説明

ドラムブレーキ装置

【課題】ドラムブレーキ装置に関し、簡素な構成で、ブレーキジャダーの発生を効果的に抑制しつつ、品質保証に掛かるコストや製造コストの増加を抑止する。
【解決手段】車体に設けられたバッキングプレート2と、車軸80に取り設けられたブレーキドラム3と、ブレーキドラム3の内周面31と隣接して並設された少なくとも一対のブレーキシュー4,5と、少なくとも一対のブレーキシュー4,5の一端部を軸支する支持部材8と、少なくとも一対のブレーキシュー4,5の互いに隣接する他端部の間に設けられたホイールシリンダ9,10とを備え、少なくとも一対のブレーキシュー4,5は、ブレーキジャダーを抑制すべく、それぞれのブレーキシュー4a,4b,5a,5bの周方向中間位置における法線X1,X2,X3,X4が、互いに所定の角度をもって交わるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動装置に用いられるドラムブレーキ装置に係り、特にリーディングトレーリング式のドラムブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なドラムブレーキ装置として、図5に示すような構造がある。即ち、略円筒状に形成されたブレーキドラム100内に一対のブレーキシュー120,130を対向させて配置し、このブレーキシュー120,130を車体に固定されたバッキングプレート180に支持部材140で回動可能に軸支する。ブレーキシュー120,130の外周面には摩擦性能を有するライニング121,131が設けられ、制動時にはバッキングプレート180に固定されたホイールシリンダ150によってブレーキシュー120,130を押し付けて、ブレーキドラム100の内周面101に摩擦係合させることで制動力を得るように構成したものである。なお、160はリターンスプリング、170は車軸である。
【0003】
例えば、特許文献1には、この種のドラムブレーキ装置として、リーディングトレーリング式のドラムブレーキ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−198532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ブレーキドラム100の側面部には、図示しないロードホイールが、ハブボルトとナットとによって装着される。
【0006】
しかしながら、ブレーキドラム100の側面部と、ロードホイールの装着面とは、その平面度が加工精度により異なるため、ロードホイールを装着すると、ブレーキドラム100の側面部が歪み、この影響により内周面101も、図6(a),(b)の破線Lで示すように楕円状に変形されることがある。このように、ブレーキドラム100の内周面101が楕円変形した状態で制動(ブレーキ)作動させると、ホイールシリンダ150がブレーキシュー120,130及び、ライニング121,131を介してブレーキドラム100の内周面101を押圧する力であるブレーキフルード圧(以下、ブレーキドラム圧力という)も変化する。
【0007】
例えば、図6(a)に示すように、ブレーキシュー120,130に設けられたライニング121,131と、楕円変形したブレーキドラム100の内周面101の直径が比較的短い部分とが摩擦係合する場合、ブレーキドラム圧力は高くなる(図7のα点を参照)。
【0008】
一方で、図6(b)に示すように、ブレーキシュー120,130に設けられたライニング121,131と、楕円変形したブレーキドラム100の内周面101の直径が比較的長い部分とが摩擦係合する場合は、摩擦係合面積が低下するため、ブレーキドラム圧力も低くなる(図7のβ点を参照)。
【0009】
すなわち、ブレーキドラム圧力の変動は、図7に示すように、ブレーキドラムが1回転する際に2回発生することになるが、このブレーキドラム圧力の変動は車両を振動させ、いわゆるブレーキジャダー現象を引き起こし、乗員に不快感を与えるといった課題がある。
【0010】
また、ブレーキジャダー現象を低減すべく、ロードホイールの装着時にブレーキドラム100の真円度が保たれるように作業することや、ブレーキドラム100の側面部の平面加工精度及び、ブレーキドラム100の内周面101の剛性を向上させることが考えられるが、かかる手法によれば、品質保証に掛かるコストや製造コストの増加を招くといった課題がある。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、ドラムブレーキ装置に関し、簡素な構成で、ブレーキジャダーの発生を効果的に抑制しつつ、品質保証に掛かるコストや製造コストの増加を抑止できるドラムブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のドラムブレーキ装置は、車体に設けられたバッキングプレートと、車軸に取り設けられ、前記バッキングプレートの側面と隣接して配置されたブレーキドラムと、前記ブレーキドラムの内周面と隣接して並設された少なくとも一対のブレーキシューと、前記少なくとも一対のブレーキシューの一端部を、前記バッキングプレートに軸支する支持部材と、前記少なくとも一対のブレーキシューの互いに隣接する他端部の間に設けられ、前記少なくとも一対のブレーキシューを前記ブレーキドラムの内周面に付勢するホイールシリンダとを備え、前記少なくとも一対のブレーキシューは、ブレーキジャダーを抑制すべく、それぞれのブレーキシューの周方向中間位置における法線が、互いに所定の角度をもって交わるように配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、前記所定の角度が90度であるとともに、前記一対のブレーキシューを二組有し、前記二組の一対のブレーキシューは、一対のブレーキシューと他の一対のブレーキシューとが、前記車軸を中心に対向して配置されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のドラムブレーキ装置によれば、簡素な構成で、ブレーキジャダーの発生を効果的に抑制しつつ、品質保証に掛かるコストや製造コストの増加を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るドラムブレーキ装置を示す側面図である。
【図2】本発明のドラムブレーキ装置を示す図1のA−A断面図である。
【図3】図1のドラムブレーキ装置が制動操作された状態を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るドラムブレーキ装置によるブレーキドラム圧力の変化を示すグラフである。
【図5】従来のドラムブレーキ装置を示す側面図である。
【図6】従来のドラムブレーキ装置が制動操作された状態を示す側面図である。
【図7】従来のドラムブレーキ装置によるブレーキドラム圧力の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面により、本発明に係る一実施形態について説明する。
【0017】
図1〜4は、本発明の一実施形態を説明するものである。
【0018】
本実施形態に係るドラムブレーキ装置1は、リーディングトレーリング式のドラムブレーキ装置であって、図1に示すように、バッキングプレート2と、ブレーキドラム3と、第1の一対のブレーキシュー(少なくとも一対のブレーキシュー)4と、第2の一対のブレーキシュー(少なくとも一対のブレーキシュー)5と、摩擦性能を有するライニング6a,6b,7a,7bと、4本の支軸(支持部材)8と、2個のホイールシリンダ9,10と、2本のリターンスプリング11とを備えている。
【0019】
バッキングプレート2は、図1,2に示すように、平板円盤状に形成されており、その平面部20の中心には車軸80を回転可能に挿通する挿通孔21が形成されている。
【0020】
また、バッキングプレート2は、その平面部20に図示しないハブボルト穴が設けられており、ハブボルトとナットとによって車体に固定されている。また、バッキングプレート2の平面部20には、詳細を後述する2個のホイールシリンダ9,10と4本の支軸8とが取り付けられている。
【0021】
ブレーキドラム3は、図1,2に示すように、有底の円筒状に形成されている。ブレーキドラム3は、その円筒部30とバッキングプレート2の平面部20とが隣接するように、底面部(側面部)32の中心を図示しないボルトとナットとによって車軸80に固定されている。
【0022】
また、ブレーキドラム3の側面部32には、図2に示すようにハブボルト50が周方向に所定の数で設けられており、図示しないロードホイールが装着されるように構成されている。また、ブレーキドラム3の円筒部30の内周面31は、詳細を後述するライニング6a,6b,7a,7bが押圧接触されることで、制動力を得るように構成されている。
【0023】
第1の一対のブレーキシュー4は、図1に示すように、それぞれ円弧状に形成されており、バッキングプレート2の平面部20の左側上方に設けられる左上ブレーキシュー4aと、バッキングプレート2の平面部20の右側上方に設けられる右上ブレーキシュー4bとを有している。左上ブレーキシュー4aと右上ブレーキシュー4bとは、その外周面40a,40bがブレーキドラム2の内周面31と対向するように、ブレーキドラム3の内周面31から所定の距離をもって隣接して並設されている。
【0024】
また、左上ブレーキシュー4aと右上ブレーキシュー4bとは、それぞれの周方向中間位置(外周面40a,40bの中間位置)X1,X2における法線H1,H2が、互いに所定の角度をもって交わるように配置されている。本実施形態において、互いの法線H1,H2が交わる所定の角度は90度(直角)に設定されている。
【0025】
また、左上ブレーキシュー4aの下端部(一端部)と右上ブレーキシュー4bの下端部(一端部)とには、貫通形成された取付け穴が設けられており、バッキングプレート2に設けられた支軸8によって、ブレーキドラム3の内周面31に向かって移動可能に取り付けられている。また、左上ブレーキシュー4aの上端部(他端部)と右上ブレーキシュー4bの上端部(他端部)とは互いに隣接しており、その上端部の間には、詳細を後述するホイールシリンダ9が介装されている。
【0026】
また、左上ブレーキシュー4aの外周面40aと右上ブレーキシュー4bの外周面40bとには、ドラムブレーキ装置1の制動時にブレーキドラム3の内周面31と摩擦係合するライニング6a,6bがそれぞれ取り付けられている。
【0027】
第2の一対のブレーキシュー5は、図1に示すように、それぞれ円弧状に形成されており、バッキングプレート2の平面部20の左側下方に設けられる左下ブレーキシュー5aと、バッキングプレート2の平面部20の右側下方に設けられる右下ブレーキシュー5bとを有している。第2の一対のブレーキシュー5は、左下ブレーキシュー5aが、前述の右上ブレーキシュー4bと車軸80を中心に対向し、右下ブレーキシュー5bが、左上ブレーキシュー4aと車軸80を中心に対向するように配置されている。すなわち、第1の一対のブレーキシュー4と第2の一対のブレーキシュー5とは、互いに車軸80を中心に対向するように配置されている。
【0028】
また、左下ブレーキシュー5aと右下ブレーキシュー5bとは、それぞれの周方向中間位置(外周面50a,50bの中間位置)X3,X4における法線H3,H4が、互いに所定の角度をもって交わるように配置されている。本実施形態において、互いの法線H3,H4が交わる所定の角度は90度(直角)に設定されている。
【0029】
なお、第2の一対のブレーキシュー5にも、支軸8とホイールシリンダ10とライニング7a,7bとが取り付けられているが、その取り付け構成は第1の一対のブレーキシュー4と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
ホイールシリンダ9,10は、貫通するシリンダ室を有する円筒状に形成されており、シリンダ室に相互に反対向きに突出する一対のピストン9a,10aが摺動自在に嵌挿されている。
【0031】
また、シリンダ室に嵌挿された一対のピストン9a,10aの間には、図示しない液圧室が形成されている。ホイールシリンダ9,10は、制動時にこの一対のピストン9a,10aの先端に取り付けられた左上ブレーキシュー4aと右上ブレーキシュー4b、及び、左下ブレーキシュー5aと右下ブレーキシュー5bとを、それぞれブレーキドラム3の内周面31に向けて付勢するように構成されている。
【0032】
リターンスプリング11は、図1に示すように、その両端を左上ブレーキシュー4aと右上ブレーキシュー4b及び、左下ブレーキシュー5aと右下ブレーキシュー5bとにそれぞれ固定されている。また、リターンスプリング11は、これら左上ブレーキシュー4a,右上ブレーキシュー4b,左下ブレーキシュー5a,右下ブレーキシュー5bを、上述のホイールシリンダ9,10の付勢力に抗して、ブレーキドラム3の内周面31から離間する方向へ付勢するように取り付けられている。
【0033】
本実施形態に係るドラムブレーキ装置1は、上述のように構成されているので、例えば以下のような作用効果を奏する。
【0034】
すなわち、操作者によって制動操作がなされると、図示しないブレーキブースタで加圧されたブレーキ液がホイールシリンダ9,10にそれぞれ送り込まれ、一対のピストン9a,10aを外方向へと摺動移動させる。一対のピストン9a,10aのそれぞれの先端部に取り付けられた左上ブレーキシュー4a,右上ブレーキシュー4b,左下ブレーキシュー5a,右下ブレーキシュー5bは、このピストン9a,10aの摺動移動により、ブレーキドラム3の内周面31に向けて付勢されて移動する。この左上ブレーキシュー4a,右上ブレーキシュー4b,左下ブレーキシュー5a,右下ブレーキシュー5bの移動により、ライニング6a,6b,7a,7bがブレーキドラム3の内周面31と摩擦係合することで、ブレーキドラム3及び、ブレーキドラム3と一体に回転する車軸80を止める制動力が得られるようになっている。
【0035】
ここで、例えば、ブレーキドラム3に図示しないロードホイールが装着されると、ブレーキドラム3の側面部32の平面度とロードホイールの装着面の平面度とは相異するため、ブレーキドラム3の側面部32が歪むことがある。また、ブレーキドラム3の側面部32が歪むと、ブレーキドラム3の円筒部30は楕円状に変形し、内周面31も同様に、図3(a),(b)の破線Dで示すように楕円状に変形することがある。
【0036】
このように、ブレーキドラム3の内周面31が楕円状に変形した状態でドラムブレーキ装置1の制動操作がなされると、左上ブレーキシュー4aのブレーキドラム圧力と、この左上ブレーキシュー4aと車軸80を中心に対向して配置された右下ブレーキシュー5bのブレーキドラム圧力とは、周方向中間X1,X4に位置する法線H1,H4と楕円Dの短手方向径とが重なる位置(図3(a)を参照)で大きくなるが、周方向中間X1,X4に位置する法線H1,H4と楕円Dの長手方向径とが重なる位置(図3(b)を参照)では小さくなる。
【0037】
一方で、右上ブレーキシュー4bのブレーキドラム圧力と、この右上ブレーキシュー4bと車軸80を中心に対向して配置された左下ブレーキシュー5aのブレーキドラム圧力とは、周方向中間X2,X3に位置する法線H2,H3と楕円Dの長手方向径とが重なる位置(図3(a)を参照)で小さくなるが、周方向中間X2,X3に位置する法線H2,H3と楕円Dの短手方向径とが重なる位置(図3(b)を参照)では大きくなる。
【0038】
ここで、左上ブレーキシュー4a及び、右下ブレーキシュー5bのブレーキドラム圧力の変化量と、楕円変形したブレーキドラム3の回転角度との関係をグラフにすると、図4(a)に示すようなサイン波(sin波)S1のようになる。
【0039】
一方、右上ブレーキシュー4b及び、左下ブレーキシュー5aのブレーキドラム圧力の変化量と、楕円変形したブレーキドラム3の回転角度との関係をグラフにすると、図4(b)に示すように、前述の左上ブレーキシュー4aと右下ブレーキシュー5bとのブレーキドラム圧力の変化量を示すサイン波S1とは位相を反転させたサイン波(sin波)S2のようになる。つまり、サイン波S1とサイン波S2とは、位相が90度ずれた状態となる。
【0040】
すなわち、第1の一対のブレーキシュー4を構成する左上ブレーキシュー4aと右上ブレーキシュー4bとは、互いに周方向中間X1,X2に位置する法線H1,H2が90度(直角)で交わるように配置されているので、一方のドラムブレーキ圧力が大きくなるときは、他方のドラムブレーキ圧力が小さくなるように構成されている。この左上ブレーキシュー4aと右上ブレーキシュー4bとの間に生じるドラムブレーキ圧力の差は、第1の一対のブレーキシュー4を構成する左上ブレーキシュー4aと右上ブレーキシュー4bとの間に設けられたホイールシリンダ9によって効果的に吸収されて相殺される。
【0041】
同様に、第2の一対のブレーキシュー5を構成する左下ブレーキシュー5aと右下ブレーキシュー5bとのブレーキドラム圧力の変動も、一方のドラムブレーキ圧力が大きくなるときは、他方のドラムブレーキ圧力が小さくなる。この左下ブレーキシュー5aと右下ブレーキシュー5bとの間に生じるドラムブレーキ圧力の差は、第2の一対のブレーキシュー5を構成する左下ブレーキシュー5aと右下ブレーキシュー5bとの間に設けられたホイールシリンダ10によって効果的に吸収されて相殺される。
【0042】
したがって、本実施形態に係るドラムブレーキ装置1によれば、ブレーキドラム3が楕円変形した場合においても、ブレーキドラム圧力の変動が、ホイールシリンダ9,10によって効果的に吸収され、ブレーキジャダーの加振源となるブレーキドラム圧力の変動が低減もしくは生じないので、乗員の不快感となるブレーキジャダーの発生を効果的に防止することができる。
【0043】
また、ブレーキドラム3が楕円変形した場合においても、ブレーキジャダーを効果的に防止できるので、ブレーキドラム3の車軸80への取り付け作業時間や、ロードホイールの装着作業時間が短縮され、生産工程も短縮されるとともに、品質保証に掛かるコストを削減することができる。
【0044】
また、ブレーキドラム3の円筒部30の剛性や、ブレーキドラム3の側面部32及び、ロードホイールの装着面の平面加工精度が所定の範囲で許容されるので、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0045】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0046】
例えば、上述の実施形態において、ドラムブレーキ装置1は、第1の一対のブレーキシュー4と、第2の一対のブレーキシュー5とを有するものとして説明したが、ブレーキシューは一対(一組)であってもよく、また、三対(三組)以上であってもよい。この場合も、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
また、第1の一対のブレーキシュー4を構成する左上ブレーキシュー4aと右上ブレーキシュー4bとは、周方向中間X1,X2に位置する法線H1,H2が互いに90度(直角)で交わるように配置されたものとして説明したが、必ずしも90度(直角)である必要はなく、互いの法線H1,H2が直線上にならないように所定の角度をもって交わるように配置してもよい。同様に、第2の一対のブレーキシュー5を構成する左下ブレーキシュー5aと右下ブレーキシュー5bとの法線H3,H4についても、互いに直線上にならないように所定の角度で交わるように配置してもよい。この場合も、上述の実施形態と同様に、ブレーキジャダーを効果的に抑制できると共に、品質保証に掛かるコストや製造コストを削減することができる。
【0048】
また、左上ブレーキシュー4a,右上ブレーキシュー4b,左下ブレーキシュー5a,右下ブレーキシュー5bは、その一端部を支軸8で支持されるものとして説明したが、必ずしも支軸8を設ける必要はなく、例えば、この一端部の間(左上ブレーキシュー4aと左下ブレーキシュー5a及び、右上ブレーキシュー4bと右下ブレーキシュー5bとの間)に、支軸8に変えてホイールシリンダ9,10をさらに設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ドラムブレーキ装置
2 バッキングプレート
3 ブレーキドラム
4 第1の一対のブレーキシュー(少なくとも一対のブレーキシュー)
4a 左上ブレーキシュー
4b 右上ブレーキシュー
5 第2の一対のブレーキシュー(少なくとも一対のブレーキシュー)
5a 左下ブレーキシュー
5b 右下ブレーキシュー
8 支軸(支持部材)
9,10 ホイールシリンダ
80 車軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたバッキングプレートと、
車軸に取り設けられ、前記バッキングプレートの側面と隣接して配置されたブレーキドラムと、
前記ブレーキドラムの内周面と隣接して並設された少なくとも一対のブレーキシューと、
前記少なくとも一対のブレーキシューの一端部を、前記バッキングプレートに軸支する支持部材と、
前記少なくとも一対のブレーキシューの互いに隣接する他端部の間に設けられ、前記少なくとも一対のブレーキシューを前記ブレーキドラムの内周面に付勢するホイールシリンダとを備え、
前記少なくとも一対のブレーキシューは、ブレーキジャダーを抑制すべく、それぞれのブレーキシューの周方向中間位置における法線が、互いに所定の角度をもって交わるように配置されている
ことを特徴とするドラムブレーキ装置。
【請求項2】
前記所定の角度が90度であるとともに、前記一対のブレーキシューを二組有し、
前記二組の一対のブレーキシューは、一対のブレーキシューと他の一対のブレーキシューとが、前記車軸を中心に対向して配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のドラムブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−196468(P2011−196468A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64459(P2010−64459)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】