説明

作業機

【課題】外部からの接当衝撃をバンパ部材で緩衝することにより、ボンベケースの変形を防止しガスボンベへの被害を回避すると共に、ガスエンジンの上方にボンベケースとマフラを空間部を介して纏め機体の小型化を図ることができる作業機を提供する。
【解決手段】ガスボンベ8とマフラ23を有するガスエンジン6を機体前部に備えた作業機1であって、前記ガスエンジン6の前部上方にガスボンベ8を収容するボンベケース13を取付け、該ボンベケース13の前方に外部からの衝撃を緩衝するバンパ部材20を設けた構成にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセット型のガスボンベとマフラを前後方向に設けたガスエンジンを機体前部に備える耕耘機や管理機等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料ガスを充填したカセット型のガスボンベとマフラを前後方向に設けたガスエンジンを機体前部に備える作業機は既に公知である(例えば、特許文献1参照。)。
上記作業機はガスエンジンの前部上方にガスボンベをボンベ接続部(カプラ)に着脱自在に支持するボンベ支持部(ボンベ装填台)を取付け、該ボンベ支持部のボンベ接続部に近接させた位置にマフラを配設し、両者及びエンジンの全体をボンネットによって上方から覆っている。
【特許文献1】特開平11−170876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献で示される作業機は、ボンベ支持部にマフラを近接させて配置するので、ボンネット内でガスボンベを加熱しガス気化効率を上げることができる利点がある。然し、上記作業機はガスエンジン全体を上方から覆うボンネットを備えてガスボンベ及びマフラ等を覆うので、機体の重量が増大する欠点があると共に、ガスボンベを交換する度に重量のあるボンネットの開閉動作をしなければならない煩雑さがある。
また作業機が前進走行時等に外部の接当物と不慮に接当したとき、ボンネットは接当衝撃を受けて緩衝するが、変形や破損をした場合にボンネットの修理や交換が困難であったりコスト高になる等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明の作業機は、第1に、ガスボンベ8とマフラ23を有するガスエンジン6を機体前部に備えた作業機1において、前記ガスエンジン6の前部上方にガスボンベ8を収容するボンベケース13を取付け、該ボンベケース13の前方に外部からの衝撃を緩衝するバンパ部材20を設けたことを特徴としている。
第2に、ボンベケース13の後方に遮熱用の空間部Kを形成して、マフラ23をボンベケース13と略同高さ位置に設置したことを特徴としている。
第3に、ボンベケース13とマフラ23の間に空間部Kを上方から覆う空間部カバー21を設けたことを特徴としている。
第4に、空間部カバー21の一側に、ボンベケース13から延出される燃料供給管27の上方及び側方を覆う配管カバー部25を一体的に形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明による作業機は次のような効果を奏する。ガスエンジンの前部上方にガスボンベを収容するボンベケースを取付け、該ボンベケースの前方にバンパ部材を設けたことにより、走行時等に外部の接当物をバンパ部材で受けることができ、接当襲撃をバンパ部材で緩衝したのち機体に伝えるので、ボンベケースの変形を防止しガスボンベへの被害を回避すると共に、機体への衝撃を緩和し保護することができる。
またボンベケースの後方に遮熱用の空間部を形成して、マフラをボンベケースと略同高さ位置に設置したことにより、ガスエンジンの上方にボンベケースとマフラを空間部を介して前後方向に略同じ高さにコンパクトに纏めて併設でき、機体の小型化を図ることができる。
またボンベケースとマフラの間に空間部を上方から覆う空間部カバーを設けたことにより、バンパ部材を備えたボンベケースとマフラとの間に形成される空間部を空間部カバーで覆い、ガスエンジンの上方に前後方向に連ならせるので、ガスエンジンの上方全体を覆うボンネット構造を必要とすることなく、機体の小型化と軽量化を図ることができる。また空間部内へのゴミ類の侵入を規制して設置品等へのゴミ付着や滞積を防止することができる。
また空間部カバーの一側に、ボンベケースから延出される燃料供給管の上方及び側方を覆う配管カバー部を一体的に形成したことにより、空間部カバーは空間部を上方から覆うと共に、配管カバー部によって燃料供給管を覆うので、マフラの発熱によってボンベケースを過熱させることのない遮熱を行うことができる。さらに空間部カバーは一体的に構成された配管カバー部によって燃料供給管を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1,図2において符号1は作業機の一例として示す管理機であり、車輪又は耕耘爪等の回転体2を設ける車軸2aを左右に軸支するミッションケース3に、後方上方に向けて延出する二股状のハンドル4を取付け、ミッションケース3の中途部に取付固定した機台フレーム5にガスエンジン6を搭載している。尚、実施形態の作業機1は回転体2を複数の耕耘爪からなる車軸装着型のロータリ耕耘体としている。
【0007】
この作業機1はガスエンジン6のエンジン出力軸からベルトカバー7内のベルト伝動機構によって、エンジン動力をミッションケース3の入力軸に入り切り自在に伝動している。そして、ガスエンジン6は後述するボンベ支持部12にセットされるカセット型のガスボンベ8から供給されるプロパンガスを燃料として運転駆動する方式としている。また上記ベルト伝動機構はハンドル4の左側に設けた主クラッチレバー9を操作し、ベルトテンションクラッチをエンジン動力を入り切り自在とする構成にしている。またハンドル4の右側に、ガスエンジン6のアクセルレバー10を設けている。11はミッションケース6の後部に着脱自在に取付支持される耕耘抵抗棒であり、機体の立姿勢を保持するスタンドにすることもできる。
【0008】
次に図1〜図3を参照しガスエンジン6の前部上方でガスボンベ8を装着可能とするボンベ支持部12について説明する。図示例のボンベ支持部12は、燃焼室を内装し図示しないガバナ部を備えるエンジンケース6aの前部に、ガスボンベ8を収容する円筒状のボンベケース13を横向に支持する支持部材15を、該支持部材15の左右に下向きに突設した複数の支持脚16をボルト17によって着脱自在に取付固定している。
この支持部材15は上向きコ字状となす板部材の前後に前片18と後片19を略水平状となして一体的に屈曲形成し、コ字状の凹部内にボンベケース13を取付固定し、且つ前片18に後述するバンパ部材20を取付けると共に、後片19に空間部カバー21を着脱自在に取付けるようにしている。
【0009】
上記バンパ部材20はボンベケース13と略同じ長さとなし、図3で示すように側面視で逆向きコ字状に形成して該ボンベケース13の中腹部の前部に位置せしめ、前片18を入り込ませ上辺の内側に対し着脱自在に取付固定している。また空間部カバー21はボンベケース13と略均しい幅となし、正断面視で下向きコ字状に形成しており、ボンベケース13の上面よりやや下位において、後片19に取付ネジ22によって取付支持している。
これにより空間部カバー21は、後方に配置するマフラ23との間に形成した遮熱用の空間部Kを上方から覆ってエンジンケース6aの上部に設けられ、例えばプラグ部或いは各種の操作用部材等の設置品6cを覆って保護することができる。
【0010】
またマフラ23はエンジンケース6aの排気口から上方に向けて屈曲させた排気管6bを介し、その上面を前記ボンベケース13と略同じ高さ位置で、且つボンベケース13との間に空間部Kを有して立設している。そして、図示例におけるマフラ23は上面と前後面を、側断面視でコ字状をなすマフラカバー24により覆っている。
これによりガスエンジン6の上方に、前方からバンパ部材20を備えたボンベケース13と空間部カバー21とマフラ23とを連ならせるので、敢えてガスエンジン6の上方全体を覆うボンネット構造を必要とすることなく、ガスエンジン6の上方を上記各部品の連接により覆って、機体の小型化と軽量化を図ることができる等の特徴を創出する。
【0011】
また図示例の空間部カバー21はその右辺側に正面視で、下向きに折り曲げた段部21aを介し、下向きL字状の配管カバー部25を一体的に延設し、ボンベケース13の右端に構成されるボンベ接続部26から延出する燃料供給管27の上方及び側方を囲うように覆っている。従って、上記空間部カバー21は空間部Kを上方から覆うと共に、配管カバー部25によって燃料供給管27を覆うので、マフラ23が高温になったとしてもボンベケース13を過熱させることのない遮熱を行うことができる。また空間部カバー21で囲われる空間部Kはマフラ23の雰囲気温度によって燃料供給管27の加温を行なうことができ、且つ設置品6cや燃料供給管27等へのゴミの付着や滞積を防止することができる。さらに空間部カバー21は段部21aを介して配管カバー部25を構成するので、剛性の高い構造にすることができる。
【0012】
また上記ボンベケース13は、ガスボンベ8を横向に収容する筒状のケース本体13aの左端を開口させて、蓋29を開閉自在に設ける出入口13bを形成し、且つ右端に前記ボンベ接続部26を構成して閉鎖し、該ボンベ接続部26の外側に燃料供給管27を取付固定しガスボンベ8内の燃料ガスをガスエンジン6のガバナ部に供給する構造としている。尚、燃料供給管27は金属管からなり、前記空間部Kを経て下向きに屈曲した部位をマフラ23及びエンジンケース6aに近接させ、ガスを暖めながらガバナ部に供給する配管にしている。
【0013】
上記構成により出入口13bからボンベケース13内に挿入したガスボンベ8は、ノズル部をボンベ接続部26に接続した状態で蓋29を閉じることにより、ボンベケース13内に安定よく支持される。またガスボンベ8の取り出しは、蓋29を開き逆順の動作によって新たなものと簡単に交換することができる。さらにボンベケース13は、燃料供給管27を備えた側のボンベ接続部26をケース本体13aに一体的に構成しているので、ガスボンベ8を出し入れする際に燃料供給管27を動かすことなく固定したまま行うので、燃料供給管27の破損やガス漏れ等を防止することができる。
【0014】
以上のように構成される作業機1は、ガスエンジン6の前部上方に取付けたボンベケース13の前方にバンパ部材20を設けたことにより、走行時等に外部の接当物を先ずバンパ部材20が受けて接当襲撃を緩衝したのち機体に伝えるので、接当物との直接的な接当を防止しボンベケース13の変形や破損及びガスボンベ8への被害を回避することができると共に、機体への衝撃を緩和し保護することができる。
【0015】
またバンパ部材20は支持部材15を介しガスエンジン6の前面上方に強固に支持して、ボンベケース13の前面を簡単な構成によって覆うので、外部からの衝撃を支持部材15によっても緩衝することができる。また上記バンパ構造は従来のもののように大型のボンネット構造型のバンパ部材にすることなく、支持部材15に横棒状のバンパ部材20にすることができるので、ボンベケース13の中腹部前面部を横断させる簡潔な構成のバンパ構造となり機体の軽量化を図ることができる。
【0016】
さらに、ボンベケース13の後方に遮熱用の空間部Kを形成しマフラ23をボンベケース13と略同高さ位置に設置し、空間部Kを上方から空間部カバー21で覆うことにより、ボンベケース13とマフラ23と空間部カバー21は一連の平坦状面をなして連なりエンジン6の上方を覆う態様となるので、エンジン6全体を覆う大型のボンネットを不要にすることができ、廉価で小型の管理機に最適な構成にすることができる等の特徴がある。
尚、実施形態においてバンパ部材20はボンベ支持部12に設けたが、これに限ることなく例えば機台フレーム5側から上方に向けて延設したパイプ材等からなるバンパ部材を、ボンベケース13の前面に設けた構成にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係わるバンパ部材を備えた作業機の側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の要部の構成を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 作業機(管理機)
2 機体フレーム
6 ガスエンジン
8 ガスボンベ
13 ボンベケース
20 バンパ部材
21 空間部カバー
23 マフラ
25 配管カバー部
27 燃料供給管
K 空間部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスボンベ(8)とマフラ(23)を有するガスエンジン(6)を機体前部に備えた作業機(1)において、前記ガスエンジン(6)の前部上方にガスボンベ(8)を収容するボンベケース(13)を取付け、該ボンベケース(13)の前方に外部からの衝撃を緩衝するバンパ部材(20)を設けた作業機。
【請求項2】
ボンベケース(13)の後方に遮熱用の空間部(K)を形成して、マフラ(23)をボンベケース(13)と略同高さ位置に設置した請求項1記載の作業機。
【請求項3】
ボンベケース(13)とマフラ(23)の間に空間部(K)を上方から覆う空間部カバー(21)を設けた請求項1又は2記載の作業機。
【請求項4】
空間部カバー(21)の一側に、ボンベケース(13)から延出される燃料供給管(27)の上方及び側方を覆う配管カバー部(25)を一体的に形成した請求項1又は2又は3記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−107477(P2009−107477A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281853(P2007−281853)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】