説明

ディスク式中耕除草機

【課題】3連の中耕ユニットの培土量をほぼ一致させることができるディスク式中耕除草機を提供する。
【解決手段】3連の中耕ユニット13〜15のうち、左右の中耕ユニット14,15は水平状態を保持したまま上下動しないように第1及び第2のロック機構部25,26によってメインフレーム11に固定し、中央の中耕ユニット13だけを圃場の凹凸に追従して上下動させるようにする。これにより、走行機体の車輪Tの踏圧により沈下した左右2つの条間の耕深と、膨軟な中央の条間の耕深をほぼ同等にすることができ、第1〜第3の中耕ユニット13〜15の培土量をほぼ一致させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク式中耕除草機に関し、さらに詳しくは、複数のディスク対で中耕除草、培土の管理作業を行う中耕除草機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対のディスクを前後に2列配置し、トラクタまたは乗用管理機の牽引前進によってこれらのディスクで条間の土壌を横方向へ反転移動させて中耕除草作業または培土(土寄せ)作業を行うディスク式中耕除草機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示されている従来のディスク式中耕除草機(10)にあっては、図9に示されるように、条間の土壌を横方向へ反転する前列ディスク対(42)と後列ディスク対(44)とを備えた中耕ユニット(30)を備えている。
【0004】
中耕ユニット(30)は、3条の条間の中耕を行うように機体幅方向(条間を横切る方向)に延びたメインフレーム(54)の中央部に1つ、左右側にそれぞれ1つずつ(図示せず)配設されている。
メインフレーム(54)の中央部に配設された中耕ユニット(30)は、トラクタの左右中心に位置し、トラクタが跨ぐために車輪の踏圧を受けない膨軟な条間を中耕する。また、このメインフレーム(54)の中央部には、トラクタ後部の3点リンクヒッチ機構と連結するためのアッパリンク連結部(102)とロアーリンク連結部(104)とを備えた連結機構(70)が設けられている。
メインフレーム(54)の左右側に配設された2つの中耕ユニット(30)は、それぞれトラクタのタイヤ後方に配置されるため、トラクタの車輪によりフラットに踏み固められて沈下した条間を中耕する。
また、メインフレーム(54)の前部または左右両端部には、中耕の耕深を調整するためのゲージ輪(32)が高さ調節可能に設けられている。
【0005】
これら3連の中耕ユニット(30)のメインフレーム(54)への取付けは、平行リンク(126)を介して行われており、圃場の凹凸に追従して3連の中耕ユニット(30)が各個別に上下動できるようになっている。
また、3連の中耕ユニット(30)は、各中耕ユニット(30)から上方に向かって延びた支持ロッド(28)が、メインフレーム(54)から各中耕ユニット(30)上方に向かって張り出された支持フレーム(50)によって上下動可能に支持されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−259812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のディスク式中耕除草機にあっては、3連の中耕ユニット(30)が各個別に上下動するため、トラクタの車輪の踏圧により沈下した左右2つの条間の耕深に比べて、膨軟な中央の条間の耕深が深くなりやすいという問題があった。そして、そのために、中央の条間と左右の条間との培土量が異なることから、雑草防除性能や作物の出来(例えば、大豆の収量)が条間毎に異なってしまう。
【0008】
本発明は、このような問題や課題に鑑みてなされたものであり、3連の中耕ユニットの培土量をほぼ一致させることができるディスク式中耕除草機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、条間を横切る方向に向かって延設されたメインフレームと、前記メインフレームからその前方に延び、走行機体の後部に連結される連結部と、前記メインフレームの幅方向中央部に上下揺動可能に設けられ、前記走行機体が跨いだ条間の土壌の中耕除草、培土を行う複数のディスク対を有する第1の中耕ユニットと、前記メインフレームの幅方向両側に固定可能に配設され、前記走行機体の車輪の踏圧を受けた条間の土壌の中耕除草、培土を行う複数のディスク対と、その前方に設けられ、耕深制御を行うゲージ輪とを有する第2及び第3の中耕ユニットと、を備えていることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記メインフレームと前記第1〜第3の中耕ユニットとを連結する第1〜第3の平行リンクと、前記メインフレームから前記第1〜第3の中耕ユニットの上方に向かって張り出した第1〜第3の支持フレームと、前記第1〜第3の中耕ユニットの上部に一端部が揺動可能に連結し、かつ他端部側が前記第1〜第3の支持フレームに上下動可能に支持された第1〜第3の支持ロッドと、前記第2の支持フレームと前記第2の支持ロッドとに接続され前記第2の支持ロッドの上下動を規制して前記第2の平行リンクの揺動を規制し、前記第2の中耕ユニットを水平状態に保持する第1のロック機構部と、前記第3の支持フレームと前記第3の支持ロッドとに接続され前記第3の支持ロッドの上下動を規制して前記第3の平行リンクの揺動を規制し、前記第3の中耕ユニットを水平状態に保持する第2のロック機構部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記第1の中耕ユニットは、前記メインフレームに平行リンクを介して連結され、前記第2及び第3の中耕ユニットは、前記メインフレームに直接的、もしくは間接的に固定されている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項1、2に記載の発明によれば、管理作業時にあっては、第1のロック機構部と第2のロック機構部とをロック動作させ、第2及び第3の支持ロッドの上下動を規制し、第2及び第3の中耕ユニットの揺動を規制することで第2及び第3の平行リンクを水平状態で固定する。また、請求項1,3に記載の発明によれば、第1及び第2のロック機構部の代わりに、第2及び第3の中耕ユニットを直接的、もしくは間接的にメインフレームに水平状態で固定する。
すると、3連の中耕ユニットのうち第1の中耕ユニットだけが圃場の凹凸に追従して上下動するようになると共に、メインフレームを第2及び第3の中耕ユニットが支えるようになるので、走行機体の車輪跡のついた固い条間を培土するのに十分な荷重(ユニット単体の重量では不十分)が第2及び第3の中耕ユニットにかかるようになる。
【0013】
これにより、走行機体(トラクタ、乗用管理機)の車輪の踏圧により沈下した左右2つの条間の耕深と、膨軟な中央の条間の耕深がほぼ等しくなるので、第1〜第3の中耕ユニットの培土量をほぼ一致させることができるようになる。中央の条間と左右の条間との培土量がほぼ同じになるので、雑草防除性能や作物の出来(例えば、大豆の収量)が条間毎に異なることはない。
【発明の効果】
【0014】
本発明のディスク式中耕除草機によれば、3連の中耕ユニットのうち、左右の中耕ユニットは水平状態を保持したまま上下動しないようにメインフレームに固定し、中央の中耕ユニットだけを圃場の凹凸に追従して上下動させるようにしたので、走行機体(トラクタ、乗用管理機)の車輪の踏圧により沈下した左右2つの条間の耕深と、膨軟な中央の条間の耕深がほぼ等しくなるので、第1〜第3の中耕ユニットの培土量をほぼ一致させることができるディスク式中耕除草機が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係るディスク式中耕除草機について図1〜3を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるディスク式中耕除草機の左側面図、図2は、同例におけるディスク式中耕除草機の平面図、図3は、同2の背面図である。
【0016】
図1〜3に示されるように、本発明のディスク式中耕除草機10は、条間を横切る方向に向かって延設されたメインフレーム11と、メインフレーム11からその前方に延び、走行機体(具体的には、トラクタ、乗用管理機)の後部に連結される連結部12と、メインフレーム11の幅方向中央部に上下揺動可能に設けられ、走行機体が跨いだ条間の土壌の中耕除草、培土を行う複数のディスク対1300,1301を有する第1の中耕ユニット13と、メインフレーム11の幅方向両側に固定可能に配設され、走行機体の車輪Tの踏圧を受けた条間の土壌の中耕除草、培土を行う複数のディスク対1400,1401または1500,1501と、その前方に設けられ、耕深制御を行うゲージ輪1402または1502とを有する第2及び第3の中耕ユニット14,15と、を備えて構成されている。
【0017】
さらに、本発明のディスク式中耕除草機10は、メインフレーム11と第1〜第3の中耕ユニット13〜15とを連結する第1〜第3の平行リンク16〜18と、メインフレーム11から第1〜第3の中耕ユニット13〜15の上方に向かって張り出した第1〜第3の支持フレーム19〜21と、第1〜第3の中耕ユニット13〜15の上部に一端部が揺動可能に連結し、かつ他端部側が第1〜第3の支持フレーム19〜21に上下動可能に支持された第1〜第3の支持ロッド22〜24と、第2の支持フレーム20と第2の支持ロッド23とに接続され第2の支持ロッド23の上下動を規制して第2の平行リンク17の揺動を規制し、第2の中耕ユニット17を水平状態に保持する第1のロック機構部25(図1に図示)と、第3の支持フレーム21と第3の支持ロッド24とに接続され第3の支持ロッド24の上下動を規制して第3の平行リンク18の揺動を規制し、第3の中耕ユニット15を水平状態に保持する第2のロック機構部26(図4,5参照)と、を備えている。
【0018】
詳述すると、メインフレーム11は、3条の条間を横切る長さを有する角パイプ状のフレーム部材である(図2,3参照)。このメインフレーム11の幅方向中央部には、走行機体後部の3点リンクヒッチ機構と連結するため、メインフレーム11から前方に向かって斜め上方に延びたマスト120と、メインフレーム11から前方に向かって斜め下方に延びた左右一対のアーム121と、左右のアーム111の側面下部に外向きに突設された一対のロアーヒッチピン122と、を備えた連結部12が配設されている。
【0019】
メインフレーム11後方には、第1〜第3の支持フレーム19〜21を下方から支承するため、メインフレーム11とほぼ同様の長さを有する丸パイプ状のサブフレーム27が、メインフレーム11から後方に向かって張り出された複数の板状の支持アーム28によって片持ち支持されている。
【0020】
さらに、メインフレーム11の幅方向中央部には、走行機体が跨ぐために車輪Tの踏圧を受けない膨軟な条間を中耕するための第1の中耕ユニット13が配設されていると共に、メインフレーム11の幅方向左右側には、走行機体の車輪の踏圧を受けた条間を耕耘するための第2及び第3の中耕ユニット14,15が配設されている。
【0021】
メインフレーム11に連なった3連の中耕ユニット13〜15は、何れも、走行機体の牽引前進により自転して条間の土壌を横方向へ反転する前列ディスク対1300,1400,1500と後列ディスク対1301,1401,1501とを備えている。
【0022】
ここで、第2の中耕ユニット14を代表として説明すると、前列ディスク対1400をなす2つのディスク1403,1404は、機体前後方向に延びた角パイプ状の前列ディスク対支持フレーム1405の下面に左右方向に揺動可能となるように設けられた前後一対の揺動アーム1406,1407にそれぞれ回転可能に支持されている。
これら揺動アーム1406,1407は、アーム前部が前列ディスク対支持フレーム1405に揺動支点として連なっていると共に、揺動アーム1406,1407の下端部に連なったそれぞれのディスク1403,1404が互いに異なった左右側方を臨むように前後に離間した状態で配置されている。
また、前列ディスク対支持フレーム1405の前部には、アタッチメント(例えば、チゼル)を取り付けるための左右一対のアタッチメント取付部1408が取付ブラケット1409を介して設けられている。
【0023】
後列ディスク対1401をなすディスク1410,1411は、機体前後方向に延びた角パイプ状の後列ディスク対支持フレーム1412の後部上面に設けられた左右一対の張り出しアーム1413,1414にディスク支持ロッド1415,1416を介して回転可能に支持されている。
これら張り出しアーム1413,1414は、左右方向に伸縮可能とされ、張り出しアーム1413,1414を支持するように後列ディスク対支持フレーム1412上面に設けられた角パイプ状のアーム支持部1417,1418に穿設されたピン孔1419,1420と、このアーム支持部1417,1418に摺動可能に支持された張り出しアーム1413,1414に穿設されたピン孔1421,1422とに挿着(抜き差し)される固定ピン(図示せず)によって、左右方向への張り出し量を調節できるようになっている。
【0024】
左右のディスク支持ロッド1415,1416は、上下方向に湾曲しながら延びた丸パイプ部材であって、ディスク支持ロッド1415,1416上部に穿設されたピン孔(図示せず)と、ディスク支持ロッド1415,1416上部を外嵌するように張り出しアーム1413,1414に連なった円筒状の外嵌部1423,1424に穿設されたピン孔(図示せず)とに挿着(抜き差し)される固定ピン1425または固定ボルト1426(図7に図示)によって、張り出しアーム1413,1414に連なるようになっている。
【0025】
また、左右のディスク支持ロッド1415,1416は、ディスク1410,1411を支持したままの状態で管理作業(培土または中耕)に応じて、培土時にあっては左右のディスク1410,1411が平面視ハの字状(図7(a)参照)、中耕時にあっては左右のディスク1410,1411が平面視逆ハの字状(図7(b)参照)となるように左右を入れ換えることができるようになっている。そのため、左右のディスク支持ロッド1415,1416を入れ換えることにより、ディスク1410,1411の自転方向が常に一方向となるので、各ディスク1410,1411に1つずつ(従来は2つずつ)、ディスク側面に付着した泥を刮げ落とすスクレイパー1427(図1に図示)が設けられている。
【0026】
また、ディスク支持ロッド1415,1416は、張り出しアーム1413,1414に連なった角度調整板1427,1428に穿設された複数のピン孔1429,1430と、ディスク支持ロッド1415,1416に連なった上下2つのフランジ1431,1432(図1に図示)に穿設されたピン孔(図示せず)とに挿着(抜き差し)される固定ピン1433によりディスク角度の調節ができるようになっている。
【0027】
前列ディスク対支持フレーム1405の中央部と後列ディスク対支持フレーム1412の上部とは、図1に示されるように、前列ディスク対支持フレーム1405が下側、後列ディスク対支持フレーム1412が上側となるように高低差がつけられた状態で、上下方向に延びる左右一対の連結フレーム1434によって左右側から挟まれた状態で一体化されている。
【0028】
左右の連結フレーム1434の上部とメインフレーム11から下方に延設された左右一対の水平リンク取付部材29との間には、第2の平行リンク17が介設されており、第2の中耕ユニット14が水平状態を保持しながら上下動、つまり上下方向に揺動できるようになっている。
【0029】
第1及び第3の中耕ユニット13,15も、第2の中耕ユニット14と同様の態様により構成されている。
【0030】
さらに、第2の中耕ユニット14には、前方に向かって延設されたゲージ輪支持アーム1435を介してゲージ輪1402(定規輪とも言う)が高さ調節可能に取り付けられている。
ゲージ輪1402の高さ調節は、ゲージ輪1402を支持するゲージ輪支持ロッド1436の上部に穿設された複数のピン孔1437と、ゲージ輪支持アーム1435の先端部(後述するロッド支持部1438のこと)に穿設されたピン孔(図示せず)とに挿着(抜き差し)される固定ピン1439によって行うことができるようになっている。
【0031】
固定ピン1439は、図2に示されるように、ゲージ輪支持アーム1435の先端部をなすロッド支持部1438に抜け止めされた状態で左右方向に進退移動可能とされた軸部1440と、軸部1440とロッド支持部1438との間に設けられたバネ(圧縮コイルバネ)1441と、先端部がピン孔1437と図示しないピン孔に抜き差しされる嵌合部1442と、作業者が把持する把持部1443とを備え、把持部1443を側方に向かって引くとピン孔1437等から嵌合部1442を抜出することができ、把持部1443から手を離すとバネ1441の復元力によりピン孔1437等に嵌合部1442を差し込むことができるようになっている。
【0032】
なお、第2の中耕ユニット14のゲージ輪1402と同様の態様により、第3の中耕ユニット15のゲージ輪1502が配設されている。
【0033】
また、第1〜第3の中耕ユニット13〜15の後列ディスク対支持フレーム1312,1412,1512の上面中央部には、第1〜第3の中耕ユニット13〜15を上方から支持する丸パイプ状の第1〜第3の支持ロッド22〜24の下端部が前後方向に向かって揺動可能に連接している。また、第1〜第3の支持ロッド22〜24の上端部側は、第1〜第3の支持フレーム19〜21に上下動可能となるように支持されている。
【0034】
ここで、第1〜第3の支持フレーム19〜21のうち第2の支持フレーム20を代表して詳細に説明すると、第2の支持フレーム20の上端側は、上下及び後方に向かって開口したコ字状に形成され(図2参照)、この第2の支持フレーム20の左右側面部の対向面間には、図1に示されるように、第2の支持ロッド23を内嵌した状態で上下動可能に支持する円筒状のホルダ30が第2の支持フレーム20の外側(左右側)から嵌着される固定ボルト31によって固定されている。これにより、ホルダ30は、第2の支持フレーム20の一部とみなされている。
【0035】
ホルダ30よりも上方に位置する第2の支持ロッド23には、図1に示されるように、第2の支持ロッド23の下方側への移動を規制する第1のバネ(圧縮コイルバネ)32とフランジ33とが外嵌している。これら第1のバネ32とフランジ33とは、第1の支持ロッドの上部側に沿って複数設けられたピン孔34に挿着される固定ピン35によって上方側への抜け止めがなされていると共に、ホルダ30によって下方側への抜け止めがなされている。
【0036】
また、ホルダ30よりも下方に位置する第2の支持ロッド23には、図1に示されるように、第2の支持ロッド23の上方側への移動を規制する第2のバネ(圧縮コイルバネ)36とフランジ37とが外嵌している。これら第2のバネ36とフランジ37とは、第2の支持ロッド23の下部側に設けられたピン孔(図示せず)に挿着(抜き差し)される固定ピン38によって下方側への抜け止めがなされていると共に、ホルダ30によって上方側への抜け止めがなされている。
【0037】
第1の支持ロッド22及び第3の支持ロッド24も第2の支持ロッド23と同様の態様により構成されている。
【0038】
次に、第1のロック機構部及び第2のロック機構部25,26のうち、第1のロック機構部25を代表として図4,5を用いて説明する。
図4は、同例における第1のロック機構部25を説明するための平面図、図5は、図4の側面図である。
【0039】
第1のロック機構部25は、第2の支持フレーム20と第2の支持ロッド23とに接続(嵌着、挿着)することによって第2の支持ロッド23の上下動を規制し、第2の平行リンク17の揺動を規制することで第2の中耕ユニット14を水平状態で固定するものである。
すなわち、この第1のロック機構部25は、図4,5に示されるように、第2の中耕ユニット14が土壌に対して水平状態となった際の第2の支持ロッド23とホルダ30とを前後方向に貫通するように第2の支持ロッド23とホルダ30とに穿設されたピン孔230,300,301(ホルダ30にあっては前後2箇所)と、ホルダ30から後方に延びるように設けられた支持部材39と、支持部材39に抜け止めされた状態で進退移動可能、かつ前後に向かった軸周りに回動可能に支持され、第2の支持ロッド23とホルダ30とに穿設されたピン孔230,300,301に接続(嵌着、挿着)可能とされた固定ピン40と、固定ピン40を前方に向かって移動させるように固定ピン40に外嵌されたバネ(圧縮コイルバネ)41と、を備えている。
【0040】
詳述すると、固定ピン40は、L字状の丸棒材が用いられ、前後方向に延びた長手軸部400と、この長手軸部400の後部を左右方向に折り曲げることによって形成された短手軸部401と、を備えて構成されている。
この固定ピン40を支持する支持部材39は、平面視h字状に形成されているものであって、前後方向に延びると共に前端部がホルダ30に固定されている長手部390と、長手部390と平行に配置され、前端部がホルダ30に固定されていると共に、後端部が長手部390の側面中央に接合するように左右方向(横向き)に折り曲げられた短手部391と、を備えている。
【0041】
また、長手部391の後端部には、固定ピン40の短手軸部401を係止可能とするように切り欠かれた係止部392が形成されている。また、横向きの短手部391には、固定ピン40の長手軸部400を摺動可能に軸支すると共に、第2の支持ロッド23とホルダ30とに穿設されたピン孔230,300,301と同軸上とされた軸孔393が穿設されている。この軸孔393に軸支された固定ピン40の長手軸部400には、バネ(圧縮コイルバネ)41が外嵌されている。このバネ41の前端部は固定ピン40の長手軸部400に係止していると共に、後端部は横向きの短手部391に接合している。
【0042】
このように構成された第1のロック機構部25にあっては、固定ピン40の短手軸部401を後方に向かって移動させ、図5中で一点鎖線で示されるように、固定ピン40の長手軸部400の前端部がホルダ30の後側のピン孔300内に位置させることによって、ロッド23の上下動を規制しないようになっている。
そして、固定ピン40を回動して固定ピン40の短手軸部401を支持部材39の係止部392に係止させると、固定ピン40から手を離しても、ロッド23の上下動を規制しない状態が維持されるようになっている。
なお、この際、バネ41の前端部は、図5中のP1の位置に位置しており、バネ41は圧縮されている状態にある。
【0043】
一方、固定ピン40の短手軸部401を支持部材39の係止部392から離脱させると、圧縮されていたバネ41の復元力によって固定ピン40は前方に向かって移動しようとする。ここで、第2の中耕ユニット14が土壌に対して水平状態にあるならば、固定ピン40が前方に移動して長手軸部400が第2の支持ロッド23とホルダ30とのピン孔230,301に接続(嵌着、挿着)することによって、第2の支持ロッド23の上下動を規制するようになっている。
なお、この状態にあっては、バネ41の前端部は、図5中のP2の位置、つまりホルダ30に接する位置に位置している。
【0044】
以上説明したように、第1のロック機構部25は、第2の中耕ユニット14が水平状態にあればロック動作可能に構成されているものであって、第2の中耕ユニット14が水平状態になり、第1のロック機構部25をロック動作させた状態にあっては、第2の支持ロッド23と第2の支持フレーム20に連なったホルダ30とに設けたピン孔230,300,301に固定ピン40が閂状に接続(嵌着、挿着)することによって、第2の支持ロッドの上下動を規制し、第2の平行リンクの揺動を規制することで第2の中耕ユニットを水平状態で固定することが可能となっている。
【0045】
第2のロック機構部26も第1のロック機構部25と同様の態様により構成されており、第2のロック機構部26は、第3の中耕ユニット15が水平状態にあればロック動作可能に構成されているものであって、第3の中耕ユニット15が水平状態になり、第2のロック機構部26をロック動作させた状態にあっては、第3の支持フレーム21のホルダ30と第3の支持ロッド24とに設けたピン孔(図示せず)に固定ピン40が閂状に接続(嵌着、挿着)することによって、第3の支持ロッド24の上下動を規制し、第3の平行リンク18の揺動を規制することで第3の中耕ユニット15を水平状態で固定することが可能となっている。
【0046】
そこで、管理作業時にあっては、第2及び第3の中耕ユニット14,15を土壌に対して水平にした状態で、第1のロック機構部25と第2のロック機構部26とをロック動作させて、第2及び第3の支持ロッド24の上下動を規制し、第2及び第3の中耕ユニット15の揺動を規制することで第2及び第3の平行リンク18を水平状態でメインフレーム11に固定する。
【0047】
すると、3連の中耕ユニット13〜15のうち第1の中耕ユニット13だけが圃場の凹凸に追従して上下動するようになると共に、メインフレーム11を第2及び第3の中耕ユニット14,15が支えるようになるので、走行機体の車輪跡のついた固い条間を培土するのに十分な荷重(ユニット単体の重量では不十分)が第2及び第3の中耕ユニット14,15にかかるようになる。
【0048】
これにより、図6,7に示されるように、走行機体の車輪Tの踏圧により沈下した左右2つの条間の耕深と、膨軟な中央の条間の耕深をほぼ同等にすることができ、第1〜第3の中耕ユニット13〜15の培土量をほぼ一致させることができるようになる。そして、そのために、中央の条間と左右の条間との培土量がほぼ同じになるので、雑草防除性能や作物の出来(例えば、大豆の収量)が条間毎に異なることはない。
なお、図6は、本ディスク式中耕除草機で中耕除草、培土を行った状態を説明するための説明図、図7(a)は、大豆培土時の後列ディスク対の状態を示した図、(b)は、大豆中耕時の後列ディスク対の状態を示した図である。
【0049】
なお、本実施形態にあっては、上述した第1及び第2のロック機構部25,26によって、第2及び第3の中耕ユニット14,15を水平状態で固定するようにしたが、これに限定されるものではなく、第2及び第3の平行リンク17,18の代わりに、図8に示されるように、第2及び第3の中耕ユニット14,15を水平状態でメインフレーム11に間接的に固定する継手部材42を用いることによって、上述した第1及び第2のロック機構部25,26を省くようにしてもよい。
また、第2及び第3の中耕ユニット14,15を水平状態で固定する継手部材42の代わりに、機械的接合、化学的接合、冶金的接合の何れかによって第2及び第3の中耕ユニット14,15をメインフレーム11に直接的に固定するようにしてもよい。
【0050】
また、本発明は、3連の中耕ユニットを有するディスク式中耕除草機にのみに限定されるものではなく、5連の中耕ユニットを有するディスク式中耕除草機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態によるディスク式中耕除草機の左側面図である。
【図2】同例におけるディスク式中耕除草機の平面図である。
【図3】同2の背面図である。
【図4】同例におけるロック機構部を説明するための平面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】本ディスク式中耕除草機で中耕除草、培土を行った状態を説明するための説明図である。
【図7】(a)は、大豆培土時の後列ディスク対の状態を示した図、(b)は、大豆中耕時の後列ディスク対の状態を示した図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるディスク式中耕除草機の左側面図である。
【図9】従来のディスク式中耕除草機を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
10…ディスク式中耕除草機
11…メインフレーム
13…第1の中耕ユニット
14…第2の中耕ユニット
1402…ゲージ輪
15…第3の中耕ユニット
1502…ゲージ輪
16…第1の平行リンク
17…第2の平行リンク
18…第3の平行リンク
19…第1の支持フレーム
20…第2の支持フレーム
21…第3の支持フレーム
22…第1の支持ロッド
23…第2の支持ロッド
24…第3の支持ロッド
25…第1のロック機構部
26…第2のロック機構部
42…継ぎ手部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
条間を横切る方向に向かって延設されたメインフレームと、
前記メインフレームからその前方に延び、走行機体の後部に連結される連結部と、
前記メインフレームの幅方向中央部に上下揺動可能に設けられ、前記走行機体が跨いだ条間の土壌の中耕除草、培土を行う複数のディスク対を有する第1の中耕ユニットと、
前記メインフレームの幅方向両側に固定可能に配設され、前記走行機体の車輪の踏圧を受けた条間の土壌の中耕除草、培土を行う複数のディスク対と、その前方に設けられ、耕深制御を行うゲージ輪とを有する第2及び第3の中耕ユニットと、
を備えていることを特徴とするディスク式中耕除草機。
【請求項2】
前記メインフレームと前記第1〜第3の中耕ユニットとを連結する第1〜第3の平行リンクと、
前記メインフレームから前記第1〜第3の中耕ユニットの上方に向かって張り出した第1〜第3の支持フレームと、
前記第1〜第3の中耕ユニットの上部に一端部が揺動可能に連結し、かつ他端部側が前記第1〜第3の支持フレームに上下動可能に支持された第1〜第3の支持ロッドと、
前記第2の支持フレームと前記第2の支持ロッドとに接続され前記第2の支持ロッドの上下動を規制して前記第2の平行リンクの揺動を規制し、前記第2の中耕ユニットを水平状態に保持する第1のロック機構部と、
前記第3の支持フレームと前記第3の支持ロッドとに接続され前記第3の支持ロッドの上下動を規制して前記第3の平行リンクの揺動を規制し、前記第3の中耕ユニットを水平状態に保持する第2のロック機構部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のディスク式中耕除草機。
【請求項3】
前記第1の中耕ユニットは、前記メインフレームに平行リンクを介して連結され、前記第2及び第3の中耕ユニットは、前記メインフレームに直接的、もしくは間接的に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク式中耕除草機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−4772(P2010−4772A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165735(P2008−165735)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】