作業車の操作装置
【課題】 自己復帰自在な一対の操作対象装置を1本の操作レバーによって操作する作業車の操作装置において、操作レバーを操作位置に保持する機構の面から構造簡単に得ることができるようにする。
【解決手段】 操作レバー95の回転支軸97に第1及び第2死点越えリンク機構105,119を設けてある。第1死点越えリンク機構105を第1連動機構100により、制御弁89の車輪上昇位置uに付勢された切り換え操作部96に連動させてある。第2死点越えリンク機構119を第2連動機構110により、植え付けクラッチ53の入り位置に付勢された操作部58に連動ささせてある。第1連動機構110の揺動リンク102と、第2連動機構110の揺動リンク112とにわたってスプリング118を連結してある。
【解決手段】 操作レバー95の回転支軸97に第1及び第2死点越えリンク機構105,119を設けてある。第1死点越えリンク機構105を第1連動機構100により、制御弁89の車輪上昇位置uに付勢された切り換え操作部96に連動させてある。第2死点越えリンク機構119を第2連動機構110により、植え付けクラッチ53の入り位置に付勢された操作部58に連動ささせてある。第1連動機構110の揺動リンク102と、第2連動機構110の揺動リンク112とにわたってスプリング118を連結してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1操作対象装置及び第2操作対象装置の自己復帰自在な操作部を1本の操作レバーによって操作するように構成した作業車の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例としての田植機において、苗植付け作業部の昇降操作と、苗植付け作業部の駆動及び停止操作とを1本の操作レバーによって行なうように構成されることがある。この種のものとしては、従来、例えば特許文献1に示されるように、苗植付け装置6を走行機体に対して昇降操作する油圧シリンダ7の制御弁55と、苗植付け装置6に対する動力伝達を入り切りする植付クラッチ64とを、1本の昇降レバー29によって操作することができるように構成されたものがあった。
【0003】
すなわち、昇降レバー29は、この昇降レバー29に固定された支持軸42、この支持軸42がブラケット39aを介して支持されている操作板39、この操作板39に連結された支持軸38を介して支持板90に支持されている。
前記支持軸38にアーム50が一体回動自在に備えられており、このアーム50の当接部50aにボルト52によって当接する天秤アーム49、この天秤アーム49の支持軸48に一体回動自在に連結されたアーム54、このアーム54に一端側が連結された連係ロッド57、この連係ロッド57の他端側が連結された天秤アーム56を介し、制御弁55のスプール55aと前記天秤アーム49とが連動されている。制御弁55のスプール55aは、バネ55bによって苗植付け装置下降側に付勢されている。
前記操作板39の長孔39bに一端側が係入している連係ロッド61、この連係ロッド61の他端側が係入している長孔60aを備えた第2連係部材60、この第2連係部材60に一端側が連結している連係ロッド67を介し、植付けクラッチ64のクランクアーム66と前記操作板39とが連動されている。植付けクラッチ64のクランクアーム66は、第2連係部材60に連結された切りバネ68によって切り位置に付勢されている。
つまり、昇降レバー29は、支持軸38の軸芯P7まわりで案内板70のレバーガイド71に沿わせて揺動操作して上昇位置、下降位置、植付位置に切り換え操作するようになっており、昇降レバー29を上昇位置に操作すると、制御弁55が上昇位置に、植付けクラッチ64が切りにそれぞれなる。昇降レバー29を下降位置に操作すると、制御弁55が下降位置に、植付けクラッチ64が切りにそれぞれなる。昇降レバー29を植付位置に操作すると、制御弁55が下降位置に、植付けクラッチ64が入りにそれぞれなる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−231316(段落〔0030〕−〔0057〕、図8−13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の操作装置にあっては、操作板39に複数個の凹部39e及び1個の凸部39dを設け、支持部材36に横軸芯P10まわりで揺動自在に支持されている保持アーム74がばね75によって操作板39側に揺動付勢され、保持アーム74のローラ4aが操作板39の凹部39eや凸部39dに入り込みや接当操作されることにより、昇降レバー29が上昇位置、下降位置、植付位置に保持されるようになっていた。
【0006】
つまり、上記した従来の技術を採用した場合、操作レバーが複数の操作位置のいずれに操作された際にも操作レバー、又は、操作レバーに連結された部材に対して係止作用する位置決め機構を備えることにより、操作レバーを各操作位置に位置保持することができるようにせねばならず、この面から構造が複雑になっていた。
【0007】
本発明の目的は、一対の自己復帰自在な操作対象装置を1本の操作レバーによって操作するものでありながら、レバー位置決めの面から構造簡単に得ることができる作業車の操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1発明にあっては、第1操作対象装置及び第2操作対象装置の自己復帰自在な操作部を1本の操作レバーによって操作するように構成した作業車の操作装置において、
前記操作レバーの回転支軸を挟み合う配置状態で前記回転支軸に設けた一対の死点越えリンク機構、前記一対の死点越えリンク機構の一方の第1死点越えリンク機構を前記第1操作対象装置の前記操作部に連動させる第1連動機構、前記一対の死点越えリンク機構の他方の第2死点越えリンク機構を前記第2操作対象装置の前記操作部に連動させる第2連動機構、前記第1連動機構の揺動リンクと前記第2連動機構の揺動リンクとにわたって連結されたスプリングを備えてある。
【0009】
すなわち、操作レバーが揺動操作されると、一対の死点越えリンク機構の一方が張り側で、他方が緩み側に操作されたり、一対の死点越えリンク機構が共に緩み側に操作されたりするようにすることができる。また、操作レバーの操作によって、あるいは第1操作対象装置と第2操作対象装置の一方の自己復元力によって第1連動機構と第2連動機構の一方に発生した操作力が、その一方の連動機構の揺動リンクからスプリングを介して他方の連動機構に伝達されるようにすることができる。
【0010】
これにより、たとえば、操作レバーが一方のストロークエンドに位置する操作位置に操作されると、第1死点越えリンク機構が死点を張り側に越えて操作され、これによって第1連動機構が第1操作対象装置の操作部をこれの自己復帰力に抗して操作する。このとき、第1連動機構がスプリングを介して第2連動機構を操作し、これによって第2操作対象装置の操作部がこれの自己復元力に抗して操作されるようにすることができる。さらに、このとき、第1死点越えリンク機構が死点を張り側に越えていることにより、操作レバーがそのストロークエンドの操作位置に保持される。
【0011】
また、操作レバーが他方のストロークエンドに位置する操作位置に操作されると、第2死点リンク機構が死点を張り側に越えて操作され、これによって第2連動機構が第2操作対象装置の操作部をこれの自己復元力に抗して操作する。このとき、第1死点越えリンク機構が緩み側に操作されており、第1操作対象装置がこれの自己復帰力によって所定の操作状態になるようにすることができる。さらに、このとき、第2死点越えリンク機構が死点を張り側に越えていることにより、操作レバーがそのストロークエンドの操作位置に保持される。
【0012】
操作レバーが両ストロークエンドの間の操作位置に操作されると、第1死点越えリンク機構が死点を緩み側に越えて操作され、これによって第1操作対象装置が自己復帰力によって所定の操作状態になる。このとき、スプリングが第1連動機構の揺動リンクを反力部材にして第2連動機構の揺動リンクを操作し、かつ、第2死点越えリンク機構が死点を緩み側に超えて操作されており、これによって第2操作対象装置が自己復帰によって所定の操作状態になるようにすることができる。そして、第1操作対象装置の復帰力によって第1連動機構が操作され、かつ、第2連動機構がスプリングによって操作され、これによって操作レバーがその操作位置に両死点越えリンク機構によって保持されるようにすることができる。
【0013】
従って、本第1発明によれば、1本の操作レバーを操作するだけで操作簡単に第1及び第2操作対象装置を操作することができるものでありながら、操作レバーを操作対象装置に連動させるための第1及び第2死点越えリンク機構などの作用によって操作レバーを両ストロークエンドの操作位置にも、両ストロークエンドの間の操作位置にも保持させて、操作レバーを各操作位置に保持させるためのデテント機構などの特別な位置決め機構を省略し、その分、構造の簡略化を図って安価に得ることができる。
【0014】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記第1操作対象装置は、作業部を対地昇降させる装置であり、前記第2操作対象装置は、前記作業部を駆動状態と停止状態に切り換える装置であり、第1操作対象装置が作業部上昇状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなる上昇位置、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなる下降位置、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部駆動状態にそれぞれなる作業位置を前記操作レバーに備えてある。
【0015】
すなわち、操作レバーが上昇位置に操作されると、第1操作対象装置が作業部上昇状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなり、作業部が地面上から上昇するとともに駆動停止された状態になる。操作レバーが作業位置に操作されると、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部駆動状態にそれぞれなり、作業部が地面上に位置して駆動された状態になる。操向レバーが下降位置に操作されると、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなり、作業部が地面上やその付近に位置して駆動停止された状態になる。
【0016】
従って、本第2発明によれば、操作レバーを操作するだけで操作簡単に、作業部を地面上で駆動させて作業を行なったり、作業部を地面上から上昇させるとともに停止させて作業部が地面に接触したり、空転したりすることを回避しながら旋回走行したりすることができる。また、作業を地面上やその付近で停止させて地面上やそく付近で楽に点検や修理をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、左右一対の駆動自在な車輪1によって自走する走行機体の前端部に、前記車輪1などに動力伝達するエンジン2、エンジン用の燃料タンク3を備えた原動部を設け、前記走行機体の後部に、走行機体の機体フレーム20から後方に延出する操縦ハンドル4などを備えた操縦部A、及び、走行機体の横方向に並ぶ四つの苗植付け機構31などを備えた苗植え作業部30を設け、前記走行機体の下方に、左右車輪1,1の間に位置するセンター接地フロート5、左右車輪1,1の両横外側に分かれて位置する左右一対のサイド接地フロート6を設け、左右車輪1,1の上方に位置する予備苗載せ台7を、支柱8を介して走行機体に支持させて、4条植え可能な歩行型田植機を構成してある。
【0018】
この田植機は、稲苗の植付け作業を行なうものであり、エンジン2の下方に位置する油圧式の昇降シリンダ9を伸縮操作すると、この昇降シリンダ9が左右車輪1の車輪支持体に兼用の車輪駆動ケース10を走行機体の機体フレーム20に対して上下に揺動操作して左右車輪1,1を機体フレーム20に対して昇降操作することにより、走行機体を各接地フロート5,6が田面に接地した下降作業状態と、各接地フロート5,6が田面から上昇して離れた上昇非作業状態とに昇降操作する。走行機体を前記下降作業状態にして走行させると、各接地フロート5,6が田面上を滑って整地していき、苗植え作業部30が前記四つの苗植付け機構31によって田面の接地フロート5,6による整地箇所に苗植付けを行なっていく。
【0019】
図2に示すように、走行機体の前部の前記エンジン3の後方近くに設けたミッションケース21、このミッションケース21の前部から前方に延出するエンジン搭載フレーム22、前記ミッションケース21の後部から後方に延出する角形鋼管材で成る伝動ケース23、この伝動ケース23の後端部に連結された植付けミッションケース24、この植付けミッションケース24の両横側部から走行機体横外向きに延出する円筒形の伝動ケース25、前記各伝動ケース25の延出端部に連結された植付け駆動ケース26のそれぞれによって前記機体フレーム20を構成し、前記エンジン搭載フレーム22の上面側に前記エンジン2を設け、前記ミッションケース21の両横側に前記車輪駆動ケース10を介して前記車輪1を支持させてある。
【0020】
図1,2に示すように、操縦ハンドル4は、前記植付けミッションケース24の両横側から走行機体後方上方向きに延出された角形鋼管材で成る基部側ハンドル杆4aと、この左右一対の基部側ハンドル杆4aの延出端部に固定されるとともに左右一対の握り部4cを備えた円形鋼管材で成る先端側ハンドル杆4bとによって構成してある。
【0021】
苗植え作業部30について詳述すると、図2,3,4に示すように、苗植え作業部30は、走行機体の横方向での中心部に位置する前記植付けミッションケース24、この植付けミッションケース24の両横側に位置する前記植付け駆動ケース26、前記植付けミッションケース24の下部ケース24aの両横側に駆動自在に装着した前記苗植付け機構31、前記各植付け駆動ケース26の走行機体内方側の横側に駆動自在に装着した前記苗植付け機構31、前記植付けミッションケース24及び前記各植付け駆動ケース26よりも走行機体後方側で、前記操縦ハンドル4の基部側ハンドル杆4aの上端側部分の前方側近くに設けた一つの苗載せ台32を備えて構成してある。
【0022】
図3,4に示すように、各苗植付け機構31は、植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26が駆動回動自在に支持する駆動アーム33に中間部が相対回動自在に連結され、植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26が往復揺動自在に支持する揺動アーム34に一端側が相対回動自在に連結された植付けアーム35、この植付けアーム35の他端側に位置する植付け爪36に沿って往復摺動するように植え付けアーム35に摺動自在に支持されるとともに植え付けアーム35の内部に位置する押し出し駆動機構(図示せず)によって摺動駆動されるように構成した苗押し出し具37を備えて構成してある。これにより、各苗植付け機構31は、植付けアーム35が揺動アーム34によって支持される一端側を揺動支点にした状態で走行機体上下方向に往復揺動するように駆動アーム33によって駆動されて、植付け爪36の先端側が苗載せ台32の下端側に位置するガイドレール38に設けてある苗取り出し口38aと、田面との間を回動軌跡Tを描きながら上下に往復移動し、苗取り出し口38aにおいて苗載せ台上のマット状苗から一株分のブロック苗を切断するとともに取り出して下降搬送し、田面に下降すると、そのブロック苗を苗押し出し具37によって植付け爪36から田面の泥土に押し出して植え付け、この苗植付けの後、田面から上昇して苗取り出し口38aに戻るという苗植え運動を行なう。
【0023】
苗載せ台32は、前記複数の苗植付け機構31に各別に供給する複数枚のマット状苗を走行機体横方向に並べて載置するように構成して、かつ、苗載せ台32の上端側ほど走行機体後方側に位置する状態の傾斜姿勢にして、前記各植付け駆動ケース26から走行機体後方向きに延出する支持フレーム11(図4参照)によって支持される前記ガイドレール38などに走行機体横方向に摺動自在に支持されている。苗載せ台32の走行機体横方向に沿うところの苗載せ台横方向に並ぶ複数の苗載置部それぞれの裏面側の苗載せ台縦方向での二箇所に苗縦送り輪体39を設けてある。苗載せ台縦方向での上方側に位置する全ての苗縦送り輪体39も、苗載せ台縦方向での下方側に位置する全ての苗縦送り輪体39もそれぞれ一本の回転支軸39aによって一体回転自在に支持されている。上方側の苗縦送り輪体39と下方側の苗縦送り輪体39が連動して回転するように、上方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aと、下方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aとが無端チェーン(図示せず)によって連動されている。
【0024】
図3,4に示すように、前記植付けミッションケース24は、前記伝動ケース23,25及び前記苗植付け機構31が連結している下部ケース部24aと、この下部ケース部24aとは別体のケースに製作して前記下部ケース部24aの上端面上に載置して連結ボルトによって脱着自在に連結した上部ケース部24bとによって構成してある。前記植付けミッションケース24に、前記上部ケース部24bを走行機体横方向に摺動自在に貫通した苗横送り軸40を設けるとともに、この苗横送り軸40を、苗載せ台32の下端側の両端部から走行機体前方向きに延出している連結部材41に連結し、前記苗横送り軸40の一端側に一体回動自在に設けた苗縦送りアーム42を、苗載せ台32の前記上方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aに一方向回転クラッチ(図示せず)を介して連結された輪体駆動アーム39bに連動ロッド43を介して連動させてある。植付けミッションケース24の前記下部ケース部24aの内部に、前記伝動ケース23及び前記ミッションケース21を介してエンジン2から伝達される駆動力を入力して駆動されて前記苗植付け機構31の駆動アーム33を駆動する植付け機構用駆動機構(図示せず)を設け、前記各植付け駆動ケース26の内部に、前記植付けミッションケース内の植付け機構用駆動機構から前記伝動ケース25を介して伝達される駆動力を前記苗植付け機構31の駆動アーム33に伝達してこの駆動アーム33を駆動するチェーン利用の伝動機構(図示せず)を設け、植付けミッションケース24の前記上部ケース部24bの内部に、前記下部ケース部内の植付け機構用駆動機構から駆動力を入力して駆動されて前記苗横送り軸40を往復摺動するように駆動し、かつ、苗載せ台32が左右の横送りストロークエンドに到達する都度に苗横送り軸40を回転駆動して苗縦送りアーム42を駆動する苗載せ台用駆動機構(図示せず)を設けてある。
【0025】
つまり、苗植え作業部30は、植付けミッションケース24の両横側に装着されている苗植付け機構31を植付けミッションケース24の駆動アーム33によって前記苗植え運動を行なうように駆動し、各植付け駆動ケース26に装着されている苗植付け機構31を植付け駆動ケース26の駆動アーム33によって前記苗植え運動を行なうように駆動し、各苗植付け機構31によって苗載せ台32に載置されたマット状苗から一株分のブロック苗を切断して取り出し、田面に下降搬送して泥土部に植え付けるようになっている。
【0026】
そして、植付けミッションケース24による苗横送り軸40の往復駆動によって苗載せ台32を苗植付け機構31の苗植え運動に連動させて走行機体横方向に往復移送し、各苗植付け機構31が苗植付け機構31に供給するべきマット状苗の下端部の横一端側から他端側に向けて順次に一株分のブロック苗を切断して取り出していくように各マット状苗をこのマット状苗に対応する前記苗取り出し口38aに対して走行機体横方向に往復移送するようになっている。また、苗載せ台32が左右の横移動ストロークエンドに到達すると、植え付けミッションケース24による苗縦送りアーム42の駆動によって苗載せ台32の全ての苗縦送り輪体39を回動駆動して、苗載せ台32に載置されている全てのマット状苗を苗植付け機構31による苗載せ台縦方向での取り出し長さに対応した分だけ苗取り出し口38aに向けて縦送りするようになっている。
【0027】
図9に示すように、前記ミッションケース21の内部に、左右車輪1,1及び苗植え作業部30に対する伝動を入り切りする主クラッチ70、及び、左右車輪1,1及び苗植え作業部30の駆動速度を変更する変速装置120を設け、前記ミッションケース21の上部に固定された油圧装置90に、前記昇降シリンダ9を制御する制御弁89を設けてある。図5に示すように、前記植付けミッションケース24の下部ケース24aの内部に、苗植え作業部30に対する伝動を入り切りする植付けクラッチ53を設けてある。
【0028】
図9に示すように、主クラッチ70のシフター支軸72のミッションケース21外に突出した端部に一体回転自在に連結された揺動アームで成るクラッチ操作部73を、主クラッチ70に備えてあり、このクラッチ操作部73がシフター支軸72の軸芯まわりで揺動操作されることにより、主クラッチ70は、クラッチ操作部73の操作力によって主クラッチ70の入り復帰力に抗して切り状態に切り換わったり、主クラッチ70の入り復帰力によって入り状態に切り換わったりする。
【0029】
図9に示すように、制御弁89に、機体横向きの操作軸96aの端部に一体回動自在に連結されたアーム形の切り換え操作部96を備えてあり、この切り換え操作部96が揺動操作されることにより、制御弁89は、車輪下降状態(機体上昇状態)と中立状態と車輪上昇状態(機体下降状態)とに切り換わるようになっている。車輪下降状態に切り換え操作された制御弁89は、昇降シリンダ9を車輪下降側に操作することにより、車輪1を対機体下降させて苗植え作業部30を対地上昇させる。車輪上昇状態に切り換え操作された制御弁89は、昇降シリンダ9を車輪上昇側に操作することにより、車輪1を対機体上昇させて苗植え作業部30を対地下降させる。中立状態に切り換え操作された制御弁89は、昇降シリンダ9を車輪下降側にも車輪上昇側にも動作しないように停止操作することにより、車輪1の対機体昇降を停止させて苗植え作業部30を昇降停止状態にする。
図11に示すように、制御弁89の前記切り換え操作部96は、スプリングSPによって車輪上昇位置(機体下降位置)uに切り換え付勢されている。
【0030】
図5に示すように、植付けクラッチ53は、植付け駆動軸54に相対回転自在に外嵌された入力ギヤ53a、前記植付け駆動軸54のスプライン部に一体回転及び摺動自在に取り付けられた出力回転体53b、この出力回転体53bとベアリング55との間に配置して植付け駆動軸54に外嵌されている入り付勢ばね56などを備えて構成してある。
前記植付け駆動軸54は、植付けミッションケース24の両横側に位置する苗植付け機構31の駆動アーム33を駆動するようになっており、かつ、各植付け駆動ケース26の内側に位置する苗植付け機構31の駆動アーム33、及び、植付けミッションケース24における上部ケース24bの内部に位置する前記苗載せ台用駆動機構に動力伝達するようになっている。
【0031】
図5に示すように、植付けミッションケース24における前記下部ケース24aの支持筒部24cに摺動自在に支持された機体前後向きのロッド形の操作部58を植付けクラッチ53に備えてあり、操作部53が支持筒部24cから出る側であって、機体後方側に摺動した入り位置onに操作されると、操作部58の先端部58aが出力側回転体53bの係止部53cから外れて入り付勢ばね56による出力側回転体53bの摺動付勢のために出力側回転体53bのクラッチ爪59aが入力ギヤ53aのクラッチ爪59bに噛合った状態になる。これにより、植付けクッチ53は、前記伝動ケース23の回転伝動軸23aからトルクリミッター51、伝動ギヤ52を介して入力ギヤ53aに伝達されたエンジン駆動力を前記クラッチ爪59a,59b、出力側回転体53bを介して植付け駆動軸54に伝達するように入り状態になって、苗植え作業部30を駆動状態に切り換え操作する。
操作部58が支持筒部24cに入る側であって機体前方側に摺動した切り位置offに操作されると、操作部58の先端部58aが出力側回転体53bの係止部53cに係合し、出力側回転体53bが前記先端部58aのカム作用によって入り付勢ばね56に抗して摺動操作されて出力側回転体53bと入力ギヤ53aのクラッチ爪59a,59bの噛合いが解除された状態になる。これにより、植付けクラッチ53は、植付け駆動軸54に対する伝動を絶つように切り状態になって、苗植え作業部30を停止状態に切り換え操作する。
【0032】
主クラッチ70、変速装置120、制御弁89、植付けクラッチ53は、図2に示す如く操縦部Aに設けた主クラッチレバー71、昇降レバー95、変速レバー130を備えた操作装置によって操作するようになっており、この操作装置は、図6−11に示す如く構成してある。
【0033】
すなわち、図6などに示すように、主クラッチレバー71の基部に筒体を連結して備えさせた回転支軸71bが、操縦ハンドル4の左右一対の基端側ハンドル杆4aに固定された支軸92に回動自在に支持されており、主クラッチレバー71は、支軸92の軸芯まわりで揺動するようになっている。
【0034】
図6,7,9に示すように、主クラッチレバー71の前記回転支軸71bに、揺動アーム71aを備えた死点越えリンク機構88を設け、この死点越えリンク機構88の円弧リンク86に連結された機体上下向きの連動ロッド85などを備えて成るクラッチ連動機構80によって前記死点越えリンク機構88を主クラッチ70の前記クラッチ操作部73に連動させてある。
【0035】
死点越えリンク機構88は、主クラッチレバー71を構成しているロッドの一部で成っている前記揺動アーム71a、及び、この揺動アーム71aに一端側が相対回動自在に連結されている前記円弧リンク86備えて構成してあり、主クラッチレバー71が揺動操作されると、揺動アーム71aが主クラッチレバー71と共に支軸92の軸芯まわりで揺動して円弧リンク86を支軸92に対して上昇する側に引っ張り操作したり、支軸92に対して下降する側に緩め操作したりするように死点を越えて動作し、主クラッチレバー71を主クラッチ70の入り状態への自己復帰力に抗して切り位置OFFに維持するように連動ロッド85を引っ張り操作する状態と、主クラッチ70の自己復帰力による入り状態へ切り換わりを許容するように前記連動ロッド85を緩め操作する状態とに切り換わるようになっている。
【0036】
前記クラッチ連動機構80は、死点越えリンク機構88の前記円弧リンク86の他端側に上端部が相対回動自在に連結されるとともに前記一方の基端側ハンドル杆4aよりも車体横外側に位置する部位を機体上下方向に通るように配置された前記連動ロッド85、この連動ロッド85の下端側が入力アーム部84bに連結された連動リンク84、この揺動リンク84の出力アーム部84aに後端側が相対回動自在に連結された機体前後向きの連動ロッド83、この連動ロッド83の前端側が入力アーム部82bに相対回動自在に連結された連動リンク82、この連動リンク82の出力アーム82aを主クラッチ70の前記クラッチ操作部73に連動させている連動杆81を備えて構成してある。
【0037】
図6に示すように、前記連動ロッド85の下端側が連結されている揺動リンク84は、機体上下方向視で前記基端側ハンドル杆4aを囲う状態に形成され、左右一対の基端側ハンドル杆4aに支持された機体横向きの支軸87に揺動自在に支持されている。図9に示すように、前記連動ロッド83の前端側が連結されている前記連動リンク82は、前記油圧装置90が有する機体横向きの支軸91に揺動自在に支持されている。
【0038】
つまり、主クラッチレバー71は、支軸92の軸芯まわりで、操縦ハンドル4の先端側ハンドル杆4bに固定された図10の如きレバーガイド93のガイド溝94に沿わせて揺動操作して、ガイド溝94の一端側に位置する入り位置ONと、ガイド溝94の他端側に位置する切り位置OFFとに切り換え操作するようになっている。
【0039】
主クラッチレバー71を入り位置ONに操作すると、死点越えリンク機構88の円弧リンク86が緩め操作されてクラッチ連動機構80の連動ロッド85を緩め操作し、これによってクラッチ連動機構80連動杆81がクラッチ操作部73を入り側に操作して、主クラッチ70が入り状態になる。
【0040】
主クラッチレバー71を切り位置OFFに操作すると、死点越えリンク機構88の円弧リンク86が引っ張り操作されてクラッチ連動機構80の連動ロッド85を引っ張り操作し、これによってクラッチ連動機構80の連動杆81がクラッチ操作部73を切り側に操作し、主クラッチ70が切り状態になる。このとき、主クラッチレバー71が死点越えリンク機構88の作用によって主クラッチ70の入り復帰力に抗して切り位置OFFに維持され、主クラッチ70を入り復帰力に抗して切り状態に維持することができる。
【0041】
図6,8などに示すように、昇降レバー95の基端側に連結ピン98を介して筒体を連結して備えられた回転支軸97が、前記支軸92に回動自在に支持されており、昇降レバー95は、連結ピン98の軸芯まわりで機体横方向に揺動するように、かつ、支軸92の軸芯まわりで機体上下方向に揺動するようになっている。
【0042】
図6,8,11に示すように、昇降レバー95の前記回転支軸97に、揺動アーム97aを備えた第1死点越えリンク機構105、揺動アーム97bを備えた第2死点越えリンク機構119を設け、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104に上端側が連結された機体上下向きの連動ロッド103などを備えた第1連動機構100によって第1死点越えリンク機構105を制御弁89の前記制御弁切り換え部96に連動させ、第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117に連結された連動ロッド115などを備えた第2連動機構110によって第2死点越えリンク機構119を植付けクラッチ53の前記操作部58に連動させ、第1連動機構100が備えている揺動リンク102と、第2連動機構110が備えている揺動リンク112とにわたってスプリング118を連結してある。
【0043】
第1死点越えリンク機構105は、昇降レバー95の前記回転支軸97から一体回動自在に延出された前記揺動アーム97a、及び、この揺動アーム97aに一端側が相対回動自在に連結されている前記円弧リンク104を備えて構成してあり、昇降レバー95が支軸92の軸芯まわりで揺動操作されると、揺動アーム97aが昇降レバー95と共に支軸92の軸芯まわりで揺動して円弧リンク104を支軸92に対して上昇する側に引っ張り操作したり、支軸92に対して下降する側に緩め操作したりするように死点を越えて動作する。
【0044】
第2死点越えリンク機構119は、昇降レバー95の前記回転支軸97から一体回動自在に延出された前記揺動アーム97b、及び、この揺動アーム97bに一端側が相対回動自在に連結されている前記円弧リンク117を備えて構成してあり、昇降レバー95が支軸92の軸芯まわりで揺動操作されると、揺動アーム97bが昇降レバー95と共に支軸92の軸芯まわりで揺動して円弧リンク117を支軸92に対して上昇する側に引っ張り操作したり、支軸92に対して下降する側に緩め操作したりするように死点を越えて動作する。
【0045】
第1死点越えリンク機構105と第2死点越えリンク機構119とは、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104と、第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117とが昇降レバー95の回転支軸97を挟むように配置して、かつ、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が引っ張り操作された際には第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が緩め操作され、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が緩め操作された際には第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が引っ張り操作されるように配置して回転支軸97に支持させてある。
【0046】
前記第1連動機構100は、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104の端部に上端側が相対回転自在に連結された機体上下向きの前記連動ロッド103、この連動ロッド103の下端側が入力アーム部102bに連結された前記揺動リンク102、この揺動リンク102の出力アーム部102aを制御弁89の切り換え操作部96に連動させている機体前後向きの連動ロッド101を備えて構成してある。
【0047】
前記揺動リンク102は、前記支軸87に揺動自在に支持されている。図12に示すように、前記連動ロッド103の下端側は、前記揺動リンク102の入力アーム部102bが回動自在に支持する連結軸106に摺動自在に挿通されており、連動ロッド103の端部に付設されたストッパー107が連動ロッド103の連結軸106からの抜け出しを阻止しており、連動ロッド103が引っ張り操作された場合には、連動ロッド103がストッパー107を介して連結軸106に当接して揺動リンク102を揺動操作する状態で、かつ、連動ロッド103が揺動リンク102の入力アーム部102bに対して下降する側には、連動ロッド103と揺動リンク102とが相対移動する状態で連動ロッド103と揺動リンク102とが連動している。
【0048】
前記第2連動機構110は、第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117の端部に上端側が相対回動自在に連結された機体上下向きの前記連動ロッド115、この連動ロッド115の下端側が基端側に連結された揺動リンク114、この揺動リンク114の先端側に後端側が相対回動自在に連結された機体前後向きの連動ロッド113、この連動ロッド113の前端側が一端側に相対回動自在に連結された前記揺動リンク112を備えて構成してある。
【0049】
図8などに示すように、前記揺動リンク112の中間部は、前記植付けミッションケース24が有する支軸111に回動自在に連結され、揺動リンク112の前記スプリング118が連結している側とは反対側の遊端側が植え付けクラッチ53の前記操作部58の端部に係止されており、揺動リンク112は、支軸111の軸芯まわりで揺動操作されることにより、植付けクラッチ53の操作部58を摺動操作するようになっている。
【0050】
図13に示すように、前記連動ロッド115の下端側は、前記揺動リンク114の基端側が回動自在に支持する連結軸114aに摺動自在に挿通されており、連動ロッド115の端部に付設されたストッパー115aが連動ロッド115の揺動リンク114からの抜け出しを阻止しており、連動ロッド115が引っ張り操作された場合には、連動ロッド115がストッパー115aを介して連結軸114aに当接して揺動リンク114を揺動操作する状態で、かつ、連動ロッド115が揺動リンク114に対して下降する側には、連動ロッド115と揺動リンク114とが相対移動する状態で連動ロッド115と揺動リンク114が連動している。
【0051】
つまり、昇降レバー95は、支軸92の軸芯まわりで前記レバーガイド93のガイド溝99に沿わせて揺動操作して、図10に示す如きガイド溝99の一端側に位置する作業位置S、ガイド溝99の途中に位置する下降位置D及び中立位置N、ガイド溝99の他端側に位置する上昇位置Uの四つの操作位置に切り換え操作するようになっている。
【0052】
昇降レバー95を作業位置Sに操作すると、図14(イ)に示す如く第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が揺動アーム97bによって引っ張り操作されて死点を引っ張り側に越えた操作状態になり、第2死点越えリンク機構119が第2連動機構110の連動ロッド115を引っ張り操作し、第2連動機構110の揺動リンク112が連動ロッド113によって揺動方向Rに揺動操作されて植え付けクラッチ53の操作部58を機体後方側に摺動操作し、植付けクラッチ53が入り状態になる。このとき、図14(イ)に示す如く第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が揺動アーム97aによって緩め操作されて死点を緩み側に越えた操作状態(図X参照)になり、第1死点越えリンク機構105が第1連動機構100の連動ロッド103を緩め操作する。ところが、第2連動機構110の揺動リンク112がスプリング118を引っ張り操作することにより、かつ、制御弁89の切り換え操作部96が車輪上昇位置uに付勢されていることにより、切り換え操作部96が車輪上昇位置uに操作され、制御弁89が車輪上昇状態(機体下降状態)になって左右車輪1を対機体上昇操作する。つまり、植付け作業部30が下降作業状態になり、植付けクラッチ53が入り状態になって植付け作業部30を駆動状態にし、植付け作業を行なうことができる。このとき、第2死点越えリンク機構119が死点を引っ張り側に越えた操作状態にあることにより、昇降レバー95が第2死点越えリンク機構119によってスプリング118に抗して作業位置Sに保持され、植付けクラッチ53がスプリング118に抗して入り状態に維持される。
【0053】
昇降レバー95を下降位置Dに操作すると、図14(ロ)に示す如く第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が死点を緩み側に越えた操作状態になって第1死点越えリンク機構105が第1連動機構100の連動ロッド103を緩め操作し、制御弁89の切り換え操作部96がスプリングSPによる自己復帰力によって車輪上昇位置uになり、制御弁89が車輪上昇状態(機体下降状態)になって左右車輪1を対機体上昇操作する。このとき、図14(ロ)に示す如く第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117は、昇降レバー95が作業位置Sにある場合よりも緩み側に操作されて第2死点越えリンク機構119が第2連動機構110の連動ロッド115を緩み操作する。制御弁89の車輪上昇位置uになっている切り換え操作部96には制御弁内に位置するストッパー(図示せず)が作用していて、揺動リンク102がスプリング118による揺動リンク112の操作を可能にする反力部材になることにより、スプリング118が揺動リンク112を揺動方向Fに揺動操作して揺動リンク112が植え付けクラッチ53の操作部58をスプリング56による入り復帰力に抗して切り位置offに切り換え操作し、植付けクラッチ53が切り状態になって苗植付け作業部30を停止状態に操作する。すなわち、苗植え作業部30が地面上近くに下降するとともに停止した状態になり、苗植え作業部30の点検や修理が行いやすくなる。このとき、スプリング118が第1死点越えリンク機構105及び第2死点越えリンク機構119を引っ張り操作し、昇降レバー95が第1死点越えリンク機構105及び第2死点越えリンク機構119によって下降位置Dに保持されて植付けクラッチ53が切り状態に維持される。
【0054】
昇降レバー95を中立位置Nに操作すると、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が揺動アーム97aによって引っ張り操作されて第1死点越えリンク機構105が第1連動機構100の連動ロッド103を引っ張り操作し、第1連動機構100の連動ロッド101が揺動リンク102によって引っ張り操作されて制御弁89の切り換え操作部96をスプリングSPに抗して中立位置nに操作し、制御弁89が中立状態になって車輪1を固定する。このとき、第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が揺動アーム97bによって緩め操作されることにより、かつ、スプリング118が揺動リンク112を揺動方向Fに操作することにより、植付けクラッチ53の操作部58がスプリング56に抗して切り位置offに操作され、植付けクラッチ53が切り状態になって苗植え作業部30を停止状態に操作する。すなわち、苗植え作業部30を地面上から上昇するとともに停止した状態にすることができる。このとき、昇降レバー95をレバーガイド93に切欠きを設けて備えさせたストッパー93a(図10参照)に係止させることにより、昇降レバー95が制御弁89のスプリングSPに抗して中立位置Nに保持されて制御弁89が中立状態に、植付けクラッチ53が切り状態にそれぞれ維持される。
【0055】
昇降レバー95を上昇位置Uに操作すると、図14(ハ)に示す如く第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が揺動アーム97aによって引っ張り操作され、第1死点越えリンク機構105は、円弧リンク104が死点を引っ張り側に越えた操作状態になって第1連動機構100の連動ロッド103を引っ張り操作し、第1連動機構100の連動ロッド101が揺動リンク102によって引っ張り操作されて制御弁89の切り換え操作部96をスプリングSPに抗して車輪下げ位置dに操作し、制御弁89が車輪下降状態になって車輪1を対機体下降させる。このとき、図14(ハ)に示す如く第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が揺動アーム97bによって緩め操作され、第2死点越えリンク機構119は、円弧リンク117が死点を緩み側に越えた操作状態になって連動ロッド115を緩め操作することにより、かつ、第1死点越えリンク機構105が死点を引っ張り側に越えた操作状態になっていて揺動リンク102がスプリング118による揺動リンク112の操作を可能にする反力部材になってスプリング118が揺動リンク112を揺動方向Fに操作することにより、揺動リンク112が植え付けクラッチ53の操作部58を切り位置offに操作し、植付けクラッチ53が切り状態になって植え付け作業部30を停止状態にする。すなわち、植付け作業部30が上昇非作業状態になるとともに停止した状態になる。このとき、第1死点越えリンク機構105が死点を引っ張り側に越えた操作状態になっていることから、昇降レバー95が第1死点越えリンク機構105によって上昇位置Uに保持され、制御弁89がスプリングSPに抗して車輪下降状態に、植付けクラッチ53がスプリング56に抗して切り状態に維持される。
【0056】
図6に示すように、変速レバー130の基部に筒体を連結して備えられた回転支軸131が前記支軸92に回転自在に支持されており、変速レバー130は、支軸92の軸芯まわりで揺動するようになっている。
【0057】
図2、6、9に示すように、変速レバー130の基端部に上端側が連結されるとともに前記両基端側ハンドル杆4aよりも機体内側を機体上下方向に通るように配置した連動ロッド132、この連動ロッド132の下端側が連結された揺動リンク133、この揺動リンク133を変速装置120の操作アーム121に連動させている機体前後向きの連動ロッド134を介し、変速レバー130が変速装置120の前記操作アーム121に連動されている。
【0058】
すなわち、変速レバー130を前記支軸92の軸芯まわりで、図10に示す如き前記レバーガイド93のガイド溝136に沿わせて揺動操作することにより、操作アーム121が支軸122の軸芯まわりで揺動操作されて操作アーム121の一端側に連結しているシフトロッド123を摺動操作し、このシフトロッド123が変速装置120を作業用の低速状態と、移動走行用の高速状態とに変速する。
【0059】
〔別実施例〕
第1死点越えリンク機構105及び第2死点リンク機構119を構成するに当たり、上記実施例の如き円弧リンク104,117を採用する他、三日月形やコの字形に形成されたリンクを採用して実施してもよい。すなわち、操作レバーが操作されることにより、揺動アームによって引っ張りや緩め操作されて死点を引っ張り側や緩め側に越えて移動し、操作対象装置の操作部の自己復帰力に抗して操作レバーを操作位置に保持する状態と、操作対象装置の操作部が自己復帰力によって動作することを許容する状態とに切り換わる機能を発揮する形状を備えたものを採用すれば、如何なる形状を備えてリンクを採用しても、本発明の目的を達成することができる。
【0060】
上記実施例の如く、制御弁89と植付けクラッチ53とを操作対象として採用した操作装置の他、たとえば植え付けクラッチと施肥クラッチ、あるいは制御弁と施肥クラッチ、また変速装置と植付けクラッチを操作対象として採用するなど、各種の一対の装置を操作対象として採用した操作装置にも本発明を適用できる。また、コンバインや耕耘機など田植機以外の各種の作業車の操作装置にも本発明を適用できる。従って、制御弁89などを総称して第1操作対象装置89と呼称し、植付けクラッチ53などを総称して第2操作対象装置53と呼称し、昇降レバー95を操作レバー95と呼称する。植付け作業部30を作業部30と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】歩行型田植機全体の側面図
【図2】機体フレームの平面図
【図3】苗植え作業部の機体中央部での側面図
【図4】苗植え作業部の機体横外側での側面図
【図5】植付けクラッチの断面図
【図6】操作装置の操作レバー配設部での後面図
【図7】操作装置の主クラッチレバー配設部での側面図
【図8】操作装置の昇降レバー配設部での側面図
【図9】操作装置の主クラッチ操作部、制御弁操作部、変速装置操作部での側面図、
【図10】レバーガイドの平面図
【図11】操作装置の斜視図
【図12】連動ロッドと揺動リンクの連動状態を示す断面図
【図13】連動ロッドと揺動リンクの連動状態を示す断面図
【図14】(イ)は、昇降レバーが作業位置にある状態での死点越えリンク機構の側面図、(ロ)は、昇降レバーが下降位置にある状態での死点越えリンク機構の側面図、(ハ)は、昇降レバーが上昇位置にある状態での死点越えリンク機構の側面図
【符号の説明】
【0062】
53 第2操作対象装置
58 第2操作対象装置の操作部
89 第1操作対象装置
95 操作レバー
96 第1操作対象装置の操作部
97 回転支軸
100 第1連動機構
102 第1連動機構の揺動リンク
105 第1死点越えリンク機構
110 第2連動機構
112 第2連動機構の揺動リンク
118 スプリング
119 第2死点越えリンク機構
S 操作レバーの作業位置
D 操作レバーの下降位置
U 操作レバーの上昇位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1操作対象装置及び第2操作対象装置の自己復帰自在な操作部を1本の操作レバーによって操作するように構成した作業車の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例としての田植機において、苗植付け作業部の昇降操作と、苗植付け作業部の駆動及び停止操作とを1本の操作レバーによって行なうように構成されることがある。この種のものとしては、従来、例えば特許文献1に示されるように、苗植付け装置6を走行機体に対して昇降操作する油圧シリンダ7の制御弁55と、苗植付け装置6に対する動力伝達を入り切りする植付クラッチ64とを、1本の昇降レバー29によって操作することができるように構成されたものがあった。
【0003】
すなわち、昇降レバー29は、この昇降レバー29に固定された支持軸42、この支持軸42がブラケット39aを介して支持されている操作板39、この操作板39に連結された支持軸38を介して支持板90に支持されている。
前記支持軸38にアーム50が一体回動自在に備えられており、このアーム50の当接部50aにボルト52によって当接する天秤アーム49、この天秤アーム49の支持軸48に一体回動自在に連結されたアーム54、このアーム54に一端側が連結された連係ロッド57、この連係ロッド57の他端側が連結された天秤アーム56を介し、制御弁55のスプール55aと前記天秤アーム49とが連動されている。制御弁55のスプール55aは、バネ55bによって苗植付け装置下降側に付勢されている。
前記操作板39の長孔39bに一端側が係入している連係ロッド61、この連係ロッド61の他端側が係入している長孔60aを備えた第2連係部材60、この第2連係部材60に一端側が連結している連係ロッド67を介し、植付けクラッチ64のクランクアーム66と前記操作板39とが連動されている。植付けクラッチ64のクランクアーム66は、第2連係部材60に連結された切りバネ68によって切り位置に付勢されている。
つまり、昇降レバー29は、支持軸38の軸芯P7まわりで案内板70のレバーガイド71に沿わせて揺動操作して上昇位置、下降位置、植付位置に切り換え操作するようになっており、昇降レバー29を上昇位置に操作すると、制御弁55が上昇位置に、植付けクラッチ64が切りにそれぞれなる。昇降レバー29を下降位置に操作すると、制御弁55が下降位置に、植付けクラッチ64が切りにそれぞれなる。昇降レバー29を植付位置に操作すると、制御弁55が下降位置に、植付けクラッチ64が入りにそれぞれなる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−231316(段落〔0030〕−〔0057〕、図8−13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の操作装置にあっては、操作板39に複数個の凹部39e及び1個の凸部39dを設け、支持部材36に横軸芯P10まわりで揺動自在に支持されている保持アーム74がばね75によって操作板39側に揺動付勢され、保持アーム74のローラ4aが操作板39の凹部39eや凸部39dに入り込みや接当操作されることにより、昇降レバー29が上昇位置、下降位置、植付位置に保持されるようになっていた。
【0006】
つまり、上記した従来の技術を採用した場合、操作レバーが複数の操作位置のいずれに操作された際にも操作レバー、又は、操作レバーに連結された部材に対して係止作用する位置決め機構を備えることにより、操作レバーを各操作位置に位置保持することができるようにせねばならず、この面から構造が複雑になっていた。
【0007】
本発明の目的は、一対の自己復帰自在な操作対象装置を1本の操作レバーによって操作するものでありながら、レバー位置決めの面から構造簡単に得ることができる作業車の操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1発明にあっては、第1操作対象装置及び第2操作対象装置の自己復帰自在な操作部を1本の操作レバーによって操作するように構成した作業車の操作装置において、
前記操作レバーの回転支軸を挟み合う配置状態で前記回転支軸に設けた一対の死点越えリンク機構、前記一対の死点越えリンク機構の一方の第1死点越えリンク機構を前記第1操作対象装置の前記操作部に連動させる第1連動機構、前記一対の死点越えリンク機構の他方の第2死点越えリンク機構を前記第2操作対象装置の前記操作部に連動させる第2連動機構、前記第1連動機構の揺動リンクと前記第2連動機構の揺動リンクとにわたって連結されたスプリングを備えてある。
【0009】
すなわち、操作レバーが揺動操作されると、一対の死点越えリンク機構の一方が張り側で、他方が緩み側に操作されたり、一対の死点越えリンク機構が共に緩み側に操作されたりするようにすることができる。また、操作レバーの操作によって、あるいは第1操作対象装置と第2操作対象装置の一方の自己復元力によって第1連動機構と第2連動機構の一方に発生した操作力が、その一方の連動機構の揺動リンクからスプリングを介して他方の連動機構に伝達されるようにすることができる。
【0010】
これにより、たとえば、操作レバーが一方のストロークエンドに位置する操作位置に操作されると、第1死点越えリンク機構が死点を張り側に越えて操作され、これによって第1連動機構が第1操作対象装置の操作部をこれの自己復帰力に抗して操作する。このとき、第1連動機構がスプリングを介して第2連動機構を操作し、これによって第2操作対象装置の操作部がこれの自己復元力に抗して操作されるようにすることができる。さらに、このとき、第1死点越えリンク機構が死点を張り側に越えていることにより、操作レバーがそのストロークエンドの操作位置に保持される。
【0011】
また、操作レバーが他方のストロークエンドに位置する操作位置に操作されると、第2死点リンク機構が死点を張り側に越えて操作され、これによって第2連動機構が第2操作対象装置の操作部をこれの自己復元力に抗して操作する。このとき、第1死点越えリンク機構が緩み側に操作されており、第1操作対象装置がこれの自己復帰力によって所定の操作状態になるようにすることができる。さらに、このとき、第2死点越えリンク機構が死点を張り側に越えていることにより、操作レバーがそのストロークエンドの操作位置に保持される。
【0012】
操作レバーが両ストロークエンドの間の操作位置に操作されると、第1死点越えリンク機構が死点を緩み側に越えて操作され、これによって第1操作対象装置が自己復帰力によって所定の操作状態になる。このとき、スプリングが第1連動機構の揺動リンクを反力部材にして第2連動機構の揺動リンクを操作し、かつ、第2死点越えリンク機構が死点を緩み側に超えて操作されており、これによって第2操作対象装置が自己復帰によって所定の操作状態になるようにすることができる。そして、第1操作対象装置の復帰力によって第1連動機構が操作され、かつ、第2連動機構がスプリングによって操作され、これによって操作レバーがその操作位置に両死点越えリンク機構によって保持されるようにすることができる。
【0013】
従って、本第1発明によれば、1本の操作レバーを操作するだけで操作簡単に第1及び第2操作対象装置を操作することができるものでありながら、操作レバーを操作対象装置に連動させるための第1及び第2死点越えリンク機構などの作用によって操作レバーを両ストロークエンドの操作位置にも、両ストロークエンドの間の操作位置にも保持させて、操作レバーを各操作位置に保持させるためのデテント機構などの特別な位置決め機構を省略し、その分、構造の簡略化を図って安価に得ることができる。
【0014】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記第1操作対象装置は、作業部を対地昇降させる装置であり、前記第2操作対象装置は、前記作業部を駆動状態と停止状態に切り換える装置であり、第1操作対象装置が作業部上昇状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなる上昇位置、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなる下降位置、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部駆動状態にそれぞれなる作業位置を前記操作レバーに備えてある。
【0015】
すなわち、操作レバーが上昇位置に操作されると、第1操作対象装置が作業部上昇状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなり、作業部が地面上から上昇するとともに駆動停止された状態になる。操作レバーが作業位置に操作されると、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部駆動状態にそれぞれなり、作業部が地面上に位置して駆動された状態になる。操向レバーが下降位置に操作されると、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなり、作業部が地面上やその付近に位置して駆動停止された状態になる。
【0016】
従って、本第2発明によれば、操作レバーを操作するだけで操作簡単に、作業部を地面上で駆動させて作業を行なったり、作業部を地面上から上昇させるとともに停止させて作業部が地面に接触したり、空転したりすることを回避しながら旋回走行したりすることができる。また、作業を地面上やその付近で停止させて地面上やそく付近で楽に点検や修理をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、左右一対の駆動自在な車輪1によって自走する走行機体の前端部に、前記車輪1などに動力伝達するエンジン2、エンジン用の燃料タンク3を備えた原動部を設け、前記走行機体の後部に、走行機体の機体フレーム20から後方に延出する操縦ハンドル4などを備えた操縦部A、及び、走行機体の横方向に並ぶ四つの苗植付け機構31などを備えた苗植え作業部30を設け、前記走行機体の下方に、左右車輪1,1の間に位置するセンター接地フロート5、左右車輪1,1の両横外側に分かれて位置する左右一対のサイド接地フロート6を設け、左右車輪1,1の上方に位置する予備苗載せ台7を、支柱8を介して走行機体に支持させて、4条植え可能な歩行型田植機を構成してある。
【0018】
この田植機は、稲苗の植付け作業を行なうものであり、エンジン2の下方に位置する油圧式の昇降シリンダ9を伸縮操作すると、この昇降シリンダ9が左右車輪1の車輪支持体に兼用の車輪駆動ケース10を走行機体の機体フレーム20に対して上下に揺動操作して左右車輪1,1を機体フレーム20に対して昇降操作することにより、走行機体を各接地フロート5,6が田面に接地した下降作業状態と、各接地フロート5,6が田面から上昇して離れた上昇非作業状態とに昇降操作する。走行機体を前記下降作業状態にして走行させると、各接地フロート5,6が田面上を滑って整地していき、苗植え作業部30が前記四つの苗植付け機構31によって田面の接地フロート5,6による整地箇所に苗植付けを行なっていく。
【0019】
図2に示すように、走行機体の前部の前記エンジン3の後方近くに設けたミッションケース21、このミッションケース21の前部から前方に延出するエンジン搭載フレーム22、前記ミッションケース21の後部から後方に延出する角形鋼管材で成る伝動ケース23、この伝動ケース23の後端部に連結された植付けミッションケース24、この植付けミッションケース24の両横側部から走行機体横外向きに延出する円筒形の伝動ケース25、前記各伝動ケース25の延出端部に連結された植付け駆動ケース26のそれぞれによって前記機体フレーム20を構成し、前記エンジン搭載フレーム22の上面側に前記エンジン2を設け、前記ミッションケース21の両横側に前記車輪駆動ケース10を介して前記車輪1を支持させてある。
【0020】
図1,2に示すように、操縦ハンドル4は、前記植付けミッションケース24の両横側から走行機体後方上方向きに延出された角形鋼管材で成る基部側ハンドル杆4aと、この左右一対の基部側ハンドル杆4aの延出端部に固定されるとともに左右一対の握り部4cを備えた円形鋼管材で成る先端側ハンドル杆4bとによって構成してある。
【0021】
苗植え作業部30について詳述すると、図2,3,4に示すように、苗植え作業部30は、走行機体の横方向での中心部に位置する前記植付けミッションケース24、この植付けミッションケース24の両横側に位置する前記植付け駆動ケース26、前記植付けミッションケース24の下部ケース24aの両横側に駆動自在に装着した前記苗植付け機構31、前記各植付け駆動ケース26の走行機体内方側の横側に駆動自在に装着した前記苗植付け機構31、前記植付けミッションケース24及び前記各植付け駆動ケース26よりも走行機体後方側で、前記操縦ハンドル4の基部側ハンドル杆4aの上端側部分の前方側近くに設けた一つの苗載せ台32を備えて構成してある。
【0022】
図3,4に示すように、各苗植付け機構31は、植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26が駆動回動自在に支持する駆動アーム33に中間部が相対回動自在に連結され、植付けミッションケース24や植付け駆動ケース26が往復揺動自在に支持する揺動アーム34に一端側が相対回動自在に連結された植付けアーム35、この植付けアーム35の他端側に位置する植付け爪36に沿って往復摺動するように植え付けアーム35に摺動自在に支持されるとともに植え付けアーム35の内部に位置する押し出し駆動機構(図示せず)によって摺動駆動されるように構成した苗押し出し具37を備えて構成してある。これにより、各苗植付け機構31は、植付けアーム35が揺動アーム34によって支持される一端側を揺動支点にした状態で走行機体上下方向に往復揺動するように駆動アーム33によって駆動されて、植付け爪36の先端側が苗載せ台32の下端側に位置するガイドレール38に設けてある苗取り出し口38aと、田面との間を回動軌跡Tを描きながら上下に往復移動し、苗取り出し口38aにおいて苗載せ台上のマット状苗から一株分のブロック苗を切断するとともに取り出して下降搬送し、田面に下降すると、そのブロック苗を苗押し出し具37によって植付け爪36から田面の泥土に押し出して植え付け、この苗植付けの後、田面から上昇して苗取り出し口38aに戻るという苗植え運動を行なう。
【0023】
苗載せ台32は、前記複数の苗植付け機構31に各別に供給する複数枚のマット状苗を走行機体横方向に並べて載置するように構成して、かつ、苗載せ台32の上端側ほど走行機体後方側に位置する状態の傾斜姿勢にして、前記各植付け駆動ケース26から走行機体後方向きに延出する支持フレーム11(図4参照)によって支持される前記ガイドレール38などに走行機体横方向に摺動自在に支持されている。苗載せ台32の走行機体横方向に沿うところの苗載せ台横方向に並ぶ複数の苗載置部それぞれの裏面側の苗載せ台縦方向での二箇所に苗縦送り輪体39を設けてある。苗載せ台縦方向での上方側に位置する全ての苗縦送り輪体39も、苗載せ台縦方向での下方側に位置する全ての苗縦送り輪体39もそれぞれ一本の回転支軸39aによって一体回転自在に支持されている。上方側の苗縦送り輪体39と下方側の苗縦送り輪体39が連動して回転するように、上方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aと、下方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aとが無端チェーン(図示せず)によって連動されている。
【0024】
図3,4に示すように、前記植付けミッションケース24は、前記伝動ケース23,25及び前記苗植付け機構31が連結している下部ケース部24aと、この下部ケース部24aとは別体のケースに製作して前記下部ケース部24aの上端面上に載置して連結ボルトによって脱着自在に連結した上部ケース部24bとによって構成してある。前記植付けミッションケース24に、前記上部ケース部24bを走行機体横方向に摺動自在に貫通した苗横送り軸40を設けるとともに、この苗横送り軸40を、苗載せ台32の下端側の両端部から走行機体前方向きに延出している連結部材41に連結し、前記苗横送り軸40の一端側に一体回動自在に設けた苗縦送りアーム42を、苗載せ台32の前記上方側の苗縦送り輪体39の回転支軸39aに一方向回転クラッチ(図示せず)を介して連結された輪体駆動アーム39bに連動ロッド43を介して連動させてある。植付けミッションケース24の前記下部ケース部24aの内部に、前記伝動ケース23及び前記ミッションケース21を介してエンジン2から伝達される駆動力を入力して駆動されて前記苗植付け機構31の駆動アーム33を駆動する植付け機構用駆動機構(図示せず)を設け、前記各植付け駆動ケース26の内部に、前記植付けミッションケース内の植付け機構用駆動機構から前記伝動ケース25を介して伝達される駆動力を前記苗植付け機構31の駆動アーム33に伝達してこの駆動アーム33を駆動するチェーン利用の伝動機構(図示せず)を設け、植付けミッションケース24の前記上部ケース部24bの内部に、前記下部ケース部内の植付け機構用駆動機構から駆動力を入力して駆動されて前記苗横送り軸40を往復摺動するように駆動し、かつ、苗載せ台32が左右の横送りストロークエンドに到達する都度に苗横送り軸40を回転駆動して苗縦送りアーム42を駆動する苗載せ台用駆動機構(図示せず)を設けてある。
【0025】
つまり、苗植え作業部30は、植付けミッションケース24の両横側に装着されている苗植付け機構31を植付けミッションケース24の駆動アーム33によって前記苗植え運動を行なうように駆動し、各植付け駆動ケース26に装着されている苗植付け機構31を植付け駆動ケース26の駆動アーム33によって前記苗植え運動を行なうように駆動し、各苗植付け機構31によって苗載せ台32に載置されたマット状苗から一株分のブロック苗を切断して取り出し、田面に下降搬送して泥土部に植え付けるようになっている。
【0026】
そして、植付けミッションケース24による苗横送り軸40の往復駆動によって苗載せ台32を苗植付け機構31の苗植え運動に連動させて走行機体横方向に往復移送し、各苗植付け機構31が苗植付け機構31に供給するべきマット状苗の下端部の横一端側から他端側に向けて順次に一株分のブロック苗を切断して取り出していくように各マット状苗をこのマット状苗に対応する前記苗取り出し口38aに対して走行機体横方向に往復移送するようになっている。また、苗載せ台32が左右の横移動ストロークエンドに到達すると、植え付けミッションケース24による苗縦送りアーム42の駆動によって苗載せ台32の全ての苗縦送り輪体39を回動駆動して、苗載せ台32に載置されている全てのマット状苗を苗植付け機構31による苗載せ台縦方向での取り出し長さに対応した分だけ苗取り出し口38aに向けて縦送りするようになっている。
【0027】
図9に示すように、前記ミッションケース21の内部に、左右車輪1,1及び苗植え作業部30に対する伝動を入り切りする主クラッチ70、及び、左右車輪1,1及び苗植え作業部30の駆動速度を変更する変速装置120を設け、前記ミッションケース21の上部に固定された油圧装置90に、前記昇降シリンダ9を制御する制御弁89を設けてある。図5に示すように、前記植付けミッションケース24の下部ケース24aの内部に、苗植え作業部30に対する伝動を入り切りする植付けクラッチ53を設けてある。
【0028】
図9に示すように、主クラッチ70のシフター支軸72のミッションケース21外に突出した端部に一体回転自在に連結された揺動アームで成るクラッチ操作部73を、主クラッチ70に備えてあり、このクラッチ操作部73がシフター支軸72の軸芯まわりで揺動操作されることにより、主クラッチ70は、クラッチ操作部73の操作力によって主クラッチ70の入り復帰力に抗して切り状態に切り換わったり、主クラッチ70の入り復帰力によって入り状態に切り換わったりする。
【0029】
図9に示すように、制御弁89に、機体横向きの操作軸96aの端部に一体回動自在に連結されたアーム形の切り換え操作部96を備えてあり、この切り換え操作部96が揺動操作されることにより、制御弁89は、車輪下降状態(機体上昇状態)と中立状態と車輪上昇状態(機体下降状態)とに切り換わるようになっている。車輪下降状態に切り換え操作された制御弁89は、昇降シリンダ9を車輪下降側に操作することにより、車輪1を対機体下降させて苗植え作業部30を対地上昇させる。車輪上昇状態に切り換え操作された制御弁89は、昇降シリンダ9を車輪上昇側に操作することにより、車輪1を対機体上昇させて苗植え作業部30を対地下降させる。中立状態に切り換え操作された制御弁89は、昇降シリンダ9を車輪下降側にも車輪上昇側にも動作しないように停止操作することにより、車輪1の対機体昇降を停止させて苗植え作業部30を昇降停止状態にする。
図11に示すように、制御弁89の前記切り換え操作部96は、スプリングSPによって車輪上昇位置(機体下降位置)uに切り換え付勢されている。
【0030】
図5に示すように、植付けクラッチ53は、植付け駆動軸54に相対回転自在に外嵌された入力ギヤ53a、前記植付け駆動軸54のスプライン部に一体回転及び摺動自在に取り付けられた出力回転体53b、この出力回転体53bとベアリング55との間に配置して植付け駆動軸54に外嵌されている入り付勢ばね56などを備えて構成してある。
前記植付け駆動軸54は、植付けミッションケース24の両横側に位置する苗植付け機構31の駆動アーム33を駆動するようになっており、かつ、各植付け駆動ケース26の内側に位置する苗植付け機構31の駆動アーム33、及び、植付けミッションケース24における上部ケース24bの内部に位置する前記苗載せ台用駆動機構に動力伝達するようになっている。
【0031】
図5に示すように、植付けミッションケース24における前記下部ケース24aの支持筒部24cに摺動自在に支持された機体前後向きのロッド形の操作部58を植付けクラッチ53に備えてあり、操作部53が支持筒部24cから出る側であって、機体後方側に摺動した入り位置onに操作されると、操作部58の先端部58aが出力側回転体53bの係止部53cから外れて入り付勢ばね56による出力側回転体53bの摺動付勢のために出力側回転体53bのクラッチ爪59aが入力ギヤ53aのクラッチ爪59bに噛合った状態になる。これにより、植付けクッチ53は、前記伝動ケース23の回転伝動軸23aからトルクリミッター51、伝動ギヤ52を介して入力ギヤ53aに伝達されたエンジン駆動力を前記クラッチ爪59a,59b、出力側回転体53bを介して植付け駆動軸54に伝達するように入り状態になって、苗植え作業部30を駆動状態に切り換え操作する。
操作部58が支持筒部24cに入る側であって機体前方側に摺動した切り位置offに操作されると、操作部58の先端部58aが出力側回転体53bの係止部53cに係合し、出力側回転体53bが前記先端部58aのカム作用によって入り付勢ばね56に抗して摺動操作されて出力側回転体53bと入力ギヤ53aのクラッチ爪59a,59bの噛合いが解除された状態になる。これにより、植付けクラッチ53は、植付け駆動軸54に対する伝動を絶つように切り状態になって、苗植え作業部30を停止状態に切り換え操作する。
【0032】
主クラッチ70、変速装置120、制御弁89、植付けクラッチ53は、図2に示す如く操縦部Aに設けた主クラッチレバー71、昇降レバー95、変速レバー130を備えた操作装置によって操作するようになっており、この操作装置は、図6−11に示す如く構成してある。
【0033】
すなわち、図6などに示すように、主クラッチレバー71の基部に筒体を連結して備えさせた回転支軸71bが、操縦ハンドル4の左右一対の基端側ハンドル杆4aに固定された支軸92に回動自在に支持されており、主クラッチレバー71は、支軸92の軸芯まわりで揺動するようになっている。
【0034】
図6,7,9に示すように、主クラッチレバー71の前記回転支軸71bに、揺動アーム71aを備えた死点越えリンク機構88を設け、この死点越えリンク機構88の円弧リンク86に連結された機体上下向きの連動ロッド85などを備えて成るクラッチ連動機構80によって前記死点越えリンク機構88を主クラッチ70の前記クラッチ操作部73に連動させてある。
【0035】
死点越えリンク機構88は、主クラッチレバー71を構成しているロッドの一部で成っている前記揺動アーム71a、及び、この揺動アーム71aに一端側が相対回動自在に連結されている前記円弧リンク86備えて構成してあり、主クラッチレバー71が揺動操作されると、揺動アーム71aが主クラッチレバー71と共に支軸92の軸芯まわりで揺動して円弧リンク86を支軸92に対して上昇する側に引っ張り操作したり、支軸92に対して下降する側に緩め操作したりするように死点を越えて動作し、主クラッチレバー71を主クラッチ70の入り状態への自己復帰力に抗して切り位置OFFに維持するように連動ロッド85を引っ張り操作する状態と、主クラッチ70の自己復帰力による入り状態へ切り換わりを許容するように前記連動ロッド85を緩め操作する状態とに切り換わるようになっている。
【0036】
前記クラッチ連動機構80は、死点越えリンク機構88の前記円弧リンク86の他端側に上端部が相対回動自在に連結されるとともに前記一方の基端側ハンドル杆4aよりも車体横外側に位置する部位を機体上下方向に通るように配置された前記連動ロッド85、この連動ロッド85の下端側が入力アーム部84bに連結された連動リンク84、この揺動リンク84の出力アーム部84aに後端側が相対回動自在に連結された機体前後向きの連動ロッド83、この連動ロッド83の前端側が入力アーム部82bに相対回動自在に連結された連動リンク82、この連動リンク82の出力アーム82aを主クラッチ70の前記クラッチ操作部73に連動させている連動杆81を備えて構成してある。
【0037】
図6に示すように、前記連動ロッド85の下端側が連結されている揺動リンク84は、機体上下方向視で前記基端側ハンドル杆4aを囲う状態に形成され、左右一対の基端側ハンドル杆4aに支持された機体横向きの支軸87に揺動自在に支持されている。図9に示すように、前記連動ロッド83の前端側が連結されている前記連動リンク82は、前記油圧装置90が有する機体横向きの支軸91に揺動自在に支持されている。
【0038】
つまり、主クラッチレバー71は、支軸92の軸芯まわりで、操縦ハンドル4の先端側ハンドル杆4bに固定された図10の如きレバーガイド93のガイド溝94に沿わせて揺動操作して、ガイド溝94の一端側に位置する入り位置ONと、ガイド溝94の他端側に位置する切り位置OFFとに切り換え操作するようになっている。
【0039】
主クラッチレバー71を入り位置ONに操作すると、死点越えリンク機構88の円弧リンク86が緩め操作されてクラッチ連動機構80の連動ロッド85を緩め操作し、これによってクラッチ連動機構80連動杆81がクラッチ操作部73を入り側に操作して、主クラッチ70が入り状態になる。
【0040】
主クラッチレバー71を切り位置OFFに操作すると、死点越えリンク機構88の円弧リンク86が引っ張り操作されてクラッチ連動機構80の連動ロッド85を引っ張り操作し、これによってクラッチ連動機構80の連動杆81がクラッチ操作部73を切り側に操作し、主クラッチ70が切り状態になる。このとき、主クラッチレバー71が死点越えリンク機構88の作用によって主クラッチ70の入り復帰力に抗して切り位置OFFに維持され、主クラッチ70を入り復帰力に抗して切り状態に維持することができる。
【0041】
図6,8などに示すように、昇降レバー95の基端側に連結ピン98を介して筒体を連結して備えられた回転支軸97が、前記支軸92に回動自在に支持されており、昇降レバー95は、連結ピン98の軸芯まわりで機体横方向に揺動するように、かつ、支軸92の軸芯まわりで機体上下方向に揺動するようになっている。
【0042】
図6,8,11に示すように、昇降レバー95の前記回転支軸97に、揺動アーム97aを備えた第1死点越えリンク機構105、揺動アーム97bを備えた第2死点越えリンク機構119を設け、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104に上端側が連結された機体上下向きの連動ロッド103などを備えた第1連動機構100によって第1死点越えリンク機構105を制御弁89の前記制御弁切り換え部96に連動させ、第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117に連結された連動ロッド115などを備えた第2連動機構110によって第2死点越えリンク機構119を植付けクラッチ53の前記操作部58に連動させ、第1連動機構100が備えている揺動リンク102と、第2連動機構110が備えている揺動リンク112とにわたってスプリング118を連結してある。
【0043】
第1死点越えリンク機構105は、昇降レバー95の前記回転支軸97から一体回動自在に延出された前記揺動アーム97a、及び、この揺動アーム97aに一端側が相対回動自在に連結されている前記円弧リンク104を備えて構成してあり、昇降レバー95が支軸92の軸芯まわりで揺動操作されると、揺動アーム97aが昇降レバー95と共に支軸92の軸芯まわりで揺動して円弧リンク104を支軸92に対して上昇する側に引っ張り操作したり、支軸92に対して下降する側に緩め操作したりするように死点を越えて動作する。
【0044】
第2死点越えリンク機構119は、昇降レバー95の前記回転支軸97から一体回動自在に延出された前記揺動アーム97b、及び、この揺動アーム97bに一端側が相対回動自在に連結されている前記円弧リンク117を備えて構成してあり、昇降レバー95が支軸92の軸芯まわりで揺動操作されると、揺動アーム97bが昇降レバー95と共に支軸92の軸芯まわりで揺動して円弧リンク117を支軸92に対して上昇する側に引っ張り操作したり、支軸92に対して下降する側に緩め操作したりするように死点を越えて動作する。
【0045】
第1死点越えリンク機構105と第2死点越えリンク機構119とは、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104と、第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117とが昇降レバー95の回転支軸97を挟むように配置して、かつ、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が引っ張り操作された際には第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が緩め操作され、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が緩め操作された際には第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が引っ張り操作されるように配置して回転支軸97に支持させてある。
【0046】
前記第1連動機構100は、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104の端部に上端側が相対回転自在に連結された機体上下向きの前記連動ロッド103、この連動ロッド103の下端側が入力アーム部102bに連結された前記揺動リンク102、この揺動リンク102の出力アーム部102aを制御弁89の切り換え操作部96に連動させている機体前後向きの連動ロッド101を備えて構成してある。
【0047】
前記揺動リンク102は、前記支軸87に揺動自在に支持されている。図12に示すように、前記連動ロッド103の下端側は、前記揺動リンク102の入力アーム部102bが回動自在に支持する連結軸106に摺動自在に挿通されており、連動ロッド103の端部に付設されたストッパー107が連動ロッド103の連結軸106からの抜け出しを阻止しており、連動ロッド103が引っ張り操作された場合には、連動ロッド103がストッパー107を介して連結軸106に当接して揺動リンク102を揺動操作する状態で、かつ、連動ロッド103が揺動リンク102の入力アーム部102bに対して下降する側には、連動ロッド103と揺動リンク102とが相対移動する状態で連動ロッド103と揺動リンク102とが連動している。
【0048】
前記第2連動機構110は、第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117の端部に上端側が相対回動自在に連結された機体上下向きの前記連動ロッド115、この連動ロッド115の下端側が基端側に連結された揺動リンク114、この揺動リンク114の先端側に後端側が相対回動自在に連結された機体前後向きの連動ロッド113、この連動ロッド113の前端側が一端側に相対回動自在に連結された前記揺動リンク112を備えて構成してある。
【0049】
図8などに示すように、前記揺動リンク112の中間部は、前記植付けミッションケース24が有する支軸111に回動自在に連結され、揺動リンク112の前記スプリング118が連結している側とは反対側の遊端側が植え付けクラッチ53の前記操作部58の端部に係止されており、揺動リンク112は、支軸111の軸芯まわりで揺動操作されることにより、植付けクラッチ53の操作部58を摺動操作するようになっている。
【0050】
図13に示すように、前記連動ロッド115の下端側は、前記揺動リンク114の基端側が回動自在に支持する連結軸114aに摺動自在に挿通されており、連動ロッド115の端部に付設されたストッパー115aが連動ロッド115の揺動リンク114からの抜け出しを阻止しており、連動ロッド115が引っ張り操作された場合には、連動ロッド115がストッパー115aを介して連結軸114aに当接して揺動リンク114を揺動操作する状態で、かつ、連動ロッド115が揺動リンク114に対して下降する側には、連動ロッド115と揺動リンク114とが相対移動する状態で連動ロッド115と揺動リンク114が連動している。
【0051】
つまり、昇降レバー95は、支軸92の軸芯まわりで前記レバーガイド93のガイド溝99に沿わせて揺動操作して、図10に示す如きガイド溝99の一端側に位置する作業位置S、ガイド溝99の途中に位置する下降位置D及び中立位置N、ガイド溝99の他端側に位置する上昇位置Uの四つの操作位置に切り換え操作するようになっている。
【0052】
昇降レバー95を作業位置Sに操作すると、図14(イ)に示す如く第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が揺動アーム97bによって引っ張り操作されて死点を引っ張り側に越えた操作状態になり、第2死点越えリンク機構119が第2連動機構110の連動ロッド115を引っ張り操作し、第2連動機構110の揺動リンク112が連動ロッド113によって揺動方向Rに揺動操作されて植え付けクラッチ53の操作部58を機体後方側に摺動操作し、植付けクラッチ53が入り状態になる。このとき、図14(イ)に示す如く第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が揺動アーム97aによって緩め操作されて死点を緩み側に越えた操作状態(図X参照)になり、第1死点越えリンク機構105が第1連動機構100の連動ロッド103を緩め操作する。ところが、第2連動機構110の揺動リンク112がスプリング118を引っ張り操作することにより、かつ、制御弁89の切り換え操作部96が車輪上昇位置uに付勢されていることにより、切り換え操作部96が車輪上昇位置uに操作され、制御弁89が車輪上昇状態(機体下降状態)になって左右車輪1を対機体上昇操作する。つまり、植付け作業部30が下降作業状態になり、植付けクラッチ53が入り状態になって植付け作業部30を駆動状態にし、植付け作業を行なうことができる。このとき、第2死点越えリンク機構119が死点を引っ張り側に越えた操作状態にあることにより、昇降レバー95が第2死点越えリンク機構119によってスプリング118に抗して作業位置Sに保持され、植付けクラッチ53がスプリング118に抗して入り状態に維持される。
【0053】
昇降レバー95を下降位置Dに操作すると、図14(ロ)に示す如く第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が死点を緩み側に越えた操作状態になって第1死点越えリンク機構105が第1連動機構100の連動ロッド103を緩め操作し、制御弁89の切り換え操作部96がスプリングSPによる自己復帰力によって車輪上昇位置uになり、制御弁89が車輪上昇状態(機体下降状態)になって左右車輪1を対機体上昇操作する。このとき、図14(ロ)に示す如く第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117は、昇降レバー95が作業位置Sにある場合よりも緩み側に操作されて第2死点越えリンク機構119が第2連動機構110の連動ロッド115を緩み操作する。制御弁89の車輪上昇位置uになっている切り換え操作部96には制御弁内に位置するストッパー(図示せず)が作用していて、揺動リンク102がスプリング118による揺動リンク112の操作を可能にする反力部材になることにより、スプリング118が揺動リンク112を揺動方向Fに揺動操作して揺動リンク112が植え付けクラッチ53の操作部58をスプリング56による入り復帰力に抗して切り位置offに切り換え操作し、植付けクラッチ53が切り状態になって苗植付け作業部30を停止状態に操作する。すなわち、苗植え作業部30が地面上近くに下降するとともに停止した状態になり、苗植え作業部30の点検や修理が行いやすくなる。このとき、スプリング118が第1死点越えリンク機構105及び第2死点越えリンク機構119を引っ張り操作し、昇降レバー95が第1死点越えリンク機構105及び第2死点越えリンク機構119によって下降位置Dに保持されて植付けクラッチ53が切り状態に維持される。
【0054】
昇降レバー95を中立位置Nに操作すると、第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が揺動アーム97aによって引っ張り操作されて第1死点越えリンク機構105が第1連動機構100の連動ロッド103を引っ張り操作し、第1連動機構100の連動ロッド101が揺動リンク102によって引っ張り操作されて制御弁89の切り換え操作部96をスプリングSPに抗して中立位置nに操作し、制御弁89が中立状態になって車輪1を固定する。このとき、第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が揺動アーム97bによって緩め操作されることにより、かつ、スプリング118が揺動リンク112を揺動方向Fに操作することにより、植付けクラッチ53の操作部58がスプリング56に抗して切り位置offに操作され、植付けクラッチ53が切り状態になって苗植え作業部30を停止状態に操作する。すなわち、苗植え作業部30を地面上から上昇するとともに停止した状態にすることができる。このとき、昇降レバー95をレバーガイド93に切欠きを設けて備えさせたストッパー93a(図10参照)に係止させることにより、昇降レバー95が制御弁89のスプリングSPに抗して中立位置Nに保持されて制御弁89が中立状態に、植付けクラッチ53が切り状態にそれぞれ維持される。
【0055】
昇降レバー95を上昇位置Uに操作すると、図14(ハ)に示す如く第1死点越えリンク機構105の円弧リンク104が揺動アーム97aによって引っ張り操作され、第1死点越えリンク機構105は、円弧リンク104が死点を引っ張り側に越えた操作状態になって第1連動機構100の連動ロッド103を引っ張り操作し、第1連動機構100の連動ロッド101が揺動リンク102によって引っ張り操作されて制御弁89の切り換え操作部96をスプリングSPに抗して車輪下げ位置dに操作し、制御弁89が車輪下降状態になって車輪1を対機体下降させる。このとき、図14(ハ)に示す如く第2死点越えリンク機構119の円弧リンク117が揺動アーム97bによって緩め操作され、第2死点越えリンク機構119は、円弧リンク117が死点を緩み側に越えた操作状態になって連動ロッド115を緩め操作することにより、かつ、第1死点越えリンク機構105が死点を引っ張り側に越えた操作状態になっていて揺動リンク102がスプリング118による揺動リンク112の操作を可能にする反力部材になってスプリング118が揺動リンク112を揺動方向Fに操作することにより、揺動リンク112が植え付けクラッチ53の操作部58を切り位置offに操作し、植付けクラッチ53が切り状態になって植え付け作業部30を停止状態にする。すなわち、植付け作業部30が上昇非作業状態になるとともに停止した状態になる。このとき、第1死点越えリンク機構105が死点を引っ張り側に越えた操作状態になっていることから、昇降レバー95が第1死点越えリンク機構105によって上昇位置Uに保持され、制御弁89がスプリングSPに抗して車輪下降状態に、植付けクラッチ53がスプリング56に抗して切り状態に維持される。
【0056】
図6に示すように、変速レバー130の基部に筒体を連結して備えられた回転支軸131が前記支軸92に回転自在に支持されており、変速レバー130は、支軸92の軸芯まわりで揺動するようになっている。
【0057】
図2、6、9に示すように、変速レバー130の基端部に上端側が連結されるとともに前記両基端側ハンドル杆4aよりも機体内側を機体上下方向に通るように配置した連動ロッド132、この連動ロッド132の下端側が連結された揺動リンク133、この揺動リンク133を変速装置120の操作アーム121に連動させている機体前後向きの連動ロッド134を介し、変速レバー130が変速装置120の前記操作アーム121に連動されている。
【0058】
すなわち、変速レバー130を前記支軸92の軸芯まわりで、図10に示す如き前記レバーガイド93のガイド溝136に沿わせて揺動操作することにより、操作アーム121が支軸122の軸芯まわりで揺動操作されて操作アーム121の一端側に連結しているシフトロッド123を摺動操作し、このシフトロッド123が変速装置120を作業用の低速状態と、移動走行用の高速状態とに変速する。
【0059】
〔別実施例〕
第1死点越えリンク機構105及び第2死点リンク機構119を構成するに当たり、上記実施例の如き円弧リンク104,117を採用する他、三日月形やコの字形に形成されたリンクを採用して実施してもよい。すなわち、操作レバーが操作されることにより、揺動アームによって引っ張りや緩め操作されて死点を引っ張り側や緩め側に越えて移動し、操作対象装置の操作部の自己復帰力に抗して操作レバーを操作位置に保持する状態と、操作対象装置の操作部が自己復帰力によって動作することを許容する状態とに切り換わる機能を発揮する形状を備えたものを採用すれば、如何なる形状を備えてリンクを採用しても、本発明の目的を達成することができる。
【0060】
上記実施例の如く、制御弁89と植付けクラッチ53とを操作対象として採用した操作装置の他、たとえば植え付けクラッチと施肥クラッチ、あるいは制御弁と施肥クラッチ、また変速装置と植付けクラッチを操作対象として採用するなど、各種の一対の装置を操作対象として採用した操作装置にも本発明を適用できる。また、コンバインや耕耘機など田植機以外の各種の作業車の操作装置にも本発明を適用できる。従って、制御弁89などを総称して第1操作対象装置89と呼称し、植付けクラッチ53などを総称して第2操作対象装置53と呼称し、昇降レバー95を操作レバー95と呼称する。植付け作業部30を作業部30と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】歩行型田植機全体の側面図
【図2】機体フレームの平面図
【図3】苗植え作業部の機体中央部での側面図
【図4】苗植え作業部の機体横外側での側面図
【図5】植付けクラッチの断面図
【図6】操作装置の操作レバー配設部での後面図
【図7】操作装置の主クラッチレバー配設部での側面図
【図8】操作装置の昇降レバー配設部での側面図
【図9】操作装置の主クラッチ操作部、制御弁操作部、変速装置操作部での側面図、
【図10】レバーガイドの平面図
【図11】操作装置の斜視図
【図12】連動ロッドと揺動リンクの連動状態を示す断面図
【図13】連動ロッドと揺動リンクの連動状態を示す断面図
【図14】(イ)は、昇降レバーが作業位置にある状態での死点越えリンク機構の側面図、(ロ)は、昇降レバーが下降位置にある状態での死点越えリンク機構の側面図、(ハ)は、昇降レバーが上昇位置にある状態での死点越えリンク機構の側面図
【符号の説明】
【0062】
53 第2操作対象装置
58 第2操作対象装置の操作部
89 第1操作対象装置
95 操作レバー
96 第1操作対象装置の操作部
97 回転支軸
100 第1連動機構
102 第1連動機構の揺動リンク
105 第1死点越えリンク機構
110 第2連動機構
112 第2連動機構の揺動リンク
118 スプリング
119 第2死点越えリンク機構
S 操作レバーの作業位置
D 操作レバーの下降位置
U 操作レバーの上昇位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1操作対象装置及び第2操作対象装置の自己復帰自在な操作部を1本の操作レバーによって操作するように構成した作業車の操作装置であって、
前記操作レバーの回転支軸を挟み合う配置状態で前記回転支軸に設けた一対の死点越えリンク機構、前記一対の死点越えリンク機構の一方の第1死点越えリンク機構を前記第1操作対象装置の前記操作部に連動させる第1連動機構、前記一対の死点越えリンク機構の他方の第2死点越えリンク機構を前記第2操作対象装置の前記操作部に連動させる第2連動機構、前記第1連動機構の揺動リンクと前記第2連動機構の揺動リンクとにわたって連結されたスプリングを備えてある作業車の操作装置。
【請求項2】
前記第1操作対象装置は、作業部を対地昇降させる装置であり、前記第2操作対象装置は、前記作業部を駆動状態と停止状態に切り換える装置であり、
第1操作対象装置が作業部上昇状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなる上昇位置、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなる下降位置、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部駆動状態にそれぞれなる作業位置を前記操作レバーに備えてある請求項1記載の作業車の操作装置。
【請求項1】
第1操作対象装置及び第2操作対象装置の自己復帰自在な操作部を1本の操作レバーによって操作するように構成した作業車の操作装置であって、
前記操作レバーの回転支軸を挟み合う配置状態で前記回転支軸に設けた一対の死点越えリンク機構、前記一対の死点越えリンク機構の一方の第1死点越えリンク機構を前記第1操作対象装置の前記操作部に連動させる第1連動機構、前記一対の死点越えリンク機構の他方の第2死点越えリンク機構を前記第2操作対象装置の前記操作部に連動させる第2連動機構、前記第1連動機構の揺動リンクと前記第2連動機構の揺動リンクとにわたって連結されたスプリングを備えてある作業車の操作装置。
【請求項2】
前記第1操作対象装置は、作業部を対地昇降させる装置であり、前記第2操作対象装置は、前記作業部を駆動状態と停止状態に切り換える装置であり、
第1操作対象装置が作業部上昇状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなる上昇位置、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部停止状態にそれぞれなる下降位置、第1操作対象装置が作業部下降状態に、第2操作対象装置が作業部駆動状態にそれぞれなる作業位置を前記操作レバーに備えてある請求項1記載の作業車の操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−81539(P2006−81539A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2005−86653(P2005−86653)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86653(P2005−86653)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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