説明

光源装置、プロジェクタ、及び光源装置の製造方法

【課題】光源装置内の光源用素子が、他の用途に用いるために取り外されることを防止可能な光源装置、プロジェクタ、及び光源装置の製造方法を提供する。
【解決手段】励起光照射装置70は、シリンダ部71b、フランジ部71a、リード線端子71cを備えるレーザ発光素子である励起光源71と、コリメータレンズ73と、レンズ取付凹部79aに連通して励起光源71のシリンダ部71bを収納する孔部79dを備えるコリメータレンズホルダ79と、リード線引出孔部82gを備え、励起光源71を前面の所定位置に保持する光源用素子ホルダ82と、を有し、コリメータレンズホルダ79の孔部79dの後端により、励起光源71のフランジ部71aの前面を押えて励起光源71を光源用素子ホルダ82の前面に押圧固定し、リード線引出孔部82gに接着固定部材92aとして接着剤92が充填されて励起光源71が光源用素子ホルダ82に接着固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、プロジェクタ、及び光源装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画像、更にメモリカード等に記憶されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する画像投影装置としてのデータプロジェクタが多用されている。このプロジェクタは、光源から射出された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子、又は、液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させるものである。
【0003】
このようなプロジェクタにおいて、従来は高輝度の放電ランプを光源とするものが主流であったが、近年、光源として発光ダイオードやレーザダイオード、あるいは、有機EL、蛍光体等を用いる種々のプロジェクタの開発が多々なされている。
【0004】
特許文献1には、貫通孔に半導体レーザが挿入されて保持された光源素子用ホルダとしてのホルダと、貫通孔に光学素子が挿入されて保持されたレンズホルダとしてのベースとを有し、光源素子用ホルダとベースとが、内周凸部の上面とベースでの一端面とを互いに密着させて、内周凸部と外周凸部との間隙に注入された接着剤により互いに固着されたレーザ光源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−246040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されたようなレーザ光源装置では、装置内から半導体レーザ発光素子等の光源用素子が故意に取り出され、他の用途に転用される、レーザ光に誤って被曝する、等の不具合が生じる虞がある。
【0007】
本発明は上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、光源装置内の光源用素子が、他の用途に用いるために取り外されることを防止可能な光源装置、プロジェクタ、及び光源装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光源装置は、シリンダ部、前記シリンダ部の後端周縁から該シリンダ部の外方に突出するフランジ部、及び、前記フランジ部の後端面から延出するリード線端子を備えるレーザ発光素子と、前記レーザ発光素子からの射出光を平行光とするコリメータレンズと、前記コリメータレンズを保持するレンズ取付凹部、及び、該レンズ取付凹部に連通して前記シリンダ部を収納する孔部を備えるコリメータレンズホルダと、前記レーザ発光素子を前面の所定位置に保持し、保持された前記レーザ発光素子の前記リード線端子を収納して、前面から後面に貫通したリード線引出孔部を備える光源用素子ホルダと、を有し、前記孔部の後端周囲により、前記フランジ部の前面を押えて前記レーザ発光素子を前記光源用素子ホルダの前面に押圧して当該光源用素子ホルダに固定し、前記リード線引出孔部に接着固定部材が充填されて前記レーザ発光素子が前記光源用素子ホルダに接着固定されていることを特徴とする光源装置。
【0009】
本発明に係るプロジェクタは、光源装置と、表示素子と、前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、前記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置、青色波長帯域光を発する光源装置、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置であって、少なくとも1つの光源装置が上記本発明に係る光源装置であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る光源装置の製造方法は、シリンダ部、前記シリンダ部の後端周縁から該シリンダ部の外方に突出するフランジ部、及び、前記フランジ部の後端面から延出するリード線端子を備えるレーザ発光素子と、前記レーザ発光素子からの射出光を平行光とするコリメータレンズと、前記コリメータレンズを保持するレンズ取付凹部、及び、該レンズ取付凹部に連通して前記レーザ発光素子の前記シリンダ部を収納する孔部を備えるコリメータレンズホルダと、前記レーザ発光素子の前記リード線端子を収納して、前面から後面に貫通したリード線引出孔部を備える光源用素子ホルダと、を有し、前記コリメータレンズホルダの前記孔部の後端周囲により、前記レーザ発光素子の前記フランジ部の前面を押えて前記レーザ発光素子を前記光源素子ホルダの前面に押圧して当該光源用ホルダに固定し、前記リード線引出孔部に接着固定部材が充填されて前記レーザ発光素子が前記光源用素子ホルダに接着固定されている光源装置の製造方法であって、前記光源用素子ホルダの前記リード線引出孔部に前記リード線端子を挿入して前記光源用素子ホルダの前面に前記レーザ発光素子を載置し、前記コリメータレンズホルダの前記孔部を前記レーザ発光素子の位置に合せて前記コリメータレンズホルダを前記光源用素子ホルダと合せて前記コリメータレンズホルダと前記光源用素子ホルダとを接合固定した後、前記光源用素子ホルダの後面を上方として前記リード線引出孔部に接着固定部材を充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光源装置内の光源用素子が、他の用途に用いるために取り外されることを防止可能な光源装置、プロジェクタ、及び光源装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタを示す外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプロジェクタの機能ブロックを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプロジェクタの内部構造を示す平面模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光源装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光源装置の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る光源装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る光源装置の組み立て順を示す図である。
【図8】本発明の実施形態の変形例に係る光源装置の断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る光源装置から光源用素子である励起光源を過度の力で取外した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。なお、本実施形態において、プロジェクタ10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0014】
そして、プロジェクタ10は、図1に示すように、略直方体形状であって、プロジェクタ筐体の前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有するとともに、この正面パネル12には複数の吸気孔18を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0015】
また、筐体の上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0016】
さらに、筐体の背面には、背面パネルにUSB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネルには、複数の吸気孔が形成されている。なお、図示しない筐体の側板である右側パネル、及び、図1に示した側板である左側パネル15には、各々複数の排気孔17が形成されている。また、左側パネル15の背面パネル近傍の隅部には、吸気孔18も形成されている。
【0017】
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について図2の機能ブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成される。
【0018】
制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0019】
そして、このプロジェクタ制御手段により、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0020】
また、表示エンコーダ24は入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0021】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものである。そして、このプロジェクタ10は、光源ユニット60から射出された光線束を、導光光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、後述する投影側光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0022】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。
【0023】
さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0024】
筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0025】
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0026】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源ユニット60から射出されるように、光源ユニット60の励起光照射装置、赤色光源装置、及び青色光源装置の発光を個別に制御する。
【0027】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源ユニット60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をOFFにする等の制御も行う。
【0028】
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ10は、図3に示すように、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えてなる。また、プロジェクタ10は、制御回路基板241の側方、つまり、プロジェクタ筐体の略中央部分に光源ユニット60を備えている。さらに、プロジェクタ10は、光源ユニット60と左側パネル15との間に光学系ユニット160を備えている。
【0029】
光源ユニット60は、プロジェクタ筐体の左右方向における略中央部分であって背面パネル13近傍に配置される光源装置である励起光照射装置70と、この励起光照射装置70から射出される光線束の光軸上であって正面パネル12の近傍に配置される蛍光発光装置100と、この蛍光発光装置100から射出される光線束と平行となるように正面パネル12の近傍に配置される青色光源装置300と、励起光照射装置70と蛍光発光装置100との間に配置される赤色光源装置120と、蛍光発光装置100からの射出光や赤色光源装置120からの射出光、青色光源装置300からの射出光の光軸が夫々同一の光軸となるように変換して各色光を所定の一面であるライトトンネル175の入射口に導光する導光光学系140と、を備える。
【0030】
励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置されたレーザ発光素子等の光源用素子である励起光源71と、励起光源71からの射出光の光軸を正面パネル12方向に90度変換する反射ミラー群75と、反射ミラー群75で反射した励起光源71からの射出光を集光する集光レンズ78と、励起光源71と右側パネル14との間に配置されたヒートシンク81と、を備える。
【0031】
励起光源71は、3行8列の計24個の青色レーザダイオードがマトリクス状に配列されており、各青色レーザダイオードの光軸上には、各青色レーザダイオードからの射出光を平行光に変換する集光レンズであるコリメータレンズ73が夫々配置されている。また、反射ミラー群75は、複数の反射ミラーが階段状に配列されてなり、励起光源71から射出される光線束の断面積を一方向に縮小して集光レンズ78に射出する。
【0032】
ヒートシンク81と背面パネル13との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261とヒートシンク81とによって励起光源71が冷却される。さらに、反射ミラー群75と背面パネル13との間にも冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって反射ミラー群75や集光レンズ78が冷却される。
【0033】
蛍光発光装置100は、正面パネル12と平行となるように、つまり、励起光照射装置70からの射出光の光軸と直交するように配置された蛍光ホイール101と、この蛍光ホイール101を回転駆動するホイールモータ110と、蛍光ホイール101から背面パネル13方向に射出される光線束を集光する集光レンズ群111と、を備える。
【0034】
蛍光ホイール101は、円板状の金属基材であって、励起光源71からの射出光を励起光として緑色波長帯域の蛍光発光光を射出する環状の蛍光発光領域が凹部として形成され、励起光を受けて蛍光発光する蛍光板として機能する。また、蛍光発光領域を含む蛍光ホイール101の励起光源71側の表面は、銀蒸着等によってミラー加工されることで光を反射する反射面が形成され、この反射面上に緑色蛍光体の層が敷設されている。
【0035】
そして、蛍光ホイール101の緑色蛍光体層に照射された励起光照射装置70からの射出光は、緑色蛍光体層における緑色蛍光体を励起し、緑色蛍光体から全方位に蛍光発光された光線束は、直接励起光源71側へ、あるいは、蛍光ホイール101の反射面で反射した後に励起光源71側へ射出される。また、蛍光体層の蛍光体に吸収されることなく、金属基材に照射された励起光は、反射面により反射されて再び蛍光体層に入射し、蛍光体を励起することとなる。よって、蛍光ホイール101の凹部の表面を反射面とすることにより、励起光源71から射出される励起光の利用効率を上げることができ、より明るく発光させることができる。
【0036】
なお、蛍光ホイール101の反射面で蛍光体層側に反射された励起光において蛍光体に吸収されることなく励起光源71側に射出された励起光は、後述する第一ダイクロイックミラー141を透過し、蛍光光は第一ダイクロイックミラー141により反射されるため、励起光が外部に射出されることはない。そして、ホイールモータ110と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって蛍光ホイール101が冷却される。
【0037】
赤色光源装置120は、励起光源71と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの射出光を集光する集光レンズ群125と、を備える。そして、この赤色光源装置120は、励起光照射装置70からの射出光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光と光軸が交差するように配置されている。また、赤色光源121は、赤色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての赤色発光ダイオードである。さらに、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側に配置されるヒートシンク130を備える。そして、ヒートシンク130と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって赤色光源121が冷却される。
【0038】
青色光源装置300は、蛍光発光装置100からの射出光の光軸と平行となるように配置された青色光源301と、青色光源301からの射出光を集光する集光レンズ群305と、を備える。そして、この青色光源装置300は、赤色光源装置120からの射出光と光軸が交差するように配置されている。また、青色光源301は、青色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての青色発光ダイオードである。さらに、青色光源装置300は、青色光源301の正面パネル12側に配置されるヒートシンク310を備える。そして、ヒートシンク310と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって青色光源301が冷却される。
【0039】
そして、導光光学系140は、赤色、緑色、青色波長帯域の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸とさせるダイクロイックミラー等からなる。具体的には、励起光照射装置70から射出される青色波長帯域光及び蛍光ホイール101から射出される緑色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射してこの緑色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一ダイクロイックミラー141が配置されている。
【0040】
また、青色光源装置300から射出される青色波長帯域光の光軸と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に、青色波長帯域光を透過し、緑色及び赤色波長帯域光を反射してこの緑色及び赤色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二ダイクロイックミラー148が配置されている。そして、第一ダイクロイックミラー141と第二ダイクロイックミラー148との間には、集光レンズが配置されている。さらに、ライトトンネル175の近傍には、ライトトンネル175の入射口に光源光を集光する集光レンズ173が配置されている。
【0041】
光学系ユニット160は、励起光照射装置70の左側方に位置する照明側ブロック161と、背面パネル13と左側パネル15とが交差する位置の近傍に位置する画像生成ブロック165と、導光光学系140と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック168と、の3つのブロックによって略コの字状に構成されている。
【0042】
この照明側ブロック161は、光源ユニット60から射出された光源光を画像生成ブロック165が備える表示素子51に導光する光源側光学系170の一部を備えている。この照明側ブロック161が有する光源側光学系170としては、光源ユニット60から射出された光線束を均一な強度分布の光束とするライトトンネル175、ライトトンネル175から射出された光を集光する集光レンズ178、ライトトンネル175から射出された光線束の光軸を画像生成ブロック165方向に変換する光軸変換ミラー181等がある。
【0043】
画像生成ブロック165は、光源側光学系170として、光軸変換ミラー181で反射した光源光を表示素子51に集光させる集光レンズ183と、この集光レンズ183を透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー185と、を有している。さらに、画像生成ブロック165は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51と背面パネル13との間には表示素子51を冷却するためのヒートシンク190が配置されて、このヒートシンク190によって表示素子51が冷却される。また、表示素子51の正面近傍には、投影側光学系220としての集光レンズ195が配置されている。
【0044】
投影側ブロック168は、表示素子51で反射されたオン光をスクリーンに放出する投影側光学系220のレンズ群を有している。この投影側光学系220としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群225と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群235とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群235を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。なお、光源装置における励起光源71は、上述のとおり3行8列の計24個の青色レーザダイオードがマトリクス状に配列されている。
【0045】
プロジェクタ10の光源装置である励起光照射装置70を説明する。図4は、光源装置である励起光照射装置70の斜視図である。図5は、励起光照射装置70の断面図である。本実施形態において、励起光照射装置70における前後とは、励起光源71の光の射出方向を前方向とする。
【0046】
励起光照射装置70は、図4、図5に示すように、青色レーザダイオード等のレーザ発光素子からなる励起光源71と、励起光源71を配置させる光源用素子ホルダ82と、光の入射側及び出射側が所定の曲面の円筒形状に形成され、励起光源71からの射出光を平行光に変換するコリメータレンズ73と、コリメータレンズ73が配置されるコリメータレンズホルダ79とを有する。
【0047】
励起光源71は、円柱状のシリンダ部71bの後端から外方に突出するフランジ部71aを有しており、さらに、このフランジ部71aの後端面から延出したリード線端子71cを有する。尚、このフランジ部71aは円柱状の金属製で放熱を可能とする。
【0048】
コリメータレンズホルダ79は、耐熱性の硬質樹脂製の保持部材であって、励起光源71から出射される光を集光するコリメータレンズ73を保持するものである。コリメータレンズホルダ79は、前方に、コリメータレンズ73が取り付けられるレンズ取付凹部79aを有し、後方に、レンズ取付凹部79aに連通するとともに、励起光源71のシリンダ部71bの径より大きく形成された孔部79dを有する。孔部79dには、励起光源71のシリンダ部71bが配置される。また、コリメータレンズホルダ79の孔部79dの後端周囲は、励起光源71のフランジ部71aの前面に接触して、フランジ部71aの後面を光源用素子ホルダ82側に押圧する構成となっている。尚、本実施形態ではコリメータレンズホルダ79は耐熱性の硬質樹脂製であるが、アルミ等のその他耐熱性の高い物質で形成されても良い。
【0049】
光源用素子ホルダ82は、アルミニウム等の放熱部材であり、励起光源71を保持する。光源用素子ホルダ82は、励起光源71のリード線端子71cを挿通させるリード線引出孔部82gと、励起光源71のフランジ部71a周縁及び後端面を受ける素子受け凹部82cとを有する。尚、本実施形態では光源用素子ホルダ82の前面は、素子受け凹部82cを含むものとする。
【0050】
励起光源71のフランジ部71aと、素子受け凹部82cとの間には、軟質の熱伝導性グリス等の熱伝導性部材91が介在しており、励起光源71の熱を熱伝導性部材91を介して光源用素子ホルダ82に放熱可能な構成となっている。
【0051】
リード線引出孔部82gは、素子受け凹部82cと同心状に形成され、前方側の開口部82sの直径が、素子受け凹部82cの直径よりも小さく、且つ、後方側の開口部82tの直径が、前方側の開口部82sの直径よりも大きい形状の逆テーパ部82hを有する。本実施形態では、リード線引出孔部82gの逆テーパ部82hとして、傾斜面が形成されている。
【0052】
リード線引出孔部82gの逆テーパ部82hには、励起光源71のフランジ部71aの後面に当接するように、リード線引出孔部82gの逆テーパ部82hに接着剤92を充填して硬化させた円錐台形状の接着固定部材92aが形成されている。この接着固定部材92aは、励起光源71を光源用素子ホルダ82に接着固定している。接着剤92としては、例えば、光照射硬化型樹脂、熱硬化性樹脂などを採用することができる。
【0053】
光源用素子ホルダ82のリード線引出孔部82gよりも後方には、凹形状のフレキシブル基板収納部82mが形成されており、フレキシブル基板収納部82mには、フレキシブル基板95が配置されている。励起光源71のリード線端子71cは、接着固定部材92aから後方に突出して、フレキシブル基板収納部82mでフレキシブル基板95に電気的に接続されている。フレキシブル基板95は、制御部38を実装している制御回路基板241に電気的に接続されている。なお、フレキシブル基板収納部82mには、接着剤92が充填されていない。
【0054】
また、励起光照射装置70のコリメータレンズホルダ79の前面には、位置出しされたコリメータレンズ73を保持するために、コリメータレンズ73を押えるレンズ押え部材である薄板の金属製の押え板89を備える。この押え板89は、コリメータレンズ73の光軸方向の移動を抑制し、確実にコリメータレンズ73を適正な位置で固定させることができる。この押え板89には、各コリメータレンズ73に対応した位置に光透過孔が形成されている。
【0055】
また、上記光源用素子ホルダ82とコリメータレンズホルダ79とは、励起光源71を保持した状態で、ネジなどの固定部材(不図示)で固定されることにより一体とされる。
【0056】
次に、本発明の実施形態に係る励起光照射装置70の製造方法を図面を参照しながら説明する。図6は、光源装置である励起光照射装置70の製造方法の一例を示すフローチャートである。図7は、励起光照射装置70の組み立て順を示す図である。
【0057】
図7(a)に示すように、光源用素子ホルダ82の素子受け凹部82cに、軟質の熱伝導性グリス等の熱伝導性部材91を塗布する(ステップS101)。
【0058】
次に、図7(b)に示すように、励起光源71のリード線端子71cを、光源用素子ホルダ82のリード線引出孔部82gに挿通させるとともに、励起光源71のフランジ部71aの後面周縁を光源用素子ホルダ82の素子受け凹部82cに配置させる(ステップS105)。そして、レンズ取付凹部79aにコリメータレンズ73が配置されたコリメータレンズホルダ79を、光源用素子ホルダ82に取り付ける(ステップS110)。詳細には、コリメータレンズホルダ79の孔部79dの後端周囲により、励起光源71のフランジ部71aの前面に接触して、フランジ部71aの後面を光源用素子ホルダ82側に押圧する。この状態で、光源用素子ホルダ82とコリメータレンズホルダ79とを、ネジなどの固定部材(不図示)で固定して一体化する。
【0059】
次に、図7(c)に示すように、接着剤92を光源用素子ホルダ82のリード線引出孔部82gに塗布する。詳細には、光源用素子ホルダ82の後面を上方として、励起光源71のフランジ部71aの後面に当接するように、リード線引出孔部82gに接着剤92を充填する(ステップS115)。この際、接着剤92を、励起光源71のリード線端子71cの根元から端部側にかけて、リード線引出孔部82gの後方側の開口部82tまで塗布する。
【0060】
次に、接着剤92を硬化させる(ステップS120)。詳細には、例えば、所定時間だけ放置することで接着剤92を硬化させる。また、接着剤92として紫外線硬化樹脂を採用した場合には、接着剤92に紫外線等の光を照射して硬化させる。接着剤92として熱硬化性樹脂を採用した場合には、加熱することにより接着剤92を硬化させる。接着剤92として2液混合型接着剤を採用した場合には、主剤と硬化剤との混合液を塗布し、所定時間だけ放置することで接着剤92を硬化させる。
【0061】
接着剤92が硬化することにより、リード線引出孔部82gの逆テーパ部82hに、円錐台形状の接着固定部材92aが形成される。すなわち、接着固定部材92aにより励起光源71をその後面側から光源用素子ホルダ82に接着固定することとなる。
【0062】
そして、励起光源71のリード線端子71cと、フレキシブル基板95とを電気的に接続する。
【0063】
尚、押え板89の取り付け工程や、コリメータレンズ73と励起光源71との光軸調整工程などについては、説明を省略する。
【0064】
上述した実施形態では、光源用素子ホルダ82のリード線引出孔部82gには、単純な傾斜面が形成された逆テーパ部82hを有していたが、この形態に限られるものではない。例えば、図8に示すように、リード線引出孔部82gの側面である逆テーパ部82hに1つ又は複数の段部82kが形成されていてもよい。尚、本実施形態ではリード線引出孔部82gの側面は複数の段部82kを含むこととする。この際、光源装置の後方側から見た場合に、円形状に段部82kが形成されていてもよい。そして、図8に示すように、接着固定部材92aは、逆テーパ部82hの段部82kに接着剤92が充填して形成された突起部92kを有することとなる。このため、単純な傾斜面が形成された逆テーパ部に接着固定部材92aを形成したときと比べて、リード線引出孔部82gと接着固定部材92aの側面との間の表面積が大きくなり、リード線引出孔部82gと接着固定部材92aとの間の接着力が増大する。
【0065】
また、光源用素子ホルダ82のリード線引出孔部82gの側面には、光源装置の後方側から見た場合に、螺旋状の溝部が形成されていてもよい。尚、本実施形態ではリード線引出孔部82gの側面は複数の螺旋状の溝部を含むこととする。この際、接着固定部材92aは、リード線引出孔部82gの溝部に接着剤92が充填して形成された突起部92kを有することとなる。このため、上記と同様に単純な傾斜面が形成された逆テーパ部に接着固定部材92aを形成したときと比べて、リード線引出孔部82gと接着固定部材92aの側面との間の表面積が大きくなり、リード線引出孔部82gと接着固定部材92aとの間の接着力が増大する。
【0066】
また、光源用素子ホルダ82のリード線引出孔部82gの側面には、微小な凹凸が形成されていてもよい。尚、本実施形態ではリード線引出孔部82gの側面は微小な凹凸を含むこととする。例えば、サンドブラスト加工などの粗面化処理により、リード線引出孔部82gの表面に微小な凹凸を形成する。そして、接着固定部材92aの表面には、リード線引出孔部82gの微小な凹凸に接着剤92が充填して硬化した微小な凹凸が形成される。すなわち、アンカー効果により、リード線引出孔部82gと接着固定部材92aとの間の接着力が増大する。
【0067】
また、上述した実施形態では、光源用素子ホルダ82に素子受け凹部82cが形成され、この素子受け凹部82cに励起光源71のフランジ部71aが取り付けられた構成であったが、この形態に限られるものではない。例えば、光源用素子ホルダ82に素子受け凹部82cを形成せずに、コリメータレンズホルダ79に、励起光源71のフランジ部71aに対応する凹部を形成してもよい。この凹部は孔部79dと中心軸が同じとなるように形成する。この場合、光源用素子ホルダ82にフランジ部71aの径よりも小さい口径のリード線引出孔部82gを形成し、励起光源71のリード線端子71cをリード線引出孔部82gに挿通させて、光源用素子ホルダ82の平坦な前面に、光源用素子ホルダ82のフランジ部71aを載置し、コリメータレンズホルダ79に形成した上記凹部により、励起光源71のフランジ部71aを押圧する構成としてもよい。
【0068】
以上、説明したように、本発明の実施形態によれば、励起光照射装置70は、シリンダ部71b、シリンダ部71bの後端周縁からそのシリンダ部71bの外方に突出するフランジ部71a、フランジ部71aの後端面から延出するリード線端子71cを備えるレーザ発光素子である励起光源71と、レーザ発光素子からの射出光を平行光とするコリメータレンズ73と、コリメータレンズ73を保持するレンズ取付凹部79a、そのレンズ取付凹部79aに連通して励起光源71のシリンダ部71bを収納する孔部79dを備えるコリメータレンズホルダ79と、励起光源71を前面の所定位置に保持し、保持された励起光源71のリード線端子71cを収納して、前面から後面に貫通したリード線引出孔部82gを備える光源用素子ホルダ82と、を有し、コリメータレンズホルダ79の孔部79dの後端周囲により、励起光源71のフランジ部71aの前面を押えて励起光源71を光源用素子ホルダ82の前面に押圧して当該光源用素子ホルダ82に固定し、リード線引出孔部82gに接着固定部材92aが充填されて励起光源71が光源用素子ホルダ82に接着固定されている。
【0069】
すなわち、接着固定部材92aにより、レーザ発光素子である励起光源71を光源用素子ホルダ82に接着固定しているので、コリメータレンズホルダ79と光源用素子ホルダ82とが分解されたとしても、励起光源71が他の用途に用いるために取り外されることを防止可能な励起光照射装置70である光源装置、及びその光源装置を搭載したプロジェクタ10を提供することができる。
【0070】
尚、上記実施形態では、赤色波長帯域光、青色波長帯域光を発光ダイオードによる発光し、緑色波長帯域光の励起を行うレーザ発光素子を有する励起光照射装置70について説明したが、例えば、赤色波長帯域光や青色波長帯域光についても同様に、レーザ発光素子とレーザ光を拡散させる拡散板とを用いた光源装置のレーザ発光素子を光源用素子ホルダ82に固定するに際し、リード線引出孔部82gに接着固定部材92aを充填することによりレーザ発光素子の取り外しを困難とすることができる。
【0071】
また、本発明の実施形態によれば、リード線引出孔部82gには、光源用素子ホルダ82の前面側よりも大きな後面側が形成され、このリード線引出孔部82gに接着剤92を塗布し、その接着剤92が硬化して円錐台形状の接着固定部材92aが形成されるので、励起光源71を光の射出方向に取り出すことが困難である。また、励起光源71のフランジ部71aが取付け凹部82cに取り付けられているので、光の射出方向と逆方向に励起光源71を取り外すことが困難となる。
【0072】
また、本発明の実施形態によれば、リード線引出孔部82gには、テーパー状に後面側が大きく形成されているので、このリード線引出孔部82gに接着剤92を塗布し、その接着剤92が硬化して円錐台形状の接着固定部材92aを簡単に形成することができる。このため、
励起光源71を光の射出方向に取り出すことが困難である。
【0073】
さらに、本発明の実施形態によれば、リード線引出孔部82gには、側面に螺旋状の溝部を設けた場合、接着固定部材92aは、リード線引出孔部82gの溝部に接着剤92が充填して形成された突起部92kを有する。すなわち、リード線引出孔部82gと接着固定部材92aとの間の接着力が増大する。
【0074】
また、本発明の実施形態によれば、リード線引出孔部82gに、側面に微小な凹凸を形成することで、接着固定部材92aの表面には、リード線引出孔部82gの微小な凹凸に接着剤92が充填して硬化した微小な凹凸が形成される。すなわち、アンカー効果により、リード線引出孔部82gと接着固定部材92aとの間の接着力が増大する。
【0075】
さらに、本発明の実施形態によれば、接着固定部材92aとして、紫外線硬化樹脂を採用した場合には、リード線引出孔部82gに紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射することで、短時間に円錐台形状の接着固定部材92aを形成することができる。
【0076】
また、本発明の実施形態によれば、接着固定部材92aは、レーザ発光素子である励起光源71の後端面に密着するようにリード線引出孔部82gに充填されているので、例えば、励起光源71に光の照射方向へ引張力を加えた場合、励起光源71のフランジ部71aの口端面に光の照射方向と逆方向に力が生じるとともに、リード線端子71cにも光の照射方向と逆方向に力が生じる。このため、励起光源71を光の射出方向に取り外すのに要する引張力の閾値をさらに大きくすることができる。例えば、励起光源71を光の射出方向に過度の力で取り外した場合、図9に示すように、リード線端子71cが切断された状態となる。このリード線端子71cが切断された励起光源71は、他の用途に用いることが困難となる。すなわち、励起光源71を、他の用途に用いるために取り外すことを防止可能な光源装置を提供することができる。
【0077】
さらに、本発明の実施形態によれば、励起光照射装置70は、光源用素子ホルダ82の前面に、リード線引出孔部82gの中心軸と中心軸を合せた素子受け凹部82cを有し、素子受け凹部82cに励起光源71のフランジ部71aを嵌合させた状態で、励起光源71の後面側に接着固定部材92aが接着固定されており、励起光源71のフランジ部71aの後端が素子受け凹部82cに嵌め込まれているので励起光源71を取り出し難く、且つ、フランジ部71aと光源用素子ホルダ82との接触面積が増加するので熱伝導性を向上させることができる光源装置を提供することができる。
【0078】
また、本発明の実施形態によれば、励起光照射装置70は、レーザ発光素子である励起光源71と光源用素子ホルダ82との接触部分に、熱伝導性部材91として熱伝導性グリスが介在するので、励起光源71から光源用素子ホルダ82への熱伝導性が向上する。すなわち、良好な放熱性を有する励起光照射装置70を提供することができる。
【0079】
さらに、本発明の実施形態によれば、レーザ発光素子である励起光源71の後端面及びフランジ部71a外周と光源用素子ホルダ82の素子受け凹部82cの内面との間に熱伝導性部材91として熱伝導性グリスが介在しているので、励起光源71から光源用素子ホルダ82への熱伝導性がさらに向上する。また、光源装置の製造時、フランジ部71aと素子受け凹部82cとの間に、予め、熱伝導性部材91を塗布した後、接着剤92を光源用素子ホルダ82のリード線引出孔部82gに塗布するので、接着剤92がフランジ部71aと素子受け凹部82cの間に移動して硬化することを防止することができるとともに、フランジ部71aと素子受け凹部82cの間の熱伝導性の低下を防止することができる。
【0080】
光源用素子ホルダ82は、リード線引出孔部82gの後方に形成されたフレキシブル基板収納部82mを有し、フレキシブル基板収納部82mで、フレキシブル基板95とレーザ発光素子である励起光源71のリード線端子71cとが接続され、接着剤92は、フレキシブル基板収納部82mに充填されていないので、フレキシブル基板95を簡単に励起光源71のリード線端子71cに接続することができる。
【0081】
さらに、本発明の実施形態によれば、プロジェクタ10は、光源装置と、光源装置の発する光で光学像を形成する表示素子51と、光源装置からの光を表示素子51に導光する光源側光学系170と、表示素子51から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系220と、光源装置や表示素子51を制御するプロジェクタ制御手段である制御部38と、を備え、上記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置である赤色光源装置120、青色波長帯域光を発する光源装置である青色光源装置300、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置における励起光照射装置70の少なくとも1つの光源装置である。このため、簡単な構造で、全体検査に合格したプロジェクタ10筐体内の光源装置である励起光照射装置70の励起光源71を他の用途に用いるために取り外すことを防止可能なプロジェクタ10を提供することができる。
【0082】
また、本発明の実施形態によれば、光源用素子ホルダ82のリード線引出孔部82gにリード線端子71cを挿入して光源用素子ホルダ82の前面にレーザ発光素子である励起光源71を載置し、コリメータレンズホルダ79の孔部79dをレーザ発光素子の位置に合せてコリメータレンズホルダ79を光源用素子ホルダ82と合せてコリメータレンズホルダ79と光源用素子ホルダ82とを接合固定した後、光源用素子ホルダ82の後面を上方としてリード線引出孔部82gに接着剤92を充填して接着固定部材92aを形成するので、簡単に、レーザ発光素子を、他の用途に用いるために取り外すことを防止可能な光源装置の製造方法を提供することができる。
【0083】
さらに、本発明の実施形態によれば、接着固定部材92aの接着剤92として紫外線硬化樹脂を用い、リード線引出孔部82gにその紫外線硬化樹脂を注入し、その紫外線硬化樹脂をレーザ発光素子である励起光源71の後端面に確実に接触させた状態で紫外線照射を行って、その紫外線硬化樹脂を硬化させることで、簡単に、短時間に上記形状の接着固定部材92aを形成することができる。
【0084】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【0085】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] シリンダ部、前記シリンダ部の後端周縁から該シリンダ部の外方に突出するフランジ部、及び、前記フランジ部の後端面から延出するリード線端子を備えるレーザ発光素子と、
前記レーザ発光素子からの射出光を平行光とするコリメータレンズと、
前記コリメータレンズを保持するレンズ取付凹部、及び、該レンズ取付凹部に連通して前記シリンダ部を収納する孔部を備えるコリメータレンズホルダと、
前記レーザ発光素子を前面の所定位置に保持し、保持された前記レーザ発光素子の前記リード線端子を収納して、前面から後面に貫通したリード線引出孔部を備える光源用素子ホルダと、を有し、
前記孔部の後端周囲により、前記フランジ部の前面を押えて前記レーザ発光素子を前記光源用素子ホルダの前面に押圧して当該光源用素子ホルダに固定し、前記リード線引出孔部に接着固定部材が充填されて前記レーザ発光素子が前記光源用素子ホルダに接着固定されていることを特徴とする光源装置。
[2] 前記リード線引出孔部は、前記光源用素子ホルダの前面側よりも後面側が大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
[3] 前記リード線引出孔部は、テーパー状に前記光源用素子ホルダの前面側よりも後面側の方が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
[4] 前記リード線引出孔部は、側面に段部又は螺旋状の溝部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光源装置。
[5] 前記リード線引出孔部は、側面に微小な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光源装置。
[6] 前記接着固定部材は、紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置。
[7] 前記接着固定部材は、前記レーザ発光素子の後端面に密着するように前記リード線引出孔部に充填されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の光源装置。
[8] 前記光源用素子ホルダの前面には、前記リード線引出孔部の中心軸と中心軸を合せた素子受け凹部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置。
[9] 前記レーザ発光素子と前記光源用素子ホルダとの接触部分には、熱伝導性部材が介在することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の光源装置。
[10] 前記レーザ発光素子の後端面及びフランジ部外周と前記光源用素子ホルダの前記素子受け凹部の内面との間に熱伝導性部材が介在することを特徴とする請求項8に記載の光源装置。
[11] 前記光源用素子ホルダは、前記リード線引出孔部の後方に形成されたフレキシブル基板収納部を有し、
前記フレキシブル基板収納部で、フレキシブル基板と前記レーザ発光素子のリード線端子とが接続され、
前記接着剤は、前記フレキシブル基板収納部に充填されていないことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の光源装置。
[12] 光源装置と、
表示素子と、
前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、
前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、
前記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置、青色波長帯域光を発する光源装置、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置であって、少なくとも1つの光源装置が請求項1乃至請求項11の何れかに記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
[13] シリンダ部、前記シリンダ部の後端周縁から該シリンダ部の外方に突出するフランジ部、及び、前記フランジ部の後端面から延出するリード線端子を備えるレーザ発光素子と、
前記レーザ発光素子からの射出光を平行光とするコリメータレンズと、
前記コリメータレンズを保持するレンズ取付凹部、及び、該レンズ取付凹部に連通して前記レーザ発光素子の前記シリンダ部を収納する孔部を備えるコリメータレンズホルダと、
前記レーザ発光素子の前記リード線端子を収納して、前面から後面に貫通したリード線引出孔部を備える光源用素子ホルダと、を有し、
前記コリメータレンズホルダの前記孔部の後端周囲により、前記レーザ発光素子の前記フランジ部の前面を押えて前記レーザ発光素子を前記光源素子ホルダの前面に押圧して当該光源用ホルダに固定し、前記リード線引出孔部に接着固定部材が充填されて前記レーザ発光素子が前記光源用素子ホルダに接着固定されている光源装置の製造方法であって、
前記光源用素子ホルダの前記リード線引出孔部に前記リード線端子を挿入して前記光源用素子ホルダの前面に前記レーザ発光素子を載置し、前記コリメータレンズホルダの前記孔部を前記レーザ発光素子の位置に合せて前記コリメータレンズホルダを前記光源用素子ホルダと合せて前記コリメータレンズホルダと前記光源用素子ホルダとを接合固定した後、前記光源用素子ホルダの後面を上方として前記リード線引出孔部に接着固定部材を充填することを特徴とする光源装置の製造方法。
[14] 前記接着固定部材として紫外線硬化樹脂を用い、前記リード線引出孔部に該紫外線硬化樹脂を注入し、該紫外線硬化樹脂を前記レーザ発光素子の後端面に確実に接触させた状態で紫外線照射を行って該紫外線硬化樹脂を硬化させることを特徴とする請求項13に記載の光源装置の製造方法。
【符号の説明】
【0086】
10 プロジェクタ
11 上面パネル 12 正面パネル
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 17 排気孔
18 吸気孔 19 レンズカバー
20 各種端子 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮/伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
51 表示素子 60 光源ユニット
70 励起光照射装置(光源装置)
71 励起光源(光源用素子:レーザ発光素子)
71a フランジ部
71b シリンダ部 71c リード線端子
73 コリメータレンズ 75 反射ミラー群
78 集光レンズ
79 コリメータレンズホルダ(レンズ保持体)
79a レンズ取付凹部 79d 孔部
81 ヒートシンク
82 光源用素子ホルダ(光源保持体) 82c 素子受け凹部
82g リード線引出孔部 82k 段部
82s 前方側の開口部 82t 後方側の開口部
89 押え板
91 熱伝導性部材(熱伝導性グリス) 92 接着剤
92a 接着固定部材 92k 突起部
95 フレキシブル基板
100 蛍光発光装置 101 蛍光ホイール
110 ホイールモータ 111 集光レンズ群
120 赤色光源装置 121 赤色光源
125 集光レンズ群 130 ヒートシンク
140 導光光学系 141 第一ダイクロイックミラー
148 第二ダイクロイックミラー 160 光学系ユニット
161 照明側ブロック 165 画像生成ブロック
168 投影側ブロック 170 光源側光学系
173 集光レンズ 175 ライトトンネル
178 集光レンズ 181 光軸変換ミラー
183 集光レンズ 185 照射ミラー
190 ヒートシンク 195 集光レンズ
220 投影側光学系 225 固定レンズ群
235 可動レンズ群 241 制御回路基板
261 冷却ファン 300 青色光源装置
301 青色光源 305 集光レンズ群
310 ヒートシンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部、前記シリンダ部の後端周縁から該シリンダ部の外方に突出するフランジ部、及び、前記フランジ部の後端面から延出するリード線端子を備えるレーザ発光素子と、
前記レーザ発光素子からの射出光を平行光とするコリメータレンズと、
前記コリメータレンズを保持するレンズ取付凹部、及び、該レンズ取付凹部に連通して前記シリンダ部を収納する孔部を備えるコリメータレンズホルダと、
前記レーザ発光素子を前面の所定位置に保持し、保持された前記レーザ発光素子の前記リード線端子を収納して、前面から後面に貫通したリード線引出孔部を備える光源用素子ホルダと、を有し、
前記孔部の後端周囲により、前記フランジ部の前面を押えて前記レーザ発光素子を前記光源用素子ホルダの前面に押圧して当該光源用素子ホルダに固定し、前記リード線引出孔部に接着固定部材が充填されて前記レーザ発光素子が前記光源用素子ホルダに接着固定されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記リード線引出孔部は、前記光源用素子ホルダの前面側よりも後面側が大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記リード線引出孔部は、テーパー状に前記光源用素子ホルダの前面側よりも後面側の方が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記リード線引出孔部は、側面に段部又は螺旋状の溝部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記リード線引出孔部は、側面に微小な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光源装置。
【請求項6】
前記接着固定部材は、紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記接着固定部材は、前記レーザ発光素子の後端面に密着するように前記リード線引出孔部に充填されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の光源装置。
【請求項8】
前記光源用素子ホルダの前面には、前記リード線引出孔部の中心軸と中心軸を合せた素子受け凹部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の光源装置。
【請求項9】
前記レーザ発光素子と前記光源用素子ホルダとの接触部分には、熱伝導性部材が介在することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の光源装置。
【請求項10】
前記レーザ発光素子の後端面及びフランジ部外周と前記光源用素子ホルダの前記素子受け凹部の内面との間に熱伝導性部材が介在することを特徴とする請求項8に記載の光源装置。
【請求項11】
前記光源用素子ホルダは、前記リード線引出孔部の後方に形成されたフレキシブル基板収納部を有し、
前記フレキシブル基板収納部で、フレキシブル基板と前記レーザ発光素子のリード線端子とが接続され、
前記接着剤は、前記フレキシブル基板収納部に充填されていないことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れかに記載の光源装置。
【請求項12】
光源装置と、
表示素子と、
前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、
前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、
前記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置、青色波長帯域光を発する光源装置、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置であって、少なくとも1つの光源装置が請求項1乃至請求項11の何れかに記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項13】
シリンダ部、前記シリンダ部の後端周縁から該シリンダ部の外方に突出するフランジ部、及び、前記フランジ部の後端面から延出するリード線端子を備えるレーザ発光素子と、
前記レーザ発光素子からの射出光を平行光とするコリメータレンズと、
前記コリメータレンズを保持するレンズ取付凹部、及び、該レンズ取付凹部に連通して前記レーザ発光素子の前記シリンダ部を収納する孔部を備えるコリメータレンズホルダと、
前記レーザ発光素子の前記リード線端子を収納して、前面から後面に貫通したリード線引出孔部を備える光源用素子ホルダと、を有し、
前記コリメータレンズホルダの前記孔部の後端周囲により、前記レーザ発光素子の前記フランジ部の前面を押えて前記レーザ発光素子を前記光源素子ホルダの前面に押圧して当該光源用ホルダに固定し、前記リード線引出孔部に接着固定部材が充填されて前記レーザ発光素子が前記光源用素子ホルダに接着固定されている光源装置の製造方法であって、
前記光源用素子ホルダの前記リード線引出孔部に前記リード線端子を挿入して前記光源用素子ホルダの前面に前記レーザ発光素子を載置し、前記コリメータレンズホルダの前記孔部を前記レーザ発光素子の位置に合せて前記コリメータレンズホルダを前記光源用素子ホルダと合せて前記コリメータレンズホルダと前記光源用素子ホルダとを接合固定した後、前記光源用素子ホルダの後面を上方として前記リード線引出孔部に接着固定部材を充填することを特徴とする光源装置の製造方法。
【請求項14】
前記接着固定部材として紫外線硬化樹脂を用い、前記リード線引出孔部に該紫外線硬化樹脂を注入し、該紫外線硬化樹脂を前記レーザ発光素子の後端面に確実に接触させた状態で紫外線照射を行って該紫外線硬化樹脂を硬化させることを特徴とする請求項13に記載の光源装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65507(P2013−65507A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204429(P2011−204429)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】