説明

バッテリー駆動機器の制御装置

【課題】 バッテリーの残量が低下した場合でも、バッテリーで駆動される機器を適正に制御できるバッテリー駆動機器の制御装置を提供する。
【解決手段】 バッテリー12で駆動される機器11の制御を行うとともに、バッテリー12で動作するバッテリー駆動機器の制御装置10である。制御装置10は機器11の制御を行うコンピュータと、コンピュータから機器11に、機器11の動作を制御するための信号を送出する制御信号回路19と、コンピュータの動作状態を記憶する不揮発性記憶回路21とを具備している。コンピュータは、バッテリー12の残量低下によりリセットされて再起動するときに、動作状態に応じて機器11を低負荷状態にして制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バッテリー駆動機器の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーで駆動される機器には、同じバッテリーで動作する制御装置により制御されているものがある。この制御装置は、コンピュータを用いてバッテリーで駆動される機器を制御している。
【0003】
バッテリーは残量が低下すると内部電圧降下によりバッテリー電圧が低下する。コンピュータは、バッテリー電圧がコンピュータの動作保証電圧以下になった場合、自動的にリセットされ、再起動される。
【0004】
コンピュータが再起動するときに、バッテリーで駆動される機器は初期化される。通常、制御装置がリセットされると制御装置の消費電力は十分小さいために、バッテリー電圧が回復される。しかし、制御装置及びバッテリーで駆動される機器を初期化する毎に、消費電力が徐々に増大する。バッテリーで駆動される機器の消費電力は制御装置の消費電力より十分大きい場合この時、機器の初期化に多くの電力が費やされ、バッテリー電圧が低下する。
【0005】
その結果、コンピュータはリセットと再起動を繰り返す状態に陥り、バッテリーで駆動される機器の制御が不能になるという問題がある。更に、バッテリーで駆動される機器の動作に支障をきたし、バッテリーの劣化が促進される等の問題が生じる恐れがある。
【0006】
そのため、従来の制御装置では、バッテリー電圧のモニター回路を設けることにより、バッテリー電圧が基準値より低下した場合、バッテリーで駆動される機器を安全な動作に移行させるものがある。
【0007】
更に、予備のバッテリーを設けることにより、バッテリー電圧が基準値より低下した場合、予備のバッテリーに切り換えてバッテリーで駆動される機器の制御を継続するもがある。
【0008】
然しながら、制御装置の規模の増大および制御装置の消費電力の増大を招くので、小型化、低消費電力化が求められる機器、例えばモバイル機器などには、適用が困難になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−132992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、バッテリーの残量が低下した場合でも、バッテリーで駆動される機器を適正に制御できるバッテリー駆動機器の制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様のバッテリー駆動機器の制御装置は、バッテリーで駆動される機器の制御を行うとともに、バッテリーで動作するバッテリー駆動機器の制御装置である。制御装置は、機器の制御を行うためのコンピュータと、コンピュータから機器に、機器の動作を制御するための信号を送出する制御信号回路と、コンピュータの動作状態を記憶する不揮発性記憶回路とを具備している。コンピュータは、バッテリーの残量低下によりリセットされて再起動するときに、動作状態に応じて機器を低負荷状態にして制御することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係るバッテリー駆動機器の制御装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例1に係るバッテリー駆動機器の制御装置の動作を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例1に係るバッテリー残量、バッテリー駆動機器およびバッテリー駆動機器の制御装置の消費電力量の時間変化を比較例と対比して示す図。
【図4】本発明の実施例2に係るバッテリー駆動機器の制御装置の構成を示すブロック図。
【図5】本発明の実施例2に係る複数のバッテリー駆動機器の消費電力、優先度と機器の動作モードとの関係を示す図。
【図6】本発明の実施例2に係るバッテリー駆動機器の制御装置の動作を示す図。
【図7】本発明の実施例2に係るバッテリー駆動機器の制御装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
本実施例に係るバッテリー駆動機器の制御装置について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は制御装置の構成を示すブロック図、図2は制御装置の動作を示すフローチャート、図3はバッテリー残量、機器の消費電力および制御装置の消費電力量の時間変化を比較例と対比して示す図である。
【0015】
図1に示すように、本実施例の制御装置10はバッテリーで駆動される機器11とともに単一のバッテリー12に並列に接続されている。即ち、機器11はバッテリー12で駆動され、制御装置10はバッテリー12で動作するようになっている。
【0016】
機器11は、例えば玩具のラジオコントロールカーである(以後、RCカー11とも記す)。バッテリー12は、例えば電圧が6Vの1次電池または2次電池である。バッテリー12および制御装置10はRCカー11に搭載されている。
【0017】
RCカー11は、搭載したバッテリー12によりモータ13を回転させて走行し、搭載した制御装置10により走行スピードおよび走行方向が制御される。走行スピートの制御は、ESC(Electronic Speed Controller)14を介してモータ13の回転数を可変することにより行われる。走行方向の制御は、図示しないハンドル機構を操作することにより行われる。
【0018】
RCカー11の操縦者は、無線により制御装置10に走行スピードおよび走行方向の指令を送信し、RCカー11を自由に操縦することができる。
【0019】
制御装置10は、周知のようにプログラムされた命令を解読して実行するCPU(Central Processing Unit)15、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)16、処理結果を一次格納するRAM(Random Access Memory)17がデータバス18を介して接続されているコンピュータを有している。
【0020】
制御装置10は、更にデータバス18に接続された制御信号回路19、無線通信回路20、および不揮発性記憶回路21を有している。制御信号回路19は、RCカー11のESC14にCPU15の指令を送出するためのインターフェイスである。無線通信回路20は、RCカー11の操縦者と、例えば無線LAN(Local Area Network)により通信するためのインターフェイスである。不揮発性記憶回路21は、例えばNAND型のフラッシュメモリーであり、コンピュータの動作状態を示す動作ログを記憶する。
【0021】
また、制御装置10には、レギュレータ22とリセット回路23が内蔵されている。レギュレータ22は、例えばシリーズレギュレータで、バッテリー12とCPU15の電源端子との間に接続され、バッテリー12の電圧をCPU15の動作電圧、例えば5Vに変換してCPU15に供給する。
【0022】
リセット回路23は、CPU15のリセット端子と図示していないが制御装置10が有する制御信号回路19および無線通信回路20などの周辺回路に接続されている。リセット回路23は、レギュレータ21の出力電圧がCPU15の定格電圧、例えば5±0.5Vを外れると、リセット信号を出力しCPU15をリセットする。CPU15は、リセットされると自動的に再起動する。
【0023】
上述した制御装置10は、コンピュータが起動される毎に不揮発性記憶回路21に記憶されている動作ログを参照して、機器11の動作モードを選択し、機器11の動作を制御するように構成されている。
【0024】
次に、制御装置10の動作について、図2を用いて説明する。図2は制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0025】
図2に示すように、CPU15は起動されると、はじめに不揮発性記憶回路21に記憶されている動作ログを読み出し、読み出した動作ログに応じて、機器11の動作モードを選択する(ステップS11)。最初の起動時は、動作ログの値は0(第2の状態)に設定されているので(ステップS11のNo)、動作ログの値を1(第1の状態)に書き換える(ステップS12)。
【0026】
次に、機器11の初期化を行う(ステップS13)。具体的には、例えばESC14によりモータ13の回転数を0にし、ハンドルを操作して走行車輪を直進方向に整列させる。次に、動作ログの値を0に書き換える(ステップS14)。
【0027】
これにより、機器11は通常動作モードになり、CPU15の指令により通常の制御が可能になる(ステップS15)。以後、RCカー11の操縦者は、無線により制御装置10に走行スピードおよび走行方向の指令を送信し、ESC14によりモータ13の回転数を可変し、ハンドルを操作することにより、RCカー11を自由に操縦することができる。
【0028】
RCカー11が走行を繰り返すうちに、バッテリー12の残量が低下してくる。バッテリー12の残量が低下すると、バッテリー12の内部抵抗が大きくなり、その電圧降下によりバッテリー12の電圧は低下し始める。
【0029】
このような状況で、例えばRCカー11を急加速すると、バッテリー12の負荷が急増するので、バッテリー12の電圧が瞬間的に低下する。その結果、レギュレータ22の出力電圧がCPU15の定格電圧より低くなると、リセット回路22によりCPU15、制御信号回路19および無線通信回路20がリセット(リセット1)される。その結果、バッテリー12の負荷が軽減されてバッテリー12の電圧が回復し、CPU15は再起動することになる。
【0030】
CPU15は最初の再起動では、動作ログの値が0なので(ステップS11のNo)、再度ステップS12からステップS14を実行し、再び機器11を通常動作モードに設定しようとする。
【0031】
この間、モータ13はCPU15がリセットされる直前の回転数を維持している。その結果、ステップS12の後からステップS14の前までの間に、バッテリー12の電圧が低下し、レギュレータ22の出力電圧がCPU15の定格電圧より低いままだと、CPU15は再びリセット(リセット2)され、再起動する。
【0032】
CPU15は2度目の再起動では、動作ログの値が1なので(ステップS11のYes)、機器11を低負荷状態に設定する(ステップS16)。具体的には、例えばモータ13の回転を一旦停止する。その後、モータ13の回転数を小さくし、RCカー11が短時間の低速走行のみ可能な状態とする。
【0033】
その結果、機器11の消費電力が低下するので、再起動後のバッテリー12の電圧降下が低下することなく、レギュレータ22の出力電圧がCPU15の定格電圧を満たすようになる。
【0034】
これにより、RCカー11はCPU15の指令により低電力動作モードで制御可能になる(ステップS17)。以後、RCカー11の操縦者は、無線により制御装置10に走行スピードおよび走行方向の指令を送信し、RCカー11を短時間の低速走行させることができる。例えばRCカー11を安全な場所に誘導し、停止させることができる。
【0035】
このとき、CPU15には、処理能力に余裕が生まれる。CPU15が低電力動作モードを備えている場合、CPU15自体も低消費電力モードに移行する、例えばクロック周波数を低下させることが更に望ましい。
【0036】
RCカー11を停止させた後は、バッテリー12が一次電池の場合はバッテリーを交換し、二次電池の場合はバッテリーを充電することが望ましい。
【0037】
図3はバッテリー残量、バッテリー駆動機器の消費電力および制御装置の消費電力量の時間変化を比較例と対比して示す図である。図において、実線が本実施例を示し、破線が比較例を示している。本実施例および比較例が同様の場合は、実践のみ示している。
【0038】
ここで、比較例とは、バッテリーの残量が低下したときに、機器を低負荷状態に設定する機能を有しない制御装置のことである。
【0039】
図3に示すように、時間t0から時間t3までは、本実施例および比較例は同様である。時間t0でRCカー11が通常動作モードに設定され、一定速度で走行を開始したとする。このとき、モータ13の消費電力PmはPm2、CPU15の消費電力PcはPc1である(Pm2≫Pc1)。
【0040】
RCカー11が走行し続けると、バッテリー12の残量EbがEb2から徐々に低下していく。時間t1でバッテリー12の残量Ebが不足気味になり、バッテリー12の電圧VbがVb2から徐々に低下していく。
【0041】
時間t2で、RCカー11の操縦者がRCカー11の速度を上げるために急加速したとすると、モータ13の消費電力PmはPm2からPm3に急増する(Pm3>Pm2)。このとき、バッテリー12の電圧Vbは瞬間的にVb1まで低下し、レギュレータ22の出力電圧がCPU15の定格電圧より小さくなると、CPU15はリセット(リセット1)され、再起動する。
【0042】
CPU15の消費電力Pcはリセットにより一旦0になるが、再起動によりPc1に向かって増加する。この間、モータ13は回転し続けており、モータ消費電力PmはPm3のままである。その結果、バッテリー電圧Vbは回復しないので、時間t3で再びCPU15はリセット(リセット2)され、再起動する。
【0043】
このとき、比較例では、上述した理由により時間t4で再びリセット(リセット2)され、以後リセットと再起動が繰り返されることになる。
【0044】
この間、モータ13の消費電力PmはPm3のままなので、バッテリー12の残量Ebは急速に減少し、バッテリー12の残量Ebが尽きたところ(時間t5)で、モータ13の消費電力Pmが0になり、RCカー11が自然に停止する。
【0045】
一方、本実施例では、時間t3で、CPU15がリセットされ、再起動すると、RCカー11を低電力動作モードに設定することができる。
【0046】
その結果、モータ13の消費電力PmはPm3からPm1に減少するので、バッテリー12の残量Ebの低下が緩やかになり、バッテリー12の電圧Vbが回復して、レギュレータ22の出力電圧はCPU15の定格電圧を満たすようになる。
【0047】
従って、CPU15は再びリセットされることはなく、低電力動作モードでRCカー11を制御することができる。
【0048】
時間t6で、RCカー11を停止させると、モータ13の消費電力Pmは0になる。バッテリー12の残量Ebは一定値Eb1になる。
【0049】
以上説明したように、本実施例の制御装置10は、CPU15が起動するときに不揮発性記憶回路21に記憶されている動作ログを参照して、通常動作モードまたは低電力動作モードを選択し、選択した動作モードで機器11を制御することができる。
【0050】
その結果、CPU15はバッテリー12の残量低下によりリセットされて再起動するときに、機器11を低負荷状態にして制御することができる。従って、バッテリーの残量が低下した場合でも、バッテリー駆動機器を適正に制御できるバッテリー駆動機器の制御装置が得られる。
【0051】
これにより、機器を安全に制御するためにバッテリーの残量をモニターする回路等などは不要である。制御装置の規模の増大および制御装置の消費電力の増大を抑制し、小型化、低消費電力化が求められるモバイル機器などに適用することができる。
【0052】
ここでは、機器11がRCカーである場合について説明したが、特に制限はなくモータを駆動源とする各種機器にも本実施例の制御装置を適用することができる。また、モータを駆動源としない各種機器でも同様である。
【0053】
低負荷状態は機器を低電力動作モードに設定するだけでなく、機器の動作を停止させることも可能である。
【実施例2】
【0054】
本発明の実施例2に係る制御装置について図4乃至図6を用いて説明する。図4は本実施例の制御装置の構成を示すブロック図、図5は複数の機器の消費電力、優先度と機器の動作モードとの関係を示す図、図6は制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0055】
本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。本実施例が実施例1と異なる点は、複数の機器を制御することにある。
【0056】
即ち、図4に示すように、本実施例では単一のバッテリー12に制御装置40とともに複数の機器11、41、42が並列に接続されている。即ち、機器11、41、42はバッテリー12で駆動され、制御装置40はバッテリー12で動作するようになっている。
【0057】
機器41は、例えばCCD(Charge Coupled Device)を用いたカメラであり(以後、カメラ41とも記す)、機器42は、例えば音声入出力装置である(以後、音声入出力装置42とも記す)。カメラ41および音声入出力装置42は、ともにRCカー11に搭載されている。
【0058】
カメラ41により、RCカー11の周りの様子を撮影することができる。音声入出力装置42には、RCカー11の周りの音声を収集するためのマイク43と、周りに音声を発するためのスピーカ44が接続されている。
【0059】
制御装置40のデータバス18に周辺回路45が接続されている。周辺回路45は、カメラ41および音声入出力装置42にCPU15の指令を送出するためのインターフェイスである。
【0060】
これにより、制御装置40は、カメラ41から画像情報を入手し、入手した画像情報をRCカー11の操縦者に無線で送信することができる。同様に、制御装置40は、音声入出力装置42から音情報を入手し、入手した音声情報をRCカー11の操縦者にの無線で送信することができる。
【0061】
RCカー11の操縦者は、RCカー11が視認できない距離からでも画像情報、音声情報を基にRCカー11の走行状態を確認しながらRCカー11を安全に操縦することができる。
【0062】
上述した制御装置40は、コンピュータが起動される毎に不揮発性記憶回路21に記憶されている動作ログを参照して、複数の機器11、41、42の動作モードを個々に選択し、複数の機器11、41、42の動作を個別に制御できるように構成されている。
【0063】
次に、制御装置40の動作について、図5および図6を用いて説明する。図5は複数の機器の消費電力、優先度と機器の動作モードとの関係を説明するための図で、図5(a)は機器の消費電力、優先度を示すテーブル、図5(b)は図5(a)のテーブルを参照して複数の機器の動作モードを選択する方法を説明するための図である。
【0064】
図5(a)に示すように、各機器11、41、42には優先度が予め割り当てられている。ここではRCカー11のモータの優先度が2、カメラ41の優先度が1、音声入力装置42の優先度が3である。
【0065】
各機器11、41、42には優先度に応じて通し番号が予め割り当てられている。ここではRCカー11のモータの通し番号が#2、カメラ41の通し番号が#1、音声入力装置42の通し番号が#3である。
【0066】
各機器#1、#2、#3の通常動作モードでの消費電力が、それぞれEn1、En2、En3である。各機器#1、#2、#3の低電力動作モードでの消費電力が、それぞれEl1、El2、El3である。各消費電力は、En2>En3>En1、El2>El3>El1の関係にあるとする。
【0067】
バッテリー12の残量Epは、各機器#1、#2、#3の通常動作モードでの消費電力En1、En2、En3の和より小さく、低電力動作モードでの消費電力El1、El2、El3の和より大きい。即ち、En1+En2+En3>Eb>El1+El2+El3の関係にある。
【0068】
その結果、図5(b)に示すように、各機器#1、#2、#3が優先的に通常動作が可能になるのは次の6つのケースが有りうる。
ケース1:Eb>En1+El2+El3の場合、機器#1が通常動作可能である。
ケース2:Eb>En1+En2+El3の場合、機器#1、#2が通常動作可能である。
ケース3:Eb>En1+El2+En3の場合、機器#1、#3が通常動作可能である。
ケース4:Eb>El1+En2+El3の場合、機器#2が通常動作可能である。
ケース5:Eb>El1+En2+En3の場合、機器#2、#3が通常動作可能である。
ケース6:Eb>El1+El2+En3の場合、機器#3が通常動作可能である。
【0069】
ケース1乃至ケース6のいずれにも該当しない場合は、各機器#1、#2、#3は全て低電力動作モードに設定される。
【0070】
図6は制御装置40の動作を説明するためのフローチャートで、図2に示す時間t3でリセットされ、時間t4で再起動された後(図3のステップS11のYes後)の動作を示している。
【0071】
図6に示すように、各機器#1、#2、#3は原則として低消費電力モードに設定される(ステップS31)。しかし、バッテリー12の残量Ebおよび各機器#1、#2、#32の消費電力、優先度を示すテーブルを参照して、いくつかの機器を通常動作にできる場合、図5で説明したように通常動作をさせる機器が選択される(ステップS32)。
【0072】
次に、機器#1が通常動作可能か否かが判定され(ステップS33)、機器#1が通常動作可能の場合(ステップS33のYes)、機器#1が初期化され、機器#1が通常動作であることを不揮発性記憶回路21のログに記憶し(ステップS34)、ステップS35へ行く。一方、機器#1が通常動作不可の場合(ステップS33のNo)、直接ステップS35へ行く。
【0073】
次に、機器#2が通常動作可能か否かが判定され(ステップS35)、機器#2が通常動作可能の場合(ステップS35のYes)、機器#2が初期化され、機器#2が通常動作であることを不揮発性記憶回路21のログに記憶し(ステップS36)、ステップS37へ行く。一方、機器#2が通常動作不可の場合(ステップS35のNo)、直接ステップS37へ行く。
【0074】
次に、機器#3が通常動作可能か否かが判定され(ステップS37)、機器#3が通常動作可能の場合(ステップS37のYes)、機器#3が初期化され、機器#3が通常動作であることを不揮発性記憶回路21のログに記憶し(ステップS38)、ステップS39へ行く。一方、機器#3が通常動作不可の場合(ステップS37のNo)、直接ステップS39へ行く。
【0075】
これにより、カメラ41、音声入出力装置42を搭載したRCカー11は、通常動作モード+低電力動作モードの低負荷状態になり、CPU15の指令により低負荷状態での制御が可能になる(ステップS39)。
【0076】
機器の優先度に応じて低消費電力モードで動作することにより、バッテリー12の残量が低下した場合において、音声入出力装置42は起動しないが、カメラ41からの映像をモニターしてRCカー11を操作する等のことが可能である。
【0077】
図7は図6に示すフローチャートをより具体的に示すフローチャートである。図7に示すように、通常動作可能な機器が決定すると、通常動作をさせる機器の数Xが読み込まれる。次に、変数Yに通常動作をさせる機器の数Xが設定される。ここで、Nはバッテリー12に接続されている機器の総数である(ステップS32)。
【0078】
次に、Yの値がチェックされ(ステップS33)、Y>1の場合に(ステップS33のYes)、機器#1を初期化し、X=1とし(ステップS34)、ステップS35へ行く。一方、Y>1でない場合に(ステップS33のNo)、直接ステップS35へ行く。
【0079】
次に、Yの値がチェックされ(ステップS35)、Y>2の場合に(ステップS35のYes)、機器#2を初期化し、X=2とし(ステップS36)、ステップS37へ行く。一方、Y>2でない場合に(ステップS35のNo)、直接ステップS37へ行く。
【0080】
次に、Yの値がチェックされ(ステップS37)、Y>3の場合に(ステップS37のYes)、機器#3を初期化し、X=3とし(ステップS38)、ステップS51へ行く。一方、Y>3でない場合に(ステップS37のNo)、直接ステップS51へ行く。ステップS51にて、全ての機器#1、#2、#3の動作モードの設定が完了する。
【0081】
低電力動作モード+通常動作モードの低負荷状態で動作を開始した後、しばらくして、再びリセットがかかると通常動作モードで起動しようとする。この場合、再び初期化途中で電圧降下が生じてリセットがかかり低電力動作モードとなる。バッテリー12の残量Ebが不足して全ての機器#1、#2、#3が起動しなくなったら、Y=1となりエラーが出力される。
【0082】
バッテリー12の残量が不足して、全ての機器#1、#2、#3が起動しなくなると、Y=1となるので、Yの値がチェックされ(ステップS52)、Y=1の場合(ステップS52のYes)、エラーが出力され(ステップS53)、全ての機器#1、#2、#3の動作が停止する。一方、Y=1でない場合(ステップS52のNo)、X=0にリセットされ(ステップS54)、ステップS39に行く。
【0083】
以上説明したように、本実施例の制御装置40では、バッテリー12に接続された複数の機器11、41、42に対して、CPU15が再起動するときに消費電力、優先度を示すテーブルを参照し、バッテリー12の残量Ebに応じて、複数の機器11、41、42の動作モードを選択し、選択した動作モードで複数の機器11、41、42を制御することができる。
【0084】
その結果、低負荷状態を種々選択して複数の機器11、41、42を制御することができる利点がある。
【0085】
ここでは、バッテリー12に3つの機器が接続されている場合について説明したが、接続される機器の数には特に制限はない。バッテリー12の容量および各機器の消費電力に応じて接続する機器の数を適宜選択することができる。
【0086】
また、バッテリー12で駆動される機器は1台であっても、機器が個別に通常動作モードまたは低電力動作モードに設定できる機能を複数有している場合、本実施例を適用することができる。
【0087】
原則各機能は低電力動作モードに設定されるが、各機能に優先度をつけておき、バッテリーの残量に応じて優先度の高い順に通常動作モードに設定することができる。
【0088】
また、各機能の低電力動作モードは、電力を遮断することも考えられる。この時、優先度の低い機能の電源を遮断することにより、消費電力を低下させることが考えられる。
【0089】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
(付記1) 前記複数の機器の消費電力および優先度を示すテーブルを有し、前記テーブルを参照して前記停止または前記低電力動作モードに設定する機器を選択する請求項5に記載のバッテリー駆動機器の制御装置。
【0090】
(付記2) 前記機器は通常動作モードおよび前記通常動作モードより消費電力の少ない低電力動作モードに設定できる複数の機能を有し、前記低負荷状態は前記複数の機能のうちのいくつかの機能を停止または低電力動作モードに設定することにより行う請求項1に記載のバッテリー駆動機器の制御装置。
【0091】
(付記3) 前記複数の機能の消費電力および優先度を示すテーブルを有し、前記テーブルを参照して前記停止または前記低電力動作モードに設定する機能を選択する付記2に記載のバッテリー駆動機器の制御装置。
【符号の説明】
【0092】
10、40 制御装置
11、41、42 機器
12 バッテリー
13 モータ
14 電子スピードコントローラ
15 CPU
16 ROM
17 RAM
18 データバス
19 制御信号回路
20 無線通信回路
21 不揮発性記憶回路
22 レギュレータ
23 リセット回路
43 マイク
44 スピーカ
45 周辺回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーで駆動される機器の制御を行うとともに、前記バッテリーで動作するバッテリー駆動機器の制御装置であって、
前記機器の制御を行うためのコンピュータと、
前記コンピュータから前記機器に、前記機器の動作を制御するための信号を送出する制御信号回路と、
前記コンピュータの動作状態を記憶する不揮発性記憶回路と、
を具備し、
前記コンピュータは、前記バッテリーの残量低下によりリセットされて再起動するときに、前記動作状態に応じて前記機器を低負荷状態にして制御することを特徴とするバッテリー駆動機器の制御装置。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記不揮発性記憶回路から前記動作状態を読み出し、
前記動作状態が第1の状態のときに、前記機器を低負荷状態にする信号を前記機器に送出し、
前記動作状態が前記第1の状態でないときに、前記動作状態を前記第1の状態に書き換え、前記機器を初期化する信号を前記機器に送出し、前記動作状態を前記第1の状態と異なる第2の状態に書き換える
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリー駆動機器の制御装置。
【請求項3】
前記リセットは、前記機器が初期化されて通常動作している間、または前記動作状態が前記第1の状態に書き換えられてから前記第2の状態に書き換えられるまでの間に生じることを特徴とする請求項2に記載のバッテリー駆動機器の制御装置。
【請求項4】
前記機器は通常動作モードおよび前記通常動作モードより消費電力の少ない低電力動作モードを有し、前記低負荷状態は前記機器を前記低電力モードに設定することにより行うことを特徴とする請求項1に記載のバッテリー駆動機器の制御装置。
【請求項5】
通常動作モードおよび前記通常動作モードより消費電力の少ない低電力動作モードを有する複数の機器が前記バッテリーで駆動され、前記低負荷状態は前記バッテリーの残量に応じて前記複数の機器のうちのいくつかの機器の動作を停止または低電力動作モードに設定することにより行うことを特徴とする請求項1に記載のバッテリー駆動機器の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−10496(P2012−10496A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144649(P2010−144649)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】