説明

リモコン送信機

【課題】主に各種電子機器の操作に用いられるリモコン送信機に関し、使い易く、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】扉体16内側面にケース15側面の溝部15Aに係合する壁部16Aを設けると共に、扉体16下面にケース15上面の窪部15Bに係止される一対の爪部16Bを形成することで、扉体16を開いた際、扉体16の壁部16Aとケース15の溝部15A、及び扉体16の爪部16Bとケース15の窪部15Bによって、扉体16をケース15に確実に保持できると共に、扉体16を回転することで、扉体16をケース15に容易に着脱できるため、使い易く、確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音響、空調等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むなか、これらを遠隔操作するリモコン送信機においても、使い易く、確実な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のリモコン送信機について、図5〜図7を用いて説明する。
【0004】
図5は従来のリモコン送信機の断面図、図6は同斜視図であり、同図において、1は略箱型で絶縁樹脂製のケース、2はゴム等の操作体で、操作体2上面には下方に略ドーム状の薄肉部が形成された複数の操作キー2Aや2Bが設けられると共に、この複数の操作キー2Aや2Bが、ケース1上面の複数の開口孔から上下動可能に突出している。
【0005】
そして、3は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、この上面に操作体2が載置されると共に、配線基板3上面にはカーボン等の複数の固定接点4が設けられ、この固定接点4が複数の操作キー2Aや2Bの下面に形成されたカーボン等の可動接点5と、所定の間隙を空けて対向して複数のスイッチ接点が形成されている。
【0006】
また、6は絶縁樹脂製の扉体で、ケース1上面に複数の操作キー2Bを覆うように、前後方向へ摺動可能に装着されると共に、ケース1後端の外側面と扉体6前端の内側面には、一対の突起部1Aと6Aが設けられている。
【0007】
さらに、7は液晶表示素子等の表示手段、8は発光ダイオード等のリモコン信号を送信する送信手段、9はマイコン等の制御手段で、これらが配線基板3の上下面に実装されると共に、表示手段7や送信手段8、複数の固定接点4が、配線パターンを介して制御手段9に接続されている。
【0008】
そして、ケース1下面を絶縁樹脂製のカバー10が覆うと共に、ケース1後端には複数の電池11が収納され、これを扉体6が覆って、リモコン送信機が構成されている。
【0009】
なお、複数の操作キー2Aや2Bは、例えばこれがエアコン操作用のリモコン送信機であった場合、図7(a)の平面図に示すように、ケース1上面に突出した複数の操作キー2Aは、電源の入/切や冷暖房の切換え等の、通常頻繁に使用される操作に用いられ、閉じた状態では扉体6に覆われている複数の操作キー2Bは、温度の増減や、風量や風向の切換え、タイマーの時刻設定等の、比較的使用頻度の少ないものに用いられる。
【0010】
以上の構成において、扉体6が閉じた状態で、リモコン送信機を操作する電子機器、例えばエアコンに向けて、ケース1上面から突出した所定の操作キー2Aを指で押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作キー2Aが下方へ移動し、この下面の可動接点5が複数の固定接点4と接触して、スイッチ接点の電気的接離が行われる。
【0011】
そして、この固定接点4の電気的接離を制御手段9が検出して、この操作に応じた赤外線のリモコン信号を送信手段8から電子機器へ送信し、これによって例えば、エアコンの冷房作動が遠隔操作によって行われる。
【0012】
また、図7(b)に示すように、扉体6を後方へ摺動し、図7(c)に示すように、扉体6が開いた状態で、所定の操作キー2Bを押圧操作すると、この下面の可動接点5が複数の固定接点4と接触して、スイッチ接点の電気的接離が行われ、制御手段9が送信手段8からリモコン信号を送信し、例えば、設定温度の切換え等が遠隔操作によって行われる。
【0013】
なお、この時、扉体6前端の内側面に形成された一対の突起部6Aが、ケース1後端の外側面に設けられた一対の突起部1Aに当接して、扉体6が図7(c)に示すような、開いた状態に保持されるようになっている。
【0014】
つまり、ふだん頻繁に行う冷暖房の入/切等は、扉体6を閉めた状態で、ケース1上面から突出した操作キー2Aを用いて遠隔操作し、設定温度の切換え等を行う場合には、扉体6を開き、操作キー2Bを用いて遠隔操作を行うように構成されているものであった。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−170329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来のリモコン送信機においては、扉体6内側面の突起部6Aをケース1外側面の突起部1Aに当接させて、扉体6を開いた状態に保持しているため、扉体6を開く際、強く扉体6を摺動すると、扉体6の両側面が外方へ開き、図7(d)に示すように、扉体6がケース1から外れ、その衝撃で収納された電池11が外れてしまい、再度電池11を入れ直すといった手間がかかってしまう場合があるという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、扉体の保持が確実に行え、使い易く、確実な操作が可能なリモコン送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、扉体内側面にケース側面の溝部に係合する壁部を設けると共に、扉体下面にケース上面の窪部に係止される一対の爪部を形成してリモコン送信機を構成したものであり、扉体を開いた際、扉体の壁部とケースの溝部、及び扉体の爪部とケースの窪部によって、扉体をケースに確実に保持できると共に、扉体を回転することで、扉体をケースに容易に着脱できるため、使い易く、確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、使い易く、確実な操作が可能なリモコン送信機を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図
【図2】同斜視図
【図3】同平面図
【図4】同断面図
【図5】従来のリモコン送信機の断面図
【図6】同斜視図
【図7】同平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0023】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0024】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図、図2は同斜視図であり、同図において、15は略箱型でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のケース、2はゴムやエラストマー等の操作体で、操作体2上面には下方に略ドーム状の薄肉部が形成された複数の操作キー2Aや2Bが設けられると共に、この複数の操作キー2Aや2Bが、ケース15上面の複数の開口孔から上下動可能に突出している。
【0025】
そして、3は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面に銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成され、この上面に操作体2が載置されると共に、配線基板3上面にはカーボン等の複数の固定接点4が設けられ、この固定接点4が複数の操作キー2Aや2Bの下面に形成されたカーボン等の可動接点5と、所定の間隙を空けて対向して複数のスイッチ接点が形成されている。
【0026】
また、16は絶縁樹脂製の扉体で、ケース15上面に複数の操作キー2Bを覆うように、前後方向へ摺動可能に装着されると共に、扉体16の両内側面にはケース15両側面の溝部15Aに係合する壁部16Aが、扉体16下面の前後端にはケース15上面後端の窪部15Bに係止される、上下方向へ弾性変形可能な一対の爪部16Bと16Cが各々設けられている。
【0027】
さらに、7は液晶表示素子等の表示手段、8は発光ダイオード等のリモコン信号を送信する送信手段、9はマイコン等の制御手段で、これらが配線基板3の上下面に実装されると共に、表示手段7や送信手段8、複数の固定接点4が、配線パターンを介して制御手段9に接続されている。
【0028】
そして、ケース15下面を絶縁樹脂製のカバー10が覆うと共に、ケース15後端には複数の電池11が収納され、これを扉体16が覆って、リモコン送信機が構成されている。
【0029】
なお、複数の操作キー2Aや2Bは、例えばこれがエアコン操作用のリモコン送信機であった場合、図3(a)の平面図に示すように、ケース15上面に突出した複数の操作キー2Aは、電源の入/切や冷暖房の切換え等の、通常頻繁に使用される操作に用いられ、閉じた状態では扉体16に覆われている複数の操作キー2Bは、温度の増減や、風量や風向の切換え、タイマーの時刻設定等の、比較的使用頻度の少ないものに用いられる。
【0030】
以上の構成において、図3(a)や図4(a)の断面図に示すように、扉体16が閉じた状態では、扉体16内側面の壁部16Aがケース15両側面の溝部15Aに係合すると共に、扉体16下面後端の一対の爪部16Cがやや撓んだ状態で、ケース15上面後端の窪部15Bに弾接して、扉体16ががたつき等のない状態でケース15上面に保持されている。
【0031】
また、この扉体16が閉じた状態で、リモコン送信機を操作する電子機器、例えばエアコンに向けて、ケース15上面から突出した所定の操作キー2Aを指で押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作キー2Aが下方へ移動し、この下面の可動接点5が複数の固定接点4と接触して、スイッチ接点の電気的接離が行われる。
【0032】
そして、この固定接点4の電気的接離を制御手段9が検出して、この操作に応じた赤外線のリモコン信号を送信手段8から電子機器へ送信し、これによって例えば、エアコンの冷房作動が遠隔操作によって行われる。
【0033】
また、図3(b)に示すように、扉体16を後方へ摺動し、図3(c)や図4(b)に示すように、扉体16が開いた状態で、所定の操作キー2Bを押圧操作すると、この下面の可動接点5が複数の固定接点4と接触して、スイッチ接点の電気的接離が行われ、制御手段9が送信手段8からリモコン信号を送信し、例えば、設定温度の切換え等が遠隔操作によって行われる。
【0034】
そして、この扉体16が開いた状態では、扉体16内側面の壁部16Aがケース15両側面の溝部15Aに係合すると共に、扉体16下面前端の一対の爪部16Bがやや撓んだ状態で、ケース15上面後端の窪部15Bに弾接して、扉体16ががたつき等のない状態でケース15上面に保持されている。
【0035】
つまり、ふだん頻繁に行う冷暖房の入/切等は、扉体16を閉めた状態で、ケース15上面から突出した操作キー2Aを用いて遠隔操作し、設定温度の切換え等を行う場合には、扉体16を開き、操作キー2Bを用いて遠隔操作を行うように構成されている。
【0036】
そして、この時、上記のように、扉体16内側面の壁部16Aがケース15両側面の溝部15Aに係合すると共に、扉体16が閉じた状態では、扉体16下面後端の一対の爪部16Cが、開いた状態では前端の一対の爪部16Bが、やや撓んだ状態で各々ケース15上面後端の窪部15Bに弾接することによって、開いた状態でも閉じた状態でも扉体16ががたつき等のない状態で、確実にケース15上面に保持されるようになっている。
【0037】
さらに、扉体16を開く際、扉体16を強く摺動した場合でも、扉体16とケース15両側面の壁部16Aと溝部15Aが係合すると共に、上下面の一対の爪部16Bが窪部15Bに弾接して、扉体16が開いた状態に係止されるようになっているため、多少強い力で扉体16を開いた場合でも、扉体16がケース15から外れることのないように形成されている。
【0038】
なお、ケース15に収納された電池11を交換する場合には、図4(c)に示すように、扉体16を下方へ回転し、一対の爪部16Bを窪部15Bから浮かすようにすることで、比較的容易に扉体16をケース15から取り外すことができ、また、電池11を交換した後は、これとは逆に壁部16Aを溝部15Aに挿入し、爪部16Bを窪部15Bに押し付けながら、扉体16をケース15に装着することで、容易に取り付けを行うことができる。
【0039】
すなわち、扉体16を開いた際、あるいは閉じた状態では、扉体16の壁部16Aとケース15の溝部15A、及び扉体16の爪部16Bまたは16Cとケース15の窪部15Bによって、扉体16をケース15に確実に保持できると共に、電池11を交換する際には、扉体16を回転することで、扉体16をケース15に容易に着脱できるようになっている。
【0040】
なお、以上の説明では、配線基板3上面の複数の固定接点4と、この上面に載置された操作体2の操作キー2Aや2B下面の可動接点5を対向させて、複数のスイッチ接点を形成した構成について説明したが、配線基板3上面の固定接点上に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置したものや、あるいは配線基板3上に、複数の個別のプッシュスイッチを実装したもの等、様々なスイッチ接点を用いた構成においても、本発明の実施は可能である。
【0041】
このように本実施の形態によれば、扉体16内側面にケース15側面の溝部15Aに係合する壁部16Aを設けると共に、扉体16下面にケース15上面の窪部15Bに係止される一対の爪部16Bや16Cを形成することで、扉体16を開いた際、扉体16の壁部16Aとケース15の溝部15A、及び扉体16の爪部16Bとケース15の窪部15Bによって、扉体16をケース15に確実に保持できると共に、扉体16を回転することで、扉体16をケース15に容易に着脱できるため、使い易く、確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によるリモコン送信機は、使い易く、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0043】
2 操作体
2A、2B 操作キー
3 配線基板
4 固定接点
5 可動接点
7 表示手段
8 送信手段
9 制御手段
10 カバー
11 電池
15 ケース
15A 溝部
15B 窪部
16 扉体
16A 壁部
16B、16C 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱型のケースと、このケース上面から突出した複数の操作キーと、この操作キーの上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点と、上記ケース上面に摺動可能に装着され上記操作キーを覆う扉体と、上記スイッチ接点の電気的接離に応じて、送信手段からリモコン信号を送信する制御手段からなり、上記扉体内側面に上記ケース側面の溝部に係合する壁部を設けると共に、上記扉体下面に上記ケース上面の窪部に係止される一対の爪部を形成したリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89748(P2013−89748A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228591(P2011−228591)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】