ロボット手首機構およびそれに取り付けられたエンドエフェクタ操作方法
【課題】 ロボット動作域に周辺機器等の配置が余儀なくされる場合、第6軸部駆動用モータの存在に基因してロボットの動作に制約が課されないようにする。
【解決手段】 エンドエフェクタ駆動台7は、傾動アーム5から独立した別部品で構成され、基準軸線2とで一平面を形成するように置かれた上下軸線を持つエンドエフェクタ装着部14の周囲に、センタから等距離にある複数の当接面17A,17B,17Cが形成される。傾動アーム5の下端には当接面17A,17B,17Cを着座させることができる接合座5Aが形成され、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15の傾動アーム5に対する位置を変更するとき、エンドエフェクタ装着部14における現用当接面17Aと異なる当接面17B,17Cを接合座5Aに付け替えることによりエンドエフェクタ駆動用モータ9を位置替えし、周囲物との干渉を回避できるようにした。
【解決手段】 エンドエフェクタ駆動台7は、傾動アーム5から独立した別部品で構成され、基準軸線2とで一平面を形成するように置かれた上下軸線を持つエンドエフェクタ装着部14の周囲に、センタから等距離にある複数の当接面17A,17B,17Cが形成される。傾動アーム5の下端には当接面17A,17B,17Cを着座させることができる接合座5Aが形成され、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15の傾動アーム5に対する位置を変更するとき、エンドエフェクタ装着部14における現用当接面17Aと異なる当接面17B,17Cを接合座5Aに付け替えることによりエンドエフェクタ駆動用モータ9を位置替えし、周囲物との干渉を回避できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボット手首機構およびそれに取り付けられたエンドエフェクタ操作方法に係り、詳しくは、基準軸線の回りに回転する回転アームの先端に傾動アームが軸承され、この傾動アームの下端で側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が周囲物と干渉するのを回避すべく配置替えできる機構ならびに配置替えされた形態でのロボット操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多関節型アーク溶接ロボットは一般的に6つの軸を備え、各軸の回転や傾動さらには旋回といった動作を重ね合わせて、溶接用トーチを所望する姿勢に保持すると共に、その先端を目的とする位置へ変位させる。図8の(a)はその一例のロボット30であり、それに示される6つの軸部は以下のものからなる。
【0003】
それらは、装着された溶接用トーチ(図示せず)を矢印31の方向へ旋回または回転させる第6軸部7、この第6軸部を支持する傾動アーム5に首振り等の矢印28方向の動作を与える第5軸部6、この第5軸部を先端に備える上アーム3を矢印32方向に回転させる第4軸部33、略水平に延びた姿勢であることの多い上アーム3の非回転部3Aを、直立した状態で傾動する下アーム34に対し矢印35方向へ回転して俯仰させる第3軸部36、下アーム34を旋回台37に対して矢印38方向に傾動させるための第2軸部39、旋回台37を基台上で矢印40のごとく水平に回すための第1軸部41である。
【0004】
このような溶接ロボットにおいては、第4軸線2の回りに回転する上アーム3のアーム本体3Bが左右いずれかの側に偏在されていることがある。このような形態の一例が特開2002−370190にも開示されている。詳しく述べれば、上アーム3は上記した非回転部3Aの外に、主として中空駆動シャフト3Cとそれに一体のアーム本体3Bとからなる回転部で形成される。
【0005】
アーム本体3Bは、その基端にあって第4軸線2を中心に持つ中空駆動シャフト3Cから第4軸線2の一方の側、図8(a)の例では右手から左後方を眺めた場合に右側へオフセットしており、その状態で第4軸線2に沿うように延ばされている。このアーム本体3Bの先端は、第4軸線2に直交して水平をなす交差軸線4の回りに傾動する傾動アーム5を片持ち的に支承する。
【0006】
このような片持ちオフセット形式の上アーム3が採用される所以は、(1)図9の(b)に示すように、溶接ワイヤや溶接用電力、シールドエア等を溶接用トーチ42に供給するために欠くことのできない一線式パワーケーブル16を、(a)の平面矢視にあるように第4軸線2上にできるだけ定置させ、ロボット動作域にある別装置等にケーブルが触れたり絡んだりするのを可及的に少なくできることである。
【0007】
さらに、(2)傾動アーム5が上アーム3に対して傾動するとき、一線式パワーケーブル16が(b)に示すように上または下に凸となるような曲がりを許容すべく空間を上下に大きく確保できることや、(3)図9の(a)に示すごとく一方のスペース44が空くことになるので、一線式パワーケーブル16の点検や交換のための保守作業が行いやすくなるということも挙げられる。ちなみに、(b)においては傾動アーム5が標準的な垂直姿勢になっている状態で表されているが、(a)は傾動アーム5が上アーム3の延長線上となる水平姿勢にした状態で描かれている。
【0008】
ところで、図10の(a)のごとくワークを保持するための装置や他のロボットといった周囲物45が溶接ロボット30の動作域に存在し、かつ上アーム3に運悪く近接させざるを得ない場合がある。上アーム3に片持ちオフセット形式のアーム本体3Bが採用されている場合、その周囲物45に触れるようなことが起こればロボットの稼働は論外となるか、周囲物を不便な位置にずらせるなどしなければならなくなる。
【0009】
このような問題に対する解決策として考えられるのは、第4軸線2の回りに回転させることができる上アーム3を、図10の(a)の状態から(b)のように180度反転させることである。上で述べた先行文献には、この種の要領による左右勝手違い操作が開示されている。反転前状態からも反転後の状態からも、例えば±180度程度の回転が許容されるようになっている。
【0010】
ちなみに、±約180度としておけば、左右いずれへの回転であるにせよ傾動アーム5や第6軸部7をトータル360度もしくはそれ以上に振らせることができ、溶接用トーチに如何なる姿勢も与えることができるからである。なお、片側で約180度を超えないようにしているのは、詳しく説明しないが、制御ケーブルや一線式パワーケーブルに大きな捻じれを生じさせないように、さらにはそれらがアームに絡んで動けなくならないようにしておくためである。
【0011】
図11の(a)に示す第5軸部6や第6軸部7を駆動するモータ8,9のための制御ケーブル10,11について、ここで念のため説明する。下アーム34内を上がりショルダ50に到達してから弛ませ部12を含めてコネクタ24A,24Bの近傍まで保護管13で覆われている制御ケーブルは、中空駆動シャフト3Cの前端のフランジ29の一部を切り欠いて形成された引出し部29a(図11の(b)も参照)に通される。
【0012】
この引出し部29aの手前でクランプ49により固縛されることもあって、上アーム回転時の弛ませ部12におけるケーブルのばたつきが抑えられ、また引出し部29aからコネクタ24A,24Bに至るまでも、上アーム3の回転の影響を左右大きく違わないようにして、ケーブル10,11の損傷を少なくする配慮がなされる。なお、アーム本体3Bを反転させる時点で制御ケーブルをどのように処理しまた操作するかは、本願の対象とするところでないので、その説明は省く。
【0013】
ところで、図10の(a)において、第4軸線2を中心にして上アーム3を矢印32の方向へ180度回転し、その回転によって天地逆となった第6軸部7と第6軸駆動用モータ9とを、傾動アーム5の矢印28方向への180度傾転により正規の姿勢に戻せば、図10(b)のようにすることができる(図8の(b)も参照)。上アーム3と周囲物45との間に余空間46が確保されるが、それにもかかわらず、第6軸部7の周囲物(ワーク保持装置45)に対する離間距離Ltwは維持しておくことができる。もちろん、ワーク等にさらに近づけることも可能となる。上記の先行文献においては、アーム本体を反転させることができても、第6軸部のモータを反転させることはできていない。従って、周囲物との干渉が依然として避けられない場合がある。図10の例ではワーク等に対する離接は一層自在な状態に置かれ、極めて都合のよいことが分かる。
【0014】
ところで、傾動アーム5や第6軸部7は、図8からも分かるように、アーム本体3Bの反転前後で、相互の位置関係は変わることがない。それは、図12に示すように、第5軸部6、傾動アーム5、第6軸部7が一体となるように成形された部品47でその形が整えられているからである。傾動アーム5の下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が第6軸部7として形成されるが、それはエンドエフェクタ装着部14とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15とを備える。
【0015】
この成形基体47には、図11に表した第6軸駆動用モータ9、それを覆うモータカバー9A、図9の(b)の溶接用トーチ42やそれを装着するためのブラケット51、図11に示したコネクタ24Bに接続される先端側の制御ケーブル11A、傾動アーム5の前後のカバー52などが取り付けられる。なお、この例におけるエンドエフェクタ装着部14とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15とは、それぞれのセンタを結ぶ線48が第4軸線2に平行となるように定められている。
【0016】
今述べた構成は図13の(a)に示されるものであるが、(b)のように傾動アーム5とエンドエフェクタ装着部14とモータ搭載部15とが直線的に配置される場合や、(c)に示すように、(a)とは反対の位置にモータ搭載部15を配したい場合がある。いずれにしても、エンドエフェクタ装着部14のセンタは、一線式パワーケーブル16(図9の(b)を参照)を通すため傾動アーム5に対してすなわちアーム本体3B(図8の(a)を参照)に対して不動の位置をとるが、第6軸部駆動用モータ9すなわちモータカバー9Aがワーク等の一部に触れる事態となるときには、図13中のいずれか他の形態に変更することが望まれる。
【0017】
上記した基体47は図12のように鋳造成形の一体物であることからすれば、図13に合わせた少なくとも3種の成形品を準備しておかなければならなくなる。それは、溶接用トーチが略垂直姿勢を保持して動作する場合には要求が多くないとしても、傾動アーム5を第4軸線2の延長線上で延びるように、すなわち図9の(a)のような水平もしくはそれに近い状態にして溶接用トーチをワーク内へ進出させる場合などでは、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15の存在がロボットの動作に制約を掛けてしまうことがあり、形の異なるスペアのいずれかはそれを解消する。しかし、三種類保有しておかなければならないという費用や保管の面で負担が大きくなり、しかも、交換は図11の(a)に示す第5軸部6の減速機軸芯を通る制御ケーブル11Aを抜き取り、第5軸部を片持ちするアーム本体3Bにおける軸受機構部の解体や組み立てといった面倒な作業が強いられることになる。
【特許文献1】特開2002−370190
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、ロボット動作域にワーク保持装置やワークなどの周囲物の配置が余儀なくされる場合、第6軸部駆動用モータの存在に基因してロボットの動作に制約が課されないようにすること、また第6軸部の取り替えは特殊工具を必要とすることなく、モータやその減速機ならびに制御ケーブルの取外しなくして簡単に操作できることであり、さらには、第5軸部や傾動アームは残すにしても第6軸部を取り除いてロボットの5軸化が簡単に図られるようにしたロボット手首機構およびそれに取り付けられたエンドエフェクタ操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、基準軸線の回りに回転する回転アームの先端に該基準軸線に対して直交する交差軸線回りに傾動する傾動アームが軸承され、該傾動アームの下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が形成され、該エンドエフェクタ駆動台はエンドエフェクタ装着部とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部とを備えるロボット手首機構に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、エンドエフェクタ駆動台7は傾動アーム5から独立した別部品で構成され、基準軸線2とで一平面を形成するように置かれた上下軸線14aを持つエンドエフェクタ装着部14の周囲に、センタから等距離にある複数の当接面17A,17B,17Cが形成される。傾動アーム5の下端には当接面17A,17B,17Cを着座させることができる接合座5Aが形成される。そして、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15の傾動アーム5に対する位置を変更するとき、エンドエフェクタ装着部14における現用当接面17Aと異なる当接面17B,17Cを接合座5Aに付け替えることによりエンドエフェクタ駆動用モータ9を位置替えし、周囲物45(図5を参照)との干渉を回避できるようにしたことである。
【0020】
エンドエフェクタ操作方法の発明は、以下の手順による。まず、エンドエフェクタ駆動台7を傾動アーム5から独立した別部品で構成しておき、基準軸線2とで一平面を形成するように置かれた上下軸線14aを持つエンドエフェクタ装着部14を挟んで傾動アーム5と対面する位置にエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15を配置する(図4の(b)を参照)ようエンドエフェクタ装着部14の周囲の一部に形成した当接面17Bを、傾動アーム5の下端に形成した接合座5Aに着座させて固定する。傾動アーム5を基準軸線2の方向に延伸させた状態(図5の(d)を参照)で、上下間隙の小さな空間へもエンドエフェクタを進入させることができるようにしたことである。
【発明の効果】
【0021】
エンドエフェクタ駆動台を傾動アームとは独立した別部品とし、エンドエフェクタ装着部の周囲にセンタから等距離にある複数の当接面が形成されるので、いずれの当接面を傾動アーム下端の接合座に着座させようとも、エンドエフェクタ装着部に与えられた上下軸線は、常に回転アームの基準軸線とずれすることなく一平面を形成する位置にとどめおかれる。一線式パワーケーブルの回転アームから第5軸部を経てエンドエフェクタ装着部に到る敷設が簡素化されると共に、回転アームの動作に伴う一線式パワーケーブルの捻じれ負担を最も少なくしておくことができる。
【0022】
エンドエフェクタ駆動台の姿勢は、第5軸部および傾動アームを回転アームに残したままで変更することができる。その場合に、特殊な工具は必要でなく、また第6軸部の取り外しや取り付けには第6軸駆動用モータや減速機などの駆動系の解体を伴わず、現用当接面と異なる当接面を傾動アームの接合座に付け替えることにより、第6軸駆動用モータの位置替えが極めて簡単になされる。その結果、ワーク等がツールである溶接トーチの近傍に存する機能品と干渉しないようにして、ロボットの動作を円滑なものにする。いずれにしても、エンドエフェクタ駆動台の変更操作中も制御ケーブルをロボット上に残しておくことを許し、勝手違い変更機構が簡素な構造で与えられる。
【0023】
エンドエフェクタ装着部の周囲の当接面は複数設けられるから、傾動アームの接合座に取り付けられた当接面を除いては、エンドエフェクタの機能をアシストするなどの関連機能品を装着しておくことも可能となる。すなわち、新たなアタッチメントを導入するまでもなく、ロボットの機能向上を図りやすくすることができる。
【0024】
第6軸部を傾動アームから分離できるようになるので、第6軸部を必要としないロボット、すなわち6軸ロボットの5軸化を可能にする。例えば回転もしくは旋回動作を必要とする溶接トーチに代えて、ロボットハンドやその他のツールを接合座を利して直接もしくは間接的に支持させ、傾動アームをツールホルダとした単純動作ロボットに転用することも容易となる。
【0025】
エンドエフェクタ操作方法においては、エンドエフェクタ装着部を挟んで傾動アームと対面する位置にエンドエフェクタ回転用モータ搭載部を配置するようにすれば、傾動アームを回転アームの基準軸線の方向に延伸させた状態で、上下間隙の小さな空間へもエンドエフェクタを進入させることができるようになる。エンドエフェクタ回転用モータ搭載部の軸線は通常上下に延びるように配置される関係で、片持ち構造の負担増が問題となって採用されることのなかった対面配置の利点を生み出すことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明に係るロボット手首機構およびそれに取り付けられたエンドエフェクタ操作方法を、その実施の形態を表した図面を参照しながら詳細に説明する。図3は本発明が適用された6軸アーク溶接ロボット1の上半図である。その概略構成は図8,9,11のところですでに述べたとおりであるが、本発明においては、着目すべき第4軸線2を基準軸線と称することにする。この軸線回りに回転する上アーム3を回転アームと称し、それを構成するアーム本体3Bが、その基端にあって基準軸線2を中心に持つ中空駆動シャフト3Cから基準軸線の一方の側(向かって右側)へオフセットして延びている。
【0027】
そのアーム本体3Bの先端には、第4軸線2に直交する交差軸線4の回りに傾動する傾動アーム5が片持ち的に軸承されている。その交差軸は第5軸であり、この第5軸部6とそれより先に設けられた溶接用トーチを旋回させるなどする第6軸部7とを個々に駆動するモータ8,9の制御ケーブル10,11が、各モータへ向うように敷設される。
【0028】
そして、回転アーム3が、左右いずれの方向に対しても所要の角をなすまで回転できるように、回転時のひきつれ回避用弛ませ部12が中空駆動シャフト3Cの外周の一部に残される。すなわち、制御ケーブルの一部が保護管13で覆われるなどするが、アーム本体3Bに至る前の段階では中空駆動シャフト3Cに部分的に巻きつき巻き戻されている。
【0029】
このような構成をベースにして、本発明においては、回転アーム3の基準姿勢を180度変更しても一線式パワーケーブル(図示せず)の延伸経路の変更をきたさず、ワークを固定している装置等のロボット周囲物との干渉を回避できるように、また、基準姿勢から180度反転されるアーム本体3Bの先端に取り付けられる第6軸部7が、周囲物と干渉するのを避けられるようにすることを主たる目的とする。
【0030】
傾動アーム5の下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が第6軸部7として形成され、これがエンドエフェクタ装着部14とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15とからなるものであることは、すでに述べたとおりである。そこで、本発明を具体的に言えば、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15を傾動アーム5に対して位置変更するとき、エンドエフェクタ装着部14の向きを違えても傾動アームに取り付けることができ、そして、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15が周囲物との干渉を起こさないようにしようとする。
【0031】
ちなみに、一線式パワーケーブルは溶接ワイヤを送給するためのもので、給電、制動、接地、位置速度トルク制御、センサ電力、センサデータバックアップ用電力供給等に供される制御ケーブルと共に欠くことのできないケーブルである。制御ケーブル10,11については背景技術の項において少し触れたので、ここではその説明を割愛する。一線式パワーケーブルは、アーク溶接のための溶接ワイヤ、溶接のための電力、シールドガスの供給を同時に行うべく多重構造となっている。従って、このケーブルは柔軟性が高いとは言えず、また捩じりが作用すれば、捻り戻そうする力を生じるほどの剛性を持つ。従って、一線式パワーケーブル16(後述する図6を参照)は上アーム3のアーム本体3Bの長手方向に沿わせるように配置される。
【0032】
ちなみに、一線式パワーケーブルの中心には溶接ワイヤが通過し、その前進をガイドすると共に疵がつかないように保護するコイルライナがある。コイルライナはコンジットパイプとして機能するものであるが、その外周部にはシールドガスが流れ、これがホースによって溶接用トーチまで導かれる。その外周は導電線で覆われ、ケーブル全体に絶縁被覆が施されている。
【0033】
本発明においては一線式パワーケーブルの先端が導入される第6軸部における技術的課題を解決しようとするものであるが、無用の変形を嫌う一線式パワーケーブルの敷設にも配慮される。すなわち、図1に示すように、エンドエフェクタ駆動台7は傾動アーム5から独立した別部品で構成される。これは図2の成形品からも分かるように傾動アーム5は第5軸部6と一体に、エンドエフェクタ装着部14とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15とは一体であって傾動アーム5とは別体をなす鋳造品等である。
【0034】
一線式パワーケーブルを通すことからも位置が重要となるエンドエフェクタ装着部14のセンタは、図3のごとく常に第4軸線2の直下に配置される。そのセンタを通って上下に延びる軸線14aを持つエンドエフェクタ装着部14の周囲には、図1に示すようにセンタから等距離Ld にある複数の当接面17A,17B,17Cが形成される。なお、上下軸線14aとはあくまでも傾動アーム5が垂直な姿勢をとっているときを言っているのであるが、これが第4軸線2とで一つの垂直な平面を形成するように、すなわち第4軸線からは左右いずれにもずれないように配慮される。
【0035】
傾動アーム5の下端には当接面を着座させることができる接合座5Aが形成され、この接合座にいずれかの当接面をあてがい、傾動アーム5の背後から挿入される小ねじ等18によって一体化できるようになっている。図2からも分かるように、当接面はエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15と連なる箇所を除いて例えば3面形成され、隣り合う面と90度をなす。このようにしておけば、図4に示すように適宜な組合せ体を得ることができる。その際、制御ケーブルをエンドエフェクタ装着部14上で覆う必要があれば、保護カバー43として図1の左下に示した円弧の長さ等が異なるものを準備しておけばよい。なお、当接面の数を3より多くし、また隣り合う面となす角度を自由に選択することもできる。さらには、接合座や当接面を平面的に見て円弧状としておき、複数もしくは連続的な接合面が得られるようにしておいてもよい。
【0036】
当接面17A,17B,17Cには図1に示すようにねじ止め用の小孔19のほかに、位置決めを容易にするリファレンスホール20も設けておけば、接合座5Aに形成したエンボス21を嵌めて、一体作業の正確さや迅速さが図られる。このような構成としておくと、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15の傾動アーム5に対する位置を変更するとき、エンドエフェクタ装着部における現用当接面と異なる当接面を接合座に付け替えることにより、エンドエフェクタ駆動用モータ9を位置替えして周囲物との干渉を回避することができる。
【0037】
図4において、(a)と(c)の場合はエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15が傾動アーム5に近く、これを片持ちする上アームに及ぼす負担は少ない。しかし、(b)は傾動アーム5との対面間にエンドエフェクタ装着部14が存在するためエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15は傾動アーム5から遠ざかる。第6軸駆動用モータ9や減速機が位置する関係で片持ち部の第5軸部6には大きなモーメントMが作用することになる。すなわち、上アームのアーム本体3B(図3を参照)に及ぼす捻じれ力が大きくなる。
【0038】
ところで、図12で説明した一体成形品の場合、傾動アーム5とエンドエフェクタ装着部14との間には意図的にスペース53が与えられる。それは、エンドエフェクタ装着部14に一線式パワーケーブルを挿入するときのホルダ兼装着部カバー22(図6を参照)をねじ止めするためのねじ孔23を形成する作業をしやすくする配慮である。上下に延びるねじ孔を形成するための下孔あけやその後のタッピングは、垂直に下ろされるツール(図示せず)によるが、傾動アーム5が接近したり第5軸部6がオーバハングしているとツールホルダが干渉するからである。
【0039】
一方、図2においては、別体をなすから上記の機械加工は傾動アーム5とは独立して、エンドエフェクタ駆動台7に施すことができる。その関係で、傾動アーム5とエンドエフェクタ装着部14との間に確保するスペース54は小さくまた短くて済む。このような形状からくる別体品とした利点は、上記したモーメントを低減させるようにも作用する。このことから分かるように、第6軸部7を部品構成として独立させることには、技術的に少なくとも二つの大きな意義のあることが分かる。
【0040】
ところで、図5の(a)に示すように傾動アーム5は、図6のごとく通常垂直もしくはそれに近い姿勢にある。この傾動アーム5を矢印25方向に回転させ、その方向をアーム本体3Bの延びる方向に一致させると図5の(b)のようになる。この場合、モータ9は周囲物45に接触しそうになる。エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15と傾動アーム5との配置関係を図4の(c)のようにすると、図5の(c)のようにモータ9と周囲物45との干渉は避けられる。
【0041】
いま、図4の(b)のような組合せとし、傾動アーム5を90度上げると図5の(d)のようになる。この傾動アームを第4軸線2の方向に延伸させた状態では、上アームに及ぼすモーメントが大きくなる点はあるにしても、傾動アーム5の上下に余裕空間26U,26Lを生む。例えば、ワークが横置きされた箱ものなどであって、その開口高さが低いなど上下間隙の小さな空間へは、この(d)の形態の場合のみ溶接用トーチを進出させることができ、溶接作業のフレキシビリティが上がることは言うまでもない。ちなみに、図5において、エンドエフェクタ装着部14のセンタは周囲物45から距離Aが保たれ、図10での説明と変わるものでない。
【0042】
図6からも分かるように、傾動アーム5に面しない当接面17B,17Cはあいているから、図示しないが、溶接に関連して必要となる機能品、例えばプルフィーダ(ワイヤ牽引式送給装置)を装着することもできる。図7は、別体構成となったことを利して第6軸部を使用しない5軸ロボット27に転化させた例である。(a)はロボットハンド27aを取り付けて単純なワーク保持装置やワーク搬送装置としたもの、(b)はシーリング装置27bを装着したものである。いずれにしても5軸化が極めて簡単になされ、ロボットとしての汎用性を高めることができる。
【0043】
以上の説明から分かるように、エンドエフェクタ装着部のセンタは常に定位置に保たれるので、上アームから第5軸部を経てエンドエフェクタ装着部に到る一線式パワーケーブルの敷設が簡素化され、上アームの動作に伴う捻じれ負担を最も少ない状態におくことができる。エンドエフェクタ駆動台の姿勢は第5軸部および傾動アームを上アームに残したままで変更することができ、第6軸部の取り外しや取り付けには第6軸駆動用モータや減速機などの駆動系の解体を伴わず、現用当接面と異なる当接面を傾動アームの接合座に付け替えることにより、第6軸駆動用モータの位置替えが特殊な工具を必要とすることなく極めて簡単に行われるようになる。
【0044】
第6軸駆動用モータがワーク等と干渉するのが回避され、ロボットの動作を円滑かつ幅のあるものとすることができる。エンドエフェクタ駆動台の変更操作中といえども制御ケーブルはロボット上に残されており、勝手違い変更の手間が著しく軽減される。エンドエフェクタ装着部の周囲の当接面は複数存在するので、新たな付帯品、付随品や取付品等を特に必要とすることなく空き当接面に関連機能品を装着して、ロボットの機能を向上させやすくなるなど、多大の効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るロボット手首機構が適用された溶接ロボットの上アームから溶接用トーチ駆動部分までの構成品の組合せを表した斜視図。
【図2】傾動アームの成形品とそれとは独立して成形されたエンドエフェクタ駆動台の成形品であって、それぞれの部分の基体を表した斜視図。
【図3】成形基体に艤装を施して装着された溶接用ロボットの上半部の斜視図。
【図4】傾動アームに対してエンドエフェクタ駆動台を付け替えた場合の三つの例の斜視図。
【図5】傾動アームを水平姿勢にした場合のモータと周囲物との干渉やその程度を説明する図。
【図6】溶接用ロボットとして組み上げられた全体斜視図。
【図7】5軸ロボットとした場合の二つの例の斜視図。
【図8】溶接ロボットの一例の設置状態で、(a)は上アームの初期状態斜視図、(b)は180度反転後の状態の斜視図。
【図9】溶接ロボットの中空駆動シャフト部分を断面で表した上アーム、傾動アームおよび第6軸部からなる手首機構を表し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図10】上アームの側方にワーク保持装置等が近接する状態を表し、(a)は干渉のおそれの極めて高い状態にあるアーム本体の平面図、(b)は反転操作により干渉のおそれをなくした状態のアーム本体の平面図。
【図11】上アームにおける制御ケーブルの敷設状態を表し、(a)は各モータ側コネクタとの繋がりを説明する斜視図、(b)は中空駆動シャフトの単体斜視図。
【図12】第5軸部、傾動アーム、第6軸部を一体成形して製作された基体の斜視図。
【図13】第6軸駆動用モータの位置を違えるために準備されるべき傾動アームと第6軸部の組合せ体の斜視図。
【符号の説明】
【0046】
1…アーク溶接ロボット、2…第4軸線(基準軸線)、3…上アーム(回転アーム)、3B…アーム本体、3C…中空駆動シャフト、4…交差軸線、5…傾動アーム、5A…接合座、6…第5軸部、7…第6軸部(エンドエフェクタ駆動台)、8,9…モータ、14…エンドエフェクタ装着部、14a…上下軸線、15…エンドエフェクタ回転用モータ搭載部、17A,17B,17C…当接面、27…5軸ロボット、45…周囲物。
【技術分野】
【0001】
本発明はロボット手首機構およびそれに取り付けられたエンドエフェクタ操作方法に係り、詳しくは、基準軸線の回りに回転する回転アームの先端に傾動アームが軸承され、この傾動アームの下端で側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が周囲物と干渉するのを回避すべく配置替えできる機構ならびに配置替えされた形態でのロボット操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多関節型アーク溶接ロボットは一般的に6つの軸を備え、各軸の回転や傾動さらには旋回といった動作を重ね合わせて、溶接用トーチを所望する姿勢に保持すると共に、その先端を目的とする位置へ変位させる。図8の(a)はその一例のロボット30であり、それに示される6つの軸部は以下のものからなる。
【0003】
それらは、装着された溶接用トーチ(図示せず)を矢印31の方向へ旋回または回転させる第6軸部7、この第6軸部を支持する傾動アーム5に首振り等の矢印28方向の動作を与える第5軸部6、この第5軸部を先端に備える上アーム3を矢印32方向に回転させる第4軸部33、略水平に延びた姿勢であることの多い上アーム3の非回転部3Aを、直立した状態で傾動する下アーム34に対し矢印35方向へ回転して俯仰させる第3軸部36、下アーム34を旋回台37に対して矢印38方向に傾動させるための第2軸部39、旋回台37を基台上で矢印40のごとく水平に回すための第1軸部41である。
【0004】
このような溶接ロボットにおいては、第4軸線2の回りに回転する上アーム3のアーム本体3Bが左右いずれかの側に偏在されていることがある。このような形態の一例が特開2002−370190にも開示されている。詳しく述べれば、上アーム3は上記した非回転部3Aの外に、主として中空駆動シャフト3Cとそれに一体のアーム本体3Bとからなる回転部で形成される。
【0005】
アーム本体3Bは、その基端にあって第4軸線2を中心に持つ中空駆動シャフト3Cから第4軸線2の一方の側、図8(a)の例では右手から左後方を眺めた場合に右側へオフセットしており、その状態で第4軸線2に沿うように延ばされている。このアーム本体3Bの先端は、第4軸線2に直交して水平をなす交差軸線4の回りに傾動する傾動アーム5を片持ち的に支承する。
【0006】
このような片持ちオフセット形式の上アーム3が採用される所以は、(1)図9の(b)に示すように、溶接ワイヤや溶接用電力、シールドエア等を溶接用トーチ42に供給するために欠くことのできない一線式パワーケーブル16を、(a)の平面矢視にあるように第4軸線2上にできるだけ定置させ、ロボット動作域にある別装置等にケーブルが触れたり絡んだりするのを可及的に少なくできることである。
【0007】
さらに、(2)傾動アーム5が上アーム3に対して傾動するとき、一線式パワーケーブル16が(b)に示すように上または下に凸となるような曲がりを許容すべく空間を上下に大きく確保できることや、(3)図9の(a)に示すごとく一方のスペース44が空くことになるので、一線式パワーケーブル16の点検や交換のための保守作業が行いやすくなるということも挙げられる。ちなみに、(b)においては傾動アーム5が標準的な垂直姿勢になっている状態で表されているが、(a)は傾動アーム5が上アーム3の延長線上となる水平姿勢にした状態で描かれている。
【0008】
ところで、図10の(a)のごとくワークを保持するための装置や他のロボットといった周囲物45が溶接ロボット30の動作域に存在し、かつ上アーム3に運悪く近接させざるを得ない場合がある。上アーム3に片持ちオフセット形式のアーム本体3Bが採用されている場合、その周囲物45に触れるようなことが起こればロボットの稼働は論外となるか、周囲物を不便な位置にずらせるなどしなければならなくなる。
【0009】
このような問題に対する解決策として考えられるのは、第4軸線2の回りに回転させることができる上アーム3を、図10の(a)の状態から(b)のように180度反転させることである。上で述べた先行文献には、この種の要領による左右勝手違い操作が開示されている。反転前状態からも反転後の状態からも、例えば±180度程度の回転が許容されるようになっている。
【0010】
ちなみに、±約180度としておけば、左右いずれへの回転であるにせよ傾動アーム5や第6軸部7をトータル360度もしくはそれ以上に振らせることができ、溶接用トーチに如何なる姿勢も与えることができるからである。なお、片側で約180度を超えないようにしているのは、詳しく説明しないが、制御ケーブルや一線式パワーケーブルに大きな捻じれを生じさせないように、さらにはそれらがアームに絡んで動けなくならないようにしておくためである。
【0011】
図11の(a)に示す第5軸部6や第6軸部7を駆動するモータ8,9のための制御ケーブル10,11について、ここで念のため説明する。下アーム34内を上がりショルダ50に到達してから弛ませ部12を含めてコネクタ24A,24Bの近傍まで保護管13で覆われている制御ケーブルは、中空駆動シャフト3Cの前端のフランジ29の一部を切り欠いて形成された引出し部29a(図11の(b)も参照)に通される。
【0012】
この引出し部29aの手前でクランプ49により固縛されることもあって、上アーム回転時の弛ませ部12におけるケーブルのばたつきが抑えられ、また引出し部29aからコネクタ24A,24Bに至るまでも、上アーム3の回転の影響を左右大きく違わないようにして、ケーブル10,11の損傷を少なくする配慮がなされる。なお、アーム本体3Bを反転させる時点で制御ケーブルをどのように処理しまた操作するかは、本願の対象とするところでないので、その説明は省く。
【0013】
ところで、図10の(a)において、第4軸線2を中心にして上アーム3を矢印32の方向へ180度回転し、その回転によって天地逆となった第6軸部7と第6軸駆動用モータ9とを、傾動アーム5の矢印28方向への180度傾転により正規の姿勢に戻せば、図10(b)のようにすることができる(図8の(b)も参照)。上アーム3と周囲物45との間に余空間46が確保されるが、それにもかかわらず、第6軸部7の周囲物(ワーク保持装置45)に対する離間距離Ltwは維持しておくことができる。もちろん、ワーク等にさらに近づけることも可能となる。上記の先行文献においては、アーム本体を反転させることができても、第6軸部のモータを反転させることはできていない。従って、周囲物との干渉が依然として避けられない場合がある。図10の例ではワーク等に対する離接は一層自在な状態に置かれ、極めて都合のよいことが分かる。
【0014】
ところで、傾動アーム5や第6軸部7は、図8からも分かるように、アーム本体3Bの反転前後で、相互の位置関係は変わることがない。それは、図12に示すように、第5軸部6、傾動アーム5、第6軸部7が一体となるように成形された部品47でその形が整えられているからである。傾動アーム5の下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が第6軸部7として形成されるが、それはエンドエフェクタ装着部14とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15とを備える。
【0015】
この成形基体47には、図11に表した第6軸駆動用モータ9、それを覆うモータカバー9A、図9の(b)の溶接用トーチ42やそれを装着するためのブラケット51、図11に示したコネクタ24Bに接続される先端側の制御ケーブル11A、傾動アーム5の前後のカバー52などが取り付けられる。なお、この例におけるエンドエフェクタ装着部14とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15とは、それぞれのセンタを結ぶ線48が第4軸線2に平行となるように定められている。
【0016】
今述べた構成は図13の(a)に示されるものであるが、(b)のように傾動アーム5とエンドエフェクタ装着部14とモータ搭載部15とが直線的に配置される場合や、(c)に示すように、(a)とは反対の位置にモータ搭載部15を配したい場合がある。いずれにしても、エンドエフェクタ装着部14のセンタは、一線式パワーケーブル16(図9の(b)を参照)を通すため傾動アーム5に対してすなわちアーム本体3B(図8の(a)を参照)に対して不動の位置をとるが、第6軸部駆動用モータ9すなわちモータカバー9Aがワーク等の一部に触れる事態となるときには、図13中のいずれか他の形態に変更することが望まれる。
【0017】
上記した基体47は図12のように鋳造成形の一体物であることからすれば、図13に合わせた少なくとも3種の成形品を準備しておかなければならなくなる。それは、溶接用トーチが略垂直姿勢を保持して動作する場合には要求が多くないとしても、傾動アーム5を第4軸線2の延長線上で延びるように、すなわち図9の(a)のような水平もしくはそれに近い状態にして溶接用トーチをワーク内へ進出させる場合などでは、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15の存在がロボットの動作に制約を掛けてしまうことがあり、形の異なるスペアのいずれかはそれを解消する。しかし、三種類保有しておかなければならないという費用や保管の面で負担が大きくなり、しかも、交換は図11の(a)に示す第5軸部6の減速機軸芯を通る制御ケーブル11Aを抜き取り、第5軸部を片持ちするアーム本体3Bにおける軸受機構部の解体や組み立てといった面倒な作業が強いられることになる。
【特許文献1】特開2002−370190
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、ロボット動作域にワーク保持装置やワークなどの周囲物の配置が余儀なくされる場合、第6軸部駆動用モータの存在に基因してロボットの動作に制約が課されないようにすること、また第6軸部の取り替えは特殊工具を必要とすることなく、モータやその減速機ならびに制御ケーブルの取外しなくして簡単に操作できることであり、さらには、第5軸部や傾動アームは残すにしても第6軸部を取り除いてロボットの5軸化が簡単に図られるようにしたロボット手首機構およびそれに取り付けられたエンドエフェクタ操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、基準軸線の回りに回転する回転アームの先端に該基準軸線に対して直交する交差軸線回りに傾動する傾動アームが軸承され、該傾動アームの下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が形成され、該エンドエフェクタ駆動台はエンドエフェクタ装着部とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部とを備えるロボット手首機構に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、エンドエフェクタ駆動台7は傾動アーム5から独立した別部品で構成され、基準軸線2とで一平面を形成するように置かれた上下軸線14aを持つエンドエフェクタ装着部14の周囲に、センタから等距離にある複数の当接面17A,17B,17Cが形成される。傾動アーム5の下端には当接面17A,17B,17Cを着座させることができる接合座5Aが形成される。そして、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15の傾動アーム5に対する位置を変更するとき、エンドエフェクタ装着部14における現用当接面17Aと異なる当接面17B,17Cを接合座5Aに付け替えることによりエンドエフェクタ駆動用モータ9を位置替えし、周囲物45(図5を参照)との干渉を回避できるようにしたことである。
【0020】
エンドエフェクタ操作方法の発明は、以下の手順による。まず、エンドエフェクタ駆動台7を傾動アーム5から独立した別部品で構成しておき、基準軸線2とで一平面を形成するように置かれた上下軸線14aを持つエンドエフェクタ装着部14を挟んで傾動アーム5と対面する位置にエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15を配置する(図4の(b)を参照)ようエンドエフェクタ装着部14の周囲の一部に形成した当接面17Bを、傾動アーム5の下端に形成した接合座5Aに着座させて固定する。傾動アーム5を基準軸線2の方向に延伸させた状態(図5の(d)を参照)で、上下間隙の小さな空間へもエンドエフェクタを進入させることができるようにしたことである。
【発明の効果】
【0021】
エンドエフェクタ駆動台を傾動アームとは独立した別部品とし、エンドエフェクタ装着部の周囲にセンタから等距離にある複数の当接面が形成されるので、いずれの当接面を傾動アーム下端の接合座に着座させようとも、エンドエフェクタ装着部に与えられた上下軸線は、常に回転アームの基準軸線とずれすることなく一平面を形成する位置にとどめおかれる。一線式パワーケーブルの回転アームから第5軸部を経てエンドエフェクタ装着部に到る敷設が簡素化されると共に、回転アームの動作に伴う一線式パワーケーブルの捻じれ負担を最も少なくしておくことができる。
【0022】
エンドエフェクタ駆動台の姿勢は、第5軸部および傾動アームを回転アームに残したままで変更することができる。その場合に、特殊な工具は必要でなく、また第6軸部の取り外しや取り付けには第6軸駆動用モータや減速機などの駆動系の解体を伴わず、現用当接面と異なる当接面を傾動アームの接合座に付け替えることにより、第6軸駆動用モータの位置替えが極めて簡単になされる。その結果、ワーク等がツールである溶接トーチの近傍に存する機能品と干渉しないようにして、ロボットの動作を円滑なものにする。いずれにしても、エンドエフェクタ駆動台の変更操作中も制御ケーブルをロボット上に残しておくことを許し、勝手違い変更機構が簡素な構造で与えられる。
【0023】
エンドエフェクタ装着部の周囲の当接面は複数設けられるから、傾動アームの接合座に取り付けられた当接面を除いては、エンドエフェクタの機能をアシストするなどの関連機能品を装着しておくことも可能となる。すなわち、新たなアタッチメントを導入するまでもなく、ロボットの機能向上を図りやすくすることができる。
【0024】
第6軸部を傾動アームから分離できるようになるので、第6軸部を必要としないロボット、すなわち6軸ロボットの5軸化を可能にする。例えば回転もしくは旋回動作を必要とする溶接トーチに代えて、ロボットハンドやその他のツールを接合座を利して直接もしくは間接的に支持させ、傾動アームをツールホルダとした単純動作ロボットに転用することも容易となる。
【0025】
エンドエフェクタ操作方法においては、エンドエフェクタ装着部を挟んで傾動アームと対面する位置にエンドエフェクタ回転用モータ搭載部を配置するようにすれば、傾動アームを回転アームの基準軸線の方向に延伸させた状態で、上下間隙の小さな空間へもエンドエフェクタを進入させることができるようになる。エンドエフェクタ回転用モータ搭載部の軸線は通常上下に延びるように配置される関係で、片持ち構造の負担増が問題となって採用されることのなかった対面配置の利点を生み出すことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明に係るロボット手首機構およびそれに取り付けられたエンドエフェクタ操作方法を、その実施の形態を表した図面を参照しながら詳細に説明する。図3は本発明が適用された6軸アーク溶接ロボット1の上半図である。その概略構成は図8,9,11のところですでに述べたとおりであるが、本発明においては、着目すべき第4軸線2を基準軸線と称することにする。この軸線回りに回転する上アーム3を回転アームと称し、それを構成するアーム本体3Bが、その基端にあって基準軸線2を中心に持つ中空駆動シャフト3Cから基準軸線の一方の側(向かって右側)へオフセットして延びている。
【0027】
そのアーム本体3Bの先端には、第4軸線2に直交する交差軸線4の回りに傾動する傾動アーム5が片持ち的に軸承されている。その交差軸は第5軸であり、この第5軸部6とそれより先に設けられた溶接用トーチを旋回させるなどする第6軸部7とを個々に駆動するモータ8,9の制御ケーブル10,11が、各モータへ向うように敷設される。
【0028】
そして、回転アーム3が、左右いずれの方向に対しても所要の角をなすまで回転できるように、回転時のひきつれ回避用弛ませ部12が中空駆動シャフト3Cの外周の一部に残される。すなわち、制御ケーブルの一部が保護管13で覆われるなどするが、アーム本体3Bに至る前の段階では中空駆動シャフト3Cに部分的に巻きつき巻き戻されている。
【0029】
このような構成をベースにして、本発明においては、回転アーム3の基準姿勢を180度変更しても一線式パワーケーブル(図示せず)の延伸経路の変更をきたさず、ワークを固定している装置等のロボット周囲物との干渉を回避できるように、また、基準姿勢から180度反転されるアーム本体3Bの先端に取り付けられる第6軸部7が、周囲物と干渉するのを避けられるようにすることを主たる目的とする。
【0030】
傾動アーム5の下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が第6軸部7として形成され、これがエンドエフェクタ装着部14とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15とからなるものであることは、すでに述べたとおりである。そこで、本発明を具体的に言えば、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15を傾動アーム5に対して位置変更するとき、エンドエフェクタ装着部14の向きを違えても傾動アームに取り付けることができ、そして、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15が周囲物との干渉を起こさないようにしようとする。
【0031】
ちなみに、一線式パワーケーブルは溶接ワイヤを送給するためのもので、給電、制動、接地、位置速度トルク制御、センサ電力、センサデータバックアップ用電力供給等に供される制御ケーブルと共に欠くことのできないケーブルである。制御ケーブル10,11については背景技術の項において少し触れたので、ここではその説明を割愛する。一線式パワーケーブルは、アーク溶接のための溶接ワイヤ、溶接のための電力、シールドガスの供給を同時に行うべく多重構造となっている。従って、このケーブルは柔軟性が高いとは言えず、また捩じりが作用すれば、捻り戻そうする力を生じるほどの剛性を持つ。従って、一線式パワーケーブル16(後述する図6を参照)は上アーム3のアーム本体3Bの長手方向に沿わせるように配置される。
【0032】
ちなみに、一線式パワーケーブルの中心には溶接ワイヤが通過し、その前進をガイドすると共に疵がつかないように保護するコイルライナがある。コイルライナはコンジットパイプとして機能するものであるが、その外周部にはシールドガスが流れ、これがホースによって溶接用トーチまで導かれる。その外周は導電線で覆われ、ケーブル全体に絶縁被覆が施されている。
【0033】
本発明においては一線式パワーケーブルの先端が導入される第6軸部における技術的課題を解決しようとするものであるが、無用の変形を嫌う一線式パワーケーブルの敷設にも配慮される。すなわち、図1に示すように、エンドエフェクタ駆動台7は傾動アーム5から独立した別部品で構成される。これは図2の成形品からも分かるように傾動アーム5は第5軸部6と一体に、エンドエフェクタ装着部14とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15とは一体であって傾動アーム5とは別体をなす鋳造品等である。
【0034】
一線式パワーケーブルを通すことからも位置が重要となるエンドエフェクタ装着部14のセンタは、図3のごとく常に第4軸線2の直下に配置される。そのセンタを通って上下に延びる軸線14aを持つエンドエフェクタ装着部14の周囲には、図1に示すようにセンタから等距離Ld にある複数の当接面17A,17B,17Cが形成される。なお、上下軸線14aとはあくまでも傾動アーム5が垂直な姿勢をとっているときを言っているのであるが、これが第4軸線2とで一つの垂直な平面を形成するように、すなわち第4軸線からは左右いずれにもずれないように配慮される。
【0035】
傾動アーム5の下端には当接面を着座させることができる接合座5Aが形成され、この接合座にいずれかの当接面をあてがい、傾動アーム5の背後から挿入される小ねじ等18によって一体化できるようになっている。図2からも分かるように、当接面はエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15と連なる箇所を除いて例えば3面形成され、隣り合う面と90度をなす。このようにしておけば、図4に示すように適宜な組合せ体を得ることができる。その際、制御ケーブルをエンドエフェクタ装着部14上で覆う必要があれば、保護カバー43として図1の左下に示した円弧の長さ等が異なるものを準備しておけばよい。なお、当接面の数を3より多くし、また隣り合う面となす角度を自由に選択することもできる。さらには、接合座や当接面を平面的に見て円弧状としておき、複数もしくは連続的な接合面が得られるようにしておいてもよい。
【0036】
当接面17A,17B,17Cには図1に示すようにねじ止め用の小孔19のほかに、位置決めを容易にするリファレンスホール20も設けておけば、接合座5Aに形成したエンボス21を嵌めて、一体作業の正確さや迅速さが図られる。このような構成としておくと、エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15の傾動アーム5に対する位置を変更するとき、エンドエフェクタ装着部における現用当接面と異なる当接面を接合座に付け替えることにより、エンドエフェクタ駆動用モータ9を位置替えして周囲物との干渉を回避することができる。
【0037】
図4において、(a)と(c)の場合はエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15が傾動アーム5に近く、これを片持ちする上アームに及ぼす負担は少ない。しかし、(b)は傾動アーム5との対面間にエンドエフェクタ装着部14が存在するためエンドエフェクタ回転用モータ搭載部15は傾動アーム5から遠ざかる。第6軸駆動用モータ9や減速機が位置する関係で片持ち部の第5軸部6には大きなモーメントMが作用することになる。すなわち、上アームのアーム本体3B(図3を参照)に及ぼす捻じれ力が大きくなる。
【0038】
ところで、図12で説明した一体成形品の場合、傾動アーム5とエンドエフェクタ装着部14との間には意図的にスペース53が与えられる。それは、エンドエフェクタ装着部14に一線式パワーケーブルを挿入するときのホルダ兼装着部カバー22(図6を参照)をねじ止めするためのねじ孔23を形成する作業をしやすくする配慮である。上下に延びるねじ孔を形成するための下孔あけやその後のタッピングは、垂直に下ろされるツール(図示せず)によるが、傾動アーム5が接近したり第5軸部6がオーバハングしているとツールホルダが干渉するからである。
【0039】
一方、図2においては、別体をなすから上記の機械加工は傾動アーム5とは独立して、エンドエフェクタ駆動台7に施すことができる。その関係で、傾動アーム5とエンドエフェクタ装着部14との間に確保するスペース54は小さくまた短くて済む。このような形状からくる別体品とした利点は、上記したモーメントを低減させるようにも作用する。このことから分かるように、第6軸部7を部品構成として独立させることには、技術的に少なくとも二つの大きな意義のあることが分かる。
【0040】
ところで、図5の(a)に示すように傾動アーム5は、図6のごとく通常垂直もしくはそれに近い姿勢にある。この傾動アーム5を矢印25方向に回転させ、その方向をアーム本体3Bの延びる方向に一致させると図5の(b)のようになる。この場合、モータ9は周囲物45に接触しそうになる。エンドエフェクタ回転用モータ搭載部15と傾動アーム5との配置関係を図4の(c)のようにすると、図5の(c)のようにモータ9と周囲物45との干渉は避けられる。
【0041】
いま、図4の(b)のような組合せとし、傾動アーム5を90度上げると図5の(d)のようになる。この傾動アームを第4軸線2の方向に延伸させた状態では、上アームに及ぼすモーメントが大きくなる点はあるにしても、傾動アーム5の上下に余裕空間26U,26Lを生む。例えば、ワークが横置きされた箱ものなどであって、その開口高さが低いなど上下間隙の小さな空間へは、この(d)の形態の場合のみ溶接用トーチを進出させることができ、溶接作業のフレキシビリティが上がることは言うまでもない。ちなみに、図5において、エンドエフェクタ装着部14のセンタは周囲物45から距離Aが保たれ、図10での説明と変わるものでない。
【0042】
図6からも分かるように、傾動アーム5に面しない当接面17B,17Cはあいているから、図示しないが、溶接に関連して必要となる機能品、例えばプルフィーダ(ワイヤ牽引式送給装置)を装着することもできる。図7は、別体構成となったことを利して第6軸部を使用しない5軸ロボット27に転化させた例である。(a)はロボットハンド27aを取り付けて単純なワーク保持装置やワーク搬送装置としたもの、(b)はシーリング装置27bを装着したものである。いずれにしても5軸化が極めて簡単になされ、ロボットとしての汎用性を高めることができる。
【0043】
以上の説明から分かるように、エンドエフェクタ装着部のセンタは常に定位置に保たれるので、上アームから第5軸部を経てエンドエフェクタ装着部に到る一線式パワーケーブルの敷設が簡素化され、上アームの動作に伴う捻じれ負担を最も少ない状態におくことができる。エンドエフェクタ駆動台の姿勢は第5軸部および傾動アームを上アームに残したままで変更することができ、第6軸部の取り外しや取り付けには第6軸駆動用モータや減速機などの駆動系の解体を伴わず、現用当接面と異なる当接面を傾動アームの接合座に付け替えることにより、第6軸駆動用モータの位置替えが特殊な工具を必要とすることなく極めて簡単に行われるようになる。
【0044】
第6軸駆動用モータがワーク等と干渉するのが回避され、ロボットの動作を円滑かつ幅のあるものとすることができる。エンドエフェクタ駆動台の変更操作中といえども制御ケーブルはロボット上に残されており、勝手違い変更の手間が著しく軽減される。エンドエフェクタ装着部の周囲の当接面は複数存在するので、新たな付帯品、付随品や取付品等を特に必要とすることなく空き当接面に関連機能品を装着して、ロボットの機能を向上させやすくなるなど、多大の効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るロボット手首機構が適用された溶接ロボットの上アームから溶接用トーチ駆動部分までの構成品の組合せを表した斜視図。
【図2】傾動アームの成形品とそれとは独立して成形されたエンドエフェクタ駆動台の成形品であって、それぞれの部分の基体を表した斜視図。
【図3】成形基体に艤装を施して装着された溶接用ロボットの上半部の斜視図。
【図4】傾動アームに対してエンドエフェクタ駆動台を付け替えた場合の三つの例の斜視図。
【図5】傾動アームを水平姿勢にした場合のモータと周囲物との干渉やその程度を説明する図。
【図6】溶接用ロボットとして組み上げられた全体斜視図。
【図7】5軸ロボットとした場合の二つの例の斜視図。
【図8】溶接ロボットの一例の設置状態で、(a)は上アームの初期状態斜視図、(b)は180度反転後の状態の斜視図。
【図9】溶接ロボットの中空駆動シャフト部分を断面で表した上アーム、傾動アームおよび第6軸部からなる手首機構を表し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図10】上アームの側方にワーク保持装置等が近接する状態を表し、(a)は干渉のおそれの極めて高い状態にあるアーム本体の平面図、(b)は反転操作により干渉のおそれをなくした状態のアーム本体の平面図。
【図11】上アームにおける制御ケーブルの敷設状態を表し、(a)は各モータ側コネクタとの繋がりを説明する斜視図、(b)は中空駆動シャフトの単体斜視図。
【図12】第5軸部、傾動アーム、第6軸部を一体成形して製作された基体の斜視図。
【図13】第6軸駆動用モータの位置を違えるために準備されるべき傾動アームと第6軸部の組合せ体の斜視図。
【符号の説明】
【0046】
1…アーク溶接ロボット、2…第4軸線(基準軸線)、3…上アーム(回転アーム)、3B…アーム本体、3C…中空駆動シャフト、4…交差軸線、5…傾動アーム、5A…接合座、6…第5軸部、7…第6軸部(エンドエフェクタ駆動台)、8,9…モータ、14…エンドエフェクタ装着部、14a…上下軸線、15…エンドエフェクタ回転用モータ搭載部、17A,17B,17C…当接面、27…5軸ロボット、45…周囲物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準軸線の回りに回転する回転アームの先端に該基準軸線に対して直交する交差軸線回りに傾動する傾動アームが軸承され、該傾動アームの下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が形成され、該エンドエフェクタ駆動台はエンドエフェクタ装着部とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部とを備えるロボット手首機構において、
前記エンドエフェクタ駆動台は前記傾動アームから独立した別部品で構成され、前記基準軸線とで一平面を形成するように置かれた上下軸線を持つエンドエフェクタ装着部の周囲に、センタから等距離にある複数の当接面が形成され、
前記傾動アームの下端には上記当接面を着座させることができる接合座が形成され、
エンドエフェクタ回転用モータ搭載部の傾動アームに対する位置を変更するとき、エンドエフェクタ装着部における現用当接面と異なる当接面を前記接合座に付け替えることによりエンドエフェクタ駆動用モータを位置替えし、周囲物との干渉を回避できるようにしたことを特徴とするロボット手首機構。
【請求項2】
基準軸線の回りに回転する回転アームの先端に該基準軸線に対して直交する交差軸線回りに傾動する傾動アームが軸承され、該傾動アームの下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が形成され、該エンドエフェクタ駆動台はエンドエフェクタ装着部とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部とを備えるロボット手首機構におけるエンドエフェクタの操作方法において、
前記エンドエフェクタ駆動台を傾動アームから独立した別部品で構成しておき、
前記基準軸線とで一平面を形成するように置かれた上下軸線を持つエンドエフェクタ装着部を挟んで傾動アームと対面する位置にエンドエフェクタ回転用モータ搭載部を配置するようエンドエフェクタ装着部の周囲の一部に形成した当接面を、前記傾動アームの下端に形成した接合座に着座させて固定し、
傾動アームを前記基準軸線の方向に延伸させた状態で、上下間隙の小さな空間へもエンドエフェクタを進入させることができるようにしたことを特徴とするロボット手首機構におけるエンドエフェクタ操作方法。
【請求項1】
基準軸線の回りに回転する回転アームの先端に該基準軸線に対して直交する交差軸線回りに傾動する傾動アームが軸承され、該傾動アームの下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が形成され、該エンドエフェクタ駆動台はエンドエフェクタ装着部とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部とを備えるロボット手首機構において、
前記エンドエフェクタ駆動台は前記傾動アームから独立した別部品で構成され、前記基準軸線とで一平面を形成するように置かれた上下軸線を持つエンドエフェクタ装着部の周囲に、センタから等距離にある複数の当接面が形成され、
前記傾動アームの下端には上記当接面を着座させることができる接合座が形成され、
エンドエフェクタ回転用モータ搭載部の傾動アームに対する位置を変更するとき、エンドエフェクタ装着部における現用当接面と異なる当接面を前記接合座に付け替えることによりエンドエフェクタ駆動用モータを位置替えし、周囲物との干渉を回避できるようにしたことを特徴とするロボット手首機構。
【請求項2】
基準軸線の回りに回転する回転アームの先端に該基準軸線に対して直交する交差軸線回りに傾動する傾動アームが軸承され、該傾動アームの下端には側方へ張り出すエンドエフェクタ駆動台が形成され、該エンドエフェクタ駆動台はエンドエフェクタ装着部とエンドエフェクタ回転用モータ搭載部とを備えるロボット手首機構におけるエンドエフェクタの操作方法において、
前記エンドエフェクタ駆動台を傾動アームから独立した別部品で構成しておき、
前記基準軸線とで一平面を形成するように置かれた上下軸線を持つエンドエフェクタ装着部を挟んで傾動アームと対面する位置にエンドエフェクタ回転用モータ搭載部を配置するようエンドエフェクタ装着部の周囲の一部に形成した当接面を、前記傾動アームの下端に形成した接合座に着座させて固定し、
傾動アームを前記基準軸線の方向に延伸させた状態で、上下間隙の小さな空間へもエンドエフェクタを進入させることができるようにしたことを特徴とするロボット手首機構におけるエンドエフェクタ操作方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−26748(P2006−26748A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204145(P2004−204145)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
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