説明

レジスト下層膜材料並びにそれを用いたレジスト下層膜基板およびパターン形成方法

【課題】多層レジストプロセス用、特には二層レジストプロセス用、三層レジストプロセス用のレジスト下層膜材料であって、基板からのアミン性の汚染物質を中和する機能があり、これにより、上層レジストのレジストパターンの裾引きなどの悪影響を低減できるレジスト下層膜材料、を形成する方法を提供する。
【解決手段】化学増幅型フォトレジスト層の下層を形成するためのレジスト下層膜材料であって、架橋性のポリマーと、一般式 R1CF2SO3-(R24+ (1a) で示される100℃以上の加熱により酸を発生する熱酸発生剤とを含んでなるレジスト下層膜材料、及びこのレジスト下層膜材料を用いて形成されたレジスト下層膜を備えるレジスト下層膜基板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工に用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜材料に関し、特に、遠紫外線、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、F2レーザー光(157nm)、Kr2レーザー光(146nm)、Ar2レーザー光(126nm)等での露光に好適な多層レジスト膜のレジスト下層膜材料に関する。さらに、本発明は、これを用いてリソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光を用いたリソグラフィーにおいては、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。
【0003】
レジストパターン形成の際に使用するリソグラフィー用の光源として、水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられているが、更なる微細化のための手段として、露光光を短波長化する方法が有効とされてきた。このため、例えば64MビットDRAM加工方法の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用されている。しかし、更に微細な加工技術(例えば、加工寸法が0.13μm以下)を必要とする集積度1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、特にArFエキシマレーザー(193nm)を用いたリソグラフィーが検討されてきている。
【0004】
一方、従来、段差基板上に高アスペクト比のパターンを形成するには、例えば二層レジストプロセスのような多層レジストプロセスが優れていることが知られている。二層レジストプロセスにおいて、二層レジスト膜を一般的なアルカリ現像液で現像するためには、レジスト上層膜としてヒドロキシ基やカルボキシル基等の親水基を有する高分子シリコーン化合物を用いるのが好適であるとされている。
【0005】
このような高分子シリコーン化合物としては、KrFエキシマレーザー用として、安定なアルカリ可溶性シリコーンポリマーであるポリヒドロキシベンジルシルセスキオキサンのフェノール性水酸基の一部をt−Boc基で保護したものをベースポリマーとして使用し、これと酸発生剤とを組み合わせたシリコーン系化学増幅ポジ型レジスト材料が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。また、ArFエキシマレーザー用としては、シクロヘキシルカルボン酸を酸不安定基で置換したタイプのシルセスキオキサンをベースにしたポジ型レジストが提案されている(例えば、特許文献2〜3、非特許文献2参照)。更に、F2レーザー用としては、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶解性基として持つシルセスキオキサンをベースにしたポジ型レジストが提案されている(例えば、特許文献4参照)。上記ポリマーは、トリアルコキシシラン、又はトリハロゲン化シランの縮重合によるラダー骨格を含むポリシルセスキオキサンを主鎖に含むものである。
【0006】
珪素が側鎖にペンダントされた高分子シリコーン化合物としては、珪素含有(メタ)アクリルエステル系ポリマーが提案されている(例えば、特許文献5、非特許文献3参照)。
【0007】
二層レジストプロセスに用いるレジスト下層膜としては、例えば酸素ガスによるエッチングが可能な炭化水素化合物等を挙げることができ、更にその下の基板をエッチングする場合におけるマスクになるため、基板エッチング時には高いエッチング耐性を有することが望ましい。レジスト上層膜をマスクにしたレジスト下層膜のエッチングが、酸素ガスエッチングによる場合は、レジスト下層膜は珪素原子を含まない炭化水素のみで構成されるのが望ましい。また、珪素原子を含有したレジスト上層膜の線幅制御性を向上させ、定在波によるパターン側壁の凹凸とパターンの崩壊を低減させるためには、レジスト下層膜は、反射防止膜としての機能も有し、具体的には、レジスト下層膜からレジスト上層膜内への反射率を1%以下に抑えることができるのが望ましい。
【0008】
一方、珪素を含まない単層レジストをレジスト上層膜、その下に珪素を含有するレジスト中間層膜、更にその下に有機膜のレジスト下層膜を積層する三層レジストプロセスが提案されている(例えば、非特許文献4参照)。
一般的には珪素含有レジストより珪素を含まない単層レジストの方が解像性に優れ、三層レジストプロセスでは高解像な単層レジストを露光イメージング層として用いることができる。
レジスト中間層膜としては、スピンオングラス(SOG)膜が用いられ、多くのSOG膜が提案されている。
【0009】
ここで三層レジストプロセスにおける基板反射を抑えるための最適なレジスト下層膜の光学定数は二層レジストプロセスにおけるそれとは異なっている。
基板反射をできるだけ抑え、具体的には1%以下にまで低減させる目的は二層レジストプロセスも三層レジストプロセスも変わらないのであるが、二層レジストプロセスはレジスト下層膜だけに反射防止効果を持たせるのに対して、三層レジストプロセスはレジスト中間層膜とレジスト下層膜のどちらか一方あるいは両方に反射防止効果を持たせることができる。
【0010】
ところで、反射防止効果を付与させた珪素含有層材料が、例えば、特許文献6〜7などで提案されている。
単層の反射防止膜よりも多層反射防止膜の方が反射防止効果が高いこともよく知られており、光学部品あるいは眼鏡などの反射防止膜として広く工業的に用いられている。
珪素含有レジスト中間層膜とレジスト下層膜の両方に反射防止効果を付与させることによって高い反射防止効果を得ることができるのである。
【0011】
一方、三層レジストプロセスの場合のレジスト下層膜としては、反射防止膜としての効果以外に基板加工における高いエッチング耐性が要求される。
そのために、エッチング耐性が高く、芳香族基を多く含有し、炭素原子の割合が高いポリマーを三層プロセス用下層膜として用いるのが好ましい。
【0012】
このような中、最近、基板の被加工層として、低誘電率絶縁膜が用いられるようになってきた。比誘電率2.5以下を達成するための低誘電率絶縁膜として、比誘電率が1の空孔を有するポーラスシリカが検討されている。
しかしながら、ポーラスシリカベースの低誘電率絶縁膜を用いた場合の問題点の一つとして、現像後のポジ型レジストの裾引き(ポイゾニング)が挙げられる。この原因として、空孔部分にアミン性の物質が吸着し、レジストパターニングプロセス中、特にベーク中に空孔部分からアミン性物質が遊離してレジスト下層膜を通り越して上層レジスト中の酸と中和反応することによって裾引きが生じると考えられている(例えば、非特許文献5参照)。このため、アミン性物質が原因で生じる上層レジストの裾引きなどの悪影響を低減できるレジスト下層膜の開発が望まれている。
【0013】
ポイゾニングを防止する方法として、加熱などによってスルホン酸残基が発生する下層膜(例えば特許文献8、9)、高分子型フルオロスルホン酸のアミン塩を添加した下層膜(例えば特許文献10)が提案されている。酸性基を有するポリマーを添加した下層膜は、ベークによる酸の蒸発の心配がないが、酸性基が固定化されているために、ポイゾニングの原因となる基板から発生した塩基物質の中和能力が低い欠点がある。
【0014】
下層膜に酸、あるいは酸発生剤を添加することによってレジスト形状を改善する方法は従来からもよく知られており、シリコーン樹脂にアンチモネートが発生するアンモニウム塩を添加した三層レジストプロセス用中間膜(例えば特許文献11)、酸発生剤を添加した三層レジストプロセス用中間膜(例えば特許文献12)などが提案されている。
【0015】
添加型の酸発生剤の場合は、発生した酸が膜内に残存している場合、耐ポイゾニング能力が高いが、架橋時のベークによる酸の蒸発によって耐ポイゾニング能力が低下するという問題が生じる。超強酸であるパーフルオロスルホン酸は、高い耐ポイゾニング効果が期待されるが、沸点が低いためにベーク時に蒸発してしまい、耐ポイゾニング効果が低下する。カンファースルホン酸などのアルキルスルホン酸は、沸点が高いが弱酸であるためにアミントラップ能が低い。アンチモネートなどの無機酸は強酸かつ高沸点であるが、金属酸は半導体用途には用いることが出来ない。アンモニウム塩はヨードニウム塩、スルホニウム塩などのオニウム塩よりも熱分解温度が低く、低温のベークによって酸を発生させ、膜を硬化させることが出来る。ベーク温度が下がることは、酸の蒸発を防いで耐ポイゾニング効果が向上することになる。
ここで、トルエンスルホン酸のアンモニウム塩型の酸発生剤が添加された下層膜(例えば特許文献13、14)、ノナフルオロブタンスルホネートトリエチルアミン塩の本文中の例示(例えば特許文献15)、およびノナフルオロブタンスルホネートトリプロピルアミン塩の実施例(例えば特許文献16)が示されている。また、αジフルオロスルホン酸を発生させるスルホニウム塩、ヨードニウム塩(特許文献17)、αβテトラフルオロスルホン酸を発生させるスルホニウム塩、ヨードニウム塩(特許文献18)が提案されている。
ポイゾニング耐性を上げるために、超強酸かつ高沸点の酸が発生するアンモニム塩を添加した中間層膜および下層膜の開発が望まれているのである。
【0016】
【特許文献1】特開平6−118651号公報
【特許文献2】特開平10−324748号公報
【特許文献3】特開平11−302382号公報
【特許文献4】特開2002−55456号公報
【特許文献5】特開平9−110938号公報
【特許文献6】米国特許第6506497号
【特許文献7】米国特許第6420088号
【特許文献8】特開2004−177666号公報
【特許文献9】特開2004−179393号公報
【特許文献10】特願2005−120636号
【特許文献11】特開平5−267158号公報
【特許文献12】特開平5−291130号公報
【特許文献13】特開2003−114533号公報
【特許文献14】特開2005−331951号公報
【特許文献15】特開2002−372829号公報
【特許文献16】特開2004−28506号公報
【特許文献17】特開2004−531749号公報
【特許文献18】特開2004−2252号公報
【非特許文献1】SPIE vol.1925(1993) p377
【非特許文献2】SPIE vol.3333 (1998) p62
【非特許文献3】J. Photopolymer Sci. and Technol. Vol. 9 No.3(1996) p435−446
【非特許文献4】J.Vac.Sci.Technol.,16(6),Nov./Dec.1979
【非特許文献5】J. Photopolymer Sci. and Technol. Vol.16 No.3(2003) p351−361
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、多層レジストプロセス用、特には二層レジストプロセス用、三層レジストプロセス用のレジスト中間層および下層膜材料であって、高沸点でしかも超強酸が発生することによって、ベーク後も多くの量の酸が膜内に残存することにより基板からのアミン性の汚染物質を中和する機能が高く、これにより、上層レジストパターンの裾引きなどの悪影響を低減できるレジスト中間層および下層膜材料、及びこれを用いてリソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、化学増幅型フォトレジスト層の下層を形成するためのレジスト下層膜材料であって、
架橋性のポリマーと、
下記一般式(1a)
1CF2SO3-(R24+ (1a)
(上式中、R1は、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基で、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、二重結合、又は炭素数6〜20のアリール基を有していても良く、水素原子がフッ素で置換されていても良いが、水素原子の全てがフッ素原子で置換されることはない基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基で、水素原子がフッ素で置換されていても良いが、水素原子の全てがフッ素原子で置換されることはない基であり、
2は相互に独立に水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基、又はヒドロキシ基もしくはアミノ基を有するアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、又はR2のいずれか2つ以上が相互に結合して式中のNと共に環を形成してもよい基である。)
で示される100℃以上の加熱により酸を発生する熱酸発生剤と
を含んでなるレジスト下層膜材料、及び基板の被加工部上にこのレジスト下層膜材料を用いて形成されたレジスト下層膜を備えるレジスト下層膜基板を提供する。
また、本発明は、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、基板の被加工部上に、このレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成する工程と、該レジスト下層膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して少なくとも二層の多層レジスト膜とする工程と、該多層レジスト膜のパターン回路領域を露光する工程と、該露光後に、現像液で現像してレジスト上層膜にレジストパターンを形成する工程と、該レジストパターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにしてレジスト下層膜及び基板の被加工部をエッチングして基板にパターンを形成する工程とを少なくとも含んでなるパターン形成方法を提供する。
パターン形成方法の好ましい一つの実施の形態では、上記レジスト下層膜を形成する工程が、上記架橋性のポリマーが珪素原子を含有するレジスト下層膜材料を用いるものであり、上記多層レジスト膜とする工程が、珪素原子を含有しないフォトレジスト組成物を用いるものであり、上記基板にパターンを形成する工程が、上記フォトレジストパターンが形成された上層膜をマスクにして上記下層膜をエッチングし、次いで該下層膜をマスクにして基板の被加工部をエッチングして基板にパターンを形成する工程である。
パターン形成方法の好ましい別の実施の形態では、上記レジスト下層膜を形成する工程が、上記架橋性のポリマーが、珪素原子とチタン原子とゲルマニウム原子のいずれも含有しないが、炭素を50質量%以上含有するレジスト下層膜材料を用いるものであり、上記多層レジスト膜とする工程が、珪素原子を含有するフォトレジスト組成物を用いるものであり、上記基板にパターンを形成する工程が、上記フォトレジストパターンが形成された上層膜をマスクにして上記下層膜をエッチングし、次いで該下層膜をマスクにして基板の被加工部をエッチングして基板にパターンを形成する工程である。
パターン形成方法の好ましい更に別の実施の形態では、上記レジスト下層膜を形成する工程が、上記架橋性のポリマーが、珪素原子とチタン原子とゲルマニウム原子のいずれも含有しないが、炭素を50質量%以上含有するレジスト下層膜材料を用いるものであり、上記多層レジスト膜とする工程が、上記下層膜の上に珪素原子を含有する中間層を形成する段階と、該中間層の上に珪素原子を含有しないフォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成する段階とを含み、上記基板にパターンを形成する工程が、上記フォトレジストパターンが形成された上層膜をマスクにして上記中間膜層をドライエッチングし、該フォトレジストパターン層を除去後、該中間膜層をマスクにして上記下層膜をエッチングし、次いで該下層膜をマスクにして基板の被加工部をエッチングする工程である。
上記基板の被加工部は、好ましい実施の形態の一つでは、比誘電率が3.5以下の低誘電率膜又は窒化膜である。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明のレジスト下層膜材料を用いて形成したレジスト下層膜は、レジスト中間層膜と併せることで優れた反射防止効果を示すとともに、基板から遊離するアミン性物質によるレジスト上層膜への悪影響を低減できる。したがって、三層レジストプロセスのレジスト下層膜として用いれば、さらに高精度で基板にパターンを形成することができる。
レジスト上層膜として、珪素原子を含有しないものは、珪素原子を含有するものと比較して、解像性に優れるという利点がある。したがって、レジスト中間層膜に転写されるパターン、さらには、該レジスト中間層膜をマスクにして酸素ガスを主体とするドライエッチングにより下層膜に転写されるパターンも高精度にできる。従って、このようにパターンが転写されたレジスト下層膜をマスクにして基板をエッチングし、基板にパターンを形成すれば、より高精度のパターンを形成することができる。
本発明によれば、レジスト下層膜材料に前記酸発生剤を添加することで、ベーク時にも酸が揮発せず、レジストパターニングプロセス中には、基板からのアミン性の汚染物質を中和することができる。このため、上層レジストの裾引きなどの悪影響を低減でき、極めて高精度のパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前述のように、ポーラスシリカベースの低誘電率絶縁膜を用いた場合、空孔部分にアミン性の物質が吸着し、レジストパターニングプロセス中、特にベーク中に空孔部分からアミン性物質が遊離してレジスト下層膜を通り越して上層レジスト中の酸と中和反応することによって裾引きなどが生じていた。このため、レジスト上層膜に高精度のレジストパターンを形成することが困難であるという問題が生じていた。
【0021】
本発明者らは、このような問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、沸点が高くかつ超強酸を発生させる熱酸発生剤をレジスト下層膜材料に添加すれば、該酸発生剤は、レジスト下層膜を架橋させるためなどのベークによって揮発することがなく、ポーラスシリカからの汚染物質をレジスト下層膜で中和できることに想到し、さらに、レジスト下層膜材料に適した熱酸発生剤を精査することで、本発明をなすに至った。
【0022】
すなわち、本発明のレジスト下層膜材料は、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜材料であって、少なくとも、酸発生剤として、αジフルオロスルホン酸のアミン塩による熱酸発生剤、すなわち下記一般式(1a)で示される化合物を含むものであることを特徴とするものである。
1CF2SO3-(R24+ (1a)
(上式中、R1は、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基で−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、ヒドロキシ基、二重結合、炭素数6〜20のアリール基を有していても良く、水素原子がフッ素で置換されていても良いが、水素原子の全てがフッ素原子で置換されることはなく、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、水素原子がフッ素で置換されていても良いが、水素原子の全てがフッ素原子で置換されることはない。R2は、相互に独立に水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のオキソアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のヒドロキシ基もしくはアミノ基を有するアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアラルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2のいずれか2つ以上が相互に結合して式中のNと共に環を形成してもよい。)
【0023】
本発明のレジスト下層膜材料およびこれを用いて作成した下層膜基板は、上記一般式(1a)で示される、αジフルオロスルホン酸を発生させるアンモニウム塩型の酸発生剤を添加した新規な材料である。この酸発生剤は、ベークして、レジスト下層膜材料中のベースポリマーを架橋させる際などにも、揮発量が極めて低い。このため、レジストパターニングプロセス中に基板からアミン性物質が遊離しても、この酸発生剤によりレジスト下層膜中で中和することができる。したがって、本発明のレジスト下層膜材料を用いれば、上層レジストの裾引きなどの悪影響を低減でき、極めて高精度のパターンを形成することができる。
ここでαジフルオロスルホン酸としては一般式(2a)に示される。R1は前述と同様である。
1CF2SO3- (2a)
(2a)に示されるアニオンとしては具体的には下記に例示することが出来る。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
そして、上記一般式(1a)で示される酸発生剤を合成するには、上記アニオンのスルホン酸とアンモニウム化合物(アミン化合物)とを反応させる方法が挙げられる。スルホン酸とアンモニウム化合物との中和反応は室温で進行し、水中あるいはメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒中で行っても良い。
【0028】
そして、この場合、前記一般式(1a)中の(R24+を形成するアミン化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、(アルコール基、アルコキシ基、エステル基を有する)アルコール性含窒素化合物、および第四級アンモニウム体等が挙げられる。
【0029】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示される。
第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0030】
混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
芳香族アミン類及び複素環アミン類としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジ−n−ヘキシルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0031】
水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール等が例示される。
【0032】
第四級アンモニウム体としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0033】
更に下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種または2種以上を挙げることもできる。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは、同一でも異なっていても良く、例えば下記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一または異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成しても良い。)
【0034】
【化4】

【0035】
ここでR300、R302、R305は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基とエーテル基とエステル基とラクトン環から選ばれる一以上を含んでいても良い。
303は、単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R306は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基とエーテルとエステル基とラクトン環から選ばれる一以上を含んでいても良い。
【0036】
一般式(B)−1で表される化合物は具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0037】
更に下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基化合物の1種あるいは2種以上を挙げることもできる。
【0038】
【化5】

(上式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基とエーテル基とエステル基とスルフィドから選ばれる一以上を含んでいても良い。)
【0039】
上記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基化合物としては、具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル、ウンデカン酸2−モルホリノエチル等を挙げることができる。
【0040】
更に、一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む塩基化合物を挙げることができる。
【0041】
【化6】

(上式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は、同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0042】
上記シアノ基を含む塩基化合物としては、具体的には3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
【0043】
酸発生剤には、光酸発生剤と熱酸発生剤があるが、一般式(1a)の酸発生剤は、好ましくは、100℃以上の加熱により酸を発生する熱酸発生剤である。100℃以上で酸を発生することが好ましいのは、加熱による酸発生と架橋反応を同時に行うことができ、室温保存では酸が発生しないので保存安定性に優れるからである。
【0044】
レジスト下層膜材料中の一般式(1a)の酸発生剤の好ましい含有量は、レジスト下層膜材料中のポリマー(ベースポリマー)100質量部に対して好ましくは0.1〜50質量部である。この範囲では、基板からのアミン性の汚染物質を中和する機能がより高く、これにより、上層レジストパターンの裾引きなどの悪影響をより低減できるからである。また、0.1質量部未満では、膜架橋不足のために上層となるレジスト及び中間膜とのミキシングが発生する場合があり、50質量部を超えると、膜にクラックが発生する場合があるからである。
【0045】
次に、本発明のレジスト下層膜材料中のベースポリマーは、特に限定されないが、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ又はオキセタンなどの環状エーテルによる架橋基を有するものが好ましく、また、珪素原子を含有せず炭化水素からなるものが好ましく、さらに、分子量1000〜100,000の高分子化合物であるのが好ましい。
【0046】
具体的には、スチレン誘導体、インデン、インドール、メチレンインダン、アセナフチレン、(メタ)アクリル誘導体、ノルボルナジエン誘導体、ノルボルネン誘導体、無水マレイン酸、マレイミド誘導体、ビニルナフタレン誘導体、ビニルアントラセン誘導体、ビニルエーテル誘導体、アリルエーテル誘導体、(メタ)アクリロニトリル、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールなどの重合性不飽和結合を有するモノマーの重合体が挙げられる。なお、(メタ)アクリルは、メタクリル及び/又はアクリルを意味する。
【0047】
次には、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロール、チモール、1−ナフトール、2−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール及び1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン、3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチル、インデン、ヒドロキシアントラセン、アセナフチレン、ビフェニル、ビスフェノール、トリスフェノール、イソチモール、ジシクロペンタジエン、ビシクロ(4,3,0)ノナ−3,7−ジエン、4−ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、5−ビニルノルボルナ−2−エン、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ポリインデン、ポリアセナフチレン、ポリスチレン、4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメチル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジアリル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフルオロ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフェニル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメトキシ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’,4,4’−ヘキサメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−5,5’−ジオール、5,5‘−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオールなどをアルデヒド類と縮合させたノボラック樹脂が挙げられる。
ここでジシクロペンタジエン、ビシクロ(4,3,0)ノナ−3,7−ジエン、4−ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、5−ビニルノルボルナ−2−エン、α−ピネン、β−ピネン、リモネンなどとフェノール類との共縮合においては、必ずしもアルデヒド類は必要ではない。
【0048】
上記に例示したように、本発明のレジスト下層膜材料中のベースポリマーは、珪素原子とチタン原子とゲルマニウム原子のいずれも含有せず、炭素を50質量%以上含有するものが好ましい。下層膜の上層の中間膜に珪素原子を含んでいる場合、中間膜のパターンをマスクにして酸素ガス、水素ガスエッチングによる下層膜加工の選択比を高くできる点において、レジスト下層膜材料中のベースポリマーは珪素原子とチタン原子とゲルマニウム原子のいずれも含まないことが好ましい。また、被加工基板のドライエッチング耐性が必要なため、炭素を50質量%以上含有することが好ましい。
また、本発明のレジスト下層膜材料中のベースポリマーは、珪素原子を含むものであってもよい。具体的には、架橋基と光吸収基を有するポリシルセスキオキサン等が挙げられる。珪素原子の含有量は、好ましくは10〜50質量%である。
【0049】
また、本発明では、レジスト下層膜材料が、さらに架橋剤、上記一般式(1a)で示されるもの以外の酸発生剤、有機溶剤のうちいずれか一つ以上のものを含有するものであるのが好ましい。
【0050】
ここで、レジスト下層膜に要求される性能の一つとして、レジスト上層膜とのインターミキシングがないこと、レジスト上層膜ヘの低分子成分の拡散がないことが挙げられる(例えば、Proc.SPIE Vol.2195、p225−229(1994)参照)。これらを防止するために、一般的にレジスト下層膜をスピンコート法などで基板に形成後、ベークで熱架橋するという方法がとられている。そのため、レジスト下層膜材料の成分として架橋剤を添加する場合、ポリマーに架橋性の置換基を導入するようにしてもよい。
【0051】
本発明で使用可能な架橋剤の具体例を列挙すると、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基などの二重結合を含む化合物等を挙げることができる。これらは添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0052】
前記架橋剤の具体例のうち、エポキシ化合物としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルおよび前記ベースポリマーのヒドロキシ基がグリシジルエーテル化されたポリマーなどが例示される。
【0053】
メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物及びその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。
グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物及びその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物及びその混合物が挙げられる。
【0054】
グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル基化した化合物、又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。
ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル基化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。
【0055】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
アジド化合物としては、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジドが挙げられる。
【0056】
アルケニルエーテル基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどが挙げられる。
【0057】
本発明のレジスト下層膜材料に含まれる重合体において架橋基としてエポキシやオキセタンを有する場合は、ヒドロキシ基を含む化合物の添加が有効である。特に分子内に2個以上のヒドロキシ基を含む化合物が好ましい。ヒドロキシ基を含む化合物としては、例えば、ナフトールノボラック、m−及びp−クレゾールノボラック、ナフトール−ジシクロペンタジエンノボラック、m−及びp−クレゾール−ジシクロペンタジエンノボラック、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカン、ペンタエリトリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、4,4’,4’’−メチリデントリスシクロヘキサノール、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスシクロヘキサノール、[1,1’−ビシクロヘキシル]−4,4’−ジオール、メチレンビスシクロヘキサノール、デカヒドロナフタレン−2,6−ジオール、[1,1’−ビシクロヘキシル]−3,3’,4,4’−テトラヒドロキシなどのアルコール基含有化合物、ビスフェノール、メチレンビスフェノール、2,2’−メチレンビス[4−メチルフェノール]、4,4’−メチリデン−ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4’−(1−メチル−エチリデン)ビス[2−メチルフェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2,6−ジーメチルフェノール]、4,4’−オキシビスフェノール、4,4’−メチレンビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、4,4’−メチレンビス[2−メチルフェノール]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−(1,2−エタンジイル)ビスフェノール、4,4’−(ジエチルシリレン)ビスフェノール、4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4’’−メチリデントリスフェノール、4,4’−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’,4’’−エチリジントリス[2−メチルフェノール]、4,4’,4’’−エチリジントリスフェノール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、4,4’,4’’,4’’’−(1,2−エタンジイリデン)テトラキスフェノール、4,4’,4’’,4’’’−エタンジイリデン)テトラキス[2−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、4,4’,4’’,4’’’−(1,4−フェニレンジメチリジン)テトラキスフェノール、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)1,3−ベンゼンジオール、2,4’,4’’−メチリデントリスフェノール、4,4’,4’’’−(3−メチル−1−プロパニル−3−イリデン)トリスフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3−フロロフェニル)メチル]−4−フルオロフェノール、2,6−ビス[4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル]メチル]−4−フルオロフェノール、3,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、p−メチルカリックス[4]アレン、2,2’−メチレンビス[6−[(2,5/3,6−ジメチル−4/2−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス[6−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’,4’’,4’’’−テトラキス[(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリデン)]フェノール、6,6’−メチレンビス[4−(4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,2,3−ベンゼントリオール、3,3’,5,5’−テトラキス[(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−[(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール]などのフェノール低核体が挙げられる。
また、上記ヒドロキシ含有化合物のヒドロキシ基をグリシジルエーテルとした架橋剤を添加してもよい。
【0058】
本発明のレジスト下層膜材料における架橋剤の配合量は、レジスト下層膜材料中のベースポリマー(全樹脂分)100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、特に10〜40質量部が好ましい。5質量部未満であるとレジストとミキシングを起こす場合があり、50質量部を超えると反射防止効果が低下したり、架橋後の膜にひび割れが入ることがある。
【0059】
本発明のレジスト下層膜材料は、上記一般式(1a)で示される熱酸発生剤を含むものであることを特徴とするが、従来から提案されている酸発生剤を添加することもできる。
【0060】
このようなモノマー型の酸発生剤としては、
i.) 下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.) 下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.) 下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.) 下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.) 下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.) β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.) ジスルホン誘導体、
viii.) ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.) スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0061】
【化7】

(上式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。R101d、R101e、R101f、R101gは、R101a、R101b、R101cに水素原子を加えて示される。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基、又は上記式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を示す。)
【0062】
上記R101a、R101b、R101c、R101d、R101e、R101f、R101gは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。オキソアルケニル基としては、2−オキソ−4−シクロヘキセニル基、2−オキソ−4−プロペニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0063】
また、R101d、R101e、R101f、R101gが式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環は、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0064】
(P1a−1)と(P1a−2)は光酸発生剤、熱酸発生剤の両方の効果があるが、(P1a−3)は熱酸発生剤として作用する。
【0065】
【化8】

(上式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0066】
上記R102a、R102bのアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bの2−オキソアルキル基としては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K-は式(P1a−1)、(P1a−2)及び(P1a−3)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0067】
【化9】

(上式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0068】
105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0069】
【化10】

(上式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R105は(P2)式のものと同様である。)
【0070】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0071】
【化11】

(上式中、R101a、R101bは前記と同様である。)
【0072】
【化12】

(上式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0073】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0074】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0075】
モノマー型の酸発生剤は、具体的には、オニウム塩としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ピリジニウム、カンファースルホン酸トリエチルアンモニウム、カンファースルホン酸ピリジニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラフェニルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩を挙げることができる。
【0076】
ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体を挙げることができる。
【0077】
グリオキシム誘導体としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体を挙げることができる。
【0078】
ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体を挙げることができる。
【0079】
β−ケトスルホン誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン誘導体を挙げることができる。
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン誘導体、ジシクロヘキシルジスルホン誘導体等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0080】
ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げることができる。
スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。
【0081】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が挙げられる。
【0082】
特に、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、
ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、
ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、
ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、
N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
【0083】
レジスト下層膜材料中の一般式(1a)以外の酸発生剤は、任意の成分であり、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
更に、本発明のレジスト下層膜材料には、保存安定性を向上させるための塩基性化合物を配合することができる。
塩基性化合物は、保存中等に酸発生剤より微量に発生した酸が架橋反応を進行させるのを防ぐための、酸に対するクエンチャーの役割を果たす。
【0085】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0086】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示される。
第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0087】
混成アミン類として、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0088】
芳香族アミン類及び複素環アミン類として、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0089】
カルボキシ基を有する含窒素化合物として、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示される。
スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示される。
【0090】
水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物として、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0091】
アミド誘導体として、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
イミド誘導体として、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0092】
レジスト下層膜材料中の塩基性化合物の配合量は、レジスト下層膜材料中の全ベースポリマー100質量部に対して好ましくは0.001〜2質量部、特に好ましくは0.01〜1質量部である。配合量が0.001質量部より少ないと配合効果が少ない場合があり、2質量部を超えると熱で発生した酸を全てトラップして架橋しなくなる場合がある。
【0093】
本発明のレジスト下層膜材料において使用可能な有機溶剤としては、前記のベースポリマー、酸発生剤、架橋剤、その他添加剤等が溶解するものであれば特に制限はない。その具体例を列挙すると、シクロヘキサノン、メチル−2−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル,プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合使用できるが、これらに限定されるものではない。本発明のレジスト下層膜材料においては、これら有機溶剤の中でもジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及びこれらの混合溶剤が好ましく使用される。
【0094】
レジスト下層膜材料中の有機溶剤の配合量は、レジスト下層膜材料中の全ベースポリマー100質量部に対して200〜10,000質量部が好ましく、特に300〜5,000質量部とすることが好ましい。
【0095】
本発明は、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、本発明のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を基板上に形成し、該下層膜の上にフォトレジスト組成物のレジスト上層膜を形成して二層レジスト膜を形成し、該二層レジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してレジスト上層膜にレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにしてレジスト下層膜をエッチングし、さらに、少なくともパターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
【0096】
このような二層レジストプロセスについて、図1を参照して説明する。
本発明のレジスト下層膜12は、フォトレジスト組成物と同様にスピンコート法などで基板11上に形成することが可能である。スピンコート法などでレジスト下層膜12を形成した後、有機溶剤を蒸発させ、レジスト上層膜13とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜400℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。なお、このレジスト下層膜12の厚さは適宜選定されるが、50〜20,000nm、特に100〜15,000nmとすることが好ましい。レジスト下層膜12を形成した後、その上にレジスト上層膜13を形成する(図1(a)参照)。
【0097】
二層レジストプロセスにおいて、レジスト上層膜13を形成するためのフォトレジスト組成物としては、レジスト下層膜中のポリマーが珪素原子とチタン原子とゲルマニウム原子のいずれも含有しないときは、好ましくは珪素原子を含有するものを使用することができる。一方、レジスト下層膜中のポリマーが珪素原子を含有するときは、レジスト上層膜用組成物としては、好ましくは珪素原子を含有しないものを使用することができる。すなわち、レジスト下層膜とレジスト上層膜用組成物のいずれか一方が珪素原子を含有することによって、エッチングの選択比を高くできる。
【0098】
二層レジストプロセス用の珪素含有レジストとしては、好ましくは、酸素ガスエッチング耐性の点から、ベースポリマーとしてポリシルセスキオキサン誘導体、ビニルシラン誘導体、ポリヘドラルオリゴシルセスキオキサン(POSS)ペンダント(メタ)アクリレート等の珪素原子含有ポリマーを使用し、更に有機溶剤、酸発生剤、必要により塩基性化合物等を含むポジ型等のフォトレジスト組成物が使用される。これらは、特に限定されず、公知のものが使用される。
二層レジストプロセスの珪素を含有しないレジスト上層膜用組成物としては、例えば、ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリレート、ノルボルネン−無水マレイン酸共重合体、ポリノルボルネン、又はメタセシス開環重合ポリマーを含む組成物が挙げられる。
【0099】
上記フォトレジスト組成物によりレジスト上層膜13を形成する場合、前記レジスト下層膜12を形成する場合と同様に、スピンコート法が好ましく用いられる。レジスト上層膜13をスピンコート法などで形成後、プリベークを行うが、80〜180℃で、10〜300秒の範囲で行うのが好ましい。その後、常法に従い、二層レジスト膜のパターン回路領域15の露光を行い(図1(b)参照)、好ましくは50〜150℃でポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターンを得る(図1(c)参照)。
なお、レジスト上層膜13の厚さは特に制限されないが、30〜500nm、特に50〜400nmが好ましい。
露光光としては、波長300nm以下の高エネルギー線、具体的には248nm、193nm、157nmのエキシマレーザー、3〜20nmの軟X線、電子ビーム、X線等を挙げることができる。
現像は、アルカリ水溶液を用いたパドル法、ディップ法などが用いられ、特にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%水溶液を用いたパドル法が好ましく用いられ、好ましくは室温で10秒〜300秒の範囲で行われ、例えば、その後純水でリンスし、スピンドライあるいは窒素ブロー等によって乾燥される。
【0100】
次に、得られたレジストパターンをマスクにしてエッチングを行う。
二層レジストプロセスにおけるレジスト下層膜12のエッチングは酸素ガスを主体とするドライエッチングなどで行うことができる(図1(d)参照)。酸素ガスを主体とするドライエッチングの場合、酸素ガスに加えて、He、Arなどの不活性ガスや、CO、CO2、NH3、SO2、N2、NO2ガスを加えることも可能である。特に後者のガスはパターン側壁のアンダーカット防止のための側壁保護のために用いられる。また酸素ガスの代わりに水素ガスを用いることもできる。
【0101】
次の基板11のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば基板がSiO2、SiN、SiON、ポーラスシリカなどの低誘電率絶縁膜およびそのエッチングストッパー膜であればフロン系ガスを主体としたエッチング、ポリシリコン(p−Si)やAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う(図1(e))。
基板加工をフロン系ガスでエッチングした場合、二層レジストプロセスの珪素含有レジストは基板加工と同時に剥離される。
塩素系、臭素系ガスで基板をエッチングした場合は、珪素含有レジストの剥離は基板加工後にフロン系ガスによるドライエッチング剥離を別途行う必要がある。
【0102】
図1に示すように基板11は、エッチングを受ける被加工部11bとエッチングを受けないベース部11aに分けることができる。被加工部は、SiO2、SiN、SiON等の基板自体の一部でも、基板の一部として基板上に設けたシリカの多孔質膜等の低誘電率絶縁膜であってもよい。配線間の漏電を防止する点において、好ましくは、比誘電率が3.5以下の低誘電率膜又は窒化膜である。3.5以下の低誘電率膜としては、空隙を有するシリカ(ポーラスシリカ)等が挙げられる。比誘電率は、静電容量法、プローブ法等で測定できる。特に水銀プローブ法が好ましく用いられ、その測定方法は特開2006−117763号公報(段落[0081]参照)に記載されている。
被加工部の厚さは、エッチングの条件等を考慮して選択できるが、好ましくは0.1〜10μmである。
【0103】
さらに、本発明は、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、本発明のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を基板上に形成し、該下層膜の上に珪素原子を含有するレジスト中間層膜を形成し、該中間層膜の上にフォトレジスト組成物のレジスト上層膜を形成して三層レジスト膜を形成し、該レジスト三層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してレジスト上層膜にレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにしてレジスト中間層膜をエッチングし、少なくともパターンが形成されたレジスト中間層膜をマスクにしてレジスト下層膜をエッチングし、さらに、少なくともパターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0104】
このような三層レジストプロセスについて、図2を参照して説明する。
先ず、前述の二層レジストプロセスと同様の方法により、基板21上にレジスト下層膜22を形成する。
次に、三層レジストプロセスの場合は、好ましくは、珪素原子とチタン原子とゲルマニウム原子のいずれも含まない下層膜22、その上に珪素含有のレジスト中間層膜24、更にその上に珪素を含まない単層レジスト層(レジスト上層膜23)を形成する(図2(a)参照)。
【0105】
三層レジストプロセスの珪素含有のレジスト下層膜22としては、好ましくは、珪素原子とチタン原子とゲルマニウム原子のいずれも含有しない、二層レジスト下層膜と同様なものを使用することができる。三層レジストプロセスのレジスト下層膜の好ましい厚さは、二層レジストプロセスのレジスト下層膜の好ましい厚さと同様である。
【0106】
三層レジストプロセスの珪素含有のレジスト中間層膜24としては、酸素ガスエッチング耐性等の点から、ベースポリマーとして架橋基を有するポリシルセスキオキサン誘導体、ポリヘドラルオリゴシルセスキオキサン(POSS)等の珪素原子含有ポリマーを使用するのが好ましく、さらに、有機溶剤、酸発生剤、必要により架橋剤等を添加する。レジスト中間膜の具体的組成としては、特開2004−310019号公報に記載にされている公知のものを使用できる。
レジスト中間層膜24は、通常下層膜と同様にスピンコート法と、好ましくは50〜150℃のベークによる架橋によって成膜される。レジスト中間層膜24の厚さは適宜選定されるが、10〜1,000nm、特に20〜500nmの範囲とすることが好ましい。
【0107】
三層レジストプロセスのレジスト上層膜23を形成するためのフォトレジスト組成物としては、好ましくは珪素原子を含有せず炭化水素からなる通常の公知のものを使用することができる。レジスト上層膜23の厚さは特に制限されないが、30〜500nm、特に50〜400nmの範囲であるのが好ましい。
【0108】
レジスト上層膜を形成後、常法に従い、三層レジスト膜のパターン回路領域25の露光を行い(図2(b)参照)、好ましくは60〜150℃のポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジスト上層膜にレジストパターンを得る(図2(c)参照)。
【0109】
次に、得られたレジストパターンをマスクにしてエッチングを行う。
三層レジストプロセスにおけるレジスト中間層膜24のエッチングは、フロン系のガス等を用いて行い、レジストパターンをマスクにしてレジスト中間層膜24の加工を行う(図2(d)参照)。次いで前記二層レジストプロセスと同様の酸素ガスを主体とするドライエッチングなどを行い、レジスト中間層膜24に転写されたパターンをマスクにしてレジスト下層膜22の加工を行う(図2(e)参照)。
【0110】
次の基板21のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば基板がSiO2、SiN、SiON、ポーラスシリカなどの低誘電率絶縁膜であればフロン系ガスを主体としたエッチング、ポリシリコン(p−Si)やAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う(図2(f)参照)。
【0111】
図2に示すように、基板21は、エッチングを受ける被加工部21bとエッチングを受けないベース部21aに分けることができる。被加工部は、SiO2、SiN、SiON等の基板自体の一部でも、基板の一部として基板上に設けたシリカの多孔質膜等の低誘電率絶縁膜であってもよい。配線間の漏電を防止する点において、好ましくは、比誘電率が3.5以下の低誘電率膜又は窒化膜である。3.5以下の低誘電率膜としては、空隙を有するシリカ(ポーラスシリカ)等が挙げられる。
被加工部の厚さは、エッチングの条件等を考慮して選択できるが、好ましくは0.1〜10μmである。
【0112】
二層レジストプロセスと三層レジストプロセスについて述べてきたが、四層以上のレジストについては、最上層が通常のレジスト、次が通常の反射防止膜、次が珪素を含有する中間層、最下層が珪素を含まない有機膜を挙げることができる。この場合、中間層と下層には本発明の材料を用いることができる。
【実施例】
【0113】
以下、合成例、比較合成例、実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
[熱酸発生剤の合成]
[合成例1]
トリエチルアンモニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(ピバロイルオキシ)プロパンスルホネート(TAG1)の合成
トリエチルアミンを冷水に溶解し、塩酸を加え反応液のpHが1〜3の範囲に調整した後、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(ピバロイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウム及びジクロロメタンを加えて撹拌を行った。分液した有機層を水洗浄し、洗浄後の有機層からジクロロメタンを減圧留去して得られた残渣にジエチルエーテルを加えて再結晶した。濾過、乾燥し目的物を収率75%で得た。
得られた物質の1H−NMR、IR、TOFMSスペクトルで構造を特定した。
【0114】
[合成例2]
テトラブチルアンモニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(ピバロイルオキシ)プロパンスルホネート(TAG2)の合成
市販のテトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロジェンスルフェートと1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(ピバロイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウム及びジクロロメタン、水を加えて撹拌を行った。分液した有機層を水洗浄し、洗浄後の有機層からジクロロメタンを減圧留去して得られた残渣にジエチルエーテルを加えて再結晶した。濾過、乾燥し目的物を収率75%で得た。
得られた物質の1H−NMR、IR、TOFMSスペクトルで構造を特定した。
【0115】
[合成例3]
トリエチルアンモニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(ベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート(TAG3)の合成
トリエチルアミンを冷水に溶解し、塩酸を加え反応液のpHが1〜3の範囲に調整した後、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(ベンゾイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウム及びジクロロメタンを加えて撹拌を行った。分液した有機層を水洗浄し、洗浄後の有機層からジクロロメタンを減圧留去して得られた残渣にジエチルエーテルを加えて再結晶した。濾過、乾燥し目的物を収率75%で得た。
得られた物質の1H−NMR、IR、TOFMSスペクトルで構造を特定した。
【0116】
[合成例4]
トリエチルアンモニウム 1,1−ジフルオロ−2−(1−ナフチル)エタンスルホネート(TAG4)の合成
特開2004−534719号公報の実施例1および2記載のようにして1,1−ジフルオロ−2−(1−ナフチル)エタンスルホン酸ナトリウムを合成し、トリエチルアミンを冷水に溶解し、塩酸を加え反応液のpHが1〜3の範囲に調整した水溶液およびジクロロメタンと混合し、分離した有機層を水で洗浄した。有機層を濃縮し生じた残渣にジエチルエーテルを投入し、再結晶精製を行ない、ろ過乾燥して目的物を得た。
【0117】
[合成例5]
トリエチルアンモニウム 1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート(TAG5)の合成
特開2004−2254号公報の合成例1記載の方法で1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホン酸ナトリウムを合成し、トリエチルアミンを冷水に溶解し、塩酸を加え反応液のpHが1〜3の範囲に調整した水溶液およびジクロロメタンと混合し、分離した有機層を水で洗浄した。有機層を濃縮し生じた残渣にジエチルエーテルを投入し、再結晶精製を行ない、ろ過乾燥して目的物を得た。
【0118】
[合成例6]
トリエチルアンモニウム 1,1−ジフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート(TAG6)の合成
特開2004−307387号公報に記載の方法で1,1−ジフルオロ-2-(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホン酸ナトリウム塩を合成し、トリエチルアミンを冷水に溶解し、塩酸を加え反応液のpHが1〜3の範囲に調整した水溶液およびジクロロメタンと混合し、分離した有機層を水で洗浄した。有機層を濃縮し生じた残渣にジエチルエーテルを投入し、再結晶精製を行ない、ろ過乾燥して目的物を得た。
【0119】
【化13】

【0120】
[比較合成例1]トリエチルアンモニウム パーフルオロブチルスルホネート(比較TAG1)の合成
トリエチルアミンを冷水に溶解し、塩酸を加え反応液のpHが1〜3の範囲に調整した後、パーフルオロブチルスルホン酸ナトリウム及びジクロロメタンを加えて撹拌を行った。分液した有機層を水洗浄し、洗浄後の有機層からジクロロメタンを減圧留去して得られた残渣にジエチルエーテルを加えて再結晶した。濾過、乾燥し目的物を収率75%で得た。得られた物質の1H−NMR、IR、TOFMSスペクトルで構造を特定した。
【0121】
【化14】

【0122】
[下層膜溶液の調整]
下層膜用のポリマー1として、m−クレゾールと1−ナフトールのホルムアルデヒドを用いた共縮合ノボラック樹脂(m−クレゾール:1−ナフトール比率80:20、Mw14000、Mw/Mn3.6)、下層膜用ポリマー2として4,4‘−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールのホルムアルデヒドにより縮合されたノボラック樹脂(Mw16000、Mw/Mn4.3)、下層膜用ポリマー3としてインデンと4−ヒドロキシスチレン共重合樹脂(インデン:4−ヒドロキシスチレン70:30、Mw14000、Mw/Mn1.7)、下層膜用ポリマー4として、1−ナフトールとジシクロペンタジエンの共縮合ノボラック樹脂(1−ナフトール:ジシクロペンタジエン比率70:30、Mw1200、Mw/Mn2.8)、下層膜用ポリマー5としてアセナフチレンと4−ヒドロキシスチレン共重合樹脂(アセナフチレン:4−ヒドロキシスチレン70:30、Mw3500、Mw/Mn1.66)を用いた。表1と表2に示す組成で下層膜溶液を混合し、0.2ミクロンサイズの高密度ポリプロピレンフィルターで濾過し下層膜溶液を調整した。
【0123】
[珪素含有中間層膜溶液の調整]
下記に示す珪素含有膜用シルセスキオキサンポリマーを下記組成で溶解し、0.2ミクロンサイズの高密度ポリプロピレンフィルターで濾過し珪素含有中間層膜を調整した。
【0124】
[下層膜および珪素含有中間層膜の調整]
下層膜形成材料と珪素含有中間層膜形成材料溶液をシリコン基板上に塗布後220℃で60秒間ベークし、下層膜としてはそれぞれ膜厚200nm(以下、実施例下層膜1〜13、比較例UDL−1と略称する)、中間層としては膜厚70nmの珪素含有膜を形成し(以下SOG1、SOG2と略称する)、J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおける下層膜UDL1〜13、比較下層膜UDL1、珪素含有中間層膜SOG1、SOG2の屈折率(n,k)を求めた。結果を表1と表2に示す。表中、「PGMEA」はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの略であり、「CyH」はシクロヘキサノンの略である。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
[レジスト上層膜材料の調製]
三層レジスト上層膜のベースポリマーとして下記重合体(単層レジストポリマー1)、二層レジスト上層膜のベースポリマーとして下記重合体(二層レジストポリマー1)を準備し、下記表3に示す組成で溶解後、0.2ミクロンサイズの高密度ポリプロピレンフィルターで濾過し上層レジスト溶液を調整した。
【0128】
[レジスト下層膜材料の調製]
下記の下層膜ポリマー1〜8を調製した。
【0129】
【化15】

【0130】
[現像後のレジストパターン形状の観察]
低誘電率膜基盤上レジストパターン形状の観察
シリコン基板上に信越化学工業製ポーラスシリカLK−0001をスピンコートし、400℃で60秒間ベークして比誘電率2.5の低誘電率絶縁膜を作成した。 低誘電率絶縁基板をトリエチルアミン溶液に浸し、80℃で10分間加熱し、アミン成分を低誘電率膜に吸着させた。
上記方法でアミン成分を吸着させた低誘電率絶縁基板に上記調製したレジストUDL1〜13,比較例UDL1の溶液を塗布して、220℃で60秒間ベークして膜厚200nmのレジスト下層膜を形成した。
【0131】
次に、上記調製したSOG1、2を上記UDL1〜4、UDL6〜12、比較例UDL1上に塗布して、200℃で60秒間ベークし、膜厚70nmのSOG1、SOG2膜を形成した。二層レジスト上層膜材料の溶液をUDL5上に塗布して、120℃で60秒間ベークし、膜厚130nmの二層レジスト上層膜を形成した。
次に、上記調製した単層レジスト上層膜材料の溶液をUDL1〜4、UDL6〜12、比較例UDL1上に塗布したSOG1、SOG2膜上に塗布して、120℃で60秒間ベークし、膜厚180nmの単層レジスト上層膜を形成した。
【0132】
次いで、ArF露光装置(ニコン社製;S307E、NA0.85、σ0.93、4/5輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、110℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間現像し、75nmL/S(ラインアンドスペース)のポジ型のパターンを得た。この得られたレジスト断面パターン形状を日立製作所製電子顕微鏡(S−4700)にて観察した結果を表4に示す。
【0133】
その結果、実施例1〜13のレジスト下層膜材料を用いた場合では、レジストと下地との界面付近でアミンで汚染された下地基盤からの影響がなく、裾引きやアンダーカットによる形状変化が起きておらず、矩形のパターンが得られていることを確認した。
【0134】
【表3】

【0135】
【化16】

【0136】
【表4】

【0137】
その結果、実施例1〜14のレジスト下層膜材料を用いた場合、レジスト上層膜と下地との界面付近では、アミンで汚染された下地基板からの影響がなく、裾引きやアンダーカットによる形状変化が起きておらず、矩形のパターンが得られていることが確認できた。
【0138】
SiN基盤上レジストパターン形状の観察
シリコン基板上にCVD法で作成した厚み100nmのSiN膜を作成した。調製したレジストUDL1〜13,比較例UDL1の溶液を塗布して、220℃で60秒間ベークして膜厚200nmのレジスト下層膜を形成した。
【0139】
次に、上記調製したSOG1、2を上記UDL1〜4、UDL6〜12、比較例UDL1上に塗布して、200℃で60秒間ベークし、膜厚70nmのSOG1、SOG2膜を形成した。二層レジスト上層膜材料の溶液をUDL5上に塗布して、120℃で60秒間ベークし、膜厚130nmの二層レジスト上層膜を形成した。
次に、上記調製した単層レジスト上層膜材料の溶液をUDL1〜4、UDL6〜12、比較例UDL1上に塗布したSOG1、SOG2膜上に塗布して、120℃で60秒間ベークし、膜厚180nmの単層レジスト上層膜を形成した。
【0140】
次いで、ArF露光装置(ニコン社製;S307E、NA0.85、σ0.93、4/5輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、110℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間現像し、75nmL/S(ラインアンドスペース)のポジ型のパターンを得た。この得られたレジスト断面パターン形状を日立製作所製電子顕微鏡(S−4700)にて観察した結果を表5に示す。
【0141】
【表5】

【0142】
その結果、実施例1〜13のレジスト下層膜材料を用いた場合では、レジストと下地との界面付近でSiN基盤からの影響がなく、裾引きやアンダーカットによる形状変化が起きておらず、矩形のパターンが得られていることを確認した。
【0143】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】二層レジストプロセスによる本発明のパターン形成方法の一例を示す説明図である。
【図2】三層レジストプロセスによる本発明のパターン形成方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0145】
11、21…基板
11a、21a ベース部
11b、21b 被加工部
12、22…レジスト下層膜
13、23…レジスト上層膜
15、25…パターン回路領域
24 レジスト中間層膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学増幅型フォトレジスト層の下層を形成するためのレジスト下層膜材料であって、
架橋性のポリマーと、
下記一般式(1a)
1CF2SO3-(R24+ (1a)
(上式中、R1は、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基で、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、ヒドロキシ基、二重結合、又は炭素数6〜20のアリール基を有していても良く、水素原子がフッ素で置換されていても良いが、水素原子の全てがフッ素原子で置換されることはない基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基で、水素原子がフッ素で置換されていても良いが、水素原子の全てがフッ素原子で置換されることはない基であり、
2は相互に独立に水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基、又はヒドロキシ基もしくはアミノ基を有するアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、又はR2のいずれか2つ以上が相互に結合して式中のNと共に環を形成してもよい基である。)
で示される100℃以上の加熱により酸を発生する熱酸発生剤と
を含んでなるレジスト下層膜材料。
【請求項2】
上記架橋性のポリマーが、珪素原子を含有する請求項1に記載のレジスト下層膜材料。
【請求項3】
上記架橋性のポリマーが、珪素原子とチタン原子とゲルマニウム原子のいずれも含有しないが、炭素を50質量%以上含有する請求項1に記載のレジスト下層膜材料。
【請求項4】
更に有機溶剤を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載のレジスト下層膜材料。
【請求項5】
基板の被加工部上に請求項1〜4のいずれかに記載のレジスト下層膜材料を用いて形成されたレジスト下層膜を備えるレジスト下層膜基板。
【請求項6】
上記基板の被加工部が、比誘電率が3.5以下の低誘電率膜又は窒化膜である請求項5に記載のレジスト下層膜基板。
【請求項7】
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、
基板の被加工部上に、請求項1〜4のいずれかに記載のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成する工程と、
該レジスト下層膜の上に、フォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して少なくとも二層の多層レジスト膜とする工程と、
該多層レジスト膜のパターン回路領域を露光する工程と、
該露光後に、現像液で現像してレジスト上層膜にレジストパターンを形成する工程と、
該レジストパターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにしてレジスト下層膜及び基板の被加工部をエッチングして基板にパターンを形成する工程と
を少なくとも含んでなるパターン形成方法。
【請求項8】
上記レジスト下層膜を形成する工程が、請求項2に記載のレジスト下層膜材料を用いるものであり、
上記多層レジスト膜とする工程が、珪素原子を含有しないフォトレジスト組成物を用いるものであり、
上記基板にパターンを形成する工程が、上記フォトレジストパターンが形成された上層膜をマスクにして上記下層膜をエッチングし、次いで該下層膜をマスクにして基板の被加工部をエッチングして基板にパターンを形成する工程である請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
上記レジスト下層膜を形成する工程が、請求項3に記載のレジスト下層膜材料を用いるものであり、
上記多層レジスト膜とする工程が、珪素原子を含有するフォトレジスト組成物を用いるものであり、
上記基板にパターンを形成する工程が、上記フォトレジストパターンが形成された上層膜をマスクにして上記下層膜をエッチングし、次いで該下層膜をマスクにして基板の被加工部をエッチングして基板にパターンを形成する工程である請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
上記レジスト下層膜を形成する工程が、請求項3に記載のレジスト下層膜材料を用いるものであり、
上記多層レジスト膜とする工程が、上記下層膜の上に珪素原子を含有する中間層を形成する段階と、該中間層の上に珪素原子を含有しないフォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成する段階とを含み、
上記基板にパターンを形成する工程が、上記フォトレジストパターンが形成された上層膜をマスクにして上記中間膜層をドライエッチングし、該フォトレジストパターン層を除去後、該中間膜層をマスクにして上記下層膜をエッチングし、次いで該下層膜をマスクにして基板の被加工部をエッチングする工程である請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
上記基板の被加工部が、比誘電率が3.5以下の低誘電率膜又は窒化膜である請求項7〜10のいずれかに記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−39815(P2008−39815A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209699(P2006−209699)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】