説明

ブロック壁の転倒防止杭及びブロック壁の構築方法

【課題】 地面に対する支持強度を高め、ブロック壁を支持する際の安定性の向上を図ったブロック壁の転倒防止杭及びブロック壁の構築方法を提供する。
【解決手段】 地面から水平方向及び垂直方向に複数のブロック50が列設されて形成されるブロック壁Hを支持してブロック壁Hの転倒を防止するブロック壁の転倒防止杭Kにおいて、地中に打ち込まれて埋設される埋設部材1と、埋設部材1に連結手段を介して連結されブロック50内に挿通される支持筋30とを備え、埋設部材1を、棒状に形成され地中に打ち込まれる打込筋10と、打込筋10の外側面に打込筋10の中心軸を中心に放射状に突設された複数のフィン20とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に打ち込んで用いられ地面から水平方向及び垂直方向に複数のブロックが列設されて形成されるブロック壁の転倒を防止するブロック壁の転倒防止杭及びこのブロック壁の転倒防止杭を用いたブロック壁の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のブロック壁の転倒防止杭及びブロック壁の構築方法としては、例えば、特許文献1(特開平6−316909号公報)に記載されたものが知られている。
図10に示すように、このブロック壁の転倒防止杭Kaは、棒状に形成された鉄筋で構成され、下端部が地面に打ち込まれて埋設され、上端部がブロック100内に挿通されるものである。また、ブロック壁Haを構成するブロック100は、地面に垂直方向に貫通する縦凹所110を有して形成されている。
【0003】
このブロック壁の転倒防止杭Ka及びブロック100を用いて、ブロック壁Haを構築するときは、先ず、転倒防止杭Kaの下端部を地面に打ち込んで埋設する。この転倒防止杭Kaを所定間隔で複数本打ち込んで埋設する。そして、埋設された転倒防止杭Kaに、その上端部からブロック100の縦凹所110を挿通させながら、地面に対して水平方向及び垂直方向にブロック100を複数列設する。そして、最上層に位置されるブロック100の縦凹所110からモルタルMaを充填する。このモルタルMaによって各ブロック100が結着され、ブロック壁Haが構築される。
【0004】
【特許文献1】特開平6−316909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来のブロック壁の転倒防止杭Ka及びブロック壁Haの構築方法においては、転倒防止杭Kaが棒状に形成されているので、地面に対する支持強度が低く、そのため、ブロック壁Haを支持する際の安定性に劣るという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、地面に対する支持強度を高め、ブロック壁を支持する際の安定性の向上を図ったブロック壁の転倒防止杭及びこの転倒防止杭を用いたブロック壁の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明のブロック壁の転倒防止杭は、地面から水平方向及び垂直方向に複数のブロックが列設されて形成されるブロック壁を支持して該ブロック壁の転倒を防止するブロック壁の転倒防止杭において、地中に打ち込まれて埋設される埋設部材と、該埋設部材に連結手段を介して連結され上記ブロック内に挿通される支持筋とを備え、上記埋設部材を、棒状に形成され地中に打ち込まれる打込筋と、該打込筋の上端側の外側面に該打込筋の中心軸を中心に放射状に突設された複数のフィンとを備えた構成としている。
【0008】
これにより、転倒防止杭でブロック壁を支持するときは、先ず、埋設部材の打込筋とフィンとを地中に打ち込んで埋設し、次に、この埋設部材に支持筋を連結する。尚、予め、支持筋を埋設部材に連結した状態で埋設部材を打ち込むようにしても良い。そして、この埋設部材に連結されている支持筋に、その上端部からブロックを挿通させながら、地面に対して水平方向及び垂直方向にブロックを複数列設する。この状態においては、埋設部材は、打込筋の中心軸を中心に放射状のフィンを備えているので、埋設部材が中心軸を中心に回転することがなく、また、フィンの抵抗により傾きにくく、地面に対する支持強度が向上させられる。そのため、この埋設部材に連結された支持筋も埋設部材の抵抗により傾きにくくなっており、地面に対して強固に固定されることになるので、それだけ、ブロック壁を支持する際の安定性を向上させることができる。即ち、複数のブロックで形成されたブロック壁が転倒しようとしても、転倒防止杭の支持強度が高いので、ブロック壁の転倒が確実に防止される。
【0009】
そして、必要に応じ、上記連結手段を、上記打込筋の上端部に形成された雌ネジと、上記支持筋の下端に形成され上記打込筋の雌ネジに螺合する雄ネジとで構成している。これにより、打込筋と支持筋との連結を容易に行なうことができるようになる。また、打込筋と支持筋とを着脱可能にすることができるので、埋設部材を地中に打ち込んでから支持筋を打込筋に連結させることができ、それだけ、転倒防止杭の地面への立設が容易になり、作業性が向上させられる。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明のブロック壁の構築方法は、地面に垂直方向に貫通する縦凹所を有した複数のブロックを水平方向及び垂直方向に列設するとともに各ブロックをモルタルを介して結着してブロック壁を構築するブロック壁の構築方法において、地中に打ち込まれて埋設される埋設部材と、該埋設部材に連結手段を介して連結され上記ブロック内に挿通される支持筋とを備え、上記埋設部材を、棒状に形成され地中に打ち込まれる打込筋と、該打込筋の上端側の外側面に該打込筋の中心軸を中心に放射状に突設された複数のフィンとを備えて構成した転倒防止杭を複数用い、先ず、各転倒防止杭の埋設部材を、構築に係るブロック壁の下面に沿うように所定間隔で地面に打ち込んで地中に埋設し、次に、各埋設部材に支持筋を連結し、それから、構築に係るブロック壁の下面に沿うように地面に所定厚さのモルタルを敷設して基礎を形成し、次に、上記複数のブロックを該ブロックの縦凹所に上記転倒防止杭の支持筋を挿通させて列設し、その後、支持筋が挿通された縦凹所にモルタルを充填する構成としている。
【0011】
これにより、ブロック壁を構築するときは、複数の転倒防止杭を地面に立設し、この各転倒防止杭に全てのブロックを挿通するとともに各ブロックをモルタルを介して結着して各ブロックを水平方向及び垂直方向に列設し、その後、支持筋が挿通された縦凹所にモルタルを充填して構築する。この場合、埋設部材を地中に打ち込んでから支持筋を打込筋に連結させるので、転倒防止杭の地面への立設が容易になる。また、埋設部材は、打込筋の中心軸を中心に放射状のフィンを備えているので、埋設部材が中心軸を中心に回転することがなく、また、フィンの抵抗により傾きにくく、地面に対する支持強度が向上させられる。そのため、この埋設部材に連結された支持筋も埋設部材の抵抗により傾きにくくなっており、地面に対して強固に固定されることになるので、それだけ、ブロック壁を支持する際の安定性を向上させることができる。即ち、複数のブロックで形成されたブロック壁が転倒しようとしても、転倒防止杭の支持強度が高いので、ブロック壁の転倒が確実に防止される。
【0012】
また、複数のブロックで形成されたブロック壁は、全てのブロックがモルタルによって結着されているので、転倒防止杭と相俟って、ブロック壁に衝撃が加えられても崩れることがない。更に、縦凹所にモルタルが充填されるので、支持筋とブロックとをモルタルを介して結着させることができ、そのため、転倒防止杭とブロックとの結合強度が高く、この点でも、ブロック壁の転倒を確実に防止することができる。
【0013】
更に、必要に応じ、上記支持筋に補助筋を連設し、それから、上記複数のブロックを該ブロックの縦凹所に補助筋を挿通させて列設し、その後、該補助筋が挿通された縦凹所にモルタルを充填する構成としている。これにより、補助筋が支持筋と同様の作用をするので、支持筋の長さよりも高く複数のブロックを垂直方向に列設する場合においても、各ブロックを確実に支持することができる。
【0014】
更にまた、必要に応じ、上記ブロック壁の途中に水平方向に貫通する横凹所を有したブロックを水平方向に列設し、該横凹所の列に、横筋を配設して、該横筋を上記支持筋に固着した構成としている。これにより、各ブロックの結着がより強固になる。また、横筋を支持筋に固着させることにより、横筋が支持筋に支持されるようになるので、より一層ブロック壁の強度が向上させられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のブロック壁の転倒防止杭及びブロック壁の構築方法によれば、埋設部材の打込筋とフィンとを地中に打ち込んで埋設し、埋設部材に連結されている支持筋に、複数のブロックを挿通させるので、埋設部材及び支持筋の地面に対する支持強度が高くなり、そのため、支持筋が傾こうとしても埋設部材の抵抗により傾きにくくなっており、各ブロックが地面に対して強固に固定されることになるので、ブロック壁を支持する際の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係るブロック壁の転倒防止杭及びブロック壁の構築方法を説明する。
先ず、本発明の実施の形態に係るブロック壁の転倒防止杭について説明する。図1乃至図4に示すように、本転倒防止杭Kは、地面から水平方向及び垂直方向に複数のブロック50が列設されて形成されるブロック壁Hを支持してブロック壁Hの転倒を防止するものであり、地中に打ち込まれて埋設される埋設部材1と、埋設部材1に連結手段40を介して連結されブロック内に挿通される支持筋30とを備えて構成されている。
【0017】
埋設部材1は、棒状に形成され地中に打ち込まれる打込筋10と、打込筋10の外側面11に打込筋10の中心軸12を中心に放射状に突設された複数のフィン20とを備えて構成されている。
打込筋10は、図1乃至図4に示すように、円柱状に形成され、下端13が鋭頭に形成されている。また、この打込筋10の上端部14には、連結手段40を構成する雌ネジ41が形成されている。
フィン20は、図1乃至図4に示すように、板状の矢羽状に形成され、打込筋10の上端部14側に等角度関係で複数設けられている。実施の形態では、打込筋10の外側面11から十字状に4枚突設されている。
【0018】
支持筋30は、図1及び図2に示すように、円柱状の棒状に形成されている。また、この支持筋30の下端31には、連結手段40を構成する雄ネジ42が形成されている。実施の形態では、この支持筋30の周面全面に雄ネジ42が形成されている。この雄ネジ42は、打込筋10の雌ネジ41に螺合するもので、打込筋10の雌ネジ41に支持筋10の雄ネジ42を螺合させることにより、埋設部材1と支持筋30とを連結させている。また、実施の形態では、図2に示すように、支持筋30に、棒状に形成された補助筋33が連設されている。この補助筋33は、支持筋30の長さよりも長く形成され、一端が地面に当接若しくは埋設されている。支持筋30と補助筋33との連設は、例えば、鉄線34等を用いて、支持筋30の上端32側と補助筋33とを固着することにより行なわれる。
【0019】
次に、本発明の実施の形態に係るブロック壁の構築方法について説明する。本構築方法は、上記のように構成されたブロック壁の転倒防止杭Kを複数用いて行なわれる。
図5に示すように、本構築方法に係るブロック壁Hは、空洞ブロック51と、横筋用空洞ブロック52と、外側用空洞ブロック53と、外側横筋用空洞ブロック54とを備えて構成されている。
【0020】
空洞ブロック51は、図5(A)に示すように、上面55,下面56及び左右両側面57a,57bを有した直方体状に形成され、内部及び左右両側面57a,57bに垂直方向に貫通する縦凹所58が形成されている。また、左右両側面57a,57bに設けられた縦凹所58は、断面略半球状に形成されている。
横筋用空洞ブロック52は、図5(B)に示すように、空洞ブロック51の上面55に、水平方向に貫通する横凹所59を有して形成されている。
外側用空洞ブロック53は、図5(C)に示すように、空洞ブロック51の左右両側面57a,57bのいずれか一側面が平面に形成されている。また、右側面57aが平面に形成されたものと、左側面57bが平面に形成されたものとは、同じ数使用されている。
外側横筋用空洞ブロック54は、図5(D)に示すように、横筋用空洞ブロック52の左右両側面57a,57bのいずれか一側面が平面に形成されている。また、右側面57aが平面に形成されたものと、左側面57bが平面に形成されたものとは、同じ数使用されている。
【0021】
従って、この実施の形態に係るブロック壁を構築するときは、以下のようにする。図1及び図6乃至図9に示す図に従って説明する。
先ず、図6(A)に示すように、各転倒防止杭Kの埋設部材1を、構築に係るブロック壁Hの下面に沿うように所定間隔で地面に打ち込んで地中に埋設する。このとき、埋設部材1の打込筋10の下端13が鋭頭に形成されており、フィン20が矢羽状に形成されているので、埋設部材1を容易に打ち込むことができる。
【0022】
次に、図6(B)に示すように、各埋設部材1に支持筋30を連結する。埋設部材1の打込筋10の上端部14に形成された雌ネジ41に、支持筋30の雄ネジ42を螺合させて連結する。螺合させるだけで連結させることができるので、比較的容易に連結させることができる。また、埋設部材1を打ち込んでから支持筋30を連結させるので、埋設部材1を容易に打ち込むことができ、それだけ、転倒防止杭Kの立設が容易になる。このとき、支持筋30の長さよりも高くブロック壁Hを構築する場合は、図6(C)に示すように、支持筋30に補助筋33を連設し、この補助筋33を、各ブロック50の縦凹所58に挿通させて列設する。詳しくは、補助筋33の一端を地面に当接若しくは埋設させ、例えば、鉄線34等を用いて、支持筋30の上端32側と補助筋33とを固着して連設させる。実施の形態では、支持筋33の長さよりも高くブロック壁Hを構築するようになるので、補助筋33を用いた構成としている。
【0023】
それから、図6(C)に示すように、構築に係るブロック壁Hの下面に沿うように、地面に所定厚さのモルタルMを敷設して基礎60を形成する。モルタルMを敷設した後、表面が平面になるように仕上げる。基礎60を形成することにより、構築に係るブロック壁Hを地面に対して安定して構築することができる。
【0024】
次に、図7(D)に示すように、複数のブロック50を、各ブロック50の縦凹所58に転倒防止杭Kの支持筋30を挿通させて列設する。実施の形態では、各ブロック50の左右両側面57a,57bに形成された縦凹所58に支持筋30を挿通させている。先ず、基礎60に空洞ブロック51の下面56が当接するようにして、各空洞ブロック51を水平方向に列設していく。このとき、隣接する各空洞ブロック51間に微小な間隙50aが形成されるように列設していく。また、構築に係るブロック壁Hの右側面に位置されるブロック50には、右側面57aが平面に形成された外側用空洞ブロック53を用い、構築に係るブロック壁Hの左側面に位置されるブロック50には、左側面57bが平面に形成された外側用空洞ブロック53を用いる。実施の形態では、この状態において、二つのブロック50毎に支持筋30が挿通されるようになる。このように、空洞ブロック51と外側用空洞ブロック53とを水平方向に列設させて空洞ブロック群70を形成する。
【0025】
次に、図7(E)に示すように、空洞ブロック群70の上面55にモルタルMを塗布し、それから、空洞ブロック群70の上面55に、横筋用空洞ブロック52と外側横筋用空洞ブロック54とを列設していく。各空洞ブロック51の上面55と各横筋用空洞ブロック52の下面56とを対向させて列設していく。同様に、各外側用空洞ブロック53と各外側横筋用空洞ブロック54とを列設する。このように、横筋用空洞ブロック52と外側横筋用空洞ブロック54とを水平方向に列設させて横筋用空洞ブロック群80を形成する。
【0026】
それから、図8に示すように、この横筋用空洞ブロック群80の上面55に形成される横凹所59の列に、横筋90を配設する。そして、横筋90を、支持筋30に、例えば、鉄線91等を用いて固着する。固着後、横凹所59の列にモルタルMを充填する。
【0027】
そして、図1に示すように、横筋用空洞ブロック群80の上面55に、空洞ブロック群70を列設し、その上面55に横筋用空洞ブロック群80を列設する。このように、地面から垂直方向に、所定高さまで、空洞ブロック群70と横筋用空洞ブロック群80とを交互に列設していく。即ち、横筋90は、二段毎に配設されるようになる。
【0028】
その後、図9に示すように、支持筋30及び補助筋33が挿通された縦凹所58にモルタルMを充填する。このとき、水平方向に列設された各ブロック50間には、微小な間隙50aが形成されているので、縦凹所58に充填されたモルタルMは、この間隙50aから漏出されるようになる。
【0029】
そして、各ブロック50間の目地からはみ出しているモルタルMを掻き落として、例えば、目地ごて等で目地を押さえる。これにより、各ブロック50の結着性が向上させられる。
モルタルMが凝固するまで養生して、ブロック壁Hを完成させる。
【0030】
この状態においては、埋設部材1は、打込筋10の中心軸12を中心に放射状のフィン20を備えているので、埋設部材1が中心軸12を中心に回転することがなく、また、フィン20の抵抗により傾きにくく、地面に対する支持強度が向上させられる。そのため、この埋設部材1に連結された支持筋30も埋設部材1の抵抗により傾きにくくなっており、地面に対して強固に固定されることになるので、それだけ、ブロック壁Hを支持する際の安定性を向上させることができる。更に、支持筋30の下端31側が基礎60によって固定されるので、この点でも、支持筋30が傾きにくくなり、地面に対して強固に固定されることになるので、それだけ、ブロック壁Hを支持する際の安定性を向上させることができる。即ち、複数のブロック50で形成されたブロック壁Hが転倒しようとしても、転倒防止杭Kの支持強度が高いので、ブロック壁Hの転倒が確実に防止される。
【0031】
また、複数のブロック50で形成されたブロック壁Hは、全てのブロック50がモルタルMによって結着されているので、転倒防止杭Kと相俟って、ブロック壁Hに衝撃が加えられても崩れることがない。更に、縦凹所58にモルタルMが充填されるので、支持筋30とブロック50とをモルタルMを介して結着させることができ、そのため、転倒防止杭Kとブロック50との結合強度が高く、この点でも、ブロック壁Hの転倒を確実に防止することができる。更に、横筋90を配設したので、各ブロック50の結着がより強固になる。また、横筋90を支持筋30に固着させることにより、横筋90が支持筋30に支持されるようになるので、ブロック壁Hの強度がより一層向上させられる。更に、補助筋33を用いて構成したので、この補助筋33が支持筋30と同様の作用をし、そのため、支持筋30の長さよりも高くブロック壁Hを構築しても、ブロック壁Hを確実に支持することができる。この補助筋33は、支持筋30に固着され、一端が基礎60によって固定されているので、補助筋33が傾きにくくなり、地面に対して強固に固定されることになるので、この点でも、ブロック壁Hを確実に支持することができる。
【0032】
尚、ブロック壁Hの上端形成においては、ブロック壁Hの最上段を横筋用空洞ブロック群80で構成し、補助筋33の上端を湾曲させてU字状に形成し、横凹所59にU字状に形成された補助筋33の間を通して横筋90を配設し、その後、横凹所59にモルタルMを充填して、ブロック壁Hを完成させるようにしても良い。この場合、ブロック壁Hが転倒しようとしても、U字状に形成された補助筋33の間を通して横筋90が配設されているので、支持筋30及び補助筋33がブロック壁Hから抜け出ることがより確実に防止され、そのため、転倒防止杭Kの効果が確実に発揮されるので、ブロック壁Hの転倒がより確実に防止される。
【0033】
尚また、上記実施の形態において、連結手段40を上記の構成としたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、埋設部材と支持筋とを連結できれば良く、適宜変更して差支えない。
また、上記実施の形態において、フィン20を矢羽状に形成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、どのような形状でも良く、適宜変更して差支えない。また、フィンの枚数や互いの角度関係も上記に限定されないことは勿論である。
更に、上記実施の形態において、支持筋30を二つのブロック50毎に挿通されるように立設したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、全てのブロック毎に挿通されるように立設しても良く、適宜変更して差支えない。
【0034】
また、上記実施の形態において、支持筋30に補助筋33を連設したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、補助筋を用いなくても良く、適宜変更して差支えない。
更に、上記実施の形態において、ブロック壁Hを空洞ブロック群70と横筋用空洞ブロック群80とで構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、横筋用空洞ブロック群のみで構成しても良く、適宜変更して差支えない。
更にまた、上記実施の形態において、空洞ブロック群70と横筋用空洞ブロック群80とを交互に列設させたが、必ずしもこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係るブロック壁の転倒防止杭を、その使用状態とともに示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るブロック壁の転倒防止杭を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る埋設部材を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る埋設部材を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るブロックを示し、(A)は空洞ブロック,(B)は横筋用空洞ブロック,(C)は外側用空洞ブロック,(D)は外側横筋用空洞ブロックを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るブロック壁の構築方法に係り、(A)は埋設部材を地面に打ち込んだ状態,(B)は支持筋を埋設部材に連結させた状態,(C)は基礎を形成した状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るブロック壁の構築方法に係り、(D)は空洞ブロック群を形成した状態,(E)は横筋用空洞ブロック群を形成した状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るブロック壁の構築方法に係り、横筋を配設した状態及び横凹所にモルタルを充填した状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るブロック壁の構築方法に係り、支持筋が挿通された状態及び縦凹所にモルタルを充填した状態を示す斜視図である。
【図10】従来のブロック壁の転倒防止杭及びブロック壁の構築方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
K ブロック壁の転倒防止杭
H ブロック壁
M モルタル
1 埋設部材
10 打込筋
11 外側面
12 中心軸
13 下端
14 上端部
20 フィン
30 支持筋
31 下端
32 上端
33 補助筋
34 鉄線
40 連結手段
41 雌ネジ
42 雄ネジ
50 ブロック
50a 間隙
51 空洞ブロック
52 横筋用空洞ブロック
53 外側用空洞ブロック
54 外側横筋用空洞ブロック
55 上面
56 下面
57a 右側面
57b 左側面
58 縦凹所
59 横凹所
60 基礎
70 空洞ブロック群
80 横筋用空洞ブロック群
90 横筋
91 鉄線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面から水平方向及び垂直方向に複数のブロックが列設されて形成されるブロック壁を支持して該ブロック壁の転倒を防止するブロック壁の転倒防止杭において、
地中に打ち込まれて埋設される埋設部材と、該埋設部材に連結手段を介して連結され上記ブロック内に挿通される支持筋とを備え、上記埋設部材を、棒状に形成され地中に打ち込まれる打込筋と、該打込筋の上端側の外側面に該打込筋の中心軸を中心に放射状に突設された複数のフィンとを備えて構成したことを特徴とするブロック壁の転倒防止杭。
【請求項2】
上記連結手段を、上記打込筋の上端部に形成された雌ネジと、上記支持筋の下端に形成され上記打込筋の雌ネジに螺合する雄ネジとで構成したことを特徴とする請求項1記載のブロック壁の転倒防止杭。
【請求項3】
地面に垂直方向に貫通する縦凹所を有した複数のブロックを水平方向及び垂直方向に列設するとともに各ブロックをモルタルを介して結着してブロック壁を構築するブロック壁の構築方法において、
地中に打ち込まれて埋設される埋設部材と、該埋設部材に連結手段を介して連結され上記ブロック内に挿通される支持筋とを備え、上記埋設部材を、棒状に形成され地中に打ち込まれる打込筋と、該打込筋の上端側の外側面に該打込筋の中心軸を中心に放射状に突設された複数のフィンとを備えて構成した転倒防止杭を複数用い、
先ず、各転倒防止杭の埋設部材を、構築に係るブロック壁の下面に沿うように所定間隔で地面に打ち込んで地中に埋設し、次に、各埋設部材に支持筋を連結し、それから、構築に係るブロック壁の下面に沿うように地面に所定厚さのモルタルを敷設して基礎を形成し、次に、上記複数のブロックを該ブロックの縦凹所に上記転倒防止杭の支持筋を挿通させて列設し、その後、支持筋が挿通された縦凹所にモルタルを充填することを特徴とするブロック壁の構築方法。
【請求項4】
上記支持筋に補助筋を連設し、それから、上記複数のブロックを該ブロックの縦凹所に上記補助筋を挿通させて列設し、その後、該補助筋が挿通された縦凹所にモルタルを充填することを特徴とする請求項3記載のブロック壁の構築方法。
【請求項5】
上記ブロック壁の途中に水平方向に貫通する横凹所を有したブロックを水平方向に列設し、該横凹所の列に、横筋を配設して、該横筋を上記支持筋に固着したことを特徴とする請求項3または4記載のブロック壁の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−203692(P2009−203692A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46271(P2008−46271)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(500248582)
【Fターム(参考)】