説明

リチウムイオン二次電池

リチウムイオン電池は、正極活物質を含む正極を含む。該正極活物質は、コバルト酸リチウムおよびスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極混合物を含み、コバルト酸リチウムおよびマンガン酸リチウムは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウムが約0.95:0.05〜約0.55:0.45の重量比であり、コバルト酸リチウムの平均粒径対マンガン酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.35〜約1:1.4の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2009年2月24日に出願された米国特許仮出願第61/208,443号および2008年4月24日に出願された米国特許仮出願第61/125,285の恩典を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
リチウムイオン充電式電池などの充電式電池は、携帯電話、携帯用コンピューター、カムコーダー、デジタルカメラ、PDA等の電池電源携帯用電子デバイスの電源として広く使用されている。かかる携帯用電子デバイス用の典型的なリチウムイオン電池パックには並列および直列に配置された複数のセルが使用されている。例えば、リチウムイオン電池パックは、それぞれのブロックが並列に接続された1つ以上のセルを含む、直列に接続されたいくつかのブロックを含み得る。典型的に、それぞれのブロックは、ブロックの電圧レベルをモニターする電子制御装置を有する。理想的な配置では、電池パックに含まれるそれぞれのセルは同一である。しかしながら、セルが古くなりサイクル数が多くなった場合、セルは最初の理想的な状態から外れるようになり、均衡の取れていないセルパック(例えば、同一でない容量、インピーダンス、放電および充電速度)が生じる。セル間のこの不均衡は、充電式電池の通常の作動時に過充電または過放電を引き起こし、爆発などの安全性の問題(すなわち、急激なガスの放出および発火の可能性)を課すことがある。
【0003】
典型的に、リチウムイオン充電式電池には、リチウムイオン電池の正極の活性成分としてLiCoO2型材料が単独で使用されている。完全に充電されるLiCoO2型正極活物質を単独で使用するこのようなリチウムイオンセルについて、充電圧は通常4.20Vである。充電圧の低下に伴い、容量は低下し、このことはLiCoO2活物質の有用性の低下に相当する。一方で、充電圧の増加に伴い、セルはより安全でなくなる。一般に、安全性の問題のために、高い容量、例えば約3Ahよりも高い容量をLiCoO2型リチウムイオンセルに持たせることは困難である。充電圧の低下は安全性(sagfety)を最大限にするための1つの選択である。しかしながら、これによりセルの容量が低下し、セルのエネルギー密度が低下する。より高い容量を得るために、1つの電池パック内のセルの数を増やすことが、充電圧を増加するための別の代替法であり得る。しかしながら、上述のように、セル数を増やすことは、セル間の不均衡の可能性の増加をもたらし、通常の作動時に過充電または過放電を引き起こし得る。
【0004】
現在当業界において典型的に使用されている最も大きな主流のセルは、いわゆる「18650セル」である。このセルは、約18mmの外径および65mmの長さを有する。典型的に、18650セルにはLiCoO2が用いられており、1800mAh〜2400mAhの容量を有するが、現在では約2600mAhの高い容量を有するセルが使用されている。LiCoO2に関する安全性の問題のために、18650セルよりも大きなセルにLiCoO2を使用することは安全ではないと一般には考えられている。18650セルより大きな他のセル、例えば約26mmの外径および65mmの長さを有する「26650」セルが当該技術分野には存在する。典型的に、26650セルはLiCoO2を含まず、Wh/kgおよびWh/Lに関して、LiCoO2を使用する18650セルよりも不充分な性能特性を有する。
【0005】
従って、上述の課題を最小にするかまたは解消するリチウムイオン電池のための新規の正極活物質を開発する必要がある。特に、体積および/またはAh/セルにおいて、大きな電池、例えば従来のLiCoO2系電池(例えば、18650セル)よりも大きな電池の製造を可能にし得る新規の正極活物質を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、一般的に、(1)コバルト酸リチウムおよびスピネル型マンガン酸リチウムの混合物を含む正極活物質、(2)かかる正極活物質を有するリチウムイオン電池、(3)かかるリチウムイオン電池を作製する方法、(4)1つ以上のセルを含む電池パック、各セルがかかる正極活物質を含む、ならびに(5)かかる電池パックまたはリチウムイオン電池を含むシステムおよび携帯電子デバイスに関する。
【0007】
本発明において、該正極活物質は、コバルト酸リチウムおよびスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極混合物を含み、該コバルト酸リチウムおよびマンガン酸リチウムは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウムが約0.95:0.05〜約0.55:0.45の重量比であり、コバルト酸リチウムの平均粒径対マンガン酸リチウムの平均粒径の比は約1:0.35〜約1:1.4である。
【0008】
本発明は、携帯用コンピューター、携帯電話および携帯電動ツールなどの携帯電子デバイスに使用することができる。本発明はまた、ハイブリッド電気乗り物にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の柱状電池の模式図である。
【図2】図2Aは、図1の電池の上面図を示す。図2Bは、図1の柱状電池の蓋の側面図を示す。
【図3】図3は、本発明の円筒形電池の模式図を示す。
【図4】図4は、本発明の電池パック内に一緒に配置した場合、本発明の個々の電池が好ましくはどのように接続されるかを示す模式的回路である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
前述および他の主体、本発明の特徴および利点は、同様の参照記号が異なる図面を通して同じ部分を参照する添付の図面に示す以下の本発明の好ましい態様のより具体的な記載から明らかとなろう。図面は必ずしも共通の尺度ではなく、本発明の原理の例示を強調する。
【0011】
一態様において、本発明は、リチウムの可逆的な挿入および取り出しが可能なリチウムイオン電池の電極に使用され得る正極活物質混合物に関する。正極活物質は、コバルト酸リチウムおよびスピネル型マンガン酸リチウム(マンガン酸リチウムスピネル)を含む混合物を含む。一般的に、コバルト酸リチウムおよびマンガン酸リチウムスピネルは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウムスピネルが約0.95:0.05〜約0.55:0.45の重量比である。具体的な態様において、コバルト酸リチウムおよびマンガン酸リチウムスピネルは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウムスピネルが約0.95:0.05〜約0.65:0.35の重量比である。別の具体的な態様において、コバルト酸リチウムおよびマンガン酸リチウムスピネルは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウムスピネルが約0.95:0.05〜約0.7:0.3の重量比である。別の具体的な態様において、コバルト酸リチウムおよびマンガン酸リチウムスピネルは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウムスピネルが約0.85:0.15〜約0.75:0.25の重量比である。別の具体的な態様において、該混合物は、約80wt%のコバルト酸リチウムおよび約20wt%のマンガン酸リチウムスピネルを含む。
【0012】
典型的に、コバルト酸リチウムの平均粒径対マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径の比は、約1:0.35〜約1:1.4の範囲である。本発明において使用する場合、「平均粒径」は、典型的に走査型電子顕微鏡(SEM)検査視野中に見られる個々の粒子(通常数百の粒子を含む)の最大軸および最小軸を平均して測定される。次いで、それぞれの粒子の平均軸を、全視野について平均し、「平均粒径」を計算する。市販のソフトウェアパッケージ、例えばOlympus-SIS Platinumを使用して、測定および計算を実行し、平均粒径を得ることができる。
【0013】
具体的な態様において、コバルト酸リチウムの平均粒径対マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径の比は、約1:0.35〜約1:1.4の範囲である。別の具体的な態様において、コバルト酸リチウムの平均粒径対マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径の比は、約1:0.4〜約1:1.2の範囲である。
【0014】
さらに別の具体的な態様において、コバルト酸リチウムの平均粒径は、マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径よりも大きい。例えば、コバルト酸リチウムの平均粒径対マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径の比は、約1:0.5〜約1:0.9、約1:0.6〜約1:0.9、または約1:0.6〜約1:0.8の範囲(例えば、約1:0.7、約1:0.73、約1:0.75、約1:0.78、または約1:0.8)である。
【0015】
典型的に、コバルト酸リチウムの平均粒径は、約1ミクロン〜約20ミクロンの範囲である。具体的な態様において、コバルト酸リチウムの平均粒径は、約1ミクロン〜約10ミクロンの範囲である。別の具体的な態様において、コバルト酸リチウムの平均粒径は、約3ミクロン〜約8ミクロンの範囲である。さらに別の具体的な態様において、コバルト酸リチウムの平均粒径は、約4ミクロン〜約8ミクロンの範囲(例えば、約6ミクロン)である。
【0016】
典型的に、マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径は、約1ミクロン〜約20ミクロンの範囲である。具体的な態様において、マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径は、約1ミクロン〜約10ミクロンの範囲である。別の具体的な態様において、マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径は、約3ミクロン〜約8ミクロンの範囲である。さらに別の具体的な態様において、マンガン酸リチウムスピネルの平均粒径は、約3ミクロン〜約6ミクロンの範囲(例えば、約4ミクロン)である。
【0017】
本発明に使用できるコバルト酸リチウムの適切な例としては、LiおよびCo原子の少なくとも1つのモディファイア(modifier)で任意に変更(modify)されるLiCoO2が挙げられる。Liモディファイアの例としては、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびナトリウム(Na)が挙げられる。Coモディファイアの例としては、Liのモディファイアおよびアルミニウム(Al)、マンガン(Mn)およびホウ素(B)が挙げられる。他の例としては、ニッケル(Ni)およびチタン(Ti)が挙げられる。
【0018】
本発明に使用できるコバルト酸リチウムの1つの型は、Lix6M'y6Co(1-z6)M''z6O2(式中、x6は0より大きく1.2未満であり;y6は0より大きく0.1未満であり、z6は0以上0.5未満であり;M’はマグネシウム(Mg)およびナトリウム(Na)の少なくとも1種類であり、M''はマンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびストロンチウムからなる群の少なくとも1種類である)の実験式で表され、これを本発明に使用できる。
【0019】
本発明に使用できるコバルト酸リチウムの別の型は、Li(1+x8)CoOz8(式中、x8は0以上0.2以下であり、z8は1.9以上2.1以下である)の実験式で表される。一般的な例は、ZrO2またはAl2(PO4)3で任意にコーティングされたLiCoO2である。
【0020】
本発明に使用されるコバルト酸リチウムは、充填および生産特性が改善されるために球状形態を有することが特に好ましい。好ましくは、コバルト酸リチウムの結晶構造は、独立して、R-3m型空間群(変形した(distorted)菱面体晶を含む菱面体晶)である。R-3m型空間群において、リチウムイオンは「3a」部位(x=0、y=0およびz=0)を占め、遷移金属イオン(すなわちコバルト酸リチウム中のCo)は「3b」部位(x=0、y=0、z=0.5)を占める。酸素は「6a」部位(x=0、y=0、z=z0、式中z0は金属イオンのモディファイア(1つまたは複数)を含む、金属イオンの性質によって変化する)に配置される。
【0021】
本発明に使用できるマンガン酸リチウムスピネル化合物は、LiMn2O4などのマンガン主成分を有する。マンガン酸スピネル化合物は、典型的に低比容量(例えば、約120〜130mAh/gの範囲)を有するが、それらは一般に電極に作製されると高い電力送達を有し、より高温での化学反応性の点から典型的に安全である。マンガン酸スピネル化合物の別の利点は、それらの比較的低いコストである。
【0022】
本発明に使用できるマンガン酸リチウムスピネル化合物の1つの型は、Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1(式中、A'はMg、Al、Co、NiおよびCrの1つ以上であり;x1およびx2はそれぞれ独立して0.01以上0.3以下であり;y1およびy2はそれぞれ独立して0.0以上0.3以下であり;z1は3.9以上4.1以下である)の実験式で表される。好ましくは、A'としては、Al3+、Co3+、Ni3+およびCr3+などのM3+、より好ましくはAl3+が挙げられる。Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1のマンガン酸リチウムスピネル化合物は、LiMn2O4のマンガン酸リチウムスピネル化合物と比較して高いサイクル能力(cyclability)および電力を有し得る。
【0023】
本発明に使用できるマンガン酸リチウムスピネル化合物の別の型は、Li(1+x1)Mn2Oz1(式中、x1は0以上0.3以下であり、z1は3.9以上4.2以下である)の実験式で表される。具体的な態様において、x1は0.01以上0.3以下である。別の具体的な態様において、x1は0.01以上0.2以下である。さらに別の具体的な態様において、x1は0.05以上0.15以下である。
【0024】
本発明に使用できるマンガン酸リチウムスピネル化合物の具体例は、Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1(式中、y1およびy2はそれぞれ独立して0.0より大きく0.3以下であり、他の数値はLi(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1について上述されたものと同じである)の実験式で表される。本発明において使用され得るマンガン酸リチウムスピネル化合物の他の具体例としては、LiMn1.9Al0.1O4、Li1+x1Mn2O4、ならびにAlおよびMgモディファイアを有する改変体が挙げられる。Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1型マンガン酸リチウムスピネル化合物の種々の他の例は、米国特許第4,366,215号、5,196,270号、および5,316,877号(その全教示は参照により本明細書に援用される)中に見られ得る。
【0025】
本発明の正極活物質は、コバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムスピネル化合物を好ましくは粉末形態で混合して調製することができる。
【0026】
本発明の別の局面は、上述の本発明の正極活物質を使用したリチウムイオン電池(またはセル)に関する。好ましくは、該電池は約2.2Ah/セルより大きい容量を有する。より好ましくは、該電池は、約3.0Ah/セルより大きい容量、例えば約3.3Ah/セル以上;約3.5Ah/セル以上;約3.8Ah/セル以上;約4.0Ah/セル以上;約4.2Ah/セル以上;約3.0Ah/セル〜約6Ah/セル;約3.3Ah/セル〜約6Ah/セル;約3.3Ah/セル〜約5Ah/セル;約3.5Ah/セル〜約5Ah/セル;約3.8Ah/セル〜約5Ah/セル;または約4.0Ah/セル〜約5Ah/セルの容量を有する。
【0027】
本発明の電池(またはセル)は円筒形(例えば、26650、18650または14500配置)または柱状(積層または巻かれる、例えば183665または103450配置)であり得る。好ましくは、それらは柱状であり、より好ましくは長円形の柱状である。本発明には全ての型の柱状セルケースを使用できるが、部分的に2つの下記の特性のために、長円形セルケースが好ましい。
【0028】
183665形状因子などの長円形の利用可能な内部容積は、同じ外部体積の積層を比較した場合、2つの18650セルの容積よりも大きい。電池パック中に集合させた場合、長円形のセルは、電池パックに占有されるより多くの空間を充分に利用する。これにより、現在当業界に見られるものと比較して、セル容量を無駄にすることなく、重要な性能特性を増大し得る内部セル構成要素を変化させる新規の設計が可能になる。利用可能容積が大きいので、比較的高いサイクル寿命および高い速度容量を有するより薄い電極を使用することを選択することができる。さらに、長円形の缶は高い柔軟性を有する。例えば、長円形の缶は、円筒形の缶と比較して胴部のより多くの点で曲がり、充電時にスタック圧が増加するにつれてより低い柔軟性が可能になる。高い柔軟性により、電極の機械的疲労が減少し、高いサイクル寿命が生じる。また、比較的低いスタック圧を利用することで、電池のセパレータの孔のつまりが改善され得る。
【0029】
柱状の電池と比較して、長円形の電池では、比較的高い安全性を可能にする特に望ましい特徴が利用可能である。長円形によりゼリーロールにぴったりとフィットし、電池に必要な電解質の量が少なくなる。比較的少ない量の電解質により、誤用状況下で使用される反応物質が少なくなり、安全性が向上する。また、電解質の使用量が少なくなるのでコストが低くなる。断面が長方形になる積層型の電極構造を有する柱状の缶の場合、不必要な電解質を要することなく本質的に完全な容積利用が可能になるが、この種類の缶の設計は困難であるので製造の観点からはコスト高になる。
【0030】
具体的な一態様において、本発明の電池(またはセル)についてのセルの構築(building)には、Ah/セルに関して、18650セル(例えば、円筒形セル)用のケースなどの当該産業において現在使用されているものよりも大きな形態(format)が使用される。具体的な一態様において、本発明の電池(またはセル)は、183665形状因子(例えば柱状セル)を有する。例えば、本発明の電池(またはセル)は、厚さ約17mmまたは約18mm、幅約44mmまたは約36mm、高さ約64mmまたは約65mmの長円形を有する。いくつかの具体的な態様において、電池(またはセル)は、厚さ約17mm、幅約44mmおよび高さ約64mm;厚さ約18mm、幅約36mmおよび高さ約65mm;または厚さ約18mm、幅約27mmおよび高さ約65mmを有する。あるいは、別の具体的な態様において、本発明の電池(またはセル)は、18650セルなどの1865形状因子を有する。
【0031】
図1には、長円形の切断面形状を有する本発明の電池10の本発明の具体的な一態様を示す。図2Aおよび2Bそれぞれに、図1の電池10の蓋の上面図および断面図を示す。図1に示すように、電池10は、第一の電極12および第二の電極14を含む。第一の電極12は、第一の電極12に近位の第一の構成要素18、および第一の電極12に遠位の第二の構成要素20を含むフィードスルーデバイス16に電気的に接続される。フィードスルーデバイス16は、さらに導電層26を含み得る。電極12および14はセルケース22および蓋24を含む電池缶21内部、すなわちセルケース22および蓋24で規定される内部空間27に配置される。電池10のセルケース22および蓋24は互いに電気的に連絡されている。
【0032】
本発明の電池10は、図1に示されるように任意に電流遮断デバイス(CID)28を含み得る。CID 28は、例えば約4kg/cm2〜約15kg/cm2(例えば、約4kg/cm2〜約10kg/cm2、約4kg/cm2〜約9kg/cm2、約5kg/cm2〜約9kg/cm2または約7kg/cm2〜約9kg/cm2)の範囲の内部ゲージ圧で活性化される。本明細書で使用する場合、CIDの「活性化」は、CIDを通過する電子デバイスの電流の流れが遮断されることを意味する。具体的な態様において、本発明のCIDは、(例えば、溶接、圧着、鋲留め等により)互いに電気的に連絡する第一の導電性構成要素および第二の導電性構成要素を含む。このCIDにおいて、CIDの「活性化」は、第一の導電性構成要素および第二の導電性構成要素間の電気的連絡が遮断されることを意味する。CIDの第一および第二の構成要素は、プレートまたはディスクなどの任意の適切な形態である。
【0033】
典型的に、CID 28は、(例えば、溶接、圧着、鋲留め等により)互いに電気的に連絡する第一の導電性構成要素30および第二の導電性構成要素32を含む。第二の導電性構成要素32は第二の電極14と電気的に連絡しており、第一の導電性構成要素30は電池缶21、例えば蓋24と電気的に接触している。電池缶21、すなわちセルケース22および蓋24は、電池10の第一の端子(例えば、導電層26)から電気的に絶縁されており、電池缶21の少なくとも一部は電池10の第二の端子の少なくとも構成要素であるか、または第二の端子と電気的に接続されている。具体的な一態様において、蓋24またはセルケース22の底部の少なくとも一部は電池10の第二の端子として機能し、導電層26は電池10の第一の端子として機能する。具体的な態様において、第一の導電性構成要素30は、錐状またはドーム状部分を含む。別の具体的な態様において、錐状またはドーム上部分の上部(またはキャップ)の少なくとも一部は、実質的に平坦である。さらに別の具体的な態様において、CID 28の第一および第二の導電性構成要素30および32は、実質的に平坦なキャップの一部で互いに直接接触している。さらに別の具体的な態様において、第一の導電性構成要素30は、2007年6月22日に出願された米国特許仮出願第60/936,825号(その全教示は参照により本明細書に援用される)に記載されるように、実質的に平坦なキャップを有するフラスタム(frustum)を含む。
【0034】
CID 28はさらに、第一の導電性構成要素30と第二の導電性構成要素32の一部の間に絶縁体34(例えば、絶縁層または絶縁ガスケット)を含み得る。
【0035】
具体的な一態様において、CID 28の第二の導電性構成要素32と絶縁体34の少なくとも一方は、電池10内のガスが第一の導電性構成要素30と流体で連絡する少なくとも1つの孔(例えば、図1の孔36または38)を含む。
【0036】
別の具体的な態様において、CID 28はさらに、第一の導電性構成要素30の上に配置され、第一の導電性構成要素30が電池の外気と流体により連絡する少なくとも1つの孔42が設けられた末端構成要素40を含む。末端構成要素40(例えば、プレートまたはディスク)は、図1に示されるように電池缶21の一部であり得、末端構成要素40は電池缶21の蓋24の一部である。あるいは、末端構成要素40は、電池缶21とは別個の構成要素であり得、電池缶21に、例えば電池缶21の蓋24の上、下、または蓋24に配置され得る。
【0037】
本明細書で使用する場合、本発明の電池の「端子」は、外部電気回路が接続される、電池の一部または表面を意味する。
【0038】
本発明の電池は、典型的に、第一の電極と電気的に連絡する第一の端子および第二の電極と電気的に連絡する第二の端子を含む。第一および第二の電極はセルケース内に、例えば「ゼリーロール」の形態で含まれている。第一の端子は、電池の正電極と電気的に連絡する正端子、または電池の負電極と電気的に連絡する負端子のいずれかであり得、第二の端子についてはその逆である。一態様において、第一の端子は、電池の負電極と電気的に連絡する負端子であり、第二の端子は電池の正電極と電気的に連絡する正端子である。
【0039】
本明細書で使用する場合、句「電気的に接続している」または「電気的に連絡している」または「電気的に接触している」は、特定の部分が、電解質を介したLi+などのイオンの流れを含む電気化学的連絡とは対照的に、導電体を介した電気の流れにより互いに連絡していることを意味する。
【0040】
本明細書で使用する場合、句「電気化学的連絡」は、特定の部分間の、電解質媒体を介した連絡を意味し、Li+などのイオンの流れを含む。
【0041】
図3には、円筒形切断面形状を有する本発明の電池50の別の態様を示す。図3に示すように、電池50は、セルケース22および蓋24、第一の電極12および第二の電極14、ならびに任意にCID 28を含む電池缶21を含む。セルケース22、蓋24、第一の電極12、第二の電極14およびCID 28の具体的な特徴を含む特徴は、図1〜2Bの電池10について上述のとおりである。第一の電極12は、電池の第一の端子(例えば、導電性構成要素58)と電気的に連絡しており、第二の電極14は電池の第二の端子(例えば、蓋24)と電気的に連絡している。セルケース22および蓋24は、互いに電気的に接触している。第一の電極12のタブ(図3には示さず)は、(例えば、溶接、圧着、鋲留め等により)フィードスルーデバイス52の導電性の第一の構成要素54に電気的に接続されている。第二の電極14のタブ(図3には示さず)は、(例えば、溶接、圧着、鋲留め等により)CID 28の第二の導電性構成要素32に電気的に接続されている。フィードスルーデバイス52は、導電性である第一の導電性構成要素54、絶縁体56、および電池50の第一の端子であり得る第二の導電性構成要素58を含む。
【0042】
電池50において、電池缶21、すなわちセルケース22および蓋24は、電池50の第一の端子(例えば、導電性構成要素58)から電気的に絶縁されており、電池缶21の少なくとも一部は電池50の第二の端子の少なくとも構成要素であるかまたは第二の端子に電気的に接続されている。具体的な一態様において、蓋24またはセルケース22の底部の少なくとも一部は、電池50の第二の端子として機能し、導電性構成要素58は、電池50の第一の端子として機能する。
【0043】
図1〜3に、CID 28が第二の電極14と電気的に連絡するCIDアセンブリを示すが、CID 28などのCIDが第一の電極12と電気的に連絡しているCIDアセンブリを本発明に使用することもできる。
【0044】
図1〜3の電池10および50において、第一の電極12および第二の電極14は上述の負電極および正電極であり得るか、またはその逆である。
【0045】
本発明の電池(またはセル)の負電極は、リチウムが挿入されるかまたは取り出される任意の適切な材料を含み得る。かかる材料の例としては、炭素物質、例えば非グラファイト炭素、人工炭素、人工グラファイト、天然グラファイト、熱分解炭素、ピッチコークス、針状コークスや石油コークスなどのコークス、グラファイト、ガラス質炭素、またはフェノール樹脂、フラン樹脂もしくは同様物を炭化して得られる熱処理有機ポリマー化合物、炭素繊維ならびに活性炭が挙げられる。さらに、負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金およびそれらの合金または化合物が使用可能である。特に、リチウムと合金または化合物を形成し得る金属元素または半導体素子は、限定されないが、ケイ素またはスズなどの第IV族金属元素または半導体素子であり得る。比較的低電位で、リチウムが挿入されるか取り出される酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタンおよび酸化スズなどの酸化物ならびに窒素化物も同様に、負極活物質として使用可能である。特定の態様において、コバルトまたは鉄/ニッケルなどの遷移金属で任意にドープされた不定形スズが本発明において使用される。
【0046】
本発明の電池(またはセル)の正電極は、上述の本発明の正極活物質を含む。本明細書に記載される適切な正極物質は、それが取り込まれるリチウムイオン電池の製造の際に生じる実験式で特徴付けられることに注意されたい。その後のそれらの具体的な組成は、使用時に起こるその電気化学的反応(例えば、充電および放電)に従って変化することになることは理解されよう。
【0047】
いくつかの態様において、本発明の電池(またはセル)の正電極は、約2.6g/cm3〜約3.7g/cm3の範囲の充填密度を有する。具体的な一態様において、本発明の電池(またはセル)の正電極は、約3.0g/cm3〜約3.7g/cm3の範囲の充填密度を有する。別の具体的な態様において、本発明の電池(またはセル)の正電極は、約3.3g/cm3〜約3.6g/cm3の範囲の充填密度を有する。さらに別の具体的な態様において、本発明の電池(またはセル)の正電極は、約3.5g/cm3〜約3.6g/cm3の範囲の充填密を有する。上述の密度を有する正電極は、当該技術分野に公知の任意の適切な方法により作製することができる。例えば、正極活物質を他の成分、例えば導電剤(例えば、アセチレンブラック)、結合剤(例えば、PVDF)等と混合する。次いで該混合物を溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP))に分散して、スラリーを作製する。その後、このスラリーをアルミニウム電流コレクタホイルの両面に塗布して乾燥させる。次いで、乾燥させた電極をロールプレスによりプレスして(例えば、引き伸ばして(calendered))、所望の密度を有する圧縮正電極を得る。
【0048】
適切な非水性電解質の例としては、電解質塩を非水性溶媒に溶解して調製される非水性電解液、固形電解質(無機電解質または電解質塩を含むポリマー電解質)、および電解質をポリマー化合物等に混合または溶解して調製される固形またはゲル電解質が挙げられる。
【0049】
非水性電解液は、典型的に、塩を有機溶媒に溶解して調製される。有機溶媒としては、この型の電池に一般的に用いられている任意の適切な種類を挙げることができる。かかる有機溶媒の例としては、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、アセテート、ブチレート、プロピオネート等が挙げられる。炭酸プロピレンなどの環状炭酸塩、または炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルなどの鎖状炭酸塩を使用することが好ましい。これらの有機溶媒は、単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
また、電解質中に、VC(炭酸ビニル)、VEC(炭酸ビニルエチレン)、EA(酢酸エチレン)、TPP(リン酸トリフェニル)、ホスファゼン、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、2,2-ジフェニルプロパン(DP)、ホウ酸リチウムビス(オキサラート)(LiBoB)、硫酸エチレン(ES)および硫酸プロピレンなどの添加剤または安定化剤を存在させてもよい。構成、サイクル効率、安全性および電池寿命に関して電池に高い性能を付与し得るこれらの添加剤を、負極および正極の安定化剤、難燃剤またはガス放出剤として使用する。
【0051】
物質がリチウムイオン導電性を有する限りにおいては、固形電解質としては無機電解質、ポリマー電解質等を挙げることができる。無機電解質としては、例えば、窒素化リチウム、ヨウ化リチウム等を挙げることができる。ポリマー電解質は、電解質塩および電解質塩が溶解されたポリマー化合物から構成される。ポリマー電解質に使用されるポリマー化合物の例としては、ポリエチレンオキサイドおよび架橋ポリエチレンオキサイドなどのエーテル系ポリマー、ポリメタクリレートエステル系ポリマー、アクリレート系ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは単独で、または混合物の形態もしくは2種類以上のコポリマーの形態で使用し得る。
【0052】
上述の非水性電解液を吸収してポリマーがゲル化される限りにおいては、ゲル電解質のマトリクスは任意のポリマーであり得る。ゲル電解質に使用されるポリマーの例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)などのフルオロカーボンポリマー等が挙げられる。
【0053】
ゲル電解質に使用されるポリマーの例としては、ポリアクリロニトリルおよびポリアクリロニトリルのコポリマーも挙げられる。共重合に使用されるモノマー(ビニル系モノマー)の例としては、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、イタコン酸、水素化アクリル酸メチル、水素化アクリル酸エチル、アクリルアミド、塩化ビニル、フッ化ビニリデン、および塩化ビニリデンが挙げられる。ゲル電解質に使用されるポリマーの例としては、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマーゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー樹脂、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-プロピレンジエン-スチレンコポリマー樹脂、アクリロニトリル-塩化ビニルコポリマー樹脂、アクリロニトリル-メタクリル酸樹脂、およびアクリロニトリル-アクリル酸コポリマー樹脂がさらに挙げられる。
【0054】
ゲル電解質に使用されるポリマーの例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのコポリマー、および架橋ポリエチレンオキサイドなどのエーテル系ポリマーが挙げられる。共重合に使用されるモノマーの例としては、ポリプロピレンオキサイド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチルが挙げられる。
【0055】
特に、酸化-還元の安定性の観点から、ゲル電解質のマトリクスにはフルオロカーボンポリマーが好適に使用される。
【0056】
電解液に使用される電解質塩は、この種の電池に適切な任意の電解質塩であり得る。電解質塩の例としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiB(C2O4)2、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiCl、LiBr等が挙げられる。一般に、セパレータは電池の正極と負極を分離する。セパレータとしては、一般的にこの種の非水性電解質二次電池のセパレータを形成するために使用される任意のフィルム状物質、例えばポリプロピレン製、もしくはポリエチレン製の微小孔ポリマーフィルムまたは2つを重ね合わせた組み合わせを挙げることができる。また、固形電解質またはゲル電解質が電池の電解質として使用される場合、セパレータを設けることは必ずしも必要ではない。特定の場合においては、ガラス繊維製もしくはセルロース材料製の微小孔セパレータを使用することもできる。セパレータの厚さは、典型的には約9〜約25μmである。
【0057】
具体的な一態様において、例えば1M LiPF6およびそれぞれ0.5〜3wt.%のVC、LiBOB、PF、LiTFSIまたはBPなどの適切な添加剤を有するPC、EC、DMC、DEC溶媒を含む電解液を、真空下でらせん型に巻かれた「ゼリーロール」を有する電池缶21(図1および3参照)に充填する。
【0058】
具体的な一態様において、本発明の電池(またはセル)の正電極は、約94wt%の正極物質と、約3wt%の導電剤(例えば、アセチレンブラック)、および約3wt%の結合剤(例えば、PVDF)を混合して製造する。次いで、スラリーを調製するために、混合物を溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP))に分散する。その後このスラリーを、通常約20μmの厚さを有するアルミニウム電流コレクタホイルの両面に塗布し、約100〜150℃で乾燥させる。次いで、乾燥させた電極をロールプレスで引き伸ばし、圧縮正電極を得る。
【0059】
本発明の電池(またはセル)の別の具体的な態様において、負電極は、負極活物質として約93wt%のグラファイト、約3wt%の導電性炭素(例えば、アセチレンブラック)、および約4wt%の結合剤(例えば、PVDF)を混合して調製する。次いで、通常約10〜15μmの厚さを有する銅電流コレクタホイルを使用する以外は、正電極について上述されたものと同様の方法で、この混合物から負電極を調製する。
【0060】
本発明の電池(またはセル)のさらに別の具体的な態様において、正電極は、正極粉末を特定の割合で混合して製造する。次いで、約90wt%のこの混合物を、導電剤として約5wt%のアセチレンブラック、および結合剤として約5wt%のPVDFと混合する。スラリーを調製するために、該混合物を、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散する。次いで、このスラリーを、通常約20μmの厚さを有するアルミニウム電流コレクタホイルの両面に塗布し、約100〜150℃で乾燥させる。その後、乾燥させた電極をロールプレスで引き伸ばし、圧縮正電極を得る。正電極としてLiCoO2のみを使用する場合、通常、約94wt%のLiCoO2、約3%のアセチレンブラック、および約3%のPVDFを使用した混合物を使用する。この態様において、負電極は、負極活物質として約93Wt%のグラファイト、約3wt%のアセチレンブラック、および結合剤として約4wt%のPVDFを混合して調製することができる。スラリーを調製するために、負極の混合物も溶媒としてN-メチル-2-ピロリドンに分散する。負極の混合物スラリーを、通常約10μmの厚さを有するストリップ状銅負極電流コレクタホイルの両面に均一に塗布した。次いで、乾燥させた電極をロールプレスで引き伸ばし、高密度負電極を得る。
【0061】
負電極および正電極、ならびに、例えば微小孔を有するポリエチレンフィルム製のセパレータ(例えば、厚さ約25ミクロン)を一般的に積層して、らせん状に巻きらせん型電極素子を作製する。
【0062】
いくつかの態様において、1つ以上の正極導線を有するタブを正電極につなぎ、フィードスルーデバイス16に溶接する(図1および3参照)。ニッケル金属製の負極導線で、負電極を電池缶21の底部または蓋に接続する(図1および3参照)。
【0063】
図1〜3を再度参照すると、用語「フィードスルー」は、セルケース22および蓋24で規定された内部空間の電極12と、内部空間で規定されたものの外側の電池の構成要素を接続する任意の物質またはデバイスを含む。具体的な一態様において、フィードスルーデバイス16または52は、蓋24に設けられた通過孔を通って延びる。フィードスルーデバイス16または52はまた、屈折、ねじれおよび/または折りたたみなどの変形なく蓋24を通過し得、セル容量を増加し得る。当該技術分野に公知の任意の他の適切な手段を本発明に使用して、電極12と電池缶21の外部の電池の構成要素、例えば電池の端子を接続することができる。一般的に、フィードスルーデバイス16および52は、例えば絶縁ガスケット(図1〜2Bには示さず、図3の絶縁体56)により電池缶21、例えば蓋24から電気的に絶縁される。絶縁ガスケットは、ポリプロピレン、ポリビニルフルオリド(PVF)等の適切な絶縁材料で作製される。フィードスルーデバイス16の構成要素18、20および26ならびにフィードスルーデバイス52の構成要素54および58は、当該技術分野に公知の任意の適切な導電性材料、例えばニッケル製であり得る。
【0064】
図1および3を再度参照すると、具体的な態様において、第一の導電性構成要素30が第二の導電性構成要素32から隔離する場合、第一の導電性構成要素30中に破断は生じないので、電池10または50内部のガスは、第一の導電性構成要素30を通って外に漏れない。内圧が高く維持され、通気手段56の活性化のための所定値に達する場合、ガスは、1つ以上の通気手段56(例えば、セルケース22のセルの壁もしくは底部、または第一の導電性構成要素30)を通って電池10または50から排気され得る。いくつかの態様において、通気手段56の活性化のための所定のゲージ圧値(例えば、約10kg/cm2〜約20kg/cm2)は、CID 28の活性化のためのゲージ圧値(例えば、約5kg/cm2〜約10kg/cm2)よりも高い。この特徴は、正常に作動している隣接する電池(またはセル)を損傷し得る早期のガス漏れを防ぐことに役立つ。そのために、本発明の電池パック中の複数のセルの1つが損傷した場合、他の正常なセルは損傷しない。CID 28の活性化および通気手段56の活性化に適切なゲージ圧値または下位範囲は、選択された圧力値と下位範囲に重複が生じないように、規定のゲージ圧範囲から選択されることに注意されたい。好ましくは、CID 28の活性化のため、および通気手段56の活性化のためのゲージ圧の値または範囲は、少なくとも約2kg/cm2圧力差、より好ましくは少なくとも約4kg/cm2、さらにより好ましくは少なくとも約6kg/cm2、例えば約7kg/cm2異なる。
【0065】
CID 28の第一の導電性構成要素30、第二の導電性構成要素32および末端構成要素40は、電池の技術分野において公知の任意の適切な導電性材料から作製することができる。適切な材料の例としては、アルミニウム、ニッケルおよび銅、好ましくはアルミニウムが挙げられる。具体的な一態様において、電池缶21(例えば、セルケース22および蓋24)、第一の導電性構成要素30および第二の導電性構成要素32は、実質的に同じ金属で作製される。本明細書で使用する場合、用語「実質的に同じ金属」は、所定の電圧、例えば電池の作動電圧で、実質的に同じ化学的および電気化学的安定性を有する金属を意味する。より好ましくは、電池缶21、第一の導電性構成要素30および第二の導電性構成要素32は同じ金属、例えばアルミニウム(例えば、アルミニウム3003シリーズ、例えばアルミニウム3003 H-14シリーズおよび/またはアルミニウム3003 H-0シリーズ)で作製される。
【0066】
CID 28は当該技術分野、例えばWO 2008/002487および米国特許仮出願第60/936,825号(両方の全教示は参照により本明細書に援用される)で公知の任意の適切な方法で作製できる。CID 28の電池缶21への接着は、当該技術分野に公知の任意の適切な手段によりなされ得る。具体的な態様において、CID 28は溶接により、より好ましくは第一の導電性構成要素30を末端構成要素40(または蓋24自体)に溶接して電池缶21に接着する。
【0067】
セルケース22は、本発明のリチウムイオン電池などの電池の所定の電圧で、実質的に、電気的かつ化学的に安定な、任意の適切な導電性材料で作製することができる。セルケース22の適切な材料の例としては、金属材料、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄、ニッケルめっき鉄、ステンレス鋼およびそれらの組合せが挙げられる。具体的な態様において、セルケース22は、アルミニウム製であるかまたはアルミニウムを含む。
【0068】
蓋24の適切な材料の例は、セルケース22について列挙されたものと同じである。具体的な態様において、蓋24は、セルケース22と同じ材料で作製される。別の具体的な態様において、セルケース22と蓋24は両方、アルミニウム製であるかまたはアルミニウムを含む。
【0069】
蓋24は、当該技術分野に公知の任意の適切な方法(例えば、溶接、圧着等)により、セルケース22を密封し得る。具体的な態様において、蓋24とセルケース22は互いに溶接される。別の具体的な態様において、蓋24とセルケース22と蓋24とセルケース22を接続する溶接間のゲージ圧が約20kg/cm2より高くなると破断する。
【0070】
図1および3を再度参照すると、いくつかの好ましい態様において、セルケース22は、必要な場合に(例えば、内部ゲージ圧が約10kg/cm2〜約20kg/cm2、例えば約12kg/cm2〜約20kg/cm2または約10kg/cm2〜約18kg/cm2の範囲になる場合)、内部気体種を通気するための手段として、少なくとも1つの通気手段56を含む。通常の電池作動条件下で通気手段が密封をもたらすのであれば、任意の適切な種類の通気手段を使用できることが理解されよう。通気手段の種々の適切な例は、その全教示が参照により本明細書に援用される、2005年9月16日に出願された米国特許仮出願第60/717,898号に記載される。
【0071】
通気手段の具体例としては、通気切れ目(score)が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「切れ目」とは、セルの圧力および任意の内部セル構成要素が所定内圧で放出されるように設計されるセルケース104などのセルケースの(1つ以上の)区画の部分的な切れ目を意味する。好ましくは、通気手段112は通気切れ目であり、より好ましくはユーザー/または隣接するセルから離れて指向的(directionally)に設置される通気切れ目である。1つより多くの通気切れ目を本発明に用いることができる。いくつかの態様において、パターン通気切れ目を用いることができる。通気切れ目は、セルケースの形状の作製時に、セルケース物質の主な伸長(または延伸)方向に対して平行、垂直、対角であり得る。深さ、形状および長さ(大きさ)などの通気切れ目の特性も考慮される。
【0072】
本発明の電池は、第一の端子または第二の端子のいずれかと電気的に連絡する、好ましくは第一の端子と電気的に連絡する正端子熱係数層(PTC)をさらに含み得る。適切なPTC物質は当該技術分野に公知のものである。一般的に、適切なPTC物質とは、設計閾値よりも大きな電流にさらされた場合に、温度の上昇に伴って数桁(例えば、104〜106以上)で導電性が減少する物質である。電流が適当な閾値よりも下がると、通常、PTC物質は実質的に初期電気抵抗に戻る。1つの適当な態様において、PTC物質は少量の多結晶質セラミックの半導体物質、または炭素粒状物が埋め込まれたプラスチックもしくはポリマーの切片を含む。PTC物質の温度が臨界点に達すると、半導体物質または炭素粒状物が埋め込まれたプラスチックもしくはポリマーが電流の障壁を形成し、電気抵抗の急激な増加が生じる。電気抵抗が急激に増加する温度は、当該技術分野に公知のようにPTC物質の組成を調整することで変化し得る。PTC物質の「実用温度」とは、PTCが最高電気抵抗〜最低電気抵抗のほぼ中間の電気抵抗を示す温度である。好ましくは、本発明で使用されるPTC層の実用温度は、約70℃〜約150℃である。
【0073】
具体的なPTC物質の例としては、少量のチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む多結晶セラミックおよび炭素粒状物が埋め込まれたポリオレフィンが挙げられる。2種類の導電性金属層の間に挟まれたPTC層を含む市販のPTC積層体の例としては、Raychem Co製のLTPおよびLR4シリーズが挙げられる。通常、PTC層は、約50μm〜約300μmの厚さを有する。
【0074】
好ましくは、PTC層は、電池10もしくは50のフタ24または底部の全表面積の少なくとも約25%または少なくとも約50%(例えば、約48%または約56%)の導電性表面を含む。PTC層の導電性表面の全表面積は、電池10もしくは50のフタ24または底の全表面積の少なくとも約56%であり得る。PTC層の導電性表面は電池10または50のフタ24の全表面積の100%までを占めることができる。あるいは、PTC層の導電性表面は電池10もしくは50の底部の全部または一部を占めることができる。
【0075】
PTC層は、電池缶の外部、例えば電池缶のフタ(例えば、図1および3のフタ24)の上に設置され得る。
【0076】
具体的な一態様において、PTC層は、第一の導電層と第二の導電層の間にあり、第二の導電層の少なくとも一部は第一の端子の少なくとも構成要素であるかまたは第一の端子と電気的に接続されている。別の具体的な態様において、第一の導電層は、フィードスルーデバイスと接続している。第一および第二の導電層に挟まれたかかるPTC層の適切な例は、その全教示が参照により本明細書に援用されるWO 2007/149102に記載される。
【0077】
いくつかの具体的な態様において、本発明の電池は、セルケース22およびフタ24を含む電池缶21、電池の第一または第二の電極のいずれかと電気的に連絡する上述のCID 28などの少なくとも1つのCID、ならびにセルケース22上の少なくとも1つの通気手段56を含む。上述のように、電池缶21は、電池の第一の電極と電気的に連絡している第一の端子から電気的に絶縁されている。電池缶21の少なくとも一部は、電池の第二の電極と電気的に連絡している第二の端子の少なくとも構成要素である。約20kg/cm2より高い内部ゲージ圧で溶接したフタがセルケース22から離れるようにフタ24をセルケース22上に溶接する。CIDは、好ましくは溶接により互いに電気的に連絡した第一の導電構成要素(例えば、第一の導電構成要素30)および第二の導電構成要素(例えば、第二の導電構成要素32)を含む。この電気的な連絡は、約4kg/cm2〜約10kg/cm2(例えば、約5kg/cm2〜約9kg/cm2または約7kg/cm2〜約9kg/cm2)の内部ゲージ圧で遮断される。例えば、第一および第二の導電構成要素を、所定のゲージ圧で溶接が破断するように、互いに溶接、例えばレーザー溶接する。少なくとも1つの通気手段56は、内部ゲージ圧が約10kg/cm2〜約20kg/cm2または約12kg/cm2〜約20kg/cm2の範囲になる場合に内部の気体種を通気するために形成される。上述のように、CID 28の作動に適切なゲージ圧値または下位範囲、および通気手段56の活性化のためのゲージ圧値または下位範囲は、選択された圧力値間または下位範囲間に重複がないように、所定のゲージ圧範囲から選択される。典型的に、CID 28の作動のためおよび通気手段56の活性化のためのゲージ圧の値または範囲は、少なくとも約2kg/cm2圧力差、より典型的には少なくとも約4kg/cm2、さらにより好ましくは少なくとも約6kg/cm2、例えば約7kg/cm2で異なる。また、溶接されたフタ24のセルケース22からの破断に適切なゲージ圧値または下位範囲および通気手段56の活性化のための該圧力値または下位範囲は、選択された圧力値間または下位範囲間で重複がないように所定のゲージ圧範囲から選択されることに注意されたい。
【0078】
一般的に、本発明の電池は充電式である。具体的な態様において、本発明の電池は充電式リチウムイオン電池である。
【0079】
特定の態様において、リチウムイオン電池などの本発明の電池は、通常作業条件下で、約2kg/cm2以下の内部ゲージ圧を有する。本発明のかかる電池について、電池缶の密封の前にまず正電極活物質が活性化され得る。
【0080】
図4は、個々のセルまたは電池(例えば、図1の電池10または図3の電池50)が電池パック中にどのように一緒に配置されるかを示す本発明の模式的回路である。充電装置70はセル1、2および3を充電するために使用される。
【0081】
図4に示されるように、本発明のいくつかの態様において、本発明の複数のリチウムイオン電池(例えば、2〜5個のセル)を電池パック内に接続することが可能であり、電池(セル)のそれぞれは互いに直列、並列または直列および並列に接続される。本発明のいくつかの電池パックにおいて、電池間に並列な接続はない。
【0082】
好ましくは、少なくとも1つのセルは、柱状のセルケース、より好ましくは図1に示すような長円形のセルケースを有する。好ましくは、電池パックのセルの容量は通常、約3.0Ah以上、より好ましくは約4.0Ah以上である。セルの内部インピーダンスは好ましくは約50ミリオーム未満、およびより好ましくは30ミリオーム未満である。
【0083】
本発明はまた、上述のような充電式リチウムイオン電池などの本発明のリチウムイオン電池の作製方法を含む。該方法は、上記の本発明の正極活物質を形成する工程を含む。正極電極は正極活物質を用いて形成され、正極電極と電解液を介して電気的に接触している負極電極は、上記のようにして形成され、それによりリチウムイオン電池が形成される。
【0084】
また別の局面において、本発明は、携帯用電動デバイスならびにセルまたは電池(例えば、リチウムイオン電池)および上記のような電池パックを含むシステムも含む。携帯用電動デバイスの例としては、携帯用コンピューター、電動ツール、おもちゃ、携帯電話、カムコーダー、PDAおよびハイブリッド電気自動車が挙げられる。一態様において、該システムは本発明の電池パックを含む。電池パックの特徴は上記のとおりである。
【0085】
参照による援用
WO 2006/071972;WO 2007/011661;WO 2007/149102;WO 2008/002486;WO 2008/002487;2005年9月16日に出願された米国特許仮出願第60/717,898号;2007年6月22日に出願された米国特許仮出願第60/936,825号;代理人整理番号3853.1018-000で本出願と同日に出願された表題「安全性が向上した電池」の米国特許仮出願;および代理人整理番号3853.1022-000で本出願と同日に出願された表題「可撓性凹部を有する柱状蓄電池またはセル」の米国特許仮出願はすべて参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0086】
均等物
本発明は、その好ましい態様に関して具体的に示され説明されるが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細において種々の変更が本明細書中になされ得ることが当業者には理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質を含む正極を有するリチウムイオン電池であって、該正極活物質が、コバルト酸リチウムとスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極混合物を含み、該コバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウム約0.95:0.05〜約0.55:0.45の重量比であり、該マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比は約1:0.35〜約1:1.4の範囲である、リチウムイオン電池。
【請求項2】
正極物質が、実験式
Lix6M'y6Co(1-z6)M''z6O2(式中:
x6は、0より大きく、1.2未満である;
y6は、0より大きく、0.1未満である;
z6は、0以上0.5未満である;
M'は、マグネシウム(Mg)およびナトリウム(Na)の少なくとも1種類である、ならびに
M''は、マンガン、アルミニウム、ホウ素、チタン、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムからなる群の少なくとも1種類である)
で表されるコバルト酸リチウムを含む、請求項1記載のリチウムイオン電池。
【請求項3】
M'とM''の少なくとも一方がマグネシウムである、請求項2記載のリチウムイオン電池。
【請求項4】
マンガン酸リチウムが、実験式
Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1(式中:
x1およびx2は各々、独立して、0.01以上0.3以下である;
y1およびy2は各々、独立して、0.0以上0.3以下である;
z1は3.9以上4.1以下である;ならびに
A'は、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケルおよびクロムからなる群の少なくとも1種類である)
で表される、請求項2記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
マンガン酸リチウムがLi1.1Mn1.96Mg0.03O4である、請求項4記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
マンガン酸リチウムが、実験式Li(1+x1)Mn2Oz1(式中:
x1は0以上0.3以下である;および
z1は3.9以上4.2以下である)
で表される、請求項2記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
x1が0.01以上0.3以下である、請求項6記載のリチウムイオン電池。
【請求項8】
コバルト酸リチウムがLi(1+x8)CoOz8(式中、x8は0以上0.2以下であり、z8は1.9以上2.1以下である)である、請求項1記載のリチウムイオン電池。
【請求項9】
マンガン酸リチウムが、実験式
Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1(式中:
x1およびx2は各々、独立して、0.01以上0.3以下である;
y1およびy2は各々、独立して、0.0以上0.3以下である;
z1は3.9以上4.1以下である;ならびに
A'は、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケルおよびクロムからなる群の少なくとも1種類である)
で表される、請求項8記載のリチウムイオン電池。
【請求項10】
マンガン酸リチウムがLi1.1Mn1.96Mg0.03O4である、請求項9記載のリチウムイオン電池。
【請求項11】
コバルト酸(cobalate)リチウムが、ZrO2またはAl2(PO4)3でコーティングされたLiCoO2である、請求項9記載のリチウムイオン電池。
【請求項12】
コバルト酸リチウムがLiCoO2である、請求項9記載のリチウムイオン電池。
【請求項13】
マンガン酸リチウムが、実験式Li(1+x1)Mn2Oz1(式中:
x1は0以上0.3以下である;および
z1は3.9以上4.2以下である)
で表される、請求項8記載のリチウムイオン電池。
【請求項14】
x1が0.01以上0.3以下である、請求項13記載のリチウムイオン電池。
【請求項15】
コバルト酸リチウムが、ZrO2またはAl2(PO4)3でコーティングされたLiCoO2である、請求項13記載のリチウムイオン電池。
【請求項16】
コバルト酸リチウムがLiCoO2である、請求項13記載のリチウムイオン電池。
【請求項17】
リチウムイオン電池が約3.0Ah/セルより大きい容量を有する、請求項1記載のリチウムイオン電池。
【請求項18】
リチウムイオン電池が約4.0Ah/セルより大きい容量を有する、請求項17記載のリチウムイオン電池。
【請求項19】
電池が柱状断面形状を有する、請求項1記載のリチウムイオン電池。
【請求項20】
電池が長円形断面形状を有する、請求項19記載のリチウムイオン電池。
【請求項21】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.4〜約1:1.2の範囲である、請求項1記載のリチウムイオン電池。
【請求項22】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.5〜約1:1.0の範囲である、請求項21記載のリチウムイオン電池。
【請求項23】
コバルト酸リチウムの平均粒径がマンガン酸リチウムの平均粒径より大きい、請求項1記載のリチウムイオン電池。
【請求項24】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.5〜約1:0.9の範囲である、請求項23記載のリチウムイオン電池。
【請求項25】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.6〜約1:0.9の範囲である、請求項24記載のリチウムイオン電池。
【請求項26】
コバルト酸リチウムとマンガン酸スピネルが、コバルト酸リチウム:マンガン酸スピネル約0.95:0.05〜約0.65:0.35の重量比である、請求項1〜25いずれか記載のリチウムイオン電池。
【請求項27】
コバルト酸リチウムとマンガン酸スピネルが、コバルト酸リチウム:マンガン酸スピネル約0.95:0.05〜約0.7:0.3の重量比である、請求項26記載のリチウムイオン電池。
【請求項28】
コバルト酸リチウムとマンガン酸スピネルが、コバルト酸リチウム:マンガン酸スピネル約0.85:0.15〜約0.75:0.25の重量比である、請求項27記載のリチウムイオン電池。
【請求項29】
a) コバルト酸リチウムとスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極混合物を含む正極活物質を含む正極混合物を含む正極活物質を形成する工程、該コバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウム約0.95:0.05〜約0.55:0.45の重量比であり、該マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比は約1:0.35〜約1:1.4の範囲である;
b) 該正極活物質を用いて正極電極を形成する工程;および
c) 電解液によって該正極電極と電気的に接触している負極電極を形成し、それによりリチウムイオン電池を形成する工程
を含む、リチウムイオン電池の形成方法。
【請求項30】
正極物質が、実験式
Lix6M'y6Co(1-z6)M''z6O2(式中:
x6は、0より大きく、1.2未満である;
y6は、0より大きく、0.1未満である;
z6は、0以上0.5未満である;
M'は、マグネシウム(Mg)およびナトリウム(Na)の少なくとも1種類である、ならびに
M''は、マンガン、アルミニウム、ホウ素、チタン、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムからなる群の少なくとも1種類である)
で表されるコバルト酸リチウムを含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
M'とM''の少なくとも一方がマグネシウムである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
マンガン酸リチウムが、実験式
Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1(式中:
x1およびx2は各々、独立して、0.01以上0.3以下である;
y1およびy2は各々、独立して、0.0以上0.3以下である;
z1は3.9以上4.1以下である;ならびに
A'は、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケルおよびクロムからなる群の少なくとも1種類である)
で表される、請求項30記載の方法。
【請求項33】
マンガン酸リチウムがLi1.1Mn1.96Mg0.03O4である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
マンガン酸リチウムが、実験式Li(1+x1)Mn2Oz1(式中:
x1は0以上0.3以下である;および
z1は3.9以上4.2以下である)
で表される、請求項30記載の方法。
【請求項35】
x1が0.01以上0.3以下である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
コバルト酸リチウムがLi(1+x8)CoOz8(式中、x8は0以上0.2以下であり、z8は1.9以上2.1以下である)である、請求項29記載の方法。
【請求項37】
マンガン酸リチウムが、実験式
Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1(式中:
x1およびx2は各々、独立して、0.01以上0.3以下である;
y1およびy2は各々、独立して、0.0以上0.3以下である;
z1は3.9以上4.1以下である;ならびに
A'は、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケルおよびクロムからなる群の少なくとも1種類である)
で表される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
マンガン酸リチウムがLi1.1Mn1.96Mg0.03O4である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
コバルト酸リチウムが、ZrO2またはAl2(PO4)3でコーティングされたLiCoO2である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
コバルト酸リチウムがLiCoO2である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
マンガン酸リチウムが、実験式Li(1+x1)Mn2Oz1(式中:
x1は0以上0.3以下である;および
z1は3.9以上4.2以下である)
で表される、請求項36記載の方法。
【請求項42】
x1が0.01以上0.3以下である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
コバルト酸リチウムが、ZrO2またはAl2(PO4)3でコーティングされたLiCoO2である、請求項41記載の方法。
【請求項44】
コバルト酸リチウムがLiCoO2である、請求項41記載の方法。
【請求項45】
リチウムイオン電池が約3.0Ah/セルより大きい容量を有する、請求項29記載の方法。
【請求項46】
リチウムイオン電池が約4.0Ah/セルより大きい容量を有する、請求項45記載の方法。
【請求項47】
電池が柱状断面形状を有する、請求項29記載の方法。
【請求項48】
電池が長円形断面形状を有する、請求項47記載の方法。
【請求項49】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.4〜約1:1.2の範囲である、請求項29記載の方法。
【請求項50】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.5〜約1:1.0の範囲である、請求項49記載の方法。
【請求項51】
コバルト酸リチウムの平均粒径がマンガン酸リチウムの平均粒径より大きい、請求項29記載の方法。
【請求項52】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.5〜約1:0.9の範囲である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.6〜約1:0.9の範囲である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
コバルト酸リチウムとマンガン酸スピネルが、コバルト酸リチウム:マンガン酸スピネル約0.95:0.05〜約0.7:0.3の重量比である、請求項29〜53いずれか記載の方法。
【請求項55】
コバルト酸リチウムとマンガン酸スピネルが、コバルト酸リチウム:マンガン酸スピネル約0.85:0.15〜約0.75:0.25の重量比である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
複数のセルを含む電池パックであって、各セルは、コバルト酸リチウムとスピネル型マンガン酸リチウムを含む正極混合物を含む正極活物質を含み、該コバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムは、コバルト酸リチウム:マンガン酸リチウム約0.95:0.05〜約0.55:0.45の重量比であり、該マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比は約1:0.35〜約1:1.4の範囲である、電池パック。
【請求項57】
正極物質が、実験式
Lix6M'y6Co(1-z6)M''z6O2(式中:
x6は、0より大きく、1.2未満である;
y6は、0より大きく、0.1未満である;
z6は、0以上0.5未満である;
M'は、マグネシウム(Mg)およびナトリウム(Na)の少なくとも1種類である、ならびに
M''は、マンガン、アルミニウム、ホウ素、チタン、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムからなる群の少なくとも1種類である)
で表されるコバルト酸リチウムを含む、請求項56記載の電池パック。
【請求項58】
M'とM''の少なくとも一方がマグネシウムである、請求項57記載の電池パック。
【請求項59】
マンガン酸リチウムが、実験式
Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1(式中:
x1およびx2は各々、独立して、0.01以上0.3以下である;
y1およびy2は各々、独立して、0.0以上0.3以下である;
z1は3.9以上4.1以下である;ならびに
A'は、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケルおよびクロムからなる群の少なくとも1種類である)
で表される、請求項57記載の電池パック。
【請求項60】
マンガン酸リチウムがLi1.1Mn1.96Mg0.03O4である、請求項59記載の電池パック。
【請求項61】
マンガン酸リチウムが、実験式Li(1+x1)Mn2Oz1(式中:
x1は0以上0.3以下である;および
z1は3.9以上4.2以下である)
で表される、請求項57記載の電池パック。
【請求項62】
x1が0.01以上0.3以下である、請求項61記載の電池パック。
【請求項63】
コバルト酸リチウムがLi(1+x8)CoOz8(式中、x8は0以上0.2以下であり、z8は1.9以上2.1以下である)である、請求項56記載の電池パック。
【請求項64】
マンガン酸リチウムが、実験式
Li(1+x1)(Mn1-y1A'y2)2-x2Oz1(式中:
x1およびx2は各々、独立して、0.01以上0.3以下である;
y1およびy2は各々、独立して、0.0以上0.3以下である;
z1は3.9以上4.1以下である;ならびに
A'は、マグネシウム、アルミニウム、コバルト、ニッケルおよびクロムからなる群の少なくとも1種類である)
で表される、請求項63記載の電池パック。
【請求項65】
マンガン酸リチウムがLi1.1Mn1.96Mg0.03O4である、請求項64記載の電池パック。
【請求項66】
コバルト酸リチウムが、ZrO2またはAl2(PO4)3でコーティングされたLiCoO2である、請求項64記載の電池パック。
【請求項67】
コバルト酸リチウムがLiCoO2である、請求項64記載の電池パック。
【請求項68】
マンガン酸リチウムが、実験式Li(1+x1)Mn2Oz1(式中:
x1は0以上0.3以下である;および
z1は3.9以上4.2以下である)
で表される、請求項63記載の電池パック。
【請求項69】
x1が0.01以上0.3以下である、請求項68記載の電池パック。
【請求項70】
コバルト酸リチウムが、ZrO2またはAl2(PO4)3でコーティングされたLiCoO2である、請求項68記載の電池パック。
【請求項71】
コバルト酸リチウムがLiCoO2である、請求項68記載の電池パック。
【請求項72】
各セルが約3.0Ah/セルより大きい容量を有する、請求項56記載の電池パック。
【請求項73】
各セルが約4.0Ah/セルより大きい容量を有する、請求項72記載の電池パック。
【請求項74】
各セルが柱状断面形状を有する、請求項56記載の電池パック。
【請求項75】
各セルが長円形断面形状を有する、請求項74記載の電池パック。
【請求項76】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.4〜約1:1.2の範囲である、請求項56記載の電池パック。
【請求項77】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.5〜約1:1.0の範囲である、請求項76記載の電池パック。
【請求項78】
コバルト酸リチウムの平均粒径がマンガン酸リチウムの平均粒径より大きい、請求項56記載の電池パック。
【請求項79】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.5〜約1:0.9の範囲である、請求項78記載の電池パック。
【請求項80】
マンガン酸リチウムの平均粒径に対するコバルト酸リチウムの平均粒径の比が、約1:0.6〜約1:0.9の範囲である、請求項79記載の電池パック。
【請求項81】
コバルト酸リチウムとマンガン酸スピネルが、コバルト酸リチウム:マンガン酸スピネル約0.95:0.05〜約0.7:0.3の重量比である、請求項56〜80いずれか記載の電池パック。
【請求項82】
コバルト酸リチウムとマンガン酸スピネルが、コバルト酸リチウム:マンガン酸スピネル約0.85:0.15〜約0.75:0.25の重量比である、請求項81記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−519139(P2011−519139A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506366(P2011−506366)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/040846
【国際公開番号】WO2009/131897
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(507213639)ボストン−パワー,インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】