説明

ブレーキドラムの脱着支持装置及びブレーキドラムの取り外し方法

【課題】使用勝手が良好なブレーキドラムの脱着支持装置を提供する。
【解決手段】ブレーキドラムの脱着支持装置100は、車輪4を備えたベース5と、このベース5に取り付けられた昇降する昇降部材6と、この昇降部材6に取り付けられ、ブレーキドラム1に当接する当接部材と、ベース5に立設して取り付けられ、離間して設けられた一対の支持部材7と、この一対の支持部材7に遊嵌する門形状の門形状部材8と、この門形状部材8より垂下し、ブレーキドラム1より突出するボルト20を通す穴を有した垂下部材10と、この垂下部材10の穴を通したボルト20に螺合するナットとを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキドラムの脱着支持装置及びブレーキドラムの取り外し方法に係り、特に、使用勝手が良好なブレーキドラムの脱着支持装置及びブレーキドラムの取り外し方法に関する。
【0002】
従来、例えば、トラックのブレーキドラム等の修理、点検にあっては、トラックから、ブレーキドラムを取り外さなければならならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その際、ブレーキドラムを人手により持ち運びしているため、ブレーキドラムは、重量的に重く、しかも、運搬中、滑って落下する等の危険があり、使用勝手が良好でないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記の点を考慮してなされたブレーキドラムの脱着支持装置及びブレーキドラムの取り外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のブレーキドラムの脱着支持装置は、車輪を備えたベースと、このベースに取り付けられた昇降する昇降部材と、この昇降部材に取り付けられ、ブレーキドラムに当接する当接部材と、前記ベースに立設して取り付けられ、離間して設けられた一対の支持部材と、この一対の支持部材に遊嵌する門形状の門形状部材と、この門形状部材より垂下し、前記ブレーキドラムより突出するボルトを通す穴を有した垂下部材と、この垂下部材の穴を通した前記ボルトに螺合するナットとを有するものである。
【0006】
また、請求項2記載のブレーキドラムの脱着支持装置は、請求項1記載のブレーキドラムの脱着支持装置において、門形状部材を取っ手として利用するものである。
【0007】
また、請求項3記載のブレーキドラムの取り外し方法は、車輪を備えたベースと、このベースに取り付けられた昇降する昇降部材と、この昇降部材に取り付けられ、ブレーキドラムに当接する当接部材と、前記ベースに立設して取り付けられ、離間して設けられた一対の支持部材と、この一対の支持部材に遊嵌する門形状の門形状部材と、この門形状部材より垂下し、前記ブレーキドラムより突出するボルトを通す穴を有した垂下部材と、背面視、前記垂下部材の穴のセンターと前記当接部材のセンターとが略一直線上になるように配置されものであり、前記ブレーキドラムより突出する複数のボルトの内、何れか一のボルトを最上部へ位置させるボルト位置工程と、このボルト位置工程の後、前記支持部材に遊嵌する前記門形状部材を移動させて、前記ボルトに前記垂下部材の穴の位置を合わせる穴位置工程と、この穴位置工程の後、前記垂下部材の穴に前記ボルトを通すボルト通し工程と、このボルト通し工程の後、前記穴より突出する前記ボルトにナットを螺合して締め付ける締め付け工程と、この締め付け工程の後、前記当接部材を下から前記ブレーキドラムに当接するように前記昇降部材を移動させる昇降部材移動工程と、この昇降部材移動工程の後、車両から前記ブレーキドラムが離間するように移動させるブレーキドラム移動工程とを備えているものである。
【0008】
また、請求項4記載のブレーキドラムの取り外し方法は、車輪を備えたベースと、このベースに取り付けられた昇降する昇降部材と、この昇降部材に取り付けられ、ブレーキドラムに当接する当接部材と、前記ベースに立設して取り付けられ、離間して設けられた一対の支持部材と、この一対の支持部材に遊嵌する門形状の門形状部材と、この門形状部材より垂下し、前記ブレーキドラムより突出するボルトを通す穴を有した垂下部材と、背面視、前記垂下部材の穴のセンターと前記当接部材のセンターとが略一直線上になるように配置されものであり、前記ブレーキドラムより突出する複数のボルトの内、何れか一のボルトを最上部へ位置させるボルト位置工程と、このボルト位置工程の後、前記支持部材に遊嵌する前記門形状部材を移動させて、前記ボルトに前記垂下部材の穴の位置を合わせる穴位置工程と、この穴位置工程の後、前記垂下部材の穴に前記ボルトを通すボルト通し工程と、このボルト通し工程の後、前記当接部材を下から前記ブレーキドラムに当接するように前記昇降部材を移動させる昇降部材移動工程と、この昇降部材移動工程の後、前記穴より突出する前記ボルトにナットを螺合して締め付ける締め付け工程と、この締め付け工程の後、車両から前記ブレーキドラムが離間するように移動させるブレーキドラム移動工程とを備えているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のブレーキドラムの脱着支持装置によれば、ブレーキドラムより突出するボルトに対し、一対の支持部材に遊嵌する門形状部材を上下方向に移動させれば、前記門形状部材より垂下する垂下部材に設けた穴に、一致させ易く 、しかも、当接部材がブレーキドラムに当接するように昇降部材を介して移動させて、当接部材でブレーキドラムを支持するため、車両からブレーキドラムを容易に取り外すして支持ことができ、使用勝手が良好で、更に、ブレーキドラムに当接する部位を「門形状部材より垂下する垂下部材に設けた穴」「昇降部材に取り付けられた当接部材」とに分離しているため、多様な形状の「ブレーキドラム」にも対応することができる。
【0010】
また、請求項2記載のブレーキドラムの脱着支持装置によれば、門形状部材を取っ手として利用することができるため、新たに取っ手を設けなくても、ブレーキドラムの車両からの移動を容易にすることができる。
【0011】
また、請求項3記載のブレーキドラムの取り外し方法によれば、車両からブレーキドラムが離間するように移動させるブレーキドラム移動工程により、車両からブレーキドラムを容易に取り外すして支持ことができ、使用勝手が良好で、また、垂下部材の穴に最上部へ位置するボルトにナットを螺合して締め付ける締め付け工程と、当接部材を下からブレーキドラムに当接するように昇降部材を移動させる昇降部材移動工程と、により、ブレーキドラムを上下により係合させるため、ブレーキドラムを安定し、しかも、多様な形状の「ブレーキドラム」にも対応することができる。
【0012】
また、請求項4記載のブレーキドラムの取り外し方法によれば、車両からブレーキドラムが離間するように移動させるブレーキドラム移動工程により、車両からブレーキドラムを容易に取り外すして支持ことができ、使用勝手が良好で、また、垂下部材の穴に最上部へ位置するボルトにナットを螺合して締め付ける締め付け工程と、当接部材を下からブレーキドラムに当接するように昇降部材を移動させる昇降部材移動工程と、により、ブレーキドラムを上下により係合させるため、ブレーキドラムを安定し、しかも、多様な形状の「ブレーキドラム」にも対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のブレーキドラムの脱着支持装置及びブレーキドラムの取り外し方法の一実施例を図面を参照して説明する。
ブレーキドラム1等の修理、点検のために、車両2からブレーキドラム1、タイヤ3を取り外さなければならならない。図2に示す100はブレーキドラムの脱着支持装置で、ブレーキドラムの脱着支持装置100は、車両2から取り外したブレーキドラム1を支持するものである。
【0014】
ブレーキドラムの脱着支持装置100は、車輪4を備えたベース5と、このベース5に取り付けられた昇降する昇降部材6と、ベース5に立設して取り付けられ、離間して設けられた一対の支持部材7、7と、この一対の支持部材7、7に遊嵌する門形状の門形状部材8とを有している。
【0015】
車輪4は、例えば、ベース5の4つの各コーナー部の下方に取り付けられている。ベース5には、部品等を収納する収納部51、52が設けられている。
また、昇降部材6は、例えば、パンタグラフ式のジャッキで、4本のジャッキアーム61、62、63、64、この4本のジャッキアーム61、62、63 、64の内方を横断するねじ棒65、ねじ棒65の端部に取り付けられたハンドル66、により構成され、昇降部材6は、ハンドル66の正逆の回転により昇降するようになっている。
【0016】
また、図2に示す9は、ブレーキドラム1に当接する当接部材で、当接部材9は、昇降部材6に取り付けられている。
10は、ブレーキドラム1より突出するボルト20を通す穴10aを有した垂下部材で、垂下部材10は、門形状部材8の略中央の部位より垂下して取り付けられている。
なお、図3に示すように、背面視、垂下部材10の穴10aのセンターと当接部材9のセンター9aとが略一直線上になるように配置され、図3においては、垂下部材10の穴10aのセンターと当接部材9のセンター9aとを通るラインをL−Lで示している。
また、図5に示す30は、垂下部材10の穴10aを通したボルト30に螺合するナットである。
【0017】
従って、先ず、ブレーキドラム1より突出する複数のボルト20の内、望ましくは、何れか一のボルト20を最上部へ位置させるように(図4参照)、ブレーキドラム1を回転させる(ボルト位置工程)。
このボルト位置工程の後、図4に示すように、支持部材7、7に遊嵌する門形状部材8を上下方向に移動させて、ボルト20に垂下部材10の穴10aの位置を合わせる(穴位置工程)。
この穴位置工程の後、図5に示すように、垂下部材10の穴10aにボルト20を通す(ボルト通し工程)。
このボルト通し工程の後、穴10aより突出するボルト20にナット30を螺合して締め付ける(締め付け工程)。
この締め付け工程の後、当接部材9を下からブレーキドラム1の下面に当接するように昇降部材6を移動させる(昇降部材移動工程)。
この昇降部材移動工程の後、図7に示すように、車両2からブレーキドラム1が離間するように移動させる(ブレーキドラム移動工程)。
なお、移動させる際、門形状部材8を取っ手として利用すれば、新たに取っ手を設けなくても、ブレーキドラム1の車両2からの移動を容易にすることができる。
【0018】
上述したブレーキドラムの脱着支持装置100によれば、ブレーキドラム1より突出するボルト20に対し、一対の支持部材7、7に遊嵌する門形状部材8を上下方向に移動させれば、門形状部材8より垂下する垂下部材10に設けた穴10aに、一致させ易く、しかも、当接部材9がブレーキドラム1に当接するように昇降部材6を介して移動させて、当接部材9でブレーキドラム1を支持するため、車両2からブレーキドラム1を容易に取り外すして支持ことができ、使用勝手が良好で、更に、ブレーキドラム1に当接する部位を「門形状部材8より垂下する垂下部材10に設けた穴10a」「昇降部材6に取り付けられた当接部材9」とに分離しているため、多様な形状の「ブレーキドラム1」にも対応することができる。また、ブレーキドラム1を上下(上・・・穴10a、下・・・当接部材9)により係合させるため、ブレーキドラム1を安定して支持することができる 。
なお、ブレーキドラム1を取り外し、ブレーキドラム1等の修理、点検が終了した後、上述した作業と逆の作業をして、ブレーキドラム1を車両2に取り付けることができる。
【0019】
また、上述した実施例においては、ボルト通し工程の後、穴10aより突出するボルト20にナット30を螺合して締め付ける(締め付け工程)ようにしたが、本発明にあっては、これに限らず、ボルト通し工程の後、当接部材9を下からブレーキドラム1に当接するように昇降部材6を移動させ(昇降部材移動工程)、この昇降部材移動工程の後、穴10aより突出するボルト20にナット30を螺合して締め付け(締め付け工程)、この締め付け工程の後、車両2からブレーキドラム1が離間するように移動させる(ブレーキドラム移動工程)ようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、タイヤを取り外し、ブレーキドラムが露出している状態を示す概略的斜視図である。
【図2】図2は、図1のブレーキドラムを支持する本発明の一実施例のブレーキドラムの脱着支持装置の概略的斜視図である。
【図3】図3は、図2のブレーキドラムの脱着支持装置の矢印Aより見た概略的図である。
【図4】図4は、図2のブレーキドラムの脱着支持装置の垂下部材の穴に、図1のブレーキドラムのボルトを合わせる状態を示す概略的側面図である。
【図5】図5は、図2のブレーキドラムの脱着支持装置の垂下部材の穴に、図1のブレーキドラムのボルトを通し、ナットによる締め付け前の状態を示す概略的側面図である。
【図6】図6は、図5のブレーキドラムの脱着支持装置の概略的斜視図である。
【図7】図7は、図2のブレーキドラムの脱着支持装置によりブレーキドラムを支持し、図2のブレーキドラムの脱着支持装置を車両から引き離した状態を示す概略的側面図である。官能結果の表である。
【符号の説明】
【0021】
100 ブレーキドラムの脱着支持装置
4 車輪
5 ベース
6 昇降部材
7 一対の支持部材
8 門形状部材
9 当接部材
10 垂下部材
10a 穴
20 ボルト
30 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を備えたベースと、
このベースに取り付けられた昇降する昇降部材と、
この昇降部材に取り付けられ、ブレーキドラムに当接する当接部材と、
前記ベースに立設して取り付けられ、離間して設けられた一対の支持部材と 、
この一対の支持部材に遊嵌する門形状の門形状部材と、
この門形状部材より垂下し、前記ブレーキドラムより突出するボルトを通す穴を有した垂下部材と、
この垂下部材の穴を通した前記ボルトに螺合するナットと、
を有することを特徴とするブレーキドラムの脱着支持装置。
【請求項2】
門形状部材を取っ手として利用する
ことを特徴とする請求項1記載のブレーキドラムの脱着支持装置。
【請求項3】
車輪を備えたベースと、
このベースに取り付けられた昇降する昇降部材と、
この昇降部材に取り付けられ、ブレーキドラムに当接する当接部材と、
前記ベースに立設して取り付けられ、離間して設けられた一対の支持部材と 、
この一対の支持部材に遊嵌する門形状の門形状部材と、
この門形状部材より垂下し、前記ブレーキドラムより突出するボルトを通す穴を有した垂下部材と、
背面視、前記垂下部材の穴のセンターと前記当接部材のセンターとが略一直線上になるように配置されものであり、
前記ブレーキドラムより突出する複数のボルトの内、何れか一のボルトを最上部へ位置させるボルト位置工程と、
このボルト位置工程の後、前記支持部材に遊嵌する前記門形状部材を移動させて、前記ボルトに前記垂下部材の穴の位置を合わせる穴位置工程と、
この穴位置工程の後、前記垂下部材の穴に前記ボルトを通すボルト通し工程と、
このボルト通し工程の後、前記穴より突出する前記ボルトにナットを螺合して締め付ける締め付け工程と、
この締め付け工程の後、前記当接部材を下から前記ブレーキドラムに当接するように前記昇降部材を移動させる昇降部材移動工程と、
この昇降部材移動工程の後、車両から前記ブレーキドラムが離間するように移動させるブレーキドラム移動工程と
を備えていることを特徴とするブレーキドラムの取り外し方法。
【請求項4】
車輪を備えたベースと、
このベースに取り付けられた昇降する昇降部材と、
この昇降部材に取り付けられ、ブレーキドラムに当接する当接部材と、
前記ベースに立設して取り付けられ、離間して設けられた一対の支持部材と 、
この一対の支持部材に遊嵌する門形状の門形状部材と、
この門形状部材より垂下し、前記ブレーキドラムより突出するボルトを通す穴を有した垂下部材と、
背面視、前記垂下部材の穴のセンターと前記当接部材のセンターとが略一直線上になるように配置されものであり、
前記ブレーキドラムより突出する複数のボルトの内、何れか一のボルトを最上部へ位置させるボルト位置工程と、
このボルト位置工程の後、前記支持部材に遊嵌する前記門形状部材を移動させて、前記ボルトに前記垂下部材の穴の位置を合わせる穴位置工程と、
この穴位置工程の後、前記垂下部材の穴に前記ボルトを通すボルト通し工程と、
このボルト通し工程の後、前記当接部材を下から前記ブレーキドラムに当接するように前記昇降部材を移動させる昇降部材移動工程と、
この昇降部材移動工程の後、前記穴より突出する前記ボルトにナットを螺合して締め付ける締め付け工程と、
この締め付け工程の後、車両から前記ブレーキドラムが離間するように移動させるブレーキドラム移動工程と
を備えていることを特徴とするブレーキドラムの取り外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−52635(P2009−52635A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219231(P2007−219231)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(307030876)有限会社富士自動車工業 (1)
【Fターム(参考)】