説明

プローブのアライメント調整方法および形状測定機

【課題】作業者の熟練度に左右されることなく、プローブの角度を能率的かつ高精度に調整することができるプローブのアライメント調整方法および形状測定機を提供。
【解決手段】軸部の先端に接触部を有するプローブと被測定物とを相対移動させるとともに、その相対移動方向に対して直交しかつ軸部と交差する方向からプローブの移動軌跡画像を撮像する工程ST2と、撮像されたプローブの移動軌跡画像から相対移動方向を示す基準直線L1および軸部の傾きを示すプローブ軸線L2を抽出する工程ST3と、抽出された基準直線L1に対するプローブ軸線L2の傾きを演算して求める工程ST4と、求められたプローブ軸線L2の傾きに基づいてプローブの傾きを調整する工程ST6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブのアライメント調整方法および形状測定機に関する。例えば、ねじ穴や深穴などの穴の周面形状や円筒度を測定するプローブの傾きを調整するプローブのアライメント調整方法および形状測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
軸部の先端に接触部を有するプローブと被測定物とを相対移動させながら、接触部を被測定物の測定部位に接触させ、接触部が被測定物に接触したときの座標値から被測定物の形状を測定する形状測定機が知られている。
このような形状測定機によって、ねじ穴や深穴などの穴の周面形状や円筒度を測定する場合、図11に示すように、穴31の軸芯に対してプローブ8の軸部8Bが傾いていると、プローブ8を穴31の内部に挿入したとき、プローブ8の軸部8Bが穴31の周壁と干渉するおそれがある。
【0003】
そこで、このような問題を解決することを目的として、特許文献1のアライメント調整方法が提案されている。
このアライメント調整方法は、プローブの角度を調整可能な姿勢調整機構と、プローブを移動させるスライダに設けられ基準となる軸線と対応して形成されたエッジ面を有するターゲットと、このターゲットのエッジ面と対比可能な対比基準線が表示されたレチクルと、このレチクルが回動可能に設けられるとともにエッジ面が観察可能な顕微鏡とを備え、次のような操作を行う。
【0004】
まず、図12(A)に示すように、所定位置におかれたターゲット41のエッジ面42に対してレチクル43の対比基準線44が一致するようにレチクル43を回動させる。こののち、図12(B)に示すように、プローブ8に対してレチクル43の対比基準線44を対比させ、プローブ8の角度がレチクル43の対比基準線44と一致するように、姿勢調整機構により調整する。
【0005】
【特許文献1】特許第3887188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、ターゲット41のエッジ面42に対してレチクル43の対比基準線44を一致させる作業、および、プローブ8に対してレチクル43の対比基準線44を一致させる作業を目視で確認しながら行っているため、プローブのアライメント調整時間やアライメント調整精度が、作業者の熟練度に大きく左右される。
【0007】
本発明の目的は、作業者の熟練度に左右されることなく、プローブの角度を能率的かつ高精度に調整することができるプローブのアライメント調整方法および形状測定機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプローブのアライメント調整方法は、軸部の先端に接触部を有するプローブと被測定物とを相対移動させながら、前記接触部を被測定物の測定部位に接触させ、前記接触部が被測定物に接触したときの座標値から被測定物の形状を測定する形状測定機において、前記プローブの角度を調整するプローブのアライメント調整方法であって、前記プローブと前記被測定物とを相対移動させるとともに、その相対移動方向に対して直交しかつ前記プローブの軸部に対して交差する方向から前記プローブの移動軌跡画像を撮像する移動軌跡画像撮像工程と、この移動軌跡画像撮像工程によって撮像されたプローブの移動軌跡画像から前記相対移動方向を示す基準直線および前記プローブの軸部の傾きを示すプローブ軸線を抽出する直線抽出工程と、この直線抽出工程によって抽出された前記基準直線に対する前記プローブ軸線の傾きを演算して求める演算処理工程と、この演算処理工程によって求められた前記基準直線に対する前記プローブ軸線の傾きに基づいて、前記プローブの傾きを調整するプローブ角度調整工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、プローブと被測定物とを相対移動させるとともに、その相対移動方向に対して直交しかつ前記プローブの軸部に対して交差する方向からプローブの移動軌跡画像を撮像する。すると、撮像されたプローブの移動軌跡画像には、相対移動方向を示す基準直線およびプローブの軸部の傾きを示すプローブ軸線が現れているから、このプローブの移動軌跡画像から相対移動方向を示す基準直線およびプローブの軸部の傾きを示すプローブ軸線を抽出したのち、抽出した基準直線に対するプローブ軸線の傾きを演算して出力する。この出力された基準直線に対するプローブ軸線の傾きに基づいて、プローブの傾きを調整する。
従って、基準直線に対するプローブ軸線の傾きに基づいて、プローブの傾きを調整すればよいから、作業者の熟練度に左右されることなく、プローブの角度を能率的かつ高精度に調整することができる。
【0010】
本発明のプローブのアライメント調整方法において、前記直線抽出工程では、前記プローブの移動軌跡画像のうち、前記接触部の移動軌跡画像から前記基準直線を抽出するとともに、前記軸部の移動軌跡画像から前記プローブ軸線を抽出する、ことが好ましい。
このような構成によれば、接触部の移動軌跡画像は、プローブと被測定物との相対移動方向に沿って現れるから、この接触部の移動軌跡画像から基準直線を抽出する。また、軸部が相対移動方向に対して傾いていると、軸部の移動軌跡画像が平行四辺形として現れるから、その平行四辺形の斜辺からプローブ軸線を抽出する。従って、調整の基準となる基準直線と、調整対象となるプローブ軸線とを簡易に抽出できる。
【0011】
本発明の形状測定機は、軸部の先端に接触部を有するプローブと被測定物とを相対移動させながら、前記接触部を被測定物の測定部位に接触させ、前記接触部が被測定物に接触したときの座標値から被測定物の形状を測定する形状測定機であって、前記プローブの角度を調整可能な姿勢調整機構と、前記プローブと前記被測定物との相対移動方向に対して直交しかつ前記プローブの軸部に対して交差する方向から前記プローブの移動軌跡画像を撮像する撮像手段と、この撮像手段によって撮像されたプローブの移動軌跡画像から、前記相対移動方向を示す基準直線および前記プローブの軸部の傾きを示すプローブ軸線を抽出する直線抽出手段と、この直線抽出手段によって抽出された前記基準直線に対する前記プローブ軸線の傾きを演算して出力する演算処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、プローブと被測定物とを相対移動させると、撮像手段によって、その相対移動方向に対して直交しかつプローブの軸部に対して交差する方向からプローブの移動軌跡画像が撮像される。すると、この撮像されたプローブの移動軌跡画像には、相対移動方向を示す基準直線およびプローブの軸部の傾きを示すプローブ軸線が現れているから、直線抽出手段によって、これらが抽出された後、演算処理手段によって、抽出された基準直線に対するプローブ軸線の傾きが演算されて出力される。
従って、作業者は、出力されたプローブ軸線の傾きに基づいて、姿勢調整機構を調整するだけでよいから、作業者への負担を軽減できる。もとより、作業者の熟練度に左右されることなく、プローブの角度を能率的かつ高精度に調整することができる。
【0013】
本発明の形状測定機において、前記直線抽出手段は、前記プローブの移動軌跡画像のうち、前記接触部の移動軌跡画像から基準直線を抽出するとともに、前記軸部の移動軌跡画像から前記プローブ軸線を抽出する、ことが好ましい。
このような構成によれば、演算処理手段によって、接触部の移動軌跡画像からから基準直線が、また、軸部の移動軌跡画像からプローブ軸線が自動的に抽出されるから、作業者に負担を掛けることなく、調整の基準となる基準直線と、調整対象となるプローブ軸線とを簡易かつ確実に抽出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<測定機本体の説明(図1〜図2参照)>
図1に、本実施形態に係る形状測定機を示す。
本実施形態に係る形状測定機は、基台1と、被測定物を載置し前後方向(Y軸方向)へ移動可能に設けられたテーブル2と、このテーブル2を跨いで基台1の両側に設けられた門形フレーム3と、この門形フレーム3のクロスレール4に左右方向(X軸方向)へ移動可能に設けられたXスライダ5と、このXスライダ5に上下方向(Z軸方向)へ昇降可能に設けられたZスライダ6と、このZスライダ6の下端に姿勢調整機構10を介して取り付けられたプローブ8と、このプローブ8を撮影可能な位置に配置された撮像手段としてのCCDカメラ9とを含んで構成されている。
【0015】
プローブ8は、図2に示すように、プローブ本体8Aと、このプローブ本体8Aに対して傾斜可能かつ基の姿勢に復帰可能に設けられた軸部8Bと、この軸部8Bの先端に球状に形成された接触部8Cとを有し、この接触部8Cが被測定物に当接して軸部8Bが一定量傾いた際に接触信号を出力するように構成されている。
【0016】
姿勢調整機構10は、プローブ8の姿勢(角度)を調整するもので、図2に示すように、Zスライダ6の下端に設けられX軸と平行な軸を中心にプローブ8を傾斜させる第1ゴニオステージ11と、この第1ゴニオステージ11の下端に設けられY軸と平行な軸を中心にプローブ8を傾斜させる第2ゴニオステージ12とから構成されている。なお、これら第1、第2ゴニオステージ11,12は、テーブルの揺動機構として広く用いられている公知な機構で、例えば、固定側部材11A,12Aと、この固定側部材11A,12Aに対して円弧状に揺動運動を行う傾斜側部材11B,12Bと、この傾斜側部材11B、12Bを円弧状の揺動運動させる操作つまみ11C,12Cとから構成されている。
【0017】
<制御システムの説明(図3参照)>
図3に、制御システムを示す。
制御装置21には、入力装置22、表示装置23、CCDカメラ9、メモリ24、X軸駆動機構25X、Y軸駆動機構25Y、Z軸駆動機構25Z、X軸変位センサ26X、Y軸変位センサ26Y、Z軸変位センサ26Z、姿勢調整機構10およびプローブ8がそれぞれ接続されている。
【0018】
X軸駆動機構25X、Y軸駆動機構25YおよびZ軸駆動機構25Zは、Xスライダ5、テーブル2、Zスライダ6をそれぞれの軸方向へ移動させるもので、例えば、ボールねじ軸と、このボールねじ軸に螺合されたナット部材とを有する送りねじ機構によって構成されている。ここでは、これらのX軸駆動機構25X、Y軸駆動機構25YおよびZ軸駆動機構25Zによって、プローブ8とテーブル2とを3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)へ相対移動させる相対移動機構が構成されている。
X軸変位センサ26X、Y軸変位センサ26YおよびZ軸変位センサ26Zは、Xスライダ5、テーブル2、Zスライダ6の変位量を検出するもので、例えば、スケールとこのスケールの情報を読み取る検出器とから構成されている。
【0019】
制御装置21は、プローブ8とテーブル2とを相対移動させながら、プローブ8の接触部8Cを被測定物の測定部位に接触させ、接触部8Cが被測定物に接触したときの座標値(X軸変位センサ26X、Y軸変位センサ26YおよびZ軸変位センサ26Zからの検出値)から被測定物の形状を測定する。
また、制御装置21は、測定前において、CCDカメラ9によって撮像されたプローブ8の移動軌跡画像から、相対移動方向を示す基準直線およびプローブ8の軸部8Bの傾きを示すプローブ軸線を抽出する直線抽出手段と、この直線抽出手段によって抽出された基準直線に対するプローブ軸線の傾きを演算して出力する演算処理手段を構成している。
【0020】
<プローブの調整方法の説明(図4〜図8参照)>
プローブ8の姿勢を調整するには、図4に示すフローチャートに従って行う。
ステップ(以下、STと略す)1において、調整したい平面に対するプローブ8の傾きが撮像できるようにCCDカメラ9をセッティングする。例えば、プローブ8の軸部8BをZ軸に一致させる場合、図5に示すように、調整したいZ−X平面(Z−X)に対して、CCDカメラ9をY軸方向へ向けてセッティングする。また、調整したいZ−Y平面(Z−Y)に対して、CCDカメラ9をX軸方向へ向けてセッティングする。つまり、プローブ8の移動方向に対して直交しかつプローブ8の軸部8Bに対して交差(略直交)する方向からプローブ8に向けてCCDカメラ9をセッティングする。
【0021】
ST2において、プローブ8を調整したい軸方向、つまり、Z軸駆動機構25Zの駆動によりプローブ8をZ軸方向(+あるいは−方向)へ移動させながら、その移動方向に対して直交しかつプローブ8の軸部8Bに対して交差(略直交)する方向から、CCDカメラ9でプローブの移動軌跡画像を撮像する(移動軌跡画像撮像工程)。ここでは、CCDカメラ9でバルブ撮影(長時間露光)して、プローブ8の移動軌跡画像を撮像する。
例えば、Z−X平面(Z−X)からプローブ8を見たとき、プローブ8が図6(A)に示すように傾いていると、プローブ8をZ軸方向へ移動させると、CCDカメラ9で撮像されたプローブの移動軌跡画像は図6(B)に示すようになる。
【0022】
ST3において、移動軌跡画像撮像工程によって撮像されたプローブ8の移動軌跡画像から、相対移動方向を示す基準直線L1およびプローブ8の軸部8Bの傾きを示すプローブ軸線L2を抽出する(直線抽出工程)。
CCDカメラ9で撮像された移動軌跡画像には、接触部8Cが移動する接触部移動軌跡画像と、軸部8Bが移動する軸部移動軌跡画像が含まれている。このうち、図7(A)に示すように、接触部8Cが移動する接触部移動軌跡画像GSの輪郭線のうち、Z軸方向と平行な輪郭線GS1は調整したい軸方向を表しているから、Z軸方向と平行な輪郭線GS1の2点の座標を求め、この2点間を結ぶ直線を求めることにより、基準直線L1を抽出する。また、図7(B)に示すように、軸部8Bが移動する軸部移動軌跡画像GJのうち、傾斜輪郭線GJ2は軸部8Bの傾きを表しているから、傾斜輪郭線GJ2の2点の座標を求め、この2点間を結ぶ直線を求めることにより、プローブ軸線L2を抽出する。
【0023】
ST4において、直線抽出工程によって抽出された基準直線L1に対するプローブ軸線L2の傾きを演算して出力する(演算処理工程)。
つまり、抽出した基準直線L1に対するプローブ軸線L2の傾きを求め、これを表示装置23に表示する。
【0024】
ST5において、求めた傾きが予め設定した規定値内に入っているかを判断する。ST5において、傾きが予め設定した規定値内でなければ、ST6へ進み、また、傾きが規定値内であれば、ST7へ進む。
【0025】
ST6において、傾きに対応する調整量分だけ姿勢調整機構10を作動させ、プローブ8の傾きを調整する(プローブ角度調整工程)。つまり、ゴニオステージ11,12を調整して、プローブ8の姿勢(角度)を調整する。こののち、ST2へ戻り、ST5において、求めた傾きが予め設定した規定値内に入るまで、ST2〜ST6の処理を繰り返す。
例えば、プローブ8の傾きが調整されると、図8に示すように、基準直線L1とプローブ軸線L2とが平行になる。
【0026】
ST7において、他に調整したい平面があるかを判断し、他に調整したい平面があれば、ST1へ戻る。例えば、図5に示すように、Z−X平面について調整したのち、Z−Y平面について調整したい場合、CCDカメラ9をX軸方向へ向けてセッティングしたのち、ST2以降の処理を行う。また、他に調整したい平面がなければ、終了する。
【0027】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、プローブ8と被測定物とを相対移動させるとともに、CCDカメラ9によって、その相対移動方向に対して直交しかつプローブ8の軸部8Bと交差する方向からプローブ8の移動軌跡画像を撮像する。次に、この撮像したプローブ8の移動軌跡画像から相対移動方向を示す基準直線L1およびプローブ8の軸部8Bの傾きを示すプローブ軸線L2を抽出したのち、抽出した基準直線L1に対するプローブ軸線L2の傾きを演算して求める。最後に、この傾きに基づいて、姿勢調整機構10を調整して、プローブ8の傾きを調整する。従って、基準直線L1に対するプローブ軸線L2の傾きに基づいて、プローブ8の傾きを調整すればよいから、作業者の熟練度に左右されることなく、プローブ8の角度を能率的かつ高精度に調整することができる。
【0028】
<変形例>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、軸部8Bの先端に球状の接触部8Cを有するプローブ8を用いた例について説明したが、これに限られない。
例えば、軸部8Bの先端に針状に尖った接触部8Cを形成したプローブ8でも、図9に示すような移動軌跡画像が得られる。また、軸部8Bの先端に、軸部8Bに対して直角に曲がりかつ先端が球状の接触部8Cを持つプローブ8でも、図10に示すような移動軌跡画像が得られるから、前記実施形態と同様にして、基準直線L1およびプローブ軸線L2を抽出することができる。
【0029】
前記実施形態では、プローブ8の軸部8BをZ軸に一致させる例について説明したが、プローブ8の軸部8BをZ軸に対して所定角度傾けた姿勢に調整することもできる。
前記実施形態では、プローブ8の軸部8BがZ軸方向と略平行な姿勢であったが、これに限らず、軸部8BがX軸方向あるいはY軸方向と略平行な姿勢のプローブ8にも適用できる。例えば、軸部8BがX軸方向と略平行な姿勢のプローブ8では、プローブ8をX軸方向へ移動させながら、プローブ8の移動方向に対して直交する方向(Z軸方向またはY軸方向)からCCDカメラ9でプローブ8の移動軌跡画像を撮像するようにすればよい。
【0030】
前記実施形態では、プローブ8は、プローブ本体8Aと、このプローブ本体8Aに対して傾斜可能かつ基の姿勢に復帰可能に設けられた軸部8Bと、この軸部8Bの先端に球状に形成された接触部8Cとを有し、この接触部8Cが被測定物に当接して軸部8Bが一定量傾いた際に接触信号を出力する、いわゆる、接点型のプローブを用いたが、これに限られない。例えば、プローブを振動させ、プローブが被測定物に接触したときの振動の変化から、プローブが被測定物に接触したことを検知する、いわゆる、振動式プローブであってもよい。
【0031】
前記実施形態では、姿勢調整機構10は、第1ゴニオステージ11と、第2ゴニオステージ12とを組み合わせた構成のものを用いたが、これに限られない。例えば、2つのチルト機構を組み合わせてプローブ8の姿勢(角度)を調整する構成でもよい。つまり、固定部材に傾斜部材の一端を回動可能に支持し、この傾斜部材の他端を調整ねじによって固定部材に対して接近離隔することによって傾斜部材を傾斜させるチルト機構を、2つ組み合わせてプローブ8の姿勢(角度)を調整する構成でもよい。要は、プローブ8の姿勢(角度)を調整できる構成であれば、どのような構成でもよい。
【0032】
前記実施形態では、テーブル2をY軸方向へ移動可能に、プローブ8をX軸方向およびZ軸方向へ移動可能に構成したが、これに限られない。例えば、テーブル2を固定とし、プローブ8をX軸、Y軸、Z軸方向へ移動可能に構成してもよい。要は、テーブル2とプローブ8とが少なくとも2軸方向へ相対移動できればよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、プローブを用いて、ねじ穴や深穴などの穴の周面形状や円筒度を測定する測定機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る形状測定機の一実施形態を示す斜視図。
【図2】同上実施形態の姿勢調整機構およびプローブを示す図。
【図3】同上実施形態の制御システムを示すブロック図。
【図4】同上実施形態において、プローブの調整動作を示すフローチャート。
【図5】同上実施形態において、CCDカメラのセッティング位置を示す図。
【図6】同上実施形態において、プローブが傾いた状態を示す画像。
【図7】同上実施形態において、プローブの移動軌跡画像から基準直線、プローブ軸線を抽出する際の図。
【図8】同上実施形態において、調整後の移動軌跡画像を示す図。
【図9】異なる形状のプローブを用いたときの移動軌跡画像を示す図。
【図10】更に異なる形状のプローブを用いたときの移動軌跡画像を示す図。
【図11】従来の課題を示す図。
【図12】従来のアライメント調整方法を示す図。
【符号の説明】
【0035】
2…テーブル、
5…Xスライダ、
6…Zスライダ、
8…プローブ
8A…プローブ本体、
8B…軸部、
8C…接触部、
9…CCDカメラ(撮像手段)、
10…姿勢調整機構、
21…制御装置(直線抽出手段、演算処理手段)、
25X…X軸駆動機構(相対移動機構)、
25Y…Y軸駆動機構(相対移動機構)、
25Z…Z軸駆動機構(相対移動機構)、
L1…基準直線、
L2…プローブ軸線、
GS…接触部移動軌跡画像、
GJ…軸部移動軌跡画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部の先端に接触部を有するプローブと被測定物とを相対移動させながら、前記接触部を被測定物の測定部位に接触させ、前記接触部が被測定物に接触したときの座標値から被測定物の形状を測定する形状測定機において、前記プローブの角度を調整するプローブのアライメント調整方法であって、
前記プローブと前記被測定物とを相対移動させるとともに、その相対移動方向に対して直交しかつ前記プローブの軸部に対して交差する方向から前記プローブの移動軌跡画像を撮像する移動軌跡画像撮像工程と、
この移動軌跡画像撮像工程によって撮像されたプローブの移動軌跡画像から前記相対移動方向を示す基準直線および前記プローブの軸部の傾きを示すプローブ軸線を抽出する直線抽出工程と、
この直線抽出工程によって抽出された前記基準直線に対する前記プローブ軸線の傾きを演算して求める演算処理工程と、
この演算処理工程によって求められた前記基準直線に対する前記プローブ軸線の傾きに基づいて、前記プローブの傾きを調整するプローブ角度調整工程と、
を備えることを特徴とするプローブのアライメント調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブのアライメント調整方法において、
前記直線抽出工程では、前記プローブの移動軌跡画像のうち、前記接触部の移動軌跡画像から前記基準直線を抽出するとともに、前記軸部の移動軌跡画像から前記プローブ軸線を抽出する、ことを特徴とするプローブのアライメント調整方法。
【請求項3】
軸部の先端に接触部を有するプローブと被測定物とを相対移動させながら、前記接触部を被測定物の測定部位に接触させ、前記接触部が被測定物に接触したときの座標値から被測定物の形状を測定する形状測定機であって、
前記プローブの角度を調整可能な姿勢調整機構と、
前記プローブと前記被測定物との相対移動方向に対して直交しかつ前記プローブの軸部に対してする交差する方向から前記プローブの移動軌跡画像を撮像する撮像手段と、
この撮像手段によって撮像されたプローブの移動軌跡画像から、前記相対移動方向を示す基準直線および前記プローブの軸部の傾きを示すプローブ軸線を抽出する直線抽出手段と、
この直線抽出手段によって抽出された前記基準直線に対する前記プローブ軸線の傾きを演算して出力する演算処理手段と、
を備えることを特徴とする形状測定機。
【請求項4】
請求項3に記載の形状測定機において、
前記直線抽出手段は、前記プローブの移動軌跡画像のうち、前記接触部の移動軌跡画像から前記基準直線を抽出するとともに、前記軸部の移動軌跡画像から前記プローブ軸線を抽出する、ことを特徴とする形状測定機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−164335(P2010−164335A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4826(P2009−4826)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】