擦係数を増加させ、また、該グリップ性強化剤は以下より成るグループから選択されるスポーツシューズに適したパッチが提供される:液体シリコンゴム、高可塑剤を含有するPVCポリマ、高可塑剤を含有するPVC/PVAコポリマ、高可塑剤を含有するウレタン樹脂、高可塑剤を含有するアクリル樹脂、高可塑剤を含有するウレタン/アクリル混合またはハイブリッド、上記に挙げた本グループの物質と組み合わせた微粒子材料、及び、アクリル及び/またはポリウレタンバインダと組み合わせた微粒子材料。
【0048】
本発明の他の態様によれば、上部の少なくとも一部が本明細書で実質的に、例示を参照して説明されたコーティング剤によりコーティングされているシューズが提供される。
【0049】
本発明は、靴製造時に使用される(標準運動用皮革に対して)グリップ特性が改善した材料の調整と、強化されたグリップ特性を持つスポーツシューズ、及び、グリップ特性を改善するためにスポーツシューズに加える改良を含む、多くの態様を持つ。一般的に、本発明のスポーツシューズは球技などに用いられるシューズである。説明を容易にするため、以下の大部分はシューズにより説明するが、ここで論じる原理の多くはシューズを製造する際に使用される材料に対しても適用可能であることは明らかである。
【0050】
サッカーブーツ等、一般的なスポーツシューズに共通する問題は、濡れていると滑りやすいことであると論じた。これは、衝撃の力学的な正確性によるが、ボールがシューズの表面から横に滑り、逸れ、またはスピンするため、プレイヤのボールキックの正確性を顕著に低下させる。同様に、乾燥時の低いグリップ性も問題を引き起こす。したがって、標準的な運動用皮革の改善が望まれている。また、濡れているときと乾燥時の比較的統一のとれたパフォーマンスも望まれている。
【0051】
本発明では、シューズの上部全体または上部の一部にかけて(標準的な運動用皮革と比較して)濡れているときと乾燥時のグリップ特性の向上を実現する手段を導入する。本文において、スポーツシューズに一般的に使用されている標準的な皮革及び標準的な人工皮革材料と比較し、これは少なくとも濡れた状態と乾燥状態のグリップ特性を向上させる。
【0052】
このパフォーマンスの測定方法として、国際皮革技術者化学者協会により指定された修正IUP51試験(下記参照)による摩擦係数が用いられる。強化されたシューズ及びシューズのアウター用の材料が、乾燥時には2.0以上、濡れているときには1.5以上の摩擦係数を持つことが好ましい。理想的な材料では、濡れているときの摩擦係数は、乾燥時の摩擦係数とほぼ同じである。修正IUP51試験は、PTFE参照ベッドを用いた標準的な試験に基づいているが、サッカーボール製造に用いられるポリウレタンコーティングされた自然または合成の材料用に修正されている。
【0053】
グリップ特性が向上したスポーツシューズ上部のグリップエリアを活用することにより、シューズが濡れている場合と乾燥している場合とにおいて、キックとボール操作特性を顕著に向上させることができる。また、多くの場合、濡れている時または乾燥している時、相当する標準的な皮革構造のブーツの主観的なパフォーマンス特性に対して、匹敵しているか、超えている。これは、プレイヤの試合において、特に、標準的な濡れたブーツに対応する技術や、濡れているときと乾燥している時とで変化するシューズの特性変化に対応する技術が十分でないアマチュアまたは初心者の試合において顕著な向上をもたらす可能性がある。
【0054】
本発明によれば、シューズ上部を構成する好ましい材料は、適切なコーティング剤が施され、または、マイクロフックまたはマイクロパイル布地を使用した基材である。これらの変形は、標準的な靴製造工程を大きな変更を加えることなく使用することができる。また、これらはシューズアウターの柔軟性に大きな変化、例えば上記で論じた従来技術例で明らかな変化を生ずることがない。したがって、プレイヤにとって望ましいと考えられる多くの特性を維持することができる。ブーツの主観的な感覚と反応はプロフェッショナルと市場レベルの双方において受け入れられるか否かに大きく関係するため、上記の点は重要である。
【0055】
本発明のコーティング工程は、シューズ製造の前工程または後工程のいずれかにおいて適用されることが望ましい。説明を容易にするために、本明細書で説明する大部分は、シューズ製造時に使用される改良された材料の調整について説明するが、本発明の原理は完成したシューズまたは一部完成したシューズに対してコーティングを施す場合にも適用されるべきものである。後者の選択肢では、特に(例えば特定チームカラーやプリントされたコーティング塗布パターンなどの)特化したコーティング剤を短時間で適用できるという付加的な利点を提供できる。
【0056】
本発明によれば、スポーツシューズ製造にとって好適な多くの好ましいコーティング剤がある。それらのいくつかは、全て以下に論じるようにさらなる変形を加えることができる。これらコーティング剤は、基材に対して塗布される。基材は、多くの場合、適当な天然または合成材料により構成される。好ましい材料として、皮革、特に牛、ヤギ、カンガルーの革等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。スポーツシューズの製造に一般的に用いられる合成皮革及び材料も同様に使用可能である。
【0057】
基材材料の表面は、接着力またはパフォーマンスを高めるために、コーティング剤の塗布に先立って加工されるようにしてもよい。選択肢として、表面のけがき加工、磨き加工、粗加工、さらに、下塗り加工等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本発明によれば、その後、一般的には一つ以上のコーティング剤を塗布するが、本発明のいくつかの実施形態によれば、グリップ性強化のための材料を最終的に塗布する前に、シューズの少なくとも一部を構成してもよい。
【0059】
本発明者により、望ましい特質を持つスポーツシューズの構成として好適な基材に対して塗布可能である、多くのコーティング剤が特定された。望まれているように、各コーティング剤は濡れている状態と乾燥している状態とで比較的統一のとれたパフォーマンスを提供可能である。また、各々、変更をほとんど必要としないか、全く必要とすることなく、ほぼ標準的なスポーツシューズ製造工程を利用可能である。これらの特徴に基づき、本発明は、液体シリコン、高可塑化されたコーティング、固体微粒子材料と結合した合成ゴムコーティング、または、固体微粒子材料と一体となったポリマにより成る、望ましいコーティング剤のグループから選ばれたグリップ性を強化させるコーティング剤を有する。これらグループ内の物質の性質について、以下に詳細に開示する。
【0060】
液体シリコンゴムはよく知られており、適当な基材、理想的には皮革に対して適用される。本発明においては、エポキシシラン等の架橋剤が任意的かつ理想的に用いられる。これによってスポーツシューズにとって適切な摩耗及び耐久特性を強化させることができる。
【0061】
液体シリコンゴムによりコーティングされた皮革基材は大幅に乾燥時のグリップパフォーマンスを向上させ、この観点において上記従来技術に対して有用に寄与する。表1に摩擦係数を示す。表1からは、シリコンゴムコーティング剤は(標準的な運動用皮革に対して)濡れているときの摩擦係数が改善することがわかるが、そのパフォーマンスの向上は乾燥時には及ばない。統一のとれたパフォーマンスが要求されている場合には、微粒子基材を含めたり微粒子基材を塗布することによるコーティングの改質を行なっても良い。これについてさらに以下に説明する。これにより、乾燥時のグリップ性が低下する可能性があるものの、濡れているときのグリップ性を向上させることができる。
【0062】
好ましいグループ中のさらに好適なコーティング剤のタイプは、高可塑化されたコーティングである。一般的に、これらは微粒子材料を含まずに用いられるが、任意に微粒子材料を含んでいてもよい。好ましくは、これらは高可塑化されたポリマであり、ポリ塩化ビニル(PVC)、軟ポリウレタン、シリコンゴム、PVC/PVA(ポリビニルアセテート)コポリマ、またはこれらの複合材料より成るグループから選ばれる。シリコンゴム、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン/アクリルハイブリッドを含む他のポリマも考慮及び使用可能である。
【0063】
高可塑化コーティング剤の好ましい実施形態においては、コーティング剤は、算入範囲25〜55重量%のPVCまたはPVC/PVAコポリマ、及び、算入範囲45〜75重量%の可塑化剤を含む。合計100重量%まで、他の成分が存在してもよい。可塑化剤の合計は、約66±4重量%であることが好ましい。
【0064】
付加的な可塑化剤、例えば、一つ以上の可塑化剤が存在してもよい。好ましくは、第2可塑化剤が用いられる場合、これはコーティング表面に対して少なくとも部分的に滲出するために使用することができる。これにより、表面が、実質的に自己再生される可塑化剤の薄膜で覆われる。これにより、塗布されたコーティング剤のグリップ特性を向上させることができる。第1のみ、及び、第1と第2可塑剤とを含むコーティング剤の例については後述する。
【0065】
また、このような可塑剤は、一般的に添加されるポリマに対して部分的にのみ相容性があるか否かにより、分類される。このため、これら可塑剤はより低い結合力であって、コーティング剤のバルク内から可塑剤の低濃度領域(例えば、塗布されたコーティングの表面)に対してより移動しやすい。特定の第1可塑剤の組み合わせについても、特定の増量剤と組み合わせた場合にこの性質が現出する。
【0066】
可塑剤を移動させる要素が含まれることにより、特定の利点を生み出す。ブーツが継続して使用されまたは洗われた後であっても、継続した移動が粘着性のある表面層を継続して存在させる。移動率は高い必要がないため、表面に存在すべき可塑剤の量はわずかでよい。
【0067】
いくつかの好ましい可塑剤として、次の可塑剤グループを例示する。改良ポリエステル可塑剤、直鎖二塩基酸のグリコールエステル、C−C14一価アルコール(例えば単量体アジペート)を持つ直鎖二塩基酸の単量体エステル。これら可塑剤はまた、追加的(例えば第2)可塑剤としても好適である。
【0068】
より詳細には、第1または完全相溶性を有する可塑剤は、樹脂に対して固く結びつき、可塑化された樹脂塊中にて遅い速度でしか移動できない。相溶性、原材料コスト、処理中の挙動、及び、種々の末端使用でのパフォーマンスのために、PVCとの使用に適した第1可塑剤のファミリーとしては、非限定的に、主として以下のものである。
【0069】
ジアルキルアジペートエステル、ジアルキルアゼレート、いくつかのグリコールジベンゾエートエステル、ブチルフタリルやブチルグリコール酸等のグリコール酸、トリアルキルトリメリテート等のメリテート、数個のフェノキシ化合物、トリアリールとトリアルキルとアルキルアリールとの組み合わせを含むリン酸エステル、ジアルキル及びアルキルベンジルo−フタラートに重点が置かれたオルトフタル酸誘導体、ポリエステル、グリコールを有する種々の二塩基酸(例えば種々の単官基化合物末端を持つグリコールを持つアジピン、アゼライン、フタル酸)誘導体、ペンタエリスリトール誘導体、および、種々のスルホンアミド。
【0070】
第2または部分的に相溶性を持つ可塑剤は、結合力が低く、そのため高可塑剤濃度領域から低可塑剤濃度領域へマス中を移動することができる。また、これらは移動限界である可塑化された樹脂の表面まで浸出し得る。PVCと共に用いられる第2(延長剤)可塑剤には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
芳香族及び混合芳香族脂肪族油、塩素化パラフィン、PVCとの相溶性が低いポリアルファメチルスチレン誘導体及び高分子量アルコールと有機酸のポリアルファメチルスチレンエステル、直鎖二塩基酸の単量体エステル、及び、エポキシ化大豆油とエポキシ化トール油と幾つかのエポキシ樹脂とを含む特定のエポキシ誘導体。
【0072】
延長剤は、緩く結合し、マス中を自由に移動することができ、著しいレベルまで表面に浸出する。それらは文献中に第2可塑剤として示されている。本発明のこれら実施形態において含まれるのが適切な例としては、ポリイソブチレン等が挙げられる。
【0073】
高可塑化コーティングの好適な実施形態において、高分子材料に対する追加成分として、以下のものを含有してもよい。
i)第1または(ポリマに対する)完全相溶性可塑剤
ii)部分的にポリマと相溶性を持つ第2可塑剤
iii)任意の追加可塑剤
iv)任意の延長剤、安定剤、または他の成分
【0074】
追加成分(iv)は、カルシウム及び亜鉛ステアラート等の安定剤を含有してもよい。好適な実施形態では、分配量は5:1から20:1の算入重量範囲である。これは、安定剤としても作用するエポキシ化大豆油キャリヤ中に拡散したものであってもよい。一般的に、ステアラートを有する大豆油キャリヤの好適な割合は、コーティング剤混合物全体に対して0.3〜2.0(算入)重量%であって、通常(特定の好適な実施形態では)0.52%前後である。
【0075】
所望により、顔料、染料、着色料及び反射成分を追加してもよい。クラリアント社から販売されているような市販の顔料は、本明細書で触れられる多くのコーティング剤に適当である。
【0076】
塗布は、理想的には約5〜15g/sqft(54〜162g/m)であるが、シューズ及びグローブへの塗布には、より広く、算入範囲2〜35g/sqft(21〜377g/m)としてもよい。これらコーティング剤を塗布するための種々の工程については後で説明する。
【0077】
また、グループ中に合成ゴムコーティング剤が存在してもよい。これらは柔軟性があるが、本発明は微粒子材料(後述)とともに使用することが好ましい。天然ゴムを考慮に入れてもよいが、パフォーマンス及び(本発明の)製造工程の均一性は、一般的に合成のものが優れる。
【0078】
本発明では、スポーツシューズのコーティング材料として意図する使用において、特定の望ましい特性を発揮するのであれば、いかなる合成ゴム材料を考慮に入れてもよい。これらの特性としては、基質に対する接着性(但し下塗り及び基質表面改質処理を含んでよい)、基質の屈曲に対答する柔軟性、つまり含まれる微粒子材料を容易に離すことなく保持する能力(但し微粒子材料の選択に影響され得る)、耐摩耗性、つまり、理想的には、曝される典型的な環境に対する耐久性が含まれる。(黒色以外に)顔料付けまたは着色能や製造工程またはコーティングプロセスにおける硬化容易性など、他の特性を考慮に入れてもよい。ニトリルゴムが特に好適である。
【0079】
望ましいグループの最終コーティング剤のタイプは、微粒子材料と結合したポリマ材料により構成される。合成ゴムに関するものと同じ一般的な考慮により、種々の高分子材料を本発明内で使用することを考慮してもよい。しかしながら、特に、本発明者は、ポリウレタン樹脂が特に好適であることを見いだした。本発明の好適な実施形態では、脂肪族ポリウレタン樹脂と、任意に(しかし好ましくは)一つ以上の架橋剤を用いる。好ましい架橋剤としては、イソシアン酸塩、及び、特には(しかしこれに限定されない)脂肪族ポリイソシアン酸塩が含まれる。
【0080】
高分子コーティング剤は(ここで述べられる他のコーティング/バインディング剤にもあてはまるが)任意に種々の他成分を含んでいてよい。例えば、充填剤、種々のタイプのバインダ、希釈剤及び溶剤、顔料、安定剤、接着/下塗り成分、及び追加的架橋またはポリマ改質剤等が挙げられる。これは、ここにおける一般的な発明から逸脱することなく、本発明のユーザに対して特定の要求を満たすために追加的な選択肢を与えるものである。幾つかの詳細な現在において好ましい本発明の例については後述する。
【0081】
本発明中にて使用される好ましい微粒子材料は、理想的には一つ以上の望ましい特性を有する。それらは、以下のものが挙げられる。粒子が露出するエリアに対して向上したグリップ性を提供すること、コーティングに化合または埋め込まれた場合に、外表面を不規則な(滑らかではない)状態にするのに十分な粒径であること、コーティングに対して相溶性があること、使用中にコーティングによってしっかり保持されるようにコーティングと相互作用すること、耐久性があること。理想的にはまた、これらは、コーティング/バインディング材料と組み合わせることで、基材(一般的には皮革)に対して接着性を維持するよう、柔軟性を持つ表面を形成することができる。また、これらは基材の柔軟性を大幅に変化させないことが好ましい。固すぎてユーザが望む反応性を提供することができないシューズは望まれていない。よって、微粒子及びコーティング系は、構造を作る際に使用される場合がある耐スリップ材料の厚いコーティングとは対照的に、比較的薄い組み合わせとして適用可能である必要がある。したがって、前述のバインディング/コーティング材料は、本発明の意図する目的に使用するために特に好適なものとして発明者により選択された。
【0082】
微粒子材料の選択は多岐に亘るが、好ましい材料は大まかに微粒子無機材料及び微粒子合成材料の二つの主グループに分類される。
【0083】
無機ベース材料は、一般的には結晶質であるか、及び/または鋭いまたは鋸歯状の縁を持つ。特定の材料(例として)は、酸化アルミニウム、炭化タングステン、炭化ケイ素、立方晶チッ化ホウ素、セラミック材料、ザクロ石、3M社のマイクロレプリカ工業研磨剤トライザクト(登録商標)、ダイアモンド微粒子等が挙げられる。これらは、天然または合成由来のいずれであってもよい。一つ以上のいずれかを、本発明に係るコーティング/バインディング剤とともに用いられる微粒子組成物中に用いてもよい。
【0084】
微粒子の寸法は、究極的には0.001〜3000ミクロンの範囲中とすることができるが、0.5〜100ミクロンまたは1600〜120のグリットサイズを優先的に使用してもよい。異なるサイズを混合して本発明に係るコーティング剤と共に使用してもよい。
【0085】
合成材料の第2のグループは、一般的に天然及び合成両方のプラスチックやゴム等の高分子材料と呼ばれる。これらは、硬プラスチック材料を含んでよい。好ましい例は「クラムラバー」として知られる。これは、例えば古タイヤ等の粉砕ゴム材料から作られることが多い微粒子である。しかしながら、特別に配合されたゴムまたはポリマベースの微粒子を使用してもよく、向上した耐久性とパフォーマンスを得ることができる。これは、好ましいコーティング材料(特にウレタン及びポリウレタン材料)に対する改良された接着性や結合性と、向上した硬度(理想的には75ショアAと同じかそれ以上)を発揮できる。これらは、ユーザの好みにより着色可能である。このタイプの好ましい微粒子材料の一例は、現在ソフトポイントインダストリーズ社(米国マサチューセッツ州)により販売されているソフトサンドゴム微粒子である。これらの材料のタイプは、上記無機微粒子材料と組み合わせることができる。
【0086】
本発明によれば、微粒子材料のコーティング/バインディング系への導入は、優先的に二つの方法(またはこれらの組み合わせ)による。これには、塗布されたコーティングに対する微粒子材料の表面塗布が含まれる。二つめの方法は、微粒子材料を塗布用コーティング剤に導入することである。各々、特定の利点と欠点がある。微粒子材料が露出されると、繰り返しの着用によりコーティングから失われやすくなるが、高い摩擦抵抗を得ることができる。
【0087】
また、本発明の範囲内には、頻繁に使用される領域を修理するため、または、その特定の特徴を変更するためにユーザによって塗布可能な修理配合物がある。これらコーティング上に「ペイントされた」ものは、本発明の好適な実施形態ほど耐久性がない。しかし、有用に強化することができる。一般的に、これらはポリウレタン材料(例えば脂肪族ポリウレタン)により構成される好適なコーティングバインダ系の微粒子材料と、任意にアクリルバインダ(例えば脂肪族アクリル分散水溶液)とにより構成されるが、塗布される(本発明の)特定のコーティングタイプに対して十分に結合するように配合されるものである。好ましくは、中間から大きな微粒子寸法が用いられる。ユーザにより塗布されるオーバーコートは、パッチタイプの実施形態(下記参照)の替わりとなるが、本発明により既にコーティングされた基質を覆って用いられることが好ましい。
【0088】
好ましいコーティング剤および材料の大部分において、濡れているときの観察される摩擦係数は、乾燥時の摩擦係数に対して相応に匹敵する。これは、変化する環境において統一のとれたパフォーマンスのために好ましい。
【0089】
本発明によれば、上部全体を同じタイプのグリッピング領域で構成する必要はないが、必要であればそのようにしてもよい。すなわち、選択的な領域が、異なるタイプのグリッピング領域により構成されていてもよい。幾つかは濡れている状態と乾燥状態とで異なる摩擦係数を持っていてよく、そのうちの幾つかの領域は、雨天時のパフォーマンスに最適化されたものであり、他は乾燥時のパフォーマンスに最適化されたものとすることができる。これは、本発明による種々のコーティングによりコーティングされた皮革または他の材料により構成することができる。
【0090】
このような場合、上部は異なる特徴を持つ材料による異なる部位から製造することができる。しかしながら、幾つかの処理及びコーティング方法それ自体には、多くの選択肢を持つことができる。例えば、材料シートを、選択的に異なる処理またはコーティング剤によりコーティングすることで、その表面特性(特に摩擦係数)が表面位置で異なるように構成してもよい。その後、上部が部分的または全体的にそのようなシートから作られる。
【0091】
このようなシートの領域は、異なる手段によりコーティングまたは処理することができる。異なる領域は、視覚的材料、例えば文字、絵、ロゴ、または他の販売用材料により構成することができる。他のバリエーションとしては、シューズのパフォーマンスを強化させたり、プレイヤの特徴を強化させたりする図柄領域である。そのような可能性は、プレイヤとシューズ製造者の両者に対して顕著に実現可能な利点を与える。
【0092】
また、本発明の範囲内には、濡れている状態でのグリップ性向上等、本発明の特定の利点を与えるためにシューズに適用可能なパッチが含まれる。一般的に、これらのパッチは基質及び外表面となる。外表面は単に基質の外表面であってもよいが、基質に塗布されたコーティングであってもよい。上述したものによれば、理想的には外表面は改善した乾燥時グリップ特性を持つことになる。したがって、基質及び外側は、処理された皮革材料または上記で説明した材料の選択肢のいずれかの一片により構成され得る。
【0093】
下面は、接着性コーティングを有してもよい。これは、パッチを一次的に使用したり位置を修正できるように、永久または非永久接着剤とすることができる。取り外し可能なプロテクトカバーを接着性背面を覆うように設けてもよい。
【0094】
下面は接着剤を有していなくてもよいが、接着性材料を塗布するのに好適なものであってもよい。これにより異なる接着剤より選択可能となり、製造中またはシューズ修理者や他の適切な有資格者により適用されるパッチに使用され得る。下面は、接着性を改善するために、吸水性を持たせたり、凹凸をつけたり、あるいは他の改善が施してもよい。
【0095】
パッチを取り付ける際に固定する他のタイプを設けてもよい。例えば、ベルクロ(登録商標)などのフックパイルファスナを考慮可能である。
【0096】
さらに、シューズの上部は、全体または部分的に、良好な摩擦係数特性を持つ合成材料により作ってもよい。これには、使用され得る種々のマイクロフックまたはマイクロパイル材料が挙げられる。そのような材料の一つは、グレップタイル(登録商標)G200であるが、他の同様の材料を考慮してもよい。
【0097】
本発明者により試験された異なる材料の代表データを以下に例示する。
【0098】
【表1】

【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
例1
図1に本発明の好適な実施形態を示す。本実施形態は、異なるタイプのグリップ領域など、本発明の多くの可能な特徴を含む。
【0100】
図1には、サッカーブーツ(1)を示す。概して上部(1a)及び靴底(1b)を示す。靴底はこの種のシューズまたはブーツの標準的な構造であってよい。
【0101】
上部は異なる材料からなる部位が互いに縫い合わされているが、他の構成方法を実装してもよい。単純化のために、本例では共通の縫合構造を示す。
【0102】
靴底近くの下部位(2)は、ゴム化/微粒子コーティングされた皮革材料により構成さる。隣接した部位(3)は、樹脂製微粒子コートされた材料のパッチにより構成され、プレイヤのためにブーツをカスタマイズすべく接着されている。
【0103】
前部位(4)及び(5)は、ゴム化微粒子コーティング剤で、製造者のロゴを構成する繰返しパターンを形成するように選択的に塗布した皮革材料である。この結果、これら部位表面全体に渡って分布した、強化乾燥グリップ性を持つ領域が存在する。
【0104】
部位(6)および(7)は、乾燥グリップ性と同様に、相応の濡れグリップ特性を持つグレップタイル(登録商標)G200のような材料による乾燥グリップ部位により構成されている。
【0105】
後部位(8)はユーザの選択に応じて種々の材料により構成してよい。
【0106】
これは、沢山の中から本発明の一つの適用可能例を示しているにすぎないことに留意すべきである。全てのスポーツシューズを、この方法により構成する必要はなく、本発明のすべての異なる態様を含んでいる必要もない。
【0107】
例2
図2は、本発明に係るパッチ(20)であり、部分的に破断され、寸法は強調して示されている。薄い皮革材料の基材(21)を設け、この基材に対してゴム化微粒子コーティング剤を塗布することで強化された乾燥グリップ特性を持つ上部表面(22)を設ける。
【0108】
底面(23)は、着脱自在の保護裏打ち材(24)が重ねられた接着性材料により構成される。
【0109】
実際の使用時には、必要であればパッチはトリミングされて形が整えられ、シューズ外表面の必要部位に接着されることができる。変形例として、湿っていたり濡れている表面に接着可能な接着剤を用いてもよい。これにより、試合中の湿ったシューズに対して塗布可能となる。また、つま先部先端など、形が決められたシューズの部位を覆うようにフィットするように3次元成形された予成形パッチを利用可能としてもよい。
【0110】
例3 研磨粒子コーティング
本例では、以下の示すタイプの研磨粒子が使用可能である。
a)酸化アルミニウム
b)炭化タングステン
c)炭化ケイ素
d)立方晶チッ化ホウ素
e)セラミック材料
f)ザクロ石(自然発生的な研磨剤)
g)3M社のマイクロレプリカ工業研磨剤「トライザクト(商標)」
h)ダイアモンド微粒子
【0111】
これらは、好適な粒子の代表であって、球状ではなく固く尖った縁部を持つように、不規則に、または合成手段により成形されていることが理想的である。これら微粒子は、概して0.5〜100ミクロンの寸法範囲であるが、0.001〜3000ミクロンの範囲、またはグリットサイズ1600〜120でも使用可能である。これら微粒子は、皮革などの基材の表面に対して、着用の際に微粒子が容易に脱落しないように頑丈かつ柔軟なフィルムにより取り付けられる。さらに、微粒子材料を定着させるために使用されるコーティング剤は水及びまたは溶剤に対して安定であることが最も好ましい。シューズ/ブーツは濡れている条件と乾燥条件の両方で着用されるため、特に水に対して安定であることが好ましい。好適なコーティングとしては、フィルムの耐水性及び頑丈性を強化させるべく、アクリル、ウレタン及びエポキシベースの材料(ポリイソシアン酸塩等の概して架橋構造のもの)が含まれる。究極的には、表面はこのままでもよいし、または長寿命化のため強化バインダ系により再コーティングしてもよい。
【0112】
以下において適切な方法について説明するが、他にも変形例が存在する。
【0113】
方法1
基材材料、例えば皮革をローラコート装置に通過させ、架橋ウレタン樹脂を塗布する。
一般的に、樹脂のコート重量は一平方フィート当り8〜14gの間であるが、多くまたは少なくてもよい。
このような樹脂混合はおおよそ次により構成することができる。
10部 脂肪族ポリイソシアン酸塩(架橋剤)
15部 タンパク質、脂肪及び特殊コロイドを有する無機つや消し剤の分散水溶液(充填剤)
35部 脂肪族ポリウレタン分散水溶液(バインダ)
20部 脂肪族アクリル分散水溶液(バインダ)
20部 水(希釈液)
必要であれば上記の混合物を顔料により着色してもよい。
【0114】
混合物が皮革表面に塗布された後、乾燥/硬化の前に、(上で挙げたような)研磨微粒子を皮革表面に塗布する。これには、研磨微粒子を一種類のみ使用してもよいし、強化したまたは相乗的な組み合わせを得るために混合してもよい。非限定的な例として、これは、特定の量の微粒子を与えるようにセットされた振動タイプアプリケータまたは回転アプリケータにより達成することができる。概して、これは、5〜10g/sqftの範囲であるが、所望の効果に応じて表面積1平方フィート当り0.1g〜50gの範囲とすることができる。コンベヤを通過する際にスキンの隙間に入り込んだ余剰微粒子は、再利用のため再生容器に取り込まれるようにしてもよい。研磨紙の準備において一般的に、電磁的にこれら微粒子を並べるという選択肢があるが、電荷により誘引されるべく研磨粒子を化学修飾したか否かに依存する。
【0115】
次いで皮革を硬化ユニットに通す。概して、これは簡略的に皮革を乾燥ラインに沿って加熱することにより約100℃に到達させ2〜3分間行なう。しかしながら、硬化システムは、UV硬化、放射線硬化など、使用される樹脂バインダ系に対して完全に依存する。
【0116】
選択肢として、バインダ微粒子混合物を硬化した後、任意で更なるバインダコートをトップコートとして塗布してもよい。これは、微粒子を保持するフィルム基質をさらに強化して耐久性を最大化させる効果がある。塗布には上で示したものと同様の配合を使用するのが最も一般的だが、塗布レベルは低く、一平方フィート当り4〜8gが最適である。また、塗布は自動スプレーラインを用いてスプレーにより行なうのがもっとも一般的である。また同様に、硬化は使用されるバインダ系に依存する。
【0117】
他の塗布方法によって樹脂混合物中に研磨粒子を拡散させ、異なる手段により塗布してもよい。例えば、カーテンコーティングシステム、エアナイフシステム、ブラシによる塗布などである。コーティングはまた、望むのであれば連続コーティングではなく図柄で塗布してもよい。この方法で重要な点は、十分に拡散させること、微粒子を十分に浮遊させることである。それには高速剪断ミキサを用いる。
【0118】
例4 ゴム化微粒子コーティング
本例では、以下に挙げるゴム化微粒子が使用可能である。
a)ゴム化砂
b)クラムラバー
【0119】
これら微粒子は、球状、楕円、または不規則な形状のいずれかとすることができる。ゴム化された表面は、高い摩擦係数を生む。サンドソフト(登録商標)(上記参照)と呼ばれるゴム化砂が、ソフトポイントインダストリーズ社から入手可能である。クラムラバーはユーザの仕様に応じて異なる製造元へ発注すいてもよい。概して、これら微粒子は直径0.5〜100ミクロンの範囲であるが、0.001〜1000ミクロンの範囲のものを使用してもよい。これら微粒子は、着用中に容易に脱落しないよう、頑丈であるが柔軟なフィルムによって皮革などの基質材料表面に付着しなければならない。さらに、微粒子材料を定着させるために使用されるコーティング剤は水及びまたは溶剤に対して安定であることが最も好ましい。シューズ/ブーツは濡れている条件と乾燥条件の両方で着用されるため、特に水に対して安定であることが好ましい。好適なコーティング剤としては、フィルムの耐水性及び頑丈性を強化させるべく、アクリル、ウレタン及びエポキシベースの材料(ポリイソシアン酸塩等の概して架橋構造のもの)が含まれる。究極的には、表面はこのままでもよいし、または長寿命化のため強化バインダ系により再コーティングしてもよい。
【0120】
以下において二つの適切な方法について説明するが、他にも多くの変形例が存在する。
【0121】
方法1
基材材料、例えば皮革をローラコート装置に通過させ、架橋ウレタン樹脂を塗布する。一般的に、樹脂のコート重量は一平方フィート当り8〜14gの間であるが、これより多くまたは少なく塗布してもよい。このような樹脂混合は次のものにより構成される。
10部 脂肪族ポリイソシアン酸塩(架橋剤)
15部 タンパク質、脂肪及び特殊コロイドを有する無機つや消し剤の分散水溶液(充填剤)
35部 脂肪族ポリウレタン分散水溶液(バインダ)
20部 脂肪族アクリル分散水溶液(バインダ)
20部 水(希釈液)
【0122】
必要であれば上記の混合物を顔料により着色してもよい。
【0123】
混合物が皮革表面に塗布された後、乾燥/硬化の前に、(上で挙げたような)ゴム化微粒子を皮革表面に塗布する。これは、ゴム化微粒子を一種類のみ使用してもよいし、相乗的な化合物を形成するために混合してもよい。非限定的な例として、これは、特定の量の微粒子を与えるようにセットされた振動タイプアプリケータまたは回転アプリケータにより達成することができる。概して、これは、5〜10g/sqftの範囲であるが、所望の効果に応じて表面積1平方フィート当り0.1g〜50gの範囲とすることができる。コンベヤを通過する際にスキンの隙間に入り込んだ余剰微粒子は、再利用のため再生容器に取り込まれるようにしてもよい。
【0124】
次いで皮革を硬化ユニットに通す。概して、これは簡略的に皮革を乾燥ラインに沿って加熱することにより約100℃に到達させ2〜3分間行なう。しかしながら、硬化システムは、UV硬化、放射線硬化など、使用される樹脂バインダ系に対して完全に依存する。
【0125】
選択肢として、バインダ微粒子混合物を硬化した後、任意で更なるバインダコートをトップコートとして塗布してもよい。これは、微粒子を保持するフィルム基質をさらに強化して耐久性を最大化させる効果がある。塗布には上で示したものと同様の配合を使用するのが最も一般的だが、塗布レベルは低く、一平方フィート当り4〜8gが最適である。また、塗布は自動スプレーラインを用いてスプレーにより行なうのがもっとも一般的である。また同様に、硬化は使用されるバインダ系に依存する。
【0126】
方法2
基材材料、例えば皮革を標準的なローラコート装置に通過させ、ゴム化微粒子が内部に拡散した架橋ウレタン樹脂を塗布される。一般的に、樹脂のコート重量は一平方フィート当り8〜14gの間であるが、ユーザの好みに応じて多くまたは少なく塗布してもよい。このような樹脂混合は次のものにより構成される。
10部 脂肪族ポリイソシアン酸塩(架橋剤)
15部 タンパク質、脂肪及び特殊コロイドを有する無機つや消し剤の分散水溶液(充填剤)
25部 脂肪族ポリウレタン分散水溶液(バインダ)
20部 脂肪族アクリル分散水溶液(バインダ)
10部 水(希釈液)
25部 ゴム化微粒子
【0127】
必要であれば上記の混合物を顔料により着色してもよい。混合物は、混合物中に粒子を十分に拡散させるために高速剪断ミキシングが必要となる。任意で、拡散特性を強化させるために追加補助剤を加えてもよい。これは単に分散剤として知られる。
【0128】
次いで皮革を硬化ユニットに通す。概して、これは簡略的に皮革を乾燥ラインに沿って加熱することにより約100℃に到達させ2〜3分間行なう。しかしながら、硬化システムは、UV硬化、放射線硬化など、使用される樹脂バインダ系に対して完全に依存する。
【0129】
選択肢として、バインダ微粒子混合物を硬化した後、任意で更なるバインダコートをトップコートとして塗布してもよい。これは、微粒子を保持するフィルム基質をさらに強化して耐久性を最大化させる効果がある。塗布には上で示したものと同様の配合を使用するのが最も一般的だが、塗布レベルは低く、一平方フィート当り4〜8gが最適である。また、塗布は自動スプレーラインを用いてスプレーにより行なうのが最も一般的である。また同様に、硬化は使用されるバインダ系に依存する。
【0130】
例5 高可塑化コーティング
本質的にコーティングは高可塑化された以下の化合物である。
a)PVCホモポリマ
b)PVC/PVAコポリマ
c)シリコンゴム
d)ウレタン樹脂
e)アクリル樹脂
f)ウレタン/アクリルハイブリッド
【0131】
使用中における着用特性用であるフィルムの物理的特性を向上させるため、追加的な架橋補助剤(例えばポリイソシアン酸塩)を使用してもよい。さらに、この化合物は、研磨剤またはゴム化微粒子を導入することにより、上記と同様に強化させることができる。
【0132】
以下に適切な方法について説明するが、他にも多くの変形例が存在する。
【0133】
方法1
基材材料、例えば皮革をローラコート装置に通過させ、高可塑化PVCを塗布する。一般的に、樹脂のコート重量は一平方フィート当り8〜14gの間であるが、多くまたは少なく塗布してもよい。このような混合物は次のものにより構成される。
65部 可塑化剤
35部 PVCホモポリマ
【0134】
必要であれば上記の混合物を顔料により着色してもよい。
【0135】
次いで皮革を硬化ユニットに通す。概して、これは簡略的に皮革を乾燥ラインに沿って加熱することにより約165℃に到達させ2〜3分間行なう。しかしながら、硬化システムは、UV硬化、放射線硬化など、使用される混合物の化学的特性に対して完全に依存する。
【0136】
必要であれば、何らかの所望のコーティング方法によりさらなるコートを塗布した後、再度正しい硬化条件としてもよい。
任意的に、コーティングは、濡れているときのグリップ特性の向上を促進するテクスチャを表面に付けるため、テクスチャエンボスプレート等の種々の手段によりエンボス加工されてよい。このことは、本明細書で示した他の多くの例について考慮してもよい。
【0137】
例5a 第1可塑化剤のみを有する高可塑化PVCコーティング
33部 ポリ塩化ビニル樹脂
64部 フタル酸ジオクチル(CAS番号[117−81−7])
2部 顔料
1部 カルシウム/亜鉛ステアラート分散液(安定剤としてのエポキシ化大豆油中)
部は質量部によるものであり、本例の正確な配合からはわずかに変動してもよい。コーティング剤は例5に関連して上記に挙げた方法により塗布することができる。
【0138】
例5b 第1及び第2可塑化剤を有する高可塑化PVCコーティング
33部 ポリ塩化ビニル樹脂
32部 フタル酸ジオクチル(CAS番号[117−81−7])
32部 エポキシ化大豆油
2部 顔料
1部 カルシウム/亜鉛ステアラート分散液(安定剤としてのエポキシ化大豆油中)
部は質量部によるものであり、本例の正確な配合からはわずかに変動してもよい。コーティング剤は例5に関連して上記に挙げた方法により塗布することができる。
【0139】
例5c 延長剤を含む高可塑化PVCコーティング
33部 ポリ塩化ビニル樹脂
55部 フタル酸ジオクチル(CAS番号[117−81−7])
9部 ポリイソブチレン
2部 顔料
1部 カルシウム/亜鉛ステアラート分散液(安定剤としてのエポキシ化大豆油中)
【0140】
部は質量部によるものであり、本例の正確な配合からはわずかに変動してもよい。コーティング剤は例5に関連して上記に挙げた方法により塗布することができる。
【0141】
例6 液体シリコンゴムコーティング
皮革表面上に液体シリコンゴムをコーティングした。使用中における着用特性用であるフィルムの物理的特性を向上させるため、追加的な架橋補助剤(例えばエポキシシラン)を使用してもよい。さらに、この化合物は、研磨剤またはゴム化微粒子を導入することにより、上記と同様に強化させることができる。
【0142】
以下に適切な方法について説明するが、他にも変形例が存在する。
【0143】
方法1
皮革をローラコート装置に通過させることで液体シリコンゴムを塗布する。一般的に、混合物のコート重量は一平方フィート当り8〜14gの間であるが、多くまたは少なく塗布してもよい。このような混合物は次のものにより構成される。
97部 液体シリコンゴム
3部 エポキシシラン架橋剤
【0144】
必要であれば上記の混合物を顔料により着色してもよい。
【0145】
次いで皮革を硬化ユニットに通す。概して、これは簡略的に皮革を乾燥ラインに沿って加熱することにより約165℃に到達させ2〜3分間行なう。しかしながら、硬化システムは、UV硬化、放射線硬化、エア硬化など、使用される混合物の化学特性に対して完全に依存する。
【0146】
必要であれば、何らかの所望のコーティング方法によりさらなるコートを適用した後、再度正しい硬化条件としてもよい。
エンボス加工を考慮してもよい。これについても上記を参照されたい。
【0147】
例7 パッチ
パッチは、本質的に上記で説明した前述のコーティングされた材料タイプの切り出し要素である。ベース材料は、天然または合成の、織布または不織繊維である。例えばヤギまたはカンガルーを含む全ての皮革タイプ、あるいはケブラーなどの合成繊維である。ベース材料の厚さは概して0.6〜1.0mmであるが、0.1〜2mmの厚さ範囲でもよい。
【0148】
接着剤としては以下のものを使用することができる。
a)液体ゴム接着剤
b)スーパーグルータイプの接着剤(シアノアクリル酸)
c)傷用包帯で使用される強粘着性接着剤
d)フックループファスナ(例ベルクロ)
e)両面テープ
f)感圧接着剤
g)再配置可能接着剤
h)アクリルベース接着剤
i)ウレタンベース接着剤
【0149】
これらの接着剤は、パッチを永久に付けたり及び取り外し可能とする両方に対する提案である。
加水分解性(水安定性)接着剤が、末端利用において提案されてもよい。
【0150】
本発明の態様について説明したが、これらは単なる例示であり、特許請求の範囲において定義された本発明の意図及び範囲を逸脱することなく変形及び追加可能であることは明らかである。
【0151】
本明細書で用いた「構成され」との語は限定の意味で用いられているのではないことを理解すべきである。すなわち、「構成され」とは構成を排他的に定義するものではなく、他の要素及び構成が追加される可能性を含むものである。
【0152】
また、本明細書は、従来技術に対する本発明者の理解に基づいている。従来技術に関する記載は、従来技術を真性な状態で正式に開示しているとみなされるべきではない。むしろ、発明者が本発明を開発するに際して考慮した参考資料であるとみなすべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明に係るスポーツシューズの好適な一実施形態の斜視図である。
【図2】本発明に係るパッチの好適な一実施形態の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上部の一部が、コーティング剤の存在により得られたグリップエリアを備え、前記コーティング剤は、乾燥摩擦係数が、本明細書で定義された修正IUP51試験による標準運動用皮革の乾燥摩擦係数よりも上回る、シューズ。
【請求項2】
少なくとも一部が、本明細書で定義された修正IUP51試験による標準運動用皮革の乾燥摩擦係数よりも上回る乾燥摩擦係数を供与するコーティング剤によりコートされた、シューズ上部を構成するのに適した材料。
【請求項3】
本明細書で定義された修正IUP51試験による標準運動用皮革の乾燥摩擦係数よりも上回る乾燥摩擦係数を供与するコーティング剤により少なくとも一部がコートされた少なくとも一表面を提供する、シューズ上部に適用されるパッチ
【請求項4】
前記コーティング剤は、液体シリコンゴムコーティング剤により構成された、請求項1から3のいずれかに各々記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項5】
前記コーティング剤は、高可塑化コーティング剤により構成された、請求項1から3のいずれかに各々記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項6】
前記コーティング剤は、PVCホモポリマまたはPVC/PVAコポリマをベースとする、請求項5に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項7】
ジアルキルアジペートエステル、ジアルキルアゼレート、グリコールジベンゾエートエステル、ブチルフタリルやブチルグリコール酸等のグリコール酸、トリアルキルトリメリテート等のメリテート、数個のフェノキシ化合物、トリアリールとトリアルキルとアルキルアリールとの組み合わせを含むリン酸エステル、ジアルキル及びアルキルベンジルo−フタラートに重点が置かれたオルトフタル酸誘導体、ポリエステル、グリコールを有する種々の二塩基酸(例えば種々の単官基化合物末端を持つグリコールを持つアジピン、アゼライン、フタル酸)、ペンタエリスリトール誘導体、および、スルホンアミド、により成るグループから選択される可塑化剤が含まれる、請求項6に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項8】
芳香族及び混合芳香族脂肪族油、塩素化パラフィン、PVCとの相溶性が低いポリアルファメチルスチレン誘導体及び高分子量アルコールと有機酸のポリアルファメチルスチレンエステル、直鎖二塩基酸の単量体エステル、及び、エポキシ化大豆油とエポキシ化トール油と幾つかのエポキシ樹脂とを含む特定のエポキシ誘導体、により成るグループから選択される第2可塑剤が含まれる、請求項7に各々記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項9】
前記可塑化剤は、前記ポリマまたはコポリマに対して65重量%以上存在する、請求項7または8に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項10】
前記可塑化剤は、前記ポリマまたはコポリマに対して66±4重量%存在する、請求項7または8に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項11】
エポキシ化大豆油中に拡散した無機ステアラートを有する、請求項7から10のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項12】
ポリイソブチレンを有する、請求項7から10のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項13】
少なくとも部分的に微粒子材料によりコートされているか、または該コートを有している、いずれかまたは両方である、請求項4から12のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項14】
微粒子材料を含有する、あるいは少なくとも一部がコーティングされているかいずれかまたは両方であるコーティングにより、少なくとも部分的にコートされている、請求項1から3のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項15】
前記コーティング剤は、脂肪族ポリウレタン分散水溶液と脂肪族アクリル分散水溶液のいずれかまたは両方を含む、請求項14に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項16】
架橋剤を含む、請求項15に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項17】
前記架橋剤はイソシアン酸塩である、請求項16に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項18】
前記微粒子材料は無機物を含有する、請求項13から17のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項19】
前記無機物は、酸化アルミニウム、炭化タングステン、炭化ケイ素、立方晶チッ化ホウ素、セラミック材料、ザクロ石、3M社のトライザクト(登録商標)研磨剤、および、ダイヤモンド微粒子より成るグループから選択される、請求項18に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項20】
前記微粒子材料は、微粒子状または顆粒状である合成プラスチック材料を含有する、請求項13から17のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項21】
前記含有されたプラスチック粒子の硬度は、75ショアAの硬度以上である、請求項20に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項22】
前記微粒子材料は、クラムラバーにより構成された、請求項13から17のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項23】
前記微粒子材料は、算入寸法範囲0.5〜100ミクロンの粒子を含有する、請求項12から21のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項24】
前記コーティング剤は、皮革材料に対して塗布される、前記各請求項のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項25】
前記皮革はヤギまたはカンガルー革である、請求項24に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項26】
前記コーティング剤は、布地またはテキスタイルに対して適用される、請求項1から23のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項27】
前記布地またはテキスタイルは、ケブラーであるかケブラーを含む、請求項26に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項28】
前記コーティング剤は図柄の塗布に使用される、前記各請求項のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項29】
前記図柄は、ロゴ、広告素材、絵、文字、英数字、繰返し模様または配置のうち一つ以上により構成されている、請求項28に記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項30】
異なる前記コーティング剤を備えた領域を含む、前記各請求項のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項31】
フックパイル素材である3M社のグレップタイルG200の領域を有する、前記各請求項のいずれかに記載されたシューズ、材料、またはパッチ。
【請求項32】
自己粘着性の層を有する、前記請求項3または請求項3に従属する請求項4から30のいずれかに記載されたパッチ。
【請求項33】
つま先部の上部の少なくとも一部が、本明細書で定義された修正IUP51試験により比較した場合に標準的な運動用皮革よりも乾燥摩擦係数を増加させるグリップ性強化剤のコーティング剤を有し、前記グリップ性強化剤は、液体シリコンゴム、高可塑剤内容物を持つPVCポリマ、高可塑剤内容物を持つPVC/PVAコポリマ、高可塑剤内容物を持つウレタン樹脂、高可塑剤内容物を持つアクリル樹脂、高可塑剤内容物を持つウレタン/アクリル混合物またはハイブリッド、以上に挙げた本グループの物質と組み合わせた微粒子材料、及び、アクリル及び/またはポリウレタンバインダと組み合わせた微粒子材料、より成るグループから選択される、スポーツシューズ。
【請求項34】
つま先部の上部の少なくとも一部が、本明細書で定義された修正IUP51試験により比較した場合に標準的な運動用皮革よりも乾燥摩擦係数を増加させるグリップ性強化剤によるコーティング剤を有し、前記グリップ性強化剤は、液体シリコンゴム、高可塑剤内容物を持つPVCポリマ、高可塑剤内容物を持つPVC/PVAコポリマ、高可塑剤内容物を持つウレタン樹脂、高可塑剤内容物を持つアクリル樹脂、高可塑剤内容物を持つウレタン/アクリル混合物またはハイブリッド、以上に挙げられた本グループの物質と組み合わせた微粒子材料、及び、アクリル及び/またはポリウレタンバインダと組み合わせた微粒子材料、より成るグループから選択される、シューズに取り付けるのに適当なパッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−509655(P2007−509655A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537009(P2006−537009)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001545
【国際公開番号】WO2005/044036
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506151877)
【Fターム(参考)】