説明

ロボット

【課題】駆動部や腕部が振動するときにも角速度検出部が振動し難いロボットを提供する。
【解決手段】第1腕部8と、第1腕部8を回転させる第1モーターと、第1腕部8が回転する角速度を検出する第1角速度センサー26と、第1腕部8から第1角速度センサー26に伝わる振動を減衰させる減衰容器23及び減衰容器蓋部23aと、を有する。そして、減衰容器23及び減衰容器蓋部23aは減衰部材を有し、減衰部材が第1腕部8と第1角速度センサー26との間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットにかかわり、特に、角速度を検出する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のリンク(以下、腕部と称す)を複数のアクチュエーター(以下、駆動部と称す)が駆動するロボットが活用されている。そして、腕部に角速度センサー(以下、角速度検出部と称す)を配置したロボットが特許文献1に開示されている。それによると、腕部に角速度検出部を配置し、駆動部に角度センサーを配置している。そして、角度センサーの出力をローパスフィルターに通し、角速度検出部の出力をハイパスフィルターに通している。次に、ローパスフィルターの出力とハイパスフィルターの出力とを合成することにより腕部の動きを検出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3883544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駆動部が腕部を駆動するときに駆動部が振動し、振動が駆動部から腕部へ伝播することがある。また、腕部に加速度が加わるときに腕部が変形して振動することがある。この振動が腕部から角速度検出部に伝播するとき、角速度検出部が振動する。そして、角速度検出部が振動の影響をうけるとき、角速度検出部は正常な角速度検出を行えないことがある。そこで、駆動部や腕部が振動するときにも角速度検出部が振動し難いロボットが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかるロボットであって、腕部と、前記腕部を回転させる駆動部と、前記腕部が回転する角速度を検出する角速度検出部と、前記腕部から前記角速度検出部に伝わる振動を減衰させる振動減衰部と、を有することを特徴とする。
【0007】
このロボットによれば、駆動部が腕部を回転し、角速度検出部が腕部の回転する角速度を検出する。そして、駆動部が振動を発生させるとき、振動は腕部に伝播する。また、腕部が移動及び停止するとき、腕部自体が振動する。角速度検出部に振動が加わるとき、角速度検出部は精度良く角速度を検出できないことがある。振動減衰部は腕部から角速度検出部に伝わる振動を減衰させる為、角速度検出部に振動の影響を受け難くすることができる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかるロボットにおいて、前記振動減衰部は減衰部材を有し、前記減衰部材が前記腕部と前記角速度検出部との間に配置されることを特徴とする。
【0009】
このロボットによれば、腕部と角速度検出部との間に減衰部材が配置される。減衰部材は振動を減衰させる為、腕部から角速度検出部へ振動を伝え難くすることができる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかるロボットにおいて、前記減衰部材は、前記角速度検出部を覆って配置されることを特徴とする。
【0011】
このロボットによれば、減衰部材が角速度検出部を覆っている。従って、角速度検出部に伝播する振動はどの方向から来る振動でも減衰部材を通過する為、角速度検出部に伝播する振動を減衰させることができる。
【0012】
[適用例4]
上記適用例にかかるロボットにおいて、前記角速度検出部は前記腕部において振幅が小さい場所に配置されることを特徴とする。
【0013】
このロボットによれば、角速度検出部は振動の振幅が小さい場所に配置される。従って、振幅が大きい場所に配置されるときと比べて角速度検出部に伝わる振動を小さくすることができる。
【0014】
[適用例5]
上記適用例にかかるロボットにおいて、前記角速度検出部は前記腕部において前記駆動部と離れている場所に配置されることを特徴とする。
【0015】
このロボットによれば、角速度検出部は駆動部から離れている。従って、駆動部が振動するときにも、駆動部と近い場所に配置されるときと比べて、角速度検出部に振動が伝わり難くすることができる。
【0016】
[適用例6]
上記適用例にかかるロボットにおいて、前記腕部に複数の前記駆動部が配置され、隣り合う前記駆動部の中点に前記角速度検出部が配置されることを特徴とする。
【0017】
このロボットによれば、角速度検出部が隣り合う駆動部の中点に配置されている。従って、隣り合う2つ駆動部が振動するときにも角速度検出部に振動が伝わり難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態にかかわり、(a)は、ロボットの構成を示す概略斜視図、(b)は、ロボットの構成を示す模式断面図。
【図2】(a)は第1角速度センサーを示す模式断面図、(b)は、第1腕部の振幅分布を示すグラフ、(c)は、第2腕部の振幅分布を示すグラフ。
【図3】ロボットの電気制御ブロック図。
【図4】(a)は、第2の実施形態にかかわり、第1角速度検出器を示す模式断面図、(b)は、第3の実施形態にかかわり、第1角速度検出器を示す模式断面図。
【図5】変形例にかかわり、(a)及び(b)は、ロボットの模式上面図であり、(c)は、ロボットの模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態における角速度検出部を有する特徴的なロボットについて図1〜図3に従って説明する。
【0020】
図1(a)は、ロボットの構成を示す概略斜視図であり、図1(b)は、ロボットの構成を示す模式断面図である。図1に示すように、ロボット1は平板状に形成された基台2を備えている。基台2の水平面上の1方向をX方向とする。そして、重力方向と逆の方向をZ方向とし、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。
【0021】
基台2上には支持台3が配置されている。支持台3の内部には空洞が形成され、この空洞は支持板4により上下に分割されている。支持板4の下側には駆動部としての第1モーター5が配置され、第1モーター5の下側には第1角度検出器6が配置されている。第1角度検出器6は第1モーター5の回転角度を検出する。
【0022】
支持板4の上側には第1減速機7が配置され、第1モーター5の回転軸5aと接続されている。第1減速機7の上側には出力軸7aが配置されている。そして、第1モーター5の回転軸5aの回転速度を減速した回転速度にて出力軸7aが回転する。第1減速機7には各種の減速機を採用することができる。本実施形態では、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)を採用している。支持台3の上面には孔部3aが形成され、孔部3aから出力軸7aが突出して配置されている。
【0023】
出力軸7aと接続して略直方体状の可動部としての第1腕部8が配置され、第1腕部8は出力軸7aを中心に回転させられる。第1腕部8の中央には第1角速度検出器9が配置されている。第1モーター5が回転するとき、第1腕部8が回転させられる。そして、第1腕部8が回転する角度を第1角度検出器6及び第1角速度検出器9が検出可能になっている。
【0024】
第1腕部8上において第1モーター5と反対側の端には第2減速機10、駆動部としての第2モーター11、第2角度検出器12がこの順に重ねて配置されている。そして、第2減速機10の出力軸10aが図中下方向に配置されている。第1腕部8には第2減速機10と対向する場所に孔部8aが形成され、孔部8aから出力軸10aが突出して配置されている。
【0025】
第2モーター11の回転軸には第2角度検出器12が接続され、第2角度検出器12は第2モーター11の回転軸の回転角度を検出する。さらに、第2モーター11の回転軸は第2減速機10と接続されている。そして、第2モーター11の回転軸の回転速度を減速した回転速度にて出力軸10aが回転させられる。
【0026】
第1モーター5及び第2モーター11は電気信号によって回転方向を制御可能であればよく、各種のモーターを用いることができる。本実施形態では、例えば、直流モーターを採用している。第1角度検出器6は第1モーター5の駆動軸の回転角度を検出可能であれば良く、第2角度検出器12は第2モーター11の駆動軸の回転角度を検出可能であれば良い。第1角度検出器6及び第2角度検出器12には各種のロータリーエンコーダーを用いることができる。本実施形態では、例えば、光学式のロータリーエンコーダーを採用している。
【0027】
出力軸10aと接続して略直方体状の可動部としての第2腕部13が配置され、第2腕部13は出力軸10aを中心に回転させられる。第2腕部13の中央には第2角速度検出器14が配置されている。
【0028】
第2腕部13上において第2モーター11と反対側の端には回転装置15が配置されている。回転装置15は回転角度を制御可能であれば良く、各種モーターと回転角度センサーとを組み合わせて構成することができる。他にも、回転角度を所定の角度にて回転できるステップモーターを用いることができる。本実施形態では、例えば、ステップモーターを採用している。そして、第2腕部13には回転装置15と対向する場所に孔部13aが形成され、孔部13aから回転装置15の回転軸15aが突出して配置されている。第2腕部13の下側において回転装置15と対向する側には昇降装置16が配置され、昇降装置16は回転軸15aと接続されている。従って、回転装置15は昇降装置16を回転することができる。昇降装置16は直動機構を備え、直動機構を駆動して伸縮することができる。
【0029】
昇降装置16の下側には把持装置17が配置されている。昇降装置16は上下に移動する直動機構を有し、把持装置17を昇降することができる。把持装置17は略直方体状の2つの指部17aと直動機構とを有し、直動機構が2つの指部17aの間隔を変更することができる。そして、把持装置17は指部17aの間にワークを挟んで保持することが可能になっている。昇降装置16及び把持装置17の直動機構には、エアーシリンダーやリニアモーター、ボールネジと回転モーターとを組合せた装置等各種の機構を用いることができる。本実施形態では、例えば、昇降装置16及び把持装置17の直動機構にボールネジとステップモーターとを組合せた装置を採用している。
【0030】
基台2の図中右側には制御装置18が配置されている。制御装置18はロボット1の動作を制御する装置となっている。
【0031】
図2(a)は第1角速度センサーを示す模式断面図である。第1角速度検出器9と第2角速度検出器14とは同じ構造となっている。図2(a)に示すように、第1角速度検出器9は外装体21を備えている。外装体21の外形は略直方体であり、外装体21の内部には直方体の空洞が形成されている。第1角速度検出器9は第1腕部8に接して配置され、外装体21の第1腕部8側にはフランジ部21aが形成されている。フランジ部21aには複数の孔21bが形成されている。そして、孔21bにボルト22を貫通させて第1腕部8に形成された雌ネジ8bと組み合わせることにより外装体21が第1腕部8に固定されている。
【0032】
外装体21の内部には減衰部材からなる振動減衰部としての減衰容器23が配置されている。減衰容器23の外形は略直方体であり、内部には略直方体の空洞が形成されている。減衰部材は通過する振動を減衰させる特性を有する材料であれば良く、ノルボルネンゴムやシリコンゴム等のゴム類、アスファルト、機能性ポリエステル等の樹脂類等を用いることができる。本実施形態では、例えば、ノルボルネンゴムを採用している。
【0033】
外装体21の内部には内装体24が配置されている。内装体24の外形は略直方体であり、内部には略直方体の空洞が形成されている。つまり、内装体24は箱状に形成されている。そして、内装体24の中には基板25が配置され、基板25は内装体24に固定されている。内装体24及び基板25は電気に対して絶縁性のある材料にて形成されている。基板25上には角速度検出部としての第1角速度センサー26、センサー駆動素子27、コネクター28等が配置されている。そして、基板25上には配線が形成され、第1角速度センサー26とセンサー駆動素子27とが電気的に接続され、センサー駆動素子27とコネクター28とが電気的に接続されている。
【0034】
第1角速度センサー26の種類は特に限定されず、各種のジャイロスコープを用いることができる。例えば、回転型、振動型、ガスレートジャイロ、光ファイバージャイロ等のジャイロスコープを用いることができる。本実施形態では、例えば、水晶片を振動子にした振動子型ジャイロスコープを採用している。振動子型ジャイロスコープは小型のセンサーにすることができるので、ロボットに配置するとき、配置する場所を設定し易くすることができる。また、振動子型ジャイロスコープは軽量のセンサーにすることができる為、第1腕部8及び第2腕部13に配置しても第1モーター5及び第2モーター11の負荷を小さくできる。
【0035】
センサー駆動素子27は第1角速度センサー26に供給する電力を調整する機能を有する。さらに、第1角速度センサー26の出力を電力増幅することにより、電磁ノイズに影響され難くする機能を有している。コネクター28は電気信号を出力するインターフェースの機能を有している。コネクター28には配線コード29が接続されている。そして、コネクター28は配線コード29から電力を入力して、電気信号を出力する。
【0036】
内装体24の上側には振動減衰部としての内装用蓋部24aが配置されている。内装用蓋部24aは四角の板状に形成され、内装体24に蓋をする機能を有している。内装用蓋部24aには孔24bが形成されている。そして、配線コード29が孔24bを通過して配置されることにより、内装体24の内側と外側とに配線コード29を配置可能にしている。配線コード29は内装体24の内部にて撓んで配置されている。そして、配線コード29を伝わる振動が撓んでいる場所にて減衰するようになっている。
【0037】
内装用蓋部24a及び減衰容器23の上側には減衰容器蓋部23aが配置されている。減衰容器蓋部23aの外形は四角に形成され、減衰容器23に蓋をする機能を有している。減衰容器蓋部23aは減衰容器23と同じ材質により形成されている。減衰容器蓋部23aには切込み23bが形成されている。そして、切込み23bを通過するように配線コード29が配置され、配線コード29は減衰容器蓋部23aと接触するように配置されている。そして、配線コード29が振動するとき、配線コード29の振動が減衰容器蓋部23aに吸収される。
【0038】
減衰容器蓋部23a及び外装体21の上側には外装蓋部21cが配置されている。外装蓋部21cは四角の板状に形成され、外装体21に蓋をする機能を有している。外装体21及び外装蓋部21cは導電性のある材料にて形成されている。そして、第1モーター5及び第2モーター11等から伝播される電磁波を遮断する機能を有している。外装体21及び外装蓋部21cの材料には金属材料及び金属や炭素等の導電性の材料を含有する材料を用いることができる。本実施形態においては、例えば、アルミニウムを採用している。外装蓋部21cには孔21dが形成されている。そして、配線コード29が孔21dを通過して配置されることにより、外装体21の内側から外側へ配線コード29が連続して配置されている。
【0039】
外装体21の内側に減衰容器23が配置され、減衰容器23の内側に内装体24が配置されている。減衰容器23は外装体21と内装体24とに挟まれている。そして、減衰容器23と外装体21とは密着して配置され、減衰容器23と内装体24とも密着して配置されている。従って、外装体21が回転するとき、内装体24は外装体21に追従して回転するようになっている。
【0040】
減衰容器23及び減衰容器蓋部23aは内装体24及び内装用蓋部24aを覆って配置されている。第1腕部8から外装体21へ振動が伝播するとき、減衰容器23は外装体21から内装体24へ伝わる振動を減衰させる。同様に、減衰容器蓋部23aは外装蓋部21cから内装用蓋部24aへ伝わる振動を減衰させる。従って、内装体24の内部に配置された第1角速度センサー26は第1腕部8の振動の影響を受け難くなっている。
【0041】
減衰容器蓋部23aの上側には配線支持部30が配置されている。配線支持部30は減衰容器蓋部23a及び減衰容器23と同じ材質により形成されている。配線支持部30には切込み30aが形成されている。そして、切込み30aを通過するように配線コード29が配置され、配線コード29は配線支持部30と接触するように配置されている。そして、配線コード29が振動するとき、配線コード29の振動が配線支持部30に吸収される。
【0042】
配線コード29は配線支持部30と減衰容器蓋部23aとにより支持されている。そして、配線コード29は外装蓋部21cと接触しないように配置されている。従って、第1腕部8の振動が外装体21を介して外装蓋部21cに伝わるときにも、外装蓋部21cの振動が配線コード29に伝わり難くなっている。
【0043】
配線支持部30の上側には支持部固定部31が配置されている。支持部固定部31は箱状に形成され、支持部固定部31の内部に配線支持部30が配置されている。支持部固定部31の一部は外装蓋部21cと接触して配置され、支持部固定部31は外装蓋部21cに図示しないボルトにより固定されている。
【0044】
支持部固定部31には孔31aが形成されている。そして、配線コード29が孔31aを通過して配置されることにより、支持部固定部31の内側から外側へ配線コード29が連続して配置されている。
【0045】
支持部固定部31の上面にはゴム板等の減衰材料等からなる中継基板32が配置され、中継基板32上には中継コネクター33が配置されている。そして、配線コード29が中継コネクター33に接続されている。さらに、中継コネクター33には外部配線コード34が接続され、外部配線コード34は中継コネクター33を介して配線コード29と接続されている。配線コード29及び外部配線コード34にはシールド線が用いられている。シールド線は、導電性のある材料により形成された管内に配線が配置された構造を有している。そして、配線に電磁波の影響が受け難い構造となっている。
【0046】
この外部配線コード34は制御装置18と電気的に接続されている。従って、センサー駆動素子27はコネクター28、配線コード29、中継コネクター33、外部配線コード34を介して制御装置18と電気的に接続されている。そして、センサー駆動素子27は制御装置18から電力の供給を受けて、第1角速度センサー26に電力を供給する。そして、第1角速度センサー26が出力する信号をセンサー駆動素子27が制御装置18に送信するようになっている。
【0047】
配線コード29は配線支持部30と中継コネクター33との間で弛みを持たせて配置されている。そして、第1腕部8から外装体21、外装蓋部21c、支持部固定部31、中継基板32、中継コネクター33を介して配線コード29へ振動が伝播するとき、配線コード29に伝播する振動が弛んでいる場所にて減衰する為、配線コード29の振動はコネクター28に伝わり難くなっている。
【0048】
図2(b)は、第1腕部の振幅分布を示すグラフである。図2(b)において、横軸は第1腕部における長手方向の場所を示している。図中右側に第1モーター5が位置し、左側に第2モーター11が位置している。縦軸は第1腕部が振動する振幅を示し、上側が下側より大きな振幅となっている。そして、第1振幅分布線37は、第1モーター5及び第2モーター11が駆動するときの第1腕部8の各場所における振幅の平均分布を示している。第1腕部8の振幅を測定するとき、第1腕部8及び第2腕部13を可動範囲内にて加減速を繰り返す。そして、第1腕部8に振動センサーを設置して、第1腕部8の振幅を測定する。所定の時間内に測定した振幅の平均を演算することにより第1振幅分布線37を算出する。
【0049】
第1振幅分布線37において振幅の小さい場所である最小振幅点37aを算出する。そして、第1角速度検出器9を配置する場所を最小振幅点37aに設定する。このとき、第1角速度検出器9に第1腕部8から伝播する振動を小さくすることができる。
【0050】
図2(c)は、第2腕部の振幅分布を示すグラフである。図2(c)において、横軸は第2腕部における長手方向の場所を示している。図中右側に第2モーター11が位置し、左側に回転装置15が位置している。縦軸は第2腕部が振動する振幅を示し、上側が下側より大きな振幅となっている。そして、第2振幅分布線38は、第2モーター11、回転装置15、昇降装置16、把持装置17を駆動するときの第2腕部13の各場所における振幅の平均分布を示している。第2腕部13の振幅を測定するとき、第2モーター11、回転装置15、昇降装置16、把持装置17を可動範囲内にて加減速を繰り返す。そして、所定の時間内に測定した振幅の平均を演算することにより第2振幅分布線38を算出する。
【0051】
第2振幅分布線38において振幅の小さい場所である最小振幅点38aを算出する。そして、第2角速度検出器14を配置する場所を最小振幅点38aに設定する。このとき、第2角速度検出器14に第2腕部13から伝播する振動を小さくすることができる。
【0052】
図3は、ロボットの電気制御ブロック図である。図3において、ロボット1は制御装置18を備えている。そして、制御装置18はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU(中央演算処理装置)41と、各種情報を記憶するメモリー42とを有する。
【0053】
第1モーター駆動回路43、第2モーター駆動回路44、手部駆動回路45、第1角速度センサー駆動回路46、第2角速度センサー駆動回路47は、入出力インターフェース48及び データバス49を介してCPU41に接続されている。さらに、入力装置50、表示装置51、撮像装置52も入出力インターフェース48及びデータバス49を介してCPU41に接続されている。
【0054】
第1モーター駆動回路43は第1モーター5を駆動する回路であり、第1モーター5に電力と駆動信号とを出力する。そして、第1モーター駆動回路43は第1モーター5と連動する第1角度検出器6の出力を入力する。第1モーター駆動回路43は第1角度検出器6の出力を用いて第1モーター5を所定の角度に移動して停止することができる。
【0055】
第2モーター駆動回路44は第2モーター11を駆動する回路であり、第2モーター11に電力と駆動信号とを出力する。そして、第2モーター駆動回路44は第2モーター11と連動する第2角度検出器12の出力を入力する。第2モーター駆動回路44は第2角度検出器12の出力を用いて第2モーター11を所定の角度に移動して停止することができる。
【0056】
手部駆動回路45は回転装置15、昇降装置16、把持装置17を駆動する回路である。回転装置15、昇降装置16、把持装置17は内部にモーターを備えている。そして、手部駆動回路45は各モーターを回転及び停止することにより各装置を駆動する。具体的には、手部駆動回路45は回転装置15を駆動することにより、把持装置17を回転させる。さらに、手部駆動回路45は昇降装置16を駆動することにより、把持装置17を昇降させる。そして、手部駆動回路45は把持装置17を駆動することにより、指部17aを開閉する。
【0057】
第1角速度センサー駆動回路46は第1角速度検出器9内に配置された第1角速度センサー26を駆動する回路である。第1角速度センサー駆動回路46は第1角速度センサー26の出力をCPU41に出力する。同様に、第2角速度センサー駆動回路47は第2角速度検出器14内に配置された角速度検出部としての第2角速度センサー53を駆動する回路である。そして、第2角速度センサー駆動回路47は第2角速度センサー53の出力をCPU41に出力する。
【0058】
入力装置50はロボット1に関する各種設定を入力するための装置である。例えば、制御装置18は、ロボット1が把持するワークの座標データを図示しない外部装置から入力装置50を介してメモリー42に記憶する。表示装置51はロボット1に関する設定情報や動作状況を表示するための装置である。操作者は表示装置51を確認して状況に応じた指示を入力装置50から入力する。
【0059】
撮像装置52はロボット1が把持するワークを撮像するための装置である。撮像装置52は内部に固体撮像素子等からなるエリアセンサーを備え、エリアセンサーが撮像する画像を電気信号に変換して出力することが可能になっている。撮像装置52は把持装置17が移動可能な範囲内を撮像できるように設置されている。
【0060】
メモリー42は、RAM、ROM等の半導体メモリーや、ハードディスク、DVD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、ロボット1の動作の制御手順が記述されたプログラムソフト54を記憶する記憶領域や、ロボット1の各稼動部の位置や姿勢を示す座標データである姿勢データ55を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、把持装置17が目標とする場所に移動するときの各可動部が移動する予定の軌跡を示す軌跡データ56を記憶するための記憶領域や、把持装置17が把持するワークの形状に関するワークデータ57を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、CPU41のためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0061】
CPU41は、メモリー42内に記憶されたプログラムソフト54に従って、ワークのピッキング等の作業をするための制御を行うものである。具体的な機能実現部として、ロボット姿勢演算部58、シミュレーション演算部59、腕部制御部60、手部制御部61、ワーク位置検出部62等を有する。
【0062】
ロボット姿勢演算部58は各可動部の姿勢を演算する機能を有する。ロボット姿勢演算部58は第1モーター駆動回路43を介して第1角度検出器6の出力を入力する。さらに、ロボット姿勢演算部58は第1角速度センサー駆動回路46を介して第1角速度検出器9の出力を入力する。次に、ロボット姿勢演算部58は第1角速度検出器9の出力を積分することにより第1腕部8の角度を演算する。そして、第1角度検出器6及び第1角速度検出器9の出力を用いて第1腕部8の姿勢を検出する。同様に、ロボット姿勢演算部58は第2モーター駆動回路44を介して第2角度検出器12の出力を入力する。さらに、ロボット姿勢演算部58は第2角速度センサー駆動回路47を介して第2角速度検出器14の出力を入力する。次に、ロボット姿勢演算部58は第2角速度検出器14の出力を積分することにより第2腕部13の角度を演算する。そして、第2角度検出器12及び第2角速度検出器14の出力を用いて第2腕部13の姿勢を検出する。
【0063】
シミュレーション演算部59は、可動部を移動させる予定の軌跡を演算する機能を有する。ロボット姿勢演算部58が各可動部の位置する場所を検出する。次に、シミュレーション演算部59は、メモリー42に記憶されたワークデータ57を用いてワークが配置された場所を認識し、目標とするロボット1の姿勢を演算する。そして、シミュレーション演算部59は各可動部の目標の姿勢と移動させる軌跡の推移を演算する。
【0064】
腕部制御部60は第1モーター駆動回路43及び第2モーター駆動回路44に駆動指示信号を出力する。そして、シミュレーション演算部59の演算結果の通りに第1腕部8及び第2腕部13を移動させる。
【0065】
手部制御部61は手部駆動回路45に駆動指示信号を出力する。そして、把持装置17を回転及び昇降させる。次に、手部制御部61は把持装置17を駆動させてワークを把持もしくは離させる。
【0066】
ワーク位置検出部62は撮像装置52が撮像する画像の信号を入力して分析する。そして、ワークが位置する場所とワークの姿勢とを検出する機能を有する。そして、ワークの場所をワークデータ57としてメモリー42に格納する。
【0067】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、このロボットでは、第1モーター5が第1腕部8を回転し、第2角度検出器12が第1腕部8の回転する角速度を検出する。そして、第1モーター5が振動を発生させるとき、振動は第1腕部8に伝播する。また、第1腕部8が移動及び停止するとき、第1腕部8自体が振動する。第1角速度検出器9に振動が加わるとき、第1角速度センサー26は精度良く検出できない場合がある。減衰容器23は第1腕部8から第1角速度センサー26に伝わる振動を減衰させる為、第1角速度センサー26に振動の影響を受け難くすることができる。この内容については、第2腕部13の第2角速度検出器14においても同様の効果を有する。
【0068】
(2)本実施形態によれば、減衰容器23に減衰部材が配置される。減衰部材は振動を減衰させる為、第1腕部8から第1角速度センサー26へ振動を伝え難くすることができる。この内容については、第2腕部13の第2角速度検出器14においても同様の効果を有する。
【0069】
(3)本実施形態によれば、第1角速度センサー26が配置された内装体24を減衰容器23が覆っている。従って、第1角速度センサー26に伝播する振動はどの方向から来ても減衰容器23を通るので、減衰容器23は第1角速度センサー26に伝播する振動を減衰させることができる。この内容については、第2腕部13の第2角速度検出器14においても同様の効果を有する。
【0070】
(4)本実施形態によれば、第1角速度検出器9及び第2角速度検出器14は振動の振幅が小さい場所に配置される。従って、振幅が大きい場所に配置されるときと比べて第1角速度検出器9及び第2角速度検出器14に伝わる振動を小さくすることができる。
【0071】
(5)本実施形態によれば、第1角速度検出器9は第1モーター5及び第2モーター11から離れている。従って、第1モーター5及び第2モーター11が振動するときにも、第1モーター5及び第2モーター11と近い場所に配置されるときと比べて、第1角速度検出器9に振動が伝わり難くすることができる。
【0072】
(第2の実施形態)
次に、ロボットの一実施形態について図4(a)の第1角速度検出器を示す模式断面図を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、図4(a)に示した第1角速度検出器の構造が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0073】
すなわち、本実施形態では、図4(a)に示したように、第1腕部8上に第1角速度検出器65が配置されている。第1角速度検出器65は第1の実施形態における第1角速度検出器9に相当するものである。第1角速度検出器65は減衰部材からなる振動減衰部としての第1減衰板66を備えている。第1減衰板66は減衰容器23と同様の材料により直方体に形成されている。
【0074】
第1減衰板66の上側には内装体24が配置されている。そして、内装体24の内部には第1角速度センサー26、センサー駆動素子27、コネクター28等が実装された基板25が配置されている。そして、内装体24の上には内装用蓋部24aが配置されている。内装体24及び内装体24の内部については第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0075】
内装用蓋部24aの上側には振動減衰部としての第2減衰板67が配置されている。第2減衰板67は第1減衰板66と同じ材質にて直方体に形成されている。そして、第1減衰板66と第2減衰板67とで内装体24を挟むように配置されている。第2減衰板67には切込み67aが形成されている。そして、切込み67aを通過するように配線コード29が配置され、配線コード29は第2減衰板67と接触するように配置されている。そして、配線コード29が振動するとき、配線コード29の振動が第2減衰板67に吸収される。
【0076】
第2減衰板67の上側には固定板68が配置されている。固定板68の外形は四角に形成され、四隅に近い場所に固定用孔68aが形成されている。そして、固定用孔68aにボルト69を貫通させて第1腕部8に形成された雌ネジ8bと組み合わせることにより固定板68が第1腕部8に固定されている。固定板68は第1減衰板66及び第2減衰板67を介して内装体24を上下方向から押えることにより、第1減衰板66及び第2減衰板67を弾性変形させている。そして、第1腕部8と固定板68との間に配置されている各部材間に摩擦を生じさせている。従って、第1腕部8が回転するとき、内装体24は第1腕部8に追従して回転するようになっている。
【0077】
固定板68には孔68bが形成されている。そして、配線コード29が孔68bを通過して配置されることにより、固定板68の上側から下側へ配線コード29が連続して配置されている。
【0078】
第1腕部8が振動するとき、第1減衰板66は第1腕部8から内装体24へ伝わる振動を減衰させる。さらに、第1腕部8からボルト69を介して固定板68へ振動が伝播するとき、第2減衰板67は固定板68から内装体24へ伝わる振動を減衰させる。従って、内装体24の内部に配置された第1角速度センサー26は第1腕部8の振動の影響を受け難くなっている。
【0079】
固定板68の上側には配線支持部30、支持部固定部31、中継基板32、中継コネクター33等が配置される。これらの部材については、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0080】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1腕部8が振動するときにも、第1減衰板66及び第2減衰板67が振動を吸収する為、振動が内装体24に伝わり難くなっている。従って、第1角速度センサー26が振動の影響を受け難いようにすることができる。
【0081】
(2)本実施形態によれば、第1の実施形態における外装体21に換えて固定板68にて内装体24を固定している。固定板68は外装体21に比べて単純な形状であり、加工しやすい形状となっている。従って、生産性良く第1角速度検出器65を形成することができる。
【0082】
(第3の実施形態)
次に、ロボットの一実施形態について図4(b)の第1角速度検出器を示す模式断面図を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、図4(b)に示した第1角速度検出器の構造が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0083】
すなわち、本実施形態では、図4(b)に示したように、第1腕部8上に第1角速度検出器72が配置されている。第1角速度検出器72は第1の実施形態における第1角速度検出器9に相当するものである。第1角速度検出器72は減衰部材からなる振動減衰部としての減衰台73を備えている。減衰台73の減衰材料には制振鋼板、制振合金等を用いることができる。制振鋼板は損失係数の大きな樹脂を鋼板と重ねて形成されている。制振合金には片状黒鉛鋳鉄、マグネシウム合金、サイレンタロイ(Fe−Cr−Al)、ニッケル−チタン合金、マンガン−銅合金等を用いることができる。
【0084】
減衰台73は第1腕部8に接して配置され、減衰台73の第1腕部8側にはフランジ部73aが形成されている。フランジ部73aには複数の孔73bが形成されている。そして、孔73bにボルト22を貫通させて第1腕部8に形成された雌ネジ8bと組み合わせることにより減衰台73が第1腕部8に固定されている。
【0085】
減衰台73上には基板25が配置され、基板25上には第1角速度センサー26、センサー駆動素子27、コネクター28等が実装されている。そして、コネクター28には配線コード29が接続されている。基板25及び基板25上の素子については第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。また、減衰台73上には配線支持部74が配置されている。そして、配線コード29は配線支持部74に支持されている。そして、配線コード29はコネクター28と配線支持部74との間で弛むように配置されている。
【0086】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1腕部8が振動するときにも、減衰台73が振動を吸収する為、振動が第1角速度センサー26に伝わり難くなっている。従って、第1角速度センサー26が振動の影響を受け難いようにすることができる。
【0087】
(2)本実施形態によれば、第1腕部8と基板25との間に減衰台73を配置した構造となっている。第1角速度検出器72は簡単な構造であり、部品数が少ない構造となっている。従って、生産性良く第1角速度検出器72を製造することができる。
【0088】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、第1腕部8において振幅の分布を調査して、振幅の小さい場所に第1角速度検出器9を配置した。第1モーター5と第2モーター11とが生じる振動が同程度のときには、第1角速度検出器9を設定する場所を第1モーター5と第2モーター11との中点に設定しても良い。第1モーター5と第2モーター11とが振動するときにも第1角速度検出器9に振動が伝わり難くすることができる。そして、第1腕部8の振幅を調査することを削減できるので、生産性良くロボット1を設計することができる。
【0089】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、ロボット姿勢演算部58は第1角度検出器6と第1角速度センサー26との出力を用いて第1腕部8の姿勢を検出した。第1角速度センサー26の検出精度が良い場合には第1角速度センサー26の出力だけを用いて第1腕部8の姿勢を検出しても良い。同様に、第2角速度センサー53の検出精度が良い場合には第2角速度センサー53の出力だけを用いて第1腕部8の姿勢を検出しても良い。第1腕部8の姿勢を演算するときに、2つのセンサーの出力の整合性をとる必要がなくなる為、ロボット姿勢演算部58が第1腕部8の姿勢を演算する手順を簡便にすることができる。
【0090】
(変形例3)
前記第2の実施形態では、第1角速度検出器65を第1腕部8に配置したが、第2腕部13に適用しても良い。前記第3の実施形態では、第1角速度検出器72を第1腕部8に配置したが、第2腕部13に適用しても良い。この場合にも同様の効果を得ることができる。
【0091】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、第1腕部8において振動の振幅の小さい場所に第1角速度検出器9が配置された。このとき、第1角速度検出器9を配置した場所は第1モーター5と第2モーター11との間であった。第1腕部8が直線状でなく複数の柱状の部材が配置されている場合には、第1モーター5と第2モーター11等の振動源の間に第1角速度検出器9を配置しなくとも良い。振動源から離れた部材上の場所に第1角速度検出器9を配置しても良い。
【0092】
図5(a)及び図5(b)は、ロボットの模式上面図であり、図5(c)は、ロボットの構成を示す模式断面図である。図5(a)に示すように、ロボット77は第1腕部8を備えている。そして、第1腕部8の第1モーター5側に接続して第3腕部78が配置されている。そして、第3腕部78において第1腕部8と接していない側の端には第1角速度検出器9が配置されている。さらに、ロボット77は第2腕部13を備えている。そして、第2腕部13の第2モーター11側に接続して第4腕部79が配置されている。そして、第4腕部79において第2腕部13と接していない側の端には第2角速度検出器14が配置されている。
【0093】
図5(b)に示すように、ロボット80は第1腕部8を備えている。そして、第1腕部8の第2モーター11側に接続して第5腕部81が配置されている。そして、第5腕部81において第1腕部8と接していない側の端には第1角速度検出器9が配置されている。さらに、ロボット80は第2腕部13を備えている。そして、第2腕部13の回転装置15側に接続して第6腕部82が配置されている。そして、第6腕部82において第2腕部13と接していない側の端には第2角速度検出器14が配置されている。
【0094】
図5(c)に示すように、ロボット83は第1腕部8を備えている。そして、第1腕部8の中央から第1モーター5の軸方向に延在する第7腕部84が配置されている。そして、第7腕部84において第1腕部8と反対側の端には第1角速度検出器9が配置されている。さらに、ロボット83は第2腕部13を備えている。そして、第2腕部13の中央から第2モーター11の軸方向に延在する第8腕部85が配置されている。そして、第8腕部85において第2腕部13と反対側の端には第2角速度検出器14が配置されている。以上のように振動源であるモーターから離れた場所に第1角速度検出器9及び第2角速度検出器14を配置することにより、第1角速度検出器9及び第2角速度検出器14に振動を伝わり難くすることができる。
【0095】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、第1腕部8及び第2腕部13が振動するときに振幅を測定して振幅の小さい場所を検出した。第1腕部8及び第2腕部13の振動状態をシミュレーションすることにより、振幅の小さい場所を検出しても良い。第1モーター5、第2モーター11等を振動源にして振動周波数を変化させて、第1腕部8及び第2腕部13の振動モードを解析しても良い。振幅の小さい場所を精度良く設定することができる。
【符号の説明】
【0096】
1,77,80,83…ロボット、5…駆動部としての第1モーター、8…腕部としての第1腕部、11…駆動部としての第2モーター、13…腕部としての第2腕部、23…振動減衰部としての減衰容器、24a…振動減衰部としての内装用蓋部、26…角速度検出部としての第1角速度センサー、53…角速度検出部としての第2角速度センサー、66…振動減衰部としての第1減衰板、67…振動減衰部としての第2減衰板、73…振動減衰部としての減衰台、78…腕部としての第3腕部、79…腕部としての第4腕部、81…腕部としての第5腕部、82…腕部としての第6腕部、84…腕部としての第7腕部、85…腕部としての第8腕部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕部と、前記腕部を回転させる駆動部と、
前記腕部が回転する角速度を検出する角速度検出部と、
前記腕部から前記角速度検出部に伝わる振動を減衰させる振動減衰部と、を有することを特徴とするロボット。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットであって、
前記振動減衰部は減衰部材を有し、前記減衰部材が前記腕部と前記角速度検出部との間に配置されることを特徴とするロボット。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットであって、
前記減衰部材は、前記角速度検出部を覆って配置されることを特徴とするロボット。
【請求項4】
請求項3に記載のロボットであって、
前記角速度検出部は前記腕部において振幅が小さい場所に配置されることを特徴とするロボット。
【請求項5】
請求項4に記載のロボットであって、
前記角速度検出部は前記腕部において前記駆動部と離れている場所に配置されることを特徴とするロボット。
【請求項6】
請求項5に記載のロボットであって、
前記腕部に複数の前記駆動部が配置され、隣り合う前記駆動部の中点に前記角速度検出部が配置されることを特徴とするロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−253566(P2010−253566A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102739(P2009−102739)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】