ロータリ作業機
【課題】中耕作業用ロータリ仕様と耕耘ロータリ仕様への変更の容易化。
【解決手段】 左右一対のロータリケース(47)(47)の各下端側に耕耘駆動軸(101L,101R)を水平方向にケース(47)(47)から突出させて設け、これら耕耘駆動軸(101L,101R)のケース(47)内側に突出する部分には第一耕耘爪軸(104L,104R)を装着し、ケース(47)外側に突出する部分には第二耕耘爪軸(105L,105R)を装着し、これら左右第一耕耘爪軸(104L,104R)の間には第三耕耘爪軸(108)を伝動可能に装着する。
【解決手段】 左右一対のロータリケース(47)(47)の各下端側に耕耘駆動軸(101L,101R)を水平方向にケース(47)(47)から突出させて設け、これら耕耘駆動軸(101L,101R)のケース(47)内側に突出する部分には第一耕耘爪軸(104L,104R)を装着し、ケース(47)外側に突出する部分には第二耕耘爪軸(105L,105R)を装着し、これら左右第一耕耘爪軸(104L,104R)の間には第三耕耘爪軸(108)を伝動可能に装着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作物生育中の畝溝を耕耘する中耕ロータリと、広幅で通常の土壌耕耘を行う耕耘ロータリとに仕様を変更しうるロータリ作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業車には、特開2004−8082号公報に示されるように、簡易乗用型に構成された機体の前後車輪間に中耕用爪を配置したロータリがある。このロータリは中耕専用に装着されたもので、畦間の中耕除草を目的としている。
【特許文献1】特開2004-8082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、普通耕耘用として使用の場合には広幅の耕耘ロータリ仕様に変更の必要があり、伝動構成の仕様変更、及びロータリカバーの変更など交換作業が煩わしい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく、ロータリ作業機を以下のように構成した。
即ち請求項1の発明では、左右一対のロータリケース(47)(47)の各下端側に耕耘駆動軸(101L,101R)を水平方向にケース(47)(47)から突出させて設け、これら耕耘駆動軸(101L,101R)のケース(47)内側に突出する部分には第一耕耘爪軸(104L,104R)を装着し、ケース(47)外側に突出する部分には第二耕耘爪軸(105L,105R)を装着し、これら左右第一耕耘爪軸(104L,104R)の間には第三耕耘爪軸(108)を伝動可能に装着したことを特徴とするロータリ作業機の構成とする。
【0005】
耕耘駆動軸(101L,101R)に第一耕耘爪軸(104L,104R)及び第二耕耘爪軸(105L,105R)に代えてカルチ爪(113)を設ける中耕用カルチ爪軸(114)を取り付けると中耕用ロータリ仕様となり、カルチ爪(113)を畦間に沿って作用させながら中耕除草を行う。耕耘駆動軸(101L,101R)に耕耘爪(107)を設ける第一耕耘爪軸(104L,104R)、第二耕耘爪軸(105L,105R)に付け代える一方、これら第一耕耘爪軸(104L,104R)間に第三耕耘爪軸(108)を装着することにより、耕耘ロータリ仕様に組み替えられる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、第一耕耘爪軸(104L,104R)を耕耘駆動軸(101L,101R)にスライド自在に嵌合すると共に連結ピン(106)を介して伝動可能に取り付け、該第一耕耘爪軸(104L,104R)の内端部に設けるフランジ(110L,110R)に第三耕耘爪軸(108)の取付フランジ(109L,109R)を設け、第一耕耘爪軸(104L,104R)と第三耕耘爪軸(108)との上記フランジ接合状態では互いに嵌合するインロー部(112a,112b)を設けてなる。
【0007】
このように構成すると、第三耕耘爪軸(108)の取り付けは、耕耘駆動軸(101L,101R)に嵌合した第一耕耘爪軸(104L,104R)のスライドによってインロー部(112a,112b)を嵌合し、その状態でフランジ接合状態にあるフランジ(109,110)を適宜にボルト・ナットによる締付具で両者を一体化させる。その後、連結ピン106で第一、第二耕耘爪軸(104,105)に連結する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、左右のロータリーケース(47,47)に夫々カバー支持板(115L,115R,116L,116R)を該ケース(47)の左右両側に突出すべく設け、これらのカバー支持板(115L,115R,116L,116R)により、ロータリケース(47)の内外両側に中耕用上面カバー(120)と中耕用リヤカバー(122)とを装着し、かつ各側面には副カバー(121a,121b)を装着して中耕用ロータリカバーに構成し、一方ロータリケース(47,47)の内側における中耕用上面カバー(120)、中耕用リヤカバー(122)及び副カバー(121b)を外して耕耘カバー(117)を左右カバー支持板(115L,115R)間に設けてなる。
【0009】
中耕用ロータリ仕様とした作業部を耕耘ロータリ仕様に変更するには、中耕上面カバー120と中耕用リヤカバー122とのセット部材のうち、ロータリケース47よりも内側に配置される部分を外し、その側の副カバー121bを取り外す。次いで、耕耘カバー117を用意し、中耕上面カバーが外された左右のカバー支持板115に装着する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、耕耘駆動軸(101L,101R)に、カルチ爪軸に代替して耕耘爪(107)を設ける第一耕耘爪軸(104L,104R)、第二耕耘爪軸(105L,105R)に付け代える一方、これら第一耕耘爪軸(104L,104R)間に第三耕耘爪軸(108)を装着することにより、耕耘ロータリ仕様に組み替えられるものであるから、既存のロータリケース(47)や耕耘駆動軸(101L,101R)のままで仕様変更が可能である。
【0011】
また請求項2の発明では、第三耕耘爪軸(108)の取り付けは、耕耘駆動軸(101L,101R)に嵌合した第一耕耘爪軸(104L,104R)のスライドによってインロー部(112a,112b)を嵌合し、その状態でフランジ接合状態にあるフランジ(109,110)を適宜にボルト・ナットによる締付具で両者を一体化させることができ、第三耕耘爪軸(108)の着脱が容易である。
【0012】
更に請求項3の発明では、耕耘ロータリ仕様に変更の場合に、カバー支持板115や中耕上面カバーの一部は残すなど、中耕ロータリ仕様の構成部材の一部を兼用することで、変更作業の容易化が図れ、しかもコストも低廉となす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
最初に農作業車Tの全体構成に付いて説明する。
農作業車Tは、図1と図2に示すように、車体前部左右に四角柱材から成る前フレーム11を前後方向に沿わせて平行に配し、この左右の前フレーム11,11間にエンジン取付用の二本の補助フレーム12,12を架け渡す構成となっている。また、前フレーム11の後端部を、上下傾斜方向に配した中間フレーム13を介して後フレーム14を接続し、この後フレーム14,14の後部側の間に操縦席支持プレート15を架け渡すと共に、後フレーム14の後端部同士を後輪支持フレーム16にて接続し、上記前フレーム11,11、後フレーム14,14及び後輪支持フレーム16等をもって車体フレーム枠を構成している。
【0014】
また前記左右の前フレーム11,11の前端部同士は、側面視L状のバッテリ取付プレート17にて接続し、このプレート17中間部にエンジンEにより充電されるバッテリBを載置固定すると共に、同フレーム11,11の左右各側面には、平面視ループ状の歩行用ハンドル18の基部を取り付ける構成となっている。これにより、前記歩行用ハンドル18は、オペレータが乗車しているときに車体前部を保護するバンパーとして、或いは背丈の高い作物を左右に振り分けて作物を損傷しないようナローガイドとしても利用することができる。
【0015】
またエンジンE回転を伝導する後記ポータルケース42,42の下部に前輪20F,20Fを軸支しており、前記歩行用ハンドル18の左右両側部には、これら前輪20F,20Fの操向用クラッチ45,45を左右個別に入切するクラッチレバー22,22を設け、左右一側には、前記両クラッチ45,45を共に切りに保持する車両停止レバー23を備える構成となっている。
【0016】
また前記エンジン取付用補助フレーム12,12の間には、前記前フレーム11よりも外側に突出させる複数のロッド21…を架設して、このロッド21上のブラケットに作業機昇降用アクチュエータとなる昇降用電動シリンダ24の基部を取り付ける構成となっている。
【0017】
また前記エンジンEの後方には、ハンドルポスト25を設け、同ポスト25の上端部に乗車用ハンドル19を突設すると共に、同ポスト25内部には、ステアリング軸26の回転に連動して押し引きされるワイヤーを設け、このワイヤーの押し引き操作にて前記左右夫々の前輪20F,20Fのクラッチ45,45を個別に入・切できる構成となっている。
【0018】
これにより、乗車用ハンドル19を左方向に回動すると左前輪20Fのクラッチ45が切となって、左前輪20Fを支点として車両は左側に操向し、ハンドル19を右方向に回動すると右前輪20F側のクラッチ45が切となって、右前輪20Fを支点として車両は右側に操向することができる。
【0019】
また前記後フレーム14の上方にはステップフロア28を支持し、同フロア28後上方に位置すべく前記操縦席29を支持すると共に、同フレーム14の後端部同士を、同フロア28の左右幅よりも外側に突設させた二本の後輪支持フレーム16,16にて接続し、該支持フレーム16,16の左右外端部にキャスター式の後輪20R,20Rを取り付ける構成となっている。
【0020】
また前記左右後輪20R,20Rは、前記ステアリング軸26の回転操作に連動して押し引きされるワイヤーを接続し、前記乗用用ハンドル19の回転操作に連動して左右に操舵する構成となっている。
【0021】
また前記二本の後輪支持フレーム16,16間には、プレート部材を架け渡して補強部材とすると共に、車体後方から乗り降りする際の乗降用ステップ30Aを構成している。また同フレーム16下方に延設する後輪20Rの支持アーム31にも前方へ向ってプレート部材を突設し、車体側方から乗り降りする際の乗降用ステップ30Bを構成している。
【0022】
以上のように構成した農作業車Tでは、車体前部にエンジンEやバッテリBや後述するミッションケース1等を集中配置して重量を重くする一方、車体後部、特に後輪20Rは、前輪20Fと比較して小径で且つ駆動機構を備えず軽量な構成としているので、オペレータが下車した状態では、後輪20Rの接地荷重が極めて小さい構成となっている。
【0023】
これにより、オペレータは、前記歩行用ハンドル18を下方へ押圧して前輪20Fを支点に車体後部を持ち上げる場合、極力小さな力で操作することができ歩行操作時の操作性を向上することができる。
【0024】
尚、図1中符号32は、前記バッテリBの前方へ張り出した補助ペダルを示し、前記歩行用ハンドル18を押圧操作する際に同ペダル32を踏み込むことで体重をかけ、歩行用ハンドル18の押圧力を補助する構成となっている。また一転鎖線Xは、車体の左右中央線を示し、この線上に前記エンジンEの他、走行系ミッションケース1、筒軸94、操縦席29を配置する構成となっている。
【0025】
次に、この農作業車Tの走行系伝動機構M1と作業機系伝動機構M2について説明する。
走行系の動力伝達機構M1は、前記エンジンEの出力軸40の回転を、伝動上手側から順にベルトケース41、走行系ミッションケース1、前輪支持用ポータルケース42内の各伝動機構を介して伝達し、前輪20Fを駆動する構成となっている。
【0026】
詳細に説明すると、図4に示すように、前記エンジンEの左右一側には、エンジン出力軸40を車体外側へ向けて突設し、同軸40の回転をベルトケース41内の駆動側プーリ43a及び従動側プーリ43bと、両プーリ43a,43b間を接続する伝動ベルト39を介して、走行系ミッションケース1の入力軸(第一軸50)へ伝達する構成となっている。
【0027】
また前記走行系ミッションケース1は、車体中央部に配置され且つ前後方向に配した金属製ケースであって、このケース後上部の入力軸50から回転を入力し、ケース前下部の出力軸55から回転出力する構成となっている。
【0028】
また前記走行系ミッションケース1の内部は、六本のギヤ軸(以下、第一軸50、第二軸51…第六軸55)を軸受けする構成となっており、前記第一軸50と第二軸51、第二軸51と第三軸52との間には、夫々減速ギヤ組56,57を設け、前記第一軸50の回転を夫々減速する構成となっている。また前記第一軸50が突出しているケース一側面とは反対側のケース他側面には、前記第三軸52の一端部を、作業機系出力軸、即ちPTO軸として突設し、後述する作業機系動力伝達機構M2を介して各種の作業機Rを駆動する構成となっている。
【0029】
また、前記第四軸53には、二つの走行用変速ギヤ(走行用第一変速ギヤ60,二段ギヤ式の走行用第二変速ギヤ61)を設け、前記ハンドルポスト25側方に突設した主変速レバー62により両ギヤ60,61を軸53上でスライドさせる構成となっている。
【0030】
そして、前記変速レバー62により、走行用第一変速ギヤ60を右側へ移動させて第二軸51上の後進用低速ギヤ63と噛み合わせるか、或いは同ギヤ60を左側へ移動させて第三軸52上の前進用低速ギヤ65と噛み合わせるか、或いは前記走行用第二変速ギヤ61を右側に移動させて第二軸51上の後進用高速ギヤ64と噛み合わせるか、或いは同ギヤ61を左側へ移動させて前記第三軸52上の前進用高速ギヤ66と噛み合わせて、前後二速の内、一速を選択する構成となっている。
【0031】
また前記第四軸53と第五軸54間には、回転数を高速で伝達する高速ギヤ組67と、低速で伝達する低速ギヤ組68を設け、第五軸54上の副変速クラッチ69を操縦席29側方の副変速レバーの前後回動操作によりどちらか一方のギヤ組67,68のクラッチ爪を噛み合わせて、第五軸54を駆動する構成となっている。
【0032】
以上のように構成した走行系伝動機構M1内の主及び副変速機構により、農作業車Tは前進4段、後進4段の変速を得ることができる。
また更に、前記第五軸54と第六軸55との間にも、減速ギヤ組70を設け、前記主及び副変速機構で減速された回転を、第六軸55に設けた駆動側スプロケット71へ伝達し、チェーンCを介してスプロケット支持軸73を駆動する構成となっている。
【0033】
また前記走行系ミッションケース1下部の走行用出力軸73には、前記チェーンCを噛み合わせる従動側スプロケット72を軸受けし、同スプロケット72を支持する軸の左右夫々にクラッチ45,45を構成すると共に、同クラッチ45,45の被駆動軸側に走行用出力軸74を、前記前フレーム11の外側まで突設する構成となっている。
【0034】
また更に、前記走行用出力軸74は、前記前輪支持用ポータルケース42内部のチェーンCを介してケース下部の前輪アクスル軸76を駆動する構成となっている。
以上のように構成した農作業車Tでは、主及び副変速レバーの回動操作によって、前進4段、後進4段の走行変速を適宜切り替えることができ、また前記歩行用ハンドル18に設けたクラッチレバー22,22の把持操作によって、前記クラッチ45を入切操作して左右一方の前輪20Fを被駆動状態として車体を左右操向することができる。
【0035】
次に変速機構を備えた作業機系動力伝達機構M2に付いて説明する。
作業機系の動力伝達機構M2は、図4と図5に示すように、前記ミッションケース1側部に突出させた第三軸(PTO軸)52の回転を、動力上手側から順に、作業機系伝動ケースとなる第一ロータリケース2A、そして左右の第二ロータリケース46L,46R、左右第三ロータリケース47L,47R内の各伝動機構を介して伝達し、更にロータリ作業機R1,R2へ伝達する構成となっている。
【0036】
この正逆転切替機構を備えた第一ロータリケース2は、五本の伝動軸(作業系第一軸80から作業系第五軸84)を軸受けすると共に、最上部にはクラッチ操作用シフタ7を支持するシフタ操作軸6を支持する構成となっている。
【0037】
そして前記第一ロータリケース2は、前記ミッションケース1から突設したPTO軸52を貫入させながら、両ケース1,2の当接面同士を嵌合させた状態で備える構成となっている。また第一ロータリケース2内には、上部の入力軸となる作業系第一軸80、この作業系第一軸80と平行に軸架した作業系第二軸81、そして下部の作業系第三軸82を軸支する構成となっている。
【0038】
また前記第二軸81には、中継ギヤ95を同軸81上でスライド自在に設ける一方、前記第三軸82には前記中継ギヤ95と噛合う正転用被駆動ギヤ96Fを設け、第四軸83には同中継ギヤ95と噛合う逆転用被駆動ギヤ96Rを設け、前記中継ギヤ95を軸81上でスライド操作することにより、前記第一軸80上の広幅ギヤ86の回転を第三軸82、若しくは第四軸83へ伝達する構成となっている。
【0039】
また前記第三軸82と第四軸83との間には、常時噛合式の減速ギヤ組97を設け、前記正転用被駆動ギヤ96Fに伝達された回転を第四軸83へ伝達する構成となっている。
また前記中継ギヤ95は、正逆転切替レバー99dとシフタ99a及びレバー操作軸99bを介して連動連結され、同レバー99dを左右方向に回動することによって同ギヤ95を軸上でスライドする構成となっている。
【0040】
詳しくは、図7の(A)に示すように、正逆転切替レバー99dを車体内側へ向って回動すると、中継ギヤ95が車体内側にスライドして、正転用被駆動ギヤ96Fが噛合って、動力が第四軸83へ正転で伝達される。また図7の(B)に示すように、正逆転切替レバー99dを車体外側へ向って回動すると、中継ギヤ95が車体外側にスライドして、逆転用被駆動ギヤ96Rが噛合って動力は第四軸83’へ逆転で伝達される。
【0041】
また前記第四軸83には、筒状の前記第五軸84へ動力を伝達する減速ギヤ98を設け、これら減速ギヤ98を介して伝達された動力は、筒状の第四軸84に挿通したこの発明の出力軸となる前記延長軸9を駆動する構成となっている。
【0042】
また前記延長軸9は、前記筒軸94とピンPで連結された二本の軸から構成され、図1に示すように、この左右外端を前記前フレーム11の左右に突設した筒部材33に挿通支持する構成となっている。また前記延長軸9の左右両端部には、所定間隔毎に複数の取付穴34,34…を開口し、これら取付穴34を選択して後述する第二ロータリケース46L,46Rを取り付け支持する構成となっている。
【0043】
次に作業機について説明する。図8は所定幅の耕耘作業を行うロータリ耕耘作業機R1に構成している。前記左右の第三ロータリケース47L,47Rは、後記のように昇降可能にフレームに連結され、このケース47L,47Rの各下端側に、スプロケット100R,100Lを固着した耕耘駆動軸101R,101Lを該ケース47から左右に突出すべく軸支している(以下R,Lは左右対称部材を区別する場合に用い、共通構成等の説明では省略している)。即ち、幅狭の上記ロータリケース47の下端側を開口し、支持メタル102に軸受103を介して左右突出状の耕耘駆動軸101が装着されている。該耕耘駆動軸101のケース47から内側に突出する部分には短筒軸状の第一耕耘爪軸104L,104Rを、外側に突出する部分には同じく短筒軸状の第二耕耘爪軸105L,105Rを挿入支持の構成とし、これら第一、二耕耘爪軸104、105は、着脱自在の連結ピン106によって耕耘駆動軸101に連動すべく構成し、且つ約90度ずつ位相をずらせた位置に爪ホルダを固着し耕耘爪107,107…を着脱自在に装着できる構成としている。
【0044】
前記第一耕耘爪軸104L,104Rとの間には長尺の第三耕耘爪軸108が装着される。該耕耘爪軸108は筒軸形態で、左右両側に取付フランジ109L,109Rを備え、上記第一耕耘爪軸104L,104Rに夫々固着したフランジ110L、110Rに接合して締付け固着できる構成とし、前記耕耘駆動軸101の回転駆動力は連結ピン106、第一耕耘爪軸104、フランジ110,109を経由して伝達される構成である。この第三耕耘爪軸108外周には適宜間隔と回転方向の位相毎に爪ホルダが固定され、耕耘爪107,107…を装着可能としている。
【0045】
上記第三耕耘爪軸108の装着、取り外しの構成について説明する。上記連結ピン106によって耕耘駆動軸101と一体化する第一耕耘爪軸104は、該耕耘駆動軸101に対して挿通状態で軸方向にスライド自在に設けられ、ロータリケース47側に向けては草巻き付きや異物のシール部への侵入を防止するための防護カバー111が前記支持メタル102の段部102aに接触するまでスライドしうる構成としている。このスライド量xは、第一耕耘爪軸104と第三耕耘爪軸108とのフランジ接合状態では互いに嵌合するインロー部112a,112bの離脱長さyよりも長く設定して、第三耕耘爪軸108の軸方向固定状態で第一耕耘爪軸104が切り離し可能に設けている。この第一耕耘爪軸104のスライド構成とインロー部による嵌合構成は、第三耕耘爪軸108の左右両端部において同様の構成を採用している。
【0046】
上記のように構成すると、第三耕耘爪軸108の取り付けは、耕耘駆動軸101に嵌合した第一耕耘爪軸104のスライドによってインロー部112a,112bを嵌合し、その状態でフランジ接合状態にあるフランジ109,110を適宜にボルト・ナットによる締付具で両者を一体化させる。その後、連結ピン106で第1耕耘104,105に対して爪軸を耕耘駆動軸101に連結する構成である。
【0047】
上記実施例では、左右のロータリケース47,47に耕耘駆動軸101L,101Rを構成する形態であるから、左右に振り分け配置される第一、第二耕耘駆動軸104,105を夫々同一条件で駆動力を供給でき、かつ長尺の第三耕耘爪軸108においても左右側からほぼ均等に駆動力を供給できるため、圃場の土質条件等に関わらず安定した耕耘作業を継続できる。
【0048】
また、土質等の影響が少ない場合には、耕耘爪軸を所謂サイドドライブ形態として駆動する構成に変更できる。すなわち、上記においていずれか一方の連結ピン106の装着は行うが他方を行わないようにすることで容易に仕様変更が可能である。耕耘駆動軸101の該他方側においては、第一耕耘爪軸104を嵌合するのみで回転駆動軸101の回転は伝わらないが、軸を嵌合状態で支持するものである。このような仕様の変更は、連結ピン106の装着の要否判定に基づくもので第三耕耘爪軸108の装着や取り外しの要領はほぼ同じである。
【0049】
また、上記第一耕耘爪軸〜第三耕耘爪軸の装着による耕耘作業のほか、第三耕耘爪軸108を取り外し、図12のように、左右ともに駆動する状態で第一耕耘爪軸104及び第二耕耘爪軸105を取り外して、カルチ爪113を装着したカルチ爪軸114を夫々に装着して中耕ロータリ作業機R2とすることができる。
【0050】
前記耕耘爪軸装着、またはカルチ爪軸装着においても、ロータリカバーを装着する。その具体的な構成は、左右のロータリケース47L,47Rにカバー支持板115L,115R、116L,116Rをケース47の左右側に適宜にブラケットを介してほぼ水平姿勢に取付け、これらのカバー支持板115,116をもって、中耕ロータリカバー(図12)や耕耘ロータリカバー(図13〜図15)を装着するものである。
【0051】
まず、耕耘ロータリカバーの装着について説明すると、側面視において、上記左右のカバー支持板115L,115Rに対して湾曲形状の耕耘カバー117を左右掛け渡し状に設けてこれらカバー支持板115L,115Rに直接またはブラケット118を介して装着している。側面形状は、その前側が耕耘爪107の回転軌跡Tに沿い、上方後部から後面においては回転軌跡から離れた状態となるよう形成され装着されている。このように構成することによって、耕耘爪107による正転耕耘時は耕耘土壌の後方飛散を制限しないで耕耘リヤカバー119に作用させるものとなり、逆転耕耘時は、爪の回転軌跡に沿う前側が耕耘土壌を持ち回りして後方の開放部に至り、膨軟状態となって圃場に戻される。
【0052】
また、中耕ロータリカバーは、カバー支持板115L,115R、116L,116Rの夫々に前部が垂下状で上面がカバー支持板115,116に沿う形状の中耕上面カバー120,120…に形成され、これらに装着される構成である。また、中耕ロータリカバーは、側面に副カバー121a、または121bが設けられ、作業中側方からの土壌飛散を制止する。122は可撓材の中耕用リヤカバーで、カバー支持板116又は中耕上面カバー120,120…の後端に連設される。
【0053】
なお、前記耕耘ロータリカバーの場合には、その側方における副カバーの構成は、上記中耕ロータリカバーの外側の副カバー121aで代替している。そして、耕耘リヤカバー119はその左右両側に支持ブラケット121L,121Rを設け、副カバー121aに上下回動自由に連結してなる。
【0054】
以上のように構成したものであるから、中耕用ロータリ仕様とした作業部を耕耘ロータリ仕様に変更するには、中耕上面カバー120と中耕用リヤカバー122とを、ロータリケース47よりも内側に配置される部分を外し、その側の副カバー121bを取り外す。次いで、耕耘カバー117を用意し、中耕上面カバーが外された左右のカバー支持板115に装着する。
【0055】
上記のカバー関係の装着が終わると前記の要領で耕耘爪軸に付け替え、最後、耕耘リヤカバー119を副カバー121aに装着して仕様変更作業を完了する。
このように、耕耘ロータリ作業機R1仕様に変更の場合に、カバー支持板115や中耕上面カバー120の一部は残すなど、中耕ロータリ作業機R2仕様の構成部材の一部を兼用することで、変更作業の容易化が図れ、しかもコストも低廉となす。
【0056】
次いで作業部の昇降構成について説明する。
前記左右の各第二ロータリケース46は、上部に前記延長軸9の先端部を貫通支持し、同延長軸9の回転をチェーンCの回転を介してケース46下部の伝動軸130へ伝達すると共に、前記第三ロータリケース47は、前記伝動軸130をケース47上部に貫通支持し、同軸130の回転をチェーンCの回転を介してケース下部の前記耕耘駆動軸101へ伝達する構成となっている。
【0057】
また前記第二ロータリケース46の上部には、図1に示すように、前記電動シリンダ24のピストン先端部を接続し、前記第三ロータリケース47と前記車体フレーム11間をプレート状のリンクアーム35にて接続する構成となっている。これにより、前記電動シリンダ24のピストンを伸縮操作すると、前記第二ロータリケース46と第三ロータリケース47は伝動軸130中心に屈折しながら上下、即ち同ケース47下部に備えた中耕ロータリまたは耕耘ロータリ作業部を一体で上下する構成となっている。
【0058】
上記の昇降連動機構において、第二ロータリケース46の上部にはマスト部131を設け、このマスト部131に設けた連結ピン132と前記電動シリンダ24の伸縮作動部24a端を接続し、電動シリンダ24の短縮側作動によって第二ロータリケース46は伝動出力軸9回りに後部側が上方に回動する構成である。また逆に伸出作動により下方に回動する。上記の連結ピン132に一端が回動可能に連結された第1リンク133を立設し、一方フレームに一端を回動可能に連結された第2リンク134とを相互に回動可能に交差させて連結し、各リンク133,134端を間隔調整自在な調整螺子ロッド135で連結している。該リンク133、134のうち、第2リンクの先端部には調整螺子ロッド135と螺合する雌螺子駒136をロッド135軸方向とは直交する軸心回りに回動自由に設けている。また、第1リンクの先端部には調整螺子ロッド135を貫通支持する径大の支持孔を形成した遊動駒137を同じくロッド135軸方向とは直交する軸心回りに回動自由に設けている。138は調整螺子ロッド135の先端に固定させて設けるストッパである。このように構成すると、電動シリンダ24の短縮によって、ロータリケース46が上昇回動するに連れて遊動駒137のロッド135に対する位置がずれ、ストッパ138に接当する範囲で電動シリンダ24による作動を許容するものとなる。
【0059】
上記構成に加え、上記マスト部131とリンク133,134との間には作業機の上昇位置を任意に設定する位置規制機構を構成している。即ち、第1リンク133の作動圏内におけるマスト部131に設けた取付孔140に所定直径の筒体141を装着している。第1リンク133はこの筒体141に接触すると電動シリンダ24の短縮側作動を規制し、もって作業部の上昇位置が規制される。筒体141の装着といった簡単な操作で作業部の上昇位置規制を行うことができて便利であるし、径の異なる筒体141を準備することによって任意の上昇位置規制を行うことができる(図17)。
【0060】
図18は、上記の作業部連動機構に付随して副作業(たとえば施肥作業等)を行う場合に、主作業機の上昇作動に起因して電気的接点を切替えて副作業機の停止制御を行ったり、作業中であるか非作業状態であるかを識別させるための信号出力手段としてのスイッチング機構に関する。前記第1リンク133と第2リンク134との交差部に一旦を連結したワイヤ部材142と、このワイヤ部材142の他端に連結されたコイルスプリング143と、第二ロータリケース46の端部側で回動量の大きい箇所に枢着されたプルスイッチ144とからなる。今電動シリンダ24が短縮して作業機上昇状態のときは、ロータリケース46は後部が上昇する姿勢にあって、ワイヤ部材142、コイルスプリング143の連結部材は撓み状態にあり(図18(ア))、プルスイッチ144は接点が開放のオフ状態にある。ところで電動シリンダ24が伸出して作業機下降状態となると、ロータリケース46は後部が下降し、ワイヤ部材142、コイルスプリング143の連結部材は引かれて緊張状態となり(同図(イ))、プルスイッチ144は接点同士が接触するオン状態となる。なお、所定以上の作動はコイルスプリング伸量で吸収できる。例えば旋回操作に達したときに副作業機を自動的に止める手段としては、クラッチレバー操作の有無等の代替案があるが、必ずしもクラッチオフ操作を行うものではなく、改善が求められていた。そこで、上記のように、作業機昇降手段に連動する形態とすると判定が確実になる。なお、プルスイッチ144は公知の形態でコイルスプリング143部に接続する可動接点とスイッチ本体側に設定される固定接点との接離によってオン、オフする形態である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】農作業車の全体側面図。
【図2】農作業車のフレーム構成を示す平面図。
【図3】作業機を装着した農作業車の全体側面図。
【図4】正逆転機構を備えた農作業車の動力伝達機構線図。
【図5】正逆転機構を備えた第一ロータリケースの断面図。
【図6】正逆転機構を内装した第一ロータリケースの側面図。
【図7】正逆切替レバーの切替操作を示す側面図。
【図8】耕耘ロータリの伝動経路を示す背断面図。
【図9】耕耘ロータリの拡大背断面図。
【図10】耕耘ロータリの拡大背断面図。
【図11】耕耘ロータリの拡大背断面図。
【図12】中耕ロータリの背断面図。
【図13】耕耘ロータリの背断面図。
【図14】耕耘ロータリの側面図。
【図15】耕耘ロータリの分解斜視図。
【図16】昇降連動機構部の側面図。
【図17】昇降連動機構部の側面図。
【図18】昇降連動機構部の側面図。
【符号の説明】
【0062】
1 走行系ミッションケース
2 作業機系伝動ケース
2A 変速機構を内装した作業機系伝動ケース
2B 正逆転機構を内装した作業機系伝動ケース
2a 内側ケース
2b 外側ケース
3 作業部
9 出力軸(延長軸)
80 入力軸
80a 開口部
52 PTO軸(走行系第三軸)
94 連結軸(筒軸)
【技術分野】
【0001】
この発明は、作物生育中の畝溝を耕耘する中耕ロータリと、広幅で通常の土壌耕耘を行う耕耘ロータリとに仕様を変更しうるロータリ作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業車には、特開2004−8082号公報に示されるように、簡易乗用型に構成された機体の前後車輪間に中耕用爪を配置したロータリがある。このロータリは中耕専用に装着されたもので、畦間の中耕除草を目的としている。
【特許文献1】特開2004-8082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、普通耕耘用として使用の場合には広幅の耕耘ロータリ仕様に変更の必要があり、伝動構成の仕様変更、及びロータリカバーの変更など交換作業が煩わしい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく、ロータリ作業機を以下のように構成した。
即ち請求項1の発明では、左右一対のロータリケース(47)(47)の各下端側に耕耘駆動軸(101L,101R)を水平方向にケース(47)(47)から突出させて設け、これら耕耘駆動軸(101L,101R)のケース(47)内側に突出する部分には第一耕耘爪軸(104L,104R)を装着し、ケース(47)外側に突出する部分には第二耕耘爪軸(105L,105R)を装着し、これら左右第一耕耘爪軸(104L,104R)の間には第三耕耘爪軸(108)を伝動可能に装着したことを特徴とするロータリ作業機の構成とする。
【0005】
耕耘駆動軸(101L,101R)に第一耕耘爪軸(104L,104R)及び第二耕耘爪軸(105L,105R)に代えてカルチ爪(113)を設ける中耕用カルチ爪軸(114)を取り付けると中耕用ロータリ仕様となり、カルチ爪(113)を畦間に沿って作用させながら中耕除草を行う。耕耘駆動軸(101L,101R)に耕耘爪(107)を設ける第一耕耘爪軸(104L,104R)、第二耕耘爪軸(105L,105R)に付け代える一方、これら第一耕耘爪軸(104L,104R)間に第三耕耘爪軸(108)を装着することにより、耕耘ロータリ仕様に組み替えられる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、第一耕耘爪軸(104L,104R)を耕耘駆動軸(101L,101R)にスライド自在に嵌合すると共に連結ピン(106)を介して伝動可能に取り付け、該第一耕耘爪軸(104L,104R)の内端部に設けるフランジ(110L,110R)に第三耕耘爪軸(108)の取付フランジ(109L,109R)を設け、第一耕耘爪軸(104L,104R)と第三耕耘爪軸(108)との上記フランジ接合状態では互いに嵌合するインロー部(112a,112b)を設けてなる。
【0007】
このように構成すると、第三耕耘爪軸(108)の取り付けは、耕耘駆動軸(101L,101R)に嵌合した第一耕耘爪軸(104L,104R)のスライドによってインロー部(112a,112b)を嵌合し、その状態でフランジ接合状態にあるフランジ(109,110)を適宜にボルト・ナットによる締付具で両者を一体化させる。その後、連結ピン106で第一、第二耕耘爪軸(104,105)に連結する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、左右のロータリーケース(47,47)に夫々カバー支持板(115L,115R,116L,116R)を該ケース(47)の左右両側に突出すべく設け、これらのカバー支持板(115L,115R,116L,116R)により、ロータリケース(47)の内外両側に中耕用上面カバー(120)と中耕用リヤカバー(122)とを装着し、かつ各側面には副カバー(121a,121b)を装着して中耕用ロータリカバーに構成し、一方ロータリケース(47,47)の内側における中耕用上面カバー(120)、中耕用リヤカバー(122)及び副カバー(121b)を外して耕耘カバー(117)を左右カバー支持板(115L,115R)間に設けてなる。
【0009】
中耕用ロータリ仕様とした作業部を耕耘ロータリ仕様に変更するには、中耕上面カバー120と中耕用リヤカバー122とのセット部材のうち、ロータリケース47よりも内側に配置される部分を外し、その側の副カバー121bを取り外す。次いで、耕耘カバー117を用意し、中耕上面カバーが外された左右のカバー支持板115に装着する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、耕耘駆動軸(101L,101R)に、カルチ爪軸に代替して耕耘爪(107)を設ける第一耕耘爪軸(104L,104R)、第二耕耘爪軸(105L,105R)に付け代える一方、これら第一耕耘爪軸(104L,104R)間に第三耕耘爪軸(108)を装着することにより、耕耘ロータリ仕様に組み替えられるものであるから、既存のロータリケース(47)や耕耘駆動軸(101L,101R)のままで仕様変更が可能である。
【0011】
また請求項2の発明では、第三耕耘爪軸(108)の取り付けは、耕耘駆動軸(101L,101R)に嵌合した第一耕耘爪軸(104L,104R)のスライドによってインロー部(112a,112b)を嵌合し、その状態でフランジ接合状態にあるフランジ(109,110)を適宜にボルト・ナットによる締付具で両者を一体化させることができ、第三耕耘爪軸(108)の着脱が容易である。
【0012】
更に請求項3の発明では、耕耘ロータリ仕様に変更の場合に、カバー支持板115や中耕上面カバーの一部は残すなど、中耕ロータリ仕様の構成部材の一部を兼用することで、変更作業の容易化が図れ、しかもコストも低廉となす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
最初に農作業車Tの全体構成に付いて説明する。
農作業車Tは、図1と図2に示すように、車体前部左右に四角柱材から成る前フレーム11を前後方向に沿わせて平行に配し、この左右の前フレーム11,11間にエンジン取付用の二本の補助フレーム12,12を架け渡す構成となっている。また、前フレーム11の後端部を、上下傾斜方向に配した中間フレーム13を介して後フレーム14を接続し、この後フレーム14,14の後部側の間に操縦席支持プレート15を架け渡すと共に、後フレーム14の後端部同士を後輪支持フレーム16にて接続し、上記前フレーム11,11、後フレーム14,14及び後輪支持フレーム16等をもって車体フレーム枠を構成している。
【0014】
また前記左右の前フレーム11,11の前端部同士は、側面視L状のバッテリ取付プレート17にて接続し、このプレート17中間部にエンジンEにより充電されるバッテリBを載置固定すると共に、同フレーム11,11の左右各側面には、平面視ループ状の歩行用ハンドル18の基部を取り付ける構成となっている。これにより、前記歩行用ハンドル18は、オペレータが乗車しているときに車体前部を保護するバンパーとして、或いは背丈の高い作物を左右に振り分けて作物を損傷しないようナローガイドとしても利用することができる。
【0015】
またエンジンE回転を伝導する後記ポータルケース42,42の下部に前輪20F,20Fを軸支しており、前記歩行用ハンドル18の左右両側部には、これら前輪20F,20Fの操向用クラッチ45,45を左右個別に入切するクラッチレバー22,22を設け、左右一側には、前記両クラッチ45,45を共に切りに保持する車両停止レバー23を備える構成となっている。
【0016】
また前記エンジン取付用補助フレーム12,12の間には、前記前フレーム11よりも外側に突出させる複数のロッド21…を架設して、このロッド21上のブラケットに作業機昇降用アクチュエータとなる昇降用電動シリンダ24の基部を取り付ける構成となっている。
【0017】
また前記エンジンEの後方には、ハンドルポスト25を設け、同ポスト25の上端部に乗車用ハンドル19を突設すると共に、同ポスト25内部には、ステアリング軸26の回転に連動して押し引きされるワイヤーを設け、このワイヤーの押し引き操作にて前記左右夫々の前輪20F,20Fのクラッチ45,45を個別に入・切できる構成となっている。
【0018】
これにより、乗車用ハンドル19を左方向に回動すると左前輪20Fのクラッチ45が切となって、左前輪20Fを支点として車両は左側に操向し、ハンドル19を右方向に回動すると右前輪20F側のクラッチ45が切となって、右前輪20Fを支点として車両は右側に操向することができる。
【0019】
また前記後フレーム14の上方にはステップフロア28を支持し、同フロア28後上方に位置すべく前記操縦席29を支持すると共に、同フレーム14の後端部同士を、同フロア28の左右幅よりも外側に突設させた二本の後輪支持フレーム16,16にて接続し、該支持フレーム16,16の左右外端部にキャスター式の後輪20R,20Rを取り付ける構成となっている。
【0020】
また前記左右後輪20R,20Rは、前記ステアリング軸26の回転操作に連動して押し引きされるワイヤーを接続し、前記乗用用ハンドル19の回転操作に連動して左右に操舵する構成となっている。
【0021】
また前記二本の後輪支持フレーム16,16間には、プレート部材を架け渡して補強部材とすると共に、車体後方から乗り降りする際の乗降用ステップ30Aを構成している。また同フレーム16下方に延設する後輪20Rの支持アーム31にも前方へ向ってプレート部材を突設し、車体側方から乗り降りする際の乗降用ステップ30Bを構成している。
【0022】
以上のように構成した農作業車Tでは、車体前部にエンジンEやバッテリBや後述するミッションケース1等を集中配置して重量を重くする一方、車体後部、特に後輪20Rは、前輪20Fと比較して小径で且つ駆動機構を備えず軽量な構成としているので、オペレータが下車した状態では、後輪20Rの接地荷重が極めて小さい構成となっている。
【0023】
これにより、オペレータは、前記歩行用ハンドル18を下方へ押圧して前輪20Fを支点に車体後部を持ち上げる場合、極力小さな力で操作することができ歩行操作時の操作性を向上することができる。
【0024】
尚、図1中符号32は、前記バッテリBの前方へ張り出した補助ペダルを示し、前記歩行用ハンドル18を押圧操作する際に同ペダル32を踏み込むことで体重をかけ、歩行用ハンドル18の押圧力を補助する構成となっている。また一転鎖線Xは、車体の左右中央線を示し、この線上に前記エンジンEの他、走行系ミッションケース1、筒軸94、操縦席29を配置する構成となっている。
【0025】
次に、この農作業車Tの走行系伝動機構M1と作業機系伝動機構M2について説明する。
走行系の動力伝達機構M1は、前記エンジンEの出力軸40の回転を、伝動上手側から順にベルトケース41、走行系ミッションケース1、前輪支持用ポータルケース42内の各伝動機構を介して伝達し、前輪20Fを駆動する構成となっている。
【0026】
詳細に説明すると、図4に示すように、前記エンジンEの左右一側には、エンジン出力軸40を車体外側へ向けて突設し、同軸40の回転をベルトケース41内の駆動側プーリ43a及び従動側プーリ43bと、両プーリ43a,43b間を接続する伝動ベルト39を介して、走行系ミッションケース1の入力軸(第一軸50)へ伝達する構成となっている。
【0027】
また前記走行系ミッションケース1は、車体中央部に配置され且つ前後方向に配した金属製ケースであって、このケース後上部の入力軸50から回転を入力し、ケース前下部の出力軸55から回転出力する構成となっている。
【0028】
また前記走行系ミッションケース1の内部は、六本のギヤ軸(以下、第一軸50、第二軸51…第六軸55)を軸受けする構成となっており、前記第一軸50と第二軸51、第二軸51と第三軸52との間には、夫々減速ギヤ組56,57を設け、前記第一軸50の回転を夫々減速する構成となっている。また前記第一軸50が突出しているケース一側面とは反対側のケース他側面には、前記第三軸52の一端部を、作業機系出力軸、即ちPTO軸として突設し、後述する作業機系動力伝達機構M2を介して各種の作業機Rを駆動する構成となっている。
【0029】
また、前記第四軸53には、二つの走行用変速ギヤ(走行用第一変速ギヤ60,二段ギヤ式の走行用第二変速ギヤ61)を設け、前記ハンドルポスト25側方に突設した主変速レバー62により両ギヤ60,61を軸53上でスライドさせる構成となっている。
【0030】
そして、前記変速レバー62により、走行用第一変速ギヤ60を右側へ移動させて第二軸51上の後進用低速ギヤ63と噛み合わせるか、或いは同ギヤ60を左側へ移動させて第三軸52上の前進用低速ギヤ65と噛み合わせるか、或いは前記走行用第二変速ギヤ61を右側に移動させて第二軸51上の後進用高速ギヤ64と噛み合わせるか、或いは同ギヤ61を左側へ移動させて前記第三軸52上の前進用高速ギヤ66と噛み合わせて、前後二速の内、一速を選択する構成となっている。
【0031】
また前記第四軸53と第五軸54間には、回転数を高速で伝達する高速ギヤ組67と、低速で伝達する低速ギヤ組68を設け、第五軸54上の副変速クラッチ69を操縦席29側方の副変速レバーの前後回動操作によりどちらか一方のギヤ組67,68のクラッチ爪を噛み合わせて、第五軸54を駆動する構成となっている。
【0032】
以上のように構成した走行系伝動機構M1内の主及び副変速機構により、農作業車Tは前進4段、後進4段の変速を得ることができる。
また更に、前記第五軸54と第六軸55との間にも、減速ギヤ組70を設け、前記主及び副変速機構で減速された回転を、第六軸55に設けた駆動側スプロケット71へ伝達し、チェーンCを介してスプロケット支持軸73を駆動する構成となっている。
【0033】
また前記走行系ミッションケース1下部の走行用出力軸73には、前記チェーンCを噛み合わせる従動側スプロケット72を軸受けし、同スプロケット72を支持する軸の左右夫々にクラッチ45,45を構成すると共に、同クラッチ45,45の被駆動軸側に走行用出力軸74を、前記前フレーム11の外側まで突設する構成となっている。
【0034】
また更に、前記走行用出力軸74は、前記前輪支持用ポータルケース42内部のチェーンCを介してケース下部の前輪アクスル軸76を駆動する構成となっている。
以上のように構成した農作業車Tでは、主及び副変速レバーの回動操作によって、前進4段、後進4段の走行変速を適宜切り替えることができ、また前記歩行用ハンドル18に設けたクラッチレバー22,22の把持操作によって、前記クラッチ45を入切操作して左右一方の前輪20Fを被駆動状態として車体を左右操向することができる。
【0035】
次に変速機構を備えた作業機系動力伝達機構M2に付いて説明する。
作業機系の動力伝達機構M2は、図4と図5に示すように、前記ミッションケース1側部に突出させた第三軸(PTO軸)52の回転を、動力上手側から順に、作業機系伝動ケースとなる第一ロータリケース2A、そして左右の第二ロータリケース46L,46R、左右第三ロータリケース47L,47R内の各伝動機構を介して伝達し、更にロータリ作業機R1,R2へ伝達する構成となっている。
【0036】
この正逆転切替機構を備えた第一ロータリケース2は、五本の伝動軸(作業系第一軸80から作業系第五軸84)を軸受けすると共に、最上部にはクラッチ操作用シフタ7を支持するシフタ操作軸6を支持する構成となっている。
【0037】
そして前記第一ロータリケース2は、前記ミッションケース1から突設したPTO軸52を貫入させながら、両ケース1,2の当接面同士を嵌合させた状態で備える構成となっている。また第一ロータリケース2内には、上部の入力軸となる作業系第一軸80、この作業系第一軸80と平行に軸架した作業系第二軸81、そして下部の作業系第三軸82を軸支する構成となっている。
【0038】
また前記第二軸81には、中継ギヤ95を同軸81上でスライド自在に設ける一方、前記第三軸82には前記中継ギヤ95と噛合う正転用被駆動ギヤ96Fを設け、第四軸83には同中継ギヤ95と噛合う逆転用被駆動ギヤ96Rを設け、前記中継ギヤ95を軸81上でスライド操作することにより、前記第一軸80上の広幅ギヤ86の回転を第三軸82、若しくは第四軸83へ伝達する構成となっている。
【0039】
また前記第三軸82と第四軸83との間には、常時噛合式の減速ギヤ組97を設け、前記正転用被駆動ギヤ96Fに伝達された回転を第四軸83へ伝達する構成となっている。
また前記中継ギヤ95は、正逆転切替レバー99dとシフタ99a及びレバー操作軸99bを介して連動連結され、同レバー99dを左右方向に回動することによって同ギヤ95を軸上でスライドする構成となっている。
【0040】
詳しくは、図7の(A)に示すように、正逆転切替レバー99dを車体内側へ向って回動すると、中継ギヤ95が車体内側にスライドして、正転用被駆動ギヤ96Fが噛合って、動力が第四軸83へ正転で伝達される。また図7の(B)に示すように、正逆転切替レバー99dを車体外側へ向って回動すると、中継ギヤ95が車体外側にスライドして、逆転用被駆動ギヤ96Rが噛合って動力は第四軸83’へ逆転で伝達される。
【0041】
また前記第四軸83には、筒状の前記第五軸84へ動力を伝達する減速ギヤ98を設け、これら減速ギヤ98を介して伝達された動力は、筒状の第四軸84に挿通したこの発明の出力軸となる前記延長軸9を駆動する構成となっている。
【0042】
また前記延長軸9は、前記筒軸94とピンPで連結された二本の軸から構成され、図1に示すように、この左右外端を前記前フレーム11の左右に突設した筒部材33に挿通支持する構成となっている。また前記延長軸9の左右両端部には、所定間隔毎に複数の取付穴34,34…を開口し、これら取付穴34を選択して後述する第二ロータリケース46L,46Rを取り付け支持する構成となっている。
【0043】
次に作業機について説明する。図8は所定幅の耕耘作業を行うロータリ耕耘作業機R1に構成している。前記左右の第三ロータリケース47L,47Rは、後記のように昇降可能にフレームに連結され、このケース47L,47Rの各下端側に、スプロケット100R,100Lを固着した耕耘駆動軸101R,101Lを該ケース47から左右に突出すべく軸支している(以下R,Lは左右対称部材を区別する場合に用い、共通構成等の説明では省略している)。即ち、幅狭の上記ロータリケース47の下端側を開口し、支持メタル102に軸受103を介して左右突出状の耕耘駆動軸101が装着されている。該耕耘駆動軸101のケース47から内側に突出する部分には短筒軸状の第一耕耘爪軸104L,104Rを、外側に突出する部分には同じく短筒軸状の第二耕耘爪軸105L,105Rを挿入支持の構成とし、これら第一、二耕耘爪軸104、105は、着脱自在の連結ピン106によって耕耘駆動軸101に連動すべく構成し、且つ約90度ずつ位相をずらせた位置に爪ホルダを固着し耕耘爪107,107…を着脱自在に装着できる構成としている。
【0044】
前記第一耕耘爪軸104L,104Rとの間には長尺の第三耕耘爪軸108が装着される。該耕耘爪軸108は筒軸形態で、左右両側に取付フランジ109L,109Rを備え、上記第一耕耘爪軸104L,104Rに夫々固着したフランジ110L、110Rに接合して締付け固着できる構成とし、前記耕耘駆動軸101の回転駆動力は連結ピン106、第一耕耘爪軸104、フランジ110,109を経由して伝達される構成である。この第三耕耘爪軸108外周には適宜間隔と回転方向の位相毎に爪ホルダが固定され、耕耘爪107,107…を装着可能としている。
【0045】
上記第三耕耘爪軸108の装着、取り外しの構成について説明する。上記連結ピン106によって耕耘駆動軸101と一体化する第一耕耘爪軸104は、該耕耘駆動軸101に対して挿通状態で軸方向にスライド自在に設けられ、ロータリケース47側に向けては草巻き付きや異物のシール部への侵入を防止するための防護カバー111が前記支持メタル102の段部102aに接触するまでスライドしうる構成としている。このスライド量xは、第一耕耘爪軸104と第三耕耘爪軸108とのフランジ接合状態では互いに嵌合するインロー部112a,112bの離脱長さyよりも長く設定して、第三耕耘爪軸108の軸方向固定状態で第一耕耘爪軸104が切り離し可能に設けている。この第一耕耘爪軸104のスライド構成とインロー部による嵌合構成は、第三耕耘爪軸108の左右両端部において同様の構成を採用している。
【0046】
上記のように構成すると、第三耕耘爪軸108の取り付けは、耕耘駆動軸101に嵌合した第一耕耘爪軸104のスライドによってインロー部112a,112bを嵌合し、その状態でフランジ接合状態にあるフランジ109,110を適宜にボルト・ナットによる締付具で両者を一体化させる。その後、連結ピン106で第1耕耘104,105に対して爪軸を耕耘駆動軸101に連結する構成である。
【0047】
上記実施例では、左右のロータリケース47,47に耕耘駆動軸101L,101Rを構成する形態であるから、左右に振り分け配置される第一、第二耕耘駆動軸104,105を夫々同一条件で駆動力を供給でき、かつ長尺の第三耕耘爪軸108においても左右側からほぼ均等に駆動力を供給できるため、圃場の土質条件等に関わらず安定した耕耘作業を継続できる。
【0048】
また、土質等の影響が少ない場合には、耕耘爪軸を所謂サイドドライブ形態として駆動する構成に変更できる。すなわち、上記においていずれか一方の連結ピン106の装着は行うが他方を行わないようにすることで容易に仕様変更が可能である。耕耘駆動軸101の該他方側においては、第一耕耘爪軸104を嵌合するのみで回転駆動軸101の回転は伝わらないが、軸を嵌合状態で支持するものである。このような仕様の変更は、連結ピン106の装着の要否判定に基づくもので第三耕耘爪軸108の装着や取り外しの要領はほぼ同じである。
【0049】
また、上記第一耕耘爪軸〜第三耕耘爪軸の装着による耕耘作業のほか、第三耕耘爪軸108を取り外し、図12のように、左右ともに駆動する状態で第一耕耘爪軸104及び第二耕耘爪軸105を取り外して、カルチ爪113を装着したカルチ爪軸114を夫々に装着して中耕ロータリ作業機R2とすることができる。
【0050】
前記耕耘爪軸装着、またはカルチ爪軸装着においても、ロータリカバーを装着する。その具体的な構成は、左右のロータリケース47L,47Rにカバー支持板115L,115R、116L,116Rをケース47の左右側に適宜にブラケットを介してほぼ水平姿勢に取付け、これらのカバー支持板115,116をもって、中耕ロータリカバー(図12)や耕耘ロータリカバー(図13〜図15)を装着するものである。
【0051】
まず、耕耘ロータリカバーの装着について説明すると、側面視において、上記左右のカバー支持板115L,115Rに対して湾曲形状の耕耘カバー117を左右掛け渡し状に設けてこれらカバー支持板115L,115Rに直接またはブラケット118を介して装着している。側面形状は、その前側が耕耘爪107の回転軌跡Tに沿い、上方後部から後面においては回転軌跡から離れた状態となるよう形成され装着されている。このように構成することによって、耕耘爪107による正転耕耘時は耕耘土壌の後方飛散を制限しないで耕耘リヤカバー119に作用させるものとなり、逆転耕耘時は、爪の回転軌跡に沿う前側が耕耘土壌を持ち回りして後方の開放部に至り、膨軟状態となって圃場に戻される。
【0052】
また、中耕ロータリカバーは、カバー支持板115L,115R、116L,116Rの夫々に前部が垂下状で上面がカバー支持板115,116に沿う形状の中耕上面カバー120,120…に形成され、これらに装着される構成である。また、中耕ロータリカバーは、側面に副カバー121a、または121bが設けられ、作業中側方からの土壌飛散を制止する。122は可撓材の中耕用リヤカバーで、カバー支持板116又は中耕上面カバー120,120…の後端に連設される。
【0053】
なお、前記耕耘ロータリカバーの場合には、その側方における副カバーの構成は、上記中耕ロータリカバーの外側の副カバー121aで代替している。そして、耕耘リヤカバー119はその左右両側に支持ブラケット121L,121Rを設け、副カバー121aに上下回動自由に連結してなる。
【0054】
以上のように構成したものであるから、中耕用ロータリ仕様とした作業部を耕耘ロータリ仕様に変更するには、中耕上面カバー120と中耕用リヤカバー122とを、ロータリケース47よりも内側に配置される部分を外し、その側の副カバー121bを取り外す。次いで、耕耘カバー117を用意し、中耕上面カバーが外された左右のカバー支持板115に装着する。
【0055】
上記のカバー関係の装着が終わると前記の要領で耕耘爪軸に付け替え、最後、耕耘リヤカバー119を副カバー121aに装着して仕様変更作業を完了する。
このように、耕耘ロータリ作業機R1仕様に変更の場合に、カバー支持板115や中耕上面カバー120の一部は残すなど、中耕ロータリ作業機R2仕様の構成部材の一部を兼用することで、変更作業の容易化が図れ、しかもコストも低廉となす。
【0056】
次いで作業部の昇降構成について説明する。
前記左右の各第二ロータリケース46は、上部に前記延長軸9の先端部を貫通支持し、同延長軸9の回転をチェーンCの回転を介してケース46下部の伝動軸130へ伝達すると共に、前記第三ロータリケース47は、前記伝動軸130をケース47上部に貫通支持し、同軸130の回転をチェーンCの回転を介してケース下部の前記耕耘駆動軸101へ伝達する構成となっている。
【0057】
また前記第二ロータリケース46の上部には、図1に示すように、前記電動シリンダ24のピストン先端部を接続し、前記第三ロータリケース47と前記車体フレーム11間をプレート状のリンクアーム35にて接続する構成となっている。これにより、前記電動シリンダ24のピストンを伸縮操作すると、前記第二ロータリケース46と第三ロータリケース47は伝動軸130中心に屈折しながら上下、即ち同ケース47下部に備えた中耕ロータリまたは耕耘ロータリ作業部を一体で上下する構成となっている。
【0058】
上記の昇降連動機構において、第二ロータリケース46の上部にはマスト部131を設け、このマスト部131に設けた連結ピン132と前記電動シリンダ24の伸縮作動部24a端を接続し、電動シリンダ24の短縮側作動によって第二ロータリケース46は伝動出力軸9回りに後部側が上方に回動する構成である。また逆に伸出作動により下方に回動する。上記の連結ピン132に一端が回動可能に連結された第1リンク133を立設し、一方フレームに一端を回動可能に連結された第2リンク134とを相互に回動可能に交差させて連結し、各リンク133,134端を間隔調整自在な調整螺子ロッド135で連結している。該リンク133、134のうち、第2リンクの先端部には調整螺子ロッド135と螺合する雌螺子駒136をロッド135軸方向とは直交する軸心回りに回動自由に設けている。また、第1リンクの先端部には調整螺子ロッド135を貫通支持する径大の支持孔を形成した遊動駒137を同じくロッド135軸方向とは直交する軸心回りに回動自由に設けている。138は調整螺子ロッド135の先端に固定させて設けるストッパである。このように構成すると、電動シリンダ24の短縮によって、ロータリケース46が上昇回動するに連れて遊動駒137のロッド135に対する位置がずれ、ストッパ138に接当する範囲で電動シリンダ24による作動を許容するものとなる。
【0059】
上記構成に加え、上記マスト部131とリンク133,134との間には作業機の上昇位置を任意に設定する位置規制機構を構成している。即ち、第1リンク133の作動圏内におけるマスト部131に設けた取付孔140に所定直径の筒体141を装着している。第1リンク133はこの筒体141に接触すると電動シリンダ24の短縮側作動を規制し、もって作業部の上昇位置が規制される。筒体141の装着といった簡単な操作で作業部の上昇位置規制を行うことができて便利であるし、径の異なる筒体141を準備することによって任意の上昇位置規制を行うことができる(図17)。
【0060】
図18は、上記の作業部連動機構に付随して副作業(たとえば施肥作業等)を行う場合に、主作業機の上昇作動に起因して電気的接点を切替えて副作業機の停止制御を行ったり、作業中であるか非作業状態であるかを識別させるための信号出力手段としてのスイッチング機構に関する。前記第1リンク133と第2リンク134との交差部に一旦を連結したワイヤ部材142と、このワイヤ部材142の他端に連結されたコイルスプリング143と、第二ロータリケース46の端部側で回動量の大きい箇所に枢着されたプルスイッチ144とからなる。今電動シリンダ24が短縮して作業機上昇状態のときは、ロータリケース46は後部が上昇する姿勢にあって、ワイヤ部材142、コイルスプリング143の連結部材は撓み状態にあり(図18(ア))、プルスイッチ144は接点が開放のオフ状態にある。ところで電動シリンダ24が伸出して作業機下降状態となると、ロータリケース46は後部が下降し、ワイヤ部材142、コイルスプリング143の連結部材は引かれて緊張状態となり(同図(イ))、プルスイッチ144は接点同士が接触するオン状態となる。なお、所定以上の作動はコイルスプリング伸量で吸収できる。例えば旋回操作に達したときに副作業機を自動的に止める手段としては、クラッチレバー操作の有無等の代替案があるが、必ずしもクラッチオフ操作を行うものではなく、改善が求められていた。そこで、上記のように、作業機昇降手段に連動する形態とすると判定が確実になる。なお、プルスイッチ144は公知の形態でコイルスプリング143部に接続する可動接点とスイッチ本体側に設定される固定接点との接離によってオン、オフする形態である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】農作業車の全体側面図。
【図2】農作業車のフレーム構成を示す平面図。
【図3】作業機を装着した農作業車の全体側面図。
【図4】正逆転機構を備えた農作業車の動力伝達機構線図。
【図5】正逆転機構を備えた第一ロータリケースの断面図。
【図6】正逆転機構を内装した第一ロータリケースの側面図。
【図7】正逆切替レバーの切替操作を示す側面図。
【図8】耕耘ロータリの伝動経路を示す背断面図。
【図9】耕耘ロータリの拡大背断面図。
【図10】耕耘ロータリの拡大背断面図。
【図11】耕耘ロータリの拡大背断面図。
【図12】中耕ロータリの背断面図。
【図13】耕耘ロータリの背断面図。
【図14】耕耘ロータリの側面図。
【図15】耕耘ロータリの分解斜視図。
【図16】昇降連動機構部の側面図。
【図17】昇降連動機構部の側面図。
【図18】昇降連動機構部の側面図。
【符号の説明】
【0062】
1 走行系ミッションケース
2 作業機系伝動ケース
2A 変速機構を内装した作業機系伝動ケース
2B 正逆転機構を内装した作業機系伝動ケース
2a 内側ケース
2b 外側ケース
3 作業部
9 出力軸(延長軸)
80 入力軸
80a 開口部
52 PTO軸(走行系第三軸)
94 連結軸(筒軸)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のロータリケース(47)(47)の各下端側に耕耘駆動軸(101L,101R)を水平方向にケース(47)(47)から突出させて設け、これら耕耘駆動軸(101L,101R)のケース(47)内側に突出する部分には第一耕耘爪軸(104L,104R)を装着し、ケース(47)外側に突出する部分には第二耕耘爪軸(105L,105R)を装着し、これら左右第一耕耘爪軸(104L,104R)の間には第三耕耘爪軸(108)を伝動可能に装着したことを特徴とするロータリ耕耘作業機。
【請求項2】
第一耕耘爪軸(104L,104R)を耕耘駆動軸(101L,101R)にスライド自在に嵌合すると共に連結ピン(106)を介して伝動可能に取り付け、該第一耕耘爪軸(104L,104R)の内端部に設けるフランジ(110L,110R)に第三耕耘爪軸(108)の取付フランジ(109L,109R)を設け、第一耕耘爪軸(104L,104R)と第三耕耘爪軸(108)との上記フランジ接合状態では互いに嵌合するインロー部(112a,112b)を設けてなる請求項1に記載のロータリ耕耘作業機。
【請求項3】
左右のロータリーケース(47,47)に夫々カバー支持板(115L,115R,116L,116R)を該ケース(47)の左右両側に突出すべく設け、これらのカバー支持板(115L,115R,116L,116R)により、ロータリケース(47)の内外両側に中耕用上面カバー(120)と中耕用リヤカバー(122)とを装着し、かつ各側面には副カバー(121a,121b)を装着して中耕用ロータリカバーに構成し、一方ロータリケース(47,47)の内側における中耕用上面カバー(120)、中耕用リヤカバー(122)及び副カバー(121b)を外して耕耘カバー(117)を左右カバー支持板(115L,115R)間に設けてなるロータリ耕耘作業機。
【請求項1】
左右一対のロータリケース(47)(47)の各下端側に耕耘駆動軸(101L,101R)を水平方向にケース(47)(47)から突出させて設け、これら耕耘駆動軸(101L,101R)のケース(47)内側に突出する部分には第一耕耘爪軸(104L,104R)を装着し、ケース(47)外側に突出する部分には第二耕耘爪軸(105L,105R)を装着し、これら左右第一耕耘爪軸(104L,104R)の間には第三耕耘爪軸(108)を伝動可能に装着したことを特徴とするロータリ耕耘作業機。
【請求項2】
第一耕耘爪軸(104L,104R)を耕耘駆動軸(101L,101R)にスライド自在に嵌合すると共に連結ピン(106)を介して伝動可能に取り付け、該第一耕耘爪軸(104L,104R)の内端部に設けるフランジ(110L,110R)に第三耕耘爪軸(108)の取付フランジ(109L,109R)を設け、第一耕耘爪軸(104L,104R)と第三耕耘爪軸(108)との上記フランジ接合状態では互いに嵌合するインロー部(112a,112b)を設けてなる請求項1に記載のロータリ耕耘作業機。
【請求項3】
左右のロータリーケース(47,47)に夫々カバー支持板(115L,115R,116L,116R)を該ケース(47)の左右両側に突出すべく設け、これらのカバー支持板(115L,115R,116L,116R)により、ロータリケース(47)の内外両側に中耕用上面カバー(120)と中耕用リヤカバー(122)とを装着し、かつ各側面には副カバー(121a,121b)を装着して中耕用ロータリカバーに構成し、一方ロータリケース(47,47)の内側における中耕用上面カバー(120)、中耕用リヤカバー(122)及び副カバー(121b)を外して耕耘カバー(117)を左右カバー支持板(115L,115R)間に設けてなるロータリ耕耘作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−180798(P2006−180798A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378809(P2004−378809)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]