光源装置及びこれを用いた撮像装置
【課題】 発振スペクトル線幅の狭小化と、高速な波長掃引と、を達成し得る光源装置を提供する。
【解決手段】 光増幅媒体と光スイッチとを含んで構成された光共振器を備える光源装置で、光スイッチは、波長可変光源で構成された光照射源より、出射された光パルスの照射を受けて透過率または反射率が変化するもので、波長可変光源より出射される光パルスの中心波長に対応して、増幅された光を光共振器より出射するものであり、光共振器の長さLと光パルスの繰り返し周波数fとの関係(L<c/(nf))と、光スイッチの変化した透過率または反射率が回復する回復時間τとLとの関係(τ>(nL)/c)を規定。
【解決手段】 光増幅媒体と光スイッチとを含んで構成された光共振器を備える光源装置で、光スイッチは、波長可変光源で構成された光照射源より、出射された光パルスの照射を受けて透過率または反射率が変化するもので、波長可変光源より出射される光パルスの中心波長に対応して、増幅された光を光共振器より出射するものであり、光共振器の長さLと光パルスの繰り返し周波数fとの関係(L<c/(nf))と、光スイッチの変化した透過率または反射率が回復する回復時間τとLとの関係(τ>(nL)/c)を規定。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振波長を変化させることが可能な光源装置、及びこれを用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源、特にレーザ光源については、発振波長を可変とするものが通信ネットワーク分野や検査装置の分野で種々利用されてきている。
【0003】
通信ネットワーク分野では、高速な波長切替、また、検査装置の分野では高速で広範な波長掃引が、要望されている。
【0004】
検査装置における波長可変(掃引)光源の用途としては、レーザ分光器、分散測定器、膜厚測定器、波長掃引型光トモグラフィー(Swept Source Optical Coherence Tomography:SS−OCT)装置等がある。
【0005】
光トモグラフィーは、光干渉を用いて検体の断層像を撮像するもので、ミクロンオーダーの空間分解能が得られることや無侵襲性等の理由から医用分野における研究が近年、盛んになってきている撮像技術である。
【0006】
波長掃引型光トモグラフィーでは、深さ情報を得るのにスペクトル干渉を用い、分光器を用いないことから光量のロスが少なく高SN比の像取得も期待されている。
SS−OCT技術を適用した医用画像撮像装置を構成する場合には、掃引速度が速いほど画像取得時間を短縮でき、また、波長掃引幅が広いほど断層像の空間解像度を高めることが可能なためこれらのパラメータは重要である。
【0007】
具体的には波長掃引幅Δλ、発振波長λ0、とするとき深さ分解能は
【0008】
【数1】
【0009】
で表される。したがって奥行き分解能を高めるためには波長掃引幅の拡大が必要であり、広帯域な波長掃引光源が求められている。
【0010】
こうした中、SS−OCT装置に用い得る光源として、主に通信分野で使用される帯域にて検討されてきた共振器中の屈折率の波長分散(以下、単に「分散」ともいう。)を利用して波長を可変とする分散チューニングの手法が非特許文献1に開示されている。
【0011】
この分散チューニングでは共振器の自由スペクトル間隔(Free Spectral Range :以下「FSR」ともいう。)が波長依存性を持っていることを用いて、能動モード同期状態での発振波長を制御する。つまり、能動モード同期を生じせしめる変調信号の周波数を変化させることで波長掃引行うことから、変調信号の周波数を高速に変化させることで、高速な波長掃引が可能となる。
【0012】
ここで、自由スペクトル間隔は、共振器内を周回する光に対する共振器モードの周波数間隔を示す。自由スペクトル間隔(FSR)は真空中の光速をcとし、共振器が持つ屈折率をn、共振器長をLとしたとき以下の式(2)で表される。
【0013】
【数2】
【0014】
分散チューニング方式は、このFSRが波長依存性を有していることを利用し、モードロック周波数を掃引する事でモードロック時の中心波長を掃引する技術である。
【0015】
また、非特許文献1は、分散チューニングによる波長掃引範囲Δλは以下の式で表わされるとしている。
【0016】
【数3】
【0017】
ここで、nは共振器の屈折率、Dは共振器の分散パラメータ、Nはモードロックの次数(自然数)である。
【0018】
一方、特許文献1には、安定して短パルス光を発生させることを目的として、ファブリーペロー光共振器の中心部に可飽和吸収体を配置し、この可飽和吸収体にクロック光パルスを入射させてモード同期動作を得るレーザ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】S.Yamashita,et al.Opt.Exp.Vol.14,pp.9299(2006)
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平7−307512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
非特許文献1に開示された分散チューニング方式による波長掃引では変調信号の周波数を高速に変化させることで波長掃引速度を高めることが可能である。しかし、モード同期レーザであるため一定の位相関係を有する複数モードが同時発振することから、発振スペクトルのスペクトル幅(線幅)は、比較的広がりやすく、狭いスペクトル幅が必要とされる用途には必ずしも十分対応できない。
【0022】
特許文献1に記載のレーザ装置では、可飽和吸収体を中心として光共振器の左右対称方向に光パルスを伝搬させ、光パルス同士を可飽和吸収体で衝突させると共に、ここにクロック光パルスを同時に入射させる。これにより可飽和吸収体の損失を小さくしてレーザの安定動作が得られ、クロック光パルスを用いたモード同期であることから超高速の短光パルス列がられるとしているが、このレーザ装置で得られるのは短光パルスであって、発振スペクトルの線幅の狭小化(狭帯化)の工夫はなされていない。
【0023】
本発明は、発振スペクトル線幅の狭小化と、高速な波長掃引と、を同時に達成し得る光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明により提供される光源装置は、光を増幅させる光増幅媒体と光スイッチとを含んで構成される光共振器と、前記光スイッチに光パルスを照射する光照射源と、を備え、前記光増幅媒体により増幅された光を前記光共振器より出射する光源装置であって、
前記光照射源を波長可変光源で構成し、前記光スイッチを前記波長可変光源より出射された前記光パルスの照射を受けることによりその透過率または反射率が変化するもので構成し、前記光パルスの中心波長に対応して、前記増幅された光を前記光共振器より出射するものであって、前記光共振器の共振器長Lが、前記照射源から前記光スイッチに照射される光パルスの繰り返し周波数をf、前記光共振器の屈折率をn、真空中の光速をcとして、
【0025】
【数4】
【0026】
を満たすと共に、前記光スイッチの変化した透過率または反射率が回復する回復時間をτとして、
【0027】
【数5】
【0028】
を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の光源装置では、光増幅媒体と光スイッチとを含んで光共振器が構成され、該光スイッチは、波長可変光源で構成された光照射源より、出射された光パルスの照射を受けて透過率または反射率が変化するものを採用する。
【0030】
そして波長可変光源より出射される光パルスの中心波長に対応して、増幅された光を光共振器より出射するものであり、光共振器長Lと光パルスの繰り返し周波数fとの関係(L<c/(nf))と、光スイッチの変化した透過率または反射率が回復する回復時間τとLとの関係(τ>(nL)/c)を規定する。
【0031】
光共振器長Lと光パルスの繰り返し周波数fとの関係(L<c/(nf))は、波長可変光源より光共振器に導入される光パルスによりモードロック(モード同期)を生じさせない条件を示すものであり、発振スペクトルのスペクトル幅(線幅)が比較的広がりやすいモードロックとは別の発振動作へのアプローチの表れである。
【0032】
光スイッチの回復時間τとLとの関係(τ>(nL)/c)は、光スイッチの回復時間が、光スイッチに照射される光パルスの周期(時間幅)よりも長いことを規定するものであり、長い回復時間τ内で、発振閾値を超える光パルスの周期(時間幅)に対応した光の出射が得られる。
【0033】
これにより本発明では、発振スペクトルのスペクトル幅(線幅)を狭小化した光源装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図2】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図3】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図4】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図5】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図6】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図7】可飽和吸収体の波長に対する反射率の関係を示すグラフ
【図8】時間に対する反射率の関係を示すグラフ
【図9】本発明の実施例1を説明する図
【図10】本発明の実施例2を説明する図
【図11】時間に対する発振波長の関係を示すグラフ
【図12】可飽和吸収体の波長に対する反射率の関係を示すグラフ
【図13】時間に対する反射率の関係を示すグラフ
【図14】可飽和吸収体の波長に対する反射率の関係を示すグラフ
【図15】共振器におけるゲインスペクトル(利得スペクトル)を示すグラフ
【図16】時間に対する発振波長の関係を示すグラフ
【図17】本発明の実施例3を説明する図
【図18】本発明の実施例3を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0036】
図1は、本発明の光源装置の一例を示す模式図である。
【0037】
図1に示した光源装置は、大別すると、光を増幅させる光増幅媒体103と光スイッチ104とを含んで構成される光共振器と、光スイッチ104に光パルスを照射する光照射源としての波長可変光源101と、を有して構成されている。
【0038】
波長可変光源101は、例えば、分散チューニング方式のレーザを用いることが可能であり、光パルスとしての照射光106を生成する。出射光106は反射部材(ミラー)112を経て、光共振器の一方のミラーを構成する光スイッチとしての可飽和吸収ミラー104に照射される。図1の光源装置では、光共振器は可飽和吸収ミラー104とハーフミラー102とで一対のミラーを構成し、一対のミラー間(共振器内)に光増幅媒体103とゲインフラットニングフィルタ(GFF)とを配して構成されている。照射光106は、一対のミラー(ハーフミラー102、可飽和吸収ミラー)間を往復する間に光増幅媒体103により増幅され、ハーフミラー102より出射光107として出射される。つまり、光パルス106の中心波長に対応して光共振器より増幅された光(出射光107)が出射される。
【0039】
ゲインフラットニングフィルタは、必要に応じて設けられる部材であり、ここでは光共振器内の損失の波長依存性を波長掃引範囲内で平坦化させる目的で配されている。
【0040】
以下の説明では、本発明の光源装置は、照射源101からの光パルスを光共振器(102、104)で受けて光共振器により増幅された光を出射するものであるという点に鑑みて、照射源をマスターレーザ、光共振器(発振部)をスレーブレーザということもある。
【0041】
ここで、可飽和吸収ミラーとは、弱い光に対しては吸収を示し反射率が低く、強い光に対してはその吸収が小さく、反射率が大きい光学素子である。
【0042】
本発明の光源装置に採用する可飽和吸収ミラーとしては、可飽和吸収ミラーに照射された波長の光に対する反射率が最も大きくなるような特性を有するものが好適である。
【0043】
こうした特性を有するものとしては、例えば種々の粒径の半導体量子ドットを含む可飽和吸収体等を挙げることができる。この特性は、可飽和吸収体の吸収が種々の粒径の半導体量子ドットが個々に示す吸収の和として発現し、照射光を吸収する量子ドットの吸収がその強度に依存して低下することにより実現される。
【0044】
可飽和吸収ミラーのスペクトル応答の例を図7に示す。
【0045】
図7において、可飽和吸収ミラーにマスターレーザから光が照射されていない状態での反射率スペクトルを反射率スペクトル701とする。ここに、波長λcの光が入射すると、可飽和吸収ミラーの反射率スペクトルは反射率スペクトル702へと変化する。つまり波長λcにおける反射率が増大する。
【0046】
可飽和吸収体の別の形態としては、光パルスが照射されるとその光パルスの中心波長よりも長波長側の吸収が弱まる特性の可飽和吸収体を挙げることができる。
【0047】
こうした特性の可飽和吸収体をミラー面に用いた可飽和吸収ミラーは、図14に示すように、例えば、中心波長λcの光が照射されるとその反射率スペクトルは図14の反射率スペクトル1401から反射率スペクトル1402へ変化する。
【0048】
この場合、反射率スペクトル1402のうち反射率が高いスペクトル領域におけるスレーブレーザの発振波長選択性を発現させる為、たとえばスレーブレーザ内に長波長側ほどロスが増える光学素子を導入する。
【0049】
ここでスレーブレーザ内(共振器内)のトータルのゲインスペクトルを図15に示すように、マスターレーザからのパルス照射前のゲインスペクトル1501からパルス照射後のゲインスペクトル1502に変化するように設定する。これにより、例えば波長λcにおいてゲインが最大となる状況が得られ、スレーブレーザに発振波長選択性を持たせることが可能となる。
【0050】
可飽和吸収体としては半導体量子ドット、半導体量子井戸構造、色素、カーボンナノチューブ等を用いることが可能である。
【0051】
本発明に採用し得る光スイッチは、可飽和吸収体に限るものではなく、例えば、フォトクロミック材料を用いても良い。
フォトクロミック材料では、光照射により分子の構造変化が生じ、その吸収スペクトルが変化する。フォトクロミック材料をスレーブ共振器内に用いることで、フォトクロミズムが生じる波長にて、吸収波長の切り替え動作が可能である。
フォトクロミズムは他波長の光照射や熱印加等により、その吸収を回復可能である。つまり、本発明に採用される光スイッチの好ましい動作様態である、一定時間後にある波長における吸収が回復(あるいは透過率、反射率が減衰)する動作をなし得る。また複数のフォトクロミック材料を同時に使用した光学系とすることで複数の波長における発振波長切り替え動作をさせることも可能である。
【0052】
次に図1に示した光源装置の動作について説明する。
【0053】
ハーフミラー102、可飽和吸収ミラー104を含んで構成された光共振器(スレーブレーザ)は不図示の駆動装置にされ、待機状態では可飽和吸収ミラーやその他の損失の影響によって、発振していない状態に設定しておく。
【0054】
ここで、図1に示すように可飽和吸収ミラー104に対してマスターレーザ101から光パルス106を照射する。すると、マスターレーザから可飽和吸収体に照射された光パルスの中心波長での反射率が増大しスレーブレーザの光共振器のロスが低下することにより発振閾値が低下し、スレーブレーザ内で、この波長で連続(CW:Continuous Wave)発振が生じる。このCW発振は可飽和吸収体の吸収が回復するにつれて減衰し、やがて停止する。
【0055】
また、可飽和吸収体の吸収回復に伴いスレーブレーザの発振が停止する為には、スレーブレーザが発振している際のスレーブレーザ共振器内での光強度が、マスターレーザから照射される光パルスの尖頭値よりも充分小さいことが必要である。スレーブレーザ内で発振が生じた場合のスレーブレーザ共振器内の光強度が、マスターレーザから照射される光パルスよりも強い場合、スレーブレーザが発振している状態では、可飽和吸収体の吸収が常に飽和し、可飽和吸収体の吸収が回復出来なくなるためである。
【0056】
図1に示した装置では、可飽和吸収体の回復時間が可飽和吸収体に照射される光パルスの時間幅よりも長いものを用いて光学系を構成することが好ましい。これはマスターレーザから照射される光パルスがフーリエ限界パルスに近いものである場合、その線幅狭帯化の為に好適な条件となるからである。
【0057】
ただし、マスターレーザからの光パルスのΔt×Δν(但しΔtは光パルスの時間波形の時間幅、Δνは光パルスのスペクトル領域での周波数幅)の値がフーリエ限界パルスよりも非常に大きい場合には必ずしもこの条件を満たさなくとも、線幅の狭帯化が可能となる。
【0058】
それは、スレーブレーザ内の可飽和吸収体に生じる反射率や透過率増大の帯域はマスターレーザの光パルスの帯域と同等かそれ以下であり、且つスレーブレーザでの発振は縦多モード発振などのマルチモード動作を全く強制していないため、反射率や透過率増大が起こっている帯域の中心波長に最も近い共振器モードに集約されるためである。
【0059】
ここで図8を参照してパルス照射と光出射動作を説明する。
【0060】
図8に示すように、時間幅τ0の光パルスが波長掃引光源(マスターレーザ)から時刻t=t0にて可飽和吸収体に照射されると(光パルス強度801)、可飽和吸収体の反射率スペクトルは該パルスの照射を受けて増大する。
【0061】
可飽和吸収ミラーの反射率は光パルスの照射が終わってから徐々に低下しやがて元に戻る(反射率802)。このとき可飽和吸収体の反射率が、スレーブレーザで発振が生じるための反射率(発振閾値反射率803)を上回っている時間τ1が、前記光パルスの時間幅τ0よりも長いので、τ0、τ1の関係は、たとえば図8に示すようになる。
【0062】
マスターレーザからある波長のパルスが入射するとスレーブレーザでその波長でのCW発振が開始するが、このCW発振の線幅をなるべく細くするためにはなるべく発振継続時間が長いことが好適である。
つまり上記τ1がスレーブレーザの発振継続時間となるので、τ1がなるべく長いことが好適である。
【0063】
一方、マスターレーザから次のパルスがスレーブレーザに入射する際には(波長掃引動作時には中心波長が前の光パルスと若干異なる別の波長になっているため)、前のパルスによるスレーブレーザでのCW発振は停止していることが必要である。
【0064】
これらの条件から可飽和吸収体に望まれる回復時間はパルスレート以下でありその中でなるべく長いことが好適である。
【0065】
例えば、SS−OCT装置に用いる光源としての適用を考慮すると、光源のパルスレートを1GHzに設定すると、1ns以内でスレーブレーザの発振が止まるように可飽和吸収体の吸収が回復することが好適である。つまりτ1が1ns以下であることが好適である。
【0066】
ここで、図12に示すように、波長可変光源からスレーブ共振器の中の可飽和吸収ミラーに照射される光パルスがある程度の波長帯域を有する場合、可飽和吸収ミラーの反射率が増大する波長範囲もある程度の帯域を有することになる。
【0067】
しかし、スレーブ共振器内の光増幅媒質は、例えばモードロックレーザのように縦多モード発振を促す駆動ではなく単純なCW駆動(ゲインが定常である)されることとなる。
【0068】
このため、スレーブ共振器にて発振が生じるのは、基本的には可飽和吸収ミラーの反射率が増大した帯域全体ではなく、最も反射率が増大したごく狭い波長範囲となる。
【0069】
したがって、可飽和吸収ミラーの反射率スペクトルが反射率スペクトル1201からマスターレーザのパルス照射によって反射率スペクトル1202に変化する場合、スレーブレーザからの発振スペクトルは発振スペクトル1203となる。
【0070】
このため可飽和吸収体の回復時間が照射される光パルスの時間幅よりも十分長いことが好適であり、これによりスレーブ共振器内で発生するレーザ発振の狭帯域化が実現できるのである。
【0071】
したがって、可飽和吸収体に照射される光パルスが広帯域であったとしても、スレーブレーザから発振する光はマスターレーザの光パルスよりもスペクトル上狭帯域化された光となる。
【0072】
これにより短パルス動作をする波長掃引光源を用いて、瞬間的なパルス発振光の線幅が狭帯域化された光源を構成できる。高速にかつ広帯域な波長掃引範囲内を狭帯域な線幅で波長掃引出来ることから、この光源を用いてSS−OCTを構成することで高速に高解像度かつ奥行き分解能も高い撮像が可能となる。
【0073】
また、本発明の光源装置ではスレーブレーザに注入モードロックが掛からないように動作させることが好ましい。本発明の光源装置は、スレーブレーザから時間的に長い波形のパルスを放出させ、短パルス列を生成することが目的ではないからである。
【0074】
従って、スレーブレーザの光共振器内の有効屈折率をn、共振器長L、真空中の光速をc、マスターレーザから可飽和吸収体に照射されるパルスレートをfとして、マスターレーザからスレーブレーザに照射されるパルスのパルスレートは次の式4の条件を満たす必要がある。但しmは自然数である。
【0075】
【数6】
【0076】
一方スレーブレーザの動作として、マスターレーザからの光パルス照射の時間間隔内で発振モードが確定するための条件は、パルス照射の時間間隔内で少なくとも光がスレーブ共振器内を一周以上周回する条件より、次の式5となる。
【0077】
【数7】
【0078】
式4においてm=0の場合が式5であり、スレーブ共振器にて式5を満たす動作を行えばスレーブ共振器ではモードロックが掛からないことが理解される。
【0079】
さらに、可飽和吸収体の回復時間内に、スレーブ共振器の中で光が1周以上周回することで共振器モードが確定するので、可飽和吸収体の回復時間をτとする場合の条件は
【0080】
【数8】
【0081】
で表される。
【0082】
たとえばマスターレーザから照射される光パルスのパルスレートが1MHzである場合には、スレーブレーザの共振器長に実効的な屈折率を掛けた値は、1μsecの間に真空中を光が伝搬する距離である約300m以内である必要がある。
【0083】
また、スレーブレーザから放出されるレーザ光の発振線幅をa〔Hz〕以下に抑えたい場合、例えばフーリエ限界のガウスパルスを仮定すると光パルスの出力波形の時間幅は、
【0084】
【数9】
【0085】
を満たすことが求められる。したがって、この式7よりスペクトル線幅を基準として可飽和吸収体の回復時間の下限を求めることができる。
【0086】
例えば、波長1060nmとすると、SS−OCT用光源として使用する為には線幅0.1nm以下が好適であり、この線幅を満たす為には式7より、パルスの時間幅は約16.5ps以上の継続時間が、可飽和吸収体の回復時間も、この値以上であることが必要となる。
【0087】
さらにスレーブレーザ内の可飽和吸収体の回復時間が遅くスレーブレーザから出力される光の継続時間が長いほど、スレーブレーザから放出される光の線幅は細くなる為、マスターレーザからの光パルスの時間幅よりも長い回復時間を持つ可飽和吸収体を用いることで、マスターレーザの時間幅よりも長い時間幅の光パルスをスレーブレーザから出力し、スペクトル線幅をより細めることが可能である。
【0088】
本発明において採用し得る光照射源としては、短パルス型波長掃引光源を挙げることができ、具体的には、分散チューニング方式のレーザの他、チタンサファイアレーザ、レーザから放射される光を非線形光学結晶等によって波長変換・掃引する光源や、色素やその他広帯域なゲインを有するゲイン媒体と波長可変フィルタなどで構成する波長可変パルス光源等を挙げることができる。
【0089】
上述の図1に示した光源装置では、光共振器内の光学部材は空間光学系を用いて結合されているが、光ファイバ光学系を用いて結合される形態であっても良い。
【0090】
また、図1に示した装置では、可飽和吸収体104を反射ミラーとして用いたが、図2の104に示すように可飽和吸収体を透過型の部材として用い、マスターレーザからの光パルス106が照射される際にその透過率が増大するというものであってもよい。
【0091】
尚、以下の説明では、異なる図でも同一の部材については、同一の番号を付すこととし重複した説明はなるべく避けることとする。
【0092】
図2に示した装置は、ハーフミラー102Aとミラー102Bとの一対の光共振器が構成されていて、可飽和吸収体104を透過型の部材として適用した以外は、図1に示した光源装置と同様の構成である。
【0093】
また、図3に示すように、マスターレーザ101より出射された出射光106が直接可飽和吸収体104に照射されるのではなく、スレーブレーザ内の光増幅媒体103を通過した後に可飽和吸収体104に照射されるよう構成することができる。図3において120はビームスプリッタである。
【0094】
また、図4に示すように、パルス光がスレーブレーザ内の増幅器103を通過した後に可飽和吸収体104に照射され、ハーフミラー102Bとハーフミラー102Aとの間を往復・増幅されてハーフミラー102Bより出射される形態(可飽和吸収体を透過で使用)も採用できる。
【0095】
更には、図5や図6に示すような、リング共振器タイプの光学系を用いることも可能である。
【0096】
図5においては、波長可変光源201より出射されたパルス光206は、アイソレータ218を介して光ファイバ212内を導波し、ファイバカップラ214を介してリング共振器内に導入される。リング共振器は導波路としての光ファイバ202と、光増幅媒体203とを接続して構成されている。可飽和吸収ミラー204は、サーキュレータ215を介してリング共振器に接続されており、リング共振器を経た光はカップラ214、コリメータ219を介して出射光207として出射される。ここで、208は光アイソレータである。
【0097】
図6の装置は、サーキュレータ215及び可飽和吸収ミラー204の接続位置が相違する以外、図5の装置と同様である。
【0098】
本発明において、光増幅媒体としては、半導体光増幅器の他、エルビウムやネオジウム等を含有する希土類添加光ファイバ、光ファイバ中に色素を添加して色素により増幅を行うもの等を採用することができる。
【0099】
半導体光増幅器は、小型で且つ高速制御が可能なことから好ましい。半導体光増幅器としては、共振器型光増幅器と進行波形光増幅器の双方を用いることができる。半導体光増幅器を構成する材料は、一般的な半導体レーザを構成する化合物半導体等を用いることができ、具体的にはInGaAs系、InAsP系、GaAlSb系、GaAsP系、AlGaAs系、GaN系等の化合物半導体を挙げることができる。半導体光増幅器は、利得の中心波長が、例えば、840nm、1060nm、1300nm、1550nmのものの中から光源の用途等に応じて適宜、選択して採用することができる。
【0100】
ここで、SS−OCT装置について言及する。
【0101】
SS−OCT装置では、物体からの反射率スペクトルの干渉を、光源の波長を掃引しながら取得する。このため、光源のスペクトル線幅は、スペクトル取得の各点同士の波長間隔よりも細い必要がある。例えば掃引帯域を840nm±40nmとした場合、この帯域でスペクトルを1000点で取得することを想定すると、スペクトル各点を分離しながら取得するためには線幅0.08nm以下とすることが好ましい。
本発明の光源装置を用いると、狭帯域な発振スペクトル線幅が得られるので、SS−OCT装置用光源として好適である。
【実施例1】
【0102】
図9に示した装置について説明する。
【0103】
図9の光源装置は、大別して光照射源101とスレーブ共振器152からなり、光照射源は波長可変光源で構成されている。
【0104】
スレーブ共振器152は、光増幅媒体としての半導体光増幅器103、該増幅器103にエネルギーを注入する励起源119と、可飽和吸収ミラー104と、ゲインフラットニングフィルタ(GFF)109、および半透膜ミラー102を配して構成されている。115及び116は、共振器中の光を結合させるための集光レンズである。
【0105】
本施例の光源装置の動作を、以下に説明する。
【0106】
波長可変光源101から放出される照射光106は、光パルス列であり、その中心波長がパルスごとに変化することで、波長掃引光源として動作する。。波長掃引は波長800nmから880nmの範囲で行われ、掃引周期は10kHz、パルスレートは10MHzである。
そして一つのパルスごとの時間波形は、その時間幅が200psであり、スレーブレーザの実効的な共振器長は30cmである。
【0107】
半導体光増幅器102には所定のエネルギーを注入し、待機状態にしておく。
待機状態とはスレーブ共振器の可飽和吸収体104に光照射源101から光が照射されていない状態において発振閾値よりも若干低い注入エネルギーを光増幅媒体に与えておく状態のことである。
【0108】
この光パルスで構成される照射光106は可飽和吸収ミラー104に逐次照射される。照射光106の光パルスにより、可飽和吸収ミラー104はその照射パルスの中心波長において反射率が増大する。
照射光106によって可飽和吸収ミラー104の反射率が増大することで、スレーブ共振器152では可飽和吸収体104の反射率が増大した波長にてレーザ発振が生じる。
【0109】
したがって、照射光106の光パルスの中心波長が時間と共に800nmから880nmの範囲で周期Tで変化することにより、スレーブ共振器から発生するレーザ光も波長が800nmから880nmの範囲で周期T(100μs)で変化する。
たとえば照射光106の光パルスの波長が時間と共に図11に示す変化すると、出射光107の波長も図11と同様に変化する。
【0110】
また、発振状態の時間変化については以下の通りである。
【0111】
例えば、可飽和吸収体104の回復時間が10nsである場合、スレーブ共振器152における各波長での発振状態は約10ns継続する。
【0112】
図13において照射光1301の時間波形がある時間t0に時間幅200psの時間幅で可飽和吸収体に入射する場合、可飽和吸収ミラーの反射率1302はt0にて増大し、その後、グラフのように約10nsの時間で減衰していく。可飽和吸収体の吸収が回復することに伴い、スレーブ共振器からの出射光強度の時間変化も出射光1304のように同等の時間で収束する。
【0113】
つまり、もともと波長可変光源106から放射される照射光の時間幅よりも、スレーブ共振器から発生する光の継続時間幅は長くなるためその時間波形の継続時間に逆比例してスペクトル線幅の狭帯域化が可能となる。
【0114】
本発明の光源装置によりと、波長可変光源が有する掃引速度や波長掃引範囲を犠牲にすることなく、波長掃引動作における発振スペクトルの線幅を狭帯域化した光を取り出すことが可能となる。
【実施例2】
【0115】
図10に本実施例の装置構成図を示す。
【0116】
本実施例の光源装置は、波長可変光源201及びファイバ光学系で構成されたスレーブ共振器252からなる。
スレーブ共振器252は波長掃引光源201からの光パルスをアイソレータ218を経由しカップラ214を介してリング共振器内に導入する。
導入された光パルスはアイソレータ208を通り光増幅器203でその強度が増幅される。光増幅器203は制御装置229にて駆動される。
そして増幅された光パルスはサーキュレータ215を介して可飽和吸収ミラー204で反射され、光ファイバ202に戻される。そしてカップラ214より取り出され、コリメータ219を通してコリメートされ、出射光207が生成される。
【0117】
本実施例ではスレーブ共振器はリング型共振器とし、共振器長は3mとした。
【0118】
ここで、本実施例の光源の動作を説明する。
波長可変光源201から放出される光パルスは、その中心波長がパルスごとに変化し、波長掃引光源として動作する。波長掃引範囲は1000nmから1120nmの範囲で行われ、掃引周期は1kHzである。そしてパルスレートは1MHzであり、一つのパルスごとの時間波形は、その時間幅が100psである。
【0119】
まず、光増幅器203にはエネルギーを注入して、待機状態とする。
波長可変光源201から注入される光パルスは光増幅器203によって増幅された後可飽和吸収ミラー204に逐次照射される。可飽和吸収ミラー204の反射率はその光パルスの中心波長において反射率が増大する。
可飽和吸収ミラーの反射率が増大することで、スレーブ共振器252では上記可飽和吸収体の反射率が増大した波長にてレーザ発振が生じる。
【0120】
したがって、光パルスの中心波長が時間とともに1000nmから1120nmの間で周期Tで変化することにより、スレーブ共振器から発生するレーザ光も波長が1000nmから1120nmの間で周期T(1ms)で変化する。たとえば、光パルスの波長が時間とともに図16のように変化するとすると、出射光1012の波長も図16と同様に変化する。
【0121】
本発明の光源装置によると、広帯域短パルス波長可変光源の光を、波長可変光源が有する掃引速度や掃引出来る波長範囲などを犠牲にすることなく、掃引中の光のスペクトル線幅を狭帯域化することが可能となる。
【0122】
また本実施例のように波長可変光源からの光パルスの強度を増光増幅器によって増幅した後に可飽和吸収ミラー204に照射する構成にすることで、種光となる波長可変光源201からの光パルスの強度が弱い場合でも、スレーブレーザから安定して波長掃引レーザ光を取り出すことが可能である。
【実施例3】
【0123】
実施例3では、本発明の光源装置を用いた光干渉断層撮像装置の例について説明する。
【0124】
図17にその構成図を示す。
図17のOCT装置は、基本的には光源部(1701等)、光源部からの光を検体に照射し、検体部からの反射光を伝達させる検体測定部(1707等)、光を参照ミラーに照射し、参照ミラーからの反射光を伝達させる参照部(1702等)、2つの反射光を干渉させる干渉部(1703)、干渉部により得られた干渉光を検出する光検出部(1709等)、光検出部で検出された光に基づいて画像処理を行う(断層像を得る)画像処理部(1711)で構成されている。以下、各構成要素を説明する。
光源部は、波長可変光源1701と該波長可変光源を制御する光源制御部1712を有して構成され、波長可変光源1701は光照射用の光ファイバ1710を介して干渉部を構成するファイバカップラ1703に接続されている。1715は光アイソレータである。
干渉部のファイバカップラ1703は、光源の波長帯域でシングルモードのもので構成し、各種ファイバカップラは3dBカップラで構成した。
反射ミラー1704は、参照光光路用ファイバ1702に接続されて参照部を構成し、ファイバ1702は、ファイバカップラ1703に接続されている。
検査光光路用ファイバ1705、照射集光光学系1706、照射位置走査用ミラー1707により測定部が構成され、検査光光路用ファイバ1705は、ファイバカップラ1703に接続されている。ファイバカップラ1703では、検査物体1714の内部及び表面から発生した後方散乱光と、参照部からの戻り光とが干渉して干渉光となる。
光検出部は、受光用ファイバ1708とフォトディテクタ1709で構成され、ファイバカップラ1703で生ずる干渉光をフォトディテクタ1709に導く。
フォトディテクタ1709で受光された光は信号処理装置1711にてスペクトル信号に変換され、さらにフーリエ変換を施すことで被験物体の奥行き情報を取得する。取得された奥行き情報は画像出力モニター1713に断層画像として表示される。
【0125】
ここで、信号処理装置1711は、パーソナルコンピュータ等で構成することができ、画像出力モニター1713は、パーソナルコンピュータの表示画面等で構成できる。
【0126】
本実施例で特徴的なのは光源部であり、波長可変光源1701は光源制御装置1712によりその発振波長や強度及びその時間変化が制御される。
光源制御装置1712は、照射位置走査用ミラー1707の駆動信号等をも制御する信号処理装置1711に接続され、走査用ミラー1707の駆動と同期して波長可変光源1701が制御される。
【0127】
例えば、実施例1で説明した光源装置を本実施例の波長可変光源1701として用いると、波長掃引の際、スペクトルの線幅が細い発振が得られることから、コヒーレンス長が長くなる。このためOCT画像の参照ミラーと等距離の位置から遠い位置までの干渉像を取得することが可能となる。これはコヒーレンス長が長いことすなわち可干渉距離が長いことにより、干渉光学系を構成する二つの光路の光路長差が長くても干渉信号を得られることに相当する。このため、光源の発振スペクトルの線幅が狭いと、被験物体の奥深い構造まで検知できるため好適である。
【0128】
図17では簡易な装置構成を示したが、図18に示すような、干渉信号を差動検出するための光学系で構成しても良い。
【0129】
図18においては、図17に示した装置と同一の部位には同一の符号を付している。
図18の装置は図17のフォトディテクタ1709に代えて光検出器と差動増幅器とを兼ね備えたバランスドフォトディテクタ1720とファイバカップラ1703及び1704を組み込んで構成したことが図17の装置との主たる違いである。
バランスドフォトディテクタ1720は、一端には、信号処理部1711が接続され、他端には、2端子がある。そのうち一つの端子はファイバ1716を介して光カップラ1703に接続され、残りの一端子は、ファイバ1717、光カップラ1704を介して結合部を構成する光カップラ1705に接続されている。
【0130】
こうした接続により本例の装置では、測定物1714と参照ミラー1704からの反射光による干渉信号を二つに分け、その一方と、他方との差動を検出する。
バランスドフォトディテクタ1720に到達する前に光を2つに分割することで干渉信号の位相が逆位相になるため、両者を引き算すると、分割前の信号に含まれるDC成分だけが除去され、干渉信号だけが取り出せるので好適である。
尚、図中、1718、1719はそれぞれ偏波コントローラである。
【0131】
また、光源901からの出射光の強度を逐次モニタリングし、そのデータを干渉信号の振幅補正に用いることも可能である。
【符号の説明】
【0132】
101 光照射源
103 光増幅媒体
104 光スイッチ
106 照射光
107 出射光
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振波長を変化させることが可能な光源装置、及びこれを用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源、特にレーザ光源については、発振波長を可変とするものが通信ネットワーク分野や検査装置の分野で種々利用されてきている。
【0003】
通信ネットワーク分野では、高速な波長切替、また、検査装置の分野では高速で広範な波長掃引が、要望されている。
【0004】
検査装置における波長可変(掃引)光源の用途としては、レーザ分光器、分散測定器、膜厚測定器、波長掃引型光トモグラフィー(Swept Source Optical Coherence Tomography:SS−OCT)装置等がある。
【0005】
光トモグラフィーは、光干渉を用いて検体の断層像を撮像するもので、ミクロンオーダーの空間分解能が得られることや無侵襲性等の理由から医用分野における研究が近年、盛んになってきている撮像技術である。
【0006】
波長掃引型光トモグラフィーでは、深さ情報を得るのにスペクトル干渉を用い、分光器を用いないことから光量のロスが少なく高SN比の像取得も期待されている。
SS−OCT技術を適用した医用画像撮像装置を構成する場合には、掃引速度が速いほど画像取得時間を短縮でき、また、波長掃引幅が広いほど断層像の空間解像度を高めることが可能なためこれらのパラメータは重要である。
【0007】
具体的には波長掃引幅Δλ、発振波長λ0、とするとき深さ分解能は
【0008】
【数1】
【0009】
で表される。したがって奥行き分解能を高めるためには波長掃引幅の拡大が必要であり、広帯域な波長掃引光源が求められている。
【0010】
こうした中、SS−OCT装置に用い得る光源として、主に通信分野で使用される帯域にて検討されてきた共振器中の屈折率の波長分散(以下、単に「分散」ともいう。)を利用して波長を可変とする分散チューニングの手法が非特許文献1に開示されている。
【0011】
この分散チューニングでは共振器の自由スペクトル間隔(Free Spectral Range :以下「FSR」ともいう。)が波長依存性を持っていることを用いて、能動モード同期状態での発振波長を制御する。つまり、能動モード同期を生じせしめる変調信号の周波数を変化させることで波長掃引行うことから、変調信号の周波数を高速に変化させることで、高速な波長掃引が可能となる。
【0012】
ここで、自由スペクトル間隔は、共振器内を周回する光に対する共振器モードの周波数間隔を示す。自由スペクトル間隔(FSR)は真空中の光速をcとし、共振器が持つ屈折率をn、共振器長をLとしたとき以下の式(2)で表される。
【0013】
【数2】
【0014】
分散チューニング方式は、このFSRが波長依存性を有していることを利用し、モードロック周波数を掃引する事でモードロック時の中心波長を掃引する技術である。
【0015】
また、非特許文献1は、分散チューニングによる波長掃引範囲Δλは以下の式で表わされるとしている。
【0016】
【数3】
【0017】
ここで、nは共振器の屈折率、Dは共振器の分散パラメータ、Nはモードロックの次数(自然数)である。
【0018】
一方、特許文献1には、安定して短パルス光を発生させることを目的として、ファブリーペロー光共振器の中心部に可飽和吸収体を配置し、この可飽和吸収体にクロック光パルスを入射させてモード同期動作を得るレーザ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】S.Yamashita,et al.Opt.Exp.Vol.14,pp.9299(2006)
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平7−307512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
非特許文献1に開示された分散チューニング方式による波長掃引では変調信号の周波数を高速に変化させることで波長掃引速度を高めることが可能である。しかし、モード同期レーザであるため一定の位相関係を有する複数モードが同時発振することから、発振スペクトルのスペクトル幅(線幅)は、比較的広がりやすく、狭いスペクトル幅が必要とされる用途には必ずしも十分対応できない。
【0022】
特許文献1に記載のレーザ装置では、可飽和吸収体を中心として光共振器の左右対称方向に光パルスを伝搬させ、光パルス同士を可飽和吸収体で衝突させると共に、ここにクロック光パルスを同時に入射させる。これにより可飽和吸収体の損失を小さくしてレーザの安定動作が得られ、クロック光パルスを用いたモード同期であることから超高速の短光パルス列がられるとしているが、このレーザ装置で得られるのは短光パルスであって、発振スペクトルの線幅の狭小化(狭帯化)の工夫はなされていない。
【0023】
本発明は、発振スペクトル線幅の狭小化と、高速な波長掃引と、を同時に達成し得る光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明により提供される光源装置は、光を増幅させる光増幅媒体と光スイッチとを含んで構成される光共振器と、前記光スイッチに光パルスを照射する光照射源と、を備え、前記光増幅媒体により増幅された光を前記光共振器より出射する光源装置であって、
前記光照射源を波長可変光源で構成し、前記光スイッチを前記波長可変光源より出射された前記光パルスの照射を受けることによりその透過率または反射率が変化するもので構成し、前記光パルスの中心波長に対応して、前記増幅された光を前記光共振器より出射するものであって、前記光共振器の共振器長Lが、前記照射源から前記光スイッチに照射される光パルスの繰り返し周波数をf、前記光共振器の屈折率をn、真空中の光速をcとして、
【0025】
【数4】
【0026】
を満たすと共に、前記光スイッチの変化した透過率または反射率が回復する回復時間をτとして、
【0027】
【数5】
【0028】
を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の光源装置では、光増幅媒体と光スイッチとを含んで光共振器が構成され、該光スイッチは、波長可変光源で構成された光照射源より、出射された光パルスの照射を受けて透過率または反射率が変化するものを採用する。
【0030】
そして波長可変光源より出射される光パルスの中心波長に対応して、増幅された光を光共振器より出射するものであり、光共振器長Lと光パルスの繰り返し周波数fとの関係(L<c/(nf))と、光スイッチの変化した透過率または反射率が回復する回復時間τとLとの関係(τ>(nL)/c)を規定する。
【0031】
光共振器長Lと光パルスの繰り返し周波数fとの関係(L<c/(nf))は、波長可変光源より光共振器に導入される光パルスによりモードロック(モード同期)を生じさせない条件を示すものであり、発振スペクトルのスペクトル幅(線幅)が比較的広がりやすいモードロックとは別の発振動作へのアプローチの表れである。
【0032】
光スイッチの回復時間τとLとの関係(τ>(nL)/c)は、光スイッチの回復時間が、光スイッチに照射される光パルスの周期(時間幅)よりも長いことを規定するものであり、長い回復時間τ内で、発振閾値を超える光パルスの周期(時間幅)に対応した光の出射が得られる。
【0033】
これにより本発明では、発振スペクトルのスペクトル幅(線幅)を狭小化した光源装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図2】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図3】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図4】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図5】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図6】本発明の光源装置の一例を示す模式図
【図7】可飽和吸収体の波長に対する反射率の関係を示すグラフ
【図8】時間に対する反射率の関係を示すグラフ
【図9】本発明の実施例1を説明する図
【図10】本発明の実施例2を説明する図
【図11】時間に対する発振波長の関係を示すグラフ
【図12】可飽和吸収体の波長に対する反射率の関係を示すグラフ
【図13】時間に対する反射率の関係を示すグラフ
【図14】可飽和吸収体の波長に対する反射率の関係を示すグラフ
【図15】共振器におけるゲインスペクトル(利得スペクトル)を示すグラフ
【図16】時間に対する発振波長の関係を示すグラフ
【図17】本発明の実施例3を説明する図
【図18】本発明の実施例3を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0036】
図1は、本発明の光源装置の一例を示す模式図である。
【0037】
図1に示した光源装置は、大別すると、光を増幅させる光増幅媒体103と光スイッチ104とを含んで構成される光共振器と、光スイッチ104に光パルスを照射する光照射源としての波長可変光源101と、を有して構成されている。
【0038】
波長可変光源101は、例えば、分散チューニング方式のレーザを用いることが可能であり、光パルスとしての照射光106を生成する。出射光106は反射部材(ミラー)112を経て、光共振器の一方のミラーを構成する光スイッチとしての可飽和吸収ミラー104に照射される。図1の光源装置では、光共振器は可飽和吸収ミラー104とハーフミラー102とで一対のミラーを構成し、一対のミラー間(共振器内)に光増幅媒体103とゲインフラットニングフィルタ(GFF)とを配して構成されている。照射光106は、一対のミラー(ハーフミラー102、可飽和吸収ミラー)間を往復する間に光増幅媒体103により増幅され、ハーフミラー102より出射光107として出射される。つまり、光パルス106の中心波長に対応して光共振器より増幅された光(出射光107)が出射される。
【0039】
ゲインフラットニングフィルタは、必要に応じて設けられる部材であり、ここでは光共振器内の損失の波長依存性を波長掃引範囲内で平坦化させる目的で配されている。
【0040】
以下の説明では、本発明の光源装置は、照射源101からの光パルスを光共振器(102、104)で受けて光共振器により増幅された光を出射するものであるという点に鑑みて、照射源をマスターレーザ、光共振器(発振部)をスレーブレーザということもある。
【0041】
ここで、可飽和吸収ミラーとは、弱い光に対しては吸収を示し反射率が低く、強い光に対してはその吸収が小さく、反射率が大きい光学素子である。
【0042】
本発明の光源装置に採用する可飽和吸収ミラーとしては、可飽和吸収ミラーに照射された波長の光に対する反射率が最も大きくなるような特性を有するものが好適である。
【0043】
こうした特性を有するものとしては、例えば種々の粒径の半導体量子ドットを含む可飽和吸収体等を挙げることができる。この特性は、可飽和吸収体の吸収が種々の粒径の半導体量子ドットが個々に示す吸収の和として発現し、照射光を吸収する量子ドットの吸収がその強度に依存して低下することにより実現される。
【0044】
可飽和吸収ミラーのスペクトル応答の例を図7に示す。
【0045】
図7において、可飽和吸収ミラーにマスターレーザから光が照射されていない状態での反射率スペクトルを反射率スペクトル701とする。ここに、波長λcの光が入射すると、可飽和吸収ミラーの反射率スペクトルは反射率スペクトル702へと変化する。つまり波長λcにおける反射率が増大する。
【0046】
可飽和吸収体の別の形態としては、光パルスが照射されるとその光パルスの中心波長よりも長波長側の吸収が弱まる特性の可飽和吸収体を挙げることができる。
【0047】
こうした特性の可飽和吸収体をミラー面に用いた可飽和吸収ミラーは、図14に示すように、例えば、中心波長λcの光が照射されるとその反射率スペクトルは図14の反射率スペクトル1401から反射率スペクトル1402へ変化する。
【0048】
この場合、反射率スペクトル1402のうち反射率が高いスペクトル領域におけるスレーブレーザの発振波長選択性を発現させる為、たとえばスレーブレーザ内に長波長側ほどロスが増える光学素子を導入する。
【0049】
ここでスレーブレーザ内(共振器内)のトータルのゲインスペクトルを図15に示すように、マスターレーザからのパルス照射前のゲインスペクトル1501からパルス照射後のゲインスペクトル1502に変化するように設定する。これにより、例えば波長λcにおいてゲインが最大となる状況が得られ、スレーブレーザに発振波長選択性を持たせることが可能となる。
【0050】
可飽和吸収体としては半導体量子ドット、半導体量子井戸構造、色素、カーボンナノチューブ等を用いることが可能である。
【0051】
本発明に採用し得る光スイッチは、可飽和吸収体に限るものではなく、例えば、フォトクロミック材料を用いても良い。
フォトクロミック材料では、光照射により分子の構造変化が生じ、その吸収スペクトルが変化する。フォトクロミック材料をスレーブ共振器内に用いることで、フォトクロミズムが生じる波長にて、吸収波長の切り替え動作が可能である。
フォトクロミズムは他波長の光照射や熱印加等により、その吸収を回復可能である。つまり、本発明に採用される光スイッチの好ましい動作様態である、一定時間後にある波長における吸収が回復(あるいは透過率、反射率が減衰)する動作をなし得る。また複数のフォトクロミック材料を同時に使用した光学系とすることで複数の波長における発振波長切り替え動作をさせることも可能である。
【0052】
次に図1に示した光源装置の動作について説明する。
【0053】
ハーフミラー102、可飽和吸収ミラー104を含んで構成された光共振器(スレーブレーザ)は不図示の駆動装置にされ、待機状態では可飽和吸収ミラーやその他の損失の影響によって、発振していない状態に設定しておく。
【0054】
ここで、図1に示すように可飽和吸収ミラー104に対してマスターレーザ101から光パルス106を照射する。すると、マスターレーザから可飽和吸収体に照射された光パルスの中心波長での反射率が増大しスレーブレーザの光共振器のロスが低下することにより発振閾値が低下し、スレーブレーザ内で、この波長で連続(CW:Continuous Wave)発振が生じる。このCW発振は可飽和吸収体の吸収が回復するにつれて減衰し、やがて停止する。
【0055】
また、可飽和吸収体の吸収回復に伴いスレーブレーザの発振が停止する為には、スレーブレーザが発振している際のスレーブレーザ共振器内での光強度が、マスターレーザから照射される光パルスの尖頭値よりも充分小さいことが必要である。スレーブレーザ内で発振が生じた場合のスレーブレーザ共振器内の光強度が、マスターレーザから照射される光パルスよりも強い場合、スレーブレーザが発振している状態では、可飽和吸収体の吸収が常に飽和し、可飽和吸収体の吸収が回復出来なくなるためである。
【0056】
図1に示した装置では、可飽和吸収体の回復時間が可飽和吸収体に照射される光パルスの時間幅よりも長いものを用いて光学系を構成することが好ましい。これはマスターレーザから照射される光パルスがフーリエ限界パルスに近いものである場合、その線幅狭帯化の為に好適な条件となるからである。
【0057】
ただし、マスターレーザからの光パルスのΔt×Δν(但しΔtは光パルスの時間波形の時間幅、Δνは光パルスのスペクトル領域での周波数幅)の値がフーリエ限界パルスよりも非常に大きい場合には必ずしもこの条件を満たさなくとも、線幅の狭帯化が可能となる。
【0058】
それは、スレーブレーザ内の可飽和吸収体に生じる反射率や透過率増大の帯域はマスターレーザの光パルスの帯域と同等かそれ以下であり、且つスレーブレーザでの発振は縦多モード発振などのマルチモード動作を全く強制していないため、反射率や透過率増大が起こっている帯域の中心波長に最も近い共振器モードに集約されるためである。
【0059】
ここで図8を参照してパルス照射と光出射動作を説明する。
【0060】
図8に示すように、時間幅τ0の光パルスが波長掃引光源(マスターレーザ)から時刻t=t0にて可飽和吸収体に照射されると(光パルス強度801)、可飽和吸収体の反射率スペクトルは該パルスの照射を受けて増大する。
【0061】
可飽和吸収ミラーの反射率は光パルスの照射が終わってから徐々に低下しやがて元に戻る(反射率802)。このとき可飽和吸収体の反射率が、スレーブレーザで発振が生じるための反射率(発振閾値反射率803)を上回っている時間τ1が、前記光パルスの時間幅τ0よりも長いので、τ0、τ1の関係は、たとえば図8に示すようになる。
【0062】
マスターレーザからある波長のパルスが入射するとスレーブレーザでその波長でのCW発振が開始するが、このCW発振の線幅をなるべく細くするためにはなるべく発振継続時間が長いことが好適である。
つまり上記τ1がスレーブレーザの発振継続時間となるので、τ1がなるべく長いことが好適である。
【0063】
一方、マスターレーザから次のパルスがスレーブレーザに入射する際には(波長掃引動作時には中心波長が前の光パルスと若干異なる別の波長になっているため)、前のパルスによるスレーブレーザでのCW発振は停止していることが必要である。
【0064】
これらの条件から可飽和吸収体に望まれる回復時間はパルスレート以下でありその中でなるべく長いことが好適である。
【0065】
例えば、SS−OCT装置に用いる光源としての適用を考慮すると、光源のパルスレートを1GHzに設定すると、1ns以内でスレーブレーザの発振が止まるように可飽和吸収体の吸収が回復することが好適である。つまりτ1が1ns以下であることが好適である。
【0066】
ここで、図12に示すように、波長可変光源からスレーブ共振器の中の可飽和吸収ミラーに照射される光パルスがある程度の波長帯域を有する場合、可飽和吸収ミラーの反射率が増大する波長範囲もある程度の帯域を有することになる。
【0067】
しかし、スレーブ共振器内の光増幅媒質は、例えばモードロックレーザのように縦多モード発振を促す駆動ではなく単純なCW駆動(ゲインが定常である)されることとなる。
【0068】
このため、スレーブ共振器にて発振が生じるのは、基本的には可飽和吸収ミラーの反射率が増大した帯域全体ではなく、最も反射率が増大したごく狭い波長範囲となる。
【0069】
したがって、可飽和吸収ミラーの反射率スペクトルが反射率スペクトル1201からマスターレーザのパルス照射によって反射率スペクトル1202に変化する場合、スレーブレーザからの発振スペクトルは発振スペクトル1203となる。
【0070】
このため可飽和吸収体の回復時間が照射される光パルスの時間幅よりも十分長いことが好適であり、これによりスレーブ共振器内で発生するレーザ発振の狭帯域化が実現できるのである。
【0071】
したがって、可飽和吸収体に照射される光パルスが広帯域であったとしても、スレーブレーザから発振する光はマスターレーザの光パルスよりもスペクトル上狭帯域化された光となる。
【0072】
これにより短パルス動作をする波長掃引光源を用いて、瞬間的なパルス発振光の線幅が狭帯域化された光源を構成できる。高速にかつ広帯域な波長掃引範囲内を狭帯域な線幅で波長掃引出来ることから、この光源を用いてSS−OCTを構成することで高速に高解像度かつ奥行き分解能も高い撮像が可能となる。
【0073】
また、本発明の光源装置ではスレーブレーザに注入モードロックが掛からないように動作させることが好ましい。本発明の光源装置は、スレーブレーザから時間的に長い波形のパルスを放出させ、短パルス列を生成することが目的ではないからである。
【0074】
従って、スレーブレーザの光共振器内の有効屈折率をn、共振器長L、真空中の光速をc、マスターレーザから可飽和吸収体に照射されるパルスレートをfとして、マスターレーザからスレーブレーザに照射されるパルスのパルスレートは次の式4の条件を満たす必要がある。但しmは自然数である。
【0075】
【数6】
【0076】
一方スレーブレーザの動作として、マスターレーザからの光パルス照射の時間間隔内で発振モードが確定するための条件は、パルス照射の時間間隔内で少なくとも光がスレーブ共振器内を一周以上周回する条件より、次の式5となる。
【0077】
【数7】
【0078】
式4においてm=0の場合が式5であり、スレーブ共振器にて式5を満たす動作を行えばスレーブ共振器ではモードロックが掛からないことが理解される。
【0079】
さらに、可飽和吸収体の回復時間内に、スレーブ共振器の中で光が1周以上周回することで共振器モードが確定するので、可飽和吸収体の回復時間をτとする場合の条件は
【0080】
【数8】
【0081】
で表される。
【0082】
たとえばマスターレーザから照射される光パルスのパルスレートが1MHzである場合には、スレーブレーザの共振器長に実効的な屈折率を掛けた値は、1μsecの間に真空中を光が伝搬する距離である約300m以内である必要がある。
【0083】
また、スレーブレーザから放出されるレーザ光の発振線幅をa〔Hz〕以下に抑えたい場合、例えばフーリエ限界のガウスパルスを仮定すると光パルスの出力波形の時間幅は、
【0084】
【数9】
【0085】
を満たすことが求められる。したがって、この式7よりスペクトル線幅を基準として可飽和吸収体の回復時間の下限を求めることができる。
【0086】
例えば、波長1060nmとすると、SS−OCT用光源として使用する為には線幅0.1nm以下が好適であり、この線幅を満たす為には式7より、パルスの時間幅は約16.5ps以上の継続時間が、可飽和吸収体の回復時間も、この値以上であることが必要となる。
【0087】
さらにスレーブレーザ内の可飽和吸収体の回復時間が遅くスレーブレーザから出力される光の継続時間が長いほど、スレーブレーザから放出される光の線幅は細くなる為、マスターレーザからの光パルスの時間幅よりも長い回復時間を持つ可飽和吸収体を用いることで、マスターレーザの時間幅よりも長い時間幅の光パルスをスレーブレーザから出力し、スペクトル線幅をより細めることが可能である。
【0088】
本発明において採用し得る光照射源としては、短パルス型波長掃引光源を挙げることができ、具体的には、分散チューニング方式のレーザの他、チタンサファイアレーザ、レーザから放射される光を非線形光学結晶等によって波長変換・掃引する光源や、色素やその他広帯域なゲインを有するゲイン媒体と波長可変フィルタなどで構成する波長可変パルス光源等を挙げることができる。
【0089】
上述の図1に示した光源装置では、光共振器内の光学部材は空間光学系を用いて結合されているが、光ファイバ光学系を用いて結合される形態であっても良い。
【0090】
また、図1に示した装置では、可飽和吸収体104を反射ミラーとして用いたが、図2の104に示すように可飽和吸収体を透過型の部材として用い、マスターレーザからの光パルス106が照射される際にその透過率が増大するというものであってもよい。
【0091】
尚、以下の説明では、異なる図でも同一の部材については、同一の番号を付すこととし重複した説明はなるべく避けることとする。
【0092】
図2に示した装置は、ハーフミラー102Aとミラー102Bとの一対の光共振器が構成されていて、可飽和吸収体104を透過型の部材として適用した以外は、図1に示した光源装置と同様の構成である。
【0093】
また、図3に示すように、マスターレーザ101より出射された出射光106が直接可飽和吸収体104に照射されるのではなく、スレーブレーザ内の光増幅媒体103を通過した後に可飽和吸収体104に照射されるよう構成することができる。図3において120はビームスプリッタである。
【0094】
また、図4に示すように、パルス光がスレーブレーザ内の増幅器103を通過した後に可飽和吸収体104に照射され、ハーフミラー102Bとハーフミラー102Aとの間を往復・増幅されてハーフミラー102Bより出射される形態(可飽和吸収体を透過で使用)も採用できる。
【0095】
更には、図5や図6に示すような、リング共振器タイプの光学系を用いることも可能である。
【0096】
図5においては、波長可変光源201より出射されたパルス光206は、アイソレータ218を介して光ファイバ212内を導波し、ファイバカップラ214を介してリング共振器内に導入される。リング共振器は導波路としての光ファイバ202と、光増幅媒体203とを接続して構成されている。可飽和吸収ミラー204は、サーキュレータ215を介してリング共振器に接続されており、リング共振器を経た光はカップラ214、コリメータ219を介して出射光207として出射される。ここで、208は光アイソレータである。
【0097】
図6の装置は、サーキュレータ215及び可飽和吸収ミラー204の接続位置が相違する以外、図5の装置と同様である。
【0098】
本発明において、光増幅媒体としては、半導体光増幅器の他、エルビウムやネオジウム等を含有する希土類添加光ファイバ、光ファイバ中に色素を添加して色素により増幅を行うもの等を採用することができる。
【0099】
半導体光増幅器は、小型で且つ高速制御が可能なことから好ましい。半導体光増幅器としては、共振器型光増幅器と進行波形光増幅器の双方を用いることができる。半導体光増幅器を構成する材料は、一般的な半導体レーザを構成する化合物半導体等を用いることができ、具体的にはInGaAs系、InAsP系、GaAlSb系、GaAsP系、AlGaAs系、GaN系等の化合物半導体を挙げることができる。半導体光増幅器は、利得の中心波長が、例えば、840nm、1060nm、1300nm、1550nmのものの中から光源の用途等に応じて適宜、選択して採用することができる。
【0100】
ここで、SS−OCT装置について言及する。
【0101】
SS−OCT装置では、物体からの反射率スペクトルの干渉を、光源の波長を掃引しながら取得する。このため、光源のスペクトル線幅は、スペクトル取得の各点同士の波長間隔よりも細い必要がある。例えば掃引帯域を840nm±40nmとした場合、この帯域でスペクトルを1000点で取得することを想定すると、スペクトル各点を分離しながら取得するためには線幅0.08nm以下とすることが好ましい。
本発明の光源装置を用いると、狭帯域な発振スペクトル線幅が得られるので、SS−OCT装置用光源として好適である。
【実施例1】
【0102】
図9に示した装置について説明する。
【0103】
図9の光源装置は、大別して光照射源101とスレーブ共振器152からなり、光照射源は波長可変光源で構成されている。
【0104】
スレーブ共振器152は、光増幅媒体としての半導体光増幅器103、該増幅器103にエネルギーを注入する励起源119と、可飽和吸収ミラー104と、ゲインフラットニングフィルタ(GFF)109、および半透膜ミラー102を配して構成されている。115及び116は、共振器中の光を結合させるための集光レンズである。
【0105】
本施例の光源装置の動作を、以下に説明する。
【0106】
波長可変光源101から放出される照射光106は、光パルス列であり、その中心波長がパルスごとに変化することで、波長掃引光源として動作する。。波長掃引は波長800nmから880nmの範囲で行われ、掃引周期は10kHz、パルスレートは10MHzである。
そして一つのパルスごとの時間波形は、その時間幅が200psであり、スレーブレーザの実効的な共振器長は30cmである。
【0107】
半導体光増幅器102には所定のエネルギーを注入し、待機状態にしておく。
待機状態とはスレーブ共振器の可飽和吸収体104に光照射源101から光が照射されていない状態において発振閾値よりも若干低い注入エネルギーを光増幅媒体に与えておく状態のことである。
【0108】
この光パルスで構成される照射光106は可飽和吸収ミラー104に逐次照射される。照射光106の光パルスにより、可飽和吸収ミラー104はその照射パルスの中心波長において反射率が増大する。
照射光106によって可飽和吸収ミラー104の反射率が増大することで、スレーブ共振器152では可飽和吸収体104の反射率が増大した波長にてレーザ発振が生じる。
【0109】
したがって、照射光106の光パルスの中心波長が時間と共に800nmから880nmの範囲で周期Tで変化することにより、スレーブ共振器から発生するレーザ光も波長が800nmから880nmの範囲で周期T(100μs)で変化する。
たとえば照射光106の光パルスの波長が時間と共に図11に示す変化すると、出射光107の波長も図11と同様に変化する。
【0110】
また、発振状態の時間変化については以下の通りである。
【0111】
例えば、可飽和吸収体104の回復時間が10nsである場合、スレーブ共振器152における各波長での発振状態は約10ns継続する。
【0112】
図13において照射光1301の時間波形がある時間t0に時間幅200psの時間幅で可飽和吸収体に入射する場合、可飽和吸収ミラーの反射率1302はt0にて増大し、その後、グラフのように約10nsの時間で減衰していく。可飽和吸収体の吸収が回復することに伴い、スレーブ共振器からの出射光強度の時間変化も出射光1304のように同等の時間で収束する。
【0113】
つまり、もともと波長可変光源106から放射される照射光の時間幅よりも、スレーブ共振器から発生する光の継続時間幅は長くなるためその時間波形の継続時間に逆比例してスペクトル線幅の狭帯域化が可能となる。
【0114】
本発明の光源装置によりと、波長可変光源が有する掃引速度や波長掃引範囲を犠牲にすることなく、波長掃引動作における発振スペクトルの線幅を狭帯域化した光を取り出すことが可能となる。
【実施例2】
【0115】
図10に本実施例の装置構成図を示す。
【0116】
本実施例の光源装置は、波長可変光源201及びファイバ光学系で構成されたスレーブ共振器252からなる。
スレーブ共振器252は波長掃引光源201からの光パルスをアイソレータ218を経由しカップラ214を介してリング共振器内に導入する。
導入された光パルスはアイソレータ208を通り光増幅器203でその強度が増幅される。光増幅器203は制御装置229にて駆動される。
そして増幅された光パルスはサーキュレータ215を介して可飽和吸収ミラー204で反射され、光ファイバ202に戻される。そしてカップラ214より取り出され、コリメータ219を通してコリメートされ、出射光207が生成される。
【0117】
本実施例ではスレーブ共振器はリング型共振器とし、共振器長は3mとした。
【0118】
ここで、本実施例の光源の動作を説明する。
波長可変光源201から放出される光パルスは、その中心波長がパルスごとに変化し、波長掃引光源として動作する。波長掃引範囲は1000nmから1120nmの範囲で行われ、掃引周期は1kHzである。そしてパルスレートは1MHzであり、一つのパルスごとの時間波形は、その時間幅が100psである。
【0119】
まず、光増幅器203にはエネルギーを注入して、待機状態とする。
波長可変光源201から注入される光パルスは光増幅器203によって増幅された後可飽和吸収ミラー204に逐次照射される。可飽和吸収ミラー204の反射率はその光パルスの中心波長において反射率が増大する。
可飽和吸収ミラーの反射率が増大することで、スレーブ共振器252では上記可飽和吸収体の反射率が増大した波長にてレーザ発振が生じる。
【0120】
したがって、光パルスの中心波長が時間とともに1000nmから1120nmの間で周期Tで変化することにより、スレーブ共振器から発生するレーザ光も波長が1000nmから1120nmの間で周期T(1ms)で変化する。たとえば、光パルスの波長が時間とともに図16のように変化するとすると、出射光1012の波長も図16と同様に変化する。
【0121】
本発明の光源装置によると、広帯域短パルス波長可変光源の光を、波長可変光源が有する掃引速度や掃引出来る波長範囲などを犠牲にすることなく、掃引中の光のスペクトル線幅を狭帯域化することが可能となる。
【0122】
また本実施例のように波長可変光源からの光パルスの強度を増光増幅器によって増幅した後に可飽和吸収ミラー204に照射する構成にすることで、種光となる波長可変光源201からの光パルスの強度が弱い場合でも、スレーブレーザから安定して波長掃引レーザ光を取り出すことが可能である。
【実施例3】
【0123】
実施例3では、本発明の光源装置を用いた光干渉断層撮像装置の例について説明する。
【0124】
図17にその構成図を示す。
図17のOCT装置は、基本的には光源部(1701等)、光源部からの光を検体に照射し、検体部からの反射光を伝達させる検体測定部(1707等)、光を参照ミラーに照射し、参照ミラーからの反射光を伝達させる参照部(1702等)、2つの反射光を干渉させる干渉部(1703)、干渉部により得られた干渉光を検出する光検出部(1709等)、光検出部で検出された光に基づいて画像処理を行う(断層像を得る)画像処理部(1711)で構成されている。以下、各構成要素を説明する。
光源部は、波長可変光源1701と該波長可変光源を制御する光源制御部1712を有して構成され、波長可変光源1701は光照射用の光ファイバ1710を介して干渉部を構成するファイバカップラ1703に接続されている。1715は光アイソレータである。
干渉部のファイバカップラ1703は、光源の波長帯域でシングルモードのもので構成し、各種ファイバカップラは3dBカップラで構成した。
反射ミラー1704は、参照光光路用ファイバ1702に接続されて参照部を構成し、ファイバ1702は、ファイバカップラ1703に接続されている。
検査光光路用ファイバ1705、照射集光光学系1706、照射位置走査用ミラー1707により測定部が構成され、検査光光路用ファイバ1705は、ファイバカップラ1703に接続されている。ファイバカップラ1703では、検査物体1714の内部及び表面から発生した後方散乱光と、参照部からの戻り光とが干渉して干渉光となる。
光検出部は、受光用ファイバ1708とフォトディテクタ1709で構成され、ファイバカップラ1703で生ずる干渉光をフォトディテクタ1709に導く。
フォトディテクタ1709で受光された光は信号処理装置1711にてスペクトル信号に変換され、さらにフーリエ変換を施すことで被験物体の奥行き情報を取得する。取得された奥行き情報は画像出力モニター1713に断層画像として表示される。
【0125】
ここで、信号処理装置1711は、パーソナルコンピュータ等で構成することができ、画像出力モニター1713は、パーソナルコンピュータの表示画面等で構成できる。
【0126】
本実施例で特徴的なのは光源部であり、波長可変光源1701は光源制御装置1712によりその発振波長や強度及びその時間変化が制御される。
光源制御装置1712は、照射位置走査用ミラー1707の駆動信号等をも制御する信号処理装置1711に接続され、走査用ミラー1707の駆動と同期して波長可変光源1701が制御される。
【0127】
例えば、実施例1で説明した光源装置を本実施例の波長可変光源1701として用いると、波長掃引の際、スペクトルの線幅が細い発振が得られることから、コヒーレンス長が長くなる。このためOCT画像の参照ミラーと等距離の位置から遠い位置までの干渉像を取得することが可能となる。これはコヒーレンス長が長いことすなわち可干渉距離が長いことにより、干渉光学系を構成する二つの光路の光路長差が長くても干渉信号を得られることに相当する。このため、光源の発振スペクトルの線幅が狭いと、被験物体の奥深い構造まで検知できるため好適である。
【0128】
図17では簡易な装置構成を示したが、図18に示すような、干渉信号を差動検出するための光学系で構成しても良い。
【0129】
図18においては、図17に示した装置と同一の部位には同一の符号を付している。
図18の装置は図17のフォトディテクタ1709に代えて光検出器と差動増幅器とを兼ね備えたバランスドフォトディテクタ1720とファイバカップラ1703及び1704を組み込んで構成したことが図17の装置との主たる違いである。
バランスドフォトディテクタ1720は、一端には、信号処理部1711が接続され、他端には、2端子がある。そのうち一つの端子はファイバ1716を介して光カップラ1703に接続され、残りの一端子は、ファイバ1717、光カップラ1704を介して結合部を構成する光カップラ1705に接続されている。
【0130】
こうした接続により本例の装置では、測定物1714と参照ミラー1704からの反射光による干渉信号を二つに分け、その一方と、他方との差動を検出する。
バランスドフォトディテクタ1720に到達する前に光を2つに分割することで干渉信号の位相が逆位相になるため、両者を引き算すると、分割前の信号に含まれるDC成分だけが除去され、干渉信号だけが取り出せるので好適である。
尚、図中、1718、1719はそれぞれ偏波コントローラである。
【0131】
また、光源901からの出射光の強度を逐次モニタリングし、そのデータを干渉信号の振幅補正に用いることも可能である。
【符号の説明】
【0132】
101 光照射源
103 光増幅媒体
104 光スイッチ
106 照射光
107 出射光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を増幅させる光増幅媒体と光スイッチとを含んで構成される光共振器と、前記光スイッチに光パルスを照射する光照射源と、を備え、前記光増幅媒体により増幅された光を前記光共振器より出射する光源装置であって、
前記光照射源を波長可変光源で構成し、前記光スイッチを前記波長可変光源より出射された前記光パルスの照射を受けることによりその透過率または反射率が変化するもので構成し、前記光パルスの中心波長に対応して、前記増幅された光を前記光共振器より出射するものであって、前記光共振器の共振器長Lが、前記照射源から前記光スイッチに照射される光パルスの繰り返し周波数をf、前記光共振器の屈折率をn、真空中の光速をcとして、
【数1】
を満たすと共に、前記光スイッチの変化した透過率または反射率が回復する回復時間をτとして、
【数2】
を満たすことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光スイッチが可飽和吸収体であることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記可飽和吸収体の回復時間が、前記光照射源より出射される前記光パルスの時間間隔よりも短いことを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光照射源より出射された前記光パルスが、前記光共振器内の前記光増幅媒体を透過した後に前記光スイッチに照射されることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光共振器がゲインフラットニングフィルタを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光パルスの時間幅よりも長い時間幅の前記増幅された光を前記光共振器より出射することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の光源装置を用いた光源部と、
前記光源部からの光を検体に照射し、検体からの反射光を伝達させる検体測定部と、
前記光源部からの光を参照ミラーに照射し、該参照ミラーからの反射光を伝達させる参照部と、
前記検体測定部からの反射光と前記参照部からの反射光とを干渉させる干渉部と、
前記干渉部からの干渉光を検出する光検出部と、
前記光検出部で検出された光に基づいて、前記検体の断層像を得る画像処理部と、
を有することを特徴とする光干渉断層撮像装置。
【請求項1】
光を増幅させる光増幅媒体と光スイッチとを含んで構成される光共振器と、前記光スイッチに光パルスを照射する光照射源と、を備え、前記光増幅媒体により増幅された光を前記光共振器より出射する光源装置であって、
前記光照射源を波長可変光源で構成し、前記光スイッチを前記波長可変光源より出射された前記光パルスの照射を受けることによりその透過率または反射率が変化するもので構成し、前記光パルスの中心波長に対応して、前記増幅された光を前記光共振器より出射するものであって、前記光共振器の共振器長Lが、前記照射源から前記光スイッチに照射される光パルスの繰り返し周波数をf、前記光共振器の屈折率をn、真空中の光速をcとして、
【数1】
を満たすと共に、前記光スイッチの変化した透過率または反射率が回復する回復時間をτとして、
【数2】
を満たすことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光スイッチが可飽和吸収体であることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記可飽和吸収体の回復時間が、前記光照射源より出射される前記光パルスの時間間隔よりも短いことを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光照射源より出射された前記光パルスが、前記光共振器内の前記光増幅媒体を透過した後に前記光スイッチに照射されることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光共振器がゲインフラットニングフィルタを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光パルスの時間幅よりも長い時間幅の前記増幅された光を前記光共振器より出射することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の光源装置を用いた光源部と、
前記光源部からの光を検体に照射し、検体からの反射光を伝達させる検体測定部と、
前記光源部からの光を参照ミラーに照射し、該参照ミラーからの反射光を伝達させる参照部と、
前記検体測定部からの反射光と前記参照部からの反射光とを干渉させる干渉部と、
前記干渉部からの干渉光を検出する光検出部と、
前記光検出部で検出された光に基づいて、前記検体の断層像を得る画像処理部と、
を有することを特徴とする光干渉断層撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−33771(P2012−33771A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172930(P2010−172930)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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