説明

ワーク支持装置

【課題】ワーク支持装置における設備の低コスト化
【解決手段】ワーク支持装置10は、ワーク支持部材11、12を先端部13aに移動可能に配設したロボットアーム13と、ロボットアーム13の先端部13aにおけるワーク支持部材12の動きを適宜にロックするロック装置14と、ロック装置14のロックを解除した状態で、ワーク支持部材12を固定物24に当接させつつロボットアーム13の先端部13aを移動させて、ロボットアーム13の先端部13aにおいて、ワーク支持部材12の位置を相対的に変更するワーク支持部材位置変更制御部15とを備えている。このワーク支持装置10によれば、ロボットアーム13とロック装置14を制御し、ロボットアーム13の先端部13aにおけるワーク支持部材12の位置を変更することができる。このためワーク支持部材12にアクチュエータを装備する必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークを支持するワーク支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークを支持するワーク支持装置は、自動車の車体組立工程などにおいて、ワークを支持するとともに、溶接する際にワークを位置決めするワーク位置決め装置として用いられている。
【0003】
例えば、自動車のルーフアッセンブリを組み立てる工程においては、ヘッダインナーパネルや、ルーフリンフォースパネルや、フレームバックパネルなどの補強パネルを、ルーフパネルに対して位置決めして溶接している。各補強パネルとルーフパネルには、それぞれ位置決め用の穴が形成されており、補強パネルとルーフパネルの位置決め穴を合わせることにより、ルーフパネルに対して補強パネルを位置決めしている。
【0004】
ワーク支持装置は、位置決めピンを備え、補強パネルに形成されている位置決め穴に位置決めピンを挿入して、補強パネルを支持し、ロボットなどで、別途位置決めされたルーフパネルの所定の組み付け位置に補強パネルを位置決めするものがある。
【0005】
なお、同一車種によっても、補強パネルが異なれば、位置決め穴の位置が異なる場合がある。さらに、車種が異なる場合には、ルーフパネルの形状や補強パネルの形状が異なり、同じ部位に取り付けられる補強パネルにおいても位置決め穴の位置は異なる場合がある。このため、ワーク支持装置は、各補強パネルの位置決め穴の位置に合わせて、位置決めピンの位置を調整する必要がある。特に、車体組立工程において、異なる車種の組立が混流する混流ラインでは、補強パネルに応じて位置決めピンの位置を変更する必要がある。
【0006】
複数のワークに応じたワーク支持装置として、例えば、特開2005−186692号公報には、回転支持軸の周囲に周方向に複数のワーク支持面を備えており、各ワーク支持面にそれぞれワーク支持部材を配したものが開示されている。このワーク支持装置は、回転支持軸の周囲に周方向に複数設けたワーク支持面に、それぞれ位置決め部を備え、位置決め部をそれぞれ異なる種類のワークに対応させたものが開示されている。
【特許文献1】特開2005−186692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2005−186692号公報には、回転支持軸の周囲に周方向に複数のワーク支持面を備えており、各ワーク支持面にそれぞれワーク支持部材を配したものが開示されている。このため、大掛かりな装置となり設備コストが嵩む。また、ワーク支持部材の位置をワークに応じて所定の位置に設置する必要がある。ワーク支持部材の位置を変更するのにはワーク支持部材の取り付け位置を変更する必要があるなど所要の労力が必要である。
【0008】
また、ワーク形状に応じてワーク支持部材の位置を変更するのを補助する機構として、各ワーク支持部材にアクチュエータを設けた構造を考えることができる。例えば、図6に示すように、ワーク支持部材101にシリンダ等のアクチュエータ102と、ワーク支持部材101の移動経路に沿ってストッパ103を設置した構造を考えることができる。この構造では、ワーク支持部材101を設置したい位置にあるストッパ103をワーク支持部材101の移動経路上に突出させて、アクチュエータ102を伸縮制御して、ワーク支持部材101をストッパ103で止められる位置に移動させるものである。これにより、ワーク支持部材101を所望の位置に変更することができる。しかし、この場合、各ワーク支持部材101にそれぞれアクチュエータ102と、ストッパ103を取り付ける必要があるなど、装置が複雑になるし、設備コストが嵩む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るワーク支持装置は、ロボットアームの先端部にワークを支持する複数のワーク支持部材を備え、ワーク支持部材で支持したワークを、ロボットアームを操作して所望の位置に移動させるワーク支持装置であって、ワーク支持部材はロボットアームの先端部に移動可能に配設されており、ロボットアームの先端部におけるワーク支持部材の動きを適宜にロックするロック装置と、ロック装置のロックを解除した状態で、ワーク支持部材を固定物に当接させつつロボットアームの先端部を移動させて、ロボットアームの先端部において、ワーク支持部材の位置を相対的に変更するワーク支持部材位置変更制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
このワーク支持装置によれば、ロボットアームとロック装置を制御することにより、ロボットアームの先端部におけるワーク支持部材の位置を変更することができる。このため、各ワーク支持部材にアクチュエータは不要であり、ワーク支持装置の構造をより簡易なものにでき、設備コストの低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る位置決め装置を図面に基づいて説明する。
【0012】
この実施形態に係るワーク支持装置10は、図1に示すように、ワーク支持部材11、12と、ロボットアーム13と、ロック装置14と、ワーク支持部材位置変更制御部15で構成されており、ロボットアーム13の先端部にワークを支持するワーク支持部材11、12を備え、ワーク支持部材11、12で支持したワークを、ロボットアーム13を操作して所望の位置に移動させるものである。
【0013】
この実施形態では、ワーク支持部材は、一対のワーク支持部材11、12でワーク(図示省略)を支持するように構成されている。ワーク支持部材11、12は、ロボットアーム13の先端部に移動可能に配設している。この実施形態では、ロボットアーム13の先端部にガイドレール21を取り付け、一対のワーク支持部材11、12のうち、一方のワーク支持部材11をガイドレール21上に固定的に配設し、他方のワーク支持部材12をガイドレール21に沿って動く移動体22の上に設置している。
【0014】
ロック装置14は、ロボットアーム13の先端部13aにおけるワーク支持部材12の動きを適宜にロックするものである。この実施形態では、ロック装置14は、図示は省略するが、ワーク支持部材12を設置した移動体22に組み込まれ、ガイドレール21に対する移動体22の動きを適宜にロックするブレーキ機構14aと、ブレーキ機構のロックとロック解除を操作する制御装置14bで構成している。例えば、ブレーキ機構は空気圧や電磁力等で動作するように構成し、制御装置14bの制御信号により、ロックとロック解除を制御できるものを採用するとよい。
【0015】
このワーク支持部材位置変更制御部15は、ロック装置14のロックを解除した状態で、ワーク支持部材12を固定物24に当接させつつロボットアーム13の先端部13aを移動させることにより、ロボットアーム13の先端部13aに対して、ワーク支持部材12の位置を相対的に変更するものである。
【0016】
この実施形態では、ワーク支持部材位置変更制御部15は、図1に示すように、ロボットアーム13とロック装置14を制御する。図1中の13bはロボットアーム13の制御装置である。ロボットアーム13の動作範囲内には、固定的に設置した固定物24がある。固定物24には、ロボットアーム13の先端部13aに移動可能に配設されたワーク支持部材12を係止させるものや、ワーク支持部材12を設置した移動体22に当接するものを採用することができる。この実施形態では、固定物24はワーク支持部材12に係合し得る形状を備えている。
【0017】
このワーク支持部材位置変更制御部15は、ロボットアーム13とロック装置14を制御し、図2に示すように、斯かる固定物24に、ワーク支持部材12を係合させる。そして、この状態で、ロック装置14によるワーク支持部材12のロックを解除し、ロボットアーム13の先端部13aを移動させる。これにより、ロボットアーム13の先端部13aにおいて、ワーク支持部材12の位置を相対的に変更することができる。そして、ワーク支持部材12の位置を所望の位置に変更した後、ロック装置14によりワーク支持部材12をロックするとよい。これにより、一対のワーク支持部材11、12の位置関係を支持するワークに応じて変更することができる。
【0018】
このワーク支持装置10によれば、上述したように、ロボットアーム13とロック装置14を制御し、ロボットアーム13の先端部13aにおけるワーク支持部材12の位置を変更することができる。このためワーク支持部材12にアクチュエータを装備する必要がない。これにより、ワーク支持装置10の構造をより簡易なものにでき、設備の低コスト化を図ることができる。
【0019】
以上、ワーク支持装置の一実施形態を説明したが、本発明に係るワーク支持装置は上記に限定されない。
【0020】
例えば、一対のワーク支持部材11、12を備えたものを例示したが、ワーク支持部材は、一対のものに限らず、支持するワークに応じ、ロボットアーム13の先端部13aに複数設置し、複数のワーク支持部材でワークを支持するものでもよい。また、一対のワーク支持部材11、12のうち、一方のワーク支持部材11を固定的に配設し、他方のワーク支持部材12を移動可能に配設したものを例示したが、ロボットアーム13の先端部13aに配設した全てのワーク支持部材を、それぞれロボットアーム13の先端部13aにおいて移動可能に配設し、それぞれの位置を調整してもよい。この場合、移動可能に配設したワーク支持部材には、ロック装置を設けるとよい。そして、ロボットアーム13の先端部13aで位置を変更する場合には、それぞれロック装置のロックを解除した状態で、ワーク支持部材を固定物に当接させつつロボットアーム13の先端部13aを移動させることにより、ワーク支持部材の位置を変更するとよい。すなわち、この場合でも、ロボットアーム13の先端部13aの基準位置からの相対位置を基準にすることで、各ワーク支持部材の位置を、ロボットアーム13の先端部13aにおいて所望の位置に変更することができる。
【0021】
また、ロボットアームの先端部にワーク支持部材を移動可能に配設する構造として、ワーク支持部材が、ロボットアームの先端部に敷設したガイドレールに沿って動く構造を例示したが、ワーク支持部材を移動可能に配設する構造は、これに限定されない。例えば、ロボットアームの先端部に設けたリンク機構により、ワーク支持部材を移動可能に配設してもよい。このように、ワーク支持装置は種々の変更が可能である。
【0022】
次に、多種の自動車のルーフアッセンブリを組み立てる混流ラインに適用したワーク支持装置の一実施形態を説明する。
【0023】
この実施形態では、ルーフアッセンブリ30は、図3に示すように、ヘッダインナーパネル31や、ルーフリンフォースパネル32や、フレームバックパネル33などの補強パネルを、ルーフパネル40の所定位置に位置合わせして溶接したものである。図示は省略するが、ルーフパネル40と、各補強パネル31、32、33には、共通形状の位置決め穴が形成されており、互いの位置決め穴に、位置決めピンを挿通することにより、互いの位置を合わせている。なお、車種によっては、位置決め穴の位置は異なり、また、同一車種であっても、補強パネル31、32、33ごとに位置決め穴の位置が異なる場合がある。このため、多種の自動車のルーフアッセンブリを組み立てる混流ラインでは、車種ごとに、および、補強パネルごとに、ワーク支持部材の位置を対応させる必要がある。
【0024】
また、ルーフアッセンブリ30を組み立てる作業設備は、図3、4に示すように、溶接作業を行う所定の姿勢でルーフパネル40を支持するルーフパネル支持部材41を備えている。このルーフパネル支持部材41は、先端に、ルーフパネルを支持する支持片42が取り付けられている。図3、4に示す例では、ルーフパネル支持部材41は、ルーフパネル40の四隅、および、左右両側の中間部を支持している。
【0025】
ルーフパネル支持部材41は、自動車の車種に応じて形状の異なるルーフパネルに合わせて、ルーフパネル40の支持構造を変更できるようになっている。また、図3に示すように、ルーフパネル40が設置される位置において、ルーフパネル40の左右両側方には、それぞれ溶接を行う溶接ロボット43、44が設置されている。ルーフパネル40が設置される位置の下方には、ガイドレール46がルーフパネル40の前後方向に沿って敷設されている。このガイドレール46には、補強パネル31〜33を支持するワーク支持装置50が移動可能に設置されている。
【0026】
ワーク支持装置50は、図4、図5に示すように、移動体51と、ロボットアーム52と、基台53と、ワーク支持部材54、55と、ロック装置61と、ワーク支持部材位置変更制御部(図示省略)を備えている。
【0027】
移動体51は、図4に示すように、ルーフパネル40の設置位置の下側に、設置されるルーフパネル40の前後方向に沿って敷設したガイドレール46に移動可能に設置されている。移動体51は、駆動装置51aと制御装置51bを備えており、制御装置51bの制御信号に基づいてガイドレール46の任意の位置に移動させることができる。ロボットアーム52は、斯かる移動体51に設置されている。このロボットアーム52は、移動体51を走行操作させることにより、ルーフパネル40に対して所望の位置に移動することができる。また、ロボットアーム52は、先端部52aの角度変更が自在に動くものを採用するとよい。
【0028】
このワーク支持装置50は、図5に示すように、ロボットアーム52の先端部52aに、ワーク支持部材54、55を設置する面53a〜53cを複数備えた基台53を備え、基台53の複数の面53a〜53cにそれぞれワーク支持部材54を配し、複数のワークを支持できるように構成している。
【0029】
この実施形態では、基台53は、縦断面が台形の部材で、ロボットアーム52を取り付けた面を除いて、上面53bと、両側面53a、53cの3つの面に、それぞれワークが支持できるように構成している。この基台53は、上面53bに対して両側面53a、53cがそれぞれ傾斜しているので、基台53の各面53a〜53cにおいて、互いに干渉しないようにワークを支持することができる。
【0030】
基台53の上面53bと両側面53a、53cには、それぞれ一対のワーク支持部材54、55を設置している。一対のワーク支持部材54、55のうち、一方のワーク支持部材54は基台53に固定的に配設し、他方のワーク支持部材55は基台53上で移動可能に配設している。この実施形態では、移動可能に配設されたワーク支持部材55は、基台53の上に敷設したリニアガイド56(案内部材)に移動可能に設置した移動体57の上に設置している。
【0031】
ロック装置61は、基台53上でのワーク支持部材55の動きを適宜にロックするものであり、リニアガイド56に移動可能に設置した移動体57に組み込まれている。図示は省略するが、ロック装置61には、ロックとロック解除を制御する制御装置を備えており、制御装置に制御信号を送ることにより、ロックとロック解除を操作できるように構成している。
【0032】
ワーク支持部材位置変更制御部(図示省略)は、ロック装置61とロボットアーム52を操作制御して、ロック装置61のロックを解除した状態で、ワーク支持部材54を固定物(図示省略)に当接させつつロボットアーム52の先端部52aを移動させて、ロボットアーム52の先端部52aにおけるワーク支持部材55の位置を変更し、その後、ロック装置61によりワーク支持部材55をロックして、一対のワーク支持部材54、55の間隔を補強パネル31〜33の位置決め穴の間隔に応じて変更するものである。
【0033】
斯かるワーク支持部材55の位置の変更動作は、図3に示すように、例えば、ガイドレール46に沿った軌道上において、ルーフパネル40が設置される位置から離れた補強パネル積載位置70において行うとよい。図示は省略するが、斯かる補強パネル積載位置70には、ワーク支持部材の位置を変更する際に用いる固定物を設置しておくとよい。そして、その位置において、ロボットアーム52とロック装置61を操作制御して、基台53の各面53a〜53cに移動可能に設置したワーク支持部材55の位置を変更するとよい。
【0034】
また、この実施形態では、ワーク支持部材54は、図5に示すように、位置決めピン71と、ワーク受け治具72で構成されている。
【0035】
位置決めピン71は、補強パネル31〜33とルーフパネル40のそれぞれに形成された位置決め穴に挿通され、補強パネル31〜33をそれぞれルーフパネル40の所定位置に位置決めするものである。ワーク受け治具72は、補強パネル31〜33(ワーク)の形状に応じた形状に自在に変更でき、変更した形状を維持できる受け面を備えたものである。ワーク受け治具72には、例えば、特公昭60−57957号公報や特開2004−122298号に開示されているように、受け面の形状を変更できるものを採用できる。
【0036】
この実施形態では、ワーク受け治具72は、進退可能に植設した多数のピン72aを全体で受け面72bを構成し、ワークの形状に応じて各ピン72aの進退量を調整することにより、受け面72bの形状を変更する構造を備えている。また、ワーク受け治具72は、受け面72bの形状維持と形状維持解除を制御する制御装置を備えており、制御装置に制御信号を送ることにより、受け面72bの形状維持と形状維持解除を操作できるように構成している。
【0037】
補強パネル積載位置70では、ワーク支持部材54、55に支持させる補強パネルの位置決め穴の間隔に合わせて、一対のワーク支持部材54、55の間隔を調整するとともに、ワーク受け治具72の受け面72bの形状を補強パネルの形状に合わせて変更する。この際、ワーク受け治具72を、補強パネル又は補強パネルの支持部位と同形状の擬似体に押し当ててワーク受け治具72の受け面72bの形状を変更するとよい。これらの動作は、ロボットアーム52のティーチング制御、および、ロック装置およびワーク受け治具72を制御することで行うことができる。
【0038】
このワーク支持装置50では、ワーク支持部材54が、補強パネル(ワーク)の形状に応じた形状に自在に変更でき、変更した形状を維持できる受け面を備えたワーク受け治具72を備えているので、補強パネルを設置する基台53がロボットアーム52の操作に伴い傾いたとしても、補強パネルがワーク支持部材54から脱落するのを防止することができる。
【0039】
次に、ルーフパネル40に、ヘッダインナーパネル31や、ルーフリンフォースパネル32や、フレームバックパネル33を取り付けるルーフアッセンブリ組立工程を説明する。
【0040】
このワーク支持装置50は、基台53の各面53a〜53cに、それぞれ補強パネルを支持することができる。そして、ロボットアーム52を設置した移動体51を走行させながら、基台53の各面53a〜53cに支持した補強パネルをルーフパネル40に位置合わせすることができる。
【0041】
例えば、ルーフパネル40に、ヘッダインナーパネル31や、ルーフリンフォースパネル32や、フレームバックパネル33を取り付ける場合には、図示は省略するが、基台53に、ヘッダインナーパネル31や、ルーフリンフォースパネル32や、フレームバックパネル33の各補強パネルを支持させるとよい。そして、ロボットアーム52を設置した移動体51をルーフパネル40の前方から後方に移動させながら、ヘッダインナーパネル31、ルーフリンフォースパネル32、フレームバックパネル33を順に位置決めした状態で、他の溶接ロボット43、44により、溶接を行わせるとよい。
【0042】
このように、このワーク支持装置50によれば、ロボットアーム52の先端部に、ワーク支持部材54を設置する面を複数備えた基台53を備え、基台53の複数の面にそれぞれワーク支持部材54を配しているので、複数のワークを支持することができる。
【0043】
また、このロボットアーム52は、ルーフパネル40の下部で、移動可能に設置しており、ロボットアーム52の先端部52aの角度変更を自在に動くように構成することにより、ルーフパネル40に対して、補強パネル31〜33を適切な方向から位置決めすることができる。
【0044】
また、ワーク支持部材54の位置関係を自由に変更でき、また、ワーク支持部材54は、ワークの形状に応じた形状に自在に変更でき、変更した形状を維持できる受け面72bを備えたワーク受け治具72を備えている。このため、多種の自動車の部品が混流する混流ラインにも同じ装置で対応できる。また、ルーフパネルアッセンブリの組立作業を例示したが、自動車のドアパネルなど、また、自動車に限らず、種々の部材の位置決め作業に用いることができる。また、このワークの支持装置は、組立作業に限らず、種々の用途においてワークの位置決め装置として用いることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明に係るワーク支持装置は上記の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るワーク支持装置を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係るワーク支持装置を示す斜視図。
【図3】ルーフアッセンブリを組み立てる作業設備を示す平面図。
【図4】ルーフアッセンブリを組み立てる作業設備を示す縦断側面図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るワーク支持装置を示す斜視図。
【図6】ワーク支持部材の位置を変更するのを補助する補助機構の一例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
10 ワーク支持装置
11、12 ワーク支持部材
13 ロボットアーム
13a ロボットアームの先端部
14 ロック装置
14a ブレーキ機構
14b 制御装置
15 ワーク支持部材位置変更制御部
21 ガイドレール
22 移動体
24 固定物
30 ルーフアッセンブリ
31 ヘッダインナーパネル(ワーク)
32 ルーフリンフォースパネル(ワーク)
33 フレームバックパネル(ワーク)
40 ルーフパネル
41 ルーフパネル支持部材
42 支持片
43、44 溶接ロボット
46 ガイドレール
50 ワーク支持装置
51 移動体
51a 駆動装置
51b 制御装置
52 ロボットアーム
52a ロボットアームの先端部
53 基台
54、55 ワーク支持部材
56 リニアガイド
57 移動体
61 ロック装置
70 補強パネル積載位置
71 位置決めピン
72 ワーク受け治具
72b 受け面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームの先端部にワークを支持する複数のワーク支持部材を備え、前記ワーク支持部材で支持したワークを、前記ロボットアームを操作して所望の位置に移動させるワーク支持装置であって、
前記ワーク支持部材はロボットアームの先端部に移動可能に配設されており、
前記ロボットアームの先端部におけるワーク支持部材の動きを適宜にロックするロック装置と、
前記ロック装置のロックを解除した状態で、前記ワーク支持部材を固定物に当接させつつロボットアームの先端部を移動させて、前記ロボットアームの先端部において、ワーク支持部材の位置を相対的に変更するワーク支持部材位置変更制御部とを備えたワーク支持装置。
【請求項2】
前記ロボットアームは、前記先端部に、ワーク支持部材を設置する面を複数備えた基台を備え、基台の複数の面にそれぞれワーク支持部材を配して、複数のワークを支持できるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
複数のワーク支持部材を先端部に移動可能に配設したロボットアームと、前記ロボットアームの先端部におけるワーク支持部材の動きを適宜にロックとロック解除を制御できるロック装置とを備え、前記複数のワーク支持部材で支持されたワークを、ロボットアームを操作して所望の位置に移動させるワーク支持装置を用い、
前記ロック装置のロックを解除した状態で、前記ワーク支持部材を固定物に当接させつつロボットアームの先端部を移動させて、前記ロボットアームの先端部において、ワーク支持部材の位置を相対的に変更するワーク支持装置のワーク支持部材位置変更方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−245300(P2007−245300A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73029(P2006−73029)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】