説明

スイッチング電源装置およびパワーステアリング電源装置

【課題】電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができること。
【解決手段】電源10の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷30に印加するチョッパ式定電圧回路20を有するスイッチング電源装置1であり、故障検知部252は、スイッチング電源装置1および負荷30の故障を検知し、定電圧制御部251は、故障検知部252によって故障が検知された場合、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧を所定の電圧以下に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチング電源装置およびパワーステアリング電源装置に関し、特に電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができるスイッチング電源装置およびパワーステアリング電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電源の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷に印加する定電圧回路を有するスイッチング電源装置が知られている。かかるスイッチング電源装置においては、定電圧回路の上流に電源を制御する電源制御回路が配置されており、スイッチング電源装置を小型化する上で障害となっていた。特に、電流容量の大きな電源制御回路の場合は、電流容量の大きなスイッチが必要になるのでスイッチング電源装置を小型化する上で障害となるばかりではなく、スイッチング電源装置の低コスト化をする上で障害となっていた。例えば、特許文献1では、負荷が過負荷または短絡した場合にスイッチング電源装置のスイッチング素子の破損を防ぐために電源を制御する電源制御回路に関する従来技術を開示している。
【0003】
【特許文献1】実開平5−48539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、負荷が過負荷または短絡した場合にスイッチング電源装置のスイッチング素子の破損を防ぐために電源を制御することはできるが、電源制御回路を省くことができないので、小型化および低コスト化ができないという課題があった。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができるスイッチング電源装置およびパワーステアリング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係るスイッチング電源装置は、電源の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷に印加する定電圧回路を有するスイッチング電源装置であって、前記スイッチング電源装置および/または前記負荷の故障を検知する故障検知手段と、前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御する定電圧制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この請求項1の発明によれば、スイッチング電源装置および/または負荷の故障を検知し、故障が検知された場合、定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御することとしたので、スイッチング電源装置は、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができる。
【0008】
また、請求項2の発明に係るスイッチング電源装置は、請求項1の発明において、前記定電圧回路は、前記電源によって電圧を印加されるコイルと、該コイルを地絡または開放するスイッチと、を少なくとも有することを特徴とする。
【0009】
この請求項2の発明によれば、電源によって電圧を印加されるコイルと、コイルを地絡または開放するスイッチと、を少なくとも有することとしたので、スイッチング電源装置は、故障が検知された場合、スイッチにより定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御することができ、もって電源制御回路を省くことができる。
【0010】
また、請求項3の発明に係るスイッチング電源装置は、請求項1の発明において、前記定電圧回路は、前記電源の電圧を変圧する変圧器と、該変圧器の一次コイルを地絡または開放するスイッチと、を少なくとも有することを特徴とする。
【0011】
この請求項3の発明によれば、電源の電圧を変圧する変圧器と、変圧器の一次コイルを地絡または開放するスイッチと、を少なくとも有することとしたので、スイッチング電源装置は、故障が検知された場合、スイッチにより定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御することができ、もって電源制御回路を省くことができる。
【0012】
また、請求項4の発明に係るスイッチング電源装置は、請求項1の発明において、前記スイッチング電源装置および/または前記負荷に関する電圧、電流、抵抗、前記負荷の故障を識別する信号の少なくともいずれか一つに基づいて前記故障を検知する検知器であることを特徴とする。
【0013】
この請求項4の発明によれば、スイッチング電源装置および/または負荷に関する電圧、電流、抵抗、負荷の故障を識別する信号の少なくともいずれか一つに基づいて故障を検知する検知器であることとしたので、スイッチング電源装置は、スイッチング電源装置および負荷で発生した故障を容易に検知することができる。
【0014】
また、請求項5の発明に係るスイッチング電源装置は、請求項1〜4のいずれか一つの発明において、前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路を制御することを特徴とする。
【0015】
この請求項5の発明によれば、故障が検知された場合、電源を地絡するよう定電圧回路を制御することとしたので、スイッチング電源装置は、定電圧回路の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができる。
【0016】
また、請求項6の発明に係るスイッチング電源装置は、請求項1〜5のいずれか一つの発明において、前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路のスイッチを制御することを特徴とする。
【0017】
この請求項6の発明によれば、故障が検知された場合、電源を地絡するよう定電圧回路のスイッチを制御することとしたので、スイッチング電源装置は、スイッチをONすることにより定電圧回路の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができる。
【0018】
また、請求項7の発明に係るスイッチング電源装置は、請求項1〜6のいずれか一つの発明において、前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段により検知された故障が前記定電圧回路より下流で発生した場合に、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路を制御することを特徴とする。
【0019】
この請求項7の発明によれば、故障が定電圧回路より下流で発生した場合に、電源を地絡するよう定電圧回路を制御することとしたので、スイッチング電源装置は、故障が定電圧回路の上流で発生した場合には電源を地絡せず、故障が定電圧回路の下流で発生した場合に電源を地絡することにより定電圧回路の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができる。
【0020】
また、請求項8の発明に係るスイッチング電源装置は、請求項1〜7のいずれか一つの発明において、前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段によって前記定電圧回路の電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つを検出し、検出した電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つに基づいて前記電源が地絡されていないと判断した場合は、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路を制御することを特徴とする。
【0021】
この請求項8の発明によれば、定電圧回路の電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つを検出し、検出した電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つに基づいて電源が地絡されていないと判断した場合は、電源を地絡するよう定電圧回路を制御することとしたので、スイッチング電源装置は、スイッチング電源装置および負荷に故障が発生した場合に、安全に電源を遮断することができる。
【0022】
また、請求項9の発明に係るスイッチング電源装置は、請求項1〜8のいずれか一つの発明において、前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段によって前記定電圧回路の電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つを検出し、検出した電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つが正常でない場合は、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路を制御することを特徴とする。
【0023】
この請求項9の発明によれば、定電圧回路の電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つを検出し、検出した電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つが正常でない場合は、電源を地絡するよう定電圧回路を制御することとしたので、スイッチング電源装置は、スイッチング電源装置および負荷に故障が発生した場合に、安全に電源を遮断することができる。
【0024】
また、請求項10の発明に係るパワーステアリング電源装置は、電源の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧をパワーステアリング装置に印加する定電圧回路を有するパワーステアリング電源装置であって、前記パワーステアリング電源装置および/または前記パワーステアリング装置の故障を検知する故障検知手段と、前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御する定電圧制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
この請求項10の発明によれば、パワーステアリング電源装置および/またはパワーステアリング装置の故障を検知し、故障が検知された場合、定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御することとしたので、パワーステアリング電源装置は、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができる。
【0026】
また、請求項11の発明に係るパワーステアリング電源装置は、請求項10の発明において、報知手段をさらに備え、前記定電圧制御手段は、前記電源が地絡されているか否かが確認できない場合に、前記報知手段によって前記電源が地絡されているか否かが確認できないことを報知することを特徴とする。
【0027】
この請求項11の発明によれば、電源が地絡されているか否かが確認できない場合に、電源が地絡されているか否かが確認できないことを報知することとしたので、パワーステアリング電源装置は、電源が地絡されているか否かが確認できないことを容易にドライバに知らせることができる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば、スイッチング電源装置および/または負荷の故障を検知し、故障が検知された場合、定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御するよう構成したので、スイッチング電源装置は、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができるという効果を奏する。
【0029】
また、請求項2の発明によれば、定電圧回路は、電源によって電圧を印加されるコイルと、コイルを地絡または開放するスイッチと、を少なくとも有するよう構成したので、スイッチング電源装置は、故障が検知された場合、スイッチにより定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御することができ、もって電源制御回路を省くことができるという効果を奏する。
【0030】
また、請求項3の発明によれば、定電圧回路は、電源の電圧を変圧する変圧器と、変圧器の一次コイルを地絡または開放するスイッチと、を少なくとも有するよう構成したので、スイッチング電源装置は、故障が検知された場合、スイッチにより定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御することができ、もって電源制御回路を省くことができるという効果を奏する。
【0031】
また、請求項4の発明によれば、スイッチング電源装置および/または負荷に関する電圧、電流、抵抗、負荷の故障を識別する信号の少なくともいずれか一つに基づいて故障を検知する検知器であるよう構成したので、スイッチング電源装置は、スイッチング電源装置および負荷で発生した故障を容易に検知することができるという効果を奏する。
【0032】
また、請求項5の発明によれば、故障が検知された場合、電源を地絡するよう定電圧回路を制御するよう構成したので、スイッチング電源装置は、定電圧回路の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができるという効果を奏する。
【0033】
また、請求項6の発明によれば、故障が検知された場合、電源を地絡するよう定電圧回路のスイッチを制御するよう構成したので、スイッチング電源装置は、スイッチをONすることにより定電圧回路の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができるという効果を奏する。
【0034】
また、請求項7の発明によれば、故障が定電圧回路より下流で発生した場合に、電源を地絡するよう定電圧回路を制御するよう構成したので、スイッチング電源装置は、故障が定電圧回路の上流で発生した場合には電源を地絡せず、故障が定電圧回路の下流で発生した場合に電源を地絡することにより定電圧回路の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができるという効果を奏する。
【0035】
また、請求項8の発明によれば、定電圧回路の電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つを検出し、検出した電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つに基づいて電源が地絡されていないと判断した場合は、電源を地絡するよう定電圧回路を制御するよう構成したので、スイッチング電源装置は、スイッチング電源装置および負荷に故障が発生した場合に、安全に電源を遮断することができるという効果を奏する。
【0036】
また、請求項9の発明によれば、定電圧回路の電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つを検出し、検出した電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つが正常でない場合は、電源を地絡するよう定電圧回路を制御するよう構成したので、スイッチング電源装置は、スイッチング電源装置および負荷に故障が発生した場合に、安全に電源を遮断すること
ができるという効果を奏する。
【0037】
また、請求項10の発明によれば、パワーステアリング電源装置および/またはパワーステアリング装置の故障を検知し、故障が検知された場合、定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御するよう構成したので、パワーステアリング電源装置は、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができるという効果を奏する。
【0038】
また、請求項11の発明によれば、電源が地絡されているか否かが確認できない場合に、電源が地絡されているか否かが確認できないことを報知するよう構成したので、パワーステアリング電源装置は、電源が地絡されているか否かが確認できないことを容易にドライバに知らせることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るスイッチング電源装置およびパワーステアリング電源装置の好適な実施例を詳細に説明する。ここでは、以下の実施例1〜実施例3について説明する。
(1)実施例1は、チョッパ式定電圧回路を有するスイッチング電源装置および負荷の故障発生時に電源を電圧制御または遮断する場合について説明する。
(2)実施例2は、トランス式定電圧回路を有するスイッチング電源装置および負荷の故障発生時に電源を遮断する場合について説明する。
(3)実施例3は、パワーステアリング電源装置およびパワーステアリング装置の故障発生時に電源を遮断する場合について説明する。
【実施例1】
【0040】
実施例1では、チョッパ式定電圧回路を有するスイッチング電源装置および負荷の故障発生時に電源を電圧制御または遮断する場合について説明する。ここでは、(1−1)スイッチング電源装置の概要と主要な特徴、(1−2)スイッチング電源装置の構成、(1−3)故障が発生した場合の電圧制御手順、(1−4)故障が発生した場合の電源遮断手順、(1−5)チョッパ式定電圧回路より下流で故障が発生した場合の電源遮断手順、(1−6)チョッパ式定電圧回路の出力電圧に基づく電源遮断手順、(1−7)チョッパ式定電圧回路の出力電圧が正常でない場合の電源遮断手順の順番に説明する。
【0041】
(1−1)スイッチング電源装置の概要と主要な特徴
まず、図1を参照して、実施例1に係るスイッチング電源装置1の概要と主要な特徴について説明する。図1は、実施例1に係るスイッチング電源装置1の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、実施例1に係るスイッチング電源装置1は、電源10と、電源10の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷30に印加するチョッパ式定電圧回路20を有する電源装置であり、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができることを特徴とする。
【0042】
また、故障検知部252は、スイッチング電源装置1および/または負荷30の故障を検知し、定電圧制御部251は、故障が検知された場合、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧を所定の電圧以下に制御する、例えばチョッパ式定電圧回路20の定電圧スイッチ202をPWM制御することとしたので、スイッチング電源装置1は、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができる。
【0043】
(1−2)スイッチング電源装置の構成
図1に示すように、実施例1に係るスイッチング電源装置1は、電源10、チョッパ式定電圧回路20、コンデンサ22、制御回路25、負荷30を有する。電源10は、スイッチング電源装置1の電源であり、直流電源である。また、チョッパ式定電圧回路20は、電源10の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷に印加する回路であり、コイル201、定電圧スイッチ202、ダイオード203を有する。コイル201は、電源10によって励磁される電磁コイルである。また、定電圧スイッチ202は、コイル201を地絡または開放する半導体スイッチまたは電磁式リレーなどのスイッチである。また、ダイオード203は、整流ダイオードである。また、コンデンサ22は、チョッパ式定電圧回路20が変圧した電圧を平滑化する平滑用コンデンサである。
【0044】
図1を参照して、スイッチング電源装置1の動作について説明する。定電圧スイッチ202がONの場合、電源10、コイル201および定電圧スイッチ202を流れる電流によってコイル201が励磁され、コイル201は、電気エネルギーを蓄積する。一方、定電圧スイッチ202がOFFの場合、コイル201に蓄積された電気エネルギーがコンデンサ22を充電するとともに負荷30に供給される。このように、定電圧スイッチ202がON/OFFを周期的に繰り返すことによって、スイッチング電源装置1は、電源10の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷30に印加することができる。
【0045】
制御回路25は、スイッチング電源装置1の全体を制御する制御部であり、定電圧制御部251、故障検知部252を有する。定電圧制御部251は、故障が検知された場合、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧を所定の電圧以下に制御する制御部である。また、定電圧制御部251は、故障が検知された場合、電源を地絡するようチョッパ式定電圧回路20を制御する。また、定電圧制御部251は、故障が検知された場合、電源10を地絡するよう定電圧スイッチ202を制御する。また、定電圧制御部251は、故障が定電圧回路より下流で発生した場合に、電源を地絡するようチョッパ式定電圧回路20を制御する。また、定電圧制御部251は、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧を検出し、検出した出力電圧に基づいて電源が地絡されていないと判断した場合は、電源を地絡するよう定電圧回路を制御する。また、定電圧制御部251は、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧を検出し、検出した出力電圧が正常でない場合は、電源10を地絡するようチョッパ式定電圧回路20を制御する。
【0046】
ここで、図2を参照して、図1に示すチョッパ式定電圧回路20の出力電圧Vを所定の電圧以下に制御する一例について説明する。図2は、図1に示すチョッパ式定電圧回路20の出力電圧Vを所定の電圧以下に制御する一例を示す図である。同図に示すように、定電圧制御部251は、故障検知部252によって故障が検知された場合、例えば、定電圧スイッチ202をPWM制御して、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧Vを所定の電圧以下にする。なお、所定の電圧は、それ以下の電圧ではスイッチング電源装置1および負荷30がシステムとして動作できない電圧である。
【0047】
図1の説明に戻ると、故障検知部252は、スイッチング電源装置1および負荷30の故障を検知する検知部である。また、故障検知部252は、スイッチング電源装置1および負荷30に関する電圧、電流、抵抗、負荷の故障を識別する信号の少なくともいずれか一つに基づいて故障を検知する検知器である。一般的に、電気回路の故障には、短絡故障と開放故障がある。短絡故障の場合は、電圧が降下し、大きな電流が流れ、回路抵抗が小さな値となる。また、開放故障の場合は、電圧および電流が0になり、回路抵抗が大きな値となる。したがって、電圧、電流、抵抗を検出してスイッチング電源装置1および負荷30に関する故障を検知することができる。また、負荷30が自分自身の故障を検知し、検知した故障を識別する信号を生成し、故障検知部252は、負荷30が生成した信号を受信することによって負荷30の故障を検知することができる。
【0048】
(1−3)故障が発生した場合の電圧制御手順
次に、図3を参照して、図1に示すスイッチング電源装置1および負荷30において故障が発生した場合の電圧制御手順について説明する。図3は、図1に示すスイッチング電源装置1および負荷30において故障が発生した場合の電圧制御手順を示すフローチャートである。
【0049】
同図に示すように、まず制御回路を起動する(ステップS701)。そして、定電圧制御部251は、故障検知部252によってスイッチング電源装置1または負荷30の故障が発生したか否かを検知する(ステップS702)。その結果、故障検知部252によってスイッチング電源装置1または負荷30の故障が発生したことを検知できなかった場合は(ステップS702否定)、定電圧制御部251は、本手順を終了する。
【0050】
一方、故障検知部252によってスイッチング電源装置1または負荷30の故障が発生したことを検知した場合は(ステップS702肯定)、定電圧制御部251は、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧をモニタする(ステップS703)。そして、定電圧制御部251は、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が所定の電圧以下であるか否かを判定する(ステップS704)。
【0051】
その結果、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が所定の電圧以下でない場合は(ステップS704否定)、定電圧制御部251は、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が所定の電圧になるように制御する(ステップS705)。一方、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が所定の電圧以下である場合は(ステップS704肯定)、定電圧制御部251は、本手順を終了する。
【0052】
このように、スイッチング電源装置1は、スイッチング電源装置1または負荷30において故障が発生した場合に、定電圧スイッチ202を制御することによりチョッパ式定電圧回路20の出力電圧を所定の電圧以下に制御して、スイッチング電源装置1および負荷30がシステムとして動作できないようにすることができる。
【0053】
(1−4)故障が発生した場合の電源遮断手順
次に、図4を参照して、図1に示すスイッチング電源装置1および負荷30において故障が発生した場合の電源遮断手順について説明する。図4は、図1に示すスイッチング電源装置1および負荷30において故障が発生した場合の電源遮断手順を示すフローチャートである。
【0054】
同図に示すように、まず制御回路を起動する(ステップS301)。そして、定電圧制御部251は、故障検知部252によってスイッチング電源装置1または負荷30の故障が発生したか否かを検知する(ステップS302)。
【0055】
その結果、故障検知部252によってスイッチング電源装置1または負荷30の故障が発生したことを検知できなかった場合は(ステップS302否定)、定電圧制御部251は、所定の定電圧制御をするために定電圧スイッチ202のON/OFFを周期的に繰り返す(ステップS303)。一方、故障検知部252によってスイッチング電源装置1または負荷30の故障が発生したことを検知した場合は(ステップS302肯定)、定電圧制御部251は、定電圧スイッチ202をONする(ステップS304)。すなわち、定電圧制御部251は、定電圧スイッチ202をONすることにより電源10を地絡させ、チョッパ式定電圧回路20の下流に流れる電流を遮断することができる。
【0056】
このように、スイッチング電源装置1は、スイッチング電源装置1または負荷30において故障が発生した場合に、定電圧スイッチ202をONすることにより電源10を地絡させ、チョッパ式定電圧回路20より下流に流れる電流を遮断する。
【0057】
(1−5)チョッパ式定電圧回路より下流で故障が発生した場合の電源遮断手順
次に、図5を参照して、図1に示すスイッチング電源装置1および負荷30においてチョッパ式定電圧回路20より下流で故障が発生した場合の電源遮断手順について説明する。図5は、図1に示すスイッチング電源装置1および負荷30においてチョッパ式定電圧回路20より下流で故障が発生した場合の電源遮断手順を示すフローチャートである。同図に示すように、本手順のステップS401〜ステップS403は、図5のステップS301〜ステップS303と同じであるので説明は省略し、ステップS404〜ステップS406について説明する。
【0058】
定電圧制御部251は、故障検知部252によってスイッチング電源装置1または負荷30の故障が発生したことを検知した場合は、さらに発生した故障がチョッパ式定電圧回路20の下流で発生したか否かを調べる(ステップS404)。その結果、発生した故障がチョッパ式定電圧回路20の上流で発生した場合は(ステップS404否定)、定電圧制御部251は、電源10を遮断する必要がないと判定し、定電圧スイッチ202をOFFする(ステップS405)。例えば、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が0になった場合は、チョッパ式定電圧回路20の上流で開放故障が起こったことが想定される。
【0059】
一方、発生した故障がチョッパ式定電圧回路20の下流で発生した場合は(ステップS404肯定)、定電圧制御部251は、電源10を遮断する必要があると判定し、定電圧スイッチ202をONする(ステップS406)。例えば、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧において電圧降下が生じた場合は、チョッパ式定電圧回路20の下流で短絡故障が起こったことが想定される。
【0060】
このように、スイッチング電源装置1は、故障検知部252によって検知された故障がチョッパ式定電圧回路20より下流で発生した場合に、電源10を地絡するようチョッパ式定電圧回路20を制御することとしたので、スイッチング電源装置1は、故障がチョッパ式定電圧回路20の上流で発生した場合には電源10を地絡せず、故障がチョッパ式定電圧回路20の下流で発生した場合に電源10を地絡することによりチョッパ式定電圧回路20の下流への電流を容易に遮断できる。
【0061】
(1−6)チョッパ式定電圧回路の出力電圧に基づく電源遮断手順
次に、図6を参照して、図1に示すチョッパ式定電圧回路20の出力電圧に基づいて電源10の遮断を確認する電源遮断手順について説明する。図6は、図1に示すチョッパ式定電圧回路20の出力電圧に基づいて電源10の遮断を確認する電源遮断手順を示すフローチャートである。同図に示すように、本手順のステップS501〜ステップS506は、図5のステップS401〜ステップ406と同じであるので説明は省略し、ステップS507について説明する。
【0062】
定電圧制御部251は、定電圧スイッチ202をONした後、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧を検出し、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満であるか否かを調べる(ステップS507)。その結果、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満、例えば、1V未満である場合は(ステップS507肯定)、定電圧制御部251は、電源10が遮断されていると判定し本手順を終了する。一方、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧以上、例えば、1V以上である場合は(ステップS507否定)、定電圧制御部251は、電源10が遮断されていないと判定し、ステップS506に戻り、定電圧スイッチ202をONし(ステップS506)、電源10が遮断されるまでステップS506〜ステップS507の手順を繰り返す。なお、第1の所定の電圧は、チョッパ式定電圧回路20が遮断されているか否かを判断するための電圧である。
【0063】
このように、スイッチング電源装置1は、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧を検出し、検出した出力電圧が第1の所定の電圧以上、例えば、1V以上である場合は、電源10が遮断されていないと判定し、定電圧スイッチ202を繰り返しONすることにより電源10を遮断することとしたので、安全に電源10を遮断することができる。
【0064】
(1−7)チョッパ式定電圧回路の出力電圧が正常でない場合の電源遮断手順
次に、図7を参照して、図1に示すチョッパ式定電圧回路20の出力電圧が正常でない場合の電源遮断手順について説明する。図7は、図1に示すチョッパ式定電圧回路20の出力電圧が正常でない場合の電源遮断手順を示すフローチャートである。本手順のステップS605〜ステップS610は、図6のステップS502〜ステップS507と同じであるので説明は省略し、ステップS601〜ステップS604について説明する。
【0065】
同図に示すように、制御回路を起動する(ステップS601)。そして、定電圧制御部251は、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満、例えば、1V未満であるか否かを調べる(ステップS602)。その結果、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧以上、例えば、1V以上である場合は(ステップS602否定)、定電圧制御部251は、電圧が正常でなく、かつ電源10が遮断されていないと判定し、定電圧スイッチ202をONする(ステップS609)。
【0066】
そして、定電圧制御部251は、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満か否かを調べる(ステップS610)。その結果、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満である場合は(ステップS610肯定)、定電圧制御部251は、電源10が遮断されていると判定し、本手順を終了する。一方、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧以上である場合は(ステップS610否定)、定電圧制御部251は、定電圧スイッチ202をONし(ステップS609)、電源10が遮断されるまでステップS609〜ステップS610の手順を繰り返す。
【0067】
一方、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満、例えば、1V未満である場合は(ステップS602肯定)、定電圧制御部251は、電源10が遮断されていると判定し、チョッパ式定電圧回路20を起動する(ステップS603)。そして、定電圧制御部251は、出力電圧が第2の所定の電圧を超えているか否かを調べる(ステップS604)。その結果、出力電圧が第2の所定の電圧以下である場合は(ステップS604否定)、定電圧制御部251は、電圧が正常でないと判定し、定電圧スイッチ202をONする(ステップS609)。なお、第2の所定の電圧は、スイッチング電源装置1および負荷30がシステムとして正常に動作する動作電圧から逸脱した電圧である。
【0068】
そして、定電圧制御部251は、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満か否かを調べる(ステップS610)。その結果、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満である場合は(ステップS610肯定)、定電圧制御部251は、電源10が遮断されていると判定し、本手順を終了する。一方、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧以上である場合は(ステップS610否定)、定電圧制御部251は、定電圧スイッチ202をONし(ステップS609)、電源10が遮断されるまでステップS609〜ステップS610の手順を繰り返す。
【0069】
一方、出力電圧が第2の所定の電圧を超えている場合は(ステップS604肯定)、定電圧制御部251は、さらに故障検知部252によって故障が発生したか否かを検知する。
【0070】
このように、スイッチング電源装置1は、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧以上で、第2の所定の電圧以下である場合は、定電圧スイッチ202を繰り返しONすることにより電源10を遮断することとしたので、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が正常でない場合に、安全に電源10を遮断することができる。
【0071】
上述してきたように、本実施例1では、故障検知部252は、スイッチング電源装置1および負荷30の故障を検知し、定電圧制御部251は、故障が検知された場合、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧を所定の電圧以下に制御することとしたので、スイッチング電源装置1は、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができる。
【0072】
また、チョッパ式定電圧回路20は、電源10によって電圧を印加されるコイル201と、コイル201を地絡または開放する定電圧スイッチ202と、を少なくとも有することとしたので、スイッチング電源装置1は、故障が検知された場合、定電圧スイッチ202をONして電源10を地絡するよう制御することができ、もって電源制御回路を省くことができる。
【0073】
また、故障検知部252は、スイッチング電源装置1および負荷30に関する電圧、電流、抵抗、負荷30の故障を識別する信号の少なくともいずれか一つに基づいて故障を検知する検知器であることとしたので、スイッチング電源装置1は、スイッチング電源装置1および負荷30で発生した故障を容易に検知することができる。
【0074】
また、定電圧制御部251は、故障が検知された場合、電源を地絡するようチョッパ式定電圧回路20を制御することとしたので、スイッチング電源装置1は、チョッパ式定電圧回路20の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができる。
【0075】
また、定電圧制御部251は、故障が検知された場合、電源10を地絡するよう定電圧スイッチ202を制御することとしたので、スイッチング電源装置1は、定電圧スイッチ202をONすることによりチョッパ式定電圧回路20の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができる。
【0076】
また、定電圧制御部251は、故障がチョッパ式定電圧回路20より下流で発生した場合に、電源10を地絡するようチョッパ式定電圧回路20を制御することとしたので、スイッチング電源装置1は、故障がチョッパ式定電圧回路20の上流で発生した場合には電源10を地絡せず、故障がチョッパ式定電圧回路20の下流で発生した場合に電源10を地絡することによりチョッパ式定電圧回路20の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができる。
【0077】
また、定電圧制御部251は、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧を検出し、検出した出力電圧に基づいて電源が地絡されていないと判断した場合は、電源を地絡するようチョッパ式定電圧回路20を制御することとしたので、スイッチング電源装置1は、スイッチング電源装置1および負荷30に故障が発生した場合でも、安全に電源10を遮断することができる。
【0078】
また、定電圧制御部251は、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧を検出し、検出した出力電圧が正常でない場合は、電源10を地絡するようチョッパ式定電圧回路20を制御することとしたので、スイッチング電源装置1は、スイッチング電源装置1および負荷30に故障が発生した場合でも、安全に電源を遮断することができる。
【実施例2】
【0079】
ところで、実施例1では、チョッパ式定電圧回路20を有するスイッチング電源装置1または負荷30の故障発生時に電源を遮断する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、トランス式定電圧回路を有するスイッチング電源装置および負荷の故障発生時に電源を遮断する場合に適用することができる。実施例2では、トランス式定電圧回路を有するスイッチング電源装置および負荷の故障発生時に電源を遮断する場合について説明する。
【0080】
図8を参照して、実施例2に係るスイッチング電源装置1aの構成について説明する。図8は、実施例2に係るスイッチング電源装置1aの構成を示す機能ブロック図である。
なお、図1に示す実施例1に係るスイッチング電源装置1の構成との相違点について説明し、共通点については説明を省略する。
【0081】
同図に示すように、図1に示す実施例1に係るスイッチング電源装置1の構成との相違点は、トランス式定電圧回路20aである。トランス式定電圧回路20aは、定電圧スイッチ202、ダイオード203、変圧器204を有する。定電圧スイッチ202は、コイル201を地絡または開放する半導体スイッチまたは電磁式リレーなどのスイッチである。また、ダイオード203は、整流ダイオードである。また、変圧器204は、電源10の電圧を変圧する変圧器であり、電源10に接続された一次コイルの巻き数と二次コイルの巻き数の比で電圧を変圧する。
【0082】
図8を参照して、スイッチング電源装置1aの動作について説明する。定電圧スイッチ202がONの場合、変圧器204の一次コイルに電気エネルギーが蓄積され、その間、コンデンサ22から負荷30に電力が供給される。一方、定電圧スイッチ202がOFFの場合、一次コイルに蓄積された電気エネルギーは、2次コイルを介してコンデンサ22を充電するとともに、負荷30に供給される。このように、定電圧スイッチ202がON/OFFを周期的に繰り返すことによって、スイッチング電源装置1は、電源10の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷30に印加することができる。
【0083】
図8に示すスイッチング電源装置1aおよび負荷30において故障が発生した場合の電圧制御手順または電源遮断手順は、図1に示すスイッチング電源装置1および負荷30において故障が発生した場合の電圧制御手順または電源遮断手順とまったく同じであるので、ここでは説明は省略する。
【0084】
上述してきたように、本実施例2では、トランス式定電圧回路20aは、電源10の電圧を変圧する変圧器204と、変圧器204の一次コイルを地絡または開放する定電圧スイッチ202と、を少なくとも有することとしたので、スイッチング電源装置1aは、故障が検知された場合、定電圧スイッチ202によりトランス式定電圧回路20aの出力電圧を所定の電圧以下に制御することができ、もって電源制御回路を省くことができる。
【実施例3】
【0085】
ところで、実施例1または2では、スイッチング電源装置1、1aまたは負荷30の故障発生時に電源10を遮断する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パワーステアリング電源装置およびパワーステアリング装置の故障発生時に電源を遮断する場合に適用することができる。本実施例3では、パワーステアリング電源装置およびパワーステアリング装置の故障発生時に電源を遮断する場合について説明する。
【0086】
図9を参照して、実施例3に係るパワーステアリング電源装置2の構成について説明する。図9は、実施例3に係るパワーステアリング電源装置2の構成を示す機能ブロック図である。なお、図1に示す実施例1に係るスイッチング電源装置1の構成との相違点について説明し、共通点については説明を省略する。
【0087】
同図に示すように、図1に示す実施例1に係るスイッチング電源装置1の構成との相違点は、報知部27、パワーステアリング装置31である。報知部27は、電源10が地絡されているか否かが確認できない場合に、電源が地絡されているか否かが確認できないことを報知する装置であり、音声出力、画像もしくは文字による表示、またはランプの点滅などにより報知する。また、パワーステアリング装置31は、車両のステアリングを電動制御する装置であり、パワーステアリングモータ駆動回路311、パワーステアリングモータ312を有する。パワーステアリングモータ駆動回路311は、パワーステアリングモータ312を駆動制御する回路である。また、パワーステアリングモータ312は、車両のステアリングを駆動するモータであり、DCモータまたは3相モータである。
【0088】
次に、図10を参照して、図9に示すパワーステアリング電源装置2およびパワーステアリング装置31の故障発生時に電源を遮断する電源遮断手順について説明する。図10は、図9に示すパワーステアリング電源装置2およびパワーステアリング装置31の故障発生時に電源を遮断する電源遮断手順を示すフローチャートである。同図に示すように、本手順のステップS801〜ステップS806は、図6のステップS501〜ステップ506と同じであるので説明は省略し、ステップS807〜ステップS808について説明する。
【0089】
定電圧制御部251は、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧を検出し、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満であるか否かを調べる(ステップS807)。その結果、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧未満、例えば、1V未満である場合は(ステップS807肯定)、定電圧制御部251は、電源10が遮断されていると判定し、本手順を終了する。一方、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が第1の所定の電圧以上、例えば、1V以上である場合は(ステップS807否定)、定電圧制御部251は、電源10が遮断されているか否かが確認できないと判定し、報知部27によって電源10が遮断されているか否かが確認できないことを報知し(ステップS808)、ステップS806に戻り、定電圧スイッチ202を再度ONする。
【0090】
このように、定電圧制御部251は、故障検知部252によってチョッパ式定電圧回路20の出力電圧をモニタし、モニタした出力電圧が第1の所定の電圧以上、例えば、1V以上なら電源10が遮断されているか否かが確認できないと判定し、報知部27によって電源10が遮断されているか否かが確認できないことを報知し、電源10の遮断を再度実施することとしたので、パワーステアリング電源装置2は、電源10が遮断されていないことを容易にドライバに知らせることができ、かつ安全に電源10を遮断することができる。
【0091】
上述してきたように、本実施例3では、故障検知部252は、パワーステアリング電源装置2およびパワーステアリング装置31の故障を検知し、定電圧制御部251は、故障が検知された場合、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧を所定の電圧以下に制御することとしたので、パワーステアリング電源装置2は、電源制御回路を省くことができ、もって小型化および低コスト化ができる。
【0092】
また、チョッパ式定電圧回路20は、電源10によって電圧を印加されるコイル201と、コイル201の電圧を地絡または開放する定電圧スイッチ202とを少なくとも有することとしたので、パワーステアリング電源装置2は、故障が検知された場合、定電圧スイッチ202をONして電源を地絡するよう制御することができ、もって電源制御回路を省くことができる。
【0093】
また、故障検知部252は、パワーステアリング電源装置2およびパワーステアリング装置31に関する電圧、電流、抵抗、パワーステアリング装置31の故障を識別する信号の少なくともいずれか一つに基づいて故障を検知する検知器であることとしたので、パワーステアリング電源装置2は、パワーステアリング電源装置2およびパワーステアリング装置31で発生した故障を容易に検知することができる。
【0094】
また、定電圧制御部251は、故障が検知された場合、電源10を地絡するよう定電圧回路20を制御することとしたので、パワーステアリング電源装置2は、チョッパ式定電圧回路20の下流への電流を容易に遮断でき、もって電源制御回路を省くことができる。
【0095】
また、定電圧制御部251は、電源10が地絡されているか否かが確認できない場合に、報知部27によって電源10が遮断されているか否かが確認できないことを報知することとしたので、パワーステアリング電源装置2は、電源10が地絡されているか否かが確認できないことを容易にドライバに知らせることができる。
【0096】
さて、これまで本発明の実施例1〜3について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
【0097】
例えば、実施例1では、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧に基づく電源遮断手順について説明したが、これだけに限定されるものではなく、チョッパ式定電圧回路20の出力電流または抵抗に基づく電源遮断手順について適用できる。
【0098】
また、実施例1では、チョッパ式定電圧回路20の出力電圧が正常でない場合の電源遮断手順について説明したが、これだけに限定されるものではなく、チョッパ式定電圧回路20の出力電流または抵抗が正常でない場合の電源遮断手順について適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明にかかるスイッチング電源装置は、小型、低コストの電源装置に有用であり、特に、パワーステアリング電源装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】実施例1に係るスイッチング電源装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示すチョッパ式定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御する一例を示す図である。
【図3】図1に示すスイッチング電源装置および負荷において故障が発生した場合の電圧制御手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すスイッチング電源装置および負荷において故障が発生した場合の電源遮断手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示すスイッチング電源装置および負荷においてチョッパ式定電圧回路より下流で故障が発生した場合の電源遮断手順を示すフローチャートである。
【図6】図1に示すチョッパ式定電圧回路の出力電圧に基づいて電源の遮断を確認する電源遮断手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示すチョッパ式定電圧回路の出力電圧が正常でない場合の電源遮断手順を示すフローチャートである。
【図8】実施例2に係るスイッチング電源装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図9】実施例3に係るパワーステアリング電源装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】図9に示すパワーステアリング電源装置およびパワーステアリング装置の故障発生時に電源を遮断する電源遮断手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1、1a スイッチング電源装置
2 パワーステアリング電源装置
10 電源
20 チョッパ式定電圧回路
20a トランス式定電圧回路
22 コンデンサ
25 制御回路
27 報知部
30 負荷
31 パワーステアリング装置
201 コイル
202 定電圧スイッチ
203 ダイオード
204 変圧器
251 定電圧制御部
252 故障検知部
311 パワーステアリングモータ駆動回路
312 パワーステアリングモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧を負荷に印加する定電圧回路を有するスイッチング電源装置であって、
前記スイッチング電源装置および/または前記負荷の故障を検知する故障検知手段と、
前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御する定電圧制御手段と、
を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記定電圧回路は、前記電源によって電圧を印加されるコイルと、該コイルを地絡または開放するスイッチと、を少なくとも有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記定電圧回路は、前記電源の電圧を変圧する変圧器と、該変圧器の一次コイルを地絡または開放するスイッチと、を少なくとも有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記故障検知手段は、前記スイッチング電源装置および/または前記負荷に関する電圧、電流、抵抗、前記負荷の故障を識別する信号の少なくともいずれか一つに基づいて前記故障を検知する検知器であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路のスイッチを制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段により検知された故障が前記定電圧回路より下流で発生した場合に、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段によって前記定電圧回路の電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つを検出し、検出した電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つに基づいて前記電源が地絡されていないと判断した場合は、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路を制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項9】
前記定電圧制御手段は、前記故障検知手段によって前記定電圧回路の電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つを検出し、検出した電圧、電流、抵抗の少なくともいずれか一つが正常でない場合は、前記電源を地絡するよう前記定電圧回路を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項10】
電源の電圧を所定の電圧に変圧し、変圧した電圧をパワーステアリング装置に印加する定電圧回路を有するパワーステアリング電源装置であって、
前記パワーステアリング電源装置および/または前記パワーステアリング装置の故障を検知する故障検知手段と、
前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記定電圧回路の出力電圧を所定の電圧以下に制御する定電圧制御手段と、
を備えたことを特徴とするパワーステアリング電源装置。
【請求項11】
報知手段をさらに備え、
前記定電圧制御手段は、前記電源が地絡されているか否かが確認できない場合に、前記報知手段によって前記電源が地絡されているか否かが確認できないことを報知することを特徴とする請求項10に記載のパワーステアリング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−14504(P2006−14504A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188608(P2004−188608)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】