説明

ズームレンズ

【課題】ズーム比が大きく、広角端での画角が大きく、電子撮像素子に適しており、光学性能がさらに向上されていて、鏡筒のコンパクト化に好適で、安価なズームレンズ。
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3、負の屈折力の第4レンズ群G4、正の屈折力の第5レンズ群G5を有し、各レンズ群の間隔を変化させることにより変倍を行い、第1レンズ群G1は広角端よりも望遠端で物体側にあるように移動し、第5レンズ群G5は広角端よりも望遠端で像側にあるように移動し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の軸上間隔は広角端から中間ズーム位置にかけては増大し、中間のズーム位置から望遠端にかけては減少するズームレンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズに関し、特に、デジタルカメラやビデオカメラ等の電子撮像装置に用いたときの奥行き方向の薄型化を実現することができるズームレンズとそれを用いた電子撮像装置等の装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、銀塩35mmフィルムカメラに代わる次世代カメラとしてデジタルカメラが注目されている。さらに、それは業務用高機能タイプからポータブルな普及タイプまで幅広い範囲でいくつものカテゴリーを有するようになってきている。本発明においては、特にポータブルな普及タイプのカテゴリーに注目し、高画質を確保しながら奥行きの薄いビデオカメラ、デジタルカメラを実現する技術を提供することをねらっている。
【0003】
カメラの奥行き方向を薄くするのに最大のネックとなっているのは、光学系、特にズームレンズ系の最も物体側の面から撮像面までの厚みである。最近では、撮影時に光学系をカメラボディ内からせり出し、携帯時に光学系をカメラボディ内に収納するいわゆる沈胴式鏡筒を採用することが主流になっている。さらに、幅広い撮影領域を楽しみたいというユーザーの要求を満たすためには、広角端の画角が広くて、なおかつ、変倍比が大きなズームレンズが要求される。
【0004】
ズーム比が5倍程度と大きく、広角端での画角が60°程度と大きく、射出瞳位置が適切に設定された、電子撮像素子に適した、光学性能の比較的良好なズームレンズとして、特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2003−255228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている実施例では、ズームレンズを構成するレンズ枚数が多かったり、ズームレンズ全系の全長が長かったりするため、沈胴方式を採用したとしても鏡筒が十分にコンパクトにならないという問題があった。また、コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ズーム比が大きく、広角端での画角が大きく、電子撮像素子に適しており、光学性能がさらに向上されていて、鏡筒のコンパクト化に好適で、安価なズームレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群を有し、各レンズ群の間隔を変化させることにより変倍を行い、前記第1レンズ群は広角端よりも望遠端で物体側にあるように移動し、前記第5レンズ群は広角端よりも望遠端で像側にあるように移動し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の軸上間隔は広角端から中間ズーム位置にかけては増大し、中間のズーム位置から望遠端にかけては減少することを特徴とするものである。
【0008】
以下に、本発明のズームレンズにおいて、上記構成をとる理由と作用を説明する。
【0009】
以上のような構成を採用することによって、変倍の負担を各レンズ群に分担させることができるため、全長短縮が実現でき、鏡筒のコンパクト化を容易にすることができる。また、射出瞳位置を適切に保つことができるため、電子撮像素子のCCD等への入射光線の角度を適度な範囲にコントロールすることが可能になり、CCD等の電子撮像素子の受光面に効率良く光線を入射させることが可能になる。さらに、変倍時の収差変動を抑え、全変倍域において良好な光学性能を得ることができるようになる。
【0010】
以下に、さらに詳細に説明する。
【0011】
広角端から望遠端への変倍において、第1レンズ群は、広角端よりも望遠端で物体側にあるように移動するとよい。このようにすると、最も物体側に位置するレンズの外径を小さく保ったまま、ズームレンズの広角化が可能となる。そのため、鏡筒の外径方向の小型化を達成することが容易になる。
【0012】
第5レンズ群は、広角端よりも望遠端で像側にあるように移動し、第3レンズ群と第4レンズ群の軸上間隔は、広角端から中間ズーム位置にかけては増大し、中間のズーム位置から望遠端にかけては減少するようにするとよい。一般的に、正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、正の第3レンズ群、負の第4レンズ群、正の第5レンズ群からなるズームレンズでは、第2レンズ群と第3レンズ群の変倍の負担が大きくなりやすいため、変倍時の収差変動が大きくなりやすい。第5レンズ群を広角端よりも望遠端で像側にあるように移動させると、第5レンズ群に変倍の作用を担わせることができるため、他の変倍レンズ群の負担を軽減でき、変倍時の収差変動をより小さく抑えることが可能となる。
【0013】
しかしながら、第5レンズ群がこのような動きにすると、広角端と望遠端では軸外の像面がプラス側に、中間のズーム状態の付近ではマイナス側になりやすい。そこで、第3レンズ群と第4レンズ群の軸上間隔は広角端から中間ズーム状態にかけては増大し、中間のズーム状態から望遠端にかけては減少するようにすると、全変倍域において軸外の像面位置を良好に補正できるようになる。
【0014】
本発明では、上述のように光学系に工夫を施して、ズーム比が大きく、広角端での画角が大きく、電子撮像素子に適しており、光学性能が良好で、鏡筒のコンパクト化に好適であり、なおかつ、安価なズームレンズを実現している。
【0015】
本発明では、コンパクト化と良好な光学性能確保を行うため、さらに種々の工夫に加えている。以下に詳細な説明をする。
【0016】
第2レンズ群は、広角端よりも望遠端で像側にあるように移動し、第3レンズ群は、広角端よりも望遠端で物体側にあるように移動するのがよい。このような構成にすると、各レンズ群の変倍の負担を小さくすることができ、変倍時の収差変動を小さく抑えることができる。
【0017】
物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群を有し、各レンズ群の間隔を変化させることにより変倍を行い、以下の何れかあるいは両方の条件式を満足するようにすると、なお好ましい。
【0018】
4.00<Lw /fw <9.00 ・・・(1)
1.00<Lt /ft <1.80 ・・・(2)
ただし、Lw :広角端における全長、
t :望遠端における全長、
w :広角端での全系焦点距離、
t :望遠端での全系焦点距離、
である。
【0019】
これらはズームレンズの小型化と光学性能確保に関する条件式である。条件式(1)の上限の9.00、及び、条件式(2)の上限の1.80を越えると、レンズ系の全長が長くなりすぎるため、沈胴させたときの鏡筒のコンパクト化が難しくなる。条件式(1)の下限の4.00、及び、条件式(2)の下限の1.00を越えると、構成する各レンズ群のパワーが強くなりがちで、変倍時の収差変動が大きくなり、全変倍域で良好な光学性能を得ることが難しくなる。
【0020】
条件式(1)について、以下を満足するようにするとなおよい。
【0021】
4.70<Lw /fw <7.70 ・・・(1)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0022】
5.30<Lw /fw <6.30 ・・・(1)”
条件式(2)について、以下を満足するようにするとなおよい。
【0023】
1.10<Lt /ft <1.75 ・・・(2)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0024】
1.20<Lt /ft <1.65 ・・・(2)”
また、第1レンズ群が1枚の正レンズからなる構成とするとよい。第1レンズ群では軸外光線の光線高さが最も高くなるので、レンズの縁肉を必要な量確保しようとするとき、軸上肉厚が非常に厚くなりやすい。さらに、第1レンズ群のレンズ枚数を増やすと入射瞳位置が物体側から遠くになるため、第1レンズ群を通る光線高さはより高くなり、縁肉確保のための軸上肉厚はより厚みが必要となる。当然、レンズ枚数が増えた分の軸上肉厚も大きくなってしまう。したがって、レンズ枚数を増やすにつれてこのレンズ群の径方向の大きや光軸上肉厚も必要以上に大きくなってしまい、沈胴状態にしても鏡筒のコンパクト化が十分には行えなくなる。このような観点から、第1レンズ群は1枚のみからなる構成とすれば、コンパクト化に大きく貢献する。
【0025】
しかしながら、第1レンズ群を1枚の正レンズのみからなる構成とすると、このレンズで発生した収差を第1レンズ群内でキャンセルすることができなくなるため、変倍時に収差変動が大きくなり光学性能の劣化につながりやすい。そのため、撮影画像が鑑賞に耐え得る現実的な程度のレベルまで、第1レンズ群内での収差発生を極力抑える必要がある。本発明のズームレンズでは、以下に述べるような種々の工夫を施し、良好な光学性能を確保している。
【0026】
第1レンズ群の正レンズは以下の条件式を満足するのがよい。
【0027】
75.0<νd1p <105.0 ・・・(3)
ただし、νd1p :前記第1レンズ群の正レンズのアッベ数、
である。
【0028】
条件式(3)の上限の105.0を越えると、硝材の入手性や量産性が悪くなり、コストアップにつながる。下限の75.0を越えると、第1レンズ群で色収差の発生量が大きくなりすぎ、撮影画像に色にじみが発生してしまう。
【0029】
さらに、以下を満足するとなおよい。
【0030】
75.0<νd1p <101.0 ・・・(3)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0031】
80.0<νd1p <97.0 ・・・(3)”
また、第1レンズ群の正レンズは以下の条件式を満足するのがよい。
【0032】
−1.50<SF1p<−0.20 ・・・(4)
ただし、SF1p=(R1pf +R1pr )/(R1pf −R1pr )で定義され、R1pf 、R1pr はそれぞれ前記第1レンズ群の正レンズの物体側面、像側面の軸上曲率半径である。
【0033】
条件式(4)の上限の−0.20を越えると、広角端での非点収差や球面収差の発生が大きくなりすぎる。下限の−1.50を越えると、広角端での歪曲収差の発生が大きくなりすぎる。何れにしても、良好な光学性能を得ることが難しくなってしまう。
【0034】
さらに、以下を満足するとなおよい。
【0035】
−1.10<SF1p<−0.32 ・・・(4)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0036】
−0.70<SF1p<−0.54 ・・・(4)”
また、第1レンズ群の正レンズは両面非球面とするとよい。広角端の歪曲収差、非点収差、コマ収差の発生を効果的に抑えることができる。
【0037】
また、第2レンズ群は、物体側から順に、負レンズL21、負レンズL22、正レンズL23からなる構成とするとよい。このようにすると、後側主点をより像側に出せるので、変倍時の移動量を小さくすることができる。また、後述するように、開口絞りは第2レンズ群の後に配置するのがよいが、そうしたときに、入射瞳をより物体側に位置させることができるので、前玉径を小さくでき、レンズ系のコンパクト化につながる。
【0038】
さらに、第2レンズ群の負レンズL21は像側に凹面を向けており、負レンズL22は物体側に凹面を向けており、負レンズL22と正レンズL23は接合されている構成とするとよい。第2レンズ群は変倍を担うレンズ群であるため、強い負パワーが必要であるが、反面大きな収差が発生しやすい。負レンズL21は、像側に凹面を、負レンズL22は物体側に凹面を向けた形状とすると、第2レンズ群内で発生する非点収差やコマ収差等の軸外収差を打ち消し、小さく抑えることができる。また、第2レンズ群を通過する軸外光線の光軸に対する角度が小さくなるため、変倍時第2レンズ群の移動に伴う収差変動も小さく抑えることができる。さらに、負レンズL22と正レンズL23を接合とすることで、色収差を補正することができる。
【0039】
また、負レンズL21の硝材は以下の条件式を満足するとよい。
【0040】
1.70<Nd21 <2.20 ・・・(5)
ただし、Nd21 は負レンズL21のd線に対する屈折率である。
【0041】
条件式(5)の上限の2.20を越えると、硝材の入手性や量産性が悪くなるため、コストアップにつながる。下限の1.70を越えると、所望の屈折力を得るのにレンズ面の曲率を大きくしなければならず、非点収差やコマ収差が大きくなりやすい。
【0042】
さらに、以下を満足するとなおよい。
【0043】
1.75<Nd21 <2.05 ・・・(5)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0044】
1.80<Nd21 <1.90 ・・・(5)”
正レンズL23の硝材は以下の条件式を満足するようにするとよい。
【0045】
1.780<Nd23 <2.100 ・・・(6)
13.0<νd23 <32.0 ・・・(7)
ただし、Nd23 、νd23 は正レンズL23のd線に対するそれぞれ屈折率、アッベ数である。
【0046】
条件式(6)の上限の2.100を越えると、硝材の入手性や量産性が悪く、コストアップにつながる。下限の1.780を越えると、所望の屈折力を得るのにレンズ面の曲率を大きくしなければならず、非点収差やコマ収差が発生しやすい。
【0047】
条件式(7)の上限の32.0を越えると、色収差の補正が不十分になる。下限の13.0を越えると、2次スペクトルの補正ができなくなり、撮影画像に色にじみが発生しやすくなる。
【0048】
条件式(6)について、以下を満足するとなおよい。
【0049】
1.840<Nd23 <2.020 ・・・(6)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0050】
1.900<Nd23 <1.950 ・・・(6)”
条件式(7)について、以下を満足するとなおよい。
【0051】
15.0<νd23 <26.0 ・・・(7)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0052】
17.0<νd23 <23.5 ・・・(7)”
第3レンズ群は、物体側から順に、正レンズ、負レンズからなる構成とするとよい。このような構成にすると、前側主点をより物体側に出せるので、変倍時の移動量を小さく抑えることができ、レンズ系の小型化につながる。また、これらを接合レンズとすることで、軸上色収差の補正を行うことができる。また、最も物体側に非球面を配置することで、球面収差補正の補正に効果がある。
【0053】
第4レンズ群は、物体側から順に、正レンズ、像側に凹面を向けた負レンズからなる構成とするとよい。このような構成にすると、前側主点をより物体側に出せるので、変倍時の移動量を小さく抑えることができ、レンズ系の小型化につながる。また、これらを接合とすることで、色収差の補正を行うことができる。第4レンズ群の最も像側の面は像側に凹面を向けた形状とするとよい。このように構成することで、第4レンズ群を射出する軸外光線を跳ね上げてCCD等の電子撮像素子への入射角を適正な角度にし、効率良く受光面に光線を入れることができる。
【0054】
このとき、第4レンズ群の負レンズの硝材は以下の条件式を満足するとよい。
【0055】
1.830<Nd4n <2.100 ・・・(8)
20.0<νd4n <38.0 ・・・(9)
ただし、Nd4n 、νd4n は第4レンズ群の負レンズのd線に対するそれぞれ屈折率、アッベ数である。
【0056】
条件式(7)の上限の2.100を越えると、硝材の入手性や量産性が悪く、コストアップにつながる。下限の1.830を越えると、所望の屈折力を得るのに面の曲率を大きくしなければならず、非点収差やコマ収差の発生が大きくなりやすい。
【0057】
条件式(8)の上限の38.0を越えると、色収差の補正が不十分になる。下限の20.0を越えると、このレンズで発生する短波長側の色収差が大きくなりすぎ、色収差の2次スペクトルの補正ができなくなり、撮影画像に色にじみが発生しやすくなる。
【0058】
条件式(8)について、以下を満足するとなおよい。
【0059】
1.890<Nd4n <2.060 ・・・(8)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0060】
1.970<Nd4n <2.020 ・・・(8)”
条件式(9)について、以下を満足するとなおよい。
【0061】
23.0<νd4n <32.0 ・・・(9)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0062】
25.0<νd4n <30.0 ・・・(9)”
第5レンズ群は1枚の正レンズのみからなる構成とするとよい。第5レンズ群は主に射出瞳を像面から遠ざける作用をするので、1枚で必要十分である。このとき、第5レンズ群の正レンズは、以下の条件式を満足するとよい。
【0063】
1.750<Nd5p <2.100 ・・・(10)
22.0<νd5p <38.0 ・・・(11)
ただし、Nd5p 、νd5p は第5レンズ群の正レンズのd線に対するそれぞれ屈折率、アッベ数である。
【0064】
条件式(10)はこのレンズで発生する軸外収差を適正範囲内に抑えるための条件式、条件式(11)は倍率色収差補正に関する条件式である。第1レンズ群を少ない枚数構成とすると、第1レンズ群で発生した倍率色収差が残存しやすいが、第5レンズ群を通過する軸外光線は光線高が高いため、第1レンズ群で残存した倍率色収差を補正するのに都合がよい。
【0065】
条件式(10)の上限の2.100を越えると、硝材の入手性や量産性が悪くなり、コストアップにつながる。下限の1.750を越えると、所望の屈折力を得るのに面の曲率を大きくしなければならず、非点収差やコマ収差の発生が大きくなりやすい。
【0066】
条件式(11)の上限の38.0を越えると、倍率色収差の補正が不十分になる。下限の22.0を越えると、このレンズで発生する短波長側の色収差が大きくなりすぎて2次スペクトル補正ができなくなり、撮影画像に色にじみが発生する。
【0067】
条件式(10)について、以下を満足するとなおよい。
【0068】
1.780<Nd5p <2.060 ・・・(10)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0069】
1.800<Nd5p <2.020 ・・・(10)”
条件式(11)について、以下を満足するとなおよい。
【0070】
23.0<νd5p <32.0 ・・・(11)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0071】
24.0<νd5p <29.0 ・・・(11)”
次に、ズームレンズを構成する各レンズ群のパワーについて述べる。
【0072】
第1レンズ群は、以下の条件式を満足するのがよい。
【0073】
2.50<f1 /fw <8.00 ・・・(12)
ただし、f1 :第1レンズ群の焦点距離、
w :広角端での全系焦点距離、
である。
【0074】
条件式(12)の上限の8.00を越えると、第1レンズ群のパワーが弱くなりすぎてレンズ系の全長が長くなりやすくなり、鏡筒のコンパクト化が難しくなる。下限の2.50を越えると、パワーが強くなりすぎて収差の発生が大きくなる。特に色収差の発生が大きくなり、撮影画像の色にじみが顕著になってしまう。
【0075】
さらに、以下を満足するとなおよい。
【0076】
3.00<f1 /fw <5.00 ・・・(12)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0077】
3.50<f1 /fw <4.20 ・・・(12)”
第2レンズ群は、以下の条件式を満足するのがよい。
【0078】
−2.10<f2 /fw <−0.05 ・・・(13)
ただし、f2 :第2レンズ群の焦点距離、
w :広角端での全系焦点距離、
である。
【0079】
条件式(13)の下限の−2.10を越えると、第2レンズ群のパワーが弱くなりすぎるため変倍のための移動量が大きくなり、鏡筒のコンパクト化が難しくなる。上限の−0.05を越えると、第2レンズ群の近軸結像倍率が小さくなり、やはり変倍のための移動量が大きくなるし、収差補正も困難になる。
【0080】
さらに、以下を満足するとなおよい。
【0081】
−1.70<f2 /fw <−0.07 ・・・(13)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0082】
−1.30<f2 /fw <−0.09 ・・・(13)”
第3レンズ群は、以下の条件式を満足するのがよい。
【0083】
1.40<f3 /fw <2.80 ・・・(14)
ただし、f3 :第3レンズ群の焦点距離、
w :広角端での全系焦点距離、
である。
【0084】
条件式(14)の上限の2.80を越えると、第3レンズ群のパワーが弱くなりすぎるため変倍のための移動量が大きくなり、鏡筒のコンパクト化が難しくなる。下限の1.40を越えると、第3レンズ群の近軸結像倍率が小さくなり、やはり変倍のための移動量が大きくなるし、収差補正も困難になる。
【0085】
さらに、以下を満足するとなおよい。
【0086】
1.60<f3 /fw <2.30 ・・・(14)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0087】
1.78<f3 /fw <1.93 ・・・(14)”
第4レンズ群は、以下の条件式を満足するのがよい。
【0088】
−9.00<f4 /fw <−5.80 ・・・(15)
ただし、f4 :第4レンズ群の焦点距離、
w :広角端での全系焦点距離、
である。
【0089】
条件式(15)の下限の−9.00を越えると、第4レンズ群のパワーが弱くなりすぎて、CCD等の電子撮像素子への光線入射角度が大きくなる。すると、画面周辺での明るさの陰り(シェーディング)が発生しやすくなり好ましくない。上限の−5.80を越えると、第4群のパワーが強くなりすぎ、収差発生が大きくなりやすい。
【0090】
さらに、以下を満足するとなおよい。
【0091】
−8.00<f4 /fw <−6.20 ・・・(15)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0092】
−7.30<f4 /fw <−6.60 ・・・(15)”
第5レンズ群は、以下の条件式を満足するのがよい。
【0093】
1.10<f5 /fw <3.00 ・・・(16)
ただし、f5 :第5レンズ群の焦点距離、
w :広角端での全系焦点距離、
である。
【0094】
条件式(16)の上限の3.00を越えると、第5レンズ群のパワーが弱くなりすぎて、CCD等の電子撮像素子への光線入射角度が大きくなる。すると、画面周辺での明るさの陰り(シェーディング)が発生しやすくなり好ましくない。下限の1.10を越えると、第5レンズ群のパワーが強くなりすぎ、第5レンズ群でフォーカシングを行うときの収差変動が大きくなり、至近撮影時に良好な画像を得ることが難しくなる。
【0095】
さらに、以下を満足するとなおよい。
【0096】
1.40<f5 /fw <2.55 ・・・(16)’
さらに、以下を満足するとさらによい。
【0097】
1.70<f5 /fw <2.05 ・・・(16)”
次に、開口絞りとシャッターは、第2レンズ群と第3レンズ群の間に配置するのがよい。こうすると、第3レンズ群以降を通過する軸外光線高が必要以上に高くならずにすむため、第3レンズ群以降のレンズ群が変倍時に移動する際の軸外諸収差の変動を小さく抑えることができる。また、変倍時に第3レンズ群と一体で移動させるとよい。こうすると、入射瞳を物体側から見て浅くでき、射出瞳を像面から遠くできる。さらに、軸外光線の高さが低くなる場所であるので、シャッターユニットが大型化せずにすみ、開口絞り及びシャッターを移動させるときのデッドスペースが小さくてすむ。
【0098】
至近物点に対するフォーカシングは、第4レンズ群又は第5レンズ群によるインナーフォーカスとするとよい。インナーフォーカス方式は、全体繰り出し方式や第1レンズ群繰り出しによるフォーカスと比べて、移動レンズ群が軽量なため、モータに掛かる負荷が少ない、全長が大きくならない、鏡枠内部に駆動モータを配置できるため鏡枠の径方向が大きくならない等、レイアウト上小型化に有利である。特に第5レンズ群によるフォーカシング方式とすれば、軸外像面の変動が小さくてすむため、至近距離の被写体の撮影の際にも、画面の周辺まで良好な光学性能を確保することができる。
【0099】
本発明のズームレンズにおいて歪曲収差の発生を許容すると、画角の割に最も物体側の面の入射光線高が低くなるために、最も物体側に位置するレンズの外径を小さくすることが可能である。そこで、意図的に樽型歪曲収差を発生させ、そのズームレンズを通じて結像された像を電子撮像素子にて撮像して得られた画像データを加工して形状を変化させる機能を用いて、光学系で発生した歪曲収差による画像歪みを補正して観察できるようにするとよい。特に、カメラ等の電子撮像装置からすでに補正された形の画像データとして出力するのが理想的である。なお、光学系については、略無限遠物点合焦時にズームレンズの歪曲収差に関して、以下の条件式を満足するのがよい。
【0100】
0.850<y07/(fw ・ tanω07w )<0.970 ・・・(17)
ただし、電子撮像素子の有効撮像面内(撮像可能な面内)で中心から最も遠い点までの距離(最大像高)をy10とすると、y07=0.7y10、ω07w は広角端における電子撮像素子の有効撮像面上の中心からy07 の位置に結ぶ像点に対応する物点方向の光軸に対する角度である。
【0101】
条件式(17)の上限の0.970を越えて1前後の値のとき、歪曲収差が光学的に良好に補正されたことに相当するが、光学系の小型化を維持しながら広い視野角にわたって像として取り込むことが困難になる。下限の0.850を越えると、光学系の歪曲収差による画像歪みを画像処理にて補正した場合、画角周辺部の放射方向への引き伸ばし倍率が高くなりすぎて画像周辺部の画像鮮鋭度の劣化が目立つようになる。
【0102】
なお、以下を満足するとなおよい。
【0103】
0.880<y07/(fw ・ tanω07w )<0.960 ・・・(17)’
さらに、以下を満たすと最もよい。
【0104】
0.910<y07/(fw ・ tanω07w )<0.950 ・・・(17)”
上述の各構成は任意に複数を同時に満足してもよく、それにより、より良好な効果を得ることができる。
【0105】
また、各条件式についても任意に組み合わせて満足すれば、より良好な効果を得ることができる。
【0106】
以上の本発明のズームレンズは、そのズームレンズによって形成された物体像を受光する位置に配置された撮像素子を備えるようにして電子撮像装置として構成することができる。
【0107】
また、以上の本発明のズームレンズは、そのズームレンズによって形成された物体像を受光する位置に配置された撮像素子と、その撮像素子によって光電変換された電子信号を処理するCPUと、操作者がCPUに入力したい情報信号を入力するための入力部と、CPUからの出力を表示装置(例えば、LCD)に表示する表示処理手段と、CPUからの出力を記録する記録媒体とを含み、CPUは、ズームレンズによって撮像素子で受光された物体像を表示装置に表示するように構成されている情報処理装置として構成することができる。
【0108】
その場合の情報処理装置としては、携帯端末機器(例えば、携帯電話、PDA等)がある。
【0109】
また、以上の本発明のズームレンズは、そのズームレンズによって形成された物体像を受光する位置に配置された撮像素子と、その撮像素子によって光電変換された電子信号を処理するCPUと、その撮像素子で受光された物体像を観察可能に表示する表示素子とを有し、撮像素子で受光された物体像の像情報を記録するための記録媒体(例えば、メモリでメモリカードやDVD±RW等)を内蔵又は挿脱するように構成され、CPUが、撮像素子に受光された物体像を表示素子に表示する表示装置と、撮像素子に受光された物体像を記録媒体に記録する記録処理手段とを有する電子カメラ装置として構成することができる。
【発明の効果】
【0110】
以上説明したように、本発明により、ズーム比が大きく、広角端での画角が大きく、電子撮像素子に適しており、光学性能がさらに向上されていて、鏡筒のコンパクト化に好適で、安価なズームレンズを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0111】
以下、本発明のズームレンズの実施例1〜6について説明する。実施例1〜6の無限遠物点合焦時の広角端(a)、中間状態(b)、望遠端(c)のレンズ断面図をそれぞれ図1〜図6に示す。図中、第1レンズ群はG1、第2レンズ群はG2、開口絞りはS、第3レンズ群はG3、第4レンズ群はG4、第5レンズ群はG5、IRカットコートを施したローパスフィルター等を構成する平行平板はF、電子撮像素子(CCDやCMOS)のカバーガラスの平行平板はC、像面(電子撮像素子の受光面)はIで示してある。なお、カバーガラスCの表面に波長域制限用の多層膜を施してもよい。また、そのカバーガラスCにローパスフィルター作用を持たせるようにしてもよい。
【0112】
実施例1のズーム光学系は、図1に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、開口絞りS、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5から構成されており、広角端から望遠端への変倍をする際に、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は広角端から中間状態にかけては物体側へ若干移動し、中間状態から望遠端にかけては像側へ移動し、望遠端では広角端の位置より像側に位置する。開口絞りSと第3レンズ群G3は一体に第1レンズ群G2との間隔を縮めながら物体側に単調に移動する。第4レンズ群G4は第3レンズ群G3との間隔を広角端から中間状態にかけては広げながら、中間状態から望遠端にかけては狭めながら物体側に移動する。第5レンズ群G5は像側へ移動する。
【0113】
物体側から順に、第1レンズ群G1は、両凸正レンズ1枚からなり、第2レンズ群G2は、両凹負レンズと、両凹負レンズと両凸正レンズの接合レンズからなり、第3レンズ群G3は、両凸正レンズと像側に凸面を向けた負メニスカスレンズの接合レンズからなり、第4レンズ群G4は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズの接合レンズからなり、第5レンズ群G5は、両凸正レンズ1枚からなる。開口絞りSは第3レンズ群G3の物体側に一体に位置する。
【0114】
非球面は、第1レンズ群G1の両凸正レンズの両面、第2レンズ群G2の両凹負レンズの両面、第3レンズ群G3の接合レンズの最も物体側の面、第4レンズ群G4の接合レンズの最も物体側の面の6面に用いている。
【0115】
実施例2のズーム光学系は、図2に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、開口絞りS、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5から構成されており、広角端から望遠端への変倍をする際に、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は広角端から中間状態にかけては物体側へ若干移動し、中間状態から望遠端にかけては像側へ移動し、望遠端では広角端の位置より像側に位置する。開口絞りSと第3レンズ群G3は一体に第1レンズ群G2との間隔を縮めながら物体側に単調に移動する。第4レンズ群G4は第3レンズ群G3との間隔を広角端から中間状態にかけては広げながら、中間状態から望遠端にかけては狭めながら物体側に移動する。第5レンズ群G5は像側へ移動する。
【0116】
物体側から順に、第1レンズ群G1は、両凸正レンズ1枚からなり、第2レンズ群G2は、両凹負レンズと、両凹負レンズと両凸正レンズの接合レンズからなり、第3レンズ群G3は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第4レンズ群G4は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第5レンズ群G5は、両凸正レンズ1枚からなる。開口絞りSは第3レンズ群G3の物体側に一体に位置する。
【0117】
非球面は、第1レンズ群G1の両凸正レンズの両面、第2レンズ群G2の両凹負レンズの両面、第3レンズ群G3の接合レンズの最も物体側の面と最も像側の面の6面に用いている。
【0118】
実施例3のズーム光学系は、図3に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、開口絞りS、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5から構成されており、広角端から望遠端への変倍をする際に、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は広角端から中間状態にかけては物体側へ若干移動し、中間状態から望遠端にかけては像側へ移動し、望遠端では広角端の位置より像側に位置する。開口絞りSと第3レンズ群G3は一体に第1レンズ群G2との間隔を縮めながら物体側に単調に移動する。第4レンズ群G4は第3レンズ群G3との間隔を広角端から中間状態にかけては広げながら、中間状態から望遠端にかけては狭めながら物体側に移動する。第5レンズ群G5は像側へ移動する。
【0119】
物体側から順に、第1レンズ群G1は、両凸正レンズ1枚からなり、第2レンズ群G2は、両凹負レンズと、両凹負レンズと両凸正レンズの接合レンズからなり、第3レンズ群G3は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第4レンズ群G4は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第5レンズ群G5は、両凸正レンズ1枚からなる。開口絞りSは第3レンズ群G3の物体側に一体に位置する。
【0120】
非球面は、第1レンズ群G1の両凸正レンズの両面、第2レンズ群G2の両凹負レンズの両面、第3レンズ群G3の接合レンズの最も物体側の面と最も像側の面の6面に用いている。
【0121】
実施例4のズーム光学系は、図4に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、開口絞りS、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5から構成されており、広角端から望遠端への変倍をする際に、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は像側へ移動する。開口絞りSと第3レンズ群G3は一体に第1レンズ群G2との間隔を縮めながら物体側に単調に移動する。第4レンズ群G4は第3レンズ群G3との間隔を広角端から中間状態にかけては広げながら、中間状態から望遠端にかけては狭めながら物体側に移動する。第5レンズ群G5は像側へ移動する。
【0122】
物体側から順に、第1レンズ群G1は、両凸正レンズ1枚からなり、第2レンズ群G2は、両凹負レンズと、両凹負レンズと両凸正レンズの接合レンズからなり、第3レンズ群G3は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第4レンズ群G4は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズの接合レンズからなり、第5レンズ群G5は、両凸正レンズ1枚からなる。開口絞りSは第3レンズ群G3の物体側に一体に位置する。
【0123】
非球面は、第1レンズ群G1の両凸正レンズの両面、第2レンズ群G2の両凹負レンズの両面、第3レンズ群G3の接合レンズの最も物体側の面と最も像側の面の6面に用いている。
【0124】
実施例5のズーム光学系は、図5に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、開口絞りS、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5から構成されており、広角端から望遠端への変倍をする際に、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は広角端から中間状態にかけては物体側へ若干移動し、中間状態から望遠端にかけては像側へ移動し、望遠端では広角端の位置より像側に位置する。開口絞りSと第3レンズ群G3は一体に第1レンズ群G2との間隔を縮めながら物体側に単調に移動する。第4レンズ群G4は第3レンズ群G3との間隔を広角端から中間状態にかけては広げながら、中間状態から望遠端にかけては狭めながら物体側に移動する。第5レンズ群G5は像側へ移動する。
【0125】
物体側から順に、第1レンズ群G1は、両凸正レンズ1枚からなり、第2レンズ群G2は、両凹負レンズと、両凹負レンズと両凸正レンズの接合レンズからなり、第3レンズ群G3は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第4レンズ群G4は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第5レンズ群G5は、両凸正レンズ1枚からなる。開口絞りSは第3レンズ群G3の物体側に一体に位置する。
【0126】
非球面は、第1レンズ群G1の両凸正レンズの両面、第2レンズ群G2の両凹負レンズの両面、第3レンズ群G3の接合レンズの最も物体側の面と最も像側の面の6面に用いている。
【0127】
実施例6のズーム光学系は、図6に示すように、物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、開口絞りS、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5から構成されており、広角端から望遠端への変倍をする際に、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は広角端から中間状態にかけては物体側へ若干移動し、中間状態から望遠端にかけては像側へ移動し、望遠端では広角端の位置より像側に位置する。開口絞りSと第3レンズ群G3は一体に第1レンズ群G2との間隔を縮めながら物体側に単調に移動する。第4レンズ群G4は第3レンズ群G3との間隔を広角端から中間状態にかけては広げながら、中間状態から望遠端にかけては狭めながら物体側に移動する。第5レンズ群G5は像側へ移動する。
【0128】
物体側から順に、第1レンズ群G1は、両凸正レンズ1枚からなり、第2レンズ群G2は、両凹負レンズと、両凹負レンズと両凸正レンズの接合レンズからなり、第3レンズ群G3は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第4レンズ群G4は、両凸正レンズと両凹負レンズの接合レンズからなり、第5レンズ群G5は、両凸正レンズ1枚からなる。開口絞りSは第3レンズ群G3の物体側に一体に位置する。
【0129】
非球面は、第1レンズ群G1の両凸正レンズの両面、第2レンズ群G2の両凹負レンズの両面、第3レンズ群G3の接合レンズの最も物体側の面と最も像側の面の6面に用いている。
【0130】
以下に、上記各実施例の数値データを示すが、記号は上記の外、fは全系焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角、WEは広角端、STは中間状態、TEは望遠端、r1 、r2 …は各レンズ面の曲率半径、d1 、d2 …は各レンズ面間の間隔、nd1、nd2…は各レンズのd線の屈折率、νd1、νd2…は各レンズのアッベ数である。なお、非球面形状は、xを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直交する方向にとると、下記の式にて表される。
【0131】
x=(y2 /r)/[1+{1−(K+1)(y/r)2 1/2
+A4 4 +A6 6 +A8 8 +A1010
ただし、rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A4 、A6 、A8 、A10はそれぞれ4次、6次、8次、10次の非球面係数である。
【0132】

実施例1
1 = 13.131 (非球面) d1 = 3.17 nd1 =1.49700 νd1 =81.54
2 = -145.288 (非球面) d2 = (可変)
3 = -37.836 (非球面) d3 = 0.80 nd2 =1.80610 νd2 =40.92
4 = 9.350 (非球面) d4 = 2.19
5 = -8.965 d5 = 0.70 nd3 =1.58913 νd3 =61.14
6 = 29.209 d6 = 1.48 nd4 =1.92286 νd4 =18.90
7 = -28.126 d7 = (可変)
8 = ∞(絞り) d8 = 0.37
9 = 17.925 (非球面) d9 = 1.59 nd5 =1.77377 νd5 =47.17
10= -6.800 d10= 0.61 nd6 =1.78472 νd6 =25.68
11= -19.935 d11= (可変)
12= 4.410 (非球面) d12= 1.97 nd7 =1.76802 νd7 =49.24
13= 11.157 d13= 0.51 nd8 =2.00069 νd8 =25.46
14= 3.550 d14= (可変)
15= 41.001 d15= 2.35 nd9 =1.80518 νd9 =25.42
16= -14.105 d16= (可変)
17= ∞ d17= 0.50 nd10=1.54771 νd10=62.84
18= ∞ d18= 0.50
19= ∞ d19= 0.50 nd11=1.51633 νd11=64.14
20= ∞ d20= 0.60
21= ∞(像面)
非球面係数
第1面
K = 0.000
4 = -2.41125×10-5
6 = -3.21539×10-7
8 = 0
10= 0
第2面
K = 0.000
4 = -6.80953×10-6
6 = -3.70482×10-8
8 = 0
10= 0
第3面
K = 0.000
4 = 3.50640×10-4
6 = -4.49378×10-6
8 = 1.59282×10-7
10= -2.37981×10-9
第4面
K = -1.061
4 = 3.44906×10-4
6 = 1.17809×10-5
8 = -2.58210×10-7
10= 2.30813×10-8
第9面
K = 0.748
4 = -6.22558×10-5
6 = 2.61058×10-7
8 = 2.30167×10-7
10= -1.23545×10-7
第12面
K = -0.044
4 = -1.42650×10-4
6 = 1.82011×10-6
8 = 0
10= 0
ズームデータ(∞)
WE ST TE
f (mm) 6.62 14.58 31.74
NO 3.31 4.38 5.16
2ω(°) 68.01 29.91 13.95
2 0.57 5.03 9.28
7 11.18 6.03 0.43
11 0.38 2.69 0.22
14 3.34 7.88 13.49
16 4.54 3.23 2.28 。
【0133】

実施例2
1 = 13.726 (非球面) d1 = 3.17 nd1 =1.49700 νd1 =81.54
2 = -85.837 (非球面) d2 = (可変)
3 = -38.043 (非球面) d3 = 0.80 nd2 =1.80610 νd2 =40.92
4 = 9.226 (非球面) d4 = 2.19
5 = -9.230 d5 = 0.70 nd3 =1.58913 νd3 =61.14
6 = 25.936 d6 = 1.48 nd4 =1.92286 νd4 =18.90
7 = -36.175 d7 = (可変)
8 = ∞(絞り) d8 = 0.37
9 = 7.800 (非球面) d9 = 2.22 nd5 =1.77377 νd5 =47.17
10= -6.800 d10= 0.61 nd6 =1.68893 νd6 =31.16
11= 20.470 (非球面) d11= (可変)
12= 5.311 d12= 2.07 nd7 =1.88300 νd7 =40.76
13= -1158.189 d13= 0.51 nd8 =2.00069 νd8 =25.46
14= 4.141 d14= (可変)
15= 30.007 d15= 2.35 nd9 =1.80518 νd9 =25.42
16= -14.743 d16= (可変)
17= ∞ d17= 0.50 nd10=1.54771 νd10=62.84
18= ∞ d18= 0.50
19= ∞ d19= 0.50 nd11=1.51633 νd11=64.14
20= ∞ d20= 0.60
21= ∞(像面)
非球面係数
第1面
K = 0.000
4 = -1.82405×10-5
6 = -2.53266×10-7
8 = 0
10= 0
第2面
K = 0.000
4 = 6.18637×10-6
6 = -6.21578×10-8
8 = 0
10= 0
第3面
K = 0.000
4 = 3.72444×10-4
6 = -4.17444×10-6
8 = 8.99176×10-8
10= -1.56083×10-9
第4面
K = -1.570
4 = 5.05344×10-4
6 = 1.07045×10-5
8 = 8.83402×10-9
10= 8.19063×10-9
第9面
K = -0.939
4 = 7.47118×10-4
6 = 1.87059×10-5
8 = -5.14211×10-7
10= -8.51175×10-8
第11面
K = 0.000
4 = 1.47264×10-3
6 = 4.28950×10-5
8 = 0
10= 0
ズームデータ(∞)
WE ST TE
f (mm) 6.62 14.22 31.73
NO 3.41 4.35 5.02
2ω(°) 67.57 30.38 13.84
2 0.57 5.04 9.51
7 11.02 6.00 0.43
11 0.40 2.60 0.22
14 3.33 6.79 11.99
16 4.05 3.45 2.87 。
【0134】

実施例3
1 = 12.998 (非球面) d1 = 3.45 nd1 =1.43875 νd1 =94.93
2 = -56.964 (非球面) d2 = (可変)
3 = -29.930 (非球面) d3 = 0.80 nd2 =1.80610 νd2 =40.92
4 = 9.186 (非球面) d4 = 2.19
5 = -9.158 d5 = 0.70 nd3 =1.58913 νd3 =61.14
6 = 27.313 d6 = 1.48 nd4 =1.92286 νd4 =18.90
7 = -29.143 d7 = (可変)
8 = ∞(絞り) d8 = 0.37
9 = 7.800 (非球面) d9 = 2.20 nd5 =1.77377 νd5 =47.17
10= -6.800 d10= 0.61 nd6 =1.68893 νd6 =31.16
11= 20.540 (非球面) d11= (可変)
12= 5.367 d12= 2.08 nd7 =1.88300 νd7 =40.76
13= -114.106 d13= 0.51 nd8 =2.00069 νd8 =25.46
14= 4.180 d14= (可変)
15= 28.481 d15= 2.35 nd9 =1.80518 νd9 =25.42
16= -14.752 d16= (可変)
17= ∞ d17= 0.50 nd10=1.54771 νd10=62.84
18= ∞ d18= 0.50
19= ∞ d19= 0.50 nd11=1.51633 νd11=64.14
20= ∞ d20= 0.62
21= ∞(像面)
非球面係数
第1面
K = 0.000
4 = -2.35458×10-5
6 = -2.41873×10-7
8 = 0
10= 0
第2面
K = 0.000
4 = 1.27194×10-5
6 = -1.28219×10-8
8 = 0
10= 0
第3面
K = 0.000
4 = 3.93377×10-4
6 = -4.71194×10-6
8 = 7.44028×10-8
10= -1.26789×10-9
第4面
K = -0.854
4 = 3.85073×10-4
6 = 1.09184×10-5
8 = -6.06903×10-9
10= 3.00577×10-9
第9面
K = -0.890
4 = 7.37916×10-4
6 = 1.63555×10-5
8 = -1.04707×10-7
10= -1.09038×10-7
第11面
K = 0.000
4 = 1.45721×10-3
6 = 4.23048×10-5
8 = 0
10= 0
ズームデータ(∞)
WE ST TE
f (mm) 6.62 14.42 31.74
NO 3.41 4.35 4.88
2ω(°) 67.98 30.01 13.77
2 0.57 5.41 10.11
7 10.77 5.89 0.43
11 0.47 2.62 0.25
14 3.35 6.91 11.39
16 4.04 3.32 2.52 。
【0135】

実施例4
1 = 14.006 (非球面) d1 = 3.21 nd1 =1.49700 νd1 =81.54
2 = -63.961 (非球面) d2 = (可変)
3 = -62.128 (非球面) d3 = 0.80 nd2 =1.80610 νd2 =40.92
4 = 8.732 (非球面) d4 = 2.19
5 = -9.634 d5 = 0.71 nd3 =1.69680 νd3 =55.53
6 = 27.040 d6 = 1.51 nd4 =1.92286 νd4 =18.90
7 = -27.632 d7 = (可変)
8 = ∞(絞り) d8 = 0.37
9 = 7.059 (非球面) d9 = 2.61 nd5 =1.77377 νd5 =47.17
10= -5.168 d10= 0.60 nd6 =1.68893 νd6 =31.16
11= 13.827 (非球面) d11= (可変)
12= 5.051 d12= 1.62 nd7 =1.81600 νd7 =46.62
13= 12.402 d13= 0.50 nd8 =2.00069 νd8 =25.46
14= 4.165 d14= (可変)
15= 38.360 d15= 2.35 nd9 =2.00069 νd9 =25.46
16= -17.347 d16= (可変)
17= ∞ d17= 0.50 nd10=1.54771 νd10=62.84
18= ∞ d18= 0.50
19= ∞ d19= 0.50 nd11=1.51633 νd11=64.14
20= ∞ d20= 0.61
21= ∞(像面)
非球面係数
第1面
K = 0.000
4 = -1.80006×10-5
6 = -1.32046×10-7
8 = 0
10= 0
第2面
K = 0.000
4 = 1.72341×10-5
6 = -4.04260×10-8
8 = 0
10= 0
第3面
K = 0.000
4 = 3.30809×10-4
6 = -6.93335×10-6
8 = 1.83679×10-7
10= -2.54736×10-9
第4面
K = -1.404
4 = 5.12084×10-4
6 = 2.34364×10-6
8 = 2.19326×10-7
10= 1.22205×10-9
第9面
K = -3.142
4 = 1.44837×10-3
6 = -1.26704×10-5
8 = 5.36646×10-7
10= -1.42543×10-7
第11面
K = 0.000
4 = 1.60777×10-3
6 = 4.12926×10-5
8 = 0
10= 0
ズームデータ(∞)
WE ST TE
f (mm) 6.61 14.94 31.74
NO 3.37 4.23 5.00
2ω(°) 65.48 28.47 13.73
2 0.57 5.62 9.27
7 10.77 5.68 0.43
11 0.48 1.92 0.15
14 3.35 7.18 12.47
16 4.23 3.63 2.68 。
【0136】

実施例5
1 = 14.666 (非球面) d1 = 3.20 nd1 =1.43875 νd1 =94.93
2 = -54.521 (非球面) d2 = (可変)
3 = -38.229 (非球面) d3 = 0.80 nd2 =1.80610 νd2 =40.92
4 = 9.630 (非球面) d4 = 2.19
5 = -8.740 d5 = 0.70 nd3 =1.58913 νd3 =61.14
6 = 32.581 d6 = 1.48 nd4 =1.92286 νd4 =18.90
7 = -27.615 d7 = (可変)
8 = ∞(絞り) d8 = 0.37
9 = 7.800 (非球面) d9 = 2.57 nd5 =1.77377 νd5 =47.17
10= -6.800 d10= 0.61 nd6 =1.68893 νd6 =31.16
11= 19.246 (非球面) d11= (可変)
12= 5.370 d12= 2.06 nd7 =1.88300 νd7 =40.76
13= -129.784 d13= 0.51 nd8 =2.00069 νd8 =25.46
14= 4.191 d14= (可変)
15= 20.499 d15= 2.35 nd9 =1.80518 νd9 =25.42
16= -17.739 d16= (可変)
17= ∞ d17= 0.50 nd10=1.54771 νd10=62.84
18= ∞ d18= 0.50
19= ∞ d19= 0.50 nd11=1.51633 νd11=64.14
20= ∞ d20= 0.61
21= ∞(像面)
非球面係数
第1面
K = 0.000
4 = -1.81359×10-5
6 = -1.31494×10-7
8 = 0
10= 0
第2面
K = 0.000
4 = 1.01441×10-5
6 = -3.08880×10-9
8 = 0
10= 0
第3面
K = 0.000
4 = 2.78275×10-4
6 = -3.87019×10-6
8 = 1.47604×10-7
10= -2.32474×10-9
第4面
K = -0.584
4 = 2.50636×10-4
6 = 2.47399×10-6
8 = 2.47163×10-7
10= 4.96916×10-9
第9面
K = -0.811
4 = 5.56562×10-4
6 = 1.18629×10-5
8 = -2.52008×10-7
10= -2.82755×10-8
第11面
K = 0.000
4 = 1.25468×10-3
6 = 3.36566×10-5
8 = 0
10= 0
ズームデータ(∞)
WE ST TE
f (mm) 6.61 14.27 31.75
NO 2.80 3.58 3.91
2ω(°) 67.73 29.93 13.57
2 0.57 6.16 11.61
7 10.77 6.27 0.43
11 0.38 2.63 0.28
14 3.32 6.97 11.00
16 4.04 3.21 2.75 。
【0137】

実施例6
1 = 14.558 (非球面) d1 = 3.24 nd1 =1.43875 νd1 =94.93
2 = -52.051 (非球面) d2 = (可変)
3 = -44.850 (非球面) d3 = 0.80 nd2 =1.88300 νd2 =40.76
4 = 9.992 (非球面) d4 = 2.19
5 = -8.538 d5 = 0.70 nd3 =1.58913 νd3 =61.14
6 = 35.581 d6 = 1.47 nd4 =1.92286 νd4 =18.90
7 = -25.525 d7 = (可変)
8 = ∞(絞り) d8 = 0.37
9 = 7.800 (非球面) d9 = 2.60 nd5 =1.77377 νd5 =47.17
10= -6.800 d10= 0.60 nd6 =1.68893 νd6 =31.16
11= 19.250 (非球面) d11= (可変)
12= 5.360 d12= 2.10 nd7 =1.88300 νd7 =40.76
13= -93.009 d13= 0.50 nd8 =2.00069 νd8 =25.46
14= 4.176 d14= (可変)
15= 20.185 d15= 2.35 nd9 =1.80518 νd9 =25.42
16= -18.062 d16= (可変)
17= ∞ d17= 0.50 nd10=1.54771 νd10=62.84
18= ∞ d18= 0.50
19= ∞ d19= 0.50 nd11=1.51633 νd11=64.14
20= ∞ d20= 0.60
21= ∞(像面)
非球面係数
第1面
K = 0.000
4 = -1.83244×10-5
6 = -1.28024×10-7
8 = 0
10= 0
第2面
K = 0.000
4 = 1.21730×10-5
6 = -3.83119×10-9
8 = 0
10= 0
第3面
K = 0.000
4 = 2.39553×10-4
6 = -2.82074×10-6
8 = 1.20596×10-7
10= -2.14299×10-9
第4面
K = -0.619
4 = 2.24098×10-4
6 = 1.75073×10-6
8 = 3.08030×10-7
10= -6.71731×10-10
第9面
K = -0.785
4 = 5.49617×10-4
6 = 1.15403×10-5
8 = -2.60160×10-7
10= -2.62162×10-8
第11面
K = 0.000
4 = 1.25458×10-3
6 = 3.33752×10-5
8 = 0
10= 0
ズームデータ(∞)
WE ST TE
f (mm) 6.61 14.22 31.76
NO 2.80 3.57 3.89
2ω(°) 67.64 29.95 13.54
2 0.57 6.12 11.47
7 10.66 6.30 0.43
11 0.39 2.63 0.29
14 3.32 6.96 10.94
16 4.06 3.22 2.83 。
【0138】
以上の実施例1〜6の無限遠物点合焦時の収差図をそれぞれ図7〜図12に示す。これらの収差図において、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す。各図中、“FIY”は最大像高を示す。
【0139】
次に、上記各実施例における条件式(1)〜(17)の値を示す。
【0140】
条件式 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 実施例6 (1) 5.720 5.727 5.752 5.745 5.750 5.753
(2) 1.371 1.373 1.372 1.373 1.418 1.416
(3) 81.540 81.540 94.930 81.540 94.930 94.930
(4) -0.834 -0.724 -0.628 -0.641 -0.576 -0.563
(5) 1.806 1.806 1.806 1.806 1.806 1.883
(6) 1.923 1.923 1.923 1.923 1.923 1.923
(7) 40.920 40.920 40.920 40.920 40.920 40.760
(8) 2.001 2.001 2.001 2.001 2.001 2.001
(9) 25.458 25.458 25.458 25.458 25.458 25.458
(10) 1.805 1.805 1.805 2.001 1.805 1.805
(11) 25.420 25.420 25.420 25.458 25.420 25.420
(12) 3.686 3.633 3.702 3.546 4.040 3.983
(13) -1.190 -1.122 -1.133 -1.117 -1.192 -1.172
(14) 1.915 1.842 1.842 1.806 1.875 1.876
(15) -6.712 -7.112 -6.768 -7.246 -6.814 -6.850
(16) 2.008 1.898 1.870 1.845 1.836 1.842
(17) 0.923 0.926 0.924 0.943 0.928 0.929
さて、以上のような本発明のズームレンズは、ズームレンズの結像光学系で物体像を形成しその像をCCDや銀塩フィルムといった撮像素子に受光させて撮影を行う撮影装置に用いることができる。上記撮影装置は、具体的な製品としては、例えば、デジタルカメラ、カメラが組み込まれた、パソコン、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等のデジタル端末機器として広く適用することができる。以下に、その実施形態の1つを例示する。
【0141】
図13〜図15は、以上のようなズームレンズを撮影光学系41に組み込んだ本発明によるデジタルカメラの構成の概念図を示す。図13はデジタルカメラ40の外観を示す前方斜視図、図14は同後方正面図、図15はデジタルカメラ40の構成を示す模式的な断面図である。ただし、図13と図15においては、撮影光学系41の非沈胴時を示している。デジタルカメラ40は、この例の場合、撮影用光路42上に位置する撮影光学系41、ファインダー用光路44上に位置するファインダー光学系43、シャッターボタン45、フラッシュ46、液晶表示モニター47、焦点距離変更ボタン61、設定変更スイッチ62等を含み、撮影光学系41の沈胴時には、カバー60をスライドすることにより、撮影光学系41とファインダー光学系43とフラッシュ46はそのカバー60で覆われる。そして、カバー60を開いてカメラ40を撮影状態に設定すると、撮影光学系41は図15の非沈胴状態になり、カメラ40の上部に配置されたシャッターボタン45を押圧すると、それに連動して撮影光学系41、例えば実施例1のズームレンズを通して撮影が行われる。撮影光学系41によって形成された物体像が、波長域制限コートを施したローパスフィルターFとカバーガラスCを介してCCD49の撮像面(光電変換面)上に形成される。このCCD49で受光された物体像は、処理手段51を介し、電子画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニター47に表示される。また、この処理手段51には記録手段52が接続され、撮影された電子画像を記録することもできる。なお、この記録手段52は処理手段51と別体に設けてもよいし、フロッピーディスクやメモリーカード、MO等により電子的に記録書込を行うように構成してもよい。また、CCD49に代わって銀塩フィルムを配置した銀塩カメラとして構成してもよい。
【0142】
さらに、ファインダー用光路44上にはファインダー用対物光学系53が配置してある。ファインダー用対物光学系53は、複数のレンズ群(図の場合は3群)と正立プリズム55a、55b、55cからなる正立プリズム系55とから構成され、撮影光学系41のズームレンズに連動して焦点距離が変化するズーム光学系からなり、このファインダー用対物光学系53によって形成された物体像は、像正立部材である正立プリズム系55の視野枠57上に形成される。この正立プリズム系55の後方には、正立正像にされた像を観察者眼球Eに導く接眼光学系59が配置されている。なお、接眼光学系59の射出側にカバー部材50が配置されている。
【0143】
図16に上記デジタルカメラ40の主要部の内部構成の概略ブロック図を示す。なお、シャッターボタン45に代表される操作部は符号500で示されており、処理手段はCPU51で、撮像素子はCCD49で構成されているものとし、記録手段はメモリーカード521と外部記憶装置(光ディスクやHDD等)522とで構成されているものとしている。CPU51が操作部500のシャッターボタン45が押圧されたと判断すると、露光制御による最適シャッター制御値や絞り制御の演算を行い、その演算後にこれら制御値に基づいてシャッター及び絞り制御を行う。その他の制御動作は上記の通りである。
【0144】
このように構成されたデジタルカメラ40は、撮影光学系41の光学性能が向上されていて、鏡筒のコンパクト化が可能であるので、カメラ全体の高級化、小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明のズームレンズの実施例1の無限遠物点合焦時の広角端(a)、中間状態(b)、望遠端(c)でのレンズ断面図である。
【図2】本発明のズームレンズの実施例2の図1と同様のレンズ断面図である。
【図3】本発明のズームレンズの実施例3の図1と同様のレンズ断面図である。
【図4】本発明のズームレンズの実施例4の図1と同様のレンズ断面図である。
【図5】本発明のズームレンズの実施例5の図1と同様のレンズ断面図である。
【図6】本発明のズームレンズの実施例6の図1と同様のレンズ断面図である。
【図7】実施例1の無限遠物点合焦時の広角端(a)、中間状態(b)、望遠端(c)での収差図である。
【図8】実施例2の図7と同様の収差図である。
【図9】実施例3の図7と同様の収差図である。
【図10】実施例4の図7と同様の収差図である。
【図11】実施例5の図7と同様の収差図である。
【図12】実施例6の図7と同様の収差図である。
【図13】本発明によるデジタルカメラの外観を示す前方斜視図である。
【図14】図13のデジタルカメラの後方斜視図である。
【図15】図13のデジタルカメラの断面図である。
【図16】図13のデジタルカメラの主要部の内部構成の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0146】
G1…第1レンズ群
G2…第2レンズ群
G3…第3レンズ群
G4…第2レンズ群
G5…第3レンズ群
S…開口絞り
F…ローパスフィルター
C…カバーガラス
I…像面
E…観察者眼球
40…デジタルカメラ
41…撮影光学系
42…撮影用光路
43…ファインダー光学系
44…ファインダー用光路
45…シャッターボタン
46…フラッシュ
47…液晶表示モニター
49…CCD
50…カバー部材
51…処理手段
52…記録手段
53…ファインダー用対物光学系
55…正立プリズム
57…視野枠
59…接眼光学系
60…カバー
61…焦点距離変更ボタン
62…設定変更スイッチ
500…操作部
521…メモリーカード
522…外部記憶装置(光ディスク、HDD)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群を有し、各レンズ群の間隔を変化させることにより変倍を行い、前記第1レンズ群は広角端よりも望遠端で物体側にあるように移動し、前記第5レンズ群は広角端よりも望遠端で像側にあるように移動し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の軸上間隔は広角端から中間ズーム位置にかけては増大し、中間のズーム位置から望遠端にかけては減少することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
以下の条件式を満足することを請求項1記載のズームレンズ。
4.00<Lw /fw <9.00 ・・・(1)
ただし、Lw :広角端における全長、
w :広角端での全系焦点距離、
である。
【請求項3】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2記載のズームレンズ。
1.00<Lt /ft <1.80 ・・・(2)
ただし、Lt :望遠端における全長、
t :望遠端での全系焦点距離、
である。
【請求項4】
前記第1レンズ群が1枚の正レンズからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第1レンズ群の正レンズが以下の条件式を満足することを特徴とする請求項4記載のズームレンズ。
75.0<νd1p <105.0 ・・・(3)
ただし、νd1p :前記第1レンズ群の正レンズのアッベ数、
である。
【請求項6】
前記第1レンズ群の正レンズが以下の条件式を満足することを特徴とする請求項4又は5記載のズームレンズ。
−1.50<SF1p<−0.20 ・・・(4)
ただし、SF1p=(R1pf +R1pr )/(R1pf −R1pr )で定義され、R1pf 、R1pr はそれぞれ前記第1レンズ群の正レンズの物体側面、像側面の軸上曲率半径である。
【請求項7】
前記第2レンズ群が、物体側から順に、負レンズL21、負レンズL22、正レンズL23からなることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記負レンズL21は像側に凹面を向けており、前記負レンズL22は物体側に凹面を向けており、前記負レンズL22と前記正レンズL23は接合されていることを特徴とする請求項7記載のズームレンズ。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項記載のズームレンズと、電子撮像素子とを有し、前記ズームレンズを通じて結像された像を前記電子撮像素子にて撮像して得られた画像データを加工して形状を変化させた画像データとして出力することが可能な電子撮像装置において、
前記結像光学系が略無限遠物点合焦時に以下の条件を満足することを特徴とする電子撮像装置。
0.850<y07/(fw ・ tanω07w )<0.970 ・・・(17)
ただし、電子撮像素子の有効撮像面内(撮像可能な面内)で中心から最も遠い点までの距離(最大像高)をy10とすると、y07=0.7y10、ω07w は広角端における電子撮像素子の有効撮像面上の中心からy07 の位置に結ぶ像点に対応する物点方向の光軸に対する角度である。
【請求項10】
請求項1から8の何れか1項記載のズームレンズと、前記ズームレンズによって形成された物体像を受光する位置に配置された撮像素子とを備えたことを特徴とする電子撮像装置。
【請求項11】
請求項1から8の何れか1項記載のズームレンズと、前記ズームレンズによって形成された物体像を受光する位置に配置された撮像素子と、前記撮像素子によって光電変換された電子信号を処理するCPUと、操作者が前記CPUに入力したい情報信号を入力するための入力部と、前記CPUからの出力を表示装置に表示する表示処理手段と、前記CPUからの出力を記録する記録媒体とを含み、前記CPUは、前記ズームレンズによって前記撮像素子で受光された物体像を前記表示装置に表示するように構成されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
前記情報処理装置は携帯端末機器であることを特徴とする請求項11記載の情報処理装置。
【請求項13】
請求項1から8の何れか1項記載のズームレンズと、前記ズームレンズによって形成された物体像を受光する位置に配置された撮像素子と、前記撮像素子によって光電変換された電子信号を処理するCPUと、前記撮像素子で受光された物体像を観察可能に表示する表示素子とを有し、前記撮像素子で受光された物体像の像情報を記録するための記録媒体を内蔵又は挿脱するように構成され、前記CPUが、前記撮像素子に受光された物体像を前記表示素子に表示する表示装置と、前記撮像素子に受光された物体像を前記記録媒体に記録する記録処理手段とを有することを特徴とする電子カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−279183(P2007−279183A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102735(P2006−102735)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】