説明

リードフレーム、配線板およびそれを用いたLEDユニット

【課題】LEDチップの温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、複数のLEDチップを直列接続して用いるLEDユニットの低コスト化を図れるリードフレーム、配線板、LEDユニットを提供する。
【解決手段】リードフレーム30は、1ピッチの外枠部31の内側に支持片32を介して支持されたパターン33が、LEDチップを搭載するダイパッド34と、ダイパッド34からダイパッド34を取り囲むように延設されたヒートシンク35と、一方の電極11がヒートシンク35に電気的に接続されるLEDチップの他方の電極と電気的に接続されるリード36とを具備する単位ユニット33aを複数備え、互いに隣り合う単位ユニット33aの一方の単位ユニット33aのリード36と他方の単位ユニット33aのヒートシンク35とが連結され電気的に直列接続され、支持片32の切断部32bを、ダイパッド34の裏面を含む仮想平面VPから浮かせてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレーム、配線板およびそれを用いたLEDユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LEDチップを利用した発光装置の製造に用いられるリードフレームが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、図24に示す構成の発光装置1’が記載されている。発光装置1’は、ヒートシンク100と、このヒートシンク100にマウントされたLEDチップ10と、LEDチップ10並びにヒートシンク100にそれぞれボンディングワイヤ14a,14bを介して電気的に接続された一対のリード部330とを備えている。また、発光装置1’は、ヒートシンク100および各リード部330を一体的に保持するとともにLEDチップ10を前面側で露出させる樹脂パッケージ400を備えている。さらに、発光装置1’は、樹脂パッケージ400の前面側に光透過性の樹脂部550を介して覆うように装着されたアタッチメントレンズ600を備えている。
【0004】
また、特許文献1には、図24の発光装置1’の製造に用いるリードフレーム300として、図25に示す構成のものが記載されている。このリードフレーム300は、互いに平行に形成された一対の長尺な平行フレーム部310と、平行フレーム部310の長手方向において等間隔で配置され対向する平行フレーム部310同士を連結する連結フレーム部320と、相隣接する連結フレーム部320の中央部から互いに近接する方向に延在されて、端部同士が互いに所定距離を隔てて対峙するように形成された一対のリード部330と、一対の平行フレーム部310からそれぞれのリード部330の端部に向けて延在されたサポートフレーム部340とが一体的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−93470号公報(段落〔0015〕,〔0046〕、および図1,3,10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図24に示した構成の発光装置1’を一般照明などのように比較的大きな光出力を必要とする用途に用いる場合には、1つの発光装置1’では所望の光出力を得ることが難しい。
【0007】
そこで、発光装置1’を一般照明などのように比較的大きな光出力を必要とする用途に用いる場合には、例えば、複数個の発光装置1’を1枚の配線板に実装して直列接続したLEDユニットを構成することが考えられる。また、この場合には、発光装置1’におけるLEDチップ10の温度上昇を抑制して光出力の高出力化を図るために、配線板として金属ベースプリント配線板を用いることが考えられる。このようなLEDユニットの製造にあたっては、各発光装置1’それぞれの一対のリード部330を、配線板の金属ベースプリント配線板の銅箔パターンからなる配線パターンに半田付けすればよい。
【0008】
しかしながら、このLEDユニットでは、各発光装置1’ごとにヒートシンク100を組み付ける必要がある。また、このLEDユニットでは、金属ベースプリント配線板が必要であり、しかも、各発光装置1’それぞれを金属ベースプリント配線板に位置合わせして実装する必要があり、コストが高くなってしまう懸念がある。
【0009】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、LEDチップの温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、複数のLEDチップを直列接続して用いるLEDユニットの低コスト化を図れるリードフレーム、配線板、LEDユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のリードフレームは、金属板を用いて形成され1ピッチの外枠部の内側に支持片を介して所望のパターンが支持されたリードフレームであって、前記パターンは、LEDチップを搭載するダイパッドと、前記ダイパッドから前記ダイパッドを取り囲むように延設されたヒートシンクと、一方の電極が前記ヒートシンクに電気的に接続される前記LEDチップの他方の電極と電気的に接続されるリードとを具備する単位ユニットを複数備え、互いに隣り合う前記単位ユニットの一方の前記単位ユニットの前記リードと他方の前記単位ユニットの前記ヒートシンクとが連結され電気的に直列接続されてなり、前記支持片において切断される切断部は、前記ダイパッドの裏面を含む仮想平面VPから浮かせてあることを特徴とする。
【0011】
このリードフレームにおいて、前記リードは、前記ヒートシンクの外周縁から前記ダイパッドに向かって形成された切込溝の内側に配置されてなることが好ましい。
【0012】
このリードフレームにおいて、前記複数の前記単位ユニットが、前記外枠部の長さ方向に沿って配列されてなることが好ましい。
【0013】
このリードフレームにおいて、前記パターンは、前記複数の前記単位ユニットに跨って前記ヒートシンクの側方に配置された配線を備え、前記配線は、前記外枠部の前記長さ方向における一端の前記単位ユニットの前記リードと連結されて電気的に接続されてなることが好ましい。
【0014】
このリードフレームにおいて、前記パターンは、前記複数の前記単位ユニットに跨って前記ヒートシンクの側方に配置された配線を備えることが好ましい。
【0015】
このリードフレームにおいて、前記複数の前記単位ユニットが、前記外枠部により囲まれた領域の中心を取り囲むように配置されてなることが好ましい。
【0016】
本発明の配線板は、第1の金属板を用いて形成され主表面側に配置される複数のLEDチップの直列接続が可能なパターンと、前記パターンの裏面側に配置された第2の金属板と、電気絶縁性および熱伝導性を有し前記パターンと前記第2の金属板との間に介在して前記パターンと前記第2の金属板とを熱結合する絶縁層とを備え、前記パターンは、前記LEDチップを搭載するダイパッドと、前記ダイパッドから前記ダイパッドを取り囲むように延設されたヒートシンクと、一方の電極が前記ヒートシンクに電気的に接続される前記LEDチップの他方の電極と電気的に接続されるリードとを具備する単位ユニットを複数備え、互いに隣り合う前記単位ユニットの一方の前記単位ユニットの前記リードと他方の前記単位ユニットの前記ヒートシンクとが連結され電気的に直列接続されてなることを特徴とする。
【0017】
この配線板において、前記パターンの前記裏面に、前記第1の金属板に比べて耐酸化性および耐腐食性の高い金属材料からなり前記絶縁層との密着性を高める第1のめっき層が形成されてなることが好ましい。
【0018】
この配線板において、前記パターンの前記主表面に、前記第1の金属板に比べて耐酸化性および耐腐食性の高い金属材料からなる第2のめっき層が形成されてなることが好ましい。
【0019】
この配線板において、前記第1の金属板の材料がCuであり、前記第2のめっき層は、Ni膜とPd膜とAu膜との積層膜からなることが好ましい。
【0020】
本発明のLEDユニットは、前記配線板の前記各ダイパッドそれぞれに前記LEDチップが搭載され、前記LEDチップは、厚み方向の一面側に前記一方の電極が設けられるととともに他面側に前記他方の電極が設けられたものであり、前記一方の電極が前記ダイパッドを介して前記ヒートシンクに電気的に接続されるとともに前記他方の電極がボンディングワイヤを介して前記リードと電気的に接続されてなることを特徴とする。
【0021】
本発明のLEDユニットは、前記配線板の前記各ダイパッドそれぞれに前記LEDチップが搭載され、前記LEDチップは、厚み方向の一面側に前記一方の電極と前記他方の電極とが設けられたものであり、前記一方の電極が第1のボンディングワイヤを介して前記ヒートシンクと電気的に接続され、前記他方の電極が第2のボンディングワイヤを介して前記リードと電気的に接続されてなることを特徴とする。
【0022】
これらのLEDユニットにおいて、前記単位ユニットごとに、前記LEDチップから放射された光の配光を制御する光学部材であって前記配線板との間に前記LEDチップを収納するドーム状の光学部材と、前記光学部材と前記配線板とで囲まれた空間に充実され前記LEDチップを封止した第1の透光性材料からなる封止部と、前記LEDチップから放射され前記封止部および前記光学部材を透過した光によって励起されて前記LEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および第2の透光性材料により形成され前記光学部材を囲む形で配設されたドーム状の色変換部材とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明のリードフレームにおいては、LEDチップの温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、複数のLEDチップを直列接続して用いるLEDユニットの低コスト化を図れる。
【0024】
本発明の配線板においては、LEDチップの温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、複数のLEDチップを直列接続して用いるLEDユニットの低コスト化を図れる。
【0025】
本発明のLEDユニットにおいては、LEDチップの温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、低コスト化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は実施形態1におけるリードフレームの1ピッチ分の概略斜視図、(b)は実施形態1におけるリードフレームの要部概略平面図、(c)は実施形態1におけるリードフレームの単位ユニットの概略平面図、(d)は(a)のA−A’概略断面図である。
【図2】実施形態1におけるリードフレームへのLEDチップの実装例を示す概略平面図である。
【図3】実施形態1におけるリードフレームへのLEDチップの他の実装例を示す概略平面図である。
【図4】実施形態1におけるリードフレームの製造に用いる金属板の概略斜視図である。
【図5】(a)は実施形態1における配線板の概略斜視図、(b)は実施形態1における配線板の要部概略平面図である。
【図6】実施形態1における配線板へのLEDチップおよびツェナダイオードの実装例を示す概略断面図である。
【図7】(a)は実施形態1におけるLEDユニットの一部を分解し破断した概略斜視図、(b)は実施形態1におけるLEDユニットの要部概略平面図である。
【図8】実施形態1におけるLEDユニットの概略断面図である。
【図9】実施形態1におけるLEDユニットの他の構成例の概略断面図である。
【図10】実施形態1における配線板の製造方法の説明図である。
【図11】実施形態1におけるLEDユニットの製造方法を説明するためのもの概略斜視図である。
【図12】実施形態1におけるLEDユニットの比較例で用いる絶縁性材料からなる成形品に対して加熱試験を行った際の反射率の経時変化を示すグラフである。
【図13】実施形態1におけるLEDユニットの比較例で用いる絶縁性材料からなる成形品に対して加熱試験を行った際の反射率の経時変化を示すグラフである。
【図14】実施形態1におけるLEDユニットの比較例で用いる絶縁性材料からなる成形品に対して加熱試験を行った際の加熱温度の逆数と反射率が80%に低下するまでの時間との関係を示すグラフである。
【図15】実施形態1における配線板の比較例の製造方法の説明図である。
【図16】実施形態1におけるリードフレームへのLEDチップの実装例を示す概略平面図である。
【図17】実施形態1における配線板の他の構成例の要部概略平面図である。
【図18】実施形態1における配線板の他の構成例へのLEDチップの搭載例を示す概略平面図である。
【図19】(a)は実施形態2におけるリードフレームの2ピッチ分の概略斜視図、(b)は実施形態2におけるリードフレームの要部概略平面図、(c)は(a)のA−A’概略断面図ある。
【図20】実施形態2におけるLEDユニットの製造方法を説明するための概略斜視図である。
【図21】実施形態2におけるLEDユニットの製造方法を説明するための概略斜視図である。
【図22】実施形態2におけるLEDユニットの製造方法を説明するための概略斜視図である。
【図23】実施形態2におけるLEDユニットの製造方法を説明するための概略斜視図である。
【図24】従来の発光装置を示す概略断面図である。
【図25】従来の発光装置の製造に用いるリードフレームの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
本実施形態では、まず、リードフレームについて図1〜図3を参照しながら説明する。
【0028】
本実施形態におけるリードフレーム30は、1ピッチの外枠部31の内側に支持片32を介して所望のパターン33が支持されたリードフレーム30である。このリードフレーム30は、帯状の金属板3(図4参照)を用いて形成されている。そして、外枠部31は、矩形枠状に形成されており、外周形状が細長の矩形状となっている。なお、図4の帯状の金属板3は、リードフレーム30の1ピッチ分に対応する部分のみ図示してあるが、この帯状の金属板3を金属フープ材の一部により構成してもよい。
【0029】
パターン33は、一対の電極を有するLEDチップ10(図2、図3参照)を搭載するダイパッド34と、ダイパッド34から当該ダイパッド34を取り囲むように延設されたヒートシンク35と、一対の電極のうちの一方の電極がヒートシンク35に電気的に接続されるLEDチップ10の他方の電極と電気的に接続されるリード36とを具備する単位ユニット33aを複数備えている。また、パターン33は、互いに隣り合う単位ユニット33aの一方の単位ユニット33aのリード36と他方の単位ユニット33aのヒートシンク35とが連結され電気的に直列接続されている。図1(d)は、図1(a)のA−A’概略断面図である。ここで、図1(d)中の破線は、支持片32と交差している部分が、支持片32において切断される切断部32bを示している。要するに、支持片32において切断される切断部32bは、ダイパッド34の裏面を含む仮想平面VPから浮かせてある。支持片32は、仮想平面VPに対して浮いた状態となるように折り曲げてあり、折り目32aよりも外枠部31に近く且つ仮想平面VPから浮いた箇所が切断部32bとなる。なお、図1(c)は、1つの単位ユニット33aのみを図示し、ハッチングを施したものである。
【0030】
一方の単位ユニット33aのリード36と他方の単位ユニット33aのヒートシンク35とは、リード36に比べて幅広の連結片37を介して連結されている。
【0031】
リードフレーム30の各単位ユニット33aごとに、LEDチップ10として厚み方向の一面側に一対の電極が形成されているものを実装する場合には、例えば、図2に示すように実装することができる。すなわち、この場合には、LEDチップ10の一方の電極を、ボンディングワイヤ14を介してヒートシンク35に電気的に接続し、LEDチップ10の他方の電極を、ボンディングワイヤ14を介してリード36に電気的に接続すればよい。なお、このようなLEDチップ10の場合、一方の電極をダイパッド34に第1のバンプを介して電気的に接続し、他方の電極をリード36に第2のバンプを介して接続するような形態のフリップチップ実装も可能である。
【0032】
また、LEDチップ10として厚み方向の両面に電極が形成されているものを実装する場合には、例えば、図3に示すように実装することができる。すなわち、この場合には、LEDチップ10の一方の電極を、ダイパッド34を介してヒートシンク35に電気的に接続し、LEDチップ10の他方の電極を、ボンディングワイヤ14を介してリード36に電気的に接続すればよい。なお、本実施形態におけるリードフレーム30では、1ピッチ当たりの単位ユニット33aの数を8個にしてあるが、この数は特に限定するものではなく、複数であればよい。
【0033】
上述のリードフレーム30は、複数の単位ユニット33aが、外枠部31の長さ方向(図1(b)の左右方向)に沿って配列されている。また、リードフレーム30のパターン33は、複数の単位ユニット33aに跨ってヒートシンク35の側方に配置された直線状の配線38を備えている。この配線38は、例えば、外枠部31の長さ方向(つまり、単位ユニット33aの配列方向)における一端の単位ユニット33a(図1(a)の左端の単位ユニット33a)のリード36と連結されて電気的に接続されている。したがって、各単位ユニット33aごとに1個のLEDチップ10が実装されパターン33が外枠部31から分離された状態において、複数の単位ユニット33aの配列方向の他端の単位ユニット33a(図1(a)の右端の単位ユニット33a)のヒートシンク35と配線38との間に給電することにより、全てのLEDチップ10の直列回路に対して給電することができる。
【0034】
上述のリード36は、ヒートシンク35の外周縁からダイパッド34に向かって形成された切込溝35aの内側に配置されている。また、リードフレーム30には、単位ユニット33aごとにリード36が2つ設けられるとともに、ヒートシンク35に2つの切込溝35aが互いに近づく向きで且つ中心線の位置をずらして形成されている。この2つのリード36のうちの一方のリード36は、直線状に形成されており、一方の切込溝35aの内側に配置されている。また、他方のリード36は、他方の切込溝35aの内側に配置された直線状の第1の部位と、当該第1の部位におけるダイパッド34側とは反対側の端部から連結片37まで延長されヒートシンク35の外側縁に沿って配置された第2の部位とで構成されている。
【0035】
リードフレーム30のもとになる金属板3(図4参照)の材料としては、金属材料の中で熱伝導率が比較的高い銅(銅の熱伝導率は、398W/m・K程度)が好ましいが、銅に限らず、例えば、リン青銅などでもよい。また、金属板3の材料は、銅合金(例えば、42アロイなど)でもよい。また、金属板3の厚みは、例えば、100μm〜1500μm程度の範囲で設定することが好ましい。なお、金属板3の厚みを厚くするにつれて、切込溝35aの内周面とリード36の外側縁との距離が長くなるので、金属板3の厚みの上限としては1500μm程度が望ましい。単位ユニット33aでは、ヒートシンク35に切込溝35aを設けずにヒートシンク35の外側にリード36を配置してもよい。しかしながら、この場合には、LEDチップ10とリード36との距離が長くなってボンディングワイヤ14の全長が長くなってしまうので、例えば図1のようにヒートシンク35に切込溝35aを設けて切込溝35aの内側に入り組むようにリード36を配置することが好ましい。
【0036】
以下、上述のリードフレーム30を用いて製造される配線板40について図5および図6を参照しながら説明し、その配線板40を用いて製造されるLEDユニット50について、図7および図8を参照しながら説明する。なお、図6は、配線板40にLEDチップ10および後述のツェナダイオードZDを実装した状態の概略断面図である。
【0037】
配線板40は、リードフレーム30を用いて形成され主表面側に配置される複数のLEDチップ10の直列接続が可能なパターン33を備えている。すなわち、配線板40は、図4に示した金属板3(以下、第1の金属板3と称する)を用いて形成されたリードフレーム30のパターン33を有している。
【0038】
したがって、配線板40のパターン33は、上述のダイパッド34とヒートシンク35とリード36とを具備する単位ユニット33aを複数備えている。また、パターン33は、互いに隣り合う単位ユニット33aの一方の単位ユニット33aのリード36と他方の単位ユニット33aのヒートシンク35とが連結され電気的に直列接続されている。
【0039】
また、配線板40は、上述のパターン33の他に、パターン33の裏面側に配置された第2の金属板42と、パターン33と第2の金属板42との間に介在する絶縁層43とを備えている。
【0040】
絶縁層43は、電気絶縁性および熱伝導性を有し、パターン33と第2の金属板42とを熱結合する機能を有している。第2の金属板42は、放熱板(伝熱板)として機能するものであり、第2の金属板42の材料としては、銅、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属材料を採用することが好ましい。また、第2の金属板42の厚みは、例えば、0.5mm〜10mm程度の範囲で設定すればよい。なお、アルミニウムの熱伝導率は、237W/m・K程度である。
【0041】
絶縁層43は、熱硬化型のシート状接着剤のエポキシ樹脂層を熱硬化させることにより形成されている。絶縁層43は、電気絶縁性を有するだけでなく、熱伝導性を有することが好ましい。要するに、絶縁層43は、パターン33と第2の金属板42とを電気的に絶縁する機能および熱結合する機能を有していることが好ましい。
【0042】
ここで、絶縁層43は、上述のシート状接着剤として、シリカやアルミナなどのフィラーからなる充填材を含有し且つ加熱時に低粘度化するとともに流動性が高くなる性質を有するBステージのエポキシ樹脂層(熱硬化性樹脂)とプラスチックフィルム(PETフィルム)とが積層されたシート状接着剤を用いることが好ましい。このようなシート状接着剤としては、例えば、東レ株式会社製の接着剤シートTSAなどがある。フィラーとしては、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂よりも熱伝導率の高い電気絶縁性材料を用いればよい。上述のエポキシ樹脂層の厚みは、100μmに設定してあるが、この値は一例であり、特に限定するものではなく、例えば、50μm〜150μm程度の範囲で適宜設定すればよい。上述のエポキシ樹脂層の熱伝導率は、4W/m・K以上であることが好ましい。
【0043】
上述のシート状接着剤のエポキシ樹脂層は、電気絶縁性を有するとともに熱伝導率が高く加熱時の流動性が高く凹凸面への密着性が高いという性質を有している。したがって、配線板40は、絶縁層43とパターン33および第2の金属板42との間に空隙が発生するのを防止することができて密着信頼性を向上させることが可能となり、また、密着不足による熱抵抗の増大やばらつきの発生を抑制することが可能となる。しかして、LEDユニット50は、パターン33と第2の金属板42との間に例えばサーコン(登録商標)のようなゴムシート状やシリコーンゲル状の放熱シート(熱伝導シート)などを挟む場合に比べて、各LEDチップ10から第2の金属板42までの熱抵抗を低減することが可能となるとともに、熱抵抗のばらつきを低減することが可能となる。これにより、LEDユニット50は、放熱性が向上し、各LEDチップ10のジャンクション温度の温度上昇を抑制できるから、入力電力を大きくでき、光出力の高出力化を図れる。上述のエポキシ樹脂層の厚みは、100μmに設定してあるが、この値は一例であり、特に限定するものではなく、例えば、50μm〜150μm程度の範囲で適宜設定すればよい。なお、上述のエポキシ樹脂層の熱伝導率は、4W/m・K以上であることが好ましい。また、シート状接着剤のプラスチックフィルムは、パターン33と第2の金属板42とを重ね合わせる前に、エポキシ樹脂層から剥離する。要するに、エポキシ樹脂層におけるプラスチックフィルム側とは反対側の一面を対象物に固着した後、プラスチックフィルムを剥離する。
【0044】
ここで、絶縁層43の形成にあたっては、第2の金属板42とエポキシ樹脂層とリードフレーム30のパターン33とを重ね合わせた状態で適宜加圧するようにしてもよい。なお、第2の金属板42の熱容量の大きさによっては、エポキシ樹脂層の加熱温度を170℃程度まで上げて硬化させると、パターン33と第2の金属板42との固着性能が低下し、加熱温度を150℃程度まで下げて硬化させるとパターン33と第2の金属板42との間の電気絶縁性が低下することがある。すなわち、固着性能と電気絶縁性とがトレードオフの関係を有している。そこで、第2の金属板42の熱容量が大きいことに起因して固着性能と電気絶縁性との両方の要求を満足できない場合には、例えば、2つのシート状接着剤のエポキシ樹脂層を重ね合わせるようにし、一方のエポキシ樹脂層を170℃で硬化させることにより電気絶縁性および熱伝導性を確保し、他方のエポキシ樹脂層を150℃で硬化させることにより固着性能および熱伝導性を確保するようにすればよい。さらに説明すれば、一方のエポキシ樹脂層を対象物である第2の金属板42の一面に170℃で固着させた後、他方のエポキシ樹脂層およびパターン33を重ね合わせて当該他方のエポキシ樹脂層を150℃で硬化させるようすればよい。
【0045】
絶縁層43および第2の金属板42それぞれの外周形状を決める外形サイズは、リードフレーム30の外枠部31の外形サイズに揃えてあるが、必ずしも揃える必要はない。
【0046】
また、配線板40は、パターン33の裏面に、第1の金属板3に比べて耐酸化性および耐腐食性の高い金属材料からなり絶縁層43との密着性の高い第1のめっき層(図示せず)が形成されている。ここで、第1の金属板3の材料がCuの場合には、第1のめっき層の材料として、例えば、Niなどを採用すればよい。配線板40は、パターン33の裏面に第1のめっき層が形成されていることにより、パターン33の酸化や腐食を抑制することができ、パターン33と絶縁層43との固着性能の劣化を抑制することが可能となる。その結果、ダイパッド34およびヒートシンク35と第2の金属板42との間の熱抵抗の経時変化を抑制することが可能となる。
【0047】
また、配線板40は、パターン33の主表面に、第1の金属板3に比べて耐酸化性および耐腐食性の高い金属材料からなる第2のめっき層(図示せず)が形成されている。なお、第2のめっき層は、ダイパッド34およびLEDチップ10と電気的に接続される部位(ボンディングワイヤ14が接合される可能性のあるリード36の先端部)、ツェナダイオードZDを実装可能とする部位、後述の給電用のコネクタCNを実装可能とする部位、それぞれに部分的に形成するようにしてもよい。いずれにしても、パターン33の酸化に起因してLEDチップ10、ツェナダイオードZD、コネクタCNなどとの密着性が低下したり、パターン33の腐食に起因してLEDチップ10、ツェナダイオードZD、コネクタCNの固着性能が低下するのを抑制することが可能となる。ここで、第1の金属板3の材料がCuの場合には、第2のめっき層は、例えば、Ni膜とPd膜とAu膜との積層膜により構成すれば、LEDチップ10から放射された光の一部を第2のめっき層により反射することができ、光取り出し効率の向上を図れる。なお、第2のめっき層は、上述の積層膜に限らず、例えば、Ag膜とPd膜とAuAg合金膜との積層膜により構成してもよい。
【0048】
第2の金属板42は、長尺の板状に形成されているが、パターン33側とは反対側に複数のフィンを設けてもよい。この場合のフィンは、例えば、第2の金属板42の長手方向に沿って形成し、第2の金属板42の短手方向に等ピッチで配列されるようにすればよい。
【0049】
LEDユニット50は、上述の配線板40の各ダイパッド34それぞれにLEDチップ10が搭載されている。LEDチップ10は、厚み方向の一面側に一対の電極11,12(図6参照)が設けられたものであり、一方の電極11がボンディングワイヤ14を介してリード36と電気的に接続され、他方の電極12がボンディングワイヤ14を介してヒートシンク35と電気的に接続されている。ただし、LEDチップ10は、厚み方向の両面に電極が形成されたものでもよく、この場合は、一方の電極がダイパッド34を介してヒートシンク35に電気的に接続されるとともに他方の電極がボンディングワイヤを介してリード36と電気的に接続されるようにすればよい(図3参照)。
【0050】
また、LEDユニット50の配線板40には、LEDチップ10へ過電圧が印加されるのを防止するために、過電圧防止用の表面実装型のツェナダイオードZDが、ヒートシンク35と、ボンディングワイヤ14のボンディングされていないリード36とに跨るように配置されている。しかして、ツェナダイオードZDが、ヒートシンク35とリード36とに電気的に接続されている。なお、ツェナダイオードZDは、当該ツェナダイオードZDの一対の外部接続電極それぞれが半田などによりヒートシンク35、リード36それぞれの第2のめっき層と接合されて電気的に接続される。
【0051】
LEDユニット50は、パターン33の単位ユニット33aごとに、LEDチップ10から放射された光の配光を制御する光学部材60を備えている。光学部材60は、透光性材料によりドーム状に形成されており、配線板40との間にLEDチップ10を収納する形で配線板40の主表面側に固着されている。
【0052】
光学部材60と配線板40とで囲まれた空間には、LEDチップ10および当該LEDチップ10に電気的に接続されたボンディングワイヤ14を封止した第1の透光性材料からなる封止部55が充実されている。ここで、封止部55は、例えば、第1の透光性材料として、シリコーン樹脂を採用して、ゲル状とすることが好ましい。
【0053】
また、LEDユニット50は、LEDチップ10から放射され封止部55および光学部材60を透過した光によって励起されてLEDチップ10の発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および第2の透光性材料により形成された色変換部材70を備えている。色変換部材70は、ドーム状に形成されており、配線板40の主表面側において配線板40との間にLEDチップ10などを囲む形で配設される。更に説明すれば、色変換部材70は、配線板40の上記一表面側において光学部材60の光出射面60bとの間に空気層80が形成されるように配設されている。
【0054】
以上説明したLEDユニット50は、単位ユニット33aと、LEDチップ10と、封止部55と光学部材60と色変換部材70とで構成される発光装置1を単位ユニット33aごとに備えており、単位ユニット33aの配列方向において隣り合う発光装置1同士が連結片37により連結されるとともに電気的に直列接続されている。
【0055】
以下、各構成要素について更に説明する。
【0056】
LEDチップ10は、青色光を放射するGaN系青色LEDチップであり、結晶成長用基板の主表面側にGaN系化合物半導体材料により形成されて例えばダブルへテロ構造を有する積層構造部からなる発光部などをエピタキシャル成長した後に発光部を支持する支持基板(例えば、Si基板など)を発光部に固着してから、結晶成長用基板などを除去したものを用いている。LEDチップ10の構造は特に限定するものではなく、例えば、n形のSiC基板やn形のGaN基板などからなる結晶成長用基板の主表面側に発光部を備え、厚み方向の両面に電極を備えたものでもよい。なお、各電極は、例えば、Ni膜とAu膜との積層膜により構成してあるが、これらの材料は特に限定するものではなく、良好なオーミック特性が得られる材料であればよく、例えば、アルミニウムなどを採用してもよい。
【0057】
LEDチップ10として、上述のようにSi基板のような支持基板を備えたものや、SiC基板やGaN基板を用いた場合には結晶成長用基板として絶縁体であるサファイア基板を用いて残している場合に比べて、発光部からダイパッド34までの熱抵抗を小さくすることが可能となる。また、LEDチップ10から放射される光は青色光に限らず、例えば、紫色光、紫外光などでもよい。
【0058】
LEDチップ10は、図8に示すように配線板40のダイパッド34に搭載されている。しかして、LEDチップ10で発生した熱をダイパッド34、絶縁層43、第2の金属板42の経路で放熱させることができる。
【0059】
ただし、LEDチップ10は、図9に示すように、LEDチップ10とダイパッド34との線膨張率の差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和するサブマウント部材15を介してダイパッド34に搭載するようにしてもよい。ここで、サブマウント部材15は、LEDチップ10のチップサイズよりも大きな平面サイズの矩形板状に形成されている。
【0060】
サブマウント部材15は、上記応力を緩和する機能だけでなく、LEDチップ10で発生した熱を単位ユニット33aにおいてLEDチップ10のチップサイズよりも広い範囲に伝熱させる熱伝導機能を有している。したがって、LEDユニット50は、LEDチップ10で発生した熱をサブマウント部材15および単位ユニット33aおよび第2の金属板42を介して効率良く放熱させることができる。また、発光装置1は、サブマウント部材15を備えていることにより、LEDチップ10と伝熱板21との線膨張率の差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和することができる。
【0061】
サブマウント部材15の材料としては、熱伝導率が比較的高く且つ絶縁性を有するAlNを採用している。なお、LEDチップ10とサブマウント部材15とは、例えば、SnPb、AuSn、SnAgCuなどの半田や、銀ペーストなどを用いて接合すればよいが、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。サブマウント部材15がAlNであって、AuSnを用いて接合する場合には、サブマウント部材15およびLEDチップ10における接合表面にあらかじめAuまたはAgからなる金属層を形成する前処理が必要である。また、サブマウント部材15とダイパッド34とは、例えば、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。ここで、AuSnを用いて接合する場合には、ダイパッド34における接合表面にあらかじめAuまたはAgからなる金属層を形成する前処理が必要である。
【0062】
サブマウント部材15の材料は、AlNに限らず、LEDチップ10との線膨張率差が比較的小さく且つ熱伝導率が比較的高い材料であればよく、例えば、複合SiC、Si、CuWなどを採用してもよい。
【0063】
また、サブマウント部材15は、LEDチップ10が接合される側の表面におけるLEDチップ10との接合部位(つまり、LEDチップ10に重なる部位)の周囲に、LEDチップ10から放射された光を反射する反射膜が形成されている。しかして、LEDユニット50は、LEDチップ10の側面から放射された光がサブマウント部材15に吸収されるのを抑制することができ、外部への光取出し効率をさらに高めることが可能となる。ここで、サブマウント部材15における反射膜は、例えば、Ni膜とAg膜との積層膜により構成すればよいが、反射膜の材料は特に限定するものではなく、例えば、LEDチップ10の発光波長に応じて適宜選択すればよい。なお、LEDチップ10として厚み方向の両面に電極が設けられたものを用いる場合には、サブマウント部材15に、LEDチップ10においてサブマウント部材15側に配置される電極に電気的に接続される導体パターンを設けておき、当該導体パターンとヒートシンク35とを金属細線(例えば、金細線、アルミニウム細線など)からなるボンディングワイヤを介して電気的に接続するようにすればよい。
【0064】
上述の封止部55の第1の透光性材料としては、シリコーン樹脂を用いているが、シリコーン樹脂に限らず、例えばアクリル樹脂などを用いてもよい。また、第1の透光性材料としては、ガラスを用いてもよい。
【0065】
光学部材60は、透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ガラスなど)の成形品であってドーム状に形成されている。ここで、封止部55の第1の透光性材料がシリコーン樹脂の場合には、光学部材60をシリコーン樹脂の成形品により構成することにより、光学部材60と封止部55との屈折率差および線膨張率差を小さくすることが可能となる。なお、封止部55の材料がアクリル樹脂の場合には、光学部材60もアクリル樹脂により形成することが好ましい。
【0066】
ところで、光学部材60は、光出射面60bが、光入射面60aから入射した光を光出射面60bと上述の空気層80との境界で全反射させない凸曲面状に形成されており、LEDチップ10と光軸が一致するように配置されている。したがって、LEDユニット50は、LEDチップ10から放射され光学部材60の光入射面60aに入射された光が光出射面60bと空気層80との境界で全反射されることなく色変換部材70まで到達しやすくなり、全光束を高めることができる。また、LEDチップ10の側面から放射された光は、封止部55および光学部材60および空気層80を伝搬して色変換部材70まで到達し色変換部材70の蛍光体を励起したり、蛍光体により散乱されたり、蛍光体には衝突せずに色変換部材70を透過したりする。なお、光学部材60は、位置によらず法線方向に沿って肉厚が一様となるように形成されている。
【0067】
色変換部材70は、シリコーン樹脂のような第2の透光性材料とLEDチップ10から放射された青色光によって励起されてブロードな黄色系の光を放射する黄色蛍光体の粒子とを混合した混合物の成形品により構成されている。したがって、LEDユニット50は、LEDチップ10から放射された青色光と黄色蛍光体から放射された光とが色変換部材70の外面70bを通して放射されることとなり、白色光を得ることができる。色変換部材70の材料として用いる第2の透光性材料は、シリコーン樹脂に限らず、例えば、アクリル樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用してもよい。また、色変換部材70の材料として用いる第2の透光性材料に混合する蛍光体の粒子も黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合しても白色光を得ることができ、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合した場合の方が演色性を高めることができる。
【0068】
ここで、色変換部材70は、内面70aが光学部材60の光出射面60bに沿った形状に形成されている。したがって、光学部材60の光出射面60bの位置によらず法線方向における光出射面60bと色変換部材70の内面70aとの間の距離が略一定値となっている。また、色変換部材70は、位置によらず法線方向に沿った肉厚が一様となるように成形されている。また、色変換部材70は、配線板40側の端縁(開口部の周縁)を配線板40に対して、例えば接着剤(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)を用いて固着すればよい。なお、配線板40は、色変換部材70を位置決めするための凹部や凸部を適宜設けることが好ましい。
【0069】
LEDユニット50の複数の発光装置1のうち、複数の単位ユニット33aの配列方向の上記一端の単位ユニット33aを備えた発光装置1(図7における左端の発光装置1)および上記他端の単位ユニット33aを備えた発光装置1(図7における右端の発光装置1)には、コネクタCNが実装されている。ここで、コネクタCNは、表面実装型のコネクタであり、一対のコンタクトのうちの一方のコンタクトがヒートシンク35に対して半田により接合されて電気的に接続され、他方のコンタクトが配線38に対して半田により接合されて電気的に接続されている。
【0070】
したがって、LEDユニット50は、右端の発光装置1のコネクタCNに着脱自在に接続されるコネクタ(以下、出力用コネクタと称する)91を一端に備えた一対の電線90の他端のコネクタ(以下、入力用コネクタと称する)92を図示しない点灯装置の出力端のコネクタに接続することが可能となる。これにより、LEDユニット50は、点灯装置から、LEDユニット50のLEDチップ10の直列回路へ電力を供給して点灯させることが可能となる。なお、図7に示した例では、LEDユニット50の右端の発光装置1のコネクタCNおよび入力用コネクタ92それぞれを雌型のコネクタ、出力用コネクタ91およびLEDユニット50の左端の発光装置1のコネクタCNそれぞれを雄型のコネクタとしてあるが、雌型と雄型とは逆にしてもよい。また、LEDユニット50は、各発光装置1ごとにコネクタCNを実装することが可能なので、LEDユニット50の製造時に、リードフレーム30の1ピッチ当たりに作製可能な複数(図7の例では8つ)の発光装置1のうちの任意の数の発光装置1のみを切り出して使用することもできる。
【0071】
以下、LEDユニット50の製造方法について図10、図11および図5〜図7を参照しながら説明するが、図10(a)〜(d)の各々において、上段の断面図は、下段の平面図におけるA−A’断面に相当する。
【0072】
まず、リードフレーム30の形成にあたっては、パターン形成工程(前工程)、折り曲げ工程、第1のめっき工程、第2のめっき工程および折り曲げ工程を順次行うことによって、図10(a)に示す構造のリードフレーム30を得る。ここで、パターン形成工程では、図4に示した第1の金属板3に対してプレス加工やエッチング加工を行うことによってリードフレーム30の基本構造を形成する。折り曲げ工程では、支持片32を切断部32bよりも外枠部31から遠い箇所で折り曲げる折り曲げ加工を行う。折り曲げ工程は、パターン形成工程に含めてもよい。第1のめっき工程では、パターン33の裏面にNi膜からなる第1のめっき層を形成し、第2のめっき工程では、パターン33の主表面に第2のめっき層を形成する。第1のめっき工程と第2のめっき工程との順序は、逆でもよい。また、パターン33の裏面には、第1のめっき層の代わりに、第2のめっき層を形成してもよい。また、リードフレーム30の全体に第2のめっき層を形成してもよい。また、パターン33の主表面の第2のめっき層を、スポットめっき法などによって部分的に形成するようにしてもよく、この場合には、Auの使用量を低減でき、低コスト化を図れる。
【0073】
配線板40の形成にあたっては、上述のリードフレーム30、第2の金属板42およびシート状接着剤を用意し、リードフレーム30と第2の金属板42とを絶縁層43を介して接合する接合工程を行うことによって、図10(b)に示す構造を得る。この接合工程では、リードフレーム30と絶縁層43と第2の金属板42とを重ねたときに、リードフレーム30のうち絶縁層43に接触する部分(パターン33および支持片32のうち折り目32aよりも外枠部31から遠い部分)を冶具などにより押えて適宜の荷重を印加してから、加熱することで接合することが好ましい。この接合工程では、リードフレーム30のうちダイパッド34の裏面を含む仮想平面VPと同一面上にある部分が絶縁層43を介して第2の金属板42と接合される一方で、仮想平面VPから浮き上がっている部分は絶縁層43から浮き上がった状態で接合されない。
【0074】
接合工程の後、リードフレーム30の支持片32の切断部を切断する切断工程を行い、続いて、図11に示すようにリードフレーム30の外枠部31などを取り除くことによって、図5および図10(d)に示す構造を得る。ここにおいて、切断工程では、例えば、図10(c)の上段に示した断面図のように、支持片32の切断部32bにレーザビームLBを照射して切断部32bを切断すればよい。この場合のレーザとしては、例えば、COレーザを用いることができる。支持片32の切断部32bを切断する切断方法は、レーザビームLBを照射して切断するレーザ加工法に限らず、例えば、スタンピング金型を用いたスタンピング法や、ブレード(砥石)を用いた切断方法などを採用することができる。
【0075】
その後、LEDチップ10などの電子部品を配線板40に実装する実装工程を行うことによって、例えば図2および図6に示す構造を得る。LEDチップ10の実装にあたっては、LEDチップ10をダイパッド34に搭載し、LEDチップ10と単位ユニット33aの適宜部位(図2の場合は、リード36およびヒートシンク35、図3の場合は、リード36のみ)とのボンディングワイヤ14による電気的接続を行う。実装工程では、LEDチップ10以外の電子部品として、ツェナダイオードZDおよびコネクタCNを実装する。
【0076】
上述の実装工程の後、LEDチップ10およびボンディングワイヤ14を封止部55により封止する封止工程を行う。この封止工程では、ドーム状の光学部材60の内側に上述の封止部55となる液状の第1の透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ガラスなど)を注入する。続いて、光学部材60を配線板40における所定位置に配置して第1の透光性材料を硬化させることにより封止部55を形成するのと同時に光学部材60を配線板40に固着する。この封止工程において、光学部材60に液状の第1の透光性材料を多めに注入することによって、製造過程において封止部55に気泡(ボイド)が発生するのを防止することが可能となる。なお、封止工程の前の実装工程(第1の実装工程)では、LEDチップ10のみを実装するようにし、封止工程の後で、ツェナダイオードZDおよびコネクタCNを実装する第2の実装工程を行うようにしてもよい。
【0077】
上述のLEDチップ10、ツェナダイオードZD、コネクタCNの実装が終了するとともに封止部55の形成が終了した後、色変換部材70を配線板40に固着する固着工程を行うことによって、図7に示す構造のLEDユニット50を得る。
【0078】
ところで、リードフレーム30は、外枠部31の内側に支持片32を介して支持されたパターン33が、ダイパッド34とヒートシンク35とリード36とを具備する単位ユニット33aや配線38を備えているが、配線板40に利用する場合に、パターン33における各構成要素の位置関係を変化させずに支持片32を切断する必要がある。
【0079】
そこで、配線板40の製造方法としては、リードフレーム30に対して単位ユニット33aごとにダイパッド34とヒートシンク35とリード36とを取り囲んで保持する絶縁性材料(例えば、ポリアミド系樹脂など)からなる保持部を成形したモジュールを形成してから、支持片32を切断し、その後、モジュールと第2の金属板42とを絶縁層43を介して接合する方法が考えられる。しかしながら、このような製造方法では、絶縁性材料からなる保持部を成形する成形工程が必要となり、コスト増加につながる。また、このようなモジュールを備えた構成では、熱や光に起因した保持部の劣化により、保持部での光の反射率が低下したり寿命が短くなってしまう懸念がある。
【0080】
ここで、保持部の絶縁性材料としてポリアミド系樹脂を想定した場合について、厚みが0.5mmの成形品を恒温層内に放置する加熱試験を行った結果を図12および図13に示す。ここで、図12は、ポリアミド系樹脂として、ポリフタルアミド樹脂であるアモデル(登録商標)を用いた参考例(参考例1)の結果であり、図13は、ポリアミド系樹脂として、クラレ社製のジェネスタ(登録商標)TA112を用いた参考例(参考例2)場合の結果である。図12および図13は、各々の横軸が恒温層内での経過時間(放置時間)、各々の縦軸が反射率である。また、図12および図13中の“A1”、“A2”、“A3”および“A4”は、それぞれ、加熱温度が100℃、120℃、130℃および150℃の場合である。また、図12、図13から、参考例1、2について、横軸を加熱温度の絶対温度Tの逆数、縦軸を反射率が80%になるまでの時間、とした場合の結果を図14に示す。図14中の“B1”、“B2”は、それぞれ、参考例1、参考例2の場合である。図12〜図13からは、参考例1の方が反射率の低下が抑制されていることが分かるが、参考例1,2のいずれも反射率が低下している点では同じである。なお、第2のめっき層についても同様の実験を行ったが、経過時間を900時間としても反射率の低下は見られなかった。
【0081】
また、配線板40の他の製造方法としては、図15(a)に示すように支持片32が折り曲げられていないリードフレーム30’を用意し、その後、図15(b)に示すようにリードフレーム30’全体を、絶縁層43を介して第2の金属板42に接合してから、支持片32をレーザビームLBにより切断し、外枠部31を取り除くことで図15(d)に示すような配線板40を得る方法が考えられる。しかしながら、このような製造方法では、支持片32を切断するときに、絶縁層43がダメージ(熱ダメージや機械的ダメージ)を受けて、絶縁層43の部分的な絶縁性の低下や絶縁破壊が発生する可能性がある。実験では、レーザビームLBにより支持片32を切断した場合、絶縁層43において炭化した部分が発生することが確認された。また、図10(d)の配線板40、図15(d)の配線板40’それぞれについて絶縁破壊試験を行ったところ、図10(d)の配線板40ではパターン33と第2の金属板42との間に絶縁破壊が発生せず、図15(d)の配線板40ではパターン33と第2の金属板42との間に絶縁破壊が発生することがあった。
【0082】
ここで、本実施形態では、支持片32において切断される切断部32bがダイパッド34の裏面を含む仮想平面VPから浮くように、支持片32を、切断部32bよりも外枠部31から遠い箇所で折り曲げてあることにより、絶縁破壊の発生が抑制されるものと推考される。要するに、本実施形態では、リードフレーム30と第2の金属板4とを絶縁層43を介して接合した後で、リードフレーム30の外枠部31を取り除くために、支持片32の切断部32bを切断するときに、絶縁層43がダメージを受けるのを抑制することが可能となり、絶縁層43の部分的な絶縁性の低下や絶縁破壊が発生する可能性を低減することが可能となる。
【0083】
本実施形態におけるリードフレーム30は、1ピッチの外枠部31の内側に支持片32を介して支持されたパターン33が、LEDチップ10を搭載するダイパッド34と、ダイパッド34からダイパッド34を取り囲むように延設されたヒートシンク35と、一方の電極11がヒートシンク35に電気的に接続されるLEDチップ10の他方の電極と電気的に接続されるリード36とを具備する単位ユニット33aを複数備えている。しかも、リードフレーム30は、互いに隣り合う単位ユニット33aの一方の単位ユニット33aのリード36と他方の単位ユニット33aのヒートシンク35とが連結され電気的に直列接続されており、支持片32において切断される切断部32bを、ダイパッド34の裏面を含む仮想平面VPから浮かせてある。しかして、リードフレーム30は、LEDチップ10の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、複数のLEDチップ10を直列接続して用いるLEDユニット50の低コスト化を図れる。例えば、このリードフレーム30を用いて製造するLEDユニット50は、図25に示した従来のリードフレーム300を利用して製造される図24の構成の発光装置1’を金属ベースプリント配線板に複数個実装し複数のLEDチップ10を直列接続して用いるLEDユニットに比べて、低コスト化を図れる。
【0084】
また、本実施形態におけるリードフレーム30は、上述のように、リード36が、ヒートシンク35の外周縁からダイパッド34に向かって形成された切込溝35aの内側に配置されているので、ダイパッド34とリード36との距離を短くできる。よって、このリードフレーム30を用いて形成された配線板40を備えたLEDユニット30では、LEDチップ10とリード36との距離を短くでき、LEDチップ10に接続されるボンディングワイヤ14の長さを短くできるから、光学部材60および色変換部材70の小型化を図れる。
【0085】
また、本実施形態のリードフレーム30は、複数の単位ユニット33aが、外枠部31の長さ方向に沿って配列されているので、細長のLEDユニット50の製造に利用することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態におけるリードフレーム30は、パターン33が、複数の単位ユニット33aに跨ってヒートシンク35の側方に配置された配線38を備え、この配線38が、外枠部31の長さ方向における一端の単位ユニット33aのリード36と連結されて電気的に接続されている。これにより、リードフレーム30は、上述のLEDユニット50のように、各単位ユニット33aごとに1個のLEDチップ10が実装されパターン33が外枠部31から分離された状態で用いる場合において、複数の単位ユニット33aの配列方向の他端の単位ユニット33aのヒートシンク35と配線38との間に給電することにより、全てのLEDチップ10の直列回路に対して給電することができる。
【0087】
また、本実施形態における配線板40は、第1の金属板3を用いて形成され主表面側に配置される複数のLEDチップ10の直列接続が可能なパターン33と、このパターン33の裏面側に配置された第2の金属板42と、電気絶縁性および熱伝導性を有しパターン33モと第2の金属板42との間に介在してパターン33と第2の金属板42とを熱結合する絶縁層43とを備えている。そして、配線板40は、パターン33が上述のリードフレーム30から切断されたものであるので、LEDチップ10の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、複数のLEDチップ10を直列接続して用いるLEDユニット50の低コスト化を図ることが可能となる。
【0088】
また、本実施形態におけるLEDユニット50は、上述の配線板40の各ダイパッド34それぞれにLEDチップ10が搭載されている。ここにおいて、LEDチップ10の厚み方向の一面側に両電極が設けられている場合には、図2のようにLEDチップ10の各電極とリード36およびヒートシンク35とをそれぞれボンディングワイヤ14を介して電気的に接続されている。しかして、本実施形態のLEDユニット50においては、LEDチップ10で発生した熱が上述のリードフレーム30を用いて形成されたダイパッド34およびヒートシンク35から第2の金属板42を通して効率的に放熱されることとなり、LEDチップ10の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、低コスト化を図ることが可能となる。
【0089】
また、LEDユニット50は、LEDチップ10の厚み方向の両面に電極が設けられている場合には、図3のようにLEDチップ10の一方の電極がダイパッド34を介してヒートシンク35に電気的に接続されるとともに他方の電極がボンディングワイヤ14を介してリード36と電気的に接続されており、この構成においても、LEDチップ10の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、低コスト化を図ることが可能となる。
【0090】
また、本実施形態におけるLEDユニット50は、各発光装置1の各々において、ドーム状の色変換部材70と光学部材60との間に空気層80が介在している。しかして、LEDユニット50は、LEDチップ10から放射され封止部55および光学部材60を通して色変換部材70に入射し色変換部材70の蛍光体の粒子で散乱された光のうち光学部材60側へ散乱されて光学部材を透過する光の光量を低減できて各発光装置1の各々の外部への光取り出し効率を向上させることが可能となる。
【0091】
なお、上述のLEDユニット50では、1つの単位ユニット33aに対して、チップサイズが1mm□のLEDチップ10を1個ずつ実装してあるが、LEDチップ10のチップサイズや数は特に限定するものではなく、例えば、チップサイズが0.3mm□のLEDチップ10を用いてもよい。また、LEDユニット50は、図16に示すように、1つの単位ユニット33aに対して複数個(図示例では、2個)のLEDチップ10を実装してもよい。この場合、1つの単位ユニット33aごとに2個のLEDチップ10が並列接続され、2個のLEDチップ10の並列回路が単位ユニット33aの数だけ直列接続されることとなる。また、図9に示したサブマウント部材15上に複数個のLEDチップ10を搭載するようにしてもよい。
【0092】
また、上述のリードフレーム30を用いた配線板40では、パターン33が、複数の単位ユニット33aに跨ってヒートシンク35の側方に配置された配線38を備え、この配線38が、外枠部31の長さ方向における一端の単位ユニット33aのリード36と連結されて電気的に接続されている。ここにおいて、リードフレーム30は、配線38と上記一端の単位ユニット33aのリード36とを連結せずに、配線38を送り配線として利用できるような構成としてもよい。このようなリードフレーム30を用いた配線板40を作製する場合には、リード36と配線38とのそれぞれに各別に電気接続されるコンタクトを備えた送り配線用のコネクタを実装できるように、リード36および配線38それぞれに形成された第2のめっき層を形成しておけばよい。この場合、複数のLEDユニット50を一直線上に並べ、隣り合うLEDユニット50間で、一方のLEDユニット50の上記一端の単位ユニット33aに接続された送り配線用のコネクタと、他方のLEDユニット50の上記他端の単位ユニット33aに実装されたコネクタCNとをコネクタケーブルにより電気的に接続することにおり、全てのLEDユニット50に対して、1つの点灯装置から電力を供給して点灯させることができる。
【0093】
なお、図17に示した配線板40では、ヒートシンク35に2つの切込溝35aが互いに近づく向きで且つ中心線の位置を揃えてあるので、図18に示すように、ダイパッド34に多数のLEDチップ10を搭載する場合のLEDチップ10の配置の設計自由度が高くなる。
【0094】
ところで、上述の配線板40やLEDユニット50では、リードフレーム30を用いて形成されたパターン33が、互いに隣り合う単位ユニット33aの一方の単位ユニット33aのリード36と他方の単位ユニット33aのヒートシンク35とを連結する連結片37を備えているので、LEDユニット50の低コスト化を図ることが可能となる。
【0095】
(実施形態2)
図19に示す本実施形態のリードフレーム30の基本構成は実施形態1と略同じであり、複数の単位ユニット33aが、外枠部31により囲まれた領域の中心を取り囲むように配置されている点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、図19は、リードフレーム30の2ピッチ分の概略斜視図である。
【0096】
本実施形態におけるリードフレーム30は、支持片32に2つの折り目32aが、パターン33と外枠部31とを結ぶ方向において離間して形成されており、各支持片32の各々において折り目32a間の部分が切断部32bとなる。
【0097】
また、本実施形態におけるリードフレーム30は、複数(図示例では、10個)の単位ユニット33aを2つの同心状の仮想円上に分けて配置してあり、相対的に内側に位置する仮想円上のダイパッド34の数に比べて、相対的に外側に位置する仮想円上のダイパッド34の数を多くしてある。したがって、このリードフレーム30を利用して製造される配線板40(図21参照)においてもリードフレーム30と同じダイパッド34の配置となり、この配線板40を用いて製造されるLEDユニット50(図23参照)においては、各ダイパッド34に搭載するLEDチップ10(図8、図9参照)の数を同じ(例えば、1個)とすれば、これら2つの仮想円を基準として、相対的に内側に位置する仮想円上のLEDチップ10の数に比べて、相対的に外側に位置する仮想円上のLEDチップ10の数が多くなる。
【0098】
また、リードフレーム30のパターン33は、LEDチップ10の直列回路に給電するために2つの単位ユニット33aのヒートシンク35それぞれから延設された2つの給電ライン139を備えている。
【0099】
したがって、LEDユニット50は、例えば、2つの給電ライン139のそれぞれに点灯装置(図示せず)からの給電用の電線を接続することにより、LEDチップ10の直列回路に給電して点灯させることが可能となる。
【0100】
図23に示すように、配線板40およびLEDユニット50は、第2の金属板42が円板状に形成されており、第2の金属板42の中央部に、給電用の一対の電線を挿通可能な電線挿通孔42cが形成されている。また、第2の金属板42の周部には、LEDユニット50を照明器具の器具本体などの別の部材に取り付ける際に用いるねじを挿通可能な複数(図示例では、4つ)の孔42dが第2の金属板42の周方向において略等間隔で形成されている。
【0101】
以下、LEDユニット50の製造方法について図19〜図23を参照しながら説明するが、実施形態1と同様の工程については説明を適宜省略する。
【0102】
まず、リードフレーム30の形成にあたっては、実施形態1と同様、パターン形成工程、折り曲げ加工、第1のめっき工程および第2のめっき工程を順次行う。パターン形成工程では、第1の金属板に対してプレス加工やエッチング加工を行うことによってリードフレーム30の基本構造を形成する。折り曲げ加工では、各支持片32の各々に2つの折り目32aを形成する。第1のめっき工程では、パターン33の裏面に第1のめっき層(図示せず)を形成する。第2のめっき工程では、パターン33の主表面に第2のめっき層(図示せず)を形成する。なお、リードフレーム30の形成方法は実施形態1と同様に適宜変更してもよい。
【0103】
配線板40の形成にあたっては、上述のリードフレーム30、シート状接着剤および第2の金属板42を用意し、リードフレーム30と第2の金属板42とを絶縁層43を介して接合する接合工程を行い、その後、支持片32の切断部32bを切断する切断工程を行い、リードフレーム30の外枠部31を図20のように取り除くことによって、図21に示す構造の配線板40を得る。なお、第2の金属板42および絶縁層43としては、多数個取りが可能なものを用いている。
【0104】
その後、LEDチップ10をダイパッド34に搭載するとともにツェナダイオードZD(図22参照)を実装し、LEDチップ10と単位ユニット33aの適宜部位とのボンディングワイヤ14による電気的接続を行う実装工程を行う。その後、LEDチップ10およびボンディングワイヤ14(図2、図3参照)を封止部55(図8、図9参照)により封止する封止工程を行う。
【0105】
上述のLEDチップ10、ツェナダイオードZD、コネクタCNの実装が終了するとともに封止部55の形成が終了した後、色変換部材70を配線板40に固着する固着工程を行うことによって、図22に示すように複数個のLEDユニット50を得る。その後、個々のLEDユニット50に切断することによって、図23に示すLEDユニット50を得る。
【0106】
以上説明した本実施形態におけるリードフレーム30は、複数の単位ユニット33aが、外枠部31により囲まれた領域の中心を取り囲むように配置されているので、複数のLEDチップ10を直列接続して用いる円形状のLEDユニット50の低コスト化を図れる。
【0107】
また、本実施形態における配線板40も、実施形態1と同様、LEDチップ10の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、複数のLEDチップ10を直列接続して用いるLEDユニット50の低コスト化を図ることが可能となる。
【0108】
また、本実施形態のLEDユニット50においては、実施形態1と同様、LEDチップ10で発生した熱が上述のリードフレーム30を用いて形成されたダイパッド34およびヒートシンク35から第2の金属板42を通して効率的に放熱されることとなり、LEDチップ10の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れ、且つ、低コスト化を図ることが可能となる。
【0109】
上記各実施形態では、発光装置1が色変換部材70を備えているが、LEDチップ10単体で白色光を放射できる場合や、封止部55に蛍光体を分散させている場合には、上述の色変換部材70を備えていない構造を採用することができる。
【符号の説明】
【0110】
3 金属板(第1の金属板)
10 LEDチップ
14 ボンディングワイヤ
30 リードフレーム
31 外枠部
32 支持片
32b 切断部
33 パターン
33a 単位ユニット
34 ダイパッド
35 ヒートシンク
36 リード
37 連結片
38 配線
40 配線板
42 第2の金属板
50 LEDユニット
55 封止部
60 光学部材
70 色変換部材
80 空気層
VP 仮想平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を用いて形成され1ピッチの外枠部の内側に支持片を介して所望のパターンが支持されたリードフレームであって、前記パターンは、LEDチップを搭載するダイパッドと、前記ダイパッドから前記ダイパッドを取り囲むように延設されたヒートシンクと、一方の電極が前記ヒートシンクに電気的に接続される前記LEDチップの他方の電極と電気的に接続されるリードとを具備する単位ユニットを複数備え、互いに隣り合う前記単位ユニットの一方の前記単位ユニットの前記リードと他方の前記単位ユニットの前記ヒートシンクとが連結され電気的に直列接続されてなり、前記支持片において切断される切断部は、前記ダイパッドの裏面を含む仮想平面から浮かせてあることを特徴とするリードフレーム。
【請求項2】
前記リードは、前記ヒートシンクの外周縁から前記ダイパッドに向かって形成された切込溝の内側に配置されてなることを特徴とする請求項1記載のリードフレーム。
【請求項3】
前記複数の前記単位ユニットが、前記外枠部の長さ方向に沿って配列されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のリードフレーム。
【請求項4】
前記パターンは、前記複数の前記単位ユニットに跨って前記ヒートシンクの側方に配置された配線を備え、前記配線は、前記外枠部の前記長さ方向における一端の前記単位ユニットの前記リードと連結されて電気的に接続されてなることを特徴とする請求項3記載のリードフレーム。
【請求項5】
前記パターンは、前記複数の前記単位ユニットに跨って前記ヒートシンクの側方に配置された配線を備えることを特徴とする請求項3記載のリードフレーム。
【請求項6】
前記複数の前記単位ユニットが、前記外枠部により囲まれた領域の中心を取り囲むように配置されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のリードフレーム。
【請求項7】
第1の金属板を用いて形成され主表面側に配置される複数のLEDチップの直列接続が可能なパターンと、前記パターンの裏面側に配置された第2の金属板と、電気絶縁性および熱伝導性を有し前記パターンと前記第2の金属板との間に介在して前記パターンと前記第2の金属板とを熱結合する絶縁層とを備え、前記パターンは、前記LEDチップを搭載するダイパッドと、前記ダイパッドから前記ダイパッドを取り囲むように延設されたヒートシンクと、一方の電極が前記ヒートシンクに電気的に接続される前記LEDチップの他方の電極と電気的に接続されるリードとを具備する単位ユニットを複数備え、互いに隣り合う前記単位ユニットの一方の前記単位ユニットの前記リードと他方の前記単位ユニットの前記ヒートシンクとが連結され電気的に直列接続されてなることを特徴とする配線板。
【請求項8】
前記パターンの前記裏面に、前記第1の金属板に比べて耐酸化性および耐腐食性の高い金属材料からなり前記絶縁層との密着性を高める第1のめっき層が形成されてなることを特徴とする請求項7記載の配線板。
【請求項9】
前記パターンの前記主表面に、前記第1の金属板に比べて耐酸化性および耐腐食性の高い金属材料からなる第2のめっき層が形成されてなることを特徴とする請求項7または請求項8記載の配線板。
【請求項10】
前記第1の金属板の材料がCuであり、前記第2のめっき層は、Ni膜とPd膜とAu膜との積層膜からなることを特徴とする請求項9記載の配線板。
【請求項11】
請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載の配線板の前記各ダイパッドそれぞれに前記LEDチップが搭載され、前記LEDチップは、厚み方向の一面側に前記一方の電極が設けられるととともに他面側に前記他方の電極が設けられたものであり、前記一方の電極が前記ダイパッドを介して前記ヒートシンクに電気的に接続されるとともに前記他方の電極がボンディングワイヤを介して前記リードと電気的に接続されてなることを特徴とするLEDユニット。
【請求項12】
請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載の配線板の前記各ダイパッドそれぞれに前記LEDチップが搭載され、前記LEDチップは、厚み方向の一面側に前記一方の電極と前記他方の電極とが設けられたものであり、前記一方の電極が第1のボンディングワイヤを介して前記ヒートシンクと電気的に接続され、前記他方の電極が第2のボンディングワイヤを介して前記リードと電気的に接続されてなることを特徴とするLEDユニット。
【請求項13】
前記単位ユニットごとに、前記LEDチップから放射された光の配光を制御する光学部材であって前記配線板との間に前記LEDチップを収納するドーム状の光学部材と、前記光学部材と前記配線板とで囲まれた空間に充実され前記LEDチップを封止した第1の透光性材料からなる封止部と、前記LEDチップから放射され前記封止部および前記光学部材を透過した光によって励起されて前記LEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および第2の透光性材料により形成され前記光学部材を囲む形で配設されたドーム状の色変換部材とを備えることを特徴とする請求項11または請求項12記載のLEDユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−93409(P2013−93409A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233871(P2011−233871)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】