説明

ワークステーション

【課題】レールを有するパネル同士を隣接させた際にレール間に生じる隙間に起因して外観が損なわれることを防止する新たな対策を講じる。
【解決手段】正面側及び裏面側にレール21、31、41を有するデスクトップパネル2、サイドパネル3、延長パネル4を備え、パネル2,3同士、パネル3,4同士を隣接させた状態で両パネル2,3のレール21、31間、パネル3,4のレール31,41間に隙間Sが生じる構造のものである。そして、前記隙間Sを隠蔽するカバー部材Cが、サイドパネル3のレール31内に嵌め合わされた状態でレール31に沿ってスライド可能に構成することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールを有するパネル同士の連結を見栄え良く行うことを可能にしたワークステーションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークステーションには、ワークエリアを区画するためのパネルが、面一に隣接し、或いはT字状に隣接させて連結されることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1に示されるものは、パネル同士をT字連結するにあたり、各パネルに、開口縁に内向きの突部を設けた係合溝を設け、各係合溝に、突部の背面に係合しうる係合部を有する締付体を嵌合し、かつ連結材に形成した互いに所要の角度をなす2つのパネル当接面を各パネルの表面に当接し、各締付体とパネル当接面とにより各パネルの係合溝の内向き突部を挟んで、各締付体を締着手段により連結材に締着するようにした構造が示されている。
【0004】
このような連結装置により、パネルの連結位置を任意の位置に変更することが可能となり、レイアウトの自由度を向上することができるとともに、パネルを連結しない場合においても、ねじ孔や係合孔等が外部に露出することがなく、体裁よく収めることを可能にしている。
【特許文献1】特開2006−138179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、かかる構造においては、パネル端部が突き当てられた側のパネルの表裏の係合溝が溝方向に開口するため、この部位から光漏れが生じ、またパネル端面の構造が露出して、見栄えが損なわれるという不都合を生じる。
【0006】
また、パネル同士の入り隅部に連結具が当てがわれる構造も、ワークステーションの外観を毀損する大きな要因となるものである。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、上記のような係合溝のごときレールがパネルに存する場合に、パネル同士を隣接させた際にレール間に生じる隙間に起因して外観が損なわれることを防止する新たな対策を講じ、加えて、パネル同士を連結する連結構造においても、外観を損ねずに簡単、適切な連結を可能にする構造を付与し、このような構造にも上記の隙間対策を活用できるようにしたワークステーションを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のワークステーションは、少なくとも正面側及び裏面側にレールを有するパネルを備え、パネル同士を隣接させた状態で両パネルのレール間に隙間が生じる構造のワークステーションにおいて、前記隙間を隠蔽するカバー部材が、レール内に嵌め合わされた状態でレールに沿ってスライド可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成すると、パネル同士の隣接部分に生じるレール間の隙間がカバー部材によって隠蔽されるので、光漏れや隣接部分の連結構造等の露出によって見栄えが損なわれることを有効に防止することができる。しかも、カバー部材はレール内に嵌め合わせた状態でスライド可能に構成されるため、操作し易い箇所で嵌め合わせ、レールに沿って必要な場所に移動させるだけで、レール上の適宜箇所を適切に隠蔽することができる。勿論、不要となった場所からの退避等も容易となる。
【0011】
隙間遮蔽のための具体的な態様としては、表裏のレールがパネルの端部側に開放され、カバー部材は一部をレールに係り合わせたまま他の一部を端部から突出可能とされていることが望ましい。
【0012】
表裏のレールがパネル端面に設けたレールに連続している場合には、カバー部材は一部をレールに係り合わせたままパネル端面側のレールに回り込むことができるように構成されていることがより望ましい。
【0013】
この場合に、カバー部材をパネル周囲の適切な位置に移動させるための自在性を付与するためには、表裏のレールがパネル端面のレールを介して繋がっていることが好都合である。
【0014】
上記のようなレールと関連づけて、パネル同士の簡単、適切な連結を実現するためには、パネル端面における表裏のレールと同じ高さ位置に、押し出すと突出して隣接するパネルのレールに係り合うパネル連結具が格納されていることが有効である。
【0015】
この場合、パネル同士の面一な横連結を実現するためには、パネル端面にレールが設けられ、パネル連結具は格納状態でレールの溝底と同一面ないしそれ以上に没入するように構成されていることが望ましい。
【0016】
この場合に格納したパネル連結具を適切に隠蔽するためには、没入したパネル連結具の前方にカバー部材を収める空間が形成されることが効果的である。
【0017】
パネル連結具とレールとの間の特に好ましい係り合いの態様としては、レールが開口巾を狭める突出部を開口縁に備えたものであり、パネル連結具は先端にプロペラナットを具備していて、プロペラナットをパネル端面から相手方のレールの開口内にまで押し出し、その位置で回転させることによって、パネル端面とプロペラナットの間に突出部を挟持した状態でパネル同士を連結するように構成されているものが挙げられる。
【0018】
パネルの機能を高めるためには、レールが、部品取付用のレールを兼ねていることが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上説明した構成であるから、パネル同士を隣接させた際に生じるレール間の隙間をカバー部材によって簡単、適切に遮蔽することができ、これにより光漏れや連結構造等の露出を防止して、パネルの連結部分の外観を有効に向上させることが可能となる。そして、遮蔽を要する箇所がカバー部材の取り付けの難しい場所等であっても、カバー部材をレールに沿ってスライドさせることで、作業の便や取り付けの的確性を有効に向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示す本実施形態のワークステーションは、天板1の後縁側にデスクトップパネル2を配置し、そのデスクトップパネル2の前面側にサイドパネル3を位置づけて構成されており、サイドパネル3の前方に更に延長パネル4を着脱可能に取り付け得るようにしている。
【0022】
具体的に説明すると、このワークステーションの基幹となる構成は、図2に示すように、左右の端部脚5,5の後端側の内面間をデスク構造体6によって連結した構成からなる。デスク構造体6は、上縁側の近傍および下縁側の近傍に幅方向に沿って延びるレール61,62を有したパネル状のもので、これらのレール61,62は、デスク構造体6の裏面のみならず、天板1が載置される側の正面側にも同様に存している。このデスク構造体6は、天板1の下肢空間を遮蔽する幕板として機能するもので、上下のレール61,62を利用して図1に示す取付部材7aを取り付け、この取付部材7aの前方に逆L字形をなすブラケット7を取り付け可能としているほか、図2に示すように背面側に配線パネル100を取り付けること等にも利用可能とされている。これらのレール61、62は、図3に示すように、開口巾を狭める方向の突出部61a、62aを開口縁に有しており、溝底側の開口巾が突出部61a、62a間の開口巾よりも拡開した形態をなしている。
【0023】
図1及び図2に示すデスクトップパネル2は、前記デスク構造体6の上端に積み上げるように載置されるもので、デスクトップパネル2の表裏には、上縁近傍に棚やタスクライト等のオプション類を取り付けるための部品取付用のレール21が幅方向に沿って設けられている。このレール21も、図3に示したレール61,62と同様、開口縁に開口巾を狭める方向の突出部21aが設けてある。
【0024】
天板1は、一対の端部脚5の間に架設され、中間部をブラケット7に支持させて配置されるもので、図4に示すように、前縁1a近傍の下面に天板幅方向に沿って多数のスリット11を所定ピッチで開口させている。このスリット11は、図1に示したブラケット7のステー71を取り付けたり、図示しないセンター引出を取り付ける場合等に利用されるものである。複数の天板を使用する場合には、天板の一端部を端部脚5に支持させ他端部を図示しない共通の中間脚に支持させて配置するか、或いは、両端部を図示しない中間脚に支持させて配置するか、何れかの態様が採られる。この場合の中間脚は、アジャスタを介して床に接地し、ステーにおいて隣接する左右の天板の側縁を同時に支持する逆L字タイプのものが用いられる。そして、この中間脚を取り付ける場合にも、前記のレール61,62が利用される。
【0025】
図1及び図2に示すように、天板1の後縁1bとデスク構造体6の前面との間(したがって天板1の後縁1bとデスクトップパネル2の前面2aとの間)には、所定の隙間δが設けられ、この隙間δが配線類の落とし込みを可能にする配線導出入空間として利用可能とされている。この配線導出入空間には、前記デスク構造体6のレール61等を利用して、予め予定した範囲で図示しない配線カバーが着脱可能に取り付けられるようにしている。
【0026】
一方、サイドパネル3は、天板1の奥行き寸法に略合致する奥行き寸法を有し、後端面3aを前記デスクトップ2の前面2aに突き当てて配置されるもので、パネル厚み方向から見て正面側及び裏面側における上縁側の近傍に幅方向に沿って延びるレール31を有している。これら表裏のレール31は、図5に示すようにサイドパネル3の後端面3a及び前端面3b側に開放されており、これらのパネル端面3a、3bにもレール32が設けられていて、表裏のレール31はパネル端面3a、3bのレール32を介して繋がっている。このサイドパネル3のレール31,32にも、前記レール61,62と同様、開口巾を狭める方向の突出部31a、32aが開口縁に設けてある。サイドパネル3の後下部には配線導出入空間との兼ね合いで切欠部3xが設けてある。
【0027】
そして、このサイドパネル3のうち、後上部とデスクトップパネル2の上縁部との間を図1及び図6(a)に示す第1のサイドパネル連結具Aによって連結し、後下部と天板1との間を図5に示す第2のサイドパネル連結具Bによって連結するようにしている。
【0028】
第1のサイドパネル連結具Aは、図6(a)および図7(a)に示すように、サイドパネル3の後端面3aにおけるレール32と同じ高さ位置、更に言えばレール32内に配置されたもので、ねじ軸a1の先端にプロペラナットa2を具備していて、図7(b)→(a)に示すようにプロペラナットa2をパネル端面3aから押し出すことにより突出させて、T字状に隣接するデスクトップパネル2のレール21の開口内に挿入させ得るようにしている。そして、その位置で回転させることによって、パネル端面3aとプロペラナットa2との間に突出部21aを挟持した状態でパネル3,2同士を引き付けて連結するようにしている。プロペラナットa2には、法線方向mに対して角度をもった方向nに沿ってねじ孔a3が設けてあり、サイドパネル3の上縁の上方から斜め方向にねじ軸a1を差し込んでプロペラナットa1に螺合させ、締め付けることができる。本実施形態において、これらのねじ軸a1、プロペラナットa2等は、サイドパネル3のコーナー部に嵌め込んだコーナーブロックCB(図6及び図12参照)内に収容されている。
【0029】
なお、このようなコーナーブロックCBは、デスク構造体6にも用いられている。デスク構造体6は、図12に概略的に示すように、左右の縦フレーム60aと上フレーム60bとを有し、それらのコーナー部に前述したコーナーブロックCBを配置しているもので、このコーナーブロックCBには、紙面垂直方向に対向させた一対の立壁に上下連結用の第1の開口窓cb1を設け、またこの立壁と直交する底壁に上下方向に貫通する第2の開口窓cb2を設けている。このデスク構造体6の上に載せ置かれる前述したデスクトップパネル2も、基本的に同様の縦フレーム20aおよび上フレーム20bを有し、上側のコーナー部にコーナーブロックCBを配置している。そして、上側のコーナーブロックCBの第2の開口窓cb2に連結軸crを挿し通すとともに、この連結軸crの下端に前記プロペラナットa2と同様のプロペラナットprを取り付けておき、デスクトップパネル2をデスク構造体6上に載せ置いた後、連結軸crの上端側にボルトvを螺合させて締め付けることによって、プロペラナットprを回転させて下側のコーナーブロックCBの第1の開口窓cb1にその先端を進入、係合させ、更にボルトを締め付けることによって、ボルトvとプロペラナットprの間を引き寄せて、デスクトップパネル2とデスク構造体6との間を連結するようにしている。なお、連結軸crは両端にネジ孔を有し、プロペラナットprはボルトvと同様、連結軸crにねじ込んで取り付けるようにしてある。前述した上フレーム20b、60bはアルミ押し出し製のものであって、レール21、61等はその押し出し時に作り込まれている。縦フレーム20a、60aには鉄板やアルミ押し出しによる補強材(図示省略)が適宜内設される。デスク構造体6の下端側においては、左右の縦フレーム60aの間にアルミ押し出し製の下フレームが設けられ、その下フレームに前述したレール62が作り込まれている。この下フレームと前記縦フレーム60aとのコーナー部には前述したコーナーブロックCBにアジャスタ取付部を増設したものが配置され、そのアジャスタ増設部に図示しないアジャスタが取り付けられている。
【0030】
デスク構造体6の上に載せ置かれるパネルは上記のデスクトップパネル2に限らず、アジャスタを取り付けていない状態の他のデスク構造体6であっても勿論構わない。
【0031】
図5に示す第2のサイドパネル連結具Bは、サイドパネル3の後下部に取り付けた天板幅方向に延びるコ字形のブラケットb1と、このブラケットb1内に配置された可動板b2と、前記ブラケットb1の下側水平部b11に螺合するねじ部b3とを備えたクランプ構造をなすもので、ブラケットb1の起立部b12を天板1の後縁1bに当てがった状態で、コ字形のブラケットb1の上側水平部b13と可動板b2との間に天板1を厚み方向に挟み込み、ねじ部b3を回転させることによって、可動板2bを天板1の下面に密着させ、上側水平部b13との間に挟持するようにしたものである。そして、その上水平部b13に、天板1の奥行き方向に延びて上向きに開口するチャネル部b4を一体的に設け、そのチャネル部b4内にサイドパネル3の下面3c側を緊密に差し込むようにしている。
【0032】
したがって、図1に示す取付状態で、サイドパネル3は、後上部が第1のサイドパネル連結具Aによってデスクトップパネル2に引き付けられるように連結され、後下部が第2のサイドパネル連結具Bによって天板1に幅方向の振れを規制され且つ天板1から突き上げ反力を受けた状態で上下方向にも固定されることとなる。さらに、サイドパネル3の前下部も前記チャネル部b4に差し込まれているため、幅方向の振れ止めがなされ、サイドパネル3の前端側に上方への不自然な持ち上げ力が作用しない限り、支障のない使用状態が得られるものとなっている。なお、サイドパネル3の前下部が天板1に対して浮き上がることがあっても、下面3c側がチャネル部b4内に収まっていることで、多少の隙間は適切に隠蔽される。
【0033】
このような第1のサイドパネル連結具Aは、図6(b)に示すように、サイドパネル3の前端面3b側にも格納してある。図6(a)および図7(a)において図において符号a4で示すものはねじ軸a1の頭部を斜めに当てるための座板である。この座板a4は、パネル3内に設けた連結具収容空間内にあって拘束されておらず、図7(b)に示すようにプロペラナットa2及びねじ軸a1とともに自身のレール32の溝底と同一面ないしそれ以上に没入することができるように構成されている。これは、後述するカバー部材Cを収める空間をレール32内に確保するために有効となるものである。
【0034】
ところで、上記のようにレール31,21を有するパネル3,2同士をT字状に隣接させると、レール31,31間に図8(a)に示すような隙間Sが生じ、その隙間Sは、サイドパネル3の端面3aが突き当てられた側のデスクトップパネル2の表裏のレール21の溝方向に開口するため、この部位から図中矢印で示すように光漏れが生じるとともに、パネル端面3aの構造が側方に露出して、連結部分の見栄えが損なわれる。そこで、同図(b)に示すように、前記隙間Sを隠蔽するカバー部材Cが、レール31内に嵌め合わされた状態でレール31に沿ってスライド可能に取り付けられている。
【0035】
このカバー部材Cは、樹脂成形により構成されたもので、図8に示すように、上下寸法d1が溝の突出部31a、31a間の開口寸法d2よりも若干小さく、図9に示すように、左右寸法d3が表裏のレール31の溝底間の距離d4にほぼ等しい面板部を有する平面視コ字形のカバー本体c1(斜線部分)と、このカバー本体c1に対して図10に示す接続部c2において一部がつながった状態で上下に対向する対向壁c3とを有し、対向壁c3のうち前記接続部c2から変位した位置に上下に向けて横断面ほぼ1/4円状の支軸c4を突設している。この支軸c4は互いに相寄る方向に弾性変位可能とされ、一時的に弾性変形しつつレール31の突出部31a、31a間の開口を介して当該レール31の内部に収容され、その後に復元してレール31の上壁と底壁との間に起立状態で配置されるもので、これによりカバー部材Cがレール31に沿ってスライド可能に係り合うようになっている。
【0036】
表裏のレール31は、図8及び図9に示すようにサイドパネル3の端面3a、3b側に開放されているため、カバー部材Cの一部をレール31に係り合わせたまま図8の実線位置から想像線の位置まで移動させることにより当該カバー部材Cをパネル後端面3aから突出させて相手方のレール21内に侵入させることができ、また、図9に示すように他の一部を前端面3bから突出させることにより、図中想像線で示す延長パネル4との間に跨って配置することも可能とされている。また、表裏のレール31はパネル端面3a、3bに設けたレール32に連続しているため、カバー部材Cは一部をレール31から32に必要に応じて係り合い部を移しながら図9に矢印で示すようにパネル端面3b(3a)側のレール32に回り込むことや、更に反対側のレール31に回り込むことも可能とされている。
【0037】
延長パネル4は、図1及び図5に示すように、上縁近傍に前記サイドパネル3の表裏のレール31と同じ構造の表裏のレール41及び前記サイドパネル3の端面のレール32と同じ構造の端面のレール42を備え、下端側にアジャスタ43を備えた大型のもので、後端面4aをサイドパネル3の前端面3bに突き当てて配置され、上端をサイドパネル3及びデスクトップパネル2の上端にほぼ合致する高さに揃えて配置され得るようにしている。その際、延長パネル4の後上部とサイドパネル3の前上部との間を第1の延長パネル連結具A´によって連結し、延長パネル4の後中間部ないし後下部とサイドパネル3との間を第2の延長パネル連結具9によって連結するようにしており、第2の延長パネル連結具9には、サイドパネル3の前下部を天板1の前縁1aに同時に係合させる役割を担わせている。なお、この延長パネル4は、このワークステーションにおいて必要に応じて用いられるローパーティションをそのまま用いたものである。
【0038】
第1の延長パネル連結具A´は、延長パネル4の後端面4aにおけるレール42と同じ高さ位置に配置されたもので、前述した第1のサイドパネル連結具Aと同様、ねじ軸a1の先端にプロペラナットa2を具備したものが延長パネル4内に格納されており、プロペラナットa2をパネル後端面4aから押し出すと突出してサイドパネル3の前端面3bのレール32の開口内に挿入され、その位置で回転させることによって、延長パネル4の後端面4aとプロペラナットa2の間にレール32の突出部32aを挟持した状態でパネル4,3同士を連結することができるものである。この場合も、ねじ軸a1はプロペラナットa2の法線方向に対して角度をもってねじ込むようにしてあるため、延長パネル4の上縁の上方から斜めにねじ軸a1を挿入して固定作業を行うことができる。図5においては省略しているが、この第1の延長パネル連結具A´にも前記と同様に可動の座板a4が設けてあるため、この第1の延長パネル連結具A´を図7(b)のように退避させ、サイドパネル3の前上部側にも格納している第1のサイドパネル連結具Aを用いることもできる。
【0039】
第2の延長パネル連結具9は、図1及び図4に示すように、一端部をサイドパネル3に固定し他端部を延長パネル4の後端面に沿って延在させたパネル間連結部9aと、このパネル間連結部9aに着脱可能に係合され他の一部において天板1の前縁1aの近傍と係り合い可能な支持腕部9bとを具備する。パネル間連結部9aは、サイドパネル3の前縁近傍の下面に密着状態で連結される板状のサイドパネル取付片91と、延長パネル4の後下半部に密着状態で連結される角パイプ状の延長パネル取付枠92とを有したもので、サイドパネル3の前縁近傍の下面には図11に示すようにサイドパネル取付片91を収容する偏平な凹所33が設けてあり、この凹所33内に収容したサイドパネル取付片91を下面側からサイドパネル3にネジ止めする構造になっている。延長パネル取付枠92には、図4に示すように下端近傍に矩形状の開口窓92aが設けてある。延長パネル取付枠92の上端には天板の奥行き方向に向かって傾斜するテーパ面92bが形成してあり、このテーパ面92bが図11に示すように天板1の前縁1bの下面側に傾斜させて設けたテーパ面10bに沿って緊密に配置されるようにしている。
【0040】
また、パネル間連結部9aの一構成要素として、図1に示す延長パネル4の後端面4a側には、図4に示した延長パネル取付枠92の開口窓92aとほぼ同じ高さ位置に前記第1の延長パネル連結具Aと同様の構成からなるプロペラナットa2およびねじ軸a1が格納されており、プロペラナットa2をパネル後端面4aから押し出すと突出して延長パネル取付枠92の開口窓92a内に侵入し、その位置で回転させることによって、パネル後端面4aとプロペラナットa2との間に開口窓92aの周辺の壁面を挟持し、これにより延長パネル4の後下部とパネル間連結部9aの延長パネル取付枠92とを引き寄せて連結できるようにしている。ねじ軸a1は上記と同様、プロペラナットa2の法線方向に対して角度をもってねじ込むようにしてあるので、延長パネル4の下縁の下方から斜め上方に向かってねじ軸a1を固定することができる。この実施形態では、アジャスタ43と延長パネル4の下端4cとの間に脚44が設けてあり、延長パネル4の下端4cと床との間の空間から上記のねじ止め作業を行うことができる。
【0041】
一方、図4及び図11に示す支持腕部9bは、一対のブラケット93,93の上端側に形成されるもので、ブラケット93は基端に起立片93aを有し、この起立片93aは前記延長パネル取付枠92の内向面に設けたスリット92dを介して内部に差し込んだ状態に固定される。支持腕部9bは、ブラケット93の固定状態で天板1の下面1cに潜り込んだ位置にほぼ水平に配置される面板部94を有するもので、この面板部94と前記起立片93aとの間は双方に対して直交する接続部95によって接続されている。面板部94にはブラケット93の取付位置で先端を天板1の前縁1b側に屈曲させる上向き爪94aが一体的に形成してあり、この上向き爪94aを天板1の下面1cに開口するスリット11に差し込み、その状態で起立片93aを延長パネル取付枠92の側壁に固定するようにしている。そのために、延長パネル取付枠92の側壁にはねじ通過孔92cが、起立片93aには長孔93a1がそれぞれ開口しており、ねじ通過孔92c及び長孔93a1を順次通過させた図示しないボルトと図示しないナットによって起立片93aの延長パネル取付枠92への固定が完了するようにしている。
【0042】
このような支持腕部9bを有する左右のブラケット93は、図では同一符号を付しているが天板幅方向に対称な形状をなすもので、一方のブラケット93をサイドパネル3よりも右側において天板1の下面1cに係合させ、他方のブラケット93をサイドパネル3よりも左側において天板1の下面1cに係合させて取り付け、全体として支持腕部9bが天板幅方向に延在して、同方向に離間した2箇所を天板1に係合させた状態が得られるようにしている。パネル間連結部9aはサイドパネル3と延長パネル4に固定され、支持腕部9bはパネル間連結部9aのテーパ面92bとともに天板1の前縁1a側を抱き込むように下面に回り込み、その位置で天板幅方向に係合するため、図5に示したチャネル部b4の前端側の振れ止め効果が得られるのは勿論のこと、図4の延長パネル取付枠92に横方向から外力が加わっても、延長パネル取付枠92が床との間で突っ張り、また支持腕部9bが天板巾方向に突っ張ることによって、延長パネル取付枠92の傾動が規制され、適切な取付状態が維持されることとなる。支持腕部9bはパネル間連結部9aを介して延長パネル4やサイドパネル3と一体をなすため、延長パネル4やサイドパネル3の倒れ防止部材として働くのは勿論である。
【0043】
支持腕部9bを2つのブラケット93によって構成しているのは、例えばスチール天板と木製天板の境界で延長パネル4やサイドパネル3を取り付けるような場合に、多少の天板高さ違いに対応するためである。スリット11には、ねじ止め構造や適宜の凹凸係合構造を代替使用することもできる。
【0044】
延長パネル4を取り付けていないときには、サイドパネル3の前端面3bのスリット32に図9に矢印で示すようにカバー部材Cを回り込ませれば、内部に格納しているパネル連結具Aをレール32とともに隠蔽することができる。また、同図中想像線で示すようにサイドパネル3に延長パネル4を連結した際には、図5に示したパネル3,4のレール31,41間にもパネル厚み方向の隙間が生じるが、図9の実線位置にカバー部材Cを配置すれば、かかる隙間も適切に隠蔽することができる。
【0045】
サイドパネル3は上記のような取付構造であるから、デスクトップパネル2や天板1に対して天板巾方向の適宜の位置に取り付けることができる。また、延長パネル4も上記のような取付構造であるから、それに応じて、天板巾方向の適宜の位置に取り付けることができる。この実施形態では支持腕部9bとスリット11とを係合させる関係上、取付位置は所定ピッチとなるが、連続的に取付位置を可変とする態様も容易に実施することができる。
【0046】
また、図1では、ワークエリアの片側のみにサイドパネル3や延長パネル4を取り付けているが、両側にサイドパネル3や延長パネル4を取り付けることができるのは勿論である。図1と図2とは便宜的にワークステーションの前方と後方を便宜的に示したもので、サイドパネル3や延長パネル4の有無等は対応していない。
【0047】
以上のように、本実施形態のワークステーションは、正面側及び裏面側にレール21、31、41を有するデスクトップパネル2、サイドパネル3、延長パネル4を備え、パネル2,3同士、パネル3,4同士を隣接させた状態で両パネル2,3のレール21、31間、パネル3,4のレール31,41間に隙間Sが生じる構造のものである。そして、前記隙間Sを隠蔽するカバー部材Cが、サイドパネル3のレール31内に嵌め合わされた状態でレール31に沿ってスライド可能に構成されているものである。
【0048】
このように構成すると、パネル2,3同士、3,4同士の隣接部分に生じるレール21,31間の隙間、31,41間の隙間が図1に示すようにカバー部材Cによって隠蔽されることになる。このため、光漏れや隣接部分の連結構造等の露出によって見栄えが損なわれることを有効に防止することができる。しかも、カバー部材Cはレール31内に嵌め合わせた状態でスライド可能に構成されるため、操作し易い箇所で嵌め合わせ、レール31に沿って必要な場所に移動させるだけで、レール31上の適宜箇所を適切に隠蔽することができ、不要となった場所からの退避等も容易に行うことができるため、極めて使い勝手に優れたものとなる。すなわち、このような小部品を追加するだけで、ワークステーションの外観や格調を効果的に高めることができるという優れた効果を奏するものである。
【0049】
具体例として、例えばサイドパネル3に着目して説明すると、パネル2,3同士を図8に示すようにT字に隣接すると、パネル端部3aが突き当てられた側のデスクトップパネル2の表裏側のレール21がレール長手方向に開口するため、レール21,31間に隙間が生じるが、本実施形態は表裏のレール31が当該サイドパネル3の端面3a、3b側に開放されていることを利用して、カバー部材Cを、一部をレール31に係り合わせたまま他の一部を端部すなわち端面3a、3bから突出可能としているので、サイドパネル3の後端面3aから突出させたカバー部材Cを相手方のデスクトップパネル2の表裏のレール21内に侵入させて、隙間Sを簡単、適切に隠蔽することができる。また、上記サイドパネル3は端面3a、3b側にもレール32を有し、サイドパネル3に、図5に示すように同じく端面4aにレール42を有する延長パネル4を図9に想像線で示すように面一に接続した場合にも、レール31,41間にパネル厚み方向の隙間が生じることとなるが、このような隙間に対しても、上記カバー部材Cを適用することによってこれを有効に遮蔽することができる。
【0050】
また、表裏のレール31はパネル端面3a、3bに設けたレール32に連続しており、図9に示したように、カバー部材Cは一部をレール31(或いはレール32)に係り合わせつつパネル端面3b側のレール32に回り込むことが可能とされているため、カバー部材Cが使用されないときにこの位置にカバー部材Cを退避させることができるのは勿論のこと、パネル端面3bのレール32を目隠しする上ででも有効に利用することができる。
【0051】
より具体的には、表裏のレール31はパネル端面3a、3bのレール32を介して繋がっているので、カバー部材Cを目的や使用状態に応じて、サイドパネル3の周囲に沿って必要な場所に自在に移動させることができるため、自在な利用の態様を可能にするものである。
【0052】
また本実施形態では、図6等に示したように、パネル端面3a、3bにおける表裏のレール31と同じ高さ位置に、押し出すと突出して隣接するパネル2,4のレール21,41に係り合うパネル連結具Aが格納してあるので、不使用時に外観を損なわず、使用時に即座に取り出してレール21,41と係り合わせることにより、パネル3、2間の連結、あるいはパネル3,4間の連結を簡単に実現することができる。
【0053】
さらに、パネル端面3a、3bにレール32が設けられ、パネル連結具Aは格納状態で図7に示したようにレール32の溝底と同一面ないしそれ以上に没入するように構成されているため、例えば図6→図9想像線のようにパネル3,4同士を面一に隣接させた状態で、延長パネル4の端面4aからパネル連結具Aを突出させるとともにサイドパネル3の端面3b側のレール32から図7(b)と同様にしてパネル連結具Aを退避させれば、図9に示したパネル3,4同士の連結を有効に行うことができる。
【0054】
そして、没入したパネル連結具Aの前方にカバー部材Cを収める空間が形成されるようにしているので、連結具Aの不使用時に当該連結具Aをカバー部材Cで隠蔽してパネル3の外観を有効に向上させることが可能となる。
【0055】
さらにまた、レール21が開口巾を狭める突出部21aを開口縁に備えたものであり、パネル連結具Aは先端にプロペラナットa2を具備していて、プロペラナットa2をパネル端面3aから相手方のレール21の開口内にまで押し出し、その位置で回転させることによって、パネル端面3aとプロペラナットa2の間に突出部21aを挟持した状態でパネル3、2同士を連結するようにしているので、連結を極めて平易に行うことができ、T字連結の場合に連結箇所が自在となるだけでなく、レール側には加工が不要となるため、ねじ孔等が露出することを防止してパネルの外観も有効に向上させることが可能となる。これはパネル4,3同士の連結においても同様である。
【0056】
そして、かかるレール21は、サイドパネル3以外にもオプション部品等の取付用レールとして兼用できるため、棚やライトなど適宜のオプションを取り付けて作業環境を向上させる上で有効に資することができるものとなる。
【0057】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0058】
例えば、上記のようなカバー部材Cは、正面側及び裏面側にレールを有するパネルを備え、パネル同士を隣接させた状態で両パネルのレール間に隙間が生じる構造のものであれば、上記の延長パネル4のレール41、42やデスクトップパネル2のレール21のほか、デスク構造体6のレール61,62にも有効に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係るワークステーションの一部を示す斜め前方斜視図。
【図2】同実施形態に係るワークステーションの一部を示す斜め後方斜視図。
【図3】同実施形態で用いられるデスク構造体の部分断面図。
【図4】同実施形態における延長パネル連結具の取付構造を示す分解斜視図。
【図5】同実施形態におけるサイドパネルの天板への取付構造を示す分解斜視図。
【図6】同実施形態におけるサイドパネルとデスクトップパネルの間の取付構造を示す分解斜視図。
【図7】図6に対応した断面図。
【図8】同実施形態のレールを隠蔽するカバー部材の使用状態を示す斜視図。
【図9】同カバー部材の他の使用状態を示す斜視図。
【図10】同カバー部材の部品図。
【図11】同実施形態における拡張パネル連結具の連結状態を示す図。
【図12】同実施形態におけるデスク構造体とデスクトップパネルとの連結構造を示す模式図。
【符号の説明】
【0060】
2…デスクトップパネル
3…サイドパネル
3a…サイドパネルの後端面
3b…サイドパネルの前端面
4…延長パネル
21…表裏のレール
31…表裏のレール
41…表裏のレール
32…パネル端面のレール
A…パネル連結具
A´…パネル連結具
a1…ねじ軸
a2…プロペラナット
C…カバー部材
S…隙間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも正面側及び裏面側にレールを有するパネルを備え、パネル同士を隣接させた状態で両パネルのレール間に隙間が生じる構造のワークステーションにおいて、前記隙間を隠蔽するカバー部材が、レール内に嵌め合わされた状態でレールに沿ってスライド可能に構成されていることを特徴とするワークステーション。
【請求項2】
表裏のレールがパネルの端部側に開放され、カバー部材は一部をレールに係り合わせたまま他の一部を端部から突出可能とされている請求項1記載のワークステーション。
【請求項3】
表裏のレールはパネル端面に設けたレールに連続しており、カバー部材は一部をレールに係り合わせたままパネル端面側のレールに回り込むことが可能とされている請求項2記載のワークステーション。
【請求項4】
表裏のレールはパネル端面のレールを介して繋がっている請求項3記載のワークステーション。
【請求項5】
パネル端面における表裏のレールと同じ高さ位置に、押し出すと突出して隣接するパネルのレールに係り合うパネル連結具が格納されている請求項1〜4何れかに記載のワークステーション。
【請求項6】
パネル端面にレールが設けられ、パネル連結具は格納状態でレールの溝底と同一面ないしそれ以上に没入するように構成されている請求項5記載のワークステーション。
【請求項7】
没入したパネル連結具の前方にカバー部材を収める空間が形成される請求項6記載のワークステーション。
【請求項8】
レールが開口巾を狭める突出部を開口縁に備えたものであり、パネル連結具は先端にプロペラナットを具備していて、プロペラナットをパネル端面から相手方のレールの開口内にまで押し出し、その位置で回転させることによって、パネル端面とプロペラナットの間に突出部を挟持した状態でパネル同士を連結するように構成されている請求項5〜7何れかに記載のワークステーション。
【請求項9】
レールは、部品取付用のレールを兼ねる請求項1〜8何れかに記載のワークステーション。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−94459(P2010−94459A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270374(P2008−270374)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】