説明

ワイヤレスシステム及びワイヤレスシステムの動作方法

【課題】 送信装置と受信装置とで構成されるワイヤレスシステムにおいて、閃光発光が不要な期間に受信装置で消費される電力量を低減し、受信装置の各回路に電源を供給する電池の消耗を抑える。
【解決手段】 送信装置14は、予備情報SI及び主情報CIを光信号として出力する送信部22を有する。受信装置16は、予備情報SI及び主情報CIを受信する受信部26と、受信部26により受信された主情報CIに応答して動作する動作部30とを有し、受信部26により受信された予備情報SIに応答して動作部30を低消費電力状態から動作可能な状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置と、送信装置から空間的に離れた位置に配置された受信装置とで構成されるワイヤレスシステム及びワイヤレスシステムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のワイヤレスシステムは、例えばストロボ閃光発光システムとして構成される。ストロボ閃光発光システムは、例えば、カメラ本体に取り付けられたマスタ閃光発光装置と、マスタ閃光発光装置から空間的に離れた位置に配置されたリモート閃光発光装置から構成されている。マスタ閃光発光装置は、リモート閃光発光装置の発光量や発光回数等の発光状態を設定するために、リモート閃光発光装置に向けて光信号を出力する送信回路を有している。リモート閃光発光装置は、送信回路から送信された光信号を受信する受信回路、被写体に照射光を照射するために閃光発光する閃光発光回路、受信された光信号に基づいて閃光発光回路を制御するマイクロコンピュータ、各回路に電源を供給する電池等を有している(例えば、特許文献1)。この種のワイヤレスシステムでは、リモート閃光発光装置のマイクロコンピュータは、例えば、受信された光信号に高速に応答するために、高周波のクロック信号を生成する信号生成部を有している。例えば、マイクロコンピュータは、信号生成部により生成されたクロック信号を用いて閃光発光回路等を制御する。
【特許文献1】特開2000−78089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したワイヤレスシステムでは、マイクロコンピュータの信号生成部は、受信回路により光信号が受信されない間(閃光発光が不要な期間)にも、クロック信号を生成する。閃光発光が不要な期間にもマイクロコンピュータにより電池の充電電力が消費されるため、電池の寿命が短縮されるという問題があった。
本発明の目的は、送信装置と受信装置とで構成されるワイヤレスシステムにおいて、閃光発光が不要な期間に受信装置で消費される電力量を低減し、受信装置の各回路に電源を供給する電池の消耗を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1のワイヤレスシステムでは、送信装置は、予備情報及び主情報を光信号として出力する送信部を有する。受信装置は、予備情報及び主情報を受信する受信部と、受信部により受信された主情報に応答して動作する動作部とを有し、受信部により受信された予備情報に応答して動作部を低消費電力状態から動作可能な状態に設定する。
請求項8のワイヤレスシステムの動作方法では、送信装置の送信部は予備情報及び主情報を光信号として出力し、受信装置の受信部は予備情報及び主情報を受信し、受信装置の動作部は受信部により受信された主情報に応答して動作し、受信部により受信された予備情報に応答して動作部を低消費電力状態から動作可能な状態に設定する。
【0005】
請求項2のワイヤレスシステム及び請求項9のワイヤレスシステムの動作方法では、予備情報及び主情報は、受信装置の受信部により予備情報が受信された後から、動作部が動作可能な状態に設定されるまでの所定時間間隔を開けて送信部から順次に出力される。
請求項3のワイヤレスシステム及び請求項10のワイヤレスシステムの動作方法では、受信装置は、予備情報の受信後から所定時間が経過するまでに、受信部により主情報が受信されない時、動作部を低電力状態に戻す。
【0006】
請求項4のワイヤレスシステム及び請求項11のワイヤレスシステムの動作方法では、受信装置は、主情報の受信後から所定時間が経過するまでに、受信部により予備情報及び次の主情報のいずれかが受信されない時、動作部を低消費電力状態に設定する。
請求項5のワイヤレスシステム及び請求項12のワイヤレスシステムの動作方法では、送信装置の送信部から出力される主情報は、所定時間間隔を開けて送信部から出力される複数の副情報で構成され、受信装置は、各副情報を受信した後から所定時間が経過するまでに、受信部により後続の副情報が受信されない時、動作部を低消費電力状態に設定する。
【0007】
請求項6のワイヤレスシステムでは、受信装置の動作部は、被写体に照射光を照射するために閃光発光する閃光発光部であり、送信装置の送信部から出力される予備情報及び主情報は、閃光発光部を低消費電力状態から閃光発光可能な状態に設定する設定情報及び、閃光発光部の発光量を表す発光量情報にそれぞれ対応する。
請求項7のワイヤレスシステムでは、受信装置は、クロック信号を生成する信号生成部を有するマイクロコンピュータを備え、受信装置のマイクロコンピュータは、動作部が動作可能な状態に設定された時、信号生成部により生成されたクロック信号を動作部に出力し、動作部が低消費電力状態に設定された時、信号生成部にクロック信号の生成を停止させる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のワイヤレスシステム及び請求項8のワイヤレスシステムの動作方法では、受信装置は、受信部により予備情報が受信された時(動作部による動作が必要な期間)、動作部を動作可能な状態に設定し、受信部により受信された主情報に応答して動作させる。受信装置は、予備情報が受信されない時(動作部による動作が不要な期間)、動作部を低消費電力状態に設定する。このため、動作部による動作が不要な期間に、受信装置で消費される電力量を低減できる。この結果、受信装置に電力を供給する電池等の消耗を抑えることができる。
【0009】
請求項2のワイヤレスシステム及び請求項9のワイヤレスシステムの動作方法では、予備情報及び主情報は、受信装置の受信部により予備情報が受信された後から、動作部が動作可能な状態に必要な時間間隔を開けて送信部から順次出力される。したがって、受信装置は、受信部により主情報が受信される前に、動作部を動作可能な状態に設定できる。このため、動作部は、受信された主情報に遅れることなく応答できる。この結果、動作部が誤動作することを防止できる。
【0010】
請求項3のワイヤレスシステム及び請求項10のワイヤレスシステムの動作方法では、動作部が動作可能な状態に設定される期間は、予備情報の受信後から所定時間が経過するまでの期間に限定される。すなわち、受信装置の電源である電池等から動作部を動作させるために必要な電力が供給される期間は、予備情報の受信後から所定時間が経過するまでの期間に限定される。このため、受信装置の電源である電池等の消耗を抑えることができる。
【0011】
請求項4のワイヤレスシステム及び請求項11のワイヤレスシステムの動作方法では、動作部が動作可能な状態に設定される期間は、主情報の受信後から所定時間が経過するまでの期間に限定される。すなわち、受信装置の電源である電池等から動作部を動作させるために必要な電力が供給される期間は、主情報の受信後から所定時間が経過するまでの期間に限定される。このため、受信装置の電源である電池等の消耗を抑えることができる。
【0012】
請求項5のワイヤレスシステム及び請求項12のワイヤレスシステムの動作方法では、動作部が動作可能な状態に設定される期間は、各副情報の受信後から所定時間が経過するまでの期間に限定される。すなわち、受信装置の電源である電池等から動作部を動作させるために必要な電力が供給される期間は、各副情報の受信後から所定時間が経過するまでの期間に限定される。このため、受信装置の電源である電池等の消耗を抑えることができる。
【0013】
請求項6のワイヤレスシステムでは、受信装置は、設定情報の受信時(閃光発光部による閃光発光が必要な期間)、受信した発光量情報に基づいて閃光発光部を閃光発光させるために、閃光発光部を閃光発光可能な状態に設定する。受信装置は、設定情報が受信されない時(閃光発光部による閃光発光が不要な期間)、閃光発光部を低消費電力状態に設定する。このため、閃光発光部による閃光発光が不要な期間に、受信装置で消費される電力量を低減できる。この結果、受信装置に電力を供給する電池等の消耗を抑えることができる。
【0014】
請求項7のワイヤレスシステムでは、信号生成部によりクロック信号が生成される期間は、動作部が動作可能な状態に設定された時(動作部による動作が必要な期間)に限定される。すなわち、受信装置の電源である電池等から信号生成部にクロック信号を生成させるために必要な電力が供給される期間は、動作部による動作が必要な期間に限定される。このため、受信装置の電源である電池等の消耗を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明のワイヤレスシステムの一実施形態を示している。この例では、ワイヤレスシステム100は、被写体の撮影時、被写体に照射光を照射するために閃光発光する閃光発光システムとして構成される。ワイヤレスシステム100は、カメラ本体10のホットシュー12に接続されるマスタ閃光発光装置14と、リモート閃光発光装置16とを有している。ホットシュー12には、例えば、マスタ閃光発光装置14とカメラ本体10との間で各種情報を授受するための通信接点が設けられている。
【0016】
マスタ閃光発光装置14は、操作部18、マスタ用マイクロコンピュータ20(以下、マスタ用マイコン20と記述する)及びマスタ閃光発光回路22を有している。
操作部18は、リモート閃光発光装置16のリモート閃光発光回路30(後述)を制御するための制御情報CIを撮影者が入力するためのインタフェースとして機能する。
マスタ用マイコン20は、ホットシュー12の通信接点、操作部18及びマスタ閃光発光回路22に接続される。マスタ用マイコン20は、例えば、被写体の撮影前に、操作部18から受け取った制御情報CIをマスタ閃光発光回路22に出力する。また、制御情報CIは、カメラ本体10からホットシュー12の通信接点を介して、マスタ用マイコン20に与えられてもよい。
【0017】
マスタ閃光発光回路22は、マスタ用マイコン20により制御され、図示しない高圧制御回路や放電管Xe等を有している。マスタ閃光発光回路22は、高圧制御回路に電荷を充電させ、充電した電荷を用いて放電管Xeを閃光発光させる。
マスタ閃光発光回路22は、マスタ用マイコン20から制御情報CIを受け取り、受け取った制御情報CIを、放電管Xeの閃光発光により制御信号CSとしてリモート閃光発光装置16に出力する。
【0018】
マスタ閃光発光回路22は、制御信号CSを出力する前に、放電管Xeの閃光発光により切替信号SSをリモート閃光発光装置16に出力する。切替信号SSは、後述するリモート用マイクロコンピュータ28(以下、リモート用マイコン28と記述する)の動作モードをスタンバイモードSTBから通常動作モードORDに切り替えるためのパルス信号である。制御信号CS及び切替信号SSの詳細は、図2で説明する。
【0019】
リモート閃光発光装置16は、カメラ本体10及びマスタ閃光発光装置14から離れた位置に配置され、操作部24、リモート受信回路26、リモート用マイコン28及びリモート閃光発光回路30等を有している。
操作部24は、制御情報CIを撮影者が入力するためのインタフェースとして機能する。撮影者により入力された制御情報CIは、操作部24からリモート用マイコン28に出力される。
【0020】
リモート受信回路26は、マスタ閃光発光回路22から受光した切替信号SS及び制御信号CSを順次、光電変換する。リモート受信回路26は、光電変換したアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を切替情報SI及び制御情報CIとしてリモート用マイコン28に出力する。
リモート用マイコン28は、操作部24、又は、リモート受信回路26から受け取った制御情報CIに基づいて、各回路を制御する。リモート用マイコン28は、発振回路32、図3のデコーダ46及びプロセッサ48を有している。リモート用マイコン28には、発振回路32にクロック信号CLK1(例えば、10KHz)を出力する水晶発振子34が接続されている。
【0021】
発振回路32は、水晶発振子34から受け取ったクロック信号CLK1(例えば、10KHz)に基づいて、クロック信号CLK2(例えば、10MHz)を生成し、生成したクロック信号CLK2を各回路に出力する。
リモート用マイコン28は、リモート閃光発光回路30を閃光発光させるために発振回路32の機能を有効にする通常動作モードORDと、リモート受信回路26の機能のみ有効にするスタンバイモードSTBの二つの動作モードを有している。
【0022】
リモート用マイコン28は、リモート受信回路26から受け取った切替情報SIに応答して、動作モードをスタンバイモードSTBから通常動作モードORDに切り替える。すなわち、発振回路32は、切替情報SIに応答してクロック信号CLK2の生成を開始する。リモート閃光発光回路30は、リモート用マイコン28により制御され、被写体に照射光を照射するために閃光発光する。
【0023】
図2は、切替信号SS及び制御信号CSの詳細を示している。図2(a)は、マスタ閃光発光回路22(図1)の放電管Xeから出力された切替信号SS及び制御信号CSを示している。切替信号SSは、制御信号CSに先立って単発のパルス信号として出力される。制御信号CSは、所定の時間を開けて複数回出力される。切替信号SS及び制御信号CSは、この順番で、時間Twを開けて順次出力される。時間Twは、切替信号SSの立ち上がり時から、制御信号CSの先頭のパルス信号の立ち上がり時までの時間を示している。
【0024】
図2(b)は、制御信号CSの詳細を示している。制御信号CSは、チャンネル指定部CA及び制御情報部CCで構成されている。チャンネル指定部CAは、ワイアレスシステム100と他のワイアレスシステムとを識別するための識別子DIを示すパルス信号である。チャンネル指定部CAは、3個のパルス信号(PS1、PS2、PS3)で構成される。時間T1、T2は、パルス信号PS1の立ち上がり時からパルス信号PS2の立ち上がり時までの時間、パルス信号PS2の立ち上がり時からパルス信号PS3の立ち上がり時までの時間をそれぞれ示している。時間T1と時間T2の比(例えば、1:3)は、ワイアレスシステム100の識別子DIとしてリモート用マイコン28に認識される。
【0025】
制御情報部CCは、リモート閃光発光回路30の放電管Xeの発光量LQや発光回数LN等を示す複数のパルス信号(PS4〜PSn)で構成される。各パルス信号(例えば、パルス信号PS4)の立ち上がり時から、次のパルス信号(例えば、パルス信号PS5)の立ち上がり時までの時間(例えば、時間T3)は、リモート閃光発光回路30の放電管Xeの発光量LQや発光回数LN等としてリモート用マイコン28に認識される。
【0026】
図3は、図1に示したリモート閃光発光装置16の内部構成を示している。リモート閃光発光装置16は、操作部24、リモート受信回路26、リモート用マイコン28、リモート閃光発光回路30、電池36、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40、LCD(Liquid Crystal Display)、LCDドライバ42、ダイオードD1、D2を有している。
リモート受信回路26は、フォトダイオードD3、抵抗R1、R2、R3、コンパレータ44、MOS−Tr(Metal Oxide Semiconductor Transistor)を有している。
【0027】
フォトダイオードD3は、接続ノードND1及び電圧線PS1に接続される。フォトダイオードD3は、マスタ閃光発光回路22の放電管Xeから切替信号SS及び制御信号CSを受光し、受光した光量に比例した電流を発生させる。
抵抗R1の一端及び他端は、接続ノードND1、ND2にそれぞれ接続される。抵抗R2の一端及び他端は、電圧線PS1及び接続ノードND3にそれぞれ接続される。抵抗R3の一端及び他端は、接続ノードND3、ND4にそれぞれ接続される。
【0028】
コンパレータ44の反転入力(−)端子及び非反転入力(+)端子は、接続ノードND1及び接続ノードND3にそれぞれ接続される。コンパレータ44は、接続ノードND1、ND2間の電圧値V1と、接続ノードND3、ND4間の電圧値V2とを比較する。
コンパレータ44は、フォトダイオードD3に発生した電流により電圧値V1が電圧値V2を超えたことに応答して、デジタル信号”L”を切替情報SI及び制御情報CIとしてリモート用マイコン28に出力する。
【0029】
MOS−Trのドレイン端子、ソース端子及びゲート端子は、接続ノードND2、接地線GND及びリモート用マイコン28の出力ポートにそれぞれ接続される。例えば、MOS−Trは、接続ノードND2と接地線GNDとの接続を許可する信号(以下、接続許可信号CE)をリモート用マイコン28の出力ポートから受け取る。
MOS−Trは、接続許可信号CEの高レベル(”H”)に応答して、接続ノードND2と接地線GNDとを接続する。この例では、フォトダイオードD3に切替信号SS及び制御信号CSを受信させるために、接続許可信号CEは常時高レベル(”H”)に設定される。
【0030】
リモート用マイコン28は、発振回路32、デコーダ46及びプロセッサ48等を有している。デコーダ46は、コンパレータ44から受け取ったデジタル信号”L”を切替情報SI及び制御情報CIとして解読する。
デコーダ46は、受け取ったデジタル信号”L”から各時間(図2の時間T1、T2、T3)を算出し、算出した各時間に基づいて制御情報CI(識別子DI、発光量LQ及び発光回数LN)として解読する。デコーダ46は、解読した切替情報SI及び制御情報CIを発振回路32及びプロセッサ48にそれぞれ出力する。
【0031】
発振回路32は、デコーダ46から受け取った切替情報SIに応答して、クロック信号CLK2の生成を開始する。発振回路32は、クロック信号CLK2の生成開始後から時間Twが経過した時、各回路(DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及び発光制御回路50)にクロック信号CLK2を出力する。時間Twは、クロック信号CLK2の生成開始後からクロック信号CLK2が定常値(例えば、10MHz)に達するまでの時間を指す。
【0032】
プロセッサ48は、デコーダ46から受け取った制御情報CIを各回路に出力する。プロセッサ48は、リモート用マイコン28の出力ポートを介して各回路(DC/DCコンバータ38、昇圧回路40、LCDドライバ42及び発光制御回路50)に後述する許可信号を出力する。
リモート閃光発光回路30は、発光制御回路50、高圧制御回路52及び放電管Xeを有している。発光制御回路50は、プロセッサ48から受け取った制御情報CIを、発振回路32から受け取ったクロック信号CLK2のタイミングで読み出す。発光制御回路50は、読み出した制御情報CIに基づいて、高圧制御回路52を介して放電管Xeを制御する。高圧制御回路48は、図示しないコンデンサや変圧器等を有している。
【0033】
高圧制御回路48は、放電管Xeを閃光発光させるために、コンデンサ及び変圧器を用いて電圧を発生させる。高圧制御回路48は、発生させた電圧を放電管Xeのトリガ端子に加えることで、放電管Xe内のキセノンガスを励起する。この励起により、放電管Xeは閃光発光する。
発光制御回路50の入力端子は、リモート用マイコン28の出力ポートに接続される。発光制御回路50は、高圧制御回路52の制御を許可する信号(以下、発光許可信号LE)をリモート用マイコン28の出力ポートから受け取る。発光制御回路50は、発光許可信号LEの高レベル(”H”)に応答して、高圧制御回路52の制御を開始する。
【0034】
電池36は、充電可能な電池である。電池36は、端子電圧の値が所定の電圧値(例えば、3.0V)になるまで充電される。電池36の陰極端子は、接地線GNDに接続される。電池36の陽極端子は、各回路に直流電圧(例えば、3.0V)を出力するために、DC/DCコンバータ38、ダイオードD1及び昇圧回路40に接続される。電池36により出力された直流電圧(例えば、3.0V)は、ダイオードD1及び電圧線PS1を介して各回路の電源端子に入力される。
【0035】
DC/DCコンバータ38は、プロセッサ48から受け取った制御情報CIを、発振回路32から受け取ったクロック信号CLK2のタイミングで読み出す。DC/DCコンバータ38は、読み出した制御情報CIに基づいて、電池36から入力した直流電圧(例えば、3.0V)を所定の直流電圧(例えば、5.0V)に昇圧し、昇圧した直流電圧(例えば、5.0V)をダイオードD2及び電圧線PS1を介して各回路の電源端子に入力する。
【0036】
DC/DCコンバータ38の入力端子は、リモート用マイコン28の出力ポートに接続される。例えば、DC/DCコンバータ38は、電池36から入力した直流電圧(例えば、3.0V)の昇圧を許可する信号(以下、昇圧許可信号SE)をリモート用マイコン28の出力ポートから受け取る。DC/DCコンバータ38は、昇圧許可信号SEの高レベル(”H”)に応答して、直流電圧(例えば、3.0V)の昇圧を開始する。
【0037】
昇圧回路40は、プロセッサ48から受け取った制御情報CIを、発振回路32から受け取ったクロック信号CLK2のタイミングで読み出す。昇圧回路40は、読み出した制御情報CIに基づいて、電池36から入力した直流電圧(例えば、3.0V)を所定の電圧値(例えば、300V)に昇圧し、昇圧した直流電圧(例えば、300V)を電圧線PS2を介して高圧制御回路52及び放電管Xeに出力する。
【0038】
昇圧回路40の入力端子は、リモート用マイコン28の出力ポートに接続される。昇圧回路40は、電池36から入力した直流電圧(例えば、3.0V)の昇圧を許可する信号(以下、昇圧許可信号PE)をリモート用マイコン28の出力ポートから受け取る。昇圧回路40は、昇圧許可信号PEの高レベル(”H”)に応答して、電池36から入力した直流電圧(例えば、3.0V)の昇圧を開始する。
【0039】
LCDは、LCDドライバ42を介してリモート用マイコン26により制御される。LCDは、時刻や動作モード(スタンバイモードSTB及び通常動作モードORD)等を表示する。LCDドライバ42には、LCDドライバ42にクロック信号CLK3(例えば、32KHz)を出力する水晶発振子54が接続されている。
LCDドライバ42は、プロセッサ48から受け取った制御情報CIを、水晶発振子54から受け取ったクロック信号CLK3(例えば、32KHz)のタイミングで読み出す。LCDドライバ42は、読み出した制御情報CIに基づいて、LCDに時刻や動作モード等を表示させる。
【0040】
LCDドライバ42の入力端子は、リモート用マイコン28の出力ポートに接続される。LCDドライバ42は、LCDの制御を許可する信号(以下、表示許可信号IE)をリモート用マイコン28の出力ポートから受け取る。LCDドライバ42は、表示許可信号IEの高レベル(”H”)に応答して、LCDの制御を開始する。
図4は、ワイヤレスシステム100の閃光発光動作を示している。この例では、初期状態(時刻0)において、リモート用マイコン28の動作モードはスタンバイモードSTBに設定される。
【0041】
時刻Taにおいて、リモート用マイコン28の動作モードをスタンバイモードSTBから通常動作モードORDに切り替えるために、マスタ閃光発光回路22は、放電管Xeの閃光発光により切替信号SSをリモート受信装置16に出力する。
時刻Tbにおいて、マスタ閃光発光回路22から出力された閃光発光は、フォトダイオードD3により切替信号SSとして受光される。フォトダイオードD3は、受光した光量に比例した電流を発生させる。この時、コンパレータ44は、電圧値V1が電圧値V2を超えたことに応答して、デジタル信号”L”を切替情報SIとして発振回路32に出力する。発振回路32は、コンパレータ44からデコーダ46を介して受け取った切替情報SIに応答して、クロック信号CLK2の生成を開始する(すなわち、リモート用マイコン28の動作モードがスタンバイモードSTBから通常動作モードORDに切り替わる)。
【0042】
時刻Tc(切替信号SSの出力(時刻Ta)から時間Twが経過した時)において、マスタ閃光発光回路22は、放電管Xeの閃光発光により制御信号CSのリモート受信装置16への出力を開始する。
時刻Td(切替信号SSの受光及びクロック信号CLK2の生成開始(時刻Tb)から時間Twが経過した時)において、マスタ閃光発光回路22から出力された閃光発光は、フォトダイオードD3により制御信号CSとして受光される。コンパレータ44は、フォトダイオードD3に発生した電流により電圧値V1が電圧値V2を超えたことに応答して、デジタル信号”L”を制御情報CIとしてプロセッサ48に出力する。発振回路32は、クロック信号CLK2が安定したことに応答して、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38及び昇圧回路40)へのクロック信号CLK2の出力を開始する。この時、プロセッサ48は、各許可信号(発光許可信号LE、昇圧許可信号SE、昇圧許可信号PE及び表示許可信号IE)のレベルを”H”に設定し、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及びLCDドライバ42)への制御情報CIの出力を開始する。そして、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及びLCDドライバ42)は、出力された制御情報CIの読み出しを開始する。このように、切替信号SSの受光後、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及びLCDドライバ42)により制御信号CIが読み出されるまでの時間Twは、クロック信号CLK2の生成開始からクロック信号CLK2が安定するまでの時間Twに等しい。このため、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及びLCDドライバ42)は、プロセッサ48から受け取った制御情報CIを、安定したクロック信号CLK2を用いて読み出すことができる。この結果、各回路が誤動作することを防止できる。
【0043】
時刻Teにおいて、コンパレータ44は、制御情報CIの出力を終了する。発光制御回路50は、読み出した制御情報CI(発光量LQや発光回数LN等)に基づいて、所定の発光量や発光回数等で放電管Xeを閃光発光させる。
時刻Tf(ダイオードD3による切替信号SSの受光後(時刻Tb)から時間Tgが経過するまでに切替信号SS及び次の制御信号CSのいずれかが受光されない時)において、発振回路32は、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38及び昇圧回路40)に出力するクロック信号CLK2の生成を停止する(すなわち、リモート用マイコン28の動作モードが通常動作モードORDからスタンバイモードSTBに再度切り替わる)。この時、プロセッサ48は、各許可信号(発光許可信号LE、昇圧許可信号SE、昇圧許可信号PE及び表示許可信号IE)のレベルを”L”に設定し、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及びLCDドライバ42)への制御情報CIの出力を停止する。
【0044】
以上、この実施形態では、通常動作モードORD時(時刻Tb〜時刻Tf)のみで、発振回路32によるクロック信号CLK2の生成や、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及びLCDドライバ42)によるクロック信号CLK2の読み出しによって、電池36から供給される電力が消費される。このため、リモート閃光発光回路22を閃光発光させる必要のないスタンバイモードSTB時(時刻0〜時刻Tb、時刻Tf以降)に、電池36から供給される電力が消費されることを防止できる。この結果、電池36の消耗を抑えることができる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、時刻Tfにおいて、発振回路32は、各回路に出力するクロック信号CLK2の生成を停止し、プロセッサ48は、各許可信号のレベルを”L”に設定する例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。図5に示すように、時刻Te(ダイオードD3による切替信号SSの受光後(時刻Tb)から時間Thが経過するまでに制御信号CSが受光されない時)において、発振回路32は、各回路に出力するクロック信号CLK2の生成を停止し、プロセッサ48は、各許可信号のレベルを”L”に設定するものでもよい。これにより、時刻Tb〜時刻Te(通常動作モードORD時)のみで、発振回路32によるクロック信号CLK2の生成や、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及びLCDドライバ42)による制御情報CIの読み出し等によって、電池36から供給される電力が消費される。このため、スタンバイモードSTB時(時刻0〜時刻Tb、時刻Te以降)に、電池36から供給される電力が消費されることを防止できる。この結果、電池36の消耗を抑えることができる。
【0046】
また、図6に示すように、時刻Te(ダイオードD3によるチャンネル指定部CAの受光後(時刻Td)から時間Tiが経過するまでに制御情報部CCが受光されない時)において、発振回路32は、各回路に出力するクロック信号CLK2の生成を停止し、プロセッサ48は、各許可信号のレベルを”L”に設定し、各回路への制御情報CIの出力を停止するものでもよい。これにより、時刻Tb〜時刻Te(通常動作モードORD時)のみで、発振回路32によるクロック信号CLK2の生成や、各回路(発光制御回路50、DC/DCコンバータ38、昇圧回路40及びLCDドライバ42)による制御情報CIの読み出し等によって、電池36から供給される電力が消費される。このため、スタンバイモードSTB時(時刻0〜時刻Tb、時刻Te以降)に、電池36から供給される電力が消費されることを防止できる。この結果、電池36の消耗を抑えることができる。
【0047】
上述した実施形態では、LCDに時刻や動作モード等が表示される期間は、通常動作モードORD時(時刻Tb〜時刻Tf)である例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。LCDに時刻や動作モード等が表示される期間は、スタンバイモードSTB時(時刻0〜時刻Tb、時刻Tf以降)及び通常動作モードORD時(時刻Tb〜時刻Tf)の両方でもよい。具体的には、リモート用マイコン28は、クロック信号CLK3(例えば、32KHz)を生成する発振回路と、液晶ドライバとを有しているものでもよい。リモート用マイコン28は、スタンバイモードSTB時(時刻0〜時刻Tb、時刻Te以降)に、クロック信号CLK3のタイミングで時刻や動作モード等を示す情報を読み出し、読み出した時刻や動作モード等を液晶ドライバを介してLCDに表示させるものでもよい。これにより、撮影者は、スタンバイモードSTB時(時刻0〜時刻Tb、時刻Te以降)でも時刻や動作モード等を視認できる。
【0048】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態及びその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、送信装置と、送信装置から空間的に離れた位置に配置された受信装置とで構成されるワイヤレスシステム及びワイヤレスシステムの動作方法に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のクランプ装置及び撮像装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】切替信号及び制御信号の詳細を示す波形図である。
【図3】リモート閃光発光装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】ワイヤレスシステムの閃光発光動作を示すタイミングチャートである。
【図5】ワイヤレスシステムの閃光発光動作を示すタイミングチャートである。
【図6】ワイヤレスシステムの閃光発光動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0051】
10 カメラ本体、12 ホットシュー、14 マスタ閃光発光装置、16 リモート閃光発光装置、18、24 操作部、20 マスタ用マイクロコンピュータ、22 マスタ閃光発光回路、26 リモート受信回路、28 リモート用マイクロコンピュータ、30 リモート閃光発光回路、32 発振回路、34、54 水晶発振子、36 電池、38 DC/DCコンバータ、40 昇圧回路、42 LCDドライバ、44 コンパレータ、46 デコーダ、48 プロセッサ、50 発光制御回路、52 高圧制御回路、100 ワイヤレスシステム、D1、D2、D3、D4 ダイオード、GND 接地線、ND1、ND2、ND3、ND4 接続ノード、R1、R2、R3、R4 抵抗、PS1、PS2 電圧線、Xe 放電管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備情報及び主情報を光信号として出力する送信部を有する送信装置と、
前記予備情報及び前記主情報を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記主情報に応答して動作する動作部とを有し、前記受信部により受信された前記予備情報に応答して前記動作部を低消費電力状態から動作可能な状態に設定する受信装置とを備えることを特徴とするワイヤレスシステム。
【請求項2】
請求項1記載のワイヤレスシステムにおいて、
前記予備情報及び前記主情報は、前記受信装置の前記受信部により前記予備情報が受信された後から、前記動作部が前記動作可能な状態に設定されるまでの所定時間間隔を開けて前記送信部から順次に出力されることを特徴とするワイヤレスシステム。
【請求項3】
請求項1記載のワイヤレスシステムにおいて、
前記受信装置は、前記予備情報の受信後から所定時間が経過するまでに、前記受信部により前記主情報が受信されない時、前記動作部を前記低電力状態に戻すことを特徴とするワイヤレスシステム。
【請求項4】
請求項1記載のワイヤレスシステムにおいて、
前記受信装置は、前記主情報の受信後から所定時間が経過するまでに、前記受信部により前記予備情報及び次の主情報のいずれかが受信されない時、前記動作部を前記低消費電力状態に設定することを特徴とするワイヤレスシステム。
【請求項5】
請求項1記載のワイヤレスシステムにおいて、
前記送信装置の前記送信部から出力される前記主情報は、所定時間間隔を開けて前記送信部から出力される複数の副情報で構成され、
前記受信装置は、前記各副情報を受信した後から所定時間が経過するまでに、前記受信部により後続の副情報が受信されない時、前記動作部を前記低消費電力状態に設定することを特徴とするワイヤレスシステム。
【請求項6】
請求項1記載のワイヤレスシステムにおいて、
前記受信装置の前記動作部は、被写体に照射光を照射するために閃光発光する閃光発光部であり、
前記送信装置の前記送信部から出力される前記予備情報及び前記主情報は、前記閃光発光部を低消費電力状態から閃光発光可能な状態に設定する設定情報及び、前記閃光発光部の発光量を表す発光量情報にそれぞれ対応することを特徴とするワイヤレスシステム。
【請求項7】
請求項1記載のワイヤレスシステムにおいて、
前記受信装置は、クロック信号を生成する信号生成部を有するマイクロコンピュータを備え、
前記受信装置の前記マイクロコンピュータは、前記動作部が動作可能な状態に設定された時、信号生成部により生成されたクロック信号を前記動作部に出力し、前記動作部が低消費電力状態に設定された時、前記信号生成部に前記クロック信号の生成を停止させることを特徴とするワイヤレスシステム。
【請求項8】
送信部を有する送信装置と、受信部及び動作部を有する受信装置とを備えたワイヤレスシステムの動作方法であって、
送信部は予備情報及び主情報を光信号として出力し、
受信部は前記予備情報及び前記主情報を受信し、
動作部は前記受信部により受信された前記主情報に応答して動作し、
前記受信部により受信された前記予備情報に応答して前記動作部を低消費電力状態から動作可能な状態に設定することを特徴とするワイヤレスシステムの動作方法。
【請求項9】
請求項8記載のワイヤレスシステムの動作方法において、
前記予備情報及び前記主情報は、前記受信部により前記予備情報が受信された後から、前記動作部が前記動作可能な状態に設定されるまでの所定時間間隔を開けて前記送信部から順次に出力されることを特徴とするワイヤレスシステムの動作方法。
【請求項10】
請求項8記載のワイヤレスシステムの動作方法において、
前記予備情報の受信後から所定時間が経過するまでに、前記受信部により前記主情報が受信されない時、前記動作部を前記低電力状態に戻すことを特徴とするワイヤレスシステムの動作方法。
【請求項11】
請求項8記載のワイヤレスシステムの動作方法において、
前記主情報の受信後から所定時間が経過するまでに、前記受信部により前記予備情報及び次の主情報のいずれかが受信されない時、前記動作部を前記低消費電力状態に設定することを特徴とするワイヤレスシステムの動作方法。
【請求項12】
請求項8記載のワイヤレスシステムの動作方法において、
前記送信部から出力される前記主情報は、所定時間間隔を開けて前記送信部から出力される複数の副情報で構成され、
前記各副情報を受信した後から所定時間が経過するまでに、前記受信部により後続の副情報が受信されない時、前記動作部を前記低消費電力状態に設定することを特徴とするワイヤレスシステムの動作方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−345168(P2006−345168A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168241(P2005−168241)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】