説明

ヒンジ装置の回動カム組合せ体及びヒンジ装置

【課題】ヒンジ装置に用いられる回動カム組合せ体において、バランスのよい摺接構造を提供すること。
【解決手段】ヒンジ装置の軸部材に装着され、弾性手段により相互に圧接される第1カム部材10と第2カム部材で構成される回動カム組合せ体であって、第1カム部材10は、第1外周側凸部分12及び第1内周側凸部分13からなる第1凸部11、並びに、第2外周側凸部分16及び第2内周側凸部分17からなる第2凸部15を備え、第2カム部材は第1カム部材10に対応する第1及び第2凹部を備え、第1外周側凸部分12の円周方向の幅A、第1内周側凸部分13の円周方向の幅B、第2外周側凸部分16の円周方向の幅C、第2内周側凸部分17の円周方向の幅D及びこれに対応する各凹部分との間で、A>B、C<D且つ、A>C、B<Dであること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の折り畳み式開閉機器に用いられるヒンジ装置の回動カム組合せ体及びこの回動カム組合せ体を組込んだヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等の折り畳み式開閉機器において、ディスプレー表示部の開き角度は使用者によって種々異なることから、どの開き角度においてもその位置でディスプレー表示部が保持できるような所謂フリーストップ機構を備えたヒンジ装置が用いられている。
【0003】
この種のヒンジ装置として、側圧ヒンジと称されるものが知られている。これは、機器の一方及び他方に取付けられる第一部材及び第二部材と、これら第一及び第二部材を回動可能に連結する軸部材と、この軸部材に装着され前記第一及び第二部材に圧縮力を付加する弾性手段と、前記軸部材に装着され前記弾性手段により圧縮される複数のスペーサ部材とを備えたものであって、前記スペーサ部材は、前記第一部材と同行回動する第1スペーサ部材と、この第1スペーサ部材に隣接し前記第二部材と同行回動する第2スペーサ部材とを備えて構成され、これらのスペーサ部材の相互の圧接摺動により、フリーストップを実現するものである。
【0004】
このようなフリーストップ機構を備えたヒンジ装置において、ディスプレー表示部を閉じた状態や、或いは所定の開き角度でクリック停止させるために、一対の凹凸カム部材を組み込む構造のものがある。更に、ディスプレー表示部を180°を超えた開き角度を可能にするものとして、凹凸カム部材に所謂異径凹凸カムを用いたヒンジ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−317779号公報
【特許文献2】特開2004−332874号公報
【特許文献3】特開2005−188542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した異径凹凸カムは、ヒンジ装置の軸部材に装着され、弾性手段により圧接される第1カム部材及び第2カム部材から構成されるカム組合せ体であって、第1カム部材の対向面に一対の凸部が、第2カム部材の対向面には一対の凹部が、それぞれ形成されている。そして、前記第1カム部材には、外周側の第1凸部と内周側の第2凸部で構成される一対の凸部が形成され、また、前記第2カム部材には、前記一対の凸部に対応して設けられ当該凸部に対し同じタイミングで係嵌離脱する一対の凹部が形成されている。
【0007】
ところで、折り畳み式開閉機器は、開閉頻度がかなり多く、例えば製造仕様としては耐久2〜3万回と設定され、また、折り畳み式開閉機器のうちのパソコン等は、フリーストップを実現するため側圧トルクが大きくなる。また、機器の軽量化に伴い、ヒンジ装置の回動部位も小径化する傾向にあり、他方で、用いられるカム部材に高耐久性が求められることになる。
【0008】
このような状況下において、上述した従来の異径凹凸カムは、その一対の凸部の回動半径が異なるので、各凸部が摺接する部位のトルクモーメントが異なり、その結果、双方のカム部材の相対回動にアンバランスを生じ得る。とりわけ、側圧トルクが大きくなる傾向に伴い、ヒンジ装置の使用による繰り返し開閉動作によっては、上述したアンバランスに起因してヒンジ装置に不具合を生じるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、この種のヒンジ装置に用いられる回動カム組合せ体において、前記アンバランスを可及的に減少することが可能な構造を提案し、併せて、当該回動カム組合せ体を用いるヒンジ装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願第1請求項に記載された発明は、後記具体例で用いた符号を付して記すと、ヒンジ装置の軸部材5に装着され、弾性手段6により相互に圧接される第1カム部材10と第2カム部材20で構成される回動カム組合せ体であって、
前記第1カム部材10の前記第2カム部材側の対向面に、一対の凸部が形成され、
前記一対の凸部は、第1凸部11及び、この第1凸部とは非連続で且つ当該第1凸部と頂面が同一高さの第2凸部15で構成され、
前記第2カム部材20の前記第1カム部材側の対向面には、一対の凹部が形成され、
前記一対の凹部は、前記第1凸部11に対応する第1凹部21と、前記第2凸部15に対応する第2凹部25で構成されるヒンジ装置の回動カム組合せ体において、
前記第1凸部11は、前記カム部材の外周側に形成される第1外周側凸部分12と、前記第1外周側凸部分12の内周側に形成され、頂面を同一高さとする第1内周側凸部分13とで構成され、
前記第2凸部15は、前記カム部材の外周側に形成される第2外周側凸部分16と、前記第2外周側凸部分16の内周側に形成され、頂面を同一高さとする第2内周側凸部分17とで構成され、
前記一対の凹部は、前記一対の凸部に対し同じタイミングで係嵌離脱するものであって、前記第1凸部11の前記第1外周側凸部分12に対応する第1外周側凹部分22及び前記第1内周側凸部分13に対応する第1内周側凹部分23を備えた第1凹部21と、前記第2凸部15の前記第2外周側凸部分16に対応する第2外周側凹部分26及び前記第2内周側凸部分17に対応する第2内周側凹部分27とを備えた第2凹部25で構成され、
前記第1凸部11の前記第1外周側凸部分12の円周方向の幅A及びこれに対応する前記第1凹部21の前記第1外周側凹部分22の内周方向の幅、前記第1凸部11の前記第1内周側凸部分13の円周方向の幅B及びこれに対応する前記第1凹部21の前記第1内周側凹部分23の内周方向の幅、前記第2凸部15の前記第2外周側凸部分16の円周方向の幅C及びこれに対応する前記第2凹部25の前記第2外周側凹部分26の内周方向の幅、前記第2凸部15の前記第2内周側凸部分17の円周方向の幅D及びこれに対応する前記第2凹部25の前記第2内周側凹部分27の内周方向の幅、との間で、
A>B、C<D 且つ、A>C、B<D である構成の回動カム組合せ体である。
【0011】
本願第2請求項に記載された発明は、請求項1記載のヒンジ装置の回動カム組合せ体において、前記第1凸部11と第2凸部15、及び、これらに対応する第1凹部21と第2凹部25が、回動中心に対して対称に配設されている回動カム組合せ体である。
【0012】
本願第3請求項に記載された発明は、折り畳み式開閉機器の一方に取付けられる第一部材3と、前記機器の他方に取付けられる第二部材4と、前記第一及び第二部材を回動可能に連結する軸部材5と、前記軸部材に装着される弾性手段6と、前記軸部材に装着され且つ前記弾性手段により弾性付勢されて圧接する前記請求項1又は2記載の回動カム組合せ体とを備え、前記第1カム部材10は前記第一部材3と同行回動し、前記第2カム部材20は前記第二部材4と同行回動する構成のヒンジ装置である。
【発明の効果】
【0013】
本願第1請求項に記載した発明は、内外周凹凸部分の幅A,B,C,Dの間で、A>B、C<D、且つ、A>C、B<D、の関係を有しているので、第1カム部材10及び第2カム部材20の相対回動に際しその内外周の凹凸部分が対峙する場合であっても、凸部分は他方のカム部材のカム面に摺接し、各凹凸部分は係嵌する(落ち込む)ことがない。従って、第1カム部材10及び第2カム部材20の摺接は、その一対の凸部の回動半径が異なることなく構成されて、各凸部が摺接する部位間のトルクモーメントが異ならずに均一化され、その結果、双方のカム部材の相対回動にアンバランスを生じ得るという従来欠点を回避することができる。とりわけ、側圧トルクが大きくなる傾向に伴い、ヒンジ装置の使用による繰り返し開閉動作によっては、従来のものでは上述したアンバランスに起因してヒンジ装置に不具合を生じるおそれがあったが、本発明の場合は、このような不具合発生を可及的に阻止することができる。更に、カムの接触面積が増えることでカム部材の耐久性が向上する。
【0014】
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1記載の回動カム組合せ体において、第1凸部11と第2凸部15、及び、これらに対応する第1凹部21と第2凹部25が、回動中心に対して対称に配設されているので、各凸部が摺接する部位間のトルクモーメントの均一化をより一層図ることができるものである。
【0015】
本願第3請求項に記載した発明は、前記請求項1又は2記載の回動カム組合せ体を備えたヒンジ装置であるため、ヒンジ装置に生じる不具合発生を可及的に阻止することができ、更に、カム部材の耐久性が向上するヒンジ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例に係るヒンジ装置を用いた電子機器の使用状態図である。
【図2】本実施例に係るヒンジ装置の分解斜視図である。
【図3】本実施例に係るヒンジ装置の斜視図である。
【図4】本実施例に係る第1カム部材の斜視図である。
【図5】本実施例に係る第2カム部材の斜視図である。
【図6】本実施例に係る第1カム部材の平面図である。
【図7】本実施例に係る第2カム部材の平面図である。
【図8】本実施例に係る回動カム組合せ体の係合状態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る回動カム組合せ体をヒンジ装置に適用した実施例について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施例は、折り畳み式開閉機器の一例たるノート型パソコンに本発明を実施したものであり、ヒンジ装置Hは、折り畳み式開閉機器の操作部1とディスプレイ部2間の左右に一対、設けられている。
このヒンジ装置Hは、折り畳み式開閉機器の一方(操作部1)に取付けられる第一部材3と、前記機器の他方(ディスプレイ部2)に取付けられる第二部材4と、前記第一及び第二部材を回動可能に連結する軸部材5と、軸部材5に装着される弾性手段6と、軸部材5に装着され且つ弾性手段6により弾性付勢されて圧接する回動カム組合せ体とを備える。
尚、本例では、軸部材5は第二部材4と同行回動し、弾性手段6には皿バネを用いている。また、符号7はワッシャで、このワッシャ7に軸部材5を挿通し、この軸部材5の端部を加締めてワッシャ7に固着している。これにより、皿バネから弾性付勢力が付与されて、回動カム組合せ体は相互に圧接される圧接状態がもたらされ、フリーストップを実現する。
【0019】
この回動カム組合せ体は、前記第一部材3と同行回動する第1カム部材10と、前記第二部材4と同行回動する第2カム部材20とから構成される。第1カム部材10と第2カム部材20は、一方のカム部材に凸部、他方のカム部材の、当該一方のカム部材に対向する面に凹部が形成される。
【0020】
本実施例では、第1カム部材10に凸部、第2カム部材20に凹部が形成される場合を例にとって説明する。尚、本発明は、上記とは逆に、第1カム部材10に凹部、第2カム部材20に凸部が形成される逆の場合にも適用することができる。
【0021】
第1カム部材10は、その第2カム部材側の対向面に、一対の凸部が形成されている。この一対の凸部は、第1凸部11及び、この第1凸部とは非連続で且つ当該第1凸部と頂面が同一高さの第2凸部15で構成される。
【0022】
前記第1凸部11は、第1カム部材10の外周側に形成される第1外周側凸部分12と、この第1外周側凸部分12の内周側に形成され、頂面を同一高さとする第1内周側凸部分13とで構成される。この例では、第1外周側凸部分12と第1内周側凸部分13とは、連続して形成されている。
【0023】
前記第2凸部15は、第1カム部材10の外周側に形成される第2外周側凸部分16と、この第2外周側凸部分16の内周側に形成され、頂面を同一高さとする第2内周側凸部分17とで構成される。この例では、前記第1凸部11と同様に、第2外周側凸部分16と第2内周側凸部分17とは、連続して形成されている。
【0024】
前記第2カム部材20は、その第1カム部材側の対向面に、一対の凹部が形成されている。この一対の凹部は、前記第1凸部11に対応する第1凹部21と、前記第2凸部15に対応する第2凹部25で構成され、そして、当該一対の凹部は、第1カム部材10の前記一対の凸部に対し同じタイミングで係嵌離脱する。
【0025】
即ち、第2カム部材20の第1凹部21は、前記第1凸部11の前記第1外周側凸部分12に対応する第1外周側凹部分22と、前記第1内周側凸部分13に対応する第1内周側凹部分23とを備える。
【0026】
また、第2カム部材20の第2凹部25は、前記第2凸部15の前記第2外周側凸部分16に対応する第2外周側凹部分26と、前記第2内周側凸部分17に対応する第2内周側凹部分27とを備える。
【0027】
上述のように構成される第1カム部材10及び第2カム部材20においては、後述する各幅A,B,C,Dの間で、A>B、C<D、且つ、A>C、B<D、の関係を有している。
【0028】
即ち、第1凸部11の第1外周側凸部分12の円周方向の幅A及びこれに対応する第1凹部21の第1外周側凹部分22の内周方向の幅、第1凸部11の第1内周側凸部分13の円周方向の幅B及びこれに対応する第1凹部21の第1内周側凹部分23の内周方向の幅、第2凸部15の第2外周側凸部分16の円周方向の幅C及びこれに対応する第2凹部25の第2外周側凹部分26の内周方向の幅、第2凸部15の第2内周側凸部分17の円周方向の幅D及びこれに対応する前記第2凹部25の第2内周側凹部分27の内周方向の幅、との間で、上述した、A>B、C<D、且つ、A>C、B<D、の関係を有しているものである。
【0029】
本例の第1カム部材10及び第2カム部材20において、第1カム部材10の前記一対の凸部と第2カム部材20の前記一対の凹部とが係嵌している状態、即ち、第1凸部11の第1外周側凸部分12が第1凹部21の第1外周側凹部分22に係嵌し、また、第1凸部11の第1内周側凸部分13が第1凹部21の第1内周側凹部分23に係嵌し、同様に、第2凸部15の第2外周側凸部分16が第2凹部25の第2外周側凹部分26に係嵌し、また、第2凸部15の第2内周側凸部分17が第2凹部25の第2内周側凹部分27に係嵌している状態において、図8に示すように、第2カム部材20に対して第1カム部材10を反時計方向に相対回動させてみれば、次のようになる。
【0030】
第1カム部材10の前記一対の凸部と、第2カム部材20の前記一対の凹部が係嵌している状態から、第2カム部材20に対して第1カム部材10を反時計方向に相対回動させた場合において、図8(a)は約45°の回動位置、図8(b)は約135°の回動位置、図8(c)は約180°の回動位置、そして、図8(d)は約225°の回動位置を示している。
【0031】
第1カム部材10の前記一対の凸部と、第2カム部材20の前記一対の凹部が係嵌している状態から、図8(a)(b)(c)(d)を経由して360°回動し、元の位置に戻って再び係嵌するまで、第1カム部材10の各凸部分12,13,16,17は、第2カム部材20のカム面20a上を摺動し、この間、各凹凸部分は係嵌する(落ち込む)ことはない。
【0032】
とりわけ、図8(c)の位置、即ち、第2カム部材20に対して第1カム部材10が反時計方向に約180°相対回動した状態においては、第1凸部11の第1内周側凸部分13が、これよりも幅広い第2凹部25の第2内周側凹部分27に対向し、また、第2凸部15の第2外周側凸部分16が、これよりも幅広い第1凹部21の第2外周側凹部分22に対向することとなるが、このとき、第1凸部11の第1外周側凸部分12は、第2凹部25の第2外周側凹部分26に対峙し、また、第2凸部15の第2内周側凸部分17は、第1凹部21の第1内周側凹部分23に対向する。そして、この第1外周側凸部分12は第2外周側凹部分26よりも幅広であり、また、第2内周側凸部分17は第1内周側凹部分23よりも幅広であるため、第1凸部11の第1内周側凸部分13が第2凹部25の第2内周側凹部分27に、また、第2凸部15の第2外周側凸部分16が第1凹部21の第2外周側凹部分22に、それぞれ落ち込む事態が阻止される。
【0033】
このように、第1カム部材10及び第2カム部材20から構成される本例の回動カム組合せ体Mは、内外周凹凸部分の幅A,B,C,Dの間で、A>B、C<D、且つ、A>C、B<D、の関係を有しているので、第1カム部材10及び第2カム部材20の相対回動に際しその内外周の凹凸部分が対峙する場合であっても、凸部分は他方のカム部材のカム面に摺接し、各凹凸部分は係嵌することがない。従って、第1カム部材10及び第2カム部材20の摺接は、その一対の凸部の回動半径が異なることなく構成されて、各凸部が摺接する部位間のトルクモーメントが異ならずに均一化され、その結果、双方のカム部材の相対回動にアンバランスを生じ得るという従来欠点を回避することができる。とりわけ、側圧トルクが大きくなる傾向に伴い、ヒンジ装置の使用による繰り返し開閉動作によっては、従来のものでは上述したアンバランスに起因してヒンジ装置に不具合を生じるおそれがあったが、本例の場合は、このような不具合発生を可及的に阻止することができる。更に、カムの接触面積が増えることでカム部材の耐久性が向上する。
【0034】
また、本例の回動カム組合せ体においては、第1凸部11と第2凸部15、及び、これらに対応する第1凹部21と第2凹部25が、回動中心に対して対称に配設されている。このように、とりわけ第1凸部11と第2凸部15が対称に配設されている場合は、各凸部が摺接する部位間のトルクモーメントの均一化をより一層図ることができるものである。
【0035】
第1カム部材10及び第2カム部材20は、軸部材5が挿通される通孔18,28を備える。第1カム部材10の通孔18は、軸部材5に形成した面取り部5aに対応する平面部18aを有する。第1カム部材10は、軸部材5に挿通され、係嵌離脱方向(係合離反方向)にスライド移動自在で且つ軸部材5とは回動不能に設けられる。即ち、第1カム部材10は、軸部材5と同行回動する。また、第2カム部材20の通孔28は、円形の通孔であって、この通孔28には、軸部材5の円形部が回動自在に挿通される。
【0036】
また、第1カム部材10の通孔18には、図4及び図6に示すように、この通孔に沿う切欠条19を形成するとよい。これは、軸部材5を通孔18にスライド移動自在に装着した際、ガタツキの発生を生じないようにするためには、ある程度、圧入することとなるが、圧入をきつくしすぎると第1カム部材10のスライド移動に動作不良をもたらす。そこで、通孔18に切欠条19を形成して、圧入面の面積を減少させ、ある程度の圧入がなされても、スライド移動が動作不良にならないようにし、他方で、その圧入によりガタツキの発生を抑えることができ、これにより良好な係合状態の実施が可能となるようにしたものである。
【0037】
尚、前述したように、第1カム部材10は、軸部材5に適度に圧入されて係嵌離脱方向(係合離反方向)にスライド移動自在で且つ同行回動する。一方、第2カム部材20は、軸部材5に相対回動自在に挿通され、カム面20aの反対側の面に一対設けた突起部20bが、第一部材3に設けた軸受部31の外側切欠部31a,31aに回り止め状に係合している。
【0038】
上述した例では、第1カム部材10に一対の凸部を、また、第2カム部材20に一対の凹部を、形成したものを示したが、これとは逆に、第1カム部材10に一対の凹部を、また、第2カム部材20に一対の凸部を、形成してもよいことは勿論である。
【0039】
以上説明した本例の回動カム組合せ体及びこれを用いたヒンジ装置は、上述の具体例に限られることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜の改変を加えることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、パソコン等を対象とするものであるが、この他にも、化粧用コンパクト、ドア、便器の蓋等、開閉又は回動するものでその開閉又は回動にフリーストップの要請があれば、如何なるものにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 操作部
2 ディスプレイ部
3 第一部材
31 軸受部
31a 外側切欠部
4 第二部材
5 軸部材
5a 面取り部
6 弾性手段
7 ワッシャ
10 第1カム部材
11 第1凸部
12 第1外周側凸部分
13 第1内周側凸部分
15 第2凸部
16 第2外周側凸部分
17 第2内周側凸部分
18 通孔
18a 平面部
19 切欠条
20 第2カム部材
20a カム面
20b 突起部
21 第1凹部
22 第1外周側凹部分
23 第1内周側凹部分
25 第2凹部
26 第2外周側凹部分
27 第2内周側凹部分
28 通孔
A 幅
B 幅
C 幅
D 幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ装置の軸部材に装着され、弾性手段により相互に圧接される第1カム部材と第2カム部材で構成されるカム組合せ体であって、
前記第1カム部材の前記第2カム部材側の対向面に、一対の凸部が形成され、
前記一対の凸部は、第1凸部及び、この第1凸部とは非連続で且つ当該第1凸部と頂面が同一高さの第2凸部で構成され、
前記第2カム部材の前記第1カム部材側の対向面には、一対の凹部が形成され、
前記一対の凹部は、前記第1凸部に対応する第1凹部と、前記第2凸部に対応する第2凹部で構成されるヒンジ装置の回動カム組合せ体において、
前記第1凸部は、前記カム部材の外周側に形成される第1外周側凸部分と、前記第1外周側凸部分の内周側に形成され、頂面を同一高さとする第1内周側凸部分とで構成され、
前記第2凸部は、前記カム部材の外周側に形成される第2外周側凸部分と、前記第2外周側凸部分の内周側に形成され、頂面を同一高さとする第2内周側凸部分とで構成され、
前記一対の凹部は、前記一対の凸部に対し同じタイミングで係嵌離脱するものであって、前記第1凸部の前記第1外周側凸部分に対応する第1外周側凹部分及び前記第1内周側凸部分に対応する第1内周側凹部分を備えた第1凹部と、前記第2凸部の前記第2外周側凸部分に対応する第2外周側凹部分及び前記第2内周側凸部分に対応する第2内周側凹部分とを備えた第2凹部で構成され、
前記第1凸部の前記第1外周側凸部分の円周方向の幅A及びこれに対応する前記第1凹部の前記第1外周側凹部分の内周方向の幅、前記第1凸部の前記第1内周側凸部分の円周方向の幅B及びこれに対応する前記第1凹部の前記第1内周側凹部分の内周方向の幅、前記第2凸部の前記第2外周側凸部分の円周方向の幅C及びこれに対応する前記第2凹部の前記第2外周側凹部分の内周方向の幅、前記第2凸部の前記第2内周側凸部分の円周方向の幅D及びこれに対応する前記第2凹部の前記第2内周側凹部分の内周方向の幅、との間で、
A>B、C<D 且つ、A>C、B<D であることを特徴とする回動カム組合せ体。
【請求項2】
前記第1凸部と前記第2凸部、及び、これらに対応する前記第1凹部と前記第2凹部が、回動中心に対して対称に配設されていることを特徴とする前記請求項1記載の回動カム組合せ体。
【請求項3】
折り畳み式開閉機器の一方に取付けられる第一部材と、前記機器の他方に取付けられる第二部材と、前記第一及び第二部材を回動可能に連結する軸部材と、前記軸部材に装着される弾性手段と、前記軸部材に装着され且つ前記弾性手段により弾性付勢されて圧接する前記請求項1又は2記載の回動カム組合せ体とを備え、前記第1カム部材は前記第一部材と同行回動し、前記第2カム部材は前記第二部材と同行回動することを特徴とするヒンジ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−270844(P2010−270844A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123806(P2009−123806)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】