ロードポート装置
【課題】 半導体処理装置の取付け面に対する取り付けの容易なロードポート装置を提供する。
【解決手段】 ロードポート装置において載置台を支持するベース部材を、該ロードポート装置の取付け面側に配置される前方車輪を有する第一の支持ユニット及び該前方車輪より離れて配置される後方車輪を有する第二の支持ユニットにより支持することとし、ベース部材に対する第一の支持ユニットによる前方車輪の昇降の操作と第二の支持ユニットによる後方車輪の昇降の操作とを独立して行うこととする。
【解決手段】 ロードポート装置において載置台を支持するベース部材を、該ロードポート装置の取付け面側に配置される前方車輪を有する第一の支持ユニット及び該前方車輪より離れて配置される後方車輪を有する第二の支持ユニットにより支持することとし、ベース部材に対する第一の支持ユニットによる前方車輪の昇降の操作と第二の支持ユニットによる後方車輪の昇降の操作とを独立して行うこととする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持された被処理物であるウエハを半導体処理装置間で移載する、或いはウエハを該半導体処理装置より該ポッドに移載する際に用いられる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システム、即ちロードポート装置に関する。より詳細には、半導体処理装置に対する取付け機構に特徴を有するロードポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、近年では各種処理装置の内部、ウエハを収容して各処理装置間でのウエハ搬送を可能とするポッド、及び該ポッドより各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間、の3空間のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。このようなポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。また、該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。
【0003】
ロードポート装置は、この開口部が形成された隔壁となる部材即ちサイドベースと称呼される壁と、該開口部を閉鎖するドアと、該ドアの動作を司るドア駆動機構と、ポッドが載置される載置テーブルと、から構成される。ポッドが実際に載置される載置テーブル上の載置台は、ポッドの開口と開口部とを向かい合わせるようにポッドを支持可能であり、且つポッドと共に蓋をドアと近接或いは離間させる。ドアは、ポッドの蓋を保持可能であり、ドア駆動機構によって蓋を保持した状態で開口部と第二の開口部との間の空間より下方に退避させられる。微小空間内にはロボットが配置され、該ロボットは開口部−ポッド開口を介してポッド内部に対する侵入及び退避が可能であって、第二の開口部も介して該ポッド内部と該半導体処理装置との間でウエハの移載を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3635235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロードポート装置の半導体処理装置への取付け時において、ロードポート装置はある程度の高さまで持ち上げられた後、半導体処理装置の取付け面に対して位置合わせを行った上で取付けられる。ロードポート装置はある程度の重量を有することからこの様な位置合わせ作業は困難を伴うが、当該装置が設置される所謂クリーンルームの性格上、位置合わせ用の過大な装置を設置することは困難である。このため、例えば特許文献1に示されるように、ロードポート装置自体に搬送用の車輪と高さ調整用の機能を付加する構成が提案されている。
【0006】
ここで、半導体製造工程においては、生産性の向上等を目的として、用いるウエハの大口径化が進められている。これに伴って、前述したポッド、微小空間、及び処理装置内部の空間各々も大型化されている。このため、ロードポート装置も大型化し、その重量も大きく増大せざるを得ない状況にある。この様な重量の増加は非常に大きく、単純な人力による位置合わせは不可能となる。また、特許文献1に示されるリフト装置で対応しようとした場合には、本体を持ち上げるための構成が大きくなりすぎ、リフト装置自体の重量が半導体処理装置の取付け面に対して過大な負荷を与えてしまうといった問題が生ずる可能性がある。
【0007】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであり、大型化した半導体処理装置に対しても容易に位置決め且つ取付けが可能であり、且つ半導体処理装置の取付け面に対してもロードポート装置本体から受ける以上の過大な負荷を与えることの無いロードポート装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るロードポート装置は、被処理物を挿脱するための開口を有し被処理物を収容するポッドの蓋を開閉して、ポッド内に対して開口を介した被処理物の挿脱の実施を可能とし、且つ被処理物に所定の処理を施す半導体処理装置の取付け面に取り付けられるロードポート装置であって、ポッドが載置可能な載置台と、載置台に載置された状態のポッドの蓋を保持可能であって、取付け面に対して半導体処理装置の内部側から開口部の開閉を行うドアと、載置台を支持するベース部材と、取付け面にロードポート装置を取付ける際に取付け面から共に等しい距離に配置される一対の前方車輪によりベース部材を支持し、ベース部材に対して前方車輪を昇降可能とする第一の支持ユニットと、取付け面にロードポート装置を取付ける際に前方車輪よりも取付け面より遠い位置に配置される後方車輪によりベース部材を支持し、ベース部材に対して後方車輪を昇降可能とする第二の支持ユニットと、を有し、第一の支持ユニットによる前記前方車輪のベース部材に対する昇降の操作は、第二の支持ユニットによる後方車輪の前記ベース部材に対する昇降の操作とは独立して行うことが可能であることを特徴とする。
【0009】
なお、前述したロードポート装置において、第一の支持ユニットは、ベース部材に対して前方車輪を昇降させる第一の昇降手段と、第一の昇降手段とは独立して前方車輪が前記ベース部材を支持しない位置に前方車輪を移動させる移動手段と、有することが好ましい。また、ベース部材は、取付け面に固定可能であって取付け面に平行に延在する接続プレートと、接続プレートに連結されて接続プレートの取付け面への固定時に取付け面より突出するように配置される板状体からなるメインベースと、からなり、第一の支持ユニット及び第二の支持ユニットはメインベースへ直接取付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より大型化した半導体処理装置に対応して重量が大幅に増加したロードポート装置であっても、容易且つ正確に半導体処理装置に対して取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るロードポート装置を側面から見た状態の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すロードポート装置を載置台側から見た状態と、該ロードポート装置が取付けられる取付け面との位置関係とを模式的に示す図である。
【図3】図1に示すロードポート装置にあって、特徴部分を図1と同様の様式で拡大してこれを示す図である。
【図4】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の下部での固定様式を、図2と同様の様式にて拡大して模式的に示す図である。
【図5】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程を示す図である。
【図6】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程について、固定側支持部を拡大して示す図である。
【図7】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程について、固定側支持部を拡大して示す図である。
【図8A】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程を示す図である。
【図8B】図8Aに示す工程について、固定側支持部を拡大して示す図である。
【図9A】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程を示す図である。
【図9B】図9Aに示す状態において、後方車輪が配置される位置から固定支持部を見た状態を模式的に示す図である。
【図10A】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定した後の状態を示す図である。
【図10B】図10Aに示す状態において、前方車輪が配置される位置から固定支持部を見た状態を模式的に示す図である。
【図11A】本発明の第二の実施形態に係るロードポート装置の特徴部分について、固定側支持部51上に被支持部材112aを当接させた状態を、図1と同様の様式にてこれを拡大して示す図である。
【図11B】図11Aに示すロードポート装置における前方車輪を同図中の断面11B−11Bより見た状態を示す図である。
【図12】図11Aに示すロードポート装置において、前方車輪161を退避させる操作に移った状態を図11Aと同様の様式にて示す図である。
【図13】図11Aに示すロードポート装置において、前方車輪161の上方への退避が終了した状態を図11Aと同様の様式にて示す図である。
【図14A】本発明の第三の実施形態に係るロードポート装置の特徴部分について、固定側支持部51上に被支持部材112aを当接させた状態を、図1と同様の様式にてこれを拡大して示す図である。
【図14B】図14Aに示すロードポート装置における前方車輪を図14A中の断面14B−14Bより見た状態を示す図である。
【図15A】図14Aに示すロードポート装置において、前方車輪161を退避させる操作に移った状態を図14Aと同様の様式にて示す図である。
【図15B】図15Aに示すロードポート装置における前方車輪を図14A中の断面14B−14Bと同じ断面より見た状態を示す図である。
【図16A】図14Aに示すロードポート装置において、前方車輪161の上方への退避が終了した状態を図14Aと同様の様式にて示す図である。
【図16B】図16Aに示すロードポート装置における前方車輪を図14A中の断面14B−14Bと同じ断面より見た状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。本発明の第一の実施形態に係るロードポート装置100を側方から見た状態を図1に示す。なお、同図中には、該ロードポート装置100が取付けられる半導体処理装置側の取付け面50も同時に図示している。取付け面50にはロードポート装置100を支持する固定側支持部51、該固定側支持部に設けられた位置調整手段53、及び固定側固定部55が設置されている。固定側支持部51は、取付け面50の下端両隅に各々一個配置されて当該ロードポート装置100を主として支持する。また、位置調整手段53は例えば公知のボルトナット等から成り、後述する接続プレート111を介してロードポート装置100の取付け面50に対する取付け位置の調整を可能としている。固定側固定部55は固定側支持部51の配置に対応して各々の上方において水平方向で一対となるように配置され、ロードポート装置100の高さ方向の中央近傍に一対、及び上端に一対配置される。これら固定側固定部55により、取付け面50に対するロードポート装置111の固定が為される。
【0013】
図に示すロードポート装置100は、接続プレート111、メインベース113、載置台115、ドア117、開口部カバー部材121、ロードポート移動機構150及び不図示のドア駆動機構を有する。接続プレート111は前述した固定側固定部55及び固定側支持部51各々に対応して配置され、これらの水平方向の対に対面するように取付け面50に対して平行且つ各々も平行に延在するように配置される板状の部材より構成される。本発明に係るロードポート装置は、ウエハが挿脱される開口を有して該ウエハが収容されるポッド(不図示)に対し、その蓋を開閉して該開口を介してポッドへのウエハの挿脱の実施を可能とする。なお、ウエハは本発明における被処理物に対応する。載置台115上にはこのポッドが載置される。また、ドア117は、載置台115上に載置されたポッドの蓋を保持可能であって、動作時においては取付け面50に対して半導体処理装置の内部側から後述する第一の開口部123の開閉を行う。
【0014】
メインベース113は一対として用いられ、各々が個々の接続プレート111に対して接続されており、接続プレート111を介して取り付け面50に対して垂直に並立するように配置される。また、メインベース113は、載置台115の下方に配置されて、該載置台115及び該載置台115に付随してこれに載置されたポッドを駆動する不図示のポッド駆動機構を支持する。また、本形態において、メインベース113は、不図示のドア駆動機構を介してドア117を支持する。開口部カバー部材121は、取付け面50に設けられた半導体処理装置側の取付け面側開口部57を閉鎖して、外部空間から半導体処理装置内にいたる経路を、ドア117により開閉可能な第一の開口部123に制限している。当該開口部カバー121も、メインベース113に対して固定されている。
【0015】
ロードポート装置100の下端に配置される接続プレート111について、当該接続プレート111が固定側支持部材51に支持された状態を図4に拡大して示す。該接続プレート111には、固定側支持部51と当接可能なローラ状の被支持部材112aが配置され、当該被支持部材112aが固定側支持部51により支持されることでロードポート装置100自体の支持が為される。また、当該接続プレート111には、その両端に配置される被支持部材112aの内側に締結固定手段112bが配置され、取付け面50側に配置される締結部59に対して当該締結手段112bが固定される。これら締結部59及び締結手段112bによって、取付け面50の下端に対するロードポート装置100の固定が行われる。これらロードポート装置100側の被支持部材112a等と取付け面50側の締結部59等との対応関係を参考のために、図2中において矢印にて示す。
【0016】
次にロードポート移動機構150について詳述する。図3は図1に示したロードポート装置100におけるロードポート移動機構150を拡大して示している。ロードポート移動機構150は、取付け面50側に配置される第一の支持ユニット160と、該第一の支持ユニット160よりも取付け面50よりも離れて配置される第二の支持ユニット180とを有する。なお、本実施形態では、第一の支持ユニット160及び第二の支持ユニット180は、共に向かい合って配置される一対のメインベース113各々の外側面下端に1つずつ配置される。第一の支持ユニット160は、前方車輪161、前方車輪支持部163、前方車輪調整ボルト165、支持部固定ボルト166、支持スライダ167、及び支持スライダ固定治具169を有する。ロードポート装置100が取付け面50に取付けられる際に、一対の前方車輪161は共に取付け面50から等しい距離に位置するように配されている。
【0017】
メインベース113は下端より上方向に延在するガイド溝113aを有し、支持スライダ167が該ガイド溝113aに対して上下方向にスライド可能に収容される。本実施形態において、スライダ固定治具169はボルトからなる。支持スライダ167に設けられた上下方向に延在する長孔167aを介して、メインベース113のガイド溝113a内に設けられたネジ孔169aと該スライダ固定治具(本形態ではボルト)169との締結等より、支持スライダ167とメインベース113との位置関係を調整し且つ固定する。前方車輪161は、前方車輪支持部163によって動作可能に支持される。該前方車輪支持部163は支持スライダ167により支持されており、前方車輪調整ボルト165によって支持スライダ167との位置関係、特にガイド溝113aの延在方向に関して位置関係の調整が可能とされており、支持部固定ボルト166と支持スライダ167に設けられたネジ孔との締結により支持スライダ167に対して固定される。
【0018】
第二の支持ユニット180は、後方車輪181、後方車輪支持部183、及び後方車輪調整ボルト185、支持部固定ボルト187を有する。後方車輪181は、後方車輪支持部183によって動作可能に支持される。該後方車輪支持部183はメインベース113により支持されており、後方車輪調整ボルト185によってメインベース113との位置関係、特にメインベース113のガイド溝113aの延在方向に関して位置関係の調整が可能とされている。支持部固定ボルト187は後方車輪支持部183に設けられた上下方向に延在する長孔187aを介してメインベース113のガイド溝113a内に設けられたネジ孔113bと締結する。なお、後方車輪181の配置は、取付け面50にロードポート装置100を取付ける際に、前述した前方車輪161に対して取り付け面50よりも遠い位置とされる。本実施形態では、第一の支持ユニット160における前方車輪161の位置調整範囲は、位置調整可能な支持スライダ167を介してメインベース113による支持を為す態様とすることにより、第二の支持ユニット180における後方車輪181の位置調整範囲よりも大きく設定されている。
【0019】
なお、これら支持ユニット160、180における車輪の位置調整機構は、本形態では公知の所謂ボルトナット、及び長孔を組み合わせることにより構成している。しかし、本発明は当該形態に限定されず、上述した調整範囲の相違を確保し且つ取付け面50に対してロードポート装置100の的確な位置決めが可能であれば、その他の種々の構成からなる位置決め機構を用いることが可能である。また、ロードポート装置100が搬送される床10との位置関係を調整し、且つその調整範囲が床との距離において上述の条件を満たせば、各々の車輪調整ボルト165、185及び支持スライダ167による個々の車輪161、181の調整方向は上述したガイド溝113aの延在方向に限定されない。
【0020】
次に、当該ロードポート装置100の実際の取付け面50への取付け手順について説明する。図5、8A、9A及び10Aは、図1と同様の様式にて、取付け前の段階での取付け面50及び第一の実施形態に係るロードポート装置100を夫々示している。取付け前の段階では、前方車輪161及び後方車輪181が回転可能に床10に当接しており、ロードポート装置100自体を移動可能としている。また、前方車輪調整ボルト165、支持スライダ167、及びスライダ固定治具169、及び後方車輪調整ボルト185により、被支持部材112aが固定側支持部51よりも高いい位置に存在するようにメインベース113の床からの位置が調整されている。この状態でロードポート装置100の開口部カバー部材121が取付け面側開口部57を閉鎖するように、ロードポート装置100を取付け面50に接近させる。この接近操作は、各接続プレート111は図中矢印にて示されるように、設けられた貫通孔に対応する固定側固定部55が挿貫し、且つ対応した固定側支持部51の真上に被支持部材112aが位置するところで停止される。その際の固定側支持部51と被支持部材112aとの位置関係の変化について、図5において円にて囲った領域を拡大して時系列的に図6及び図7に示す。
【0021】
開口部カバー部材121と取付け面50との間隔が所定の距離以下となった図7に示す状態となった段階で、ロードポート装置100の移動を停止する。次いで、図8Aに示すように、前方車輪調整ボルト165及び後方車輪調整ボルト185を調整して、メインベース113を床10方向に降下させる。この操作により、被支持部材112aが固定側支持部51に当接し、メインベース113の降下が停止される。この当接状態を、図6或いは7と同様の様式にて図8Bに示す。続いて、固定側固定部55に対する接続プレート111の仮固定、及び締結部59に対する締結手段112bの仮固定を行う。その際、一対の前方車輪161は両者共に床10に接しており、当該前方車輪161によってもメインベース113は床10より支持されている(図9A及び9B参照)。なお、図9B及び後述する図10Bは、後方車輪181が配置される位置から前方車輪161或いは固定側支持部51を見た状態を模式的に示す図である。
【0022】
仮固定によりロードポート装置100の取付け面50からの離間が防止できた後、第一の支持ユニット160によるメインベース113の支持を停止する。即ち、支持スライダ167及びスライダ固定治具169を用いて前方車輪161を大きく上昇させ、該先方車輪161が床10と設置する余地を無くす。この状態を図10B及び10Bに示す。また、後方車輪181も後方車輪調整ボルト185の操作によって床10より離間させても良い。次いで、位置調整機構53を調整することにより取付け面50に対するメインベース113、載置台115等の配置の微調整を行う。また、仮固定していた接続プレート111等の固定具合を調節して、取付け面50に対するメインベース113、開口部カバー121等の傾き等の微調整を行い、その上でロードポート装置100を取付け面50へ正式に固定する。以上の操作を行うことにより、ロードポート装置100を持ち上げる等を為す特別の装置等を用いなくとも、重量の大きなロードポート装置100を取付け面50に対して容易且つ好適に固定することが可能となる。
【0023】
また、本発明の如く、前方車輪161を単独にて昇降可能としていることから、後方車輪181にて部分的にロードポート装置100の重量を担わせた状態で取付け面50への接続プレート111の位置調整を行うことが容易である。このことから、ロードポート装置100の取付け姿勢の調整が容易となる。更に、前方車輪161と後方車輪181とを独立して昇降可能であることから、何れか一方を床10から僅かに離す等によって取付け面50に対するロードポート装置100の傾きも調整可能である。従って、例えば取付け面50側に傾けて取付け操作を行うことによってより安全に取付け操作を行うことも可能となる。また、前方車輪161の床10からの離間操作を、微少量の昇降を行う前方車輪調整ボルト165と及び支持固定ボルト166と、相対的に長い長さの昇降を行う支持スライダ167及びスライダ固定治具169と、により行う態様としている。これにより、メインベース113と床10との微小な位置調整と、前方車輪161の床10との当接可能性のない位置への迅速な移動と、の両立が可能となる。
【0024】
なお、ロードポート装置100の固定後、第二の支持ユニット180は後方車輪181を降下させて床10と当接させておくことが好ましい。例えば、何らかの原因によって中段及び上段の接続プレート111の固定が解除された場合であっても、当該後方車輪181が設置していることにより、ロードポート装置100が取付け面50から離れて倒れることを防止することが出来る。この場合、この倒れ防止効果を好適に得るために、図示の如く後方車輪支持部183をL字型の構造とし、メインベース113の接続プレート111との連結側端面とは逆の端面より、後方車輪181がその外方に突き出すように配置されることが好ましい。また、本実施形態では第二の支持ユニットを一対配置する構成を例示しているが、これを単体として用いても良い。この場合、当該後方車輪181は一対のメインベース113が向かい合う中間点に配置される等、前方車輪161と協同してロードポート装置100を安定的に支持できる位置に配置されれば良い。
【0025】
また、本実施形態では、接続プレート111の取付け面50への固定は、所謂ボルト-ナット様式により固定することとしている。しかし、本発明は当該様式に限定されるものではなく、より好適には位置調整が可能な公知の種々の締結、固定構造を用いることが可能である。また、本実施形態では、ロードポート装置100は、接続プレート111を介して位置決めされた各々板状の一対のメインベース113によって載置台115、ドア117等が支持される構造とすることによって、軽量化が図られた構造を例示している。しかし、従来から公知の、取付け面50に対して平行に配置される板状態をベースプレートとし、種々の構成を当該ベースプレートによって支持する態様からなるロードポート装置に対しても本発明を適用することは可能である。この場合、ベースプレートより本発明におけるメインベース113に対応する構造体を付加し、該構造体に対して第一の支持ユニット160及び第二の支持ユニット180を配置すれば良い。
【0026】
従って、第一の支持ユニット160及び第二の支持ユニット180が取付けられる部材は、本形態における接続プレート111及びメインベース113を含む構造体として、即ち取付け面50に直接的に取付けられ且つこれら支持ユニットにより支持されるベース部材として総称される。本実施形態の場合は、取付け面50に固定可能であって取付け面50に平行に延在する接続プレート111と、接続プレート111に連結されて接続プレート111の取付け面50への固定時に取付け面50より突出するように配置される板状体からなるメインベース113と、からベース部材が構成されると言える。なお、本形態の如くメインベース113に対してこれら支持ユニット160、180を直接配する構成とすることにより、各々の車輪161、181がロードポート装置100より荷重を受ける際の剛性を確保することを可能としている。
【0027】
次に、第一の支持ユニット160の形態の更なる態様を用いた本発明の第二の実施形態について述べる。図11A、図12及び13は本発明の第二の実施形態について図3と同様の様式にこれを示し、各図は固定側支持部51上に被支持部材112aを当接させた段階、前方車輪161の退避操作に移った段階、前方車輪161の上方への退避が終了した段階、を各々示している。なお、第一の実施形態で説明した構成と同じ構成に関しては同一の参照番号にてこれを示すこととしてここでの説明は省略する。また、図11Bは、図11Aに示した第一の支持ユニット260を断面11B−11B側から見た状態を示している。
【0028】
本実施形態では、第一の支持ユニット260は、前方車輪161、前方車輪支持部163、前方車輪調整ボルト165、回動プレート267、回動プレート固定ボルト268、及び回動プレート固定治具269を有する。なお、本形態では、回動プレート固定治具269には、ローレットハンドル269aが付随したネジ部269bが設けられた固定用ネジと、該固定用ネジの動作に適当な負荷を与える圧縮バネ269cと、からなる構成を例示する。メインベース113には、回動プレート固定ボルト268に対応したネジ孔268a、268bと該ネジ部269bに対応したネジ孔113bが設けられる。回動プレート267は延在方向における床10とは離れた側の端部において前方車輪調整ボルト165の下端と当接しており、当該前方車輪調整ボルト165によって床10との距離の微調整が行われる。また、該延在方向に伸びる回動プレート内長孔267aに回動プレート固定治具269のローレットネジ部269bが挿貫され、ローレットハンドル269aの回動によって圧縮バネ269cを介して該ローレットハンドル269aによって回動プレート267はメインベース113に対する押し付け固定が為される。回動プレート267の延在方向の位置の微調整は、該回動プレート内長孔267aによってガイドされる。また、回動プレート固定ボルト268とネジ孔268aとが得地渇されて回動プレート267の固定がより強く為される。
【0029】
回動プレート267は、前方車輪161の使用時の状態で、延在方向における床10側の端部近傍に該延在方向に並んで配置されるネジ孔を有する。前方車輪支持部163は、このネジ孔各々に対応し且つ該ネジ孔の並び方向とは異なる、本形態では直交する方向に延在する前方車輪支持部内長孔163aを有する。該前方車輪支持部内長孔163aに挿貫されて回動プレートのネジ孔に締結されたネジ164を緩めることにより、前方車輪161の該前方車輪支持部内の長孔163aに沿った移動が可能となる。当該前方車輪161の移動は、可動プレート267の延在方向とは直交する方向での前方車輪161の突き出し量を変化させることに対応する。実際のロードポート装置200の取付け面50に対する取付け操作時の前段階及び図11Aに示す段階において、前方車輪161は可動プレート267の延在方向とは直交する方向において回動プレート267から最も突き出した状態にある。当該状態とすることにより、前方車輪161と後方車輪181の回転中心の間隔を広くすることが可能となり、ロードポート装置200の移動時の安定性を増すことが可能となる。
【0030】
次にこの第二の実施形態に係るロードポート装置200において、該ロードポート装置200を取付け面50に取付けた後に行われる第一の支持ユニット260の退避動作について説明する。図12及び図13は、前述したように、この退避動作における各段階を示す。被支持部材112aが固定側支持部51上に乗り、取付け面50に対するロードポート装置200の仮固定が終わった段階で、前方車輪支持部163を固定する回動プレート固定ボルト268を取り外す。次に、図12に示す状態となるように、前方車輪161を前方車輪支持部内長孔163aの延在方向に沿って移動させ、前方車輪支持部163の回動プレート267からの突き出し量を最小とし、その位置で前方車輪161を固定する。更にローレットハンドル269aを回転させて回動プレート267を回動可能とし、ローレットネジ部269bを中心に該回動プレート267を角度α、本形態では90度回転させ、当該位置でローレットハンドル269aを締めて且つ回動プレート固定ボルト268とネジ孔268bとを締結して該回動プレート267を固定する。以上の操作によって、第一の支持ユニット260は、ロードポート装置200の支持状態より完全に解放される。
【0031】
本形態では、第一の実施形態と比較して第一の支持ユニット260の構造がやや複雑となるが、メインベース113に対する加工がごく僅かで済むというメリットがある。また、メインベース113に対する掘り込み加工が不要となることからメインベース113を薄くできる可能性もあり、ロードポート装置200の軽量化の観点で有用と考えられる。なお、本形態では回動プレート固定治具269としてローレットハンドル269aを有した構造体を例示した。しかし、前方車輪支持部163を回動可能に支持する回動プレート267を回転-非回転の何れかの状態とすることが可能な固定治具或いは固定方法を提示する構成であれば、種々の構成をこれに用いることが可能である。
【0032】
次に、第一の支持ユニット160の形態の更なる態様を用いた本発明の第三の実施形態について述べる。図14A、図15A及び図16Aは本発明の第三の実施形態について図3と同様の様式にこれを示し、各図は固定側支持部51上に被支持部材112aを当接させた段階、前方車輪161の退避操作に移った段階、前方車輪161の上方への退避が終了した段階、を各々示している。なお、第一の実施形態で説明した構成と同じ構成に関しては同一の参照番号にてこれを示すこととしてここでの説明は省略する。また、図14B、図15B及び図16Bは、図11Bと同じ様式にて断面14B−14Bから図14A、図15A及び図16Aに示した第一の支持ユニット160を見た状態を示している。
【0033】
本実施形態では、第一の支持ユニット360は、前方車輪161、前方車輪支持部163、前方車輪調整ボルト165、被調整部367、支持部回動軸369及ぶ吸着手段371を有する。なお、本形態では、吸着手段371には、磁石よりなる吸着部371aと、該吸着部371aの磁力により保持される磁性体からなる被吸着部371bと、からなる構成を例示する。被調整部367は、床10と前方車輪調整ボルト165の下端と当接する部分と結ぶ方向に延在する被調整部内長孔367aを有する。被調整部367は該被調整部内の長孔367aを貫通するネジ368によりメインベース113に対して、当該被調整部内長孔367aの延在方向に対して摺動可能に固定される。これにより前方車輪調整ボルト165によって被調整部367と床10との距離の微調整が行われる。また、被調整部367は、メインベース113及び床10に平行に延在する支持部回動軸369を支持する。支持部回動軸369は前方車輪支持部163を当該支持部回動軸369回りに回動可能に支持する。
【0034】
なお、前方車輪161が床10に当接した状態にあるとき、支持部回動軸369とメインベース113との距離が前方車輪支持部163の重心位置とメインベース113との距離より遠くなるように、支持部回動軸369の位置が設定される。即ち、前方車輪支持部163の回転支点が前方車輪161よりもメインベース113に対して外側に配置されることとなり、ロードポート装置300の重量が前方車輪161に作用する状態でも、前方車輪161が外側に開くような荷重がかからないようになっている。本構成では、前方車輪161が前方車輪調整ボルト165のみの操作によって床10と当接し得る機能位置から退避する場合、前方車輪支持部163を支持部回動軸369回りに回転させ、前方車輪支持部163に固定された被吸着部371bをメインベース113に固定された吸着部371aに吸着させることとしている。
【0035】
次にこの第三の実施形態に係るロードポート装置300において、該ロードポート装置300を取付け面50に取付けた後に行われる第一の支持ユニット360の退避動作について説明する。図15A及び図16Aは、前述したように、この退避動作における各段階を示す。被支持部材112aが固定側支持部51上に乗り、取付け面50に対するロードポート装置300の仮固定が終わった段階で、被調整部367を固定するネジ368を緩める。次に、図15A或いは15Bに示す状態となるように、被調整部367を被調整部内長孔367aの延在方向に沿って移動させ、前方車輪161を床10より離間させ、その位置で前方車輪161が停止するように被調整部367を固定する。更に前方車輪支持部163を支持部回動軸369周りに回転させて、被吸着部371bを吸着部371aにより吸着保持させる。以上の操作によって、第一の支持ユニット360は、ロードポート装置300の支持状態より完全に解放される。
【0036】
本形態では、第一或いは第二の実施形態と比較して第一の支持ユニット360の構造がやや複雑となり、第二の実施形態と比較して吸着手段371の十分な吸着力を以下に確保するかの点で製造コストを考慮することを要する。しかし、第一の実施形態に対してはメインベース113に対する加工がごく僅かで済むというメリットがあり、この点に関して第二の実施形態と同様のメリットを第一の実施形態に対して有する。また、第二の実施形態に対しては荷重の付加方向に沿った駆動を行う部分を削減できる点で、より重量の大きなロードポート装置300に対しても対応可能となるメリットが考えられる。なお、本形態では磁石と磁性体とからなる吸着手段317を例示した。しかし、前方車輪支持部163を保持することが可能な固定治具或いは固定方法を提示する構成であれば、種々の構成をこれに用いることが可能である。
【0037】
以上述べたように、第一の支持ユニット160、260、360は、ベース部材を支持すると共に該ベース部材に対して前方車輪161を昇降可能にとし、第二の支持ユニット180も、ベース部材を支持すると共に該ベース部材に対して後方車輪181を昇降可能にとしている。第二の支持ユニット180における後方車輪181の昇降は、後方車輪調整ボルト185により行われる。また、第二の支持ユニット160において、前方車輪161の床10との距離を微調整する昇降に関しては前方車輪調整ボルト165により行われる。これら第一の支持ユニット160による前方車輪161の昇降と、第二の支持ユニット180による後方車輪181の昇降とは、各々独立して行われる。
【0038】
また、本発明においては昇降の一態様として述べられる前方車輪調整ボルト165による昇降の範囲を超えた、上記実施形態で機能位置からの退避として述べた、ベース部材を支持しない位置への移動は、支持スライダ167及びスライダ固定治具169、回動プレート267、回動プレート固定ボルト268及び回動プレート固定治具269、及び、支持部回動軸369及び吸着手段371、より構成される移動手段によって行われる。以上に述べた第一の支持ユニット160、260、360、及び第二の支持手段180を有するロードポート装置100、200、300とすることにより、より大型化した半導体処理装置に対応して重量が大幅に増加したロードポート装置であっても、容易且つ正確に半導体処理装置に対して取り付けることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上述べたように、本発明は半導体処理装置に対して好適に用いるロードポート装置に関している。しかしながら、本発明の利用可能性は当該処理装置に限定されず、例えば液晶ディスプレイのパネルを扱う処理装置等、半導体に準じた各種処理が行われる種々の処理装置に用いられる所謂ロードポート装置に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10:床、 50:取付け面、 51:固定側支持部、 53:位置調整手段、 55:固定側固定部、 57:取付け面側開口部、 59:締結部、 100、200、300:ロードポート装置、 111:接続プレート、 112a:被支持部材、 112b:締結手段、 113:メインベース、 113a:ガイド溝、 113b:ネジ孔、 115:載置台、 117:ドア、 121:開口部カバー部材、 123:第一の開口部、 150:ロードポート移動機構、 160、260、360:第一の支持ユニット、 161:前方車輪、 163:前方車輪支持部、 163a:前方車輪支持部内長孔、 164:ネジ、 165:前方車輪調整ボルト、 166:支持部固定ボルト、 167:支持スライダ、 169:スライダ固定治具、 169a:、 180:第二の支持ユニット、 181:後方車輪、 183:後方車輪支持部、 185:後方車輪調整ボルト、 187:支持部固定ボルト、 187a:長孔、 267:回動プレート、 267a:回動プレート内長孔、 268:回動プレート固定ボルト、 268a、268b:ネジ孔、269:回動プレート固定治具、 269a:ローレットハンドル、 269b:ローレットネジ部、 269c:圧縮バネ、 367:被調整部、 367a:被調整部内長孔、 368:ネジ、 369:支持部回動軸、 371:吸着手段、 371a:吸着部、 371b:被吸着部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持された被処理物であるウエハを半導体処理装置間で移載する、或いはウエハを該半導体処理装置より該ポッドに移載する際に用いられる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システム、即ちロードポート装置に関する。より詳細には、半導体処理装置に対する取付け機構に特徴を有するロードポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスは、近年では各種処理装置の内部、ウエハを収容して各処理装置間でのウエハ搬送を可能とするポッド、及び該ポッドより各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間、の3空間のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。このようなポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。また、該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。
【0003】
ロードポート装置は、この開口部が形成された隔壁となる部材即ちサイドベースと称呼される壁と、該開口部を閉鎖するドアと、該ドアの動作を司るドア駆動機構と、ポッドが載置される載置テーブルと、から構成される。ポッドが実際に載置される載置テーブル上の載置台は、ポッドの開口と開口部とを向かい合わせるようにポッドを支持可能であり、且つポッドと共に蓋をドアと近接或いは離間させる。ドアは、ポッドの蓋を保持可能であり、ドア駆動機構によって蓋を保持した状態で開口部と第二の開口部との間の空間より下方に退避させられる。微小空間内にはロボットが配置され、該ロボットは開口部−ポッド開口を介してポッド内部に対する侵入及び退避が可能であって、第二の開口部も介して該ポッド内部と該半導体処理装置との間でウエハの移載を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3635235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロードポート装置の半導体処理装置への取付け時において、ロードポート装置はある程度の高さまで持ち上げられた後、半導体処理装置の取付け面に対して位置合わせを行った上で取付けられる。ロードポート装置はある程度の重量を有することからこの様な位置合わせ作業は困難を伴うが、当該装置が設置される所謂クリーンルームの性格上、位置合わせ用の過大な装置を設置することは困難である。このため、例えば特許文献1に示されるように、ロードポート装置自体に搬送用の車輪と高さ調整用の機能を付加する構成が提案されている。
【0006】
ここで、半導体製造工程においては、生産性の向上等を目的として、用いるウエハの大口径化が進められている。これに伴って、前述したポッド、微小空間、及び処理装置内部の空間各々も大型化されている。このため、ロードポート装置も大型化し、その重量も大きく増大せざるを得ない状況にある。この様な重量の増加は非常に大きく、単純な人力による位置合わせは不可能となる。また、特許文献1に示されるリフト装置で対応しようとした場合には、本体を持ち上げるための構成が大きくなりすぎ、リフト装置自体の重量が半導体処理装置の取付け面に対して過大な負荷を与えてしまうといった問題が生ずる可能性がある。
【0007】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであり、大型化した半導体処理装置に対しても容易に位置決め且つ取付けが可能であり、且つ半導体処理装置の取付け面に対してもロードポート装置本体から受ける以上の過大な負荷を与えることの無いロードポート装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るロードポート装置は、被処理物を挿脱するための開口を有し被処理物を収容するポッドの蓋を開閉して、ポッド内に対して開口を介した被処理物の挿脱の実施を可能とし、且つ被処理物に所定の処理を施す半導体処理装置の取付け面に取り付けられるロードポート装置であって、ポッドが載置可能な載置台と、載置台に載置された状態のポッドの蓋を保持可能であって、取付け面に対して半導体処理装置の内部側から開口部の開閉を行うドアと、載置台を支持するベース部材と、取付け面にロードポート装置を取付ける際に取付け面から共に等しい距離に配置される一対の前方車輪によりベース部材を支持し、ベース部材に対して前方車輪を昇降可能とする第一の支持ユニットと、取付け面にロードポート装置を取付ける際に前方車輪よりも取付け面より遠い位置に配置される後方車輪によりベース部材を支持し、ベース部材に対して後方車輪を昇降可能とする第二の支持ユニットと、を有し、第一の支持ユニットによる前記前方車輪のベース部材に対する昇降の操作は、第二の支持ユニットによる後方車輪の前記ベース部材に対する昇降の操作とは独立して行うことが可能であることを特徴とする。
【0009】
なお、前述したロードポート装置において、第一の支持ユニットは、ベース部材に対して前方車輪を昇降させる第一の昇降手段と、第一の昇降手段とは独立して前方車輪が前記ベース部材を支持しない位置に前方車輪を移動させる移動手段と、有することが好ましい。また、ベース部材は、取付け面に固定可能であって取付け面に平行に延在する接続プレートと、接続プレートに連結されて接続プレートの取付け面への固定時に取付け面より突出するように配置される板状体からなるメインベースと、からなり、第一の支持ユニット及び第二の支持ユニットはメインベースへ直接取付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より大型化した半導体処理装置に対応して重量が大幅に増加したロードポート装置であっても、容易且つ正確に半導体処理装置に対して取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るロードポート装置を側面から見た状態の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すロードポート装置を載置台側から見た状態と、該ロードポート装置が取付けられる取付け面との位置関係とを模式的に示す図である。
【図3】図1に示すロードポート装置にあって、特徴部分を図1と同様の様式で拡大してこれを示す図である。
【図4】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の下部での固定様式を、図2と同様の様式にて拡大して模式的に示す図である。
【図5】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程を示す図である。
【図6】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程について、固定側支持部を拡大して示す図である。
【図7】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程について、固定側支持部を拡大して示す図である。
【図8A】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程を示す図である。
【図8B】図8Aに示す工程について、固定側支持部を拡大して示す図である。
【図9A】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定する際の一工程を示す図である。
【図9B】図9Aに示す状態において、後方車輪が配置される位置から固定支持部を見た状態を模式的に示す図である。
【図10A】図1に示すロードポート装置を取付け面に固定した後の状態を示す図である。
【図10B】図10Aに示す状態において、前方車輪が配置される位置から固定支持部を見た状態を模式的に示す図である。
【図11A】本発明の第二の実施形態に係るロードポート装置の特徴部分について、固定側支持部51上に被支持部材112aを当接させた状態を、図1と同様の様式にてこれを拡大して示す図である。
【図11B】図11Aに示すロードポート装置における前方車輪を同図中の断面11B−11Bより見た状態を示す図である。
【図12】図11Aに示すロードポート装置において、前方車輪161を退避させる操作に移った状態を図11Aと同様の様式にて示す図である。
【図13】図11Aに示すロードポート装置において、前方車輪161の上方への退避が終了した状態を図11Aと同様の様式にて示す図である。
【図14A】本発明の第三の実施形態に係るロードポート装置の特徴部分について、固定側支持部51上に被支持部材112aを当接させた状態を、図1と同様の様式にてこれを拡大して示す図である。
【図14B】図14Aに示すロードポート装置における前方車輪を図14A中の断面14B−14Bより見た状態を示す図である。
【図15A】図14Aに示すロードポート装置において、前方車輪161を退避させる操作に移った状態を図14Aと同様の様式にて示す図である。
【図15B】図15Aに示すロードポート装置における前方車輪を図14A中の断面14B−14Bと同じ断面より見た状態を示す図である。
【図16A】図14Aに示すロードポート装置において、前方車輪161の上方への退避が終了した状態を図14Aと同様の様式にて示す図である。
【図16B】図16Aに示すロードポート装置における前方車輪を図14A中の断面14B−14Bと同じ断面より見た状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。本発明の第一の実施形態に係るロードポート装置100を側方から見た状態を図1に示す。なお、同図中には、該ロードポート装置100が取付けられる半導体処理装置側の取付け面50も同時に図示している。取付け面50にはロードポート装置100を支持する固定側支持部51、該固定側支持部に設けられた位置調整手段53、及び固定側固定部55が設置されている。固定側支持部51は、取付け面50の下端両隅に各々一個配置されて当該ロードポート装置100を主として支持する。また、位置調整手段53は例えば公知のボルトナット等から成り、後述する接続プレート111を介してロードポート装置100の取付け面50に対する取付け位置の調整を可能としている。固定側固定部55は固定側支持部51の配置に対応して各々の上方において水平方向で一対となるように配置され、ロードポート装置100の高さ方向の中央近傍に一対、及び上端に一対配置される。これら固定側固定部55により、取付け面50に対するロードポート装置111の固定が為される。
【0013】
図に示すロードポート装置100は、接続プレート111、メインベース113、載置台115、ドア117、開口部カバー部材121、ロードポート移動機構150及び不図示のドア駆動機構を有する。接続プレート111は前述した固定側固定部55及び固定側支持部51各々に対応して配置され、これらの水平方向の対に対面するように取付け面50に対して平行且つ各々も平行に延在するように配置される板状の部材より構成される。本発明に係るロードポート装置は、ウエハが挿脱される開口を有して該ウエハが収容されるポッド(不図示)に対し、その蓋を開閉して該開口を介してポッドへのウエハの挿脱の実施を可能とする。なお、ウエハは本発明における被処理物に対応する。載置台115上にはこのポッドが載置される。また、ドア117は、載置台115上に載置されたポッドの蓋を保持可能であって、動作時においては取付け面50に対して半導体処理装置の内部側から後述する第一の開口部123の開閉を行う。
【0014】
メインベース113は一対として用いられ、各々が個々の接続プレート111に対して接続されており、接続プレート111を介して取り付け面50に対して垂直に並立するように配置される。また、メインベース113は、載置台115の下方に配置されて、該載置台115及び該載置台115に付随してこれに載置されたポッドを駆動する不図示のポッド駆動機構を支持する。また、本形態において、メインベース113は、不図示のドア駆動機構を介してドア117を支持する。開口部カバー部材121は、取付け面50に設けられた半導体処理装置側の取付け面側開口部57を閉鎖して、外部空間から半導体処理装置内にいたる経路を、ドア117により開閉可能な第一の開口部123に制限している。当該開口部カバー121も、メインベース113に対して固定されている。
【0015】
ロードポート装置100の下端に配置される接続プレート111について、当該接続プレート111が固定側支持部材51に支持された状態を図4に拡大して示す。該接続プレート111には、固定側支持部51と当接可能なローラ状の被支持部材112aが配置され、当該被支持部材112aが固定側支持部51により支持されることでロードポート装置100自体の支持が為される。また、当該接続プレート111には、その両端に配置される被支持部材112aの内側に締結固定手段112bが配置され、取付け面50側に配置される締結部59に対して当該締結手段112bが固定される。これら締結部59及び締結手段112bによって、取付け面50の下端に対するロードポート装置100の固定が行われる。これらロードポート装置100側の被支持部材112a等と取付け面50側の締結部59等との対応関係を参考のために、図2中において矢印にて示す。
【0016】
次にロードポート移動機構150について詳述する。図3は図1に示したロードポート装置100におけるロードポート移動機構150を拡大して示している。ロードポート移動機構150は、取付け面50側に配置される第一の支持ユニット160と、該第一の支持ユニット160よりも取付け面50よりも離れて配置される第二の支持ユニット180とを有する。なお、本実施形態では、第一の支持ユニット160及び第二の支持ユニット180は、共に向かい合って配置される一対のメインベース113各々の外側面下端に1つずつ配置される。第一の支持ユニット160は、前方車輪161、前方車輪支持部163、前方車輪調整ボルト165、支持部固定ボルト166、支持スライダ167、及び支持スライダ固定治具169を有する。ロードポート装置100が取付け面50に取付けられる際に、一対の前方車輪161は共に取付け面50から等しい距離に位置するように配されている。
【0017】
メインベース113は下端より上方向に延在するガイド溝113aを有し、支持スライダ167が該ガイド溝113aに対して上下方向にスライド可能に収容される。本実施形態において、スライダ固定治具169はボルトからなる。支持スライダ167に設けられた上下方向に延在する長孔167aを介して、メインベース113のガイド溝113a内に設けられたネジ孔169aと該スライダ固定治具(本形態ではボルト)169との締結等より、支持スライダ167とメインベース113との位置関係を調整し且つ固定する。前方車輪161は、前方車輪支持部163によって動作可能に支持される。該前方車輪支持部163は支持スライダ167により支持されており、前方車輪調整ボルト165によって支持スライダ167との位置関係、特にガイド溝113aの延在方向に関して位置関係の調整が可能とされており、支持部固定ボルト166と支持スライダ167に設けられたネジ孔との締結により支持スライダ167に対して固定される。
【0018】
第二の支持ユニット180は、後方車輪181、後方車輪支持部183、及び後方車輪調整ボルト185、支持部固定ボルト187を有する。後方車輪181は、後方車輪支持部183によって動作可能に支持される。該後方車輪支持部183はメインベース113により支持されており、後方車輪調整ボルト185によってメインベース113との位置関係、特にメインベース113のガイド溝113aの延在方向に関して位置関係の調整が可能とされている。支持部固定ボルト187は後方車輪支持部183に設けられた上下方向に延在する長孔187aを介してメインベース113のガイド溝113a内に設けられたネジ孔113bと締結する。なお、後方車輪181の配置は、取付け面50にロードポート装置100を取付ける際に、前述した前方車輪161に対して取り付け面50よりも遠い位置とされる。本実施形態では、第一の支持ユニット160における前方車輪161の位置調整範囲は、位置調整可能な支持スライダ167を介してメインベース113による支持を為す態様とすることにより、第二の支持ユニット180における後方車輪181の位置調整範囲よりも大きく設定されている。
【0019】
なお、これら支持ユニット160、180における車輪の位置調整機構は、本形態では公知の所謂ボルトナット、及び長孔を組み合わせることにより構成している。しかし、本発明は当該形態に限定されず、上述した調整範囲の相違を確保し且つ取付け面50に対してロードポート装置100の的確な位置決めが可能であれば、その他の種々の構成からなる位置決め機構を用いることが可能である。また、ロードポート装置100が搬送される床10との位置関係を調整し、且つその調整範囲が床との距離において上述の条件を満たせば、各々の車輪調整ボルト165、185及び支持スライダ167による個々の車輪161、181の調整方向は上述したガイド溝113aの延在方向に限定されない。
【0020】
次に、当該ロードポート装置100の実際の取付け面50への取付け手順について説明する。図5、8A、9A及び10Aは、図1と同様の様式にて、取付け前の段階での取付け面50及び第一の実施形態に係るロードポート装置100を夫々示している。取付け前の段階では、前方車輪161及び後方車輪181が回転可能に床10に当接しており、ロードポート装置100自体を移動可能としている。また、前方車輪調整ボルト165、支持スライダ167、及びスライダ固定治具169、及び後方車輪調整ボルト185により、被支持部材112aが固定側支持部51よりも高いい位置に存在するようにメインベース113の床からの位置が調整されている。この状態でロードポート装置100の開口部カバー部材121が取付け面側開口部57を閉鎖するように、ロードポート装置100を取付け面50に接近させる。この接近操作は、各接続プレート111は図中矢印にて示されるように、設けられた貫通孔に対応する固定側固定部55が挿貫し、且つ対応した固定側支持部51の真上に被支持部材112aが位置するところで停止される。その際の固定側支持部51と被支持部材112aとの位置関係の変化について、図5において円にて囲った領域を拡大して時系列的に図6及び図7に示す。
【0021】
開口部カバー部材121と取付け面50との間隔が所定の距離以下となった図7に示す状態となった段階で、ロードポート装置100の移動を停止する。次いで、図8Aに示すように、前方車輪調整ボルト165及び後方車輪調整ボルト185を調整して、メインベース113を床10方向に降下させる。この操作により、被支持部材112aが固定側支持部51に当接し、メインベース113の降下が停止される。この当接状態を、図6或いは7と同様の様式にて図8Bに示す。続いて、固定側固定部55に対する接続プレート111の仮固定、及び締結部59に対する締結手段112bの仮固定を行う。その際、一対の前方車輪161は両者共に床10に接しており、当該前方車輪161によってもメインベース113は床10より支持されている(図9A及び9B参照)。なお、図9B及び後述する図10Bは、後方車輪181が配置される位置から前方車輪161或いは固定側支持部51を見た状態を模式的に示す図である。
【0022】
仮固定によりロードポート装置100の取付け面50からの離間が防止できた後、第一の支持ユニット160によるメインベース113の支持を停止する。即ち、支持スライダ167及びスライダ固定治具169を用いて前方車輪161を大きく上昇させ、該先方車輪161が床10と設置する余地を無くす。この状態を図10B及び10Bに示す。また、後方車輪181も後方車輪調整ボルト185の操作によって床10より離間させても良い。次いで、位置調整機構53を調整することにより取付け面50に対するメインベース113、載置台115等の配置の微調整を行う。また、仮固定していた接続プレート111等の固定具合を調節して、取付け面50に対するメインベース113、開口部カバー121等の傾き等の微調整を行い、その上でロードポート装置100を取付け面50へ正式に固定する。以上の操作を行うことにより、ロードポート装置100を持ち上げる等を為す特別の装置等を用いなくとも、重量の大きなロードポート装置100を取付け面50に対して容易且つ好適に固定することが可能となる。
【0023】
また、本発明の如く、前方車輪161を単独にて昇降可能としていることから、後方車輪181にて部分的にロードポート装置100の重量を担わせた状態で取付け面50への接続プレート111の位置調整を行うことが容易である。このことから、ロードポート装置100の取付け姿勢の調整が容易となる。更に、前方車輪161と後方車輪181とを独立して昇降可能であることから、何れか一方を床10から僅かに離す等によって取付け面50に対するロードポート装置100の傾きも調整可能である。従って、例えば取付け面50側に傾けて取付け操作を行うことによってより安全に取付け操作を行うことも可能となる。また、前方車輪161の床10からの離間操作を、微少量の昇降を行う前方車輪調整ボルト165と及び支持固定ボルト166と、相対的に長い長さの昇降を行う支持スライダ167及びスライダ固定治具169と、により行う態様としている。これにより、メインベース113と床10との微小な位置調整と、前方車輪161の床10との当接可能性のない位置への迅速な移動と、の両立が可能となる。
【0024】
なお、ロードポート装置100の固定後、第二の支持ユニット180は後方車輪181を降下させて床10と当接させておくことが好ましい。例えば、何らかの原因によって中段及び上段の接続プレート111の固定が解除された場合であっても、当該後方車輪181が設置していることにより、ロードポート装置100が取付け面50から離れて倒れることを防止することが出来る。この場合、この倒れ防止効果を好適に得るために、図示の如く後方車輪支持部183をL字型の構造とし、メインベース113の接続プレート111との連結側端面とは逆の端面より、後方車輪181がその外方に突き出すように配置されることが好ましい。また、本実施形態では第二の支持ユニットを一対配置する構成を例示しているが、これを単体として用いても良い。この場合、当該後方車輪181は一対のメインベース113が向かい合う中間点に配置される等、前方車輪161と協同してロードポート装置100を安定的に支持できる位置に配置されれば良い。
【0025】
また、本実施形態では、接続プレート111の取付け面50への固定は、所謂ボルト-ナット様式により固定することとしている。しかし、本発明は当該様式に限定されるものではなく、より好適には位置調整が可能な公知の種々の締結、固定構造を用いることが可能である。また、本実施形態では、ロードポート装置100は、接続プレート111を介して位置決めされた各々板状の一対のメインベース113によって載置台115、ドア117等が支持される構造とすることによって、軽量化が図られた構造を例示している。しかし、従来から公知の、取付け面50に対して平行に配置される板状態をベースプレートとし、種々の構成を当該ベースプレートによって支持する態様からなるロードポート装置に対しても本発明を適用することは可能である。この場合、ベースプレートより本発明におけるメインベース113に対応する構造体を付加し、該構造体に対して第一の支持ユニット160及び第二の支持ユニット180を配置すれば良い。
【0026】
従って、第一の支持ユニット160及び第二の支持ユニット180が取付けられる部材は、本形態における接続プレート111及びメインベース113を含む構造体として、即ち取付け面50に直接的に取付けられ且つこれら支持ユニットにより支持されるベース部材として総称される。本実施形態の場合は、取付け面50に固定可能であって取付け面50に平行に延在する接続プレート111と、接続プレート111に連結されて接続プレート111の取付け面50への固定時に取付け面50より突出するように配置される板状体からなるメインベース113と、からベース部材が構成されると言える。なお、本形態の如くメインベース113に対してこれら支持ユニット160、180を直接配する構成とすることにより、各々の車輪161、181がロードポート装置100より荷重を受ける際の剛性を確保することを可能としている。
【0027】
次に、第一の支持ユニット160の形態の更なる態様を用いた本発明の第二の実施形態について述べる。図11A、図12及び13は本発明の第二の実施形態について図3と同様の様式にこれを示し、各図は固定側支持部51上に被支持部材112aを当接させた段階、前方車輪161の退避操作に移った段階、前方車輪161の上方への退避が終了した段階、を各々示している。なお、第一の実施形態で説明した構成と同じ構成に関しては同一の参照番号にてこれを示すこととしてここでの説明は省略する。また、図11Bは、図11Aに示した第一の支持ユニット260を断面11B−11B側から見た状態を示している。
【0028】
本実施形態では、第一の支持ユニット260は、前方車輪161、前方車輪支持部163、前方車輪調整ボルト165、回動プレート267、回動プレート固定ボルト268、及び回動プレート固定治具269を有する。なお、本形態では、回動プレート固定治具269には、ローレットハンドル269aが付随したネジ部269bが設けられた固定用ネジと、該固定用ネジの動作に適当な負荷を与える圧縮バネ269cと、からなる構成を例示する。メインベース113には、回動プレート固定ボルト268に対応したネジ孔268a、268bと該ネジ部269bに対応したネジ孔113bが設けられる。回動プレート267は延在方向における床10とは離れた側の端部において前方車輪調整ボルト165の下端と当接しており、当該前方車輪調整ボルト165によって床10との距離の微調整が行われる。また、該延在方向に伸びる回動プレート内長孔267aに回動プレート固定治具269のローレットネジ部269bが挿貫され、ローレットハンドル269aの回動によって圧縮バネ269cを介して該ローレットハンドル269aによって回動プレート267はメインベース113に対する押し付け固定が為される。回動プレート267の延在方向の位置の微調整は、該回動プレート内長孔267aによってガイドされる。また、回動プレート固定ボルト268とネジ孔268aとが得地渇されて回動プレート267の固定がより強く為される。
【0029】
回動プレート267は、前方車輪161の使用時の状態で、延在方向における床10側の端部近傍に該延在方向に並んで配置されるネジ孔を有する。前方車輪支持部163は、このネジ孔各々に対応し且つ該ネジ孔の並び方向とは異なる、本形態では直交する方向に延在する前方車輪支持部内長孔163aを有する。該前方車輪支持部内長孔163aに挿貫されて回動プレートのネジ孔に締結されたネジ164を緩めることにより、前方車輪161の該前方車輪支持部内の長孔163aに沿った移動が可能となる。当該前方車輪161の移動は、可動プレート267の延在方向とは直交する方向での前方車輪161の突き出し量を変化させることに対応する。実際のロードポート装置200の取付け面50に対する取付け操作時の前段階及び図11Aに示す段階において、前方車輪161は可動プレート267の延在方向とは直交する方向において回動プレート267から最も突き出した状態にある。当該状態とすることにより、前方車輪161と後方車輪181の回転中心の間隔を広くすることが可能となり、ロードポート装置200の移動時の安定性を増すことが可能となる。
【0030】
次にこの第二の実施形態に係るロードポート装置200において、該ロードポート装置200を取付け面50に取付けた後に行われる第一の支持ユニット260の退避動作について説明する。図12及び図13は、前述したように、この退避動作における各段階を示す。被支持部材112aが固定側支持部51上に乗り、取付け面50に対するロードポート装置200の仮固定が終わった段階で、前方車輪支持部163を固定する回動プレート固定ボルト268を取り外す。次に、図12に示す状態となるように、前方車輪161を前方車輪支持部内長孔163aの延在方向に沿って移動させ、前方車輪支持部163の回動プレート267からの突き出し量を最小とし、その位置で前方車輪161を固定する。更にローレットハンドル269aを回転させて回動プレート267を回動可能とし、ローレットネジ部269bを中心に該回動プレート267を角度α、本形態では90度回転させ、当該位置でローレットハンドル269aを締めて且つ回動プレート固定ボルト268とネジ孔268bとを締結して該回動プレート267を固定する。以上の操作によって、第一の支持ユニット260は、ロードポート装置200の支持状態より完全に解放される。
【0031】
本形態では、第一の実施形態と比較して第一の支持ユニット260の構造がやや複雑となるが、メインベース113に対する加工がごく僅かで済むというメリットがある。また、メインベース113に対する掘り込み加工が不要となることからメインベース113を薄くできる可能性もあり、ロードポート装置200の軽量化の観点で有用と考えられる。なお、本形態では回動プレート固定治具269としてローレットハンドル269aを有した構造体を例示した。しかし、前方車輪支持部163を回動可能に支持する回動プレート267を回転-非回転の何れかの状態とすることが可能な固定治具或いは固定方法を提示する構成であれば、種々の構成をこれに用いることが可能である。
【0032】
次に、第一の支持ユニット160の形態の更なる態様を用いた本発明の第三の実施形態について述べる。図14A、図15A及び図16Aは本発明の第三の実施形態について図3と同様の様式にこれを示し、各図は固定側支持部51上に被支持部材112aを当接させた段階、前方車輪161の退避操作に移った段階、前方車輪161の上方への退避が終了した段階、を各々示している。なお、第一の実施形態で説明した構成と同じ構成に関しては同一の参照番号にてこれを示すこととしてここでの説明は省略する。また、図14B、図15B及び図16Bは、図11Bと同じ様式にて断面14B−14Bから図14A、図15A及び図16Aに示した第一の支持ユニット160を見た状態を示している。
【0033】
本実施形態では、第一の支持ユニット360は、前方車輪161、前方車輪支持部163、前方車輪調整ボルト165、被調整部367、支持部回動軸369及ぶ吸着手段371を有する。なお、本形態では、吸着手段371には、磁石よりなる吸着部371aと、該吸着部371aの磁力により保持される磁性体からなる被吸着部371bと、からなる構成を例示する。被調整部367は、床10と前方車輪調整ボルト165の下端と当接する部分と結ぶ方向に延在する被調整部内長孔367aを有する。被調整部367は該被調整部内の長孔367aを貫通するネジ368によりメインベース113に対して、当該被調整部内長孔367aの延在方向に対して摺動可能に固定される。これにより前方車輪調整ボルト165によって被調整部367と床10との距離の微調整が行われる。また、被調整部367は、メインベース113及び床10に平行に延在する支持部回動軸369を支持する。支持部回動軸369は前方車輪支持部163を当該支持部回動軸369回りに回動可能に支持する。
【0034】
なお、前方車輪161が床10に当接した状態にあるとき、支持部回動軸369とメインベース113との距離が前方車輪支持部163の重心位置とメインベース113との距離より遠くなるように、支持部回動軸369の位置が設定される。即ち、前方車輪支持部163の回転支点が前方車輪161よりもメインベース113に対して外側に配置されることとなり、ロードポート装置300の重量が前方車輪161に作用する状態でも、前方車輪161が外側に開くような荷重がかからないようになっている。本構成では、前方車輪161が前方車輪調整ボルト165のみの操作によって床10と当接し得る機能位置から退避する場合、前方車輪支持部163を支持部回動軸369回りに回転させ、前方車輪支持部163に固定された被吸着部371bをメインベース113に固定された吸着部371aに吸着させることとしている。
【0035】
次にこの第三の実施形態に係るロードポート装置300において、該ロードポート装置300を取付け面50に取付けた後に行われる第一の支持ユニット360の退避動作について説明する。図15A及び図16Aは、前述したように、この退避動作における各段階を示す。被支持部材112aが固定側支持部51上に乗り、取付け面50に対するロードポート装置300の仮固定が終わった段階で、被調整部367を固定するネジ368を緩める。次に、図15A或いは15Bに示す状態となるように、被調整部367を被調整部内長孔367aの延在方向に沿って移動させ、前方車輪161を床10より離間させ、その位置で前方車輪161が停止するように被調整部367を固定する。更に前方車輪支持部163を支持部回動軸369周りに回転させて、被吸着部371bを吸着部371aにより吸着保持させる。以上の操作によって、第一の支持ユニット360は、ロードポート装置300の支持状態より完全に解放される。
【0036】
本形態では、第一或いは第二の実施形態と比較して第一の支持ユニット360の構造がやや複雑となり、第二の実施形態と比較して吸着手段371の十分な吸着力を以下に確保するかの点で製造コストを考慮することを要する。しかし、第一の実施形態に対してはメインベース113に対する加工がごく僅かで済むというメリットがあり、この点に関して第二の実施形態と同様のメリットを第一の実施形態に対して有する。また、第二の実施形態に対しては荷重の付加方向に沿った駆動を行う部分を削減できる点で、より重量の大きなロードポート装置300に対しても対応可能となるメリットが考えられる。なお、本形態では磁石と磁性体とからなる吸着手段317を例示した。しかし、前方車輪支持部163を保持することが可能な固定治具或いは固定方法を提示する構成であれば、種々の構成をこれに用いることが可能である。
【0037】
以上述べたように、第一の支持ユニット160、260、360は、ベース部材を支持すると共に該ベース部材に対して前方車輪161を昇降可能にとし、第二の支持ユニット180も、ベース部材を支持すると共に該ベース部材に対して後方車輪181を昇降可能にとしている。第二の支持ユニット180における後方車輪181の昇降は、後方車輪調整ボルト185により行われる。また、第二の支持ユニット160において、前方車輪161の床10との距離を微調整する昇降に関しては前方車輪調整ボルト165により行われる。これら第一の支持ユニット160による前方車輪161の昇降と、第二の支持ユニット180による後方車輪181の昇降とは、各々独立して行われる。
【0038】
また、本発明においては昇降の一態様として述べられる前方車輪調整ボルト165による昇降の範囲を超えた、上記実施形態で機能位置からの退避として述べた、ベース部材を支持しない位置への移動は、支持スライダ167及びスライダ固定治具169、回動プレート267、回動プレート固定ボルト268及び回動プレート固定治具269、及び、支持部回動軸369及び吸着手段371、より構成される移動手段によって行われる。以上に述べた第一の支持ユニット160、260、360、及び第二の支持手段180を有するロードポート装置100、200、300とすることにより、より大型化した半導体処理装置に対応して重量が大幅に増加したロードポート装置であっても、容易且つ正確に半導体処理装置に対して取り付けることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上述べたように、本発明は半導体処理装置に対して好適に用いるロードポート装置に関している。しかしながら、本発明の利用可能性は当該処理装置に限定されず、例えば液晶ディスプレイのパネルを扱う処理装置等、半導体に準じた各種処理が行われる種々の処理装置に用いられる所謂ロードポート装置に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10:床、 50:取付け面、 51:固定側支持部、 53:位置調整手段、 55:固定側固定部、 57:取付け面側開口部、 59:締結部、 100、200、300:ロードポート装置、 111:接続プレート、 112a:被支持部材、 112b:締結手段、 113:メインベース、 113a:ガイド溝、 113b:ネジ孔、 115:載置台、 117:ドア、 121:開口部カバー部材、 123:第一の開口部、 150:ロードポート移動機構、 160、260、360:第一の支持ユニット、 161:前方車輪、 163:前方車輪支持部、 163a:前方車輪支持部内長孔、 164:ネジ、 165:前方車輪調整ボルト、 166:支持部固定ボルト、 167:支持スライダ、 169:スライダ固定治具、 169a:、 180:第二の支持ユニット、 181:後方車輪、 183:後方車輪支持部、 185:後方車輪調整ボルト、 187:支持部固定ボルト、 187a:長孔、 267:回動プレート、 267a:回動プレート内長孔、 268:回動プレート固定ボルト、 268a、268b:ネジ孔、269:回動プレート固定治具、 269a:ローレットハンドル、 269b:ローレットネジ部、 269c:圧縮バネ、 367:被調整部、 367a:被調整部内長孔、 368:ネジ、 369:支持部回動軸、 371:吸着手段、 371a:吸着部、 371b:被吸着部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を挿脱するための開口を有し前記被処理物を収容するポッドの蓋を開閉して、前記ポッド内に対して前記開口を介した前記被処理物の挿脱の実施を可能とし、且つ前記被処理物に所定の処理を施す半導体処理装置の取付け面に取り付けられるロードポート装置であって、
前記ポッドを載置可能な載置台と、
前記載置台に載置された状態の前記ポッドの前記蓋を保持可能であって、前記取付け面に対して前記半導体処理装置の内部側から前記開口部の開閉を行うドアと、
前記載置台を支持するベース部材と、
前記取付け面に前記ロードポート装置を取付ける際に前記取付け面から共に等しい距離に配置される一対の前方車輪により前記ベース部材を支持し、前記ベース部材に対して前記前方車輪を昇降可能とする第一の支持ユニットと、
前記取付け面に前記ロードポート装置を取付ける際に前記前方車輪よりも前記取付け面より遠い位置に配置される後方車輪により前記ベース部材を支持し、前記ベース部材に対して前記後方車輪を昇降可能とする第二の支持ユニットと、を有し、
前記第一の支持ユニットによる前記前方車輪の前記ベース部材に対する昇降の操作は、前記第二の支持ユニットによる前記後方車輪の前記ベース部材に対する昇降の操作とは独立して行うことが可能であることを特徴とするロードポート装置。
【請求項2】
前記第一の支持ユニットは、前記ベース部材に対して前記前方車輪を昇降させる第一の昇降手段と、前記第一の昇降手段とは独立して前記前方車輪が前記ベース部材を支持しない位置に前記前方車輪を移動させる移動手段と、有することを特徴とする請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記取付け面に固定可能であって前記取付け面に平行に延在する接続プレートと、前記接続プレートに連結されて前記接続プレートの前記取付け面への固定時に前記取付け面より突出するように配置される板状体からなるメインベースと、からなり、
前記第一の支持ユニット及び前記第二の支持ユニットは前記メインベースへ直接取付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のロードポート装置。
【請求項1】
被処理物を挿脱するための開口を有し前記被処理物を収容するポッドの蓋を開閉して、前記ポッド内に対して前記開口を介した前記被処理物の挿脱の実施を可能とし、且つ前記被処理物に所定の処理を施す半導体処理装置の取付け面に取り付けられるロードポート装置であって、
前記ポッドを載置可能な載置台と、
前記載置台に載置された状態の前記ポッドの前記蓋を保持可能であって、前記取付け面に対して前記半導体処理装置の内部側から前記開口部の開閉を行うドアと、
前記載置台を支持するベース部材と、
前記取付け面に前記ロードポート装置を取付ける際に前記取付け面から共に等しい距離に配置される一対の前方車輪により前記ベース部材を支持し、前記ベース部材に対して前記前方車輪を昇降可能とする第一の支持ユニットと、
前記取付け面に前記ロードポート装置を取付ける際に前記前方車輪よりも前記取付け面より遠い位置に配置される後方車輪により前記ベース部材を支持し、前記ベース部材に対して前記後方車輪を昇降可能とする第二の支持ユニットと、を有し、
前記第一の支持ユニットによる前記前方車輪の前記ベース部材に対する昇降の操作は、前記第二の支持ユニットによる前記後方車輪の前記ベース部材に対する昇降の操作とは独立して行うことが可能であることを特徴とするロードポート装置。
【請求項2】
前記第一の支持ユニットは、前記ベース部材に対して前記前方車輪を昇降させる第一の昇降手段と、前記第一の昇降手段とは独立して前記前方車輪が前記ベース部材を支持しない位置に前記前方車輪を移動させる移動手段と、有することを特徴とする請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記取付け面に固定可能であって前記取付け面に平行に延在する接続プレートと、前記接続プレートに連結されて前記接続プレートの前記取付け面への固定時に前記取付け面より突出するように配置される板状体からなるメインベースと、からなり、
前記第一の支持ユニット及び前記第二の支持ユニットは前記メインベースへ直接取付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のロードポート装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【公開番号】特開2013−110192(P2013−110192A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252442(P2011−252442)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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