説明

二次電池

【課題】ケースの内部で電極組立体が動くことを防止することができる二次電池とその製造方法を提供する。
【解決手段】二次電池において、電極組立体120と、電解液と、電極組立体120の外部表面の少なくとも一部に貼着した動き防止テープ130と、電極組立体を収容するケースと、を含み、動き防止テープ130は電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層を含み、粘着性を示す基材層の少なくとも一部はケースの内部表面に接触していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、二次電池は、正極板と負極板及びこの両電極板の間に介在されたセパレーターより構成された電極組立体を電解液とともにケースに収納して形成される。この二次電池は、ケースの形状によって、円筒形、角形及びパウチ形に分類できる。
【0003】
ケースに収納された電極組立体は、外部の振動または衝撃によってケースの内部で回転して動くことがよく発生する。このような動きは、電池の内部抵抗を増加させ、電極組立体に設けられた電極タブを損傷させるおそれがあるため、改善が要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ケースの内部で電極組立体が動くことを防止することができる二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様による二次電池は、電極組立体と、電解液と、電極組立体の外部表面の少なくとも一部に付着した動き防止テープと、電極組立体を収容するケースと、を含み、動き防止テープは電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層を含み、粘着性を示す基材層の少なくとも一部はケースの内部表面に接触することを特徴とする。
【0006】
動き防止テープは、基材層の背面に形成されて電極組立体の外部表面に接触する粘着層をさらに含んでもよい。
【0007】
基材層は、電解液と接触すると少なくとも一部が収縮して粘着性を示すものであってもよい。
【0008】
基材層はOPS(oriented polystyrene)フィルムであることが好ましい。
【0009】
電極組立体は、第1の電極、第2の電極及び第1の電極と第2の電極の間に介在されるセパレーターを積層した後、該積層体を巻回して形成され、電極組立体は、セパレーターの巻回末端が位置する最外側仕上げ部を含んでもよい。
【0010】
動き防止テープは、電極組立体の最外側仕上げ部を含めて付着してもよい。
【0011】
電極組立体の最外側仕上げ部には、動き防止テープが付着してもよい。
【0012】
電解液は、カーボネート系溶媒を含み、カーボネート系溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びジプロピルカーボネート(DPC)からなる群から選択される少なくとも一つのカーボネート系溶媒を含んでもよい。電解液は、カーボネート系溶媒を10〜60重量%含んでもよい。
【0013】
基材層は、10〜50um範囲の厚さを有するものであってもよい。
【0014】
動き防止テープは、電極組立体の外部表面全体を囲んでもよい。
【0015】
動き防止テープは、電極組立体の外部表面の円周の長さを1としたとき、少なくとも0.5の長さだけ囲んでもよい。
【0016】
動き防止テープは、電極組立体の外部表面の円周の長さを1としたとき、0.5よりは大きく1よりは小さい長さだけ囲んでもよい。
【0017】
動き防止テープは、電極組立体の外部表面の上端部及び下端部を除いた部分を囲んでもよい。
【0018】
動き防止テープの幅は、電極組立体の幅の少なくとも20%であってもよい。
【0019】
動き防止テープは、粘着層上に順次に形成された補助基材層と補助粘着層をさらに含んでもよい。
【0020】
動き防止テープは、電解液との接触後の粘着力が少なくとも1kgf/cmであってもよい。
【0021】
ケースは、円筒形、角形またはパウチ形ケースであってもよい。
【0022】
本発明の別の態様による二次電池は、電極組立体と、電解液と、電極組立体の外部表面の少なくとも一部に付着した動き防止テープと、電極組立体を収容するケースと、を含み、動き防止テープは、電極組立体の外部表面に接触する粘着層と粘着層上に形成されて電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層とを含み、粘着性を示す基材層は、その表面が不規則に形成されたことを特徴とする。
【0023】
粘着性を示す基材層は、第1の領域及び第2の領域を含み、第1の領域は第2の領域より厚く、第1の領域はケースの内部表面に接触するものであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の二次電池によると、電極組立体の外部表面に付着した動き防止テープの基材層が電解液と接触する場合、表面が不規則に変化して基材層の少なくとも一部が粘着性を示す。このとき、粘着性を示す基材層の少なくとも一部は、ケースの内面と接触して、電極組立体がケースの内部で動くことを防止する効果がある。すなわち、本発明による二次電池では、電極組立体とケースの間が粘着力によって堅固に固定されることで、電極組立体がケースの内部で動くことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による動き防止テープを具備した電極組立体の斜視図である。
【図2】図1に示す動き防止テープを具備した電極組立体を含む円筒形二次電池の分解斜視図である。
【図3】図2に示す円筒形二次電池の結合縦断面図である。
【図4】図2に示す円筒形二次電池の結合横断面図である。
【図5】図2に示す円筒形二次電池に電解液が注入される前の形態を概略的に示す結合横断面図である。
【図6】図2に示す円筒形二次電池に電解液が注入された後の形態を概略的に示す結合横断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態による二次電池に使用される動き防止テープを具備した電極組立体の斜視図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態による二次電池に使用される動き防止テープを具備した電極組立体の斜視図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態による二次電池に使用される動き防止テープの断面図である。
【図10】図9の動き防止テープが適用された二次電池に電解液が注入された後の形態を概略的に示す横断面図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態による動き防止テープを具備した電極組立体の斜視図である。
【図12】図11に示す動き防止テープを具備した電極組立体を含む角形二次電池の分解斜視図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態による動き防止テープを具備した電極組立体を含むパウチ形二次電池の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して本発明による実施形態の構成及び作用を詳しく説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による動き防止テープを具備した電極組立体の斜視図であり、図2は、図1に示す動き防止テープを具備した電極組立体を含む円筒形二次電池の分解斜視図であり、図3は、図2に示す円筒形二次電池の結合縦断面図であり、図4は、図2に示す円筒形二次電池の結合横断面図であり、図5は、図2に示す円筒形二次電池に電解液が注入される前の形態を概略的に示す結合横断面図であり、図6は、図2に示す円筒形二次電池に電解液が注入された後の形態を概略的に示す結合横断面図である。
【0028】
図1〜図6を参照すると、本発明の一実施形態による円筒形二次電池100は、ケース110、電極組立体120、動き防止テープ130、上部絶縁部材140、下部絶縁部材150、ガスケット160及びキャップ組立体170を備える。
【0029】
ケース110は、二次電池の形態によって、円筒形、角形またはパウチ形であってもよい。本実施形態では、二次電池が円筒形である場合について説明し、別の実施形態で二次電池が角形またはパウチ形である場合について説明することにする。
【0030】
ケース110は、円筒形状を有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような軽量の導電性金属材質からなり、深絞り(deep drawing)などのような加工方法によって製造できる。ケース110は、電極組立体120の形状によって異なる形態を有してもよい。
【0031】
ケース110は、円形の底板112と、底板112の縁部から延びた円筒形の側壁113を備える。側壁113の上部には、外周に沿って内部に屈曲されたビーディング部111が形成される。ビーディング部111は、上部絶縁部材140、電極組立体120及び下部絶縁部材150がケース110の内部で底板112の垂直方向に動くことを防止する。側壁113の上端には、圧接(crimping)部116が形成される。圧接部116は、ケース110とキャップ組立体170の間を密閉する。側壁113の上部には、ケース110の内部に下部絶縁部材150、電極組立体120、上部絶縁部材140、ガスケット160及びキャップ組立体170が順に挿入されるように、開口部114が形成される。
【0032】
電極組立体120は、第1の電極板121、第2の電極板122及びセパレーター123を含む。セパレーター123は、第1のセパレーター123a及び第2のセパレーター123bを含むこともできる。電極組立体120は、第1の電極板121、第1のセパレーター123a、第2の電極板122及び第2のセパレーター123bを順次に積層した状態で、円筒形に巻回して形成される。
【0033】
電極組立体120は、第1の電極タブ127aと第2の電極タブ127bをさらに含むこともできる。電極組立体120から第1の電極タブ127aと第2の電極タブ127bとが引出される境界部には、第1の電極板121と第2の電極板122との間の短絡を防止するために、絶縁テープ(図示せず)が形成されてもよい。
【0034】
第1の電極板121及び第2の電極板122のうち何れか一つ、例えば第1の電極板121は正極板として使用され、他の一つ、例えば第2の電極板122は負極板として使用されてもよい。一方、第2の電極板122が正極板で、第1の電極板121が負極板であってもよい。以下では、第1の電極板121が正極板で、第2の電極板122が負極板であるとして説明する。
【0035】
詳しく示されてはいないが、正極板としての第1の電極板121は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一面にコーティング形成された正極活物質層とを備える。
【0036】
正極集電体は、導電性の優れた金属薄板、例えば、アルミニウム(Al)箔(foil)からなってもよい。しかし、本発明でこのような正極集電体の材料を限定するものではない。
【0037】
正極活物質層は、正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を正極集電体の少なくとも一面にコーティングして形成される。正極活物質としては、一般的にLiCoO、LiMn、LiNiO、LiNi1‐xCoxO(0<x<1)、LiMnOなどの複合金属酸化物が使用される。しかし、本発明でこのような正極活物質の材料を限定するものではない。
【0038】
第1の電極板121の巻回方向の一部または両端部のうち少なくとも何れかには、正極活物質がコーティングされない第1の無地部が形成される。第1の無地部には、正極タブとなる第1の電極タブ127aが溶接のような方式によって結合されて、電極組立体120から外部に引出されるように形成される。
【0039】
詳しく示されていないが、負極板としての第2の電極板122は、負極集電体と該負極集電体の少なくとも一面にコーティング形成された負極活物質層とを備える。
【0040】
負極集電体は、導電性の優れた薄板、例えば、銅(Cu)またはニッケル(Ni)箔からなってもよい。しかし、本発明でこのような負極集電体の材料を限定するものではない。
【0041】
負極活物質層は、負極活物質、導電材及びバインダーの混合物を負極集電体の少なくとも一面にコーティングして形成される。負極活物質としては、一般的に炭素(C)系物質、Si、Sn、酸化錫、錫合金複合体(composite tin alloys)、遷移金属酸化物、リチウム金属窒酸化物またはリチウム金属酸化物などが使用される。しかし、本発明でこのような負極活物質の材料を限定するものではない。
【0042】
第2の電極板122の巻回方向の一部または両端部のうち少なくとも何れかには、負極
活物質がコーティングされない第2の無地部が形成される。第2の無地部には負極タブとなる第2の電極タブ127bが溶接のような方式によって結合されて、電極組立体120から外部に引出されるように形成される。
【0043】
第2の電極タブ127bは、ケース110の底板112に、溶接のような方式によって結合されることができる。それによって、ケース110は負の極性を有するようになり、特にケース110の底板112は円筒形二次電池100の負極端子として用いられる。
【0044】
セパレーター123は、第1の電極板121と第2の電極板122とを互いに分離する。セパレーター123は、第1のセパレーター123a及び第2のセパレーター123bを含む。第1及び第2のセパレーターに123a、123bには微細気孔が形成され、その微細気孔を通してリチウムイオンが通過する。第1及び第2のセパレーター123a、123bは、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)のような高分子樹脂で形成されることもできる。しかし、本発明でこのようなセパレーター123の材質を限定するものではない。
【0045】
動き防止テープ130は、電極組立体120の外部表面の少なくとも一部に付着する。すなわち、動き防止テープ130は、電極組立体120とケース110との間に位置するようになる。動き防止テープ130は、電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層131を含む。基材層131が電解液と接触して少なくとも一部が粘着性を示すと、粘着性を示す基材層131の少なくとも一部は、ケース110の内部表面に接触して、電極組立体120が内部で動くことを防止するようになる。
【0046】
好ましくは、動き防止テープ130は、基材層131と、基材層131の背面に形成された粘着層132を含む。
【0047】
基材層131は、電解液との接触によって少なくとも一部が溶融されて部分的に粘着性を有する高分子フィルムからなる。すなわち、高分子フィルムは、電解液との接触の際に電解液のうちカーボネート系溶媒が高分子と高分子の間に浸透してフィルムの少なくとも一部を溶融させることで粘着性を有するようになるフィルムである。例えば、高分子フィルムが電解液と接触すると、電解液のうちカーボネート系溶媒が高分子と高分子の間に浸透してフィルムの少なくとも一部を溶融させ、それによって、高分子フィルムは製造過程で付与された方向性を喪失して収縮し、その収縮した部分は粘着性を有することができる。ここで、方向性とは、樹脂を用いてフィルムを製造する過程で加えられる一軸延伸、二軸延伸または圧縮を含む。
【0048】
上記のように、基材層131の少なくとも一部が粘着性を示すとき、粘着性を有する基材層131の表面は不規則になる。すなわち、粘着性を有する基材層131の少なくとも一部は、少なくとも他の部分に比べてより厚く形成される。他の部分に比べてより厚く形成された部分は、ケース110の内面に接触する。それによって、粘着性を有する基材層131において部分的に厚さの増加した部分は、電極組立体120とケース110の内部表面の間が粘着力によって堅固に固定されるようにする。したがって、電極組立体120がケース110内部で動くことが防止される。
【0049】
より具体的に説明すると、粘着性を有する基材層131は、第1の領域及び第2の領域を含み、第1の領域は第2の領域より厚く、第1の領域はケース110の内部表面に接触することができる。このとき、ケース110の内部表面に接触する第1の領域は粘着性を示しているので、電極組立体120はケース110の内部表面と、所定の粘着力によって堅固に固定される。それによって、本発明による円筒形二次電池100では、電極組立体120がケース110の内部で動かない。
【0050】
高分子フィルムは、電解液との接触によって粘着性を有するものであれば、何れも使用することができる。好ましくは、高分子間の距離が広くて、電解液のうちカーボネート系溶媒が容易に浸透できるポリスチレン(PS)、ポリアミド、ポリアクリロ二トリル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンビニルアセテートフィルムを使用する。より好ましくは、高分子フィルムとしてPSフィルムを使用し、特にOPSフィルムが好ましい。
【0051】
基材層131は、電池の規格によって可変的に変形できるので、必ずしも限定されるものではない。しかし、基材層131は10〜50umの厚さに形成されることが好ましい。基材層131の厚さが10um未満であると、電極組立体120の動き防止効果が低下する問題点があり、基材層131の厚さが50umを超過する場合、内部電解液の注入量がその分減少して、十分な容量の確保が難しいという欠点がある。
【0052】
粘着層132は、基材層131の背面に塗布形成され、巻回された電極組立体120の外部表面に接触する。
【0053】
粘着層132には、一般的に使用される粘着剤であれば何れも使用できる。好ましくは、粘着層132は、アクリル系粘着剤を基材層131に塗布して形成されたものである。アクリル系粘着剤としては、PMMA(polymethylmethacrylate)、PEMA(polyethylmethacrylate)またはPBMA(polybutylmethacrylate)から選択されたものを使用することもできる。
【0054】
粘着層132は、基材層131上に様々な公知の方法によって様々な厚さにコーティング形成されることができる。例えば、粘着層132は、粘着剤をナイフコーティングによって1〜30umの厚さにコーティングして形成されたものであってもよい。
【0055】
動き防止テープ130は、電極組立体120の外部表面の幅(巻回方向の垂直方向)の全体を囲むように付着することもできる。しかし好ましくは、動き防止テープ130は、電極組立体120の外周面のうち上端部120bと下端部120cの一部を除いた部分に付着することもできる。上端部120bは、ケース110と電極組立体120の間に電解液が流入できる空間として作用する部分であり、下端部120cは、ケース110の底に注入されている電解液が電極組立体120と接する部分である。よって、電極組立体120に含浸される電解液の含浸性を考慮すると、電極組立体120の上端部120bと下端部120cの一部には、動き防止テープ130が付着しないようにすることが好ましい。
【0056】
本発明で動き防止テープ130の幅を限定するものではないが、動き防止テープ130の幅は、電極組立体120の幅に対して20%以上であることが好ましい。動き防止テープ130の幅が電極組立体120の幅に対して20%未満である場合、電極組立体120の動きを防止する役割を十分に具現できないという欠点がある。
【0057】
動き防止テープ130は、電極組立体120の外部表面の円周の長さを一部だけ覆うように付着することがよい。特に、動き防止テープ130は、電極組立体120の外部表面の円周の長さを1としたとき、少なくとも0.5の長さだけ囲むことがよい。好ましくは、動き防止テープ130は、電極組立体120の外部表面の円周の長さを1としたとき、0.5よりは大きくて1よりは小さい長さだけ囲むことがよい。このように動き防止テープ130を電極組立体120の外部表面の円周の長さに対して所定の範囲だけ覆うように付着させる場合、動き防止効果を高めながらもテープの節減効果を得ることができる。
【0058】
前述の電極組立体120は、セパレーターの巻回末端が位置する最外側仕上げ部120aを含むが、動き防止テープ130は、電極組立体120の最外側仕上げ部120aを含めて付着してもよい。この場合、電極組立体120の最外側仕上げ部120aをシーリングするための別途のシーリングテープを具備しなくても、動き防止テープ130がシーリングテープの役割も果たすので、電極組立体120の構造が崩れることを防止する。すなわち、電極組立体120は、外周面に第2のセパレーターの最外側端部が位置する最外側仕上げ部120aを含み、動き防止テープ130は、この最外側仕上げ部120aを含めて電極組立体120の外周面を囲むように付着して、電極組立体120の構造が崩れることを防止するようになる。
【0059】
動き防止テープ130は、前述のように、基材層131が電解液との接触によって粘着性を示すが、本発明によると、動き防止テープ130は、電解液との接触後1kgf/cm以上の粘着力を示すことが好ましくは、1〜5kgf/cmの粘着力を有することがより好ましい。動き防止テープ130が電解液との接触後このような粘着力を有すると、電極組立体120がケース110の内部で動くことを効果的に防止できるようになる。
【0060】
上部絶縁部材140は、電極組立体120とケース110のビーディング部111との間を絶縁するために、略円板状に形成される。
【0061】
下部絶縁部材150は、電極組立体120とケース110の底板112との間を絶縁するために、略円板状に形成される。
【0062】
キャップ組立体170は、圧接部116とビーディング部111の間に位置する。キャップ組立体170は、当該分野で一般的に適用されるものであれば何れも本発明に適用できる。一例として、電極組立体120から離れる方向に沿って、安全ベント171、電流遮断機172、PTC(Positive Temperature Coefficient)173及びキャップアップ174が順に位置してもよい。
【0063】
安全ベント171は、第1の電極タブと電流遮断機172とを電気的に接続する。安全ベント171の中央部は、電極組立体120の方に凸状に突出して第1の電極タブと電気的に接続する突出部171aを含む。この突出部171aは、二次電池100の内圧が基準圧力を超えたとき、反対方向に反転する。
【0064】
電流遮断機(Current Interrupt Device:CID)172は、安全ベント171とPTC173とを電気的に接続する。電流遮断機172は、二次電池100の内圧上昇による安全ベント171の突出部171aの反転によって破断されて、安全ベント171とPTC173との間の電気的接続を遮断する。
【0065】
PTC173は、温度が上昇すると電気抵抗が急激に上昇する素子である。PTC173は、電流遮断機172とキャップアップ174とを電気的に接続する。PTC173は、電池が過熱されたときに電気抵抗が急激に上昇して、電流の流れを遮断する。
【0066】
キャップアップ174は、PTC173と電気的に接続されて外部に露出する。キャップアップ174は、円筒形二次電池100において正極端子として作用する。
【0067】
キャップ組立体170は、ガスケット160によってケース110と絶縁される。ガスケット160は、キャップ組立体170の外周を囲み、ケース110の内部でビーディング部111と圧接部116によって固定される。
【0068】
図面に示したキャップ組立体170は、本発明の理解を高めるために提示された例に過ぎず、様々な構造で形成できる。特に当業者であれば、図面に示したキャップ組立体170の構造を、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更することが可能であり、このような修正及び変更も本発明に属するということが理解できるであろう。
【0069】
本発明による二次電池100は電解液を含む。
【0070】
電解液は、カーボネート系溶媒を含むこともできる。カーボネート系溶媒の例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などがある。例示されたカーボネート系溶媒のうちDMC、DEC及びDPCからなる群から選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。このようなカーボネート系溶媒は、ポリスチレンのように高分子間に距離がある形態の高分子の間に容易に浸透することができる。したがって、上記のカーボネート系溶媒が動き防止テープ130に接触するとき、基材層131の高分子の間に浸透して基材層131が容易に粘着性を有するようにする 。
【0071】
電解液中のカーボネート系溶媒は、電解液の全体含量に対して重量分率で10〜60重量%含有されることが好ましい。カーボネート系溶媒が電解液の全体含量に対して10重量%未満で含まれる場合、基材層131を形成する高分子フィルムの高分子の間にカーボネート系溶媒が容易に浸透できないので、粘着性が低下し、電極組立体120の動き防止効率が低下するという欠点がある。また、カーボネート系溶媒が電解液の全体含量に対して60重量%を超過して含まれる場合、これ以上の動き防止効果の向上を得難いので、好ましくない。
【0072】
本発明による電解液には、上記のカーボネート系溶媒の他に、当該分野で一般的に使用される成分が含まれることもできる。すなわち、本発明による電解液としては、カーボネート系溶媒、特にDMC、DECまたはDPCを含む電解液であれば何れも使用できる。
【0073】
図7は、本発明の別の実施形態による二次電池に使用される動き防止テープを具備した電極組立体の斜視図である。
【0074】
図7に示すように、本発明の別の実施形態による動き防止テープ130を具備した電極組立体120では、動き防止テープ130が電極組立体120の外部表面の円周の長さ全体に付着する。
【0075】
このように、動き防止テープ130が電極組立体120の外部表面の円周の長さ全体に付着する場合、優れた動き防止効果を得ることができる。また、電極組立体120は、セパレーターの巻回末端が位置する最外側仕上げ部120aを含むが、上記のように動き防止テープ130が電極組立体120の外部表面の円周の長さ全体に付着することで、動き防止テープ130は、電極組立体120の最外側仕上げ部120aを含めて付着する。この場合、別途の最外側仕上げ部120aを仕上げるためのシーリングテープを具備しなくても、動き防止テープ130がシーリングテープの役割も果たすので、電極組立体120の構造が崩れることを防止する。
【0076】
上記のように、動き防止テープ130が電極組立体120の外部表面の円周の長さ全体に付着することを除いて、電極組立体120と動き防止テープ130の各構成は前述の図1〜図6に示す実施形態で説明したものと同様であるので、これについての詳細な説明は省略することにする。
【0077】
図8は、本発明のさらに別の実施形態による二次電池に使用される動き防止テープを具備した電極組立体の斜視図である。
【0078】
図8に示すように、本発明のさらに別の実施形態による動き防止テープ130を具備した電極組立体120は、セパレーターの巻回末端が位置する最外側仕上げ部120aを含む。動き防止テープ130は、電極組立体120の外部表面の少なくとも一部に付着し、最外側仕上げ部120aにはシーリングテープ180が付着する。
【0079】
電極組立体120の最外側仕上げ部120aに付着するシーリングテープ180は、電極組立体120の構造が崩れることを防止する。すなわち、シーリングテープ180は、最外側仕上げ部120aを含めて電極組立体120の外周面を囲むように付着して、電極組立体120の構造が崩れることを防止する。
【0080】
シーリングテープ180は、当該分野で一般的に使用されるものを適用できる。例えば、シーリングテープ180としては、必ずしもこれに限られるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)のようなフィルムの底面に粘着剤が塗布されたものを使用できる。粘着剤としては、必ずしもこれに限られるものではないが、アクリル系粘着剤であってもよく、このアクリル系粘着剤としては、PMMA(polymethylmethacrylate)、PEMA(polyethylmethacrylate)またはPBMA(polybutylmethacrylate)から選択されたものを使用できる。粘着剤は、電極組立体120の最外側仕上げ部120aに接触する。
【0081】
シーリングテープ180は、電極組立体120の構造が崩れることを防止できる最小限の範囲内で最外側仕上げ部120aを含めるように、適切にその幅と円周の長さを調節することができる。このとき、動き防止テープ130は、シーリングテープ180を覆うように付着するかまたは覆わないように付着することもできる。これは、二次電池を製造する過程で容易に選択的に実施できるものである。
【0082】
電極組立体120の最外側仕上げ部120aを含めるようにシーリングテープ180が付着することを除いて、電極組立体120と動き防止テープ130の各構成は、前述の図1〜図6に示した実施形態についての説明と同様であるので、これについての詳細な説明は省略することにする。
【0083】
図9は、本発明のさらに別の実施形態による二次電池に使用される動き防止テープの断面図であり、図10は、図9の動き防止テープが適用された二次電池に電解液が注入された後の形態を概略的に示す横断面図である。
【0084】
図9及び図10に示すように、本発明による二次電池は、ケース110の内部に収容された電極組立体120の外周面を囲む動き防止テープ130aを備える。動き防止テープ130aを除いた他の構成は、図1〜図6に示した実施形態についての説明と同様であるので、ここでは、動き防止テープ130aのみについて詳しく説明する。
【0085】
動き防止テープ130aは、電極組立体120の外部表面に接触する粘着層132と、粘着層132上に形成される補助基材層133と、補助基材層133上に形成される補助粘着層134と、補助粘着層134上に形成されて電解質と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層131とを含む。
【0086】
動き防止テープ130aは、電極組立体120の外周面とケース110の内面との間に位置する。上記の構成を有する動き防止テープ130aは、電極組立体120の最外側仕上げ部120aを含めて付着することが好ましい。
【0087】
基材層131と粘着層132は、前述の図1〜図6で説明したものと同様であるので、その詳細な説明は省略することにする。
【0088】
粘着層132上に形成された補助基材層133は、動き防止テープ130aが電極組立体120の最外側仕上げ部120aを含めて付着するとき、基材層131が電解液と接触し、形態が変形されて、電極組立体120の構造が崩れることを防止するために形成される。
【0089】
補助基材層133は、これに限られるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)のような物質からなるフィルムであってもよい。
【0090】
さらに、補助基材層133は10〜20umの厚さに形成されることが好ましい。しかし、本発明で補助基材層133の厚さを限定するものではなく、可変的に形成できることは明らかである。
【0091】
補助粘着層134は、基材層131と補助基材層133を連結する役割を果たす。補助粘着層134としては、粘着層132と同様に、アクリル系粘着剤を使用することができ、アクリル系粘着剤としては、PMMA(polymethylmethacrylate)、PEMA(polyethylmethacrylate)またはPBMA(polybutylmethacrylate)から選択されたものを使用できる。
【0092】
さらに、補助粘着層134は、前述の粘着層132と同様に、補助基材層133上に様々な公知の方法によって様々な厚さにコーティング形成されることができる。例えば、補助粘着層134は、粘着剤をナイフコーティングによって1〜30umの厚さにコーティングして形成されることもできる。しかし、本発明でこのような粘着剤のコーティング方法とコーティング厚さを限定するものではない。
【0093】
図11は、本発明のさらに別の実施形態による動き防止テープを具備した電極組立体の斜視図であり、図12は、図11に示す動き防止テープを具備した電極組立体を含む角形二次電池の分解斜視図である。
【0094】
図11及び図12を参照すると、角形二次電池200は、略角形の形状を有するケース210と、ケース210の内部に収容される電極組立体220と、電極組立体220の外側表面の少なくとも一部に付着する動き防止テープ230と、ケース210の上部に結合されるキャップ組立体240とを含む。
【0095】
ケース210は、略四角形状の金属材質の缶からなり、それ自体が端子の役割を果たすことが可能である。
【0096】
電極組立体220は、第1の電極板221、第2の電極板222及びセパレーター223を含む。電極組立体220は、第1の電極板221と第2の電極板222の間にセパレーター223が介在した状態で、略四角形状に巻回して形成される。
【0097】
電極組立体220は、第1の電極タブ227aと第2の電極タブ227bとをさらに含むこともできる。電極組立体220から第1の電極タブ227aと第2の電極タブ227bとが引出される境界部には、第1の電極板221と第2の電極板222の間の短絡を防止するために、絶縁テープ(図示せず)が形成されることもできる。
【0098】
電極組立体220が略四角形状に形成されること及び電極タブの引出方向を除いて、電極組立体220の各構成は前述の円筒形二次電池で説明したものと同様であるので、これについての詳細な説明は省略することにする。
【0099】
動き防止テープ230は、電極組立体220の外部表面の少なくとも一部に付着する。すなわち、動き防止テープ230は、電極組立体220とケース210の間に位置する。上記の動き防止テープ230の各層についての説明及び付着位置などは、前述の円筒形二次電池で説明したものと同様であるので、これについての詳細な説明は省略することにする。
【0100】
前述したように、動き防止テープ230は、電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層を含む。基材層が電解液と接触して少なくとも一部が粘着性を示すと、粘着性を示す基材層の少なくとも一部はケース210の内部表面に接触して、電極組立体220が内部で動くことを防止するようになる。
【0101】
キャップ組立体240は、ケース210の開口部と対応する大きさと形状を有する蓋板241を含む。蓋板241の中央部には、端子通孔241aが形成されており、蓋板241の一側には、電解液を注入するための電解液注入孔241bが形成されている。電解液注入孔241bは、栓241cと結合されて密閉される。
【0102】
端子通孔241aには、電極端子242、例えば、負極端子が挿入されることもできる。電極端子242の外部面には、蓋板241との電気的絶縁のためにガスケット243が具備される。蓋板241の下面には絶縁板244が配置される。絶縁板244の下面には端子板245が設けられる。
【0103】
電極端子242は、ガスケット243が外周面を取り囲んだ状態で端子通孔241aを通して挿入されている。電極端子242の底面部は、絶縁板244を介在した状態で、端子板245と電気的に接続されている。
【0104】
蓋板241の下面には、第1の電極板から引出された第1の電極タブ227aが溶接されており、電極端子242の下部には、第2の電極板から引出された第2の電極タブ227bが溶接される。
【0105】
一方、電極組立体220の上面には、電極組立体220とキャップ組立体240とを電気的に絶縁し、同時に電極組立体220の上部をカバーすることができる絶縁ケース246が設けられている。絶縁ケース246は、蓋板241の電解液注入口241bと対応する位置に電解液注入通孔246bを具備して、電解液を注入できるようにする。絶縁ケース246は、絶縁性を有する高分子樹脂として、好ましくはポリプロピレンからなるが、本発明の実施形態でその材質を限定するものではない。
【0106】
一方、図面上には示されていないが、角形二次電池200は、保護回路モジュールと上部カバーを備えることができる。例えば、保護回路モジュールは、電極組立体220の充放電及び誤作動を制御するためのものであって、例えば、電極組立体220から過電流が流れたとき、この過電流を遮断する役割を果たす。また、保護回路モジュールは、一般的に様々な保護回路を備える構造からなる。さらに、上部カバーは、保護回路モジュールを覆うように形成されることもできる。保護回路モジュールと上部カバーは、当該分野における通常の知識を有する者であれば容易に形成することができるものである。
【0107】
このような角形二次電池200の場合、動き防止テープ230の基材層が電解液と接触する場合、表面が不規則に変化して、基材層の少なくとも一部が粘着性を示す。このとき、粘着性を示す基材層の少なくとも一部は、ケース210の内面と接触するようになって、電極組立体220がケース210の内部で動くことを防止する効果がある。すなわち、本発明による角形二次電池200では、電極組立体220とケース210の間が粘着力によって堅固に固定されることで、電極組立体220がケース210の内部で動くことが防止される。
【0108】
図13は、本発明のさらに別の実施形態による動き防止テープを具備した電極組立体を含むパウチ形二次電池の分解斜視図である。
【0109】
図13を参照すると、パウチ形二次電池400は、パウチからなるケース410と、ケース410に収容される電極組立体420と、電極組立体420の外側表面の少なくとも一部に付着する動き防止テープ430とを含む。
【0110】
ケース410は、アルミニウム(Al)のような金属材質からなる芯部410aと、芯部410aの上部面上に形成された熱融着層410bと、芯部410aの下部面上に形成された絶縁膜410cとからなることもできる。熱融着層410bは、ポリマー樹脂である変性ポリプロピレン、例えばCPP(Casted Polypropylene)を使用して接着層として作用し、絶縁膜410cは、ナイロン(登録商標)やポリエチレンテレフタレート(PET)のような樹脂剤で形成されてもよいが、本発明においてパウチケース410の構造及び材質を限定するものではない。また、ケース410は、電極組立体420が収容される空間411aを備える下面411と、空間411aが形成された下面411をカバーする上面412とからなる。また、電極組立体420を収容するための空間411aは、プレス(press)加工などによって形成されることもできる。
【0111】
ケース410は、下面411の空間411aに電極組立体420を収容した後、上面412で覆い、密封して接合される。
【0112】
電極組立体420及び動き防止テープ430は、前述の角形二次電池で説明したものと同様であるので、これについての詳細な説明は省略することにする。
【0113】
動き防止テープ430が付着した電極組立体420は、ケース410に収納される。電極組立体420は第1の電極タブ427aと第2の電極タブ427bとを含む。第1の電極タブ427aと第2の電極タブ427bとは、電極組立体420がケース410に収納された後、所定の方向に所定の長さだけ外部に引出される。
【0114】
一方、図面に示されてはいないが、パウチ形二次電池400は、保護回路モジュールをさらに備えることもできる。保護回路モジュールは、電極組立体420の充放電及び誤作動を制御するためのものであって、例えば、電極組立体420から過電流が流れたとき、過電流を遮断する役割を果たす。また、保護回路モジュールは、一般的に様々な保護回路を備える構造からなる。このとき、保護回路モジュールは、電極組立体420の第1の電極タブ427a及び第2の電極タブ427bと電気的に接続される。
【0115】
このようなパウチ形二次電池400の場合、動き防止テープ430の基材層が電解液と接触すると、表面が不規則に変化して基材層の少なくとも一部が粘着性を示す。このとき、粘着性を示す基材層の少なくとも一部は、ケース410の内面と接触して、電極組立体420がケース410の内部で動くことを防止する効果がある。すなわち、本発明によるパウチ形二次電池400では、電極組立体420とケース410の間が粘着力によって堅固に固定されることで、電極組立体420がケース410の内部で動くことが防止される。
【0116】
本発明の別の態様によると、二次電池の製造方法が提供される。
【0117】
二次電池の製造方法は、電極組立体の外部表面の少なくとも一部に、電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層を含む動き防止テープを付着させ、ケースに動き防止テープが付着した電極組立体を挿入する電極組立体挿入段階と、基材層を電解液に接触させて、基材層の少なくとも一部が粘着性を示すようにして、粘着性を示す基材層の少なくとも一部をケースの内部表面に接触させる電解液注入段階とを含む。
【0118】
以下、添付の図1〜図6を参照して、二次電池の製造方法の一例を説明する。但し、以下で説明される二次電池の製造方法は、円筒形二次電池を基準とするが、角形及びパウチ形二次電池にこれを適用することは、当業者に容易なことである。
【0119】
円筒形二次電池100の製造方法は、電極組立体120挿入段階と電解液注入段階を含む。
【0120】
電極組立体120挿入段階は、電極組立体120の外部表面の少なくとも一部に、電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層131を含む動き防止テープ130を付着させ、ケース110に、動き防止テープ130が付着した電極組立体120を挿入する段階である。
【0121】
ここで、基材層131を含む動き防止テープ130は、前述の円筒形二次電池100で詳細に説明したので、それについての詳細な説明は省略することにする。
【0122】
動き防止テープ130は、電極組立体120の外部表面とケース110の内面の間に位置するようになる。
【0123】
このとき、動き防止テープ130が付着した電極組立体120をケース110に挿入する前または後、その他の二次電池100の構成の一部を組み立てることができる。
【0124】
例えば、下部絶縁部材150、動き防止テープ130が付着した電極組立体120、及び上部絶縁部材140が下側から順に位置した状態で、電極組立体120の第2の電極タブ127bをケース110の底板112に溶接のような方法で結合する。このとき、ケース110にはビーディング部111と圧接部116とが形成されていない状態である。
【0125】
次に、ケース110の側壁113にビーディング部111を形成して、下部絶縁部材150、動き防止テープ130が付着した電極組立体120、及び上部絶縁部材140がケース110の内部で底板112の垂直方向に動くことを防止する。
【0126】
上記のように、動き防止テープ130が付着した電極組立体120をケース110の内部に収納し、その他の構成を組み立てた後、電解液注入段階に進む。
【0127】
電解液注入段階は、基材層131を電解液に接触させて、基材層131の少なくとも一部が粘着性を示すようにして、粘着性を示す基材層131の少なくとも一部をケース110の内部表面に接触させる段階である。
【0128】
電解液は、充放電の際に電極で電気化学反応によって生成されるリチウムイオンを移動可能にする役割を果たす。
【0129】
電解液がケース110の内部に注入されると、電極組立体120の外部に付着した動き防止テープ130の基材層131に電解液が接触するようになる。このとき、基材層131は、電解液との接触によって粘着力を有するようになる。粘着力を有する基材層131の少なくとも一部はケース110の内部表面に接触するようになり、それによって電極組立体120がケース110の内部で動くことが防止される。
【0130】
電解液注入段階の後、その他の二次電池100の構成を組み立てる。例えば、ガスケット160をケース110の開口部114を通して挿入し、ビーディング部111上に載置する。その後、キャップ組立体170をガスケット160の内部に位置させた後、ケース110の側壁113の上端に圧接部116を形成して、ガスケット160及びキャップ組立体170を固定する。
【0131】
上記のように二次電池100を組み立てた後は、通常、後続する後処理工程である化成工程及びエイジング工程を実施することもできる。化成工程及びエイジング工程は、角形やパウチ形二次電池に共通に適用されることができる。
【0132】
化成工程は、電池を組み立てた後、充放電を繰り返して電池を活性化する工程である。化成工程で、充電の際に正極として使用されるリチウム金属酸化物から生成されたリチウムイオンが負極として使用されるカーボン電極に移動して挿入されるが、このとき、リチウムは反応性が強いので、カーボン負極と反応して、LiCO、LiO、LiOHなどの化合物を生成し、これらはカーボン電極の表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)という被膜を形成する。
【0133】
エイジング工程は、SEI被膜を安定化するために、電池を所定期間の間放置する工程である。通常、エイジング工程は、組み立て段階を経た二次電池100を50℃〜70℃の環境に18時間〜36時間の間露出させることで行われる。このようなエイジング工程を経て、動き防止テープ130の基材層は十分な粘着力を有するようになり、それによって電極組立体120の動きを効果的に防止する。
【0134】
以下、本発明を下記の実施例を通じてより詳細に説明するが、これは本発明の理解を容易にするためのもので、本発明をこれに限定するものではない。
【0135】
[実施例]
(実施例1)
正極活物質としてLiCoO、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)及び導電材としてカーボンを92:4:4の重量比で混合した後、N‐メチル‐2‐ピロリドンに分散させて、正極スラリーを製造した。このスラリーを厚さ20umのアルミニウム箔にコーティングした後、乾燥、圧延して、正極板を製造した。
【0136】
負極活物質として、人造黒鉛、バインダーとしてスチレン‐ブタジエンゴム及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを96:2:2の重量比で混合した後、水に分散させて、負極活物質スラリーを製造した。このスラリーを厚さ15umの銅箔にコーティングした後、乾燥、圧延して、負極板を製造した。
【0137】
セパレーターとしては、厚さ20umのポリエチレン/ポリプロピレン多孔性膜(Hoest Cellanese社、米国)を使用し、負極板と正極板の間にセパレーターを配置し、これを巻回した後、動き防止テープで巻回末端を含めるように付着させて、電極組立体を形成した。
【0138】
このとき、動き防止テープとしては、32umのOPSフィルム上にPMMA粘着剤を15umの厚さに塗布したものを使用し、電極組立体としては、長径が17.00mmで短径が16.56mmであるものを使用し、電極組立体の外部表面の円周の全体長さ52mmを基準としたとき、52mm全体に動き防止テープを付着させた(但し、電極組立体の上端部と下端部には別途の余分を残さずに動き防止テープを付着させた)。
【0139】
渦巻状に巻回された電極組立体をアルミニウム円筒形電池ケースに挿入した後、電解液を注入し、密封して、二次電池を完成した。
【0140】
このとき、電解液としては、1.1M濃度のLiPF6が溶解されたエチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/プロピレンカーボネート(PC)/フルオロベンゼン(FB)(体積比でEC:EMC:PC:FBの混合比は30:55:5:10)の混合有機溶媒を使用した。
【0141】
(実施例2〜4)
動き防止テープの付着長さを下記の表1に示すように変更したことを除いて、実施例1と同様に実施して、二次電池を製造した。
【0142】
(比較例1)
動き防止テープの代わりにPETフィルム上にPMMA粘着剤を塗布したシーリングテープを使用したことを除いて、実施例1と同様に実施して、二次電池を製造した。
【0143】
(実験例1:動き測定)
実施例及び比較例で製造した二次電池の動きをドラムテスト方法で測定し、その結果を下記の表1及び表2に示した。
【0144】
ドラムテストは、二次電池をドラム(Drum)に入れて、振動(66RPM)を与えながら単位時間当り二次電池の内部抵抗(IR)の変化を測定したものである。ドラムテストの結果、IR測定が不可能となる時点までの時間が長ければ長いほど、二次電池の内部動きが少ないということを意味するので、ドラムテスト結果を通じて動き防止効果を確認することができる。参照として、内部抵抗の増加率は初期に比べて110%未満であることが好ましい。
【0145】
さらに、それぞれの二次電池サンプルを6個ずつ準備して測定した。
【0146】
【表1】

【0147】
【表2】

【0148】
表1及び表2に示すように、一般的なシーリングテープを適用した比較例1のドラムテストの結果、80分で内部抵抗を測定できなかったが、本発明による動き防止テープを適用した実施例の場合、130分以前のドラムテストでは全て内部抵抗を測定することができた。したがって、動き防止効果が優れていることを確認できる。
【0149】
また、実施例1〜4の場合、動き防止テープを電極組立体の外部表面の円周全体に対して半分を使用した実施例2の場合、ドラムテストの結果、130分で1個のサンプルで内部抵抗を測定できなかった。それによって、動き防止テープは、電極組立体の外部表面の円周全体を1とした時、0.5を超過するように付着させることがより好ましいことが分かる。特に、動き防止テープを電極組立体の外部表面の円周全体を1としたとき、1だけ付着させた実施例1の場合、ドラムテストの結果、実施例3及び4に比べて効果が劣ることを確認できる。すなわち、動き防止テープは、電極組立体の外部表面の円周全体を1としたとき、0.5超過〜1未満にする場合、動き防止効果が優れるだけでなくテープ節減効果も優れることを確認できる。
【0150】
(実験例2:粘着力確認)
実施例1〜4のような方法で製造された二次電池にドラムテストを実施せず、電極組立体の粘着力を測定して、その結果(6個サンプルの平均値)を下記の表3に示した。粘着力は、製造された二次電池の上端と下端をカッティングした後、下端にプッシュプルゲージを位置させ、その後プッシュフルゲージを上端方向に押し上げて、極組立体が移動する時点での力を測定した値である。
【0151】
【表3】

【0152】
表3に示すように、本発明による動き防止テープを適用した実施例の二次電池の場合、比較例の二次電池に比べて優れた粘着力を示すことを確認できる。
【符号の説明】
【0153】
100、200、400 二次電池
110、210、220 ケース
120、220、420 電極組立体
130、130a、230、430 動き防止テープ
131 基材層
132 粘着層
133 補助基材層
134 補助粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、
電解液と、
前記電極組立体の外部表面の少なくとも一部に付着した動き防止テープと、
前記電極組立体を収容するケースと、を含み、
前記動き防止テープは前記電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層を含み、粘着性を示す前記基材層の少なくとも一部はケースの内部表面に接触することを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記動き防止テープは、前記基材層の背面に形成されて前記電極組立体の外部表面に接触する粘着層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記基材層は、前記電解液と接触すると少なくとも一部が収縮して粘着性を示すことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記基材層はOPS(oriented polystyrene)フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極組立体は、第1の電極、第2の電極及び前記第1の電極と前記第2の電極の間に介在されるセパレーターを積層した後、該積層体を巻回して形成され、前記電極組立体は、前記セパレーターの巻回末端が位置する最外側仕上げ部を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記動き防止テープは、前記電極組立体の前記最外側仕上げ部を含めて付着したことを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記電極組立体の前記最外側仕上げ部には、前記動き防止テープが付着したことを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
【請求項8】
前記電解液は、カーボネート系溶媒を含み、前記カーボネート系溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びジプロピルカーボネート(DPC)からなる群から選択された少なくとも一つのカーボネート系溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記電解液は、前記カーボネート系溶媒を10〜60重量%含むことを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記基材層は、10〜50um範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
前記動き防止テープは、前記電極組立体の外部表面全体を囲むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項12】
前記動き防止テープは、前記電極組立体の外部表面の円周の長さを1としたとき、少なくとも0.5の長さだけ囲むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項13】
前記動き防止テープは、前記電極組立体の外部表面の円周の長さを1としたとき、0.5よりは大きく1よりは小さい長さだけ囲むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項14】
前記動き防止テープは、前記電極組立体の外部表面の上端部及び下端部を除いた部分を囲むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項15】
前記動き防止テープの幅は、前記電極組立体の幅の少なくとも20%であることを特徴とする請求項14に記載の二次電池。
【請求項16】
前記動き防止テープは、前記粘着層上に順次に形成された補助基材層と補助粘着層をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の二次電池。
【請求項17】
前記動き防止テープは、前記電解液との接触後の粘着力が少なくとも1kgf/cmであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項18】
前記ケースは、円筒形、角形またはパウチ形ケースであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項19】
電極組立体と、
電解液と、
前記電極組立体の外部表面の少なくとも一部に付着した動き防止テープと、
前記電極組立体を収容するケースと、を含み、
前記動き防止テープは、前記電極組立体の外部表面に接触する粘着層と前記粘着層上に形成されて前記電解液と接触すると少なくとも一部が粘着性を示す基材層とを含み、
粘着性を示す前記基材層は、その表面が不規則に形成されたことを特徴とする二次電池。
【請求項20】
粘着性を示す前記基材層は、第1の領域及び第2の領域を含み、前記第1の領域は前記第2の領域より厚く、前記第1の領域は前記ケースの内部表面に接触することを特徴とする請求項19に記載の二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−243553(P2011−243553A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155667(P2010−155667)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】