説明

ダイヤフラム、及びそれを備えたソレノイドバルブ

【課題】 弾性変形した際に生じる反力を低減することが可能なダイヤフラムを提供する。
【解決手段】 リニアソレノイドバルブ2は、コイルアッセンブリ17により駆動されるプランジャ11を有するソレノイド部10と、プランジャ11により押圧されて移動制御されるスプール21を有するバルブ部20とにより構成されている。ダイヤフラム1は、ソレノイド部10を隔離するように、外周部1aがヨーク13に、内周部1cがスプール21に取付けられ、スプール21の移動に伴い膜部1bが弾性変形するようになっている。この膜部1bの外径側に、スプール21の移動方向に向けて比較的大きい曲率r1の凸状に形成された外径側環状凸部1dを設け、また、膜部1bの内径側に、外径側環状凸部1dと反対方向に向けて比較的小さい曲率r2の凸状に形成された内径側環状凸部1eを設けて、該膜部1bを波状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車輌用自動変速機の油圧制御装置などに備えられるソレノイドバルブに用いられ、該ソレノイドバルブのソレノイド部に異物が流入することを防止するダイヤフラム及びそれを備えたソレノイドバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車輌用自動変速機の油圧制御装置などに用いられるソレノイドバルブは、制御部(ECU)などからの指令信号に基づきプランジャを駆動するソレノイド部と、該プランジャによりスプールが押圧移動されてポートの開閉を行うバルブ部とにより構成されている。このバルブ部には、例えば自動変速機内を循環するATF(オートマチックトランスミッションオイル)がポートに供給されており、各種部品から生じた鉄粉などの異物が流入する虞がある。
【0003】
一般に、ソレノイド部のプランジャは、コイルにより該コイルの中心軸方向に駆動制御されるようになっており、その移動駆動するプランジャを軸方向に位置決め支持する部材(例えばブッシュ、或いはコイルアッセンブリに直接支持される場合は当該コイルアッセンブリなど)によって移動自在に支持されている。しかしながら、上述のようにバルブ部に流入した異物がソレノイド部に流入してしまうと、上記位置決め支持する部材とプランジャとの隙間に異物が入り込む虞があり、プランジャの駆動に影響を与える虞がある。そのため、ソレノイド部とバルブ部との間にフィルタを設け、異物流入の防止を図るものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、ソレノイド部のプランジャはバルブ部のスプールに当接する必要があり、上述のようにソレノイド部とバルブ部との間にフィルタを設けると、プランジャ(又はスプール)がフィルタを貫通して設けられることになる。このフィルタの貫通孔はプランジャとの間に間隙があっては無意味であるので、プランジャが移動駆動する際は、フィルタの貫通孔との間で摺動することになり、フィルタとの間に摺動抵抗を生じてしまうと共に、異物が喰い込んでしまう虞もあった。
【0005】
そこで、例えば図6に示すリニアソレノイドバルブ2のように、ソレノイド部10を隔離するため、ダイヤフラム101を用いることが考えられる。該ダイヤフラム101は、外周部101aがケース(ヨーク)13に対して位置決めされてシールするように取付けられていると共に、内周部101cがスプール21の環状溝21fに対してシールするように取付けられており、コイル12に通電されてプランジャ11が矢印X1方向に駆動され、バルブ20のスプール21が矢印X1方向に押圧された際に、膜部101bが弾性変形することで、内周部101cがスプール21と共に移動するように構成されている。これにより、上述のような摺動する部分がなくなり、摺動抵抗がなくなると共に異物の流入や食い込みを防ぐことが可能となっている。なお、図6は従来のダイヤフラムを備えたリニアソレノイドバルブを示す断面図である。
【0006】
【特許文献1】特開2004−92795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、例えば車輌用自動変速においては、動力伝達を行うクラッチを係合直前に制御するニュートラル制御を行ったり、変速ショックを軽減を図るため、クラッチやブレーキをより精度良く制御することが求められており、それに伴って、それらクラッチやブレーキの油圧サーボに供給する油圧を制御するリニアソレノイドバルブの制御性の向上、つまり油圧応答性の向上が求められている。
【0008】
しかしながら、上記ダイヤフラム101は、図7(a)に示すように、内周部101cがスプール21と共に移動した際に膜部101bが引張られないように弛み部分101dが形成されているものの、図7(b)に示すように、内周部101cが移動した際に弾性変形すると、特にA部分に応力集中を生じ、矢印X2方向へ比較的大きな反力を生じてしまう。このような比較的大きな反力が生じると、プランジャ11の駆動に対する抵抗となってしまい、スプール21の移動が遅れてしまうため、リニアソレノイドバルブ2の油圧応答性が良好でなくなってしまうという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、弾性変形した際に生じる反力を低減することが可能なダイヤフラム及びそれを備えたソレノイドバルブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る本発明は、コイル(12a)を備えたコイルアッセンブリ(17,47)と該コイル(12a)により駆動される可動部(11,30,41,45)とをケース(13、43)内に有するソレノイド部(10)と、前記可動部(11,30,41,45)により押圧されて移動されるスプール(21)を有するバルブ部(20)と、を備えるソレノイドバルブ(2)に用いられ、
前記ソレノイド部のコイルアッセンブリ(例えば17,47)、前記ケース(例えば13)、及び前記バルブ部の本体(例えば22)の少なくとも1個に取付けられる外周部(1a)と、前記スプール(21)又前記可動部(例えば30,41)に取付けられる内周部(1c)と、該外周部(1a)と該内周部(1c)との間に膜状に設けられ、前記スプール(21)の移動に伴い弾性変形する膜部(1b)と、を有して前記ソレノイド部(10)を隔離するダイヤフラム(1)において、
前記膜部(1b)は、
該膜部(1b)の外径側にて、環状に、かつ前記可動部(11)が前記スプール(21)を押圧する方向(X1方向)に向けて凸状に形成された外径側環状凸部(1d)と、
該膜部(1b)の内径側にて、環状に、かつ前記外径側環状凸部(1d)と反対方向(X2方向)に向けて凸状に形成された内径側環状凸部(1e)と、を有し、前記外径側環状凸部(1d)の曲率(r1)よりも前記内径側環状凸部(1e)の曲率(r2)が小さい曲率となるような波状に形成された、
ことを特徴とするダイヤフラム(1)にある。
【0011】
請求項2に係る本発明は、前記コイル(12a)に非通電状態である際に、前記膜部(1b)が変形していない状態となるように、前記外周部(1a)が前記ケース(13)に、前記内周部(1c)が前記スプール(21)に、それぞれ取付けられる、
ことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラム(1)にある。
【0012】
請求項3に係る本発明は、前記内径側環状凸部(1e)の曲率(r2)は、前記外径側環状凸部(1d)の曲率(r1)に対して略々半分の値である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のダイヤフラム(1)にある。
【0013】
請求項4に係る本発明は、コイル(12a)を備えたコイルアッセンブリ(17,47)と該コイル(12a)により駆動される可動部(11,30,41,45)とをケース(13、43)内に収容するソレノイド部(10)と、
前記可動部(11,30,41,45)により押圧されて移動されるスプール(21)を有するバルブ部(20)と、
前記ソレノイド部のコイルアッセンブリ(17,47)、前記ケース(例えば13)、及び前記バルブ部の本体(例えば22)の少なくとも1個に取付けられる外周部(1a)と、前記スプール(21)又前記可動部(例えば30,41)に取付けられる内周部(1c)と、該外周部(1a)と該内周部(1c)との間に膜状に設けられ、前記スプール(21)の移動に伴い弾性変形する膜部(1b)と、を有して前記ソレノイド部(10)を隔離するダイヤフラム(1)と、を備えるソレノイドバルブ(2)において、
前記膜部(1b)は、
該膜部(1b)の外径側にて、環状に、かつ前記可動部(11)が前記スプール(21)を押圧する方向(X1方向)に向けて凸状に形成された外径側環状凸部(1d)と、
該膜部(1b)の内径側にて、環状に、かつ前記外径側環状凸部(1d)と反対方向(X2方向)に向けて凸状に形成された内径側環状凸部(1e)と、を有し、前記外径側環状凸部(1d)の曲率(r1)よりも前記内径側環状凸部(1e)の曲率(r2)が小さい曲率となるような波状に形成された、
ことを特徴とするソレノイドバルブ(2)にある。
【0014】
請求項5に係る本発明は、前記コイル(12a)に非通電状態である際に、前記膜部(1b)が変形していない状態となるように、前記外周部(1a)が前記ケース(13)に、前記内周部(1c)が前記スプール(21)に、それぞれ取付けられる、
ことを特徴とする請求項4記載のソレノイドバルブ(2)にある。
【0015】
請求項6に係る本発明は、前記内径側環状凸部(1e)の曲率(r2)は、前記外径側環状凸部(1d)の曲率(r1)に対して略々半分の値である、
ことを特徴とする請求項4又は5記載のソレノイドバルブ(2)にある。
【0016】
請求項7に係る本発明は、前記スプール(21)は、前記ソレノイド部(10)内に突出するように形成されてなり、
前記ダイヤフラム(1)の内周部(1c)は、前記スプール(21)に取付けられてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至6の何れか記載のソレノイドバルブ(2)にある。
【0017】
請求項8に係る本発明は、前記可動部は、前記コイル(12a)の通電により駆動制御されるプランジャ(11)と、前記プランジャ(11)と前記スプール(21)との間に介在されるシャフト(30)と、からなり、
前記ダイヤフラム(1)の内周部(1c)は、前記シャフト(30)に取付けられてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至6の何れか記載のソレノイドバルブ(2)にある。
【0018】
請求項9に係る本発明は、前記可動部は、前記コイル(12a)の通電により駆動制御されるプランジャ(45)と、前記プランジャ(45)に固着されたシャフト(41)と、からなり、
前記ダイヤフラム(1)の内周部(1c)は、前記シャフト(41)に取付けられてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至6の何れか記載のソレノイドバルブ(2)にある。
【0019】
請求項10に係る本発明は、前記ダイヤフラム(1)の外周部(1a)は、前記コイルアッセンブリ(17,47)と前記バルブ部(20)の本体(22)との間に取付けられてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至9の何れか記載のソレノイドバルブ(2)にある。
【0020】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る本発明によると、ダイヤフラムの膜部が、膜部の外径側にプランジャがスプールを押圧する方向に向けて凸状に形成された外径側環状凸部と、膜部の内径側に外径側環状凸部と反対方向に向けて凸状に形成された内径側環状凸部と、を有して外径側環状凸部の曲率よりも内径側環状凸部の曲率が小さい曲率となるような波状に形成されているので、内周部がスプールと共に移動して弾性変形した際に生じる反力を低減することができる。それにより、リニアソレノイドバルブの油圧応答性を向上することができる。
【0022】
請求項2に係る本発明によると、ダイヤフラムが、コイルに非通電状態である際に膜部が変形していない状態となるように取付けられるので、コイルの非通電状態、つまり可動部が駆動していない状態で、ダイヤフラムの膜部に負荷が生じることを防ぐことができ、ダイヤフラムの耐久性の向上を図ることができる。
【0023】
請求項3に係る本発明によると、内径側環状凸部の曲率は、外径側環状凸部の曲率に対して略々半分の値であるので、弾性変形した際に生じる反力を低減することを可能とすることができる。
【0024】
請求項4に係る本発明によると、ダイヤフラムの膜部が、膜部の外径側にプランジャがスプールを押圧する方向に向けて凸状に形成された外径側環状凸部と、膜部の内径側に外径側環状凸部と反対方向に向けて凸状に形成された内径側環状凸部と、を有して外径側環状凸部の曲率よりも内径側環状凸部の曲率が小さい曲率となるような波状に形成されているので、内周部がスプールと共に移動して弾性変形した際に生じる反力を低減することができ、リニアソレノイドバルブの油圧応答性を向上することができる。
【0025】
請求項5に係る本発明によると、ダイヤフラムが、コイルに非通電状態である際に膜部が変形していない状態となるように取付けられるので、コイルの非通電状態、つまり可動部が駆動していない状態で、ダイヤフラムの膜部に負荷が生じることを防ぐことができ、ダイヤフラムの耐久性の向上を図ることができて、ソレノイドバルブとしての耐久性の向上も図ることができる。
【0026】
請求項6に係る本発明によると、内径側環状凸部の曲率は、外径側環状凸部の曲率に対して略々半分の値であるので、弾性変形した際に生じる反力を低減することを可能とすることができる。
【0027】
請求項7に係る本発明によると、ダイヤフラムの内周部が、ソレノイド部に突出するように形成されたスプールに取付けられるので、スプールを可動部により押圧可能に構成できるものでありながら、ダイヤフラムによってソレノイド部を隔離することができる。
【0028】
請求項8に係る本発明によると、ダイヤフラムの内周部が、プランジャとスプールとの間に配置されるシャフトに取付けられるので、シャフトを介してスプールをプランジャにより押圧可能に構成できるものでありながら、ダイヤフラムによってソレノイド部を隔離することができる。
【0029】
請求項9に係る本発明によると、ダイヤフラムの内周部が、プランジャに固着されたシャフトに取付けられるので、スプールをシャフトにより押圧可能に構成できるものでありながら、ダイヤフラムによってソレノイド部を隔離することができる。
【0030】
請求項10に係る本発明によると、ダイヤフラムの外周部が、コイルアッセンブリとバルブ部の本体との間に取付けられるので、ダイヤフラムによってソレノイド部を隔離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係るダイヤフラムを備えたリニアソレノイドバルブを示す断面図、図2は本発明に係るダイヤフラムを示す断面図で、(a)は変形前を示す図、(b)は変形後を示す図、図3はダイヤフラムの膜厚と抵抗との関係を示す図である。
【0032】
リニアソレノイドバルブ2は、図1に示すように、ソレノイド部10及びバルブ部20とからなり、該ソレノイド部10は、プランジャ(可動部)11、コイルアッセンブリ17及びヨークとしての機能を有するケース(以下、「ヨーク」という)13を備えている。コイルアッセンブリ17は、ステンレススチール(SUS)等の非磁性金属製(必ずしも金属に限らず合成樹脂等の非磁性体であってもよい)のボビン12bと、マグネットワイヤ(不図示)と、電磁軟鉄等の強磁性体からなり強磁性体部を構成するエンド部15,16と、前記ボビン12bに前記マグネットワイヤが巻付けられているコイル12aと、該コイル12aに電流を供給するターミナル18とを備えており、上記エンド部15,16は、ボビン12bの軸方向両端部に配置されている。上記両エンド部15,16及びボビン12bは、焼結接合により一体に形成されて、コイル12aのコアを形成している。なお、上記エンド部を構成する電磁軟鉄は、純鉄を95[%]以上、好ましくは略々99[%]以上(小数点第1位で四捨五入して99[%]以上)含むものが望ましい。また、両エンド部15,16及びボビン12bは、焼結結合により一体に形成するものを一例として説明しているが、溶接、ロー付け、接着等により一体に形成してもよい。
【0033】
コイルアッセンブリ17は、上記ターミナル18部分を除いて円筒状に形成されており、該アッセンブリ17の中心には、軸方向に同一径からなる中空部17aが形成されている。そして、該中空部17aには上記プランジャ11が摺動自在に嵌挿している。該プランジャ11は、外周面が軸方向に同一径からなり、かつコイル12aより軸方向に長く構成されている。
【0034】
上記コイルアッセンブリ17のエンド部15には、内周側にて、プランジャ11に向けて先細形状で断面直角3角形状となる縁部15aが形成されている。また、エンド部15の縁部15aの付根部分には環状の段差部15bが形成されており、上記ボビン12bのフランジ部12cに焼結結合する係止部となっている。一方、上記エンド部16のボビン12b側(図中左方であるX1方向側)には、筒状部16aが形成されており、上記ボビン12bの環状部12dに焼結結合する係止部となっている。
【0035】
即ち、ボビン12b及びエンド部15,16を加熱して焼結を行う際は、例えばステンレススチールからなるボビン12bが収縮すると共に、例えば軟鉄からなり、略収縮しないエンド部15,16と該ボビン12bとの間に粒子間の結合が進み、上記フランジ部12cが段差部15bに、上記環状部12dが筒状部16aに、それぞれ押し付けられながら接合される。これにより、ボビン12b及びエンド部15,16は、接合強度の高い状態で一体に形成される。
【0036】
なお、該縁部15aは、上述した直角3角形状が好ましいが、内傾面15cを曲面又は異なる傾斜角の多段傾斜面としてもよく、要は、縁部15aの先端に向かって磁気飽和が現出する先細形状であればよい。
【0037】
一方、上記プランジャ11の一端面11bには、詳しくは後述するバルブ部20のスプール21の先端21eが当接している。また、該プランジャ11におけるバルブ部20から離れた側の他端面11cには、非磁性材料のコーティング又は表面処理が施されており、プランジャ11とヨーク13とが磁気的に切り離されている。上記ヨーク13の底部分の内側中心部分には、プランジャ11側に向けて突起部13cが形成されており、この他端面11cは、部分的にヨーク13に当接するように構成されている。これにより、プランジャ11がヨーク13の底部分に吸着することを防止している。なお、プランジャ端面(他端面11c)に限らず、ヨーク13の底部に非磁性体のコーティング又は表面処理を施すようにしてもよく、要は、取付け状態において、ヨーク13とプランジャ11の磁極を切り離すことができればよい。
【0038】
また、プランジャ11には、一端面11bと他端面11cとの間を貫通する複数の貫通孔11a,11aが穿設されており、詳しくは後述するダイヤフラム1により隔たれて形成される油蜜状の空間19にある油が、該プランジャ11が駆動されて矢印X1方向に移動した際に通過して、プランジャ11の他端面11cとヨーク13との間に生じる空隙に流入するようになっている。つまり、この貫通孔11a,11aによってプランジャ11の駆動の際に体積変化による抵抗が生じ難くなるように構成されている。
【0039】
上記ヨーク13は、強磁性材料からなり、深絞り又は冷間鍛造等の塑性金属加工によりコップ状に形成されており、かつ一部分13aが上記ターミナル18用に切欠かれている。該ヨーク13の材料は、純鉄を95[%]以上、好ましくは略々99[%]以上(小数点第1位で四捨五入して99[%]以上)含む電磁軟鉄が望ましい。該ヨーク13は、前記コイルアッセンブリ17を嵌合して内部に納め、かつ先端部13bを、後述するバルブ部20のバルブ本体22のフランジ部22aと共にカシメることにより、ソレノイド部10がバルブ部20と一体に組付けられる。なお、このカシメの際、バルブ本体22のフランジ部22aとエンド部15との間に、本発明に係るダイヤフラム1の外周部1aがヨーク13に対して位置決めされる形で取付けられる。
【0040】
一方、バルブ部20は、バルブ本体22及び該本体内に摺動自在に嵌挿しているスプール21を有しており、該バルブ本体22に抜止め・固着されたエンドプレート23とスプール21の先端との間にスプリング24が縮設されている。スプール21は、2個の大径のランド部21a,21b及び1個の小径ランド部21cを有しており、また、該小径ランド部21cの上記プランジャ11側には、先端21eがプランジャ11の一端面11bに当接する受圧部21dを有している。即ち、このスプール21は、該受圧部21dが、スプリング24により付勢された駆動前の状態(即ち図1中のX2方向に最も移動した位置)において、上記ソレノイド部10のコイルアッセンブリ17の中空部17a内に突出するように形成されており、これによりスプール21がプランジャ11に当接するように構成されている。この受圧部21dと小径ランド部21cとの間には、詳しくは後述するダイヤフラム1の内周部1cが取り付けられる溝部21fが形成されている。
【0041】
また、バルブ本体22は、自動変速機の油圧回路におけるライン圧等にモジュレータバルブを介して接続して、所定油圧が供給される入力ポートP1、バルブの制御油室等の出力部に連通している出力ポートP3、該出力ポートP3からの油路に連通しているフィードバックポートP2及びドレーンポートP4を有している。
【0042】
従って、上記スプール21は、上記スプリング24と、フィードバックポートP2からの油圧によるランド部21b,21cの面積差による付勢力とにより、その先端部21eが前記プランジャ11の一端面11bに常に当接しており、つまりスプール21とプランジャ11とは一体に移動する。
【0043】
つづいて、本発明の要部となるダイヤフラム1について詳細説明する。なお、本明細書中における「ダイヤフラム」とは、圧力を受けて開閉するダイヤフラム弁とは異なり、隔離(遮蔽)するために用いられる膜状のものをいう。
【0044】
ダイヤフラム1は、例えば弾性体の一例であるゴム等により形成されており、図1及び図2(a)に示すように、Oリング状に形成された外周部1aと、同じくOリング状に形成された内周部1cとを有していると共に、該外周部1aと該内周部1cとの間におおむね中空円板形状で膜状の膜部1bを有している。
【0045】
該膜部1bの外周側には、ダイヤフラム1の外径d1(例えば18mm)に対して約3/5程度の径d2(例えば10.9mm)の位置に環状となるように、かつ上記プランジャ11により押圧される方向である矢印X1方向に向けて曲率r1を有する凸状になるように形成された外径側環状凸部1dが形成されている。また、該膜部1bの内周側には、ダイヤフラム1の外径d1(例えば18mm)に対して約2/5程度の径d3(例えば7.1mm)の位置に環状となるように、かつ上記外径側環状凸部1dとは反対方向である矢印X2方向に向けて曲率r2を有する凸状になるように形成された内径側環状凸部1eが形成されている。即ち、ダイヤフラム1は、膜部1bの断面形状が波状となるように形成されている。
【0046】
なお、外径側環状凸部1dの曲率r1は例えば半径0.8mmの曲率に、また内径側環状凸部1eの曲率r2は例えば半径0.4mmの曲率に、それぞれ形成されており、つまり内径側環状凸部1eの曲率r2は外径側環状凸部1dの曲率r1に対して略々半分に形成されている。
【0047】
ダイヤフラム1は、外周部1aが上述したバルブ本体22のフランジ部22aとエンド部15との間に狭持されて取付けられると共に、内周部1cがスプール21の溝部21fに嵌合されて取付けられる。このようにダイヤフラム1がリニアソレノイドバルブ2に取付けられると、該ダイヤフラム1は、エンド部15に密着する形となって、スプール21の受圧部21d及び膜部1bによりソレノイド部10を覆って隔離することになる。これにより、ダイヤフラム1とプランジャ11との間には、エンド部15に囲まれた油室19が形成されると共に、ダイヤフラム1とバルブ本体22との間には、排出ポートP5を有する油室29が形成される。
【0048】
なお、ダイヤフラム1は、図1及び図2(a)に示すようなプランジャ11及びスプール21が矢印X2方向に移動した状態(プランジャ11がヨーク13の底面に当接した状態)で、弾性変形しない無負荷の状態となるように形成されており、つまりコイル12aが非通電状態(プランジャ11が駆動していない状態)で膜部が変形しない状態となるように取付けられている
【0049】
ついで、上述した構成に基づきリニアソレノイドバルブ2の作用について説明する。ターミナル18からマグネットワイヤに電流が供給されると、非磁性体からなるボビン12bは磁気回路を構成しないので、強磁性体からなる、ヨーク13、一方のエンド部15、プランジャ11、他方のエンド部16に流れる磁気回路が形成される。該磁気回路に基づき、プランジャ11の一端面11bとエンド部15とが吸引部となって、プランジャ11がエンド部15に引きつけられて矢印X1方向に移動する。この際、上記吸引部を構成するエンド部15は、先細形状(断面直角3角形状)の縁部15aが形成されており、磁気流路となる断面積の小さい先細形状の先端部15aが、上記コイル12aに流れる電流値とプランジャ11のストローク量に応じて磁気飽和状態となる。これにより、各電流値におけるプランジャ11のストローク量に対する吸引力特性が、比較的フラットな特性となる。また、プランジャ11は、常にエンド部15と軸方向にオーバラップしており、所定の磁束引渡し部を確保している。
【0050】
そして、上記プランジャ11のストローク量に基づき、スプール21がスプリング24に抗して一体に移動し、該スプール21の位置が制御される。これにより、出力ポートP3は、切欠きを有する入力ポートP1と、ドレーンポートP4との流通割合が制御され、出力ポートP3からの出力圧がリニアに調圧される。
【0051】
前記コイル12aへの電流を切断すると、スプリング24の付勢力により、スプール21及びそれと一体のプランジャ11が矢印X2方向に移動する。そして、プランジャ11の他端面11cに設けられている当接部11dがヨーク13の底面に衝突する。
【0052】
つづいて、ダイヤフラム1の作用について説明する。上述のように、コイル12aへの電流が切断された状態では、プランジャ11と共にスプール21は、図1及び図2(a)に示すように、スプリング24の付勢力により矢印X2方向の位置(プランジャ11がヨーク13の底面に当接した位置)にある。この際、ダイヤフラム1は、上述したように弾性変形しない無負荷の状態となっている。
【0053】
コイル12aに電流が供給され、プランジャ11と共にスプール21が矢印X1方向に移動すると、図2(b)に示すように、スプール21の溝部21fと共にダイヤフラム1の内周部1cも矢印X1方向に移動し、それに伴って膜部1bが弾性変形する。この際、ダイヤフラム1の外径側環状凸部1dの曲率r1が大きくなる形で延ばされるように変形するが、内径側環状凸部1eも曲率r2が大きくなる形で延ばされるように変形するため、スプール21の溝部21fに嵌合して回転方向に角度が略変化しない(スプール21の溝部21fに対して回動しない)内周部1cが矢印X1方向に移動しても、外径側環状凸部1dや内径側環状凸部1eに応力集中が生じることがない。そのため、図3に示すように、本発明に係るダイヤフラム1は、図中破線で示す従来のダイヤフラムに比して、図中実線のような抵抗の小さいものとなる。なお、ダイヤフラム1の膜部1bの膜厚に弾性力は略々比例するため、膜厚が厚くなるほどダイヤフラム1の抵抗が増すことになるが、強度的に膜厚の厚いものが必要となる場合ほど、本発明のダイヤフラム1が効果的であるといえる。
【0054】
なお、スプール21が矢印X1方向に移動すると、ダイヤフラム1の内周部1c及び膜部1bも矢印X1方向に移動するため、油室29の体積が減少することになるが、その際、油室29にある油(或いは空気)は出力ポートP5より排出されるので、大きな抵抗となることはない。
【0055】
以上のように、本発明に係るダイヤフラム1によると、ダイヤフラム1の膜部1bが、膜部1bの外径側にプランジャ11がスプール21を押圧する方向であるX1方向に向けて比較的大きい曲率r1の凸状に形成された外径側環状凸部1dと、膜部1bの内径側に外径側環状凸部1dと反対方向であるX2方向に向けて比較的小さい曲率r2の凸状に形成された内径側環状凸部1eと、を有して波状に形成されているので、内周部1cがスプール21と共に移動して弾性変形する際に、外径側環状凸部1d及び内径側環状凸部1eが略々均一に変形することで応力集中することなく膜部1bが変形し、弾性変形する際に生じる反力を低減することができる。それにより、リニアソレノイドバルブ2の油圧応答性を向上することができる。
【0056】
また、ダイヤフラム1が、コイル12aに非通電状態である際に膜部1bが変形していない状態となるように取付けられるので、コイル12aの非通電状態、つまりプランジャ11が駆動していない状態で、ダイヤフラム1の膜部1bに負荷が生じることを防ぐことができ、ダイヤフラム1の耐久性の向上、及びリニアソレノイドバルブとしての耐久性の向上を図ることができる。
【0057】
また、内径側環状凸部1eの曲率r2は、外径側環状凸部1dの曲率r1に対して略々半分の値であるので、弾性変形した際に生じる反力を低減することを可能とすることができる。
【0058】
また、本発明に係るダイヤフラム1を備えることで、油圧応答性が向上したリニアソレノイドバルブ2を提供することができるので、車輌用自動変速機における油圧制御の精度向上を図ることができ、特にニュートラル制御の精度向上や変速ショックの低減を可能とすることができる。
【0059】
更に、ダイヤフラム1の内周部1cが、ソレノイド部10に突出するように形成されたスプール21に取付けられるので、スプール21をプランジャ11により押圧可能に構成できるものでありながら、ダイヤフラム1の外周部1aが、コイルアッセンブリ17とバルブ部20の本体22との間に取付けられるので、ダイヤフラム1によってソレノイド部10を隔離することができる。
【0060】
ついで、本発明に係る別の実施の形態としてのリニアソレノイドバルブ2について図4に沿って説明する。なお、以下の本実施の形態の説明においては、上述した実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
本実施の形態に係るリニアソレノイドバルブ2は、ソレノイド部10における可動部として、プランジャ11とシャフト30とを備えて構成されており、プランジャ11とスプール21との間にシャフト30が介在されて構成されている。該シャフト30は、コイルアッセンブリ17の中空部17aに嵌合されたフランジ状の支持部材(以下、「コア」という)31により軸方向(矢印X1−X2方向)に摺動自在に支持されている。
【0062】
該シャフト30の一端側には、バルブ部20内に突出して形成された当接部30bを有しており、該当接部30bの先端部30cがスプール21の受圧部21dの先端21eに当接する。また、該シャフト30の他端側の端部30dは、プランジャ11の一端面11bに当接する。そして、該シャフト30には、溝部30aが形成されており、該溝部30aにダイヤフラム1の内周部1cが取付けられる。
【0063】
一方、上記コア31の内周側には、例えば周方向に2箇所のV溝31aが形成されており、該V溝31aによりオイルの流動を可能としている。つまり、貫通孔11a,11a及びV溝31aによってプランジャ11及びシャフト30の駆動の際に、ダイヤフラム1により隔たれた空間の体積変化による抵抗が生じ難くなるように構成されている。また、該コア31は、エンド部15に沿って端部がフランジ状に形成されてヨーク13の内周側まで延設されており、ダイヤフラム1と共にフランジ部22aとエンド部15との間に挟持されて固定される。
【0064】
なお、本実施の形態におけるリニアソレノイドバルブ2のプランジャ11及びスプール21は、シャフト30が介在する分、上述のリニアソレノイドバルブ2のプランジャ11及びスプール21に比して、短く形成されている。このため、特にプランジャ11が短く形成されていることにより、エンド部15,16の軸方向(矢印X1−X2方向)の長さ及びボビン12aの位置がプランジャ11に合せて形成されており、つまりエンド部15の縁部15aがプランジャ11の端面11bの位置となるように構成されている。
【0065】
また、本実施の形態におけるリニアソレノイドバルブ2のバルブ部20は、上述のリニアソレノイドバルブ2のバルブ部20に比して、フィードバックポートP2及び出力ポートP3の穿設方向が異なるが、特にその方向はどのような方向であっても構わない。
【0066】
以上のように、ダイヤフラム1の内周部1cが、プランジャ11とスプール21との間に配置されるシャフト30に取付けられるので、シャフト30を介してスプール21をプランジャ11により押圧可能に構成できるものでありながら、ダイヤフラム1の外周部1aが、コア31を介してコイルアッセンブリ17とバルブ部20の本体22との間に取付けられるので、ダイヤフラム1によってソレノイド部10を隔離することができる。
【0067】
ついで、本発明に係る更に別の実施の形態としてのリニアソレノイドバルブ2について図5に沿って説明する。なお、以下の本実施の形態の説明においては、上述した実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
本実施の形態に係るリニアソレノイドバルブ2は、ソレノイド部10において、プランジャ45がヨーク43の底部分(図中矢印X2方向)に配置され、該プランジャ45の縁部45aの形状により該プランジャ45が直接的に磁気駆動されるように構成されると共に、該プランジャ45にシャフト41が固着されて、該シャフト41によりスプール21を押圧駆動するように構成されている。
【0069】
コイルアッセンブリ47は、一本のスリーブ状に形成された強磁性体からなるコア部材46にコイル12aが巻回されて構成されており、該コア部材46の中心に軸方向の中空部46aを有している。また、該中空部46aには、シャフト41との間に2つのブッシュb1,b2が配設されており、該シャフト41はそれらブッシュb1,b2を介して軸方向に摺動自在に支持されている。なお、ブッシュb1,b2には、図示を省略したV溝が形成されており、上述の実施の形態と同様にプランジャ11及びシャフト30の駆動の際に、ダイヤフラム1により隔たれた空間の体積変化による抵抗が生じ難くなるように構成されている。
【0070】
一方、上記プランジャ45は、略王冠状からなり、外周側において、内傾面45cが外周側に向けて広がるように形成された縁部45aが上記コア部材46に対向するように設けられている。また、プランジャ45の内周側中心部分は、シャフト41の取付部分41cに対して該シャフト41がカシメられた形で固着されている。更に、プランジャ45には、貫通孔45a,45bが複数箇所に形成されており、プランジャ45の駆動の際にオイルが通過して該プランジャ45の駆動を妨げないように構成されている。
【0071】
上記シャフト41は、上記ブッシュb1,b2に摺動自在に支持される軸状の本体41aを有しており、該本体41aのスプール21側の端部には、該スプール21に当接する端部41dを有する当接部41bが形成されている。一方、本体41aのヨーク43の底部側には、上述のようにプランジャ45にカシメられて形成された端部41aを有しており、該端部41aには、後述する底板44の表面44aに当接する端面41dを有している。そして、シャフト41の本体41aと当接部41bとの間には溝部41eが形成されており、該溝部41eにダイヤフラム1の内周部1cが取付けられる。
【0072】
ヨーク43の底部分には、例えばステンレススチールからなる底板44が埋設されており、該底板44によりヨーク43とプランジャ45との磁極を切り離している。また、プランジャ45の内周側にあって、シャフト41の外周側には、コア部材46との間に例えばステンレススチールからなる環状の非磁性体リング42が配設されている。これにより、コイル12aに電流が流された際に、コア部材46、プランジャ45の縁部45a、ヨーク43を通る磁気回路が構成される。
【0073】
なお、本実施の形態におけるリニアソレノイドバルブ2のスプール21は、バルブ部20にシャフト41の当接部41bが突出している分、上述のリニアソレノイドバルブ2のスプール21に比して、短く形成されている。また、本実施の形態におけるリニアソレノイドバルブ2のバルブ部20の本体22の各ポートは、上記リニアソレノイドバルブ2のバルブ部20と同様に構成されている。
【0074】
以上のように、ダイヤフラム1の内周部1cが、プランジャ45に固着されたシャフト41に取付けられるので、シャフト41を介してスプール21をプランジャ45により押圧可能に構成できるものでありながら、ダイヤフラム1の外周部1aが、コイルアッセンブリ47とバルブ部20の本体22との間に取付けられるので、ダイヤフラム1によってソレノイド部10を隔離することができる。
【0075】
なお、以上説明した実施の形態においては、ソレノイド部10がプランジャ11のリニア駆動を行うリニアソレノイドバルブ2について説明したが、これに限らず、ソレノイドバルブであれば、どのようなものであっても本発明のダイヤフラム1を適用することができる。
【0076】
また、以上説明した実施の形態においては、ダイヤフラム1が弾性変形していない状態でリニアソレノイドバルブ2に取付けられたものについて説明したが、弾性変形させた状態で取付け、プランジャ及びスプールが移動した際に無負荷(変形前)の状態になっていくように取付けてもよい。
【0077】
また、以上説明した実施の形態においては、内径側環状凸部1eの曲率r2を外径側環状凸部1dの曲率r1に対して略々半分の値にしたものを説明したが、これは最も好ましい形態を示すものであって、これに限らず、外径側環状凸部や内径側環状凸部を有して、外径側環状凸部の曲率よりも内径側環状凸部の曲率が小さい曲率となるような波状に形成されたダイヤフラムであれば、どのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係るダイヤフラムを備えたリニアソレノイドバルブを示す断面図。
【図2】本発明に係るダイヤフラムを示す断面図で、(a)は変形前を示す図、(b)は変形後を示す図。
【図3】ダイヤフラムの膜厚と抵抗との関係を示す図。
【図4】別の実施の形態のリニアソレノイドバルブを示す断面図。
【図5】更に別の実施の形態のリニアソレノイドバルブを示す断面図。
【図6】従来のダイヤフラムを備えたリニアソレノイドバルブを示す断面図。
【図7】従来のダイヤフラムを示す断面図で、(a)は変形前を示す図、(b)は変形後を示す図。
【符号の説明】
【0079】
1 ダイヤフラム
1a 外周部
1b 膜部
1c 内周部
1d 外径側環状凸部
1e 内径側環状凸部
2 ソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブ)
10 ソレノイド部
11 可動部(プランジャ)
12a コイル
13 ケース(ヨーク)
17 コイルアッセンブリ
20 バルブ部
21 スプール
30 可動部(シャフト)
41 可動部(シャフト)
45 可動部(プランジャ)
47 コイルアッセンブリ
r1 外径側環状凸部の曲率
r2 内径側環状凸部の曲率


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを備えたコイルアッセンブリと該コイルにより駆動される可動部とをケース内に有するソレノイド部と、前記可動部により押圧されて移動されるスプールを有するバルブ部と、を備えるソレノイドバルブに用いられ、
前記ソレノイド部のコイルアッセンブリ、前記ケース、及び前記バルブ部の本体の少なくとも1個に取付けられる外周部と、前記スプール又は前記可動部に取付けられる内周部と、該外周部と該内周部との間に膜状に設けられ、前記スプールの移動に伴い弾性変形する膜部と、を有して前記ソレノイド部を隔離するダイヤフラムにおいて、
前記膜部は、
該膜部の外径側にて、環状に、かつ前記可動部が前記スプールを押圧する方向に向けて凸状に形成された外径側環状凸部と、
該膜部の内径側にて、環状に、かつ前記外径側環状凸部と反対方向に向けて凸状に形成された内径側環状凸部と、を有し、前記外径側環状凸部の曲率よりも前記内径側環状凸部の曲率が小さい曲率となるような波状に形成された、
ことを特徴とするダイヤフラム。
【請求項2】
前記コイルに非通電状態である際に、前記膜部が変形していない状態となるように、前記外周部が前記ケースに、前記内周部が前記スプールに、それぞれ取付けられる、
ことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラム。
【請求項3】
前記内径側環状凸部の曲率は、前記外径側環状凸部の曲率に対して略々半分の値である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のダイヤフラム。
【請求項4】
コイルを備えたコイルアッセンブリと該コイルにより駆動される可動部とをケース内に収容するソレノイド部と、
前記可動部により押圧されて移動されるスプールを有するバルブ部と、
前記ソレノイド部のコイルアッセンブリ、前記ケース、及び前記バルブ部の本体の少なくとも1個に取付けられる外周部と、前記スプール又は前記可動部に取付けられる内周部と、該外周部と該内周部との間に膜状に設けられ、前記スプールの移動に伴い弾性変形する膜部と、を有して前記ソレノイド部を隔離するダイヤフラムと、を備えるソレノイドバルブにおいて、
前記膜部は、
該膜部の外径側にて、環状に、かつ前記可動部が前記スプールを押圧する方向に向けて凸状に形成された外径側環状凸部と、
該膜部の内径側にて、環状に、かつ前記外径側環状凸部と反対方向に向けて凸状に形成された内径側環状凸部と、を有し、前記外径側環状凸部の曲率よりも前記内径側環状凸部の曲率が小さい曲率となるような波状に形成された、
ことを特徴とするソレノイドバルブ。
【請求項5】
前記コイルに非通電状態である際に、前記膜部が変形していない状態となるように、前記外周部が前記ケースに、前記内周部が前記スプールに、それぞれ取付けられる、
ことを特徴とする請求項4記載のソレノイドバルブ。
【請求項6】
前記内径側環状凸部の曲率は、前記外径側環状凸部の曲率に対して略々半分の値である、
ことを特徴とする請求項4又は5記載のソレノイドバルブ。
【請求項7】
前記スプールは、前記ソレノイド部内に突出するように形成されてなり、
前記ダイヤフラムの内周部は、前記スプールに取付けられてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至6の何れか記載のソレノイドバルブ。
【請求項8】
前記可動部は、前記コイルの通電により駆動制御されるプランジャと、前記プランジャと前記スプールとの間に介在されるシャフトと、からなり、
前記ダイヤフラムの内周部は、前記シャフトに取付けられてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至6の何れか記載のソレノイドバルブ。
【請求項9】
前記可動部は、前記コイルの通電により駆動制御されるプランジャと、前記プランジャに固着されたシャフトと、からなり、
前記ダイヤフラムの内周部は、前記シャフトに取付けられてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至6の何れか記載のソレノイドバルブ。
【請求項10】
前記ダイヤフラムの外周部は、前記コイルアッセンブリと前記バルブ部の本体との間に取付けられてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至9の何れか記載のソレノイドバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−112620(P2006−112620A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241320(P2005−241320)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】