説明

プロジェクター

【課題】小型化が図られつつ、投写される画像の高さの位置が広範囲に調整可能なプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクターは、光源から射出された光束を変調して投写する光学ユニット、光学ユニットを収納する外装筐体、および外装筐体から突出する脚部4を備える。脚部4は、外装筐体に対して突出する長さが変更可能な第1脚部本体41と、第1脚部本体41の突出方向と同一方向に、第1脚部本体41に対して突出する長さが変更可能な第2脚部本体42と、第1脚部本体41の突出する長さを調整する第1調整部6と、第2脚部本体42の突出する長さを調整する第2調整部7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、変調した光をスクリーン等に投写するプロジェクターが知られている。プロジェクターは、企業内でのプレゼンテーションや、家庭内での映画鑑賞等の種々の用途に用いられており、持ち運びし易いように小型化、軽量化が図られている。また、投写される画像の高さの位置を変更できるように調整機構を備えたプロジェクターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の調整機構(アジャスター装置)は、ピストン収容室を有する外装ケース、およびピストン収容室に摺動自在に挿入される脚部材等を備え、脚部材は、外装ケースに対し、移動自在に構成されている。そして、特許文献1のプロジェクターは、脚部材の移動される位置に応じて傾斜角度が変わり、投写される画像の位置が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−52943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の技術は、脚部材をピストン収容室に収容するためにプロジェクターの小型化が難しく、また、小型化するために脚部材の長さを短くすると、投写される画像の位置を広範囲に調節することができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光束を変調して投写する光学ユニット、前記光学ユニットを収納する外装筐体、および前記外装筐体から突出する脚部を備えたプロジェクターであって、前記脚部は、前記外装筐体に対して突出する長さが変更可能な第1脚部本体と、前記第1脚部本体の突出方向と同一方向に、前記第1脚部本体に対して突出する長さが変更可能な第2脚部本体と、前記第1脚部本体の突出する長さを調整する第1調整部と、前記第2脚部本体の突出する長さを調整する第2調整部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、脚部は、第1および第2脚部本体を備え、第1および第2調整部によって、第1脚部本体は外装筐体から、第2脚部本体は第1脚部本体から、それぞれ突出する長さが調整可能に構成されている。これによって、外装筐体における脚部の突出方向の収納スペースを小さく形成しつつ、脚部の外装筐体からの突出する長さを大きく構成することが可能となる。よって、プロジェクターは、小型化が図られつつ、設置される傾斜角が大きく変更されること、つまり投写される画像の高さの位置が広範囲に調整可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第2脚部本体は、前記第1脚部本体に収納可能に形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第2脚部本体は、第1脚部本体に収納されるので、外装筐体における脚部の突出する方向と交差する方向の省スペース化、ひいてはプロジェクターの小型化がさらに図れる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第1脚部本体は、回転することで突出する長さが変更され、前記脚部は、前記第1脚部本体が回転可能に支持され、前記第2調整部を保持する調整保持部をさらに備え、前記調整保持部は、前記第1脚部本体の突出する方向に前記第1脚部本体と共に移動可能に構成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1脚部本体は、回転することで突出する長さが調整可能に構成されている。そして、第2調整部を保持する調整保持部は、第1脚部本体が回転可能に支持され、第1脚部本体の突出する方向に第1脚部本体と共に移動可能に構成されている。これによって、第1脚部本体が回転されて突出する長さが変更されると、つまり第1脚部本体が突出方向に移動すると、調整保持部は回転することなく、第1脚部本体と共に突出する方向に移動することとなる。よって、調整保持部に保持されている第2調整部も回転しないので、第2調整部の構造の簡素化が可能になると共に、第2調整部に操作する操作部を設けた際にも、使用者は、この操作部を容易に観察し、第2脚部本体の突出する長さを調整することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第1脚部本体および前記第2脚部本体の少なくともいずれか一方には、外周面に螺旋状の凹部が形成された螺旋形状部を有し、前記第1調整部および前記第2調整部の少なくともいずれか一方には、前記螺旋形状部に係合する係合状態と、係合が解除された非係合状態とが切り換え可能な係合部を備えていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第1脚部本体および第2脚部本体の少なくともいずれか一方には、外周面に螺旋状の凹部が形成された螺旋形状部を有し、第1調整部および第2調整部の少なくともいずれか一方には、螺旋形状部に係合する係合状態と、係合が解除された非係合とが切り換え可能な係合部を備えている。これによって、使用者は、係合状態において、第1脚部本体および第2脚部本体の少なくともいずれか一方を回転することで、脚部の突出する長さを微調整し、非係合状態において、脚部の突出する長さを一度に大きく変更することが可能となる。よって、投写される画像を所望の位置に容易に移動することが可能となり利便性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるプロジェクターの外観を模式的に示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるプロジェクターの概略構成を示す模式図。
【図3】本実施形態における脚部の斜視図。
【図4】本実施形態における脚部の分解斜視図。
【図5】本実施形態における第1脚部本体および第2脚部本体が最も長く突出した状態の脚部の図。
【図6】前方から見た脚部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調してスクリーン等に拡大投写する。
【0017】
〔プロジェクターの主な構成〕
図1は、本実施形態のプロジェクター1の外観を模式的に示す斜視図であり、(a)は、プロジェクター1が机上等に設置された状態を上方から見た図、(b)は、下方から見た図である。図2は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す模式図である。
【0018】
プロジェクター1は、図1、図2に示すように、外装を構成する外装筐体2、制御部(図示省略)、光源装置31を有する光学ユニット3、光源装置31や制御部に電力を供給する電源装置PS、脚部4、固定脚部11、および水平調整脚部12等を備えている。なお、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内には、プロジェクター1の内部を冷却する冷却ファン等が配置されている。
【0019】
外装筐体2は、合成樹脂製であり、図1に示すように、上部を構成するアッパーケース21、下部を構成するロアーケース22等を備えており、これらは、ネジ等により固定されている。
図1に示すように、アッパーケース21の前面21Fには、開口部211が形成されており、この開口部211から投写される光が通過する。
【0020】
アッパーケース21の上面21Tには、図1(a)に示すように、プロジェクター1の各種指示を行うための操作パネル20が配置されている。また、図示は省略するが、外装筐体2には、外気を取り込むための吸気口や、外装筐体2内の温まった空気を外部に排出するための排気口等が設けられている。
【0021】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御、例えば、画像の投写に関わる制御等を行う。
【0022】
光学ユニット3は、制御部による制御の下、光源311から射出された光束を光学的に処理して投写する。
光学ユニット3は、図2に示すように、光源311を有する光源装置31、インテグレーター照明光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、電気光学装置35、投写レンズ36、およびこれらの部材31〜36を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体37を備える。
【0023】
光学ユニット3は、図2に示すように平面視略L字状に形成され、一方の端部に光源装置31が着脱可能に配置され、他方の端部に投写レンズ36が配置される。なお、以下では、説明の便宜上、光源装置31から光束が射出される方向を+X方向、投写レンズ36から光束が射出される方向を+Y方向(前方向)、X方向およびY方向に直交し、図1(a)の図面視における上を+Z方向(上方向)として記載する。
【0024】
光源装置31は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源311、リフレクター312および光透過部材としての平行化レンズ313等を備えている。光源装置31は、光源311から射出された光束をリフレクター312にて反射した後、平行化レンズ313よって射出方向を揃え、インテグレーター照明光学系32に向けて射出する。
【0025】
インテグレーター照明光学系32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324を備える。
第1レンズアレイ321は、光源装置31から射出された光束を複数の部分光束に分割する光学素子であり、光源装置31から射出された光束の光軸Cに対して略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えている。
【0026】
第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321と略同様の構成を有しており、重畳レンズ324とともに、第1レンズアレイ321から射出された部分光束を後述する液晶ライトバルブ351の表面に重畳させる。
偏光変換素子323は、第2レンズアレイ322から射出されたランダム偏光光を液晶ライトバルブ351で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
【0027】
色分離光学系33は、2枚のダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333を備え、インテグレーター照明光学系32から射出された光束を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する機能を有する。
【0028】
リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、および反射ミラー342,344を備え、色分離光学系33で分離されたR光をR光用の液晶ライトバルブ351Rまで導く機能を有する。なお、光学ユニット3は、リレー光学系34がR光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、B光を導く構成としてもよい。
【0029】
電気光学装置35は、光変調装置としての液晶ライトバルブ351および色合成光学装置としてクロスダイクロイックプリズム352を備え、色分離光学系33で分離された各色光を画像情報に応じて変調し、変調した各色光を合成する。
【0030】
液晶ライトバルブ351は、3色の色光毎に備えられており(R光用の液晶ライトバルブを351R、G光用の液晶ライトバルブを351G、B光用の液晶ライトバルブを351Bとする)、それぞれ透過型の液晶パネル、およびその両面に配置された入射側偏光板、射出側偏光板を有している。
【0031】
液晶ライトバルブ351は、図示しない微小画素がマトリクス状に形成された矩形状の画素領域を有し、各画素が表示画像信号に応じた光透過率に設定され、画素領域内に表示画像を形成する。そして、色分離光学系33で分離された各色光は、液晶ライトバルブ351にて変調された後、クロスダイクロイックプリズム352に射出される。
【0032】
クロスダイクロイックプリズム352は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム352は、誘電体多層膜が液晶ライトバルブ351R,351Bにて変調された色光を反射し、液晶ライトバルブ351Gにて変調された色光を透過して、各色光を合成する。
【0033】
投写レンズ36は、複数のレンズを組み合わせた組レンズとして構成され、液晶ライトバルブ351にて変調され、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光をスクリーン上に拡大投写する。
【0034】
電源装置PSは、詳細な説明は省略するが、電源ブロックおよび光源装置31を駆動する光源駆動ブロックを備え、制御部および光源311等の電子部品に電力を供給する。
【0035】
脚部4、固定脚部11、および水平調整脚部12は、図1(b)に示すように、ロアーケース22の下面22Bから突出して設けられており、プロジェクター1が設置される設置面に当接し、プロジェクター1を支持する。
【0036】
脚部4は、図1(b)に示すように、ロアーケース22の下面22Bの前方側(+Y側)の略中央部に設けられており、下面22Bからの突出する長さが変更可能に構成されている。そして、この脚部4の突出する長さが変更されることによって、設置されているプロジェクター1の傾きが変わり、投写される画像が上下方向において変更される。なお、この脚部4の構成については、後で詳細に説明する。
【0037】
固定脚部11、および水平調整脚部12は、下面22Bの後方側(−Y側)の両隅部に設けられている。このうち、固定脚部11は、下面22Bから所定の長さだけ突起している。
水平調整脚部12は、下面22Bからの突出長さが脚部4よりは少ない量で変更可能に構成されている。そして、水平調整脚部12は、突出長さが変えられることによって、設置されているプロジェクター1の傾きが変わり、投写される画像のX方向における傾きが調整される。
【0038】
〔脚部の構成〕
ここで、脚部4について、詳細に説明する。
図3は、脚部4の斜視図である。図4は、脚部4の分解斜視図である。
脚部4は、図3、図4に示すように、第1脚部本体41、第2脚部本体42、ベース部5、第1調整部6、第2調整部7、および調整保持部8を備えている。
【0039】
脚部4は、第1脚部本体41がロアーケース22の下面22B(図1(b)参照)からの突出長さを変更可能に形成され、第2脚部本体42が第1脚部本体41からの突出長さを変更可能に形成されている。そして、第1脚部本体41、第2脚部本体42は、第1調整部6、第2調整部7によってそれぞれ突出する長さが調整できるように構成されている。
【0040】
図5は、第1脚部本体41および第2脚部本体42を最も長く突出させた状態(最大状態)の脚部4の図であり、図5(a)は、前方から見た脚部4の正面図、図5(b)は、+X方向から見た脚部4の断面図である。
【0041】
第1脚部本体41は、図3〜図5に示すように、中心軸41Jを有して円筒状に形成され、外周面に螺旋状の凹部が形成された螺旋形状部411、および螺旋形状部411の下側に形成された一対の係止部412を有している。
【0042】
本実施形態の螺旋形状部411は、螺旋形状の凹部としてネジ溝が形成されており、第1調整部6の後述する第1レバー61が係合される。なお、螺旋形状の凹部は、ネジ溝に限らず、他の形状であってもよい。
【0043】
一対の係止部412は、中心軸41Jに対して対称に形成されており、両者が互いに離間して形成されている。一対の係止部412は、基端部の外径が螺旋形状部411の外径より大きく、先端部の外径が基端部の外径より小さく形成されている。そして、一対の係止部412は、互いが接近する方向の力によって撓むように形成されている。
【0044】
また、第1脚部本体41は、図5(b)に示すように、下端面側に平面視円形の開口部413を有して形成されており、この開口部413の上側は、開口部413の内径より大きな内径の中空部414が形成されている。
【0045】
第2脚部本体42は、図3〜図5に示すように、中心軸41Jを中心として、円柱形に形成され、外周面に螺旋状の凹部が形成された螺旋形状部421、係止部422、および設置部423を有している。第2脚部本体42は、螺旋形状部421、係止部422が第1脚部本体41に収納可能に形成され、第1脚部本体41の突出方向と同一方向に、第1脚部本体41に対して突出する長さが変更可能に形成されている。
【0046】
本実施形態の螺旋形状部421は、螺旋形状の凹部としてネジ溝が形成されており、第2調整部7の後述する第2レバー71が係合される。なお、螺旋形状の凹部は、ネジ溝に限らず、他の形状であってもよい。
【0047】
係止部422は、螺旋形状部421の上側に設けられており、外径が螺旋形状部421の外径より大きく形成されている。また、係止部422は、外径が開口部413の内径より大きく、中空部414の内径より小さく形成されている。つまり、第2脚部本体42は、第1脚部本体41に対して最も突出する際に、図5(b)に示すように、係止部422が第1脚部本体41の開口部413と中空部414との段差に係止され、第1脚部本体41から脱落しないように形成されている。
【0048】
設置部423は、螺旋形状部421の下側に設けられており、プロジェクター1が机上等の設置面TBに据え置かれた際に設置面TBに当接する。設置部423は、外形が螺旋形状部411より大きい円柱状に形成され、設置面TBに当接する先端は、曲面状に形成されている。
【0049】
ベース部5は、図3〜図5に示すように、外形が略直方体の箱状に形成されている。
ベース部5は、詳細な説明は省略するが2つの部材が組み合わされて構成されており、下面側が開口するように形成されている。
【0050】
ベース部5の上面5Tには、図4に示すように、中央部に第1脚部本体41が挿通される丸孔51が形成され、丸孔51の+X側および−X側には、調整保持部8の後述する一対の延出部82が挿通される矩形状のガイド孔52が形成されている。
【0051】
ベース部5の前面5Fには、X方向が長手方向となる矩形状の孔(レバー用孔53)が形成されている。
ベース部5には、図5(b)に示すように、後側の内面5bから+Y方向に突出する突起部(ガイド突起56)が形成されている。ガイド突起56は、第1レバー61の後端側の上側および下側をガイドするように形成されている。
【0052】
また、ベース部5の+X側の側面5R、および−X側の側面5Lには、図4に示すように、それぞれの面から突出する突起部54が設けられ、この突起部54には、中心軸41Jと同一方向に延びる軸を中心とする丸孔55が形成されている。
ベース部5は、この丸孔55にネジが挿通されてロアーケース22にネジ固定される。なお、ベース部5をロアーケース22と一体的に形成してもよい。
【0053】
第1調整部6は、図4に示すように、第1レバー61、およびコイルバネ62を備え、第1脚部本体41の突出する長さを調整可能に構成されている。
【0054】
第1レバー61は、図4に示すように、X−Y平面に沿う板状に形成され、前側を形成する操作部611、および操作部611の後側(−Y側)に設けられ、操作部611より+X方向および−X方向に飛び出すレバー本体部612を有している。レバー本体部612の中央部には、第1脚部本体41が挿通される挿通孔613が形成されている。そして、この挿通孔613の−Y側の内面には、第1脚部本体41の螺旋形状部411と係合可能な第1の係合部613Aが形成されている。
【0055】
また、レバー本体部612には、図5(b)に示すように、後側(−Y側)の端面から突出し、コイルバネ62の中央部に挿入される突起部614が形成されている。
第1レバー61は、操作部611がベース部5のレバー用孔53から露出し、ベース部5に収納される。
【0056】
コイルバネ62は、図5(b)に示すように、第1レバー61の突起部614に位置決めされてベース部5の内面5bと、レバー本体部612の後側の端面との間に配置され、第1レバー61を前方(+Y方向)に付勢する。
【0057】
第1レバー61は、コイルバネ62によって付勢され、第1の係合部613Aが第1脚部本体41の螺旋形状部411と係合する係合状態となる。そして、第1脚部本体41は、この係合状態で突出する長さが維持される。
【0058】
第2調整部7は、図4に示すように、第2レバー71、およびコイルバネ72を備え、第2脚部本体42の突出する長さを調整可能に構成されている。
【0059】
第2レバー71は、X−Y平面に沿う平面視矩形の板状に形成され、中央部には、第2脚部本体42の螺旋形状部421および係止部422が挿通される挿通孔711が形成されている。そして、この挿通孔711の−Y側の内面には、螺旋形状部421に係合可能な第2の係合部711Aが形成されている。第2レバー71は、後述する調整保持部8のレバー収納部811に収納される。
【0060】
コイルバネ72は、図5(b)に示すように、調整保持部8に配置され、第2レバー71を前方(+Y方向)に付勢する。
【0061】
第2レバー71は、コイルバネ72によって付勢され、第2の係合部711Aが第2脚部本体42の螺旋形状部421と係合する係合状態となる。そして、第2脚部本体42は、この係合状態で突出する長さが維持される。
【0062】
調整保持部8は、第2調整部7を保持し、第1脚部本体41が回転可能に支持される。
調整保持部8は、図4に示すように、直方体状の収納部81、および収納部81の+X側、−X側の端部からそれぞれ上方に延出する一対の延出部82を有している。
【0063】
収納部81は、前側が開口し、X−Y平面に沿う複数の板状の壁部によって形成されたレバー収納部811および係止部収納部812を有している。
レバー収納部811は、第2レバー71が収納される部位であり、図4に示すように、X方向における第2レバー71の両側の上下を案内する壁部8111を有し、第2レバー71が前後方向に移動可能に形成されている。
【0064】
係止部収納部812は、壁部8111の上方に順次形成された壁部8112,8113との間に設けられ、図5(a)に示すように、第1脚部本体41の係止部412が収納される。
壁部8112には、中心軸41Jを中心とする丸孔が設けられている。この丸孔は、第2脚部本体42の係止部422が挿通可能な大きさで、係止部412の先端部の外径より小さな内径に設定されている。
【0065】
壁部8113には、中心軸41Jを中心とする丸孔が設けられている。この丸孔は、第1脚部本体41の螺旋形状部411が挿通可能な大きさで、係止部412の基端部の外径より小さな内径に設定されている。第1脚部本体41は、一対の係止部412が接近するように撓められて壁部8113の丸孔に挿通され、壁部8113に対して係止部412の基端部が上方向において係止される。また、第1脚部本体41は、壁部8112によって、下方(−Z方向)の移動が規制されている。つまり、第1脚部本体41は、調整保持部8に対して回転可能に支持され、調整保持部8は、第1脚部本体41の突出する方向(Z方向)に第1脚部本体41と共に移動可能に構成されている。
【0066】
一対の延出部82は、中心軸41Jに対して対称に形成されており、Y−Z平面に沿う平坦面を有している。そして、一対の延出部82のそれぞれの先端部には、中心軸41Jから離間する方向に突出する突起部821が設けられている。
【0067】
調整保持部8は、一対の延出部82が互いに接近する方向に撓められてベース部5のガイド孔52に挿通される。そして、調整保持部8は、一対の延出部82がガイド孔52に案内され、前述したように、第1脚部本体41と共にZ方向に移動可能となる。
また、調整保持部8は、ベース部5に対して最も突出する際に、図5(a)に示すように、突起部821がベース部5の上面5Tに係止され、ベース部5から脱落しないように形成されている。
【0068】
〔脚部の動作〕
ここで、脚部4の動作について、説明する。
図6は、前方から見た脚部4の正面図である。具体的に、図6(a)は、第1脚部本体41および第2脚部本体42が最も短く突出した最小状態を示す図、図6(b)は、第1脚部本体41が最も長く突出し、第2脚部本体42が最も短く突出した中間状態を示す図、図6(c)は、第1脚部本体41および第2脚部本体42が最も長く突出した最大状態を示す図である。
【0069】
脚部4は、図6(a)に示すように、最小状態において、ベース部5の下方から設置部423が露出し、突出長さL1を有してロアーケース22の下面22Bから突出する。この最小状態において、第2調整部7(図5参照)は、ベース部5内に隠蔽され、第2レバー71(図5参照)が露出されない状態となっている。
【0070】
第2脚部本体42は、最小状態から設置部423が一方向に回転されると、突出長さが長くなるように移動し、他方向に回転されると、突出長さが短くなるように移動して突出長さが微調整される。そして、第2脚部本体42は、前述したように、係止部422が第1脚部本体41の開口部413と中空部414との段差に係止される(図5(b)参照)まで、突出長さが変更可能となっている。
【0071】
脚部4は、最小状態において操作部611が後方(−Y方向)に押圧されると、第1レバー61は、第1の係合部613A(図5(b)参照)が螺旋形状部411から離間し、第1脚部本体41との係合が解除された非係合状態に切り換わる。この非係合状態において、第1脚部本体41は、突出長さを一度に大きく変更することが可能となり、図6(b)に示すように、突起部821がベース部5の上面5Tに係止される位置まで突出長さが変更可能となっている。そして、脚部4は、中間状態において、突出長さL2を有してロアーケース22の下面22Bから突出する。
【0072】
また、第1脚部本体41は、操作部611への押圧が解除されると、係合状態となり、第2脚部本体42と同様に、回転される方向に応じて突出する長さが微調整される。第1脚部本体41が係止されている調整保持部8は、第1脚部本体41が回転された際にも、回転すること無く第1脚部本体41と共に移動する。また、第2脚部本体42は、第1脚部本体41の突出長さに係わらず、前述したように、回転される方向に応じて突出する長さが変更される。
【0073】
脚部4は、最小状態から、第1脚部本体41つまり調整保持部8が所定の位置まで移動されると、第2レバー71が露出する。そして、脚部4は、第2レバー71が後方(−Y方向)に押圧されると、第2レバー71は、第2の係合部711A(図4参照)が螺旋形状部421から離間し、第2脚部本体42との係合が解除された非係合状態に切り換わる。
【0074】
この非係合状態において、第2脚部本体42は、突出長さを一度に大きく変更することが可能となり、前述したように、係止部422が第1脚部本体41の開口部413と中空部414との段差に係止される位置まで突出長さが変更可能となっている。そして、脚部4は、図6(c)に示すように、最大状態において、突出長さL3を有してロアーケース22の下面22Bから突出する。
このように、脚部4は、第1脚部本体41および第2脚部本体42の突出長さが変更されるという2段階に亘る調整ができるように構成されている。
【0075】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)第1脚部本体41は外装筐体2から、第2脚部本体42は第1脚部本体41から、それぞれ突出する長さが調整可能に構成されている。これによって、外装筐体2における脚部4の突出方向の収納スペースを小さく形成しつつ、脚部4の外装筐体2からの突出する長さを大きく構成することが可能となる。よって、プロジェクター1は、小型化が図られつつ、設置される傾斜角が大きく変更されること、つまり投写される画像の高さの位置が広範囲に調整可能となる。
【0076】
(2)第2脚部本体42は、第1脚部本体41に収納されるので、外装筐体2における脚部4の突出する方向と交差する方向、つまりX方向やY方向の省スペース化、ひいてはプロジェクター1の小型化がさらに図れる。
【0077】
(3)第1脚部本体41が回転されて突出する長さが変更されると、つまり第1脚部本体41が突出方向に移動すると、調整保持部8は回転することなく、第1脚部本体41と共に突出する方向に移動する。よって、調整保持部8に保持されている第2調整部7も回転しないので、第2調整部7の構造の簡素化が可能になると共に、使用者は、第2レバー71を容易に観察し、第2脚部本体42の突出する長さを調整することができる。
【0078】
(4)第1脚部本体41および第2脚部本体42には、螺旋形状部411,421が形成され、脚部は、第1脚部本体41および第2脚部本体42がそれぞれ係合状態および非係合状態を有している。これによって、使用者は、係合状態において、突出する長さを微調整し、非係合状態において、突出する長さを一度に大きく変更することができる。よって、投写される画像を所望の位置に容易に移動することが可能となり利便性の向上が図れる。
【0079】
(5)脚部4は、最小状態において、第2調整部7がベース部5内に隠蔽されるので、外観上に露出する凹凸等が抑制され、デザイン性の向上が図れる。
【0080】
(変形例)
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態の脚部4は、第1脚部本体41および第2脚部本体42の双方が係合状態および非係合状態を有するように構成されているが、いずれか一方が係合状態および非係合状態を有し、他方が係合状態のみを有するように構成してもよい。
また、第1脚部本体41および第2脚部本体42の双方が係合状態のみを有するように構成してもよい。つまり、コイルバネ62,72を廃止して、第1レバー61および第2レバー71が移動しないように構成してもよい。
【0081】
前記実施形態の第1脚部本体41および第2脚部本体42は、螺旋形状部411,421を有し、回転することによって突出長さが変更されるように構成されているが、いずれか一方、あるいは双方が回転することなくスライド移動によって突出長さが変更されるように構成してもよい。例えば、第1脚部本体41において、螺旋形状部411に替えて脚部4の突出方向に対して直交する方向に延出する複数の溝を形成し、この溝に係合状態と非係合状態とが可能に形成された第1調整部6を有するように構成してもよい。
【0082】
前記実施形態のプロジェクター1は、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブ351を用いているが、反射型液晶ライトバルブを利用したものであってもよい。
【0083】
光源311は放電型のランプに限らず、その他の方式のランプや発光ダイオード等の固体光源で構成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…プロジェクター、2…外装筐体、3…光学ユニット、4…脚部、6…第1調整部、7…第2調整部、8…調整保持部、11…固定脚部、12…水平調整脚部、21…アッパーケース、22…ロアーケース、31…光源装置、41…第1脚部本体、42…第2脚部本体、61…第1レバー、62,72…コイルバネ、71…第2レバー、311…光源、411,421…螺旋形状部、412,422…係止部、613A…第1の係合部、711A…第2の係合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光束を変調して投写する光学ユニット、前記光学ユニットを収納する外装筐体、および前記外装筐体から突出する脚部を備えたプロジェクターであって、
前記脚部は、
前記外装筐体に対して突出する長さが変更可能な第1脚部本体と、
前記第1脚部本体の突出方向と同一方向に、前記第1脚部本体に対して突出する長さが変更可能な第2脚部本体と、
前記第1脚部本体の突出する長さを調整する第1調整部と、
前記第2脚部本体の突出する長さを調整する第2調整部と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記第2脚部本体は、前記第1脚部本体に収納可能に形成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記第1脚部本体は、回転することで突出する長さが変更され、
前記脚部は、前記第1脚部本体が回転可能に支持され、前記第2調整部を保持する調整保持部をさらに備え、
前記調整保持部は、前記第1脚部本体の突出する方向に前記第1脚部本体と共に移動可能に構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記第1脚部本体および前記第2脚部本体の少なくともいずれか一方には、外周面に螺旋状の凹部が形成された螺旋形状部を有し、
前記第1調整部および前記第2調整部の少なくともいずれか一方には、前記螺旋形状部に係合する係合状態と、係合が解除された非係合状態とが切り換え可能な係合部を備えていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−155171(P2012−155171A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14859(P2011−14859)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】